市川市口腔がん早期発見システム(Oral Cancer 野...

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/ Title �Oral Cancer Detecting System ICHIKAWA Network�� : Author(s) �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, �; �, Journal �, 113(2): 152-159 URL http://hdl.handle.net/10130/3051 Right

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,

Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

市川市口腔がん早期発見システム(Oral Cancer

Detecting System ICHIKAWA Network)の現状 : 千葉県

市川市地域連携開業歯科医院との関係

Author(s)

野口, 沙希; 田中, 陽一; 岸田, 剛; 長谷川, 勝; 宜保,

一夫; 才藤, 純一; 鈴木, 大貴; 金, 美良; 栗原, 絹枝;

吉田, 佳史; 伊川, 裕明; 市島, 丈裕; 齋藤, 寛一; 山

科, 光正; 齊藤, 朋愛; 吉田, 恭子; 別所, 央城; 佐藤,

一道; 山内, 智博; 蔵本, 千夏; 外木, 守雄; 片倉, 朗;

山根, 源之

Journal 歯科学報, 113(2): 152-159

URL http://hdl.handle.net/10130/3051

Right

抄録:我々は2007年より開業歯科医院の日常診療において,口腔がんを早期に発見することを目的とした口腔がん早期発見システムを歯科医師会と協力して構築した。本システムでは,スクリーニングの手段として液状化検体細胞診(ThinPrepⓇ)を利用しており,現在までに5例の口腔がん患者が発見された。症例はすべて65歳以上で,高齢者の口腔がん患者が開業歯科医院を訪れる機会は今後さらに増えると考える。全身管理の進歩に伴い,高齢者に対しても比較的

安全に外科治療を行えるようになってきたが,治療の肉体・精神的な負担軽減の上でも早期発見は重要である。このため,簡便かつ非侵襲的な細胞診を用いた本システムは,開業歯科医院での口腔がんスクリーニングに有用であり,日本の口腔がん患者の早期発見に大いに寄与すると考える。

今回我々は,本システムで発見された症例を再検討し,細胞診の重要性を再認識するとともに,システムに関する評価を行ったので報告する。

緒 言

日本における口腔がんは,正確な全国調査は実施されていないが,1975年には2,100人,2005年には6,900人,2015年には7,800人になると予想されており,これは全悪性腫瘍の約1~2%,全頭頸部悪性腫瘍の約40%を占めるといわれている1,2)。超高齢社会を迎えたわが国では,悪性腫瘍患者数は増加しており,口腔がんにおいても男女ともに年々増加傾向を示している。施設によって差はあるが,StageⅠの5年生存率は90%前後との報告が多い3-5)。高齢者においても早期発見がその予後に影響するのは同様である6-9)。

千葉県市川市では,1998年より㈳市川市歯科医師会,東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座(診療科は東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科),東京歯科大学口腔がんセンターが共同で口腔がんの集団検診を行ってきた。本検診での口腔がんの発見率は約0.2%であるが,集団検診は市民への口腔がんの有効な啓発活動となっている10,11)。しかしながら,この集団検診は年に1回しか行われないこと,意識の高い集団のみが受診すること,1回に200人と十分な受診率を確保できないという

臨床報告

市川市口腔がん早期発見システム(Oral Cancer Detecting System ICHIKAWA Network)の現状

―千葉県市川市地域連携開業歯科医院との関係―

野口沙希1) 田中陽一2) 岸田 剛3) 長谷川 勝3)

宜保一夫2) 才藤純一2) 鈴木大貴1) 金 美良1)

栗原絹枝1) 吉田佳史1) 伊川裕明1) 市島丈裕1)

齋藤寛一1) 山科光正1) 齊藤朋愛1) 吉田恭子1)

別所央城4) 佐藤一道4) 山内智博4) 蔵本千夏1)3)

外木守雄5) 片倉 朗1)4) 山根源之6)

キーワード:口腔がん,細胞診,早期発見1)東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座2)東京歯科大学市川総合病院臨床検査科病理3)社団法人 市川市歯科医師会4)東京歯科大学口腔がんセンター5)日本大学歯学部口腔外科教室第一講座6)東京歯科大学名誉教授(2012年10月1日受付)(2012年11月27日受理)別刷請求先:〒272‐8513 千葉県市川市菅野5-11-13

東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座野口沙希

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問題点がある。これを解決するために我々は,2007年より市川市口腔がん早期発見システム(Oral Can-cer Detecting System ICHIKAWA Network,以下OCDSIN)の活動を開始した。このシステムは,日常的に効率的な口腔がんの早期発見システムとなり得ると考えられ,現在までにその概要の報告を行ってきた12,13)。今回,OCDSIN で発見された症例を提示し,検診方法の問題点を検証した。

方 法

OCDSIN は,日常の歯科診療において歯科医師が口腔粘膜疾患にも目を向け,口腔がんを早期のうちに発見することを目的としている。直視直達が容易な口腔は,口腔粘膜全体を日常臨床の場で診察可能であり,一般歯科診療所こそが早期発見の現場と考え,構築したシステムである。

図2 OCDSIN 被検診者の性差・年齢分布

図1 OCDSIN の流れ

歯科学報 Vol.113,No.2(2013) 153

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当初は10名の開業歯科医師の有志から開始し,口腔粘膜疾患への知識と意識の向上を目的に,月に一度の勉強会を行い,現在は約100名が参加するまでとなった。システムの流れを図1に示す。OCDSINでは,歯科診療所の日常診療の中で口腔内を診察し,この際に何らかの粘膜病変があった場合,補助的な診断手段として液状化検体細胞診(ThinPrepⓇ,OLYMPUS)を利用している。液状化検体細胞診は施行者による差の出ない良好な標本作成を可能とする14,15)。一方で,肉眼的に強く悪性病変を疑う疾患に対しては細胞診を経ず,速やかに二次医療機関へ紹介することとし,1週間以上の経過観察で病変に変化がない場合にも,積極的に二次医療機関へ紹介することを原則とした。また,細胞診で classⅢ以上の診断がつかない際でも,病理学的に細胞の角化異常などの異型を認める場合には,診断を行う口腔病理医から開業歯科医院へ患者の早期二次医療機関受診を勧めた。

今回われわれは,2007年7月から2012年3月までに OCDSIN で検診を行った患者について,性別,年齢,検診結果についての調査を行った。

結 果

1)被検診者の分布2007年7月から2012年3月までに OCDSIN で検

診した患者数は350例であった。350例の性差・年齢の内訳は,60歳代が91例(26.0%)と最も多く,次いで70歳代が75例(21.4%)で,50歳代52例(14.9%),

80歳代39例(11.1%)であった(図2)。350例のうち Papanicolaou Class 別分類の内訳は,

ClassⅠが241例(68.9%),ClassⅡが91例(26.0%),ClassⅢが10例(2.8%),ClassⅣが1例(0.3%),ClassⅤが2例(0.6%),検体不適が5例(1.4%)であった(図3)。

細胞診の結果あるいは臨床所見から,当科にて精査を行い,最終的に口腔がんの診断に至った症例は5例であった。この5例は,各歯科診療所において細胞診が施行されており,その結果は ClassⅡが3例,ClassⅤが2例であった。以下,その症例を提示する。2)症 例【症例1】患者:73歳,男性。主訴:右側舌縁部腫瘤の精査。既往歴:特記事項なし。現病歴:2008年7月頃より舌の違和感を自覚。同年10月上旬頃,疼痛出現し10月9日かかりつけ歯科医院を受診。腫瘤周囲に発赤認め,易出血性であったため細胞診を施行し,精査が必要と判断され10月16日東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科受診。細胞診結果:classⅤ口腔内所見:右側舌縁部に10×10mm の周囲硬結および疼痛伴わない有茎性腫瘤を認める。臨床診断:右側舌扁平上皮癌(T2N0M0:StageⅡ)治療:当科初診時に行った細胞診にて classⅤの診

図3 OCDSIN 被検診者の Papanicolaou Class 別分類

野口,他:市川市口腔がん早期発見システムの現状154

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断を得,他院にて放射線治療を施行。転帰:他院にて経過観察行っているが,現在局所経過は良好である。【症例2】患者:94歳,女性。主訴:舌腫瘍の精査。既往歴:右側股関節人工骨頭置換術,高血圧症,慢性腎不全,狭心症,左側膝関節人工骨頭置換術。現病歴:2009年7月初旬頃より右側舌縁に違和感自覚。下顎義歯不適合を自覚し,2009年7月27日かかりつけ歯科医院を受診。右側舌縁に易出血性・膨隆性の潰瘍を認め細胞診施行,病変の拡大認めたため,9月18日東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科受診。細胞診結果:classⅡ口腔内所見:左側舌縁から口底にかけφ15×20mmの辺縁不明瞭で周囲硬結のある易出血性の潰瘍を認めた。舌運動障害認めた(図4)。臨床診断:右側舌扁平上皮癌(T4aN2cM0:StageⅣA)治療:生検にて扁平上皮癌と診断。2009年11月より当院にて放射線治療を施行。転帰:腫瘍非制御となり2010年6月11日死亡。【症例3】患者:81歳,女性。主訴:左側頬粘膜悪性腫瘍の疑い。既往歴:高血圧症,卵巣嚢腫,変形性膝関節症。現病歴:2009年10月下旬頃より左側頬粘膜に潰瘍出現し,かかりつけ歯科医院にて細胞診施行し,11月16日東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科受診。

細胞診結果:classⅤ口腔内所見:左側頬粘膜後方にφ12×18mm の易出血性,接触痛・周囲硬結認める潰瘍認めた。前方にφ6×6mm の易出血性,接触痛著明な潰瘍認めた

(図5)。臨床診断:左側頬粘膜扁平上皮癌(T2N0M0:StageⅡ)治療:生検にて扁平上皮癌と診断。術前化学療法を経て,全身麻酔下に腫瘍切除術を施行。転帰:現在,再発・転移の所見なく経過は良好である。【症例4】患者:80歳,女性。主訴:左側舌縁腫瘤の精査。既往歴:大腸がん,寒冷蕁麻疹。現病歴:2007年頃より左側舌縁部に腫瘤を自覚。大きさに変化ないものの接触痛を認め,左側舌側歯肉の腫脹が改善しないため,2009年12月精査目的にかかりつけ歯科医院を受診。細胞診施行し,病変に改善ないため2010年1月13日東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科受診。細胞診結果:classⅡ口腔内所見:左側舌縁部にφ10×15mmの易出血性,周囲硬結および接触痛伴う潰瘍を認め,口底側まで疼痛を認めた(図6)。臨床診断:左側舌扁平上皮癌(T3N0M0:StageⅢ)治療:生検にて扁平上皮癌と診断。全身麻酔下に腫瘍切除術を施行し,術後2年経過の時点で腫瘍再発を認め,放射線療法施行。

図4 症例2初診時口腔内写真 図5 症例3初診時口腔内写真

歯科学報 Vol.113,No.2(2013) 155

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転帰:現在,再発・転移なく経過は良好である。【症例5】患者:68歳,男性。主訴:舌の精査。既往歴:特記事項なし。現病歴:2010年9月より口腔内の違和感を認め,かかりつけ歯科医院にて細胞診施行,違和感に改善ないため2011年1月14日東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科受診。細胞診結果:classⅡ口腔内所見:左側舌縁部にφ10mm大の表面顆粒状,周囲硬結軽度に伴う無痛性の潰瘍認めた。舌運動障害認めない。臨床診断:右側舌扁平上皮癌(T1N0M0:StageⅠ)治療:当院施行の細胞診にて classⅤの診断を得,他院にて全身麻酔下に腫瘍切除術を施行。転帰:他院にて経過観察行っているが,現在局所経過は良好である。

考 察

今回報告を行ったすべての症例が65歳以上の高齢者であったが,今後,高齢社会の進展に伴い,高齢口腔がん患者が開業歯科医院を訪れる機会はますます増えると考えられる。治療に際し,患者に多大な肉体的および精神的負担をかけるがん治療は,高齢患者の身体・精神的特徴を考慮した対応が必要になる16,17)。

各種悪性腫瘍に対する加療に伴う機能障害や全身的な予備力の低下を考慮して,積極的な治療を行わずに生活する高齢がん患者も少なくない。しかし,

口腔がんは摂食嚥下,会話,呼吸機能,審美性の質に大きな影響を及ぼすため,他の臓器のがんとは異なった治療意義が存在する。我々も,他臓器の悪性腫瘍に対しては未治療を選択していた超高齢者が,併発した口腔がんに対しては積極的に治療を希望した症例を経験している17)。これまで,外科的治療の適応が困難と判断された高齢者に対しても,全身管理の進歩に伴い安全に外科治療が適応できる機会が増え,余命と治療後の QOL への配慮が治療方針決定の上で重要となってきている。また,高齢者も根治治療を行うことで,若壮年者と同様な治療効果が得られることも知られているため6-9),高齢者においても早期発見は重要である。

当院の口腔扁平上皮癌症例における初診時の細胞診結果は,約10%が Papanicolaou classification のClassⅠないしⅡと陰性の結果であり18),今回の5例に関しても,うち3例が ClassⅡの結果であった。このことは,口腔粘膜疾患に対する研鑽と細胞診に関する知識および技能の習得が重要であり,月に1度の OCDSIN の研修会は重要な意義をもつことを意味している。しかしながら,前述のように細胞診は最終診断の一手段ではなく,血液検査と同様にスクリーニング検査であるという認識が必要であり,病理サイドの診断能力の向上や臨床サイドの細胞採取テクニックの向上が今後の課題となる。

開業歯科医院の診察の場は,口腔内を見るために最も適した場であり,歯科治療を受ける機会こそが口腔がんのスクリーニングにつながると考える。OCDSIN のように,開業歯科医院で細胞診を行うことは,その簡便性,非侵襲性からも非常に有用性が高いと考えられる19,20)。その一方で組織診は,専門的な技術を要するだけではなく,腫瘍組織に対する侵襲性も高く,その増大を招く可能性があり,早期の症例では採取部位の選択は特に重要となる。このため,開業歯科医院では行わず二次医療機関に託すことが良いと考える21,22)。

細胞診は,病変全体から細胞を採取可能で,何度も行えることが組織診と比較して有意な点と考える。しかしながら,細胞診は最終診断ではなく,あくまでスクリーニング方法である。このため OC-DSIN では,「明らかに悪性病変を疑う症例」は細胞診を行わず二次医療機関へ紹介することを原則と

図6 症例4初診時口腔内写真

野口,他:市川市口腔がん早期発見システムの現状156

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している。また細胞診を行い陰性であっても「病変に変化のない症例」は二次医療機関へ紹介することとしている。

OCDSIN は開業歯科医院に通院可能な患者に対する診察および検査が基本となっている。しかしながら,OCDSIN の症例の年齢分布は,60歳代をピークに70~80歳代に傾いた分布となっており,今回発見された5例に関しても65歳以上の高齢者であったため,自身では通院困難となり,在宅歯科診療中に発見された口腔がん症例への対応が今後の課題と考えている。将来的には,訪問診療や在宅診療の需要はますます増えると思われるが,その歯科診療の際にも,歯科医師が積極的に口腔粘膜に目を向ける意識を持つことが重要である。在宅での高齢者がいよいよ食事を摂れなくなり,ようやく介護者が口腔内に充満する腫瘍に気づくという症例を時に経験することがある。介護者への口腔がんに対する啓発活動も充実させる一方で,訪問診療や在宅診療における定期的な粘膜疾患検診の介入は今後の重要課題である。この際に,発見された口腔がん症例に対する治療介入,または治療困難症例への対応は,より充実した地域医療連携が必要となり,さらなるシステムの確立が必要と考えている。

また,2007年からの約5年間の症例の内訳は図2に示す通りで,60歳以上の症例が約60%を占めており,高齢者の開業歯科医院受診機会が多いことがわかる。さらに,今回発見された5例が65歳以上の高齢者でることからも,通院可能な患者だけではなく,訪問診療や在宅診療が必要となった高齢患者の口腔粘膜に目を向けることは非常に意義深く,本システムの今後の発展に大いに寄与すると考えられる。

口腔がんをはじめとした口腔粘膜疾患は,卒前の学生教育においても充実したカリキュラムが組まれ,学ぶ機会は多いものの,日常の臨床でその知識を活かすには継続的な研修が必要である。開業歯科医院の日常臨床の場が,口腔がん早期発見に適していることは言うまでもないが23,24),う蝕,歯周病,欠損補綴などの硬組織を中心とした日常診療から,口腔粘膜という軟組織へ目を向けるきっかけと,口腔粘膜疾患に対する知識の再認識を得られるという点が OCDSIN の勉強会が持つもう一つの重要な意義であると考える。

口腔がんは,生活の質の点からも早期発見・早期治療が治療後の QOL に大きく関与する。国民が個々にかかりつけ歯科を持ち,定期的に口腔内の診察を受けることは,最も効率的な口腔がん早期発見の方策である。また,その第一線にいる歯科診療所の歯科医師自身が口腔がんの発見者になるという意識を高めるための啓発活動として,今後,本システムの概念が他の地域歯科医療の現場においても普及していくことが期待される。

結 語

今回われわれは市川市における口腔がん早期発見システム(OCDSIN)で発見された口腔がん症例を再検討し,その活動が「開業歯科医院の口腔粘膜を診る意識の向上」につながり,さらには口腔がん発見の一助となったことが明らかになったので報告した。

本論文の要旨は,第66回日本口腔科学会学術大会(2012年5月18日,広島)において発表した。

文 献1)平成13年人口動態統計の年間推計:厚生労働省人口動態・保健統計課発行,2001.

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4)谷口佳孝,占部一彦,平岡慎一郎,北村龍二:関西労災病院口腔外科における口腔粘膜扁平上皮癌症例の臨床統計的検討.大阪大学歯学雑誌,53:83~91,2009.

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6)岩渕博史,高森康次,朝波惣一郎,内山公男,田中陽一:65歳以上高齢者口腔癌患者の臨床的検討.頭頸部腫瘍,26:70~73,2000.

7)姉川絵美子,古賀 真,津山治己,岩本 修,古賀千尋,楠川仁悟:85歳以上口腔扁平上皮癌症例の臨床的検討.口腔腫瘍,19:125~131,2007.

8)田村芳寛,平野 茂,安里 亮,田中信三,伊藤壽一:当科における高齢者頭頸部扁平上皮癌症例.頭頸部癌,34:75~79,2008.

9)鈴木幹男,又吉 宣,長谷川昌宏,新濱明彦,平川仁,喜友名朝則:80歳以上の高齢者頭頸部癌症例の検討.頭頸部癌,34:594~599,2008.

10)片倉 朗,藥師寺 孝,山内智博,髙野伸夫,柴原孝彦,山根源之,佐藤一道,田中陽一,松久保 隆,井上

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孝,石井拓男,浅野薫之:口腔がん・口腔粘膜疾患検診の普及とその標準化の構築.日歯医学会誌,30:45~49,2011.

11)佐藤一道,田中陽一:口腔がんを早期に発見するために.日本歯科医師会雑誌,63:584~593,579,2010.

12)佐藤一道,田中陽一,竜崎崇仁,山内智博,片倉 朗,宜保一夫,才藤純一,伊川裕明,市島丈裕,齋藤寛一,山科光正,野口沙希,齊藤朋愛,吉田恭子,渡邊伸也,蔵本千夏,外木守雄,山根源之:千葉県市川市における口腔がん早期発見システム構築の試み.歯科学報,109:165~170,2009.

13)田中陽一:地域網羅的口腔がん早期発見システム(OralCancer Detection System Ichikawa Network : OCDSIN)構築のための戦略的研究.日歯医学会誌,29:32~36,2010.

14)佐藤一道,山根源之,田中陽一:微小検体の取り扱いについて Liquid Based Cytology の有用性と問題点.口腔腫瘍,19:195~200,2007.

15)才藤純一,田中陽一,宜保一夫,福田雅美,佐藤一道,山根源之:液状検体を使った口腔がん検診の新しい試み.検査と技術,37:679~682,2009.

16)奈良夏樹,関 智行,斉藤美香,石山直欣,平野浩彦,山口雅庸,沢辺元司:同時性重複癌(食道癌,歯肉癌,急性骨髄性白血病)の一例.老年歯学,23:126~131,2008.

17)伊川裕明,佐藤一道,齋藤寛一,會田貴久,内田 淳,渡邊 裕,外木守雄,神山 勲,山内智博,片倉 朗,田中陽一,山根源之:他臓器に未治療癌を有した高齢者に生じた口腔癌にたいする治療経験.老年歯学,25:322~326,2010.

18)吉田佳史,田中陽一,佐藤一道,神山 勲,山内智博,

外木守雄,片倉 朗,山根源之:口腔扁平上皮癌の擦過細胞診に関する検討.日臨細胞誌,投稿中.

19)佐藤一道,田中陽一,翠川鎮生,石井広志,竜崎崇仁,山内智博,片倉 朗,福田雅美,宜保一夫,才藤純一,吉田佳史,山村恵子,大野啓介,伊川裕明,市島丈裕,齋藤寛一,河地 誉,山科光正,野口沙希,齊藤朋愛,吉田恭子,蔵本千夏,外木守雄,高野伸夫,柴原孝彦,山根源之:市川市口腔がん早期発見システム(Oral Cancer De-tecting System ICHIKAWA Network)の現状について.千葉県歯科医学会誌,3:96~99,2010.

20)Catherine F. Poh, P. Michele Williams, Lewei Zhang,Miriam P. Rosin : Heads Up!-A Call for Dentists toScreen for Oral Cancer. J Can Dent Assoc,72:413~416,2006.

21)田中陽一:口腔がんを早期に発見するために 歯科における地域連携と“病理の役割”.歯科学報,112:22~31,2012.

22)柴原孝彦:専門医・他科・専門機関と連携するためのかかりつけ歯科医に必要な知識 GP に身につけてほしい口腔癌を疑う“目”.The Quintessence,29:158~161,2010.

23)指出 豊,泉 祐幸,天笠光雄:開業歯科医師における口腔癌早期発見への取り組み.日歯福祉誌,10:6~11,2005.

24)Jon D. Holmes, Eric J. Dierks, Louis D. Homer, BryceE. Potter : Is Detecting of Oral and OropharyngealSquamous Canser by a Dental Health Care ProviderAssociated With a Lower Stage at Diagnosis? J OralMaxillofacial Surg,61:285~291,2003.

野口,他:市川市口腔がん早期発見システムの現状158

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Oral Cancer Detecting System ICHIKAWA Network :Cooperation with regional dental clinics in Ichikawa City, Chiba Prefecture

Sunaki NOGUCHI1),Yoichi TANAKA2),Tsuyoshi KISHIDA3)

Masaru HASEGAWA3),Kazuo GIBO2),Junichi SAITO2)

Taiki SUZUKI1),Mira KIN1),Kinue KURIHARA1)

Yoshifumi YOSHIDA1),Hiroaki IKAWA1),Takehiro ICHIJIMA1)

Hirokazu SAITO1),Mitsumasa YAMASHINA1),Tomoyoshi SAITO1)

Kyoko YOSHIDA1),Hiroki BESSHO4),Kazumichi SATO4)

Tomohiro YAMAUCHI4),Chika KURAMOTO1)3),Morio TONOGI5)

Akira KATAKURA1)4),Gen-yuki YAMANE6)

1)Department of Oral Medicine, Oral and Maxillofacial Surgery, Tokyo Dental College2)Division of Clinical Laboratory, Ichikawa General Hospital, Tokyo Dental College3)Ichikawa Dental Association4)Oral Cancer Center, Tokyo Dental College5)1st Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Nihon University School of Dentistry6)Professor Emeritus of Tokyo Dental College

Key words : oral cancer, cytology, early detecting system

In 2007,we established an early detection system in cooperation with a dental association to enableearly detection of oral cancer in routine care at dental clinics. Screening is performed using liquid-basedcytology(ThinPrepⓇ,OLYMPUS),and oral cancer has thus far been detected in 5 patients,all of whomwere aged over 65 years. The number of elderly patients with oral cancer visiting dental clinics is ex-pected to increase in the future.

With advances in systemic management,surgery has become a relatively safe treatment option,evenin the elderly. However,early detection remains important from a number of perspectives,of includ-ing alleviating the physical and mental burden of treatment. The present system,which uses a simpleand non-invasive cytological technique,has proved useful in oral cancer screening at dental clinics and isexpected to contribute greatly to early detection of this desease in Japan.

We herein reviewed patients in whom oral cancer was detected using the present system and evalu-ated the system while reaffirming the importance of cytology.(The Shikwa Gakuho,113:152~159,2013)

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