じぐざぐに林道見へて冬の山くじ引いて席定まりぬ年忘れ稽古 ...genensha.jp...

12
1 26年 平成

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郷藺

 城真

 

  

  

 

汀小

 島小

鶴春

 村早

  句俳遠玄

126年平成

号月

あまた散り山茶花日和なる一と日

山茶花のひしめく蕾抱きて咲く

山茶花の掃けば又散る朝の庭

山茶花のひねもす散りて円座なす

山茶花の紅白の散る四つ目垣

  秋高し病院までの試歩の道

冬日濃く狭庭の花に蝶去らず

細道の通りすがりのこぼれ萩

野の色を引きしめてゐし吾亦紅

幹太く皇帝ダリヤ空に映ゆ

凍星や車も音も途絶へたる

来年の分もメモして古暦

稽古場が料亭となる年忘れ

くじ引いて席定まりぬ年忘れ

じぐざぐに林道見へて冬の山

こぼれ萩

凍 星

忘年会何処に傘を置いて来し

吾の進む道を恵方と思い切る

手を引いた娘の運転で初詣

健康の話の尽きず初電車

老いの春些細なことに拘らず

柿の木の下で柿食う山の人

ゆく秋や見上ぐる猫の眼澄む

泥落とし真白き大根風呂吹きに

寺のつわ百姓一揆の先祖見し

快鳥の鳴き声ひとつ時雨川

落柿舎に冬の音聴くししおどし

落柿舎の柿の重さを仰ぎ見る

簑笠や去来訪ねて冬浅し

笹鳴きや句箱古びし去来庵

遊船の行き交う川や紅葉狩

蔦紅葉日記にしおりパリの旅

凛とした朝の気の満つ冬木立

シャリシャリと大根うましダイエット

ままごとの始まる車庫や冬日和

出直して着替えに戻る寒さかな

山茶花

去年今年

一谷 春窓

白原 博泉

東  素子

久保 春玉

武部 春浦

山本 春英

天草の里

落柿舎

教会の壁の乳色春灯

何を食べやろ寒晴れの日曜日

赤のまま鶴に折らるる薬包紙

洗面所磨きに磨く風信子

探偵に転職しようか地虫出ず

田中由つこ

春 灯

パリの旅

 

 

冬冷えの乳鋲ふとし長屋門

乳鋲に遊ぶ冬蝶長屋門

乳鋲の長屋門撮り冬日果つ

採りたての蕪道脇に並べ売る

土つけて虫食い葉よし蕪土産

冬曇り四天王寺の大鳥居

もういいかい、まあだだよとや日短か

憂き事は吹っ飛ばしてや年の市

箒目の美しければ掃く落葉

短日や電話の受信音高し

乳 鋲

大鳥居

われもこう

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郷藺

 城真

 

  

  

 

汀小

 島小

鶴春

 村早

 

 

句俳遠玄

226年平成

号月

暦古き多だまモメぬれらて捨

暦古れ汚の白余しき書を句

暦古事大モメの子モメの親

るな走師もぬせさぐちみへ終会句

く聞しばし鳴笹ね訪を碑句の師

  

りなか静てり映に窓の雪初

とこしりなかやだお心の雪初

ぬりま始請普大に野の草冬

つつめ眺れ流の面川る散柳

月の冬てしく深空い払雲

とずしずし袖振てと日の人成

き大れゆの竹宗孟ふらは雪

りれも鎮里山て凍も地て凍も雲

く動雲りたわえ冴月の夫中

へ路速浪旅初れ逃を国雪

雪 初

国 雪

真写初てれらせら座に中ん真

話電初りをてし儀辞おと々深運

なか年今るえかけ掛を字ふいと

りけり祈を日な穏平く白息

なかり独くやぶつと頃く開梅

に隅片の野枯菜野の筋一

色景冬る出ていつ口唄べらわ

内の寒てきづつ理料根大大

なか日二しりなと湯初てしか更夜

りなく丸猫に元足しか暖

詣初し来れら取足に利砂玉

つ放き解を矢の本一じくみ初

ぬりをて来の鳥ぬら知見に朝元

猫きねまの町前門てれ晴日二

川の冬ゝる流を傍の切踏

東西の展書座銀や旅初

なか展書春新座銀るかひ墨

座銀るなトフソのンオネの春初

み族家

な吉「

じくみ初りなりかば

なか湯初の子親ルモハゝつり籠

暦 古

月正お

窓春 谷一

泉博 原白

子素  東

玉春 保久

浦春 部武

英春 本山

色景冬

詣 初

春の座銀

 

 

詣初てき抱を星の天満

る見を我王二のンウ・ア詣初

詣初りあ風ゝる揺り飾連注

詣初てり還き響の手柏

詣初浄清根六け受酒神御

し見を夢るくけ駈馬駿や夢初

りけへ供を煮雑おずまに前仏

る入に寒てし鍋腐豆の居り独

つ待車電ゝつぜ撫を膝しびき寒

め始塾てり削を芯の筆鉛

詣 初

夢 初

湯のらくさりへましてめ冷に出い思

りも積り降蘂桜に地更は地墓

しなも方途の用算皮や華曇優

し痒耳てれさち打耳桃胡姫

こつ由中田

溪雲 藤佐

詠 雑

 

ゝつび偲を影面の師く書状賀

意用年そいそいてい聞とる帰孫

日の至冬ぐ騒のスラカゆ燃日落

春の老くつつにか静鍋腐豆

日元おりた来でまここてふ添れ連

月 歳

ろっこんしょうじょう

かゆ

くるみ

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郷藺

 城真

 

  

  

 

汀小

 島小

鶴春

 村早

 

 

句俳遠玄

326年平成

号月

桜冬の情風がく咲くしまつつ

桜冬てび寂坊一の寺大

桜冬りな疎に外以ばれ寄近

水の寒む飲とごるげ下を飲溜

水の寒の杓一む汲てもり祈

  

社三社二きづつに社一詣初

しりが広のれ晴冬大てり去雲

りけり渡とそひ風山に梅紅

卵寒れま包に気湯の食朝

ぬち立春条一光りよ間雲

雲き重は空もどへいと春立

群猿野のし荒園菜に春立

豆の年ずら知はと鬼が長園

豆の年したべ食はけだ数の年

れ晴冬

」い「のはろいにかや緩息り籠雪

霞朝しめ秘に湖氷恋の神

へみなんみ煙はてめ舐山ふ笑

月のて凍ばせか溶を窓息きさ小

児園卒てへ覚もとこるす慢我

るいし黙」空是即色「に熱邪風

やしま疎えさ影の鳥てきひ邪風

雨氷る降に梅の頃身ててた音

蝿の冬しなも気るげ逃ずれらげ逃

りをび遊で淀の村蕪鳥都

ぶ伸脚日しざなまき深の仏石

忌周一妹しき逝ずた待春

し近春や鍋力圧く噴気蒸

家の母しき咲に夜月や梅白

つ待を人てしに印目を花茶山

星の寒てえ見にうこ向の灯の塾

人成新れ揺グンリヤイしぼこみ笑

ぶ伸脚日路帰にいか向真を陽太

 冬

 初

窓春

 谷一

泉博

 原白

子素

  東

玉春

 保久

浦春

 部武

英春

 本山

空是即色

ぶ伸脚日

花茶山

 

 

粧化薄の雪りわうふや春立

雪大春とんしんしだたむ収音

やさけづしき深跡足雪の春

中の雪き重々深うたの蕗

雪の春つし残震余にとものひ

べ食てい向を方恵は司寿りじか丸

なか人一てし出い追鬼ていま豆

めくす首にくとごの亀軍将冬

先の指くつ墨ばげ脱を袋手

雪の春

きま豆

鹿馬月四てしの気しりなく丸し少

果の春むし楽を針の山針

色水の車転自立組日の和昭

鏡眼丸るるか置に横のスンラフ・ラ

こつ由中田

 針

 

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郷藺

 城真

 

  

  

 

汀小

 島小

鶴春

 村早

 

 

句俳遠玄

426年平成

号月

し難ひ言は速遅の梅の白紅

づ愛を花で愛を幹ず先木古梅

りけにりありま溜き吹の香に林梅

見梅つつひ思さか豊の語本日

梅後豊里るふに中き広園

  

生習実ぶそあと馬子や萌下

雲行飛し太線一と星凍

し青海かるは林梅の路州紀

雪の春の窓てれま生音に風

し青空てしく低々木の林梅

りけけか出にずた待をむ止の霖春

し重脚路家てひ向に風東夕

雪の春かしついは雨の方夕

児の校下泥春しび浴らか頭

燵炬春宝重りあも日なよの日今

花の梅

霖 春

水解雪くゆれ流坂とうたうた

く鳴鳥小や薬しり減類種とひ

湖の春し多灯の街の岸対

和日梅名の孫ふ加に札表

りたれ忘とこしけかひ言ららう春

もと葉言す返りぶ凍はと寒余

か静雨の宮幡八客見梅

椿寒やさ広の庭の邸豪

したり戻に頃のもど子ごちい花

ぬりま静墓山てい鳴の鶏綬小

む摘筆土や真写族家の黒白

宿の山もとか鶯の物本

りよ目れ割の脇の道歩や芽の草

しれわ誘見梅てりわ終験試大

つ待を春しびき声き鳴の鳥山

むるぬ水やみし楽く書はらかれこ

林 梅

春早濃信

窓春 谷一

泉博 原白

子素  東

玉春 保久

浦春 部武

英春 本山

雨の梅

し近春

つ待を春

 

 

し浅春きし悲葉言ふて」通普「

菜野春やり戻の寒の目度何

薹の蕗のみ摘朝や香む滲に指

和日梅え迎を歳三忌災震

り便梅りあのき書え添な潔簡

間の雛なうそい酔に酢の司寿らば

椿白やしさや夫亡ふ会で夢

りが下昼の寺の岸彼く聞話法

燵炬て見雪大の春す返りぶ

燵炬春間時のりとひむ読を本

り便梅

燵炬春

杏旦巴ぬりをてえ覚はけだ声

こつ由中田

 

いろいはに耳のそ、えさで際間るえ迎を

わ合り取の」声「と杏旦巴の味な端異い

。い深がいわ味、く白面がせ

俊明屋守(

)評

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郷藺

 城真

 

  

  

 

汀小

 島小

鶴春

 村早

 

 

句俳遠玄

526年平成

号月ら

くざ初りけりあり奢のかささい

らくざ初ぐ仰てへさ押をり昂

つ待を日明に更て得ひ会に花初

桜初枝一へ従を蕾万

きど桜の水疏てれ垂どほく漬水

  

りけし指目り明黄の花の吹山

葉若柿げ広りは枝の木老

傘日春しち持ずらなか物買小

葉若草家が我てり渡つ二橋

径の花中の門城つ放け開

る張を陣戦合り取所場やえ冷花

宴の花ふ集も間仲きし新

ふ舞花落闇暗はろしうの火篝

街の花ふら語め温を交旧

花の松花

る張を胸と服し着兄児学入

りあ題話の等子はに等子や会岸彼

葉若寺や列の言無む進を歩

ずか向り振は子のち立旅駅の春

なか椿のせわ合中背るこほき咲

水の春くゆみ沁に芝やきめらき

なかれ疲見花の所名る廻け駆

穴の蛇ぬ見だま姿や蟄啓

青真空ち満花に隅の庭校

雨菜花の街の田梅て出を店

りかかしさに駅の満天桜夕

りかざ花てし道り廻草桜

婦夫老顔笑て見人る見を花

る帰雁羽一しれ遅はりよれ群

る帰雁したき行ていつばれあ根羽

雨の春だまだまてんなむし楽を書

らくさ

ち立旅

窓春

 谷一

泉博

 原白

子素

  東

玉春

 保久

浦春

 部武

英春

 本山

月ろぼお

る帰雁

 

 

雪吹花りをひ舞も等子げろひを掌

め清き掃をり明の花るけ敷り散

にせばんかを風しぎよその桜葉

葉若柿芽の柿てえ変色に々日

蘭の春てき着に居転のびた幾

りもぐ花子いなし子るすをとごまま

児学入いお背をる光のルセドンラ

堤茂賀ぶ並リボンボてし音瀬

りおめ眺でい想るた着衣春

葉若柿

 

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郷藺

 城真

 

  

  

 

汀小

 島小

鶴春

 村早

  句俳遠玄

626年平成

号月

りあ悦愉く続の和日丹牡白

白ふ違夕朝どへ云と丹牡白

る忘刻れ触に謐静の丹牡

くためどと刻のぎや華の丹牡

雨むし惜命きな日明のんたうぼ

  

葉若草しちたり降羽二の雀小

校下登道の桜葉生校高

なか辺窓の山連遠つつみ霞

晴月五きる明庭狭てい引草

幟鯉きさ小に横す干着産

幟鯉へ空口大でん止風

幟鯉りくづ手児園にダンラベ

幟鯉線一頭に流上

園丹牡り便とたい咲目輪一

れ晴月五

び浴光人耕に畑る残雪

る散桜や友くゆし越に家の娘

和日花りは加人一話ち立

駅人無てめ詰き敷を黄の英公蒲

う違れ擦と蝶初て出にい買花

るれずえさばせま澄を耳やい騒潮

げか緑なよるいてい泣姑嫁

りけりな日ぐよそ日れ洩木の陰緑

めすか旗の展産物やろくばつ

く多とこしり眠は母まるぐ風

雨の春しり去てしら濡を石庭

ぬりが上仕み込き吹を息船風紙

園じつつ学見てう沿に印矢

花線鉄とこき憂ぬえ言もに供子

し恋母月五しえ迎忌周一

 牡

春の州信

窓春

 谷一

泉博

 原白

子素

  東

英春

 本山

浦春

 部武

玉春

 保久

りずえさ

ろくばつ

日の母

 

 

くづつ道く鳴の鴬へ林竹

なか宴の林竹く鳴がすひぐう

むし惜春みし楽宴の林竹

ふ酔に酒の筍焼てぜ爆竹

下降機飛でん飛にろしう雲の春

雨時春くなも間てれ揺の筆大

るほともた道の桜葉ふ集ママ

駅の道るぼのの茶新とたはたは

ぐ急れ暮の村なさ小に葉は花

宴の林竹

に葉は花

さおし

どつ

ぽぽんた

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句俳遠玄

726年平成

号月

小島

 小汀†

早村

 春鶴

一谷

 春窓

夕暮れの風新しき梅雨の晴れ

梅雨晴れの心はなやぐ赤き花

赤信号渡れば青葉並木かな

青葉道都会の空の広告塔

空梅雨のようやく雨の日暮れ来し

  梅雨晴や受賞の旅にまぶしくて

梅雨晴に安芸の書展の華やけり

梅雨晴やたゞたゞ碧き安芸の海

十薬や小さき祠の傾きて

木洩れ日に著莪の白さの際だてり

看板の無き豆腐屋の夏の朝

紫木蓮散りて地の色空の色

日の落ちてしばし燃ゆ雲蛙の音

夏風邪の孫預けられ鶴を折る

静けさや白扇に筆入れる前

梅雨晴

孫の夏風邪

〝面〞の声気合鋭し青嵐

躍動の竹刀の響き青嵐

あお嵐蔦みどりに赤レンガ

青梅雨に集ひて心ほぐれけり

時を越へ童になれり青き梅雨

土間抜けて蝶飛びゆけり時国家

夕暮れになびく青田の水光る

タイヤ痕つづく千里浜春の風

朝食は個室になりし海の宿

朝市で能登の塩買ひ春日和

悠々とお馬の雲や梅雨晴れ間

梅雨晴れて早朝体操始まりぬ

干草の色の変りて量低し

てのひらに残る香りや夏蓬

老鴬もついばみに来る老樹かな

梅雨の晴れ

 嵐

  素子

山本

 春英

武部

 春浦

久保

 春玉

白原

 博泉

能登の旅

 

梅雨の朝

 

 

半分は衣替えたり野良仕事

猫の爪切らせてくれず夏毛舞う

山の端をほたる飛び交う山暗し

幼き日蛍は星の如く飛び

赤ん坊泣く風鈴の風乗せて

書を習うこと一ト区切り梅雨晴れ間

垣根よりはみだし咲くや額の花

紫陽花の雨をめでいる女傘

捨つべきもの捨てざりし梅雨寒し

うす陽射す水槽ひとつ目高浮く

衣替え

梅雨晴間

メン

ときぐにけ

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  句俳遠玄

826年平成

号月

鶴春

 村早

窓春

 谷一

子素

  東

る去雨雷てせら濁水の川谷

る去雨雷てれふあの水の水田

ぐ仰空の立夕大ぬま止り降

花の歓合かしついもに田の耕休

なか衣浴泉温すくなを差の年

  

月の夏士力人外のし流着

るむね等子香線り取蚊のき巻渦

るゆ消虹や線直一は道農

りた来雨てせら踊花の麦蕎夏

月の夏る崩に面水つ打網投

なか烏すら散み啄杷枇しれ熟

えわく杷枇烏ぬじ動に脇道車

なか音羽つたび翔烏えわく杷枇

なか宴の烏しばし穣豊杷枇

月の夏

杷枇と烏

なかさ白ゝる流クルミばれ切蕪

りけ咲花尚もてれら切木山泰

会省反のい悔も年今てけ漬梅

雨夏半しらゆ目の猫しらゆを葉

れぐし蝉しみ止とりたぱゝつう夢

なかれ別の夜の夕七に娘と母

てし粧化のれ別に母りつま星

るつま星れ別の言無の娘と母

るつま星のれ別と母ていつき抱

秋の麦し広前門の舎柿落

く置めたかに隅のぼん田は苗て捨

んれの夏天晴も日今てれ觸に頭

りけり送句俳月七でXAF

 雷

れぐし蝉

浦春

 部武

玉春

 保久

泉博

 原白

こつ由中田

英春

 本山

りつま星

苗て捨

 

 

りかざ花てしく長茎花の蓮

し々若てり被く深を帽夏

中の夢は憶記の母びと螢

むし懐を校母てで愛を子撫

伝ラバゲはきた重に手嵐青

け明の雨梅す記に段中記日目年三

曇朝ろこときべく行に日曜火

え超歩万一てひか向にけ焼夕

し無の隙え構の段下やり盛日

 夏

 青

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  句俳遠玄

926年平成

号月

小島 小汀

早村 春鶴

一谷 春窓

登校の女子学生や今朝の秋

娘を送りしばしたたずむ天の川

すっきりと座しまだ若き盆の僧

終末を見せる連発大花火

帰省子の去りて三日となりにけり

  廃屋の庭に咲き増へ赤のまゝ

園児達願いの糸に手間どりて

初秋や軽き病に打ち勝ちて

掃苔や天明の文字かすかなる

夜気にふと草木の匂ひ星月夜

夜は夜の水の匂ひや蛍草

風鈴のか弱き風を拾ひけり

夏休み婆の出番の予定表

白墨の手を拭く前に拭ふ汗

音立てて水飲む子等や茄子の花

星月夜

蛍 草

炎暑今収める如し夏陽落つ

二人して夏の落日見てをりぬ

夏入り陽燃えつゝ落ちし夕べかな

滴りや共に老境夫と居り

台風過風につゝまれ蝉時雨

月見草雲の出て来し風の道

通学路咲いたダリアの白と赤

睡蓮や又ひとり来て立ち止まる

射干の花咲き暑さ真っ盛り

夏の蝶ゆるやかに来て飛びゆけり

髪切って天神祭と川風と

マネキンの水着水玉青と白

睡魔いま誘いに来たり軒風鈴

つつがなく今日の収めの冷奴

取りあえず仏に供え初の桃

大花火

夏の夕日

東  素子

久保 春玉

武部 春浦

山本 春英

白原 博泉

月見草

逝きし彼いまどのあたり天の川

物言わぬ人に一輪梅雨の花

度忘れの度重なりて蝉時雨

耳鳴りか蝉時雨かと老の耳

独り言自分で聞きて蝉の声

佐藤 雲渓

蝉時雨

風 鈴

 

 

帰省子と話の尽きず盆休み

捨て犬の顔思い出す梅雨暗し

全身を絞りふるわせ蝉の声

庭仕事アイスコーヒータイムあり

定まらぬ晴雨に帰省盆おどり

思い出に残りし庭の百日紅

母の教え守る約束夏の雨

しかと幹抱いて動かず蝉生まる

法事ごと全てととのい天の川

書に精進すると決めたり大文字

アイスコーヒー

百日紅

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玄遠俳句平成26年

10月号

 

夏 

行     

久保 

春玉

「夏げぎょう行」とて夏講習に対しけり

かなかなの声に暮れゆく高野山

すべきこと山ほどもあり秋の風

風の音は女人高野の萩の花

夏の疲れとれよと熱き吉野葛

 

新生活へ    

山本 

春英

午うま

年は白光名月宇宙海

とまり木を求めてひらり秋の蝶

丸字染めの新たな家族秋のれん

工事機の雲突き破る天高し

親の居ぬ孫の涙や秋深し

 

高野山     

井上 

元良

鬼やんまギョロリ目玉に威勢あり

勤行に我も身を置く萩の朝

涼風の高野山にて学書会

高野へと下界を離れ盆修業

高野山軒店どこも盆華売る

 

市樹の黒松   

東  

素子

松手入れしている音や秋高し

市川の「市しじゅ樹」の黒松天高し

黒松に添ふて塀切り秋日濃し

百年の松の由来や苑の秋

百年の年輪秘めて松の秋

 

花 

火     

武部 

春浦

思い思いの顔を照らして花火の夜

ともかくも準備しており夏祭

夕立やみ鳩のどで鳴くころころと

親知らず抜けてお盆の仏壇へ

蜩ひぐらしや夕陽落ちゆく木下闇

 

蟻の道     

白原 

博泉

分校の雲はゆたかに蟻の道

夏の月廻り道して気付くこと

母老ひて今もゆかしき夏暖簾

雨音の強くなり来し昼寝かな

父恋ひし草笛高く吹きをれば

 

虫の声     

小島 

小汀

ひそやかに小川のほとり虫の声

仲秋の月光浴びていて独り

生いけがき垣のとぎれしところ萩白し

立話短日のはや暮れてきし

雲払いとっぷり昏れし大月夜

 

九月来る    

早村 

春鶴

何事もなき二百十日の旅の空

風にゆれゆれ動いてこそ秋の草

山の端を離れ名月里照らす

宿題を今から書く児九月来る

園児等の白き歯見せて九月来る

 

秋の灯     

一谷 

春窓

秋の灯に馴染む虫の音ひとり酒

しなやかに猫通り過ぐ良夜かな

山葡萄一人の幅の径続く

荷を提げてつまづかぬやう十三夜

何気無き言の葉ひとつ身に沁みて

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玄遠俳句平成26年

11月号

 

パトカー    

山本 

春英

売れ残るコスモスなれど凛として

追い炊きの湯にひたりて秋の夜

孫宣誓天までとどけ運動会

台風の雲の流れにクロスあり

秋風や信号無視とパトカーと

 

運動会     

井上 

元良

組体操乗りて乗られて天高し

車いす押されて駆ける運動会

笛大鼓獅子練り歩く里祭

秋天へからくり人形飛びあがる

秋声に心静まる墨書かな

 

今年米     

早村 

春鶴

掌にとれば青きも交じる今年米

秋の田のこの色までに育ちけり

碧空の透けて見えきし松手入

新聞の来し音聞くも肌寒し

林道の地道となりて木の実降る

 

信州の秋    

一谷 

春窓

秋の雨鎮めて大鼓打ちならす

大根掛け伊那谷へ道聞かれけり

庭紅葉遠き昔のラブレター

かもしかに出くわす意外茸狩り

生い立ちを語り明かしつ根深汁

 

露 

草     

東  

素子

翡翠色跳ねてキチキチバッタかな

行く秋を惜しむしじまや虫の声

郡生のフジバカマ咲き香の幽か

露草の露の一滴瑠璃さやか

秋沒り陽晩秋の絵の中に居る

 

秋深し     

武部 

春浦

三角の目をして野良や彼岸の日

台風を押しやりて秋深みけり

しめ縄を撚る掌の厚さかな

秋天の奥の奥には嵐の目

鳥の影頭上掠める秋深し

 

姫路城     

白原 

博泉

門入りて朝顔の藍咲きそめし

秋の蚊を追ふて再び見失う

コスモスや改築なりし姫路城

書写山に上れば秋の気配かな

吾亦紅もつれてからむ武家屋敷

 

天高し     

久保 

春玉

天高しくるくる廻し秋日傘

空高しドラえもん達が飛びそうな

ぼんやりと窓の灯やちちろ虫

おにぎりの手についてきた今年米

胃カメラを飲むというだけ秋深し

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玄遠俳句平成26年

12月号

 

筆の先     

久保 

春玉

コスモスの咲く日だまりや般若寺

ルノアールの絵を見て京の日短か

山茶花の散り敷く苑の小道暮れ

時雨るゝや思ひを托す筆の先

切干の煮ゆる香りに書く便り

 

明日香風    

山本 

春英

明日香風書人ばかりの秋館

コスモスの大きく揺れてバス走る

秋深し半袖好む子等元気

増えてゆく灯りや明日香里の秋

パーティーは紅葉柿の葉寿司よろし

 

秋深し     

井上 

元良

活動展瞳輝く芸の秋

人前で清書運筆学ぶ秋

拝みゐる九体阿弥陀や秋深し

小鳥来て太子の御廟賑はいし

肌寒もおしゃべり五キロ浜辿る

 

温め酒     

東  

素子

山茶花の咲きこぼれ初む冬仕度

墨用ふ道の展開冬に入る

友の琵琶天地つつみし小春風

小春風煌めくひびき薩摩琵琶

温め酒夫と交して年惜しむ

 

秋 

祭     

武部 

春浦

秋太鼓遠く近くに響きあう

ギシギシと鳴る祭竿秋時雨

秋時雨祭太鼓のをちこちに

眼鏡拭き目を細め読む秋灯下

銀杏燃えて黄をまき散らし天高し

 

秋 

扇     

白原 

博泉

よく眠る母を見舞ひて秋扇

秋高し由緒確かな異人墓地

コアラ舎の外は激しき雨の秋

さっぱり浪速に生きて秋桜

行く秋に噴煙上がる桜島

 

冬 

耕     

早村 

春鶴

冬耕の後を追いたる烏二羽

冬耕のエンジン音の途絶へがち

街灯の消へ残りたる冬の朝

亥の子餅二度ももらひて今日と知り

神棚へ供へ忘れし亥の子餅

 

もみじ狩り   

小島 

小汀

はからずも山雨の深き紅葉狩り

雲海の広がるびわ湖秋深し

秋晴れて姿清しきびわ湖富士

たかき樹や地を這うもあり山紅葉

山紅葉ヘッドライトに浮かびけり

 

濃紅葉     

一谷 

春窓

濃紅葉の揺るゝ川面や散歩道

たもとほる名残り紅葉の風に耐え

川面の緋ひとところ濃し冬日向

出掛けると決めて紅差し初コート

鶴首のような瓶あり冬椿