三菱ふそうトラック・バス株式会社 増圧式コモンレール...

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1 三菱ふそうトラック・バス株式会社 増圧式コモンレール・システム(X-Pulse) 通 称 名 車両型式 エンジン型式 適用時期 出 典 資 料 ふそうスーパー グレート FP, FS, FU, FV, FY 6R10 2014.11 ~ 整備解説書 00DHT0021S2 整備解説書 00DHT0021S7 1 概 要(図- 1) 増圧式コモンレール・システムは,エンジンの状態を各センサで検知して,それに応じて燃料の噴射量,噴 射時期,噴射圧,噴射率をMCM(モータ・コントロール・モジュール:従来のエンジンECUに相当する) で制御し,エンジンの負荷や回転速度に応じた最適な燃料噴射を行わせ,有害な排出ガスと燃費の低減を兼 ね備えたシステムである。 また,MCM が主要な構成部品を自己診断し,異常のある場合は運転者に知らせる故障診断機能が備えられ ている。 増圧式コモンレール・システムは,電子制御化された高圧燃料ポンプ及びインジェクタ,コモンレールとこ れらを制御する MCM と各センサ類で構成されている。 図- 1 燃料系統の概要 ・エンジンのクランキングを開始すると,低圧燃料ポンプによりフューエル・タンクから燃料が吸い上げられ る。吸い上げられた燃料は,フューエル・フィルタ・モジュールのプレ・フィルタ,コアレスサ・フィルタ を通ってFMU(フューエル・メータリング・ユニット)に導かれる。 ・コアレスサ・フィルタからの燃料は,FMU(フューエル・メータリング・ユニット)で調量され,高圧燃料 ポンプを通してコモンレールに圧送される。 ・圧送された燃料は一旦コモンレールに蓄えられて,各インジェクタヘ均等に送られる。 ・高圧燃料ポンプによって加圧された燃料は,エンジンの運転状況に応じてインジェクタ内の増圧ピストンに

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三菱ふそうトラック・バス株式会社

増圧式コモンレール・システム(X-Pulse)通 称 名 車 両 型 式 エンジン型式 適 用 時 期 出 典 資 料

ふそうスーパーグレート

FP, FS, FU, FV, FY 6R10 2014.11~ 整備解説書 00DHT0021S2

整備解説書 00DHT0021S7

1 概 要(図-1)

増圧式コモンレール・システムは,エンジンの状態を各センサで検知して,それに応じて燃料の噴射量,噴射時期,噴射圧,噴射率をMCM(モータ・コントロール・モジュール:従来のエンジンECUに相当する)で制御し,エンジンの負荷や回転速度に応じた最適な燃料噴射を行わせ,有害な排出ガスと燃費の低減を兼ね備えたシステムである。また,MCMが主要な構成部品を自己診断し,異常のある場合は運転者に知らせる故障診断機能が備えられている。増圧式コモンレール・システムは,電子制御化された高圧燃料ポンプ及びインジェクタ,コモンレールとこれらを制御するMCMと各センサ類で構成されている。

図-1 燃料系統の概要

・エンジンのクランキングを開始すると,低圧燃料ポンプによりフューエル・タンクから燃料が吸い上げられる。吸い上げられた燃料は,フューエル・フィルタ・モジュールのプレ・フィルタ,コアレスサ・フィルタを通ってFMU(フューエル・メータリング・ユニット)に導かれる。・コアレスサ・フィルタからの燃料は,FMU(フューエル・メータリング・ユニット)で調量され,高圧燃料ポンプを通してコモンレールに圧送される。・圧送された燃料は一旦コモンレールに蓄えられて,各インジェクタヘ均等に送られる。・高圧燃料ポンプによって加圧された燃料は,エンジンの運転状況に応じてインジェクタ内の増圧ピストンに

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よって更に加圧され,MCMの信号により噴射時期,噴射量,噴射率を常に最適に制御し,燃焼室に燃料を噴射する。・コモンレール内の燃料圧力が規定以上になるとプレッシャ・リミッティング・バルブが開き,余分な燃料をフューエル・フィルタ・モジュールへ戻す。そして開いたプレッシャ・リミッティング・バルブの燃料圧力が規定以下になると,プレッシャ・リミッティング・バルブは復帰する(バルブ閉)。・高圧燃料ポンプ手前の燃料圧力が規定以上になると2ステージ・バルブが開き,高圧燃料ポンプ内の燃料潤滑経路に燃料が供給される。・インジェクタ内の余剰燃料はフューエル・フィルタ・モジュールへ戻している。

2 構造・機能

1) 構成部品の配置(図-2)

〈エンジン関連部品〉

図-2 構成部品の配置

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2) 構成部品の構造・機能

⑴ MCM(モータ・コントロール・モジュール)(図-3)

・MCMは増圧式コモンレール・システム,再生制御式DPF,ターボ・チャージャ制御,EGRシステムを正常に作動させるためのコントロール機器である。エンジンや車両に取り付けられたセンサ,スイッチ,アクチュエータで検出された情報をもとにROM(記憶装置の一種)に記憶してある特性データ及び補正データをCPU(処理装置)に読み込ませ,演算処理させることで各システムが制御される。

・MCMは上記システム以外に次の制御も行う。・Jakeブレーキ機能のためにCPC2からの信号にてJakeブレーキ・ソレノイド・バルブ1及び2を作動させる。・メータ・クラスタにエンジンの情報を表示させるために,エンジン・オイル・レベル,油温,油圧,冷却水温及びエンジン回転速度を検出している。

・MCMが制御しているシステム又はCAN通信に異常が発生した場合,異常の重大性に応じて規定された手順に従い,MCMは制御を開始する。車両の運行に支障のないセンサの故障では,車両の運行を優先させるためにバック・アップ値が代用され,ACM(SCR・ECU)やCPC2との情報のやり取りに使用されるCAN通信異常では,必要最低限の走行モード(リンプ・ホーム・モード)に切り替えられる。

図-3 システム・ブロック図

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イ 燃料噴射制御

燃料噴射は,インジェクタ内のソレノイド・バルブによって制御する。⒜ 燃料噴射率制御(図-4)

①メーン噴射は,エンジン運転条件に応じた最適な燃焼が得られるよう,噴射時間と噴射圧を可変制御している。②ダブル・パイロット噴射は,従来のメーン噴射に先立ち,微量の燃料を2回噴射することで燃料と空気の混合を促進させ,低温時におけるエンジンの着火性や始動性を向上させる。③ポスト噴射は,DPF再生時に従来のメーン噴射以降に燃料を噴射することでDPF内部に堆積した粒子状物質(PM)を燃焼させるため,排気温度を上昇させる。

図-4 燃料噴射率制御

⒝ 燃料噴射量制御

①エンジン始動時の燃料噴射量は,始動時のエンジン回転速度と冷却水温により決定され,冷却水温度が低いほど,燃料噴射量を増大するよう制御する。②燃料噴射量全域の基本燃料噴射量は,エンジン回転速度とアクセル開度によって決定され,アクセル開度を開くほど基本燃料噴射量のエンジン回転速度を増大するよう制御する。③エンジンの中高回転域の最大噴射量は,エンジン回転速度とブースト圧により算出され,ブースト圧が高いほど最大噴射量を増大するよう制御する。⒞ 燃料噴射時期制御(図-5)

①メーン噴射時期は,燃料噴射量とエンジン回転速度により算出する。②パイロット噴射時期は,燃料噴射量とエンジン回転速度により算出する。③コモンレール圧制御は,燃料噴射量とエンジン回転速度により算出する。

図-5 燃料噴射時期制御

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⑵ 低圧燃料ポンプ(図-6)

低圧燃料ポンプは,高圧燃料ポンプに取り付け,駆動されるギヤ・ポンプである。エンジンが駆動されると,燃料タンクから燃料を吸い込み,フューエル・フィルタ・モジュールへ圧送される。セーフティ・バルブは,低圧ポンプ内の圧力が規定以上になると開き,圧力上昇を防止する。チェック・バルブは,燃料系統のエア抜きなどの場合に,ギヤ・ホイールが停止状態であっても,チェック・バルブが開いて燃料が燃料加圧側に流れることができる。

図-6 低圧燃料ポンプ

⑶ フューエル・フィルタ・モジュール(図-7)

フューエル・フィルタ・モジュールは,2段階で燃料に混入した水分を分離し,不純物を除去,清浄化する。フューエル・クーラは,インジェクタから戻った高温の余剰燃料を冷却水ダクトに流れる冷却水により冷却する。〈フューエル・フィルタ・モジュールの構成〉・プレ・フィルタ   :大きな不純物を取り除く。・コアレスサ・フィルタ:水を分離すると共に,小さな不純物を取り除く。・手動ポンプ     :燃料配管内のエアを抜く。・フューエル・ギャラリ:全燃料戻りラインからの燃料を集め,フューエル・タンクに送る。

図-7 フューエル・フィルタ・モジュール

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⑷ FMU(フューエル・メータリング・ユニット)(図-9)

FMU(フューエル・メータリング・ユニット)は高圧燃料ポンプに取り付けられており,次の役割を行っている。・高圧燃料ポンプへの燃料流量の調整・コモンレール圧の調整・エンジン停止中における高圧燃料ポンプへの燃料供給の停止MCM(モータ・コントロール・モジュール)は,FMU(フューエル・メータリング・ユニット)のコイルの磁界によりフロート・ニードルの位置を変化させて燃料流量を調整する。エンジン停止時にはフロート・ニードルがバルブ・スプリングにより押し戻され,燃料通路が遮断されて燃料供給が停止する。

イ プレ・フィルタ(図-8)

プレ・フィルタでは,ろ過前の燃料がフューエル・インレットから入り,チェック・ボールを押上げてフィルタ・エレメントの内側から外側へ流れる。フィルタ・エレメントで大きめの異物等が取り除かれ,清浄になった燃料は,フューエル・アウトレットを通って低圧燃料ポンプに送られる。チェック・ボールは,エンジン停止時に,燃料がフューエル・インレットから戻るのを防ぐ役割をする。フィルタ・エレメントが取り外されていると,フューエル・アキュムレータへのドレーンが開くため,燃料はプレ・フィルタ・ハウジングの外に流れる。

図-8 プレ・フィルタ

図-9 FMU(フューエル・メータリング・ユニット)

⑸ 高圧燃料ポンプ(図-10)

高圧燃料ポンプは高圧燃料回路に燃料を供給し,最適な燃料圧力になるよう制御される。燃料は二つの高圧ピストンにより圧縮され,それぞれの高圧側接続部と対応する高圧ラインを通してコモンレールに送られる。カムシャフトには,90度オフセットされた二つのカムが設けてあり,カムシャフトが一回転するたび,高圧ピストン一つ当たり2回の圧縮行程が行われる。

図-10 高圧燃料ポンプ

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⑻ インジェクタ(図-13)

インジェクタはシリンダ・ヘッド内に取り付けられており,MCMからの指示により,エンジンの状態に応じた最適な噴射圧及び噴射率に制御された高圧燃料を微細な噴霧状態にして燃焼室に噴射する。燃料はエンジンの運転状況に応じて増圧用ピストン,ソレノイド・バルブなどにより,更に圧力が増幅され,最大210MPaの噴射圧力がインジェクタ内で生成される。増圧されないときはコモンレール圧相当の噴射圧となる。なお,噴射圧力増幅の利点は次のとおりである。・高圧エリアが減少し,漏れのリスクが軽減される。・高圧燃料ポンプ,コモンレール,高圧燃料系統,インジェクタ内の各部品に対する圧力負荷が軽減される。

⑹ コモンレール(図-11)

コモンレールはカムシャフト・フレームにブラケットで取り付けられており,コモンレール圧センサ及びプレッシャ・リミッティング・バルブが内蔵されている。コモンレール内の圧力はコモンレール圧センサによって検知される。プレッシャ・リミッティング・バルブはコモンレール内の最大圧力を128~138Mpa{12.8×106~13.8×106kgf/cm2}に制限し,これより高くなるとコンプレッション・スプリングがプレッシャ・プレートによって閉じていたカット・オフ・ボアとの接続部が開き,余剰燃料を逃がして圧力の異常上昇を防止する。

図-11 コモンレール

⑺ コモンレール圧センサ(図-12)

コモンレール圧センサは,コモンレールの先端に取り付けられており,コモンレール内の燃料圧力を検出している。

図-12 コモンレール圧センサ

図-13 インジェクタ

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⑽ 気筒判別センサ(図-15)

気筒判別センサは,カムシャフト・ギヤ部センサ・プレートの溝部を読み取り,MCMへ信号を送信する。MCMは気筒判別信号として検出している。

⑼ エンジン・スピード・センサ(図-14)

エンジン・スピード・センサは,フライホイール・ハウジングに取り付けられており,フライホイールの溝部を読み取り,パルス信号をMCMへ送信する。MCMはエンジン回転速度として検出している。

図-14 エンジン・スピード・センサ

図-15 気筒判別センサ

⑾ 吸気温度センサ(図-16)

吸気温度センサは,エア・インレット前のアダプタ上部及びインテーク・マニホールド中央上部に取り付けられており,EGR合流前後の吸気温度でEGR制御と共に燃料噴射制御を最適化するために検出している。 図-16 吸気温度センサ

⑿ 吸気圧センサ(図-17)

吸気圧センサは,エア・インレット・パイプに取り付けられており,燃料噴射制御を最適化するためにエア・インレット内のターボ・チャージャにより圧縮された吸入空気圧力を検出している。

図-17 吸気圧センサ

⒀ 水温センサ(図-18)

水温センサは,エンジン入り口のクランク・ケース左前方側面とエンジン出口のEGRクーラ前端部に取り付けられており,燃料噴射制御を最適化するために冷却水温度の変化を検出している。⒁ 燃料温度センサ(図-19)

燃料温度センサは,フューエル・フィルタ内に取り付けられており,燃料噴射制御を最適化するために燃料温度を検出している。

図-18 水温センサ

図-19 燃料温度センサ⒂ 大気圧センサ

大気圧センサはMCMに内蔵されており,車両が置かれている標高に対応した燃料噴射制御を行うために大気圧を検出している。

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⑵ インジェクタ

イ 無噴射(図-23)

通電されない状態では,ノズル・ニードルはノズル・スプリングの力により押さえ付けられており,噴射用ピストン上面とシート部へ均一に高圧燃料が加えられている。

⒃ アクセル位置センサ(図-20)

アクセル位置センサは,アクセル・ペダルの踏み込み量を検出している。

図-20 アクセル位置センサ

⒄ メータ・クラスタ(図-21)

MCMはメータ・クラスタにエンジンの情報を表示させるため,CPC2へCAN通信で信号を送る。更にCPC2はメータ・クラスタのCPUへCAN通信にて表示を指示する。

図-21 メータ・クラスタ

3) システムの作動

⑴ 高圧燃料ポンプ(図-22)

イ 吸入行程

高圧ピストンが下方に移動すると,燃料はインレット・バルブを通り,高圧ピストン上部の空間に流入する。ロ 圧送行程

高圧ピストンの動きが上方へと変わると,圧縮圧力の上昇により対応するインレット・バルブが閉じ,高圧バルブが高圧側接続部間の通路を開くまで燃料を圧縮し,高圧に圧縮された燃料がコモンレールに流入する。ハ 再吸入行程

高圧ピストンの動きが再び下方に変わると,スプリング荷重が掛かっている高圧バルブにより通路は再び閉じられ,新しい燃料が開いたインレット・バルブを通り,高圧ピストン上部の空間に流入する。

図-22 高圧燃料ポンプ

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図-23 無噴射

したがって,シート部にノズル・ニードルが密着,噴射孔は閉じている。ロ 噴射開始(図-24)

噴射用ソレノイド・バルブが通電されると,噴射用ピストン上面の燃料はオリフィス及び噴射用ソレノイド・バルブを介してシリンダ・ヘッド内のフューエル・ギャラリへ排出される。燃料が排出され,ノズル・ニードル下部のシート面に掛かる圧力が噴射用ピストン上面に掛かる圧力より高くなり,ノズル・ニードルはノズル・スプリングを押し縮めて上方へ移動し,噴射孔が開いて燃料噴射が開始となる。ハ 噴射終了(図-25)

噴射用ソレノイド・バルブへの通電を止めると,噴射用ピストン上面の燃料排出が止まり,噴射用ピストンとノズル・ニードル下部のシート部に掛かる圧力が同一となり,ノズル・ニードルはノズル・スプリングの力により下方へ移動し,噴射孔を閉じて燃料噴射が終了する。

図-24 噴射開始

図-25 噴射終了

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3 自己診断機能

1) ダイアグノーシス・コードの表示・消去方法

ダイアグノーシス・コードを表示させるには次の方法がある。①故障診断ツールで表示する。②メータ・クラスタの液晶画面(LCD)で表示する。

ウォーニング システム名表 示 方 法

① ②FUSO Diag-nostics マルチ・ディスプレイ・スイッチ

増圧式コモンレール・システム(X-Pulse) ○ ○EGR

⑴ 故障診断ツールで表示する方法

故障診断ツールを車両に接続してダイアグノーシス・コードを表示させる。イ FUSO Diagnosticsの接続方法(図-26)

・スタータ・スイッチをLOCK位置にする。・パソコン,FUSO connect,FUSO diagnosticsテスト・ハーネス,LANケーブル(クロス・ケーブル:カテゴリ5以上)を接続する。・ダイアグノーシス・コネクタとFUSO diagnosticsテスト・ハーネスのコネクタを接続する。

図-26 FUSO Diagnosticsの接続方法

⑵ メータ・クラスタの液晶画面(LCD)で表示する方法

イ ダイアグノーシス・コードの表示方法(図-27)

マルチ・ディスプレイ・スイッチを使ってダイアグノーシス・コードを表示させる。

図-27 マルチ・ディスプレイ・スイッチ位置

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⒝ モード選択(図-29)

SELECTスイッチを押して使用したいモードを選択する。

⒜ システム点検の準備(図-28)

・車両を停止させ,スタータ・スイッチをONにする。・SELECTスイッチ,MODEスイッチ,SET/RESETスイッチを一緒に押す。・メータ・クラスタのLCDの表示がシステム選択画面に切り替わる。・SELECTスイッチを押して該当システムを選択する。・該当システムを選択後,SET/RESETスイッチを押してダイアグノーシス・コード選択画面を表示する。

図-28 選択画面

図-29 選択画面

⒞ 現在のダイアグノーシス・コード(図-30)

・⒝項にて[現在ダイアグ]を選択する。・発生したダイアグノーシス・コードが表示される。複数発生している場合は3秒毎に切り替えて表示され,ひとつも発生していない場合は[ダイアグノーシス・コードは発生していません]が表示される。・MCM,ACMのダイアグノーシス・コードは末尾の00が省略された形で表示される。(例:FUSO Diagnostics P001600→液晶表示 P0016)

図-30 現在のダイアグノーシス・コード

⒟ 過去のダイアグノーシス・コード

・⒝項にて[過去ダイアグ]を選択すると,過去のダイアグノーシス・コードが表示される。・表示形態は⒞項 現在のダイアグノーシス・コードと同じである。ロ ダイアグノーシス・コードの消去方法(図-31)

・⑵のイの⒝項にて[ダイアグ消去]を選択する。・[クリアしますか?]で,YESを選択すると,該当ECUに記憶されているすべてのダイアグノーシス・コードが消去され [ダイアグコード消去完了]と表示される。

図-31 消去選択画面

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⑶ ダイアグノーシス・コード一覧表

ダイアグノーシス・コード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシス・コード発生時のウォーニング表示

橙/黒 赤/白

P001600 クランクシャフトおよびカムシャフトからのシグナルの割当てが間違っています。 ○ - - -

P004500 構成部品‘WGアクチュエータ’に断線があります。 ○ - - -

P004700 構成部品‘WGアクチュエータ’にアースへのショートがあります。 ○ - - -

P004800 構成部品‘WGアクチュエータ’にプラスへのショートがあります。 ○ - - -

P008900 構成部品‘Y634(レール・ボリューム・コントロール・バルブ)’の電流制御に機能障害があります。 ○ - - -

P009000 レール・プレッシャ・コントロールに機能障害があります。(レール・プレッシャ基準値に達しません。) - ○ - -

P011200 構成部品‘B615(ブースト・エア温度センサ(スロットル・バルブの前))’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P011300 構成部品‘B615(ブースト・エア温度センサ(スロットル・バルブの前))’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P011700 構成部品‘B607(インテーク水温センサ)’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P011800 構成部品‘B607(インテーク水温センサ)’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P016800 フューエル温度が高すぎます。 - - - -

P018200 構成部品‘B602(燃料温度センサ)’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P018300 構成部品‘B602(燃料温度センサ)’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P019200 構成部品‘B622(レール・プレッシャ・センサ)’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P019300 構成部品‘B622(レール・プレッシャ・センサ)’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P019700 構成部品‘B603(エンジン・オイル温度センサ)'のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P019800 構成部品‘B603(エンジン・オイル温度センサ)'のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P020100構成部品‘Y608(フューエル・インジェクタ(シリンダ 1)) Y608a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ1))’に電気的故障があります。

○ - - -

P020200構成部品‘Y609(フューエル・インジェクタ(シリンダ 2)) Y609a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ2))’に電気的故障があります。

○ - - -

P020300構成部品‘Y610(フューエル・インジェクタ(シリンダ 3)) Y610a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ3))’に電気的故障があります。

○ - - -

P020400構成部品‘Y611(フューエル・インジェクタ(シリンダ 4)) Y611a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ4))’に電気的故障があります。

○ - - -

P020500構成部品‘Y612(フューエル・インジェクタ(シリンダ 5)) Y612a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ5))’に電気的故障があります。

○ - - -

P020600構成部品‘Y613(フューエル・インジェクタ(シリンダ 6)) Y613a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ6))’に電気的故障があります。

○ - - -

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ダイアグノーシス・コード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシス・コード発生時のウォーニング表示

橙/黒 赤/白P021900 エンジン回転数が高すぎます。 - ○ - -

P023400 ブースト・プレッシャが高すぎます。ウォーニングはステージ1に達しました。 - - - -

P023700 構成部品‘B608(ブースト・エア・パイプのブースト・エア・プレッシャ/温度センサ)’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P023800 構成部品‘B608(ブースト・エア・パイプのブースト・エア・プレッシャ/温度センサ)’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P025300 構成部品‘Y634(レール・ボリューム・コントロール・バルブ)’に内部故障があります。 ○ - - -

P025400 構成部品‘Y634(レール・ボリューム・コントロール・バルブ)’にプラスまたはアースへのショートがあります。 ○ - - -

P026100 構成部品‘Y608a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ1))’にショートがあります。 ○ - - -

P026400 構成部品‘Y609a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ2))’にショートがあります。 ○ - - -

P026700 構成部品‘Y610a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ3))’にショートがあります。 ○ - - -

P027000 構成部品‘Y611a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ4))’にショートがあります。 ○ - - -

P027300 構成部品‘Y612a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ5))’にショートがあります。 ○ - - -

P027600 構成部品‘Y613a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ6))’にショートがあります。 ○ - - -

P030100 シリンダ1のミスファイヤが検知されました。 ○ - - -P030200 シリンダ2のミスファイヤが検知されました。 ○ - - -P030300 シリンダ3のミスファイヤが検知されました。 ○ - - -P030400 シリンダ4のミスファイヤが検知されました。 ○ - - -P030500 シリンダ5のミスファイヤが検知されました。 ○ - - -P030600 シリンダ6のミスファイヤが検知されました。 ○ - - -

P033800 構成部品‘B600a(クランクシャフトのポジション・センサ)’に断線があります。 ○ - - -

P033900 構成部品‘B600a(クランクシャフトのポジション・センサ)’のシグナルが妥当ではありません。 ○ - - -

P034000 構成部品‘B601b(カムシャフトのポジション・センサ)’のシグナルが妥当ではありません。 ○ - - -

P040400 構成部品‘EGRアクチュエータ’に内部故障があります。(学習 失敗 エラー) ○ - - -

P040C00 構成部品‘B617(ブースト・エア・ハウジングのブースト・エア温度センサ)’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P040D00 構成部品‘B617(ブースト・エア・ハウジングのブースト・エア温度センサ)’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P042700 構成部品‘B68(排気ガス温度センサ(上部ディーゼル酸化触媒の後)’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P042800 構成部品‘B68(排気ガス温度センサ(上部ディーゼル酸化触媒の後)’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P047200 構成部品‘B37(排気ガス・プレッシャ・センサ(ディーゼル酸化触媒の前))’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P047300 構成部品‘B37(排気ガス・プレッシャ・センサ(ディーゼル酸化触媒の前))’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

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三菱ふそう

ダイアグノーシス・コード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシス・コード発生時のウォーニング表示

橙/黒 赤/白

P052200 構成部品‘B604(オイル・プレッシャ・センサ)’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P052300 構成部品‘B604(オイル・プレッシャ・センサ)’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P052400 油圧が小さすぎます。 - - - ○

P054500 構成部品‘B70(排気ガス温度センサ(パティキュレート・フィルタの後ろ))’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P054600 構成部品‘B70(排気ガス温度センサ(パティキュレート・フィルタの後ろ))’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P061500 スタータ・リレーが断線しています。 ○ - - -P061600 スタータ・リレーにアースへのショートがあります。 ○ - - -P061700 スタータ・リレーにプラスへのショートがあります。 ○ - - -P064200 センサ群1用の電源供給(5V)が低すぎます。 ○ - - -P064300 センサ群1用の電源供給(5V)が高すぎます。 ○ - - -P065200 センサ群2用の電源供給(5V)が低すぎます。 ○ - - -P065300 センサ群2用の電源供給(5V)が高すぎます。 ○ - - -P065800 バッテリ電圧が低すぎます。(インジェクタ用電源) ○ - - -P065900 バッテリ電圧が高すぎます。(インジェクタ用電源) ○ - - -

P069300 構成部品‘Y616(ファン・クラッチ・ソレノイド・バルブ)’にアースへのショートがあります。 ○ - - -

P069400 構成部品‘Y616(ファン・クラッチ・ソレノイド・バルブ)’にプラスへのショートがあります。 ○ - - -

P153100 構成部品‘エア・コンプレッサ プレッシャ・センサ’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P153200 構成部品‘エア・コンプレッサ プレッシャ・センサ’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P153300 構成部品‘エア・コンプレッサ プレッシャ・センサ’の値が異常です。 ○ - - -

P154000 機能‘オーバーレブ 停止’の作動が行われました。(停止状態の車両) ○ - - -

P154100 機能‘オーバーレブ 停止’の作動が行われました。(車両「走行中」) ○ - - -

P1C2000表示された故障コードは,構成部品‘油圧’または該当するコントロール・ユニットのエラーが原因であるとも考えられます。(走行中)

○ - - -

P1C2100表示された故障コードは,構成部品‘油圧’または該当するコントロール・ユニットのエラーが原因であるとも考えられます。(車両「走行中」 -> 停止時)

○ - - -

P1C3700構成部品‘ディーゼル燃料メタリング・ユニット’の圧力が高すぎます。(パティキュレート・フィルタの手動再燃焼を実行中...)

○ - - -

P1C3800構成部品‘ディーゼル燃料メタリング・ユニット’の圧力が高すぎます。(パティキュレート・フィルタの手動再燃焼を実行中...)

○ - - -

P1C3E00構成部品‘B600a(クランクシャフトのポジション・センサ),B601b(カムシャフトのポジション・センサ)’に不具合があります。

- ○ - -

P1C4C00 構成部品‘B608(ブースト・エア・パイプのブースト・エア・プレッシャ/温度センサ)’の不良 ○ - - -

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三菱ふそう

ダイアグノーシス・コード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシス・コード発生時のウォーニング表示

橙/黒 赤/白

P1C4D00 構成部品‘B608(ブースト・エア・パイプのブースト・エア・プレッシャ/温度センサ)’の不良 ○ - - -

P1C7300

構成部品‘M601(スロットル・バルブ・アクチュエータ)’が,構成部品‘A4(エンジン・コントロール・モジュール(MCM)コントロール・ユニット)’によって算出されたポジションにつくことができません。

○ - - -

P1CD300 エンジン・オイル温度が高すぎます。 ○ - - -

P1CFD00

構成部品‘B625(燃料プレッシャ・センサ(インプット))’のフューエル・プレッシャは,構成部品‘A4(エンジン・コントロール・モジュール(MCM)コントロール・ユニット)’によって算出された基準値よりも低くなっています。

○ - - -

P1CFF00 構成部品‘パティキュレート・フィルタ’にカーボンが付着しているため,燃焼が不完全に行われる可能性がある。 ○ - - -

P1D0000 構成部品‘スタータ スイッチ’に不具合があります。 - ○ - -

P1D0100 エンジンを始動します。(故障コード“P1D0100”は故障によるものでない) - - - -

P1D0200 スタータが制御されているにもかかわらず,コントロール・ユニットはエンジン回転数を検知しません。 ○ - - -

P1D0300 構成部品‘B600a(クランクシャフトのポジション・センサ)’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P1D1100 構成部品‘Y616(ファン・クラッチ・ソレノイド・バルブ)’に断線があります。 ○ - - -

P1D1200 構成部品‘Y625(エグゾースト・ブレーキ・ソレノイド・バルブ,ステージ2)’にアースへのショートがあります。 ○ - - -

P1D1300 構成部品‘Y625(エグゾースト・ブレーキ・ソレノイド・バルブ,ステージ2)’にプラスへのショートがあります。 ○ - - -

P1D1400 構成部品‘Y625(エグゾースト・ブレーキ・ソレノイド・バルブ,ステージ2)’に断線があります。 ○ - - -

P1D1500 構成部品‘Y622(排気ガス・フラップ)’にアースへのショートがあります。 ○ - - -

P1D1600 構成部品‘Y622(排気ガス・フラップ)’にプラスへのショートがあります。 ○ - - -

P1D1700 構成部品‘Y622(排気ガス・フラップ)’に断線があります。 ○ - - -

P1D2000 構成部品‘プロポーショナル・バルブ1’の電源供給にアースへのショートがあります。 ○ - - -

P1D2100 構成部品‘プロポーショナル・バルブ1’の電源供給にプラスへのショートがあります。 ○ - - -

P1D2200 構成部品‘プロポーショナル・バルブ2’の電源供給にアースへのショートがあります。 ○ - - -

P1D2300 構成部品‘プロポーショナル・バルブ2’の電源供給にプラスへのショートがあります。 ○ - - -

P1D3000 構成部品‘Y608a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ1))’にショートがあります。 ○ - - -

P1D3100 構成部品‘Y609a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ2))’にショートがあります。 ○ - - -

P1D3200 構成部品‘Y610a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ3))’にショートがあります。 ○ - - -

P1D3300 構成部品‘Y611a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ4))’にショートがあります。 ○ - - -

P1D3400 構成部品‘Y612a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ5))’にショートがあります。 ○ - - -

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ダイアグノーシス・コード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシス・コード発生時のウォーニング表示

橙/黒 赤/白

P1D3500 構成部品‘Y613a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ6))’にショートがあります。 ○ - - -

P1D3600フューエル・インジェクタ(シリンダ1,2,3)の圧力トランスミッタ用ソレノイド・バルブの共通の電気ケーブルに,アースへのショートがあります。

○ - - -

P1D3700フューエル・インジェクタ(シリンダ4,5,6)の圧力トランスミッタ用ソレノイド・バルブの共通の電気ケーブルに,アースへのショートがあります。

○ - - -

P1D3900フューエル・インジェクタ(シリンダ1,2,3)の圧力トランスミッタ用ソレノイド・バルブの共通の電気ケーブルに,プラスへのショートがあります。

○ - - -

P1D3A00フューエル・インジェクタ(シリンダ4,5,6)の圧力トランスミッタ用ソレノイド・バルブの共通の電気ケーブルに,プラスへのショートがあります。

○ - - -

P1D3C00 構成部品‘Y608a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ1))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1D3D00 構成部品‘Y609a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ2))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1D3E00 構成部品‘Y610a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ3))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1D3F00 構成部品‘Y611a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ4))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1D4000 構成部品‘Y612a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ5))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1D4100 構成部品‘Y613a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ6))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1D5000 構成部品‘Y628(フューエル・メタリング・バルブ)’にアースへのショートがあります。 ○ - - -

P1D5100 構成部品‘Y628(フューエル・メタリング・バルブ)’にプラスへのショートがあります。 ○ - - -

P1D5200 構成部品‘Y628(フューエル・メタリング・バルブ)’に断線があります。 ○ - - -

P1D5300 構成部品‘Y629(フューエル・シャットオフ・バルブ)’にアースへのショートがあります。 ○ - - -

P1D5400 構成部品‘Y629(フューエル・シャットオフ・バルブ)’にプラスへのショートがあります。 ○ - - -

P1D5500 構成部品‘Y629(フューエル・シャットオフ・バルブ)’に断線があります。 ○ - - -

P1D5600 構成部品‘B626(燃料プレッシャ・センサ(アウトプット))’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P1D5700 構成部品‘B626(燃料プレッシャ・センサ(アウトプット))’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P1D5800構成部品‘ディーゼル燃料メタリング・ユニット(インプット’’)’の圧力が低すぎます。(パティキュレート・フィルタの再燃焼)

○ - - -

P1D5900 構成部品‘ディーゼル燃料メタリング・ユニット(アウトプット’’)’の圧力が低すぎます。(再燃焼のスタート) ○ - - -

P1D5A00構成部品‘B625(燃料プレッシャ・センサ(インプット)),B626(燃料プレッシャ・センサ(アウトプット))’の測定値は測定範囲外にあります。(再燃焼のスタート)

○ - - -

P1D5C00 パティキュレート・フィルタのスス含有量が多すぎます。 ○ - - -

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ダイアグノーシス・コード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシス・コード発生時のウォーニング表示

橙/黒 赤/白

P1D6A00 ターボ・チャージャの回転数が高すぎます。ウォーニングはステージ1に達しました。 ○ - - -

P1D6B00 ターボ・チャージャの回転数が低すぎます。 ○ - - -

P1D6C00 ターボ・チャージャの回転数が高すぎます。ウォーニングはステージ2に達しました。 ○ - - -

P1D7000 構成部品‘B611(温度センサ(エア・クリーナの後ろ))’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P1D7100 構成部品‘B611(温度センサ(エア・クリーナの後ろ))’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P1D7500 パティキュレート・フィルタが再燃焼に必要な温度に達しません。 ○ - - -

P1D7600 コントロール・ユニット‘A60(AdBlue®排気ガス後処理ユニット)’がCANバスにデータを送信しません。 ○ - - -

P1D8300 エンジンの再始動は許可されていない(AdBlue®不足) ○ - - -

P1D9100 コントロール・ユニットによって算出された構成部品‘酸化触媒・前’の温度限界値を上回りました。 - - - -

P1D9200コントロール・ユニットによって算出された構成部品‘B70(排気ガス温度センサ(パティキュレート・フィルタの後ろ))’の温度限界値を上回りました。

- - - -

P1D9300 パティキュレート・フィルタが再燃焼に必要な温度に達しません。 ○ - - -

P1D9400 パティキュレート・フィルタが再燃焼に必要な温度に達しません。 - - - -

P1D9500構成部品‘B70(排気ガス温度センサ(パティキュレート・フィルタの後ろ))’のセンサの温度が限界値の上限を上回っています。

○ - - -

P1D9600 構成部品‘Y634(レール・ボリューム・コントロール・バルブ)’の電流値が低すぎます。 ○ - - -

P1D9700 レール・プレッシャ基準値に達しません。 ○ - - -

P1D9800 構成部品‘M601(スロットル・バルブ・アクチュエータ)’に電気的故障あるいは断線があります。 ○ - - -

P1D9900 構成部品‘ディーゼル燃料メタリング・ユニット’の圧力値が妥当でありません。 ○ - - -

P1DA000 レール・プレッシャ基準値に達しません。 ○ - - -P1DA100 高圧制御回路の漏れが多すぎます。 ○ - - -

P1DA200 レール内のプレッシャ・リミッタ・バルブを閉じることができません。 - ○ - -

P1DA300 構成部品‘B622(レール・プレッシャ・センサ)’に不具合があります。 ○ - - -

P1DA400 構成部品‘B622(レール・プレッシャ・センサ)’の電源供給が正常ではありません。 ○ - - -

P1DAA00 レール・プレッシャ基準値を超えました。 ○ - - -

P1DB000 構成部品‘B621(EGR差圧センサ)’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P1DB100 構成部品‘B621(EGR差圧センサ)’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P1DB400 構成部品‘B37(排気ガス・プレッシャ・センサ(ディーゼル酸化触媒の前))’の圧力が高すぎます。 ○ - - -

※ 「AdBlue®」はドイツ自動車工業会の登録商標です。

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ダイアグノーシス・コード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシス・コード発生時のウォーニング表示

橙/黒 赤/白P1DB700 構成部品‘エンジン・スピード・センサ’の値が異常です。 - - - -P1DB800 構成部品‘カムシャフトのポジション・センサ’の値が異常です。 - - - -P1DC000 構成部品‘EGRアクチュエータ’に不具合があります。 ○ - - -

P1DC100 構成部品‘Y621a(EGRアクチュエータ)’がエラーを送信します。 ○ - - -

P1DC200 構成部品‘Y621a(EGRアクチュエータ)’がエラーを送信します。 ○ - - -

P1DC300 構成部品‘Y621a(EGRアクチュエータ)’からのCANメッセージが正しくありません。(学習) ○ - - -

P1DC500 構成部品‘Y621a(EGRアクチュエータ)’からのCANメッセージが正しくありません。(内部故障) ○ - - -

P1DD000 センサ群1用の電源供給(3V)が低すぎます。 ○ - - -P1DD100 センサ群1用の電源供給(3V)が高すぎます。 ○ - - -P1DD200 センサ群2用の電源供給(3V)が低すぎます。 ○ - - -P1DD300 センサ群2用の電源供給(3V)が高すぎます。 ○ - - -

P1DE000 構成部品‘Y621a(EGRアクチュエータ)’とのCANコミュニケーションが正しくありません。 ○ - - -

P1DF300 構成部品‘Y608a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ1))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1DF400 構成部品‘Y609a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ2))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1DF500 構成部品‘Y610a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ3))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1DF600 構成部品‘Y611a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ4))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1DF700 構成部品‘Y612a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ5))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1DF800 構成部品‘Y613a y1(ソレノイド・バルブ(ノズル・ニードル,シリンダ6))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1DF900 構成部品‘Y608a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ1))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1DFA00 構成部品‘Y609a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ2))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1DFB00 構成部品‘Y610a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ3))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1DFC00 構成部品‘Y611a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ4))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1DFD00 構成部品‘Y612a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ5))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1DFE00 構成部品‘Y613a y2(ソレノイド・バルブ(プレッシャ・トランスファ,シリンダ6))’に電気的故障があります。 ○ - - -

P1F5600 構成部品‘ウォータ・ポンプ スピード・センサ’の値が異常です。 ○ - - -

P1F5700 構成部品‘ウォータ・ポンプ’の値が異常です。 ○ - - -P1F8D00 CANの不具合(A60(AdBlue®排気ガス後処理ユニット)) ○ - - -P1FD700 構成部品‘B1(ファン・スピード センサ)’の不良 ○ - - -

P214700フューエル・インジェクタ(シリンダ1,2,3)のノズル・ニードル用ソレノイド・バルブの共通の電気ケーブルに,アースへのショートがあります。

○ - - -

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三菱ふそう

ダイアグノーシス・コード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシス・コード発生時のウォーニング表示

橙/黒 赤/白

P214800フューエル・インジェクタ(シリンダ1,2,3)のノズル・ニードル用ソレノイド・バルブの共通の電気ケーブルに,プラスへのショートがあります。

○ - - -

P215000フューエル・インジェクタ(シリンダ4,5,6)のノズル・ニードル用ソレノイド・バルブの共通の電気ケーブルに,アースへのショートがあります。

○ - - -

P215100フューエル・インジェクタ(シリンダ4,5,6)のノズル・ニードル用ソレノイド・バルブの共通の電気ケーブルに,プラスへのショートがあります。

○ - - -

P216900 構成部品‘Y624(エグゾースト・ブレーキ・ソレノイド・バルブ,ステージ1)’に断線があります。 ○ - - -

P217000 構成部品‘Y624(エグゾースト・ブレーキ・ソレノイド・バルブ,ステージ1)’にアースへのショートがあります。 ○ - - -

P217100 構成部品‘Y624(エグゾースト・ブレーキ・ソレノイド・バルブ,ステージ1)’にプラスへのショートがあります。 ○ - - -

P218400 構成部品‘B606(エグゾースト水温センサ)’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P218500 構成部品‘B606(エグゾースト水温センサ)’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P222800コントロール・ユニット‘A4(エンジン・マネージメント・コントロール・ユニット(MCM))’が故障しています。エア・プレッシャ・センサに機能障害があります。

○ - - -

P222900コントロール・ユニット‘A4(エンジン・マネージメント・コントロール・ユニット(MCM))’が故障しています。エア・プレッシャ・センサに機能障害があります。

○ - - -

P226700 構成部品‘B623(「水」充填レベル・センサ)’のシグナル電圧が高すぎます。 - - - -

P226900 燃料内に水分が混入しています。 - - - -

P250C00 構成部品‘B605a(エンジン・オイルの充填レベル・センサ)’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P250D00 構成部品‘B605a(エンジン・オイルの充填レベル・センサ)’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P254100 構成部品‘B625(燃料プレッシャ・センサ(インプット))’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P254200 構成部品‘B625(燃料プレッシャ・センサ(インプット))’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P258000 構成部品‘「タービン・ホイール」スピード・センサ’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P258100 構成部品‘「タービン・ホイール」スピード・センサ’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

P256000 構成部品‘ウォータ・ポンプ・アクチュエータ’に断線があります。 ○ - - -

P260200 構成部品‘ウォータ・ポンプ・アクチュエータ’にアースへのショートがあります。 ○ - - -

P260300 構成部品‘ウォータ・ポンプ・アクチュエータ’にプラスへのショートがあります。 ○ - - -

P262100 構成部品‘M601(スロットル・バルブ・アクチュエータ)’のシグナル電圧が低すぎます。 ○ - - -

P262200 構成部品‘M601(スロットル・バルブ・アクチュエータ)’のシグナル電圧が高すぎます。 ○ - - -

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ダイアグノーシス・コード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシス・コード発生時のウォーニング表示

橙/黒 赤/白U001900 エンジンCANバスのデータが受信されません。 - ○ - -

U040000

コントロール・ユニット‘A3(コモン・パワートレイン・コントローラ(CPC) コントロール・ユニット)’からCANバスを介して送信された単数または複数のシグナルが妥当ではありません。

- ○ - -

U100000 エンジンCANバスのCANケーブル・ローが故障しています。 ○ - - -U100100 エンジンCANバスのCANケーブル・ハイが故障しています。 ○ - - -

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4 重点部位の脱着方法及び点検整備

1) フューエル・フィルタ・モジュール

⑴ 取り外し(図-32)

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三菱ふそう

図-33 ウォータ・リターン・ホースの取り外し

図-32 フューエル・フィルタ・モジュールの取り外し

①フューエル・フィルタ・モジュールを取り外す前にエア・コンプレッサのウォータ・ドレーン・プラグから冷却水を排出する。②エア・コンプレッサのウォータ・リターン・ホースをエア・コンプレッサ側から取り外す。(図-33)③ウォータ・リターン・ホースはホース・コネクタのリテーナをマイナス・ドライバなどで引いてから取り外す。(図-34)

図-34 ホース・コネクタの取り外し

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⑧残りの燃料ラインを切り離す。⑨燃料ホースとフューエル・フィルタ・モジュール接続用のコネクタを取り外す。⑩電気コネクタを各センサから切り離す。⑪エア・コンプレッサ上にあるエンジン・ドレーン・コックを緩めて冷却水を排出する。⑫フューエル・フィルタ・モジュールをクランク・ケースに固定している5本のボルトを外し,フューエル・フィルタ・モジュールをクランク・ケースから取り外す。⑬クランク・ケースからフューエル・クーラ用カップリングを取り外し廃棄する。⑵ 分 解

①つめに注意してカバーを取り外す。(図-37)②クリップを取り外した後にドレーン・プラグを取り外す。③フューエル・フィルタ・モジュールからフューエル・クーラを取り外す。④36㎜ソケットを使って2個のフィルタを取り外す。⑤ウォータ・レベル・センサを取り外す。注意  フューエル・フィルタ・モジュールには圧縮エアによ

る清掃を行わない。

④エア・プレッシャ・テスト・フューエル・システム(特殊工具)を使用して345kPa{3.5kgf/cm2}の圧縮空気を加え,フューエル・フィルタ・モジュールから燃料を排出する。(図-35)注意  フューエル・フィルタ・モジュールからの燃料排出作業はフューエル・タンクへのリターン・ラインを取り

外さない。

図-35 燃料排出

⑤1~2分でフューエル・フィルタ・モジュールから燃料が排出される。⑥フューエル・フィルタ・モジュールから燃料タンクへのリターン・ラインを切り離す。⑦オフセット・レンチ(特殊工具)でコネクタをおさえた状態でニードル・リターン・ラインを取り外す。同様に増幅リターン・ラインを取り外す。(図-36)

図-36 リターン・ラインの取り外し

図-37 カバーの取り外し

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⑥ボルトを規定トルクで締め付ける。締め付けトルク4~5N・m{0.4~0.5kgf・m}

⑦ドレーン・ボールを取り付ける。締め付けトルク20~22N・m{2.0~2.2kgf・m}⑧フィッティングを取り付ける。締め付けトルク107±9N・m{11±0.9kgf・m}

⑨バルブを取り付ける。締め付けトルク21.5±2.5N・m{2.5±0.3kgf・m}

⑩プラグを取り付ける。締め付けトルク21.5±2.5N・m{2.5±0.3kgf・m}

⑪手動ポンプを取り付ける。締め付けトルク12±1.5N・m{1.2±0.2kgf・m}

⑫プレフィルタ・キャップを取り付ける。締め付けトルク:55+5 0 N・m{5.6+0.5 0 kgf・m}⑬コアレスサ・フィルタ・キャップを取り付ける。締め付けトルク:55+5 0 N・m{5.6+0.5 0 kgf・m}

⑸ 取り付け

①エア・コンプレッサ上にあるエンジン・ドレーン・コックを取り付ける。②新品のフューエル・クーラ用カップリングをクランク・ケースに取り付ける。③クランク・ケースとフューエル・クーラの間のフューエル・クーラ用カップリングを損傷しないよう注意してフューエル・フィルタ・モジュールを取り付ける。締め付けトルク:60N・m{6.1kgf・m}

⑶ 点 検

①傷又は損傷がないかフューエル・フィルタ・モジュールを点検し,異常がある場合は交換する。②各センサを点検し,異常がある場合は交換する。③摩耗又は損傷がないかフューエル・クーラを点検し,異常がある場合は交換する。④異物がないか,フューエル・フィルタ・ハウジング及びフューエル・クーラを点検し,必要があれば洗浄する。⑤傷又は損傷がないかウォータ・レベル・センサのO-リングを点検し,異常がある場合はセンサとO-リングを交換する。⑷ 組み立て

①O-リングにエンジン・オイルを付けて,フューエル・フィルタ・モジュールに取り付ける。②フューエル・クーラを取り付ける。締め付けトルク:12~13N・m{1.2~1.3kgf・m}③フューエル・ライン・コネクタを取り付ける。締め付けトルク:4.8±0.4N・m{0.5±0.04kgf・m}

④ウォータ・レベル・センサのO-リングにシリコン・グリース又はスリーボンド1855を付けて,センサに取り付ける。⑤ウォータ・レベル・センサとフューエル・フィルタ・モジュールのセンサ取り付け部を平行にし,確実に入れる。(図-38)

図-38 センサの取り付け

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図-39 ウォータ・リターン・ホースの取り付け

④エア・コンプレッサのウォータ・リターン・ホースをフューエル・フィルタ・モジュールに取り付ける際は,ウォータ・リターン・ホースの先端部にO-リング及びリテーナが確実に取り付けられていることを確認する。(図-39)⑤フューエル・フィルタ・モジュールに取り付け後,ウォータ・リターン・ホースのリテーナを押し込み固定する。(図-40)

図-40 ホース・コネクタの取り付け

⑥ウォータ・リターン・ホースがロック位置まで押し込まれていることを確認する。注意  ・ウォータ・リターン・ホースの取り付けが不適切である場合及びリテーナがロック位置に入っていない場

合には,冷却水の漏れが発生することがある。

・O-リング又はリテーナが紛失している場合または取り外されている場合はウォータ・リターン・ホースを

交換する。

⑦エア・コンプレッサ・ウォータ・ホースをフューエル・フィルタ・モジュールに固定しているボルトを取り付ける。締め付けトルク:30N・m{3.1kgf・m}

⑧エンジンに冷却水を注入し,システムを圧力テストして,フューエル・クーラとクランク・ケース間にシール漏れがないか点検する。⑨オフセット・レンチ(特殊工具)を使用してコネクタをおさえた状態で増幅リターン・ラインを取り付ける。(図-41)締め付けトルク:30~33N・m{3.1~3.4kgf・m}

図-41 燃料ライン取り付け

⑩同様にオフセット・レンチ(特殊工具)を使用してニードル・リターン・ラインを取り付ける。締め付けトルク:30~33N・m{3.1~3.4kgf・m}⑪プレッシャ・リミッティング・バルブ・リターン・ラインを取り付ける。締め付けトルク:30~33N・m{3.1~3.4kgf・m}

⑫MCMへの燃料ラインを取り付ける。締め付けトルク:30N・m{3.1kgf・m}(MCM側)        50N・m{5.1kgf・m}(フューエル・フィルタ・モジュール側)

⑬高圧燃料ブラケットを高圧燃料ポンプへ取り付ける。締め付けトルク:30N・m{3.1kgf・m}

⑭フレキシブル・ホースは下から順によじれないように,2本のスパナで取り付ける。注意  締め付け順を間違えると工具が入らない場所があるので注意する。

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⑮HCドーザ燃料サプライ・ラインを取り付ける。締め付けトルク:25N・m{2.5kgf・m}

⑯高圧燃料ポンプ・インレット・ライン及び高圧燃料ポンプ・アウトレット・ラインを取り付ける。締め付けトルク:30N・m{3.1kgf・m}

⑰低圧燃料ポンプ・ラインを取り付ける。締め付けトルク:30N・m{3.1kgf・m}

⑱燃料ラインをアイ・ボルトで取り付ける。締め付けトルク:30N・m{3.1kgf・m}

⑲各センサに電気コネクタを接続する。⑳燃料系統のエア抜きを行う。㉑エンジン・アイドリング回転にて燃料及び冷却水の漏れがないか確認する。2) 高圧燃料ポンプ

⑴ 取り外し(図-42)

図-42 高圧燃料ポンプの取り外し

①高圧燃料ポンプを脱着する際はフューエル・フィルタ・モジュールのドレーンから燃料を排出する。②クランクシャフト・バール・ツール(特殊工具)をフライホイール・ハウジングに配置し,フライホイール・トーンリングの中に存在するドットをポインタのエッジに合わせた状態で,No.1シリンダ又はNo.6シリンダを圧縮上死点(TDC)にする。(図-43)

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図-43 No.1又はNo.6シリンダを圧縮上死点にセット

③フライホイール・ハウジングからエンジン・スピード・センサを取り外す。④クランクシャフト・ロッキング・ツール(特殊工具)を取り付け,フライホイール・ハウジングのエンジン・スピード・センサ取り付け穴を通してフライホイール・ノッチに接続する。(図-44)

図-44 クランクシャフトのロック

⑤フューエル・フィルタ・モジュールから燃料ラインを取り外す。⑥フューエル・フィルタ・モジュールを取り外す。⑦コモンレールへの2本の高圧燃料ラインを高圧燃料ポンプから取り外す。注意  高圧燃料ポンプ内に残留した高圧燃料により,ケガをする恐れがあるため,高圧燃料回路内の構成品につい

ての作業を行う場合は,エンジンを停止してから10分以上待機する。

⑧FMU(フューエル・メータリング・ユニット)への電気コネクタを切り離す。⑨高圧燃料ポンプ・ブラケットをクランク・ケースに固定している2本のボルトを取り外す。⑩高圧燃料ポンプをブラケットに固定している2個のナットを取り外す。⑪高圧燃料ポンプをクランク・ケースに固定している4本のボルトを取り外す。⑫高圧燃料ポンプを取り外す。⑬プレッシャ・リリーフ・バルブ及び2ステージ・バルブを高圧燃料ポンプから取り外す。⑭FMU(フューエル・メータリング・ユニット)を取り外す。⑮低圧燃料ポンプを取り外す。⑯オイル・シールを取り外す。(図-45)・ポンプ・シャフトにオイル・シール脱着ツール-C(特殊工具)を取り付ける。・オイル・シール脱着ツール-D(引き抜きボルト付き(特殊工具))をオイル・シール脱着ツール-C(特殊工具)の上から取り付け,オイル・シールの奥までねじ込み,オイル・シールを取り外す。・オイル・シールを取り外す途中でオイル・シール脱着ツール-D(特殊工具)だけ抜けた場合は,再度やり直す。なお,オイル・シールが斜めになった場合は,ラジオ・ペンチなどで取り外す。

図-45 オイル・シールの取り外し

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ロ プレッシャ・リリーフ・バルブ及び2ステージ・バルブ

⒜ 目視点検(図-47)

バルブ・ポート,ねじ部及びO-リングに損傷がないか点検し,異常がある場合は,プレッシャ・リリーフ・バルブ又は2ステージ・バルブを交換する。

図-47 目視点検

⒝ 作動点検(図-48)

ピストンをドライバなどで押し下げ,ピストンが面一まで戻ることを点検し,異常がある場合は,プレッシャ・リリーフ・バルブ又は2ステージ・バルブを交換する。

図-48 ピストンの点検

⑰高圧燃料ポンプのハウジングを清掃する。注意  圧縮エアによる清掃は行わない。

⑵ 点 検

イ プレッシャ・リリーフ・バルブ及び2ステージ・バルブ取り付け部(図-46)

高圧燃料ポンプの2ステージ・バルブ及びプレッシャ・リリーフ・バルブの取り付け部(ねじ部)のつぶれや汚れを点検し,異常がある場合は,清掃又は交換をする。

図-46 バルブ取り付け部の点検

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図-49  FMU取付け部の点検 図-50 目視点検

ハ FMU及びFMU取り付け部の目視点検(図-49)

き裂,損傷がないか点検し,異常がある場合は,高圧燃料ポンプを交換する。ニ 低圧燃料ポンプ及び低圧燃料ポンプ取り付け部,ジョイント,ドライブ・キーの目視点検(図-50)

き裂,損傷がないか点検し,異常がある場合は,高圧燃料ポンプを交換する。

⑶ 取り付け

①オイル・シールを取り付ける。(図-51)・ポンプ・シャフトにオイル・シール脱着ツール-A(特殊工具)を取り付ける。・新品のオイル・シールを手でいっぱい押し込む。このとき,オイル・シールが傾かないように均等に取り付ける。・オイル・シール脱着ツール-A(特殊工具)の上からオイル・シール脱着ツール-B(特殊工具)を取り付け,プラスチック・ハンマなどでオイル・シールを取り付ける。

図-51 オイル・シール装着

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③FMU(フューエル・メータリング・ユニット)を高圧燃料ポンプに取り付ける。締め付けトルク:8N・m{0.8.kgf・m}

④プレッシャ・リリーフ・バルブのO-リングにエンジン・オイルを付け,プレッシャ・リリーフ・バルブを高圧燃料ポンプに取り付ける。締め付けトルク:32N・m{3.3kgf・m}

⑤2ステージ・バルブのO-リングにエンジン・オイルを付け,2ステージ・バルブを高圧燃料ポンプに取り付ける。締め付けトルク:26N・m{2.7kgf・m}

⑥フライホイールがNo.1シリンダの圧縮上死点(TDC)位置にあることを確認する。⑦高圧燃料ポンプを点検する。・ポンプ・ギヤを取り外していない場合は,⑬に進む。・ポンプ・ギヤを新品に交換する場合,又は古いポンプから移植する場合は⑧に進む。⑧新品の高圧燃料ポンプを燃料高圧ポンプ・ホールディング・デバイス(特殊工具)に取り付け,燃料高圧ポンプ・ホールディング・デバイス(特殊工具)からロック用の歯を取り外す。⑨ポンプ・ギヤをシャフトに取り付ける。⑩ナット及び燃料高圧ポンプ・ホールディング・デバイス(特殊工具)用のロッキング歯を取り付け,燃料高圧ポンプ・ナット用ソケット(特殊工具)を使って締め付ける。(図-53)締め付けトルク:250N・m{25kgf・m}⑪3個のタイミング・プレート取り付けボルトを取り付ける。締め付けトルク:標準キャブ(M6)    10N・m{1.0kgf・m}        ショート・キャブ(M8) 30N・m{3.1kgf・m}

⑫ツールからロッキング歯を取り外す。⑬ポンプ・ギヤのナットを使用し,“T”マークが12時の位置に来るまでギヤを回転させる。(図-54)

②低圧燃料ポンプを取り付ける。(図-52)・新品のガスケットを高圧燃料ポンプに取り付け,ジョイントを取り付ける。・低圧燃料ポンプを高圧燃料ポンプに取り付ける。締め付けトルク:8N・m{0.8kgf・m}

図-52 低圧燃料ポンプ取り付け

図-53 ナット締め付け 図-54 Tマークのセット

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⑱高圧燃料ポンプを取り付ける。(図-56)注意  ・タイミング・プレートの“T”マークがずれていると,

タイミング・プレートとアイドラ・ギヤNo.2と干

渉して正しく挿入できない。ポンプ・ハウジングの

ボルト穴がフライホイール・ハウジングの取り付け

穴ときっちりと合うこと。

・高圧燃料ポンプを取り付ける際は,タイミング・プ

レートの“T”マークが指定された位置にあることを

確認する。

・ポンプのボルト穴と取り付け穴の位置がずれている

場合に,ポンプ・ギヤを回しながら強引にボルト穴

を合わせると,“T”マークが指定された位置からず

れる。

・高圧燃料ポンプを取り付ける際には正しい長さのボルトを使用する。誤った長さのボルト(長過ぎる)を使

用すると,クランク・ケース内に取り付けられたカップ・プラグがギヤ・トレーン内に押出され,ギヤ・

トレーンに重大な損傷を与えることがある。正しいボルト長は35mmである。

⑭高圧燃料ポンプの取り付け面とO-リング取り付け溝を清掃する。⑮ポンプ内の初期潤滑のため,清浄なスポイトなどを用いて図示位置から清浄な燃料を100cm3{100mL}以上注入する。(図-55)⑯新品のガスケットと共に高圧燃料ブラケットを取り付ける。締め付けトルク:30N・m{3.1kgf・m}

⑰新品のO-リングを取り付ける。 図-55 潤滑燃料の注入

図-56 高圧燃料ポンプ取り付け

⑲高圧燃料ポンプをフライホイール・ハウジングに固定する4個のボルトを取り付ける。締め付けトルク:60N・m{6.1kgf・m}

⑳高圧燃料ポンプをブラケットに固定する2個のナットを取り付ける。締め付けトルク:30N・m{3.1kgf・m}

㉑ブラケットをクランク・ケースに固定する2個のボルトを取り付ける。締め付けトルク:100N・m{10kgf・m}㉒FMU(フューエル・メータリング・ユニット)にコネクタを取り付ける。㉓フューエル・フィルタ・モジュールを取り付ける。㉔フューエル・フィルタ・モジュールからのフューエル・リターン・ラインに,清浄な燃料をあふれるまで注入する。㉕フューエル・フィルタ・モジュールに燃料ラインを取り付ける。注意  高圧燃料ライン,クランプ及びブラケットは,必ず新品の部品に交換する。

㉖高圧燃料ポンプからコモンレールへの2本の高圧燃料ラインを取り付ける。締め付けトルク:40N・m{4.1kgf・m}

㉗高圧燃料ラインを固定するクランプのブラケットをインテーク・マニホールドに取り付ける。

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図-57 P/Sオイル・ポンプ位置 図-58 Tマーク位置確認 図-59 タイミング位置確認

締め付けトルク:25N・m{2.5kgf・m}㉘2本の高圧燃料ラインのクランプを取り付ける。締め付けトルク:15N・m{1.5kgf・m}

㉙高圧燃料ポンプ及び高圧燃料ラインを交換した場合は,ECUのコーディングを行う。⑷ 取り付け後の作業

①次の手順で燃料ポンプのタイミング合わせを行う。注意  本作業はフル・キャブのみ可能である。

②フライホイール・ハウジングに取り付けてあるP/Sオイル・ポンプを取り外す。(図-57)③テレスコープ・ミラーを使用して,P/Sオイル・ポンプ取り付け穴からタイミング・プレートを確認し,“T”マークが12時の位置にあることを確認する。(図-58)注意  新品の高圧燃料ポンプは“T”マークが12時の位置でタイミングが合わされている。

④“T”マークが12時の位置でない場合は,ポンプを取り外してギヤ・トレーンの損傷を点検し,損傷がない場合はポンプを取り付けてタイミングを合わせる。⑤“T”マークが12時の位置でタイミング・プレートの切り欠き(円弧)とアイドラ・ギヤの外周(歯)が平行になっていることが確認できたら,ポンプのタイミングは正常である。(図-59)

⑥フライホイール・ハウジングのエンジン・スピード・センサ穴からクランクシャフト・ロッキング・ツール(特殊工具)を取り外す。⑦エンジン・スピード・センサを取り付ける。

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②インジェクタへのフューエル・パイプをすべて仮付けする。③コモンレール・ブリッジのボルト取り付け部厚さは,1mm厚くなっているので下側から締め付ける。

④コモンレールをカムシャフト・ハウジングに3個のクランプ及び6本のボルトを使って取り付ける。締め付けトルク:10N・m{1.0kgf・m}注意  高圧燃料ラインは,必ず新品の部品に交換する。また,ダンパー,クランプ及びブラケットも新品の部品に

交換する。

⑤高圧燃料ラインをコモンレール及び高圧燃料ポンプに取り付ける。締め付けトルク:40N・m{4.1kgf・m}

3) コモンレール

⑴ 取り外し(図-60)

図-60 コモンレール

①コモンレール圧センサをハーネスから切り離す。②コモンレール圧センサ及びプレッシャ・リミティング・バルブをコモンレールから取り外す。③アイ・ボルトを取り外し,プレッシャ・リミッティング・バルブ・リターン・ラインを取り外す。④高圧燃料ポンプからの高圧燃料ラインを取り外す。危険  ・高圧燃料ポンプ内に残留した高圧燃料により,ケガをする恐れがあるため,高圧燃料回路内の構成品につ

いての作業を行う場合は,エンジンを停止してから10分以上待機する。

・ゴミなどが高圧燃料ライン及びコモンレールの内部に入り込むと,エンジンの性能に大きな悪影響を与え

るので,取り外し時はゴミなどが入らないように覆いをする。

⑤コモンレールをカムシャフト・ハウジングに接続しているボルト及びクランプを外して,コモンレールを取り外す。⑵ 点 検

①損傷及び摩耗がないか,ボルト及びクランプを点検し,異常がある場合は交換する。②損傷及び摩耗がないか,コモンレールを点検し,異常がある場合は交換する。③損傷がないか,カムシャフト・ハウジングを点検し,異常がある場合は交換する。⑶ 取り付け

①コモンレールをカムシャフト・ハウジングに仮付けする。(図-61)

図-61 仮付け

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⑥プレッシャ・リミッティング・バルブ・リターン・ラインをフューエル・フィルタ・モジュール及びコモンレールに取り付ける。締め付けトルク:35N・m{3.6kgf・m}

⑦プレッシャ・リミティング・バルブのねじ部と新品のO-リングに清浄な燃料を付け,プレッシャ・リミティング・バルブを取り付ける。締め付けトルク:100N・m{10kgf・m}⑧コモンレール圧センサを取り付け,エンジン・ハーネスに接続する。締め付けトルク:70N・m{7.1kgf・m}

⑨高圧燃料ラインにブラケットを取り付ける。⑩コモンレール及び高圧燃料ラインを交換した場合は,MCMのコーディングを行う。4) インジェクタ

⑴ 取り外し(図-62)

図-62 インジェクタ

危険  ・高圧燃料ポンプ内に残留した高圧燃料により,ケガをする恐れがあるため,高圧燃料回路内の構成品につ

いての作業を行う場合は,エンジンを停止してから10分以上待機する。

・ゴミなどが高圧燃料ライン及びコモンレールの内部に入り込むと,エンジンの性能に大きな悪影響を与え

るので,取り外し時はゴミなどが入らないように覆いをする。

①増幅リターン・ラインとニードル・リターン・ラインを取り外し,パイプ内の燃料を抜く。②インタ・メディエイト・フレームを取り外す。

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図-63 インジェクタ・フィード・ライン・シール

図-64 インジェクタ保持ボルト 図-65 インジェクタ・リムーバ

③インジェクタ・フィード・ライン・シールのボルトを緩める。(図-63)④カムシャフト・フレーム及びコモンレールのインジェクタ・フィード・ラインを切り離す。⑤インジェクタ保持ボルトを取り外す。(図-64)⑥インジェクタ・リムーバ(特殊工具)を使ってインジェクタ及びクランプをシリンダ・ヘッド内のシートから持ち上げて取り外す。(図-65)

⑦インジェクタからクランプを取り外し,インジェクタの先端を保護するため,先端プロテクタを取り付ける。⑧異物が入らないようインジェクタ穴をカバーする。⑨新品の燃料に浸した清浄なウエスを使い,インジェクタのナットより先の先端部分の外側に付着したカーボンを注意して取り除く。注意  損傷及び詰まりを防止するため,インジェクタ先端部燃料噴射孔の洗浄(ワイヤ・ブラッシングなど)は避ける。

⑩インジェクタ・チューブ・リムーバ&インストラ(特殊工具)をインジェクタ・チューブ内に取り付け,インジェクタ・チューブ・リムーバ&インストラ(特殊工具)をチューブ内のスロットに合わせてから反時計方向に回し取り外す。⑪シリンダ・ヘッド内のシール・リングを取り外す。⑵ 点 検

①目に見える損傷がないか,インジェクタ・ボデーを点検する。損傷があればインジェクタを交換する。②インジェクタを再使用する場合,3個のO-リング及び銅製ワッシャを取り外し廃棄する。注意  O-リング,インジェクタ・ボルト及びインジェクタの銅製ワッシャは再使用できない。インジェクタを取り

外す毎に,インジェクタ・ボルト,3個のO-リング及び銅製ワッシャを新品の部品と交換する。O-リング

及び銅製ワッシャ及びインジェクタ・ボルトを交換しないと,燃料漏れにつながることがある。

③損傷又は欠陥がないか,インジェクタ・チューブを点検し,異常がある場合はインジェクタ・チューブを交換する。④シリンダ・ヘッドとインジェクタ・チューブの間のシール・リング面を研摩しないよう注意して,インジェクタ・チューブのねじ山を目の細かいワイヤ・ブラシで洗浄する。⑤インジェクタ・チューブの内側シール面を洗浄する。洗浄には化学溶剤を使用してもよい。⑶ 取り付け

①燃料システムに汚染がある場合は以下の処置を行う。・燃料タンク内の燃料をドレーンし,あらためて清浄な燃料を注入する。・フューエル・フィルタ・モジュールを洗浄し,フューエル・フィルタ・モジュールのフィルタを新品に交換する。注意  シリンダから燃料が取り除かれていることを確認する。

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⑭エンジン・オイルをシール・リングに薄く付けてから,インジェクタ・O-リング・インストラ(特殊工具)を使ってリングをインジェクタ・ナットリング溝に取り付ける。正しくはまったことを確認する。(図-67)

図-67 インジェクタ・O-リング・インストラ

②インジェクタ先端部燃料噴射孔から異物を取除く。注意  ・インジェクタ先端部燃料噴射孔洗浄の際には,異物が燃料システムに侵入しないように注意する。インジェ

クタ先端部燃料噴射孔の洗浄には動力工具は使用せず,ハンド・ブラシ及びウエスを用いる。圧縮エアを

使用して燃料噴射孔内の異物を吹き飛ばさないこと。

・インジェクタ・チューブを取り外し又は交換した場合は,新品のシール・リングと交換する。

③シリンダ・ヘッドのインジェクタ取り付け部に異物がないか確認する。④シリンダ・ヘッドにシール・リングを取り付ける。シリコン・グリースを少量使用すると取り付けが容易になる。⑤インジェクタ・チューブのねじ山及びチューブ・シール面に高温のニッケル・ベース・アンチ・シーズ潤滑剤を付ける。⑥インジェクタ・チューブをインジェクタ・チューブ・リムーバ&インストラ(特殊工具)に取り付け,インジェクタ先端部燃料噴射孔に取り付ける。⑦インジェクタ・チューブを規定トルクで締め付け後,インジェクタ・チューブを約180°緩め再度規定トルクで締め付ける。締め付けトルク:50N・m{5.1kgf・m}

⑧シリンダ・ヘッドを取り外している場合は,チューブの先端がファイアデッキと面一になるようにする。⑨クーラント・システムに燃料による汚染がある場合は,システムをフラッシュ洗浄し,次に逆方向から再度フラッシュ洗浄する。⑩オイル・システムに汚染がある場合は,エンジン・オイル及びオイル・フィルタを交換する。⑪インジェクタ・チューブの燃料噴射孔を点検し,完全に清浄されていることを確認する。注意  インジェクタの取り付け前に,インジェクタ・チューブの燃料噴射孔から燃料の残りを取り除き洗浄し,損

傷がないことを確認する。

⑫インジェクタ先端プロテクタを取り外す。⑬銅製ワッシャの凹み部をインジェクタ・ボデー(上側)に,平らな面を下側に向けて新品の銅製ワッシャをインジェクタに取り付ける。(図-66)注意  誤って取り付けると,燃焼ガスが燃料システムに侵入

することがある。 図-66 銅製ワッシャ

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図-68 インジェクタ・フィード・ライン 図-69 インジェクタ・フィード・ライン・シール

図-70 インジェクタ補正データ

⑮インジェクタとクランプを一体としてシリンダ・ヘッド内に取り付ける。クランプをボルト穴に合わせ,新品のボルトをクランプに取り付けてボルトを仮締めする。注意  カムシャフト・ハウジング・シールは必ず新品の部品に交換する。

⑯カムシャフト・ハウジング・シールをインジェクタ・フィード・ラインに取り付ける。(図-68)⑰インジェクタ・フィード・ラインをインジェクタとコモンレールに取り付け,キャップ・ナットを指で締め付ける。⑱インジェクタにインジェクタ・フィード・ラインを取り付ける。締め付けトルク:40N・m{4.1kgf・m}

⑲カムシャフト・ハウジング・シールをカムシャフト・ハウジングに取り付ける。(図-69)締め付けトルク:15N・m{1.5kgf・m}

⑳インジェクタ・クランプ・ボルトを締め付ける。締め付けトルク:20N・m{2.0kgf・m}+90°

㉑増幅リターン・ラインとニードル・リターン・ラインを取り付ける。㉒インジェクタ及びインジェクタ・フィード・ラインを交換した場合は,MCMのコーディングを行う。(図-70)

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参 考

1) MCM(モータ・コントロール・モジュール)結線図