新事業創出人材育成プログラム 「科目4 フレームワーク集」 ·...

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業 株式会社三菱総合研究所 新事業創出人材育成プログラム 「科目4 フレームワーク集」 主催者:株式会社三菱総合研究所

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

株式会社三菱総合研究所

新事業創出人材育成プログラム

「科目4 フレームワーク集」

主催者:株式会社三菱総合研究所

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

目次

本ツール集では、「6次産業化ビジネスプラン」の策定にあたり参考となるような概念や各種ツール(分析手法)をまとめました。過去の講義内容を思い出す際の”手がかり”としてお使いください。

項目 ツール

環境分析 PEST分析

5つの力分析

P.5

P.6

3C分析 P.7

経営戦略

バリューチェーン

事業と6次産業化の原理

P.3

P.4

アンゾフの成長マトリックス

P.8

マーケティング SWOT分析

4P

P.9

P.10

4Pと4C

P.11

収支計画 貸借対照表

損益計算書(P/L)

P.12

P.13

キャッシュフロー計算書

P.14

その他

地域雇用創出の成功要因

6次産業化を推進する人物像(10か条)

P.15

P.16

元気な地方に共通していること

リソース集

P.17

P.18

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

バリューチェーンとは?

生産 調達 加工 販売 サービス

企画・設計・開発

消費者

・自分はどの機能を果たすか?

・他の機能は誰に担ってもらうか?

バリューチェーン(Value Chain:価値連鎖)とは、

「企画・設計・開発」「生産」「調達」「加工」「販売」「サービス」の各機能を連結して付加価値を最終消費者に届けるという考え方

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

事業と6次産業化の原理

事業は高付加価値化による売上向上をめざす。

売上 = 販売単価 × 販売数量

仕入単価 + 付加価値

経常利益+人件費+金融費用+租税公課+減価償却費

(日銀方式)

事業レベル

地域内総生産 = 各事業の付加価値の積上

6次産業化レベル

▼ 地域レベルでは、そういう事業が組み合わさって産業となれば、地域に落ちるお金(=付加価値)が増える。

販売単価を自律的に設定できるようにするために、

・加工度を高める

・特徴点をつくる (普通→好き)

・品質を高める (普通→良い)

・デリバリーを高める (タイムロス→タイムリー)

・ブランドを高める (○○って何?→○○といえば!)

コレを安定させる

コレを増やす コレを安定させる

コレを下げようとするとWin-Loseになる

自分に落ちるお金

地域に

落ちるお金

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

事業戦略 <1>事業環境分析 (1)マクロ環境分析

PEST分析

企業を取り巻くマクロ環境を把握する。マクロ環境の変化は業界・自社に大きなインパクトを与える可能性がある。

すべての要素を網羅的にみる必要はなく、自社にとって影響のありそうな要素を取り出して分析する。

政治(Political)

法規制(規制強化・緩和)/税制 政府・関連団体の動向、 裁判制度、判例

経済(Economic) 景気/物価(インフレ・デフレ) 金利・為替・株価

社会(Social) 宗教/価値観/人口動態 世論・流行/教育水準 治安・安全保障/ライフスタイル

技術(Technological) 技術革新/特許 代替技術/新技術の普及度

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

事業戦略 <1>事業環境分析 (2)業界分析

5つの力分析

業界の構造を把握し、業界の魅力を図る。

業界内の競争

新規参入業者

新規参入の脅威

買い手

買い手の交渉力

売り手

売り手の交渉力

代替品

代替品・サービスの脅威

・「業界」の定義=「どの業界」で戦うのか?

・5つのそれぞれの力が「強いのか」「弱いのか」 ・結果として業界として「魅力があるのか」「ないのか」

・魅力を高めるために「何をすればよいのか」

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

事業戦略 <1>事業環境分析 (3)市場・競合・自社分析

3C分析

市場、競合を分析することでKBF、KSFを把握する。KSFを把握した上で自社の状況のギャップを把握する。

顧客・市場分析 1 既存顧客の層は? 意思決定者は誰か? 2市場規模や成長性はどのように評価できるか? 3 顧客の購買動機、ニーズは? 4 顧客にとって充足されてないニーズは何か? 5既存の流通経路は?他にどのような流通経路が考えられるか?

競合分析 1 既存の競合相手は? 強み・弱みは? どうして強いのか? 2 競合企業の売上、シェア、利益、コスト構造は? 3 新規参入が出現する可能性は? 4 業界としての魅力や収益性は?

自社分析 1 自社戦略は?強み・弱みは?財務状況や業績(売上、収益)は?

2 先行投資(研究開発や設備投資)は行っているか?または多すぎないか?

3 生産力、販売力、コスト構造に問題点はないか? 4 自社独自の技術やスキルはあるか? 5 トップのリーダーシップや組織体制・組織文化はどうか?

KBF(Key Buying Factor)は?

潜在顧客が購買を決定する

主要な要因は何か?

KSF(Key Success Factor)は?

当該事業で成功するための

要件は?

ギャップ?

自社の競争優位?

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

事業戦略(新)

アンゾフの成長マトリックス

企業の事業ドメインについて、市場と製品の二軸を設定し、それぞれ既存・新規と分けることにより、四つの象限へと分類をしたもの。経営戦略上の位置づけを行う際に用いる。

新商品開発 市場浸透

多角化 市場開拓 新

既 新

市場

製品

現状の製品を、新しい顧客へと広げることで成長を図る戦略。海外展開や、ターゲットの変更(赤ちゃん用のスキンケアを女性用に展開)など。新しいブランドとして立ち上げることもよくある。

他社との競争に勝つことによって、マーケットシェアを高める戦略。施策としては、ボリューム・ディスカウントやインセンティブ、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)の導入など。

製品・市場ともに、現在の事業とは関連しない、新しい分野へと進出して成長を図る戦略。当然、もっともリスキーな成長戦略。

新しい製品を、現在の顧客へ投入することで成長を図る戦略。“あくまでも既存顧客”が対象。製品に関連するアクセサリー製品の導入、機能追加、まったく新しい製品の開発など。

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

SWOT分析

SWOT分析の由来と枠組み

– Strength =強み

– Weakness =弱み

– Opportunity =機会

– Threat =脅威

S:強み W:弱み

O:機会 T:脅威

内部環境

外部環境

プラス要因 マイナス要因

事業環境

影響

ステップ1:対象とする業界・商品・サービスを決める。

ステップ2:対象に関係する事柄を列挙する。

ステップ3:列挙した事柄が自分にとってプラスか

マイナスか判断する。

ステップ4:SWOT分析の枠に落とし込む。

ステップ5:SWOT分析の結果から、戦略を立てる。

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

マーケティング・ミックスの4P

価値の創造

Product

製品・サービス

Price

価格

どのような製品・サービスを提供するか 製品・サービスをどのような価格で展開するか

価値の伝達

Place

流通チャネル

Promotion

広告宣伝・販売促進

どのような経路で顧客や消費者に届けるか

製品・サービスの情報を消費者との間でいかにコミュニケーションするか

マーケティング・ミックスの4Pは、商品の基本設計の構成要素である。

1つ1つに取捨選択の意思決定が伴う。

4つはそれぞれ整合していなければならない。

判断基準は、「消費者への訴求点が適切に商品設計に反映できているか」である。

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

<参考>4Pと4C

4Pを消費者目線で捉えると、4Cで考えることができる。

4Cは、常に消費者志向を意識した発想をするために重要な視点である。

価値の創造

Product

製品・サービス

Price

価格

Customer/Consumer Solution

消費者の課題の解決策

Cost

消費者が支払う対価

価値の伝達

Place

流通チャネル

Promotion

広告宣伝・販売促進

Convenience

買い求めやすさ・利便性

Communication

消費者とのコミュニケーション

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

貸借対照表:Balance Sheet =B/Sとは

調達した資金が現在どのように運用されているかを確認できる。

– 右側は、どこから資金を調達したかを意味する。

– 左側は、その資金が現在どのような姿をしているか、を意味する。

期末時点での会社が持つ資産・負債・純資産の価額を表示

流動資産

現金預金

売掛金

商品

流動負債

買掛金

短期借入金

固定負債

長期借入金

社債 固定資産

建物

機械

子会社株式

資本

資本金

資本余剰金

利益剰余金

他人資本

自己資本

資金の運用

(借方)

資金の源泉

(貸方)

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

損益計算書

一年(一会計年度)の営業活動の経営成績を示す。

どれだけの損益(=純資産の増減)が出たかを表示する。

尚、利益は売上-費用で算出しなければならず、損益計算書がなければ、利益は確定できない。

損益計算書(P/L)

売上高 ×××

売上原価

×××

売上総利益 ×××

販売管理費 ×××

営業利益 ×××

営業外損益 ×××

経常利益 ×××

特別損益 ×××

当期利益 ×××

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

キャッシュフロー計算書

営業キャッシュフロー ×××

投資キャッシュフロー ×××

財務キャッシュフロー ×××

純キャッシュフロー ×××

キャッシュフロー計算書

一年(一会計年度)に出入りする現金を以下の3つに分類している。

– 営業活動/投資活動/財務活動

利益は意見だが、現金は事実である。

– 利益が上がっていても、現金が不足していれば倒産するため、キャッシュフロー計算書は重要である。

営業キャッシュフロー

当期利益

減価償却費

運転資金減尐

投資キャッシュフロー

固定資産の取得による支出

固定資産の売却による収入

財務キャッシュフロー

長期借入金の返済による支

株式の発行による収入

配当金の支払

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

地域雇用創出の成功要因

1. 危機意識、故郷に対する熱い思いを持った キーパーソンの存在

2. 第三セクター方式による会社設立、自立した経営

3. 身の丈にあった経営規模・設備投資

4. 地域資源(農産物等)を活用した6次産業化による 地産地消にとどまらない域外への展開

5. マスメディアを活用した大都市圏への広告・販売促進

6. 高齢者、女性、U・I ターン者を活用する人材戦略

(出典:伊藤実「中山間地の雇用創出」独立行政法人労働政策研究・研修機構、2011年2月)

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

6次産業化を推進する人物像(10か条)

1. 起業家精神を保持し、従来の農林漁業の枠組みを越えた発想を展開している

2. 業界・経営・業務に関する必要な知識を保有している

3. 地域特性と地域資源を熟知し、それらの再評価に取り組んでいる

4. 生産物の強みを引き出すために、一次産業界ならではの知識を駆使している

5. 事業を客観的に分析するための道具を使いこなせる

6. 論理的思考により課題設定と問題解決ができる

7. 必要な情報、物資、人材、技術、資金を調達する術を持っている

8. 異業種の人々とのコミュニケーションを通じて、人心を掌握し、利害関係者との信頼関係を築くことができる (また、人と人とをつなげることができる)

9. 生活圏外に出て情報収集し、外部の視点を柔軟に取り込んで発想転換できる

10. 異業種間ネットワークを通じて、創造的破壊活動を推進できる

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

元気な地方に共通していること

地域の強みを調査してよそと比較して明確化すること

ほかにない個性を打ち出すこと

よそに出かけて街のよさを客観的視点で見出すこと

実際に試みて経験を積み上げること

人任せにせずに自ら動き試みること

よその人たちの視点を取り入れること

自らがものづくりをすること

地域全体の景観や環境に配慮すること

人材教育、地域調査、街のデザイン、情報の具体的な発信などソフトに力を入れること

小さくとも地域の多くの関わりを増やして地域経済のしくみをつくること

1. デザイン力

トータルなしくみづくりが道を拓く

2. 発進力

核となるものをどうつかむか

3. 知恵力

発想次第でまちおこしはいくらでもできる

4. コミュニティ力

「地元」のちからをどう見出し育むか

5. 編集力

手元にあるリソースをどう活かすか

6. 伝統力

昔ながらのものの価値と知恵を見直そう

7. 連携力

組み合わせれば1+1は3にも4にもなる

(出典:金丸弘美「「地元」の力 地域創造 7つの法則」NTT出版、2010年9月)

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

リソース集

農林水産省/統計情報(http://www.maff.go.jp/j/tokei/index.html)

– 農林水産に関する基本データ集や政策情報などを掲載

農林水産省/6次産業化の取組事例集【123事例】(http://www.maff.go.jp/j/soushoku/sanki/pdf/jirei.pdf)

– 日本全国における6次産業化の取組事例集、平成22年6月発行

農林水産省/6次産業化先進事例集【100事例】( http://www.maff.go.jp/j/soushoku/sanki/6jika/jirei/pdf/100jirei.pdf)

– 日本全国における6次産業化の取組事例集、平成23年4月発行

統計局ホームページ(http://www.stat.go.jp/)

– 国勢調査、経済センサス、人口推計、労働力調査、家計調査、消費者物価指数など統計局が実施している統計調査・加工統計及び日本統計年鑑、総合統計データ月報、日本の統計、世界の統計などを掲載

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農林水産省 平成23年度新事業創出人材育成事業

合言葉は、

新しい価値を創る!