Esomar qualitative 2011(発表用 修正済み)

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定性調査・行動観察調査の阪本多恵 Total Qualitative Research & Ethnography ESOMAR QUALITATIVE 2011 REPORT

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定性調査・行動観察調査の阪本多恵 Total Qualitative Research & Ethnography

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1.ESOMAR QUALITATIVE 2011 概要

開催日時:2011年11月14-15日 開催場所:ウィーン'オーストリア( Radisson Blu Palais Hotel 参加国数:38カ国

参加国特徴:近隣の欧州諸国'イギリス・ドイツ・フランス・オランダ・オーストリア・ロシア・ポーランド等(の参加者が全体的に多かった。

北米ではアメリカ'8名(・カナダ'1名(参加。南米からはアルゼンチン'1名(・ホンジュラス'1名(・ベネズエラ'2名(

アジア圏の参加は中国'6名(とシンガポール'2名(と日本'2名(とフィリピン'1名(

参加者特徴:ブティック経営'独立系調査下請け会社(の方が多く、大手調査会社や大手クライアントの参加は新興国が多かった。 大手のスポンサーはTNS'シルバースポンサー(のみ

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2.発表内容の概要

・生活者の心理に近づく為の調査例:2件 生活者の心理を得る為の調査で、エスノ関連調査の発表。 インドにおける既存調査+携帯電話を使ったエスノ調査について。 イギリスの自殺率の高さに対しての広告作成の為の調査。

・次世代調査例:2件 Y世代'15歳~(の調査例が2件。レディー・ガガの例が双方で挙がっていた。

・調査技術革新例:3件 ハイブリッド'オンライン+既存の定性調査+定量調査(調査の成功例。 スーダンのブランドポジショニング調査について …定性調査の解釈が浅くなると意思決定を間違えるという例。 感覚ビジネスの為の、知覚'五感(調査方法の新しいアプローチ ・定性調査と定量調査のハイブリッド調査の必要性について:5件 定量調査の専門家の視野から、定性調査の必要性についての全体での議論。 ・グローバル調査'文化と分析(について:3件

よくわかっていない文化や地域においての調査は、文化の特徴'現地のクセ(を捉えるだけでなく、個人のインサイトもきちんと理解する必要があるという事。

・創造的なコミュニケーションと効果的な対話法:3件

多くの分野の人間が調査に関わる重要性と、予測のつかない子供相手の調査は大人の常識が通用しないので、新しい手法にどんどんチャレンジするべきだという事。

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2.ゲストスピーカー

Diana Derval 教授: オランダのグローバルマーケティングのリサーチディレクター。

専門は人間知覚や行動学。各国'地域(の文化の違いを研究している。また、右手の人差指と薬指の長さで人間関係におけるホルモン量を測れるという発表は興味深かった。

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3.ディスカッション

・12のトピックスで席に分かれて、定性調査の現状についてのディスカッションが行われた。

・私が選んだテーマは:Neuroscience'神経科学(の現状について ・結論として… 「今のNeuroscienceでは、まだ定性的なデータは取り出せていない」という結論に達した。

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4.ベストペーパー'Inspiring the senses)

ドイツのSymrise社とH,T,P Concept 社の発表。

会社紹介:Symirise社は、香り'香水(やフレーバー'歯磨き(を研究し製品化している会社。ケミカルインダストリー。

H,T,P Concept社は、ドイツのマーケティングリサーチ会社

発表内容:感覚的な刺激は人の深部まで長期にわたり影響を与えるとても重要な物。

しかし、現在では知覚に関する調査はエンジニア主導になっており、結果として、‘多くの感覚的実践や市場調査は頭(mind)で開発され、心(heart)で開発されることは少ない。

実際に知覚分析の基本思想は量的思考なので、客観的ではあるが統計的で人間性の欠如が見られる。

~もっと消費者の実態に基づいた感情的な'人間的な(調査をして、

感覚経験を提供できないだろうか?~

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調査目的:歯磨き粉のフレーバーを開発する為に行った調査。

女性消費者のニーズに適合した特別な味の可能性を見つけ出すこと。

そして…それぞれの地域で消費者を巻き込む為のシナリオを作りたい

味に対する単なる好意度や重要度だけでは不充分(-”-)

では…どうしたらいいのか?

→何がなぜ気持ちにピッタリと合うのかを知る必要がある。

→オーラルケアに関する文化的価値を知る必要がある。

実際に行った調査:'ドイツとアメリカにおいて(

1.ホームビジット+事前タスク→個人の香りに対する歴史や感覚を知る。

2.4時間の商品製作ワークショップ'定量的な評価要素+地域的定性データ取得(

3.ホームユーステスト'定量(

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4.ベストペーパー'Inspiring the senses)

実際の調査の内容:

1.ホームビジット+事前タスク

<個人の生理学的観点を知る→探索的要素のある調査>

事前タスクとして…

Ⅰ「私のオーラルケアの歴史」というテーマで、個人的なオーラルケア雑記帳'スクラップブック(を作ってもらう。

・コラージュ、オーラルケアの将来への旅など

Ⅱカテゴリーの製品の中で、非常に気にいっているものと、極めて不快に思うものを持参するように依頼した。

ファインディングス:

→①各人のオーラルケアの歴史と、

②その歴史に基づいたニーズと全体的な好みについて深いインサイト

が得られた。

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2.ワークショップ<感覚の文化的背景を知る→創造的要素のある調査>

グループに分かれて実際に商品を作ってもらった。

‘知覚と情報プロセスの多感覚性’と‘それらの感覚どうしの相互作用’を知りたい。

Ⅰ.香り作成

「我々の味覚の90%は嗅覚に基づいている」…嗅覚作成から始めてもらった。

対象者には50以上の香りスティックを用意し、異なる香りのスティックを同時に嗅

ぐようにお願いした。嗅覚は感覚を合成したものであり、2つの香りを混ぜることが個々の香りを積み上げるよりも総体的な結果を導くと考えたことによる。

ファインディングス:

①人々の香りに対する親しみやすさについて、文化的相違があることが明らかになった。

②においを嗅ぐセッションでは、フレーバー名についてパッケージや製品に明記しないほうがよいのではないかという示唆も得られた。

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Ⅱ.全体的なコンセプトに落とし込む作業

選んだ香りのミックスについて、テクスチャー、色、名前、パッケージ、それに合ったオーラルケア製品を考えてもらった。

その際に…香りの専門家が、対象者が作ったミックスした香りを、テイスティングのための実際のサンプルにした。

ファインディングス:

①自分たちが作った香りに向き合うことは、このプロセスに積極的に関わる要因 になるだけではなく、一旦味見すると受け入れ度が低下することが証明された

②異なるレシピに対する対象者の反応を、ワークショップのディスカッションの中で我々が知り得たことにリンクすることができた

3.ホームユーステスト<評価的要素のある調査>

消費者にテスト製品と調査票を渡し、3日間家庭内で使用してもらった。

このテストはこのリサーチ全体の中では、いくぶん‘単体’'一連の調査から隔絶された(の要素を持っていた。→従来の定量的調査

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結果:

守秘義務のため、このレポートでは結論を詳述することはできないのだが…

異なる1.探索的要素、2.創造的要素、3.評価要素によって、いかに全角度から感覚を探索していくことが大切であるのかがわかった。

一般的なファインディングス

・知覚及び感覚刺激の評価は文化に強く依拠するプロセスであることを確認した

ドイツはより内向的なオーラルケア文化を持ち、アメリカはより外向的な文化であることが議論された。

→不十分なオーラルケアによる最悪の事態を考えるとき、ドイツ人女性は心を痛めるが、アメリカ人女性は社会からドロップアウトすることを恐れる。

しかしながら… 集合体も個人も考慮しなければならない! 文化的な所属は明らかに枠組みとなるのだが…。 しかし、同一の文化の中に異なるメンタルが存在する

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ドイツとアメリカの感覚の好みの相違点: 異なる香りを評価する文化的背景の影響が確認される

物理的側面 感情的側面

自然 経験

真面目 楽しさ

馴染み エキゾチック

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その他のファインディングス ・全体評価は複数の知覚の集合体を動員する。 ・サンプルは全体的に参加者自身が創った香りに比べ評価が低かった。 →自分たちが創った香りに誇りを持っているからだと言える。

しかし、事前に用意されたミックスした香りの中には、パイロット調査の結果をうけて作ったものを含んでいた。そして、このフレーバーについては、高く評価され、対象者自身が創った香りと同等の評価さえ受けた。

多感覚リサーチとは…

・ラボを飛び出し、リサーチの破壊的な方法をあえて進み、定性調査の力を信用することを恐れない。…インサイトを喜んで信用する。

・同時に、良い定量調査 -それは消費者志向でありながら盲目的に消費者を信じたり、消費者が語ることを文字通り受け取ることはしない - から得られる数字を信用する。

→これは今までの‘トライ&テスト’や受容度テストや好意度テストを無視することでもない。

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と同時に… まがい物の分析に気を付けなければならない。 例えば、ニューロサイエンス

とりわけ感覚マーケティングは、かなりニューロサイエンスに依拠しているように思われるのだが、間違った方法で使われていることもある。

→ニューロンのラーニングに合うように作らなければならないというような、硬直化したフレームであると受け止めた時には、最も役立たずな物になる。

【感覚リサーチや定性調査の未来】

現代の定性調査は、いまだに世界一般や、人々がどのように取り巻く世界を理解しているかといった多感覚性の多くを見逃している。

ある人々にとって、ビジュアルというキーがあれば物を記憶しやすいし、ある人は自分の意見を述べるときに嗅覚言語を使用する。またある人は味覚経験によって活性化されるのである。これらの異なる‘感覚タイプ’を識別することで、異なる人々を理解することができる。また、人々に適切な感覚言語で話しかけることができるのである。→感覚が1つの言語となり得るのではないか。

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5.インドでの携帯'オンライン(を使った調査例

これはインドの現状を踏まえてという部分が大きい。

インドの現状:

1.公共ファシリティー'水道など(より、携帯電話の普及率のほうが高い。

2.個人の意見がなかなか言いにくい。'エスノの際でも家族などに干渉される(

などを踏まえているからもあるのではないか。

要は日記調査→携帯とSNSを使って行い、それを使ってエスノ時にプローブする、

既存のホームビジットにプラスして、オンラインをツールとして使っていた。

⇒実際にオンラインだけで定性調査を行ったわけではない。

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5.グルインの特徴'東 VS 西(

East West

モデレーター

参加者と同等ではなく、問題提起人である。

参加者と同等に扱われる。

Q&A 直接質問をしても、直接的な回答が得られない場合がある。 →質問が比喩的

直接質問をしても直接的な回答が得られる →質問が直接的

意見解釈方法

集団の意見として解釈する。

個人的意見は内集団として解釈する。

個人的意見が尊重され、解釈される。

問題への直面方法

直接対決は避けられる。問題や不満が潜在していても、率直な物言いは避けられる。 対面が重要

問題や不満には正面から取り組まれる。率直な物言いは誠実だと扱われる。 対面は二の次

社会的関係

リサーチへの参加は家族などの許可が必要なことがある。

リサーチでの意見は社会的役割に基づいている。

リサーチには自分の意思で参加するし、リサーチでの意見は個人的な物で、誰かに左右されることはない。

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5.インドの調査会社から見た日本の例

インドの調査会社がアジアの2010年度の人気セレブを挙げていた。

そのうちの日本の結果:'フォーブス100リストとローカルセレブリティーサイト参照(

・Yuki Nakama (actress & TV personality)⇒仲間由紀恵さん

・Ichiro Suzuki (Baseball)

・Amami Yuki (actress & TV personality)

・Sanma Akashiya (Comedian)

・Nanako Matushima (TV personality)⇒女優さんという表記なし。

・Bakusyo Mondai (Comedian duo)

・DCT-Dreams come true (Band)

・Shingo Katori (voice actor) ⇒ 声優さんとして紹介

・Tokaro joji (TV personality) ⇒所ジョージさんのこと。タイプミス?

・Ken Shimura (actor & comedian) ⇒俳優さん?コントの事か。

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6.総括

今回の会議のテーマは…

1.地域性を重視した調査をしないと地元の事はわからない

'地域によって調査をカスタマイズする必要がある(

2.何かの消費者という理解ではなく、人間を知ろうとしなければ結果は出ない。

3.それぞれの調査方法の強みと弱みをキチンと理解し、調査目的によって、ハイブリッドな調査を企画する必要がある。

'既存の手順に凝り固まり、トライする事を怖がってはいけない(

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7.私自身の発見

1.日本の調査費は高い'他のアジア圏の国と比べて?(という感覚がある。

2.日本の定性調査は難しい物'本音が見えにくい(だという意識がある。

3.日本のマーケットには興味薄である。

→危機感!!(>_<)