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まえがき
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高齢化社会が本格化し、団塊の世代の退職時期を向かえ、高年齢者の雇用継続を義務付けた高年齢者雇用安定法が平成18年から施行されます。
豊富な経験やノウハウを持つ高年齢者の雇用継続を進めることは、事業の永続的発展のためにも重要です。
高齢者の雇用継続には、各種法律の理解と年金等の給付、社会保険料や税額控除等を考慮した最適な賃金設計をしなくてはなりませんが、容易なことではありません。
そこで、関連した項目を平易に解説し、多様な雇用形態に応じた賃金計算がエクセルを用いて簡単にできる方法を提供し、事業主各位のご要望に応えるようにしました。
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1.高齢化を巡る現状と問題(1)急速化する高齢化社会
高齢者(65歳以上)人口の総人口に対する割合
(平成16年度高齢化社会白書より)
35.7%平成62年(2050年)
26.0%平成27年(2015年)
19.0%平成15年(2003年)
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1.高齢化を巡る現状と問題(2)団塊の世代の退職によるインパクト
団塊の世代:1947~49生れ、就業者数539万人、 他の世代に比べ2~5割多い 2007~2009年には大量の定年退職者が発生 インパクト
①労働力人口の減少(GDP換算約16兆円減)②年金財政の逼迫化
③生産現場における技能承継の断絶のおそれ
(出典:Business Labor Trend 2004.11)
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2.継続雇用の実態
[対象:常用労働者30人以上雇用する企業1704社] 定年制がある企業の割合 98.1%うち継続雇用制度(再雇用制度、勤務延長制度)
がある企業の割合は83.5% 継続雇用制度がある企業中、適用の範囲
原則として希望者全員 21.6%会社の基準に適合する者 10.3%会社が認めた者に限る 66.7%
(出典:Business Labor Trend 2004.11)
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2.継続雇用の実態(続き)
継続雇用制度適用後の労働条件
(1)雇用形態
嘱託となる 64.1%パートとなる 9.0%正社員のまま 23.0%
(2)賃金 「減る」が75%(3)労働時間
減る 24.6%変わらない 75.9%
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生年月日(男)
昭和24年4月2日~昭和28年4月1日
昭和22年4月2日~昭和24年4月1日
昭和20年4月2日~昭和22年4月1日
昭和18年4月2日~昭和20年4月1日
昭和16年4月2日~昭和18年4月1日
昭和16年4月1日以前
3.老齢年金の支給開始時期
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(1) 男:昭和28年4月1日以前生まれ女:昭和33年4月1日以前生まれ
60歳 61歳 62歳 63歳 64歳 65歳 65歳以降
特別支給老齢厚生年金の報酬比例部分 老齢厚生年金
特別支給老齢厚生年金の定額部分 老齢基礎年金
老齢厚生年金
老齢基礎年金
老齢厚生年金
老齢基礎年金
老齢厚生年金
老齢基礎年金
老齢厚生年金
老齢基礎年金
老齢厚生年金
老齢基礎年金
*女性は5年遅れ
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生年月日(男)
昭和36年4月2日以降生まれ
昭和34年4月2日~昭和36年4月1日
昭和32年4月2日~昭和34年4月1日
昭和30年4月2日~昭和32年4月1日
昭和28年4月2日~昭和30年4月1日
3.老齢年金の支給開始時期
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(2) 男:昭和28年4月2日以降生まれ女:昭和33年4月2日以前生まれ
60歳 61歳 62歳 63歳 64歳 65歳 65歳以降
特別支給老齢厚生年金の報酬比例部分 老齢厚生年金
老齢厚生年金
老齢厚生年金
老齢厚生年金
老齢基礎年金
老齢厚生年金
*女性は5年遅れ
老齢基礎年金
老齢基礎年金
老齢基礎年金
老齢基礎年金
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4.改正高年齢者雇用安定法への対応
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4.1概要 (65歳までの継続雇用義務化・平成18年4月1日施行)
(1)継続雇用の方法 下記①~③のいずれか
① 定年の引上げ
② 継続雇用制度の導入(再雇用制度、勤務延長制度)
③ 定年の定めの廃止
(2)継続雇用の段階的引上げ
64歳平成22年4月1日から平成25年3月31日まで
65歳平成25年4月1日以降
63歳平成19年4月1日から平成22年3月31日まで
62歳平成18年4月1日から平成19年3月31日まで
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4.改正高年齢者雇用安定法への対応
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4.2 法対応へのプロセス(継続雇用制度を導入する場合、以下同じ)
(1) 労使協定による対象者に関する基準の定めと、
当該基準に基づく制度の導入
① 継続雇用制度の導入をしたものとみなされる(効果)。
② 原則は希望者全員が対象
(2) 労使協定のために努力したにもかかわらず協議が調わないときは、
就業規則等により対象者にかかる基準を定めることができる。
☆大企業の事業主⇒平成21年3月31日まで
☆中小企業の事業主(常時雇用労働者数300人以下)
⇒平成23年3月31日まで
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4.改正高年齢者雇用安定法への対応
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4.3 基準(1) 適切ではないと考えられる例
「会社が必要と認めた者に限る」・・・・基準がない、法の趣旨に反する
「上司の推薦がある者に限る」・・・・基準がない、法の趣旨に反する
「男性(女性)に限る」・・・・男女差別に該当するおそれがある
「年金(定額部分)の支給を受けていない者に限る」
・・・・男女差別に該当するおそれがある
「組合活動に従事していない者」
・・・・不当労働行為に該当するおそれがある
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4.改正高年齢者雇用安定法への対応
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4.3 基準(2) 望ましい基準
観点① 意欲、能力等を具体的に測るものであること(具体性)
労働者自ら基準に適合するか否かを一定程度予見することができ、
到達していない労働者に対して能力開発等を促すことができるような
具体性を有する者であること。
観点② 必要とされる能力等が客観的に示されており、該当可能性を予
見することができるものであること(客観性)
企業や上司等の主観的選択ではなく、基準に該当するか否かを労働
者が客観的に予見可能で、該当の有無について紛争を招くことがな
いよう配慮されたものであること。
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4.改正高年齢者雇用安定法への対応
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4.4 継続雇用制度導入タイムスケジュール(例)平成17年
8月 9月 10月 11月 12月平成18年
1月 2月 3月 4月 5月
STEP 1 STEP 2 STEP 3 STEP 4
STEP 1 : 準備①従業員の意識調査(ヒアリング)
②支給年金額の調査
STEP 2 : 制度設計①制度の内容検討と設計
②労使協定作成(協議が調わない場合は就業規則等の作成・変更)
STEP 3 : 従業員への対応①従業員説明会
②個別面談と対象者決定
STEP 4 : 運用①雇用契約
②労働・社会保険の手続
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5.60歳台前半の在職老齢年金
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(平成17年4月1日から)
{48万円×(1/2)+(総報酬月額相当額-48万円)}×12
48万円超28万円超
総報酬月額相当額×(1/2)×1248万円以下28万円超
{(48万円+基本月額-28万円)×(1/2)+(総報酬月額相当額-48万円)}×12
48万円超28万円以下
(総報酬月額相当額+基本月額-28万円×(1/2)×12
48万円以下28万円以下
28万円超
全額支給(至急停止なし)――28万円以下
支給停止額の計算式(年額)総報酬月額相当額
基本月額
総報酬月額相当額
+基本月額
※基本月額=老齢厚生年金額(加給年金額を除く)÷12※総報酬月額相当額=標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額÷12
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6.高年齢雇用継続給付の仕組
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(1)要件
①雇用保険の被保険者であること。
②対象月の賃金が60歳到達時賃金の
100分の75を下回ること。
③被保険者であった期間が5年以上であること。
④対象月に支払われた賃金の額が
支給限度額(339,484円)未満であること。
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6.高年齢雇用継続給付の仕組
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60歳到達時賃金100%
75%
61%
高年齢雇用継続給付(65歳到達月まで支給される)
合計収入
賃金月額
A
B
支給限度額(339,484円)
C
※B/A<0.61のときC=B+0.15×B※0.61≦B/A<0.75のとき
C=B+0.15×{1-0.14(B/A-0.61)}×B
(2)支給額
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7.高年齢雇用継続給付と老齢厚生年金との調整
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60歳前半の老齢厚生年金の受給権者が被保険者である場合、高年齢雇用継続給付の支給を受けるときは、更に下記により支給停止となる。
60歳到達時賃金月額(みなし賃金月額)=A、標準報酬月額=B
③
②
①
(339,484円-B)×6/15(①又は②の結果)×15/6+B> 339,484円
0.06{1-(B/A×100-61)/14}×B0.61 ≦B/A<0.75
0.06 ×BB/A<0.61
計 算 式条 件
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8.助成金の活用(1)継続雇用制度奨励金(第Ⅰ種第Ⅰ号)
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継続雇用制度の導入若しくは改善に対して一定額が最大5年間支給
継続雇用制度の導入
支給申請(第1回)
労働協約または就業規則による定め
支給申請(第2回以降)
6ヶ月以内
1年以内
1年 1年
100人~299人
10人~99人
1人~9人
120×1~5年60180×1~5年150×1~4年
60×1~5年3090×1~5年75×1~4年
30×1~5年1045×1~5年35×1~4年企業規模
④定年延長等以外の継続雇用制度
③高齢短時間正社員制度への加算
②65歳以上定年延長
①61~64歳定年延長
制度の内容
受給できる額 (単位:万円)
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8.助成金の活用(2)多数継続雇用助成金(第Ⅱ種)
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高年齢者の雇用が15%を超える事業主に助成
要件:
1.雇用保険の適用事業主であること。
2.継続雇用制度奨励金(第Ⅰ種)の第1回受給事業主であること。
3.定年または継続雇用制度を引き下げていないこと。
4.制度導入後60~65歳の常用被保険者を事業主都合により離職させていないこと。
5.過去1年間に6%を超えて特定受給資格者として離職させていないこと。
6.高年齢者の雇用割合が15%を超えていること。
受給できる額:
雇用割合が15%を超える60~65歳未満の常用被保険者について、
1人あたり2万円(中小企業の場合)、最大5年間
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9.継続雇用制度のパターン
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フルタイム期間は①、パートタイム期間は②と同じ
再雇用(フルタイム+パートタイム)
③
条件を満たせば受給できる
満額受給再雇用
(パートタイム)②
条件を満たせば受給できる
在職老齢年金
(支給停止あり)
再雇用
(フルタイム)①
高年齢雇用継続給付老齢厚生年金制度の内容
(1)公的給付の利用形態
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9.継続雇用制度のパターン
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1.①と②の両方の性格を持つ。
2.定額部分の支給年齢と併せることにより、収入計画
に余裕を持たせることができる。
再雇用(フルタイム+パートタイム)③
1.自己の能力や経験を活用できる。
2.余暇を有効に利用できる。
3.継続して企業生活をエンジョイできる。
再雇用
(パートタイム)②
1.自己の能力や経験をフルに活用できる。
2.継続して企業生活をエンジョイできる。
3.完全にリタイアした後、年金額が増加する。
再雇用
(フルタイム)①
ライフプラン制度の内容
(2)高齢者からみたライフプラン
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10.継続雇用制度のパターン別検討
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パターン②
再雇用(パートタイム)
老齢厚生年金(満額支給)
高年齢雇用継続給付賃金(合計収入)
60歳(定年)
61~65歳
定常勤務
雇用保険のみ被保険者
(健康保険は任継または国保)
雇用保険・健康保険・
厚生年金保険の被保険者
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10.継続雇用制度のパターン別検討
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パターン③
再雇用(フルタイム)
在職老齢年金
高年齢雇用継続給付賃金(合計収入)
60歳(定年)
65歳
定常勤務
再雇用(パートタイム)
老齢厚生年金(満額支給)
高年齢雇用継続給付
63歳
特別支給の老齢厚生年金の定額部分支給
開始
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11.社会保険料控除額の計算
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(標準報酬月額+標準賞与額)×12.5/1000 を折半標準賞与額:標準賞与額:1000円未満切捨て、上限200万円介護保険料 (注1)
賃金(賞与含む)×5/1000なし労災保険料
賃金(賞与含む) ×11.5/1000賃金(賞与含む)×8/1000雇用保険料
(標準報酬月額+標準賞与額)×139.34/1000 を折半標準賞与額:1000円未満切捨て、上限150万円厚生年金保険料(注2)
(標準報酬月額+標準賞与額)×82/1000 を折半標準賞与額:1000円未満切捨て、上限200万円
健康保険料
(政府管掌) (注1)
事業主本人
注:1.任意継続被保険者の標準報酬月額は退職時の標準報酬月額または280,000円のいずれか低いほう。
2.厚生年金保険料の保険料率は平成17年8月までの値。平成17年9月以降毎年3.54/1000上がり、平成
29年以降は183/1000で固定。
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12.税額の計算(給与所得)
A×5%+141,667833,334以上
A×10%+100,000833,333以下550,000以上
A×20%+45,000549,999以下300,000以上
A×30%+15,000299,999以下150,000以上
A×40%149,999以下135,417以上
54,167135,416以下
給与所得控除額(B) (円)Aの金額(円)
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その月の社会保険料等控除後の給与(=A)から、別表1の給与所得控除(=B)、別表2の扶養控除等(=C) を控除して課税給与所得(D=A-B-C)を求め、別表3により計算する。
(C) (円)
31,667基礎控除額
31,667×扶養親族数扶養控除額
31,667配偶者控除額
D×37%-228,3341,500,001以上
D×30%-123,3341,500,000以下750,001以上
D×20%-48,334750,000以下658,335以上
D×16%-22,000658,334以下275,001以上
D×8%275,000以下
税額の算式 (円)課税給与所得金額(D) (円)別表1
別表2
別表3
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13.税額の計算(雑所得)
700,000以下
年金額×0.95-1,555,0007,700,000以上
年金額×0.85-785,0007,699,999以下4,100,000以上
年金額×0.75-375,0004,099,999以下1,300,000以上
年金額-700,0001,299,999以下700,001以上
00以上
雑所得 (E) (円)年金額(円)
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年金額について別表4より雑所得(E)を求め、別表5により年税額を計算し、1/12して月額を出す。
E×0.37-2,490,00018,000,000以上
E×0.3-1,230,00017,999,000以下9,000,000以上
E×0.2-330,0008,999,000以下3,300,000以上
E×0.13,299,000以下0以上税額の算式 (円)雑所得 (E) (円)
別表4
別表5
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14.賃金シミュレーション
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(1)再雇用時には、標準報酬月額の低下の影響を避けるため、同日得喪の手続
をする。
(2)老齢厚生年金、高年齢雇用継続給付金について、所定の手続を行い、
法定額の給付を受ける。
(3)健康保険は政府管掌のものとする(健康保険組合ではない)。
(4)対象者の賃金と年金の区分を以下のように仮定する。
350,000円
420,000円
600,000円
60歳到達時賃金
960,000円比較的低所得者
1,220,000円中所得者
1,440,000円比較的高所得者
年金(報酬比例部分)
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14.賃金シミュレーション (続き)
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(5)再雇用直前の賞与の影響を見るため、賞与の支払い形態を2つに分ける。
賞与あり・・年3ヵ月分の賞与を所定の時期に支払う(例:夏、冬の2回)
賞与なし・・年3ヵ月分の賞与を12分の1し月給に加算して支払う。
(6)事業主の人件費負担率を以下のように設定する
30%
50%
59歳時に比べた人件費負担率
パターン②(再雇用、パートタイム)
パターン①(再雇用、フルタイム)
区 分
以上の条件で、手取額の最大値を求める。
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15.賃金シミュレーション結果
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パターン② 再雇用(パートタイム)
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
110%
59歳時 60歳 61歳 62歳 63歳 64歳 65歳
手取額低下率
高所得・賞与あり
高所得・賞与なし
中所得・賞与あり
中所得・賞与なし
低所得・賞与あり
低所得・賞与なし
再雇用以降の事業主人件費負担率:30%以下
62歳以降は国民健康保険に加入する必要がある
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16.まとめ
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1.高年齢再雇用者のライフプランや考え方に適した、多様な雇用形態を選択で
きる。
2.老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付による給付額、支給停止額計算、社会
保険料や税額の控除を組入れた複雑な賃金計算をエクセルのゴールシーク
やソルバー機能を利用して、迅速に計算できる。
3.事業主の人件費負担額(率)を一定にしたときの再雇用者の手取額、逆に再
雇用者の手取額を設定したときの、事業主の負担する人件費負担額(率)を
求めることができる。
4.再雇用時以前1年前の賞与を毎月の給与に組み入れることにより、再雇用時
1年目の手取額の低下を防ぐことができる、等、きめ細かいシミュレーション
が可能となる。