EM ZERO Vol.4

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EM ZERO vol.04 01 EM Requirement Development

description

「芁求はあるものではなく、開発するものである」ずいうスロヌガンのもずに始たった芁求開発。そしお、芁求開発を実践するための超䞊流工皋の方法論ずしお提䟛されるOpenthology。EM ZERO Vol.4では芁求開発の事䟋ずずもに、芁求開発アラむアンスが新たに開発しおいるOnepthology2.0の情報をいち早くお䌝えしたす。

Transcript of EM ZERO Vol.4

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EM Requirement Development

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EM Requirement Development

ビゞネスモデリングをきっかけずし、「芁求はあるものではなく、開発するものである」ずいうスロヌガンのもずに誕生した “芁求開発”。

その蚀葉は「芁求開発方法論̶Openthology」ずしお圢ずなり、システム開発の最䞊流でビゞネスずITを぀なぐ手法ずしお広たっおきた。今幎、その芁求開発が2.0にバヌゞョンアップする。EM ZERO Vol.4は、「EM 芁求開発」ず称しお芁求開発の倉遷ず珟行の適甚事䟋、そしお芁求開発2.0の取り組みを特集する。

芁求開発アラむアンスぞのご招埅石沢ケント ISHIZAWA Kent 




 2ペヌゞ

芁求開発2.0宣蚀萩本順䞉 HAGIMOTO Junzo 




 4ペヌゞ

芁求開発2.0ぞの取り組み河野正幞 KONO Masayuki 




 6ペヌゞ

実甚段階に入った「芁求開発」̶システム開発ぞの芁求開発の適甚䞊山和子 UEYAMA Kazuko 




 10ペヌゞ

芁求開発による珟状分析事䟋ず知識トランスファヌ戊略牛尟 剛 USHIO Tsuyoshi 




 12ペヌゞ

目次̶Contents

株匏䌚瀟メ゜ドロゞック山岞耕二 YAMAGISHI Kouji

 もずはず蚀えばもう6幎前、身近で「圹に立぀システムを䜜るために業務をモデリングする」こずに賛同いただいた数名の方々ず「議論ず反省䌚俗にいう飲み䌚をセットでやる」こずを始めたのがこずの起こりです。芁求開発ずいう蚀葉には「堎圓たり的になりがちな䌁画プロセスに゚ンゞニアリングを持ち蟌み、胜動的か぀ロゞカルに芁求を開発するのだ」ずいう思いを蟌めたした。それが蚀霊ずなっお倚くの意識の高い方々に支えられるようになったように思えたす。 「議論ず反省䌚」の䌝統は5幎以䞊経った今でも健圚で、このスキヌムも長期継続の䞀因かもしれたせん。こうした掻動がIT技術者の付加䟡倀向䞊の䞀助になればず思っおいたす。

りルシステムズ株匏䌚瀟河野正幞 KONO Masayuki

 い぀の間にか業界歎22幎。その間、30近いプロゞェクト珟堎での泥臭い実践を通じお、䟡倀の高いシステムを開発するための最適解を远い求めおきたした。倱敗、成功含めおいろいろず詊しおきた結果、珟時点での私のお勧めは「芁求開発」「アゞャむル開発」「DDDドメむン・ドリブン・デザむン」の3぀をうたく組み合わせおシステムのラむフサむクル党般に適甚するこずです。これによっお飛躍的にパフォヌマンスや品質の向䞊が実珟できるず確信しおいたす。芁求開発アラむアンスでも今埌このテヌマに積極的に取り組んでいきたいですね。

株匏䌚瀟匠Lab萩本順䞉 HAGIMOTO Junzo

 芁求開発のザビ゚ルず蚀われ続けお早くも5幎以䞊。これからも芁求開発の䌝道垫であり続けたいず思っおいたす。今埌の芁求開発の発展こそ、次䞖代のIT業界を良い方向に導くものではないかず考えおいたす。これからも芁求開発に関心を持぀皆さんず共に芁求開発のコミュニティやコンテンツを充実させ、実瞟を着実に積み䞊げおいきたいず考えおいたす。 さあ、芁求開発の飛躍はこれからです。乗り遅れないようにしっかりずご乗車ください

株匏䌚瀟チェンゞビゞョン 平鍋健児 HIRANABE Kenji

 僕にずっおの芁求開発は「芁求開発宣蚀」に尜きたす。「情報システムに察する芁求は、あらかじめ存圚しおいるものではなく、ビゞネス䟡倀にもずづいお開発されるべきものである」。アゞャむル宣蚀にこっそりそしお明らかに啓発されたこの文章を、すずかけ台での合宿で創り出したこずが䞀番の思い出です。 この文章はこれたでのシステムぞの「芁求」が圓然のようにそこにあるものだずいう誀解を芆す新鮮なものでした。芁求は「収集」したり、「定矩」したりするものではなく、創り出すもの。そう考えた瞬間にモノの芋方が180床倉わったこずを芚えおいたす。

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株匏䌚瀟アヌキテクタス 现川 努 HOSOKAWA Tsutomu

 芁求開発アラむアンスが正匏結成されおから、早いもので4幎になりたす。最初のうちは理事メンバヌや䜕人かの若手メンバヌを䞭心ずした掻動だったのが、瞬く間に倧きな䌚ずなれたのは、ひずえに参加䌚員の皆様のご支揎の賜物だず思いたす。しかし、芁求開発はただただ倧きな成果を埗られたわけではなく、「芁求は開発するもの」ずいうこずが圓たり前になる日たで、方法論の改善や普及に努めなければならないものだず思いたす。今埌も皆さんず䞀緒にがんばっおたいりたいず思いたすので、どうぞよろしくお願いいたしたす。

株匏䌚瀟豆蔵 安井昌男 YASUI Masao 6幎前、山岞理事長にビゞネスモデリング研究䌚ずいう非合法組織ぞの加入を勧誘されたした。3回目くらいの䌚合だったでしょうか。山岞理事長から「芁求開発」ずいう蚀葉が初めお発せられたした。たさに歎史的瞬間ず蚀えたしょう。 今埌の芁求開発に関しおは、独善的な抂念操䜜に陥らないように経営孊や他分野の工孊などの正しい知識を前提ずした普遍的な䜓系ずなるこずを望みたす。埮力ながらも協力させおいただく所存です。

株匏䌚瀟シナゞヌ研究所 䟝田智倫 YODA Tomoo

 日垞の掻動では぀い芁求開発以倖のこずが気になり、いろいろな枝葉に手を出しおしたいたす。しかし、「お前がやっおみろ」ず倧型のキャンバスが䞎えられたずき、芁求開発以倖に戻る堎所はありたせん。ビゞョンに始たり抂念モデルに至る䞀連のプロセスは、競争的゜フトりェアが開花する時代の基本的な゚ンゞニアリングプロセスずなるこずでしょう。

株匏䌚瀟豆蔵 矜生田栄䞀 HANYUDA Eiichi

 芁求開発の必芁性自䜓はほが垞識になったず思いたす。しかし、それを実際に珟堎で適甚するためには、オバサンが持っおいる普通のファシリテヌション胜力ず、コドモが持っおいる玠盎なモデリング胜力ず、アナタ自身のちょっずした諊めない実行力の、適切なブレンドが必芁です。実践に近いワヌクショップスタむルのトレヌニングが甚意されるずいいですね。あずはアゞャむルプロセスず融合させた、䌁画ず開発のPDCAサむクルを実珟したいです。

芁求開発アラむアンス幎衚— Timeline of Requirement Development Alliance

芁求開発アラむアンス蚭立総䌚芁求開発サミット2005幎3月15日品川の東京カンファレンスセンタヌにお開催

芁求開発合宿・芁求開発アラむアンス総䌚2007幎6月5日前幎ず同じく、品川の東京カンファレンスセンタヌにお開催芁求開発本がこれに先立ち出版された

芁求開発ラむブDevelopers Summit20082008幎2月14日

芁求開発2.0WGキックオフ2008幎2月29日

すずかけ台宣蚀2004幎12月23日神奈川県暪浜垂長接田の「すずかけ台」に䞻芁メンバヌが集結芁求開発宣蚀すずかけ台宣蚀の採択新名称「芁求開発アラむアンス」の決定

ラむブセッション@Developers Summit 20062006幎2月9日

日経ITpro連茉開始2006幎3月1日

芁求開発本出版2006幎3月2日、7日受難に耐えながら、理事メンバヌを䞭心に“芁求開発”本を執筆安井理事は別途“戊略的芁求開発のススメ”を同時倚発的に執筆

芁求開発サミット2006幎3月16日

玍涌䌚2005幎8月31日若手䌚結成珟ClubNext

玍涌䌚2006幎9月1日

玍涌䌚2007幎8月15日

合宿2008幎2月8日

ラクヌア宣蚀2004幎3月25日萩本さん降臚モデリングによるビゞネスの芋える化の普及に぀いお誓い合う

  ビゞネスモデリング研究䌚  スタヌト2003幎3月りルシステムズ、シナゞヌ研究所、東掋゚ンゞニアリング、日本総研、日本IBMの有志メンバヌが参加。10月には安井さん、野田さん圓時枅氎建蚭たちが参加

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「芁求はあるものではなく、開発するものである」

 芁求開発アラむアンスずは、このスロヌ

ガンのもず芁求開発の䜓系化を目指す有

志の集たりです図1。ずいっおも、怪しげな政治団䜓や宗教団䜓ずも受け取られ

かねたせんので、もう少し具䜓的に定矩し

おみたす。

・特定のベンダや䌁業に属さない、オヌプンな集たりであるオヌプンコミュニティ・取り扱う興味の範囲は「システム化䌁画」から「芁件定矩」などの䞀般的には䞊流ず呌ばれる工皋である・目的は、自らが提唱する芁求開発方法論「Openthology」の普及であるが、これにずらわれずに䞊流工皋党般の事䟋発

衚、研究発衚なども行う・䞻な掻動内容は、月䟋勉匷䌚懇芪䌚ずMLによる意芋亀換である・参加者は、ナヌザ䌁業のシステム郚門や開発ベンダの開発者、コンサルティング䌚瀟のコンサルタントなど。特に参加資栌などはない

 特定の蚀語や技術を扱った開発寄りの

技術者コミュニティが倚い䞭で、芁求開発

アラむアンスは少しビゞネス寄りな話題を

扱う、少し異色なコミュニティかもしれた

せん。

芁求開発アラむアンスの沿革

 さお、この「芁求開発アラむアンス」で

すが、前身は「ビゞネスモデリング研究䌚」

ずいう名前で掻動をしおいたした2003

2005幎。圓初はUMLを甚いたビゞネス

モデリング手法に぀いおの私的勉匷䌚で

したが、議論の結果、「モデリング手法そ

のものよりも、超䞊流工皋における怜蚎プ

ロセスそのものが必芁である」ずいう結論

に達し、前述のスロヌガン「芁求は開発す

るものである」を提唱するに至っおいたす。

 その埌、呌称を「芁求開発アラむアンス」

ず改めおからは、ビゞネスモデリングを䞭

心ずした芁求開発方法論「Openthology」

の策定を軞に、システム䌁画や芁件定矩

に぀いおの協議ず実践結果の発衚を続け

おいたす。メヌリングリストに登録された

䌚員は珟圚では300人以䞊、アクティブな

メンバヌ3040名ほどで掻動を続けおい

たす。

月に䞀床の勉匷䌚

 珟圚、芁求開発アラむアンスでは月に䞀

床の定䟋勉匷䌚を䞭心に掻動しおいたす。

䞊流工皋を取り巻く課題や論点に぀いお

講垫を招いお説明しおいただいたり、䌚

員に事䟋発衚をしおいただいたりしおいた

す。時間は玄2時間ほどで、開催堎所は新

宿や秋葉原が䞭心です。最近取り扱った

テヌマは以䞋のようなものです。

・ナヌザ䌁業情シスの悩たしい珟実「情シス」は「情死す」るのか・事䟋発衚「システム開発だけじゃない芁求開発」・芁求開発ずSOAはセットで入れろ・Soft System MethodologySSMに぀いお

 基本的には「ツヌル」「特定の蚀語や技

術」の話題ではなく、方法論などに぀いお

取り扱うこずが倚いです。党おの参加者が

゚ンゞニア・技術者ずいうわけではなく、

ナヌザ䌁業でマネゞメントや䌁画を実斜

■図1 芁求開発アラむアンスのWebペヌゞ

芁求開発アラむアンス執行圹員

石沢ケント ISHIZAWA Kent

芁求開発アラむアンスぞのご招埅

 突然ですが、「If architects had to work like programmers 建築士がプログラマヌのごずく働かねばならぬずしたら」泚ずいう文章をご存知でしょうか。 システム開発に関するゞョヌクで、「建築士さん、家を蚭蚈しおください。でも詳现は決たっおいないけどよろしく。完成埌の費甚は今䜏んでいる家より安くするこず。子ども達や矩理の家族にもヒアリングはよろしくね」ずいった、党おの開発者にずっお泣ける内容です。 涙の理由はこの悩たしくも䞍透明そしお時ずしおは䞍合理な「芁求」ずいう怪物。 しかし、この怪物に立ち向かおうずする有志のコミュニティがありたす。それが、芁求開発アラむアンスです

泚玹介した文章の和蚳は小飌匟さんのブログhttp://blog.livedoor.jp/dankogai/に茉っおいたすので、興味がある方は怜玢しおください。

オヌプンコミュニティ「芁求開発アラむアンス」

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しおいるこずもあるのが、その背景にあり

たす。

 勉匷䌚の埌は反省䌚ずいう名の懇芪䌚

で、終電たで議論を続けるこずも少なくあ

りたせん。さらにその埌有志による猛省䌚

が開かれおいるずいう噂もありたすが、詳

现は謎に包たれおいたす。

曞籍で読む「芁求開発」

 芁求開発アラむアンスの掻動成果ずし

お2冊の曞籍が出版されおいたす。

『芁求開発̶䟡倀ある芁求を導き出すプロセスずモデリング』芁求開発アラむアンス著、日経BP瀟、ISBN-13

: 978-4822282684、図2

 本曞は、芁求開発アラむアンスのメン

バヌによっお策定された芁求開発1.0を

ベヌスに執筆された曞籍です。本曞の狙

いは「䜿えないシステム」構築を防ぐこず。

荒削りな面もありたすが、芁求開発に興味

のある方党般にお勧めです。

『戊略的「芁求開発」のススメ』安井昌男著、翔泳瀟、ISBN-13: 978-4798110486、図3

 もう1冊は、芁求開発アラむアンスの安

井昌男理事によっお執筆された、システム

化䌁画芁求開発の䞭でも䞊流に䜍眮づ

けられる郚分に぀いお取り扱ったもので

す。長く䌁業のシステム郚門に圚籍されお

いた安井氏の、「ビゞネス目暙」を「シス

テム化蚈画」に萜ずし蟌むためのメ゜ッド

が語られおいたす。ナヌザ䌁業のシステム

郚門の方向けです。

䞊流工皋ずいうケモノ道を行く

 今どき、曞店やネットではたくさんの「芁

件定矩」や「芁求定矩」の情報を埗るこ

ずができたす。たた、倧手のベンダはそれ

ぞれ独自の暙準化ガむドラむンなども持っ

おいたす。しかし、䞊流工皋には定石・王

道はありたせん。「芁求」は、䌁業や利甚者、

時代によっおも異なり、䞀぀ずしお同じも

のはないからです。

 加えお芁求開発アラむアンスでは、「芁

求はあるものではなく、開発するものであ

る」ず考えおいたす。これは぀たり、芁求

はあらかじめ存圚し、ヒアリングや分析䜜

業で文曞化するだけで枈むものではないず

いう意味です。利甚者ず開発者が膝を突

き合わせお議論し、そこで産たれた「芁求」

こそが、より良いシステム䜜りに必芁だず

いうのが、さたざたなシステム開発を経隓

したメンバヌの意芋です。

 よっお、芁求開発アラむアンスは単なる

方法論の怜蚎ず策定だけにスコヌプを絞

らず、掻動の䞭で䌚員同士が知芋を亀換

し、議論するこずに重きを眮くようにしお

いたす。䞊流工皋ずいうケモノ道を行く人

が出䌚い、話し合う、そういったコミュニ

ティであればよいず考えおおりたす。

芁求開発に興味のある方ぞ

 珟圚、芁求開発アラむアンスは招埅制ず

させおいただいおおりたす。もし本蚘事を

ご芧になっお内容に興味がある堎合には、

EM ZERO線集郚経由でご連絡をお願いし

たす[email protected]。芁求開発ア

ラむアンスの趣旚・方向性にご賛同いただ

ける方はアクセスをお願いしたす。

Profile プロフィヌル

芁求開発アラむアンス執行圹員石沢ケント ISHIZAWA Kent

某SIerに所属。䞻な仕事は金融機関向けシステム開発のプロゞェクトマネヌゞャ。2006幎頃から芁求開発アラむアンスの執行委員ずしお、理事の介護に手を染める。たた、EM ZEROの発刊にも名前だけ参加しおいたが、これたでほずんど手䌝わず眪悪感に苛たされる。今回の寄皿で晎れお自由の身になれたらいいな♪。奜きな蚀葉は「実力も運のうち」。最近はFlex AIRの案件ばっかりやっおたす。

■図3 『戊略的「芁求開発」のススメ』安井昌男著、翔泳瀟、ISBN-13:978-4798110486

■図2 『芁求開発̶䟡倀ある芁求を導き出すプロセスずモデリング』芁求開発アラむアンス著、日経BP瀟、ISBN-13: 978-4822282684

EM ZERO Column コラム

 たたに勉匷䌚の参加者から「倧倉そうなのになんで幹事をやっおいるんですか」ず聞かれるこずがありたす。しかし、実際のずころは別に倧倉ではありたせん。ずいうわけで、芁求開発アラむアンスの運甚に぀いお少し觊れおおきたす。 芁求開発アラむアンスは基本的に月に䞀床の定䟋䌚開催ずしおいたす。開催のリズムが安定するず、運甚も非垞に楜です。参加者の日皋調敎を始めるずなかなか調敎できずに面倒ですので、割り切っお「決め」おしたうのがコツです。勉匷䌚のテヌマなどは実際埌づけで決めるこずも少なくありたせん。開催のリズムができあがるず、参加者も郜合が調敎しやすいのでお勧めです。 あずは䌚堎の確保、MLぞの告知、懇芪䌚を行う居酒屋の確保などですが、最近はネットず携垯電話を掻甚すればそんなに手間ではありたせん。参加メンバヌの所属する䌚瀟のセミナヌルヌムを借りるこずもありたすが、

割り切りで有料䌚議宀を借りるこずもありたす。 勉匷䌚は、反省や課題が残るこずはあっおも倱敗ずいうこずはありたせん。参加者が少なくおも集たり、知芋を亀換するこずができればよいのです。あたり考え蟌たずに「どんどん1人で決めおやっおしたう」勇気をもっお臚むのがよいず思いたす。 勉匷䌚の幹事になるず、テヌマに自分の盎面する課題や興味のある事柄を遞ぶこずもある皋床はできたすし、䌚の顔ずしお普段はお話できないような有識者の方ず盎接やりずりをするこずもできたす。このテクニックは『仕事のための12の基瀎力̶「キャリア」ず「胜力」の育お方』倧久保幞倫著、日経BP瀟、ISBN-13: 978-4822244095で「人脈開拓力」ずいう圢で玹介されおいたす。 たずは参加するこずから始たるわけですが、少し勇気を持っお「開催する」偎に回るのも楜しいですよ。

芁求開発アラむアンス運甚りラ話

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EM Requirement Development

 いよいよ芁求開発2.0がリリヌスされるこずずなった

 思い起こせば芁求開発Openthology0.6を曞き䞋ろしおから

4幎も経過しおいる。その間にさたざたなお客様で実践をし、手痛

い経隓もしながら芁求開発1.0が策定され、そしおさらなる改善を

加えたバヌゞョンが2.0ずしおリリヌスされるこずずなった。しかし、

バヌゞョン0.6で導入したコタツモデルやモデル構造などは新バヌ

ゞョンでも倚少名前は倉わるこずずなったがそのたた採甚されおい

る。

 ビゞネスモデリング手法を経隓された方から、芁求開発は埓来

の手法ずどこが倉わっおいるのかずいう質問を受けるこずがよくあ

るが、そのずき僕は迷わずこう答える。

「芁求開発は、プロゞェクトの䞭で戊略的に範囲を絞り蟌むテクニッ

クが蚘茉されおいたす。よっお、今たでの手法のような、モデル・

ドキュメント過倚に陥るこずもなく、䜕の目的で、どの皋床モデル

を曞けばよいのかわかるこずが新しいのです。぀たりプロゞェクト

を最適に進める方法が曞かれおいるのです。」

 芁求開発は、プロゞェクトを最適化するための手法ずいっおも

過蚀ではない。

 芁求開発のフェヌズは、やるべき手段を手探りするHowの手

探り際の手探り床合いがフェヌズずしお衚珟されおいるものだ。

そしお、ビゞョン・ゎヌル構造、サヌビス構造、情報構造、プロ

セス構造ずいったモデルストラクチャは、目的ず手段の連鎖を衚

す今たでの手法にはない構造を持っおおり、この構造によっおプ

ロゞェクトの䞭で戊略的に範囲を絞り蟌むこずができる。芁求開発

は斬新か぀最先端のビゞネス開発手法なのである。

 しかし、このたた留たるわけにはいかない。

 芁求開発1.0を新たに2.0化する目的は、ビゞネスオヌナヌぞの

わかりやすさを増匷するこずである。さらにわかりやすい絵や、文

章を䜓系立おお増やしおいくこずで、経営者に玍埗感のある方法

論ずしお認知され、ビゞネスの第䞀線で掻躍する人々が気軜に愛

甚するビゞネス開発方法論を目指しおいる。

 そしお、もう䞀぀の目的ずしおは、プロセスずサヌビスの関係を

明確にし぀぀、ある皋床の芏暡にも察応可胜なモデリング方法を

提瀺するこずである。この郚分では、河野正幞理事の貢献が非垞

に倧きかった。

 芁求開発方法論は、ビゞネスオヌナヌ、業務メンバヌ、開発メ

ンバヌ、みんなで䜿えるオヌプンな方法論なのである。そしおビ

ゞネス開発の方法論でもある。そのような方法論は䞖界を探しお

も他にはないだろう。

 たた、芁求開発は、最終的にシステム開発に繋がらないプロゞェ

クト、たずえば、事業改革プロゞェクトや郚門改革プロゞェクトな

どにも十分適応でき成果をあげられる手法でもある。

 たた、芁求開発の究極のメタファであるコタツモデルは、参加

者の意識を高め、参加者を明るくする䜕かがある。

 芁求開発2.0に進化させるこずにより、倚くの人たちが芁求開発

を知るこずになり、倚くの人達が芁求開発の虜になっおしたい、䞖

界的にも有名になるずいう「結果むメヌゞの予枬」が僕の䞭では

既に完成し぀぀あるのだ。

芁 求 開 発

株匏䌚瀟匠BusinessPlace 代衚取締圹瀟長株匏䌚瀟匠Lab 代衚取締圹瀟長芁求開発アラむアンス 理事

萩本順䞉 HAGIMOTO Junzo

2 . 0 宣 蚀

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芁求開発1.0に察する猛省

 䞡WGの掻動は1泊2日の合同合宿からス

タヌトしたした。この合宿で参加者の倚く

が珟状の問題点ずしお指摘したのが、

「癜本泚1を読んだだけでは自分たちのプロゞェクト、珟堎で芁求開発を実践するこずは難しい」

ずいうこずでした。

「癜本の内容は自分たちの日ごろの問題意識に合臎しおいる。倧いに共感できるし、よしやっおやろう、ず気持ちも盛り䞊がった。だけど、実際に手を動かす段になるず本に曞かれおいる内容だけでは難しいんだよね。」

ず倚くのメンバヌが感じおいたのです。

 癜本の執筆者の䞀人でもある筆者に

ずっお、これは倧倉耳の痛い指摘でした。

同曞で「珟堎で実践できない方法論は “絵

に描いた逅” に過ぎない」ず声高に䞻匵

しおいる身ずしおは、アラむアンスの䞭心

メンバヌでさえ芁求開発の実践が難しいず

感じおいる珟実を突き぀けられ、ショック

を受けるず同時に倧いに反省させられたし

た。

 そしお、この問題を解決するこずこそが

芁求開発2.0を目指す䞊でTAWGが最初に

取り組むべき課題だず決意を新たにしたし

た。

泚1『芁求開発̶䟡倀ある芁求を導き出すプロセスずモデリング』芁求開発アラむアンス著、日経BP瀟、ISBN-13: 978-4822282684のこず。衚玙が癜いこずから芁求開発アラむアンスの䞭では通称「癜本」ず呌ばれおいる。

 日本の䌝統的な孊習プロセスに「守砎

離」がありたす。前述の課題に察する根本

原因を考えおいお、ふず頭に思い浮かんだ

のが「守砎離」図1でした。 「守砎離」では、新しい方法論を孊ぶ際

に「守るべき基本の型」を忠実に実践す

るこずからスタヌトしたす。もしかするず

芁求開発1.0ではこの「守るべき基本の型」

を明瀺できおいないのではないか 。そこ

に解決の糞口が䜕ずなく芋えたような気が

したした。

 そもそも芁求開発は「芁求定矩」ずいう

蚀葉に象城される保守的で受け身なパラ

ダむムをぶち壊し、積極的に芁求を発芋・

発明するずいうパラダむムにシフトしお、

プロゞェクトの倱敗原因の倧半を占めおい

る芁求の問題を画期的に改善するこずを目

暙にスタヌトしたした。そのため埓来型の

芁求定矩方法論の知識や経隓を持぀人た

ちの問題意識を喚起し、パラダむムシフト

を促す「砎」ず「離」のメッセヌゞを発信

するこずにやや泚力し過ぎたきらいがあり

たす。

 ずころが実際に芁求開発が提瀺する問

題意識や䟡倀芳に共感しおチャレンゞし

りルシステムズ株匏䌚瀟 ディレクタヌ芁求開発アラむアンス 理事

河野正幞 KONO Masayuki

芁求開発2.0ぞの取り組み

 芁求開発アラむアンスhttp://www.openthology.org/では、芁求開発Openthologyをさらに倚くの方に掻甚しおいただくために必芁な改善を加えるこずを目暙に、有志を募っお2008幎2月にAAWGAs-Is Architecture Working GroupずTAWGTo-Be Architecture Working Groupを立ち䞊げたした。 本皿では、この2぀のWGのうち、芁求開発を2.0ずいう新たなステヌゞに進化させるこずに取り組んでいるTAWGの掻動内容の䞀郚をご玹介したす。

■図1 守砎離プロセス ■図2 芁求開発宣蚀

守 基本の型を守り、芏範の通り行う段階砎 基本から抜け出し、詊行錯誀しお自分らしさを発芋する段階離 基本から脱し、党く新しい「型」を創造する段階

再び基本に立ち返る 新しい型の創造

自分らしさの远及

離

守 ç Ž

私たちは、䌁業でのITシステム開発を通じお、「芁求」に関しお以䞋のこずを孊んだ。情報システムに察する芁求は、あらかじめ存圚しおいるものではなく、ビゞネス䟡倀にもずづいお「開発」されるべきものである。

●情報システムは、それ単䜓ではなく、人間の業務掻動ず盞互䜜甚する䞀䜓化した業務プロセスずしおデザむンされ、党䜓でビゞネス䟡倀の向䞊を目的ずするべきである。●情報システムの存圚意矩は、ビゞネス䟡倀の定矩から芁求開発を経おシステム開発にいたる目的・手段連鎖の远跡可胜性によっお説明可胜である。●ビゞネス䟡倀を満たす芁求は、盎接・間接にその䟡倀に関わるステヌクホルダヌ間の合意圢成を通じおのみ創り出される。

●芁求の開発は、呜什統制によらず参加協調による継続的改善プロセスを指向すべきである。●「ビゞネスをモデルずしお可芖化する」ずいうこずが、合意圢成、远跡可胜性、説明可胜性、および継続的改善にずっお、決定的に重芁である。

私たちはこれらの気づきから、「芁求開発」ずいう新しい知的掻動分野を創造し、それをみずから実践しおいく。その過皋で獲埗したナレッゞをOpenthologyオヌプン゜ロゞヌずしお䜓系化し、か぀、クリ゚むティブコモンズの䞋に公開・共有するこずで、同様の課題を持っおいる人々ず、コミュニティ掻動を通じお分かち合うこずを決意する。

芁求開発2.0ぞの道その1̶守るべき「基本型」を明確に瀺す

Page 9: EM ZERO Vol.4

  EM ZERO vol.04 07

EM Requirement Development

おくださる方には埓来型の芁求定矩の知

識や経隓が少ない初孊者も倚く含たれお

いたした。残念ながら、初孊者が珟堎で䜕

ずか手を動かしお先に進められるような具

䜓的な指針「守」を芁求開発1.0では明瀺

できおいたせんでした。

 その反省から、芁求開発2.0の怜蚎を「再

び基本に立ち返り、皆が守るべき基本の

型をわかりやすく瀺すこず」からスタヌト

するこずにしたした。「守砎離」でも、次

の孊習サむクルをスタヌトする際には「離」

からもう䞀床「守」の基本に立ち返りたす

ので、理にかなっおいるようにも思えたし

た。

 

 初孊者が戞惑うこずなく芁求開発を珟堎

で実践できるようにするためには、最終目

的が明確か぀具䜓的にむメヌゞできるこず

が必芁です。目的が䞍明確なたたモデリン

グなどの手法をいくら詳しく勉匷し適甚し

おみおも成果は出せたせん。

 芁求開発1.0では芁求開発のゎヌルを

「芁求開発宣蚀」図2で瀺したした。この宣蚀は芁求開発の䟡倀芳を簡朔に蚀い

衚しおいる点で「アゞャむル゜フトりェア

開発宣蚀」ず肩を䞊べる䞖界に誇るすばら

しい宣蚀だず思いたす。

 しかし、この宣蚀だけで初孊者が具䜓

的なゎヌルをむメヌゞするこずは難しいか

もしれたせん。

 そこで芁求開発2.0ではもう少し簡朔に

誰もが芁求開発の掻動内容や最終成果を

具䜓的にむメヌゞできる図を提瀺したいず

思いたす。たずえば、図3を芋せながら「芁求開発のゎヌルは、芁求を構造化しお䟡

倀を蚈枬可胜にし、䟡倀が高い芁求だけ

に絞り蟌んでシステムを構築可胜にするこ

ず」だず説明すれば、初孊者でもゎヌルが

より明確になるのではないかず考えおいた

す。

 「芁求の構造化」ずいうゎヌルが明確に

なったら、次にそのゎヌルにたどり着くた

めにどのように思考し、プロゞェクトを進

めおいくのかを考える必芁がありたす。芁

求の構造化ずは芁求を分類しおその関係

を定矩するこずです。そのための思考回路

をフレヌムワヌクずしお瀺せれば、初孊者

でも迷うこずなく先に進むこずができそう

です。

 そこで芁求開発2.0では機胜芁求を、

・ビゞネス芁求・ナヌザ芁求・゜フトりェア芁求

の3皮類に分類し、それらが目的ず手段

の関係で階局的に぀ながる芁求構造化フ

レヌムワヌクを基本型ずしお提瀺しおいた

す。この基本型に埓っお芁求開発に必芁

な情報を収集・分析し、芁求間の目的ず手

段の連鎖をきちんず敎理すれば、図3のよ

うに構造化された芁求にたどり着きやすく

なるず思いたす。

 これが芁求開発2.0の守るべき「第1の

基本型」です。

 「芁求の構造化」を行う䜜業は珟実には

かなり骚が折れるものになるでしょう。芁

求開発は経営偎、珟堎偎、開発偎からさた

ざたな背景や利害を持぀関係者が集たっ

お、䞀぀の「コタツ」で膝を突き合わせな

がら密床の濃い議論を行う掻動ですコタ

ツモデル。

 議論をうたく進める工倫をしなければ、

議論が発散しお収集が぀かなくなったり、

察立しお玛糟したりするリスクが高くなり

たす。同じテヌマに぀いおAさんはビゞネ

スの芖点で、Bさんはシステムの芖点で語

るため、なかなか共通認識を埗られないず

いったこずが起こりたす。もっずひどい䟋

では、AさんもBさんも「販売」ずいうキヌ

ワヌドで議論しおいるのに、Aさんは「曞

籍の新品販売」、Bさんは「CD DVDの

䞭叀販売」の぀もりで話しおいる、ずいっ

たように根本的な郚分での食い違いにすら

気が぀いおいないこずがありたす。

 このような問題を解決するためには、分

析察象の問題領域を図4のような機胜の階局構造で捉えるこずが有効です。この機胜

階局を事前に共有しおおけば、今議論し

おいるのがどの察象・レベルから芋た問題

や芁求なのかを垞に確かめながら議論す

るこずが容易になりたす。

 芁求開発1.0ではこの問題をうたく説明

できおいたせんでした。そこで2.0では図4

にある7階局を暙準的な機胜階局ずしお提

瀺しようず考えおいたす。

 これが芁求開発2.0の守るべき「第2の

基本型」です。

 図5は2぀の基本型がどのように関連しおいるのかを瀺しおいたす。この関連をよ

く理解するず、自分たちがよく知っおいる

プラクティスを芁求開発の文脈でうたく掻

甚できたす。

 ナヌスケヌス分析を䟋にこれを説明し

おみたしょう。図5を芋るず、ビゞネス芁

■図3 芁求開発のゎヌル構造化され䟡倀の蚈枬が可胜な芁求

Why What芁求の䟡倀や目的

How芁求の実珟䞻題

粗利益率を30に匕き䞊げる

売䞊を増やす 原䟡を䞋げる

リピヌト受泚を増やす

廃棄ロスのコストを䞋げる

玍期を遵守する

出荷を蚘録する

受泚入力画面 受泚状況確認画面

玍期自動蚈算機胜レスポンス3秒以内 出荷蚈䞊画面 入荷蚈䞊画面

圚庫照䌚画面

入荷を蚘録する

受泚を蚘録する

欠品を枛らす 補品圚庫を削枛する

圚庫状況をリアルタむムに把握する受泚状況をリアルタむムに把握する

ビゞネス芁求ナヌザ芁求゜フトりェア芁求品質芁求トレヌドオフ芁求

察立

ビゞネス芁求

ナヌザ芁求

゜フトりェア芁求

ビゞネスパタヌン

バリュヌチェヌンプロセス

システムナヌスケヌス

システムナヌスケヌスアクティビティ

゜フトりェアコンポヌネント

曞籍新品販売 曞籍䞭叀販売 CD/DVDレンタル

CD/DVD新品販売

商品䌁画 賌買物流 販売 アフタヌサヌビス

ビゞネスナヌスケヌス

商品を管理する

新芏䌚員を登録する

䌚員に新䜜の案内DM、電子メヌル

を出す

CD/DVD䞭叀販売

AV関連パヌツ/消耗品

販売

業務アクティビティ

顧客が商品を遞ぶ

レゞ係が貞出を蚘録する

圚庫係が商品を棚に戻す

商品をレンタルする

代金を受け取っお商品を枡す

顧客が商品を返华する

レゞ係が返华を蚘録する

レゞ係が䌚員カヌドを読み蟌たせる

䌚員情報衚瀺画面

貞出コントロヌラヌ

䌚員認蚌サヌビス 䌚員Entity

レゞ係が貞出を蚘録する

システムが䌚員を認蚌する

圚庫係が商品を棚に戻す

レゞ係が返华を蚘録する

レゞ係が商品ず返华期限を読み蟌たせる

システムが代金を蚈算しお画面に衚瀺する

レゞ係が受け取った代金を確認しお完了する

シシステムが貞出蚘録ず売䞊をDBに蚘録する

■図4 問題領域における機胜の階局構造曞籍CDDVD販売店の䟋

芁求開発2.0ぞの道その2̶芁求開発のゎヌルを明確に むメヌゞできるようにする

芁求開発2.0ぞの道その5̶2぀の基本型による 芁求プラクティスの有効掻甚

芁求開発2.0ぞの道その4̶守るべき第2の基本型 問題領域の機胜階局化

芁求開発2.0ぞの道その3̶守るべき第1の基本型 芁求の構造化

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08 EM ZERO vol.04

EM Requirement Development

求ずナヌザ芁求の接点の機胜がビゞネス・

ナヌスケヌスで、ナヌザ芁求ず゜フトりェ

ア芁求の接点の機胜がシステム・ナヌス

ケヌスだずわかりたす。これはナヌスケヌ

ス分析が、芁求の構造化の重芁な鍵を握

る芁求カテゎリ間の境界をたたがる「目的

ず手段の連鎖」の分析に掻甚できるこずを

瀺唆しおいたす。

 たずえば、図4の「商品をレンタルする」ずいうビゞネス・ナヌスケヌスを分析する

際には、その䞊䜍目的である「販売」「CD

 DVDレンタル」ずいったさらに䞊䜍の

ビゞネス芁求を実珟するための手段ずし

お、そのビゞネス芁求を開発したす。

 たた、ビゞネス・ナヌスケヌスの実行シ

ナリオむベントフロヌは、その䞀぀䞋

のレベルの業務アクティビティに盞圓した

す。぀たり、シナリオ分析では䞊䜍のビゞ

ネス芁求を満たすための手段ずなる、個々

の担圓者の䜜業レベルでのナヌザ芁求を

タヌゲットずしお芁求を開発すればよいこ

ずがわかりたす。

 システム・ナヌスケヌス分析においおも、

機胜階局のレベルに応じお同様の考え方

が適甚できたす。

 このほかにも芁求開発に適甚できる有甚

なプラクティスは数倚く存圚したすが、2

぀の基本型にマッピングしお考えるこずで

掻甚ポむントが芋極めやすくなりたす。

 2008幎2月にスタヌトしたTAWGの掻動

ですが、ただただコンセプトレベルでの最

終合意には至っおいたせん。

 その倧きな原因の䞀぀に、芁求開発で

甚いる甚語の定矩が人によっお異なるこず

が挙げられたす。甚語の定矩が異なるず共

通認識を埗るのに時間がかかるだけでな

く、互いの意図が正確に䌝わらずに調敎に

も手間取りたす。特に「サヌビス」「芁求」「戊

略」ずいった䞖間的にも埮劙な蚀葉の定矩

は、アラむアンスのメンバヌ間でも定矩が

かなり異なりたす。

 この問題を解消するために、TAWGでは

「芁求知識モデル」図6の敎備を同時に進めおいたす。芁求を開発するために収

集し、理解しなければならない情報や知識

を10数個皋床の抂念でシンプルに敎理し、

その意味や関係性を利甚者党員で共有す

るための甚語集です。

 甚語が統䞀されるこずによっお、「戊略」

「サヌビス」「情報」「プロセス」の4぀の

ビュヌから䜜成するさたざたなモデリング

成果物の目的や内容も明確に説明できるよ

うになるのではないかず考えおいたす。た

ずえば、「抂念デヌタモデル」は、ある「サヌ

ビス」に関連する「リ゜ヌス」「むベント」

「゚ヌゞェント」の静的な構造を衚珟する

図だず説明できたすし、「業務フロヌ」は、

ある「サヌビス」の実行手順を瀺す「プロ

セスフロヌ」「プロセスフロヌステップ」ず、

各ステップの実行を぀かさどる「゚ヌゞェ

ント」を衚珟する図だず説明できたす。

 このように「芁求知識モデル」をベヌス

に、統䞀された甚語で方法論党䜓を䞀貫

しお説明するこずで、利甚者にずっおのわ

かりやすさを向䞊させるこずにもチャレン

ゞしおいたす。

 本皿でご玹介した内容は芁求開発2.0の

党䜓構想からするずほんの入り口にしか過

ぎたせん。本来の進化ずいう意味で取り組

むべきテヌマ業皮毎のリファレンスモデ

ビゞネス領域

IT

領域

目的

手段

ビゞネスパタヌン

バリュヌチェヌンプロセス

ビゞネスナヌスケヌス

システムナヌスケヌス

業務アクティビティ

システムナヌスケヌスアクティビティ

゜フトりェアコンポヌネント

ビゞネス芁求

ナヌザ芁求

゜フトりェア芁求

機胜芁求の皮類 機胜階局

■図6 芁求知識モデル

■図5 機胜芁求の週類ず機胜階局の関係

ルの敎備やアゞャむルずの融合などが数

倚く残されおいたす。これらのテヌマをひ

ず぀ひず぀実珟しお、早く䞖に送り出し、

倚くの方に掻甚しおいただくこずがTAWG

メンバヌ党員の悲願ですが、そのためには

今たで以䞊に倚くの方からのフィヌドバッ

クや知恵をいただくこずが䞍可欠だず痛感

しおいたす。

 もし本皿をご芧になっお私たちの掻動

に興味を持っおいただけたしたら、ぜひ芁

求開発アラむアンスにご参加ください。そ

しお、TAWGで私たちず䞀緒に掻動しおみ

たせんか。倚くの方々のご協力ずご参画を

TAWGメンバヌ䞀同、心よりお埅ちしおお

りたす。

Profi le プロフィヌル

りルシステムズ株匏䌚瀟 ディレクタヌ芁求開発アラむアンス 理事河野正幞KONO Masayuki

1987幎株匏䌚瀟宇郚情報システムに入瀟。補造業のメむンフレヌムや分散系の基幹情報システム開発プロゞェクトにSEやPMずしお数倚く携わる。2002幎より珟職。䞻に補造業の顧客を䞭心に芁求開発、アゞャむル開発、ドメむン駆動蚭蚈のコンサルティングを実斜しおいる。より良い゜フトりェアを構築するために䜕ができるのかを、垞に珟堎での実践を通じお探究しおいきたいず考えおいる。

芁求開発2.0ぞの道その6̶方法論の甚語集芁求知識モデル

芁求開発2.0ぞの道のりはこれからも続く

Page 11: EM ZERO Vol.4

  EM ZERO vol.04 09

EM Requirement Development

Page 12: EM ZERO Vol.4

010 EM ZERO vol.04

EM Requirement Development

「芁求開発」の具䜓的な進め方 「芁求開発」は、システム開発だけでな

く広範囲での利甚を前提ずしおいるので自

由床が高く、利甚ケヌスに適したプロセス

のテヌラリングが必芁になりたす。ここで

は、株匏䌚瀟豆蔵が提䟛しおいる「芁求

開発サヌビス」を䟋に説明したす図1。

準備フェヌズ 「準備フェヌズ」では、プロゞェクト発

足時点で䞎えられおいる情報を敎理しお

プロゞェクトの倖枠を固めたす。課題・芁

求の分析、プロゞェクトのゎヌル蚭定もこ

こで行いたす。「芁求分析ツリヌ」ずいう

ツヌルを䜿甚するず、抜象床の高い芁求か

ら業務に盎結した具䜓的な機胜芁求たで

様々なレベルの芁求の構造を敎理し、課

題・解決策ずの関係を鳥瞰的に把握するこ

ずが可胜になりたす。ここでは「芁求分析

ツリヌ」の詳现な説明は割愛したすが、ご

興味のある方はIT Proの蚘事http://itpro.

nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20071009/

283860/を参照しおください。

立案フェヌズ 「立案フェヌズ」では、珟状業務の可芖

化を行いたす。芁求開発では、たずサヌビ

スモデルを䜜成し業務の網矅性の担保ず

スコヌプの明確化を行いたす。その埌、察

象スコヌプだけのプロセスモデルず情報

モデルを䜜成するこずにより、必芁な情報

を過䞍足なく定矩するこずが可胜になりた

す。

デザむンフェヌズ 「デザむンフェヌズ」では、先に䜜成し

たモデル䞊で、ToBe業務の蚭蚈をし、シ

ステム化範囲の導出たで行いたす。この段

階で、䜜成したToBeモデル䞊でシミュレヌ

ションし結果を予枬しおおくこずは、シス

テム開発プロゞェクトを成功させる䞊で重

芁です。

シフトフェヌズ 「シフトフェヌズ」は、システム開発ぞ

の橋枡しを行うフェヌズです。システム開

発を自瀟で行うか、倖郚に委蚗するかによ

り䜜成する成果物は異なりたすが、代衚的

なものずしおはRFP提案䟝頌曞やRFI情

報提䟛䟝頌曞が挙げられたす。

たずめ 芁求開発を実斜するず、必芁な芳点を

䞀通り網矅した抜けのないプランニングが

できるようになりたす。たた、どのような

順番で䜕をするかずいう「プロセス」、ど

のような芳点で調査・分析を進めるかず

いう「手法」、ならびに「成果物のテンプ

レヌト」ずいう3぀の道具が提䟛されるの

で戞惑うこずなくプロゞェクトを進行でき

たす。

 皆さんも「芁求開発」を導入しお、業

務課題の解決に盎結した圹に立぀システ

ム開発を行っおください。

株匏䌚瀟豆蔵

䞊山和子 UEYAMA Kazuko

実甚段階に入った「芁求開発」̶システム開発ぞの芁求開発の適甚

 システム開発は、䌁業が盎面しおいる課題の解決や業務改善など、䜕らかの業務䞊の芁求を達成するために行われたす。業務は、倧本にある䌁業の経営戊略を実珟する手段ずしお存圚しおいたす。システム開発の前段階で実斜する業務分析・ToBe業務蚭蚈・システム芁件定矩に至る段階でギャップが生じるず、正しいシステム芁件が獲埗できずに、システム開発プロゞェクトは倱敗するこずになりたす。 システム開発プロゞェクトの成功率を高め、狙い通りの効果を埗るには、正しい芁求を獲埗するこずが重芁になりたす。システム開発の前段階で「芁求開発」を適甚するず、システム化の本来の目的や業務ずの敎合性を確保した正しい芁求が獲埗できるようになりたす。それず同時に、システム開発に必芁な情報を過䞍足なく定矩するこずができるので、開発ぞスムヌズに移行するこずが可胜になりたす。

準備フェヌズ 立案フェヌズ デザむンフェヌズ シフトフェヌズ

・プロゞェクト定矩曞・ステヌクホルダヌリスト・ゎヌル蚘述曞・課題リスト・芁求分析ツリヌ

・プロゞェクトゎヌルの 明確化・ステヌクホルダヌの 敎理・業務課題の抜出・芁求の構造化

プロゞェクトメヌキング

・ビゞネス鳥瞰図・ビゞネスナヌスケヌス図・業務フロヌ (AsIs)・抂念 ゙(AsIs)

・珟状業務分析業務プロセスの可芖化サヌビス構造の可芖化情報構造の可芖化

業務のモデル化

・斜策怜蚎資料・ビゞネスナヌスケヌス図・業務フロヌToBe)・抂念モデルToBe)・システムナヌスケヌス䞀芧

・斜策怜蚎・あるべき業務プロセス の蚭蚈業務プロセスサヌビス構造情報構造・システム化範囲の導出

業務の蚭蚈再蚭蚈

・システムナヌスケヌス図・ナヌスケヌス蚘述・分析モデル・非機胜芁件リスト・RFP

・システム化蚈画策定・システム芁求の文曞化RFP 提案䟝頌曞䜜成RFI 情報提䟛䟝頌曞䜜成

システム開発ぞの移行䞻題

䞻芁成果物

趣旚

■図1 芁求開発の具䜓的な進め方

Profile プロフィヌル

株匏䌚瀟豆蔵にお芁求開発・PMO分野のコンサルティング業務に埓事。「芁求開発」に惚れこんで䌝道垫ずなるべく掻動䞭。その䞀環ずしお、豆蔵゜フト工孊ラボhttp://labo.mamezou.com/にお「芁求開発入門」を連茉䞭です。

株匏䌚瀟豆蔵シニアコンサルタント䞊山和子 UEYAMA Kazuko

EM ZERO Column コラム

「芁求開発」を䞊流工皋の瀟内暙準技術ずしお採甚したした。匊瀟はこれたで、システム開発・運甚

を䞭心にしおきたため、䞊流の分析力やコンサルティング力の䞍足が吊めたせんでした。それをブレむクスルヌするための第䞀歩ずしお「芁求開発」に期埅しおいたす。これにより、システムを䜜るこずが目的でないずいうこずを瀟員に培底させるずずもに、䞊流工皋の成果物を再利甚可胜なノりハりずしお蓄積しおいきたいず考えおいたす。

芁求開発を瀟内暙準技術ずしお採甚した東レシステムセンタヌ株匏䌚瀟東レシステムセンタヌ生産システム事業郚長 束田 浩 MATSUDA Hiroshi

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  EM ZERO vol.04 011

EM Requirement Development

2008幎11月、萩本氏をフェロヌずしお迎え入れ、匠メ゜ッド芁求開

発段階ずシステム開発段階をフルサポヌトする事業改革のための方法

論ず、萩本氏の考えを党瀟員に察しお理解しおもらうこずから始め

たした。

最初に実斜したのは瀟員の意識改革です。䞻な目的は今たでの゚ン

ゞニアずしおの技術力を高め぀぀、その技術力をお客様の䟡倀に転

換できなければ意味がないずいう培底した思想を芁求開発の考え方

を通しお、瀟員に䌝えおいくこずです。特に、瀟内勉匷䌚を充実させ、

芁求開発入門から実践たでの教育、そしお゚ンゞニアリングの基本ず

しおのオブゞェクト指向教育やプロセス教育、UMLを䜿ったモデリン

グ教育などを進めおいたす。

これから生き残れるIT䌁業ずしお、お客様のビゞネス䟡倀を高める提

案ができ、芁求開発で蚀うずころのコタツ圢成ができるコンサルタン

トを育成、およびスカりトを行い、勇気を持っお新しい芁求開発ビゞ

ネスにチャレンゞしおいこうず考えおおりたす。

芁求開発の考え方はさたざたなビゞネスに適応できるず考えおいた

す。事実を蚌明するためにも仮説を持ち、私坂本が特攻隊長ずしお、

新たな付加䟡倀を生むビゞネスモデルを圢成しながら怜蚌しおいきた

す。具䜓的にはビゞネスの領域に入り蟌んでコタツモデルの有効性を

実蚌する蚈画です。珟圚のIT䌁業は手戻りの倚さ、プロゞェクトの遅

延、仕様倉曎の倚さ等が埌を絶ちたせんが、この状況を改善・打砎

するこずが私の䜿呜ではないかず考えおいたす。

ある皋床怜蚌できた時点で掟遣型ビゞネスに限界を考えおいる瀟員

や、成長意欲のある瀟員をコンサルティング人財ぞずキャリアチェン

ゞするこずが、個人ずしおも䌁業ずしおも荒波を乗り越えるこずので

きる䞀぀の方法ではないかず思いたす。この考え方で䞀人でも倚くの

瀟員が成長しお、楜しく、やりがいのあるIT䌁業ぞず倉革したいず考

えおいたす。さらには、匠Labず共にIT業界を盛り䞊げる掻動にも積

極的に貢献しおいきたいです。

求開発をテヌマにした意識改革・事業改革芁 波を超える具䜓的な斜策荒

匊瀟は、倧手クラむアントからの案件を倚数手掛けお、その䞭で瀟

員が誇りを持っおシステム開発を行っおたいりたした。しかし、最近

の経枈危機の䞭、IT業界にも再線の荒波が抌し寄せおいる事を肌身

に感じおいたす。

これたでのSIerビゞネスずしおの慣習を捚お去るべきだず、匠Lab萩

本順䞉氏のお話を聞いお感じ取りたした。そこで、萩本氏をフェロヌ

ずしお迎え入れ、本気で事業改革を進めおいたす。

IT業界の荒波を乗り越えるために荒

倧手電機メヌカヌ半導䜓郚門の生産管理郚門でSCMサプ

ラむチェヌンマネゞメントを行い、IT郚門ぞ移動埌に

BI/DWHを行う。その埌に瀟内ITコンサルタントずしお、IT

䞭長期戊略の立案から党䜓最適化に向けた掻動を通しお、

瞊割りから暪䞲構造ぞの改革を行うず共に、IT人財育成に

も力を入れおきた。2009幎4月からケペル株匏䌚瀟で゚グれ

クティブコンサルタントずしお掻躍し、匠Labず共に掻動䞭。

ケペル株匏䌚瀟 坂本克也

ケペル株匏䌚瀟 代衚取締圹 束浊修埳

ケペル株匏䌚瀟 http://www.keperu.co.jp/本瀟愛知県名叀屋垂䞭区錊3-10-32 栄VTビル8FTEL 052-218-7400本瀟代衚 FAX052-218-7377

ケペル株匏䌚瀟の芁求開発宣蚀

東京支瀟東京郜枋谷区枋谷3-8-12 枋谷第䞀生呜ビルディング5FTEL03-5469-3377 FAX03-5469-0606

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012 EM ZERO vol.04

EM Requirement Development

 数十幎前、メむンフレヌムのアプリケヌ

ションが䜜られた圓初は、圓時の技術者も

そのプログラムが今埌数十幎も䜿われ続

けるずは思っおもみなかった様子です。日

本の高床経枈成長を支えたメむンフレヌ

ムは団塊の䞖代によっお支えられおきたし

た。COBOLをはじめずしたプログラムは、

䞁寧にメンテナンスされ、改線されお数十

幎の時が過ぎおいきたした。その過皋で圓

初䜜成されたかもしれないドキュメントの

数々は倱われたり、陳腐化したりし、ドキュ

メントもあたりなく、ベテランの「頭の䞭」

にしか仕様が残っおいないずいった状況は

皀ではありたせん。

 珟実に、ホストのダりンサむゞングブヌ

ムのずきも、倚くのメむンフレヌムのプロ

グラムがオヌプン系のプラットフォヌムに

移行されたしたが、プログラムに手を぀け

るこずができないので、そのたたの蚀語で

オヌプン系に移行されるケヌスが倚く芋受

けられたした。結局メむンフレヌムで改修

を繰り返され、特定の人しかメンテナンス

できず、䜜り盎しもできないずいうこずで

は、問題の先延ばしにすぎない状態でしょ

う。

 筆者が関わった芁求開発の事䟋の䞀぀

に、メむンフレヌムの䞭身は、保守をしお

いる人の頭の䞭にしかなく、ドキュメント

に関しおもあるにはあっおも、䞭身を知る

には十分ではないずいう状態のものがあり

たした。

 その䌁業がオヌプン化を実斜するにあ

たっお芁求開発のモデリング手法である

「TFP分割手法」を甚いお、属人的だった

メむンフレヌムの䞭のアプリケヌションの

構造をわずか2ヵ月皋床で芋える化し、ど

のサブシステムからオヌプン化しおいけば

いいかの指針を埗るこずができたのです。

 TFP分割手法は、抂念モデルの手法の

䞀぀で、通垞のUMLによる抂念モデルず

異なり、モデルをデヌタに近い抂念のみ図

瀺する「Thing図」図1ず、機胜ずデヌタを図瀺する「Function図」図2、さらに堎所や論理的な集合サブシステム等

も衚すこずができる「Place図」図3に分割しお蚘述するずいう手法です。

 これらの手法の玹介は芁求開発アラむ

アンス等の過去資料に譲りたすが、メむン

フレヌムの保守を行っおいる担圓者の方に

図の描き方を説明しお、芁求開発コンサル

タントがヒアリングをしながら䞀緒にプロ

ゞェタヌにモデルを投圱しながらセッショ

ンを行っおメむンフレヌムの䞭の機胜の構

造や順序関係、そしおデヌタモデルの構

造がみるみるうちに明らかになっおいきた

した。デヌタモデルやそこに出おくる甚語

をTFP分割図を甚いお「モデル」ずしお敎

理しおいくこずで、その業界に関する業務

知識をあたり知らなかった筆者も、その䌁

業の専門の甚語や業界の専門甚語や業務

知識を楜に深めるこずがありたした。

 しかも特筆すべきは、このTFP分割図を

含めた「ビゞネスモデリングの静的モデル」

ずいうものは、通垞の「オブゞェクトモデ

リングの静的モデル」ず比べおも理解が難

しい「振る舞い」の芁玠がほずんど䜿甚さ

れないため、ずおも簡単に理解できるので

す。

 ベテランになるずコヌディングをする機

䌚がどんどん枛り、どうしおも管理や業務

知識にシフトしおいかざるを埗なくなっお

したいたす。そうしお、その仕事を䞀生懞

呜にやればやるほど新しい技術が理解で

きなくなっおしたいたす。たた、若手にメ

合同䌚瀟シンプルアヌキテクト 代衚

牛尟  剛 USHIO Tsuyoshi

芁求開発による珟状分析事䟋ず知識トランスファヌ戊略

 䌁業の基幹業務を支えるメむンフレヌムの保守を行っおいるベテランから、若手技術者ぞのスキルトランスファヌは難しい問題の䞀぀です。この蚘事では芁求開発で実際にあった事䟋をもずに、ベテランず若手の技術者がうたく知識を共有するような方針を提案したす。

■図1 Thing図 ■図2 Function図 ■図3 Place図

ベテランず若手が共に元気であるために

メむンフレヌムのアプリケヌションの珟状 芁求開発による䞀぀の事䟋

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  EM ZERO vol.04 013

EM Requirement Development

むンフレヌムの業務を教えたいのですが、

COBOLに興味もなさそうですし、説明しよ

うずしおも耇雑すぎお説明しきれたせん。

 逆に若手は業務知識や䞊流の業務を経

隓しおキャリアアップしたいのですが、業

務知識がないので、そういう仕事は回っお

きたせん。これらの仕事は単金が高いの

になぁ ず思いたす。メむンフレヌムの䞭

身はベテランの人の頭の䞭だけです。そ

ういった「ベテラン」ず「若手」の橋枡し

をビゞネスモデリングによっお䜜成される

「モデル」が行えるのではないかず考えお

いたす。

 ビゞネスモデリングを䜿えばブラック

ボックスのホストの䞭身を芋える化しお、

それを他者に䌝えやすくなりたす。技術か

ら離れおいる「ベテラン」でも理解できる

ツヌルですし、若手が芋おも「技術」の

面からモデルを利甚しおいたすし、そうで

なくおも、理解が簡単ですから、「ベテラ

ン」ず「若手」がモデルを通じおコミュニ

ケヌションを取るモデルが䜿えるず思うの

です。

 「ベテラン」ず「若手」がお互いを尊重

しお業務を芋える化しおコミュニケヌショ

ンをずるようなチヌムを䜜れば、ベテラン

は若手の最新の技術芳点での泚意点を知

るこずができるし、若手はベテランの宝ず

も蚀える豊富な経隓ず、業務知識を䌝達し

おもらうこずができたす。そしお、経隓を

埗るこずができる。こうするこずによっお、

玠晎らしいチヌムが誕生しお、みんなが生

き生きず仕事をするこずができないでしょ

うか。

 珟圚の゜フトりェア業界は閉塞感を感じ

るこずが倚いですが、逆に蚀うず「底」は

芋えた気がしたす。ここから倧きなむノ

ベヌションが起こっおさらに面癜い䞖界が

やっおくるのがこの業界の特城ず思っおい

たす。これからが楜しみどころなのです。

Profile プロフィヌル

合同䌚瀟シンプルアヌキテクト 代衚牛尟  剛 USHIO Tsuyoshi

某倧手SIerから株匏䌚瀟豆蔵を経お珟圚は独立。芁求開発やオブゞェクト指向アゞャむル開発のコンサルティング・教育を実斜しおいる。今幎はめヌぱんずIT業界に楜しいテロを起こす予定。

EM ZERO Column コラム

 コンサルタントに転職しお1幎匱が経過した2006幎の倏頃、曞店で「芁求開発」ず倧きく題された本を芋かけたのが芁求開発を知ったきっかけでした。以前から芁件定矩の難しさや、これでよかったのかなずいう “もやもや感” を持ち続けおいた私にずっお、その本の垯に曞かれた “「芁件定矩」から「芁求開発」ぞ” ずいう蚀葉はずおも興味をひくものでした。 それから数ヵ月埌、本を熟読する間もなく、芁件定矩を行うプロゞェクトが立ち䞊がり、芁求開発を詊す機䌚が蚪れたした。わずか4ヵ月未満でシステム芁件定矩曞を䜜成する必芁に迫られたのです。 そのシステムには自分自身がシステム構築を行わないずいう制玄がありたした。ずいうのも、クラむアントは調達時に分離調達を実斜しおおり、芁件定矩曞の䜜成ず蚭蚈・構築は異なる業者が行うルヌルになっおいたのです。䜜成された芁件定矩曞は蚭蚈・構築業者を調達する際のRFPの䞀郚に甚いられ、蚭蚈・構築業者は芁件定矩曞を読み解きながら提案曞を䜜成するのです。 実はこのこずにはいく぀かの難しさが含たれおいたす。たずえば、クラむアントから埗た芁求をノヌトテむクしお開発チヌムに䌝えたり、SEの蚭蚈者をヒアリングに同垭させたり、具䜓的な蚭蚈に螏み蟌んだり等、蚭蚈・構築フェヌズが責任を負う事項に぀いお実斜・担保できないのです。぀たり、芁件の具䜓化にさほど螏み蟌めない、芁件の実珟方法を担保しにくいずいった問題があったのです。

 逆に提案する蚭蚈・構築業者からすれば、芁件定矩曞に蚘茉された情報が曖昧な堎合、システムで実珟したいこずや達成したいこず、たたは具䜓的な機胜や性胜ずいったクラむアント偎の芁求・芁件が「芋えない」ため、開発時に発生する可胜性がある諞々のリスクに察するコストを費甚に盛り蟌たざるを埗なくなりたす。 このように、実珟可胜性の怜蚌しにくさ、システムや芁件等情報の属人性、芁求・芁件ずしお十分ず蚀える粒床決めずいった、蚭蚈・構築段階でリスクずなる可胜性を、芁求・芁件段階でどの皋床䜎枛化できるかずいった課題に察応する方法の䞀぀ずしお芁求開発の手法が䜿えるのではないかず盎感し、プロゞェクトで芁求開発を詊みたのです。しかし本では考え方や抂念は理解できおいたものの、いざ実行ずいう局面で、䜕からやればよいのかわからなくなり、それを知るには芁求開発を実践しおいる方々に質問するのが䞀番だず考え、芁求開発アラむアンスに参加したのです。 結果、芁求開発アラむアンスでの察話や先達のご指導により、次第に疑問や課題が解決され、プロゞェクトも波に乗り、昚幎の半ばには無事システムの利甚が開始されおいたす。顧客満足も高く、結果ずしお芁求開発は倚くの成果を䞎えおくれたした。 䞀䟋を挙げれば、芁求・芁件の远埓性トレヌサビリティを保った芋える化を図ったこずにより、システムの䟡倀や機胜に぀いお、組織の業務や責務から連続性を保っお明瀺するこずができたした。これにより、機胜の必然性が明らかになり、無甚な機胜の開発過

剰な投資を抑制するこずができたした。たた、芋える化によっおクラむアントが新たな気付きを埗たこずから、圓初想定しおいたシステムの䜍眮付けず圹割が芋盎され、システム䟡倀が向䞊したした。 このように芁求開発は、ずおも効果の高い方法論だず感じおいたす。芁求開発2.0では、芁求開発の課題である「䜿いやすさ」が改善されるので、ぜひずも䜿いやすくなった芁求開発2.0を実践しおいただき、その䞭で気づいた点などをアラむアンスにフィヌドバックしおいくこずで、さらに良い方法論に高めおいければず考えおいたす。

コンサルタントが芋た芁求開発の高い実効性

Profile プロフィヌル

プラむスりォヌタヌハりスクヌパヌスコンサルタント旧ベリングポむント公共事業郚に所属。レタス蟲家で瀟䌚人キャリアをスタヌトし、垰京埌はB2B、B2Cビゞネスの珟堎でさたざたな業務を経隓。2002幎に前職SIerに転職し、2005幎から珟職。 座右の銘は「反省すれども埌悔せず」。

芁求開発アラむアンス宮原盎之 MIYAHARA Naoyuki

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014 EM ZERO vol.04

EM Requirement Development

  2009幎4月の総䌚で、西日本支郚蚭立の呌びかけをし、珟圚各理事のみなさんおよび西日本地区の有志ずずもに準備掻動を始めおいたす。 西日本支郚蚭立の準備を進める第䞀の狙いは、アラむアンスぞの地域を越えたアクセシビリティの向䞊です。これにより、「東京ロヌカル」の掻動では芋えおこないモノやコトを付加しお芁求開発の䟡倀を増倧できるず考えおいたす。 同時に、この掻動を通じお関西から九州・沖瞄たで西日本党域の掻力づくりを進めおいければ ずの想いも匷く持っおいたす。その意味では、他のコミュニティずの連携も西日本での掻動の倧きな芁玠ずなっおくるかもしれたせん。 これから半幎1幎くらい有志の仲間ず「手探り」をしながら、䞁寧に圢にしおいきたいず思いたす。ご興味のある方はEM ZERO線集郚たでぜひご連絡ください[email protected]。

EM ZERO [むヌ゚ム・れロ] Vol.4 芁求開発特集号

2009幎7月22日発行

デザむンミダムラナオミ

線集長野口隆史線集EM ZERO線集郚

発行元株匏䌚瀟マナスリンク〒162-0012東京郜䞭野区本町4-48-17-803http://www.manaslink.com/お問い合わせ先[email protected]

印刷所:昭栄印刷株匏䌚瀟http://www.shoei-p.net/

Copyright ManasLinkPrinted in Japan

2010幎、぀いに芁求開発アラむアンス西日本支郚蚭立ぞ!?

芁求開発アラむアンス 西日本蚭立準備窓口株匏䌚瀟シンフォヌム前川哲次