建設人材の育成と広報 - kentop.org · 3.三方良し公共事業改革...

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もう問題だらけは、恐くない。問題がすべてを解決する! 私達が生活をするうえで、様々な困ったこと、問題となっていることは山ほどあります。 建設業においても、高齢化や少子化に伴う担い手不足、安定した受注が見込めない、現場で事故が多 発するといったように多くの問題、そして解決することが大変難しい問題に囲まれています。しかしそ れが飛躍のための大きな手掛かりとなるのです。問題に対して、真向に考えていくことで糸口があると いうことをご紹介します。 1.WAZAIKI 【生涯、技で生きていく】 最近特に、当社協力会の会社から、職人の高齢 化と若い人が入職してくれない。求人は、職安に 出すしかわからない。なんとかしたい。との声が 多く聞かれるようになりました。 建設業は、縁の下の力持ち・社会を支えている 重要な職業です。まずは、建設職人の認知をして もらうプラットホームを作り発信しようと考え、 熟練職人の技やインタビュー記事を HP、パンフ レットに掲載し技で生きていく職人たちの心意気 を伝えるとともに、建設職人に特化した求人 HP を作成しました。 建設職人は、将来は、手に職をつけて独立でき る職業であり、誇りを持って働ける魅力的な仕事 であるということを真正面から伝えようと考えま した。誇り・頼もしさ・楽しさのある、明るい魅 力ある建設業となり、担い手の確保 ・ 育成が進む プロジェクトを進めています。 2.いちごカンパニー LED を使った植物工場 弊社のある新潟県胎内市は、地方の中山間地にあり、高齢化、少子化が特に顕著な問題となっており ます。少子化により、地域の小学校が閉校され、閉校後の校舎の利用用途に胎内市も頭を悩ませていま ― 34 ― 第2部 建設業の本業を磨いて地方創生~新技術、担い手の確保・育成 建設人材の育成と広報 株式会社小野組 取締役社長 小野 貴史 〒 959-2646 新潟県胎内市西栄町 2 番 23 号 TEL:0254-43-2123 URL http://www.ono-gumi.co.jp/

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Page 1: 建設人材の育成と広報 - kentop.org · 3.三方良し公共事業改革 三方良しの公共工事とは、「住民良し」「企業良し」「行政良し」のことで、行政と施工業者が一緒になっ

もう問題だらけは、恐くない。問題がすべてを解決する!

 私達が生活をするうえで、様々な困ったこと、問題となっていることは山ほどあります。

 建設業においても、高齢化や少子化に伴う担い手不足、安定した受注が見込めない、現場で事故が多

発するといったように多くの問題、そして解決することが大変難しい問題に囲まれています。しかしそ

れが飛躍のための大きな手掛かりとなるのです。問題に対して、真向に考えていくことで糸口があると

いうことをご紹介します。

1.WAZAIKI 【生涯、技で生きていく】

 最近特に、当社協力会の会社から、職人の高齢

化と若い人が入職してくれない。求人は、職安に

出すしかわからない。なんとかしたい。との声が

多く聞かれるようになりました。

 建設業は、縁の下の力持ち・社会を支えている

重要な職業です。まずは、建設職人の認知をして

もらうプラットホームを作り発信しようと考え、

熟練職人の技やインタビュー記事を HP、パンフ

レットに掲載し技で生きていく職人たちの心意気

を伝えるとともに、建設職人に特化した求人 HP

を作成しました。

 建設職人は、将来は、手に職をつけて独立でき

る職業であり、誇りを持って働ける魅力的な仕事

であるということを真正面から伝えようと考えま

した。誇り・頼もしさ・楽しさのある、明るい魅

力ある建設業となり、担い手の確保 ・育成が進む

プロジェクトを進めています。

2.いちごカンパニー LED を使った植物工場

 弊社のある新潟県胎内市は、地方の中山間地にあり、高齢化、少子化が特に顕著な問題となっており

ます。少子化により、地域の小学校が閉校され、閉校後の校舎の利用用途に胎内市も頭を悩ませていま

― 34 ―

第2部 建設業の本業を磨いて地方創生~新技術、担い手の確保・育成

 建設人材の育成と広報

株式会社小野組 取締役社長 小野 貴史

〒959-2646 新潟県胎内市西栄町2番23号

TEL:0254-43-2123

 URL http://www.ono-gumi.co.jp/

Page 2: 建設人材の育成と広報 - kentop.org · 3.三方良し公共事業改革 三方良しの公共工事とは、「住民良し」「企業良し」「行政良し」のことで、行政と施工業者が一緒になっ

した。土砂災害危険区域にも指定されており、災

害時の避難場所にも使えず、困り果てていました。

そこで私たちは、植物工場と新潟の名産品である

越後姫に着目しました。ただし地域の既存の産業

(いちご農家)の仕事と共存するためにいちごの

栽培できない時期に栽培する、また 1個 500 円と

いう高級いちごをつくり、首都圏をターゲットと

し、また贈答品目的に購入頂けるいちごの栽培に

成功しました。

 現在地域の方からは、期待される事業となり

LED システムの販売もしており、他県からの引き

合いも多く、広報にもつながっています。

3.三方良し公共事業改革

 三方良しの公共工事とは、「住民良し」「企業良し」「行政良し」のことで、行政と施工業者が一緒になっ

て、真の発注者である住民のためにより良いものをより早く提供していきましょうという考え方です。

 弊社では、「地域住民のための工事目的シート」を作成

しています。工事に関わる人間が目的を共有しベクトルを

合わせることで工事が円滑に進み、品質の向上や工期の短

縮を実現することができました。また、シートを現場に掲

示することで地域住民の工事に対する理解の促進にも繋

がり、「ありがとう」と感謝の言葉を頂いたり、時には差

し入れを頂いたりすることもあり、それが現場の人間にや

りがいをもたらしてくれています。

4.寿建設様との姉妹会社協定

 寿建設様は、トンネルの修繕や橋のメンテナン

ス等を得意としており、弊社は三方良しの取組を

早くから行ってきました。お互いに得意としてい

ること、問題と考えていることが上手く支えあえ

る関係であり、また営業エリアも異なり、互いに

向上できる仲間であるため、姉妹会社の協定を結

びました。離れている会社だからこそ、問題を共

有でき、良い関係も構築できることがわかりまし

た。問題を問題としてとらえてマイナス思考にならず、解決するための糸口であると改めて認識するこ

とができました。社員同士の交流が生まれ、お互いに良い刺激となっています。

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第2部 建設業の本業を磨いて地方創生~新技術、担い手の確保・育成