高分子化学の新領域開拓に向けて、 糖鎖工学の可能性を追究...

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・・・ 主な 研究テーマ 新しい重合反応の開発 新しい高分子反応の開発 環境に優しい配糖化技術の開発 有用酵素触媒の探索と改変 新しいグライコマテリアルの合成と機能評価 1972年、東京学芸大学付属高等学校卒業。 1981年、東京大学大学院理学系研究科博士 課程修了。1991年、東北大学工学部助教授。 1999年より現職。「昔から化学が好きで、中学 校では理科クラブに所属。写真の自由研究では 銀を使って現像したりしましたね」。研究室のス ローガンは『オリジナリティー』『常日頃の実験 の中から生まれる“生きた知恵”』『観察力と想 像力』そして『いつも元気で実験!』。 工学研究科 バイオ工学専攻 教授 理学博士 田 晋一郎 SHIN-ICHIRO SHODA ラスチック、合成繊維、ゴムな どの高分子製品は、人々の生活 を支える重要な材料のひとつとして、ま すますその重要性を増しています。高 分子化学には、高分子物性と高分子合 成という大きな柱がありますが、私たち は高分子の物性を重合化学と結びつけ、 重合場における高次構造制御を目指し ながら高分子化学の新領域を開拓した いと考えています。 このような研究はこれまで皆無ですので、それを推進していくためには新しい道具が必要不可欠 ですが、現在、クローズアップされている環境問題を考慮し、環境にも優しい道具を世界に先駆けて 持つことが、未踏領域の開拓を可能にします。私たちはこれまでも、生体触媒を使って糖鎖高分子 材料を生み出す新しい技術を次々と見出し、セルロース、キチン、キシランなど多糖骨格をフラスコ の中で伸長させ、結晶化させる新しい方法論を発表し世界の多くの科学者の注目を集めてきました。 また、これからの高分子化学にとって大切な分野である“ 糖鎖工学 ” では、糖鎖が関連する疾患の 解析、診断、治療の実現化に向けた糖鎖チップなど、ものづくりにも注力しています。同様に、糖化 学における重要な合成ツールの酵素を用いる基盤技術の開発もテーマとして、生物の持つ精緻な機 能を工学の立場で捉え、人類に役立つ技術に発展させ、広い視野から人の健康と安全に貢献するこ とを目標にしています。 私たちの研究室は実験ありきです。誰も取り組んでいない分野だからこそ、最初から答えはあり ませんが、実験すれば必ず発見があり、それは世界中で自分しか知らない知識となります。ぜひ、そ の魅力を味わってほしいと思います。 バイオ工学専攻 生体分子化学講座 機能高分子化学分野 (正田研究室) 高分子化学の新領域開拓に向けて、 糖鎖工学の可能性を追究しています。 繊維化学 生化学 酸素化学 食品化学 有機化学 高分子化学 材料化学 医化学 免疫学 糖鎖工学 高分子化学、材料化学に適応可能な新規基盤技術

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  • 研 究 室 で は ・ ・ ・

    バ イ オ 工 学 専 攻

    主 な 研 究 テ ー マ●新しい重合反応の開発 ●新しい高分子反応の開発 ●環境に優しい配糖化技術の開発 ●有用酵素触媒の探索と改変 ●新しいグライコマテリアルの合成と機能評価

    1972年、東京学芸大学付属高等学校卒業。1981年、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。1991年、東北大学工学部助教授。1999年より現職。「昔から化学が好きで、中学校では理科クラブに所属。写真の自由研究では銀を使って現像したりしましたね」。研究室のスローガンは『オリジナリティー』『常日頃の実験の中から生まれる“生きた知恵”』『観察力と想像力』そして『いつも元気で実験!』。

    工学研究科バイオ工学専攻 教授理学博士

    正田 晋一郎 SHIN-ICHIRO SHODA

    プ ラスチック、合成繊維、ゴムなどの高分子製品は、人々の生活を支える重要な材料のひとつとして、ま

    すますその重要性を増しています。高

    分子化学には、高分子物性と高分子合

    成という大きな柱がありますが、私たち

    は高分子の物性を重合化学と結びつけ、

    重合場における高次構造制御を目指し

    ながら高分子化学の新領域を開拓した

    いと考えています。

     このような研究はこれまで皆無ですので、それを推進していくためには新しい道具が必要不可欠

    ですが、現在、クローズアップされている環境問題を考慮し、環境にも優しい道具を世界に先駆けて

    持つことが、未踏領域の開拓を可能にします。私たちはこれまでも、生体触媒を使って糖鎖高分子

    材料を生み出す新しい技術を次々と見出し、セルロース、キチン、キシランなど多糖骨格をフラスコ

    の中で伸長させ、結晶化させる新しい方法論を発表し世界の多くの科学者の注目を集めてきました。

     また、これからの高分子化学にとって大切な分野である“糖鎖工学”では、糖鎖が関連する疾患の

    解析、診断、治療の実現化に向けた糖鎖チップなど、ものづくりにも注力しています。同様に、糖化

    学における重要な合成ツールの酵素を用いる基盤技術の開発もテーマとして、生物の持つ精緻な機

    能を工学の立場で捉え、人類に役立つ技術に発展させ、広い視野から人の健康と安全に貢献するこ

    とを目標にしています。

     私たちの研究室は実験ありきです。誰も取り組んでいない分野だからこそ、最初から答えはあり

    ませんが、実験すれば必ず発見があり、それは世界中で自分しか知らない知識となります。ぜひ、そ

    の魅力を味わってほしいと思います。

    バイオ工学専攻 生体分子化学講座 機能高分子化学分野(正田研究室)

    高分子化学の新領域開拓に向けて、 糖鎖工学の可能性を追究しています。

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