債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー...

70
米国内で配布される場合:本レポートは、機関投資家向けに作成されたものであって、負債性有価証券に関するリテール 投資家向けのリサーチレポートであれば適用される一連の独立性及び開示の基準については、そのすべての適用を受ける わけではありません。本レポートは、MUSA 又は MUMSS が保有する利害との関係において、独立性を有さない可能性が あります。MUSA 及び MUMSS は、自己勘定において又は顧客のため行う一任運用の一環として、本レポートで取り上げ た有価証券の取引を行っています。このような取引による利害は、本レポートにおいてなされる推奨と相反する場合があ ります。本レポートの末尾に記載されているアナリストによる証明事項及び重要な開示事項をご覧ください。 2020 3 27 Debt Research 債券・⾦利・外国為替 債券投資マンスリー ~債券投資ウィークリー;2020年4月のシナリオ特集号~ No.498 インベストメントリサーチ部 ≪円債市場分析≫ 石井 チーフ債券ストラテジスト [email protected] 六車 治美 シニア・マーケットエコノミスト [email protected] 戸内 修自 シニア・マーケットエコノミスト [email protected] 稲留 克俊 シニア債券ストラテジスト [email protected] ≪外債市場分析≫ 井上 健太 シニア・マーケットエコノミスト [email protected] 大塚 崇広 マーケットエコノミスト [email protected] ≪外国為替市場分析≫ 植野 大作 チーフ為替ストラテジスト [email protected] eメール/郵送先の追加・変更: ⇒ 弊社営業担当者 JGB アウトルック 4 月の長期・超長期金利&イールドカーブ・シナリオ................... 3 ポイントは(1)新型コロナのパンデミック化を踏まえた修正ファンダメンタルズ・シナリ オ、(2)量的緩和増強による米欧日中銀・総資産の増勢加速に伴うストック効果。(石井) ファンダメンタルズアナリシス 一段と強まる新型コロナの景気・物価への負の影響(4 月の景気・物価シナリオ)..17 4-6 月期にかけ3 四半期連続マイナス成長との見通しに改め、20 年度は前年比▲ 0.4%に下方修正。コアCPIも原油安を受け20年度を同横ばいに修正した。 (戸内) ポリシーウォッチ 春の訪れと共に高まる政府・日銀の緊張感(4 月の政策シナリオ)........25 政府はゴールデンウィーク前に大型の緊急経済対策を策定の方針。日銀は引き続き、 「潤沢な資金供給」と「金融市場の安定化」に注力。4月会合では3月に決めた時限措置の 延長を決める。景気・物価見通しは20年度を中心に大きく下方修正する見込み。(六車) TREASURY アウトルック 整いつつある新型肺炎で不安定化した市場心理「好転」の条件.. .......35 2兆ドル財政出動、信用不安回避に向けたFRBの決意を信じてみたい。FRBは債券買い 支え継続、YCC辞さず。肺炎沈静化後に残る財政赤字は金利上昇もたらさず (井上) 欧州債アウトルック ユーロ圏経済物価・金利見通し:経済対策の効果は?................ 41 失った所得をすべてカバーするのは困難。2020 年は深いマイナス成長に。ドイツが遂 新規国債発行を決定も、ECB による QE を背景に需給緩和は限定的の公算。 (大塚外為ウォッチ ドル円相場:「コロナ騒動」一巡後、近年見慣れたレンジ取引に復帰......... 45 日米政策金利が下限に到達。海外投機筋の影響力が落ちる中、国内FX勢のドル円回帰が ボラを抑制。日本の低金利と国際収支構造が変わらぬ限り、ドル円は横這レンジ。 (植野) 【お知らせ】 債券投資戦略は都合により休載させていただきました。

Transcript of 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー...

Page 1: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

米国内で配布される場合:本レポートは、機関投資家向けに作成されたものであって、負債性有価証券に関するリテール

投資家向けのリサーチレポートであれば適用される一連の独立性及び開示の基準については、そのすべての適用を受ける

わけではありません。本レポートは、MUSA 又は MUMSS が保有する利害との関係において、独立性を有さない可能性が

あります。MUSA 及び MUMSS は、自己勘定において又は顧客のため行う一任運用の一環として、本レポートで取り上げ

た有価証券の取引を行っています。このような取引による利害は、本レポートにおいてなされる推奨と相反する場合があ

ります。本レポートの末尾に記載されているアナリストによる証明事項及び重要な開示事項をご覧ください。

2020 年 3 月 27 日

Debt Research

債券・⾦利・外国為替

債券投資マンスリー

~債券投資ウィークリー;2020年4月のシナリオ特集号~ No.498 インベストメントリサーチ部

≪円債市場分析≫

石井 純チーフ債券ストラテジスト[email protected] 六車 治美シニア・マーケットエコノミスト[email protected] 戸内 修自シニア・マーケットエコノミスト[email protected] 稲留 克俊シニア債券ストラテジスト[email protected] ≪外債市場分析≫

井上 健太シニア・マーケットエコノミスト[email protected] 大塚 崇広マーケットエコノミスト[email protected] ≪外国為替市場分析≫

植野 大作チーフ為替ストラテジスト[email protected]

■ eメール/郵送先の追加・変更:

⇒ 弊社営業担当者

JGB アウトルック 4 月の長期・超長期金利&イールドカーブ・シナリオ................... 3

ポイントは(1)新型コロナのパンデミック化を踏まえた修正ファンダメンタルズ・シナリ

オ、(2)量的緩和増強による米欧日中銀・総資産の増勢加速に伴うストック効果。(石井)

ファンダメンタルズアナリシス

一段と強まる新型コロナの景気・物価への負の影響(4 月の景気・物価シナリオ)..17 4-6月期にかけ3四半期連続マイナス成長との見通しに改め、20年度は前年比▲

0.4%に下方修正。コアCPIも原油安を受け20年度を同横ばいに修正した。 (戸内)

ポリシーウォッチ

春の訪れと共に高まる政府・日銀の緊張感(4 月の政策シナリオ)........25 政府はゴールデンウィーク前に大型の緊急経済対策を策定の方針。日銀は引き続き、

「潤沢な資金供給」と「金融市場の安定化」に注力。4月会合では3月に決めた時限措置の

延長を決める。景気・物価見通しは20年度を中心に大きく下方修正する見込み。(六車)

TREASURY アウトルック 整いつつある新型肺炎で不安定化した市場心理「好転」の条件.......... 35

2兆ドル財政出動、信用不安回避に向けたFRBの決意を信じてみたい。FRBは債券買い

支え継続、YCC辞さず。肺炎沈静化後に残る財政赤字は金利上昇もたらさず (井上)

欧州債アウトルック

ユーロ圏経済物価・金利見通し:経済対策の効果は?................41失った所得をすべてカバーするのは困難。2020 年は深いマイナス成長に。ドイツが遂

新規国債発行を決定も、ECB による QE を背景に需給緩和は限定的の公算。 (大塚)

外為ウォッチ

ドル円相場:「コロナ騒動」一巡後、近年見慣れたレンジ取引に復帰.........45 日米政策金利が下限に到達。海外投機筋の影響力が落ちる中、国内FX勢のドル円回帰が

ボラを抑制。日本の低金利と国際収支構造が変わらぬ限り、ドル円は横這レンジ。 (植野)

【お知らせ】

債券投資戦略は都合により休載させていただきました。

Page 2: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 2 -債券投資マンスリー2020 年 3 月 27 日

経済指標予想・イベント(3月30日~4月3日分)..................... 56

マーケット・カレンダー(2020年4月~5月分).......................58

チャート集...........................................60

お知らせ

【今後のスケジュール】

27日(金)

・通常どおり夕刻、eメールにて配信いたします

4月3日(金)

 「債券投資ウィークリー」 「外債投資ウィークリー」休刊

10日(金)

 「債券投資ウィークリー」 「外債投資ウィークリー」休刊

27日(金)

 「債券投資マンスリー」(2020年4月のシナリオ特集号)No.498

30日(月)

・弊社HP【http://www.sc.mufg.jp/wholesale/ws_report/index.html】 および Bloombergリサーチページ【MUFI】にてご覧いただけます

 「外債投資ウィークリー」(3月27日号)No.497

3月

Page 3: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 3 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

JGB アウトルック

4 月の長期・超長期金利&イールドカーブ・シナリオ チーフ債券ストラテジスト 石井 純

3月の長期金利(新発10年利付国債利回り)は、26日現在、2月末比+0.155%ポイントの

0.000%と3カ月ぶりに上昇している。変動レンジは▲0.200%~0.095%(図1)。予想レンジは

▲0.200%~▲0.100%だった。新発20年利付国債利回りは同+0.140%ポイントの0.295%。2月、0.07%~0.10%ポイントほど下方シフトした国債イールドカーブは、3月は残存期間14年に

かけてベア・スティープ化、同20年以上が0.15%ポイントほど上方シフトしている(図2・3)。

図1:▲0.200%から0.095%まで急反発した3月の長期金利動向〔26日現在〕

出所:ブルームバーグなどより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

図2:2月の国債イールドカーブ変化 図3:3月の国債イールドカーブ変化〔26日現在〕

注: 残存期間0年は無担保コールレート翌日物。国債利回りは複利 出所:三菱UFJモルガン・スタンレー証券

注: 図2参照 出所:三菱UFJモルガン・スタンレー証券

▲ 0.25

▲ 0.20

▲ 0.15

▲ 0.10

▲ 0.05

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20 (%)

(月)

2月

3月

11日:テドロスWHO事務局長『パンデミックとみなせる』

12日:ECBが量的緩和政策の拡大と流動性供給の拡充策を発表

16日:トランプ米大統領『感染拡大は8月まで延びるかも』

16日:日米欧6中銀がドル・スワップ協定を拡充

17日:トランプ米政権、総額1兆ドルの経済対策を検討

16日:日銀が金融政策決定会合を前倒し開催し資産購入拡大などを決定

15日:FRBがFOMCを前倒し開催し1.0%ポイントの緊急利下げとQE再開などを決定

13日:トランプ米大統領が国家非常事態を宣言

18日:ECBが7,500億ユーロの新たな資産購入策を発表

3月2日:日銀総裁談話『潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努める』 2日:ラガルドECB総裁『的確な措置をとる用意がある』

3日:G7共同声明『あらゆる適切な手段を用いる』 3日:FRBの緊急・大幅利下げ▲0.50%ポイントで、米長期金利が初の1.0%割れ

6日:世界の新型コロナウイルス感染者数が10万人超え

25日:東京都が週末の外出自粛要請

23日:FRBが臨時FOMCで無制限量的緩和の導入を発表

20日:FRBが地方債を担保とする金融機関への資金供給策を新たに発表

25日:トランプ米政権と与野党が総額2兆ドル規模の経済対策で合意

18日:日経平均が1万7,000円割れで3割調整

21日:クドロー米国家経済会議委員長『経済対策はGDP(21兆ドル)の10%程度』

9日:日経平均が2万円割れ

3 月の長期・超長期金利&イールドカーブ・レビュー

Page 4: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 4 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

3月の長期金利は、2日に2月末比▲0.010%ポイントの▲0.165%で始まり、9日に月間 低

値▲0.200%まで低下した後、急上昇に転じ、19日に月間 高値0.095%を付け、26日、

0.000%で終了。新発20年利付国債利回りは2日、2月末と同じ0.155%で始まり、9日に月間

低値0.100%まで低下した後、急上昇に転じ、19日に月間 高値0.340%を付け、26日、

0.295%で終了した。

上旬の長期金利は、大よそ▲0.150%~▲0.100%のレンジ内で方向感が定まらない動きだ

ったが、9日に下放れして月間 低値▲0.200%を付けた。 2日、日銀が新型コロナウイルス感染症対策で、『潤沢な資金供給と金融市場の安定確保

に努めていく』との総裁談話を発表し、国債買い現先オペ(5,000億円)を4年ぶりにオファー。

また、通常の株価指数連動型上場投資信託(ETF)を1,002億円と過去 大規模で買い入れ

た。ラガルドECB総裁も『的確な措置をとる用意がある』と表明。3日、G7財務相・中央銀行総

裁は緊急電話会議を開き、世界経済の下振れリスクに対応するため『あらゆる適切な政策手

段を用いる』という共同声明を発表した。FRBは早速、臨時のFOMCミーティングを開き、FFレ

ートの目標レンジを0.5%ポイント引き下げ年1.00%~1.25%とすることを決定。米長期金利(図

4)は一時0.90%と初めて1.0%を下回り、過去 低を更新した。一方、NYダウは785ドル安と大

幅に続落した。4日は、NYダウが1,173ドル高と大きく反発。米株式市場は、大統領選予備選・

党員集会が集中する「スーパー・チューズデー」(前日)で中道派のバイデン前副大統領が躍

進したことを好感したという。5日、米長期金利は一時0.89%を付け、過去 低を更新。新型コ

ロナウイルスの感染拡大懸念1を背景に、FRBによる一段の追加緩和観測が強まった。週末6日、世界の新型コロナウイルス感染者数が10万人を突破。2月の米雇用統計が労働市場の堅

調持続を映したが2、世界経済の下振れ懸念が強まった。NYダウが一時900ドル近く下げるな

か、米長期金利は一時0.66%まで下げて過去 低を更新した。8日、イタリア政府は、経済都

市ミラノがあるロンバルディア州など北部地域を同日から大規模に封鎖すると発表。国内人口

の約4分の1にあたる約1,600万人を隔離することにした。そうしたなか、週明けの9日未明、米

長期金利が一時0.31%まで下振れし、過去 低を大幅に更新。国内長期金利は、一時1ドル

101円台に突入した円高をも受け、昨年10月10日以来となる▲0.200%で寄り付いた。日経平

均株価(図5)はこの日、2万円の大台を割り込んで引けた。

図4:3月の米独仏の長期金利動向〔26日現在〕 図5:3月の日米の株式相場動向〔26日現在〕

出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成 出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

1 5 日、米ニューヨーク州は感染者が 1 晩で倍増して 22 人に増えたと発表。社員に自宅待機を命じる米大手企業も出始めた。 2 非農業部門雇用者数は前月比+27.3 万人と市場予想(約 17 万人増)を大幅に上回った。失業率は前月比▲0.1%ポイントの 3.5%に低下。平均時

給は前年同月比+3.0%と前月から 0.1%ポイント鈍化したが、3.0%台を維持した。

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

▲ 1.0

▲ 0.8

▲ 0.6

▲ 0.4

▲ 0.2

0.0

0.2

0.4

0.6 (%)

(月)

(%)

フランス(左軸)

ドイツ(左軸)

米 国(右軸) 3月

15,000

16,000

17,000

18,000

19,000

20,000

21,000

22,000

23,000

24,000

25,000

26,000

27,000

18,000

19,000

20,000

21,000

22,000

23,000

24,000

25,000

26,000

27,000

28,000

29,000

30,000

1 2 3 4

(ドル)

日経平均株価(右軸)

(円)

(月)

3月

NYダウ(左軸)

3 月の月間 4 本値(26 日

現在)

長期金利は 9 日、月間

低値▲0.200%に下振れ

Page 5: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 5 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

なお、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は9日、新型コロナウイルスについて『パン

デミック(世界的な大流行)の脅威が非常に現実味を帯びてきた』と語った。それは、供給過剰

懸念による原油価格の大幅急落3と相まって市場心理を悪化させ、「質への逃避」を加速させ

た。NYダウは2,013ドル(7.78%)安の2万3,851ドルと暴落し、下げ幅が過去 大を記録。米債

市場では低格付け債(ハイイールド債)を売り、国債を買う動きが強まった。

国内長期金利はその後、急反発に転じると、下旬にかけて上昇基調をたどり、19日には一

時、月間 高値0.095%に達した。3月期末を前にした日経平均株価の2万円割れを受け、利

益確定売りや持ち高調整売り、さらにはいわゆる換金売りも膨らんだもよう。

トランプ米大統領が9日、新型コロナウイルスの米国内の感染拡大を受け、経済対策(給与

税の軽減や時給労働者の支援、中小企業へのローンなど)を検討すると表明。これを受けて

米国債には利益確定売りや持ち高調整売りが膨み、米長期金利が10日の時間外取引で急

上昇。国内長期金利は大幅に連れ高となり、一時▲0.030%まで上振れした。米長期金利は、

NYダウが1,167ドル高と4営業日ぶりに大幅反発するなか、結局、前日比+0.27%ポイントの

0.81%と4営業日ぶりに大幅上昇となった。ところが、11日は、米経済対策の効果は乏しいとの

悲観的な見方が浮上し、NYダウが失望売りを浴びて1,464ドル安となった。米債市場では財

政悪化懸念の台頭に加え、10年国債入札の低調な落札結果もあり、持ち高調整売りが出て

長期金利を押し上げた。トランプ米大統領は11日夜、英国を除く欧州からの30日間の渡航禁

止措置を発表。また、スポーツ・イベントなどが相次いで中止になるなど新型コロナウイルスの

感染拡大対策が広がり、米景気の失速懸念が一段と強まった。NYダウは2,352ドル安と過去

大の下げ幅を塗り替えて続落。週末13日、日経平均株価も1,128円安と大幅に3営業日続

落した4。長期金利は利益確定売りやポジション調整売りを受け、前日比+0.070%ポイントの

0.005%と、1月以来のプラス圏に浮上した。米長期金利も同+0.14%ポイントの0.96%に反発。

各国中央銀行による相次ぐ金融緩和で投資家の不安心理が和らぎ、売りが先行。トランプ米

大統領による国家非常事態宣言での政策総動員表明5を好感して、NYダウが過去 大の

1,985ドル高となったことも売り手掛かりになった。

BOEは11日、臨時のMPC(金融政策委員会)を開き、政策金利を0.50%ポイント引き下げ

年0.25%としたほか、中小企業向け融資促進策の導入などを決めた。利下げは欧州連合(EU)

からの離脱を選んだ英国民投票後の2016年8月以来、約3年半ぶり。ECBは12日に開いた理

事会で、量的緩和政策の拡大(年末までに1,200億ユーロの資産買い入れ)と銀行への低利

(6月から 低▲0.75%)での資金供給増を決定。13日には、中国人民銀行が預金準備率の

引き下げを、ノルウェー中銀とカナダ中銀は緊急利下げを発表した。

FRBは15日(日)、17・18日に予定していたFOMCミーティングを前倒して開き、▲1.0%ポイ

ントという大幅な緊急利下げで事実上のゼロ金利政策(FFレート・目標レンジ;年0%~0.25%)

を復活させた。また、合計7,000憶ドルの国債・MBSの購入による量的緩和(QE)政策を再開

することなども決めた。日曜日の金融政策変更発表という異例のアクションにより、『米経済の

実情は市場の想定よりも厳しいのでは?』という疑心暗鬼が台頭。米長期金利は16日、一時

0.63%まで急反落した。 日米欧の6中銀は日本時間16日早朝、ドルの流動性供給を拡充するための協調行動(ド

ル・スワップ協定の拡充)を決めた。

3 石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国による協調減産交渉の決裂(8 日)とサウジアラビアの増産、およびコロナ・ショックによる需要減退観測から供

給過剰懸念が強まった。 4 この週の日経平均株価の下落幅は 3,318 円と過去 大を記録した。 5 トランプ米大統領は、 大 500 億ドル(約 5 兆 4,000 億円)の連邦政府の資金を活用できるようにして、検査や治療の態勢を強化すると表明した。

長期金利は 19 日の月間

高値 0.095%まで上昇

基調

日米欧中銀による金融緩

和ラッシュになった月中旬

Page 6: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 6 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

日銀は同日、18・19日に予定していた政策委・金融政策決定会合を急遽前倒し、ETFの買

い入れ目標額を従来の年6兆円から当面12兆円に倍増することを決めた。年900億円としてい

たREITの購入目標も1,800億円に倍増。さらに、CPと社債で合計2兆円の追加購入枠を新設

したり、企業の資金繰り支援のための金利ゼロ%で原資を金融機関に貸し付ける制度を新設

したりした。ちなみに、トランプ米大統領は16日午後、新型コロナ感染の 悪期が『8月まで延

びる可能性がある』と指摘した。 日銀は17日、1週間物と3カ月物のドル資金供給オペを実施した。今回から加えられた3カ

月物は302億ドルの応札があり、全額を落札。ETFについては、1日分として過去 大の約

1,200億円を購入した。

同日、トランプ米政権が総額1兆ドル規模の大型経済対策を検討していることが明らかにな

った。また、FRBは企業の資金繰り支援策として、特別目的会社(SPV)がコマーシャル・ペー

パー(CP)を買い入れる緊急措置6を発動すると発表。NYダウが1,048ドル高と急反発するな

か、米長期金利は前日比+0.36%ポイントの1.08%に急反騰した。

一方、日経平均株価は18日、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化懸念が強まるなか、

284円安で1万7,000円を3年4カ月ぶりに割り込んで引けた。直近高値からは3割調整に当たる

水準。にもかかわらず、長期金利は前日比+0.070%ポイントの0.070%に急上昇となった。19日

には、2018年11月以来の高水準で月間 高値となる0.095%まで上振れ。リスク回避姿勢を

強めた投資家が現金の保有比率を高めるための“換金売り”を拡大させたもよう。米国市場も

この日、換金売りが膨らんだ。NYダウが1,338ドル安と大幅反落して2万ドル割れとなるなか、

米長期金利は一時1.26%に上振れした。大規模財政出動に伴う国債増発見通しも米債売りを

誘ったという。

日銀は19日午前、中期債、長期債、超長期債の計4本の買い入れオペを発表。午後にも追

加で長期債を買い入れると発表した。買い入れ予定額は合計1兆3,000億円。1日に2回、臨

時の長期国債買いオペを実施するのは2017年2月以来3年1カ月ぶり。加えて、金利ゼロ%で

資金を供給する「共通担保資金供給オペ」も4兆円の予定額で実施すると発表した(13日の前

回は1兆5,000億円)。

なお、ECBは18日、7,500億ユーロの新たな資産購入策を、BOEは19日、英国債や社債な

どの買い入れ再開をそれぞれ発表した。

下旬の長期金利は0.095%(19日)でピークアウトとなり、26日現在、0.000%に反落している。

株価底割れに伴う換金売りが収束する一方、イールド・ハンティングの押し目買いが優勢に転

じたもよう。

日本が祝日休場の20日、米長期金利は前日比▲0.30%ポイントの0.84%に急降下した。

FRBが州政府などの地方債を担保に金融機関に資金を供給する新たな措置を発表。国債の

流動性が低下する懸念が後退し、買い安心感につながった。カリフォルニア州は19日、原則

として外出を禁じる命令を出し、ニューヨーク州は州内の全事業者に対し在宅勤務を命じた。

経済への深刻な悪影響が避けられないとの警戒感から、NYダウが20日、913ドル安となり、米

国債にはリスクオフ買いが戻った。

3連休明けの23日、日銀が臨時の長期国債買い入れオペを総額8,000億円オファー。長期

金利は一時0.050%まで低下した。FRBは臨時のFOMCを開き、米国債・MBSの購入額につ

6 FRB はリーマン危機時だった 2008 年に同措置を発動したことがある。市場環境が改善した 10 年に廃止。声明文では『CP 市場は幅広い経済活動

に直接資金を供給しており、FRB の信用供与は家計や企業、雇用を支えるものになる』と強調した。今回は 1 年間の時限措置だが、延長も可能。

日銀は 16 日急遽開いた

前倒し会合で資産購入額

の拡大などを決定

トランプ米政権が総額 1兆

ドルの大規模経済対策を

検討(17 日)

日経平均が 1 万 7,000 円

割れ、NY ダウが 2 万ドル

割れ(18 日)で 3 割調整

換金売り収束と押し目買

いでピークアウトした下旬

の長期金利動向

Page 7: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 7 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

いて、15日に決めた計7,000億ドルから、『必要とされる量』へと切り替えた7。そのいわば“無制

限量的緩和”の導入を受け、財政拡張に伴う国債増発による需給悪化懸念が後退。大規模

経済対策を巡る与野党協議の難航を嫌気した米株安(NYダウ582ドル安)も米国債の買い戻

しを促し、米長期金利は低下余地を探った。24日の国内長期金利は連れ安となり、一時

0.020%に低下。一方、米国市場はその日、総額2兆ドル規模の経済対策8を巡る与野党合意

観測が強まるなか9、株高/債券安というリスクオン相場になった。NYダウの上げ幅は2,112ドル

高と過去 大を更新し、翌25日の日経平均株価も1,454円の大幅連れ高となった。しかし、債

券市場では、換金売りが収束した半面で押し目買いが息を吹き返してきたため、長期金利は

弱含みに推移。同日、トランプ米政権と与野党の議会指導部が当該経済対策で合意し、NYダウは495ドル高と約1カ月半ぶりに続伸した。一方、翌26日の日経平均株価は、東京都によ

る週末の外出自粛要請(25日)を嫌気して882円安と大幅反落。長期金利はリスクオフの買い

を受けて0.000%に低下した。

3月の国庫短期証券(TB)の利回りは弱含みに推移した(図6)。26日現在、3カ月物は2月

末比▲0.150%ポイントの▲0.330%、6カ月物は同▲0.055%ポイントの▲0.280%。一方、中

期利付国債の利回りは上振れの展開だった(図6)。26日現在、2年債は同▲0.005%ポイント

の▲0.260%、5年債は同+0.140%ポイントの▲0.125%。それぞれの月間 低値は9日の▲

0.315%、▲0.305%、月間 高値は19日の▲0.170%、▲0.055%。ドル円ベーシス・スワップ・

スプレッド(図7)はドル需給の著しい逼迫化を映してマイナス幅が拡大した。ただし3カ月物は

大幅な「下に往って来い」の展開で、26日現在、同▲16.889bpの▲43.000bp。月間 低値は

19日の▲135.625bpだった。1年物は同▲28.500bpの▲62.500bpとなっている。

図6:3月の国庫短期証券&中期債の利回り〔26日現在〕 図7:3月のドル円ベーシス・スワップ・スプレッド〔26日現在〕

出所:QUICKとBloombergより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成 出所:Bloombergより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

3月の利付国債利回り・主要年限間スプレッド<10年債基準>は跛行した(図8)。40年-10年

と30年-10年は大幅な「下に往って来い」の展開。それぞれ、13日に月間 低値+0.320%ポイ

ント、+0.295%ポイントまで縮小した後、急拡大に転じ、26日現在、2月末比▲0.030%ポイント

の+0.415%ポイント、同▲0.015%ポイントの+0.445%ポイントとなっている。20年-10年は弱含

みに推移したが、結局、同▲0.020%ポイントの+0.295%ポイントと心理的な節目の+0.300%

7 厳密には、『円滑な市場機能を支え、広範にわたる金融環境と経済に対し金融政策を効果的に伝達することを支援するうえで必要な額』。なお、

FRB は消費者や中小企業向けの新たな資金繰り支援策も発動した。 8 クドロー米国家経済会議委員長は 21 日、『経済対策は GDP(21 兆ドル)の 10%程度』と述べた。米政府高官は『財政支出が 1.3 兆~1.4 兆ドル。

FRB の追加対策などを加えて 2 兆ドルとする』と説明した。 9 トランプ米大統領は 24 日、米 FOX ニュースが主催したイベントで『イースター(復活祭、4 月 12 日)までに経済活動を再開させたい』と述べた。

▲ 150▲ 140▲ 130▲ 120▲ 110▲ 100

▲ 90▲ 80▲ 70▲ 60▲ 50▲ 40▲ 30▲ 20▲ 10

0(bp)

(月)

3カ月物

1年物

3月

3 月の国庫短期証券(TB)

&中期利付国債市場のレ

ビュー

3 月の利付国債利回り・主

要年限間スプレッドのレビ

ュー

Page 8: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 8 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

ポイントに回帰している。超長期債ゾーンは総じて、既往レンジ内に回帰した格好(図9~11)。

一方、10年-5年は+0.100%~0.150%ポイントのレンジ内で強含みに推移し、同+0.020%ポイ

ントの+0.125%ポイントとなっている。

図8:3月の利付国債・主要年限間スプレッド〔26日現在〕 図9:20年-10年利回りスプレッドの長期推移

出所:QUICKより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成 注: 左側のシャドーは2016年9月21日<YCC導入>~18年末の平均値±1σ

出所:QUICKより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

図10:30年‐10年利回りスプレッドの長期推移 図11:40年‐10年利回りスプレッドの長期推移

注: 左側のシャドーは2016年9月21日<YCC導入>~18年末の平均値±1σ 出所:QUICKより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

出所:QUICKより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

1 2 3 4 (月)

(%ポイント) (%ポイント)

20年-10年(右軸)

30年-10年(右軸)

10年-5年(左軸)

40年-10年(右軸) 3月

Page 9: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 9 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

■ 4 月の長期・超長期金利&イールドカーブ・シナリオ

長期・超長期金利はもみ合い、弱含み。 3 月分の内外経済統計が、新型コロナウイルス感染症のパンデミック化10の影響で軒並み

悪化し、景気後退局面入りを示唆する。1 日公表の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断

DI が 7 年ぶりに「業況が悪い」超に転落する11。2 日公表の同・企業物価見通しは、需給ギャッ

プの悪化を背景に下方修正される。3 日公表の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月

比減に転じ、失業率は上昇する12。また、底堅かった米 ISM 非製造業景況感指数もついに、好

不況の境目である 50 を下回る13。もっとも、市場はこのような“総崩れ”を織り込み済み。結果

が市場予想と大きく食い違って上振れ/下振れしていない限り、反応は乏しい。一方、感染者数

の増勢に歯止めが掛かりつつあることが確認されれば、市場のムードは総じてリスクオフから

リスクオンに切り替わり、株高/国債安が進行する。 安倍晋三政権が追加経済対策の策定に着手する。対策の裏付けとなる補正予算案は 4 月

上旬に閣議決定し、下旬にも成立させる。事業規模(国による直接支出に加え、融資に伴う金

融機関の貸出分などを含む)は名目 GDP の 1 割にあたる 56 兆円超を目指す。目玉の「所得

減少世帯への現金給付」は 5 月にも開始する予定。債券市場が特に警戒するのは、対策の景

気押し上げ効果よりも、赤字国債増発に伴う需給緩和。ただし、前倒し債の取り崩しによる財

源調達との見方が広がり、金利上振れという波乱は回避される。むしろ、キャリー収益の 大

化を期した「期初の債券残高積み上げ」の動きが先行するならば、金利は需給の引き締まりを

受け、プラス利回りの超長期債を中心に弱含み。 日銀は 27・28 日に開く政策委・金融政策決定会合で「経済・物価情勢の展望(展望レポー

ト)」を決定する。景気・物価見通しの下方修正が不可避であり14、『物価のモメンタムが損なわ

れる恐れ』が高まっている状況を追認する。一方、FRB は 28・29 日に FOMC ミーティングを

開く予定。ただし、足元で小康を取り戻している日米株式相場が、パンデミックの長期化懸念な

どから二番底(割れ)をうかがう動きに急変するような場面では、日米中銀は 3 月と同様、臨時

または前倒し会合を開き、『潤沢な資金供給と金融市場の安定確保』(3 月 2 日・日銀総裁談

話)のための適切な追加策を捻出する。その場合、日米債券市場では買い安心感が持続し

て、換金売りなどによる「悪い金利上昇」は再発しない。なお、日銀のマイナス金利深掘り、

FRB のマイナス金利政策は、リバーサルレート・リスクを高めかねないため回避される。 【予想レンジ】 10 年債 ▲0.080%~0.030% 20 年債 0.220%~0.320% 【ポイント】 (1) 新型コロナウイルスのパンデミック化を踏まえた修正ファンダメンタルズ・シナリオ (2) 量的緩和増強による米欧日中銀・総資産の増勢加速に伴うストック効果の高まり

10 3 月 11 日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は『パンデミックとみなせる』と宣言した。 11 市場予想<ブルームバーグ調査、以下同じ>は 12 月調査比▲10 ポイントの▲10(▲15~▲3)。 12 市場予想は、非農業部門雇用者数が前月比▲6.1 万人(▲35.0 万~+15.0 万人)、失業率が前月比+0.3%ポイントの 3.8%、平均時給が前月と同じ

前年同月比+3.0%となっている。 13 市場予想は前月比▲9.3 ポイントの 48.0(42.0~54.5)。 14 政府は 26 日まとめた 3 月の月例経済報告で、景気の基調判断から『回復』の文言を 6 年 9 カ月ぶりに削除し、『厳しい状況にある』へと大幅に引き

下げた。

4 月の長期・超長期金利&

イールドカーブ・シナリオ

Page 10: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 10 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

20

22

年度

4-6 月

7-9 月

10-1

2 月1-

3 月4-

6 月7-

9 月10

-12 月

1-3 月

4-6 月

7-9 月

10-1

2 月1-

3 月【予

想】

前期

比年

率[%

]―

2.3

0.1

▲ 7

.1▲

1.0

▲ 0

.43.

41.

20.

80.

70.

70.

70.

5―

前年

度比

[%

]0.

30.

6コ

ア消

費者

物価

指数

前年

比 [

%]

0.8

0.8

0.5

0.3

0.3

▲ 0

.20.

20.

00.

10.

70.

60.

70.

60.

5政

策金

利残

高付

利金

利▲

0.1

▲ 0

.1▲

0.1

▲ 0

.1▲

0.1

▲ 0

.1▲

0.1

▲ 0

.1▲

0.1

▲ 0

.1▲

0.1

▲ 0

.1▲

0.1

▲ 0

.1無

担保

コー

ルレー

ト翌日

物▲

0.0

60▲

0.0

76▲

0.0

64▲

0.0

68▲

0.0

35▲

0.0

60▲

0.0

60▲

0.0

55▲

0.0

55▲

0.0

55▲

0.0

55▲

0.0

55▲

0.0

55▲

0.0

55円

TIB

OR

3カ

月物

0.06

90.

067

0.06

70.

069

0.06

90.

069

0.06

90.

067

0.06

70.

067

0.06

90.

069

0.06

90.

069

長期

金利

操作

目標

ゼロ

%程

度セ

゙ロ%

程度

ゼロ

%程

度セ

゙ロ%

程度

ゼロ

%程

度ゼ

ロ%

程度

ゼロ

%程

度ゼ

ロ%

程度

ゼロ

%程

度ゼ

ロ%

程度

ゼロ

%程

度ゼ

ロ%

程度

ゼロ

%程

度ゼ

ロ%

程度

レン

ジ [

%]

▲0.

185-

▲0.

095

▲0.

235-

▲0.

150

▲0.

345-

▲0.

185

▲0.

335-

▲0.

100

▲0.

315-

▲0.

125

▲0.

300-

▲0.

100

▲0.

300-

▲0.

150

▲0.

350-

▲0.

200

▲0.

350-

▲0.

200

▲0.

350-

▲0.

200

▲0.

350-

▲0.

200

▲0.

350-

▲0.

200

▲0.

350-

▲0.

200

▲0.

350-

▲0.

200

期末

値 [

%]

▲ 0

.180

▲ 0

.235

▲ 0

.325

▲ 0

.135

▲ 0

.260

▲ 0

.200

▲ 0

.250

▲ 0

.270

▲ 0

.220

▲ 0

.220

▲ 0

.220

▲ 0

.220

▲ 0

.220

▲ 0

.180

レン

ジ [

%]

▲0.

205-

▲0.

050

▲0.

270-

▲0.

140

▲0.

385-

▲0.

210

▲0.

380-

▲0.

080

▲0.

305-

▲0.

055

▲0.

250-

▲0.

050

▲0.

300-

▲0.

150

▲0.

350-

▲0.

200

▲0.

350-

▲0.

200

▲0.

350-

▲0.

200

▲0.

350-

▲0.

200

▲0.

350-

▲0.

200

▲0.

350-

▲0.

200

▲0.

350-

▲0.

200

期末

値 [

%]

▲ 0

.205

▲ 0

.260

▲ 0

.355

▲ 0

.130

▲ 0

.125

▲ 0

.180

▲ 0

.220

▲ 0

.250

▲ 0

.200

▲ 0

.200

▲ 0

.200

▲ 0

.200

▲ 0

.200

▲ 0

.150

レン

ジ [

%]

▲0.

095-

0.15

5▲

0.17

0-▲

0.01

0▲

0.29

0-▲

0.12

0▲

0.22

5-0.

010

▲0.

175-

0.07

5▲

0.20

0-0.

050

▲0.

200-

0.05

0▲

0.20

0-0.

050

▲0.

200-

0.05

0▲

0.20

0-0.

050

▲0.

200-

0.05

0▲

0.20

0-0.

050

▲0.

200-

0.05

0▲

0.20

0-0.

150

期末

値 [

%]

▲ 0

.095

▲ 0

.165

▲ 0

.220

▲ 0

.025

0.00

0▲

0.0

50▲

0.1

00▲

0.1

50▲

0.1

00▲

0.1

00▲

0.1

00▲

0.1

00▲

0.1

000.

000

レン

ジ [

%]

0.33

0-0.

690

0.18

5-0.

400

0.03

0-0.

245

0.18

0-0.

320

0.14

0-0.

325

0.10

0-0.

350

0.10

0-0.

350

0.10

0-0.

350

0.10

0-0.

350

0.10

0-0.

350

0.10

0-0.

350

0.10

0-0.

350

0.10

0-0.

350

0.10

0-0.

400

期末

値 [

%]

0.33

50.

220

0.19

50.

275

0.29

50.

250

0.20

00.

150

0.20

00.

200

0.20

00.

200

0.20

00.

300

レン

ジ [

%]

0.49

5-0.

950

0.30

0-0.

580

0.11

0-0.

385

0.34

0-0.

480

0.21

5-0.

470

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

500

期末

値 [

%]

0.50

00.

355

0.35

50.

410

0.41

50.

300

0.25

00.

200

0.25

00.

250

0.25

00.

250

0.25

00.

350

レン

ジ [

%]

0.55

0-1.

115

0.33

5-0.

620

0.12

0-0.

425

0.37

0-0.

510

0.27

0-0.

500

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

400

0.15

0-0.

500

期末

値 [

%]

0.55

50.

405

0.42

50.

430

0.44

50.

300

0.25

00.

200

0.25

00.

250

0.25

00.

250

0.25

00.

350

レン

ジ [

円/ ト

゙ル]

104.

87-1

14.5

510

6.78

-112

.40

104.

46-1

09.3

210

6.48

-109

.73

101.

19-1

12.2

310

3.5-

114.

010

4.0-

114.

010

4.0-

114.

010

4.0-

115.

010

4.0-

115.

010

4.0-

115.

010

4.0-

115.

010

3.5-

115.

510

3.0-

116.

0期

末値

[円/ ト

゙ル]

110.

8610

7.85

108.

0810

8.61

109.

5810

9.0

109.

010

9.0

109.

510

9.5

109.

510

9.5

109.

510

9.5

レン

ジ [

円/ ユ

ーロ]

118.

71-1

33.4

912

0.78

-126

.81

115.

87-1

23.3

611

7.08

-122

.65

116.

13-1

22.8

711

4.6-

127.

811

5.5-

127.

611

5.5-

127.

611

6.0-

129.

311

8.2-

131.

512

0.4-

133.

712

1.5-

134.

812

2.0-

136.

512

3.1-

140.

3期

末値

[円

/ ユー

ロ]

124.

3512

2.66

117.

8012

1.77

120.

912

1.0

121.

512

1.5

122.

612

4.8

127.

012

8.1

129.

213

2.5

レン

ジ [

円]

18,9

48-2

4,44

820

,289

-22,

362

20,1

10-2

2,25

521

,276

-24,

091

16,3

58-2

4,11

517

,000

-20,

000

18,5

00-2

1,50

018

,000

-20,

500

18,0

00-2

0,50

018

,000

-20,

500

18,5

00-2

1,00

018

,500

-21,

000

19,0

00-2

1,50

019

,500

-22,

500

期末

値 [

円]

21,2

0521

,275

21,7

5523

,656

18,6

6418

,500

20,0

0019

,500

19,5

0019

,000

20,0

0020

,000

20,5

0021

,500

前期

比年

率[%

]―

2.0

2.1

2.1

▲ 1

.1▲

14.

67.

13.

03.

12.

52.

22.

02.

0―

暦年

・前年

比 [

%]

2.9

2.2

FFレ

ート

期末

値 [

%]

2.25

-2.5

02.

25-2

.50

1.75

-2.0

01.

50-1

.75

0.00

-0.2

50.

00-0

.25

0.00

-0.2

50.

00-0

.25

0.00

-0.2

50.

00-0

.25

0.00

-0.2

50.

00-0

.25

0.00

-0.2

50.

00-0

.25

レン

ジ [

%]

2.36

65-3

.237

31.

9850

-2.5

940

1.45

73-2

.137

81.

5289

-1.9

417

0.60

-1.4

00.

45-0

.95

0.75

-1.2

51.

05-1

.55

1.35

-1.8

51.

45-1

.95

1.35

-1.8

51.

45-1

.95

1.35

-1.8

51.

35-1

.75

期末

値 [

%]

2.41

2.01

1.66

1.92

0.84

0.70

1.00

1.30

1.60

1.70

1.60

1.70

1.60

1.50

前期

比年

率[%

]―

0.6

1.1

0.2

▲6.8

▲18

.913

.64.

22.

71.

91.

61.

21.

2―

暦年

・前年

比 [

%]

1.9

1.3

預金

ファ

シリ

ティ

金利

期末

値 [

%]

▲ 0

.40

▲ 0

.40

▲ 0

.50

▲ 0

.50

▲ 0

.50

▲ 0

.50

▲ 0

.50

▲ 0

.50

▲ 0

.50

▲ 0

.50

▲ 0

.50

▲ 0

.50

▲ 0

.50

▲ 0

.50

レン

ジ [

%]

▲0.

08-0

.65

▲0.

33-0

.08

▲0.

74- ▲

0.21

▲0.

59- ▲

0.19

▲0.

86- ▲

0.16

▲0.

75- ▲

0.20

▲0.

55- ▲

0.05

▲0.

45-0

.05

▲0.

40-0

.10

▲0.

45-0

.05

▲0.

60- ▲

0.10

▲0.

70- ▲

0.20

▲0.

75- ▲

0.25

▲0.

70- ▲

0.15

期末

値 [

%]

▲ 0

.07

▲ 0

.33

▲ 0

.57

▲ 0

.19

▲ 0

.35

▲ 0

.50

▲ 0

.30

▲ 0

.20

▲ 0

.15

▲ 0

.20

▲ 0

.35

▲ 0

.45

▲ 0

.40

▲ 0

.35

▲3.5

2.4

独10

年国

2.3

▲ 1

.42.

0

10年

国債

ユ ー ロ 圏

実質

GD

P1.

2

株 式 日

経平

均株

米 国

実質

GD

P

40年

利付

国債

外 国 為 替

ドル

ユー

ロ円

10年

利付

国債

20年

利付

国債

30年

利付

国債

0.9

日 銀 関 連

期末

値 [

%]

利 付 国 債

2 年利

付国

5 年利

付国

日 本

実質

GD

P0.

0▲

0.4

20

18

年度

20

19

年度

20

20

年度

【予

想】

20

21

年度

【予

想】

表1:

2020

年度

~22

年度

の金

利・相

場予

想レ

ンジ

〔3月

27日

時点

注:

1.

実績

値に

つい

て~

日・米

・ユ

ーロ

圏の

国債

利回

りは

“終値

ベー

ス”。

日本

の2年

~30

年利

付国

債は

新発

物。

日経

平均

株価

、ド

ル円

・ユー

ロ円

、N

Yダウ

は“ザ

ラバ

・ベ

ース

”。

今1-

3月期

は3月

26日

現在

の暫

定実

2.

予想

レン

ジお

よび

予想

期末

値に

つい

て~

3月27

日時

点で

アッ

プデ

ート

(前

回は

3月19

日時

点)

3.

日銀

の短

期政

策金

利は

当座

預金

(政

策金

利残

高)付

利、

長期

金利

・操作

目標

は10

年利

付国

債利

回り

4

.米

FFレ

ート

はFR

Bによ

る誘

導目

標レ

ンジ

。米

国と

ユー

ロ圏

の実

質G

DP成

長率

(暦

年)は

前年

の年

間対

出所

:Blo

ombe

rgな

どよ

り三

菱U

FJモ

ルガ

ン・ス

タン

レー

証券

作成

(予

想は

弊社

Page 11: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 11 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

(1) 新型コロナウイルスのパンデミック化を踏まえた修正ファンダメンタルズ・シナリオ

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3月11日、新型コロナウイルスの世界的な感染

拡大は『パンデミック(大流行)とみなせる』と宣言した。各国経済統計にも、その悪影響が顕

在化し始めている。例えば、IHSマークイット社が24日発表した3月の米総合購買担当者景気

指数(PMI)<速報値>は前月比▲9.1ポイントの40.5と、2カ月連続で好不況の境目となる50を

下回り、遡れる2009年10月以降で 低水準となった。特に、観光業などを含むサービス業が

同▲10.3ポイントの39.1と大きく落ち込んだ。同じく3月のユーロ圏PMI<速報値>も同▲20.2ポ

イントの31.4と、08~09年の金融危機時の水準を下回り、過去(1998年~) 低を更新した。

日本についても、4月1日に公表される3月調査分・日銀短観で、大企業・製造業の業況判断

DIが12月調査比▲10ポイントの▲10と、日銀が異次元緩和を始める前の13年3月調査(▲8)

以来7年ぶりに「業況が悪い」超に転落すると予想されている<ブルームバーグ調査>。そうした

なか、各国政策当局は未曽有の財政拡張、金融緩和強化に邁進している(表2)。

表2:米欧日の主なコロナ・ショック対策<概要>

注: 内容は3月26日現在で、検討中の項目も含む 出所:各種報道より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

このような情勢急変を踏まえ、「債券投資クォータリー(2月28日号)No.494」(米国は「債券

投資ウィークリー(3月6日号)No.495」で一部修正)で提示した米欧日経済・金融政策シナリオ

を下記のとおり修正した。ただし、「各国景気は今年前半こそ下振れを強いられるものの、政

策総動員のコロナ・ショック対策と感染拡大のピークアウトにより、年後半には経済活動の正常

化に伴い自律反発へ」という大局観は維持した。

【米国経済・金融政策シナリオ】

実質GDP成長率は、20年が前年比▲1.4%、21年が同+2.0%、22年が同+2.2%。

20年前半は、実質GDPが2四半期連続でマイナス成長となり、事実上の景気後退局面。新

型コロナウイルスの感染封じ込め措置により、経済活動が広範に停止するため。特に4-6月期

は前期比年率▲14.6%と著しく落ち込む。一方、20年後半は大幅に自律反発する。FRBによ

る信用フロー支援と議会による巨額の財政支援の効果で家計・企業が持ち堪えるなか、感染

拡大のピークアウトに伴い経済活動が再開されることによる。21年の景気は、そうしたリバウン

ドの反動でいったん減速するものの、異次元緩和(事実上のゼロ金利政策と無制限量的緩和)

■ 2兆ドル規模の財政出動 ■ 事実上のゼロ金利政策の復活

・ 大人1人1,200ドルの現金給付 ■ 量的緩和政策の再開,増強

・ 民間企業への公的資金注入 ■ 企業金融支援(CP買い取り開始ほか)

■ 名目GDP比1%分の財政出動 ■ 量的緩和政策の増強

・ 独:1,560億ユーロの補正予算ほか ■ 企業金融支援(低利での銀行への貸付ほか)

・ 伊:250億ユーロの経済対策

■ 名目GDPの1割規模の追加経済対策 ■ 一層潤沢な資金供給

・ 現金給付 ・ 積極的な国債買い入れ

・ 企業の納税猶予 ・ ドル資金供給オペの拡充

(消費税減税!?) ■ 企業金融支援のための措置

・ 企業金融支援のための措置

・ CP・社債等買い入れの増額

■ ETF・J-REITの積極的な買い入れ

財政政策 金融政策

米 国

ユーロ圏

日 本

4 月のポイント(1)

米欧日とも 20 年前半マイ

ナス成長、後半リバウンド

Page 12: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 12 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

の効果で同年終盤から循環的に再加速。22年中にかけては、2%程度とみられる潜在成長率

をやや上回る成長ペースに復帰する。この間、FRBのインフレ参照指標;PCEデフレーターは、

コアが20年中も前年比+2.0%に届かず、原油安と低インフレ期待を背景に同+1.0%台半ばに

鈍化する。そのため、FRBは年0.00%~0.25%のFFレート・目標レンジを忍耐強く維持してゆく。

なお、米中関税合戦は20年11月の米大統領選まで休戦。ただし両大国の覇権争いは長期戦

のため、 前線の通商協議も22年中までに完全合意(→関税撤廃)には至らない。

【ユーロ圏経済・金融政策シナリオ】

実質GDP成長率は、20年が同▲3.5%、21年が同+2.4%、22年が同+1.3%。

景気は、新型コロナウイルスの感染拡大による悪影響で急激な悪化を余儀なくされる。20年

前半は2四半期連続のマイナス成長。20年後半は、その反動によって高成長となるが、年間

ベースではリーマン・ショック以来の大幅なマイナス成長に。21年以降は、緩和的な金融政策

や拡張的な財政政策に支えられ、次第に巡航速度の成長ペース(1%台前半)に回帰してい

く。この間、ECBのインフレ目標である消費者物価指数<HICP>は、コアが価格転嫁の抑制を

背景に、均してみれば前年比+1.0%前後で推移。ECBは、金融市場や各国による経済対策

の動向次第でQEを増額したり、前倒し実施したりする。一方、マイナス金利の深掘りは回避。

20年後半に景気のリバウンドを確認した後、21年1‐3月期にQEのうちPSPP(国債購入等)を終

了するが(その他資産の買い入れは継続)、TLTROⅢの提供期間を延長。ただし提供金利の

引き下げ期間は予定通りに21年6月に終了する。なお、ブレグジットに関しては、英欧の交渉

決裂による欧州経済の混乱は回避される。

【日本経済・金融政策シナリオ】

景気は22年度中にかけて、現在0.7%程度の潜在成長率を基調的に下回る低空飛行に甘

んじてゆく。実質GDP成長率は、19年度が前年度比0.0%、20年度が同▲0.4%、21年度が同

+0.9%、22年度が同+0.6%。4年間の年度平均は+0.3%弱にとどまる。

実質GDPは20年4-6月期まで3四半期連続のマイナス成長。新型コロナウイルスの世界的な

感染拡大(パンデミック)の影響で、財・サービス輸出が4-6月期にかけて減少する。以降、感

染拡大はピークアウトし、経済活動が正常化に向かう。個人消費は4-6月期以降、現金給付の

効果もあって回復するが、伸び悩む。過去の類似の政策(2009年の定額給付金)では、消費

に回った額は支給分の2~3割程度にとどまった。また、「老後2,000万円問題」が喚起した将

来不安や長生きリスク懸念がくすぶり続けるため、持ち直しペースは緩慢にとどまらざるを得な

い。東京オリンピックの延期により、インバウンド消費の復活も不透明。米中貿易摩擦の長期

化観測は、輸出と輸出企業の能力増強投資を引き続き抑制する。半面、中長期的な人手不

足対応や競争力維持のための省人化投資やR&D投資が持続的に拡大するほか、継続的な

財政支出が景気を下支えしてゆく。この間、日銀のインフレ目標である消費者物価指数

<CPI>の上昇率は、制度要因の影響を除いたコアが、20年4-6月期にマイナスに転じるなど、

20年度はゼロ%近傍で低迷する。需給ギャップの悪化、中長期的な予想物価上昇率の下振

れ、原油安などが原因。21年度以降は需給ギャップの改善を受けてゼロ%台半ば程度までモ

メンタムが持ち直す。コアCPIは19年度が前年度比+0.4%、20年度が同0.0%、21年度が同

+0.6%、22年度が同+0.5%。

日銀は『物価のモメンタムが損なわれる惧れ』がくすぶり続けるなか、新型感染症拡大の影

響を踏まえ強化した現行の緩和レジームに基づき、『潤沢な資金供給と金融市場の安定確保』

(3月2日総裁談話)に努めてゆく。政策金利については、ファイティング・ポーズ(利下げバイ

Page 13: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 13 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

アス15)を維持しながらも、リバーサルレート誘発懸念から現状(短期政策金利;年▲0.1%、長

期金利操作目標;ゼロ%程度)維持が適切と判断し、22年度中にかけて堅持する。また、『適

切なイールドカーブ』の形成を目指し、長期金利・変動幅には弾力的に対応し、長期国債買

い入れについては弾力的に増減してゆく。

米長期金利シナリオについては、3月6日時点の前回見直しから、事実上のゼロ金利政策

復活と無制限量的緩和導入の効果等も勘案し、次のように再修正した。20年度中の予想期末

値で見ると、6月末;1.10%→0.70%、9月末;1.30%→1.00%、12月;1.50%→1.30%、3月末;

1.70%→1.60%。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大のピークアウトや内外経済の不確実

性低下を背景に、年後半にかけ、1.0%割れから1.0%超へとリバウンドするという方向感は維

持した。一方、国内長期金利シナリオについては今般、6月末;▲0.100%→▲0.050%、9月

末;▲0.100%据え置き、12月;▲0.200%→▲0.150%、3月末;▲0.200%→▲0.100%と小幅

に上方修正した。3月の「異形のリスクオフ相場16」による金利急上昇の余波などを考慮した。

なお、21年度以降分、および四半期ごとの予想レンジ/予想期末値については、前掲表1を参

照されたい。

(2) 量的緩和増強による米欧日中銀・総資産の増勢加速に伴うストック効果の高まり

3月は、米欧日中銀がコロナ・ショック対策で資産買い入れを競い合うように増強した。

FRBは15日、17・18日に予定していたFOMCミーティングを前倒して開き、合計7,000憶ドル

の国債・MBSの購入による量的緩和政策の再開を決めた。23日には臨時のFOMCを開き、米

国債・MBSの購入額について、合計7,000億ドルから『必要とされる量』へと切り替えた17。いわ

ば“無制限量的緩和”の導入だ。

ECBは12日に開いた定例理事会で、量的緩和政策の拡大(年末までに1,200億ユーロの資

産買い入れ)を決めた。18日には、7,500億ユーロの新たな資産購入策を発表した。

日銀は16日、18・19日に予定していた政策委・金融政策決定会合を急遽前倒して開き、

ETFの買い入れ目標額を従来の年6兆円から当面12兆円に倍増することを決めた。年900億

円としていたREITの購入目標も1,800億円に倍増。また、CPと社債で合計2兆円の追加購入

枠を新設。さらに、長期国債買い入れオペを臨時にオファーし始め、事実上の増額に踏み切

っている。

こうしたなか、各中銀の総資産は増勢が加速している(図12)。なかんずくFRBが刮目に値

する。25日時点では5兆2,542億ドル(約578兆円)と、1週間で5,860億ドル増えた。増加額は過

去 大だった先週の3,563億ドルを大きく凌駕し、この2週間で9,423億ドル(約103兆円)に達

した。結果、総資産は史上初めて5兆ドルを突破。資産購入額は連日で1,000億ドルを超えて

いる。一方、ECBはこの1週間で2,230億ユーロ増え、4兆9,273億ユーロ(約591兆円)と5兆ユ

ーロの大台乗せが目前だ。日銀は同じく5,358億円増えて594兆円。長期国債買い入れオペ

の弾力的な減額を主因に増勢はこのところ鈍化していたが、今般の事実上の増額などにより

再加速している。総資産は600兆円の大台突破に迫る。 15 日銀は 19 年 10 月 31 日の「展望レポート」会合で導入した「新たな政策金利のフォワードガイダンス」で、『政策金利については、「物価安定の目標」

に向けたモメンタムが損なわれる惧れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定』とコミットした。 16 この捉え方については、「債券投資ウィークリー(3 月 19 日号)No.497」の JGB アウトルック(株安/債券安という異形のリスクオフ相場はいつ終息す

るのか?)を参照。 17 厳密には、『円滑な市場機能を支え、広範にわたる金融環境と経済に対し金融政策を効果的に伝達することを支援するうえで必要な額』。なお、買

い入れ対象に商業用不動産ローン担保証券(CMBS)が追加された。

再修正;日米長期金利見

通し

4 月のポイント(2)

米欧日中銀の量的緩和増

強競争

増勢が加速している中銀

総資産

Page 14: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 14 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

図12:増勢が加速した3月の米欧日中銀・総資産

注: 週次データ 出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

一般に、中銀総資産が増大すると、ストック効果が高まり、金利上昇が抑制される、または

金利低下圧力が強まる。ストック効果とは、利回り構成要因の一つであるタームプレミアム、ま

たはリスクプレミアムの縮小を通じた金利押し下げ効果のこと。ストック・ビューに基づく概念だ。

そのストック・ビューとは、量的緩和が金利動向に及ぼす影響は、中銀の総資産残高、保有長

期国債のストック量や発行残高に占めるシェアの多寡に依存する、というロジック。これに関し

て日銀は、18年10月1日に公表したワーキングペーパーシリーズで、『長期国債買い入れによ

るタームプレミアムの押し下げ効果のうち9割以上がストック効果によるもの』と指摘した。また、

黒田東彦総裁は19年9月5日、『米国では資産大量購入に伴うタームプレミアムの縮小効果が

持続しているので、長期金利が比較的低く保たれ、逆イールドになっている』と解説した。

さて、米欧日中銀の総資産の増勢が持続するなら、ストック効果も当分、一段と強まることは

あっても、弱まることはなさそうだ。とすると、米欧日の長期金利に今後かかるかもしれない上

昇圧力は無難に相殺され、むしろ低下圧力が常態化してゆくと考えられる。特に、未曽有の

急膨張となったFRB総資産のストック効果は強力と見込まれるので、米長期金利は案外、

1.0%割れが定着する可能性をあながち否定できない。

なお、米国債市場では、総額2兆ドル規模の経済対策に伴う国債大増発により、需給が緩

んで金利が上昇するとの見方がくすぶっているが、FRBの強力なストック効果、あるいは無制

限購入を考えれば、そうした「悪い金利上昇」は杞憂にとどまると思われる。

(3月27日 14:30)

ストック効果とは?

金利低下圧力を常態化さ

せるストック効果の高まり

Page 15: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 15 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

月 日

3 株安/債券安という異形のリスクオフ相場はいつ終息するのか?

日銀は過度な金利上昇を抑えるための 終手段をいつ、何%で繰り出すか?

19 羅針盤 コロナ・ショック→デフレ・リスク上昇でも売り込まれている債券

17 羅針盤 日米緊急緩和も底入れ不発の株価が長期金利に及ぼす影響

FRB と日銀は「コロナ・ショック」の衝撃で底割れした株価を修復できるか?

「コロナ・ショック」による外債イールド・ハンティング環境の変化

12 羅針盤 「日本売り」胎動を示唆? 国債CDS 上昇と長期金利下げ渋り

10 羅針盤 米長期金利の1.0%割れという「日本化」状態の持続性

3・3 FRB 緊急・大幅利下げを受けた米景気・金融政策・長期金利シナリオの修正

マイナス金利深掘り観測と国債イールドカーブ変化の行方

4 羅針盤 日銀総裁談話、G7 共同声明、米緊急利下げ後の利回り曲線

3 羅針盤 債券ニュー・ノーマル時代を体現した米長期金利の下方屈折

28 アウトルック 3月および2020年度~22年度の長期・超長期金利&イールドカーブ・シナリオ

軽視できない新型コロナウイルス感染症の蔓延をトリガーとする景気後退リスク

予想物価上昇率低迷による実質2 年債利回りの上昇基調への日銀の対処法は?

19 羅針盤 「米大統領選2020」と国内債券市場

超長期債市場が相変わらず「親の心子知らず」である原因

対長期金利スプレッドの下方屈折によるニュー・ノーマル時代の超長期金利

「全値戻し」を達成した米長期金利と「1/3 戻し」にとどまった日長期金利との違い

フェードアウトは見込まれない新型肺炎と米中貿易協議を巡るリスクオフ・ムード

不確実性が大きい新型肺炎の感染拡大とその世界経済への悪影響

「適切なイールドカーブ」の形成に向け悪戦苦闘を続ける日銀

24 アウトルック 史上初の3 連敗を喫した「債券先物の1月足の予言」~今年こそ雪辱なるか?

21 羅針盤 外国人の長期利付国債・ネット売買高と長期金利動向の関係

米中第1段階合意の文書署名後も下がりそうにない米貿易政策の不確実性

マイナスに転じた日米長期金利の相関係数のインプリケーション

15 羅針盤 リバーサル・レートと債券市場

10 アウトルック 「需給ギャップのプラス縮小→予想物価上昇率の低迷」の金利上昇抑制効果

9 羅針盤 長期金利のプラス圏回帰・定着を阻んでいる3つの原因・背景

6 羅針盤 債券市場動向;2019年レビュー&20年プレビュー

27 羅針盤 「ベア・スティープ化→ベア・フラット化」だった今次金利上昇局面

24 アウトルック 2020年1月および年間の長期・超長期金利&イールドカーブ・シナリオ

マイナス金利深掘りなど追加緩和の実現性の低さを見透かす債券市場

日本人買い越し額が外国人を3カ月連続で大幅に凌駕~11月の利付国債売買高

19 羅針盤 待望される利回り上昇の3パターンとその蓋然性

このところの金利上昇に一枚噛んでいる?日銀ストック効果のピークアウト感

水面浮上目前の長期金利を足踏みさせている一因とは?

長期金利を分水嶺とするベア・スティープ/フラット化の市場分断仮説による後講釈

今次大規模経済対策に起因する金利上昇圧力の捉え方

5 羅針盤 米貿易政策の不確実性の低下傾向→日米長期金利の上昇傾向

11 29 アウトルック 12月および19年度下期~22年度の長期・超長期金利&イールドカーブ・シナリオ

アウトルック

*** 「JGBアウトルック」と「JGB羅針盤」のバック・ナンバー ***

【JGBレポートのご活用法】 随時発行の「JGB羅針盤」は、債券市場の相場材料やトピックを掘り下げた実証分析レポートです。これに対し、毎週末に定期発行している「JGBアウトルック」

(債券投資ウィークリー/マンスリー/クオータリーに掲載)は、長期金利&イールドカーブ・シナリオの定点観測という位置付けです。シナリオという織物を作成していくうえで、

「JGB羅針盤」はいわば横糸、「JGBアウトルック」は縦糸にあたります。横糸の織り方を変えたとき 、すなわち「JGB羅針盤」で新たなファクトファインディングがあった場合には縦糸の織り方も変える、すなわち「JGBアウトルック」でシナリオを軌道修正することになります。このように両レポートは密接に連関しております

ので、どちらもお見逃しなく !

タイトル

13 アウトルック

6 アウトルック

20 アウトルック

13 アウトルック

2

21 アウトルック

14 アウトルック

7

6 アウトルック

19 アウトルック

131 アウトルック

17 アウトルック

12

Page 16: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 16 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

このページに記載はありません

Page 17: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 17 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

ファンダメンタルズアナリシス

一段と強まる新型コロナの景気・物価への負の影響(4 月の景気・物価シナリオ) シニア・マーケットエコノミスト 戸内 修自

来週公表が予定されている主な国内景気・物価統計は、表1のとおり。

表1:3月30日~4月3日に公表が予定されている主な国内景気・物価指標

出所:各種資料より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

2月分の鉱工業生産は、前月比+0.5%と3ヵ月連続プラスを予想。ただし前月時点での予

測指数(同+5.3%)、予測誤差を調整した「先行き試算値」(同+2.0%)(図1)からは下振れ

を見込んでいる。2月に入り新型コロナ感染拡大に伴う中国経済の停滞が顕在化。日本国内

では一部の自動車大手で中国からの部品の安定調達が困難になり、一時稼働を停止するケ

ースが発生している。2月のわが国の輸出は中国向けには弱さがうかがえ、そのことも国内生

産の抑制要因になったとみられる。これらの2月生産に対する下振れ要因は、予測指数(2月

10日時点)には十分織り込まれていなかったと推測される。

3月日銀短観も、新型コロナが景況感を明確に下押しすることになりそうだ。業況判断DI「近」は大企業・製造業「 近」は12月調査比▲6ptの▲6と、2013年3月調査(▲8)以来となる

「悪い」超に転じると予想(表2)。大企業・非製造業は11と「良い」超を確保も、前回調査からは

▲9ptの大幅な悪化を見込んでいる。新型コロナの影響が顕著な運輸や宿泊・飲食サービス

を含む非製造業で、悪化幅が相対的に大きくなると見込まれる。

図 1:鉱工業生産 表 2:3 月調査日銀短観・業況判断 DI 予想

出所:経済産業省より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券

注: 下段( )内は前回調査比

出所:日本銀行より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成(予想は弊社)

公表日 指標 公表日 指標

3月31日(火) 労働力調査・一般職業紹介状況 2月分 4月1日 (水) 日銀短観<概要> 3月調査

鉱工業生産<速報> 2月分 4月2日 (木) 日銀短観<全容> 3月調査

商業動態統計<速報> 2月分 マネタリーベース 3月分

住宅着工統計 2月分

-10

-5

0

5

10

15

20

80

85

90

95

100

105

110

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020(年)

鉱工業生産・前年比<右軸> 同・季調値<左軸>

(前年同月比%)(2015年=100)(良い-悪い、ppt)

12月調査 12月調査での

「最近」 3月「先行き」

0 0 ▲6 ▲10

(▲5) (±0) (▲6) (▲4 )

20 18 11 5

(▲1) (▲2) (▲9) (▲6 )

▲9 ▲12 ▲14 ▲20

(▲5) (▲3) (▲5 ) (▲6 )

7 1 ▲1 ▲9

(▲3) (▲6) (▲8 ) (▲8 )

中小企業

製造業

非製造業

非製造業

大企業

製造業

3月調査

「最近」予想

3月調査での6月

「先行き」予想

3 月 30 日~4 月 3 日の景

気・物価プレビュー

2 月鉱工業生産は 3 ヵ月

連続プラスも、予測指数

からは下振れを予想

3 月日銀短観、大企業・非

製造業で製造業を上回る

悪化を見込む

Page 18: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 18 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

2019年10-12月期の実質GDP<2次速報>(9日(月))は前期比▲1.8%、同年率▲7.1%と

1次速報(同年率▲6.3%)から下方修正された。法人企業統計の結果が反映された設備投資、

在庫投資がいずれも下方修正。個人消費は上方修正されたとは言え、耐久財を中心とする

大幅な落ち込みには変わりはなかった。なお消費増税前の駆け込みのピークである7-9月期

は、季調替の結果同年率+0.1%へと下方修正。

2月段階ではセンチメント指標で先行き懸念材料として言及される程度だった新型コロナの

影響が、3月中に公表された指標にはハードデータを含め確認できるようになってきている。2月分の貿易統計(18日(水))によれば、輸入金額は前年同月比▲14.0%と1月(同▲3.6%)か

らマイナスが拡大、中国向け輸入が前年同月比▲47.1%とほぼ半減(1月同▲5.7%)したこと

によるもので、現地での生産活動停滞の影響が顕著に現れた。輸出金額は同▲1.0%、中国

向けの落ち込みは1月より小幅(同▲0.4%、1月同▲6.4%)だったが、春節休暇のずれを考慮

すると実勢は弱いと言えそうだ。日銀の実質輸出入によれば、1・2月平均の実質輸出は10-12月平均比▲1.9%、実質輸入は同▲7.4%(図2)。

インバウンド消費動向を示す2月訪日外客数(19日(木))は前年同月比▲58.3%の108.5万

人(1月同▲1.1%)、減少率は東日本大震災発生直後の2011年4月(同▲62.5%)以来の大き

さ。1月末から団体旅行の販売が停止された中国が同▲87.9%、他のアジア主要国も軒並み

急減した。なお、日本人の出国者数は同▲14.2%(1月同▲4.9%)と減少率は拡大しているが、

外国人観光客に比べれば2月までの段階では落ち込みは限定的。

10-12月期GDPでの設備投資は減少したが、1月分の設備投資の一致指標は横ばいないし

若干持ち直しの動きとなっている(図3)。また1月分の機械受注統計(16日(月))では、設備投

資の先行指標とされる<船舶・電力を除く民需>(コア受注)が前月比+2.9%。10-12月平均

との比較では依然マイナスではあるが、製造業からの受注が2ヵ月連続で増加。足元では電

子部品需要の底打ちを背景に電気機械が回復、資本財関連(はん用・生産用機械等)の減

少にも歯止めがかかってきている。ただ2月以降は新型コロナ感染拡大の影響が輸出に波及、

製造業の投資マインドが慎重化している可能性がある。1-3月期法人企業景気予測調査(12日(木))では2020年度の大企業の設備投資計画が初めて明らかとなり、ここ数年の傾向に比

べると控え目な数字となっている。

図 2:実質輸出入と訪日外客数 図 3:設備投資関連指標

注: いずれも季調値(訪日外客数は当方試算)

出所:日本銀行、政府観光局より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成

注: 季調値。SNA 民間設備以外の直近値は 1 月値

出所:内閣府、経済産業省より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成

20

40

60

80

100

120

140

160

180

85

90

95

100

105

110

115

120

125

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

実質輸出 (同・四半期) 実質輸入

(同・四半期) 訪日外客数<右軸>

(15年=100) (15年=100)

(年)

80

85

90

95

100

105

110

115

120

125

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020(年)

資本財<除く輸送機械>・総供給 実質機械受注<船舶・電力除く民需>

建設業活動指数(民間非住宅+土木) 第3次産業活動指数・ソフトウェア業

(15年=100)

3 月の景気・物価レビュー:

10-12 月期GDP・2 次速報

財・サービス輸出入

設備投資

Page 19: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 19 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

1月の個人消費は、暖冬で季節商品(冬物衣料、燃料等)の需要が振るわなかったが、全

体としては駆け込みの反動からの持ち直しが続いた。小売業販売額や個人向けサービス売

上高を基礎データとして作成される実質消費活動指数(旅行収支調整済)は前月比+0.3%と

3ヵ月連続増加(図4)。耐久財の伸びが同+3.7%と高く、1月初のOSサポート終了を前にパソ

コンの買い替えを急ぐ動きが再び加速した。2月に関しては高頻度データや企業リリースをみ

ると、スーパーやドラッグストアの売り上げは食品や衛生用品への需要増を反映して堅調な半

面、百貨店ではインバウンドの不振もあって厳しい状況。日本人も含めた旅行者の減少も各

地から伝わってきている。2月景気ウォッチャー調査(9日(月))の現状判断DI(同▲14.5ptの27.4)でも、百貨店や旅行・交通、飲食の悪化が顕著だった。先行き判断DIは同▲17.2ptの24.6。2月消費動向調査(3日(火))では消費者態度指数が前月比▲0.7ptと5ヵ月ぶりに低下、

雇用の先行きに対する懸念が強まっている。

1月分の毎月勤労統計(速報、6日(金))、現金給与総額(一人当たり名目賃金)は共通事業

所)データでみると同▲0.1%と小幅減。特別給与の落ち込みが主因で、残業代の減少も続い

ているが、所定内給与は12月と変わらずの同+0.6%で安定的にプラスを確保。2020年春闘

は11日(水)に集中回答日を迎え、自動車や電機、鉄鋼では昨年実績を下回る賃上げ・ベア

が相次いだ。連合による第1回集計(13日)時点での賃上げ率(定期昇給分を含む、平均賃金

方式)は1.91%で、昨年同時期の2.15%を▲0.26pt下回っている。第2回集計(19日)での賃上

げ率は1.94%に上方修正されている。

企業の景況感は、足元悪化している。ロイター短観では3月の業況判断DIが製造業、非製

造業ともに大幅悪化。インバウンドや旅行関連の業種を含む非製造業の低下幅が、製造業を

上回っている(図5)。

図 4:消費活動指数 図 5:企業の景況感(ロイター短観)

注: 実質・季調値

出所:日本銀行より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成

出所:Thomson Reuters より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成

2月全国消費者物価指数(19日(木))、<生鮮食品を除く総合>(コアCPI)は前年同月比

+0.6%と1月の同+0.8%から0.2ptの上昇率縮小(図6)。エネルギー(同▲0.2%、1月同+

0.8%、コアCPI前年比に対する寄与度差:▲0.08ppt〔当方試算、以下同じ〕)ではガソリンや電

気・ガス代の値下がりを反映。<生鮮食品・エネルギーを除く総合>(コアコアCPI)(同+

0.6%、1月同+0.8%、同寄与度差▲0.15ppt)における外国パック旅行費や宿泊料の下押しは

新型コロナ感染拡大の影響と考えられる。品薄感からマスクの上昇率が加速しているが、全体

への影響は限定的だった。

80

90

100

110

120

130

140

150

160

170

90

95

100

105

110

115

120

125

130

135

2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020(年)

実質消費活動指数 同(非耐久財)

同(サービス) 同(耐久財)<右軸>

(2011年=100) (2011年=100)

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

ロイター短観(製造業400社) ロイター短観(非製造業400社)

(「良い」-「悪い」、ポイント)

(年)

個人消費・家計所得動向

企業の景況感

消費者物価

Page 20: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 20 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

政府は10日(火)に、「新型コロナウイルス感染症に対する緊急対応策-第2弾-」を閣議

決定した(表3)。学校休校に伴う保護者の休暇取得支援(新たな助成金等)、事業活動縮小

等への対応(雇用調整助成金の特例措置拡大)等が盛り込まれている。政府は4月にも第3弾

として追加経済対策を策定する方針。日銀は18・19日開催予定だった金融政策決定会合を

16日(月)に前倒し、①一層潤沢な資金供給 ②企業金融支援措置 ③ETF・J-REITの積極的

な買い入れからなる緩和強化を決定している。

図 6:全国コア CPI 前年比と品目別寄与度 表 3:新型コロナ対策(第 1 弾・第 2 弾)

出所:総務省統計局より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成 出所:首相官邸より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成

当方では13日付の債券投資ウィークリーにおいて成長率見通しを修正していたが、今回さ

らに見直しを行っている。新型コロナの感染拡大は中国ではピークアウトが鮮明となる一方で、

欧米では逆に感染者が急増。海外からの入国制限措置を採る国が増え、国内での移動制限

に踏み切るところも現れている。こうした点を踏まえ、4-6月期においても財・サービス貿易は減

少が続くとの見通しに改めた。7-9月期以降は反発を予想しているが感染状況次第であり、不

確実性は高い。

原油価格急落に伴い、CPI見通しも修正した。見通しの前提としている原油入着価格の年

平均値を2022年度にかけて10ドル/バレル程度引き下げたことに伴い、2020年度コアCPIは従来から▲0.4pt下方修正され、前年比横ばい。年度内には一時的には前年比マイナスに転

じる局面も予想される。

4月中に公表される3月分の主要経済指標では、輸出入等に引き続き新型コロナの影響。

財輸出は中国向けに現地経済停滞の影響が現れ、2月に底堅さを維持していた自動車関連

等も下振れる。外国人観光客数も2月からさらに落ち込む。個人消費は、生活必需品向け需

要は底堅さを維持するものの、娯楽・レジャー関連支出は抑制される。感染拡大への不透明

感を背景に、消費関連サーベイでは各種センチメント指標も悪化が続く。設備投資に関して

は、3月日銀短観の20年度計画において投資拡大に対する企業の慎重姿勢が示され、2月分

の機械受注統計では製造業や外需に弱さも。CPIは石油製品の大幅安を受けて、コアCPIは

-1.5-1.0-0.50.00.51.01.52.02.53.03.5

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020食料(除く酒類)・エネルギーを除く総合 エネルギー

食料(除く生鮮・酒類) 消費税率引き上げの影響

教育無償化の影響 コアCPI同(消費増税・教育無償化の影響除く)

(前年同月比%、ppt)

(年)

(億円)

第1弾(2月13日閣議決定)

帰国者等への支援 受入支援 30

国内感染対策強化相談センター、ワクチン等研究

開発65

水際対策強化 34

影響を受ける産業への緊急対応コールセンター、雇用調整助成

金6

国際連携強化 18

小計 153

金融措置 緊急貸付・保証枠 5,000

第2弾(3月10日閣議決定)

感染拡大防止策マスク対策、PCR検査体制強

化、治療薬開発加速486

学校臨時休校対策保護者の休暇取得支援(助成

金)、学童保育等支援2,463

事業活動縮小・雇用への対応 雇用調整助成金特例措置拡大 1,192

緊急措置等 168

小計 4,308

金融措置緊急貸付・保証枠拡充、サプラ

イチェーン再編支援16,000

政策動向

成長率・物価見通しを修

4 月の景気・物価シナリオ

Page 21: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 21 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

一段と鈍化、石油製品の大幅安に加え、旅行関連品目でもマイナスが続く。政府は新型コロ

ナ対策第3弾として、家計支援策を中心とする経済対策を決定。

表4:日本経済見通し

出所:内閣府、総務省統計局、経済産業省等より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成(予測は弊社による)

4月のポイント

(1) 4-6月期もマイナス成長との見方に修正、欧米向け輸出の減少避けられず

(2) 家計支援策が軸となりそうなコロナ対策第3弾の効果の考え方

(3) 原油安を受け2020年度コアCPIは前年比横ばいに修正

新型コロナの新規感染者は、中国や韓国、台湾等では落ち着いてきているが、欧米では

逆に増加ペースが加速している。各国政府も対応に追われている。感染拡大防止のため、外

国人を対象とした入国禁止・制限措置を導入する動きが広がっている。日本も水際対策として

3月5日に中国・韓国の全地域を対象とした入国制限の強化を実施、その後対象となる地域が

追加されている。外出禁止等の例も増えている。イタリアでは生活必需品関連を除く全産業の

活動が停止となり、米国でも複数の州で外出禁止措置に踏み切っている。従業員の確保が難

しくなったことや需要減への警戒感から、日本勢を含め複数の自動車メーカーが工場の稼働

停止を発表している。

(単位:%)

18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 【予想】 【予想】 【予想】 【予想】

実質GDP 0.6 0.0 ▲ 1.8 ▲ 0.3 ▲ 0.1 0.8 0.3 0.2 0.2 0.2 0.2 0.1 0.3 0.0 ▲ 0.4 0.9 0.6(前期比年率) 2.3 0.1 ▲ 7.1 ▲ 1.0 ▲ 0.4 3.4 1.2 0.8 0.7 0.7 0.7 0.5

(前年比) 0.9 1.7 ▲ 0.7 ▲ 1.6 ▲ 2.2 ▲ 1.4 0.8 1.3 1.6 0.8 0.7 0.6

国内需要* 0.8 0.3 ▲ 2.3 ▲ 0.3 0.6 0.7 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.4 0.2 ▲ 0.1 0.6 0.5民間需要* 0.4 0.1 ▲ 2.4 ▲ 0.4 0.5 0.6 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.2 ▲ 0.4 ▲ 0.3 0.6 0.6

個人消費 0.6 0.5 ▲ 2.8 ▲ 0.8 0.6 0.9 0.0 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 ▲ 0.6 ▲ 0.5 0.6 0.4住宅投資 ▲ 0.2 1.2 ▲ 2.5 ▲ 0.1 ▲ 0.6 ▲ 1.1 ▲ 0.9 ▲ 0.6 ▲ 0.5 ▲ 0.4 ▲ 0.4 ▲ 0.2 ▲ 4.9 1.4 ▲ 3.1 ▲ 2.2 ▲ 0.8設備投資 0.8 0.2 ▲ 4.6 1.5 0.8 0.5 0.6 0.6 0.7 0.5 0.5 0.4 1.7 ▲ 0.4 0.5 2.3 2.0民間在庫* ▲ 0.1 ▲ 0.2 0.0 ▲ 0.2 0.1 0.1 0.1 0.0 ▲ 0.0 ▲ 0.0 ▲ 0.0 0.0 0.0 ▲ 0.1 ▲ 0.0 0.0 0.0

公的需要* 0.4 0.2 0.1 0.1 0.0 0.1 0.0 ▲ 0.0 ▲ 0.0 ▲ 0.0 0.0 ▲ 0.0 0.2 0.7 0.2 ▲ 0.0 ▲ 0.1政府消費 1.7 0.7 0.2 0.2 0.1 0.4 ▲ 0.1 0.1 0.2 0.1 0.1 0.0 0.9 2.5 0.8 0.5 0.5公的固定 1.7 1.1 0.7 0.2 0.3 0.1 0.5 ▲ 0.8 ▲ 1.2 ▲ 0.8 ▲ 0.1 ▲ 0.8 0.6 3.7 1.1 ▲ 2.4 ▲ 3.4

純輸出* ▲ 0.3 ▲ 0.3 0.5 0.1 ▲ 0.7 0.1 0.2 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0 ▲ 0.1 ▲ 0.2 ▲ 0.3 0.3 0.1輸出 0.4 ▲ 0.7 ▲ 0.1 ▲ 4.4 ▲ 4.1 3.3 2.1 1.1 1.0 0.8 0.6 0.4 1.6 ▲ 2.4 ▲ 3.9 4.8 1.7輸入 2.0 0.7 ▲ 2.7 ▲ 4.9 ▲ 0.4 2.6 1.3 0.6 0.5 0.5 0.4 0.3 2.2 ▲ 1.5 ▲ 2.5 2.9 1.3

名目GDP 0.6 0.4 ▲ 1.5 ▲ 0.4 0.3 1.1 0.2 0.2 0.2 0.4 0.2 0.1 0.1 0.8 0.3 1.1 1.2(前年比) 1.3 2.3 0.5 ▲ 1.0 ▲ 1.1 ▲ 0.6 1.2 1.8 1.5 1.1 0.8 0.8

GDPデフレータ (前年比) 0.4 0.6 1.2 0.6 1.1 0.8 0.3 0.5 ▲ 0.0 0.3 0.2 0.2 ▲ 0.2 0.7 0.7 0.1 0.6内需デフレータ (同) 0.4 0.2 0.7 0.5 0.3 0.3 0.1 0.3 0.4 0.5 0.2 0.2 0.5 0.5 0.2 0.3 0.5CPI・除く生鮮食品(前年比) 0.8 0.5 0.6 0.6 0.0 0.4 ▲ 0.1 ▲ 0.1 0.6 0.5 0.7 0.6 0.8 0.6 0.0 0.6 0.5

【増税・教育無償化除く】 ( 0.3) ( 0.3) (▲0.2) ( 0.2) ( 0.0) ( 0.1) ( 0.4) ( 0.0)同・除く生鮮・エネルギー(同) 0.5 0.6 0.8 0.7 0.4 0.6 0.2 0.3 0.6 0.5 0.7 0.6 0.3 0.6 0.4 0.6 0.5

【増税・教育無償化除く】 ( 0.5) ( 0.5) ( 0.4) ( 0.5) ( 0.4) ( 0.5) ( 0.5) ( 0.4)鉱工業生産 (前期比) 0.6 ▲ 0.5 ▲ 4.1 ▲ 1.3 ▲ 1.1 1.3 1.5 1.2 0.6 0.4 0.4 0.3 0.3 ▲ 3.6 ▲ 2.1 3.1 1.2    (前年比) ▲ 2.3 ▲ 0.8 ▲ 6.4 ▲ 4.9 ▲ 5.8 ▲ 5.4 0.3 2.6 4.6 3.6 2.6 1.6

ドル円レート(年度平均) 110.9 108.8 108.3 109.5 109.5注: 1. *印は前期比成長率に対する寄与度。米国GDPの年度欄は暦年値 原油価格(入着、ドル/バレル) 72.0 65.7 53.0 57.0 58.0

CPIは上段がヘッドライン、下段カッコ内は消費増税・教育無償化の影響を除く 経常収支(兆円) 19.2 19.9 22.4 23.4 23.62. 前提条件:予測期間の各年度において補正予算策定  同・対名目GDP比(%) 3.5 3.6 4.0 4.2 4.2

高等教育無償化(2020年4月~)はCPIに反映されると想定 貿易収支(通関、兆円) ▲ 1.6 ▲ 1.0 0.6 0.6 1.33. 予想は3月23日時点。全般的に見直し。

2019年度【予想】 2020年度【予想】 2021年度【予想】

予想

ポイント(1) 4-6 月期もマイ

ナス成長との見方に修正、

欧米向け輸出の減少避け

られず

Page 22: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 22 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

こうした状況を受け、サービス輸出の一角を占めるインバウンドに関しては、4-6月期にかけ

て大幅な減少が続くとの見方に改めている。1・2月の訪日外客数は当方試算で、10-12月平

均をおよそ25%下回っている。2月時点で相対的に底堅さを保っていた国・地域からの入国者

も、今後は下振れが避けられない。すでに感染拡大が峠を越えてきている地域では、輸入感

染への警戒が強まっている。海外との人の行き来は、4-6月期にかけて一段と細ることになりそ

うだ。

財貿易に関しても、目先減少が続く可能性が高まっている。2月輸出の落ち込みは限定的

で、中国向けも同様であったが、1・2月の現地の消費・投資の急減を考慮すると3月以降に追

加的な下振れ余地がある。また欧米向け輸出は、上記の一連の措置による現地経済活動の

停滞が、4-6月期に現れることになろう。現時点での輸出見通しは上記の自動車減産等をある

程度踏まえた数字であるが、下振れ余地はやはり大きいと言わざるを得ない。

図 7:新型コロナ感染者(新規感染者) 図 8:訪日外客数

注: 直近は 3 月 21 日

出所:WHO より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成

注: 実数は季調値(当方試算) 出所:政府観光局より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

国内では欧米ほどの緊迫感こそないものの、外出を手控える動きは続いている。3月19日

の専門家会議では、一部地域での感染拡大が続いていることを指摘、大規模イベント等につ

いては引き続き慎重な対応を呼びかけた。娯楽施設の中には再開に踏み切るところも出てき

ているが、3月を通じては娯楽・レジャー関連支出は大幅な落ち込みを強いられそうだ(図9は

東日本大震災前後の娯楽・レジャー消費関連指標の動き)。なお、娯楽・レジャーを中心とす

るサービス消費関連指標は翌々月の公表となるものが多く、4月中に結果が判明するのは宿

泊旅行統計調査(観光庁、4月30日)等に限られることから、景気ウォッチャー調査(4月8日)

等のサーベイも併せて状況を確認することになる。当方では4-6月期以降の個人消費持ち直

しを想定、ここまでの展開はそうした見通しに修正を迫るものではないが、感染の状況次第で

あり、リスクは下方に大きいことは言うまでもない。

政府・与党内では、新型コロナ対策第1弾、第2弾に続き、第3弾の策定に向けて動いてい

る。西村経済再生担当相らから、今回の世界景気の下振れはリーマン・ショックに匹敵する可

能性があるなどの発言が続き、第3弾対策の規模感も当時の経済対策が意識されているよう

だ1。家計支援策が対策の軸となりそうだが、当初は支給対象を絞った施策が具体的に伝わっ

ていたのに対し、 近では国民一律に現金を給付する案が浮上しているようで。規模も11年

1 生活対策(2008 年 10 月)は事業規模 26.9 兆円、財政支出は 5 兆円。

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

1/23 1/28 2/3 2/8 2/13 2/18 2/23 2/28 3/3 3/8 3/13 3/18

(人)

(月日)中国(香港・マカオ・台湾含む) その他地域

-100

-50

0

50

100

150

-150

-100

-50

0

50

100

150

200

250

300

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 (年)

訪日外客数(中国) 同(韓国) 同(その他) 前年比<右軸>

(万人) (前年同月比%)

ポイント(2) 家計支援策が

軸となりそうなコロナ対策

第 3 弾の効果の考え方

Page 23: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 23 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

前に実施された定額給付金を上回る規模を求める声が挙がっている模様。定額給付金は、

2009年に実施された施策で、家計におよそ2兆円が支給された。そのうちかなりの部分は貯蓄

に回り、個人消費へ押し上げ効果は限定的だったというのが政府の検証から示されている(図

10)。当方の現時点の見通しでは第3弾については織り込んでいないが、消費へのプラス効果

を考える際にはこれらの数字がひとつの参考となろう。なお、今回の新型コロナ対策の効果を

考える際には、感染拡大への警戒感が強く外出を控える人が多い状況では、支出押し上げ

効果を追加的に抑制することを想定する必要がある。

図 9:娯楽・レジャー消費関連指標(2010~11 年) 図 10:定額給付金の消費押し上げ効果

出所:総務省統計局、観光庁より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成

注: 支給額のうち消費増加につながった割合。時点は試算公表時

出所:内閣府より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成

今般、CPIの見通しも修正した。新型コロナ感染拡大に伴い、世界的にエネルギー需要の

低迷観測が強まっている。6日のOPECの拡大会合(非加盟国も参加)で、ロシアが減産拡大

を拒否。サウジアラビアが増産方針を示したことが相場の下落に拍車をかけ、WTI先物では

一時20ドル/バレルを割り込む水準まで急落している。さすがに足元の水準は下げすぎと思

われるが、2022年度までの原油価格想定(入着価格ベース)を全体的に従来から10ドル程度

引き下げた。それに伴い、コアCPIも20年度は前年比横ばいに下方修正している。

エネルギー以外の品目でも、新型コロナの影響が現れている。需要減を反映し旅行関連品

目(宿泊料、外国パック旅行費)は2月の数字が下振れており、目先もCPIへ下押し圧力をもた

らす可能性が高い。旅行関連品目以外でも下落圧力が強まっていく展開は、現時点では想

定していない。先述のとおり、足元では娯楽・レジャー関連消費が落ち込み、外食の一部業態

でも厳しい経営環境を強いられているようだ。一方、生活必需品の売り上げは平常時とさほど

変わっていない模様。コアコアCPIの見通しは、微修正にとどめている。

コアCPIの鈍化を受け、実際の物価動向に左右される傾向のあるインフレ予想は今後一定

の下押し圧力を受けそうだ。コアCPIが前年比マイナスに沈んだ2015~16年にかけ、家計・企

業のインフレ予想は鈍化していた。相対的に低めに出やすい企業のインフレ予想でもマイナ

スに転じるようなことはなく、今回もインフレ予想は若干の鈍化にとどまるとみているが、物価の

モメンタムの弱まりとして受け止められそうだ。また、日銀短観・企業の物価見通し(4月1日)で

は、今回の景気下振れ局面において負の影響が大きいインバウンド関連業種等において、価

格見通しや物価見通しに何らかの変調が現れないかどうかといった点も確認しておきたい。

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6

2010 2011

飲食店(サービス産業動態統計) 娯楽業(サービス産業動態統計)

延べ宿泊者数(宿泊旅行統計)

(年/月)

(前年同月比%)

0

5

10

15

20

25

30

35

(2010年1月) (2012年4月)

(%)

ポイント(3) 原油安を受け

2020 年度コア CPI は前年

比横ばいに修正

Page 24: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 24 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

図 11:コア CPI の実績と見通し 図 12:企業・家計のインフレ予想

出所:総務省統計局より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成(見通しは弊社)

出所:日本銀行より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成

(3月23日 15:00)

-1.5-1.0-0.50.00.51.01.52.02.53.03.5

2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 22 FY22その他 エネルギー

食料(除く生鮮・酒類) 消費税率引き上げ分

教育無償化分 コアCPIコアCPI(消費増税・教育無償化調整)

見通し

(前年比%)

0

1

2

3

4

5

6

2014 2015 2016 2017 2018 2019

家計・1年後の物価見通し 家計・5年後の物価見通し

企業・1年後の物価見通し 企業・5年後の物価見通し

(%)

Page 25: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 25 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

ポリシーウォッチ

春の訪れと共に高まる政府・日銀の緊張感(4 月の政策シナリオ)

シニア・マーケットエコノミスト 六車むぐるま

治美

3月は新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)が米欧でも急速な広がりをみせ、世界

経済後退への警戒感が高まる展開だった(表1)。日本時間の3月3日夜、主要7カ国(G7)の

財務相・中央銀行総裁は緊急電話会議を開催。共同声明では、新型コロナの影響による世

界経済の下振れリスクに対し「あらゆる適切な政策手段を用いる」と表明した。麻生太郎財務・

金融相は会議後、記者団に対して『世界経済の成長と金融市場の安定のため、G7各国と対

応していきたい』と語った。

表1:新型コロナウイルス感染症に関する主な経緯

出所:各種報道資料より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

日付 主な出来事(△~海外、●~日本国内)

2019/12/18 △中国武漢市の病院が原因不明の肺炎患者を確認

2020/1/9 △中国の専門家チーム、患者から新型のコロナウイルス検出と発表

1/20 △中国政府の専門家が人から人への感染を確認と明言。習近平国家主席が対策に全力を挙げるように指示

1/23 △WHOの緊急委員会、緊急事態宣言を見送り

1/23 ●政府、中国湖北省で邦人1人が重度の肺炎発症で入院していると発表

1/27 △中国政府が海外への団体旅行を禁止

1/28 ●政府が中国湖北省の在留邦人帰国のため、民間チャーター機の第1便を出発させる

1/29 ●日本国内で初の日本人患者が確認される

1/30 △WHOが緊急委員会を開催、緊急事態を宣言

1/31 ●自民、公明両党が対策本部を開催

2/1●政府、中国湖北省に滞在歴がある外国人の入国制限を開始△中国国外で初めて新型コロナウイルス感染症で死者(フィリピン)

2/3△中国での新型コロナウイルス感染症での死者数が2002~03年に流行したSARSを上回る●クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港に到着

2/4 ●厚生労働省、新型コロナウイルスの感染が疑われる場合の検査対象をせきや発熱だけの軽症にも拡大

2/5 ●自民党、政府への対策提言内容をまとめる

2/11 ●政府、中国浙江省に滞在歴がある外国人の入国制限方針を決定

2/13 ●政府、新型コロナウイルス感染症に対する緊急対応策の第1弾を発表

2/15 ●加藤厚生労働相、新型コロナウイルス感染症の感染確認が相次いでいることについて「これまでと状況が異なっている」と発言

2/16●政府、「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の初会合を開き、現状について「国内発生の早期にある」との認識を示す●加藤厚生労働相、「患者が増加する局面を想定した対策を今からとる必要がある」と説明

2/20 ●自民党、経団連、日本商工会議所、全国商工会連合会の3団体から意見聴取

2/24●政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」、「これから1~2週間が感染が急速に進むか収束できるかの瀬戸際」△中国、全人代開催延期を決定

2/25●政府が対策の基本方針を決定△米カリフォルニア州サンフランシスコ市が非常事態宣言

2/26 ●安倍首相、全国的なスポーツ・文化イベントについて、今後2週間は中止や延期、規模縮小を要請

2/27 ●安倍首相、全国の小中学校と高校などに一斉休校を求める考えを表明

2/29 ●安倍首相、記者会見で第二弾の緊急対応策を10日程度でまとめると表明

3/5 ●政府、中国の習近平国家主席の訪日延期を発表。中国・韓国からの入国大幅制限の方針を表明

3/8 △米国全体の感染者数が511人と日本の約500人を上回る

3/9 △コンテ伊首相、北部ロンバルディア州に限らず国内全域で人の移動を制限すると発表

3/11△WHOが「パンデミックとみなせる」との認識表明△米国、英国を除く欧州からの外国人の入国禁止を発表

3/13 △トランプ米大統領、国家非常事態を宣言

3/23 ●安倍首相、日本人を含む米国全域からの入国者に14日間の待機要請3/24 ●安倍首相、IOCのバッハ会長と電話で協議し、今夏の東京五輪・パラリンピックを1年程度延期することで合意3/25 ●小池東京都知事、今週末は不要不急の外出を控えるよう都民に要請

【3 月のレビュー:経済財

政政策】新型コロナが米

欧で拡大、世界経済後退

の警戒感が高まる

Page 26: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 26 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

感染症は日本の外交日程にも影響した。政府は5日、4月に予定していた中国の習近平国

家主席の国賓としての来日予定を延期することを決めた。3月中旬に予定されていた米国と東

南アジア諸国連合(ASEAN)による特別首脳会合も延期され、4月中旬にワシントンで開催予

定だったG20財務相・中央銀行総裁会議はテレビ会議形式で行うことが決まった。

9日、内閣府が19年10-12月期・GDPの2次速報を発表した。実質GDPは前期比▲1.8%(同

年率▲7.1%)と、1次速報段階の同▲1.6%(同年率▲6.3%)から下方修正された。設備投資

が前期比▲3.7%から同▲4.6%に引き下げられ、09年1-3月期(同▲6.0%)以来の大きなマイ

ナスとなった。遡及改定の結果、19年7-9月期・実質GDPも改定前の前期比年率+0.5%から

同+0.1%に下方修正された。

10日、政府は新型コロナ対応の緊急対応策・第二弾を発表した。中心は総額1.6兆円規模

の金融支援策。内容は、①中小企業への実質無利子・無担保融資制度(5千億円超)、②大

企業のサプライチェーン再構築サポート策、③正規・非正規を問わず会社員の保護者が休業

した補填のための企業向け助成金(1人あたり日額の上限は8,330円)、④一定要件を満たす

フリーランス・自営業の保護者に日額4,100円の定額支給、⑤収入減の世帯に個人向け小口

資金の貸し出し(10万~20万円以内)など。

13日の参院本会議で、新型コロナを適用対象に加える「新型インフルエンザ等対策特別措

置法改正案」が可決、成立した。感染拡大で国民の生活や経済に甚大な影響を及ぼす恐れ

がある場合、政府は緊急事態を宣言できる。翌14日夜、安倍首相は緊急事態宣言の要否に

ついて、『国内の感染状況を踏まえれば、現時点で出す状況ではない』と述べた。加えて、

『感染拡大防止の後には日本経済を確かな成長軌道に戻すため、一気呵成にこれまでにな

い発想で思い切った措置を講じる』とし、大型の景気対策策定を示唆した。

13日は世界的に株価が急落し、危機感が高まった。すると、週明け16日の午前6時(米国

時間の15日午後5時)、FRBは3月3日に続いて緊急FOMC会合を開催し、1%ポイントの大幅

利下げ(FF金利の誘導水準は「ゼロ%~0.25%」)を決定し、追加の資産買入れも発表。その

数時間後、日銀も18日~19日開催予定の金融政策決定会合を16日正午から前倒しで開催

することを発表。午後2時過ぎに一連の金融緩和強化策を発表した。同日夜、G7の首脳は緊

急テレビ会議を開催し、「雇用と産業を支えるため、金融・財政政策を含むあらゆる手段を動

員する」とした共同声明を発表した。

16日、自民党の岸田政調会長は安倍首相が策定を示唆した新たな経済対策の規模につ

いて、昨年12月に打ち出した事業規模26兆円の経済対策と比較し、『現状はそれをはるかに

超える規模が求められているのではないか』と述べた。22日のNHK番組のなかでは、リーマ

ン・ショック時の対策を上回る規模が必要だとの考えを示した。自民党内では昨年10月の消費

税増税時に導入したキャッシュレス決済によるポイント還元制度の拡充や、家計への現金給

付案などが浮上。自民党の若手有志からは、「消費税率を当面0%とし、30兆円規模の補正予

算案も編成すべき」との提案も飛び出した。

感染症の世界的な拡大を受けて今年夏の東京五輪・パラリンピックの開催延期論が高まる

なか、安倍首相は24日夜に国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と電話会談を行った。

その結果、開催を1年程度延期し、遅くとも2021年夏までに開催することで合意した。「東京

2020」の大会名称は維持すると発表。安倍首相は会談後に会見を開催し、『人類が新型コロ

ナウイルス感染症に打ち勝った証しとして、完全な形で東京五輪・パラリンピックを開催するた

めに、バッハ会長と緊密に連携していくことで一致した。日本は開催国の責任をしっかりと果

たしていきたいと思う』と語った。

感染症が外交日程にも影

響、習近平・中国国家主

席の来日は延期

19 年 10-12 月期・実質

GDP は前期比▲1.8%に

下方修正

10 日、政府が新型コロナ

対応の緊急対応策・第二

弾を発表

「新型インフルエンザ等対

策特別措置法改正案」が

成立へ

日米中央銀行が金融緩和

決定、G7 首脳は緊急テレ

ビ会議を開催

自民党が追加経済対策の

提 言 に 着 手 、 消 費 税 率

0%への引き下げの声も

今年夏の東京五輪・パラ

リンピックの開催は 1 年程

度の延期が決定

Page 27: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 27 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

政府は26日、3月の月例経済報告を発表。景気の現状については、「新型コロナウイルス感

染症の影響により、足下で大幅に下押しされており、厳しい状況にある」とし、2月の判断(「景

気は、輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、

緩やかに回復している」)から下方修正した。基調判断から「回復」の文言を削除したのは6年9カ月ぶり。また、「厳しい状況にある」との表現は、リーマン・ショック後の09年や東日本大震災

が起きた11年に使っていたもの。日本経済新聞は「2012年末の第2次安倍政権発足から続い

てきたアベノミクス景気が途切れたことを意味する」と論じた。

日銀は3月2日の午前09:50、「総裁談話」を発表した(表2)。『最近の内外金融資本市場で

は、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済の先行きに対する不透明感が強まるもとで、

不安定な動きが続いている』とし、『日本銀行としては、今後の動向を注視しつつ、適切な金

融市場調節や資産買入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めて

いく方針である』と表明した。日銀が金融市場の不安定化に関して単独で「総裁談話」を発表

したのは、ギリシャ危機が強まった2015年7月3日以来だった。前週末の2月28日にはFRBが

議長声明を発表し、『新型コロナウイルスが経済活動に及ぼすリスクは変質しつつある。FRBは事態の進展と経済見通しへの影響を注視、経済を支えるための手段を活用し、適切に行動

する』と表明していた1。ECBも2日、日銀に続いて議長声明文を発表した。

表2:FRBの議長声明に続いて「総裁談話」を発表した日銀

出所:日銀、各中央銀行より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

12日、世界的な株価下落や円高進行を受けて、安倍首相と黒田総裁が官邸で会談した。

会談後に黒田総裁は記者団に対し、『最近の経済、マーケットに対応して十分な流動性を供

給し、適切な資産買い入れを進める』と述べた。翌13日には財務省・金融庁・日銀の3者会合

も緊急開催されたが、新たな具体策の発表はなかった。

日銀は16日の朝8:50頃、18日~19日に予定していた金融政策決定会合を前倒し、16日正

午から開催すると発表した2。その数時間前には、FRBが緊急のFOMC会合を開催して追加の

大幅利下げや資産買入れを発表していた。日銀会合には政府から西村経済財政・再生相が

代表として出席。日銀は同日の午後14:06に「新型感染症拡大の影響を踏まえた金融緩和の

1 FRB は 3 月 3 日、G7 財務相・中央銀行総裁による緊急電話会議の開催後、臨時の FOMC を開催して 0.50%の利下げを決定。FF 金利の誘導水

準を 1.00%~1.25%に引き下げた。 2 16 日の日銀決定会合は臨時会合ではなく「前倒し開催」の位置付け。過去、日銀は 2018 年 8 月 30 日に臨時の金融政策決定会合を開催したこと

がある。東日本大震災に際しては、2 日間の開催予定の会合の初日に結果を発表した(2011 年 3 月 14 日)。

中 銀 発表日 声明文

FRB 2月28日

The fundamentals of the U.S. economy remain strong. However, the coronavirusposes evolving risks to economic activity. The Federal Reserve is closely monitoringdevelopments and their implications for the economic outlook. We will use our toolsand act as appropriate to support the economy.

BoJ 3月2日

最近の内外金融資本市場では、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済の先行きに対する不透明感が強まるもとで、不安定な動きが続いている。日本銀行としては、今後の動向を注視しつつ、適切な金融市場調節や資産買入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく方針である。

ECB 3月2日

The coronavirus outbreak is a fast developing situation, which creates risks for theeconomic outlook and the functioning of financial markets. The ECB is closelymonitoring developments and their implications for the economy, medium-terminflation and the transmission of our monetary policy. We stand ready to takeappropriate and targeted measures, as necessary and commensurate with theunderlying risks.

政府は基調判断を下方修

正、「回復」の文言削除

【3 月のレビュー:金融政

策】日銀は 2 日に「総裁談

話」を発表、「潤沢な資金

供給」と「金融市場の安定

確保」を表明

12 日、安倍首相と黒田総

裁が官邸で会談

日銀は 16 日に決定会合

を前倒し開催、「金融緩和

強化」を決めた

Page 28: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 28 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

強化について」を発表した。公表文の冒頭では、『新型コロナウイルス感染症の拡大の影響に

より、世界経済の不透明感が高まり、内外金融資本市場では不安定な動きが続いている。こう

したもとで、わが国の景気は、このところ弱い動きとなっている。また、金融環境も中小企業の

資金繰りなど企業金融の一部で緩和度合いが低下している』との認識を示し、景気判断をそ

れまでの「基調としては緩やかに拡大している」から下方修正した。

日銀が決定した「金融緩和強化」の内容は表3の通り。(1)一層潤沢な資金供給の実施3、

(2)企業金融支援のための措置、および(3)ETF・J-REITの積極的な買入れの「三本柱」から

成る。日銀は短期政策金利(▲0.10%)の引き下げは見送り、長期金利の誘導水準(「ゼロ%

程度」)も維持した。

表3:「新型感染症拡大の影響を踏まえた金融緩和の強化について」(3月16日)の概要(下線、当方)

出所:日銀より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

(1)の「一層潤沢な資金供給の実施」では、FRBとのスワップ取極をバックとしたドル資金供

給の拡大、および「積極的な国債買入れ」も表明した。(2)の「企業金融支援のための措置」

では、①新型コロナウイルス感染症にかかる企業金融支援特別オペの導入を決定。金融機

関は日銀に差し入れている約8兆円(2月末時点)の民間企業債務を担保に、日銀から「最長1年、金利ゼロ%」で資金調達が可能となる。オペ残高の2倍額は銀行の「マクロ加算残高」に

算入され、マイナス金利の対象にはならない。加えて、②CP・社債等の買入れに追加買入枠

を合計で2兆円設置した。①と②は2020年9月末までの時限措置の扱いとなる。

3 前週末 3 月 13 日の午後には、金融市場局が「年度末に向けた金融市場調節面の対応について」を発表し、年度末越えの潤沢な資金供給の実施、

レポ市場の安定措置を示していた。

変更前

①企業金融支援のための措置

新型コロナウイルス感染症にかかる企業金融支援特別オペの導入。民間企業債務を担保(約8兆円<2020年2月末>に、最長1年の資金を金利ゼロ%で供給する新たなオペレーション(残高の2倍の金額を「マクロ加算残高」に加算)を導入する。同措置は、2020年9月末まで実施する。

(新設)

②CP等、社債等

CP・社債等の追加買入枠を合計2兆円設け、CP等は約3.2兆円、社債等は約4.2兆円の残高を上限に買入れを実施する。増額買入れは、2020年9月末まで継続する(注:追加買入れ枠以外の既存のCP等、社債等については、引き続き、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する)

それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する

変更前

保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする

長短金利操作(イールドカーブ・コントロール) 【現状維持:7対2(反対:原田委員、片岡委員)】

短期金利 ▲0.1%(日銀当座預金残高のうち政策金利残高に適用)

長期金利

10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし、買入れ額については、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。 (注:金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する。)

(1) 一層潤沢な資金供給の実施

(3)ETF・J-REITの積極的な買入れ 【全員一致】

当面は、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的な買入れを行う(注:ETFおよびJ-REITの原則的な買入れ方針としては、引き続き、保有残高が、それぞれ年間6兆円、年間900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行い、その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする)

積極的な国債買入れなどのほか、(2)、(3)の手段も活用しつつ、当面、円資金の一層潤沢な供給に努める。 米ドル資金については、本日、日本銀行は、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、米国連邦準備制度およびスイス国民銀行と協調して、資金供給オペについて、貸付利率を0.25%引き下げるとともに、これまでの1週間物に加え、3カ月物を週次で実施することを公表した。これにより、米ドル資金の流動性供給にも万全を期す方針である

(2) 企業金融支援のためたの措置 【全員一致】

マイナス金利の深掘りは

見送った日銀

「一層潤沢な資金供給の

実施」、「企業金融支援の

ための措置」

Page 29: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 29 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

(3)のETF・J-REITの積極的な買入れについては、「当面の間」ETFは年間約12兆円、

J-REITは約1,800億円に相当する残高増加ペースを「上限に、積極的な買入れを行う」と決め

た。ただし、公表文の注書きには「原則的な買入れ方針としては、引き続き、保有残高が、そ

れぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで・・」とがあり、「積極的な買入れ」は

特別措置の位置付けだ。日銀は18年7月会合でETF・J-REITについて、「市場の状況に応じ

て、上下に変動しうる」と弾力的な購入を認めた。政策委員会は今回、買入れを行う執行部に

対し、「ここまで買入れペースを引き上げて構わない」と明確な上限を示した格好。

黒田総裁は16日の午後4時から行われた記者会見で、この日の決定について、『新型コロ

ナウイルス感染症拡大への政府の各種対策や各国の政府・中央銀行による様々な対応と相

俟って、金融経済活動の下支えに貢献するものと考えている』と述べた。会合を前倒した理由

については、『企業金融の円滑確保と金融市場の安定維持に万全を期すために、金融政策

面から必要な措置を早急に検討して実施していくことが必要と判断した』と述べた。『主要国の

協調の枠組みの中で行われた』とも説明した。

総裁はETF等の積極的な買入れを決めた理由について、『特に金融資本市場が不安定な

動きをしており、リスクテイクの考え方が非常に弱くなってリスク回避的になっていますので、そ

れを防ぐためにETFの買入れを倍増のペースで行っていく』と説明。『リスク・プレミアムに対し

て、これまでの倍の大きさ・スピードで働きかけを行っていくということ』と話した。「当面の間」が

示す期間については、新型コロナによるリスク・プレミアムが高い状況が終わるまでで、『必要

がある限り12兆円ペースで買っていく』と強調した4。

マイナス金利の深掘りに踏み込まなかったことについては、『今の時点で何が必要かという

と、やはり企業金融の円滑を万全の措置をもって確保するということと、金融資本市場の不安

定に対応してリスク・プレミアム等に働きかけるということが一番重要と考えた』と話した。景気

の先行きについては、日本の最大輸出先である中国での感染収束の行方に加え、『日本自

身の新型コロナウイルス感染症の収束がいつになるかということにかかっている』と語った。

25日に公表された16日会合の「主な意見」には、感染症による企業業績や金融市場への

影響に対する懸念が示されていた。『感染が時差をもって世界中に広がっているため、影響

が長引き、かつ大きくなる可能性がある』、『日本経済は、新型感染症の影響が生じる前から

弱めの動きがみられており、海外経済が回復した後も、低迷が続く可能性がある』などの意見

があった。また、物価動向については、『経済・物価に対する下方リスクは高まっており、「物価

安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れは高まっている』と語った委員もいた。

金融政策運営については、「企業金融の円滑化確保」、「金融市場の安定確保により市場

や国民に安心感を与えること」などの必要性に多くの委員が言及。今後の政策対応について

は、『現在でも残高の増加額年間約80兆円のめどまでは長期国債を買入れうるほか、経済・

物価情勢によっては臨時会合開催も含めた機動的な対応が可能』との意見があった。内閣府

の代表者は、『政府と日本銀行の間で危機感を共有し、緊密な連携を行っていく旨の強いメッ

セージを発信していきたい』と発言していた。

政府は17日、日立製作所の中村豊明取締役(元執行役副社長)を新しい日銀委員に充て

る人事案を議院運営委員会に提示した。同意が成立すれば、中村氏は6月30日に任期が満

了する布野幸利・日銀審議委員の後任となる。日銀審議委員の任期は5年。

4 黒田総裁は 18 日の参院財政金融委員会で、日銀の保有 ETF の含み損について、『現時点の日経平均を基にやや荒い試算を行うと、含み損益は

2 兆円から 3 兆円になる』と述べた。

ETF・J-REIT の積極的な

買入れ、上限はそれぞれ

年間約 12 兆円と約 1,800億円に

黒田総裁は『主要国の協

調の枠組みの中で行われ

た』と説明

ETF の積極的な買入れは

『必要がある限り』と発言

リスク・プレミアム等への

働きかけが一番重要、と

の認識

「主な意見」では感染症の

影響長期化などへの強い

懸念表明

「臨時会合開催も含めた

機動的な対応が可能」と

の意見も

政府が布野委員の後任人

事案を国会に提出

Page 30: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 30 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

26日、安達誠司氏が日銀審議委員に就任した。安達氏は夕方の就任記者会見で、『中小

企業が資金繰り悪化で破綻するのはなんとしても回避しなくてはならない。景気浮揚よりも企

業が何とか持ちこたえるのを助けるような政策をとるべきだ』と述べた。日銀が現在行っている

イールドカーブ・コントロールについては『間違った政策ではない』と述べ、16日の前倒し会合

で決定した緩和強化内容についても『流動性供給の面ではかなり対処している』と評価した。

さらなる金融緩和手段については、『金利を動かすより資金を供給することが重要だ』とし、マ

イナス金利の深掘りには消極的な印象。追加緩和の必要性については、『先日の金融政策決

定会合で設定した枠を超えて資金を供給しないとならない事態に陥った時だと思うが、現状

はまだそこまでの状況ではない』と述べた。

「総裁談話」(3月2日)以降、日銀が追加で実施した主な資金供給オペは表4の通り。国債

買現先オペは、13日オファー分が大幅な札割れとなった後はオファーなし。代わって日銀が

増強したのは追加の国債買入オペだ。市場の流動性低下やリスク量削減による国債利回りの

上昇に対して、金利上昇をけん制した。また、レポ市場の安定化を図るべく、国債売現先のオ

ファーに加え、国債補完供給の条件緩和も決めた。FRBとのドルスワップ取極をバックとしたド

ル資金供給オペの参加には、日銀への適格担保の差し入れが必要になる。市場参加者の担

保不足に配慮し、日銀はドル資金供給オペ用の担保供給(国債売現先)も行っている。

表4:「総裁談話」以後の主な追加の資金供給オペ

注::a) 3/16会合の後に追加分の発表、b)およびd) 3/16会合後に増額発表、c) 予定は「1回300億円程度」だった 出所:日銀より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

昨日26日時点で、3月の無担保コール翌日物の加重平均値は▲0.068%(16日、17日)~

▲0.020%(26日)のレンジで推移(図1)。2月と比較すると上下限とも切り下がった。中旬にか

けては日銀の潤沢な資金供給スタンスを背景に軟調に推移。ただ、月末にかけてビッドを切り

上げて調達に動く参加者が増えた。明確な背景は分からないが、「新型コロナウイルス感染症

にかかる企業金融支援特別オペ」の実施などで金融機関のマクロ加算残高枠が拡大し、マイ

ナス金利での資金調達意欲が高まっているのかもしれない。GCレポ金利は大きく振れた。国

債市場の流動性低下を受けて水準を切り下げ、24日には▲0.8800%と過去最低水準を付け

た。ただ、日銀によるレポ市場安定化策が徐々に働き、26日のフィキシングでは▲0.2000%に

上昇。短期政策金利(▲0.10%)との乖離は縮小した。国庫短期証券(TDB)の流通市場利回

りは低位安定。日銀の潤沢な資金供給姿勢、および期末に絡む担保需要が需給サポートに

働いている。各中央銀行による米ドル資金供給を受けて、ドル円ベーシス・スワップのマイナス

幅は縮小方向(図2)。

(億円)

オファー日 資金供給オペレーション スタート エンド オファー額 応札額 応札倍率

3月2日 国債買現先 3月3日 3月16日 5,000 5,710 1.143月3日 国債買現先 3月4日 3月16日 5,000 1,500 0.30

3月13日 国債買現先 3月16日 3月20日 5,000 5 札割れ3月13日 国債買入オペ(5年超10年以下) 3月16日 ---- 2,000 7,837 3.923月17日 国債買入オペ(3年超5年以下) 3月18日 ---- 1,000 5,381 5.383月17日 国債買入オペ(5年超10年以下) 3月18日 ---- 1,000 5,663 5.663月17日 a) 米ドル資金供給オペ 3月19日 6月11日 無制限 302.72億ドル ----3月18日 b) CP等買入 3月24日 ---- 5,000 18,165 3.633月18日 国債買入(物価連動国債) 3月19日 ---- 500 2,303 4.613月19日 国債買入オペ(1年超3年以下) 3月23日 ---- 2,000 5,848 2.923月19日 国債買入オペ(3年超5年以下) 3月23日 ---- 3,000 8,935 2.983月19日 国債買入オペ(5年超10年以下) 3月23日 ---- 4,000 10,400 2.603月19日 国債買入オペ(10年超25年以下) 3月23日 ---- 1,000 4,660 4.663月19日 c) 国債買入オペ(5年超10年以下) 3月23日 ---- 3,000 8,891 2.963月23日 d) 社債等買入オペ 3月27日 ---- 2,000 3,708 1.853月23日 国債買入オペ(3年超5年以下) 3月24日 ---- 3,000 5,143 1.713月23日 国債買入オペ(5年超10年以下) 3月24日 ---- 5,000 6,913 1.383月24日 新型コロナ企業金融支援特別オペ 3月25日 6月25日 無制限 3兆3,968億円 ----

安達氏が日銀審議委員に

就任、『金利を動かすより

資金を供給することが重

要』と語った

【3 月のレビュー:短期金

融市場】日銀は国債買入

オペを積極化し、金利上

昇をけん制

GC レポ金利(トムネ)は一

時▲0.8800%まで低下も、

日銀の安定化措置が徐々

に浸透

Page 31: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 31 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

図 1:一時は過去最低水準まで低下したレポ金利 図 2:ドル円ベーシス・スワップ

出所:日銀、ブルームバーグより三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成 出所:ブルームバーグより三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成

昨日26日時点までの日銀によるETFの購入は図3の通り。16日会合における「積極的な買

入れ」決定を受けて、1回あたりの買入額は17日に1,204億円、19日には2,004億円に引き上げ

られた(加えて、日銀は毎営業日「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業

を支援するためのETF」を12億円に増額)。J-REITについても、それまでの1回あたり12億円か

ら、16日に15億円、17日に20億円、19日には40億円に増額された。3月20日現在、日銀が保

有するETFは29.4兆円、J-REITは5,693億円に達した。

図3:日銀はETF買入れを1回あたり2,004億円に増額

出所:日銀、ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

4月の主な政策関連スケジュールは表5(次ページ)の通り。政府はゴールデンウィーク前に

緊急かつ大型の経済対策を策定する方針だ(後述)。26日は衆院静岡4区補欠選挙の投開

票日。自民党公認の元県議の新人深沢陽一氏と、野党各党が統一候補として支援する元東

京都議の新人田中健氏との一騎打ちの構図。景気後退懸念が強まり、かつ夏の東京五輪・

パラリンピックの開催延期が決まるなか、今回の補選の結果は安倍首相の政治判断(解散総

選挙の時期)に影響する可能性があろう。

-0.90

-0.80

-0.70

-0.60

-0.50

-0.40

-0.30

-0.20

-0.10

0.00

0.10

3/1 4/1 5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/1 11/1 12/1 1/1 2/1 3/1

レポ金利(T/N)

6カ月物TDB

3カ月物TDB

無担保コール翌日物(加重平均値)

(月/日)

(%)

-130

-120

-110

-100

-90

-80

-70

-60

-50

-40

-30

-20

-10

0

18/3 18/5 18/7 18/9 18/11 19/1 19/3 19/5 19/7 19/9 19/11 20/1 20/3

(ベーシスポイント)

(年/月)

3カ月物

6カ月物

ドル円ベーシス・スワップ

0

500

1000

1500

2000

500

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

1,500

1,600

1,700

1,800

1,900

2,000

15/03 15/09 16/03 16/09 17/03 17/09 18/03 18/09 19/03 19/09 20/03

(ポイント)

(年/月)

(億円)

TOPIX(左軸)

日銀ETF買入れ(右軸)

1,002億円(3/2、9、10、12、13)

1,204億円(3/17)

2,004億円(3/19, 23, 26)

日銀は ETF 買入を 2,004億円/回に大幅増額

【4 月の政策プレビュー】 政府はゴールデンウィーク

前に大型の緊急経済対策

を策定の方針

Page 32: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 32 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

表5:4月の主な政策関連スケジュール

出所:日銀、各種報道資料より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

新型コロナに対応した緊急経済対策(以下、緊急経済対策)の規模は、米国に倣って

「GDP比10%」、すなわち56兆円程度が目線になってきた。リーマン・ショック後の09年4月に

麻生内閣が策定した経済対策の事業規模が56.8兆円で(うち財政支出は15.4兆円、補正予

算計上は13.9兆円、国債増発は16.9兆円)、政府・与党はこれを上回る規模を目指している。

ただし、単体ではなく、昨年末に策定した経済対策との「合算扱い」の可能性もあるようだ。

「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」と名付けられた先の経済対策の事業規模は26.0兆

円(表6)。合算で「GDP比10%」とすれば、新たな緊急経済対策の事業規模は30兆円超のイ

メージだ。新型コロナでは、自然災害のようにインフラに被害が発生している訳ではない。また、

感染拡大が収束するまで、外出・旅行やイベントなど消費機会そのものが制約される。以上を

考えると、単体で56兆円の対策策定よりも、「19年末の経済対策と合算で事業規模56兆円超」

の方が現実的ではないか。時事通信も26日、「経済対策は事業規模30兆円超とされ、昨年末

に策定した経済対策(26兆円)と合わせるとリーマン・ショック時の経済対策(56.8兆円)を超え

る見込み」と報じている。

表6:昨年末に策定された「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」

出所:内閣府、各種報道資料より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

日 財政および政治関連 日 金融政策関連

1 3月調査・日銀短観(概要)

2 3月調査・日銀短観(全容)、「企業の物価見通し」

7 「生活意識に関するアンケート調査」

9 日銀支店長会議(黒田総裁挨拶)、地域経済報告

16

19 立皇嗣の礼 20前後? 「金融システムレポート」

21 「主要銀行貸出動向アンケート調査」

26 衆院静岡4区補欠選挙、投開票日 27 金融政策決定会合(1日目)

28金融政策決定会合(2日目)、「展望レポート」黒田総裁、記者会見

30 「当面の長期国債等の買入れの運営について」

G20財務相・中央銀行総裁会議(テレビ会議形式、~17日)

月末? 追加経済対策の策定

(兆円)

「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」

26 .0

12.8

13.2

3.8(19年度:0.7、20年度:2.4)

9.4【7.6】

4.4

予備費 0.1

補正予算計上 4.3

0.7

1.8

0.8

20年度予算・臨時特別措置

19年度予算(特別会計)

20年度以降の特別会計

事業規模

融資や民間支出

国・地方の財政措置

財政投融資

真水(国・地方の財政支出)   【うち国の財政支出】

19年度予算(一般会計)

新型コロナ対応の対策規

模 の 目 線 は 「 GDP 比

10%」

ただし、単体ではなく昨年

末の経済対策と「合算扱

い」の可能性も

Page 33: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 33 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

新たな緊急経済対策の目玉としては、「所得の減少した世帯への現金給付」が浮上してい

る(表7)。26日付の読売新聞は、公明党が「政府への提言に所得制限を付けた国民への現

金給付策を盛り込む方向で調整に入った」と報じている。「現金給付は消費よりも貯蓄に回る

ため景気浮揚効果は限定的」との指摘はあるが、政府は休業等に伴って収入が減った世帯

への所得補てんと割り切って行う可能性が高いのではないか。期限付きの商品券や旅行券の

配布も盛り込まれそうだが、使用期間は当然ながら感染症が収束した後になる。その他の対

策としては、消費税や法人税などの納付猶予、固定資産税の減税などがあがっている。ゴー

ルデンウィーク前に対策が固まれば、5月中にも20年度・補正予算が成立しよう。

表7:新型コロナ対応の緊急経済対策の骨格案

・所得が大幅に減少した世帯に現金給付。20万~30万円程度とする案も

・雇用維持の企業に賃金相当額の最大9割を補填

・固定資産税の減税で中小企業の資金繰りを下支え

・外食や旅行に使える割引券や商品券を発行(感染終息後に発行)

・コンサートなどのイベントチケットの購入代金の補助(感染収束後)

・全体でGDPの1割超にあたる事業規模に 出所:日本経済新聞、その他報道資料より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

日銀関係では、4月1日に3月調査・日銀短観(概要)が、2日にはその(全容)と「企業の物

価見通し」が発表される。短観の業況判断DIは大幅な悪化見込み。弊社は大企業・製造業の

「最近」が12月調査比6pt悪化の▲6と、13年3月調査(▲8)以来となる「悪い」超に転じると予

想している(詳しくは本レポートの『ファンダメンタルズアナリシス』を参照)。7日には「生活意

識に関するアンケート調査」(3月調査)が公表される。19年12月調査では、「現在の景況感DI」はその前の9月調査から▲13.3pt悪化の▲40.7だった。3月調査ではさらに低下している可能

性が高い。ちなみに、リーマン・ショック後の09年3月調査で同DIは▲88.9まで落ち込んだ。

異例のテレビ会議となる日銀支店長会議の開催は9日。インバウンド消費の急減、外出自

粛などを受けて、地域経済の判断も軒並み下方修正となろう。今週24日、日銀金沢支店の武

田吉孝支店長は北陸3県(富山、石川、福井)の経済環境について、新型コロナの影響から

『未曽有の状況になっている。製造業へもじりじりと波及し始めている』と強い懸念を示した。20日前後には「金融システムレポート」の公表がありそうだ。新型コロナが金融仲介機能にどのよ

うな影響を与えるのか、もし分析があれば興味深い。21日には「主要銀行貸出アンケート調査」

が発表される。銀行の貸出態度が厳しくなっていないか、日銀委員も注目しよう。

金融政策決定会合の開催は4月27日~28日。同会合でまとめられる「展望レポート」(経済・

物価情勢の展望)では、見通し期間が22年度までに延伸する。感染症の状況にもよるが、日

銀は3月会合で決めた時限措置を延長するとみる。具体的には、「新型コロナウイルス感染症

にかかる企業金融支援特別オペ」と「CP・社債等の追加買入れ」で、今の期限は20年9月末だ

(表8、次ページ)。新型コロナの景気への影響は長引くリスクがあり、3月会合後に夏の東京五

輪・パラリンピックの開催延期が決まったことを考えれば、時限措置を21年3月末などに延長す

るのではないか。

加えて、米ドル資金供給オペの日次オファー継続もあろう。日銀は3月21日、1週間物を週

次ベースから日次ベースにオファー頻度を引き上げ、「少なくとも4月末まで行う」と発表した。

今後の市場動向、およびFRBの意向次第ではあるが、日次オファー体制の延長もありそうだ。

緊急経済対策、目玉はや

っぱり現金給付?

日銀短観では業況判断 DIの大幅悪化が見込まれる

日銀金沢支店長『未曽有

の状況になっている』

4 月決定会合では 3 月に

決めた時限措置の延長を

決定か

Page 34: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 34 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

表8:4月会合では「企業金融支援のための措置」の期限延長を予想

出所:日銀より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

4月会合では、マイナス金利の深掘りや長期金利の誘導水準引き下げは想定せず。政策

当局者が懸念しているのは、経済活動の停滞長期化による企業の手元資金・運転資金の枯

渇、家計の所得喪失だ。少なくとも感染症が収束するまでの間、銀行を含む金融仲介セクタ

ーに企業金融を担ってもらわないと困る。そのため、英国中銀やFRBは金融緩和政策に加え、

銀行の資本制約の緩和策も発表した。マイナス金利の深掘りは、銀行がそのコストを(預金者

に)転嫁できない状況では、資本制約の緩和ではなくタイト化につながってしまう。

「展望レポート」の経済・物価シナリオ、および見通し数値は20年度を中心に下方修正され

よう。日銀が今年1月に示した見通し数値は表9の通りだったが、実質GDPは19年度の着地見

込みはゼロ%近く、20年度もゼロ%台前半に引き下げられるのではないか。新型コロナの終

息を前提に21年度はほぼ維持か。コアCPIについては、足元の原油急落とインバウンドを含む

消費の落ち込みを反映し、20年度を中心に見通しの下方修正が見込まれる。

表9:日銀が1月「展望レポート」で示した経済・物価見通し数値

注:矢印は10月からの変化の方向性

出所:日銀より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

(3月27日 14:00)

①企業金融支援のための措置

新型コロナウイルス感染症にかかる企業金融支援特別オペの導入。民間企業債務を担保(約8兆円<2020年2月末>に、最長1年の資金を金利ゼロ%で供給する新たなオペレーション(残高の2倍の金額を「マクロ加算残高」に加算)を導入する。同措置は、2020年9月末まで実施する。

②CP等、社債等

CP・社債等の追加買入枠を合計2兆円設け、CP等は約3.2兆円、社債等は約4.2兆円の残高を上限に買入れを実施する。増額買入れは、2020年9月末まで継続する(注:追加買入れ枠以外の既存のCP等、社債等については、引き続き、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する)

(1) 一層潤沢な資金供給の実施

(3)ETF・J-REITの積極的な買入れ

当面は、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的な買入れを行う(注:ETFおよびJ-REITの原則的な買入れ方針としては、引き続き、保有残高が、それぞれ年間6兆円、年間900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行い、その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする)

積極的な国債買入れなどのほか、(2)、(3)の手段も活用しつつ、当面、円資金の一層潤沢な供給に努める。 米ドル資金については、本日、日本銀行は、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、米国連邦準備制度およびスイス国民銀行と協調して、資金供給オペについて、貸付利率を0.25%引き下げるとともに、これまでの1週間物に加え、3カ月物を週次で実施することを公表した。これにより、米ドル資金の流動性供給にも万全を期す方針である

(2) 企業金融支援のためたの措置

(%、中央値、< >は大勢レンジ)

↑ 0.6 ↓ ↓

< 0.8 ~ 0.9 > < 0.6 ~ 0.7 > < 0.4 ~ 0.5 >

0.7

< 0.6 ~ 0.7 > < 0.6 ~ 0.8 > < 0.4 ~ 0.6 >

↑ 1.0 ↓ ↓

< 0.8 ~ 1.1 > < 1.0 ~ 1.1 > < 0.9 ~ 1.0 >

1.1

< 0.6 ~ 0.9 > < 0.8 ~ 1.2 > < 0.7 ~ 1.1 >

↑ 1.4 ↓

< 1.0 ~ 1.3 > < 1.2 ~ 1.6 >

1.5

< 0.9 ~ 1.2 > < 1.2 ~ 1.7 >

実質GDP消費者物価指数(除く生鮮食品)

(参考)消費税率引き上げ・教育無償化の影響を除くケース

19年度0.8 0.4

10月時点0.6 0.5

20年度0.9 0.9

10月時点0.7 1.0

21年度1.1

10月時点1.0

マイナス金利の深掘りは

想定せず、銀行の資本制

約緩和につながらず

「展望レポート」の経済・物

価シナリオは 20 年度を中

心に大幅下方修正か

Page 35: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 35 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

TREASURY アウトルック

整いつつある新型肺炎で不安定化した市場心理「好転」の条件 シニア・マーケットエコノミスト 井上 健太

ポイント

肺炎対応の政策初動遅れが債券売りの背景:先手を打てた中銀を擁する国の債券が買われた印象 市場の不安心理払拭は近い?- 2兆ドル米財政出動、信用不安回避に向けたFRBの決意を信じてみたい FRB 債券買い支え継続。YCC も辞さず。肺炎沈静化「後」に残る財政赤字は金利上昇トレンド入りもたらさず

激動の3月がようやく終わろうとしている。新型肺炎の感染拡大がパンデミックと化し、欧米

諸国で猛威を振るう中、FRBは3月3日1、15日2の緊急利下げでゼロ金利を復活。23日には

(明言こそしないが)フォワードガイダンス付き・量的緩和(QE4)に踏み切った(後述)。一瞬で

世界経済は財政・金融政策総動員の戦時モードへと突入した。本稿では①新型肺炎リスクに

さらされた世界の債券市場に関する現状認識、②市場の恐怖心理払拭には何が必要か?を

考えながら、③米国金利見通しのアップデートを実施したい。

表1:ゼロ金利に踏み切った米FRB、短期決戦の肺炎問題が鎮静化後は10年1.5%近傍へ反発を予想

[単位:%]

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年

7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 (予想) (予想) (予想)

1.75-2.00 1.50-1.75 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25 2.25-2.50 1.50-1.75 0.00-0.25 0.00-0.25 0.00-0.25

1.62 1.57 0.29 0.40 0.50 0.50 0.70 0.80 0.80 0.90 2.49 1.57 0.50 0.90 1.00

1.54 1.69 0.53 0.50 0.80 0.90 1.20 1.30 1.20 1.30 2.51 1.69 0.90 1.30 1.30

1.66 1.92 0.84 0.70 1.00 1.30 1.60 1.70 1.60 1.70 2.68 1.92 1.30 1.70 1.50

2.11 2.39 1.43 1.20 1.60 1.80 2.20 2.20 2.10 2.10 3.01 2.39 1.80 2.10 1.90

注:金利は期末値、成長率は年間値(前年比) 2.9 2.3 -1.4 2.0 2.2出所:ブルームバーグ、BEAより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成(予想は弊社:最終変更日は3月27日)

米国GDP成長率

FFレート(誘導目標)

2年国債利回り

5年国債利回り

10年国債利回り

30年国債利回り

2020年 2021年2019年

予想 予想

<債券市場に関する現状認識>

中国以外の地域でコロナ感染拡大が意識された2月、危機的状況に至った3月を振り返っ

てみると、肺炎リスクに対し、金融政策対応で後手に回っている国の債券が売られていた印象

がある(表2)。具体的には、

肺炎対応の政策発動で初動に遅れ → 景気後退が深刻化する懸念

→ より強力な財政拡張が必要 → 財政赤字の拡大 → 債券売り

といった負の連鎖。ただし、初動対応遅れの責任を通貨当局だけに押し付けるのは酷。今回

の肺炎対応は財政・政治の役割だ。ただし、その政治・財政が動くまでの時間稼ぎができるの

は金融政策しかない。そこで、中央銀行が政策の出し惜しみをすると、市場の恐怖心理・疑心

暗鬼に拍車がかかり、より強力な金融政策対応を迫られる。「何もできない or やりたくない」

から「今、何ができるのか?」へと発想の転換が素早く出来た中央銀行を擁する国の債券は、

肺炎リスクが意識される前の水準対比、金利水準が低下している。

1 詳細は 3 月 4 日発行・米国債投資の視点(No.478)「FRB 緊急利下げ:データ待ちから先手を打ったリスク潰し局面へ」をご参照ください。 2 詳細は 3 月 16 日発行・米国債投資の視点(No.483)「▲1%緊急利下げ:金融政策の関心は『米国債市場・機能回復』」をご参照ください。

新型肺炎で揺れた債券市

場の現状認識、不安心理

払拭の条件、金利見通し

への影響について論点整

肺炎対応の政策発動で初

動の遅れが債券売りの背

景:先手を打って素早く行

動出来た中銀を擁する国

の債券が買われた印象

Page 36: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 36 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

表2:コロナ対策(主要先進国の財政・金融政策対応 アップデート)

対象国(1)<フェーズ1> 3月6日:緊急対策予算成立(総額83億ドル) (1)3月3日:緊急利下げ▲50bp   ① ワクチンや治療薬の開発(30億ドル+) (2)3月12日:NY連銀声明   ② 感染防止策(22億ドル)  ① 買入対象の米国債の年限構成を変更   ③ 中小企業融資関連(10億ドル)、等   (短期債→全年限、残高に比例)(2)3月11日:トランプ⼤統領・国⺠向け演説  ② ⼤規模ターム物レポによる資金供給拡充   - 欧州からの渡航制限(30日間)、等 (3)3月15日:緊急利下げ▲100bp(3)3月13日:「国家非常事態」を宣言    +7000億ドルの資産購入(4)<フェーズ2> 緊急コロナ対策法案(下院案。上院も可決)   +ドルスワップライン増強で国際協調、等   ① 有休疾病休暇(従業員500人未満の企業と政府が対象) (4)3月17日:短期の信用供与策を増強   ② 食糧支援プログラム向け予算の増額    - CP資金調達ファシリティー(CPFF)を設立   ③ 失業保険給付の増強   (SPVに融資を提供。SPVがCPを企業から購入)(5)<フェーズ3> 2兆ドル規模景気対策(上院@3/25、下院採決@3/27予定) - プライマリーディーラー向け信用供与策発表   ① 中低所得者向けの現金給付 (財務省も為替安定化基金で100億ドル信用保証)   ② 中小企業向け融資3000億ドル (5)3月18日:MMF流動性ファシリティー ③ 企業支援5000億ドル (6)3月23日:米国債、MBS(CMBS含む)購入 ④ 医療部門支援、等   増額(市場機能が改善するまで:事実上無制限)

欧州 欧州委員会 3月13日:370億ユーロ(雇用対策、中小企業支援、等)←250億ユーロから増額     +加盟国の財政規律「弾力運用」を許容する方針3月16日:EUへの不要不急の渡航禁止を提案(30日間) 3月12日:ECBが資金供給策の拡充とQE拡⼤を決定

ドイツ 3月9日:経済対策パッケージ表明(時短勤務手当適用要件緩和やインフラ投資)  (現行政策と別枠で年末までに総額1,200億ユーロ)3月13日:約5,500億ユーロの融資支援(既存融資込み。新規は“必要あれば   *マイナス金利の深掘りは回避     ”930億ユーロ)等、感染拡⼤対策を発表3月23日:約7,500億ユーロ財政支援を政権承認(今年度1500億ユーロ国債発行)     → 憲法で定められている借り入れ制限を一時停止

フランス 企業向けの支援策(ただし、規模は不明) 3月18日:パンデミック緊急資産購入プログラム導入イタリア 3月11日:250億ユーロの経済対策(←3月5日発表の75億ユーロから増額)     (7,500億ユーロ)を緊急発表(〜20年末)スペイン 3月12日:180億ユーロ規模 → 17日:最⼤2000億ユーロの対策を表明英国 3月11日:300億ポンドの財政措置(税金納付の延期等の企業支援策、 3月11日:BOE 緊急利下げ(▲50bp)と

医療機関や公共サービスの強化・拡⼤など)を発表              中小企業向け融資促進策3月18日:総額3500億ポンドの⼤型対策を発表 3月19日:▲15bp利下げ、2000億ポンドQE再開、等2月13日:新型コロナウイルス対策第1弾(総額153億円) 3月13日:国債買入れオペ(2,000億円)     帰国者支援(30億円)、国内感染対策強化(65億円)、等 3月16日:臨時・金融政策決定会合2月25日:政府が新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を発表 (1)一層潤沢な資金供給2月27日:小中高・特別支援学校に3月2日から春休みまでの休校要請 (2)企業金融支援措置3月10日:緊急対応策第2弾とりまとめ (3)ETF(年間約12兆円が上限)・J-REIT     財政措置4308億円、金融支援1.6兆円   (約1,800億円上限)の積極的買入れ

出所:各種報道より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

財政政策 金融政策

米国

日本

<市場の恐怖心理払拭には何が必要か?>

この悪いループを断ち切るには、すべてを出し切るくらいの「思い切った政策対応」しかな

い。結局、政策対応の主役は「財政」であり、金融政策は後方支援に過ぎない。利下げで短

期的な市場の疑心暗鬼(が深刻化するの)を回避、且つ、短期的な企業・金融機関の資金繰

りを支え、事業継続をサポートするセーフティーネットを整備する。こうして時間を稼いでいる

間に、新型肺炎の沈静化を待つのと同時に、(感染防止策・休業支援等の「フェーズ1+2」対

策を整えた上で)政府・議会が「フェーズ3」対応として財政出動で需要を支えて景気後退を

防ぐ。(少なくとも)米国はその方向へしっかり動いている、と思っていた。実際、FRBは金融政

策対応で出来ることを全力でやっている。やらずに後悔するくらいなら、手を打って後悔した

方が良い、とのスタンスだ。今後も追加措置、例えば(議会の承認が必要だが)社債の直接購

入、イールドカーブ・コントロール(YCC)導入だって、必要ならば躊躇なく決断すると予想。も

市場の不安心理払拭は近

い?- 2 兆ドル規模の米

財政出動へ。信用不安回

避に向けた FRB の決意を

信じてみたい。必要ならば

米国債のボラ抑制を意図

した YCC も辞さず

Page 37: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 37 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

し、イールドカーブ・コントロールが導入されるなら、それは金利上昇(or 低下)を阻止するた

め、というよりも、米国債市場のボラティリティを抑止するためだろう。無制限の資産購入を3月

23日にFRBは導入済みゆえ、ターゲットとなる金利(やるなら10年ゾーン)を例えば「1%程度」

でピン止めするコミットメントが実行できる。他方、問題なのは議会。トランプ政権が本気の1兆

ドル超え財政出動を計画したものの、議会が11月の選挙を見据えて党派対立を立法措置の

立案プロセスに持ち込んでしまったため、なかなか纏まらない。待ったなしの財政対応が必要

という認識が、議会には欠如しているのだろうか? 最終的には、2兆ドル規模の財政出動がよ

うやく上院で可決。27日に下院で審議、可決できそうな雰囲気だ(東京時間:27日11時時点)。

現金給付から企業支援策に至るまで、大規模パッケージが出来上がる見通しが立った(表3)。

26日、パウエルFRB議長はNBCとのインタビューで「事実上、(今回の予算措置に含まれてい

る)財務省から損失補填は1ドル当たり、10ドル相当の融資をサポートするのに十分だ」と発言

3。「FRBの弾薬は尽きることはない」とも語っており、(財務省の支援を受け、後述する実質的

な量的緩和プログラム発動によって)FRBのバランスシート規模は(保有証券+特別目的会社

を通じた間接的な企業融資等の合計で)「10兆ドル」、現状から2.5倍程度まで膨張しても不思

議はない。

ここまで手を打てば、材料出尽くしで市場も「+α」の政策対応を要求しにくくなるのではな

いか。もう少し実現までには時間がかかるかもしれないが、株価・リスク資産の価格も底を打ち、

市場の恐怖心理も沈静化するのではないかと考えている。

表3:「2兆ドル規模」になった肺炎対応の米財政政策パッケージ概要(上院案・可決済み ⇒ 下院採決は27日の予定)

2兆ドル規模の肺炎対応経済対策パッケージの概要(上院案@3/25可決)① 現金支給 - $1,200 (調整後の所得が個人:$75,000、夫婦:$150,000まで)   → 所得制限を超えた場合、所得$100毎に$5支給額を削減 - 子供1人につき更に$500② 失業保険給付の拡充 - 4か月間、週600ドルの支給増額 - 非伝統的な被雇用者(フリーランス等)へも支給対象を拡大③ 中小企業向けローン($350 billion) - 融資を給与支払い、家賃や利子支払い、光熱費に使えば債務免除 - 既存ローンの債務免除向けに(数十億ドル)④ 企業支援($500 billion:多くがFRB貸出プログラムの保証) - 援助を監視するinspector generalとoversight boardを設置 - 安全保障に不可欠な企業支援(例:Boeing、GE)⑤ ヘルスケア提供者への支援($100 billion)⑥ 医療機器の備蓄($16 billion)⑦ 州・地方政府への直接支援($150 billion)→州知事から不十分との訴えも出所:3/25 WSJ「Senate Passes Massive Stimulus Package as Coronavirus Takes Toll」

3 「$1 of loss-absorption is worth $10 worth of loans」と議長は発言。

Page 38: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 38 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

<米国債金利見通し>

本来、今回の新型肺炎に伴う世界経済・市場の混乱は「短期決戦」の性質をもったリスクの

はずだ。政策対応で抑え込みが可能。短期的な経済活動停止に伴うコスト(20年4-6月期の

GDP成長率は前期比年率▲15%近い急減速が見込まれる)は甚大ではあるものの、米疾病

対策センター(CDC)が勧告した「50人以上のイベント8週間中止・延期」で済めば、20年後半

の経済活動は持ち直すはず。08年の金融危機当時のように金融機関の信用不安を誘発した

ら話は変わってくるが、企業の資金繰り支援を必死に強化する各国中央銀行の対応をみると、

肺炎問題は、企業破綻→金融システム不安につながるような性質のリスクではない、との見立

てで良いのではないか。当方としては中央銀行を信じてみたいと思う。

想定通り、新型肺炎が沈静化へと向かったとして、その後、を展望してみたい。一体、何が

残された課題なのか? ワクチン開発等、再発防止対応は当然のこととして、市場参加者にと

って気がかりなのは各国で膨らむ「財政赤字」だろう。しかし、新型肺炎を契機に供給圧力が

世界の金利上昇トレンドをもたらす、とは考えにくい。その理由は2つある。まず、財政赤字と

金利の長期安定的な関係は(実証分析等から判断して)失われており、市場が落ち着けば、

供給懸念に起因した条件反射的な債券売りも沈静化しよう。また、FRBはじめ中央銀行は積

極的な資金供給を続けざるを得ず、その資金回収ができる見込みが立たない。新型肺炎によ

って職を失ってしまった労働者の再就職だって、そう簡単ではないだろう。すぐには平時に戻

れない。危機の後遺症が労働市場に残る事態は、過去、金融危機で見てきた状況だ。そうな

れば、金融政策の正常化はまだまだ先のこと。金融危機ほど長きにわたって後遺症が残ると

は思わないが、米国の場合、金融政策正常化は出来ても22年の中間選挙後との見立て。こう

した状況を鑑みると、金余り状態が今まで以上に顕著となる今後、市場沈静化とともに(足元

ではスプレッドのワイドニングが進んでいる)モーゲージや外債クレジットを含む米国債券へと、

利回りを求める資金の回帰が進むと予想。政策対応に出尽くし感が出る程度の思いきった措

置を米議会が決断できそうなので、早ければ4~6月期にでも市場に「買い」が戻ってくるので

はないか。

図1:マイナス金利導入は拒否、米イールドカーブの「ゼロフロア」は死守される見込み

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

m01 m03 m06 y01 y02 y03 y05 y07 y10 y20 y30

(%)

注:1.当方作成のマクロファイナンスモデルを用いた推計結果

2.ストリップス債の利回り(=ゼロクーポンレート、月中平均)を用いて推計したカーブを用いて推計

出所:商務省、労働省、Bloomberg等より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

実績値(補完)@18/12

19/12 vs 20/12 vs 21/12

低インフレ、利回り追求で

イールドカーブがフラット化

15/12(利上げ開始)

21/12

22/12

19/12

20/12

メイン

シナリオ

17/12

FRB が事実上、債券買い

支えを継続、肺炎沈静化

「後」に残る財政赤字は金

利上昇トレンド入りをもた

らさず

Page 39: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 39 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

参加者少ない状況で流動性が乏しい市場環境は20年4-6月期も継続する見込み。米国債

金利はボラティリティが高い状況が、当面、続きそうだ。再度、金利上昇方向にボラティリティ

が上昇したら、FRBの国債買い入れによって金利上昇は阻止されよう。10年0.7%近傍での推

移が続く見通し(冒頭・表1)。その後、肺炎問題が(5月半ば以降の経済活動再開で)鎮静化

した後、米10年金利は21年に入ると1.5%を超えへ反転上昇を引き続き予想。イールドカーブ

は21年にかけて幾分スティープ化するとの見立てを中期的視点で維持したい(図1)。

本稿後半では、3月23日、遂にFRBが決断した(明言こそしないが)量的緩和(QE4)につい

て論じたい。米国債とMBSの追加購入策を発表、「円滑な市場機能を支え、広範にわたる金

融環境に対して金融政策を効果的に伝達することを支援するために必要な額」を購入し続け

る方針を示し、事実上、青天井での無制限資産購入への道を切り拓いた。同時に政府支援

機関(GSE)保証付きの商業用不動産担保証券(CMBS)も購入対象に追加。更に、社債市場

や証券化市場向け資金供給策の拡充にも踏み切った(表4)。市場の混乱を防ぐためなら何

でもやる決意を改めて表明した格好だ。

表4:新型肺炎対応での金融政策対応は、一気にゼロ金利+QE再稼働と躊躇なし

FRBによる新型肺炎対策・金融政策/流動性供給対応の推移(1)3月3日:緊急利下げ▲50bp(2)3月12日:NY連銀声明

 ① 買入対象の米国債の年限構成変更(短期債→全年限、残高に比例) ② ⼤規模ターム物レポによる資金供給拡充(3)3月15日:緊急利下げ▲100bp ① 数か月で米国債(5000億ドル)、MBS(2000億ドル)購入 ② ドルスワップライン増強で国際協調 ③ 公定歩合引き下げ(0.25%)で連銀窓口貸し出しの利用促進 ④ 預金準備率をゼロに ⑤ 金融機関に流動性や資本バッファーの利用を促した融資を推奨(4)3月17日:短期の信用供与策を増強 ① CP資金調達ファシリティー(CPFF)を設立   (SPVに融資を提供。SPVがCPを企業から購入) ② プライマリーディーラー向け信用供与策発表 (財務省も為替安定化基金で100億ドル信用保証)(5)3月18日:MMF流動性ファシリティー(MMLF) (その後、地方債を組み入れたMMFも対象に追加)(6)3月23日:米国債、MBS(CMBS含む)購入増額 ① 市場機能が改善するまで、事実上、無制限の資産購入(≒QE4) ② 最⼤3000億ドル規模でSPVを活用した信用供与策の拡充 (財務省も為替安定化基金で300億ドル信用保証)  1.発行市場での社債購入・信用供与ファシリティー(PMCCF)  2.流通市場での社債購入ファシリティー(SMCCF)   3.証券化商品担保融資ファシリティー(TALF)  4.MMF流動性ファシリティーを拡充  5.CP資金調達ファシリティーを拡充  6.中小企業向け事業貸付プログラムを作成中(近く公表予定)出所:FRBウェブサイトより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

遂に FRB がフォワードガ

イ ダ ン ス 付 き 量 的 緩 和

(QE4)へ:信用不安回避

に向けて何でもやる決意

を再表明

Page 40: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 40 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

市場の流動性が不足する中、値動きの激しい米国債市場を今は何とかFRBが力技で抑え

込んでいる印象。15日に発表した米国債(5000億ドル)、MBS(2000億ドル)の追加購入枠は

あっと言う間に使い切ってしまう勢い。米国債市場における機能低下を看過できずにゼロ金利

を含む政策発動(@3月15日)に踏み切ったFRBにとって、遅かれ早かれ、資産購入増額は

避けられない情勢だった。且つ、議会が党派対立を(一刻を争うはずの)新型肺炎対応・財政

支援策の作成プロセスに持ち込んでしまったため、週初に成立が期待されていた法案成立時

期が見通せなくなってしまった(→ようやく3月27日に可決見込み)。これでは、市場がモタナイ。

且つ、肺炎蔓延で経済活動が止まってしまい、事業継続資金の緊急支援が急務だった。

(FRBが直接、資金供給・資産購入はできないので、特別目的会社:SPVを経由した)最大

3000億ドル規模の信用供与策によって、社債担保(←直接、企業から社債を購入)の資金供

給(PMCCF)、流通市場での社債購入(SMCCF)、(前回の金融危機当時も発動実績がある)

高格付けの資産担保証券を担保にした融資プログラム(TALF)を発動(表4)。市場から一気

に資金が流出し、連鎖的な資金回収の取り付け騒動に至らぬよう、金融システムを守るため、

今、出来る限りの方策の実施(+その方針)をFRBは決断した。

23日のFRBによる政策対応から、金融面でのセーフティーネット構築策をこれまで以上に

拡充し、信用不安を何としても防ぎたい、という金融システム安定維持に向けた決意を感じと

れた。本来、新型肺炎は短期決戦型のリスクであり、政策対応で克服可能な性質のもの。手

に負えなくなるとしたら、広範な信用不安につながるときだ。それを防ぐべく、金融システムを

守るFRBの決意を尊重し、金融不安には至らず、20年末に向けて市場は正常化、とみる当方

シナリオを維持したい(表1・冒頭)。

図2:新型肺炎対応でFRBは証券無制限購入へ:証券保有規模は5兆ドル超えも

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

(%)

注:1. 17年9月に再投資停止開始決定、当初はUST▲60億ドル、MBS▲40億ドル。3ヶ月毎

同額上限引き上げ、UST▲300億ドル、MBS▲200億ドルで19年7月末までバランスシート縮小

2. 再投資再開後、MBS償還資金はUSTへ再投資(▲200億ドルが上限):毎月MBS償還=200億ドルと仮定3. 19年10月からB/S規模の再拡大決定(~20年6月+延長予想)+20年3月に7000億ドルの追加資産購入

出所:FRB統計、Bloombergより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成 ⇒ 無制限購入へ(@20年3月23日)

MBS(右メモリ)

FF金利・上限

(左メモリ)

Bill(右メモリ)

(10億ドル)

Notes & Bonds

(右メモリ)

予想

07/11の

BS水準

パウエル議長シナリオ

(17年11月末)

19年8月~

MBS償還資金

→USTへ

⇒再投資復活@20/3

無制限の

資産購入

(3月27日 12:00)

特別目的会社経由の資金

供給支援策拡充は事業資

金確保が急務な企業への

セーフティーネット拡充策

金融システムを守る FRBの決意を尊重し、金融不

安には至らず、20 年末に

向けて市場は正常化、と

みる当方シナリオを維持

Page 41: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 41 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

欧州債アウトルック

ユーロ圏経済物価・金利見通し:経済対策の効果は? マーケットエコノミスト 大塚 崇広

ポイント

成長見通しを再び下方修正。新型肺炎の悪影響が日増しに深刻化。20年前半の深刻な景気後退は不可避 各国が経済対策を策定も、失った所得をすべてカバーするのは困難。20年は年間でも深いマイナス成長に ドイツが7年ぶりに新規国債発行:ECBによるQEで多くがカバー可能。国債市場の需給緩和は限定的の公算

ユーロ圏経済物価・金利見通しをアップデートした(表1~2)1。前回に続き、2020年の成長

率見通しを大幅に下方修正。新型肺炎による悪影響が日増しに深刻化しており、3月分の主

要サーベイ・データも悲惨な結果であった。域内各国政府は大規模な経済対策を表明も、内

容は信用保証や企業・家計の資金繰り支援策が中心(表3)。金融危機の回避には役立つも

のの、厳格な移動制限が発動されている限り、経済活動の急縮小は避け難い。年後半は反

動による高成長を引き続き予想も、(現状の経済対策を以ってしても)失った家計所得のすべ

てをカバーするのは困難とみられる。2020年は年間の成長率としては欧州債務危機を超える、

リーマンショック以来の大幅なマイナス成長となろう。

ドイツは均衡財政の方針を一時棚上げし、1,560億ユーロの新規国債発行を決定。ただし、

ECBによるQE(昨年9/12の再開、今年3/12の追加枠、3/18の再追加枠)でその多くがカバー

可能であり、ドイツ国債市場の需給に与える影響は限定的であろう。

表1:ユーロ圏経済物価・金利見通し

[単位:%]

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年

7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 (予想) (予想) (予想)

実質GDP(前期比年率) +1.2 +0.5 ▲6.8 ▲18.9 +13.6 +4.2 +2.7 +1.9 +1.6 +1.2 +1.9 +1.2 ▲3.5 +2.4 +1.3

  (前期比) +0.3 +0.1 ▲1.7 ▲5.1 +3.2 +1.0 +0.7 +0.5 +0.4 +0.3 +1.2 +1.0 ▲2.7 +1.8 +1.8

個人消費 +2.0 +0.5 ▲10.9 ▲21.8 +17.3 +6.6 +2.8 +1.8 +1.4 +1.3 +1.4 +1.3 ▲4.6 +3.0 +1.1

総固定資本形成 ▲14.2 +17.9 ▲6.7 ▲13.2 +11.0 +4.6 +2.5 +2.1 +1.8 +1.4 +2.3 +5.5 ▲0.4 +2.6 +1.5

政府消費 +2.2 +1.4 +0.8 +2.0 +2.8 +2.4 +2.0 +2.0 +1.8 +1.8 +1.1 +1.6 +1.7 +2.2 +1.9

純輸出* +3.7 ▲3.1 +2.2 +0.7 ▲2.4 ▲0.6 ▲0.1 +0.1 ▲0.0 +0.4 +0.4 ▲0.4 ▲0.1 ▲0.4 +0.1

消費者物価(前年比) +1.0 +1.0 +1.1 +0.6 +0.9 +0.9 +1.2 +1.6 +1.5 +1.5 +1.8 +1.2 +0.9 +1.5 +1.5

同、コア +0.9 +1.2 +1.2 +1.0 +0.9 +0.8 +0.9 +1.1 +1.2 +1.2 +1.0 +1.0 +1.0 +1.1 +1.2

失業率 7.5 7.4 7.5 8.2 8.6 8.4 7.9 7.7 7.6 7.6 8.2 7.6 8.2 7.7 7.5

リファイナンス金利 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

預金ファシリティ金利 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.40 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50

2年ドイツ国債利回り -0.77 -0.60 -0.65 -0.75 -0.65 -0.65 -0.60 -0.65 -0.70 -0.75 -0.61 -0.60 -0.65 -0.75 -0.70

5年ドイツ国債利回り -0.77 -0.47 -0.55 -0.70 -0.55 -0.45 -0.40 -0.45 -0.55 -0.65 -0.31 -0.47 -0.45 -0.65 -0.55

10年ドイツ国債利回り -0.57 -0.19 -0.35 -0.50 -0.30 -0.20 -0.15 -0.20 -0.35 -0.45 0.24 -0.19 -0.20 -0.45 -0.35

2020 20212019年

予想 予想

注 :実質GDPの需要項目は前期比年率、*は成長率寄与度、年間成長率は上段が年間対比、下段が第4四半期対比。金利・国債利回りは期末値(今1-3月期は3月26

日現在の暫定実績値) 出所:Haver、Bloombergより三菱UFJモルガン・スタンレー証券(最終変更日:3月27日:予想は弊社)

1 域内個別主要国の成長見通しについては、後日公表予定。

2022 年までのユーロ圏経

済物価・金利見通し

Page 42: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 42 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

【経済】 ユーロ圏経済は、当面は新型コロナウイルスの感染拡大による悪影響で急激な悪化を余儀

なくされる。2020 年の前半は 2 四半期連続のマイナス成長に。20 年後半は反動によって高成

長を実現も、年間ベースではリーマンショック以来の大幅なマイナス成長に。21 年以降は、緩

和的な金融政策や拡張的な財政政策に支えられつつも、次第に巡航速度の成長に回帰して

いく。 【物価】 物価は、緩やかな上昇にとどまる。コア物価上昇率は、均してみれば 1%前後の推移が継

続する。2020 年は景気後退によって需給ギャップが大幅悪化。物価の基調に減速圧力がか

かることに。21 年以降は、成長の持ち直しがコア物価の加速圧力となりつつも、コア物価上昇

率は 1%半ばを超えず。 【政治】 財政政策:域内各国政府は新型コロナウイルスへの対応として大規模な経済対策を実施し

ていく。安定成長協定の例外規定適用で、イタリアを含む各国政府は財政規律違反を EU か

ら問われず。均衡財政の方針を一時棚上げとしたドイツは、国債市場残高が増加も、ECB に

よる QE が国債需給の支えに。 政治動向:ドイツは、CDU(キリスト教民主同盟)中心の政権が継続。フランスは、マクロン政

権による経済改革がある程度進展(2022 年の大統領選では同大統領が再選と想定)。スペイ

ンでは、極右 or 極左主導の政権は誕生せず、親 EU 路線が継続。イタリアでは、比較的不安

定な政治情勢が継続、経済改革は進まない。 【金融政策】 ECB は、金融市場や各国による経済対策の状況次第で QE を増額、ないし前倒しで購入す

る可能性も、マイナス金利の深掘りは回避。その後は、2020 年後半の成長反発を確認後、21年 1Q に QE のうち PSPP(国債購入等)の終了(その他の資産買入れは継続)を決定も、

TLTROⅢの提供期間を延長。ただし、提供金利の引き下げ期間は予定通りに 21 年 6 月に終

了。 【金利】 ドイツ長期金利は、しばらくの間は新型コロナウイルスの感染拡大への懸念が低下圧力に。

財政拡大への期待感が更なる低下を抑制しつつも、低水準での推移が継続する。2020 年の

半ば以降は、成長の反発に伴ってドイツ長期金利は上昇(イールドカーブにはスティープ化)。

もっとも、21 年入り後に反動による成長反発が一服し、巡航速度の成長に回帰していく中で、

ドイツ長期金利には再び低下(イールドカーブにはブル・フラット化)圧力がかかる。 各国の対独スプレッドは、当面はボラタイルな動きも、準コア国(やスペイン)であれば、大幅

には拡大せず。ただし、22 年フランス大統領選で“ルペン仏大統領”の誕生が意識される場面

があれば、一時的であれ、対独スプレッドが大きく拡大するリスクがある。

Page 43: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 43 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

(3 月 27 日 8:30)

表2:ユーロ圏国債利回り見通し(詳細)

[単位:%]

2020年 2021年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年

7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12

ドイツ 2年 -0.77 -0.60 -0.65 -0.75 -0.65 -0.65 -0.60 -0.65 -0.70 -0.75 -0.61 -0.60 -0.65 -0.75 -0.70

5年 -0.77 -0.47 -0.55 -0.70 -0.55 -0.45 -0.40 -0.45 -0.55 -0.65 -0.31 -0.45 -0.45 -0.65 -0.55

10年 -0.57 -0.19 -0.35 -0.50 -0.30 -0.20 -0.15 -0.20 -0.35 -0.45 0.24 -0.20 -0.20 -0.45 -0.35

30年 -0.07 0.35 0.10 -0.20 0.05 0.20 0.30 0.25 0.10 -0.05 0.88 0.35 0.20 -0.05 0.10

フランス 2年 -0.69 -0.59 -0.55 -0.65 -0.60 -0.60 -0.55 -0.60 -0.65 -0.65 -0.46 -0.60 -0.60 -0.65 -0.65

5年 -0.64 -0.30 -0.35 -0.45 -0.40 -0.35 -0.30 -0.30 -0.40 -0.45 0.04 -0.30 -0.35 -0.45 -0.40

10年 -0.27 0.12 0.00 -0.15 0.00 0.05 0.05 0.05 -0.05 -0.10 0.71 0.10 0.05 -0.10 -0.05

30年 0.55 0.92 0.80 0.35 0.60 0.75 0.85 0.85 0.70 0.55 1.63 0.90 0.75 0.55 0.65

イタリア 2年 -0.26 -0.05 0.15 0.15 0.15 -0.05 -0.10 0.05 0.10 0.10 0.47 -0.05 -0.05 0.10 -0.05

5年 0.21 0.68 0.65 0.60 0.65 0.55 0.50 0.65 0.75 0.70 1.80 0.70 0.55 0.70 0.60

10年 0.82 1.41 1.25 1.20 1.20 1.15 1.15 1.20 1.25 1.25 2.74 1.40 1.15 1.25 1.15

30年 1.91 2.47 2.20 2.00 2.05 2.05 2.10 2.25 2.30 2.20 3.53 2.45 2.05 2.20 2.15

スペイン 2年 -0.51 -0.39 -0.20 -0.35 -0.35 -0.40 -0.40 -0.35 -0.35 -0.35 -0.24 -0.40 -0.40 -0.35 -0.45

5年 -0.30 -0.08 0.10 -0.10 -0.05 0.00 0.00 0.10 0.05 0.00 0.34 -0.10 0.00 0.00 -0.10

10年 0.15 0.47 0.55 0.40 0.40 0.45 0.45 0.55 0.50 0.45 1.42 0.45 0.45 0.45 0.35

30年 1.05 1.32 1.35 1.05 1.15 1.20 1.25 1.35 1.30 1.20 2.61 1.30 1.20 1.20 1.10

(対独スプレッド)

フランス 2年 0.07 0.01 0.10 0.10 0.05 0.05 0.05 0.05 0.10 0.10 0.15 0.00 0.05 0.10 0.05

5年 0.14 0.17 0.20 0.25 0.15 0.10 0.10 0.15 0.20 0.20 0.35 0.15 0.10 0.20 0.15

10年 0.30 0.30 0.40 0.35 0.30 0.25 0.25 0.25 0.30 0.35 0.47 0.30 0.25 0.35 0.30

30年 0.61 0.57 0.65 0.55 0.55 0.55 0.60 0.60 0.60 0.60 0.76 0.55 0.55 0.60 0.55

イタリア 2年 0.51 0.55 0.75 0.90 0.80 0.60 0.50 0.70 0.80 0.85 1.08 0.55 0.60 0.85 0.65

5年 0.99 1.15 1.20 1.30 1.20 1.00 0.90 1.10 1.30 1.35 2.11 1.15 1.00 1.35 1.15

10年 1.39 1.60 1.60 1.70 1.50 1.35 1.30 1.40 1.60 1.70 2.50 1.60 1.35 1.70 1.50

30年 1.98 2.12 2.10 2.20 2.00 1.85 1.80 2.00 2.20 2.25 2.66 2.10 1.85 2.25 2.05

スペイン 2年 0.25 0.21 0.45 0.40 0.30 0.25 0.20 0.30 0.40 0.40 0.37 0.20 0.25 0.40 0.25

5年 0.47 0.40 0.65 0.60 0.50 0.45 0.40 0.55 0.60 0.65 0.65 0.40 0.45 0.65 0.45

10年 0.72 0.65 0.95 0.90 0.70 0.65 0.60 0.75 0.85 0.90 1.17 0.65 0.65 0.90 0.70

30年 1.12 0.98 1.20 1.25 1.10 1.00 0.95 1.10 1.20 1.25 1.74 1.00 1.00 1.25 1.00

2019年

予想予想

注 :期末値(今1-3月期は3月26日現在の暫定実績値) 出所:Bloombergより三菱UFJモルガン・スタンレー証券(最終変更日:3月27日、予想は弊社)

表3:欧州主要国による経済対策(コロナ対応)

財政措置 信用保証

EU

3/13:370億ユーロ規模のコロナ対策イニシアチブを発表…雇用対策、中小企業支援、等…財源はEU構造基金を活用(ユーロ共同債という話も)+安定成長協定の柔軟な運用(赤字拡大の許容)を表明3/20:EUの財政規律を全面的に一時停止する例外条項を発動を加盟国に提案

3/13:最大80億ユーロの融資保証(EU予算から10億ユーロ拠出)

ドイツ

3/9:経済対策パッケージを発表…時短手当の適用要件の緩和等(260億ユーロ)…インフラ投資の追加(2021年から2024年にかけて31億ユーロ/年、2030年までに計1,400億ユーロ)3/23:1 ,560億ユーロ規模(対GDP比約4.5%、a)の補正予算策定を発表(税収の落ち込み分を除くと1,225億ユーロ)…小規模事業者、自営業、フリーランスへの緊急援助(500億ユーロ)等…この他、経済安定基金を通じて、株式購入:1,000億ユーロ(b)、必要ならKfWへの融資:最大1,000ユーロ(c)…経済パッケージ全体としては7,560億ユーロ(a+b+c+d)…新規の国債発行は1,560億ユーロ(必要なら追加で最大2,000億ユーロ)

3/19:KfW(ドイツ復興金融公庫)を通じた最大約5,500億ユーロの融資支援を発表…4,600億ユーロは既存分。新規は“必要あれば”930億ユーロ3/21:経済安定基金を通じた企業債務保証(4,000億ユーロ〔d〕)

フランス3/17:450億ユーロ規模(対GDP比約1.9%)の企業向け支援策を発表…法人税や給与の支払い延期、破綻の危機にある企業は支払い免除

3/16:3 ,000億ユーロの融資保証を発表

イタリア3/11:250億ユーロ規模(対GDP比約1.4%)の経済対策を発表…医療体制強化、企業・家計向け資金繰り支援策、等※コンテ伊首相は追加策を検討中と表明(3/25)

スペイン

3/12:180億ユーロ規模(対GDP比約1.4%)の経済対策を発表…中小企業向け納税分割・延期(6カ月間)、医療体制の強化、等3/17:経済対策の強化を発表…融資保証(右)を除くと1,000億ユーロ。ただし、そのうち830億ユーロは民間資金の活用(正味の財政規模は170億ユーロ〔対GDP比約1.4%〕)

3/17:1 ,000億ユーロの融資保証を発表

非EU 英国

3/11:300憶ポンド規模(対GDP比1.4%)の経済対策を発表…コロナ対策としては120億ユーロ3/17:200億ポンド規模(対GDP比0.9%)の追加経済対策を発表…小売・観光・娯楽業を対象に事業税を全額免除(12ヵ月間)、等3/20:追加経済対策を発表(規模は不明)…休業中の従業者給与の80%を一人当たり月2,500ポンドを上限に補填、等

3/17:3 ,300億ポンドの融資保証を発表

出所:各国政府、各種報道より三菱UFJモルガン・スタンレー証券(最終変更日:3月27日、予想は弊社)

Page 44: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 44 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

このページに記載はありません

Page 45: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 45 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

外為ウォッチ

ドル円相場:「コロナ騒動」一巡後、近年見慣れたレンジ取引に復帰

チーフ為替ストラテジスト 植野 大作

ポイント

日本の会計年度末、四半期末を目前に新型コロナウイルスが大流行、ドル円相場も近年にない大荒れの展開

ただ、コロナ・パニックの勃発で米日金利差は長短とも下限に到達、金利差由来の円高余地は101円台で一巡

ドル円の値幅が広がっても、海外投機筋の持ち高は昔ほど膨らまず、国内FX勢の「ドル円回帰」がボラを抑制

日本の超低金利と国際収支の構造が変わらない限り、コロナ収束後のドル円は騒動前の横這いレンジに復帰

日本の会計年度末を目前に、ドル円相場は大荒れの展開だ。中国湖北省で発生した未知

の肺炎ウイルスが世界的大流行に発展して市場心理が急速に冷え込む中、3月9日には一時

101円19銭と、2016年10月3日以来、3年5ヶ月ぶりの安値圏まで急落する場面があった。2月

20日に記録した年初来高値の112円23銭から、僅か12営業日で▲11円04銭もの急落だ。ただ、

そこから一気に切り返し、24日には一時111円71銭と、僅か11営業日で10円52銭も反発した。

この間、他通貨市場でもドル全面高が進んでいたため、「ドル現金」に対する需要の急増がド

ル高の一因になったとの解説が専らだ。ただ、元々ドルで取引されている米株や米債や原油

などが売られて現金化されても為替需給には響かない。米国や中東などドル圏の投資家が四

半期末を目の前に「何らかの理由」で外貨資産の売却を余儀なくされたり、非ドル圏の債務者

がドル借金の返済に必要なドル調達を迫られたり、米系企業が四半期末を目前に海外利益

のドル転や外貨資産の売却に動いたりしたのかもしれないが、ほぼ同じ時期にクロス円市場

では急速な円の全面高も進んでいる(図表1)。日本の会計年度末には国内企業の海外利益

の里帰りなどによる円高圧力が強まる傾向もあり、ドル現金需要の逼迫が「ドル円」通貨ペアの

価格形成にどれほど響いていたのか、実際は良く分からない。その後は年度末に特有の本邦

勢のドル売り興味も観測されて上値を削られ、現在は108円台前半で取引されている。

図表1:米ドル実効為替指数(除く円)と日本円実効為替指数(除くドル)

注:国際決済銀行(BIS)の実効為替指数を2017年1-3月期=100に変換。 ドル指数から円、円指数からドルを除去する際の貿易ウェイトは、BIS公表の直近値を用いている。

出所:BISより三菱UFJモルガン・スタンレ

日本の会計年度末を目前

に、ドル円相場は急落後

に急騰する大荒れの展開

96

98

100

102

104

106

108

110

112

114

116

118

96

98

100

102

104

106

108

110

112

114

116

118

17/01 17/07 18/01 18/07 19/01 19/07 20/01

ストレートドル市場

ドル実効為替指数

(除く日本円、左軸)

クロス円市場

円実効為替指数

(除く米ドル、右軸)

↑ドル高↑

↓円安↓↓ドル安↓

↑円高↑

Page 46: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 46 -債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

ー証券作成

その時々の市場で注目されている流行テーマの移り変わりに応じて、進むべき方角を決め

る水先案内人がコロコロ変わり、マーケット・トークの主役となる「旬のネタ」の栄枯盛衰が目ま

ぐるしいのは、外国為替市場の日常だ。「多くの日本企業にとっての会計年度末であると同時

に海外勢にとっても四半期末」という非常に特殊な時期に「コロナ・パニック」が襲来して起きて

いるドル円相場の乱高下について「犯人探し」を試みても、真剣にやればやるほど、甲論乙駁

の神学論争に陥るのが関の山だ。万人が首肯する結論は出ないだろう。一つだけ明白なのは、

「昨年まで2年連続で10円未満の値幅に収まっていたドル円が、僅か23営業日の間に片道10円を超える強烈な乱高下に見舞われた」という事実だが、差し込む時も切り返す時も、恐らく

「スピード違反」を冒していた疑いが濃厚だ。永続性のある為替フローの所産だったとは到底

思えないが、市場で示されたプライスは常に正しいものとして受け入れざるを得ないにも関わ

らず、この間に起きた乱高下を事前に読み切っていた参加者は筆者も含めて皆無だったに違

いない。来月から始まる令和2年度のドル円相場にどんな展開が待っているのか、著しい不透

明感が覆い被さっている。以下、現時点における我々の見解を示しておきたい。

図表2:2020年-22年のドル円相場の見通し

出所:実績はブルームバーグ提供の週末値。予想は三菱UFJモルガン・スタンレー証券

結論から先に述べておく。新型コロナウイルスの大流行に伴う世界景気の悪化リスクは、今

月に入って日を追うごとに深刻化している。当面のドル円相場は、断続的な円高ショックの再

来に対する警戒感を解除できない日々が続くだろう。心理的節目の105円00銭を割り込む水

準に下ヒゲが伸びるリスクは、4月以降もしばらく残りそうだ。ただ、良くも悪くも「フォワード・ル

ッキング」な金融・為替市場の住人は、「想定外の出来事」や「未知の局面」に遭遇して群集心

理に巻き込まれると、「将来起きる(かもしれない)」 良の事態や 悪の事態を先走りして過

剰に織り込むことがよくある。後に詳述する理由から、今月9日に観測された1ドル=101円19銭までの差し込みは、「コロナ・パニック」がもたらした一時的なオーバーシュートによる「場外

乱闘」だった可能性が高い。その後のドル円相場はあっという間に切り返し、近年見慣れた

104円台~114円台までのレンジ取引の中心付近に戻っているが、間もなく開幕する令和2年

度を通じ、当該レンジを極端にハミ出すことなく1年を過ごすことになるだろう。過去1ヶ月間で

ドル円相場の振幅が急激に広がったことを踏まえ、目先2020年4-6月期の想定レンジの値幅

3月上旬に観測された1ド

ル=101円台までの差し

込みは、「コロナ・パニッ

ク」による「場外乱闘」

まもなく始まる令和2年度

のドル円相場に覆い被さ

る著しい不透明感

85円

90円

95円

100円

105円

110円

115円

120円

125円

130円

13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年

ドル円相場実績値

想定レンジ

Page 47: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 47 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

だけは若干拡げるが、「ドル円=概ね横這い」の予測パターンは変更しない(図表2)。そのよう

に考えている理由は、2つある。 第一に、今回一連のコロナウイルス騒動を経て、日米両国の金利差は、長短ともに「当面の

下限」をみた可能性がある。米国債市場で「コロナ・パニック」が当面の極致に達した3月9日、

米長期金利は一時0.31%台と史上 低記録を更新、相前後するタイミングでドル円も一時

101円19銭まで差し込んでいる。新型コロナの感染拡大で米国景気は間もなくリセッション入り

しそうだが、戦後の米国経済が経験した も長い後退局面は、リーマン・ショックの時の18ヶ月

だ。これから米国で起きそうな「コロナ不況」がどの程度の長さになるかは未知数だが、この先

2030年に至るまで、向こう10年間の米短期金利(≒政策金利)の期待の平均値が0.31%という

のは、流石に怖がり過ぎではなかろうか。後から振り返ってチャートを眺めてみると、当日だけ

異様に長い下ヒゲが米長期金利とドル円の両方で伸びており、見た目の印象からも、「やり過

ぎた感」が漂っている(図表3)。あの日の午後に我々が目撃した米長期金利の0.31%台が当

面の下限だった場合、日銀が長期金利の操作目標を現行の「ゼロ%程度」から引き上げない

限り、米日長期金利差の更なる縮小をテーマにしたドル円相場の101円割れはなさそうだ。

図表3:ドル円相場と米10年国債利回りの推移

注:折れ線は週間中央値、垂直縦線は当該週のザラ場の安値から高値までの変動域 出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

その後、3月15日に米連邦準備制度理事会(FRB)は緊急の連邦公開市場委員会

(FOMC)を開催、市場の要求に従う形で政策金利の誘導目標を「0.00%~0.25%」まで引き

下げたが、その後の記者会見でパウエル議長はマイナス金利政策の採用については否定的

な見解を示していた。かつてリーマン・ショック後の金融緩和局面でも米国はマイナス金利政

策には踏み込んでおらず、米国の政策金利には明確な「非負制約」があるとみる向きが多い。

実際、ブルームバーグ社が提供している米政策金利先物市場での織り込み度合いをみても、

少なくとも向こう約1年間は現行目標レンジの中央付近で推移するとみられており(図表4)、日

銀が短期政策金利を現行の▲0.1%に留め、副作用批判が強い「マイナス金利の深掘りカー

ド」を封印し続ける限り、当分の間は下限に達した日米政策金利差が全く動かなくなる可能性

が高い。まだかなり先の話になりそうだが、将来どこかで我々が新型コロナウイルスの制御に

成功する日が訪れた後、日米どちらが先に短期政策金利の引き上げに動く可能性が高いか

米国で「ほぼゼロ金利政

策」が復活、これ以上の利

下げ余地は消滅した

米長期金利の史上 低記

録=0.31%台は、「コロナ・

パニック」の極致で起きた

異常値か

0.0%

0.5%

1.0%

1.5%

2.0%

2.5%

3.0%

3.5%

4.0%

4.5%

5.0%

85円

90円

95円

100円

105円

110円

115円

18年1月 19年1月 20年1月

ドル円相場(左軸)

米10年国債利回り(右軸)

2020/3/9過去 低記録

0.3137%

2020/3/9101.19円

Page 48: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 48 -債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

と訊かれれば、おそらく米国と答える向きが大半なのではなかろうか。この先のドル円相場に

は下値深掘りの余地よりも、失地回復の余地の方があるように思える。

図表4:米政策金利先物市場での織り込み状況(2020年3月26日時点)

出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

図表5:シカゴ通貨先物市場ドル円持ち高とドル円相場

注:為替持ち高は毎週火曜の非商業と非報告の合計。為替は週平均。 出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

第二に、ドル円相場を取り巻く需給環境は相変わらず、「投機」、「投資」、「実需」の全分野

で一方的なドル安・円高やドル高・円安の進行を助長するような変化が起きていない。まず投

機筋の動きをみると、今月に入ってこれだけ派手に国内外で株価と金利が乱高下、ドル円の

予想変動率も急激に上昇した割に、海外短期筋によるドル円の買い越し/売り越し持ち高の振

幅はかつてほど広がっていない(図表5)。情報技術革新の恩恵を受けて市場参入してくるア

マチュアの個人投機家との「情報力格差」が急速に縮まる中、プロの機関投資家といえども、

「ドル円」通貨ペアほどの流通量があって参加者の多様性が増している市場で安定的な為替

米国株価と長期金利が派

手に動いた割に、海外投

機筋のドル円ポジションの

振幅は広がらず

70円

80円

90円

100円

110円

120円

130円-24万枚

-20万枚

-16万枚

-12万枚

-8万枚

-4万枚

0万枚

4万枚

8万枚

12万枚

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

↑円買い/円高↑

↓円売り/円安↓

シカゴ市場ドル円ポジション(左軸)

ドル円レート(右軸、逆目盛)

+7.7万枚

▲18.5万枚▲18.6万枚

+8.1万枚

0.000%

0.125%

0.250%

-0.25%pt

0.00%pt

0.25%pt現在 4月29日 6月10日 7月29日 9月16日 11月5日 12月16日 1月27日

予想利下げ/利上げ幅(左軸)

予想政策金利水準

(右軸)

Page 49: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 49 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

売買収益を確保するのは容易ではない。かつては恒常的に高いレベルで存在していた米日

短期金利差も殆どなくなったことから、平成の御世に猛威を振るっていた「円キャリートレード

の膨張と収縮」、或いは「一時的な円ロングの構築と整理」などを背景にしたドル円相場の乱

高下は、昔ほどのサイズ感では起き難くなっていると思われる。

業界知己の話を聞くと、ドル円相場の振幅が急速に広がったことにより、今月の本邦外国為

替保証金(FX)取引における「ドル円」通貨ペアの取扱高は流石に激増、2倍近くに跳ね上が

ったようだ。これまで「動かぬドル円」の副産物とみられていた本邦FX愛好者の「ドル円離れ」

に歯止めが掛かり、「ドル円回帰」の動きが活発だという。ただ、店頭FX業界が日本に根付い

て20年前後の月日が流れて本邦在住のドル円売買ファンの間に経験値の蓄積が進んだ結果、

かつてのような「万年ドル買い持ち超過」の傾向は薄れ、「下がれば買うが上がれば売る」とい

う是々非々のカウンター売買の担い手が増えているらしい。エントリーの注文レベルから「利食

い」や「ロスカット」を入れる手仕舞い注文までの値幅もかつてに比べると狭まっている印象が

あるそうだ。日本円絡みの為替取引において、平時においても、本邦FX取引業界が市場に

持ち込む為替売買注文の金額は機関投資家や事業法人を凌いでいるが、コロナ騒動による

在宅勤務者の激増や国際物流の停滞で、その差は更に開いていると推測される。ドル円相場

の振幅を抑える役割を果たしそうだ。

図表6:日本の国債利回りの推移

注:民間保有残高は、各銘柄の現存残高から日銀保有分を除いて計算。平均クーポンは現存残高による加重平均。 出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

本邦の機関投資家が置かれている非常に厳しい国内運用難の状況も全く変わっていない。

今月の金融政策決定会合で日銀は現行の「短期金利=▲0.1%、長期金利=ゼロ%程度」の

維持を決めたが、この政策が継続される限り、来年度以降も年間二十数兆円規模で満期を迎

える高利回りの長期債や超長期債の償還マネーの再投資先の選定に苦慮する国内の年金

基金、生命保険会社、公益財団諸法人などの運用担当者の悩みは「ただ時間が過ぎていく」

だけで深まっている(図表6)。世界でも も潤沢な流動性があって貴重なプラスの金利が相

対的に高いレベルで残っている米ドル建て債券への需要は、今後もドル円相場の水準に応じ

て湧出量が変化、上値を追いかけて買うフローにはならないが、下値をシッカリ買って支える

本邦機関投資家の対外証

券投資が、為替需給の調

節弁になって荒れた相場

の修復に動く

本 邦 外 国 為 替 保 証 金

(FX)取引の売買興味が

「ドル円回帰」も、値幅狭

めの逆張り売買が主流

-0.5%

0.0%

0.5%

1.0%

1.5%

2.0%

2.5%

3.0%

3.5%

-0.5%

0.0%

0.5%

1.0%

1.5%

2.0%

2.5%

3.0%

3.5%

10 11 13 15 17 18 20

長期金利(満期10年)

10年前の10年国債金利

超長期金利(満期20年)

19年度から償還される10年国債

2019年度 (301~307回債)

民間残高=19.2兆円、1.372%2020年度 (308~314回債)

民間残高=20.9兆円、1.129%

2021年度 (315~322回債)民間残高=21.9兆円、1.049%

2022年度 (323~328回債)

民間残高=23.0兆円、0.748%

19年度から償還される20年国債

2019年度 (43~45回債)

民間残高=1.9兆円、2.620%2020年度 (46~50回債)

民間残高=2.7兆円、2.208%

2021年度 (51~55回債)民間残高=2.9兆円、2.076%

2022年度 (56~61回債)

民間残高=3.6兆円、1.589%

20年前の20年国債金利

Page 50: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 50 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

「縁の下の力持ち」のような役割を果たし続けることになるだろう。特に注目されている年金系

の投資家は、一度決めた資産配分を変更しない限り、投資のルールを基本的には変えない

ので、短期的なショックで相場が荒れた後の修復に動くケースが多い。

ちなみに、3月24日以降に各種媒体が相次ぎ報じた通り、「年金積立金管理運用独立行政

府法人(GPIF)」は、来年度明けの4月1日から適用する新たな基本ポートフォリオを決定、これ

まで15%だった外国債への配分を25%、乖離許容幅6%に増やすようだ(図表7)。今年度の

途中からGPIFは四半期ごとの実際の投資配分の公表を中断しているため、今回の計画見直

しでどの程度のサイズで「オープン外債」の購入余地が広がるのかを推し量るのは難しい。た

だ、GPIFの運用資金は非常に巨額であり、歩調を合わせて資産配分を見直す3つの共済組

合のほか、一部民間の年金基金なども同様のポート見直しの是非を検討する可能性が高い。

「当該時点で未達」の外国債券に対する運用配分が数パーセント広がるだけでも、「円安系の

需給トーク」を刺激する可能性があり、今年の春先にも大いに話題になったように、実際に「信

託銀行の信託勘定」を通じた外債投資の金額が急増したりすると、市場で様々な思惑を呼ぶ

だろう。今後の続報に注目したいが、基本的には我々が従来から主張してきた日本からの対

外証券投資による為替需給の調節機能を強化する役割を果たすだろう。

図表7:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資産と運用配分

出所:年金積立金管理運用独立行政法人、各種報道より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

実需決済絡みの国際資本フローのバランスについても、基本的な見方は変わらない。3月

18日に発表された日本の2月通関貿易収支は1兆1098億円(原計数)の大幅黒字を計上して

いたが、新型コロナウイルスの拡散で経済活動が一時ストップした中国からの輸入の落ち込

みが主因だった。今後は日本からの輸出も落ちてくる可能性が高く、今後も日本の貿易収支

は均してみれば赤黒トントン状態が継続、輸入のドル決済比率の高さから、輸出入決済の現

場では「気持ちドル不足」の状況が続きそうだ。現在、日本の経常収支全体では海外からの

利息や配当で稼ぐ第一次所得収支を中心に年率20兆円前後の黒字になっているが、資本収

支の勘定ではほぼ同じ金額の対外直接投資の流出超過が続いている。実需絡みのドル円決

済のフローは、円高/円安のどちらか一方向にだけ偏った状態になっていないと推測される

(図表8、図表9)。コロナ騒動の影響で対外直接投資の勢いは一時的に鈍りそうだが、海外主

実需絡みのドル円決済の

フローは概ね拮抗した状

態が続いている

日本の 大手年金基金

が、来年度以降の外国債

券投資配分を引き上げ

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

50%

55%

60%

65%

70%

75%

60兆円

70兆円

80兆円

90兆円

100兆円

110兆円

120兆円

130兆円

140兆円

150兆円

160兆円

170兆円

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

国内債券

国内株式

外国債券

外国株式

短期資産

運用時価総額(左目盛)

2019年12月末=169.0兆円

35%

25%25%

15%

現状

国内債

国内株

外国株

外国債

25%

25%25%

25%

今後

国内債

国内株外国株

外国債

Page 51: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 51 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

要国や新興国の中央銀行がコロナ対応で軒並み大幅な利下げに踏み切った結果、国内外

の金利差は一気に縮小した。海外子会社の業績不振で配当収入も一時的には激減すると思

われ、第一次所得収支の黒字も、同じ理由でこれから少し目減りするだろう。

図表8:日本の経常収支の推移(季節調整済み3ヶ月移動平均年率)

出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

図表9:日本の直接投資収支とドル円相場

出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

昭和から平成の御世、日本が安定的かつ巨額の貿易黒字を計上し続けている中で対外証

券投資や直接投資の流出圧力も今ほど強くなかった時代は、ドル円相場の趨勢的なトレンド

は右肩下がりだったとみられる。だが、現在は貿易収支の黒字がほぼ消滅、国内の超低金利

の長期化と総人口の減少に対応して長期資本収支の勘定費目は、第一次所得収支の黒字

国際収支の需給構造は

「放置しておくと円高」とい

う状況ではなくなっている

-20兆円

-15兆円

-10兆円

-5兆円

0兆円

5兆円

10兆円

15兆円

20兆円

25兆円

30兆円

35兆円

-20兆円

-15兆円

-10兆円

-5兆円

0兆円

5兆円

10兆円

15兆円

20兆円

25兆円

30兆円

35兆円

96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18 20

サービス収支

第二次

所得収支

貿易収支

第一次所得収支

経常収支

Page 52: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 52 -債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

(≒経常収支の黒字)に匹敵できる赤字(=海外への流出超過)になっている。基礎収支の符

号条件に由来する長期のトレンドがドル高・円安方向に転じているとは思えないが、かつての

ように「放置しておくとドル安・円高」という環境ではなくなりつつある。この先5年後、10年後ま

でを見越した場合、日本の基礎収支に更なる構造変化が起きて、ドル円相場の趨勢を支配

するトレンドが再び「右肩下がり」に戻ったり、「右肩上がり」に転じたりする可能性はあるが、そ

のような国際収支の構造変化は非常にゆっくりとしか起きない。当面は「ドル円相場=概ね横

這い」の需給環境が継続する可能性が高いとみている。

図表10:ドル円相場の実績変動率と予想変動率

出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

以上の諸点を加味した上で、来月から始まる令和2年度のドル円相場の想定レンジについ

ては103円50銭~115円00銭に設定している。今月上旬に加速した101円台までの差し込みは

「異常値」だったと判断、夏頃までには世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が峠を越える

ことを前提に104円台~114円台のレンジ取引に戻る展開をイメージしている。今月に入って、

ドル円相場の値幅が1円未満に収まった日は3月4日と25日の2日しかなく、市場の3ヶ月物予

想変動率も依然として12%前後で高止まっているが(図表10)、日本の会計年度末と四半期

末を目前に国内外でボラを上げている特殊な需給は4月以降には姿を消す。近年になく荒れ

たドル円相場は次第に落ち着きを取り戻し、予想変動率も「一桁パーセント台」に戻っていく

のではなかろうか。「投機」、「投資」、「実需」の3分野で起きている為替需給環境の構造変化

がドル円相場の過度の変動を抑制すると同時に長期トレンドを概ね水平状態に保っている、と

いう我々の見方に誤りがなければ、この先のドル円相場は109円台を中心に±5円程度のレン

ジ内で推移、このところ急激に広がった日足や週足の値幅も次第に甘くなっていくだろう。

米トランプ政権発足後、NYダウ平均は就任当初から5割近くも上がった後に4割近くも急降

下、米10年国債利回りも70ベーシス以上も上昇した後に▲200ベーシスも低下したが、ドル円

相場の振幅は歴史的に見ると小さく、過去歴代の米大統領の治世下で観測された値動きに

比べると非常に低く抑えられている(図表11、図表12)。この間、「カーターショック(1978年11月)」、「プラザ合意(1985年9月)」、「LTCMショック(1998年10月)」、「ITバブル崩壊(2000年

代初頭)」、「リーマン危機(2008年9月)」など、10年に一度起きるような「想定外」のイベント・シ

ョックに巻き込まれる前後に観測されたドル円相場の暴れ方は、こんなものではなかった。為

期末絡みの特殊な需給で

荒れ気味の相場も、4月に

なると少しずつ落ち着きを

取り戻しそう

「トレンドレス」と「低ボラテ

ィリティー」が、ドル円相場

の「ニューノーマル」に

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

8.0%

9.0%

10.0%

11.0%

12.0%

13.0%

14.0%

15.0%

16.0%

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

8.0%

9.0%

10.0%

11.0%

12.0%

13.0%

14.0%

15.0%

16.0%

2015 2016 2017 2018 2019 2020

ヒストリカル

ボラティリティー

実績変動率

(3ヶ月、左軸)

インプライド

ボラティリティー

予想変動率

(3ヶ月、右軸)

Page 53: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 53 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

替相場に「たら」や「れば」は本来ないが、もしも「コロナ・ショック」が昭和の時代や平成の中頃

までに起きていたならば、恐らくドル円の暴れ方は「往復ビンタ11~12円程度」では済まなかっ

たのではないか。本稿で示した為替需給バランスの構図に明白かつ不可逆的な変化が訪れ

るまで、「トレンドレス」と「低ボラティリティー」が、ドル円相場の「ニューノーマル」となるだろう。

それを前提にした為替売買、資産運用、事業計画などの策定が求められている。

図表11:ドル円相場の実績変動率と予想変動率

出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

図表12:ドル円相場の推移(共和党政権) ドル円相場の推移(民主党政権)

出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

▲ 280

▲ 210

▲ 140

▲ 70

0

70

140

210

20

40

60

80

100

120

140

160

2017/1/20 2017/7/20 2018/1/20 2018/7/20 2019/1/20 2019/7/20 2020/1/20

(米大統領就任日=100)

ドル円指数(左軸)

高値:2017/3/10 115.51安値:2020/3/09 101.19

米10年債利回り変化幅(右軸)高値:2018/10/09 3.2594安値:2020/03/09 0.3137

NYダウ平均株価指数(左軸)高値:2020/02/12 29,568.57安値:2020/03/18 18,917.46

(米大統領就任日からの変化幅)

45

50

55

60

65

70

75

80

85

90

95

100

105

110

115

120

125

130

135

140

1年目 2年目 3年目 4年目

(米大統領就任日=100)

レーガン1期目

レーガン2期目

父ブッシュ

子ブッシュ1期目

子ブッシュ2期目

トランプ

45

50

55

60

65

70

75

80

85

90

95

100

105

110

115

120

125

130

135

140

1年目 2年目 3年目 4年目

(米大統領就任日=100)

クリントン1期目

クリントン2期目

カーター

オバマ1期目

オバマ2期目

Page 54: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 54 -債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

図表13:為替相場見通し

注:ドル円、ユーロ円の予測は小数点以下2桁、ユーロドルの予測値は同4桁を四捨五入。2020年1-3月期は3月26日までの暫定実績。弊社予想の 終変更日時は2020年3月27日8時00分

出所:ブルームバーグより三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

(3月27日 13:10)

予想 予想

2019年 2020年 2021年 2022年

1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期 1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期 (実績) (予想) (暫定) (想定)

レンジ 101.19-112.23 103.5-114.0 104.0-114.0 104.0-114.0 104.0-115.0 104.0-115.0 104.0-115.0 104.0-115.0 104.46-112.40 101.19-114.0 104.0-115.0 103.5-115.5

期末値 109.58 109.0 109.0 109.0 109.5 109.5 109.5 109.5 108.6 109.0 109.5 109.5

レンジ 116.13-122.87 114.6-126.8 115.5-127.6 115.5-127.6 116.0-129.3 118.2-131.5 120.4-133.7 120.4-133.7 115.87-127.50 114.6-127.6 116.0-137.8 122.0-139.7

期末値 120.91 121.0 121.5 121.5 122.6 124.8 127.0 127.0 121.8 121.5 128.1 132.5

レンジ 1.0636-1.1495 1.055-1.180 1.060-1.185 1.060-1.185 1.060-1.190 1.070-1.210 1.090-1.230 1.090-1.230 1.0879-1.1570 1.055-1.185 1.060-1.240 1.105-1.285

期末値 1.1032 1.110 1.115 1.115 1.120 1.140 1.160 1.160 1.121 1.115 1.170 1.210

2020年 2021年

ドル円[円/ドル]

ユーロ円[円/ユーロ]

ユーロドル[ドル/ユーロ]

Page 55: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 55 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

このページに記載はありません

Page 56: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 56 -

経済指標予想・イベント(2020 年 3 月 30 日~4 月 3 日分)

債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

予想値と実績値 市場予想 コメント

3/30

(月) 18:00 欧州委員会サーベイ 3月est. 65.0 93.1総合景況感指数 2月 103.5

1月 102.63/31 8:30 完全失業率 2月est. 季調値 2.4% 2.4%(火) 1月 同 2.4%

12月 同 2.2%8:30 有効求人倍率 2月est. 季調値 1.49倍 1.47倍

1月 同 1.49倍12月 同 1.57倍

8:50 鉱工業生産 2月est. 前月比 +0.5% +0.1%<速報値> 1月 同 +1.0%

12月 同 +1.2%8:50

10:30

14:00 新設住宅着工戸数 2月est. 前年比 ▲12.9% ▲14.7%1月 同 ▲10.1%12月 同 ▲7.9%

17:00

10:00

18:00 ユーロ圏HICP(速報値) 3月est. 前年比 +0.4% +0.8%(EU統一基準CPI) 2月 同 +1.2%

1月 同 +1.4%22:00 米S&Pコアロジック・ケースシラー住宅価格指数(1月分 市場予想 n.a、12月分 前年比 +3.75%)

23:00 米消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード 3月分 市場予想 119.0、2月分 130.7)

発表日・時刻 経済指標等

中国PMI(3月分、国家統計局)

水準としてはリーマンショックと同程度にまで急落へ

1月の求人倍率急低下は調査票の改訂(記入項目が増えた)が主因ではあるが、基調としては労働需給を示す指標は弱め

中国からの部品調達難による自動車の一時生産停止等で、予測指数(同+5.3%)から大幅下振れを予想

2年利付国債入札(発行予定額 2兆円程度)<12:35 結果発表>

季調値では1月から若干の持ち直しを見込むが、低迷を脱したとは言いにくい

日銀「当面の長期国債等の買入れの運営について」

商業動態統計(2月分 速報値)

海外

日本

海外

原油価格の急落による影響でヘッドラインの伸び率は大幅に縮小する見込み

Page 57: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 57 - 債券投資マンスリー2020 年 3 月 27 日

注: 1.*は未定。est.は予想値。市場予想(中央値)は各種サーベイより集計

2.発表時刻は日本時間。欧米については、0 時以降なら日本時間の翌日

出所:各種報道より三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券作成

予想値と実績値 市場予想 コメント

4/1 高等教育無償化スタート

(水) 8:50 日本銀行・企業短期経済観測調査(3月調査)

業況判断DI 6月est. ▲ 10 ▲ 14<大企業・製造業> 3月est. ▲ 6 ▲ 10

12月調査 0<大企業・非製造業> 6月est. 5 0

3月est. 11 512月調査 20

<中小企業・製造業> 6月est. ▲ 20 ▲ 233月est. ▲ 14 ▲ 1712月調査 ▲ 9

<中小企業・非製造業> 6月est. ▲ 9 ▲ 153月est. ▲ 1 ▲ 712月調査 7

2020年度設備投資計画

<大企業・全産業> 3月est. 前年比 ▲0.2% ▲1.6%<中小企業・全産業> 3月est. 前年比 ▲16.3% ▲21.1%

14:00

10:45 中国製造業PMI(3月分、財新)

21:15 米ADP雇用統計(3月分 市場予想 前月比 ▲10.0万人、2月分 同 +18.3万人)

23:00 米ISM製造業指数 3月est. 40.0 46.02月 50.11月 50.9

4/2 8:50

(木) 8:50

10:30

21:30 米貿易収支(2月分 市場予想 赤字額 433億ドル、1月分 同453億ドル)23:00

4/3 日本 10:20

(金) 21:30 米雇用統計 3月est. 前月比 ▲5.0万人 ▲10.0万人

<非農業部門就業者数> 2月 同 +27.3万人

1月 同 +27.3万人

米雇用統計 3月est. 前月比 +0.3% +0.2%<時間当り賃金> 2月 同 +0.3%

1月 同 +0.2%米雇用統計 3月est. 3.7% 3.8%<失業率> 2月 3.5%

1月 3.6%23:00 米ISM非製造業指数(3月分 市場予想 48.5、2月分 57.3)

海外

10年利付国債入札(発行予定額 2兆1,000億円程度) <12:35 結果発表>

米製造業受注(2月分 市場予想 前月比 n.a、1月分 同▲0.5%)3ヵ月国庫短期証券入札(発行予定額 5兆400億円程度) <12:30 結果発表>

統計調査週の失業保険申請は28.1万人のため、3月後半の申請急増の影響は事業所調査の雇用者数にはまだ反映されない可能性あり。低賃金の時給労働者が解雇されやすい分、テクニカルに平均時給は上ぶれする。無給の自宅待機は家計調査では失業扱いだが、回答者が正しく回答しないと実体より過少となる。

日本

海外

日本銀行・企業短期経済観測調査(3月調査分「企業の物価見通し」等)マネタリーベース(3月分)

3月18日からの米3大自動車メーカー生産停止や内外の経済活動停止拡大の影響で、40前後に低下する可能性大

日本

海外

新型コロナが幅広い業種の景況感を下押し、大企業・製造業では7年ぶりの「悪い」

超過へ。非製造業の悪化幅は規模を問わず製造業を上回る見込み

新車登録台数(3月分)

発表日・時刻 経済指標等

Page 58: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 58 - 債券投資マンスリー2020 年 3 月 27 日

マー

ケッ

トカ

レン

ダー

(20

20年

4月

分)

注:3

月27

日現

在。

刻は

日本

時間

。「*

」印は

日程

未定

所:発

表元

のホ

ーム

ペー

ジ、

各種

報道

等よ

り三

菱U

FJモ

ルガ

ン・ス

タン

レー

証券

作成

2930

311

2≪

債券

投資

ウィー

クリー

≫3

4高

等教

育無

償化

スター

ト08

:50

日銀

短観

〈3 月

調査

・全

容〉,

10:2

0 3 ヵ

月国

庫短

期証

券入

札08

:50

日銀

短観

〈3 月

調査

・概

要〉

「企

業の

物価

見通

し」

14:0

0 新

車販

売台

数(3

月)

08:5

0 マネタリーベース(3月

)10

:30

10年

利付

国債

入札

10:4

5 中

国製

造業

PMI 〈

財新

〉(3

月)

21:3

0 米

貿易

収支

(2月

)21

:30

米雇

用統

計(3

月)

21:1

5 A

DP雇

用統

計(3

月)

23:0

0 米

製造

業受

注(2

月)

23:0

0 米

ISM

〈非

製造

業〉(3

月)

23:0

0 米

ISM

〈製

造業

〉(3

月)

 

56

78

9≪

債券

投資

ウィー

クリー

≫10

1108

:30

家計

調査

・消費

動向

指数

(2月

)08

:50

国際

収支

(2月

)10

:20

6 ヵ月

国庫

短期

証券

入札

08:5

0 貸

出・預

金動

向(3

月)

08:3

0 毎

月勤

労統

計〈速

報〉(2

月)

08:5

0 機

械受

注(2

月)

10:3

0 5 年

利付

国債

入札

08:5

0 企

業物

価指

数(3

月)

10:3

0 30

年利

付国

債入

札14

:00

景気

ウォッチ

ャー

調査

(3月

)14

:00

消費

動向

調査

(3月

)10

:20

3 ヵ月

国庫

短期

証券

入札

13:3

0 生

活意識

に関す

るアンケート調査

日銀

支店

長会

議、

黒田

総裁

挨拶

14:0

0 景

気動

向指

数〈速

報値

〉(2

月)

日銀

地域

経済

報告

( さくら

レホ

゚ート)

(4月

)14:0

0 消

費活

動指

数(2

月)

臨時

FO

MC

議事

録〈3/15〉*

ASE

AN 首

脳会

議(ヘ

゙トナ

ム、

~9 日

)02

:00

米3 年

国債

入札

02:0

0 米

10年

国債

入札

21:3

0 米

PPI(3

月)

◎G

ood

Frid

ay(聖

金曜

日)

23:0

0 米

卸売

在庫

(2月

)米

国は

為替

市場

を除

き休

場23

:00

米ミシ

ガン

大消

費者

信頼

感指

数10

:30

中国

CPI ・

PPI(3

月)

  

  

〈速

報値

〉(4

月)

21:3

0 米

CPI(3

月)

02:0

0 米

30年

国債

入札

1213

1415

16≪

債券

投資

ウィー

クリー

≫17

1808

:50

マネ

ース

トック(3

月)

10:2

0 1 年

国庫

短期

証券

入札

10:2

0 3 ヵ

月国

庫短

期証

券入

13:3

0 鉱

工業

生産

< 確報

>(2 月

)13

:30

第3 次

産業

活動

指数

(2月

)

◎Ea

ster

Mon

day(

英、

独等

休場

)21

:30

米輸

入物

価指

数(3

月)

韓国

総選

挙G

20財

務相

・中

央銀

行総

裁会

議IM

F ・世

界銀

行春

季会

21:3

0 米

小売

売上

高(3

月)

( 米ワシントン

、~

17日

)( 米

ワシントン

、~

19日

)22

:15

米鉱

工業

生産

(3月

)21

:30

米フィラ

連銀

製造

業指

数(4

月)

11:0

0 中

国G

DP(2

0/1Q

)23

:00

米企

業在

庫(2

月)

21:3

0 米

住宅

着工

・許可

件数

(3月

)11

:00

中国

生産

・小

売・投

資(3

月)

03:0

0 米

地区

連銀

経済

報告

18:0

0 ユ

ーロ圏

CPI 〈

確報

値〉(3

月)

23:0

0 米

景気

先行

指数

(3月

)

1920

2122

23≪

債券

投資

ウィー

クリー

≫24

25【当

週】

08:5

0 貿

易統

計(3

月)

08:5

0 主

要銀

行貸

出動

向ア

ンケ

ート調

査16

:00

訪日

外客

数(3

月)*

10:3

0 2 年

利付

国債

入札

08:3

0 全

国CP

I(3月

)政

府月

例経

済報

告(4

月)*

09:0

0 公

社債

店頭

売買

高(3

月)

10:3

0 20

年利

付国

債入

札14

:00

景気

動向

指数

〈改

定値

〉(2

月)

08:5

0 企

業向

けサ

ービス

価格

指数

(3月

)14

:30

全国

百貨

店売

上高

(3月

)*10

:20

3 ヵ月

国庫

短期

証券

入札

14:0

0 全

国ス

ーハ

゚ー売

上高

(3月

)*13

:30

全産

業活

動指

数(2

月)

14:0

0  日

銀「金

融シス

テム

レホ

゚ート」

*

23:0

0 米

中古

住宅

販売

(3月

)17

:00

ユー

ロ圏

PMI 〈

速報

値〉(4

月)

17:0

0 ド

イツ

IFO

景況

感指

数(4

月)

23:0

0 米

新築

住宅

販売

(3月

)21

:30

米耐

久財

受注

(3月

)02

:00

米5 年

TIPS

国債

入札

2627

2829

301

2衆

院静

岡4

区補

欠選

挙投

開票

14:0

0 日

銀金

融政

策決

定会

合08

:30

完全

失業

率(3

月)

◎昭

和の

日08

:50

鉱工

業生

産< 速

報>(

3 月)

09:0

0 日

銀金

融政

策決

定会

合08

:50

商業

動態

統計

〈速

報〉(3

月)

15:3

0 黒

田日

銀総

裁記

者会

見14

:00

消費

動向

調査

(4月

)日

銀「経

済・物

価情

勢の

展望

」14

:00

住宅

着工

件数

(3月

)17

:00

当面

の長

期国

債等

の買

入れ

  

  

運営

につ

いて

02:0

0 米

2 年国

債入

札FO

MC

17:0

0 ユーロ圏マネ- サプライ(3月

)10

:00

中国

PMI 〈

統計

局〉(4

月)

02:0

0 米

5 年国

債入

札18

:00

ユー

ロ圏

景況

感サ

ーヘ

゙イ(4

月)

21:3

0 米

GDP

〈速

報値

〉(2

0/1Q

)18

:00

ユー

ロ圏

CPI 〈

速報

値〉(4

月)

(2月

)03

:00

FOM

C 〈結

果発

表〉

20:4

5 EC

B 理事

会〈結

果発

表〉

23:0

0 米

消費

者信

頼感

指数

(4月

)21

:30

米個

人所

得・消

費支

出(3

月)

00:3

0 米

2 年変

動利

付国

債入

札21

:30

米雇

用コス

ト指数

(20/

1 Q)

02:0

0 米

7 年国

債入

21:3

0 米

貿易

・卸

小売

在庫

< 速報

>(3 月

)

22:0

0 米

S&P コ

アロジッ

クCS

住宅

価格

指数

日月

火水

木金

10:3

0 国

債流

動性

供給

入札

(15.

5-39

年)

18:0

0 ユ

ーロ圏

GDP

〈暫

定速

報値

〉(2

0/1 Q

)

10:3

0 国

債流

動性

供給

入札

(5-1

5.5 年

)

17:0

0 業

態別

の日

銀当

座預

金残

高(3

月)

Page 59: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 59 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

マー

ケッ

トカ

レン

ダー

(20

20年

5月

分)

注:3

月27

日現

在。

刻は

日本

時間

。「*

」印は

日程

未定

所:発

表元

のホ

ーム

ペー

ジ、

各種

報道

等よ

り三

菱U

FJモ

ルガ

ン・ス

タン

レー

証券

作成

2627

2829

30≪

債券

投資

マンス

リー

≫1

208

:30

都区

部CP

I(4月

)10

:20

3 ヵ月

国庫

短期

証券

入札

10:3

0 国

債流

動性

供給

入札

(1-5

年)

14:0

0 新

車販

売台

数(4

月)

23:0

0 米

ISM

〈製

造業

〉(4

月)

ADB

総会

(仁

川、

~5 日

 

34

56

7≪

債券

投資

ウィー

クリー

≫8

9◎

憲法

記念

日◎

みど

りの

日◎

こど

もの

日◎

振替

休日

08:5

0 日

銀金

融政

策決

定会

合議

事要

旨08

:30

家計

調査

・消費

動向

指数

(3月

) 〈

3/16

〉08

:30

毎月

勤労

統計

〈速

報〉(3

月)

08:5

0 マ

ネタリー

ベー

ス(4

月)

10:2

0 3 ヵ

月国

庫短

期証

券入

10:2

0 6 ヵ

月国

庫短

期証

券入

札10

:30

10年

物価

連動

国債

入札

10:4

5 中

国製

造業

PMI 〈

財新

〉(4

月)

21:3

0 米

貿易

収支

(3月

)02

:00

米30

年国

債入

札11

:00

中国

貿易

統計

(4月

)21

:30

米雇

用統

計(4

月)

23:0

0 米

製造

業受

注(3

月)

23:0

0 米

ISM

〈非

製造

業〉(4

月)

 20

:00

英BO

E 金融

政策

委員

会23

:00

米卸

売在

庫(3

月)

02:0

0 米

3 年国

債入

札 〈

結果

・インフレー

ション

レホ

゚ート・

議事

録〉

21:3

0 米

労働

生産

性< 速

報値

>(20

/1Q

)

1011

1213

14≪

債券

投資

ウィー

クリー

≫15

1608

:50

日銀

「主

な意

見」〈4/

27,2

8 〉08

:50

国際

収支

(3月

)08

:50 マネーストック(4月

)08

:50

企業

物価

指数

(4月

)10

:30

30年

利付

国債

入札

08:5

0 G

DP〈1 次

速報

〉(1

9/1Q

)14

:00

景気

動向

指数

〈速

報値

〉(3

月)

14:0

0 景

気ウ

ォッチ

ャー

調査

(4月

)10

:20

3 ヵ月

国庫

短期

証券

入札

02:0

0 米

3 年国

債入

札10

:30

中国

CPI ・P

PI(4

月)

21:3

0 米

PPI(4

月)

21:3

0 米

輸入

物価

指数

(4月

)11

:00

中国

生産

・小

売・投

資(4

月)

【月

内】

21:3

0 米

CPI(4

月)

02:0

0 米

30年

国債

入札

18:0

0 ユ

ーロ圏

・GDP

〈速

報値

〉(2

0/1Q

)EU

財務

相理

事会

*02

:00

米10

年国

債入

札21

:30

米小

売売

上高

(4月

)ユ

ーロ圏

財務

相会

合*

22:1

5 米

鉱工

業生

産(4

月)

23:0

0 米

ミシガン

大消

費者

信頼

感指

〈速

報値

〉(5

月)

23:0

0 米

企業

在庫

(3月

)

1718

1920

21≪

債券

投資

ウィー

クリー

≫22

23【当

週】

08:5

0 G

DP〈1 次

速報

〉(1

9/1Q

)10

:20

1 年国

庫短

期証

券入

札09

:00

公社

債店

頭売

買高

(4月

)08

:50

貿易

統計

(4月

)08

:30

全国

CPI(4

月)

14:0

0 全

国ス

ーハ

゚ー売

上高

(4月

)*10

:30

5 年利

付国

債入

札13

:30

鉱工

業生

産< 確

報>(

3 月)

08:5

0 機

械受

注(3

月)

10:2

0 3 ヵ

月国

庫短

期証

券入

15:0

0 全

国百

貨店

売上

高(4

月)*

13:3

0 第

3 次産

業活

動指

数(3

月)

10:3

0 20

年利

付国

債入

札10

:30

国債

流動

性供

給入

札(5

-15.

5 年)

17:0

0 業

態別

の日

銀当

座預

金残

高(4

月)

16:1

5 訪

日外

客数

(4月

)

18:0

0 ド

イツ

IFO

景況

感指

数(5

月)

03:0

0 FO

MC 議

事録

〈4/

28,2

9 〉21

:30

米フィラ

連銀

製造

業指

数(5

月)

17:0

0 ユ

ーロ圏

PMI 〈

速報

値〉(5

月)

21:3

0 米

住宅

着工

・許可

件数

(4月

)18

:00

ユー

ロ圏

CPI 〈

確報

値〉(4

月)

23:0

0 米

中古

住宅

販売

(4月

)23

:00

米景

気先

行指

数(4

月)

02:0

0 米

10年

TIPS

国債入札

2425

2627

28≪

債券

投資

クォー

タリー

≫29

30【月

内】

08:5

0 企

業向

けサ

ービス

価格

指数

(4月

)10

:30

2 年利

付国

債入

札08

:30

都区

部CP

I(5月

)14

:00

消費

活動

指数

(3月

)*10

:30

40年

利付

国債

入札

08:3

0 労

働力

調査

(4月

)14

:00

景気

動向

指数

〈改

定値

〉(3

月)*

13:3

0 全

産業

活動

指数

(3月

)08

:50

商業

動態

統計

〈速

報〉(4

月)

政府

月例

経済

報告

(5月

)*08

:50

鉱工

業生

産( 速

報)(

4 月)

14:0

0 消

費動

向調

査(5

月)

14:0

0 住

宅着

工件

数(4

月)*

17:0

0 当

面の

長期

国債

等の

買入

れの

運営

につ

いて

◎米

休場

(Mem

oria

l Day

)22

:00 米

S&P コアロジックCS

住宅

価格指

数00

:30

米2 年

変動

利付

国債

入札

18:0

0 ユ

ーロ圏

景況

感サ

ーヘ

゙イ(5

月)

17:0

0 ユ

ーロ圏

マネ

ーサ

プラ

イ(4

月)

02:0

0 米

5 年国

債入

札21

:30

米・G

DP〈改

定値

〉(1

9/1Q

)18

:00

ユー

ロ圏

CPI 〈

速報

値〉(4

月)

23:0

0 米

消費者

信頼感

指数

(5月

)03

:00

米地

区連

銀経

済報

告21

:30

米耐

久財

受注

(4月

)21

:30

米個

人所

得・消

費支

出(4

月)

23:0

0 米

新築住

宅販売

件数

(4月

)00

:30

米2 年

国債

入札

311

23

45

610:0

0 中

国P

MI<

統計

局>(5

月)

10:3

0 10

年利

付国

債入

(3月

)

08:5

0 貸

出・預

金動

向(4

月)

日月

火水

Page 60: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 60 -

チャート集

債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

イールドカーブ

パーレート(5 年,10 年)

スプレッド(10 年-5 年,10 年-7 年)

イールドカーブの変化

パーレート(20 年,30 年)

スプレッド(20 年-10 年,30 年-20 年)

国債

出所:三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券

-0.6

-0.3

0.0

0.3

0.6

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

複利(%)

残存年

20/3/19 20/3/26

-0.20

-0.15

-0.10

-0.05

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

複利変化(%)

残存年1ヵ月前比 先週末比

Page 61: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 61 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

曲率(5 年-7 年-10 年,10 年-20 年-30 年)

クッション(3 ヵ月保有,ローリング基準)

15 年変動利付国債(終値-理論値)

曲率(5 年-10 年-20 年,7 年-10 年-20 年)

インプライドフォワードレート(6M)

ブレークイーブンインフレ率

国債(続き)

出所:三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券

-0.01

0.00

0.01

0.02

0.03

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

(%)

残存年

20/3/19 20/3/26

-0.4

-0.2

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

0 2 4 6 8 10

(%)

10年国債(20/3/19) 10年国債(20/3/26)

-5

0

5

19/12/26 20/01/26 20/02/26 20/03/26

(円)

-0.4

-0.3

-0.2

-0.1

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

19/03/26 19/06/26 19/09/26 19/12/26 20/03/26

(%)

#22#24

#21

#23

#20

Page 62: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 62 - 債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

フェアバリューからのかい離(10 年債中期セクター)

債券先物 20 日ヒストリカル/インプライド

スワップスプレッド(スワップ-国債パーレート)

フェアバリューからのかい離(10 年債長期セクター)

残存年毎の 20 日日次金利変化幅の標準偏差

スワップスプレッドの変化

国債(続き)

ボラティリティ

出所:三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券

スワップスプレッド

-3

-2

-1

0

1

2

3

-3

-2

-1

0

1

2

3

#32

9

#33

1

#33

3

#33

5

#33

7

#33

9

#34

1

#34

3

#34

5割高

割安

バーチャート:20日平均±1.8σ 20/3/26

(bp) (bp)

-3

-2

-1

0

1

2

3

-3

-2

-1

0

1

2

3

#34

7

#34

9

#35

1

#35

3

#35

5

#35

7

割高

割安

バーチャート:20日平均±1.8σ 20/3/26

(bp) (bp)

0

1

2

3

4

5

6

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

(bp/日)

残存年20/2/26 20/3/26

-0.4

-0.3

-0.2

-0.1

0.0

0.1

0.2

0.3

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

(%)

残存年

6M最大 75% 50% 25% 6M最小 20/3/26

-0.08

-0.04

0.00

0.04

0.08

0.12

0.16

0.20

0.24

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

(%)

残存年先週末比 先々週末比

Page 63: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 63 - 債券投資マンスリー2020 年 3 月 27 日

■円 債 市 場 分 析 チームのレポート

お知らせ

タ イ ト ル 媒 体

四半期

2・5・8・11月の終週末

毎月初月

毎月 終週末(クォータリー時を除く)

毎週末(月 終週末を除く)

IFIS

Bloomberg

外部メール

ホームページ

synerGy(掲示板)

冊 子

***

向こう1ヵ月の内外金融経済見通し債券・金融・経済トピック分析過去1カ月のマーケット・ダイアリーほか

***

内 容発行時期(原則)

債券市場見通し相場材料債券先物チャート

***

毎朝7:30頃

IFIS

Bloomberg

外部メール

ホームページ

synerGy(掲示板)日

IFIS

synerGy(掲示板)

イールドカーブ変化年限間/バタフライ/スワップ・スプレッドほか

**毎夕17:15頃まで

債券投資デイリー

マーケット・ダイアリー

債券投資マンスリー(ウィークリー:シナリオ特集号)

内外相場動向経済統計、財政・金融政策、要人発言などの相場材料の全記録

**

債券投資クォータリー(ウィークリー:シナリオ特集号)

債券投資ウィークリー

イールドカーブ・グラフ集

長期金利シナリオ、債券トピック分析景気・物価トピック分析ポリシーウォッチ債券需給分析

向こう2~3年の内外金融経済展望債券・金融・経済トピック分析過去1カ月のマーケット・ダイアリーほか

IFIS

Bloomberg

外部メール

ホームページ

synerGy(掲示板)

冊 子

****

タ イ ト ル 媒 体

* 債券市場のトピック分析

 *債券需給ナビゲーター

債券需給・投資家動向に関するトピック分析

 *

随 時

JGB羅針盤

金融政策ナビゲーター

ファンダメンタルズ・ナビゲーター

IFIS

外部メール

synerGy(掲示板)

IFIS

Bloomberg

外部メール

ホームページ

synerGy(掲示板)

住宅金融支援機構RMBSを含む国内市場と海外証券化商品の動向市場・商品

住宅金融支援機構RMBSに関するレポート*

 *

主要経済指標に対する速報コメント、景気・物価に関するトピック分析

*IFIS

Bloomberg

外部メール

synerGy(掲示板)

毎月

Mortgage Market Comment

ストラクチャードファイナンス・マンスリー

発行時期

日銀金融政策に関するトピック分析

内 容

Page 64: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 64 -債券投資マンスリー2020 年 3 月 27 日

■ 外 債 市 場 ・外 国 為 替 市 場 分 析 チームのレポート

タイトル 媒 体 内 容

米欧債券市場と外為市場の翌週の「プレビュー」「米国債投資の視点」、「欧州債投資の視点」、「外貨投資の視点」の再掲載・まとめを中心とした「トピックス」「金融市場動向」毎月末は「見通し特集」を掲載

*

*

*

外債投資ウィークリー 週 毎週末

IFISBloomberg

QUICK外部メール

ホームページsynerGy(掲示板)

発行時期(原則)

タイトル 媒 体

外貨投資の視点 *時宜に応じた為替市場の動向分析、旬の注目材料の解説や予測などを提供

欧州債投資の視点 随 時

IFISBloomberg

QUICK外部メール

ホームページsynerGy(掲示板)

*

米国債投資の視点*

欧州その他の経済指標、金融・経済政策イベント、金融市場動向等に関する速報レポート

米国の金融政策、主要経済統計、重要イベントに関する見通し・結果速報

発行時期(原則) 内 容

※ 各レポートのご要望、e メール/郵送先の変更等に関しましては、弊社営業担当者にお申し付け下さい

Page 65: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 65 - 債券投資マンスリー2020 年 3 月 27 日

■ W e b サ イ ト

URL(日本語版) http://www.sc.mufg.jp/wholesale/ws_report/index.html

Page 66: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

- 66 -債券投資マンスリー2020 年 3 月 27 日

■ B l o o m b e r g リ サ ー チ ペ ー ジ

ティッカー(日本語版) M U F I

ティッカー(英語版) M U F E

Page 67: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

Appendix A

アナリストによる証明

本レポート表紙に記載されたアナリストは、本レポートで述べられている内容(複数のアナリストが関与している場合は、それぞれのアナ

リストが本レポートにおいて分析している銘柄にかかる内容)が、分析対象銘柄の発行企業及びその証券に関するアナリスト個人の見解を

正確に反映したものであることをここに証明いたします。また、当該アナリストは、過去・現在・将来にわたり、本レポート内で特定の判

断もしくは見解を表明する見返りとして、直接又は間接的に報酬を一切受領しておらず、受領する予定もないことをここに証明いたします。

開示事項

三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社(以下「MUMSS」)は、MUMSS のリサーチ部門・他部門間の活動及び/又は情報の伝達、

並びにリサーチレポート作成に関与する社員の通信・個人証券口座を監視するための適切な基本方針と手順等、組織上・管理上の制度を整

備しています。

MUMSS の方針では、アナリスト、アナリスト監督下の社員、及びそれらの家族は、当該アナリストの担当カバレッジに属するいずれの企

業の証券を保有することも、当該企業の、取締役、執行役又は顧問等の任務を担うことも禁じられています。また、リサーチレポート作成

に関与し未公表レポートの公表日時・内容を知っている者は、当該リサーチレポートの受領対象者が当該リサーチレポートの内容に基づい

て行動を起こす合理的な機会を得るまで、当該リサーチに関連する金融商品(又は全金融商品)を個人的に取引することを禁じられていま

す。

アナリストの報酬の一部は、投資銀行業務収入を含む MUMSS の収益に基づき支払われます。

免責事項

本資料は、MUMSS が、本資料を受領される MUMSS 及びその関係会社等のお客様への情報提供のみを目的として作成したものであり、

特定の有価証券又は金融商品の売買の推奨、あるいは特定の証券取引その他の金融商品取引の勧誘又は申込みを目的としたものではあり

ません。

本資料内で MUMSS が言及した全ての記述は、公的に入手可能な情報のみに基づいたものです。本資料の作成者は、インサイダー情報を

使用することはもとより、当該情報を入手することも禁じられています。MUMSS は株式会社三菱 UFJ フィナンシャル・グループ(以下

「MUFG」)の子会社等であり、MUMSS の方針に基づき、MUFG については投資判断の対象としておりません。

本資料に含まれる情報は、正確かつ信頼できると考えられていますが、その正確性、信頼性が客観的に検証されているものではありませ

ん。本資料はお客様が必要とする全ての情報を網羅することを意図したものではありません。また、MUMSS 及びその関係会社等は本資

料に掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものでもなく、一切の責任又は義

務を負わないものとします。本資料に含まれる情報は、金融市場や経済環境の変化等のために、 新のものではなくなっている可能性が

あります。本資料内で示す見解は予告なしに変更されることがあり、また、MUMSS は本資料内に含まれる情報及び見解を更新する義務

を負うものではありません。ここに示したすべての内容は、MUMSS の現時点での判断を示しているに過ぎません。本資料でインターネ

ットのアドレス等を記載している場合がありますが、そのアドレス等が MUMSS 自身のものである場合を除き、ウェブサイト等の内容に

ついて MUMSS は一切責任を負いません。MUMSS は、本資料の論旨と一致しない他の資料を発行している、あるいは今後発行する場合

があります。また、MUMSS は関係会社等と完全に独立して資料を作成しています。そのため、本資料中の意見、見解、見通し、評価及

び目標株価は、異なる情報源及び方法に基づき関連会社等が別途作成する資料に示されるものと乖離する場合があります。

本資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券又は金融商品は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれら

に関する外部評価の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。

本資料は、お客様に対し税金・法律・投資上のアドバイスとして提供する目的で作成されたものではありません。本資料は、特定のお客

様のための投資判断に向けられたものではなく、本資料を受領される個々のお客様の財務状況、ニーズもしくは投資目的を考慮して作成

されているものではありません。本資料で言及されている有価証券や金融商品に関連する投資及びサービスは、全てのお客様にとって適

切とは限りません。お客様は、独自に特定の投資及び戦略を評価し、本資料に記載されている有価証券又は金融商品に関して投資・取引

を行う際には、専門家及びファイナンシャル・アドバイザーに法律・ビジネス・金融・税金その他についてご相談ください。

MUMSS 及びその関係会社等は、お客様が本資料を利用したこと又は本資料に依拠したことによる結果のいかなるもの(直接・間接の損

失、逸失利益及び損害を含みますが、これらに限られません)についても一切責任を負わないとともに、本資料を直接・間接的に受領す

るいかなる者に対しても法的責任を負うものではありません。 終投資判断はお客様自身においてなされなければならず、投資に対する

一切の責任はお客様にあります。

過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを示唆、又は保証するものではありません。特に記載のない限り、将来のパフォーマンス

の予想はアナリストが適切と判断した材料に基づくアナリストの予想であり、実際のパフォーマンスとは異なることがあります。従って、

将来のパフォーマンスについては明示又は黙示を問わずこれを保証するものではありません。

MUMSS その他 MUFG 関係会社等、又はこれらの役員、提携者、関係者及び社員は、本資料に言及された有価証券、同有価証券の派生商

MUMSS 及びその関連会社等は、本レポートに記載された会社が発行したその他の経済的持分又はその他の商品を保有することがあり

ます。MUMSS 及びその関連会社等は、それらの経済的持分又は商品についての売り又は買いのポジションを有することがあります。

MUMSS の役員(以下、会社法(平成 17 年法律第 86 号)に規定する取締役、執行役、又は監査役又はこれらに準ずる者をいう)は、

次の会社の役員を兼任しています:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。

Page 68: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

債券投資マンスリー2020 年 3 月 27 日

品及び本資料に記載された企業によって発行されたその他の有価証券を、自己の勘定もしくは他人の勘定で取引もしくは保有したり、本

資料で示された投資判断に反する取引を行ったり、マーケットメーカーとなったり、又は当該証券の発行体やその関係会社等に幅広い金

融サービスを提供しもしくは同サービスの提供を図ることがあります。本資料の利用に際しては、上記の一つ又は全ての要因あるいはそ

の他の要因により現実的もしくは潜在的な利益相反が起こりうることにご留意ください。なお、MUMSS は、会社法第 135 条の規定によ

り自己の勘定で MUFG 株式の取得を行うことを禁止されています。

本資料で言及されている有価証券、金融商品等は、いかなる地域においても、またいかなる投資家層に対しても販売可能とは限りません。

本資料の配布及び使用は、資料の配布・発行・入手可能性・使用が法令又は規則に反する、地方・州・国やその他地域の市民・国民、居

住者又はこれらの地域に所在する個人もしくは法人を対象とするものではありません。

英国及び欧州経済地域: 本資料が英国において配布される場合、本資料は MUFG のグループ会社である MUFG Securities EMEA plc. (以下「MUS(EMEA)」。電話番号:+44-207-628-5555)により配布されます。MUS(EMEA)は、英国で登録されており、Prudential Regulation Authority(プルーデンス規制機構、「PRA」)の認可及び Financial Conduct Authority(金融行動監視機構、以下「FCA」)と PRA の規制を

受けています(FS Registration Number 124512)。本資料は、professional client(プロ投資家)又は eligible counterparty(適格カウンター

パーティー)向けに作成されたものであり、FCA 規則に定義された retail clients(リテール投資家)を対象としたものではありませんの

で、誤解を回避するため、同定義に該当する顧客に交付されてはならないものです。MUS(EMEA)は、本資料を英国以外の欧州連合加盟

国においても professional investors(若しくはこれと同等の投資家)に配布する場合があります。本資料は、MUS(EMEA)の組織上・管

理上の利益相反管理制度に基づいて作成されています。同制度には投資リサーチに関わる利益相反を回避する目的で、情報の遮断や個人

的な取引・勧誘の制限等のガイドラインが含まれています。本資料はルクセンブルク向けに配布することを意図したものではありません。

米国: 本資料は Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. (以下「MUMSS」)によって作成されたものです。MUMSS は日本で証

券業務その他の金融商品取引業の登録を受けております。本資料が米国において配布される場合、本資料は MUFG のグループ会社である

MUFG Securities Americas Inc. (以下「MUSA」。電話番号:+1-212-405-7000) により配布されます。MUSA は、United States Securities and Exchange Commission(米国証券取引委員会)に登録された broker-dealer(ブローカー・ディーラー)であり、Financial Industry Regulatory Authority(金融取引業規制機構、「FINRA」)による規制を受けています(SEC# 8-43026; CRD# 19685)。本資料が MUSA の

米国外の関係会社等により米国内へ配布される場合、本資料の配布対象者は、1934 年米国証券取引所法の規則 15a-6 に基づく major U.S. institutional investors(主要米国機関投資家)に限定されております。MUSA 及びその関係会社等は本資料に言及されている証券の引受業

務を行っている場合があります。

本資料は有価証券の売買及びその他金融商品への投資等の勧誘を目的としたものではありません。また、いかなる投資・取引についても

いかなる約束をもするものでもありません。本資料は FINRA の規制に基づいて作成されています。本資料が米国で大手機関投資家以外の

個人に配布される限りにおいて、MUSA はその内容について責任を負っています。本資料の執筆者であるアナリストは、リサーチアナリ

ストとして FINRA への登録ないし FINRA の資格取得を行っておらず、MUSA の関係者ではない場合があります。したがって、調査対象

企業とのコミュニケーション、パブリックアピアランス、アナリスト本人の売買口座に関する FINRA の規制に該当しない場合があります。

FLOES は MUSA の登録商標です。

IRS Circular 230 Disclosure(米国内国歳入庁 回示 230 に基づく開示):MUSA は税金に関するアドバイスの提供は行っておりません。

本資料内(添付文書を含む)の税金に関する記述は MUSA 及び関係会社以外の個人・法人が本資料において研究する事項に関する勧誘・

推奨を行う目的、又は米国納税義務違反による処罰を回避する目的で使用することを意図したものではなく、これらを目的とした使用を

認めておりません。

日本: 本資料が日本において配布される場合、その配布は MUFG のグループ会社であり、金融庁に登録された金融商品取引業者である

MUMSS が行います。

国内株式の売買取引には、約定代金に対して 大 1.43%(税込み)(ただし約定代金 193,000 円以下の場合は 大 2,750 円(税込み))の

手数料が必要となります。

債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。

外国株式に関する資料は、Form 10-K 等当該外国法に基づく「有価証券報告書」と同等の公的書類、年次報告書(Annual Report)、四半

期報告書、アーニングリリース等の会社発表による公開情報をもとに作成しております。当社によるレーティング、投資判断、業績予想

等は含みません。また、データの取得・入力時期の違い等により、本資料と外国証券情報の数値等が異なる場合があります。

本資料で取り上げられている外国証券は、我が国の金融商品取引法に基づく企業内容の開示は行われておりません(金融商品取引法上の

情報開示銘柄を除く)。当該外国証券の開示情報は、主要取引所の所在する国の開示基準に基づいています。

外国株式を委託取引で売買する際は、現地委託手数料と国内取次手数料の両方がかかります。現地委託手数料等は、その時々の市場状況、

現地情勢等に応じて決定されますので、その金額等をあらかじめ記載することはできません。詳細はお取引のある部店までお問合せくだ

さい。国内取次手数料は、約定代金に対して 大 1.1%(税込み)の手数料が必要となります。外国株式を国内店頭取引で売買する際は、

対価のみの受払いとなります。外国株式は、為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。

非上場債券(国債、地方債、政府保証債、社債)を当社が相手方となりお買付けいただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。

債券は、金利水準の変動等により価格が上下し、損失を生じるおそれがあります。外国債券は、為替相場の変動等により損失が生じるおそ

れがあります。

シンガポール: 本レポートがシンガポールにおいて配布される場合、MUFG Securities Asia Limited Singapore Branch(以下、MUS(Asia) シンガポール支店)とのアレンジに基づき配布されます。MUFG Securities Asia Limited は香港の法律に準じた組織であり、Hong Kong Securities and Futures Commission(香港証券先物取引委員会;Central Entity Number AAA889)の規制を受けています。MUS(Asia) シンガポール支店は Securities and Futures Act (“SFA”) in Singapore の規制に基づき、キャピタルマーケッツ・サービス・ライセンス(“CMS

Page 69: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

債券投資マンスリー 2020 年 3 月 27 日

Licence”) を有しております。

本レポートの配布対象者は、Financial Advisers Regulation の Regulation 2 に規定される institutional investors、 accredited investors、 expert investors に限定されます。本レポートは、これらの投資家のみによる使用を目的としており、それ以外の者に対して配布、転送、

交付、頒布されてはなりません。本レポートが accredited investors 及び expert investors に配布される場合、MUS(Asia) シンガポール

支店は Financial Advisers Act の次の事項を含む一定の事項の遵守義務を免除されます。第 25 条:一定の投資商品に関してファイナンシ

ャル・アドバイザーが全ての重要情報を開示する義務、第 27 条:ファイナンシャル・アドバイザーが合理的な根拠に基づいて投資の推

奨を行う義務、第 36 条:ファイナンシャル・アドバイザーが投資の推奨を行う証券に対して保有する権利等について開示する義務。本

レポートを受領されたお客様で、本レポートから又は本レポートに関連して生じた問題にお気づきの方は、MUS(Asia) シンガポール支店

にご連絡ください。

香港: 本資料が香港において配布される場合、本資料は MUFG のグループ会社である MUFG Securities Asia Limited (以下「MUS(ASIA)」。電話番号:+852-2860-1500)とのアレンジに基づき配布されます。MUS(ASIA)は Hong Kong Securities and Futures Ordinance に基づい

た認可、及び Securities and Futures Commission(香港証券先物取引委員会;Central Entity Number AAA889)の規制を受けています。

本資料は Securities and Futures Ordinance により定義される professional investor を配布対象として作成されたものであり、この定義に

該当しない顧客に配布されてはならないものです。

その他の地域: 本資料がオーストラリアにおいて配布される場合、MUS(ASIA)又は MUS(SPR)により配布されています。MUS(ASIA)はAustralian Securities and Investment Commission (ASIC) Class Order Exemption CO 03/1103 に基づき、Corporations Act 2001 が定める

金融サービスの提供者によるオーストラリア金融業免許の保有義務を免除されています。MUS(SPR)は ASIC Class Order Exemption CO 03/1102 により同様に義務を免除されています。本資料はオーストラリアの Corporations Act 2001 に定義される wholesale client のみを

配布対象としております。本資料がカナダにおいて配布される場合、本資料は MUS(EMEA)又は MUSA により配布されます。MUSA は

international dealer exemption の措置により次の各州、準州において金融取引業者としての登録を免除されています:アルバータ州、ケ

ベック州、オンタリオ州、ブリティッシュ・コロンビア州、マニトバ州、ニュー・ブランズウィック州、ニューファンドランド・ラブラ

ドール州、ノースウエスト準州、ノバ・スコシア州、ヌナブト準州、プリンス・エドワード・アイランド州、サスカチュワン州、ユーコ

ン準州。 MUS(EMEA) は international dealer exemption の措置により次の各州において金融取引業者としての登録を免除されています:

アルバータ州、ケベック州、オンタリオ州、ブリティッシュ・コロンビア州、マニトバ州。本資料はカナダにおけるNational Instrument 31-103によって定義された permitted client のみを配布対象としております。本資料に含まれる情報は、いかなる場合においても、カナダの州、

準州において、目論見書、広告、公募又は特定の証券の売買の勧誘若しくは申込みを目的としたものではありません。また、いかなる場

合においても、本資料に含まれる情報は、カナダの州、準州において投資上のアドバイスとして解釈されるものではなく、また顧客のニ

ーズを考慮して作成されているものではありません。

本資料は、インドネシアにおいて複製・発行・配布されてはなりません。また中国(中華人民共和国「PRC」を意味し、PRC の香港特別

行政区・マカオ特別行政区、及び台湾を除く)において、複製・発行・配布されてはなりません(ただし、PRC の適用法令に準拠する場

合を除きます)。

Copyright © Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved.

本資料は MUMSS の著作物であり、著作権法により保護されております。MUMSS の書面による事前の承諾なく、本資料の全部もしくは

一部を変更、複製・再配布し、もしくは直接的又は間接的に第三者に交付することはできません。

〒100-8127

東京都千代田区大手町 1 丁目 9 番 2 号 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ

三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社

(商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号

(加入協会) 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引

業協会

Page 70: 債券投資マンスリー - 三菱UFJフィナンシャル・グ …債券投資マンスリー 2020年3月27日 - 4 - 3月の長期金利は、2日に2月末比 0.010%ポイントの

債券投資マンスリー

二〇二〇年四月