強靭なまちづくりを支えるエネルギーシステムの構築...

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M・11月28〜30日・東工大AESシンポ・15段・1割・5校 企画制作グループ・金井  (株)エナジー・櫻田 使西10 使東京工業大学 科学技術創成研究院 先進エネルギー国際研究センター(AESセンター) http://aes.ssr.titech.ac.jp/ TEL. 03-5734-3429 10 27 使使西(2016 年10 月末現在) 東京工業大学 AES センターは、低炭素社会の 実現を目指して、2010 年に産官学連携によるオ ープンイノベーション拠点として設立された。現在、 共同研究講座企業会員 6 社、受託研究企業会員 47 社、自治体会員 15 団体によって構成されて おり、学内外の大学教員と連携して次世代エネル ギーシステム実現に向けた研究プロジェクトを推進 している。 季刊誌「AES News」は、東京工業大学 AES センターのホームページにある「資料ダウンロード」 のページから閲覧可能(バックナンバーも掲載)。 NTTファシリティーズ、JXエネルギー、東京ガス、東芝、日立製作所、三菱 商事、IHI、イワテック、英弘精機、大阪ガス、オートモーティブエナジーサプ ライ、大林組、鹿島建設、川崎重工業、協和エクシオ、京葉瓦斯、神戸製鋼所、 コムシスクリエイト、西部ガス、三機工業、GSユアサ、JFEエンジニアリング、 静岡ガス、清水建設、住友電気工業、大成建設、大和ハウス工業、竹中工務店、 中部ガス、テス・エンジニアリング、東急建設、東京ガスエンジニアリングソリ ューションズ、東京急行電鉄、東芝三菱電機産業システム、東邦ガス、巴商会、 日建設計、日本環境技研、日本設計、日本電技、バイオマスエナジー、日比 谷総合設備、広島ガス、北海道ガス、本田技研工業、前田建設工業、三浦工業、 三菱電機、ミライト、明電舎、矢崎エナジーシステム、横河ソリューションサー ビス、横河電機、岩手県八幡平市、沖縄県久米島町、群馬県中之条町、静岡県、 静岡県浜松市、静岡県富士市、千葉県浦安市、鳥取県鳥取市、長崎県、長崎 県対馬市、兵庫県、兵庫県淡路市、北海道石狩市、三重県南伊勢町、山梨県 参加企業・自治体 AESとは AES News 街区の強靭化と省エネ両立 安岡 SSは災害時の最後の砦 五十嵐 連携強化で都市防災強化 眞木 社会コストの適正化必要 清治 平時も価値享受できる形に 西田 蓄電池の価値最大化目指す 柏木オープンプラットフォームを 柏木孝夫 安全・安心を「見える化」 金谷 都市と地方で異なる戦略 小  西第9回シンポジウム 東京工業大学 先進エネルギー国際研究センター(AESセンター) 強靭なまちづくりを支えるエネルギーシステムの構築 姿西05 07 45 15 不断の見直し、対策強化 ハード・ソフト両面考慮 調強靭なまちづくり オープンイノベーション 連携 大学 産業界 国・自治体 エネルギーシステムの強靭化 省エネ・創エネ・蓄エネ 〈平常時の低炭素化〉 自立・分散・多様化 〈非常時の回復力〉 オープンイノベーションによるレジリエンス強化の概念

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M・11月28〜30日・東工大AESシンポ・15段・1割・5校 企画制作グループ・金井  (株)エナジー・櫻田

 

柏木孝 

国土強靭化は国

家戦略そのもので、エネル

ギーシステム強靭化はすべ

ての基盤だ。企業や大学の

知識、自治体のノウハウを

結集したオープンプラット

フォームを提供することで

強靭化が進む。

 

金谷 

内閣官房ガイドラ

インによるレジリエンス認

証制度が4月に始まり、今

年はレジリエンス評価元年

だ。コミュニティーでレジ

リエンスをどう評価するか

も課題だ。

 

小  

安倍政権発足後、

成長戦略の中で強靭化につ

いて議論した。当時と比

べ、大きな災害が続いたこ

ともあり、浸透は早いと感

じている。

 

安岡 

スマートエネルギ

ーネットワークの構築を進

めている。田町では、港区

のビジョンに基づくまちづ

くりにスマエネを展開し、

コージェネによる停電時の

エネルギー供給継続などの

街区の強靭化と需給連携に

よる省エネを両立した。A

ESセンターと共同で需給

連携制御の最適化の研究も

進めている。

 

金谷 

今後は地方の中小

都市や住宅地などタイプ別

に分散型システムも考えな

ければならない。

 

五十嵐 

分散型エネルギ

ー拠点として重要なのがサ

ービスステーション(SS)

だ。SSは一大エネルギー

貯蔵拠点で災害時のエネル

ギーの最後の砦と

りでだ。1カ所

当たりの貯蔵エネルギー量

は約3千世帯の7日分の消

費エネルギーに相当する。

 

眞木 

通信ビルを活用し

た都市防災力強化に貢献し

ていきたい。通信ビルは停

電対策も万全だ。地方では

通信ビルと自治体庁舎が近

接し、災害時の地域共生拠

点として活用できる。

 

清治 

千葉県・柏の葉ス

マートシティでは「創エ

ネ」「省エネ」「蓄エネ」

を連携させている。ハワイ

のマウイ島では再エネ利用

と電気自動車のバッテリー

を使ったVPP(バーチャ

ル・パワー・プラント)を

検証している。

 

西田 

横浜市などと連携

しスマートレジリエンス・

バーチャルプラント事業が

始まった。10月から福島県

で東北電力、岩谷産業と水

素エネルギーシステムを開

発し実証実験を始めている。

 

柏木豊 

蓄電池のライフ

タイムバリューを最大化す

ることを目指している。電

池を作る・使う・再利用す

るビジネスを展開してい

る。

 

小  

仕組みづくりが得

意な商社らしい取り組み

だ。リユースまでカバーす

ることで標準化や新しいビ

ジネスモデルの創造といっ

た流れも出てくる。

 

柏木孝 

地域活性化とい

う点で強靭化が寄与するこ

とも期待できる。

 

安岡 

非常時に必要とな

る機能の潜在的な価値をど

う評価するか、投資に対す

る納得感がポイントにな

東京工業大学 科学技術創成研究院 先進エネルギー国際研究センター(AESセンター)http://aes.ssr.titech.ac.jp/ TEL. 03-5734-3429

 

エネルギー利用の効率化だけでなく、災害に備える点から安全・安心な生

活を支えるレジリエンス(強き

ょうじん靭さ・回復力)の高いエネルギーシステム構築

が求められている。東京工業大学先進エネルギー国際研究センター(AES

センター)は10月27日、東京・大岡山のくらまえホールでシンポジウムを開催。

オープンイノベーションによるレジリエンス強化について意見を交わした。

る。価値の定量化への取り

組みを行っている。

 

五十嵐 

水素の利活用は

強靭化に寄与するが、水素

ビジネスは現段階で簡単に

ペイする事業ではない。将

来ビジョンをしっかり持

ち、ぶれずに進める必要が

ある。

 

眞木 

限りある地域の資

金とリソースをうまく使っ

ていく。余力のある設備や

機能をシェアすることやヒ

ト・モノ・カネを成長分野

にどう投入するかが重要だ。

 

清治 

レジリエンスに必

要な社会コストを適正にし

ていくことが求められる。

メーカーからするとシステ

ムを入れるが、その費用を

社会コストに上乗せすると

いう考えでは普及しない。

平時にも使うという仕組み

を構築すべきだろう。

 

西田 

住民、企業、自治

体のそれぞれが平時であっ

てもメリットを享受できる

形が必要だ。企業にとって

はビジネスとして成立する

ことが判断基準となる。

 

柏木豊 

平時の経済性、

企業の経済性とともにコミ

ュニティーにとってのメリ

ットがなければ実現は難し

い。

 

金谷 

平時の経済性をし

っかり説明できなければな

らないというのはその通り

だ。コストが発生しても、

納得できるレベルの安全・

安心を「見える化」する必

要がある。予算をレジリエ

ンスに役立つ機能に集約し

軽減できる可能性はある。

 

小  

大都市の場合、レ

ジリエンスといわなくても

省エネを推進することでも

効果がある。地方では長期

的に考えて得だと思える仕

組みが有効だ。都市と地方

ではレジリエンスも戦略的

に異なってくる。

(2016 年10 月末現在)

 東京工業大学 AES センターは、低炭素社会の実現を目指して、2010 年に産官学連携によるオープンイノベーション拠点として設立された。現在、共同研究講座企業会員 6 社、受託研究企業会員47 社、自治体会員 15 団体によって構成されており、学内外の大学教員と連携して次世代エネルギーシステム実現に向けた研究プロジェクトを推進している。

 季刊誌「AES News」は、東京工業大学 AESセンターのホームページにある「資料ダウンロード」のページから閲覧可能(バックナンバーも掲載)。

NTTファシリティーズ、JXエネルギー、東京ガス、東芝、日立製作所、三菱商事、IHI、イワテック、英弘精機、大阪ガス、オートモーティブエナジーサプライ、大林組、鹿島建設、川崎重工業、協和エクシオ、京葉瓦斯、神戸製鋼所、コムシスクリエイト、西部ガス、三機工業、GSユアサ、JFEエンジニアリング、静岡ガス、清水建設、住友電気工業、大成建設、大和ハウス工業、竹中工務店、中部ガス、テス・エンジニアリング、東急建設、東京ガスエンジニアリングソリューションズ、東京急行電鉄、東芝三菱電機産業システム、東邦ガス、巴商会、日建設計、日本環境技研、日本設計、日本電技、バイオマスエナジー、日比谷総合設備、広島ガス、北海道ガス、本田技研工業、前田建設工業、三浦工業、三菱電機、ミライト、明電舎、矢崎エナジーシステム、横河ソリューションサービス、横河電機、岩手県八幡平市、沖縄県久米島町、群馬県中之条町、静岡県、静岡県浜松市、静岡県富士市、千葉県浦安市、鳥取県鳥取市、長崎県、長崎県対馬市、兵庫県、兵庫県淡路市、北海道石狩市、三重県南伊勢町、山梨県

参加企業・自治体AESとは

AES News

街区の強靭化と省エネ両立 安岡 氏

SSは災害時の最後の砦 五十嵐 氏

連携強化で都市防災強化 眞木 氏

社会コストの適正化必要 清治 氏

平時も価値享受できる形に 西田 氏

蓄電池の価値最大化目指す 柏木豊 氏

オープンプラットフォームを 柏木孝夫 氏

安全・安心を「見える化」 金谷 氏

都市と地方で異なる戦略 小  氏

安岡氏

清治氏

五十嵐氏

柏木孝夫氏

金谷氏

小 

西田氏

眞木氏

柏木豊氏

第9回シンポジウム東京工業大学 先進エネルギー国際研究センター(AESセンター)

強靭なまちづくりを支えるエネルギーシステムの構築

産官学連携でレジリエンス強化

産官学連携でレジリエンス強化

 

東工大AESセンター

は、産官学連携によるオー

プンイノベーションの拠点

として設置して7年にな

る。分散型電源ネットワー

ク、スマート化をキーワー

ドにした革新的エネルギー

システムを研究開発すると

ともに、地方自治体と連携

したスマート開発コンセプ

トを進めている。

 

4月の熊本地震を経て、

自立分散型エネルギーシス

テムを中心にレジリエンス

が合言葉として定着してき

た。今年はレジリエンス元

年といえ、実現に向け産官

学によるオープンイノベー

ションの必要性が高まって

いる。シンポジウムを通じ

て「スマート」「コンパク

ト」「レジリエンス」の3

つのキーワードを融合させ

た社会の姿が見えてくるこ

とを期待したい。

東京工業大学

学長  

三島 良直

開会挨拶

 

福島県は水力発電から原

子力発電へと、電源立地地

域として日本のエネルギー

供給の1割を担ってきた。

だが、東日本大震災の津波

による原発事故でその地位

を失った。福島県が地元の

私は脱原発と原発後の産業

をどうするかを考えた。電

力供給で成長した福島は、

やはり電力で苦境を乗り切

るしかないと考えるように

なった。

 

大震災から1年後、福島

県は「再生可能エネルギー

推進ビジョン」を打ち出

し、「2040年に再エネ

比率100%」を掲げた。

今年3月には「福島新エネ

社会構想実現会議」が発

足。9月に3回目の会議を

開き、再エネの導入拡大や

水素社会実現のモデル構築

などを骨子とする総額75

4億円の構想をまとめた。

参議院議員(前復興副大臣)  

若松 謙維

挨 拶

●パネリスト

●コーディネーター

●コメンテーター

東京ガス

取締役常務執行役員

エネルギーソリューション本部長

安岡  省

三菱商事

地球環境・インフラ事業グループ 

環境事業本部長

柏木  豊

東京工業大学

AESセンター

特任教授

(参議院議員)

小  隆史

NTTファシリティーズ

理事

スマートビジネス本部長

眞木 勝郎

日立製作所

エネルギーソリューションビジネス

ユニット

電力情報制御システム事業部

事業部長

清治 岳彦

五十嵐仁一

JXエネルギー

取締役常務執行役員

柏木 孝夫

東京工業大学

特命教授・AESセンター長

金谷 年展

東京工業大学

AESセンター

特任教授

西田 直人

東芝

執行役専務

レジリエンスにつながるエネルギーシステムとは

パネルディスカッション

レジリエンスにつながるエネルギーシステムとは

 

日本では数多くの大規模

災害が発生し、その度に復

旧・復興という事後対策に

終始してきた。平時から大

規模自然災害などに備える

ことが重要で、最悪の事態

を想定して国土政策、産業

政策を含めた対応を図るこ

とが「国土強靭化=ナショ

ナル・レジリエンス」の狙

いだ。

 

これには「ハード・ソフ

トの適切な組み合わせ」

「平時・非常時に有効に活

用」「民間の取り組み促

進」という3つの視点があ

る。米国では05年のハリケ

ーン「カトリーナ」、英国

では07年の大洪水を機にレ

ジリエンス計画を策定、世

界的にも関心が高まりダボ

ス会議や国連防災世界会議

でもテーマになっている。

日本では国土強靭化基本計

画が閣議決定され、災害発

生を受けて常に内容を見直

して対策を強化するという

PDCAサイクルを回して

いる。

 

国土強靭化基本計画では

南海トラフ地震、首都直下

地震などが想定される中、

45の「起きてはならない」

プログラムと15の「重点化

すべき」プログラムが挙げ

られている。来年度予算の

概算要求は今年度比で約8

000億円多い4兆464

1億円に達し、電力供給ネ

ットワークなどのエネルギ

ー対策を含め、さらに取り

組みを強化していく考え

だ。

不断の見直し、対策強化

内閣総理大臣補佐官  

和泉 洋人

日本の強靭化の視点と対策

特別講演

日本の強靭化の視点と対策

 

都市システムの構成要素

には「ビジネス」「経済」

「市民」「自治体」などの

ステークホルダーとエネル

ギー、水、通信、交通など

のインフラがある。レジリ

エンス計画では都市機能や

魅力につながるソフト面と

ハード面を考慮しなければ

いけない。非常時と平常時

の対応とともに、それぞれ

が補完・連携する機能が必

要だ。

 

市民を対象に日本サステ

ナブル建築協会が「CAS

BEE 

レジリエンス住宅

チェックリスト」を開発、

平常時・非常時の備えの重

要性を訴え、住まいのレジ

リエンス性能の水準の把握

を促す活動も進めている。

 

災害からの復旧では早急

なエネルギー供給が求めら

れ、自立型システムの導入

によるレジリエンス性能向

上が必要だ。レジリエンス

マネジメントでは、「人命

保護」「事業・生活継続性

計画(BLCP)」「平常時

の備え」の3つが重要だ。

 

地域ブランドの向上、既

存市街地の再開発モデル提

示、都市インフラ輸出の国

際展開に向けたモデル提示

などを狙いとしたエネルギ

ー計画として「日本橋スマ

ートシティ計画」が進んで

いる。こうした地域エネル

ギー計画は、地域経済の好

循環の創出や地域防災力の

確保、環境共生型まちづく

りなどの効果も期待されて

いる。

ハード・ソフト両面考慮

建築環境・省エネルギー機構

理事長 

村上 周三

地域エネルギー計画における

  レジリエンスと価値創出の視点

基調講演

地域エネルギー計画における

  レジリエンスと価値創出の視点

強靭なまちづくり

オープンイノベーション連携

大学産業界 国・自治体

エネルギーシステムの強靭化

省エネ・創エネ・蓄エネ〈平常時の低炭素化〉

自立・分散・多様化〈非常時の回復力〉

オープンイノベーションによるレジリエンス強化の概念