高度情報通信ネットワーク社会 における新たな展開 · 第 9章...

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高度情報通信ネットワーク社会 における新たな展開 9 第9章のポイント 第2部 文教・科学技術施策の動向と展開 「IT新改革戦略」(平成18年1月)において「次代のIT改 革を先導するフロントランナーとして世界に誇れる日本の国 づくりを進め,2010年度までにITによる改革を完成する」と いう目標が掲げられましたが,世界的な金融危機の我が国経 済への影響や新しい技術の登場など,「IT新改革戦略」策定 時には想定していなかった状況が生じています。文部科学省 としては,これらを踏まえ,更なる高度情報通信ネットワー ク社会に向けた施策に取り組んでいます。 本章においては,これらの取組について紹介するととも に,ICTの活用の新たな可能性とその実現に向けた取組につ いて,様々な角度から紹介しています。

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高度情報通信ネットワーク社会における新たな展開

第9章

第9章のポイント

第2部文教・科学技術施策の動向と展開

 「IT新改革戦略」(平成18年1月)において「次代のIT改革を先導するフロントランナーとして世界に誇れる日本の国づくりを進め,2010年度までにITによる改革を完成する」という目標が掲げられましたが,世界的な金融危機の我が国経済への影響や新しい技術の登場など,「IT新改革戦略」策定時には想定していなかった状況が生じています。文部科学省としては,これらを踏まえ,更なる高度情報通信ネットワーク社会に向けた施策に取り組んでいます。 本章においては,これらの取組について紹介するとともに,ICTの活用の新たな可能性とその実現に向けた取組について,様々な角度から紹介しています。

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302 文部科学白書2008

デジタルテレビの教育活用の促進

 平成 23 年 7 月,テレビはアナログ放送から地上デジタル放送へ移行します。

 これに伴い,学校現場ではデジタルテレビの特長を生かし,教育におけるテレビの利活用の幅が広がる

ことが期待されています。

 デジタルテレビの特長は,アナログテレビよりも高画質,高音質の映像を表示できることや,パソコン,

デジタルカメラや実物投影機との連携ができることなどがあげられます。

 文部科学省では,このようなデジタルテレビの特長を実際の授業の中で活用し,その学習効果や課題

を検討するため,「地上デジタルテレビ放送の教育活用促進事業」(平成 17 〜 19 年)「デジタルテレビ等

を活用した先端的教育・学習に関する事業」(20 年)を全国 11 地区 33 校で実施しました(参照:http://

www.chidigi.jp)。

 この事業において実施したモデル授業では,アナログテレビでは映し出すことの難しかった微細な生物

の動きを鮮明に映し出したり,台風を迫力ある映像と音響で映し出すことによって,児童生徒の強い興味・

関心を引き出し,学習への動機付けを高め,子どもたちの理解をさらに深めるという効果が実証されてい

ます。

 また,実物投影機やデジタルカメラをデジタルテレビと連携させ,教科書やノート,動画などをテレビ

画面に拡大して映し出すことで,指示内容を児童生徒に明確にかつ正確に伝えることもできます。

 さらに,電子黒板機能が加わると,直接画面に書き込んだり保存したりできます(「電子黒板活用ガイド」

参照:http://edusight.uchida.co.jp/e-iwb/)。なお,小学校外国語活動で使用する「英語ノート」を効果的

に学習することもできます。

 このように,今までの「見る」ことが中心であったテレビが,様々な利活用を可能とした「使う」テレビへ

と変わり,多様な授業や学習の機会の提供や,分かりやすい授業が展開され,児童生徒の思考力などの向

上が期待されています。

デジタルテレビの効果的な活用に関する実践研究事業ホームページ

インターネット上の世界地図を画面に表示

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第9章

高度情報通信ネットワーク社会における新たな展開

 文部科学白書2008 303

第 1 節 世界最先端の IT 国家に向けて

1 政府の IT 政策の推進 我が国の IT政策は,「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」(平成 13 年 1 月施行)

の下,「e-Japan 戦略」(13 年 1 月),「e-Japan 戦略Ⅱ」(15 年 7 月),「IT新改革戦略」(18 年 1 月)な

どに基づき,各府省庁が連携して積極的に進めてきました。

 「IT新改革戦略」においては,「次代の IT改革を先導するフロントランナーとして世界に誇れる日

本の国づくりを進め,2010 年度までに ITによる改革を完成する」という目標が掲げられましたが,

世界的な金融危機の我が国経済への影響や,クラウドコンピューティング*1 といった新技術の登場な

ど,現行戦略策定時には想定していなかった状況が生じています。このため,特に現下の経済危機を

克服するための 3か年緊急プランを平成 21 年 4 月に策定するとともに,今後中長期な新戦略を同年 6

月頃に取りまとめる予定です。

 文部科学省としても,これらを踏まえ,引き続き IT政策の推進に積極的に取り組んでいきます。

2 電子政府の推進 国民がより利用しやすいシステムの開発・整備に努めるとともに,IT技術の進化に対応した業務改

革を図るために,「電子政府推進計画」(平成 20 年 12 月 25 日 各府省情報化統括責任者(CIO)連絡

会議決定(一部改定))に基づき,主に次の施策に取り組むことにしています。

(1) 行政ポータルサイトの整備・連携強化①掲載情報の一層の充実と高齢者や障害者に配慮したホームページの作成など

②電子政府の総合窓口(e-Gov)(参照:http://www.e-gov.go.jp/)を通じた,手続案内,組織・制

度の概要,パブリックコメントなどの情報提供

(2) 業務・システムの最適化 「本省情報基盤システム」や「研究開発管理業務」,「文部科学省ネットワーク(共通システム)」に

ついて,最適化計画に基づきシステム開発を行い,職員などにおける業務処理の効率化や運用経費の

削減を推進しています。

第 2 節 将来の情報社会を担う 子どもたちのために 社会の情報化が急速に進展していく中で,子どもたちが情報や情報手段を主体的に選択し活用して

いくための個人の基礎的な資質(「情報活用能力」)を身に付け,情報社会に主体的に対応していく力を

備えていくことがますます重要となっています。学校においても,情報化への対応が強く求められて

* 1 クラウドコンピューティング データサービスやインターネット技術などが,ネットワーク上にあるサーバー群(クラウド(雲))にあり,ユーザーは今までのように自分のコンピュータでデータを加工・保存することなく,「どこからでも,必要な時に,必要な機能だけ」を利用することができる新しいコンピュータネットワークの利用形態。

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304 文部科学白書2008

第2部 文教・科学技術施策の動向と展開

おり,子どもたちがコンピュータやインターネット,デジタルカメラなどの ICTを活用して学習する

ことが日常的になりつつあります。

 また,「確かな学力」の向上につなげるため,「わかる授業」を実現する指導方法の一つとして,教

員が ICTを効果的に活用した授業を展開することが重要となっています。

 さらに,教員の校務事務の多忙化により,子どもたちと向き合う時間に充てる時間が不足している

ことが指摘されている中で,ICTを活用した校務の効率化が求められています。

 本節では,将来の情報社会を担う子どもたちのために,これからの学校に求められる教育の情報化

に対応するための各種取組について紹介します。

1 情報社会を生き抜くための教育の充実 子どもたちの「情報活用能力」を育成する情報教育は,子どもたちが「生きる力」を身に付ける上

で重要な教育であり,教育活動全体を通じて横断的に実施する必要があります。

 学習指導要領においては,情報教育を小・中・高等学校の各段階を通して体系的に実施することと

しており,総合的な学習の時間や「技術・家庭科」の技術分野,高等学校の共通教科「情報」におい

て実施されています。

 平成 20 年 1 月 17 日に,学習指導要領の見直しについてまとめられた中央教育審議会答申「幼稚園,

小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」においては,情報教

育について「子どもたちの発達の段階に応じた改善を図る必要がある」とする中で,各教科において,

コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用とともに,情報モラルについて,「指導の充実を図る」

ことが示されました。

 本答申を受けて,平成 20 年 3 月に小・中学校の新学習指導要領を告示しました。小学校の新学習

指導要領では,コンピュータなどの基本的な操作を身に付けることや各教科の授業において情報手段

(ICT)を適切に活用すること,道徳の時間の中で情報モラルの指導に留意するなどにより情報モラル

を身に付けることなどを明記しました。中学校の新学習指導要領では,小学校の学習を通じて習得し

たことを基盤として,コンピュータなどを主体的に活用できるように学習活動を充実すべきことや教

科「技術・家庭」の技術分野で,情報モラルに関する指導を重視することなどを明記しました。

 また,平成 21 年 3 月には高等学校の新学習指導要領を告示しました。普通教科「情報」においては,

情報活用能力を確実に身に付けさせるために,小・中・高等学校を通して体系化された情報教育の指

導内容を受けて,一部重複させるなどして指導を充実するとともに,内容に「情報モラル」を項目立

てし,情報モラルを身に付けさせる学習活動を重視しています。

さらに,新学習指導要領のもとで教育の情報化が円滑かつ確実に実施されるよう,教員の指導をは

じめ,学校・教育委員会の具体的な取組の参考にしていただくために,「教育の情報化に関する手引」

を平成 21 年 3 月に作成しました(参照:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1259413.

htm)。

2 「わかる授業」の実現と,子どもたちの興味・関心を高めるために(1)ICT を活用した教育の推進のための環境整備   学校の ICT環境整備については,「IT新改革戦略」に掲げられた目標の達成に向けて,教育用コン

ピュータ整備や超高速インターネット接続,さらには普通教室における校内 LAN(校内ネットワーク)

整備などに取り組んでいます。平成 20 年 3 月現在での進しんちょく

捗状況は,教育用コンピュータ整備につい

ては,1台当たり児童生徒数約 7.0 人,超高速インターネット接続については約 52%,また,普通教

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第9章

高度情報通信ネットワーク社会における新たな展開

 文部科学白書2008 305

室における校内 LAN整備については約 63%となっています。全国平均で見ると数値は伸びています

が,都道府県別に見ると,例えば校内 LANの整備率は,最大の岐阜県で約 91%,最低の青森県で約

35%と格差が見られます。

 また,平成 23 年 7 月にはアナログ放送が停波しますが,20 年 3 月末において学校で活用されてい

るテレビのデジタル化率は 1%に留まっています。

 そのような状況を受けて,整備の主体である地方公共団体の取組を促進,支援していきま

す(学校の ICT 環境の整備状況については,参照:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/

zyouhou/08092209.htm)。

(2) 教員の ICT 活用指導力の向上   子どもたちの学習内容や学習形態に応じて,5つの大項目と 18の小項目に分類した「教員の ICT活

用指導力の基準(チェックリスト)」(参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/02/07021604.

htm)を活用し,公立学校を対象として教員の ICT活用指導力の実態調査を行っています(図表

2-9-1)。この調査では,このチェックリストに基づき,項目別に 4段階(「わりにできる」「ややでき

る」「あまりできない」「ほとんどできない」)の自己評価を行う形で実施しており,平成 20年 3月現在

の調査結果は,高い割合の項目がある一方で,低い割合を示す項目も複数あることから,「IT新改革戦

略」などに掲げられた「教員の IT指導力の評価等により教員の IT活用能力を向上させる」という目標

の達成に向けて,更なる取組が求められます。文部科学省では,目標の達成のため,各種調査研究事業

などを通じて,地方公共団体や学校の取組を促進しています(教員の ICT活用指導力の実態については,

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/08092209.htmを参照)。

図表2-9-1 教員の ICT活用指導力の状況

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

61

A1 A2 A3

               小項目の種類A1~E2 の各小項目の内容については,「教員の ICT活用指導力チェックリスト」を参照(参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/02/07021604.htm)

(出典)文部科学省「平成 19 年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」

A4 B1 B2 B3 B4 C1 C2 C3 C4 D1 D2 E1 E2D3 D4

797671

5954 55 53

67

585156

66 67 68

59

74

57

平均 71% 平均 55% 平均 58% 平均 65% 平均 66%

※18 項目(A1~E2)ごとに 4段階評価を行い,「わりにできる」若しくは「ややできる」と 回答した教員の割合。

※「平均」は,各小項目別の割合の大項目内(A~E)における平均。

A: 教材研究・指導の 準備・評価などに ICTを活用する能力   (4項目)

B: 授業中に ICTを活 用して指導する能力   (4項目)

C: 児童・生徒の ICT 活用を指導する能力   (4項目)

D: 情報モラルなど を指導する能力   (4項目)

E: 校務に ICTを 活用する能力  (2項目)

(3)「確かな学力」の向上につながる ICT 活用   地域・学校によっては,様々な教科などにおいてコンピュータや電子黒板などの ICTを効果的に活

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第2部 文教・科学技術施策の動向と展開

用した授業が展開されています。平成 17 年度から 2年間にわたり実施した,「ICTを活用した指導の

効果に関する調査研究」では,ICTを活用することにより授業に対する子どもたちの興味・関心,満

足度が高まることや学力の向上につながること,に加えて教員の指導面でも,授業の質の向上などに

効果があることが示されました。

 文部科学省では,この効果について,平成 19 年度に実践事例に基づいて紹介する教員や保護者な

どを対象としたフォーラムを全国展開するとともに,児童生徒の学習場面における ICTの活用や指

導のポイントを分かりやすくまとめた「学力向上 ICT活用指導ハンドブック」(参照:http://www.

mext.go.jp/b_menu/houdou/20/07/08070107.htm)を 20 年 7 月に作成・公開するなど ICT活用の効

果について一層の普及を図っています。

(4) 先導的かつ効果的な取組に関する実践的な調査研究の実施   「IT新改革戦略」においては,① IT教育の充実,②学校の IT環境の整備,③教員の IT活用指導

力の向上,④校務の情報化の推進など,引き続き教育の情報化を重要な目標として掲げています。こ

れらの目標を達成し,教育の情報化を一層推進するためには,コンピュータや情報通信ネットワーク

などの ICTの急速な進展を見据えた,先導的かつ効果的な教育情報化の可能性について検証を行うこ

とが必要不可欠です。

 このため,これまで取り組んできた調査研究の成果などを受けて,教育の情報化に関する先導的か

つ効果的な実践研究を実施する「先導的教育情報化推進プログラム」を,平成19年度より開始しました。

本事業では 14 の団体を採択し,各採択団体において,3年間にわたる実践的な調査研究が進んでいま

す。21 年 2 月には,成果の普及を目的として,東京で中間成果発表会を実施し,教育委員会や学校関

係者など 200 名を超える参加がありました。

(5) 教育用コンテンツの充実・普及①理科ねっとわーく  

 科学技術振興機構は,科学技術・理科教育の充実を図るため,学校で利用できるデジタル教材を「理

科ねっとわーく」(参照:http://www.rikanet.jst.go.jp/)というウェブサイトを通じて無償で配信

しています。平成 21 年 3 月現在,119 タイトルの教材を提供し,約 4万 5 千人の登録教員が利用

しています。また,17 年 1 月からは児童生徒の自宅学習のため,一般家庭で利用が可能な一般公

開版(参照:http://rikanet2. jst.go.jp/)も提供しています。

②インターネット活用教育実践コンクール  

 平成 12 年度から,地域社会や学校などの教育における様々な活動の中で,インターネットを

有効に活用している優れた実践事例を表彰し,全国に広く紹介することにより,教育の情報化の

推進を図ることを目的とする「インターネット活用教育実践コンクール」を実施しています(参照:

http://www.netcon.gr.jp/)。

③文化デジタルライブラリー(参照:http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/)  

 インターネットを通じて舞台芸術の魅力を紹介する教育用コンテンツを学校などの教育機関をは

じめとして広く一般に公開しています。また,国立劇場各館の自主公演に関する上演記録や錦絵,

番付などの収蔵資料に関する情報をデータベース化して公開しています。この事業は,平成 12 年

度から日本芸術文化振興会が中心となって進めています。

(6) 教育情報ナショナルセンター(NICER)の整備   インターネット上には教育に役立つ情報がたくさんあります。しかし,目的の情報を見付けること

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第9章

高度情報通信ネットワーク社会における新たな展開

 文部科学白書2008 307

は簡単ではなく,また,有害サイトなどへのアクセスの危険性があるなど子どもが利用するには様々

な課題があります。

 国立教育政策研究所は,我が国の教育に関する中核的なWeb サイトである教育情報ナショナルセ

ンター(NICER:NationalInformationCenterforEducationalResources,参照:http://www.nicer.

go.jp/)を整備しています。このサイトでは,インターネット上にある教育・学習に関する情報を体

系的に整理し,「しょうがっこう」,「中学校」,「高等学校」,「先生」,「大学」,「生涯学習」といった

利用者分類に応じ,目的の情報を簡単に検索できるようになっています。

 NICERでは,平成 13 年 8 月にサイトを開設し,21 年 3 月現在で約 30 万件の情報を提供しています。

学校教育分野を中心に様々な教育用コンテンツがあり,日本地図から学校などの施設情報や地域の文

化に関することを調べて学習できる「日本を学ぶ」などの授業を支援するツール(道具),授業の実

践事例なども掲載しています。

 今後も継続的に情報を追加していくこととしており,特に利用者が求める情報の充実などを進めて

いきます。

(7)「e スクール 2008」の開催   平成 20 年 10 月に開催された第 20 回全国生涯学習フェスティバル「まなびピアふくしま 2008」で,

「eスクール 2008」を実施しました。これは,子どもたちが,コンピュータやインターネットに慣れ

親しみながら学ぶ様子や学習の成果を広く紹介することを通じ,教育の情報化を一層推進するため,

民間企業の協力を得て行ったものです。具体的には,オープン教室(ICTを活用した模擬授業),ブ

ース展示を通して,教育現場における ICTを効果的に活用した「わ

かる授業」の実践事例を多数紹介しました。なお,平成 21 年 10 月

30 日から 11 月 3 日まで開催される第 21 回全国生涯学習フェステ

バル「まなびピア埼玉 2009」で,「eスクール 2009」を実施するこ

ととしています(参照:http://e-school.nicer.go.jp/)。

(8) デジタルテレビの教育活用の促進   デジタルテレビは,従来のアナログテレビでは表現することのできなかったきめ細やかな美しい映

像や,高音質で迫力ある音響を表現することができます。また,パソコンや実物投影機との連携など,

デジタルテレビを教育現場で活用し,わかりやすい授業を広げることが可能となります。そのような

効果を十分に生かすためには,各教室に50インチ以上のデジタルテレビを配備することが重要です(図

表2-9-2)。

 学校のテレビのデジタル化の取組を促進するために,公立小中学校,特別支援学校におけるアンテ

ナなどの施設整備に要する費用については平成 21 年度予算にて,新たに補助対象になっています。

(9) 障害のある子どもたちへの支援   障害のある児童生徒については,情報活用能力を育成するとともに,障害を補完し,学習を支援す

る補助手段として,ICTなどの活用を進めることが重要です。

 国立特別支援教育総合研究所においては,障害のある子どもの情報活用能力の育成に資するため,

平成 19・20 年度から「障害のある子どものための情報関連支援機器等の活用を促進するための教員

映像マニュアル作成に関する研究」を実施しています。また,各都道府県の指導的立場に立つ教職員

を対象とした「特別支援教育専門研修」において,情報手段を活用した教育的支援に関する内容の充

実を図っています。このほか,各教育委員会などの研修の支援のための各種研修講義の配信や,発達

e- スクール 2008

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308 文部科学白書2008

第2部 文教・科学技術施策の動向と展開

障害教育情報センターWeb サイトにおける発達障害のある子どもの教育的支援に関する各種教育情

報の提供や教員向けの研修講義の配信,ポータルサイト「障害のある子どもの教育の広場」(参照:

http://www.nise.go.jp/portal/index.html)からの総合的な情報の提供を行っています。

図表2-9-2 デジタルテレビでひろがる授業

3 校務の情報化の推進 教員の校務を効率化し,児童生徒に対する教育の質の向上を図ることが求められています。このた

め,校務の情報化を推進することが求められており,例えば,教員一人一台のコンピュータ配備が国

家戦略の目標にも掲げられています。平成 20 年 3 月時点での教員の校務用コンピュータ整備率は 6

割程度にとどまっており,多くの教員が,自己のコンピュータなどを学校に持ち込んでいると考えら

れます。このことは情報セキュリティ上も問題があり,情報漏えいなども憂慮されます。また,校務

の情報化は,情報共有・発信による保護者や地域との連携にも役立つものと考えられ,その推進は重

要な課題となっています。このため,文部科学省としては,教員一人一台の校務用コンピュータや児

童生徒 3.6 人に 1台の教育用コンピュータの整備に向けて,地方公共団体に対し支援を行うとともに,

その整備に向けた取組を更に促していくこととしています。また,校務の情報化の推進に当たっては,

「教育の情報化に関する手引(本章第 2節 1)」に記載されているとおり,教育委員会や校長がリーダ

ーシップをとることが重要となります(図表2-9-3)。

4 学校の ICT 化のサポート体制の在り方と  その体制整備のための支援

 学校の ICT環境の整備や教員の ICT活用指導力の向上のためには,計画的な ICT環境整備や教員

の支援体制など,教育の情報化を計画的かつ組織的に展開するためのサポート体制を整備する必要が

あります。しかし,多くの学校や教育委員会において,体制整備が不十分となっています。

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第9章

高度情報通信ネットワーク社会における新たな展開

 文部科学白書2008 309

 このような状況から,教育の情報化の企画や調整を行う専門家などの配置や派遣など,学校の ICT

化のためのサポート体制の強化が必要となっています。文部科学省では,平成 19 年度に有識者から

なる「学校の ICT化のサポート体制の在り方に関する検討会」を行い,学校の ICT化のサポート体

制の具体的な在り方について検討しました。

 この検討を受けて,平成 20 年度から「教育情報化総合支援モデル事業」を新たに実施しています。

本事業では,学校や教育委員会における CIO(情報化の統括責任者)の配置,その CIO を核とした

ICT支援員の効果的な活用,コンピュータなどの ICT環境の計画的整備,教員の ICT活用指導力の

向上に向けた研修など,地域における学校教育の情報化推進体制の構築に意欲的に取り組む 5つの自

治体を採択して,支援を行っています。

図表2-9-3 校務の情報化のあるべき姿

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310 文部科学白書2008

第2部 文教・科学技術施策の動向と展開

No.

10情報モラル教育

 インターネットや携帯電話などの普及に伴い,子どもたちが違法や有害な情報にさらされたり,トラブルに巻き込まれる危険性が増大しています。時には,子どもたち自身が加害者となるケースも見受けられることから,適切に情報を取り扱う能力を育成するための「情報モラル教育」の重要性が指摘されています。 このような状況を踏まえ,文部科学省では,小・中・高等学校の学習指導要領を改訂し,「情報モラル教育」の充実を図ることとしました。小・中学校については平成21年度から,高等学校については22年度から,一部先行実施される新学習指導要領において「情報モラル」が含まれています。 また,平成20年7月には情報モラルの指導実践事例や指導に役立つリンク集などを紹介する『情報モラル指導ポータルサイト~やってみよう情報モラル教育~』(参照:http://kayoo.info/moral-guidebook-2007/)を作成し,インターネット上で公開するとともに,21年3月には子ども達に情報モラルの大切さを理解させるフォーラムを実施するなど,学校における情報モラル教育の一層の充実を図っています。 また,通信業界団体や総務省などと連携し,主に児童生徒を保護する立場にある保護者や教職員向けに,インターネットの安全・安心利用に関する講座(「e-ネット安心講座通信業界キャラバン」,通称「e-ネットキャラバン」)を実施しています(参照:http://www.e-netcaravan.jp/)。

5 子どもの携帯電話に関する問題への対応 近年の情報通信技術の発展に伴い,特にインターネットや携帯電話が急速に普及し,我々の生活に

欠かせないものとなっています。

 しかし,その一方で,インターネット上の違法・有害情報の問題やネット上のいじめなど,情報化

の影の部分が大きな社会問題となっています。

 文部科学省が平成 21 年 2 月に公表した「子どもの携帯電話等の利用に関する調査」の結果(速報)

によると,子どもは情報発信手段としてもインターネットを積極的に活用しているが,保護者はその

実態を認識していないこと,携帯電話をよく使う子どもは生活面への影響も見られること,インター

ネットなどの危険性に関する学習経験のある子どもは,利用マナーが身に付いている割合が多いこと

などが明らかになりました(参照:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/02/1246177.htm)(図

表2-9-4,図表2-9-5)。

 このように児童生徒や保護者に対する教育・啓発の重要性が改めて明らかとなった中で,文部科学

省としても,学校における情報モラル教育の推進(参照:第 2部第 9章コラム 10)や,携帯電話利用

に際しての意識啓発DVDやリーフレットの作成・配布等を通じて,有害情報対策に関する啓発活動

(参照:第 2部第 6章第 7節)などを行うとともに,e- ネットキャラバン(参照:第 2部第 9章コラ

ム 10)を実施しています。

 また,学校における携帯電話等の取扱い等に関する調査の結果を受けて,小中学校への携帯電話の

原則持込み禁止,高等学校の校内での使用制限などの指針を示した通知を平成 21 年 1 月 30 日付けで

発出しました。

図表2-9-4 子どもと保護者の認識の違い

校 年生(n=2963)

(n=3429)

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第9章

高度情報通信ネットワーク社会における新たな展開

 文部科学白書2008 311

図表2-9-5 一日の平均メール送受信件数と就寝時間の関係

第 3 節 国民一人一人の多様な学習活動の 機会の拡大に向けて 文部科学省においては,社会構造の変化や技術の進歩の中で,専門的な知識と同時に多様な知識を

備えるような個人としての資質・能力の向上や,個人の特性に応じた的確な学習機会の充実のため,

ICTを活用した学習を振興しています。また,高等教育機関などにおける eラーニングをはじめとす

る ICTを活用した教育の普及・促進などにより,社会人を含めた学生への継続的な教育機会の提供を

図っています。

1 豊かな生涯学習社会の構築 文部科学省では,国民一人一人がいつでもどこでも学習に取り組む機会を得て,その成果が適切に

評価されるような環境づくりを目指しています。その実現に向けては,ICTの活用に大きな期待が寄

せられており,「IT新改革戦略」などを受けて,ICTを活用した学習機会の提供を推進しています。

(1) エル・ネットによる教育・学習機会の拡充   文部科学省では,近年のインターネットの急速な普及やパソコン利用の高まりなどに対応し,平

成 20 年 4 月より,エル・ネット(教育情報通信ネットワーク)をこれまでの衛星の利用による運用

からインターネットを利用したシステムへと移行しました(参照:http://www.elnet.go.jp)(図表

2-9-6)。

 このことにより,これまでの公民館,生涯学習センター,図書館や学校などの施設などにおける学

習機会の提供を主体としたものから,インターネットにつながった環境であれば,これら施設の他,

自宅でも,外出先でも場所を特定することなく学習することが可能となりました。また,学習コンテ

ンツも時間割による配信カリキュラムからオンデマンド方式となることにより,学習したい時間帯に

好きなだけ繰り返し学習でき,多様な学習コンテンツを 1から 10チャンネルで配信しています。また,

これまでどおりリアルタイムでの講義や研修,会議などのライブ配信も継続して利用できます。

 今後ともインターネットの活用により,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習することがで

きる生涯学習の理念を実現する一つの方途として学習機会の提供を行ってまいります。

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312 文部科学白書2008

第2部 文教・科学技術施策の動向と展開

図表2-9-6 エル・ネット(教育情報通信ネットワーク)

(2) メディアを活用した学習機会の提供   文部科学省では,「地域の教育力の再生に資するもの」などのテーマに基づき,素晴らしい「人間

力」を持つ人物を取り上げ,その生き様を全国に発信する生涯学習ドキュメンタリー番組「発見 ! 人

間力」を制作・放送しています。また,教育上価値が高く,学校教育又は社会教育に広く利用される

ことが適当と認められる映画その他の映像作品及び紙芝居を文部科学省選定とし,そのうち,特にす

ぐれたものは文部科学省特別選定として普及・促進に努めています(参照:http://www.mext.go.jp/

a_menu/shougai/movie/main9_a1.htm)(図表2-9-7)。

図表2-9-7 平成20年度文部科学省特別選定作品一覧

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第9章

高度情報通信ネットワーク社会における新たな展開

 文部科学白書2008 313

(3)ICT を活用した生涯学習プラットフォームの構築支援   生涯学習プラットフォームは,地域の大学・民間企業・NPO・行政や市民の参加により,国民一人

一人がその生涯にわたり,いつでも,どこでも学習できる又は学習に関する相談などを継続的に行え

る環境や集合学習の場を提供する運営基盤のことです。

 文部科学省では,インターネットなどの ICTを活用した生涯学習プラットフォームの構築を推進

するため,「学び直し」やスキルアップが可能となるような学習コンテンツの提供,学習に必要な相

談や学習者同士のコミュニティの場の設定などができる学習支援システム(基本管理アプリケーショ

ンソフトウェア)の委託開発を行い,今後,普及していくこととしています。

 今後,この学習支援システムを活用して,各地域において大学,企業,民間団体などが連携して運

用を行うことにより,様々な人たちが生涯学習の場に参加することができる環境づくりが進んでいく

ことが期待されます。

 なお,このような取組の市民による先行事例として「富山インターネット市民塾」(参照:http://

toyama.shiminjuku.com/)などがあります。

2 高等教育における IT の導入活用と環境の整備 近年の ITの発展により,インターネットなどの新しい技術を活用することで,大学などの授業内

容の多様化・高度化や授業時間外の学習支援の更なる充実が期待されており,教育内容・方法の改善

・充実をはじめとする様々な改革が進められています。

(1) 高等教育機関における取組   情報通信技術の進展に伴い,インターネットなどの高度なメディアを活用した教育の取組を行う大

学などが増えてきています。例えば,複数の大学や分散されたキャンパスの間での合同授業や各種シ

ンポジウムの実施や,時間的・地理的な制約を受けずに授業が受けられる eラーニングなども行われ

ています。さらに,インターネットを通じて学習情報を提供したり,電子メールや携帯電話での質疑

応答を行ったりする大学なども増えてきています。

(2)ICT の活用を促進するための取組 文部科学省では,メディア教育開発センター(平成 21 年 3 月 31 日廃止)を通じ,大学,短期大学

及び高等専門学校における多様なメディアを高度に利用して行う教育の内容・方法等の研究及び開発

やその成果の普及などを行い,高等教育の発展に資する ICTなどを活用した教育の普及・促進に努め

てきました。

 特に,大学等で導入や普及が進んでいる eラーニングなどの ICTを活用する教育に関するシステム

基盤技術の研究開発,教育用コンテンツの流通・促進のための基盤の整備,コンテンツ開発と提供,

ICTを活用する教育に関する調査研究,研修やセミナーなどに積極的に取り組んできました。

 このほかにも,私学助成によって,インターネットを活用したサイバーキャンパス整備事業を推進

するとともに,マルチメディア装置や学内 LAN(学内ネットワーク)の整備など,私立大学等にお

ける高度情報化への各種の取組に関する支援を行っています。

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314 文部科学白書2008

第2部 文教・科学技術施策の動向と展開

第 4 節 世界に誇れる国づくりに向けて

 21 世紀を迎え,急速なグローバル化,情報化が進展する中で,世界に誇れる国づくりに向けて,IT

分野における高度な人材を育成するとともに,世界最高水準の科学技術創造立国の実現のため,積極

的に ITを活用していくことが重要となっています。また,我が国の文化をホームページで紹介する

など,文化発信にも,ITを活用しています。

1 高度な IT 人材の育成の推進文部科学省では,世界をリードする創造的な人材の育成に向けて,高等学校段階において,将来,

IT分野の最先端で活躍する高度な人材の育成を推進するとともに,大学などの高等教育機関における,

創造性豊かな人材の育成に対する支援を実施しています。

(1)ICT 人材育成プロジェクト   高等学校段階から ICT関連分野における高度な人材育成を進めていくため,平成 16 年度から「ICT

人材育成プロジェクト」を実施しています。

 このプロジェクトでは,ICTに関する知識・技能を有する高校生に,発想力や独創性などを伸ばす

きっかけを与えるため,ICT分野の最先端で活躍する研究者などの指導・助言の下,合宿形式で,コ

ンテンツなどの創作活動を行うスクールを実施しています。

(2) 専門的で創造性豊かな人材の育成に向けて   IT分野における人材の脆

ぜい

弱性は,我が国の国際競争力にかかわる深刻な問題です。文部科学省では,

これに対応するため,平成 18 年度から「先導的 ITスペシャリスト育成推進プログラム」を実施して

います。本プログラムは,産学により教育内容・体制を強化した教育拠点を形成し,この拠点において,

企業などで先導的役割を担い得る実力を備えた世界最高水準の IT人材の育成を目指すものです。

 また,一般情報処理教育の充実を図るため,国公私立学校を通じた情報処理教育施設・設備などの

整備を行うとともに,大学・高等専門学校で情報処理教育を担当する教員を対象とした講習会や研究

集会を開催するなど,教員の資質向上に努めています。

2 諸外国に誇る我が国の文化発信 急速に進展する情報通信技術は,文化行政においても大きな役割を果たすものとなっています。文

化庁では,文化行政の情報化と情報発信の強化のため,文化庁ホームページなどを窓口とし,文化財

や美術品,舞台芸術,メディア芸術,日本語教育,国語施策などの各種情報を広く国内外に提供して

います。

 また,デジタルコンテンツなどの知的財産の創造・保護・活用を図るため,文化庁において,映画・

アニメなどのコンテンツ制作等への支援,海賊版(違法複製物)対策や情報化の進展に対応した著作

権施策の推進などの様々な施策を実施しています(参照:第 2部第 7章第 2節,第 8節)。

(1) 文化庁ホームページ 文化庁ホームページでは,芸術文化の振興,文化財の保存・活用,著作権の保護や文化庁主催の各

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第9章

高度情報通信ネットワーク社会における新たな展開

 文部科学白書2008 315

種イベントなど,文化庁の様々な施策を紹介しています。さら

に,国指定文化財の情報公開を行うとともに,所管する独立

行政法人運営の文化施設へのリンクも掲載しています(参照:

http://www.bunka.go.jp/)。

 また,文化庁ホームページ内にある「子ども文化教室」(参照:

http://www.bunka.go.jp/kids/index.html)では,文化に対

する子どもたちの理解・活動の支援のため,文化財や芸術文化

に関する情報を子ども向けに提供しています。

(2) メディア芸術プラザ   メディア芸術祭の作品募集や受賞作品発表,受賞作品展情報

のほか,アーティストや評論家へのインタビュー,国内外のメ

ディア芸術関連のフェスティバル・展覧会情報などを掲載して

います(参照:http://plaza.bunka.go.jp)。

文化庁ホームページ

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安全で質の高い学校施設の整備と防災対策の充実

第10章

第10章のポイント

第2部文教・科学技術施策の動向と展開

 学校施設は,子どもたちが一日の大半を過ごす学習・生活の場であり,豊かな人間性をはぐくむための教育環境として,重要な役割を果たしています。 文部科学省では,学校施設の耐震化をはじめ,太陽光発電の導入等エコスクールの整備,防犯・事故防止対策,バリアフリー化,地域材等の木材利用など,安全で質の高い学校施設づくりを進めており,また社会の変化に適切に対応した学校施設を目指し,学校施設整備指針の策定を行っています。大学施設についても「第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画」に基づく老朽化した施設の再生,「知の拠点」を目指した大学の施設マネジメントの推進など,未来を拓く教育研究環境の創造に努めています。 また,総合的かつ計画的な防災対策として,防災教育の充実や学校施設の防災機能強化などの災害予防の推進,災害応急対策の取組,復旧・復興の支援及び防災に関する研究開発の推進などに取り組んでいます。 さらに,原子力防災対策として,緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)の整備・維持及び原子力防災訓練などを行っています。