りそな会報誌3月号 20190218 21 埼玉りそな経済情報2019.3 2 ZOOM UP...

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埼玉そな産業経済振興財団 企画 編集 公益財団法人 March 2019 No.183 3月号 埼玉 そな 経済情報 秩父音頭まつり(皆野町) 彩論 関東経済産業局長 角野 然生 伴走型の中小企業支援 ズームアップ 東都フォルダー工業株式会社 調査① 埼玉県における相続税の現状 調査② 活性化が期待される埼玉県のスポーツ アンケート調査 埼玉県内企業経営動向調査 国内景気の見方は厳しさ増すが、自社の業況は底堅さ続く 県内経済の動き 月次経済指標 タウンスケープ 皆野町 住んでみたいまち 住み続けたいまち ときめきの皆野 市町村経済データ 1 2 5 9 13 17 19 21 裏表紙

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埼玉りそな産業経済振興財団企画編集

公益財団法人

株式会社 埼玉りそな銀行公益財団法人 埼玉りそな産業経済振興財団〒330-0063 さいたま市浦和区高砂2-9-15Tel:048-824-1475 FAX:048-824-7821ホームページアドレス http://www.sarfic.or.jp/

発 行企 画 ・ 編 集

March 2019 No.183 3月号

埼玉りそな経済情報

秩父音頭まつり(皆野町)

彩論 関東経済産業局長 角野 然生 氏 伴走型の中小企業支援

ズームアップ 東都フォルダー工業株式会社調査① 埼玉県における相続税の現状調査② 活性化が期待される埼玉県のスポーツアンケート調査 埼玉県内企業経営動向調査 国内景気の見方は厳しさ増すが、自社の業況は底堅さ続く

県内経済の動き

月次経済指標

タウンスケープ 皆野町 住んでみたいまち 住み続けたいまち ときめきの皆野

市町村経済データ

市町村経済データ

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2019年3月1日発行2019年3月号

小学校数・児童数

資料:埼玉県「学校基本調査」

市町村名 前年差(人)

学校数(校)

さ い た ま 市

川 越 市

熊 谷 市

川 口 市

行 田 市

秩 父 市

所 沢 市

飯 能 市

加 須 市

本 庄 市

東 松 山 市

春 日 部 市

狭 山 市

羽 生 市

鴻 巣 市

深 谷 市

上 尾 市

草 加 市

越 谷 市

蕨 市

戸 田 市

入 間 市

495

81

▲ 163

96

▲ 17

▲ 91

▲ 19

▲ 3

▲ 101

▲ 18

▲ 23

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▲ 128

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▲ 27

▲ 157

▲ 107

▲ 202

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49

61

▲ 209

107

33

30

52

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13

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16

11

19

19

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21

30

7

12

16

69,948

18,433

9,556

30,221

3,777

2,970

16,748

3,608

5,650

3,861

4,413

10,862

7,135

2,566

5,808

7,456

11,494

12,421

18,019

3,027

8,064

7,301

朝 霞 市

志 木 市

和 光 市

新 座 市

桶 川 市

久 喜 市

北 本 市

八 潮 市

富 士 見 市

三 郷 市

蓮 田 市

坂 戸 市

幸 手 市

鶴 ヶ 島 市

日 高 市

吉 川 市

ふ じ み 野 市

白 岡 市

市 計

伊 奈 町

三 芳 町

毛 呂 山 町

越 生 町

滑 川 町

嵐 山 町

小 川 町

川 島 町

吉 見 町

鳩 山 町

と き が わ 町

横 瀬 町

皆 野 町

長 瀞 町

小 鹿 野 町

東 秩 父 村

美 里 町

神 川 町

上 里 町

寄 居 町

宮 代 町

杉 戸 町

松 伏 町

町 村 計

市 町 村 計

児童数(人) 前年差

(人)

学校数(校)

児童数(人) 前年差

(人)

学校数(校)

児童数(人)市町村名 市町村名

99

47

173

57

10

▲ 81

▲ 121

9

▲ 5

83

▲ 95

▲ 161

▲ 26

▲ 70

▲ 87

▲ 53

74

▲ 2

▲ 765

▲ 123

▲ 35

▲ 61

10

8

9

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23

8

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8

12

9

8

6

8

13

6

732

4

5

4

7,352

3,936

4,338

8,995

3,683

7,217

2,921

4,498

5,683

7,040

2,862

5,319

2,353

3,448

3,040

4,453

6,076

2,582

349,134

2,992

2,108

1,426

▲ 19

13

▲ 24

▲ 29

▲ 41

▲ 17

▲ 24

7

▲ 25

7

3

▲ 21

▲ 11

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▲ 41

▲ 26

7

▲ 79

▲ 53

▲ 591

▲ 1,356

2

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3

6

4

6

3

3

1

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4

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4

6

3

85

817

430

1,186

721

1,122

845

717

430

428

390

468

296

574

79

534

637

1,669

1,425

1,461

2,168

1,523

23,629

372,763

(平成30年5月1日現在)

1

2

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ZOOM UP

埼玉りそな経済情報2019.3

ズ ー ムアップ

「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などのシーツやタオル、浴衣類、コンビニや企業のユニフォーム、飲食店のテーブルクロス類、電車や旅客機のヘッドカバー等各種リネン類を企業に貸与し、使用済みを回収・クリーニングしたあと再度貸し出す事業。東都フォルダー工業株式会社は、リネンサプライ企業向けの作業機械を製造する会社だ。洗濯済みの濡れたリネンを広げ、作業ラインに投入する「フィーダー」。アイロンをかけて乾燥させながらリネン類を折りたたみ、決められた枚数で重ねていく「フォルダー」。浴衣やガウン、バスローブを平たいマネキンボディーにセットしたのち乾燥させて折りたたむ「浴衣フォルダー」「ガウン・バスローブフォルダー」など、多様な機械を製造する。年間生産台数400~500台、国内シェア60%を誇る。「当社の製品はほとんどが受注生産。シーツや浴衣、バスローブ、ユニフォームなど、ホテルや施設によってたたみ方が細かく違いますから、それに応じた仕様で製造しています」(前嶋洋左右社長)規格品をベースに、顧客のニーズに合った製品を設計から製造、完成後の検査まで一貫して生産する

シュに沸いている。リネンサプライの需要も右肩上がりで伸びているが、ここで問題になるのが人手不足だ。「これまでお客さまの作業員の方々の負担や作業量を軽減するために、省人化や自動化に努めてきました。今後は人を介在させることなく、シーツなどのリネン類を作業ラインに投入できる自動化機械の開発などにも挑戦していきます」現在、同社は70前後の特許を持つ。前嶋社長は12

名いる開発設計部に向けて「毎年5件以上の特許を出願するように」と激励の声をかけている。そうした特許を生み出せる開発力こそが、同社の競争力なのだ。「その開発力を磨き上げていけば、当社の伸びしろはこの先もまだまだ十分にあります」数多くの特許を持ち、これまでにも業界を驚かせる

製品をつくり続けてきた同社の技術力をもってすれば、全自動化機械が誕生する日はそう遠くないはずだ。

現在、インバウンドの増加や東京五輪で活気づく建設業界やホテル業界だが、五輪終了後の景況については未だ不透明な部分が多い。「売り上げに占めるメンテナンスの割合は15%前後です。メンテナンスは景気に左右されません。今後、機械の売り上げを伸ばしながら、並行してメンテナンスの比率も上げて太い柱に育てていきたい」そのためにはスキルの高い人員が必要不可決だ。

そこで同社は若手スタッフの教育体制を構築。機械の製造現場で溶接・旋盤・塗装スキルをしっかり身につけたあと、修理・交換、顧客対応ができるメンテナンススタッフへと段階を追って育て上げるシステムだ。現在外国人を含め多くのスタッフが、そうしたステップで技術を身につけている。新たな製品を生み出す開発力と、確かな機械をつ

くる製造力で生まれる同社の作業機械は、今後も日本そして世界のリネンサプライ市場の省人化と高効率化に大きく貢献していくはずだ。

て同社の名前を業界に知らしめた。その後、販売を大手商社に委ねて同社は開発・製造に専念。小型シーツフォルダーやIC制御による高速シーツフォルダーなどを開発していった。昭和62年には約10年の期間を経て、人の手で処

理したように浴衣をたたむ「浴衣フォルダー」を開発。複雑な浴衣のたたみ方を再現して、美しく仕上げることに成功したこの機械は、業界から大きな称賛を得た。こうして市場のニーズをくみ取りながら、リネンやウエア類の「たたむ」技術を蓄積していった。その後、高度成長期、バブル景気の波に乗ってリ

ネンサプライ業がホテルや旅館、病院、飲食店などさまざまな業界に広がるにつれて同社製品の需要も高まり、右肩上がりで業績を伸ばしていった。

しかし、1990年代バブル景気が崩壊。すると、それまで販売を委ねていた大手商社は営業部門の人員縮小を決断。同社は販売のアシストを失ってしまった。「当社はバブル崩壊があっても利益が出ていましたが、販売をお願いしていた大手商社の営業がいなくなったので、昆虫が触角をもがれたように動けなくなってしまいました。それで、営業部隊をつくりました」社長自らセールスのため韓国や台湾にも飛んだ。

停滞する国内市場以外に活路を見出すため、平成11(1999)年ヨーロッパ市場の開拓を決意し、EUの安全基準で製品が製造されていることを示す「CEマーク」を取得。翌年にはドイツのフランクフルト国際クリーニング展示会に出展する。「海外に競合が数多くある中で当社の製品が非常に評判になり、ドイツ企業が数点購入してくれました。それが海外ビジネスの始まりでした」スピーディーで美しく仕上がる同社の製品は、ヨー

ロッパの業界関係者に驚きをもって受け止められた。その後も積極的にイタリアや中国などの展示会に出展し、徐々に世界各地で市場を開拓していく。現在、

シーツやリネン等のしわを伸ばし、たたむ機械を開発して46年。国内シェア60%を誇るニッチトップ企業リネンサプライ企業向けの機械を製造する東都フォルダー工業は、リネンを広げアイロンをかけてたたむ機械など、革新的な作業機械を開発して業界を支えてきた。インバウンドの増加や東京2020オリンピック・パラリンピック目前のホテル建設ラッシュで順調に受注が増えている今、その需要に満足することなく今後も積極的に製品の開発を続け、それと並行してメンテナンス事業を太い柱に育てていく。

東都フォルダー工業株式会社

売り上げに占める輸出の割合は20%。製品はドイツやイタリア、アメリカ、中国、シンガポールなど世界22カ国で使われている。

同社の製品が国内で高いシェアを誇り、多くの取引先から支持されるのは、顧客が求める省人化や高効率化を実現する革新的なものであるからだ。例えば作業者がシーツの真ん中を機械に掛けるだけで、機械が自動的に両端を探し、シーツを伸ばしてラインに投入するフィーダー機「ラピード」。従来シーツの

端を探していた熟練作業員の人員が削減でき、1時間1,300枚を処理できる作業効率を実現した。ユニフォームフォルダー「WFO-JUMP HG」は厚

みのあるツナギから薄手の白衣、ズボン類等、さまざまな形状の衣類をランダムに投入することが可能。機械が自動的にたたみ方を変えて仕上げるため、少量多品種のユニフォームが効率よく処理できる。作業者は機械のハンガーに衣類を掛けるだけなので、作業負担も軽減される優れものだ。「タオル両面検査システム」は、高精度の検査用カ

メラを使ってタオルのシミや汚れ残り、破れ、髪の毛の混入等を高精度で検出することができる。発見しづらいパイル地内部の汚れも見つけることができるため、高品位に仕上がり顧客満足度も高い。「当初、こうしたシステムはオーバースペックではないかと思っていたのですが、発売したら大好評。今は多くのお客さまがこのシステムを必要とされます」そのほか1台でシーツ、ピローケース、ナプキン等

をたためる「シーツ・ピローコンビネーションフォルダー」、航空機内等の膝掛けをたたむ「ブランケットフォルダー」などなど。リネンサプライ業界を縁の下から支える、さまざまな作業機械を開発する。

昨年11月には5年ぶりとなる展示会を群馬県板倉工場で開催し、約30点の機械を出展。3日間でベルギーやカナダ、東南アジアなど海外からの来場者140名を含む800名以上の関係者が訪れた。省人化や作業効率を向上させ、質の高い仕上がりで顧客満足度の高い同社の製品に国内のみならず世界が注目している。

東京五輪を来年に控え、東京近郊はホテル建設ラッ

●代 表 者 代表取締役社長 前嶋 洋左右●創  業 昭和43年●設  立 昭和48年6月●資 本 金 4,500万円●従業員数 150名●事業内容 リネンサプライ用各種フォルダー・フィーダーの開発・製造・販売、プラント設計●所 在 地 〒333-0843 埼玉県川口市前上町32-24 TEL 048-262-2838 FAX 048-262-2788●U R L http://www.totofolder.jp

同社。リネンサプライ工場全体の設計も手がけ、顧客に最適なオンリーワンの提案を行っている。

リネンサプライ業が国内で徐々に広がり始めていた昭和43(1968)年に、同社は創業する。当時は国鉄(現・JR)の変電設備の定期点検を行いながら、中古のアメリカ製リネンサプライ機のメンテナンスを手がけていた。「当時のアメリカ製品は、中古品なのに建売の家が1~2軒買えるほど高額で、サイズも大きいものでした。ネジの規格も日本とは違い、パネルの表示やマニュアルは英語。故障もしやすかった。これだったら、日本の狭い工場に合う機械を自分たちでつくろうと開発を始めました」そして昭和47年、バスタオルやフェイスタオルをた

たんで積み重ねる機能を搭載したタオルフォルダー「T1A」が完成する。高速で美しい仕上がりを実現したコンパクトサイズのT1Aは、クリーニング機械の展示会で注目を浴び、一躍ベストセラー製品となっ

関東経済産業局長 角野 然生氏

伴走型の中小企業支援

様々なスポーツ競技で日本人選手が大活躍しています。選手自身の努力はもちろんですが、陰には監督やコーチを始め関係者のサポートとチームワークがあると思います。同じことが中小企業支援にも言えるのではないでしょうか。私がかつて関わった事例をお話ししたいと思います。ある小売店の経営者が、震災で店を失ったものの、避難生活を始めた人たちのために、近隣に仮設店舗を建て事業を再開しました。ところがこれまでと勝手が違い、毎月赤字が続きました。経営者はどう立て直したらよいか分からず、ついに体を壊してしまったのです。そんな時、復興行政関係の支援チームが経営支援に乗り出しました。支援担当者は店を何度も訪問し、親身に経営者の相談に乗りました。そして従業員と一緒に売り場改善や商品のアイデアを考えていく中、経営者も徐々にやる気を取り戻し、前向きに考えるようになっていったのです。課題一つ一つについて話し合う中で経営者の自信は回復し、半年後には損益分岐点を越え、翌年から毎月黒字を継続できるようになりました。また、ある中堅企業では、事業承継した若い社長が社員との意思疎通に苦労し、社員が辞めたいという事態になりました。そこで、支援チームが社員と個別に面談しながらそれぞれの悩みを共有、更には会社のビジョン策定のプロジェクトを立ち上げ、社長と社員参加のミーティングを議事進行しながら、互いの距離を縮めていきました。結果的には誰も辞めず会社の団結力が高まり、業績も拡大しました。このチームは町役場、商工団体など様々なところと連携していきました。ここには、中小企業支援全般に当てはまる鍵

があると思います。それは「伴走型支援」の有効性です。経営者は事業展開に当たり様々な課題や悩みを抱えていますが、相談できる人がいないとか、家族や社員とうまく行っていない場合があります。この時、第三者が経営者と対話しながら相談に乗るプロセス自体が重要となります。つまり、WHATの前にHOWのコンサルティング(プロセス・コンサルティングと言います)が求められるわけです。行政も、単に「窓口に来て下さい」「補助金があります」ではなく、もう一歩踏み込んで、経営者に寄り添って対話していくことが有効です。また、地域には自治体、商工団体や中小企業支援機関があり、そこの行政担当者、経営指導員、中小企業診断士、大学や研究機関含め様々な専門家の方たちがいます。そして何より地域の金融機関の方々がいます。こうした中小企業支援のエコシステムを構成する関係者みんなが連携し、同じ方向感を持って伴走することが大切です。まさにスポーツ選手を支える人たちのチームワークのようなものです。関東経済産業局としても、その潤滑油役を果たしたいと考えています。官庁も一枚岩になる必要があります。幸いな

ことに、ここ埼玉県には各省庁の出先機関が揃っています。昨年末に、関東財務局と中小企業支援に向けた連携の覚書を結びました。財務局や金融機関と一緒に、地域の事業者支援を丁寧に行っていきたいと思います。人口減少の加速に歯止めをかけるためにも、地域の経済や雇用を支える機能を持つ企業に対して、官民が合同で総力を挙げて取り組んでいかなくてはならないと強く考えています。

「たたむ」技術を追求して蓄積する

代表取締役社長 前嶋 洋左右氏

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ZOOM UP

埼玉りそな経済情報2019.3

ズ ー ムアップ

「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などのシーツやタオル、浴衣類、コンビニや企業のユニフォーム、飲食店のテーブルクロス類、電車や旅客機のヘッドカバー等各種リネン類を企業に貸与し、使用済みを回収・クリーニングしたあと再度貸し出す事業。東都フォルダー工業株式会社は、リネンサプライ企業向けの作業機械を製造する会社だ。洗濯済みの濡れたリネンを広げ、作業ラインに投入する「フィーダー」。アイロンをかけて乾燥させながらリネン類を折りたたみ、決められた枚数で重ねていく「フォルダー」。浴衣やガウン、バスローブを平たいマネキンボディーにセットしたのち乾燥させて折りたたむ「浴衣フォルダー」「ガウン・バスローブフォルダー」など、多様な機械を製造する。年間生産台数400~500台、国内シェア60%を誇る。「当社の製品はほとんどが受注生産。シーツや浴衣、バスローブ、ユニフォームなど、ホテルや施設によってたたみ方が細かく違いますから、それに応じた仕様で製造しています」(前嶋洋左右社長)規格品をベースに、顧客のニーズに合った製品を設計から製造、完成後の検査まで一貫して生産する

シュに沸いている。リネンサプライの需要も右肩上がりで伸びているが、ここで問題になるのが人手不足だ。「これまでお客さまの作業員の方々の負担や作業量を軽減するために、省人化や自動化に努めてきました。今後は人を介在させることなく、シーツなどのリネン類を作業ラインに投入できる自動化機械の開発などにも挑戦していきます」現在、同社は70前後の特許を持つ。前嶋社長は12

名いる開発設計部に向けて「毎年5件以上の特許を出願するように」と激励の声をかけている。そうした特許を生み出せる開発力こそが、同社の競争力なのだ。「その開発力を磨き上げていけば、当社の伸びしろはこの先もまだまだ十分にあります」数多くの特許を持ち、これまでにも業界を驚かせる

製品をつくり続けてきた同社の技術力をもってすれば、全自動化機械が誕生する日はそう遠くないはずだ。

現在、インバウンドの増加や東京五輪で活気づく建設業界やホテル業界だが、五輪終了後の景況については未だ不透明な部分が多い。「売り上げに占めるメンテナンスの割合は15%前後です。メンテナンスは景気に左右されません。今後、機械の売り上げを伸ばしながら、並行してメンテナンスの比率も上げて太い柱に育てていきたい」そのためにはスキルの高い人員が必要不可決だ。

そこで同社は若手スタッフの教育体制を構築。機械の製造現場で溶接・旋盤・塗装スキルをしっかり身につけたあと、修理・交換、顧客対応ができるメンテナンススタッフへと段階を追って育て上げるシステムだ。現在外国人を含め多くのスタッフが、そうしたステップで技術を身につけている。新たな製品を生み出す開発力と、確かな機械をつ

くる製造力で生まれる同社の作業機械は、今後も日本そして世界のリネンサプライ市場の省人化と高効率化に大きく貢献していくはずだ。

て同社の名前を業界に知らしめた。その後、販売を大手商社に委ねて同社は開発・製造に専念。小型シーツフォルダーやIC制御による高速シーツフォルダーなどを開発していった。昭和62年には約10年の期間を経て、人の手で処

理したように浴衣をたたむ「浴衣フォルダー」を開発。複雑な浴衣のたたみ方を再現して、美しく仕上げることに成功したこの機械は、業界から大きな称賛を得た。こうして市場のニーズをくみ取りながら、リネンやウエア類の「たたむ」技術を蓄積していった。その後、高度成長期、バブル景気の波に乗ってリ

ネンサプライ業がホテルや旅館、病院、飲食店などさまざまな業界に広がるにつれて同社製品の需要も高まり、右肩上がりで業績を伸ばしていった。

しかし、1990年代バブル景気が崩壊。すると、それまで販売を委ねていた大手商社は営業部門の人員縮小を決断。同社は販売のアシストを失ってしまった。「当社はバブル崩壊があっても利益が出ていましたが、販売をお願いしていた大手商社の営業がいなくなったので、昆虫が触角をもがれたように動けなくなってしまいました。それで、営業部隊をつくりました」社長自らセールスのため韓国や台湾にも飛んだ。

停滞する国内市場以外に活路を見出すため、平成11(1999)年ヨーロッパ市場の開拓を決意し、EUの安全基準で製品が製造されていることを示す「CEマーク」を取得。翌年にはドイツのフランクフルト国際クリーニング展示会に出展する。「海外に競合が数多くある中で当社の製品が非常に評判になり、ドイツ企業が数点購入してくれました。それが海外ビジネスの始まりでした」スピーディーで美しく仕上がる同社の製品は、ヨー

ロッパの業界関係者に驚きをもって受け止められた。その後も積極的にイタリアや中国などの展示会に出展し、徐々に世界各地で市場を開拓していく。現在、

シーツやリネン等のしわを伸ばし、たたむ機械を開発して46年。国内シェア60%を誇るニッチトップ企業リネンサプライ企業向けの機械を製造する東都フォルダー工業は、リネンを広げアイロンをかけてたたむ機械など、革新的な作業機械を開発して業界を支えてきた。インバウンドの増加や東京2020オリンピック・パラリンピック目前のホテル建設ラッシュで順調に受注が増えている今、その需要に満足することなく今後も積極的に製品の開発を続け、それと並行してメンテナンス事業を太い柱に育てていく。

東都フォルダー工業株式会社

売り上げに占める輸出の割合は20%。製品はドイツやイタリア、アメリカ、中国、シンガポールなど世界22カ国で使われている。

同社の製品が国内で高いシェアを誇り、多くの取引先から支持されるのは、顧客が求める省人化や高効率化を実現する革新的なものであるからだ。例えば作業者がシーツの真ん中を機械に掛けるだけで、機械が自動的に両端を探し、シーツを伸ばしてラインに投入するフィーダー機「ラピード」。従来シーツの

端を探していた熟練作業員の人員が削減でき、1時間1,300枚を処理できる作業効率を実現した。ユニフォームフォルダー「WFO-JUMP HG」は厚

みのあるツナギから薄手の白衣、ズボン類等、さまざまな形状の衣類をランダムに投入することが可能。機械が自動的にたたみ方を変えて仕上げるため、少量多品種のユニフォームが効率よく処理できる。作業者は機械のハンガーに衣類を掛けるだけなので、作業負担も軽減される優れものだ。「タオル両面検査システム」は、高精度の検査用カ

メラを使ってタオルのシミや汚れ残り、破れ、髪の毛の混入等を高精度で検出することができる。発見しづらいパイル地内部の汚れも見つけることができるため、高品位に仕上がり顧客満足度も高い。「当初、こうしたシステムはオーバースペックではないかと思っていたのですが、発売したら大好評。今は多くのお客さまがこのシステムを必要とされます」そのほか1台でシーツ、ピローケース、ナプキン等

をたためる「シーツ・ピローコンビネーションフォルダー」、航空機内等の膝掛けをたたむ「ブランケットフォルダー」などなど。リネンサプライ業界を縁の下から支える、さまざまな作業機械を開発する。

昨年11月には5年ぶりとなる展示会を群馬県板倉工場で開催し、約30点の機械を出展。3日間でベルギーやカナダ、東南アジアなど海外からの来場者140名を含む800名以上の関係者が訪れた。省人化や作業効率を向上させ、質の高い仕上がりで顧客満足度の高い同社の製品に国内のみならず世界が注目している。

東京五輪を来年に控え、東京近郊はホテル建設ラッ

●代 表 者 代表取締役社長 前嶋 洋左右●創  業 昭和43年●設  立 昭和48年6月●資 本 金 4,500万円●従業員数 150名●事業内容 リネンサプライ用各種フォルダー・フィーダーの開発・製造・販売、プラント設計●所 在 地 〒333-0843 埼玉県川口市前上町32-24 TEL 048-262-2838 FAX 048-262-2788●U R L http://www.totofolder.jp

同社。リネンサプライ工場全体の設計も手がけ、顧客に最適なオンリーワンの提案を行っている。

リネンサプライ業が国内で徐々に広がり始めていた昭和43(1968)年に、同社は創業する。当時は国鉄(現・JR)の変電設備の定期点検を行いながら、中古のアメリカ製リネンサプライ機のメンテナンスを手がけていた。「当時のアメリカ製品は、中古品なのに建売の家が1~2軒買えるほど高額で、サイズも大きいものでした。ネジの規格も日本とは違い、パネルの表示やマニュアルは英語。故障もしやすかった。これだったら、日本の狭い工場に合う機械を自分たちでつくろうと開発を始めました」そして昭和47年、バスタオルやフェイスタオルをた

たんで積み重ねる機能を搭載したタオルフォルダー「T1A」が完成する。高速で美しい仕上がりを実現したコンパクトサイズのT1Aは、クリーニング機械の展示会で注目を浴び、一躍ベストセラー製品となっ

関東経済産業局長 角野 然生氏

伴走型の中小企業支援

様々なスポーツ競技で日本人選手が大活躍しています。選手自身の努力はもちろんですが、陰には監督やコーチを始め関係者のサポートとチームワークがあると思います。同じことが中小企業支援にも言えるのではないでしょうか。私がかつて関わった事例をお話ししたいと思います。ある小売店の経営者が、震災で店を失ったものの、避難生活を始めた人たちのために、近隣に仮設店舗を建て事業を再開しました。ところがこれまでと勝手が違い、毎月赤字が続きました。経営者はどう立て直したらよいか分からず、ついに体を壊してしまったのです。そんな時、復興行政関係の支援チームが経営支援に乗り出しました。支援担当者は店を何度も訪問し、親身に経営者の相談に乗りました。そして従業員と一緒に売り場改善や商品のアイデアを考えていく中、経営者も徐々にやる気を取り戻し、前向きに考えるようになっていったのです。課題一つ一つについて話し合う中で経営者の自信は回復し、半年後には損益分岐点を越え、翌年から毎月黒字を継続できるようになりました。また、ある中堅企業では、事業承継した若い社長が社員との意思疎通に苦労し、社員が辞めたいという事態になりました。そこで、支援チームが社員と個別に面談しながらそれぞれの悩みを共有、更には会社のビジョン策定のプロジェクトを立ち上げ、社長と社員参加のミーティングを議事進行しながら、互いの距離を縮めていきました。結果的には誰も辞めず会社の団結力が高まり、業績も拡大しました。このチームは町役場、商工団体など様々なところと連携していきました。ここには、中小企業支援全般に当てはまる鍵

があると思います。それは「伴走型支援」の有効性です。経営者は事業展開に当たり様々な課題や悩みを抱えていますが、相談できる人がいないとか、家族や社員とうまく行っていない場合があります。この時、第三者が経営者と対話しながら相談に乗るプロセス自体が重要となります。つまり、WHATの前にHOWのコンサルティング(プロセス・コンサルティングと言います)が求められるわけです。行政も、単に「窓口に来て下さい」「補助金があります」ではなく、もう一歩踏み込んで、経営者に寄り添って対話していくことが有効です。また、地域には自治体、商工団体や中小企業支援機関があり、そこの行政担当者、経営指導員、中小企業診断士、大学や研究機関含め様々な専門家の方たちがいます。そして何より地域の金融機関の方々がいます。こうした中小企業支援のエコシステムを構成する関係者みんなが連携し、同じ方向感を持って伴走することが大切です。まさにスポーツ選手を支える人たちのチームワークのようなものです。関東経済産業局としても、その潤滑油役を果たしたいと考えています。官庁も一枚岩になる必要があります。幸いな

ことに、ここ埼玉県には各省庁の出先機関が揃っています。昨年末に、関東財務局と中小企業支援に向けた連携の覚書を結びました。財務局や金融機関と一緒に、地域の事業者支援を丁寧に行っていきたいと思います。人口減少の加速に歯止めをかけるためにも、地域の経済や雇用を支える機能を持つ企業に対して、官民が合同で総力を挙げて取り組んでいかなくてはならないと強く考えています。

「たたむ」技術を追求して蓄積する

代表取締役社長 前嶋 洋左右氏

Page 4: りそな会報誌3月号 20190218 21 埼玉りそな経済情報2019.3 2 ZOOM UP 埼玉りそな経済情報2019.3 ズームアップ 「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などの

埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.33 4

「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などのシーツやタオル、浴衣類、コンビニや企業のユニフォーム、飲食店のテーブルクロス類、電車や旅客機のヘッドカバー等各種リネン類を企業に貸与し、使用済みを回収・クリーニングしたあと再度貸し出す事業。東都フォルダー工業株式会社は、リネンサプライ企業向けの作業機械を製造する会社だ。洗濯済みの濡れたリネンを広げ、作業ラインに投入する「フィーダー」。アイロンをかけて乾燥させながらリネン類を折りたたみ、決められた枚数で重ねていく「フォルダー」。浴衣やガウン、バスローブを平たいマネキンボディーにセットしたのち乾燥させて折りたたむ「浴衣フォルダー」「ガウン・バスローブフォルダー」など、多様な機械を製造する。年間生産台数400~500台、国内シェア60%を誇る。「当社の製品はほとんどが受注生産。シーツや浴衣、バスローブ、ユニフォームなど、ホテルや施設によってたたみ方が細かく違いますから、それに応じた仕様で製造しています」(前嶋洋左右社長)規格品をベースに、顧客のニーズに合った製品を設計から製造、完成後の検査まで一貫して生産する

シュに沸いている。リネンサプライの需要も右肩上がりで伸びているが、ここで問題になるのが人手不足だ。「これまでお客さまの作業員の方々の負担や作業量を軽減するために、省人化や自動化に努めてきました。今後は人を介在させることなく、シーツなどのリネン類を作業ラインに投入できる自動化機械の開発などにも挑戦していきます」現在、同社は70前後の特許を持つ。前嶋社長は12名いる開発設計部に向けて「毎年5件以上の特許を出願するように」と激励の声をかけている。そうした特許を生み出せる開発力こそが、同社の競争力なのだ。「その開発力を磨き上げていけば、当社の伸びしろはこの先もまだまだ十分にあります」数多くの特許を持ち、これまでにも業界を驚かせる製品をつくり続けてきた同社の技術力をもってすれば、全自動化機械が誕生する日はそう遠くないはずだ。

現在、インバウンドの増加や東京五輪で活気づく建設業界やホテル業界だが、五輪終了後の景況については未だ不透明な部分が多い。「売り上げに占めるメンテナンスの割合は15%前後です。メンテナンスは景気に左右されません。今後、機械の売り上げを伸ばしながら、並行してメンテナンスの比率も上げて太い柱に育てていきたい」そのためにはスキルの高い人員が必要不可決だ。そこで同社は若手スタッフの教育体制を構築。機械の製造現場で溶接・旋盤・塗装スキルをしっかり身につけたあと、修理・交換、顧客対応ができるメンテナンススタッフへと段階を追って育て上げるシステムだ。現在外国人を含め多くのスタッフが、そうしたステップで技術を身につけている。新たな製品を生み出す開発力と、確かな機械をつ

くる製造力で生まれる同社の作業機械は、今後も日本そして世界のリネンサプライ市場の省人化と高効率化に大きく貢献していくはずだ。

て同社の名前を業界に知らしめた。その後、販売を大手商社に委ねて同社は開発・製造に専念。小型シーツフォルダーやIC制御による高速シーツフォルダーなどを開発していった。昭和62年には約10年の期間を経て、人の手で処理したように浴衣をたたむ「浴衣フォルダー」を開発。複雑な浴衣のたたみ方を再現して、美しく仕上げることに成功したこの機械は、業界から大きな称賛を得た。こうして市場のニーズをくみ取りながら、リネンやウエア類の「たたむ」技術を蓄積していった。その後、高度成長期、バブル景気の波に乗ってリ

ネンサプライ業がホテルや旅館、病院、飲食店などさまざまな業界に広がるにつれて同社製品の需要も高まり、右肩上がりで業績を伸ばしていった。

しかし、1990年代バブル景気が崩壊。すると、それまで販売を委ねていた大手商社は営業部門の人員縮小を決断。同社は販売のアシストを失ってしまった。「当社はバブル崩壊があっても利益が出ていましたが、販売をお願いしていた大手商社の営業がいなくなったので、昆虫が触角をもがれたように動けなくなってしまいました。それで、営業部隊をつくりました」社長自らセールスのため韓国や台湾にも飛んだ。停滞する国内市場以外に活路を見出すため、平成11(1999)年ヨーロッパ市場の開拓を決意し、EUの安全基準で製品が製造されていることを示す「CEマーク」を取得。翌年にはドイツのフランクフルト国際クリーニング展示会に出展する。「海外に競合が数多くある中で当社の製品が非常に評判になり、ドイツ企業が数点購入してくれました。それが海外ビジネスの始まりでした」スピーディーで美しく仕上がる同社の製品は、ヨー

ロッパの業界関係者に驚きをもって受け止められた。その後も積極的にイタリアや中国などの展示会に出展し、徐々に世界各地で市場を開拓していく。現在、

メンテナンス事業を太い柱に

約70もの特許を取得

東都フォルダー工業株式会社ZOOM UP

売り上げに占める輸出の割合は20%。製品はドイツやイタリア、アメリカ、中国、シンガポールなど世界22カ国で使われている。

同社の製品が国内で高いシェアを誇り、多くの取引先から支持されるのは、顧客が求める省人化や高効率化を実現する革新的なものであるからだ。例えば作業者がシーツの真ん中を機械に掛けるだけで、機械が自動的に両端を探し、シーツを伸ばしてラインに投入するフィーダー機「ラピード」。従来シーツの

端を探していた熟練作業員の人員が削減でき、1時間1,300枚を処理できる作業効率を実現した。ユニフォームフォルダー「WFO-JUMP HG」は厚

みのあるツナギから薄手の白衣、ズボン類等、さまざまな形状の衣類をランダムに投入することが可能。機械が自動的にたたみ方を変えて仕上げるため、少量多品種のユニフォームが効率よく処理できる。作業者は機械のハンガーに衣類を掛けるだけなので、作業負担も軽減される優れものだ。「タオル両面検査システム」は、高精度の検査用カ

メラを使ってタオルのシミや汚れ残り、破れ、髪の毛の混入等を高精度で検出することができる。発見しづらいパイル地内部の汚れも見つけることができるため、高品位に仕上がり顧客満足度も高い。「当初、こうしたシステムはオーバースペックではないかと思っていたのですが、発売したら大好評。今は多くのお客さまがこのシステムを必要とされます」そのほか1台でシーツ、ピローケース、ナプキン等

をたためる「シーツ・ピローコンビネーションフォルダー」、航空機内等の膝掛けをたたむ「ブランケットフォルダー」などなど。リネンサプライ業界を縁の下から支える、さまざまな作業機械を開発する。

昨年11月には5年ぶりとなる展示会を群馬県板倉工場で開催し、約30点の機械を出展。3日間でベルギーやカナダ、東南アジアなど海外からの来場者140名を含む800名以上の関係者が訪れた。省人化や作業効率を向上させ、質の高い仕上がりで顧客満足度の高い同社の製品に国内のみならず世界が注目している。

東京五輪を来年に控え、東京近郊はホテル建設ラッ

同社。リネンサプライ工場全体の設計も手がけ、顧客に最適なオンリーワンの提案を行っている。

リネンサプライ業が国内で徐々に広がり始めていた昭和43(1968)年に、同社は創業する。当時は国鉄(現・JR)の変電設備の定期点検を行いながら、中古のアメリカ製リネンサプライ機のメンテナンスを手がけていた。「当時のアメリカ製品は、中古品なのに建売の家が1~2軒買えるほど高額で、サイズも大きいものでした。ネジの規格も日本とは違い、パネルの表示やマニュアルは英語。故障もしやすかった。これだったら、日本の狭い工場に合う機械を自分たちでつくろうと開発を始めました」そして昭和47年、バスタオルやフェイスタオルをた

たんで積み重ねる機能を搭載したタオルフォルダー「T1A」が完成する。高速で美しい仕上がりを実現したコンパクトサイズのT1Aは、クリーニング機械の展示会で注目を浴び、一躍ベストセラー製品となっ

平成12年、ドイツの展示会に出展

高いシェアを裏付ける技術力

群馬県板倉工場シーツフォルダー

シーツフィーダー「ラピード」 ガウン・バスローブフォルダー 展示会場の製品および社員の集合写真

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埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.33 4

「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などのシーツやタオル、浴衣類、コンビニや企業のユニフォーム、飲食店のテーブルクロス類、電車や旅客機のヘッドカバー等各種リネン類を企業に貸与し、使用済みを回収・クリーニングしたあと再度貸し出す事業。東都フォルダー工業株式会社は、リネンサプライ

企業向けの作業機械を製造する会社だ。洗濯済みの濡れたリネンを広げ、作業ラインに投入する「フィーダー」。アイロンをかけて乾燥させながらリネン類を折りたたみ、決められた枚数で重ねていく「フォルダー」。浴衣やガウン、バスローブを平たいマネキンボディーにセットしたのち乾燥させて折りたたむ「浴衣フォルダー」「ガウン・バスローブフォルダー」など、多様な機械を製造する。年間生産台数400~500台、国内シェア60%を誇る。「当社の製品はほとんどが受注生産。シーツや浴衣、バスローブ、ユニフォームなど、ホテルや施設によってたたみ方が細かく違いますから、それに応じた仕様で製造しています」(前嶋洋左右社長)規格品をベースに、顧客のニーズに合った製品を

設計から製造、完成後の検査まで一貫して生産する

シュに沸いている。リネンサプライの需要も右肩上がりで伸びているが、ここで問題になるのが人手不足だ。「これまでお客さまの作業員の方々の負担や作業量を軽減するために、省人化や自動化に努めてきました。今後は人を介在させることなく、シーツなどのリネン類を作業ラインに投入できる自動化機械の開発などにも挑戦していきます」現在、同社は70前後の特許を持つ。前嶋社長は12名いる開発設計部に向けて「毎年5件以上の特許を出願するように」と激励の声をかけている。そうした特許を生み出せる開発力こそが、同社の競争力なのだ。「その開発力を磨き上げていけば、当社の伸びしろはこの先もまだまだ十分にあります」数多くの特許を持ち、これまでにも業界を驚かせる製品をつくり続けてきた同社の技術力をもってすれば、全自動化機械が誕生する日はそう遠くないはずだ。

現在、インバウンドの増加や東京五輪で活気づく建設業界やホテル業界だが、五輪終了後の景況については未だ不透明な部分が多い。「売り上げに占めるメンテナンスの割合は15%前後です。メンテナンスは景気に左右されません。今後、機械の売り上げを伸ばしながら、並行してメンテナンスの比率も上げて太い柱に育てていきたい」そのためにはスキルの高い人員が必要不可決だ。そこで同社は若手スタッフの教育体制を構築。機械の製造現場で溶接・旋盤・塗装スキルをしっかり身につけたあと、修理・交換、顧客対応ができるメンテナンススタッフへと段階を追って育て上げるシステムだ。現在外国人を含め多くのスタッフが、そうしたステップで技術を身につけている。新たな製品を生み出す開発力と、確かな機械をつ

くる製造力で生まれる同社の作業機械は、今後も日本そして世界のリネンサプライ市場の省人化と高効率化に大きく貢献していくはずだ。

て同社の名前を業界に知らしめた。その後、販売を大手商社に委ねて同社は開発・製造に専念。小型シーツフォルダーやIC制御による高速シーツフォルダーなどを開発していった。昭和62年には約10年の期間を経て、人の手で処

理したように浴衣をたたむ「浴衣フォルダー」を開発。複雑な浴衣のたたみ方を再現して、美しく仕上げることに成功したこの機械は、業界から大きな称賛を得た。こうして市場のニーズをくみ取りながら、リネンやウエア類の「たたむ」技術を蓄積していった。その後、高度成長期、バブル景気の波に乗ってリ

ネンサプライ業がホテルや旅館、病院、飲食店などさまざまな業界に広がるにつれて同社製品の需要も高まり、右肩上がりで業績を伸ばしていった。

しかし、1990年代バブル景気が崩壊。すると、それまで販売を委ねていた大手商社は営業部門の人員縮小を決断。同社は販売のアシストを失ってしまった。「当社はバブル崩壊があっても利益が出ていましたが、販売をお願いしていた大手商社の営業がいなくなったので、昆虫が触角をもがれたように動けなくなってしまいました。それで、営業部隊をつくりました」社長自らセールスのため韓国や台湾にも飛んだ。

停滞する国内市場以外に活路を見出すため、平成11(1999)年ヨーロッパ市場の開拓を決意し、EUの安全基準で製品が製造されていることを示す「CEマーク」を取得。翌年にはドイツのフランクフルト国際クリーニング展示会に出展する。「海外に競合が数多くある中で当社の製品が非常に評判になり、ドイツ企業が数点購入してくれました。それが海外ビジネスの始まりでした」スピーディーで美しく仕上がる同社の製品は、ヨー

ロッパの業界関係者に驚きをもって受け止められた。その後も積極的にイタリアや中国などの展示会に出展し、徐々に世界各地で市場を開拓していく。現在、

メンテナンス事業を太い柱に

約70もの特許を取得

東都フォルダー工業株式会社ZOOM UP

売り上げに占める輸出の割合は20%。製品はドイツやイタリア、アメリカ、中国、シンガポールなど世界22カ国で使われている。

同社の製品が国内で高いシェアを誇り、多くの取引先から支持されるのは、顧客が求める省人化や高効率化を実現する革新的なものであるからだ。例えば作業者がシーツの真ん中を機械に掛けるだけで、機械が自動的に両端を探し、シーツを伸ばしてラインに投入するフィーダー機「ラピード」。従来シーツの

端を探していた熟練作業員の人員が削減でき、1時間1,300枚を処理できる作業効率を実現した。ユニフォームフォルダー「WFO-JUMP HG」は厚

みのあるツナギから薄手の白衣、ズボン類等、さまざまな形状の衣類をランダムに投入することが可能。機械が自動的にたたみ方を変えて仕上げるため、少量多品種のユニフォームが効率よく処理できる。作業者は機械のハンガーに衣類を掛けるだけなので、作業負担も軽減される優れものだ。「タオル両面検査システム」は、高精度の検査用カ

メラを使ってタオルのシミや汚れ残り、破れ、髪の毛の混入等を高精度で検出することができる。発見しづらいパイル地内部の汚れも見つけることができるため、高品位に仕上がり顧客満足度も高い。「当初、こうしたシステムはオーバースペックではないかと思っていたのですが、発売したら大好評。今は多くのお客さまがこのシステムを必要とされます」そのほか1台でシーツ、ピローケース、ナプキン等

をたためる「シーツ・ピローコンビネーションフォルダー」、航空機内等の膝掛けをたたむ「ブランケットフォルダー」などなど。リネンサプライ業界を縁の下から支える、さまざまな作業機械を開発する。

昨年11月には5年ぶりとなる展示会を群馬県板倉工場で開催し、約30点の機械を出展。3日間でベルギーやカナダ、東南アジアなど海外からの来場者140名を含む800名以上の関係者が訪れた。省人化や作業効率を向上させ、質の高い仕上がりで顧客満足度の高い同社の製品に国内のみならず世界が注目している。

東京五輪を来年に控え、東京近郊はホテル建設ラッ

同社。リネンサプライ工場全体の設計も手がけ、顧客に最適なオンリーワンの提案を行っている。

リネンサプライ業が国内で徐々に広がり始めていた昭和43(1968)年に、同社は創業する。当時は国鉄(現・JR)の変電設備の定期点検を行いながら、中古のアメリカ製リネンサプライ機のメンテナンスを手がけていた。「当時のアメリカ製品は、中古品なのに建売の家が1~2軒買えるほど高額で、サイズも大きいものでした。ネジの規格も日本とは違い、パネルの表示やマニュアルは英語。故障もしやすかった。これだったら、日本の狭い工場に合う機械を自分たちでつくろうと開発を始めました」そして昭和47年、バスタオルやフェイスタオルをた

たんで積み重ねる機能を搭載したタオルフォルダー「T1A」が完成する。高速で美しい仕上がりを実現したコンパクトサイズのT1Aは、クリーニング機械の展示会で注目を浴び、一躍ベストセラー製品となっ

平成12年、ドイツの展示会に出展

高いシェアを裏付ける技術力

群馬県板倉工場シーツフォルダー

シーツフィーダー「ラピード」 ガウン・バスローブフォルダー 展示会場の製品および社員の集合写真

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5 6埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

Research調査①

スポーツには、競技や体を動かすことによる楽しみのほか、体力の増進、生活習慣病の予防、スポーツを通じたつながりや賑わいの創出、地域活性化、地域の知名度アップや地元への愛着の向上など様々な効果が知られている。わが国では、2019年秋にラグビーワールドカップ2019、2020年夏に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される。埼玉県はいずれも県内での開催が予定されており、県民のスポーツに対する関心が高まり、県内でのスポーツの活性化とスポーツを通じた様々な効果が期待されている。本稿では埼玉県におけるスポーツに係る現状に

ついてみていく。

埼玉県のスポーツ施設数は2,603(公共1,852、民間751、学校施設を除く)で、全国における順位は第5位である。種目別にみると(公共、民間合計)多いのは、野球場・ソフトボール場506、庭球場(屋外)275、多目的運動場245、体育館233などである。他都道府県と

の比較で多いのは、剣道場60、卓球場36(ともに全国1位)、ランニングコース25、サイクリングコース14(ともに全国2位)などである。今後充実を望むスポーツ施設については、公園、運動広場などが多い(埼玉県調査)。埼玉県は、スポーツ施設は多く、「特に充実させるべき施設はない」とする回答も3割以上にのぼっており、比較的充足していると考えられる。今後は手軽に運動のできる場所への要望が強い。

次に埼玉県民のスポーツ活動状況をみていく。1年間にスポーツを行ったとする人の割合(体育の授業で行うものなどを除く、以下、行動者率)をみると、埼玉県は71.7%、全国は67.7%で、全国を4.0ポイント上回っている。男女別では、男性が75.4%、女性が68.0%と男性の方が高いが、全国との比較では、女性の行動者率が高いのが目立っている。

都道府県別にみると、埼玉県のスポーツの行動者率は東京都に次いで全国第2位である。次いで、神奈川県、千葉県となっており、東京圏の1都3県が上位を占めている。一方、下位は青森県、岩手県、秋田県、山形県など東北地方の各県が占めている。スポーツの行動者率は年齢が低い方が高く、年齢構成の差や、気候の違いなども影響していると考えられる。

埼玉県のスポーツの行動者率を年齢区分別にみると、15~24歳を除くすべての年齢区分で全国を上回っている。特に、55歳以降で全国を上回る率が高くなっており、75歳以上では、全国を9.2ポイント上回っている。 埼玉県では、全国と比べスポーツを行う人が多く、特に高齢者で、その傾向が顕著である。埼玉県のスポーツの行動者率を種目別にみると、

「ウォーキング・軽い体操」45.9%、「器具を使ったトレーニング」16.0%、「登山・ハイキング」12.7%、「ジョギング・マラソン」12.6%、「ボーリング」11.5%、「水泳」10.7%などが高くなっている。

競技的な種目より、楽しみを目的とした、健康の維持・増進にも適した種目が多く、県民の健康維持に貢献しているものと推察される。埼玉県の調査により県民の意識面をみると、運動

やスポーツをする理由は、「健康や体力の維持・増進のため」が61.1%で最も多く、次いで「運動不足

土地と同様、バブル期に株価が大幅に上昇したことから、1985年に7千億円だった有価証券についても、1992年には1.5兆円と、約2倍の水準まで増加したが、その勢いは土地を下回っていた。その後は、ほぼ横ばいから微増で推移しており、2016年には2.3兆円となっている。一方、現金・預貯金等は、1985年には6千億円

だったが、2005年の2.3兆円を経て、2016年には4.9兆円となっている。現金・預貯金等は、年を追って徐々に増加している。

2016年の相続税納付税額1.9兆円を都道府県別

2013年度税制改正に伴う相続税の増税は、2015年1月から実施され、課税される件数・割合ともに大幅に増加した。相続に関しては、2018年7月の民法改正に伴って、2019年からおよそ40年ぶりとなる制度改正が順次スタートしており、こちらの面からも注目が集まっている。以下では、埼玉県における相続税の現状についてみていきたい。

相続税は、相続や遺贈によって取得した正味の財産が基礎控除の額を超える場合に、その超えた部分に対して課税される税金である。その目的の一つが「富の再分配」にあるといわれるとおり、基礎控除が設定されることで、課税対象となる人が多くなりすぎないようになっている。バブル期には、課税対象となる相続財産価額が大きく膨らんだことから、納税者の急激な負担増を避けるため、基礎控除は数回にわたって引き上げられた。1985年には、定額控除2,000万円+法定相続人一人あたり400万円だった基礎控除は、88年には、それぞれ4,000万円と800万円に、92年には4,800万円と950万円になり、94年には5,000万円

と1,000万円まで引き上げられた。その後、相続財産価額が減少に転じても、基礎控除は長く据え置かれていたが、2013年度税制改正では、定額控除3,000万円、法定相続人一人あたり600万円へと、基礎控除は40%引き下げられた。

妻と子供2人が8,000万円の財産を相続した(法定相続人が3人の)モデルケースをみると、改正前は定額控除5,000万円+1,000万円×3=8,000万円が控除されるため、全額非課税で相続税はかからなかった。それが2015年1月以降は定額控除3,000万円+600万円×3=4,800万円だけが控除され、残りの3,200万円 は課税対象となった。この基礎控除の引き下げに伴って、相続税の課税対象は広がり、課税される件数・割合ともに増加した。税制改正前の2014年には、全国の死亡者数1,273,004人に対して、課税された件数は56,239件で、その割合は4.4%だったが、改正後の2016年では、死亡者数1,307,748人に対して、課税された件数が105,880件となり、その割合は8.1%へと大幅に増えている。

1985年に9千億円だった全国の相続税納付税額は、バブル期に課税対象となる相続財産価額が膨ら

はじめに

2016年の相続税納付税額は1.9兆円

変化してきた相続財産価額の内訳首都圏が約半分を占める相続税納付税額

40%引き下げられた基礎控除

んだ結果、大幅に増加し、先にみた基礎控除引き上げなどの激変緩和措置がとられたものの、1992年には4兆円に達した。その後、バブル崩壊に伴って減少に転じた納付税額は、2004年に1兆1千憶円で底打ちした後は、小幅な増減はあるものの、ほぼ横ばい水準で推移してきた。税制改正後は、基礎控除の引き下げに伴って課税対象が広がったことに加え、課税最高税率が50%から55%に引き上げられたこともあり、2014年に1.4兆円だった納付税額は、2015年に1.8兆円、2016年には1.9兆円へ増加している。

相続人が取得した相続財産価額についても、総額は納付税額と同様の推移をたどっているが、その内訳には若干変化がみられる。バブル期には、相続財産価額のうち、土地の占め

るウェイトが急激に高まり、1985年に4.4兆円だった土地は、ピーク時の1992年には15.5兆円と、全体のほぼ四分の三を占めるまでになった。その後、地価の下落に伴って、土地の財産価額は減少傾向をたどり、2005年には5.7兆円まで低下したが、近年はほぼ横ばい水準で推移しており、2016年には6.0兆円となっている。

●相続税の基礎控除の推移

●基礎控除引き下げのモデルケース

●全国の相続税納付税額の推移

●全国の相続財産価額の推移

●都道府県別の相続税納付税額の割合

埼玉県における相続税の現状

にみると、最も多かったのは東京都の5,359億円で、以下、神奈川県の1,999億円、愛知県の1,676億円、大阪府の1,368億円と続き、1,219億円の埼玉県は全国で5番目となっている。相続税納付税額の多い都道府県は都心部に集中しており、首都圏(一都三県)の合計が全国の約半分を占めている。

埼玉県で相続税が課税された件数は、2000年の3,053件から2014年の3,306件まで、ほぼ横ばい水準で推移していたが、税制改正後の2015年に6,186件、2016年には6,238件に増加した。埼玉県の課税件数割合(課税件数÷死亡者数)

は2015年は9.9%(全国は8.0%)、2016年は9.8%(全国は8.1%)と、およそ10件に1件の割合で相続税が課税されている。

また、埼玉県の相続税納付税額の推移をみると、2000年に1,341億円だった納付税額は、全国と同様、2005年まで減り続け、その後はほぼ横ばい水準で推移した。2014年に822億円だった納付税額は、税制改正後の2015年に1,296億円、2016年には1,219億円となった。埼玉県の相続税納付税額が増加したのは、主に

課税件数が増えたことによるもので、法定相続人

一人あたりの納付税額は減少している。2000年に15百万円だった相続人一人あたり納付税額は、税制改正後に一段と下落し、2016年には8百万円となっている。

相続税の課税対象の広がりを受けて、近年は県内でも相続税対策とみられる動きが発生した。その一つが、アパートなどの貸家建設である。保有する土地を空き地のまま保有しているよりも、アパートなどの貸家を建てて、他人に貸している方が、相続税を計算するときの評価額が低くなる。これは、自分の土地であっても、第三者に賃貸している建物にはいわゆる借家権が発生し、自由に処分することができなくなるためである。貸家の建設から管理までを一貫して行う業者と、

長期間一括の貸し出し契約を結ぶことで、安定した賃料を受け取れるといった手法が人気となったこともあり、県内でも貸家建設が大幅に増加した。2011年度に新たに建てられた県内の貸家は

18,570戸だったが、2016年度には24,945戸まで増加した。2017年度には24,056戸と、前年より若干減少したものの、新設住宅着工戸数全体に占める貸家の割合は、2011年度の31.2%から2017年

度の40.6%まで上昇している。しかし、こうした貸家建設は借りたい人の有無に関係なく実施される場合もあり、物件が十分埋まらない事態も発生する。長期間の一括借り上げ契約があっても、途中で契約内容を見直すことができる条項が含まれていて、業者から思いがけず賃料の引き下げを通告され、トラブルになるケースもあったようだ。足元では、相続税対策が一巡したこともあって、県内の貸家建設の動きは一段落している。貸家建設に加えて、一般社団法人を利用した相

続税対策がみられたのも、近年の特徴である。株式会社の財産は間接的に株主が所有しているが、2008年の公益法人制度改革で設立が容易になった一般社団法人には、株主のような所有者がいないため、一般社団法人の財産には、相続税が課税されないとされてきた。こうした点を利用して、個人が所有する財産を、一般社団法人に移転し、その理事の役職に個人の親族が就くことで、実質的に個人の財産を引き継ぐという方法が考えられた。相続税対策のために設立された一般社団法人の数は明らかではないものの、2009年に70件だった埼玉県の一般社団法人の設立登記件数は、駆け込みのあった新制度移行期間最終年の2013年以降も、2014年の172件から2017年の167件まで、高い水準で推移してきた。

埼玉県における相続税の課税件数割合が全国を上回っていることは確かだが、それでも実際に課税されるのは10件に1件の割合であり、相続人一人あたりの納付税額も減少傾向にある。税金の徴収は愉快なことではないかもしれないが、相続税対策は、手法によってはかえって受け取るべき財産を減らしてしまう可能性もある。事前に、対策をしない場合との比較検討を十分行っておくべきだろう。なお、相続に関しては、2018年7月の民法改正に伴って、2019年1月から新たな制度が順次スタートしているが、このなかで一般社団法人を使った相続税対策に新たな規制が加えられており、利用が難しくなっている点に留意が必要である。およそ40年ぶりの大幅な見直しとなった今回の相続の制度改正では、被相続人の配偶者に対して、それまで暮らしていた家の居住権が新たに認められた(施行は2020年4月)ほか、相続権のない息子の嫁に、介護等の貢献度に応じた寄与分の請求権を認める(施行は2019年7月)など様々な変更が加えられ、よりスムーズな相続が可能となっている。今回の制度変更を機に、相続の基本的な事項を確認してみられるのもいいかもしれない。 (井上博夫)

を解消するため」34.4%、「気分転換、気晴らしのため」27.6%、「肥満解消や美容のため」13.2%、「運動することが楽しい、好きだから」12.3%などとなっている。多くの人が健康のために、運動やスポーツをしている。特に、60歳以上では76.2%の人が「健康や体力の維持・増進のため」としており、高齢になるほど運動やスポーツは健康のために行うとする人が多い。一方、スポーツをしなかった理由としては、「仕事

や家事・育児等で忙しく時間がない」が30.2%で最も多く、特に、40~49歳で38.0%と多い。この年代では、運動やスポーツを行うために、仕事と余暇のバランスをとることや、育児や家事のサポートなど時間的な余裕を持たせるための仕組みづくりが必要と考えられる。

また、「運動不足を感じているか」については、「非常に強く感じている」24.7%、「感じることが多い」32.5%、「ときどき感じることがある」が27.4%で、合わせて84.6%の人が運動不足を感じている。「日常生活の中で運動やスポーツが必要だと思うか」については、「とても必要」が25.1%、「必要」が58.9%で、合わせて84.0%の人が必要と感じている。運動不足および運動やスポーツの必要性は強く認識されており、多くの人がスポーツを行うことができるよう、スポーツに親しむ機運の醸成、スポーツと

の関わりへのきっかけづくり、身近なスポーツ環境の整備などが求められる。

スポーツは自ら体を動かして行うことのほか、見て楽しむことや、ボランティアなどで参加して支えることも重要である。埼玉県には、サッカー、野球、バスケットボール、バ

レーボールなど人気の高い種目のプロスポーツチームがそろっている。それぞれのチームは、地域に密着した活動を行っており、地域の活性化、愛着度向上、対外的な認知度向上などに大きな役割を

果たしている。埼玉県民が過去1年間に会場やテレビで観戦し

たスポーツについてみると、プロ野球が最も多く、Jリーグ、陸上・駅伝・マラソン、テニス、バレーボールと続いている。地域別では、プロ野球では県西地域が最も高く、Jリーグでは県南地域が最も高いなど、本拠地を置く地域で高くなっており、プロチームの存在が、スポーツへの関心を高めていることがうかがえる。

支えるスポーツについては、総務省の調査によると、「スポーツ・文化・芸術・学術に関連したボランティア活動」を行ったとする割合は埼玉県では3.5%で、全国の3.7%を下まわり全国で36位と、現状ではやや低い状況にある。しかしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「埼玉県の都市ボランティア」の募集結果をみると、募集人数5,400人に対して、応募者数は9,650人で1.79倍と高い倍率となっている。男女別では、女性が6,230人(64.6%)で男性を上回っている。また、市町村別では、大会開催地となるさいたま市3,140人、川越市949人、朝霞市399人などで多いのが目立っている。なお、「都市ボランティア」は、競技会場や観光地までの道案内、開催期間中のイベントの運営サポート、埼玉県の魅力PRなどを行うもので、主に競技会場で活動する「大会ボランティア」とは別に募集されている。また、埼玉県では「ホストタウン」の取り組みが進められている。「ホストタウン」は東京2020オリン

ピック・パラリンピックに向けて、地域の活性化や観光振興などの観点から、参加各国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を国が登録する制度。事前トレーニングキャンプで来日した選手や大会に出場した選手との交流、パラリンピックを契機とした共生社会の実現などに取り組む団体が登録される。埼玉県では、2019年1月4日現在11の市や町が登録されている。東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にボ

ランティア活動や国際交流を活発化することにより、埼玉県においてもスポーツを支える機運が上昇、定着することが期待される。

埼玉県ではラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に「する、見る、支える」スポーツへの関心が高まり県内でスポーツ全体が活性化されることに加え、会場となる埼玉県の知名度アップや、県民の地元への愛着度向上なども期待される。さらに、県民がスポーツに親しみ、日常的に運動する機運が高まることにより、今後高齢化が進む中でも、多くの県民が長く健康な生活を送れるようになることが期待される。                (吉嶺暢嗣)

16151005 200095 901985

資料:国税庁「統計情報(長期時系列)」

資料:財務省「相続税の改正に関する資料」

資料:国税庁「統計情報(長期時系列)」、財務省「相続税の改正に関する資料」

資料:国税庁、東京国税局、関東信越国税局「統計情報(2016年)」

(兆円)

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25土地その他 現金・預貯金等 有価証券

東京都

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納付税額 全国比(億円・%)

東京都28.7

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その他50.3

千葉県 3.8年 90 91 92 93 941985 86 87 88 89 2000 01 02 13 1495 96 97 15 1608 09 10 11 1203 04 05 06 0798 99

定額控除

基礎控除

5,000万円

2,000万円

4,800万円

3,000万円

4,000万円

定額控除2,000万円+

400万円×法定相続人数

定額控除4,000万円+

800万円×法定相続人数

定額控除5,000万円+

1,000万円×法定相続人数

定額控除4,800万円+950万円×法定相続人数

定額控除3,000万円+600万円×法定相続人数

●妻と子供2人が8,000万円を相続した場合 (法定相続人が3人)

●増税に伴って、基礎控除が40%削減

課税対象3,200万円

定額控除3,000万円+600万円×3=4,800万円

定額控除5,000万円+1,000万円×3=8,000万円

2014年12月以前 2015年1月以降 2014年12月以前 2015年1月以降

基礎控除は40%削減

定額控除3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

定額控除5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)

Page 7: りそな会報誌3月号 20190218 21 埼玉りそな経済情報2019.3 2 ZOOM UP 埼玉りそな経済情報2019.3 ズームアップ 「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などの

5 6埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

Research調査①

スポーツには、競技や体を動かすことによる楽しみのほか、体力の増進、生活習慣病の予防、スポーツを通じたつながりや賑わいの創出、地域活性化、地域の知名度アップや地元への愛着の向上など様々な効果が知られている。わが国では、2019年秋にラグビーワールドカップ2019、2020年夏に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される。埼玉県はいずれも県内での開催が予定されており、県民のスポーツに対する関心が高まり、県内でのスポーツの活性化とスポーツを通じた様々な効果が期待されている。本稿では埼玉県におけるスポーツに係る現状に

ついてみていく。

埼玉県のスポーツ施設数は2,603(公共1,852、民間751、学校施設を除く)で、全国における順位は第5位である。種目別にみると(公共、民間合計)多いのは、野球場・ソフトボール場506、庭球場(屋外)275、多目的運動場245、体育館233などである。他都道府県と

の比較で多いのは、剣道場60、卓球場36(ともに全国1位)、ランニングコース25、サイクリングコース14(ともに全国2位)などである。今後充実を望むスポーツ施設については、公園、運動広場などが多い(埼玉県調査)。埼玉県は、スポーツ施設は多く、「特に充実させるべき施設はない」とする回答も3割以上にのぼっており、比較的充足していると考えられる。今後は手軽に運動のできる場所への要望が強い。

次に埼玉県民のスポーツ活動状況をみていく。1年間にスポーツを行ったとする人の割合(体育の授業で行うものなどを除く、以下、行動者率)をみると、埼玉県は71.7%、全国は67.7%で、全国を4.0ポイント上回っている。男女別では、男性が75.4%、女性が68.0%と男性の方が高いが、全国との比較では、女性の行動者率が高いのが目立っている。

都道府県別にみると、埼玉県のスポーツの行動者率は東京都に次いで全国第2位である。次いで、神奈川県、千葉県となっており、東京圏の1都3県が上位を占めている。一方、下位は青森県、岩手県、秋田県、山形県など東北地方の各県が占めている。スポーツの行動者率は年齢が低い方が高く、年齢構成の差や、気候の違いなども影響していると考えられる。

埼玉県のスポーツの行動者率を年齢区分別にみると、15~24歳を除くすべての年齢区分で全国を上回っている。特に、55歳以降で全国を上回る率が高くなっており、75歳以上では、全国を9.2ポイント上回っている。 埼玉県では、全国と比べスポーツを行う人が多く、特に高齢者で、その傾向が顕著である。埼玉県のスポーツの行動者率を種目別にみると、

「ウォーキング・軽い体操」45.9%、「器具を使ったトレーニング」16.0%、「登山・ハイキング」12.7%、「ジョギング・マラソン」12.6%、「ボーリング」11.5%、「水泳」10.7%などが高くなっている。

競技的な種目より、楽しみを目的とした、健康の維持・増進にも適した種目が多く、県民の健康維持に貢献しているものと推察される。埼玉県の調査により県民の意識面をみると、運動

やスポーツをする理由は、「健康や体力の維持・増進のため」が61.1%で最も多く、次いで「運動不足

土地と同様、バブル期に株価が大幅に上昇したことから、1985年に7千億円だった有価証券についても、1992年には1.5兆円と、約2倍の水準まで増加したが、その勢いは土地を下回っていた。その後は、ほぼ横ばいから微増で推移しており、2016年には2.3兆円となっている。一方、現金・預貯金等は、1985年には6千億円

だったが、2005年の2.3兆円を経て、2016年には4.9兆円となっている。現金・預貯金等は、年を追って徐々に増加している。

2016年の相続税納付税額1.9兆円を都道府県別

2013年度税制改正に伴う相続税の増税は、2015年1月から実施され、課税される件数・割合ともに大幅に増加した。相続に関しては、2018年7月の民法改正に伴って、2019年からおよそ40年ぶりとなる制度改正が順次スタートしており、こちらの面からも注目が集まっている。以下では、埼玉県における相続税の現状についてみていきたい。

相続税は、相続や遺贈によって取得した正味の財産が基礎控除の額を超える場合に、その超えた部分に対して課税される税金である。その目的の一つが「富の再分配」にあるといわれるとおり、基礎控除が設定されることで、課税対象となる人が多くなりすぎないようになっている。バブル期には、課税対象となる相続財産価額が大きく膨らんだことから、納税者の急激な負担増を避けるため、基礎控除は数回にわたって引き上げられた。1985年には、定額控除2,000万円+法定相続人一人あたり400万円だった基礎控除は、88年には、それぞれ4,000万円と800万円に、92年には4,800万円と950万円になり、94年には5,000万円

と1,000万円まで引き上げられた。その後、相続財産価額が減少に転じても、基礎控除は長く据え置かれていたが、2013年度税制改正では、定額控除3,000万円、法定相続人一人あたり600万円へと、基礎控除は40%引き下げられた。

妻と子供2人が8,000万円の財産を相続した(法定相続人が3人の)モデルケースをみると、改正前は定額控除5,000万円+1,000万円×3=8,000万円が控除されるため、全額非課税で相続税はかからなかった。それが2015年1月以降は定額控除3,000万円+600万円×3=4,800万円だけが控除され、残りの3,200万円 は課税対象となった。この基礎控除の引き下げに伴って、相続税の課税対象は広がり、課税される件数・割合ともに増加した。税制改正前の2014年には、全国の死亡者数1,273,004人に対して、課税された件数は56,239件で、その割合は4.4%だったが、改正後の2016年では、死亡者数1,307,748人に対して、課税された件数が105,880件となり、その割合は8.1%へと大幅に増えている。

1985年に9千億円だった全国の相続税納付税額は、バブル期に課税対象となる相続財産価額が膨ら

はじめに

2016年の相続税納付税額は1.9兆円

変化してきた相続財産価額の内訳首都圏が約半分を占める相続税納付税額

40%引き下げられた基礎控除

んだ結果、大幅に増加し、先にみた基礎控除引き上げなどの激変緩和措置がとられたものの、1992年には4兆円に達した。その後、バブル崩壊に伴って減少に転じた納付税額は、2004年に1兆1千憶円で底打ちした後は、小幅な増減はあるものの、ほぼ横ばい水準で推移してきた。税制改正後は、基礎控除の引き下げに伴って課税対象が広がったことに加え、課税最高税率が50%から55%に引き上げられたこともあり、2014年に1.4兆円だった納付税額は、2015年に1.8兆円、2016年には1.9兆円へ増加している。

相続人が取得した相続財産価額についても、総額は納付税額と同様の推移をたどっているが、その内訳には若干変化がみられる。バブル期には、相続財産価額のうち、土地の占め

るウェイトが急激に高まり、1985年に4.4兆円だった土地は、ピーク時の1992年には15.5兆円と、全体のほぼ四分の三を占めるまでになった。その後、地価の下落に伴って、土地の財産価額は減少傾向をたどり、2005年には5.7兆円まで低下したが、近年はほぼ横ばい水準で推移しており、2016年には6.0兆円となっている。

●相続税の基礎控除の推移

●基礎控除引き下げのモデルケース

●全国の相続税納付税額の推移

●全国の相続財産価額の推移

●都道府県別の相続税納付税額の割合

埼玉県における相続税の現状

にみると、最も多かったのは東京都の5,359億円で、以下、神奈川県の1,999億円、愛知県の1,676億円、大阪府の1,368億円と続き、1,219億円の埼玉県は全国で5番目となっている。相続税納付税額の多い都道府県は都心部に集中しており、首都圏(一都三県)の合計が全国の約半分を占めている。

埼玉県で相続税が課税された件数は、2000年の3,053件から2014年の3,306件まで、ほぼ横ばい水準で推移していたが、税制改正後の2015年に6,186件、2016年には6,238件に増加した。埼玉県の課税件数割合(課税件数÷死亡者数)

は2015年は9.9%(全国は8.0%)、2016年は9.8%(全国は8.1%)と、およそ10件に1件の割合で相続税が課税されている。

また、埼玉県の相続税納付税額の推移をみると、2000年に1,341億円だった納付税額は、全国と同様、2005年まで減り続け、その後はほぼ横ばい水準で推移した。2014年に822億円だった納付税額は、税制改正後の2015年に1,296億円、2016年には1,219億円となった。埼玉県の相続税納付税額が増加したのは、主に

課税件数が増えたことによるもので、法定相続人

一人あたりの納付税額は減少している。2000年に15百万円だった相続人一人あたり納付税額は、税制改正後に一段と下落し、2016年には8百万円となっている。

相続税の課税対象の広がりを受けて、近年は県内でも相続税対策とみられる動きが発生した。その一つが、アパートなどの貸家建設である。保有する土地を空き地のまま保有しているよりも、アパートなどの貸家を建てて、他人に貸している方が、相続税を計算するときの評価額が低くなる。これは、自分の土地であっても、第三者に賃貸している建物にはいわゆる借家権が発生し、自由に処分することができなくなるためである。貸家の建設から管理までを一貫して行う業者と、

長期間一括の貸し出し契約を結ぶことで、安定した賃料を受け取れるといった手法が人気となったこともあり、県内でも貸家建設が大幅に増加した。2011年度に新たに建てられた県内の貸家は

18,570戸だったが、2016年度には24,945戸まで増加した。2017年度には24,056戸と、前年より若干減少したものの、新設住宅着工戸数全体に占める貸家の割合は、2011年度の31.2%から2017年

度の40.6%まで上昇している。しかし、こうした貸家建設は借りたい人の有無に関係なく実施される場合もあり、物件が十分埋まらない事態も発生する。長期間の一括借り上げ契約があっても、途中で契約内容を見直すことができる条項が含まれていて、業者から思いがけず賃料の引き下げを通告され、トラブルになるケースもあったようだ。足元では、相続税対策が一巡したこともあって、県内の貸家建設の動きは一段落している。貸家建設に加えて、一般社団法人を利用した相

続税対策がみられたのも、近年の特徴である。株式会社の財産は間接的に株主が所有しているが、2008年の公益法人制度改革で設立が容易になった一般社団法人には、株主のような所有者がいないため、一般社団法人の財産には、相続税が課税されないとされてきた。こうした点を利用して、個人が所有する財産を、一般社団法人に移転し、その理事の役職に個人の親族が就くことで、実質的に個人の財産を引き継ぐという方法が考えられた。相続税対策のために設立された一般社団法人の数は明らかではないものの、2009年に70件だった埼玉県の一般社団法人の設立登記件数は、駆け込みのあった新制度移行期間最終年の2013年以降も、2014年の172件から2017年の167件まで、高い水準で推移してきた。

埼玉県における相続税の課税件数割合が全国を上回っていることは確かだが、それでも実際に課税されるのは10件に1件の割合であり、相続人一人あたりの納付税額も減少傾向にある。税金の徴収は愉快なことではないかもしれないが、相続税対策は、手法によってはかえって受け取るべき財産を減らしてしまう可能性もある。事前に、対策をしない場合との比較検討を十分行っておくべきだろう。なお、相続に関しては、2018年7月の民法改正に伴って、2019年1月から新たな制度が順次スタートしているが、このなかで一般社団法人を使った相続税対策に新たな規制が加えられており、利用が難しくなっている点に留意が必要である。およそ40年ぶりの大幅な見直しとなった今回の相続の制度改正では、被相続人の配偶者に対して、それまで暮らしていた家の居住権が新たに認められた(施行は2020年4月)ほか、相続権のない息子の嫁に、介護等の貢献度に応じた寄与分の請求権を認める(施行は2019年7月)など様々な変更が加えられ、よりスムーズな相続が可能となっている。今回の制度変更を機に、相続の基本的な事項を確認してみられるのもいいかもしれない。 (井上博夫)

を解消するため」34.4%、「気分転換、気晴らしのため」27.6%、「肥満解消や美容のため」13.2%、「運動することが楽しい、好きだから」12.3%などとなっている。多くの人が健康のために、運動やスポーツをしている。特に、60歳以上では76.2%の人が「健康や体力の維持・増進のため」としており、高齢になるほど運動やスポーツは健康のために行うとする人が多い。一方、スポーツをしなかった理由としては、「仕事

や家事・育児等で忙しく時間がない」が30.2%で最も多く、特に、40~49歳で38.0%と多い。この年代では、運動やスポーツを行うために、仕事と余暇のバランスをとることや、育児や家事のサポートなど時間的な余裕を持たせるための仕組みづくりが必要と考えられる。

また、「運動不足を感じているか」については、「非常に強く感じている」24.7%、「感じることが多い」32.5%、「ときどき感じることがある」が27.4%で、合わせて84.6%の人が運動不足を感じている。「日常生活の中で運動やスポーツが必要だと思うか」については、「とても必要」が25.1%、「必要」が58.9%で、合わせて84.0%の人が必要と感じている。運動不足および運動やスポーツの必要性は強く認識されており、多くの人がスポーツを行うことができるよう、スポーツに親しむ機運の醸成、スポーツと

の関わりへのきっかけづくり、身近なスポーツ環境の整備などが求められる。

スポーツは自ら体を動かして行うことのほか、見て楽しむことや、ボランティアなどで参加して支えることも重要である。埼玉県には、サッカー、野球、バスケットボール、バ

レーボールなど人気の高い種目のプロスポーツチームがそろっている。それぞれのチームは、地域に密着した活動を行っており、地域の活性化、愛着度向上、対外的な認知度向上などに大きな役割を

果たしている。埼玉県民が過去1年間に会場やテレビで観戦し

たスポーツについてみると、プロ野球が最も多く、Jリーグ、陸上・駅伝・マラソン、テニス、バレーボールと続いている。地域別では、プロ野球では県西地域が最も高く、Jリーグでは県南地域が最も高いなど、本拠地を置く地域で高くなっており、プロチームの存在が、スポーツへの関心を高めていることがうかがえる。

支えるスポーツについては、総務省の調査によると、「スポーツ・文化・芸術・学術に関連したボランティア活動」を行ったとする割合は埼玉県では3.5%で、全国の3.7%を下まわり全国で36位と、現状ではやや低い状況にある。しかしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「埼玉県の都市ボランティア」の募集結果をみると、募集人数5,400人に対して、応募者数は9,650人で1.79倍と高い倍率となっている。男女別では、女性が6,230人(64.6%)で男性を上回っている。また、市町村別では、大会開催地となるさいたま市3,140人、川越市949人、朝霞市399人などで多いのが目立っている。なお、「都市ボランティア」は、競技会場や観光地までの道案内、開催期間中のイベントの運営サポート、埼玉県の魅力PRなどを行うもので、主に競技会場で活動する「大会ボランティア」とは別に募集されている。また、埼玉県では「ホストタウン」の取り組みが進められている。「ホストタウン」は東京2020オリン

ピック・パラリンピックに向けて、地域の活性化や観光振興などの観点から、参加各国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を国が登録する制度。事前トレーニングキャンプで来日した選手や大会に出場した選手との交流、パラリンピックを契機とした共生社会の実現などに取り組む団体が登録される。埼玉県では、2019年1月4日現在11の市や町が登録されている。東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にボ

ランティア活動や国際交流を活発化することにより、埼玉県においてもスポーツを支える機運が上昇、定着することが期待される。

埼玉県ではラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に「する、見る、支える」スポーツへの関心が高まり県内でスポーツ全体が活性化されることに加え、会場となる埼玉県の知名度アップや、県民の地元への愛着度向上なども期待される。さらに、県民がスポーツに親しみ、日常的に運動する機運が高まることにより、今後高齢化が進む中でも、多くの県民が長く健康な生活を送れるようになることが期待される。                (吉嶺暢嗣)

16151005 200095 901985

資料:国税庁「統計情報(長期時系列)」

資料:財務省「相続税の改正に関する資料」

資料:国税庁「統計情報(長期時系列)」、財務省「相続税の改正に関する資料」

資料:国税庁、東京国税局、関東信越国税局「統計情報(2016年)」

(兆円)

(年)

0

1

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0.9

4.0

1.11.21.5 1.4

1.81.9

16151005 200095  901985

(兆円)

(年)

15.5

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25土地その他 現金・預貯金等 有価証券

東京都

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全国計

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納付税額 全国比(億円・%)

東京都28.7

神奈川県10.7

埼玉県6.5

その他50.3

千葉県 3.8年 90 91 92 93 941985 86 87 88 89 2000 01 02 13 1495 96 97 15 1608 09 10 11 1203 04 05 06 0798 99

定額控除

基礎控除

5,000万円

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3,000万円

4,000万円

定額控除2,000万円+

400万円×法定相続人数

定額控除4,000万円+

800万円×法定相続人数

定額控除5,000万円+

1,000万円×法定相続人数

定額控除4,800万円+950万円×法定相続人数

定額控除3,000万円+600万円×法定相続人数

●妻と子供2人が8,000万円を相続した場合 (法定相続人が3人)

●増税に伴って、基礎控除が40%削減

課税対象3,200万円

定額控除3,000万円+600万円×3=4,800万円

定額控除5,000万円+1,000万円×3=8,000万円

2014年12月以前 2015年1月以降 2014年12月以前 2015年1月以降

基礎控除は40%削減

定額控除3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

定額控除5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)

Page 8: りそな会報誌3月号 20190218 21 埼玉りそな経済情報2019.3 2 ZOOM UP 埼玉りそな経済情報2019.3 ズームアップ 「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などの

7 8埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

Research

スポーツには、競技や体を動かすことによる楽しみのほか、体力の増進、生活習慣病の予防、スポーツを通じたつながりや賑わいの創出、地域活性化、地域の知名度アップや地元への愛着の向上など様々な効果が知られている。わが国では、2019年秋にラグビーワールドカップ2019、2020年夏に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される。埼玉県はいずれも県内での開催が予定されており、県民のスポーツに対する関心が高まり、県内でのスポーツの活性化とスポーツを通じた様々な効果が期待されている。本稿では埼玉県におけるスポーツに係る現状に

ついてみていく。

埼玉県のスポーツ施設数は2,603(公共1,852、民間751、学校施設を除く)で、全国における順位は第5位である。種目別にみると(公共、民間合計)多いのは、野球場・ソフトボール場506、庭球場(屋外)275、多目的運動場245、体育館233などである。他都道府県と

の比較で多いのは、剣道場60、卓球場36(ともに全国1位)、ランニングコース25、サイクリングコース14(ともに全国2位)などである。今後充実を望むスポーツ施設については、公園、運動広場などが多い(埼玉県調査)。埼玉県は、スポーツ施設は多く、「特に充実させるべき施設はない」とする回答も3割以上にのぼっており、比較的充足していると考えられる。今後は手軽に運動のできる場所への要望が強い。

次に埼玉県民のスポーツ活動状況をみていく。1年間にスポーツを行ったとする人の割合(体育の授業で行うものなどを除く、以下、行動者率)をみると、埼玉県は71.7%、全国は67.7%で、全国を4.0ポイント上回っている。男女別では、男性が75.4%、女性が68.0%と男性の方が高いが、全国との比較では、女性の行動者率が高いのが目立っている。

都道府県別にみると、埼玉県のスポーツの行動者率は東京都に次いで全国第2位である。次いで、神奈川県、千葉県となっており、東京圏の1都3県が上位を占めている。一方、下位は青森県、岩手県、秋田県、山形県など東北地方の各県が占めている。スポーツの行動者率は年齢が低い方が高く、年齢構成の差や、気候の違いなども影響していると考えられる。

埼玉県のスポーツの行動者率を年齢区分別にみると、15~24歳を除くすべての年齢区分で全国を上回っている。特に、55歳以降で全国を上回る率が高くなっており、75歳以上では、全国を9.2ポイント上回っている。 埼玉県では、全国と比べスポーツを行う人が多く、特に高齢者で、その傾向が顕著である。埼玉県のスポーツの行動者率を種目別にみると、

「ウォーキング・軽い体操」45.9%、「器具を使ったトレーニング」16.0%、「登山・ハイキング」12.7%、「ジョギング・マラソン」12.6%、「ボーリング」11.5%、「水泳」10.7%などが高くなっている。

競技的な種目より、楽しみを目的とした、健康の維持・増進にも適した種目が多く、県民の健康維持に貢献しているものと推察される。埼玉県の調査により県民の意識面をみると、運動

やスポーツをする理由は、「健康や体力の維持・増進のため」が61.1%で最も多く、次いで「運動不足

土地と同様、バブル期に株価が大幅に上昇したことから、1985年に7千億円だった有価証券についても、1992年には1.5兆円と、約2倍の水準まで増加したが、その勢いは土地を下回っていた。その後は、ほぼ横ばいから微増で推移しており、2016年には2.3兆円となっている。一方、現金・預貯金等は、1985年には6千億円

だったが、2005年の2.3兆円を経て、2016年には4.9兆円となっている。現金・預貯金等は、年を追って徐々に増加している。

2016年の相続税納付税額1.9兆円を都道府県別

2013年度税制改正に伴う相続税の増税は、2015年1月から実施され、課税される件数・割合ともに大幅に増加した。相続に関しては、2018年7月の民法改正に伴って、2019年からおよそ40年ぶりとなる制度改正が順次スタートしており、こちらの面からも注目が集まっている。以下では、埼玉県における相続税の現状についてみていきたい。

相続税は、相続や遺贈によって取得した正味の財産が基礎控除の額を超える場合に、その超えた部分に対して課税される税金である。その目的の一つが「富の再分配」にあるといわれるとおり、基礎控除が設定されることで、課税対象となる人が多くなりすぎないようになっている。バブル期には、課税対象となる相続財産価額が大きく膨らんだことから、納税者の急激な負担増を避けるため、基礎控除は数回にわたって引き上げられた。1985年には、定額控除2,000万円+法定相続人一人あたり400万円だった基礎控除は、88年には、それぞれ4,000万円と800万円に、92年には4,800万円と950万円になり、94年には5,000万円

と1,000万円まで引き上げられた。その後、相続財産価額が減少に転じても、基礎控除は長く据え置かれていたが、2013年度税制改正では、定額控除3,000万円、法定相続人一人あたり600万円へと、基礎控除は40%引き下げられた。

妻と子供2人が8,000万円の財産を相続した(法定相続人が3人の)モデルケースをみると、改正前は定額控除5,000万円+1,000万円×3=8,000万円が控除されるため、全額非課税で相続税はかからなかった。それが2015年1月以降は定額控除3,000万円+600万円×3=4,800万円だけが控除され、残りの3,200万円 は課税対象となった。この基礎控除の引き下げに伴って、相続税の課税対象は広がり、課税される件数・割合ともに増加した。税制改正前の2014年には、全国の死亡者数1,273,004人に対して、課税された件数は56,239件で、その割合は4.4%だったが、改正後の2016年では、死亡者数1,307,748人に対して、課税された件数が105,880件となり、その割合は8.1%へと大幅に増えている。

1985年に9千億円だった全国の相続税納付税額は、バブル期に課税対象となる相続財産価額が膨ら

相続税対策とみられる動き

2019年から民法改正に伴う制度変更がスタート

埼玉県の課税件数割合はおよそ10件に1件

んだ結果、大幅に増加し、先にみた基礎控除引き上げなどの激変緩和措置がとられたものの、1992年には4兆円に達した。その後、バブル崩壊に伴って減少に転じた納付税額は、2004年に1兆1千憶円で底打ちした後は、小幅な増減はあるものの、ほぼ横ばい水準で推移してきた。税制改正後は、基礎控除の引き下げに伴って課税対象が広がったことに加え、課税最高税率が50%から55%に引き上げられたこともあり、2014年に1.4兆円だった納付税額は、2015年に1.8兆円、2016年には1.9兆円へ増加している。

相続人が取得した相続財産価額についても、総額は納付税額と同様の推移をたどっているが、その内訳には若干変化がみられる。バブル期には、相続財産価額のうち、土地の占め

るウェイトが急激に高まり、1985年に4.4兆円だった土地は、ピーク時の1992年には15.5兆円と、全体のほぼ四分の三を占めるまでになった。その後、地価の下落に伴って、土地の財産価額は減少傾向をたどり、2005年には5.7兆円まで低下したが、近年はほぼ横ばい水準で推移しており、2016年には6.0兆円となっている。

●埼玉県の相続税納付税額の推移 ●埼玉県の一般社団法人設立登記件数の推移●埼玉県の新設住宅着工戸数(貸家)の推移

●相続税の課税件数と課税件数割合の推移

にみると、最も多かったのは東京都の5,359億円で、以下、神奈川県の1,999億円、愛知県の1,676億円、大阪府の1,368億円と続き、1,219億円の埼玉県は全国で5番目となっている。相続税納付税額の多い都道府県は都心部に集中しており、首都圏(一都三県)の合計が全国の約半分を占めている。

埼玉県で相続税が課税された件数は、2000年の3,053件から2014年の3,306件まで、ほぼ横ばい水準で推移していたが、税制改正後の2015年に6,186件、2016年には6,238件に増加した。埼玉県の課税件数割合(課税件数÷死亡者数)

は2015年は9.9%(全国は8.0%)、2016年は9.8%(全国は8.1%)と、およそ10件に1件の割合で相続税が課税されている。

また、埼玉県の相続税納付税額の推移をみると、2000年に1,341億円だった納付税額は、全国と同様、2005年まで減り続け、その後はほぼ横ばい水準で推移した。2014年に822億円だった納付税額は、税制改正後の2015年に1,296億円、2016年には1,219億円となった。埼玉県の相続税納付税額が増加したのは、主に

課税件数が増えたことによるもので、法定相続人

一人あたりの納付税額は減少している。2000年に15百万円だった相続人一人あたり納付税額は、税制改正後に一段と下落し、2016年には8百万円となっている。

相続税の課税対象の広がりを受けて、近年は県内でも相続税対策とみられる動きが発生した。その一つが、アパートなどの貸家建設である。保有する土地を空き地のまま保有しているよりも、アパートなどの貸家を建てて、他人に貸している方が、相続税を計算するときの評価額が低くなる。これは、自分の土地であっても、第三者に賃貸している建物にはいわゆる借家権が発生し、自由に処分することができなくなるためである。貸家の建設から管理までを一貫して行う業者と、

長期間一括の貸し出し契約を結ぶことで、安定した賃料を受け取れるといった手法が人気となったこともあり、県内でも貸家建設が大幅に増加した。2011年度に新たに建てられた県内の貸家は

18,570戸だったが、2016年度には24,945戸まで増加した。2017年度には24,056戸と、前年より若干減少したものの、新設住宅着工戸数全体に占める貸家の割合は、2011年度の31.2%から2017年

度の40.6%まで上昇している。しかし、こうした貸家建設は借りたい人の有無に関係なく実施される場合もあり、物件が十分埋まらない事態も発生する。長期間の一括借り上げ契約があっても、途中で契約内容を見直すことができる条項が含まれていて、業者から思いがけず賃料の引き下げを通告され、トラブルになるケースもあったようだ。足元では、相続税対策が一巡したこともあって、県内の貸家建設の動きは一段落している。貸家建設に加えて、一般社団法人を利用した相

続税対策がみられたのも、近年の特徴である。株式会社の財産は間接的に株主が所有しているが、2008年の公益法人制度改革で設立が容易になった一般社団法人には、株主のような所有者がいないため、一般社団法人の財産には、相続税が課税されないとされてきた。こうした点を利用して、個人が所有する財産を、一般社団法人に移転し、その理事の役職に個人の親族が就くことで、実質的に個人の財産を引き継ぐという方法が考えられた。相続税対策のために設立された一般社団法人の数は明らかではないものの、2009年に70件だった埼玉県の一般社団法人の設立登記件数は、駆け込みのあった新制度移行期間最終年の2013年以降も、2014年の172件から2017年の167件まで、高い水準で推移してきた。

埼玉県における相続税の課税件数割合が全国を上回っていることは確かだが、それでも実際に課税されるのは10件に1件の割合であり、相続人一人あたりの納付税額も減少傾向にある。税金の徴収は愉快なことではないかもしれないが、相続税対策は、手法によってはかえって受け取るべき財産を減らしてしまう可能性もある。事前に、対策をしない場合との比較検討を十分行っておくべきだろう。なお、相続に関しては、2018年7月の民法改正に伴って、2019年1月から新たな制度が順次スタートしているが、このなかで一般社団法人を使った相続税対策に新たな規制が加えられており、利用が難しくなっている点に留意が必要である。およそ40年ぶりの大幅な見直しとなった今回の相続の制度改正では、被相続人の配偶者に対して、それまで暮らしていた家の居住権が新たに認められた(施行は2020年4月)ほか、相続権のない息子の嫁に、介護等の貢献度に応じた寄与分の請求権を認める(施行は2019年7月)など様々な変更が加えられ、よりスムーズな相続が可能となっている。今回の制度変更を機に、相続の基本的な事項を確認してみられるのもいいかもしれない。 (井上博夫)

を解消するため」34.4%、「気分転換、気晴らしのため」27.6%、「肥満解消や美容のため」13.2%、「運動することが楽しい、好きだから」12.3%などとなっている。多くの人が健康のために、運動やスポーツをしている。特に、60歳以上では76.2%の人が「健康や体力の維持・増進のため」としており、高齢になるほど運動やスポーツは健康のために行うとする人が多い。一方、スポーツをしなかった理由としては、「仕事

や家事・育児等で忙しく時間がない」が30.2%で最も多く、特に、40~49歳で38.0%と多い。この年代では、運動やスポーツを行うために、仕事と余暇のバランスをとることや、育児や家事のサポートなど時間的な余裕を持たせるための仕組みづくりが必要と考えられる。

また、「運動不足を感じているか」については、「非常に強く感じている」24.7%、「感じることが多い」32.5%、「ときどき感じることがある」が27.4%で、合わせて84.6%の人が運動不足を感じている。「日常生活の中で運動やスポーツが必要だと思うか」については、「とても必要」が25.1%、「必要」が58.9%で、合わせて84.0%の人が必要と感じている。運動不足および運動やスポーツの必要性は強く認識されており、多くの人がスポーツを行うことができるよう、スポーツに親しむ機運の醸成、スポーツと

の関わりへのきっかけづくり、身近なスポーツ環境の整備などが求められる。

スポーツは自ら体を動かして行うことのほか、見て楽しむことや、ボランティアなどで参加して支えることも重要である。埼玉県には、サッカー、野球、バスケットボール、バ

レーボールなど人気の高い種目のプロスポーツチームがそろっている。それぞれのチームは、地域に密着した活動を行っており、地域の活性化、愛着度向上、対外的な認知度向上などに大きな役割を

果たしている。埼玉県民が過去1年間に会場やテレビで観戦し

たスポーツについてみると、プロ野球が最も多く、Jリーグ、陸上・駅伝・マラソン、テニス、バレーボールと続いている。地域別では、プロ野球では県西地域が最も高く、Jリーグでは県南地域が最も高いなど、本拠地を置く地域で高くなっており、プロチームの存在が、スポーツへの関心を高めていることがうかがえる。

支えるスポーツについては、総務省の調査によると、「スポーツ・文化・芸術・学術に関連したボランティア活動」を行ったとする割合は埼玉県では3.5%で、全国の3.7%を下まわり全国で36位と、現状ではやや低い状況にある。しかしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「埼玉県の都市ボランティア」の募集結果をみると、募集人数5,400人に対して、応募者数は9,650人で1.79倍と高い倍率となっている。男女別では、女性が6,230人(64.6%)で男性を上回っている。また、市町村別では、大会開催地となるさいたま市3,140人、川越市949人、朝霞市399人などで多いのが目立っている。なお、「都市ボランティア」は、競技会場や観光地までの道案内、開催期間中のイベントの運営サポート、埼玉県の魅力PRなどを行うもので、主に競技会場で活動する「大会ボランティア」とは別に募集されている。また、埼玉県では「ホストタウン」の取り組みが進められている。「ホストタウン」は東京2020オリン

ピック・パラリンピックに向けて、地域の活性化や観光振興などの観点から、参加各国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を国が登録する制度。事前トレーニングキャンプで来日した選手や大会に出場した選手との交流、パラリンピックを契機とした共生社会の実現などに取り組む団体が登録される。埼玉県では、2019年1月4日現在11の市や町が登録されている。東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にボ

ランティア活動や国際交流を活発化することにより、埼玉県においてもスポーツを支える機運が上昇、定着することが期待される。

埼玉県ではラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に「する、見る、支える」スポーツへの関心が高まり県内でスポーツ全体が活性化されることに加え、会場となる埼玉県の知名度アップや、県民の地元への愛着度向上なども期待される。さらに、県民がスポーツに親しみ、日常的に運動する機運が高まることにより、今後高齢化が進む中でも、多くの県民が長く健康な生活を送れるようになることが期待される。                (吉嶺暢嗣)

161514131211100908070605040302012000資料:国税庁、関東信越国税局「統計情報(長期時系列)」、厚生労働省「人口動態統計」(注)課税件数割合=課税件数÷死亡者数

(%) (件)

0

2

4

6

8

10

課税件数割合(全国・左目盛)課税件数割合(埼玉県・左目盛)

埼玉県の課税件数(右目盛)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

5.04.2 4.2

5.44.4

8.0 8.1

9.89.9

5.65.5

3,0532,666 3,081 3,306

6,2386,186

7.5

(年)

161514131211100908070605040302012000

資料:関東信越国税局「統計情報(長期時系列)」

(億円) (百万円)相続人一人あたり納付税額(右目盛)納付税額(左目盛)

822

15

8

1,2191,2961,341

(年)0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

0

2

4

6

8

10

12

14

16

2017201620152014201320122011

資料:国土交通省「住宅着工統計」

(戸) (%)貸家比率(貸家戸数÷新設住宅着工戸数)貸家戸数

31.233.2

35.137.5

38.940.3 40.618,570

19,93021,922

20,79622,314

24,945 24,056

(年度)0

10,000

20,000

30,000

20

30

40

50

0

50

100

150

200

250

2017201620152014201320122011201020092008

資料:法務省「登記統計年報」(注)2013年は新制度への移行期間最終年のため、登記件数が増加している

(件)

5

70 6478

176

227

172157 165 167

(年)

Page 9: りそな会報誌3月号 20190218 21 埼玉りそな経済情報2019.3 2 ZOOM UP 埼玉りそな経済情報2019.3 ズームアップ 「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などの

7 8埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

Research

スポーツには、競技や体を動かすことによる楽しみのほか、体力の増進、生活習慣病の予防、スポーツを通じたつながりや賑わいの創出、地域活性化、地域の知名度アップや地元への愛着の向上など様々な効果が知られている。わが国では、2019年秋にラグビーワールドカップ2019、2020年夏に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される。埼玉県はいずれも県内での開催が予定されており、県民のスポーツに対する関心が高まり、県内でのスポーツの活性化とスポーツを通じた様々な効果が期待されている。本稿では埼玉県におけるスポーツに係る現状に

ついてみていく。

埼玉県のスポーツ施設数は2,603(公共1,852、民間751、学校施設を除く)で、全国における順位は第5位である。種目別にみると(公共、民間合計)多いのは、野球場・ソフトボール場506、庭球場(屋外)275、多目的運動場245、体育館233などである。他都道府県と

の比較で多いのは、剣道場60、卓球場36(ともに全国1位)、ランニングコース25、サイクリングコース14(ともに全国2位)などである。今後充実を望むスポーツ施設については、公園、運動広場などが多い(埼玉県調査)。埼玉県は、スポーツ施設は多く、「特に充実させるべき施設はない」とする回答も3割以上にのぼっており、比較的充足していると考えられる。今後は手軽に運動のできる場所への要望が強い。

次に埼玉県民のスポーツ活動状況をみていく。1年間にスポーツを行ったとする人の割合(体育の授業で行うものなどを除く、以下、行動者率)をみると、埼玉県は71.7%、全国は67.7%で、全国を4.0ポイント上回っている。男女別では、男性が75.4%、女性が68.0%と男性の方が高いが、全国との比較では、女性の行動者率が高いのが目立っている。

都道府県別にみると、埼玉県のスポーツの行動者率は東京都に次いで全国第2位である。次いで、神奈川県、千葉県となっており、東京圏の1都3県が上位を占めている。一方、下位は青森県、岩手県、秋田県、山形県など東北地方の各県が占めている。スポーツの行動者率は年齢が低い方が高く、年齢構成の差や、気候の違いなども影響していると考えられる。

埼玉県のスポーツの行動者率を年齢区分別にみると、15~24歳を除くすべての年齢区分で全国を上回っている。特に、55歳以降で全国を上回る率が高くなっており、75歳以上では、全国を9.2ポイント上回っている。 埼玉県では、全国と比べスポーツを行う人が多く、特に高齢者で、その傾向が顕著である。埼玉県のスポーツの行動者率を種目別にみると、

「ウォーキング・軽い体操」45.9%、「器具を使ったトレーニング」16.0%、「登山・ハイキング」12.7%、「ジョギング・マラソン」12.6%、「ボーリング」11.5%、「水泳」10.7%などが高くなっている。

競技的な種目より、楽しみを目的とした、健康の維持・増進にも適した種目が多く、県民の健康維持に貢献しているものと推察される。埼玉県の調査により県民の意識面をみると、運動

やスポーツをする理由は、「健康や体力の維持・増進のため」が61.1%で最も多く、次いで「運動不足

土地と同様、バブル期に株価が大幅に上昇したことから、1985年に7千億円だった有価証券についても、1992年には1.5兆円と、約2倍の水準まで増加したが、その勢いは土地を下回っていた。その後は、ほぼ横ばいから微増で推移しており、2016年には2.3兆円となっている。一方、現金・預貯金等は、1985年には6千億円

だったが、2005年の2.3兆円を経て、2016年には4.9兆円となっている。現金・預貯金等は、年を追って徐々に増加している。

2016年の相続税納付税額1.9兆円を都道府県別

2013年度税制改正に伴う相続税の増税は、2015年1月から実施され、課税される件数・割合ともに大幅に増加した。相続に関しては、2018年7月の民法改正に伴って、2019年からおよそ40年ぶりとなる制度改正が順次スタートしており、こちらの面からも注目が集まっている。以下では、埼玉県における相続税の現状についてみていきたい。

相続税は、相続や遺贈によって取得した正味の財産が基礎控除の額を超える場合に、その超えた部分に対して課税される税金である。その目的の一つが「富の再分配」にあるといわれるとおり、基礎控除が設定されることで、課税対象となる人が多くなりすぎないようになっている。バブル期には、課税対象となる相続財産価額が大きく膨らんだことから、納税者の急激な負担増を避けるため、基礎控除は数回にわたって引き上げられた。1985年には、定額控除2,000万円+法定相続人一人あたり400万円だった基礎控除は、88年には、それぞれ4,000万円と800万円に、92年には4,800万円と950万円になり、94年には5,000万円

と1,000万円まで引き上げられた。その後、相続財産価額が減少に転じても、基礎控除は長く据え置かれていたが、2013年度税制改正では、定額控除3,000万円、法定相続人一人あたり600万円へと、基礎控除は40%引き下げられた。

妻と子供2人が8,000万円の財産を相続した(法定相続人が3人の)モデルケースをみると、改正前は定額控除5,000万円+1,000万円×3=8,000万円が控除されるため、全額非課税で相続税はかからなかった。それが2015年1月以降は定額控除3,000万円+600万円×3=4,800万円だけが控除され、残りの3,200万円 は課税対象となった。この基礎控除の引き下げに伴って、相続税の課税対象は広がり、課税される件数・割合ともに増加した。税制改正前の2014年には、全国の死亡者数1,273,004人に対して、課税された件数は56,239件で、その割合は4.4%だったが、改正後の2016年では、死亡者数1,307,748人に対して、課税された件数が105,880件となり、その割合は8.1%へと大幅に増えている。

1985年に9千億円だった全国の相続税納付税額は、バブル期に課税対象となる相続財産価額が膨ら

相続税対策とみられる動き

2019年から民法改正に伴う制度変更がスタート

埼玉県の課税件数割合はおよそ10件に1件

んだ結果、大幅に増加し、先にみた基礎控除引き上げなどの激変緩和措置がとられたものの、1992年には4兆円に達した。その後、バブル崩壊に伴って減少に転じた納付税額は、2004年に1兆1千憶円で底打ちした後は、小幅な増減はあるものの、ほぼ横ばい水準で推移してきた。税制改正後は、基礎控除の引き下げに伴って課

税対象が広がったことに加え、課税最高税率が50%から55%に引き上げられたこともあり、2014年に1.4兆円だった納付税額は、2015年に1.8兆円、2016年には1.9兆円へ増加している。

相続人が取得した相続財産価額についても、総額は納付税額と同様の推移をたどっているが、その内訳には若干変化がみられる。バブル期には、相続財産価額のうち、土地の占め

るウェイトが急激に高まり、1985年に4.4兆円だった土地は、ピーク時の1992年には15.5兆円と、全体のほぼ四分の三を占めるまでになった。その後、地価の下落に伴って、土地の財産価額は減少傾向をたどり、2005年には5.7兆円まで低下したが、近年はほぼ横ばい水準で推移しており、2016年には6.0兆円となっている。

●埼玉県の相続税納付税額の推移 ●埼玉県の一般社団法人設立登記件数の推移●埼玉県の新設住宅着工戸数(貸家)の推移

●相続税の課税件数と課税件数割合の推移

にみると、最も多かったのは東京都の5,359億円で、以下、神奈川県の1,999億円、愛知県の1,676億円、大阪府の1,368億円と続き、1,219億円の埼玉県は全国で5番目となっている。相続税納付税額の多い都道府県は都心部に集中しており、首都圏(一都三県)の合計が全国の約半分を占めている。

埼玉県で相続税が課税された件数は、2000年の3,053件から2014年の3,306件まで、ほぼ横ばい水準で推移していたが、税制改正後の2015年に6,186件、2016年には6,238件に増加した。埼玉県の課税件数割合(課税件数÷死亡者数)

は2015年は9.9%(全国は8.0%)、2016年は9.8%(全国は8.1%)と、およそ10件に1件の割合で相続税が課税されている。

また、埼玉県の相続税納付税額の推移をみると、2000年に1,341億円だった納付税額は、全国と同様、2005年まで減り続け、その後はほぼ横ばい水準で推移した。2014年に822億円だった納付税額は、税制改正後の2015年に1,296億円、2016年には1,219億円となった。埼玉県の相続税納付税額が増加したのは、主に

課税件数が増えたことによるもので、法定相続人

一人あたりの納付税額は減少している。2000年に15百万円だった相続人一人あたり納付税額は、税制改正後に一段と下落し、2016年には8百万円となっている。

相続税の課税対象の広がりを受けて、近年は県内でも相続税対策とみられる動きが発生した。その一つが、アパートなどの貸家建設である。保有する土地を空き地のまま保有しているよりも、アパートなどの貸家を建てて、他人に貸している方が、相続税を計算するときの評価額が低くなる。これは、自分の土地であっても、第三者に賃貸している建物にはいわゆる借家権が発生し、自由に処分することができなくなるためである。貸家の建設から管理までを一貫して行う業者と、

長期間一括の貸し出し契約を結ぶことで、安定した賃料を受け取れるといった手法が人気となったこともあり、県内でも貸家建設が大幅に増加した。2011年度に新たに建てられた県内の貸家は

18,570戸だったが、2016年度には24,945戸まで増加した。2017年度には24,056戸と、前年より若干減少したものの、新設住宅着工戸数全体に占める貸家の割合は、2011年度の31.2%から2017年

度の40.6%まで上昇している。しかし、こうした貸家建設は借りたい人の有無に関係なく実施される場合もあり、物件が十分埋まらない事態も発生する。長期間の一括借り上げ契約があっても、途中で契約内容を見直すことができる条項が含まれていて、業者から思いがけず賃料の引き下げを通告され、トラブルになるケースもあったようだ。足元では、相続税対策が一巡したこともあって、県内の貸家建設の動きは一段落している。貸家建設に加えて、一般社団法人を利用した相

続税対策がみられたのも、近年の特徴である。株式会社の財産は間接的に株主が所有しているが、2008年の公益法人制度改革で設立が容易になった一般社団法人には、株主のような所有者がいないため、一般社団法人の財産には、相続税が課税されないとされてきた。こうした点を利用して、個人が所有する財産を、一般社団法人に移転し、その理事の役職に個人の親族が就くことで、実質的に個人の財産を引き継ぐという方法が考えられた。相続税対策のために設立された一般社団法人の数は明らかではないものの、2009年に70件だった埼玉県の一般社団法人の設立登記件数は、駆け込みのあった新制度移行期間最終年の2013年以降も、2014年の172件から2017年の167件まで、高い水準で推移してきた。

埼玉県における相続税の課税件数割合が全国を上回っていることは確かだが、それでも実際に課税されるのは10件に1件の割合であり、相続人一人あたりの納付税額も減少傾向にある。税金の徴収は愉快なことではないかもしれないが、相続税対策は、手法によってはかえって受け取るべき財産を減らしてしまう可能性もある。事前に、対策をしない場合との比較検討を十分行っておくべきだろう。なお、相続に関しては、2018年7月の民法改正に伴って、2019年1月から新たな制度が順次スタートしているが、このなかで一般社団法人を使った相続税対策に新たな規制が加えられており、利用が難しくなっている点に留意が必要である。およそ40年ぶりの大幅な見直しとなった今回の相続の制度改正では、被相続人の配偶者に対して、それまで暮らしていた家の居住権が新たに認められた(施行は2020年4月)ほか、相続権のない息子の嫁に、介護等の貢献度に応じた寄与分の請求権を認める(施行は2019年7月)など様々な変更が加えられ、よりスムーズな相続が可能となっている。今回の制度変更を機に、相続の基本的な事項を確認してみられるのもいいかもしれない。 (井上博夫)

を解消するため」34.4%、「気分転換、気晴らしのため」27.6%、「肥満解消や美容のため」13.2%、「運動することが楽しい、好きだから」12.3%などとなっている。多くの人が健康のために、運動やスポーツをしている。特に、60歳以上では76.2%の人が「健康や体力の維持・増進のため」としており、高齢になるほど運動やスポーツは健康のために行うとする人が多い。一方、スポーツをしなかった理由としては、「仕事

や家事・育児等で忙しく時間がない」が30.2%で最も多く、特に、40~49歳で38.0%と多い。この年代では、運動やスポーツを行うために、仕事と余暇のバランスをとることや、育児や家事のサポートなど時間的な余裕を持たせるための仕組みづくりが必要と考えられる。

また、「運動不足を感じているか」については、「非常に強く感じている」24.7%、「感じることが多い」32.5%、「ときどき感じることがある」が27.4%で、合わせて84.6%の人が運動不足を感じている。「日常生活の中で運動やスポーツが必要だと思うか」については、「とても必要」が25.1%、「必要」が58.9%で、合わせて84.0%の人が必要と感じている。運動不足および運動やスポーツの必要性は強く認識されており、多くの人がスポーツを行うことができるよう、スポーツに親しむ機運の醸成、スポーツと

の関わりへのきっかけづくり、身近なスポーツ環境の整備などが求められる。

スポーツは自ら体を動かして行うことのほか、見て楽しむことや、ボランティアなどで参加して支えることも重要である。埼玉県には、サッカー、野球、バスケットボール、バ

レーボールなど人気の高い種目のプロスポーツチームがそろっている。それぞれのチームは、地域に密着した活動を行っており、地域の活性化、愛着度向上、対外的な認知度向上などに大きな役割を

果たしている。埼玉県民が過去1年間に会場やテレビで観戦し

たスポーツについてみると、プロ野球が最も多く、Jリーグ、陸上・駅伝・マラソン、テニス、バレーボールと続いている。地域別では、プロ野球では県西地域が最も高く、Jリーグでは県南地域が最も高いなど、本拠地を置く地域で高くなっており、プロチームの存在が、スポーツへの関心を高めていることがうかがえる。

支えるスポーツについては、総務省の調査によると、「スポーツ・文化・芸術・学術に関連したボランティア活動」を行ったとする割合は埼玉県では3.5%で、全国の3.7%を下まわり全国で36位と、現状ではやや低い状況にある。しかしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「埼玉県の都市ボランティア」の募集結果をみると、募集人数5,400人に対して、応募者数は9,650人で1.79倍と高い倍率となっている。男女別では、女性が6,230人(64.6%)で男性を上回っている。また、市町村別では、大会開催地となるさいたま市3,140人、川越市949人、朝霞市399人などで多いのが目立っている。なお、「都市ボランティア」は、競技会場や観光地までの道案内、開催期間中のイベントの運営サポート、埼玉県の魅力PRなどを行うもので、主に競技会場で活動する「大会ボランティア」とは別に募集されている。また、埼玉県では「ホストタウン」の取り組みが進められている。「ホストタウン」は東京2020オリン

ピック・パラリンピックに向けて、地域の活性化や観光振興などの観点から、参加各国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を国が登録する制度。事前トレーニングキャンプで来日した選手や大会に出場した選手との交流、パラリンピックを契機とした共生社会の実現などに取り組む団体が登録される。埼玉県では、2019年1月4日現在11の市や町が登録されている。東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にボ

ランティア活動や国際交流を活発化することにより、埼玉県においてもスポーツを支える機運が上昇、定着することが期待される。

埼玉県ではラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に「する、見る、支える」スポーツへの関心が高まり県内でスポーツ全体が活性化されることに加え、会場となる埼玉県の知名度アップや、県民の地元への愛着度向上なども期待される。さらに、県民がスポーツに親しみ、日常的に運動する機運が高まることにより、今後高齢化が進む中でも、多くの県民が長く健康な生活を送れるようになることが期待される。                (吉嶺暢嗣)

161514131211100908070605040302012000資料:国税庁、関東信越国税局「統計情報(長期時系列)」、厚生労働省「人口動態統計」(注)課税件数割合=課税件数÷死亡者数

(%) (件)

0

2

4

6

8

10

課税件数割合(全国・左目盛)課税件数割合(埼玉県・左目盛)

埼玉県の課税件数(右目盛)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

5.04.2 4.2

5.44.4

8.0 8.1

9.89.9

5.65.5

3,0532,666 3,081 3,306

6,2386,186

7.5

(年)

161514131211100908070605040302012000

資料:関東信越国税局「統計情報(長期時系列)」

(億円) (百万円)相続人一人あたり納付税額(右目盛)納付税額(左目盛)

822

15

8

1,2191,2961,341

(年)0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

0

2

4

6

8

10

12

14

16

2017201620152014201320122011

資料:国土交通省「住宅着工統計」

(戸) (%)貸家比率(貸家戸数÷新設住宅着工戸数)貸家戸数

31.233.2

35.137.5

38.940.3 40.618,570

19,93021,922

20,79622,314

24,945 24,056

(年度)0

10,000

20,000

30,000

20

30

40

50

0

50

100

150

200

250

2017201620152014201320122011201020092008

資料:法務省「登記統計年報」(注)2013年は新制度への移行期間最終年のため、登記件数が増加している

(件)

5

70 6478

176

227

172157 165 167

(年)

Page 10: りそな会報誌3月号 20190218 21 埼玉りそな経済情報2019.3 2 ZOOM UP 埼玉りそな経済情報2019.3 ズームアップ 「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などの

9 10埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

Research調査② 活性化が期待される埼玉県のスポーツ

スポーツには、競技や体を動かすことによる楽しみのほか、体力の増進、生活習慣病の予防、スポーツを通じたつながりや賑わいの創出、地域活性化、地域の知名度アップや地元への愛着の向上など様々な効果が知られている。わが国では、2019年秋にラグビーワールドカップ2019、2020年夏に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される。埼玉県はいずれも県内での開催が予定されており、県民のスポーツに対する関心が高まり、県内でのスポーツの活性化とスポーツを通じた様々な効果が期待されている。本稿では埼玉県におけるスポーツに係る現状に

ついてみていく。

埼玉県のスポーツ施設数は2,603(公共1,852、民間751、学校施設を除く)で、全国における順位は第5位である。種目別にみると(公共、民間合計)多いのは、野球場・ソフトボール場506、庭球場(屋外)275、多目的運動場245、体育館233などである。他都道府県と

の比較で多いのは、剣道場60、卓球場36(ともに全国1位)、ランニングコース25、サイクリングコース14(ともに全国2位)などである。今後充実を望むスポーツ施設については、公園、運動広場などが多い(埼玉県調査)。埼玉県は、スポーツ施設は多く、「特に充実させるべき施設はない」とする回答も3割以上にのぼっており、比較的充足していると考えられる。今後は手軽に運動のできる場所への要望が強い。

次に埼玉県民のスポーツ活動状況をみていく。1年間にスポーツを行ったとする人の割合(体育の授業で行うものなどを除く、以下、行動者率)をみると、埼玉県は71.7%、全国は67.7%で、全国を4.0ポイント上回っている。男女別では、男性が75.4%、女性が68.0%と男性の方が高いが、全国との比較では、女性の行動者率が高いのが目立っている。

都道府県別にみると、埼玉県のスポーツの行動者率は東京都に次いで全国第2位である。次いで、神奈川県、千葉県となっており、東京圏の1都3県が上位を占めている。一方、下位は青森県、岩手県、秋田県、山形県など東北地方の各県が占めている。スポーツの行動者率は年齢が低い方が高く、年齢構成の差や、気候の違いなども影響していると考えられる。

埼玉県のスポーツの行動者率を年齢区分別にみると、15~24歳を除くすべての年齢区分で全国を上回っている。特に、55歳以降で全国を上回る率が高くなっており、75歳以上では、全国を9.2ポイント上回っている。 埼玉県では、全国と比べスポーツを行う人が多く、特に高齢者で、その傾向が顕著である。埼玉県のスポーツの行動者率を種目別にみると、

「ウォーキング・軽い体操」45.9%、「器具を使ったトレーニング」16.0%、「登山・ハイキング」12.7%、「ジョギング・マラソン」12.6%、「ボーリング」11.5%、「水泳」10.7%などが高くなっている。

競技的な種目より、楽しみを目的とした、健康の維持・増進にも適した種目が多く、県民の健康維持に貢献しているものと推察される。埼玉県の調査により県民の意識面をみると、運動

やスポーツをする理由は、「健康や体力の維持・増進のため」が61.1%で最も多く、次いで「運動不足

はじめに

埼玉県のスポーツ施設

埼玉県民のスポーツ活動状況

を解消するため」34.4%、「気分転換、気晴らしのため」27.6%、「肥満解消や美容のため」13.2%、「運動することが楽しい、好きだから」12.3%などとなっている。多くの人が健康のために、運動やスポーツをしている。特に、60歳以上では76.2%の人が「健康や体力の維持・増進のため」としており、高齢になるほど運動やスポーツは健康のために行うとする人が多い。一方、スポーツをしなかった理由としては、「仕事

や家事・育児等で忙しく時間がない」が30.2%で最も多く、特に、40~49歳で38.0%と多い。この年代では、運動やスポーツを行うために、仕事と余暇のバランスをとることや、育児や家事のサポートなど時間的な余裕を持たせるための仕組みづくりが必要と考えられる。

また、「運動不足を感じているか」については、「非常に強く感じている」24.7%、「感じることが多い」32.5%、「ときどき感じることがある」が27.4%で、合わせて84.6%の人が運動不足を感じている。「日常生活の中で運動やスポーツが必要だと思うか」については、「とても必要」が25.1%、「必要」が58.9%で、合わせて84.0%の人が必要と感じている。運動不足および運動やスポーツの必要性は強く認識されており、多くの人がスポーツを行うことができるよう、スポーツに親しむ機運の醸成、スポーツと

の関わりへのきっかけづくり、身近なスポーツ環境の整備などが求められる。

スポーツは自ら体を動かして行うことのほか、見て楽しむことや、ボランティアなどで参加して支えることも重要である。埼玉県には、サッカー、野球、バスケットボール、バ

レーボールなど人気の高い種目のプロスポーツチームがそろっている。それぞれのチームは、地域に密着した活動を行っており、地域の活性化、愛着度向上、対外的な認知度向上などに大きな役割を

果たしている。埼玉県民が過去1年間に会場やテレビで観戦し

たスポーツについてみると、プロ野球が最も多く、Jリーグ、陸上・駅伝・マラソン、テニス、バレーボールと続いている。地域別では、プロ野球では県西地域が最も高く、Jリーグでは県南地域が最も高いなど、本拠地を置く地域で高くなっており、プロチームの存在が、スポーツへの関心を高めていることがうかがえる。

支えるスポーツについては、総務省の調査によると、「スポーツ・文化・芸術・学術に関連したボランティア活動」を行ったとする割合は埼玉県では3.5%で、全国の3.7%を下まわり全国で36位と、現状ではやや低い状況にある。しかしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「埼玉県の都市ボランティア」の募集結果をみると、募集人数5,400人に対して、応募者数は9,650人で1.79倍と高い倍率となっている。男女別では、女性が6,230人(64.6%)で男性を上回っている。また、市町村別では、大会開催地となるさいたま市3,140人、川越市949人、朝霞市399人などで多いのが目立っている。なお、「都市ボランティア」は、競技会場や観光地までの道案内、開催期間中のイベントの運営サポート、埼玉県の魅力PRなどを行うもので、主に競技会場で活動する「大会ボランティア」とは別に募集されている。また、埼玉県では「ホストタウン」の取り組みが進められている。「ホストタウン」は東京2020オリン

ピック・パラリンピックに向けて、地域の活性化や観光振興などの観点から、参加各国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を国が登録する制度。事前トレーニングキャンプで来日した選手や大会に出場した選手との交流、パラリンピックを契機とした共生社会の実現などに取り組む団体が登録される。埼玉県では、2019年1月4日現在11の市や町が登録されている。東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にボ

ランティア活動や国際交流を活発化することにより、埼玉県においてもスポーツを支える機運が上昇、定着することが期待される。

埼玉県ではラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に「する、見る、支える」スポーツへの関心が高まり県内でスポーツ全体が活性化されることに加え、会場となる埼玉県の知名度アップや、県民の地元への愛着度向上なども期待される。さらに、県民がスポーツに親しみ、日常的に運動する機運が高まることにより、今後高齢化が進む中でも、多くの県民が長く健康な生活を送れるようになることが期待される。                (吉嶺暢嗣)

●都道府県別スポーツ施設数順位 都道府県 公共スポーツ施設スポーツ施設計 民間スポーツ施設12345678910

5,2243,3742,8522,7332,6032,5132,4672,1152,0852,04967,706

北海道東京都長野県神奈川県埼玉県千葉県愛知県静岡県福岡県茨城県

4,4442,2912,2751,6401,8521,6651,9601,4081,5451,40952,719

7801,0835771,093751848507707540640

14,987資料:スポーツ庁「平成27年度体育・スポーツ施設現況調査」

総 数

●都道府県別スポーツの行動者率順位 都道府県 行動者率12345

東京都埼玉県神奈川県千葉県滋賀県

75.071.771.370.770.3

4344454647

新潟県山形県秋田県岩手県青森県

61.160.159.559.154.567.7

資料:総務省「平成28年社会生活基本調査」

全国

●種目別埼玉県と全国のスポーツの行動者率順位 種目 埼玉県 全国123456789101112131415

ウォーキング・軽い体操器具を使ったトレーニング登山・ハイキングジョギング・マラソンボウリング水泳ゴルフ(練習場を含む)サイクリング卓球野球(キャッチボールを含む)バドミントンつりスキー・スノーボードサッカー(フットサルを含む)テニス

45.916.012.712.611.510.79.48.47.06.56.56.56.05.54.8

42.114.910.011.211.99.38.17.65.96.35.78.25.04.94.4

資料:総務省「平成28年社会生活基本調査」

●埼玉県と全国のスポーツの行動者率全国埼玉県 埼玉県-全国

71.775.468.0

男女計男性女性

67.772.463.3

4.03.04.7

資料:総務省「平成28年社会生活基本調査」

●埼玉県と全国の年齢別スポーツの行動者率全国埼玉県 埼玉県-全国

71.777.273.974.769.672.873.358.8

年齢計15~24歳25~34歳35~44歳45~54歳55~64歳65~74歳75歳以上

67.777.572.071.168.667.169.449.6

4.0▲ 0.31.93.61.05.73.99.2

資料:総務省「平成28年社会生活基本調査」

●充実を望むスポーツ施設

0 10 20 30 40

21.5

13.8

12.4

10.8

10.6

10.6

8.8

33.2

資料:埼玉県「平成28年スポーツに関する県民意識・実態調査」

資料:埼玉県「平成28年スポーツに関する県民意識・実態調査」

公園、運動広場

プール

ハイキングコース

サイクリングコース

ランニングコース

トレーニングジム・フィットネスクラブ

特に充実させるべき施設はない

公民館(その他コミュニティー施設)

(%)

●運動やスポーツをする理由(上位5項目)

0 10 20 30 40 50 60

61.1

34.4

27.6

13.2

12.3運動することが楽しい、好きだから

肥満解消や美容のため

気分転換、気晴らしのため

運動不足を解消するため

健康や体力の維持・増進のため

(%)

(%)

(%)

(%)

(%)

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9 10埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

Research調査② 活性化が期待される埼玉県のスポーツ

スポーツには、競技や体を動かすことによる楽しみのほか、体力の増進、生活習慣病の予防、スポーツを通じたつながりや賑わいの創出、地域活性化、地域の知名度アップや地元への愛着の向上など様々な効果が知られている。わが国では、2019年秋にラグビーワールドカップ2019、2020年夏に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される。埼玉県はいずれも県内での開催が予定されており、県民のスポーツに対する関心が高まり、県内でのスポーツの活性化とスポーツを通じた様々な効果が期待されている。本稿では埼玉県におけるスポーツに係る現状に

ついてみていく。

埼玉県のスポーツ施設数は2,603(公共1,852、民間751、学校施設を除く)で、全国における順位は第5位である。種目別にみると(公共、民間合計)多いのは、野球場・ソフトボール場506、庭球場(屋外)275、多目的運動場245、体育館233などである。他都道府県と

の比較で多いのは、剣道場60、卓球場36(ともに全国1位)、ランニングコース25、サイクリングコース14(ともに全国2位)などである。今後充実を望むスポーツ施設については、公園、運動広場などが多い(埼玉県調査)。埼玉県は、スポーツ施設は多く、「特に充実させるべき施設はない」とする回答も3割以上にのぼっており、比較的充足していると考えられる。今後は手軽に運動のできる場所への要望が強い。

次に埼玉県民のスポーツ活動状況をみていく。1年間にスポーツを行ったとする人の割合(体育の授業で行うものなどを除く、以下、行動者率)をみると、埼玉県は71.7%、全国は67.7%で、全国を4.0ポイント上回っている。男女別では、男性が75.4%、女性が68.0%と男性の方が高いが、全国との比較では、女性の行動者率が高いのが目立っている。

都道府県別にみると、埼玉県のスポーツの行動者率は東京都に次いで全国第2位である。次いで、神奈川県、千葉県となっており、東京圏の1都3県が上位を占めている。一方、下位は青森県、岩手県、秋田県、山形県など東北地方の各県が占めている。スポーツの行動者率は年齢が低い方が高く、年齢構成の差や、気候の違いなども影響していると考えられる。

埼玉県のスポーツの行動者率を年齢区分別にみると、15~24歳を除くすべての年齢区分で全国を上回っている。特に、55歳以降で全国を上回る率が高くなっており、75歳以上では、全国を9.2ポイント上回っている。 埼玉県では、全国と比べスポーツを行う人が多く、特に高齢者で、その傾向が顕著である。埼玉県のスポーツの行動者率を種目別にみると、

「ウォーキング・軽い体操」45.9%、「器具を使ったトレーニング」16.0%、「登山・ハイキング」12.7%、「ジョギング・マラソン」12.6%、「ボーリング」11.5%、「水泳」10.7%などが高くなっている。

競技的な種目より、楽しみを目的とした、健康の維持・増進にも適した種目が多く、県民の健康維持に貢献しているものと推察される。埼玉県の調査により県民の意識面をみると、運動

やスポーツをする理由は、「健康や体力の維持・増進のため」が61.1%で最も多く、次いで「運動不足

はじめに

埼玉県のスポーツ施設

埼玉県民のスポーツ活動状況

を解消するため」34.4%、「気分転換、気晴らしのため」27.6%、「肥満解消や美容のため」13.2%、「運動することが楽しい、好きだから」12.3%などとなっている。多くの人が健康のために、運動やスポーツをしている。特に、60歳以上では76.2%の人が「健康や体力の維持・増進のため」としており、高齢になるほど運動やスポーツは健康のために行うとする人が多い。一方、スポーツをしなかった理由としては、「仕事

や家事・育児等で忙しく時間がない」が30.2%で最も多く、特に、40~49歳で38.0%と多い。この年代では、運動やスポーツを行うために、仕事と余暇のバランスをとることや、育児や家事のサポートなど時間的な余裕を持たせるための仕組みづくりが必要と考えられる。

また、「運動不足を感じているか」については、「非常に強く感じている」24.7%、「感じることが多い」32.5%、「ときどき感じることがある」が27.4%で、合わせて84.6%の人が運動不足を感じている。「日常生活の中で運動やスポーツが必要だと思うか」については、「とても必要」が25.1%、「必要」が58.9%で、合わせて84.0%の人が必要と感じている。運動不足および運動やスポーツの必要性は強く認識されており、多くの人がスポーツを行うことができるよう、スポーツに親しむ機運の醸成、スポーツと

の関わりへのきっかけづくり、身近なスポーツ環境の整備などが求められる。

スポーツは自ら体を動かして行うことのほか、見て楽しむことや、ボランティアなどで参加して支えることも重要である。埼玉県には、サッカー、野球、バスケットボール、バ

レーボールなど人気の高い種目のプロスポーツチームがそろっている。それぞれのチームは、地域に密着した活動を行っており、地域の活性化、愛着度向上、対外的な認知度向上などに大きな役割を

果たしている。埼玉県民が過去1年間に会場やテレビで観戦し

たスポーツについてみると、プロ野球が最も多く、Jリーグ、陸上・駅伝・マラソン、テニス、バレーボールと続いている。地域別では、プロ野球では県西地域が最も高く、Jリーグでは県南地域が最も高いなど、本拠地を置く地域で高くなっており、プロチームの存在が、スポーツへの関心を高めていることがうかがえる。

支えるスポーツについては、総務省の調査によると、「スポーツ・文化・芸術・学術に関連したボランティア活動」を行ったとする割合は埼玉県では3.5%で、全国の3.7%を下まわり全国で36位と、現状ではやや低い状況にある。しかしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「埼玉県の都市ボランティア」の募集結果をみると、募集人数5,400人に対して、応募者数は9,650人で1.79倍と高い倍率となっている。男女別では、女性が6,230人(64.6%)で男性を上回っている。また、市町村別では、大会開催地となるさいたま市3,140人、川越市949人、朝霞市399人などで多いのが目立っている。なお、「都市ボランティア」は、競技会場や観光地までの道案内、開催期間中のイベントの運営サポート、埼玉県の魅力PRなどを行うもので、主に競技会場で活動する「大会ボランティア」とは別に募集されている。また、埼玉県では「ホストタウン」の取り組みが進められている。「ホストタウン」は東京2020オリン

ピック・パラリンピックに向けて、地域の活性化や観光振興などの観点から、参加各国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を国が登録する制度。事前トレーニングキャンプで来日した選手や大会に出場した選手との交流、パラリンピックを契機とした共生社会の実現などに取り組む団体が登録される。埼玉県では、2019年1月4日現在11の市や町が登録されている。東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にボ

ランティア活動や国際交流を活発化することにより、埼玉県においてもスポーツを支える機運が上昇、定着することが期待される。

埼玉県ではラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に「する、見る、支える」スポーツへの関心が高まり県内でスポーツ全体が活性化されることに加え、会場となる埼玉県の知名度アップや、県民の地元への愛着度向上なども期待される。さらに、県民がスポーツに親しみ、日常的に運動する機運が高まることにより、今後高齢化が進む中でも、多くの県民が長く健康な生活を送れるようになることが期待される。                (吉嶺暢嗣)

●都道府県別スポーツ施設数順位 都道府県 公共スポーツ施設スポーツ施設計 民間スポーツ施設12345678910

5,2243,3742,8522,7332,6032,5132,4672,1152,0852,04967,706

北海道東京都長野県神奈川県埼玉県千葉県愛知県静岡県福岡県茨城県

4,4442,2912,2751,6401,8521,6651,9601,4081,5451,40952,719

7801,0835771,093751848507707540640

14,987資料:スポーツ庁「平成27年度体育・スポーツ施設現況調査」

総 数

●都道府県別スポーツの行動者率順位 都道府県 行動者率12345

東京都埼玉県神奈川県千葉県滋賀県

75.071.771.370.770.3

4344454647

新潟県山形県秋田県岩手県青森県

61.160.159.559.154.567.7

資料:総務省「平成28年社会生活基本調査」

全国

●種目別埼玉県と全国のスポーツの行動者率順位 種目 埼玉県 全国123456789101112131415

ウォーキング・軽い体操器具を使ったトレーニング登山・ハイキングジョギング・マラソンボウリング水泳ゴルフ(練習場を含む)サイクリング卓球野球(キャッチボールを含む)バドミントンつりスキー・スノーボードサッカー(フットサルを含む)テニス

45.916.012.712.611.510.79.48.47.06.56.56.56.05.54.8

42.114.910.011.211.99.38.17.65.96.35.78.25.04.94.4

資料:総務省「平成28年社会生活基本調査」

●埼玉県と全国のスポーツの行動者率全国埼玉県 埼玉県-全国

71.775.468.0

男女計男性女性

67.772.463.3

4.03.04.7

資料:総務省「平成28年社会生活基本調査」

●埼玉県と全国の年齢別スポーツの行動者率全国埼玉県 埼玉県-全国

71.777.273.974.769.672.873.358.8

年齢計15~24歳25~34歳35~44歳45~54歳55~64歳65~74歳75歳以上

67.777.572.071.168.667.169.449.6

4.0▲ 0.31.93.61.05.73.99.2

資料:総務省「平成28年社会生活基本調査」

●充実を望むスポーツ施設

0 10 20 30 40

21.5

13.8

12.4

10.8

10.6

10.6

8.8

33.2

資料:埼玉県「平成28年スポーツに関する県民意識・実態調査」

資料:埼玉県「平成28年スポーツに関する県民意識・実態調査」

公園、運動広場

プール

ハイキングコース

サイクリングコース

ランニングコース

トレーニングジム・フィットネスクラブ

特に充実させるべき施設はない

公民館(その他コミュニティー施設)

(%)

●運動やスポーツをする理由(上位5項目)

0 10 20 30 40 50 60

61.1

34.4

27.6

13.2

12.3運動することが楽しい、好きだから

肥満解消や美容のため

気分転換、気晴らしのため

運動不足を解消するため

健康や体力の維持・増進のため

(%)

(%)

(%)

(%)

(%)

Page 12: りそな会報誌3月号 20190218 21 埼玉りそな経済情報2019.3 2 ZOOM UP 埼玉りそな経済情報2019.3 ズームアップ 「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などの

11 12埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

Research

スポーツには、競技や体を動かすことによる楽しみのほか、体力の増進、生活習慣病の予防、スポーツを通じたつながりや賑わいの創出、地域活性化、地域の知名度アップや地元への愛着の向上など様々な効果が知られている。わが国では、2019年秋にラグビーワールドカップ2019、2020年夏に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される。埼玉県はいずれも県内での開催が予定されており、県民のスポーツに対する関心が高まり、県内でのスポーツの活性化とスポーツを通じた様々な効果が期待されている。本稿では埼玉県におけるスポーツに係る現状に

ついてみていく。

埼玉県のスポーツ施設数は2,603(公共1,852、民間751、学校施設を除く)で、全国における順位は第5位である。種目別にみると(公共、民間合計)多いのは、野球場・ソフトボール場506、庭球場(屋外)275、多目的運動場245、体育館233などである。他都道府県と

の比較で多いのは、剣道場60、卓球場36(ともに全国1位)、ランニングコース25、サイクリングコース14(ともに全国2位)などである。今後充実を望むスポーツ施設については、公園、運動広場などが多い(埼玉県調査)。埼玉県は、スポーツ施設は多く、「特に充実させるべき施設はない」とする回答も3割以上にのぼっており、比較的充足していると考えられる。今後は手軽に運動のできる場所への要望が強い。

次に埼玉県民のスポーツ活動状況をみていく。1年間にスポーツを行ったとする人の割合(体育の授業で行うものなどを除く、以下、行動者率)をみると、埼玉県は71.7%、全国は67.7%で、全国を4.0ポイント上回っている。男女別では、男性が75.4%、女性が68.0%と男性の方が高いが、全国との比較では、女性の行動者率が高いのが目立っている。

都道府県別にみると、埼玉県のスポーツの行動者率は東京都に次いで全国第2位である。次いで、神奈川県、千葉県となっており、東京圏の1都3県が上位を占めている。一方、下位は青森県、岩手県、秋田県、山形県など東北地方の各県が占めている。スポーツの行動者率は年齢が低い方が高く、年齢構成の差や、気候の違いなども影響していると考えられる。

埼玉県のスポーツの行動者率を年齢区分別にみると、15~24歳を除くすべての年齢区分で全国を上回っている。特に、55歳以降で全国を上回る率が高くなっており、75歳以上では、全国を9.2ポイント上回っている。 埼玉県では、全国と比べスポーツを行う人が多く、特に高齢者で、その傾向が顕著である。埼玉県のスポーツの行動者率を種目別にみると、

「ウォーキング・軽い体操」45.9%、「器具を使ったトレーニング」16.0%、「登山・ハイキング」12.7%、「ジョギング・マラソン」12.6%、「ボーリング」11.5%、「水泳」10.7%などが高くなっている。

競技的な種目より、楽しみを目的とした、健康の維持・増進にも適した種目が多く、県民の健康維持に貢献しているものと推察される。埼玉県の調査により県民の意識面をみると、運動

やスポーツをする理由は、「健康や体力の維持・増進のため」が61.1%で最も多く、次いで「運動不足

見るスポーツ、支えるスポーツ

おわりに

●運動不足を感じているか

●日常生活の中で運動やスポーツが必要か

を解消するため」34.4%、「気分転換、気晴らしのため」27.6%、「肥満解消や美容のため」13.2%、「運動することが楽しい、好きだから」12.3%などとなっている。多くの人が健康のために、運動やスポーツをしている。特に、60歳以上では76.2%の人が「健康や体力の維持・増進のため」としており、高齢になるほど運動やスポーツは健康のために行うとする人が多い。一方、スポーツをしなかった理由としては、「仕事

や家事・育児等で忙しく時間がない」が30.2%で最も多く、特に、40~49歳で38.0%と多い。この年代では、運動やスポーツを行うために、仕事と余暇のバランスをとることや、育児や家事のサポートなど時間的な余裕を持たせるための仕組みづくりが必要と考えられる。

また、「運動不足を感じているか」については、「非常に強く感じている」24.7%、「感じることが多い」32.5%、「ときどき感じることがある」が27.4%で、合わせて84.6%の人が運動不足を感じている。「日常生活の中で運動やスポーツが必要だと思うか」については、「とても必要」が25.1%、「必要」が58.9%で、合わせて84.0%の人が必要と感じている。運動不足および運動やスポーツの必要性は強く認識されており、多くの人がスポーツを行うことができるよう、スポーツに親しむ機運の醸成、スポーツと

の関わりへのきっかけづくり、身近なスポーツ環境の整備などが求められる。

スポーツは自ら体を動かして行うことのほか、見て楽しむことや、ボランティアなどで参加して支えることも重要である。埼玉県には、サッカー、野球、バスケットボール、バ

レーボールなど人気の高い種目のプロスポーツチームがそろっている。それぞれのチームは、地域に密着した活動を行っており、地域の活性化、愛着度向上、対外的な認知度向上などに大きな役割を

果たしている。埼玉県民が過去1年間に会場やテレビで観戦し

たスポーツについてみると、プロ野球が最も多く、Jリーグ、陸上・駅伝・マラソン、テニス、バレーボールと続いている。地域別では、プロ野球では県西地域が最も高く、Jリーグでは県南地域が最も高いなど、本拠地を置く地域で高くなっており、プロチームの存在が、スポーツへの関心を高めていることがうかがえる。

支えるスポーツについては、総務省の調査によると、「スポーツ・文化・芸術・学術に関連したボランティア活動」を行ったとする割合は埼玉県では3.5%で、全国の3.7%を下まわり全国で36位と、現状ではやや低い状況にある。しかしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「埼玉県の都市ボランティア」の募集結果をみると、募集人数5,400人に対して、応募者数は9,650人で1.79倍と高い倍率となっている。男女別では、女性が6,230人(64.6%)で男性を上回っている。また、市町村別では、大会開催地となるさいたま市3,140人、川越市949人、朝霞市399人などで多いのが目立っている。なお、「都市ボランティア」は、競技会場や観光地までの道案内、開催期間中のイベントの運営サポート、埼玉県の魅力PRなどを行うもので、主に競技会場で活動する「大会ボランティア」とは別に募集されている。また、埼玉県では「ホストタウン」の取り組みが進められている。「ホストタウン」は東京2020オリン

ピック・パラリンピックに向けて、地域の活性化や観光振興などの観点から、参加各国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を国が登録する制度。事前トレーニングキャンプで来日した選手や大会に出場した選手との交流、パラリンピックを契機とした共生社会の実現などに取り組む団体が登録される。埼玉県では、2019年1月4日現在11の市や町が登録されている。東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にボ

ランティア活動や国際交流を活発化することにより、埼玉県においてもスポーツを支える機運が上昇、定着することが期待される。

埼玉県ではラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に「する、見る、支える」スポーツへの関心が高まり県内でスポーツ全体が活性化されることに加え、会場となる埼玉県の知名度アップや、県民の地元への愛着度向上なども期待される。さらに、県民がスポーツに親しみ、日常的に運動する機運が高まることにより、今後高齢化が進む中でも、多くの県民が長く健康な生活を送れるようになることが期待される。                (吉嶺暢嗣)

●埼玉県のプロスポーツチーム種目名称 ホーム

浦和レッドダイヤモンズ大宮アルディージャ埼玉ブロンコス埼玉西武ライオンズ埼玉アストライア武蔵ヒートベアーズ上尾メディックス

サッカーサッカーバスケットボール野球野球野球バレーボール

さいたま市さいたま市所沢市所沢市埼玉県熊谷市上尾市

資料:埼玉県HPより作成

●過去1年間に会場やテレビで観戦したスポーツ全体 県東 県西 県南 県北49.832.330.127.024.8

48.431.230.327.727.3

56.427.631.929.026.0

47.335.927.826.121.2

50.028.537.324.133.3

プロ野球Jリーグ陸上・駅伝・マラソンテニスバレーボール

(注)網掛けは最も高い地域資料:埼玉県「平成28年スポーツに関する県民意識・実態調査」

●埼玉県におけるホストタウン一覧交流相手国ホストタウン 合宿等が予定される主な競技

本庄市富士見市幸手市三芳町埼玉県・所沢市埼玉県・加須市鶴ヶ島市さいたま市埼玉県・新座市三郷市寄居町

トルコセルビアベナンオランダイタリアコロンビアミャンマーオランダブラジルギリシャブータン

5人制サッカー(ブラインドサッカー)ハンドボール、レスリング検討中柔道陸上、水泳、フェンシング陸上、ボクシング、レスリング陸上、水泳、柔道空手陸上、ボクシング、レスリング陸上陸上

資料:埼玉県ホームページ等より作成

資料:埼玉県「平成28年スポーツに関する県民意識・実態調査」

●運動やスポーツをしなかった理由(上位5項目)

0 10 20 30

30.2

21.1

20.4

20.3

18.4体力に自信がない

費用がかかる(金銭的な余裕がない)

スポーツが苦手

運動やスポーツは好きでない、興味がない

仕事や家事・育児等で忙しく時間がない

(%)

非常に強く感じているときどき感じることがあるまったく感じることはない

感じることが多いあまり感じることはない

とても必要 必要必要ない わからない

あまり必要ない

資料:埼玉県「平成28年スポーツに関する県民意識・実態調査」

資料:埼玉県「平成28年スポーツに関する県民意識・実態調査」

0%

24.7 4.710.727.432.5

20% 40% 60% 80% 100%

0%

25.1 5.09.5

1.4

58.9

20% 40% 60% 80% 100%

(%)

Page 13: りそな会報誌3月号 20190218 21 埼玉りそな経済情報2019.3 2 ZOOM UP 埼玉りそな経済情報2019.3 ズームアップ 「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などの

11 12埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

Research

スポーツには、競技や体を動かすことによる楽しみのほか、体力の増進、生活習慣病の予防、スポーツを通じたつながりや賑わいの創出、地域活性化、地域の知名度アップや地元への愛着の向上など様々な効果が知られている。わが国では、2019年秋にラグビーワールドカップ2019、2020年夏に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される。埼玉県はいずれも県内での開催が予定されており、県民のスポーツに対する関心が高まり、県内でのスポーツの活性化とスポーツを通じた様々な効果が期待されている。本稿では埼玉県におけるスポーツに係る現状に

ついてみていく。

埼玉県のスポーツ施設数は2,603(公共1,852、民間751、学校施設を除く)で、全国における順位は第5位である。種目別にみると(公共、民間合計)多いのは、野球場・ソフトボール場506、庭球場(屋外)275、多目的運動場245、体育館233などである。他都道府県と

の比較で多いのは、剣道場60、卓球場36(ともに全国1位)、ランニングコース25、サイクリングコース14(ともに全国2位)などである。今後充実を望むスポーツ施設については、公園、運動広場などが多い(埼玉県調査)。埼玉県は、スポーツ施設は多く、「特に充実させるべき施設はない」とする回答も3割以上にのぼっており、比較的充足していると考えられる。今後は手軽に運動のできる場所への要望が強い。

次に埼玉県民のスポーツ活動状況をみていく。1年間にスポーツを行ったとする人の割合(体育の授業で行うものなどを除く、以下、行動者率)をみると、埼玉県は71.7%、全国は67.7%で、全国を4.0ポイント上回っている。男女別では、男性が75.4%、女性が68.0%と男性の方が高いが、全国との比較では、女性の行動者率が高いのが目立っている。

都道府県別にみると、埼玉県のスポーツの行動者率は東京都に次いで全国第2位である。次いで、神奈川県、千葉県となっており、東京圏の1都3県が上位を占めている。一方、下位は青森県、岩手県、秋田県、山形県など東北地方の各県が占めている。スポーツの行動者率は年齢が低い方が高く、年齢構成の差や、気候の違いなども影響していると考えられる。

埼玉県のスポーツの行動者率を年齢区分別にみると、15~24歳を除くすべての年齢区分で全国を上回っている。特に、55歳以降で全国を上回る率が高くなっており、75歳以上では、全国を9.2ポイント上回っている。 埼玉県では、全国と比べスポーツを行う人が多く、特に高齢者で、その傾向が顕著である。埼玉県のスポーツの行動者率を種目別にみると、

「ウォーキング・軽い体操」45.9%、「器具を使ったトレーニング」16.0%、「登山・ハイキング」12.7%、「ジョギング・マラソン」12.6%、「ボーリング」11.5%、「水泳」10.7%などが高くなっている。

競技的な種目より、楽しみを目的とした、健康の維持・増進にも適した種目が多く、県民の健康維持に貢献しているものと推察される。埼玉県の調査により県民の意識面をみると、運動

やスポーツをする理由は、「健康や体力の維持・増進のため」が61.1%で最も多く、次いで「運動不足

見るスポーツ、支えるスポーツ

おわりに

●運動不足を感じているか

●日常生活の中で運動やスポーツが必要か

を解消するため」34.4%、「気分転換、気晴らしのため」27.6%、「肥満解消や美容のため」13.2%、「運動することが楽しい、好きだから」12.3%などとなっている。多くの人が健康のために、運動やスポーツをしている。特に、60歳以上では76.2%の人が「健康や体力の維持・増進のため」としており、高齢になるほど運動やスポーツは健康のために行うとする人が多い。一方、スポーツをしなかった理由としては、「仕事

や家事・育児等で忙しく時間がない」が30.2%で最も多く、特に、40~49歳で38.0%と多い。この年代では、運動やスポーツを行うために、仕事と余暇のバランスをとることや、育児や家事のサポートなど時間的な余裕を持たせるための仕組みづくりが必要と考えられる。

また、「運動不足を感じているか」については、「非常に強く感じている」24.7%、「感じることが多い」32.5%、「ときどき感じることがある」が27.4%で、合わせて84.6%の人が運動不足を感じている。「日常生活の中で運動やスポーツが必要だと思うか」については、「とても必要」が25.1%、「必要」が58.9%で、合わせて84.0%の人が必要と感じている。運動不足および運動やスポーツの必要性は強く認識されており、多くの人がスポーツを行うことができるよう、スポーツに親しむ機運の醸成、スポーツと

の関わりへのきっかけづくり、身近なスポーツ環境の整備などが求められる。

スポーツは自ら体を動かして行うことのほか、見て楽しむことや、ボランティアなどで参加して支えることも重要である。埼玉県には、サッカー、野球、バスケットボール、バ

レーボールなど人気の高い種目のプロスポーツチームがそろっている。それぞれのチームは、地域に密着した活動を行っており、地域の活性化、愛着度向上、対外的な認知度向上などに大きな役割を

果たしている。埼玉県民が過去1年間に会場やテレビで観戦し

たスポーツについてみると、プロ野球が最も多く、Jリーグ、陸上・駅伝・マラソン、テニス、バレーボールと続いている。地域別では、プロ野球では県西地域が最も高く、Jリーグでは県南地域が最も高いなど、本拠地を置く地域で高くなっており、プロチームの存在が、スポーツへの関心を高めていることがうかがえる。

支えるスポーツについては、総務省の調査によると、「スポーツ・文化・芸術・学術に関連したボランティア活動」を行ったとする割合は埼玉県では3.5%で、全国の3.7%を下まわり全国で36位と、現状ではやや低い状況にある。しかしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「埼玉県の都市ボランティア」の募集結果をみると、募集人数5,400人に対して、応募者数は9,650人で1.79倍と高い倍率となっている。男女別では、女性が6,230人(64.6%)で男性を上回っている。また、市町村別では、大会開催地となるさいたま市3,140人、川越市949人、朝霞市399人などで多いのが目立っている。なお、「都市ボランティア」は、競技会場や観光地までの道案内、開催期間中のイベントの運営サポート、埼玉県の魅力PRなどを行うもので、主に競技会場で活動する「大会ボランティア」とは別に募集されている。また、埼玉県では「ホストタウン」の取り組みが進められている。「ホストタウン」は東京2020オリン

ピック・パラリンピックに向けて、地域の活性化や観光振興などの観点から、参加各国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を国が登録する制度。事前トレーニングキャンプで来日した選手や大会に出場した選手との交流、パラリンピックを契機とした共生社会の実現などに取り組む団体が登録される。埼玉県では、2019年1月4日現在11の市や町が登録されている。東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にボ

ランティア活動や国際交流を活発化することにより、埼玉県においてもスポーツを支える機運が上昇、定着することが期待される。

埼玉県ではラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に「する、見る、支える」スポーツへの関心が高まり県内でスポーツ全体が活性化されることに加え、会場となる埼玉県の知名度アップや、県民の地元への愛着度向上なども期待される。さらに、県民がスポーツに親しみ、日常的に運動する機運が高まることにより、今後高齢化が進む中でも、多くの県民が長く健康な生活を送れるようになることが期待される。                (吉嶺暢嗣)

●埼玉県のプロスポーツチーム種目名称 ホーム

浦和レッドダイヤモンズ大宮アルディージャ埼玉ブロンコス埼玉西武ライオンズ埼玉アストライア武蔵ヒートベアーズ上尾メディックス

サッカーサッカーバスケットボール野球野球野球バレーボール

さいたま市さいたま市所沢市所沢市埼玉県熊谷市上尾市

資料:埼玉県HPより作成

●過去1年間に会場やテレビで観戦したスポーツ全体 県東 県西 県南 県北49.832.330.127.024.8

48.431.230.327.727.3

56.427.631.929.026.0

47.335.927.826.121.2

50.028.537.324.133.3

プロ野球Jリーグ陸上・駅伝・マラソンテニスバレーボール

(注)網掛けは最も高い地域資料:埼玉県「平成28年スポーツに関する県民意識・実態調査」

●埼玉県におけるホストタウン一覧交流相手国ホストタウン 合宿等が予定される主な競技

本庄市富士見市幸手市三芳町埼玉県・所沢市埼玉県・加須市鶴ヶ島市さいたま市埼玉県・新座市三郷市寄居町

トルコセルビアベナンオランダイタリアコロンビアミャンマーオランダブラジルギリシャブータン

5人制サッカー(ブラインドサッカー)ハンドボール、レスリング検討中柔道陸上、水泳、フェンシング陸上、ボクシング、レスリング陸上、水泳、柔道空手陸上、ボクシング、レスリング陸上陸上

資料:埼玉県ホームページ等より作成

資料:埼玉県「平成28年スポーツに関する県民意識・実態調査」

●運動やスポーツをしなかった理由(上位5項目)

0 10 20 30

30.2

21.1

20.4

20.3

18.4体力に自信がない

費用がかかる(金銭的な余裕がない)

スポーツが苦手

運動やスポーツは好きでない、興味がない

仕事や家事・育児等で忙しく時間がない

(%)

非常に強く感じているときどき感じることがあるまったく感じることはない

感じることが多いあまり感じることはない

とても必要 必要必要ない わからない

あまり必要ない

資料:埼玉県「平成28年スポーツに関する県民意識・実態調査」

資料:埼玉県「平成28年スポーツに関する県民意識・実態調査」

0%

24.7 4.710.727.432.5

20% 40% 60% 80% 100%

0%

25.1 5.09.5

1.4

58.9

20% 40% 60% 80% 100%

(%)

Page 14: りそな会報誌3月号 20190218 21 埼玉りそな経済情報2019.3 2 ZOOM UP 埼玉りそな経済情報2019.3 ズームアップ 「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などの

13 14埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

アンケート調査

埼玉県内企業経営動向調査

国内景気 業界景気 自社業況 売上高(現状)最近(2019年1月中旬)の国内景気に対する見方

は、「上昇」8%、「下降」15%で、BSI(「上昇」-「下降」の企業割合)は▲7となり、前回調査(2018年10月)の+5から12ポイントの悪化となった。BSIがマイナスとなるのは2016年10月調査以来である。昨年末に株価が大幅に下がったことや、米中貿易摩擦、中国経済の減速などもあり、国内景気に対する見方は厳しくなっている。業種別にみると、製造業はBSI▲4で前回調査の

+5から9ポイントの悪化、非製造業は▲7で前回調査の+5から12ポイントの悪化となった。(先行き)先行き(約6カ月後)については、「上昇」8%、「下降」30%で、BSIは▲22と現状から15ポイントの悪化となった。先行きについては、さらに厳しい見方が増えている。業種別では、製造業はBSI▲24で現状から20ポイ

ントの悪化、非製造業は▲21で14ポイントの悪化となった。

(現状)最近の自社業界の景気に対する見方は、「上昇」10%、「下降」18%で、BSIは▲8となり、前回調査の▲9から1ポイントの改善となった。国内景気のBSIは大きく悪化したが、業界景気のB

SIはほぼ横ばいで、景気減速の懸念が強まっているものの、業界景気には及んでいないと見ているようだ。業種別にみると、製造業はBSI▲8で前回調査の▲8から横ばい、非製造業は▲8で前回調査の▲9から1ポイントの改善となった。(先行き)先行きについては「上昇」8%、「下降」28%で、BSI

は▲20と現状から12ポイントの悪化となった。業界景気の先行きについて、国内景気同様「悪化」とするところが多くなり、慎重な見方が強くなっている。業種別では、製造業はBSI▲24で現状から16ポイ

ントの悪化、非製造業は▲17で9ポイントの悪化となった。

(現状)最近の自社の業況に対する見方は、「良い」とする企業26%、「悪い」とする企業7%で、BSI(「良い」-「悪い」の企業割合)は+19となり、前回調査の+14から5ポイントの改善となった。自社業況のBSIは2018年4月調査以降3期連続で悪化したが、今回改善となった。国内景気に対する見方は厳しくなっているが、自社業況については、引き続き「良い」とするところが多い。業種別にみると、製造業はBSI+18で前回調査の+16から2ポイントの改善、非製造業は+19で前回調査の+12から7ポイントの改善となった。(先行き)先行きについては、「良い」20%に対し、「悪い」8%、

BSIは+12と現状から7ポイントの悪化ながらプラスを維持している。国内景気の先行きの見方が大きく悪化しているのに対し、自社の業況については、底堅い動きが続くとみている。業種別では、製造業はBSIが+12で現状から6ポイ

ントの悪化、非製造業は+12で7ポイントの悪化となっている。

(現状)2018年10~12月期の売上高は、季調済BSI(「増加」-「減少」の企業割合、季節調整済)が+4となり、前回調査対象期間(2018年7~9月期)の+9から5ポイントの悪化となった。売上高のBSIは3期ぶりの悪化となったが、BSIはプ

ラスを持続している。BSIは、2016年1~3月期以降12期連続でプラスを維持しており、景気の緩やかな回復基調が続くなか、売上高の増加が続いている。業種別にみると、製造業はBSI+4で前回調査の+11から7ポイントの悪化、非製造業は+4で前回調査の+6から2ポイントの悪化となった。(先行き)先行きについては、2019年1~3月期のBSIが+3、4~6月期は+8となり、増加が続くと見込むところが多い。業種別では、製造業が2018年10~12月期、2019

年1~3月期、4~6月期に+4→▲4→+7、非製造業では+4→+4→+7となっている。

国内景気の見方は厳しさ増すが、自社の業況は底堅さ続く

スポーツには、競技や体を動かすことによる楽しみのほか、体力の増進、生活習慣病の予防、スポーツを通じたつながりや賑わいの創出、地域活性化、地域の知名度アップや地元への愛着の向上など様々な効果が知られている。わが国では、2019年秋にラグビーワールドカップ2019、2020年夏に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される。埼玉県はいずれも県内での開催が予定されており、県民のスポーツに対する関心が高まり、県内でのスポーツの活性化とスポーツを通じた様々な効果が期待されている。本稿では埼玉県におけるスポーツに係る現状に

ついてみていく。

埼玉県のスポーツ施設数は2,603(公共1,852、民間751、学校施設を除く)で、全国における順位は第5位である。種目別にみると(公共、民間合計)多いのは、野球場・ソフトボール場506、庭球場(屋外)275、多目的運動場245、体育館233などである。他都道府県と

の比較で多いのは、剣道場60、卓球場36(ともに全国1位)、ランニングコース25、サイクリングコース14(ともに全国2位)などである。今後充実を望むスポーツ施設については、公園、運動広場などが多い(埼玉県調査)。埼玉県は、スポーツ施設は多く、「特に充実させるべき施設はない」とする回答も3割以上にのぼっており、比較的充足していると考えられる。今後は手軽に運動のできる場所への要望が強い。

次に埼玉県民のスポーツ活動状況をみていく。1年間にスポーツを行ったとする人の割合(体育の授業で行うものなどを除く、以下、行動者率)をみると、埼玉県は71.7%、全国は67.7%で、全国を4.0ポイント上回っている。男女別では、男性が75.4%、女性が68.0%と男性の方が高いが、全国との比較では、女性の行動者率が高いのが目立っている。

都道府県別にみると、埼玉県のスポーツの行動者率は東京都に次いで全国第2位である。次いで、神奈川県、千葉県となっており、東京圏の1都3県が上位を占めている。一方、下位は青森県、岩手県、秋田県、山形県など東北地方の各県が占めている。スポーツの行動者率は年齢が低い方が高く、年齢構成の差や、気候の違いなども影響していると考えられる。

埼玉県のスポーツの行動者率を年齢区分別にみると、15~24歳を除くすべての年齢区分で全国を上回っている。特に、55歳以降で全国を上回る率が高くなっており、75歳以上では、全国を9.2ポイント上回っている。 埼玉県では、全国と比べスポーツを行う人が多く、特に高齢者で、その傾向が顕著である。埼玉県のスポーツの行動者率を種目別にみると、

「ウォーキング・軽い体操」45.9%、「器具を使ったトレーニング」16.0%、「登山・ハイキング」12.7%、「ジョギング・マラソン」12.6%、「ボーリング」11.5%、「水泳」10.7%などが高くなっている。

競技的な種目より、楽しみを目的とした、健康の維持・増進にも適した種目が多く、県民の健康維持に貢献しているものと推察される。埼玉県の調査により県民の意識面をみると、運動

やスポーツをする理由は、「健康や体力の維持・増進のため」が61.1%で最も多く、次いで「運動不足

を解消するため」34.4%、「気分転換、気晴らしのため」27.6%、「肥満解消や美容のため」13.2%、「運動することが楽しい、好きだから」12.3%などとなっている。多くの人が健康のために、運動やスポーツをしている。特に、60歳以上では76.2%の人が「健康や体力の維持・増進のため」としており、高齢になるほど運動やスポーツは健康のために行うとする人が多い。一方、スポーツをしなかった理由としては、「仕事

や家事・育児等で忙しく時間がない」が30.2%で最も多く、特に、40~49歳で38.0%と多い。この年代では、運動やスポーツを行うために、仕事と余暇のバランスをとることや、育児や家事のサポートなど時間的な余裕を持たせるための仕組みづくりが必要と考えられる。

また、「運動不足を感じているか」については、「非常に強く感じている」24.7%、「感じることが多い」32.5%、「ときどき感じることがある」が27.4%で、合わせて84.6%の人が運動不足を感じている。「日常生活の中で運動やスポーツが必要だと思うか」については、「とても必要」が25.1%、「必要」が58.9%で、合わせて84.0%の人が必要と感じている。運動不足および運動やスポーツの必要性は強く認識されており、多くの人がスポーツを行うことができるよう、スポーツに親しむ機運の醸成、スポーツと

の関わりへのきっかけづくり、身近なスポーツ環境の整備などが求められる。

スポーツは自ら体を動かして行うことのほか、見て楽しむことや、ボランティアなどで参加して支えることも重要である。埼玉県には、サッカー、野球、バスケットボール、バ

レーボールなど人気の高い種目のプロスポーツチームがそろっている。それぞれのチームは、地域に密着した活動を行っており、地域の活性化、愛着度向上、対外的な認知度向上などに大きな役割を

果たしている。埼玉県民が過去1年間に会場やテレビで観戦し

たスポーツについてみると、プロ野球が最も多く、Jリーグ、陸上・駅伝・マラソン、テニス、バレーボールと続いている。地域別では、プロ野球では県西地域が最も高く、Jリーグでは県南地域が最も高いなど、本拠地を置く地域で高くなっており、プロチームの存在が、スポーツへの関心を高めていることがうかがえる。

支えるスポーツについては、総務省の調査によると、「スポーツ・文化・芸術・学術に関連したボランティア活動」を行ったとする割合は埼玉県では3.5%で、全国の3.7%を下まわり全国で36位と、現状ではやや低い状況にある。しかしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「埼玉県の都市ボランティア」の募集結果をみると、募集人数5,400人に対して、応募者数は9,650人で1.79倍と高い倍率となっている。男女別では、女性が6,230人(64.6%)で男性を上回っている。また、市町村別では、大会開催地となるさいたま市3,140人、川越市949人、朝霞市399人などで多いのが目立っている。なお、「都市ボランティア」は、競技会場や観光地までの道案内、開催期間中のイベントの運営サポート、埼玉県の魅力PRなどを行うもので、主に競技会場で活動する「大会ボランティア」とは別に募集されている。また、埼玉県では「ホストタウン」の取り組みが進められている。「ホストタウン」は東京2020オリン

ピック・パラリンピックに向けて、地域の活性化や観光振興などの観点から、参加各国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を国が登録する制度。事前トレーニングキャンプで来日した選手や大会に出場した選手との交流、パラリンピックを契機とした共生社会の実現などに取り組む団体が登録される。埼玉県では、2019年1月4日現在11の市や町が登録されている。東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にボ

ランティア活動や国際交流を活発化することにより、埼玉県においてもスポーツを支える機運が上昇、定着することが期待される。

埼玉県ではラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に「する、見る、支える」スポーツへの関心が高まり県内でスポーツ全体が活性化されることに加え、会場となる埼玉県の知名度アップや、県民の地元への愛着度向上なども期待される。さらに、県民がスポーツに親しみ、日常的に運動する機運が高まることにより、今後高齢化が進む中でも、多くの県民が長く健康な生活を送れるようになることが期待される。                (吉嶺暢嗣)

-40-30-20-10010203040

●国内景気 ●業界景気 ●自社業況 ●売上高実績BSI(上昇ー下降) 見通し

構成比(%) 構成比(%)

7月2019年

10月7月2016年 2017年 (約6カ月後)

1月 4月 先行き10月 10月1月 4月2018年1月 4月 7月 1月 7月 10月7月

2016年 2017年 (約6カ月後)1月 4月 先行き10月 10月1月

2019年1月4月

2018年1月 4月 7月 7月 10月7月

2016年 2017年 (約6カ月後)1月 4月 先行き10月 10月1月

2019年1月4月

2018年1月 4月 7月

11

82

8

7

86

7

12

82

7

11

85

4

28

71

1

16

77

6

15

76

9

8 8

63

30

77

15

9

79

13

2

66

32

11

83

6

4

68

27

4

79

17

上昇

下降

変わらない

実績 先行き

実績BSI(上昇ー下降) 見通し 実績BSI(良いー悪い) 見通し 実績BSI(増加ー減少)季調済 見通し

0 3 75 6

27

▲7

5

▲22

▲4

▲30

▲23

10

▲13

-10

0

10

20

30

構成比(%)良い

悪い

さほど良くない

実績 先行き

16 1720

14

28

1820

14

19

121110

16

8

-30

-20

-10

0

10

20

上昇

下降

変わらない

実績 先行き

▲14

▲7 ▲5

8

▲2

▲6 ▲3

▲9

▲8

▲20

▲18

▲27▲26▲20

24

68

8

29

60

12

28

64

8

24

66

10

34

61

6

26

67

7

28

64

8

26

66

8

20

72

8

23

64

13

22

68

11

23

68

9

21

66

13

24

68

8-10

0

10

20

4

9 9

43

8

▲5

3

▲8

0

7

1

10

2

10

1

7

10

6

74

20

9

75

16

11

73

16

10

74

16

19

71

11

10

72

8

64

2818

11

75

14

12

74

14

6

70

24

4

66

30

9

73

18

4

64

31

8

65

28

2019年10~12月期

10~12月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

1~3月期

4~6月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

1~3月期

2015年 2016年 2017年 2018年4~6月期

1~3月期

7~9月期

Page 15: りそな会報誌3月号 20190218 21 埼玉りそな経済情報2019.3 2 ZOOM UP 埼玉りそな経済情報2019.3 ズームアップ 「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などの

13 14埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

アンケート調査

埼玉県内企業経営動向調査

国内景気 業界景気 自社業況 売上高(現状)最近(2019年1月中旬)の国内景気に対する見方

は、「上昇」8%、「下降」15%で、BSI(「上昇」-「下降」の企業割合)は▲7となり、前回調査(2018年10月)の+5から12ポイントの悪化となった。BSIがマイナスとなるのは2016年10月調査以来である。昨年末に株価が大幅に下がったことや、米中貿易摩擦、中国経済の減速などもあり、国内景気に対する見方は厳しくなっている。業種別にみると、製造業はBSI▲4で前回調査の

+5から9ポイントの悪化、非製造業は▲7で前回調査の+5から12ポイントの悪化となった。(先行き)先行き(約6カ月後)については、「上昇」8%、「下降」30%で、BSIは▲22と現状から15ポイントの悪化となった。先行きについては、さらに厳しい見方が増えている。業種別では、製造業はBSI▲24で現状から20ポイ

ントの悪化、非製造業は▲21で14ポイントの悪化となった。

(現状)最近の自社業界の景気に対する見方は、「上昇」10%、「下降」18%で、BSIは▲8となり、前回調査の▲9から1ポイントの改善となった。国内景気のBSIは大きく悪化したが、業界景気のB

SIはほぼ横ばいで、景気減速の懸念が強まっているものの、業界景気には及んでいないと見ているようだ。業種別にみると、製造業はBSI▲8で前回調査の▲8から横ばい、非製造業は▲8で前回調査の▲9から1ポイントの改善となった。(先行き)先行きについては「上昇」8%、「下降」28%で、BSI

は▲20と現状から12ポイントの悪化となった。業界景気の先行きについて、国内景気同様「悪化」とするところが多くなり、慎重な見方が強くなっている。業種別では、製造業はBSI▲24で現状から16ポイ

ントの悪化、非製造業は▲17で9ポイントの悪化となった。

(現状)最近の自社の業況に対する見方は、「良い」とする企業26%、「悪い」とする企業7%で、BSI(「良い」-「悪い」の企業割合)は+19となり、前回調査の+14から5ポイントの改善となった。自社業況のBSIは2018年4月調査以降3期連続で悪化したが、今回改善となった。国内景気に対する見方は厳しくなっているが、自社業況については、引き続き「良い」とするところが多い。業種別にみると、製造業はBSI+18で前回調査の+16から2ポイントの改善、非製造業は+19で前回調査の+12から7ポイントの改善となった。(先行き)先行きについては、「良い」20%に対し、「悪い」8%、

BSIは+12と現状から7ポイントの悪化ながらプラスを維持している。国内景気の先行きの見方が大きく悪化しているのに対し、自社の業況については、底堅い動きが続くとみている。業種別では、製造業はBSIが+12で現状から6ポイ

ントの悪化、非製造業は+12で7ポイントの悪化となっている。

(現状)2018年10~12月期の売上高は、季調済BSI(「増加」-「減少」の企業割合、季節調整済)が+4となり、前回調査対象期間(2018年7~9月期)の+9から5ポイントの悪化となった。売上高のBSIは3期ぶりの悪化となったが、BSIはプ

ラスを持続している。BSIは、2016年1~3月期以降12期連続でプラスを維持しており、景気の緩やかな回復基調が続くなか、売上高の増加が続いている。業種別にみると、製造業はBSI+4で前回調査の+11から7ポイントの悪化、非製造業は+4で前回調査の+6から2ポイントの悪化となった。(先行き)先行きについては、2019年1~3月期のBSIが+3、4~6月期は+8となり、増加が続くと見込むところが多い。業種別では、製造業が2018年10~12月期、2019

年1~3月期、4~6月期に+4→▲4→+7、非製造業では+4→+4→+7となっている。

国内景気の見方は厳しさ増すが、自社の業況は底堅さ続く

スポーツには、競技や体を動かすことによる楽しみのほか、体力の増進、生活習慣病の予防、スポーツを通じたつながりや賑わいの創出、地域活性化、地域の知名度アップや地元への愛着の向上など様々な効果が知られている。わが国では、2019年秋にラグビーワールドカップ2019、2020年夏に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される。埼玉県はいずれも県内での開催が予定されており、県民のスポーツに対する関心が高まり、県内でのスポーツの活性化とスポーツを通じた様々な効果が期待されている。本稿では埼玉県におけるスポーツに係る現状に

ついてみていく。

埼玉県のスポーツ施設数は2,603(公共1,852、民間751、学校施設を除く)で、全国における順位は第5位である。種目別にみると(公共、民間合計)多いのは、野球場・ソフトボール場506、庭球場(屋外)275、多目的運動場245、体育館233などである。他都道府県と

の比較で多いのは、剣道場60、卓球場36(ともに全国1位)、ランニングコース25、サイクリングコース14(ともに全国2位)などである。今後充実を望むスポーツ施設については、公園、運動広場などが多い(埼玉県調査)。埼玉県は、スポーツ施設は多く、「特に充実させるべき施設はない」とする回答も3割以上にのぼっており、比較的充足していると考えられる。今後は手軽に運動のできる場所への要望が強い。

次に埼玉県民のスポーツ活動状況をみていく。1年間にスポーツを行ったとする人の割合(体育の授業で行うものなどを除く、以下、行動者率)をみると、埼玉県は71.7%、全国は67.7%で、全国を4.0ポイント上回っている。男女別では、男性が75.4%、女性が68.0%と男性の方が高いが、全国との比較では、女性の行動者率が高いのが目立っている。

都道府県別にみると、埼玉県のスポーツの行動者率は東京都に次いで全国第2位である。次いで、神奈川県、千葉県となっており、東京圏の1都3県が上位を占めている。一方、下位は青森県、岩手県、秋田県、山形県など東北地方の各県が占めている。スポーツの行動者率は年齢が低い方が高く、年齢構成の差や、気候の違いなども影響していると考えられる。

埼玉県のスポーツの行動者率を年齢区分別にみると、15~24歳を除くすべての年齢区分で全国を上回っている。特に、55歳以降で全国を上回る率が高くなっており、75歳以上では、全国を9.2ポイント上回っている。 埼玉県では、全国と比べスポーツを行う人が多く、特に高齢者で、その傾向が顕著である。埼玉県のスポーツの行動者率を種目別にみると、

「ウォーキング・軽い体操」45.9%、「器具を使ったトレーニング」16.0%、「登山・ハイキング」12.7%、「ジョギング・マラソン」12.6%、「ボーリング」11.5%、「水泳」10.7%などが高くなっている。

競技的な種目より、楽しみを目的とした、健康の維持・増進にも適した種目が多く、県民の健康維持に貢献しているものと推察される。埼玉県の調査により県民の意識面をみると、運動

やスポーツをする理由は、「健康や体力の維持・増進のため」が61.1%で最も多く、次いで「運動不足

を解消するため」34.4%、「気分転換、気晴らしのため」27.6%、「肥満解消や美容のため」13.2%、「運動することが楽しい、好きだから」12.3%などとなっている。多くの人が健康のために、運動やスポーツをしている。特に、60歳以上では76.2%の人が「健康や体力の維持・増進のため」としており、高齢になるほど運動やスポーツは健康のために行うとする人が多い。一方、スポーツをしなかった理由としては、「仕事

や家事・育児等で忙しく時間がない」が30.2%で最も多く、特に、40~49歳で38.0%と多い。この年代では、運動やスポーツを行うために、仕事と余暇のバランスをとることや、育児や家事のサポートなど時間的な余裕を持たせるための仕組みづくりが必要と考えられる。

また、「運動不足を感じているか」については、「非常に強く感じている」24.7%、「感じることが多い」32.5%、「ときどき感じることがある」が27.4%で、合わせて84.6%の人が運動不足を感じている。「日常生活の中で運動やスポーツが必要だと思うか」については、「とても必要」が25.1%、「必要」が58.9%で、合わせて84.0%の人が必要と感じている。運動不足および運動やスポーツの必要性は強く認識されており、多くの人がスポーツを行うことができるよう、スポーツに親しむ機運の醸成、スポーツと

の関わりへのきっかけづくり、身近なスポーツ環境の整備などが求められる。

スポーツは自ら体を動かして行うことのほか、見て楽しむことや、ボランティアなどで参加して支えることも重要である。埼玉県には、サッカー、野球、バスケットボール、バ

レーボールなど人気の高い種目のプロスポーツチームがそろっている。それぞれのチームは、地域に密着した活動を行っており、地域の活性化、愛着度向上、対外的な認知度向上などに大きな役割を

果たしている。埼玉県民が過去1年間に会場やテレビで観戦し

たスポーツについてみると、プロ野球が最も多く、Jリーグ、陸上・駅伝・マラソン、テニス、バレーボールと続いている。地域別では、プロ野球では県西地域が最も高く、Jリーグでは県南地域が最も高いなど、本拠地を置く地域で高くなっており、プロチームの存在が、スポーツへの関心を高めていることがうかがえる。

支えるスポーツについては、総務省の調査によると、「スポーツ・文化・芸術・学術に関連したボランティア活動」を行ったとする割合は埼玉県では3.5%で、全国の3.7%を下まわり全国で36位と、現状ではやや低い状況にある。しかしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「埼玉県の都市ボランティア」の募集結果をみると、募集人数5,400人に対して、応募者数は9,650人で1.79倍と高い倍率となっている。男女別では、女性が6,230人(64.6%)で男性を上回っている。また、市町村別では、大会開催地となるさいたま市3,140人、川越市949人、朝霞市399人などで多いのが目立っている。なお、「都市ボランティア」は、競技会場や観光地までの道案内、開催期間中のイベントの運営サポート、埼玉県の魅力PRなどを行うもので、主に競技会場で活動する「大会ボランティア」とは別に募集されている。また、埼玉県では「ホストタウン」の取り組みが進められている。「ホストタウン」は東京2020オリン

ピック・パラリンピックに向けて、地域の活性化や観光振興などの観点から、参加各国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を国が登録する制度。事前トレーニングキャンプで来日した選手や大会に出場した選手との交流、パラリンピックを契機とした共生社会の実現などに取り組む団体が登録される。埼玉県では、2019年1月4日現在11の市や町が登録されている。東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にボ

ランティア活動や国際交流を活発化することにより、埼玉県においてもスポーツを支える機運が上昇、定着することが期待される。

埼玉県ではラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に「する、見る、支える」スポーツへの関心が高まり県内でスポーツ全体が活性化されることに加え、会場となる埼玉県の知名度アップや、県民の地元への愛着度向上なども期待される。さらに、県民がスポーツに親しみ、日常的に運動する機運が高まることにより、今後高齢化が進む中でも、多くの県民が長く健康な生活を送れるようになることが期待される。                (吉嶺暢嗣)

-40-30-20-10010203040

●国内景気 ●業界景気 ●自社業況 ●売上高実績BSI(上昇ー下降) 見通し

構成比(%) 構成比(%)

7月2019年

10月7月2016年 2017年 (約6カ月後)

1月 4月 先行き10月 10月1月 4月2018年1月 4月 7月 1月 7月 10月7月

2016年 2017年 (約6カ月後)1月 4月 先行き10月 10月1月

2019年1月4月

2018年1月 4月 7月 7月 10月7月

2016年 2017年 (約6カ月後)1月 4月 先行き10月 10月1月

2019年1月4月

2018年1月 4月 7月

11

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82

7

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71

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8 8

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77

15

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66

32

11

83

6

4

68

27

4

79

17

上昇

下降

変わらない

実績 先行き

実績BSI(上昇ー下降) 見通し 実績BSI(良いー悪い) 見通し 実績BSI(増加ー減少)季調済 見通し

0 3 75 6

27

▲7

5

▲22

▲4

▲30

▲23

10

▲13

-10

0

10

20

30

構成比(%)良い

悪い

さほど良くない

実績 先行き

16 1720

14

28

1820

14

19

121110

16

8

-30

-20

-10

0

10

20

上昇

下降

変わらない

実績 先行き

▲14

▲7 ▲5

8

▲2

▲6 ▲3

▲9

▲8

▲20

▲18

▲27▲26▲20

24

68

8

29

60

12

28

64

8

24

66

10

34

61

6

26

67

7

28

64

8

26

66

8

20

72

8

23

64

13

22

68

11

23

68

9

21

66

13

24

68

8-10

0

10

20

4

9 9

43

8

▲5

3

▲8

0

7

1

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2

10

1

7

10

6

74

20

9

75

16

11

73

16

10

74

16

19

71

11

10

72

8

64

2818

11

75

14

12

74

14

6

70

24

4

66

30

9

73

18

4

64

31

8

65

28

2019年10~12月期

10~12月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

1~3月期

4~6月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

1~3月期

2015年 2016年 2017年 2018年4~6月期

1~3月期

7~9月期

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15 16埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

アンケート調査 埼玉県内企業経営動向調査

2019年1月中旬実施。対象企業数955社、回答企業数212社、回答率22.2%。

(現状)2018年10~12月期の経常利益は、季調済BSIが▲2となり、前回調査対象期間(2018年7~9月期)の+1から3ポイントの悪化となった。BSIは2期連続で悪化し、マイナスとなった。減少の要因(複数回答)としては、「売上・受注の不振」をあげるところが76%で最も多い。次いで「人件費の上昇」36%、「仕入単価の上昇」24%などとなっている。前回調査と比べると「人件費の上昇」が7ポイント増加しており、人件費の負担により収益面で厳しさを増すところが多くなっている。業種別にみると、製造業はBSI0で前回調査の0か

ら横ばい、非製造業は▲3で前回調査の+1から4ポイントの悪化となった。(先行き)先行きについては、2019年1~3月期のBSIが▲2、4~6月期は+4となり、先行きについては横ばいから増加を見込んでいる。業種別では、製造業が2018年10~12月期、2019

年1~3月期、4~6月期に0→▲8→▲2、非製造業では▲3→+3→+7となっている。

(現状)2018年10~12月期の設備投資は、季調済BSIが

+11となり、前回調査対象期間(2018年7~9月期)の+4から7ポイントの改善となった。設備投資のBSIは2013年4~6月期以降5年以上プラスが続いており、企業の設備投資は堅調に推移している。設備投資の内容については、「更新投資」が59%、

「能力増強投資」26%、「合理化投資」6%、「研究開発投資」4%などとなり、「更新投資」中心の状況が続いている。業種別にみると、製造業はBSI+19で前回調査の

+7から12ポイントの改善、非製造業は+5で前回調査の+2から3ポイントの改善となった。(先行き)先行きについては、2019年1~3月期のBSIが+6、4~

6月期は▲3となっており、国内景気の先行き不透明感から慎重な動きとなっている。業種別では、製造業が2018年10~12月期、2019年

1~3月期、4~6月期に+19→+7→+2、非製造業では+5→+3→▲7となっている。

(現状)最近(ここ6カ月間)の雇用状況をみると、雇用人員

が「増加」とした企業は24%、「減少」とした企業は16%で、BSIは+8と前回調査の+5から3ポイントの改善となった。例年1月調査では雇用のBSIは低くなる傾向がある

が、今回調査では改善となった。企業の雇用に対する意欲は引き続き強い。業種別にみると、製造業はBSI+12で前回調査の

+9より3ポイントの改善、非製造業は+6で前回調査の+4より2ポイントの改善となった。(先行き)先行き(約6カ月後)については、「増加」とする企業

が34%、「減少」とする企業が12%でBSIは+22と現状から14ポイントの改善となった。先行きについては、新卒者の採用もあり、「増加」とするところが多くなっている。新卒者も含めて雇用は当面改善が続く見込み。業種別では、製造業はBSI+15で現状から3ポイント

の改善、非製造業は+26で20ポイントの改善となっている。

経営上の問題点(複数回答)については、「人材・人手不足」が68%と最も多かった。次いで「売上・受注不振」40%、「諸経費上昇」34%、「仕入原価上昇」29%、「製商品安」11%、「資金不足・資金繰り難」7%などとなった。前回調査と比べると、「人材・人手不足」が9ポイント

増加した。「人材・人手不足」は前回調査では5ポイント減少したが、今回大きく増加し引き続き根深い問題となっているようだ。一方、「売上・受注不振」は横ばい、「仕入原価上昇」は5ポイント減少した。業種別にみると、製造業では「人材・人手不足」55%

が最も多く、次いで「仕入原価上昇」41%、「売上・受注不振」40%、「諸経費上昇」26%などとなった。非製造業では「人材・人手不足」75%が最も多く、次いで「売上・受注不振」40%、「諸経費上昇」38%、「仕入原価上昇」22%などとなっている。 (吉嶺暢嗣)

経常利益 設備投資 雇用 経営上の問題点

スポーツには、競技や体を動かすことによる楽しみのほか、体力の増進、生活習慣病の予防、スポーツを通じたつながりや賑わいの創出、地域活性化、地域の知名度アップや地元への愛着の向上など様々な効果が知られている。わが国では、2019年秋にラグビーワールドカップ2019、2020年夏に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される。埼玉県はいずれも県内での開催が予定されており、県民のスポーツに対する関心が高まり、県内でのスポーツの活性化とスポーツを通じた様々な効果が期待されている。本稿では埼玉県におけるスポーツに係る現状に

ついてみていく。

埼玉県のスポーツ施設数は2,603(公共1,852、民間751、学校施設を除く)で、全国における順位は第5位である。種目別にみると(公共、民間合計)多いのは、野球場・ソフトボール場506、庭球場(屋外)275、多目的運動場245、体育館233などである。他都道府県と

の比較で多いのは、剣道場60、卓球場36(ともに全国1位)、ランニングコース25、サイクリングコース14(ともに全国2位)などである。今後充実を望むスポーツ施設については、公園、運動広場などが多い(埼玉県調査)。埼玉県は、スポーツ施設は多く、「特に充実させるべき施設はない」とする回答も3割以上にのぼっており、比較的充足していると考えられる。今後は手軽に運動のできる場所への要望が強い。

次に埼玉県民のスポーツ活動状況をみていく。1年間にスポーツを行ったとする人の割合(体育の授業で行うものなどを除く、以下、行動者率)をみると、埼玉県は71.7%、全国は67.7%で、全国を4.0ポイント上回っている。男女別では、男性が75.4%、女性が68.0%と男性の方が高いが、全国との比較では、女性の行動者率が高いのが目立っている。

都道府県別にみると、埼玉県のスポーツの行動者率は東京都に次いで全国第2位である。次いで、神奈川県、千葉県となっており、東京圏の1都3県が上位を占めている。一方、下位は青森県、岩手県、秋田県、山形県など東北地方の各県が占めている。スポーツの行動者率は年齢が低い方が高く、年齢構成の差や、気候の違いなども影響していると考えられる。

埼玉県のスポーツの行動者率を年齢区分別にみると、15~24歳を除くすべての年齢区分で全国を上回っている。特に、55歳以降で全国を上回る率が高くなっており、75歳以上では、全国を9.2ポイント上回っている。 埼玉県では、全国と比べスポーツを行う人が多く、特に高齢者で、その傾向が顕著である。埼玉県のスポーツの行動者率を種目別にみると、

「ウォーキング・軽い体操」45.9%、「器具を使ったトレーニング」16.0%、「登山・ハイキング」12.7%、「ジョギング・マラソン」12.6%、「ボーリング」11.5%、「水泳」10.7%などが高くなっている。

競技的な種目より、楽しみを目的とした、健康の維持・増進にも適した種目が多く、県民の健康維持に貢献しているものと推察される。埼玉県の調査により県民の意識面をみると、運動

やスポーツをする理由は、「健康や体力の維持・増進のため」が61.1%で最も多く、次いで「運動不足

を解消するため」34.4%、「気分転換、気晴らしのため」27.6%、「肥満解消や美容のため」13.2%、「運動することが楽しい、好きだから」12.3%などとなっている。多くの人が健康のために、運動やスポーツをしている。特に、60歳以上では76.2%の人が「健康や体力の維持・増進のため」としており、高齢になるほど運動やスポーツは健康のために行うとする人が多い。一方、スポーツをしなかった理由としては、「仕事

や家事・育児等で忙しく時間がない」が30.2%で最も多く、特に、40~49歳で38.0%と多い。この年代では、運動やスポーツを行うために、仕事と余暇のバランスをとることや、育児や家事のサポートなど時間的な余裕を持たせるための仕組みづくりが必要と考えられる。

また、「運動不足を感じているか」については、「非常に強く感じている」24.7%、「感じることが多い」32.5%、「ときどき感じることがある」が27.4%で、合わせて84.6%の人が運動不足を感じている。「日常生活の中で運動やスポーツが必要だと思うか」については、「とても必要」が25.1%、「必要」が58.9%で、合わせて84.0%の人が必要と感じている。運動不足および運動やスポーツの必要性は強く認識されており、多くの人がスポーツを行うことができるよう、スポーツに親しむ機運の醸成、スポーツと

の関わりへのきっかけづくり、身近なスポーツ環境の整備などが求められる。

スポーツは自ら体を動かして行うことのほか、見て楽しむことや、ボランティアなどで参加して支えることも重要である。埼玉県には、サッカー、野球、バスケットボール、バ

レーボールなど人気の高い種目のプロスポーツチームがそろっている。それぞれのチームは、地域に密着した活動を行っており、地域の活性化、愛着度向上、対外的な認知度向上などに大きな役割を

果たしている。埼玉県民が過去1年間に会場やテレビで観戦し

たスポーツについてみると、プロ野球が最も多く、Jリーグ、陸上・駅伝・マラソン、テニス、バレーボールと続いている。地域別では、プロ野球では県西地域が最も高く、Jリーグでは県南地域が最も高いなど、本拠地を置く地域で高くなっており、プロチームの存在が、スポーツへの関心を高めていることがうかがえる。

支えるスポーツについては、総務省の調査によると、「スポーツ・文化・芸術・学術に関連したボランティア活動」を行ったとする割合は埼玉県では3.5%で、全国の3.7%を下まわり全国で36位と、現状ではやや低い状況にある。しかしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「埼玉県の都市ボランティア」の募集結果をみると、募集人数5,400人に対して、応募者数は9,650人で1.79倍と高い倍率となっている。男女別では、女性が6,230人(64.6%)で男性を上回っている。また、市町村別では、大会開催地となるさいたま市3,140人、川越市949人、朝霞市399人などで多いのが目立っている。なお、「都市ボランティア」は、競技会場や観光地までの道案内、開催期間中のイベントの運営サポート、埼玉県の魅力PRなどを行うもので、主に競技会場で活動する「大会ボランティア」とは別に募集されている。また、埼玉県では「ホストタウン」の取り組みが進められている。「ホストタウン」は東京2020オリン

ピック・パラリンピックに向けて、地域の活性化や観光振興などの観点から、参加各国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を国が登録する制度。事前トレーニングキャンプで来日した選手や大会に出場した選手との交流、パラリンピックを契機とした共生社会の実現などに取り組む団体が登録される。埼玉県では、2019年1月4日現在11の市や町が登録されている。東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にボ

ランティア活動や国際交流を活発化することにより、埼玉県においてもスポーツを支える機運が上昇、定着することが期待される。

埼玉県ではラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に「する、見る、支える」スポーツへの関心が高まり県内でスポーツ全体が活性化されることに加え、会場となる埼玉県の知名度アップや、県民の地元への愛着度向上なども期待される。さらに、県民がスポーツに親しみ、日常的に運動する機運が高まることにより、今後高齢化が進む中でも、多くの県民が長く健康な生活を送れるようになることが期待される。                (吉嶺暢嗣)

7月2019年

10月7月2016年 2017年 (約6カ月後)

1月 4月 先行き10月 1月10月1月 4月2018年1月 4月 7月2019年

10~12月期

10~12月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

1~3月期

4~6月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

1~3月期

2015年 2016年 2017年 2018年4~6月期

1~3月期

7~9月期

2019年10~12月期

10~12月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

1~3月期

4~6月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

1~3月期

2015年 2016年 2017年 2018年4~6月期

1~3月期

7~9月期

●経常利益 ●設備投資 ●雇用 ●経営上の問題点実績BSI(増加ー減少) %見通し実績BSI(増加ー減少)季調済 見通し 実績 見通しBSI(増加ー減少)季調済

売上・

受注不振

製商品安

人材・

人手不足

仕入原価

上昇

資金不足・

資金繰り難

その他

諸経費

上昇

全産業 製造業 非製造業

-10

0

20

10

4

8

11

▲3

6

24

2

4

9

7

10

12

56

5

10

12

構成比(%)増加

減少

変わらない

実績 先行き

9

1216

7

▲1

1614

58

22

5

13

19

9

-10

0

10

30

20

20

69

11

29

54

17

28

60

12

25

57

18

18

64

19

24

60

16

28

58

14

29

57

13

34

54

12

21

63

16

27

59

14

21

62

16

28

62

9

23

63

14

0

10

20

30

40

50

60

70

80

55

40 40 40

3438

29

41

22

1116

8 711

52 20

26

68

75

-10

0

10

20

4

▲4

1

▲2▲3

4

1

6

▲2

▲7

▲2

1

▲2

7

10

0

▲2

6

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アンケート調査 埼玉県内企業経営動向調査

2019年1月中旬実施。対象企業数955社、回答企業数212社、回答率22.2%。

(現状)2018年10~12月期の経常利益は、季調済BSIが▲2となり、前回調査対象期間(2018年7~9月期)の+1から3ポイントの悪化となった。BSIは2期連続で悪化し、マイナスとなった。減少の要因(複数回答)としては、「売上・受注の不振」をあげるところが76%で最も多い。次いで「人件費の上昇」36%、「仕入単価の上昇」24%などとなっている。前回調査と比べると「人件費の上昇」が7ポイント増加しており、人件費の負担により収益面で厳しさを増すところが多くなっている。業種別にみると、製造業はBSI0で前回調査の0か

ら横ばい、非製造業は▲3で前回調査の+1から4ポイントの悪化となった。(先行き)先行きについては、2019年1~3月期のBSIが▲2、4~6月期は+4となり、先行きについては横ばいから増加を見込んでいる。業種別では、製造業が2018年10~12月期、2019

年1~3月期、4~6月期に0→▲8→▲2、非製造業では▲3→+3→+7となっている。

(現状)2018年10~12月期の設備投資は、季調済BSIが

+11となり、前回調査対象期間(2018年7~9月期)の+4から7ポイントの改善となった。設備投資のBSIは2013年4~6月期以降5年以上プラスが続いており、企業の設備投資は堅調に推移している。設備投資の内容については、「更新投資」が59%、

「能力増強投資」26%、「合理化投資」6%、「研究開発投資」4%などとなり、「更新投資」中心の状況が続いている。業種別にみると、製造業はBSI+19で前回調査の

+7から12ポイントの改善、非製造業は+5で前回調査の+2から3ポイントの改善となった。(先行き)先行きについては、2019年1~3月期のBSIが+6、4~

6月期は▲3となっており、国内景気の先行き不透明感から慎重な動きとなっている。業種別では、製造業が2018年10~12月期、2019年

1~3月期、4~6月期に+19→+7→+2、非製造業では+5→+3→▲7となっている。

(現状)最近(ここ6カ月間)の雇用状況をみると、雇用人員

が「増加」とした企業は24%、「減少」とした企業は16%で、BSIは+8と前回調査の+5から3ポイントの改善となった。例年1月調査では雇用のBSIは低くなる傾向がある

が、今回調査では改善となった。企業の雇用に対する意欲は引き続き強い。業種別にみると、製造業はBSI+12で前回調査の

+9より3ポイントの改善、非製造業は+6で前回調査の+4より2ポイントの改善となった。(先行き)先行き(約6カ月後)については、「増加」とする企業

が34%、「減少」とする企業が12%でBSIは+22と現状から14ポイントの改善となった。先行きについては、新卒者の採用もあり、「増加」とするところが多くなっている。新卒者も含めて雇用は当面改善が続く見込み。業種別では、製造業はBSI+15で現状から3ポイント

の改善、非製造業は+26で20ポイントの改善となっている。

経営上の問題点(複数回答)については、「人材・人手不足」が68%と最も多かった。次いで「売上・受注不振」40%、「諸経費上昇」34%、「仕入原価上昇」29%、「製商品安」11%、「資金不足・資金繰り難」7%などとなった。前回調査と比べると、「人材・人手不足」が9ポイント

増加した。「人材・人手不足」は前回調査では5ポイント減少したが、今回大きく増加し引き続き根深い問題となっているようだ。一方、「売上・受注不振」は横ばい、「仕入原価上昇」は5ポイント減少した。業種別にみると、製造業では「人材・人手不足」55%

が最も多く、次いで「仕入原価上昇」41%、「売上・受注不振」40%、「諸経費上昇」26%などとなった。非製造業では「人材・人手不足」75%が最も多く、次いで「売上・受注不振」40%、「諸経費上昇」38%、「仕入原価上昇」22%などとなっている。 (吉嶺暢嗣)

経常利益 設備投資 雇用 経営上の問題点

スポーツには、競技や体を動かすことによる楽しみのほか、体力の増進、生活習慣病の予防、スポーツを通じたつながりや賑わいの創出、地域活性化、地域の知名度アップや地元への愛着の向上など様々な効果が知られている。わが国では、2019年秋にラグビーワールドカップ2019、2020年夏に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催される。埼玉県はいずれも県内での開催が予定されており、県民のスポーツに対する関心が高まり、県内でのスポーツの活性化とスポーツを通じた様々な効果が期待されている。本稿では埼玉県におけるスポーツに係る現状に

ついてみていく。

埼玉県のスポーツ施設数は2,603(公共1,852、民間751、学校施設を除く)で、全国における順位は第5位である。種目別にみると(公共、民間合計)多いのは、野球場・ソフトボール場506、庭球場(屋外)275、多目的運動場245、体育館233などである。他都道府県と

の比較で多いのは、剣道場60、卓球場36(ともに全国1位)、ランニングコース25、サイクリングコース14(ともに全国2位)などである。今後充実を望むスポーツ施設については、公園、運動広場などが多い(埼玉県調査)。埼玉県は、スポーツ施設は多く、「特に充実させるべき施設はない」とする回答も3割以上にのぼっており、比較的充足していると考えられる。今後は手軽に運動のできる場所への要望が強い。

次に埼玉県民のスポーツ活動状況をみていく。1年間にスポーツを行ったとする人の割合(体育の授業で行うものなどを除く、以下、行動者率)をみると、埼玉県は71.7%、全国は67.7%で、全国を4.0ポイント上回っている。男女別では、男性が75.4%、女性が68.0%と男性の方が高いが、全国との比較では、女性の行動者率が高いのが目立っている。

都道府県別にみると、埼玉県のスポーツの行動者率は東京都に次いで全国第2位である。次いで、神奈川県、千葉県となっており、東京圏の1都3県が上位を占めている。一方、下位は青森県、岩手県、秋田県、山形県など東北地方の各県が占めている。スポーツの行動者率は年齢が低い方が高く、年齢構成の差や、気候の違いなども影響していると考えられる。

埼玉県のスポーツの行動者率を年齢区分別にみると、15~24歳を除くすべての年齢区分で全国を上回っている。特に、55歳以降で全国を上回る率が高くなっており、75歳以上では、全国を9.2ポイント上回っている。 埼玉県では、全国と比べスポーツを行う人が多く、特に高齢者で、その傾向が顕著である。埼玉県のスポーツの行動者率を種目別にみると、

「ウォーキング・軽い体操」45.9%、「器具を使ったトレーニング」16.0%、「登山・ハイキング」12.7%、「ジョギング・マラソン」12.6%、「ボーリング」11.5%、「水泳」10.7%などが高くなっている。

競技的な種目より、楽しみを目的とした、健康の維持・増進にも適した種目が多く、県民の健康維持に貢献しているものと推察される。埼玉県の調査により県民の意識面をみると、運動

やスポーツをする理由は、「健康や体力の維持・増進のため」が61.1%で最も多く、次いで「運動不足

を解消するため」34.4%、「気分転換、気晴らしのため」27.6%、「肥満解消や美容のため」13.2%、「運動することが楽しい、好きだから」12.3%などとなっている。多くの人が健康のために、運動やスポーツをしている。特に、60歳以上では76.2%の人が「健康や体力の維持・増進のため」としており、高齢になるほど運動やスポーツは健康のために行うとする人が多い。一方、スポーツをしなかった理由としては、「仕事

や家事・育児等で忙しく時間がない」が30.2%で最も多く、特に、40~49歳で38.0%と多い。この年代では、運動やスポーツを行うために、仕事と余暇のバランスをとることや、育児や家事のサポートなど時間的な余裕を持たせるための仕組みづくりが必要と考えられる。

また、「運動不足を感じているか」については、「非常に強く感じている」24.7%、「感じることが多い」32.5%、「ときどき感じることがある」が27.4%で、合わせて84.6%の人が運動不足を感じている。「日常生活の中で運動やスポーツが必要だと思うか」については、「とても必要」が25.1%、「必要」が58.9%で、合わせて84.0%の人が必要と感じている。運動不足および運動やスポーツの必要性は強く認識されており、多くの人がスポーツを行うことができるよう、スポーツに親しむ機運の醸成、スポーツと

の関わりへのきっかけづくり、身近なスポーツ環境の整備などが求められる。

スポーツは自ら体を動かして行うことのほか、見て楽しむことや、ボランティアなどで参加して支えることも重要である。埼玉県には、サッカー、野球、バスケットボール、バ

レーボールなど人気の高い種目のプロスポーツチームがそろっている。それぞれのチームは、地域に密着した活動を行っており、地域の活性化、愛着度向上、対外的な認知度向上などに大きな役割を

果たしている。埼玉県民が過去1年間に会場やテレビで観戦し

たスポーツについてみると、プロ野球が最も多く、Jリーグ、陸上・駅伝・マラソン、テニス、バレーボールと続いている。地域別では、プロ野球では県西地域が最も高く、Jリーグでは県南地域が最も高いなど、本拠地を置く地域で高くなっており、プロチームの存在が、スポーツへの関心を高めていることがうかがえる。

支えるスポーツについては、総務省の調査によると、「スポーツ・文化・芸術・学術に関連したボランティア活動」を行ったとする割合は埼玉県では3.5%で、全国の3.7%を下まわり全国で36位と、現状ではやや低い状況にある。しかしながら、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた「埼玉県の都市ボランティア」の募集結果をみると、募集人数5,400人に対して、応募者数は9,650人で1.79倍と高い倍率となっている。男女別では、女性が6,230人(64.6%)で男性を上回っている。また、市町村別では、大会開催地となるさいたま市3,140人、川越市949人、朝霞市399人などで多いのが目立っている。なお、「都市ボランティア」は、競技会場や観光地までの道案内、開催期間中のイベントの運営サポート、埼玉県の魅力PRなどを行うもので、主に競技会場で活動する「大会ボランティア」とは別に募集されている。また、埼玉県では「ホストタウン」の取り組みが進められている。「ホストタウン」は東京2020オリン

ピック・パラリンピックに向けて、地域の活性化や観光振興などの観点から、参加各国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を国が登録する制度。事前トレーニングキャンプで来日した選手や大会に出場した選手との交流、パラリンピックを契機とした共生社会の実現などに取り組む団体が登録される。埼玉県では、2019年1月4日現在11の市や町が登録されている。東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にボ

ランティア活動や国際交流を活発化することにより、埼玉県においてもスポーツを支える機運が上昇、定着することが期待される。

埼玉県ではラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に「する、見る、支える」スポーツへの関心が高まり県内でスポーツ全体が活性化されることに加え、会場となる埼玉県の知名度アップや、県民の地元への愛着度向上なども期待される。さらに、県民がスポーツに親しみ、日常的に運動する機運が高まることにより、今後高齢化が進む中でも、多くの県民が長く健康な生活を送れるようになることが期待される。                (吉嶺暢嗣)

7月2019年

10月7月2016年 2017年 (約6カ月後)

1月 4月 先行き10月 1月10月1月 4月2018年1月 4月 7月2019年

10~12月期

10~12月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

1~3月期

4~6月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

1~3月期

2015年 2016年 2017年 2018年4~6月期

1~3月期

7~9月期

2019年10~12月期

10~12月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

1~3月期

4~6月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

1~3月期

2015年 2016年 2017年 2018年4~6月期

1~3月期

7~9月期

●経常利益 ●設備投資 ●雇用 ●経営上の問題点実績BSI(増加ー減少) %見通し実績BSI(増加ー減少)季調済 見通し 実績 見通しBSI(増加ー減少)季調済

売上・

受注不振

製商品安

人材・

人手不足

仕入原価

上昇

資金不足・

資金繰り難

その他

諸経費

上昇

全産業 製造業 非製造業

-10

0

20

10

4

8

11

▲3

6

24

2

4

9

7

10

12

56

5

10

12

構成比(%)増加

減少

変わらない

実績 先行き

9

1216

7

▲1

1614

58

22

5

13

19

9

-10

0

10

30

20

20

69

11

29

54

17

28

60

12

25

57

18

18

64

19

24

60

16

28

58

14

29

57

13

34

54

12

21

63

16

27

59

14

21

62

16

28

62

9

23

63

14

0

10

20

30

40

50

60

70

80

55

40 40 40

3438

29

41

22

1116

8 711

52 20

26

68

75

-10

0

10

20

4

▲4

1

▲2▲3

4

1

6

▲2

▲7

▲2

1

▲2

7

10

0

▲2

6

Page 18: りそな会報誌3月号 20190218 21 埼玉りそな経済情報2019.3 2 ZOOM UP 埼玉りそな経済情報2019.3 ズームアップ 「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などの

17 18埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

概況 埼玉県の景気は持ち直している。

景気動向指数 悪化を示している

11月のCI(コンポジット・インデックス)は、先行指数:92.7(前月比▲5.2ポイント)、一致指数:116.3(同▲2.2ポイント)、遅行指数:120.0(同▲1.4ポイント)となった。先行指数は2カ月ぶりに下降した。一致指数は2カ月ぶりの下降となった。基調判断と

なる3カ月後方移動平均は、前月比▲1.66ポイントと、5カ月連続で下降した。埼玉県は、景気の基調判断を、3カ月連続で「悪化を示している」としている。遅行指数は2カ月連続で下降した。

個人消費 百貨店・スーパー販売額が3カ月連続で減少

12月の百貨店・スーパー販売額は1,066億円、前年比▲1.3%(既存店)と3カ月連続で減少した。業態別では、百貨店(同▲3.5%)、スーパー(同▲0.7%)ともに減少した。新設店を含む全店ベースの販売額は同+0.1%と2カ月ぶりに増加した。1月の新車販売台数(乗用車)は12,191台、前年比▲0.9%と4カ月ぶりに減少した。車種別では普通乗用車が6,914台(同+2.9%)、小型乗用車は5,277台(同▲5.4%)だった。

住 宅 2カ月ぶりに前年を上回る

12月の新設住宅着工戸数は4,988戸、前年比+6.1%と2カ月ぶりに前年を上回った。利用関係別では、持家が1 ,228戸(前年比

+3.2%)、貸家が1,868戸(同+6.0%)、分譲が1,876戸(同+7.4%)と、いずれも2カ月ぶりに増加した。分譲住宅は、マンションが488戸(同+9.4%)、戸建は1,388戸(同+6.8%)といずれも2カ月ぶりに増加した。

公共工事 3カ月ぶりに前年を上回る

1月の公共工事請負金額は194億円、前年比+23.5%と3カ月ぶりに前年を上回った。2018年4月~2019年1月までの累計では、同▲3.7%と前年を下回っている。発注者別では、国(前年比▲73.1%)が減少した

ものの、県(同+13.1%)、独立行政法人等(同+184.7%)、市町村(同+71.5%)が増加した。なお、1月の請負件数は375件(同▲9.6%)と前年を下回っている。

生 産 2カ月ぶりに減少

11月の鉱工業指数をみると、生産指数は94.7、前月比▲2.0%と2カ月ぶりに減少した。業種別では、生産用機械、情報通信機械、業務用機械など10業種が増加したものの、化学、輸送機械、はん用機械など13業種が減少した。在庫指数は104.1、前月比▲1.8%と2カ月連続で減少した。業種別では、生産用機械、プラスチック製品、電気機械など11業種が増加したものの、輸送機械、化学、鉄鋼など9業種が減少した。

雇 用 有効求人倍率は1.33倍

12月の受理地別有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.02ポイント上昇の1.33倍となった。 有効求職者数が72,056人(前年比▲2.6%)と、103カ月連続で前年を下回るなか、有効求人数も105,425人(同▲3.2%)と、3カ月連続で前年を下回った。新規求人倍率(季節調整値)は、前月から0.20ポイント上昇の2.23倍となっている。なお、12月の就業地別有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.01ポイント上昇の1.51倍であった。

百貨店・スーパー販売額(全店)・前年比(左目盛)百貨店・スーパー販売額(既存店)・前年比(左目盛)

%

年月

新車販売台数(乗用車)・前年比(右目盛)

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

0

前年比(右目盛)

-30

-20

-10

10

20

0

30

18/1 2 32017/12 11 1210987654 18/1 2 3 42017/12 12111098765

先行指数一致指数遅行指数

1817161514131211102009

%戸

年月

新設住宅着工戸数の推移

給与

貸家

持家

分譲

資料:国土交通省

公共工事請負金額の推移

資料:東日本建設業保証㈱

100

200

300

400

700

600

500

0 -60

-40

-20

0

20

40

80

60

%億円

年月

請負金額前年比(右目盛)

景気動向指数の推移

資料:埼玉県 (注)網掛け部分は埼玉県の景気後退期

鉱工業指数の推移

資料:埼玉県

0

5

10

15倍万人

年月

有効求人倍率の推移

資料:埼玉労働局 (注)就業地別有効求人倍率は、埼玉県内を就業地とする、県外での受理分を含めた求人数で算出された参考値

2 3 42018/1 12 19/1111098765

有効求職者数

有効求人数

2010年=100

年月

個人消費の推移%

資料:経済産業省、日本自動車販売協会連合会年月

2010年=100、季節調整済

在庫指数(右目盛)生産指数

埼玉県(受理地別・右目盛)埼玉県(就業地別・右目盛) 全国(右目盛)

100

105

110

115

120

125

1.1

1.2

1.3

1.4

1.5

1.6

1.7

1218/1 2 32017/12 1110987654 19/1

70

80

90

100

110

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130

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80

85

90

95

100

11109876543218/1122017/11-15

-10

-5

0

5

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15

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-3-4

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17 18埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

概況 埼玉県の景気は持ち直している。

景気動向指数 悪化を示している

11月のCI(コンポジット・インデックス)は、先行指数:92.7(前月比▲5.2ポイント)、一致指数:116.3(同▲2.2ポイント)、遅行指数:120.0(同▲1.4ポイント)となった。先行指数は2カ月ぶりに下降した。一致指数は2カ月ぶりの下降となった。基調判断と

なる3カ月後方移動平均は、前月比▲1.66ポイントと、5カ月連続で下降した。埼玉県は、景気の基調判断を、3カ月連続で「悪化を示している」としている。遅行指数は2カ月連続で下降した。

個人消費 百貨店・スーパー販売額が3カ月連続で減少

12月の百貨店・スーパー販売額は1,066億円、前年比▲1.3%(既存店)と3カ月連続で減少した。業態別では、百貨店(同▲3.5%)、スーパー(同▲0.7%)ともに減少した。新設店を含む全店ベースの販売額は同+0.1%と2カ月ぶりに増加した。1月の新車販売台数(乗用車)は12,191台、前年比▲0.9%と4カ月ぶりに減少した。車種別では普通乗用車が6,914台(同+2.9%)、小型乗用車は5,277台(同▲5.4%)だった。

住 宅 2カ月ぶりに前年を上回る

12月の新設住宅着工戸数は4,988戸、前年比+6.1%と2カ月ぶりに前年を上回った。利用関係別では、持家が1 ,228戸(前年比

+3.2%)、貸家が1,868戸(同+6.0%)、分譲が1,876戸(同+7.4%)と、いずれも2カ月ぶりに増加した。分譲住宅は、マンションが488戸(同+9.4%)、戸建は1,388戸(同+6.8%)といずれも2カ月ぶりに増加した。

公共工事 3カ月ぶりに前年を上回る

1月の公共工事請負金額は194億円、前年比+23.5%と3カ月ぶりに前年を上回った。2018年4月~2019年1月までの累計では、同▲3.7%と前年を下回っている。発注者別では、国(前年比▲73.1%)が減少した

ものの、県(同+13.1%)、独立行政法人等(同+184.7%)、市町村(同+71.5%)が増加した。なお、1月の請負件数は375件(同▲9.6%)と前年を下回っている。

生 産 2カ月ぶりに減少

11月の鉱工業指数をみると、生産指数は94.7、前月比▲2.0%と2カ月ぶりに減少した。業種別では、生産用機械、情報通信機械、業務用機械など10業種が増加したものの、化学、輸送機械、はん用機械など13業種が減少した。在庫指数は104.1、前月比▲1.8%と2カ月連続で減少した。業種別では、生産用機械、プラスチック製品、電気機械など11業種が増加したものの、輸送機械、化学、鉄鋼など9業種が減少した。

雇 用 有効求人倍率は1.33倍

12月の受理地別有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.02ポイント上昇の1.33倍となった。 有効求職者数が72,056人(前年比▲2.6%)と、103カ月連続で前年を下回るなか、有効求人数も105,425人(同▲3.2%)と、3カ月連続で前年を下回った。新規求人倍率(季節調整値)は、前月から0.20ポイント上昇の2.23倍となっている。なお、12月の就業地別有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.01ポイント上昇の1.51倍であった。

百貨店・スーパー販売額(全店)・前年比(左目盛)百貨店・スーパー販売額(既存店)・前年比(左目盛)

%

年月

新車販売台数(乗用車)・前年比(右目盛)

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

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前年比(右目盛)

-30

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先行指数一致指数遅行指数

1817161514131211102009

%戸

年月

新設住宅着工戸数の推移

給与

貸家

持家

分譲

資料:国土交通省

公共工事請負金額の推移

資料:東日本建設業保証㈱

100

200

300

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%億円

年月

請負金額前年比(右目盛)

景気動向指数の推移

資料:埼玉県 (注)網掛け部分は埼玉県の景気後退期

鉱工業指数の推移

資料:埼玉県

0

5

10

15倍万人

年月

有効求人倍率の推移

資料:埼玉労働局 (注)就業地別有効求人倍率は、埼玉県内を就業地とする、県外での受理分を含めた求人数で算出された参考値

2 3 42018/1 12 19/1111098765

有効求職者数

有効求人数

2010年=100

年月

個人消費の推移%

資料:経済産業省、日本自動車販売協会連合会年月

2010年=100、季節調整済

在庫指数(右目盛)生産指数

埼玉県(受理地別・右目盛)埼玉県(就業地別・右目盛) 全国(右目盛)

100

105

110

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1.5

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1218/1 2 32017/12 1110987654 19/1

70

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11109876543218/1122017/11-15

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19 20

月次経済指標 月次経済指標

埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

●所定外労働時間、常用雇用指数はいずれも事業所規模30人以上、Pは速報値

2015年

2016年

2017年

2018年

17年11月

12月

18年 1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

19年 1月

資料出所

147,166

152,979

158,237

156,244

12,101

12,334

12,298

14,259

19,300

9,826

10,923

13,002

13,097

10,894

14,421

12,659

13,143

12,422

12,191

▲ 5.8

3.9

3.4

▲ 1.3

▲ 7.4

▲ 3.9

▲ 4.5

▲ 5.5

▲ 7.8

▲ 1.1

▲ 1.6

▲ 9.6

1.1

2.1

▲ 5.3

19.0

8.6

0.7

▲ 0.9

2,704,485

2,801,491

2,943,010

2,895,454

222,938

228,363

215,058

259,780

378,898

193,585

202,031

252,477

245,068

200,355

265,059

227,172

240,819

215,152

217,762

▲ 5.5

3.6

5.1

▲ 1.6

▲ 5.5

0.3

▲ 6.1

▲ 5.1

▲ 4.8

▲ 1.2

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▲ 7.9

1.6

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13.3

8.0

▲ 5.8

1.3

359

354

361

361

18

31

19

34

44

27

25

24

37

30

32

22

40

27

28

36,187

65,358

42,138

80,882

2,207

5,212

1,390

5,001

16,670

3,266

2,061

2,815

3,057

11,258

1,508

27,750

3,793

2,313

1,455

8,812

8,446

8,405

8,235

677

696

635

617

789

650

767

690

702

694

621

730

718

622

666

2,112,382

2,006,119

3,167,637

1,485,469

145,663

397,595

104,559

89,979

132,672

95,467

104,399

219,527

112,711

121,268

184,197

117,619

121,279

81,792

168,374

100.0

99.7

100.0

100.9

100.7

101.0

100.6

100.7

100.6

100.7

100.5

100.5

100.8

101.4

101.2

101.7

101.6

101.2

0.9

▲ 0.3

0.3

0.9

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0.3

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101.3

101.3

101.0

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101.0

100.9

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0.8

▲ 0.1

0.5

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1.2

1.4

0.8

0.3

新車販売(乗用車)台数 企業倒産 消費者物価指数

埼玉県 全国

日本自動車販売協会連合会

埼玉県 全国

東京商工リサーチ

埼玉県

総務省

全国

台 前年比(%) 台 前年比(%) 件数(件)負債額(百万円) 件数(件)負債額(百万円) 2015年=100 前年比(%)2015年=100 前年比(%)

2015年

2016年

2017年

2018年

17年11月

12月

18年 1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

19年 1月

資料出所

95.5

95.1

93.9

94.7

94.2

89.9

90.8

95.3

93.0

95.4

93.8

97.8

97.2

95.2

96.6

94.7

▲ 2.2

▲ 0.4

▲ 1.3

2.5

▲ 0.5

▲ 4.6

1.0

5.0

▲ 2.4

2.6

▲ 1.7

4.3

▲ 0.6

▲ 2.1

1.5

▲ 2.0

100.0

100.0

103.1

104.1

104.2

105.8

100.8

103.5

105.7

105.4

104.8

103.4

103.0

103.3

102.9

105.9

104.8

104.7

▲ 1.2

0.0

3.1

1.0

0.9

1.5

▲ 4.7

2.7

2.1

▲ 0.3

▲ 0.6

▲ 1.3

▲ 0.4

0.3

▲ 0.4

2.9

▲ 1.0

▲ 0.1

145.3

123.9

124.6

114.7

115.0

114.9

113.3

115.5

115.0

116.6

113.2

113.5

109.7

110.3

106.0

104.1

▲ 14.8

▲ 14.7

0.6

▲ 1.2

0.3

▲ 0.1

▲ 1.4

1.9

▲ 0.4

1.4

▲ 2.9

0.3

▲ 3.3

0.5

▲ 3.9

▲ 1.8

98.0

94.9

98.8

100.7

100.8

101.1

100.5

100.8

104.1

103.2

103.2

101.4

101.6

101.4

102.6

101.3

101.4

103.1

▲ 2.3

▲ 3.2

4.1

1.9

▲ 1.2

0.3

▲ 0.6

0.3

3.3

▲ 0.9

0.0

▲ 1.7

0.2

▲ 0.2

1.2

▲ 1.3

0.1

1.7

2,376

2,391

3,014

2,950

229

340

118

325

382

327

392

170

249

202

121

288

183

192

▲ 21.8

0.6

26.1

▲ 2.1

▲ 13.2

132.1

▲ 23.9

12.4

12.5

45.2

174.4

▲ 49.2

▲ 12.7

▲ 38.3

▲ 16.6

43.4

▲ 19.9

▲ 43.5

50,515

50,753

52,968

52,432

4,464

3,725

3,930

4,359

4,131

4,624

4,193

4,565

4,958

4,204

4,423

4,602

4,151

4,293

▲ 6.1

0.5

4.4

▲ 1.0

6.3

▲ 10.8

▲ 6.8

0.4

17.5

0.5

▲ 6.8

▲ 5.0

8.8

▲ 10.9

▲ 7.3

▲ 3.2

▲ 7.0

15.3

鉱工業生産指数(季調値) 鉱工業在庫指数(季調値) 建築着工床面積(非居住用)

全国

埼玉県 経済産業省

埼玉県 全国

埼玉県 経済産業省

埼玉県

国土交通省

全国2010年=100 前月比(%)2015年=100 前月比(%) 2010年=100 前月比(%)2015年=100 前月比(%) 1,000㎡ 前年比(%) 1,000㎡ 前年比(%)

●鉱工業在庫指数の年の数値は年末値

埼玉県

2015年

2016年

2017年

2018年

17年11月

12月

18年 1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

19年 1月

資料出所

57,357

61,981

59,617

58,517

5,520

4,701

4,363

4,699

3,863

5,521

4,789

5,777

4,729

5,762

4,430

5,090

4,506

4,988

1.5

8.1

▲ 3.8

▲ 1.8

6.9

▲ 3.5

▲ 5.5

6.5

▲ 8.7

7.5

▲ 2.3

4.1

▲ 5.2

6.3

▲ 18.5

8.1

▲ 18.4

6.1

909,299

967,237

964,641

942,370

84,703

76,751

66,358

69,071

69,616

84,226

79,539

81,275

82,615

81,860

81,903

83,330

84,213

78,364

1.9

6.4

▲ 0.3

▲ 2.3

▲ 0.4

▲ 2.1

▲ 13.2

▲ 2.6

▲ 8.3

0.3

1.3

▲ 7.1

▲ 0.7

1.6

▲ 1.5

0.3

▲ 0.6

2.1

16.8

16.5

17.0

17.6

17.4

16.5

18.0

17.7

17.7

16.2

17.0

18.0

17.6

18.2

17.2

17.2

▲ 6.9

▲ 2.2

3.1

▲ 3.1

▲ 5.7

3.1

0.0

2.2

0.6

3.2

2.4

7.8

6.7

2.9

▲ 0.6

▲ 2.2

17.6

17.5

17.9

P18.0

18.9

18.9

16.9

18.6

19.0

18.5

16.9

17.7

17.9

16.8

17.8

18.6

19.0

P18.4

▲ 0.4

▲ 0.6

2.4

P0.5

1.4

1.4

1.8

1.1

2.8

1.1

1.2

1.2

1.1

▲ 1.7

▲ 1.2

1.1

0.6

P▲ 2.7

100.0

99.7

99.4

99.4

99.1

100.4

99.1

97.3

100.3

101.0

101.6

101.2

101.7

101.7

101.8

101.7

1.5

▲ 0.3

▲ 0.3

▲ 0.3

▲ 0.5

0.7

▲ 0.2

▲ 1.2

1.7

1.8

1.7

1.4

2.0

1.9

1.9

2.3

100.0

100.9

102.3

P102.7

103.0

103.0

101.9

101.9

101.1

103.0

103.4

103.3

103.2

103.0

102.8

102.9

103.1

P103.1

1.1

0.9

1.4

P0.4

1.7

1.5

0.6

0.9

0.7

0.5

0.6

0.5

0.2

0.3

0.1

0.1

0.1

P0.1

新設住宅着工戸数 所定外労働時間(製造業) 常用雇用指数

全国

国土交通省

埼玉県 全国

埼玉県 厚生労働省

埼玉県

埼玉県 厚生労働省

全国

戸 前年比(%) 戸 前年比(%) 時間 前年比(%) 時間 前年比(%)2015年=100 前年比(%)2015年=100 前年比(%)

埼玉県

2015年

2016年

2017年

2018年

17年11月

12月

18年 1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

19年 1月

資料出所

0.85

1.04

1.23

1.33

1.31

1.33

1.31

1.28

1.27

1.29

1.31

1.37

1.39

1.38

1.35

1.33

1.31

1.33

1.20

1.36

1.50

1.61

1.56

1.59

1.59

1.58

1.59

1.59

1.60

1.62

1.63

1.63

1.64

1.62

1.63

1.63

27,136

30,731

35,167

36,049

36,657

34,385

37,936

38,616

35,711

33,061

36,445

37,063

34,008

36,561

35,558

39,299

35,323

33,007

9.0

13.2

14.4

2.5

13.4

17.9

0.3

5.7

9.8

1.6

9.0

11.4

4.7

2.3

▲ 4.7

▲ 0.1

▲ 3.6

▲ 4.0

863

911

963

977

942

922

1,030

1,016

1,011

966

962

966

957

976

931

1,070

967

869

3.5

5.5

5.7

1.5

5.5

9.6

2.3

0.2

3.1

4.6

5.5

0.2

3.7

3.4

▲ 6.6

4.6

2.6

▲ 5.7

10,573

10,186

10,101

10,138

866

1,065

845

745

854

804

822

838

882

814

804

819

845

1,066

▲ 1.0

▲ 0.6

▲ 0.1

▲ 0.8

0.3

1.2

0.1

0.8

▲ 0.3

▲ 1.8

▲ 2.4

0.8

▲ 1.0

▲ 0.4

1.4

▲ 1.5

▲ 3.3

▲ 1.3

200,491

195,979

196,025

195,998

16,713

20,921

16,826

14,565

16,351

15,564

15,664

16,030

17,002

15,751

15,135

15,862

16,423

20,825

0.4

▲ 0.9

0.0

▲ 0.5

1.4

1.1

0.4

0.6

0.1

▲ 0.8

▲ 2.0

1.5

▲ 1.6

▲ 0.1

0.4

▲ 0.8

▲ 2.2

▲ 1.0

有効求人倍率(季調値) 新規求人数 百貨店・スーパー販売額

埼玉県 埼玉県全国

埼玉労働局 埼玉労働局 厚生労働省 経済産業省

全国

厚生労働省

埼玉県 全国

倍 倍 人 前年比(%) 千人 前年比(%) 億円 前年比(%) 億円 前年比(%)

●百貨店・スーパー販売額の前年比は既存店ベース

Page 21: りそな会報誌3月号 20190218 21 埼玉りそな経済情報2019.3 2 ZOOM UP 埼玉りそな経済情報2019.3 ズームアップ 「リネンサプライ」とはホテルや旅館、病院などの

19 20

月次経済指標 月次経済指標

埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

●所定外労働時間、常用雇用指数はいずれも事業所規模30人以上、Pは速報値

2015年

2016年

2017年

2018年

17年11月

12月

18年 1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

19年 1月

資料出所

147,166

152,979

158,237

156,244

12,101

12,334

12,298

14,259

19,300

9,826

10,923

13,002

13,097

10,894

14,421

12,659

13,143

12,422

12,191

▲ 5.8

3.9

3.4

▲ 1.3

▲ 7.4

▲ 3.9

▲ 4.5

▲ 5.5

▲ 7.8

▲ 1.1

▲ 1.6

▲ 9.6

1.1

2.1

▲ 5.3

19.0

8.6

0.7

▲ 0.9

2,704,485

2,801,491

2,943,010

2,895,454

222,938

228,363

215,058

259,780

378,898

193,585

202,031

252,477

245,068

200,355

265,059

227,172

240,819

215,152

217,762

▲ 5.5

3.6

5.1

▲ 1.6

▲ 5.5

0.3

▲ 6.1

▲ 5.1

▲ 4.8

▲ 1.2

▲ 2.4

▲ 7.9

1.6

2.1

▲ 4.0

13.3

8.0

▲ 5.8

1.3

359

354

361

361

18

31

19

34

44

27

25

24

37

30

32

22

40

27

28

36,187

65,358

42,138

80,882

2,207

5,212

1,390

5,001

16,670

3,266

2,061

2,815

3,057

11,258

1,508

27,750

3,793

2,313

1,455

8,812

8,446

8,405

8,235

677

696

635

617

789

650

767

690

702

694

621

730

718

622

666

2,112,382

2,006,119

3,167,637

1,485,469

145,663

397,595

104,559

89,979

132,672

95,467

104,399

219,527

112,711

121,268

184,197

117,619

121,279

81,792

168,374

100.0

99.7

100.0

100.9

100.7

101.0

100.6

100.7

100.6

100.7

100.5

100.5

100.8

101.4

101.2

101.7

101.6

101.2

0.9

▲ 0.3

0.3

0.9

0.7

1.2

1.2

1.4

0.9

0.6

0.3

0.6

1.0

1.4

1.0

1.5

0.9

0.2

100.0

99.9

100.4

101.3

100.9

101.2

101.3

101.3

101.0

100.9

101.0

100.9

101.0

101.6

101.7

102.0

101.8

101.5

0.8

▲ 0.1

0.5

1.0

0.6

1.0

1.4

1.5

1.1

0.6

0.7

0.7

0.9

1.3

1.2

1.4

0.8

0.3

新車販売(乗用車)台数 企業倒産 消費者物価指数

埼玉県 全国

日本自動車販売協会連合会

埼玉県 全国

東京商工リサーチ

埼玉県

総務省

全国

台 前年比(%) 台 前年比(%) 件数(件)負債額(百万円) 件数(件)負債額(百万円) 2015年=100 前年比(%)2015年=100 前年比(%)

2015年

2016年

2017年

2018年

17年11月

12月

18年 1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

19年 1月

資料出所

95.5

95.1

93.9

94.7

94.2

89.9

90.8

95.3

93.0

95.4

93.8

97.8

97.2

95.2

96.6

94.7

▲ 2.2

▲ 0.4

▲ 1.3

2.5

▲ 0.5

▲ 4.6

1.0

5.0

▲ 2.4

2.6

▲ 1.7

4.3

▲ 0.6

▲ 2.1

1.5

▲ 2.0

100.0

100.0

103.1

104.1

104.2

105.8

100.8

103.5

105.7

105.4

104.8

103.4

103.0

103.3

102.9

105.9

104.8

104.7

▲ 1.2

0.0

3.1

1.0

0.9

1.5

▲ 4.7

2.7

2.1

▲ 0.3

▲ 0.6

▲ 1.3

▲ 0.4

0.3

▲ 0.4

2.9

▲ 1.0

▲ 0.1

145.3

123.9

124.6

114.7

115.0

114.9

113.3

115.5

115.0

116.6

113.2

113.5

109.7

110.3

106.0

104.1

▲ 14.8

▲ 14.7

0.6

▲ 1.2

0.3

▲ 0.1

▲ 1.4

1.9

▲ 0.4

1.4

▲ 2.9

0.3

▲ 3.3

0.5

▲ 3.9

▲ 1.8

98.0

94.9

98.8

100.7

100.8

101.1

100.5

100.8

104.1

103.2

103.2

101.4

101.6

101.4

102.6

101.3

101.4

103.1

▲ 2.3

▲ 3.2

4.1

1.9

▲ 1.2

0.3

▲ 0.6

0.3

3.3

▲ 0.9

0.0

▲ 1.7

0.2

▲ 0.2

1.2

▲ 1.3

0.1

1.7

2,376

2,391

3,014

2,950

229

340

118

325

382

327

392

170

249

202

121

288

183

192

▲ 21.8

0.6

26.1

▲ 2.1

▲ 13.2

132.1

▲ 23.9

12.4

12.5

45.2

174.4

▲ 49.2

▲ 12.7

▲ 38.3

▲ 16.6

43.4

▲ 19.9

▲ 43.5

50,515

50,753

52,968

52,432

4,464

3,725

3,930

4,359

4,131

4,624

4,193

4,565

4,958

4,204

4,423

4,602

4,151

4,293

▲ 6.1

0.5

4.4

▲ 1.0

6.3

▲ 10.8

▲ 6.8

0.4

17.5

0.5

▲ 6.8

▲ 5.0

8.8

▲ 10.9

▲ 7.3

▲ 3.2

▲ 7.0

15.3

鉱工業生産指数(季調値) 鉱工業在庫指数(季調値) 建築着工床面積(非居住用)

全国

埼玉県 経済産業省

埼玉県 全国

埼玉県 経済産業省

埼玉県

国土交通省

全国2010年=100 前月比(%)2015年=100 前月比(%) 2010年=100 前月比(%)2015年=100 前月比(%) 1,000㎡ 前年比(%) 1,000㎡ 前年比(%)

●鉱工業在庫指数の年の数値は年末値

埼玉県

2015年

2016年

2017年

2018年

17年11月

12月

18年 1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

19年 1月

資料出所

57,357

61,981

59,617

58,517

5,520

4,701

4,363

4,699

3,863

5,521

4,789

5,777

4,729

5,762

4,430

5,090

4,506

4,988

1.5

8.1

▲ 3.8

▲ 1.8

6.9

▲ 3.5

▲ 5.5

6.5

▲ 8.7

7.5

▲ 2.3

4.1

▲ 5.2

6.3

▲ 18.5

8.1

▲ 18.4

6.1

909,299

967,237

964,641

942,370

84,703

76,751

66,358

69,071

69,616

84,226

79,539

81,275

82,615

81,860

81,903

83,330

84,213

78,364

1.9

6.4

▲ 0.3

▲ 2.3

▲ 0.4

▲ 2.1

▲ 13.2

▲ 2.6

▲ 8.3

0.3

1.3

▲ 7.1

▲ 0.7

1.6

▲ 1.5

0.3

▲ 0.6

2.1

16.8

16.5

17.0

17.6

17.4

16.5

18.0

17.7

17.7

16.2

17.0

18.0

17.6

18.2

17.2

17.2

▲ 6.9

▲ 2.2

3.1

▲ 3.1

▲ 5.7

3.1

0.0

2.2

0.6

3.2

2.4

7.8

6.7

2.9

▲ 0.6

▲ 2.2

17.6

17.5

17.9

P18.0

18.9

18.9

16.9

18.6

19.0

18.5

16.9

17.7

17.9

16.8

17.8

18.6

19.0

P18.4

▲ 0.4

▲ 0.6

2.4

P0.5

1.4

1.4

1.8

1.1

2.8

1.1

1.2

1.2

1.1

▲ 1.7

▲ 1.2

1.1

0.6

P▲ 2.7

100.0

99.7

99.4

99.4

99.1

100.4

99.1

97.3

100.3

101.0

101.6

101.2

101.7

101.7

101.8

101.7

1.5

▲ 0.3

▲ 0.3

▲ 0.3

▲ 0.5

0.7

▲ 0.2

▲ 1.2

1.7

1.8

1.7

1.4

2.0

1.9

1.9

2.3

100.0

100.9

102.3

P102.7

103.0

103.0

101.9

101.9

101.1

103.0

103.4

103.3

103.2

103.0

102.8

102.9

103.1

P103.1

1.1

0.9

1.4

P0.4

1.7

1.5

0.6

0.9

0.7

0.5

0.6

0.5

0.2

0.3

0.1

0.1

0.1

P0.1

新設住宅着工戸数 所定外労働時間(製造業) 常用雇用指数

全国

国土交通省

埼玉県 全国

埼玉県 厚生労働省

埼玉県

埼玉県 厚生労働省

全国

戸 前年比(%) 戸 前年比(%) 時間 前年比(%) 時間 前年比(%)2015年=100 前年比(%)2015年=100 前年比(%)

埼玉県

2015年

2016年

2017年

2018年

17年11月

12月

18年 1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

19年 1月

資料出所

0.85

1.04

1.23

1.33

1.31

1.33

1.31

1.28

1.27

1.29

1.31

1.37

1.39

1.38

1.35

1.33

1.31

1.33

1.20

1.36

1.50

1.61

1.56

1.59

1.59

1.58

1.59

1.59

1.60

1.62

1.63

1.63

1.64

1.62

1.63

1.63

27,136

30,731

35,167

36,049

36,657

34,385

37,936

38,616

35,711

33,061

36,445

37,063

34,008

36,561

35,558

39,299

35,323

33,007

9.0

13.2

14.4

2.5

13.4

17.9

0.3

5.7

9.8

1.6

9.0

11.4

4.7

2.3

▲ 4.7

▲ 0.1

▲ 3.6

▲ 4.0

863

911

963

977

942

922

1,030

1,016

1,011

966

962

966

957

976

931

1,070

967

869

3.5

5.5

5.7

1.5

5.5

9.6

2.3

0.2

3.1

4.6

5.5

0.2

3.7

3.4

▲ 6.6

4.6

2.6

▲ 5.7

10,573

10,186

10,101

10,138

866

1,065

845

745

854

804

822

838

882

814

804

819

845

1,066

▲ 1.0

▲ 0.6

▲ 0.1

▲ 0.8

0.3

1.2

0.1

0.8

▲ 0.3

▲ 1.8

▲ 2.4

0.8

▲ 1.0

▲ 0.4

1.4

▲ 1.5

▲ 3.3

▲ 1.3

200,491

195,979

196,025

195,998

16,713

20,921

16,826

14,565

16,351

15,564

15,664

16,030

17,002

15,751

15,135

15,862

16,423

20,825

0.4

▲ 0.9

0.0

▲ 0.5

1.4

1.1

0.4

0.6

0.1

▲ 0.8

▲ 2.0

1.5

▲ 1.6

▲ 0.1

0.4

▲ 0.8

▲ 2.2

▲ 1.0

有効求人倍率(季調値) 新規求人数 百貨店・スーパー販売額

埼玉県 埼玉県全国

埼玉労働局 埼玉労働局 厚生労働省 経済産業省

全国

厚生労働省

埼玉県 全国

倍 倍 人 前年比(%) 千人 前年比(%) 億円 前年比(%) 億円 前年比(%)

●百貨店・スーパー販売額の前年比は既存店ベース

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Town Scapeタウンスケープ

2221 埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

住んでみたいまち 住み続けたいまち ときめきの皆野

皆野町長 石木戸 道也氏

皆野町町長のメッセージ皆野町は、豊かな自然の中で伝統ある文化を大切に受け継いできただけでなく、グロー

バル教育や子育て支援など、これからの町を支える人づくりに力を入れています。当町においては、夢と希望と笑顔溢れるときめきの皆野町を創造していくなかで、新た

に「住んでみたいまち」として選ばれる町に、また、今住んでいる町民がこれからも「住み続けたいまち」となることを目指しています。町民と行政が相互に信頼し、協力することにより、多くの町民が共感できるまちづくりに取り組んでまいります。

●秩父鉄道 皆野駅、親鼻駅●関越自動車道 花園ICから町役場まで約17㎞

主な交通機関

人口(平成31年1月1日現在)

世帯数(同上)

平均年齢(平成30年1月1日現在)

面積

製造業事業所数(工業統計)

製造品出荷額等(同上)

卸・小売業事業所数(商業統計)

商品販売額(同上)

公共下水道普及率

舗装率

資料:「平成29年埼玉県統計年鑑」ほか

9,792人

3,974世帯

51.2歳

63.74k㎡

21所

95.8億円

117店

124.0億円

59.1%

56.5%

さいたま市

長瀞町

東秩父村

本庄市

秩父市

はじめに皆野町は、埼玉県の西北、秩父郡の東北に位置

し、北は本庄市・長瀞町・寄居町、東は東秩父村、南は秩父市、西は神川町に接している。四方を美の山、大霧山、城峯山などの標高500

mから1,000m程の山々に囲まれた秩父盆地の一角に位置し、緑に囲まれた自然豊かな町である。町の中央部を荒川、秩父鉄道、国道140号が南

北に縦断し、鉄道は秩父鉄道の皆野駅と親鼻駅の2つの駅が設置されている。道路は、関越自動車道の花園ICから、国道140号、皆野寄居有料道路を経由し17㎞ほどで町の中心部に到着する。

秩父音頭のふる里と豊富な観光資源埼玉県の代表的民謡として広く親しまれ、関東

三大民謡にも挙げられる秩父音頭。毎年8月14日、皆野町では秩父音頭発祥の町として「秩父音頭まつり」が盛大に開催される。昨年は開催50回目を迎え、「流し踊りコンクール」には町内はもちろん県内各地から計73チーム1,690人の参加があり、見事な踊りを披露した。昨年9月、秩父音頭は一昨年から交流を始めた

浅草でも披露された。浅草「雷門盆踊り」では、かつて秩父音頭まつりで使われた櫓をメインステージに設置し、流し踊りコンクールの優勝チーム等が踊りを披露、多くの台東区民も盆踊りの輪に参加した。皆野町を流れる荒川が隅田川の源流で、浅草とは

川でつながるお隣さんという地理的な縁や歴史的な縁もあり交流が始まった。5月中旬から6月初めにかけて、秩父高原牧場の

標高500mの高原に1,500万本の真っ赤なシャーレーポピーが咲き誇る。平成18年にポピーの植栽が始まり、平成20年から「天空のポピー」としてポピーまつりが開催され、今年で12年目を迎える。澄んだ青空をバックに咲くポピーは圧巻。現在、人気急上昇中で多くの観光客が訪れている。ほかにも秩父華厳の滝、日本百観音の結願寺である秩父札所34番水潜寺など、観光資源が豊富にある。皆野の魅力をPRするのは、2人の「みなの観光

大使」。大ヒットした「のだめカンタービレ」の作者で漫画家の二ノ宮知子さん(平成25年委嘱)と、「おそ松さん」をはじめ多くの人気作品を輩出する漫画家のシタラマサコさん(平成30年委嘱)。2人とも生まれも育ちも皆野町である。2人の観光

大使が、生まれ育った町の魅力をイラストなどでPRする。

グローバル人材の育成とキャリア教育皆野町では、国内外で活躍するグローバル人材

を育成する教育に取り組んでおり、幼稚園から小・中学校での英語教育に力を入れている。幼稚園からALT(外国語指導助手)による英語

の授業が始まり、中学3年生までの一貫した英語教育が行われている。中学3年生には英検受験を奨励し、町から受験費用の補助をしている。小学生を対象にしたイングリッシュ・キャンプや、英語で運動会、英語でクッキングといったイベントの開催のほか、中学3年の修学旅行では、現地留学生と京都の街を歩きながら英語で話す体験をするなど、様々な取組を行っている。キャリア教育では、未来をたくましく生きる力を育

成するために、体験学習を通じて、①人間関係形成能力、②社会形成能力、③自己理解能力、④自己管理能力、⑤課題対応能力、⑥キャリアプランニング能力といった、6つのスキルを身につけることを目指している。福祉体験や浅草校外学習、宿泊体験学習、職場体験学習、高校授業体験などのプログラムを系統的に計画している。

子育て応援と町民の健康増進皆野町は子育て応援や町民の健康増進にも注

力している。出産すると第1子3万円、第2子5万円、第3子10

万円の出産褒賞金が支給され、1歳の誕生月までの子どもに毎月紙おむつ又は粉ミルクが給付される。保育所などの保育料は第3子以降は無料、中学3年生までの児童に児童手当が支給され、高校3年生までの医療費も無料で窓口での支払いも不要となっている。町民の健康増進への支援も手厚く、住民健診の

ほか各種がん検診等も無料で受診できる。少子化や人口減少を抑制し、定住人口の増加を

図るための施策も実施している。町に定住する「子育て世帯」「新婚世帯」「転入者」が、新たに住宅を取得すると補助金が交付される。新築住宅及び中古住宅が対象で、子どもの人数により加算金もあり、最大で100万円以上の補助が受けられる。                  (樋口広治)真っ赤に咲き誇る「天空のポピー」 皆野幼稚園での英語の授業風景

皆野町概要皆野町

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Town Scapeタウンスケープ

2221 埼玉りそな経済情報2019.3埼玉りそな経済情報2019.3

住んでみたいまち 住み続けたいまち ときめきの皆野

皆野町長 石木戸 道也氏

皆野町町長のメッセージ皆野町は、豊かな自然の中で伝統ある文化を大切に受け継いできただけでなく、グロー

バル教育や子育て支援など、これからの町を支える人づくりに力を入れています。当町においては、夢と希望と笑顔溢れるときめきの皆野町を創造していくなかで、新た

に「住んでみたいまち」として選ばれる町に、また、今住んでいる町民がこれからも「住み続けたいまち」となることを目指しています。町民と行政が相互に信頼し、協力することにより、多くの町民が共感できるまちづくりに取り組んでまいります。

●秩父鉄道 皆野駅、親鼻駅●関越自動車道 花園ICから町役場まで約17㎞

主な交通機関

人口(平成31年1月1日現在)

世帯数(同上)

平均年齢(平成30年1月1日現在)

面積

製造業事業所数(工業統計)

製造品出荷額等(同上)

卸・小売業事業所数(商業統計)

商品販売額(同上)

公共下水道普及率

舗装率

資料:「平成29年埼玉県統計年鑑」ほか

9,792人

3,974世帯

51.2歳

63.74k㎡

21所

95.8億円

117店

124.0億円

59.1%

56.5%

さいたま市

長瀞町

東秩父村

本庄市

秩父市

はじめに皆野町は、埼玉県の西北、秩父郡の東北に位置

し、北は本庄市・長瀞町・寄居町、東は東秩父村、南は秩父市、西は神川町に接している。四方を美の山、大霧山、城峯山などの標高500

mから1,000m程の山々に囲まれた秩父盆地の一角に位置し、緑に囲まれた自然豊かな町である。町の中央部を荒川、秩父鉄道、国道140号が南北に縦断し、鉄道は秩父鉄道の皆野駅と親鼻駅の2つの駅が設置されている。道路は、関越自動車道の花園ICから、国道140号、皆野寄居有料道路を経由し17㎞ほどで町の中心部に到着する。

秩父音頭のふる里と豊富な観光資源埼玉県の代表的民謡として広く親しまれ、関東

三大民謡にも挙げられる秩父音頭。毎年8月14日、皆野町では秩父音頭発祥の町として「秩父音頭まつり」が盛大に開催される。昨年は開催50回目を迎え、「流し踊りコンクール」には町内はもちろん県内各地から計73チーム1,690人の参加があり、見事な踊りを披露した。昨年9月、秩父音頭は一昨年から交流を始めた

浅草でも披露された。浅草「雷門盆踊り」では、かつて秩父音頭まつりで使われた櫓をメインステージに設置し、流し踊りコンクールの優勝チーム等が踊りを披露、多くの台東区民も盆踊りの輪に参加した。皆野町を流れる荒川が隅田川の源流で、浅草とは

川でつながるお隣さんという地理的な縁や歴史的な縁もあり交流が始まった。5月中旬から6月初めにかけて、秩父高原牧場の

標高500mの高原に1,500万本の真っ赤なシャーレーポピーが咲き誇る。平成18年にポピーの植栽が始まり、平成20年から「天空のポピー」としてポピーまつりが開催され、今年で12年目を迎える。澄んだ青空をバックに咲くポピーは圧巻。現在、人気急上昇中で多くの観光客が訪れている。ほかにも秩父華厳の滝、日本百観音の結願寺である秩父札所34番水潜寺など、観光資源が豊富にある。皆野の魅力をPRするのは、2人の「みなの観光

大使」。大ヒットした「のだめカンタービレ」の作者で漫画家の二ノ宮知子さん(平成25年委嘱)と、「おそ松さん」をはじめ多くの人気作品を輩出する漫画家のシタラマサコさん(平成30年委嘱)。2人とも生まれも育ちも皆野町である。2人の観光

大使が、生まれ育った町の魅力をイラストなどでPRする。

グローバル人材の育成とキャリア教育皆野町では、国内外で活躍するグローバル人材

を育成する教育に取り組んでおり、幼稚園から小・中学校での英語教育に力を入れている。幼稚園からALT(外国語指導助手)による英語

の授業が始まり、中学3年生までの一貫した英語教育が行われている。中学3年生には英検受験を奨励し、町から受験費用の補助をしている。小学生を対象にしたイングリッシュ・キャンプや、英語で運動会、英語でクッキングといったイベントの開催のほか、中学3年の修学旅行では、現地留学生と京都の街を歩きながら英語で話す体験をするなど、様々な取組を行っている。キャリア教育では、未来をたくましく生きる力を育

成するために、体験学習を通じて、①人間関係形成能力、②社会形成能力、③自己理解能力、④自己管理能力、⑤課題対応能力、⑥キャリアプランニング能力といった、6つのスキルを身につけることを目指している。福祉体験や浅草校外学習、宿泊体験学習、職場体験学習、高校授業体験などのプログラムを系統的に計画している。

子育て応援と町民の健康増進皆野町は子育て応援や町民の健康増進にも注

力している。出産すると第1子3万円、第2子5万円、第3子10

万円の出産褒賞金が支給され、1歳の誕生月までの子どもに毎月紙おむつ又は粉ミルクが給付される。保育所などの保育料は第3子以降は無料、中学3年生までの児童に児童手当が支給され、高校3年生までの医療費も無料で窓口での支払いも不要となっている。町民の健康増進への支援も手厚く、住民健診の

ほか各種がん検診等も無料で受診できる。少子化や人口減少を抑制し、定住人口の増加を

図るための施策も実施している。町に定住する「子育て世帯」「新婚世帯」「転入者」が、新たに住宅を取得すると補助金が交付される。新築住宅及び中古住宅が対象で、子どもの人数により加算金もあり、最大で100万円以上の補助が受けられる。                  (樋口広治)真っ赤に咲き誇る「天空のポピー」 皆野幼稚園での英語の授業風景

皆野町概要皆野町

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埼玉りそな産業経済振興財団企画編集

公益財団法人

株式会社 埼玉りそな銀行公益財団法人 埼玉りそな産業経済振興財団〒330-0063 さいたま市浦和区高砂2-9-15Tel:048-824-1475 FAX:048-824-7821ホームページアドレス http://www.sarfic.or.jp/

発 行企 画 ・ 編 集

March 2019 No.183 3月号

埼玉りそな経済情報

秩父音頭まつり(皆野町)

彩論 関東経済産業局長 角野 然生 氏 伴走型の中小企業支援

ズームアップ 東都フォルダー工業株式会社調査① 埼玉県における相続税の現状調査② 活性化が期待される埼玉県のスポーツアンケート調査 埼玉県内企業経営動向調査 国内景気の見方は厳しさ増すが、自社の業況は底堅さ続く

県内経済の動き

月次経済指標

タウンスケープ 皆野町 住んでみたいまち 住み続けたいまち ときめきの皆野

市町村経済データ

市町村経済データ

この冊子はFSC® 認証用紙および環境調和型の植物性インキを使用しています。

2019年3月1日発行2019年3月号

小学校数・児童数

資料:埼玉県「学校基本調査」

市町村名 前年差(人)

学校数(校)

さ い た ま 市

川 越 市

熊 谷 市

川 口 市

行 田 市

秩 父 市

所 沢 市

飯 能 市

加 須 市

本 庄 市

東 松 山 市

春 日 部 市

狭 山 市

羽 生 市

鴻 巣 市

深 谷 市

上 尾 市

草 加 市

越 谷 市

蕨 市

戸 田 市

入 間 市

495

81

▲ 163

96

▲ 17

▲ 91

▲ 19

▲ 3

▲ 101

▲ 18

▲ 23

▲ 97

▲ 128

▲ 21

▲ 27

▲ 157

▲ 107

▲ 202

▲ 15

49

61

▲ 209

107

33

30

52

16

13

32

14

22

13

11

24

16

11

19

19

22

21

30

7

12

16

69,948

18,433

9,556

30,221

3,777

2,970

16,748

3,608

5,650

3,861

4,413

10,862

7,135

2,566

5,808

7,456

11,494

12,421

18,019

3,027

8,064

7,301

朝 霞 市

志 木 市

和 光 市

新 座 市

桶 川 市

久 喜 市

北 本 市

八 潮 市

富 士 見 市

三 郷 市

蓮 田 市

坂 戸 市

幸 手 市

鶴 ヶ 島 市

日 高 市

吉 川 市

ふ じ み 野 市

白 岡 市

市 計

伊 奈 町

三 芳 町

毛 呂 山 町

越 生 町

滑 川 町

嵐 山 町

小 川 町

川 島 町

吉 見 町

鳩 山 町

と き が わ 町

横 瀬 町

皆 野 町

長 瀞 町

小 鹿 野 町

東 秩 父 村

美 里 町

神 川 町

上 里 町

寄 居 町

宮 代 町

杉 戸 町

松 伏 町

町 村 計

市 町 村 計

児童数(人) 前年差

(人)

学校数(校)

児童数(人) 前年差

(人)

学校数(校)

児童数(人)市町村名 市町村名

99

47

173

57

10

▲ 81

▲ 121

9

▲ 5

83

▲ 95

▲ 161

▲ 26

▲ 70

▲ 87

▲ 53

74

▲ 2

▲ 765

▲ 123

▲ 35

▲ 61

10

8

9

17

7

23

8

10

11

19

8

12

9

8

6

8

13

6

732

4

5

4

7,352

3,936

4,338

8,995

3,683

7,217

2,921

4,498

5,683

7,040

2,862

5,319

2,353

3,448

3,040

4,453

6,076

2,582

349,134

2,992

2,108

1,426

▲ 19

13

▲ 24

▲ 29

▲ 41

▲ 17

▲ 24

7

▲ 25

7

3

▲ 21

▲ 11

13

▲ 12

▲ 41

▲ 26

7

▲ 79

▲ 53

▲ 591

▲ 1,356

2

3

3

6

4

6

3

3

1

3

2

4

1

3

4

5

6

4

6

3

85

817

430

1,186

721

1,122

845

717

430

428

390

468

296

574

79

534

637

1,669

1,425

1,461

2,168

1,523

23,629

372,763

(平成30年5月1日現在)

1

2

5

9

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17

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裏表紙