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長時間露出撮影において ハレーション除去画像を出力する
カメラシステム
久留米高専 制御情報工学科
助教 松本 光広
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研究背景
様々な装置にカメラモジュールが組み込まれ、撮影された画像を処理し、様々な用途で使用されている
太陽光や照明の光及びその反射光等の外乱光により、ハレーションが生じ、対象物を正しく認識できない場合がある
ハレーション
• カメラの撮像素子に入射する光量が飽和状態に達して画像が白く表示される
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研究背景
ハレーションが発生すると・・・
• 光源部や反射部のみならずその周辺にも生じる
• 画像から物体の形状を識別することが難しい
• エッジ検出等の画像処理を通して物体の形状を把握するのも困難
課題
• 光源部や反射部およびその周辺を含む画像領域全体について、ハレーションの生じない画像を取得する必要がある
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研究背景
ハレーションの生じない画像を得るには?
• カメラに入射する光量を減らす(減光)
減光の方法は?
• レンズの絞りを絞る
• カメラのシャッタースピードを速く設定して、露出時間を短くする
• 減光フィルタを用いる
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研究背景
減光の方法は?
• レンズの絞りを絞る
• カメラのシャッタースピードを速く設定して、露出時間を短くする
• 減光フィルタを用いる
その結果・・・
• そのまま、それだけではハレーション部のみならず画像領域全体が減光し、明瞭な画像が得られない
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従来技術とその問題点
ハレーション部の画像を得るための技術
• ハレーションが生じた画像とハレーション部が減光された画像をはじめとする複数枚の画像を取得する
• これらの画像から高ダイナミック画像を合成する
• 合成した画像をトーンマッピングを用いて画像領域全体を1枚の画像として表現可能な画素値に再構成する
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従来技術とその問題点
複数枚の画像を合成するための減光
①レンズの絞りを変化させて減光
【問題点】
• 焦点深度が異なる画像が取得されて、合成した画像が不鮮明
• 焦点深度を制御できない
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複数枚の画像を合成するための減光 ②シャッタースピードを変化させて減光 【問題点】 • シャッタースピードの機能を用いて露出を制御できない
従来技術とその問題点
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複数枚の画像を合成するための減光 ③減光フィルタを用いて減光率を変化させる 【問題点】 • カメラレンズより大型化してしまう • 減光率の異なる複数の減光フィルタをフィルタホイールに実
装して用いる • カメラレンズ直径の2倍以上の大きさとなる
従来技術とその問題点
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ハレーションが発生する対象物を含む領域を撮影 • ハレーションの生じない対象物およびその周辺領域の画像を
出力するカメラシステムを構築 構築するカメラシステム • 2枚の偏光フィルタによる減光機構 • 画像合成
新技術の概要
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複数枚の画像を合成するための減光
偏光フィルタを用いた減光
• 偏光フィルタを用いて、フィルタに入射する光を直線偏光させる
• 直線偏光させた光を、回転させたもう1枚の偏光フィルタに入射させる
• フィルタを通過する光量を変化させることができる
新技術の特徴
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複数枚の画像を合成するための減光
従来技術と比較しての利点
• カメラレンズ直径とほぼ同じ大きさの機構を構築
• 1枚のフィルタを回転させるだけで、カメラに入射する光量を連続して減らすことができる
新技術の特徴
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• ハレーションが発生する対象物を含む領域において、露出や焦点深度を制御して撮影できる小型の装置
• ハレーションの生じない対象物およびその領域の様子を画像として出力
• 出力した画像から対象物の形およびその領域の様子を容易に判断
新技術の概要
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二枚の偏光フィルタを用いた減光機構 • 無限回転による高速な連続減光 • 小型の機構 • シャッタースピードにより露出を制御できる • 絞りにより焦点深度を制御できる
新技術の概要
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画像合成 • 2枚の画像からハレーション除去画像を合成 • 合成画像を線形圧縮して再構成
新技術の概要
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システムの構成
新技術の概要
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構築したカメラシステムを用いる
実験環境
撮影例実験例
通常撮影例 (ハレーション)
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構築したカメラシステムを用いる • 出力された画像から、ハレーション
が発生する対象物の形と画像領域全体の様子を判断できる
0.625fps
12.5fps カメラシステムのフレームレート
撮影例実験例
通常撮影 (ハレーション)
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• カメラへ入射する光量を制御する小型の機構を用いる
• カメラが取得した光量の異なる2枚の画像を合成する
• 画像領域全体の輝度値を圧縮することで画素値を再構成し画像とする
新技術の特徴
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• ハレーションが生じる環境における物体の形状認識
• ハレーションが生じる移動物体の形状認識
使用例
• 車載カメラ、監視カメラ、防犯カメラ、検査カメラ
想定される用途
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実用化に向けた課題
• 現在、静止画像については開発済み
• しかし、動画像における画像合成が未解決である
• 未解決の動画像における画像合成については、動画像マッチングの技術により克服できると考えている
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企業への期待
• 画像処理の技術を持つ企業との共同研究を希望
• また、カメラを開発中の企業、センシング分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :撮像装置および撮像方法
• 出願番号 :特願2013-100458
• 出願人 :国立高等専門学校機構
• 発明者 :松本光広