3399 石神井パークサイドマンション LDK+DEN+W/ · 3399 石神井パークサイドマンション 号室 「フラット s」をご利用の際は事前にお問い合わせ下さい。
建設コスト縮減を目的とした新粗石コンクリート...
Transcript of 建設コスト縮減を目的とした新粗石コンクリート...
結果になったものと考えられる。
3・3 アルカリ骨材反応
図6には、反応性骨材を用いた供試体を作製後、
アルカリ骨材反応を促進させた供試体の膨張ひず
みの経時変化を示す。セメントモルタル(OP)は、
材齢七日から急激にひずみが増加し、材齢約一四
日で写真2に示すようにアルカリ骨材反応による
亀甲状のひびわれが発生
している。一方、ジオポ
リマーモルタル(GP1
およびGP2)は、セメ
ントモルタル(OP)のよ
うな急激なひずみの増加
は発生しておらず、また
写真2に示すように、ひ
び割れも発生していない。
以上より、今回の試験
条件の範囲では、ジオポ
リマーモルタル(OP)
は、アルカリ骨材反応が
発生しない材料であることが分かる。
4
施工事例
ジオポリマーの施工実績は、試験施工を含めて
現在までに四件ある。ここでは、一例としてジオ
ポリマーの耐酸性を期待して施工されたものを紹
介する。施工場所では、酸によるコンクリートの
劣化が激しく、耐酸性に優れた材料が望まれてい
た。採用されたジオポリマー製品は、写真3に示
すJIS
A
5371の境界ブロックであり、施
工本数は六一本(切り下げ一本を含む)である。
施工後の状況を写真4に示す。
5
結び
ジオポリマーは、二酸化炭素排出量を削減でき
る自然に優しい材料であるとともに、セメントコ
ンクリートにはない多くの特長を持っている。こ
こでは紹介できなかったが、これまでに、ジオポ
リマーは耐火性能に優れていることや、セシウム
を固定化する特性があること等を確認している。
また、ジオポリマーの材料として、フライアッ
シュや高炉スラグ微粉末の代わりに「もみ殻灰」
を適用した研究も報告されている。「もみ殻灰」
はもみ殻の焼き方によって大きく特性が異なる。
「もみ殻灰」を用いる場合は、どのような焼き方
がジオポリマーに適しているかを検討することが
重要であると考えている。
最後に、ジオポリマーが今後の土地改良事業に
おける「管理された自然」の基盤構築の一助にな
れば幸いである。
写真 2 表面ひび割れの発生状況の比較 (上からOP,GP1,GP2)
図 6 膨張ひずみの経時変化写真 3 ジオポリマー製ブロック
写真 4 施工後の状況
OP
GP1
GP2
ひび割れ
ジオポリマー
技 術 紹 介
技 術 紹 介
1
技術の背景
近年、地球環境保護や環境負荷の低減を背景に
して、建設現場においても省エネルギー・省資源
に対する気運が高まっている。
このような状況下、建設コストの縮減として、
掘削土など現地発生材や河床材料を積極的に利用
して砂防構造物を構築する工法の開発が行われて
いる。
一般的に砂防工事では、残土処分場までの運搬
距離が長くなる場合が多く、加えて運搬費用もか
さむことから、発生土の有効活用が急務になって
おり、砂防CSG(Cem
ented Sand and Gravel
)
工法、INSEM(IN
-situ Stabilized Exca-
vated Material
)工法などの開発が積概的に進
められてきた。
しかし、これらの工法では、ある程度の粒径調
整(一般的に礫径八〇㎜以下)をした発生材ある
いは河床材を用いるため、大径の河床材もしくは
サイトの掘削などにより発生する大きな岩塊の処
理や活用については依然として課題となっている。
そこで、大きな粒径材(粗石)を積み上げ、そ
の間隙に高流動コンクリートを充填することによ
り、構造体を築造する新な粗石コンクリート工法
(NRFC
:New
Rock Filled Concreate
)が開発さ
れ、砂防構造物の構築が行われている。
2
粗石コンクリートの概要
練石積の粗石コンクリートによる構造物は、大
正初期から昭和三十年代後半まで、全国各地で多
数構築されてきている。従来の練石積による粗石
コンクリートは、表面の練石を一段(概ね三〇㎝)
積んでから、粗石を内部に配置して、間隙内部に
コンクリートを充填する方法が採用されていた。
特に昭和二十年代頃まではバイブレータが普及し
ていないため、内部コンクリートの締固めには突
き棒が多く使用されている。
3
新粗石コンクリートの特徴
砂防CSG工法やINSEM工法は現地発生材
を有効利用するが、一般に礫粒径八〇㎜以下の発
生材料を用いるため、河床材料など八〇㎜以上が
建設コスト縮減を目的とした新粗石コンクリート(NEW ROCK FILLED CONCREATE)による砂防堰堤の構築
岩田地崎建設株式会社技術部 須藤 敦史
写真 1 粗石コンクリートによる砂防堰堤の施工(その①)
70 土地改良 293号 2016.4●
多い粗石・巨石(礫)は活用し得ないものとなっ
ている。
また、特殊な高流動コンクリートを使用するこ
とによる堤体の発熱などの検討事項があるが、以
下に新粗石コンクリートの特徴を示す。
①
建設残土発生量の低減(環境負荷の低減)
②
一般的な建設機械で施工(施工向上と汎用性)
③
コンクリート量の低減(コスト縮減)
4
新粗石コンクリートによる構造物の施工
新粗石コンクリートによる砂防堰堤の施工手順
を以下に示す。
ⅰ堤体の基礎掘削などの残土から、粗石(φ
八〇㎜〜五〇〇㎜)を採取して一時仮置きを行
い、そののちに粒径別にストックヤードに運
搬・貯蔵する。(写真その①上段・中段)
次に、所定の強度・比重・粒径粗石の選別と並
行して、堤体には粗石投入箇所(打設区画)の区
画を作成する。(写真その①下段)
ⅱ粗石の表面を洗浄し、重量を測定して打設区画
に投入する。(写真その②上段)
次に、区画に投入された粗石を重機と人力にて
打設区画に体積比:五〇%になるように敷きなら
す。(写真その②中段)
最後に粗石間隙の充填状況をハイスコープによ
り確認をしながら高流動の充填コンクリートの打
設を行う。(写真その②下段)
充填コンクリートは基本的に締固め作業を行わ
ないため、自己充填機能を必要とする。ここでは
高性能減水剤を使用して流動性を高めた高流動コ
ンクリートを使用しており、一般のコンクリート
におけるスランプ管理ではなく、フロー値によっ
て品質管理を実施している(配合表1参照)。
ⅲ高流動コンクリートの打設終了の後、ブリージ
ング処理・散水養生を行う。(写真その③上段)
写真その③中段には、新粗石コンクリートの出
来型および充填の確認(φ三〇〇㎜コア抜き)状
況を示す。堤体より抜き出したコアから、高流動
コンクリートは満遍なく間隙に行き渡り、未充填
箇所は見られなかった。
最後に堤体の上・下流部に、通常のダムコンク
リートによる保護コンクリートを打設して砂防堰
堤の築造が終了する(写真4参照)。
5
新粗石コンクリートの発熱特性
新粗石コンクリートは、多様な粒径の粗石・岩
塊を用い、セメント量が一般のコンクリートより
多い高流動コンクリートで充填するため、砂防堰
堤などのマスコンクリートの築造において、温度
応力や温度ひび割れ発生が懸念されるが、実際の
発熱特性やその解析方法などが解明されていない。
そこで今回は、新粗石コンクリートの発熱特性
の一部を明らかにし、同時に発熱を正確に再現す
表 1 高流動(充填)コンクリート配合表
単位量(kg/m3) W/C(%)
S/s(%)C:セメント W:水 S:細骨材 G:粗骨材 AE剤
高流動 480 165 902 812 1.0% 34.4 53.0
写真 2 粗石コンクリートによる砂防堰堤の施工(その②)
写真 3 粗石コンクリートによる砂防堰堤の施工(その③)
技 術 紹 介
る手法の検討を行なっている。
⑴ 新粗石コンクリートの発熱逆解析
一般にマスコンクリートの発熱解析を行なうに
は、セメントや骨材など数多くの発熱に関するパ
ラメータの決定(入力)をしなければならないが、
物理定数や入力境界条件には不確実性が多く、現
場計測と数値解析の結果が異なる場合が多い。そ
こで有限要素法に拡張カルマンフィルタを適用し
た逆解析(観測値から入力パラメータを同定し、
それらを用いてその後の発熱挙動予測を実施)に
よって、これらの問題の解決を試みた。
ここで検討に用いた新粗石(高流動)コンクリー
トの逆解析(有限要素法:FEM)モデルを図1
に示す。
⑵ 新粗石コンクリートの発熱現象の再現
逆解析により得られた発熱に関する係数を用い
て、新粗石(高流動)コンクリートの発熱(温度
分布)を再現した図2に示す。
図2に示した逆解析値を用いた発熱温度の再現
値は、実際の砂防堰堤において観測された粗石(高
流動)コンクリートの中心部における発熱温度(約
三二℃)および表面の温度変動(外気温の影響)
とほぼ同じ値を示しており、逆解析により粗石コ
ンクリートにおける発熱に関する係数が正確に求
められたといえる。
砂防堰堤における逆解析および再現解析により、
以下に示す新粗石(高流動)コンクリートの発熱
現象の特徴が得られた。
①新粗石(高流動)コンクリートの発熱温度は、
セメントの発熱が粗石に吸収されるため理論
値よりも低くなり、粗石(体積比:五〇%)率
に依存する。
②発熱初期では、粗石にセメントの発熱が吸収さ
れるため遅く立ち上がり、発熱後期では粗石や
境界条件の影響を受けるため温度降下が早く
なる傾向を示した。
6
結び
今回は、大きな粒径材(粗石)を積み上げ、そ
の間隙に高流動コンクリートを充填することによ
り、構造体を築造する新粗石コンクリート工法に
よる砂防構造物の構築を紹介した。今後、建設現
場においても省エネルギー・省資源が進み、さら
に建設現場における活用が多くなると考えられる
ため、今後も構造物における省力化技術の開発に
取り組んでゆきたいと考えている。
参考文献
須籐敦史、笈川利夫、遠田康英、砂防ダムにおける新
粗石コンクリートの発熱特性に関する研究、ダム工学会
第二三回ダム工学会研究発表会、pp.1-4, 2011.11
写真 4 砂防堰堤の全景
図 1 FEM解析モデル図 2 粗石コンクリーの発熱状況
71土地改良 293号 2016.4 ●
多い粗石・巨石(礫)は活用し得ないものとなっ
ている。
また、特殊な高流動コンクリートを使用するこ
とによる堤体の発熱などの検討事項があるが、以
下に新粗石コンクリートの特徴を示す。
①
建設残土発生量の低減(環境負荷の低減)
②
一般的な建設機械で施工(施工向上と汎用性)
③
コンクリート量の低減(コスト縮減)
4
新粗石コンクリートによる構造物の施工
新粗石コンクリートによる砂防堰堤の施工手順
を以下に示す。
ⅰ堤体の基礎掘削などの残土から、粗石(φ
八〇㎜〜五〇〇㎜)を採取して一時仮置きを行
い、そののちに粒径別にストックヤードに運
搬・貯蔵する。(写真その①上段・中段)
次に、所定の強度・比重・粒径粗石の選別と並
行して、堤体には粗石投入箇所(打設区画)の区
画を作成する。(写真その①下段)
ⅱ粗石の表面を洗浄し、重量を測定して打設区画
に投入する。(写真その②上段)
次に、区画に投入された粗石を重機と人力にて
打設区画に体積比:五〇%になるように敷きなら
す。(写真その②中段)
最後に粗石間隙の充填状況をハイスコープによ
り確認をしながら高流動の充填コンクリートの打
設を行う。(写真その②下段)
充填コンクリートは基本的に締固め作業を行わ
ないため、自己充填機能を必要とする。ここでは
高性能減水剤を使用して流動性を高めた高流動コ
ンクリートを使用しており、一般のコンクリート
におけるスランプ管理ではなく、フロー値によっ
て品質管理を実施している(配合表1参照)。
ⅲ高流動コンクリートの打設終了の後、ブリージ
ング処理・散水養生を行う。(写真その③上段)
写真その③中段には、新粗石コンクリートの出
来型および充填の確認(φ三〇〇㎜コア抜き)状
況を示す。堤体より抜き出したコアから、高流動
コンクリートは満遍なく間隙に行き渡り、未充填
箇所は見られなかった。
最後に堤体の上・下流部に、通常のダムコンク
リートによる保護コンクリートを打設して砂防堰
堤の築造が終了する(写真4参照)。
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新粗石コンクリートの発熱特性
新粗石コンクリートは、多様な粒径の粗石・岩
塊を用い、セメント量が一般のコンクリートより
多い高流動コンクリートで充填するため、砂防堰
堤などのマスコンクリートの築造において、温度
応力や温度ひび割れ発生が懸念されるが、実際の
発熱特性やその解析方法などが解明されていない。
そこで今回は、新粗石コンクリートの発熱特性
の一部を明らかにし、同時に発熱を正確に再現す
表 1 高流動(充填)コンクリート配合表
単位量(kg/m3) W/C(%)
S/s(%)C:セメント W:水 S:細骨材 G:粗骨材 AE剤
高流動 480 165 902 812 1.0% 34.4 53.0
写真 2 粗石コンクリートによる砂防堰堤の施工(その②)
写真 3 粗石コンクリートによる砂防堰堤の施工(その③)
技 術 紹 介
る手法の検討を行なっている。
⑴ 新粗石コンクリートの発熱逆解析
一般にマスコンクリートの発熱解析を行なうに
は、セメントや骨材など数多くの発熱に関するパ
ラメータの決定(入力)をしなければならないが、
物理定数や入力境界条件には不確実性が多く、現
場計測と数値解析の結果が異なる場合が多い。そ
こで有限要素法に拡張カルマンフィルタを適用し
た逆解析(観測値から入力パラメータを同定し、
それらを用いてその後の発熱挙動予測を実施)に
よって、これらの問題の解決を試みた。
ここで検討に用いた新粗石(高流動)コンクリー
トの逆解析(有限要素法:FEM)モデルを図1
に示す。
⑵ 新粗石コンクリートの発熱現象の再現
逆解析により得られた発熱に関する係数を用い
て、新粗石(高流動)コンクリートの発熱(温度
分布)を再現した図2に示す。
図2に示した逆解析値を用いた発熱温度の再現
値は、実際の砂防堰堤において観測された粗石(高
流動)コンクリートの中心部における発熱温度(約
三二℃)および表面の温度変動(外気温の影響)
とほぼ同じ値を示しており、逆解析により粗石コ
ンクリートにおける発熱に関する係数が正確に求
められたといえる。
砂防堰堤における逆解析および再現解析により、
以下に示す新粗石(高流動)コンクリートの発熱
現象の特徴が得られた。
①新粗石(高流動)コンクリートの発熱温度は、
セメントの発熱が粗石に吸収されるため理論
値よりも低くなり、粗石(体積比:五〇%)率
に依存する。
②発熱初期では、粗石にセメントの発熱が吸収さ
れるため遅く立ち上がり、発熱後期では粗石や
境界条件の影響を受けるため温度降下が早く
なる傾向を示した。
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結び
今回は、大きな粒径材(粗石)を積み上げ、そ
の間隙に高流動コンクリートを充填することによ
り、構造体を築造する新粗石コンクリート工法に
よる砂防構造物の構築を紹介した。今後、建設現
場においても省エネルギー・省資源が進み、さら
に建設現場における活用が多くなると考えられる
ため、今後も構造物における省力化技術の開発に
取り組んでゆきたいと考えている。
参考文献
須籐敦史、笈川利夫、遠田康英、砂防ダムにおける新
粗石コンクリートの発熱特性に関する研究、ダム工学会
第二三回ダム工学会研究発表会、pp.1-4, 2011.11
写真 4 砂防堰堤の全景
図 1 FEM解析モデル図 2 粗石コンクリーの発熱状況
72 土地改良 293号 2016.4●