三菱ふそうトラック・バス株式会社...

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332 三菱ふそうトラック・バス株式会社 エアサスペンションシステム 通 称 名 車両型式 適用時期 出 典 資 料 ふそうスーパーグレート 2PG-FS、FU、FV 2017.5~ 整備解説書 00DHT0023 ※略語については、参考に掲載した略語一覧を参照 1 概 要 ふそうスーパーグレートの総輪エアサスペンション車は、フロントとリヤにエアサスペンションを採用して おり、リヤエアサスペンション車と比べ荷台振動低減効果で、精密機械などの輸送に対応することが可能と なった。また、リヤエアサスペンション車と同様の車高調整機能に加え、総輪エアサスペンションならでは の乗り心地向上や前後車高調整機能などにより、新時代の高品質輸送をリードしている。 2 構造・機能 1) 構成部品の配置 ⑴ フロントエアサスペンション(図-1) ・空気の弾性を利用したエアスプリングをフレームとフロントアクスル間にショックアブソーバーと共に取り 付けられている。また、エアスプリングは、車体の重量を支えると共に路面からの振動及び衝撃が車体に直 接伝わらないように吸収し、ボデー、乗員、積み荷などを保護し、さらにホイールの不規則な振動を抑制し て走行の安定を図っている。 ・エアスプリングの使用で、ばねが軟らかくなるため、前後、左右方向の剛性確保にラテラルロッド、ラジア スロッド、トーションビームが取り付けられている。また、車高を感知するハイトセンサーが取り付けられ ている。

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三菱ふそうトラック・バス株式会社

エアサスペンションシステム通 称 名 車 両 型 式 適 用 時 期 出 典 資 料

ふそうスーパーグレート 2PG-FS、FU、FV 2017.5~ 整備解説書 00DHT0023

※略語については、参考に掲載した略語一覧を参照

1 概 要

ふそうスーパーグレートの総輪エアサスペンション車は、フロントとリヤにエアサスペンションを採用しており、リヤエアサスペンション車と比べ荷台振動低減効果で、精密機械などの輸送に対応することが可能となった。また、リヤエアサスペンション車と同様の車高調整機能に加え、総輪エアサスペンションならではの乗り心地向上や前後車高調整機能などにより、新時代の高品質輸送をリードしている。

2 構造・機能

1) 構成部品の配置

⑴ フロントエアサスペンション(図-1)

・空気の弾性を利用したエアスプリングをフレームとフロントアクスル間にショックアブソーバーと共に取り付けられている。また、エアスプリングは、車体の重量を支えると共に路面からの振動及び衝撃が車体に直接伝わらないように吸収し、ボデー、乗員、積み荷などを保護し、さらにホイールの不規則な振動を抑制して走行の安定を図っている。・エアスプリングの使用で、ばねが軟らかくなるため、前後、左右方向の剛性確保にラテラルロッド、ラジアスロッド、トーションビームが取り付けられている。また、車高を感知するハイトセンサーが取り付けられている。

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図-1 フロントエアサスペンション

⑵ リヤエアサスペンション(図-2)

・ハイトコントロールは、積み荷の重さにかかわらず車高を任意の高さに保つ。・荷の積み降ろし時、リモコンユニットの操作により車高を変えることができ、プラットホームなどの高さに合わせることで荷の積み降ろし作業が容易になる。・FU車は、車高調整以外では、後後軸(デッド軸)にかかる荷重を後前軸(ドライブ軸)に移動させて、空車時の走破性を改善する軸重移動機能(三菱スーパードライブ:MSD)が設けられている。・4バッグエアサスペンション後軸に1軸当たり4個のエアスプリングが装着されている。衝撃吸収や車高調整を促すエアスプリング及びショックアブソーバーは、リヤアクスルに固定されたサポートビームとフレームとの間に取り付けられている。また、車両左右方向の力を支持するためにV-ロッド、旋回時のロールを抑えるためにスタビライザー、駆動及び制動時の力を支持するためにV-ロッド及びラジアスロッドが取り付けられている。・2バッグエアサスペンション後軸に1軸当たり2個のエアスプリングとリーフスプリングが装着されている。衝撃吸収や車高調整を促すエアスプリング及びショックアブソーバーは、リーフスプリングとクロスビームを介してフレームとリヤアクスル間に取り付けられている。また、車両左右方向の力を支持するためにラテラルロッドが取り付けられている。

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図-2 リヤエアサスペンション

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⑶ 部品取り付け位置(図-3)

図-3 部品取り付け位置

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2) 構成部品の構造・機能

⑴ 電子制御システム

イ システムブロック図(図-4)

図-4 システムブロック図

・次の表は、各制御項目において機器との関係を示すものである。(図-5)・表中○は信号を使用している。×は信号を使用していない。

制 御

機 器

エアサスペンションキャリブレーション

車高保持タイマー

リモートコントロール自動調整前、後

軸選択 上昇 下降 STOP 標準車高復帰 メモリー

リモートコントロール ⇧ ⇩ STOP M1、M2 × × ×

ハイトセンサー × ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○エアプレッシャーセンサー〈FU、FS:セルフローダー架装〉

× ○ ○ × ○ ○ ○ × ×

車速信号 × ○ ○ × ○ ○ ○ × ×ブレーキペダル信号 × × × × × × ○ × ×CLCSマグネットバルブ × ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○

図-5 各制御項目における機器との関係

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ロ 入力信号

⒜ リモートコントロール(図-6)

・リモートコントロールは下記の信号をCLCS ECUへ送る。・上昇/下降操作を行うアクスル(前軸、車両前後軸同時、後軸)の選択・車高の上昇/下降(停車中または15km/h以下で作動する)・標準車高への復帰・ストップ(作業中断)・メモリーレベルの記憶、調整(記憶:停車中のみ、調節:停車中または15km/h以下で作動する)・CLCS ECUは、これらの情報により車高の調整を開始する。

図-6 リモートコントロール

⒝ ハイトセンサー

ハイトセンサーは車両の高さを検知し、CLCS ECUへ高さ信号を送る。⒞ エアプレッシャーセンサー<FU、FSセルフローダー架装>

エアプレッシャーセンサーはエアスプリング内のエア圧を検知し、CLCS ECUへエア圧信号を送る。⒟ 車速信号

・CLCS ECUは、15km/h以下でのみリモートコントロールでの高さ調整を可能にする。・車高を変化させたまま走行した場合に、車速信号(20km/h)により標準車高へ自動的に復帰させる。・走行中のコーナリングや加速により一時的に車高が変化してもすぐにエアによる調節をしないよう、車速信号によりCLCS ECUの制御が切り替わる。これによりエアの消費を最小限にしている。・走行中:車高が60秒間連続して目標値を外れると車高を修正・停車中:車高が1秒間連続して目標値を外れると車高を修正⒠ ブレーキペダル信号

・ブレーキペダル信号をCLCS ECUへ送る。・フットブレーキ使用中は車速に関係なく、自動的な車高修正を中止する。ただし、リモートコントロールにて車高調整している場合及び車速20km/h以上時の標準車高への自動的な復帰の場合はブレーキ使用中でも車高修正を継続する。⒡ エアサスペンションカットスイッチ<FS:エアサスペンション制御カット機能付>

・エアサスペンションカットスイッチをON(カット)にすることでエアサスペンション制御が停止し、車高インジケータが表示される。・擬似的にブレーキペダル踏み込み状態とCLCS ECUは認識し、エアサスペンション制御が停止となる。

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⒢ MSD/MSDパワーモードスイッチ<FU>

①MSD/MSDパワーモードスイッチをONにすることで、CLCS ECUは下記の情報を検知し、MSD機能を制御する。・エアプレッシャーセンサーが正常に作動している。・リモートコントロールによる車高の上昇/下降が行われていない。・後後軸のエアスプリングにエアが給気されている。・後前軸のエアスプリングのエア圧が規定の圧力に達していない。・MSDパワーモードスイッチは車速15km/h以下で操作可能であり、車速20km/hで自動的に解除される。②CLCS ECUは、これらの情報により、後前軸のエアスプリングのエア圧を増加、後後軸のエアスプリングのエア圧を減少させ走破性を向上させる。⒣ OBD(On Board Diag)コネクター

OBDコネクターにFUSO Diagnostics(外部診断器)を接続することでエアサスペンションシステムの故障診断が行える。CLCS ECUは、ダイアグノーシスコード及びサービスデータをFUSO Diagnosticsへ送り、表示する。また、キャリブレーション(基準設定)時にはFUSO Diagnosticsの手順に沿って調整を行う。ハ 出力信号

⒜ CLCSマグネットバルブ

CLCSマグネットバルブは、CLCS ECUからの情報でエアスプリングへの給気及びエアスプリングからの排気を行う。⒝ ICUC(メーター)表示

①ICUC(メーター)にはエアサスペンション制御ウォーニングと車高調整インジケーターが表示される。②ウォーニング[エアサスペンション制御]表示は、次の故障を検出した場合に表示し、警告する。・CLCSマグネットバルブ断線短絡・エアプレッシャーセンサー断線短絡、出力異常<FU、FSセルフローダ架装>・ハイトセンサー断線短絡、出力異常・CLCS ECUの異常・キャリブレーション(基準設定)の異常③インジケーター[車高調整]表示は、車高が標準車高以外になった場合に表示し、警告する。

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ニ 車高記憶機能(図-7)

リモートコントロールを用いて下記の操作を行う。・記憶させたい操作ボタン(前または後)を押す。・操作ボタンの上または下を押し、記憶させたい車高にする。・記憶させたい車高でメモリースイッチのM1またはM2を約2秒以上長押しすることで車高が記憶される。・ メモリースイッチはM1及びM2にそれぞれ1つずつ記憶できる。すでに記憶されているメモリースイッチに新しい車高を記憶すると、以前に記憶した車高は消去される。

図-7 車高記憶機能

ホ MSD制御機能<FU>

・MSDは標準車高の空車時にデッド軸(後後軸)にかかる荷重を駆動軸(後前軸)に移動させ、走破性を向上させる機能である。・MSDの作動(MSDスイッチON時)は、空車または軽積車、最大積車をハイトセンサー及びエアプレッシャーセンサーよりCLCS ECUが検知し、CLCSマグネットバルブを介して駆動軸及びデッド軸のエアスプリングのエアを増減する。・空車または軽積車時は、駆動軸のエアスプリングにエアを増加、デッド軸のエアスプリングにエアを減少させることで駆動軸に軸重を移動させ駆動軸の軸重を増大させる。・最大積車は、デッド軸のエアスプリングにエアを増加させることにより、駆動軸とほぼ同じ軸重分担となる。・MSD制御機能は、通常モードとは別に積雪地などでの非常用として駆動輪のスリップを防ぐパワーモードがある。⒜ 通常モード

通常モードのMSD(MSDスイッチ:ON)は、後軸の合計により駆動軸とデッド軸の関係を保ってデッド軸のエアスプリング圧力を上昇させる。⒝ パワーモード

・パワーモードのMSD(MSDスイッチ及びパワーモードスイッチ:ON)は、後軸の合計が10t以下の場合、デッド軸のエアスプリング圧力を一定に保ったまま駆動軸のエア圧力を上昇させる。・パワーモードは車速20km/h以下でCLCS ECUにより自動的に解除される。また、後軸の合計が10t以上の場合、通常モードと同じエア圧制御となる。

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ヘ 車高保持タイマー機能

リモートコントロールのSTOPボタンを押しながらスタータースイッチをOFFすることで、2時間(FSエアサスペンション制御カット機能付は8時間)は荷重の変動があっても車高の保持を行う。(ただし車高調整はできない)、スタータースイッチのみOFFにするとCLCS ECUは一切制御を行わない。(エアスプリング内のエアを封じ込めた状態)ト セルフローダ架装制御機能<FS:セルフローダ架装>

PTOスイッチに連動してリヤエアスプリングの圧力をある程度残すことにより、セルフローダリフト作業後のエアスプリングベローズが変形するのを防止する。チ 故障診断機能

・CLCS ECUは各センサー等が故障であるかどうかを診断しており、故障と判断した場合はICUCに故障情報が表示され、運転者に知らせると共に故障個所をダイアグノーシスコードとして記憶し故障時の制御を開始する。・故障中の制御はシステムの機能を制限または停止し、車両及び運転者の安全を確保する。また記憶されたダイアグノーシスコードはFUSO Diagnostics及びICUC(メーター)のダイアグ確認画面による表示で呼び出すことができる。

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リ 配線図

図-8 配線図

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⑵ エアサスペンションマグネットバルブ(図-9)

エアサスペンションマグネットバルブは、車高を保持するために、エアスプリングへの給気及び排気を電気的に行っている。

図-9 エアサスペンションマグネットバルブ

⑶ エアカットバルブ<エアサスペンション制御カット機能付>(図-10)

エアカットバルブは、エアスプリングのエア漏れが生じた場合にエアスプリングに流れるエアを遮断するものである。エアカットバルブのレバーは脱着式で、車載工具に収納されている。

図-10 エアカットバルブ

3 点検・整備

1) ダイアグノーシスコード(故障コード)表示・消去方法

⑴ ダイアグノーシスコード表示方法

ダイアグノーシスコードを表示させるには次の方法がある。・FUSO Diagnosticsで表示する。・メータークラスターのマルチインフォメーションディスプレイで表示する。

ウォーニング シ ス テ ム 名表 示 方 法

FUSO Diagnostics マルチインフォメーションディスプレイ

エアサスペンション(CLCS) ○ ○

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⒝ ダイアグノーシスコード画面の見方(図-12)

右端の「現在値およびメモリ値F」の表記は現在発生しているダイアグノーシスコードと過去に発生したコードを示し、「メモリ値f」は過去に発生したダイアグノーシスコードを示す。

図-12 ダイアグノーシスコード(故障コード)画面の見方

⑵ ダイアグノーシスコードの読み取り、消去方法

イ FUSO Diagnosticsを使用する場合

⒜ FUSO Diagnosticsの接続方法(図-11)

①スタータースイッチをLOCK位置にする。②パソコン、FUSO connect、FUSO Diagnosticsテストハーネス、LANケーブル(クロスケーブル:カテゴリー5以上)を接続する。

③ダイアグノーシスコネクターとのコネクターを接続する。

図-11 FUSO Diagnosticsの接続方法

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ロ メータークラスターのマルチインフォメーションディスプレイを使用する場合(図-13)

FUSO Diagnosticsがない場合でもメータークラスターのマルチインフォメーションディスプレイを使用してダイアグノーシスコードの表示と消去が行える。⒜ システム点検の準備

①車両を停止させる。②スタータースイッチをONにする。③マルチファンクションボタンの▷ボタンを押して表示を切り替えダイアグノーシス画面を表示する。

図-13 システム点検の準備

⒝ システム(ECU)セレクトモード(図-14)

①ダイアグノーシス画面で ボタンを押すとダイアグノーシス詳細画面を表示する。②マルチファンクションボタンの△▽ボタンを押してシステムを選択する。③マルチファンクションボタンの▷ボタンを押すとシステムの詳細情報が表示される。

図-14 システム(ECU)セレクトモード

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⒞ 機能セレクトモード(図-15)

図-15 機能セレクトモード

⒟ ダイアグノーシスコード消去モード(図-16)

①ダイアグノーシス画面で ボタンを押すとダイアグノーシス詳細画面を表示する。②△▽ボタンを押して「故障リセット」を選択する。

図-16 ダイアグノーシスコード消去モード

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⑶ 点検手順(図-17)

システムの点検を行う場合は、次のフローチャート(手順)にしたがって行う。

図-17

〈注意事項〉

・電圧を測定する前にバッテリーの充電状態、比重を確認する。これらが低下している状態で点検を行うと正確な測定値が表示されないおそれがある。・バッテリーケーブルやハーネス、コネクターを取り外す場合は、必ずスタータースイッチをLOCKまたはOFF位置にしてから5分経過後に行う。(BlueTec®システムの処理が作動中のため)

・バッテリーケーブルやハーネス、コネクターを取り付ける場合は、電装品を破損するおそれがあるので、スタータースイッチ及びライティングスイッチをLOCKまたはOFF位置にしてから行う。

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・テスターで測定する場合、テストバーでECU内部回路や電装品を破損するおそれがあるので、コネクター内の端子間やボデーとのショートをさせないよう慎重に取り扱う。・抵抗値は温度によって影響を受けるので、本文中の温度の記述を目安に要否の判定を行う。なお、記述のないものは常温時(10~35℃)を条件としている。⑷ ダイアグノーシスコード一覧

ダイアグノーシスコード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシスコード発生時のウォーニング表示 備 考

橙  橙 橙

11F7E3

コントロールユニットA26(ピンA26.X2.21/13)と構成部品B24(左ドライブアクスルストロークセンサ)およびB25(右ドライブアクスルストロークセンサ)の間の電気ケーブルにプラスへのショートがあります。

― ― ―

11F7E4

コントロールユニットA26(ピンA26.X2.21/13)と構成部品B24(左ドライブアクスルストロークセンサ)およびB25(右ドライブアクスルストロークセンサ)の間の電気ケーブルにアースへのショートがあります。

○ ― ―

11F7E5

コントロールユニットA26(ピンA26.X2.21/13)と構成部品B24(左ドライブアクスルストロークセンサ)およびB25(右ドライブアクスルストロークセンサ)の間の電気ケーブルが断線しています。

○ ― ―

12FFE2 CANバスオフエラー ― ― ―

13F7E3 構成部品B27(フロントアクスルストロークセンサ)またはその電気ケーブルにプラスへのショートがあります。 ― ― ―

13F7E4 構成部品B27(フロントアクスルストロークセンサ)の電源供給にアースへのショートがあります。 ○ ― ―

13F7E5 構成部品B27(フロントアクスルストロークセンサ)の電源供給に断線があります。 ○ ― ―

13F7E9構成部品B24(左ドライブアクスルストロークセンサ)およびB25(右ドライブアクスルストロークセンサ)に不具合があります。

○ ― ―

140B13 「ターミナル15」CANメッセージがありません。 ― ― ○

14F7E5構成部品B20(左ドライブアクスルプレッシャセンサ)およびB21(右ドライブアクスルプレッシャセンサ)に不具合があります。

○ ― ―

18FFF3 CANメッセージステアリングホイールアングルに異常があります。 ― ― ―

19FFF3 CANメッセージフロントアクスルのホイールスピードに異常があります。 ― ― ―

1AFFF3 CANメッセージステアリングホイールアングルおよびフロントアクスルのホイールスピードは使用できません。 ― ○ ―

1BF7E3 プレッシャセンサの電源供給にプラスへのショートがあります。 ― ― ―

1BF7E4 プレッシャセンサの電源供給にアースへのショートがあります。 ○ ― ―

1BF7E5

コントロールユニットA26(ピンA26.X2.21/13)と構成部品B24(左ドライブアクスルストロークセンサ)およびB25(右ドライブアクスルストロークセンサ)の間の電気ケーブルが断線しています。

○ ― ―

1BFFF3 CANメッセージブレーキ力に異常があります。 ― ― ―1CFFF3 CANメッセージエンジントルクに異常があります。 ― ― ―1DFFF3 CANメッセージクラッチに異常があります。 ― ― ―

1FFFF3 CANメッセージフロントアクスルのスピードに異常があります。 ― ― ―

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ダイアグノーシスコード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシスコード発生時のウォーニング表示 備 考

橙  橙 橙

29F3E3 構成部品Y21(2軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにプラスへのショートがあります。 ○ ― ―

29F3E4 構成部品Y21(2軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにアースへのショートがあります。 ○ ― ―

29F3E5 構成部品Y21(2軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルに断線があります。 ― ― ―

2A0313 CANメッセージ車速に異常があります。 ○ ― ―

2AF3E3 構成部品Y21(2軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにプラスへのショートがあります。 ― ― ―

2AF3E4 構成部品Y21(2軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにアースへのショートがあります。 ○ ― ―

2AF3E5 構成部品Y21(2軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルに断線があります。 ○ ― ―

2BF3E3 構成部品Y21(2軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにプラスへのショートがあります。 ― ― ―

2BF3E4 構成部品Y21(2軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにアースへのショートがあります。 ○ ― ―

2BF3E5 構成部品Y21(2軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルに断線があります。 ○ ― ―

2CF3E3 ソレノイドバルブのアースラインにプラスへのショートがあります。 ○ ― ―

2CF3E4 ソレノイドバルブのアースラインにアースへのショートがあります。 ― ― ―

2CF3E5 ソレノイドバルブのアースラインが断線しています。 ○ ― ―

33F3E3 構成部品Y21a(3軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにプラスへのショートがあります。 ○ ― ―

33F3E4 構成部品Y21a(3軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにアースへのショートがあります。 ○ ― ―

33F3E5 構成部品Y21a(3軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルに断線があります。 ○ ― ―

34F3E3 構成部品Y21a(3軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにプラスへのショートがあります。 ○ ― ―

34F3E4 構成部品Y21a(3軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにアースへのショートがあります。 ○ ― ―

34F3E5 構成部品Y21a(3軸車両レベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルに断線があります。 ○ ― ―

3DF3E3構成部品Y20(フロントアクスルレベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにプラスへのショートがあります。

○ ― ―

3DF3E4構成部品Y20(フロントアクスルレベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにアースへのショートがあります。

○ ― ―

3DF3E5 構成部品Y20(フロントアクスルレベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルに断線があります。 ○ ― ―

3EF3E3構成部品Y20(フロントアクスルレベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにプラスへのショートがあります。

― ― ―

3EF3E4構成部品Y20(フロントアクスルレベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにアースへのショートがあります。

○ ― ―

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ダイアグノーシスコード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシスコード発生時のウォーニング表示 備 考

橙  橙 橙

3EF3E5 構成部品Y20(フロントアクスルレベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルに断線があります。 ○ ― ―

40F3E3構成部品Y20(フロントアクスルレベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにプラスへのショートがあります。

○ ― ―

40F3E4構成部品Y20(フロントアクスルレベルコントロールバルブユニット)またはその電気ケーブルにアースへのショートがあります。

― ― ―

40F3E5 構成部品Y20(フロントアクスルレベルコントロールバルブユニット)に断線があります。 ○ ― ―

44FFF3 ― ― ○ ―45FFE7 フロントアクスルの上昇時の妥当性エラー ― ― ―460013 CANメッセージパーキングブレーキに異常があります。 ― ― ―46FFE7 フロントアクスルの下降時の妥当性エラー ― ― ―47FFE7 左リヤアクスルの上昇時の妥当性エラー ― ― ―48FFE7 左リヤアクスルの下降時の妥当性エラー ― ― ―49FFE7 右リヤアクスルの上昇時の妥当性エラー ― ― ―4AFFE7 右リヤアクスルの下降時の妥当性エラー ― ― ―620609 内部故障 ― ― ―730200 ターミナル30への電源供給が過電圧です。 ○ ― ―730201 ターミナル30への電源供給が電圧不足です。 ○ ― ―75020C コントロールユニットに内部故障があります。 ― ― ―

87FEF3 CANメッセージ‘フロントアクスルのスピード’に異常があります。 ― ― ―

88FEF3 CANメッセージ‘ステアリングホイールアングル’に異常があります。 ― ― ―

89FEF3 CANメッセージ‘エンジントルク’に異常があります。 ― ― ―8AFEF3 CANメッセージ‘ヨーレート’に異常があります。 ― ― ―

B90603 構成部品B27(フロントアクスルストロークセンサ)にプラスへのショートがあります。 ○ ― ―

B90604 構成部品B27(フロントアクスルストロークセンサ)に断線あるいはアースへのショートがあります。 ○ ― ―

B90608 構成部品B27(フロントアクスルストロークセンサ)のシグナルが妥当ではありません。 ○ ― ―

BB0603 構成部品B25(右ドライブアクスルストロークセンサ)にプラスへのショートがあります。 ― ― ―

BB0604 構成部品B25(右ドライブアクスルストロークセンサ)に断線あるいはアースへのショートがあります。 ― ― ―

BB0608 構成部品B25(右ドライブアクスルストロークセンサ)のシグナルが妥当ではありません。 ○ ― ―

BC0603 構成部品B24(左ドライブアクスルストロークセンサ)にプラスへのショートがあります。 ― ― ―

BC0604 構成部品B24(左ドライブアクスルストロークセンサ)に断線あるいはアースへのショートがあります。 ― ― ―

BC0608 構成部品B24(左ドライブアクスルストロークセンサ)のシグナルが妥当ではありません。 ○ ― ―

BD0603 構成部品B19(フロントアクスルプレッシャセンサ)にプラスへのショートがあります。 ― ― ―

BD0604 構成部品B19(フロントアクスルプレッシャセンサ)に断線あるいはアースへのショートがあります。 ― ― ―

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ダイアグノーシスコード

FUSO Diagnostics表示

ダイアグノーシスコード発生時のウォーニング表示 備 考

橙  橙 橙

BF0603 構成部品B20(左ドライブアクスルプレッシャセンサ)にプラスへのショートがあります。 ― ― ―

BF0604 構成部品B20(左ドライブアクスルプレッシャセンサ)に断線あるいはアースへのショートがあります。 ― ― ―

C00603 構成部品B21(右ドライブアクスルプレッシャセンサ)にプラスへのショートがあります。 ― ― ―

C00604 構成部品B21(右ドライブアクスルプレッシャセンサ)に断線あるいはアースへのショートがあります。 ― ― ―

E1FEED 車両レベルのキャリブレーション値が正しくありません。 ○ ― ―E2FEED プレッシャセンサのキャリブレーション値が無効です。 ― ― ―F50013 CANメッセージ走行距離に異常があります。 ― ― ―F8FEE9 内部故障 ― ― ―

2) 重点部位の点検・整備

⑴ ECUコネクター部での入出力点検(図-18)

本点検により、ECU及び電装品の各信号が車両側のハーネス、コネクターにより正しく伝達されているかを確認できる。点検には次の種類がある。・スイッチやセンサーの入力電圧、リレー等の出力電圧に対し、車両側ハーネス(ECUコネクター)を接続したまま、コネクターの裏側からテストバーを挿して電圧を測定し、断線、天絡、地絡の有無を点検する。

・温度センサーや回転センサー、ソレノイドに対し、ECUコネクターを切り離して、車両側ハーネスにテストバーを差して抵抗値を測定し、断線の有無を点検する。

・マグネットバルブに対し、ECUコネクターを切り離して、車両側ハーネスから電圧を与えて作動可否を確認し、断線及びマグネットバルブ作動不良かを点検する。

一部のECUコネクターは、防水または防塵処理等によりコネクター裏側から挿せないものもある。

図-18 ECUコネクター部での入出力点検

⑵ キャリブレーション(基準設定)

・エアサスペンションシステム(CLCS)に関わる部品を交換、調整した場合、コントロールユニット内のデータをキャリブレーション(基準設定)しなければならない。・キャリブレーションは、FUSO Diagnosticsの画面指示に従って行う。

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⑶ 電装品の点検

イ ICUC(メーター)の点検

・単品での点検が簡単にはできないのでシステム内のハーネス及び関連部品の点検にて間接的に良否を判定する。・関連部品に異常がなく、かつシステムに異常がある場合はICUC(メーター)を交換する。ロ CGW(CAN)の点検

・単品での点検が簡単にはできないのでシステム内のハーネス及び関連部品の点検にて間接的に良否を判定する。・関連部品に異常がなく、かつシステムに異常がある場合はCGW(CAN)を交換する。ハ シングルSAMの点検

・単品での点検が簡単にはできないのでシステム内のハーネス及び関連部品の点検にて間接的に良否を判定する。・関連部品に異常がなく、かつシステムに異常がある場合はシングルSAMを交換する。ニ EAPUの点検

・単品での点検が簡単にはできないのでシステム内のハーネス及び関連部品の点検にて間接的に良否を判定する。・関連部品に異常がなく、かつシステムに異常がある場合はEAPUを交換する。ホ CLCSの点検

・単品での点検が簡単にはできないのでシステム内のハーネス及び関連部品の点検にて間接的に良否を判定する。・関連部品に異常がなく、かつシステムに異常がある場合はCLCSを交換する。ヘ スイッチモジュール2の点検(図-19)

・単品での点検が簡単にはできないのでシステム内のハーネス及び関連部品の点検にて間接的に良否を判定する。・関連部品に異常がなく、かつシステムに異常がある場合はスイッチモジュールを交換する。

図-19 スイッチモジュール2の点検

・A45b:DPFクリーニングスイッチ/DPFクリーニング禁止スイッチ・A45c:路肩灯スイッチ、ガバナ切り替えスイッチ・A45d:作業灯スイッチ、MSD/MSDパワーモードスイッチ

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ト ハザードウォーニングモジュールの点検(図-20)

・単品での点検が簡単にはできないのでシステム内のハーネス及び関連部品の点検にて間接的に良否を判定する。・関連部品に異常がなく、かつシステムに異常がある場合はスイッチモジュールを交換する。

図-20 ハザードウォーニングモジュールの点検

・A78a :ISSカットスイッチ・A78b :ASR/ESPカットスイッチ・A78c :LDWSカットスイッチ・A78d :アクティブブレーキアシストカットスイッチ・A78e :エアサスペンションカットスイッチ・A78f :インターデフロックスイッチ、左右デフロックスイッチ・A78g :ロッキングフリーモードスイッチ・A78h :PTOスイッチチ エアプレッシャーセンサーの点検(図-21)

・端子1-2間にDC5Vを加えた状態でセンサーにエア圧を加える。・各エア圧のときの端子2-3間の電圧を測定する。

エア圧 電 圧

基準値0.085MPa{0.867kgf/cm2} 0.5V1.685MPa{17.182kgf/cm2} 4.5V

・測定値が基準値を外れる場合はセンサーを交換する。

図-21 エアプレッシャーセンサーの点検

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リ ハイトセンサーの点検(図-22)

・センサーの外観を目視で点検し、レバー、ロッド、本体に曲がりや損傷がないことを確認する。・単品での点検が不可能なため、センサーを車両に装着した状態でFUSO Diagnosticsを接続し、車高を上下させたときの車両レベルが増減することを確認する。

車両の状態 FUSO Diagnosticsの表示

車高上昇リヤ左側の車両レベル増加リヤ右側の車両レベル増加フロント側の車両レベル増加

車高下降リヤ左側の車両レベル減少リヤ右側の車両レベル減少フロント側の車両レベル減少

・車両レベルの増減に異常がある場合はセンサーを交換する。

図-22 ハイトセンサーの点検

ヌ MSD用エアプレッシャーセンサーの点検(図-23)

・端子1-2間にDC5Vを加えた状態でセンサーにエア圧を加える。・各エア圧のときの端子2-3間の電圧を測定する。

エア圧 電 圧

基準値0.085MPa{0.867kgf/cm2} 0.5V1.685MPa{17.182kgf/cm2} 4.5V

・測定値が基準値を外れる場合はセンサーを交換する。

図-23 MSD用エアプレッシャーセンサーの点検

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ル リレーの点検(常開式5-ピン)(図-24)

導通点検及び作動点検を行い異常がある場合はリレーを交換する。

図-24 リレーの点検(常開式5ピン)

ヲ エアサスペンションリモートコントロールの点検

・単品での点検が簡単にはできないのでシステム内のハーネス及び関連部品の点検にて間接的に良否を判定する。・関連部品に異常がなく、かつシステムに異常がある場合はエアサスペンションリモートコントロールを交換する。ワ フロントエアサスペンション用マグネットバルブの点検(図-25)

・エアタンク内の圧力を規定圧にする。・スタータースイッチをONにする。・マグネットバルブからコネクターを取り外す。・下表の各端子間にDC24Vを加え、車高の変更を目視で確認し、マグネットバルブの作動を点検する。

+端子 -端子 車高の状態1、3 4 フロントエアサスペンションが上昇3 4 フロントエアサスペンションが下降

・異常がある場合はマグネットバルブを交換する。危険  マグネットバルブの作動点検は、バルブを作動させて車高を強制的に上下させるので、必ず安全を確保して

行うこと。

注意  点検は必ず空車状態で行い、車高の上下確認に必要な範囲で止めること。

図-25 フロントエアサスペンション用マグネットバルブの点検

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カ リヤエアサスペンション用マグネットバルブの点検(図-26)

・エアタンク内の圧力を規定圧にする。・スタータースイッチをONにする。・マグネットバルブからコネクターを取り外す。・下表の各端子間にDC24Vを加え、車高の変更を目視で確認し、マグネットバルブの作動を点検する。

+端子 -端子 車高の状態

1、3 4リヤエアサスペンション右側が上昇<FU以外>リヤエアサスペンション後前軸右側が上昇<FU>リヤエアサスペンション後後軸右側が上昇<FU:MSD>

3 4リヤエアサスペンション右側が下降<FU以外>リヤエアサスペンション後前軸右側が下降<FU>リヤエアサスペンション後後軸右側が下降<FU:MSD>

1、2 4リヤエアサスペンション左側が上昇<FU以外>リヤエアサスペンション後前軸左側が上昇<FU>リヤエアサスペンション後後軸左側が上昇<FU:MSD>

2 4リヤエアサスペンション左側が下降<FU以外>リヤエアサスペンション後前軸左側が下降<FU>リヤエアサスペンション後後軸左側が下降<FU:MSD>

・異常がある場合はマグネットバルブを交換する。危険  マグネットバルブの作動点検は、バルブを作動させて車高を強制的に上下させるので、必ず安全を確保して

行うこと。

注意  点検は必ず空車状態で行い、車高の上下確認に必要な範囲で止めること。

図-26 リヤエアサスペンション用マグネットバルブの点検

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⑷ ラテラルロッドブッシュ、ラジアスロッドブッシュの点検(図-27)

図のような亀裂、めくれ、浮き上がり等の異常がある場合は、ラテラルロッドブッシュまたはラジアスロッドブッシュを交換する。

図-27 ラテラルロッドブッシュ及びラジアスロッドブッシュの点検

⑸ V-ロッドラバーブッシュの点検<4バッグエアサスペンション>(図-28、29)

センターラバーブッシュ及びサイドラバーブッシュは定期交換部品のため、新車及び各ラバーブッシュ交換から500,000km走行した車両は点検の良否に係わらず、交換する。①点検は点検灯を用いて目視で行うが、作業スペースが狭いため直視できない場合は手鏡等を用いる。

図-28 V-ロッドラバーブッシュの点検①

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②次の点検を行い、異常がある場合はセンターラバーブッシュ及びサイドラバーブッシュを交換する。点検は両面において行う。③各ラバーブッシュのラバー部に円周上90°以上の亀裂または膨れによりL型リングからラバー部がはみ出していないことを確認する。④C-リング開口部のL型リングに亀裂がないことを確認する。⑤V-ロッドのロッドアームに損傷がないか点検する。注意  点検は必ず目視で行い、手で触れただけの点検はしな

い。

図-29 V-ロッドラバーブッシュの点検②

⑹ エアサスペンションのエア漏れ点検(図-30)

①エンジンを始動させ、エアプレッシャーゲージが1070kPa{10.9kgf/cm2}以上の状態でエンジンを停止させる。②エアプレッシャーゲージの針の下がり具合やエアラインの接合部、ダイヤフラムなどに塗布した石けん水により、エア漏れがないことを確認する。③エア漏れがある場合は、エア漏れ個所の部品の交換または各部の規定トルクでの締め付けを行う。④図のリヤエアサスペンションは2バッグエアサスペンション車を示しているが、4バッグエアサスペンション車も同じ要領で点検を行う。

図-30 エアサスペンションのエア漏れ点検

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⑺ エアスプリングのダイヤフラムの損傷点検(図-31)

①ダイヤフラムに損傷がないことを目視により確認する。②損傷がある場合はダイヤフラムを交換する。③図のリヤエアサスペンションは2バッグエアサスペンション車を示しているが、4バッグエアサスペンション車も同じ要領で点検を行う。

図-31 エアスプリングのダイヤフラムの損傷点検

⑻ エアサスペンション取り付け部及び連結部の緩み及び損傷点検(図-32)

①エアスプリング、スタビライザー、ラテラルロッド、ラジアスロッド、エアサスペンションレベリングロッドなどの取り付け部及び連結部に緩みがないことを確認する。②緩みがある場合は、各部を規定トルクで締め付ける。③エアスプリング、スタビライザー、ラテラルロッド、ラジアスロッド、エアサスペンションレベリングロッドなどの取り付け部、連結部及び本体に損傷がないことを目視により確認する。④損傷がある場合は各部を交換する。⑤図のリヤエアサスペンションは2バッグエアサスペンション車を示しているが、4バッグエアサスペンション車も同じ要領で点検を行う。

図-32 エアサスペンション取り付け部及び連結部の緩み及び損傷点検

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⑼ ショックアブソーバーのオイル漏れ点検(図-33)

①ショックアブソーバーにオイル漏れがないことを目視により確認する。②オイル漏れ及び損傷がある場合は、ショックアブソーバーを交換する。③図のリヤエアサスペンションは2バッグエアサスペンション車を示しているが、4バッグエアサスペンション車も同じ要領で点検を行う。

図-33 ショックアブソーバーのオイル漏れ点検

⑽ ハイトセンサーの作動点検(図-34)

①車両を平たんな場所に直進状態で止める。②スタータースイッチをONにして、リモコンユニットの上昇及び下降スイッチで車高を変化させ、メータークラスターの のインジケーターランプやマルチインフォメーションディスプレイのステータス表示エリアに 、 が表示されることを確認する。

③標準車高復帰スイッチを押して標準車高に復帰したとき、マルチインフォメーションディスプレイの表示が消えたことを確認する。④異常がある場合ハイトセンサーを点検する。

図-34 ハイトセンサーの作動点検

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⑾ マグネットバルブ、エアプレッシャーセンサーの機能点検

①車両を平たんな場所に直進状態で止める。②スタータースイッチをONにして、リモコンユニットの上昇及び下降スイッチで車高を変化させ、メータークラスターの のインジケーターランプやマルチインフォメーションディスプレイのステータス表示エリアに 、 が表示されることを確認する。

③標準車高復帰スイッチを押して標準車高に復帰したとき、マルチインフォメーションディスプレイの表示が消えたことを確認する。④異常がある場合エアプレッシャーセンサー、エアサスペンションマグネットバルブを点検する。

図-35 マグネットバルブ、エアプレッシャーセンサーの機能点検

〔参 考〕

<略語一覧>

記 載 装置、部品の名称インパネ インスツルメントパネルエアサス エアサスペンションエキブレ エキゾーストブレーキコンロッド コネクチングロッドセミトレ セミトレーラーけん引車デフ デファレンシャルトルコン トルクコンバータートラサス トラニオン式サスペンション独懸サス 独立懸架式サスペンションハブリダ ハブリダクションフルトレ フルトレーラーけん引車ポールトレ ポールトレーラーけん引車リジッドサス リジッドアクスル式サスペンションリーフサス リーフサスペンションA/H エアオーバーハイドロリックブレーキABS アンチロックブレーキシステムACM アフタートリートメントコントロールモジュールAMB アクティブミチゲーションブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)ASR アンチスピンレギュレーター

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記 載 装置、部品の名称Assy アセンブリATF オートマチックトランスミッションフルードAUS 坂道発進補助装置BOS ブレーキオーバーライドシステムBSA ブラインドスポットアシストCAN コントローラーエリアネットワークCDS セントラルデータストレージCGW セントラルゲートウェイCLCS シャシレベルコントロールシステムCOM コミュニケーションモジュールCPCA コンセントリックニューマチッククラッチアクチュエーターCPC3 コモンパワートレインコントローラー(車両制御統合コントロールユニット)CTP コモンテレマティクスプラットフォームD/D ダイレクトドライブDAGW ドライバーアテンションゲートウェイDCMD ドアコントロールモジュールドライバーDPF ディーゼルパティキュレートフィルターEAPU エレクトリカルエアプロセッシングユニットEBD 制動力分配装置EBS エレクトリックブレーキシステムECU 電子コントロールユニットEDU 電子ドライブユニットEGR エキゾーストガスリサーキュレーションEIS エレクトリカルイグニッションスイッチELR エマージェンシーロッキングリトラクターESP® 車両挙動安定装置ESS エマージェンシーストップシグナルExh エキゾースト

Eイージーゴー

ZGO 三菱イージースタートシステムF/A フルエアブレーキFCTM フィンガーコントロールトランスミッションH/B ハイドロリックブースターブレーキHLAL ヘッドランプオートレべリングHVAC ヒーティングベンチレーションエアコンディショナーI/P インジェクションポンプICUC インスツルメントクラスターユニットコモンINOMAT インテリジェント&イノベーティブメカニカルオートマチックトランスミッションIPPC インテグレーテッドプレディクティブパワートレインコントロールIS アイドリングストップシステムISS アイドリングストップ&スタートシステムL/B 作業用補助制動装置LAC ライティングアラームコントロールユニットLCD 液晶表示LDWS レーンデパーチャーウォーニングシステムLED 発光ダイオードLSD リミテッドスリップデファレンシャルLSV ロードセンシングバルブMCM モーターコントロールモジュール

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記 載 装置、部品の名称M/V マグネットバルブMDAS 三菱ドライバーズアテンションモニタリングシステム(運転注意力モニター)NR装置 原動機最高回転数制御装置O/D オーバードライブOpt オプションP/S パワーステアリングPD プレディクティブダイアグノーシスPDM パワーディストリビューションモジュール(ハイカレントヒューズ内蔵)PSM パラメータリザブルスペシャルモジュールPSS 駐車補助装置PTO パワーテイクオフRサス(レイコサス) R式サスペンション(レイコ式サスペンション)RCM リターダーコントロールモジュールRDF レーダーフロントエンドRev 後退リバースSAS ステアリングホイールアングルセンサーSCR セレクティブキャタリティックリダクションShiftPilot 機械式オートマチックトランスミッションSLD 速度抑制装置SRRL ショートレンジレーダーレフトSRSエアバッグ サプリメンタルレストレイントシステムエアバッグSSAM シングルシグナルデテクトアンドアクチュエーションモジュールStd スタンダード(標準)SW スイッチSWS スマートワイヤリングシステムTCC トラックコントロールセンターTCM トランスミッションコントロールモジュールTCO タコグラフTPM タイヤプレッシャーモジュールT/F トランスファーT/M トランスミッションV/S バキュームサーボブレーキVRDU ビデオレーダーデシジョンユニットXBR エキゾーストブレーキリクエスト3-Way M/V 3-Wayマグネットバルブ4スプリングサス 4スプリング式サスペンション