遺伝子に傷が付き、異常な細胞ができる 血管などに入り込み ...2018/03/08...

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Page 1: 遺伝子に傷が付き、異常な細胞ができる 血管などに入り込み ...2018/03/08  · 42 21『がん』ってどんな病気? がん細胞はブレーキがきかない

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『がん』ってどんな病気?21がん細胞はブレーキがきかない

 がん細胞は、遺伝子に傷がついて分裂が止まらなくなった細胞です。がん細胞が増えて、体の正常な機能の邪魔をするようになると病気としてのがんになります。病気が進むと、体のほかの場所に広がって、命を失うこともあります。 がんは2人に1人がかかる病気で、誰もがかかる可能性があります。また、年齢が高くなるほどがんにかかる可能性が高くなります。

がんの発生の多くは生活習慣と感染に関係 がんの発生の多くは普段の生活が関係しています。単一の原因としてはたばこがよく知られています。また、菌やウイルスの感染もがんの原因となります。たとえば、ピロリ菌は胃がんに、肝炎ウイルスは肝臓がんに、ヒトパピローマウイルスは子宮頸がんに関わることが知られています。ただし、がんという病気そのものは、人から人に感染するわけではありません。遺伝するがんもありますが、全体の5%程度といわれています。

主ながんの種類

がん発生に占める割合

19.5

0.6

20.6

6.31.6 1.1 0.7 0.6 0.40

510152025(%)

能動喫煙

受動喫煙

感染(菌やウィルス)

飲酒

食塩

肥満・過体重

果物不足

野菜不足

運動不足

出典:国立がん研究センターがん予防・検診研究センター(2011年)

正常な状態

遺伝子に傷が付き、異常な細胞ができる

異常な細胞が増殖する(がん化)

異常な細胞がかたまりになる(腫瘍形成)、周囲に広がりやすくなる

血管などに入り込み、全身に広がる(転移浸潤)

15歳の日本人が『がん』になる確率

0

20

40

60

80

100(%)

20歳まで

30歳まで

40歳まで

50歳まで

60歳まで

70歳まで

80歳まで

一生では

男性

女性

出典:国立がん研究センターがん対策情報センター(2012年)

一生では男性の63%、女性の47%⇒2人に1人

脳腫瘍

乳がん 胃がん

肝臓がん 膵臓がん

胆嚢がん 大腸がん

腎臓がん 卵巣がん

膀胱がん

子宮頸がん子宮体がん

甲状腺がん

肺がん

白血病

男性特有のがん 女性特有のがん

前立腺がん

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21若い世代のがんは、乳がんと子宮がんが多い

 日本人の3大がんは、胃がん、大腸がん、肺がんです。これらのがんは、食事(減塩)、運動、禁煙などの生活習慣の改善である程度予防が可能です。一方で、15〜39歳のがんでは、女性の乳がんと子宮がんが約4割を占めています。乳がんと子宮頸がんは、がん検診で死亡率を減らすことができます。その際、検診に行きやすくするなどパートナーの配慮も大切です。

がん全体では早期のがんは9割治る

 がんの6割は治るといわれています。しかも、進行しないうち(早期)に見つかったがんは9割治ることがわかっています。「5年相対生存率」とは、あるがんと診断された場合に、治療でどれくらい生命を救えるかを示す指標です。 がんには色々な治療法があります。手術療法、放射線療法、化学療法などです。最近では、治療効果をよりあげるために、複数の治療法を組み合わせることも多くなっています(例:化学療法でがんを小さくしてから手術)。がんといってもいろいろ。もしがんにかかった場合には、主治医や医療関係者とよく話し合うことが重要です。

がん発生率の内訳

がん

0 2010 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

胃 大腸 肺 前立腺 乳房(女性) 肝臓 膵臓 子宮 悪性リンパ腫 その他

15.5% 14.7% 13.1% 9.3% 8.5% 5.2% 3.9%

3.1% 2.9%

23.8%

0 2010 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

胃 白血病大腸乳房(女性) 子宮 甲状腺 卵巣悪性リンパ腫 その他脳・中枢神経系

19.9% 16.5% 9.7% 7.7% 5.6% 6.1% 4.2%5.5%

2.7%

22.1%

全体うち早期がん

0

20

40

60

80

100

5年相対生存率

がん全体

胃がん

大腸がん

肝臓がん

肺がん

乳がん(女性)

子宮がん

出典:国立がん研究センターがん対策情報センター(2010年)

出典:国立がん研究センターがん対策情報センター(2003-2005年診断例)

全年齢

15〜39歳

がんを早期発見する方法=がん検診 がんは、早期であればあるほど治せる確率が高いのですが、体の中にがんができても最初のうちは自覚症状がないことがほとんどです。症状がなくても、がんを早期に発見し治療に結びつける契機になるのががん検診です。

http://ganjoho.jp/public/index.html

がん情報サービス国立がん研究センター 検 索

がんの5年相対生存率 がん治療の三本柱

緩和ケア(病気に伴うからだと心の痛みを

和らげるための支援)

化学療法

手術療法

放射線療法