覚醒喚起に対する光環境の影響...覚醒喚起に対する光環境の影響...

覚醒喚起に対する光環境の影響 分光特性に関する解剖学的・行動学的実験研究 1. はじめに 近年、照明設計において分光分布に注目がされてお り、生理的影響について考慮された照明設計が必要と されている。光の生理的な影響を考慮した照明応用と しては、加齢とともに覚醒・睡眠などリズム振幅の緩 急が弱まる高齢者や日中を屋内で過ごす寝たきり患 者、季節性感情障害患者に対する照明学的方策などが 検討されている。 外界の光放射が網膜の光受容器に刺激となって生じ る感覚を総称して視覚と定義する。視覚は、イメージ を形成する意識に上る感覚と、概日リズムの光同調や 瞳孔反射などの生理的反応を引き起こす意識に上らな い感覚の 2 つに大別される。前者がイメージ形成の視 覚と呼ばれるのに対し、後者は非イメージ形成の視覚 と呼ばれる。 既往の研究から、非イメージ形成の視覚に関する作 用スペクトルは、480 nm 前後と短波長側にピークを もつことが知られており、標準比視感度のピークとは 異なる 1,2,3) 。照度など、現行の光の単位は、明所視の 標準比視感度を基に定義されているため、光の生理的 な影響を示す指標としては不適切である。欧州では、 光の生理的な影響に関する規格化が進められている。 そこでは、メラトニン分泌抑制の作用スペクトルを基 に、概日リズムの位相や振幅の変化、覚醒の作用スペ クトルを定義し、生物学的効果を高める放射量を定め ようとしている。メラトニンは、脳の松果体から分泌 されるホルモンで、夜間に高い顕著な概日リズムを示 す。しかし、メラトニンの分泌は、視交叉上核(生物 時計)から光の情報が送られることで調整されており、 概日リズムを示す間接的な反応と言える。また、短波 長光が主観的に覚醒度を高めるという研究報告はある が、覚醒喚起に対する光の影響を示す科学的根拠につ いては、未だ研究の余地がある。 本研究は、覚醒喚起の分光特性を解剖学的、行動学 的に調べることを目的とする。異なる波長の光刺激が 生理的に与える影響を、マウスを用いた実験で、生物 時計の中枢である脳の視交叉上核と覚醒に関わる神経 核である青斑核における細胞レベルの反応により解剖 井手 渚紗 学的に調べた。また、マウスを用いて、異なる波長の 光環境下における驚愕反射実験を行い、光が実際の行 動に与える影響について行動学的に調べた。 2. 光受容器と分光感度 光放射が眼から入ると、網膜で受容される。網膜に おける光受容器は、杆体、錐体、内因性光感受性網膜 神経節細胞(intrinsically photosensitive retinal ganglion cell; ipRGC) の 3 つ で あ る。ipRGC は、 近年発見された視物質メラノプシンをもつ光受容器 である。杆体、錐体は主にイメージ形成の視覚に働 き、ipRGC は主に非イメージ形成の視覚に働く 4,5,6) ipRGC には杆体、錐体からの入力があり、杆体、錐体 は非イメージ形成の視覚に補助的に働く 7) マウスは、UV錐体、M錐体、杆体を持ち、分光感度は、 それぞれ 360 nm、508 nm、498 nm で極大となる 8,9,10) 電気生理学的方法で求められた ipRGC の分光応答特性 はラットで 484 nm、サルでは 482 nm で極大となり、 マウスにおいてもほぼ同じであると考える 11,12) 3. 非イメージ形成の視覚の主な伝達経路 光の情報は網膜で電気信号に変換され、脳へと投射 される 13) 。イメージ形成の視覚における主な伝達経 路は、外側膝状体背側核を中継した視覚皮質への投射 である 14) 。非イメージ形成の視覚の伝達経路として 45-1 図1 視覚の主な伝達経路 外側膝状体背側核 中間小葉 視交叉上核 青斑核・縫線核 視蓋前域 オリーブ核 腹外側視索前野 視覚皮質 【瞳孔反射】 【概日リズム発振機構】 【概日リズムの光同調】 [ イメージ形成の視覚 ] [ 非イメージ形成の視覚 ] 光放射 【睡眠】 【覚醒】 (光信号)

Transcript of 覚醒喚起に対する光環境の影響...覚醒喚起に対する光環境の影響...

Page 1: 覚醒喚起に対する光環境の影響...覚醒喚起に対する光環境の影響 分光特性に関する解剖学的・行動学的実験研究 1. はじめに 近年、照明設計において分光分布に注目がされてお

覚醒喚起に対する光環境の影響

分光特性に関する解剖学的・行動学的実験研究

1. はじめに

 近年、照明設計において分光分布に注目がされてお

り、生理的影響について考慮された照明設計が必要と

されている。光の生理的な影響を考慮した照明応用と

しては、加齢とともに覚醒・睡眠などリズム振幅の緩

急が弱まる高齢者や日中を屋内で過ごす寝たきり患

者、季節性感情障害患者に対する照明学的方策などが

検討されている。

 外界の光放射が網膜の光受容器に刺激となって生じ

る感覚を総称して視覚と定義する。視覚は、イメージ

を形成する意識に上る感覚と、概日リズムの光同調や

瞳孔反射などの生理的反応を引き起こす意識に上らな

い感覚の 2つに大別される。前者がイメージ形成の視

覚と呼ばれるのに対し、後者は非イメージ形成の視覚

と呼ばれる。

 既往の研究から、非イメージ形成の視覚に関する作

用スペクトルは、480 nm 前後と短波長側にピークを

もつことが知られており、標準比視感度のピークとは

異なる 1,2,3)。照度など、現行の光の単位は、明所視の

標準比視感度を基に定義されているため、光の生理的

な影響を示す指標としては不適切である。欧州では、

光の生理的な影響に関する規格化が進められている。

そこでは、メラトニン分泌抑制の作用スペクトルを基

に、概日リズムの位相や振幅の変化、覚醒の作用スペ

クトルを定義し、生物学的効果を高める放射量を定め

ようとしている。メラトニンは、脳の松果体から分泌

されるホルモンで、夜間に高い顕著な概日リズムを示

す。しかし、メラトニンの分泌は、視交叉上核(生物

時計)から光の情報が送られることで調整されており、

概日リズムを示す間接的な反応と言える。また、短波

長光が主観的に覚醒度を高めるという研究報告はある

が、覚醒喚起に対する光の影響を示す科学的根拠につ

いては、未だ研究の余地がある。

 本研究は、覚醒喚起の分光特性を解剖学的、行動学

的に調べることを目的とする。異なる波長の光刺激が

生理的に与える影響を、マウスを用いた実験で、生物

時計の中枢である脳の視交叉上核と覚醒に関わる神経

核である青斑核における細胞レベルの反応により解剖

井手 渚紗

学的に調べた。また、マウスを用いて、異なる波長の

光環境下における驚愕反射実験を行い、光が実際の行

動に与える影響について行動学的に調べた。

2. 光受容器と分光感度

 光放射が眼から入ると、網膜で受容される。網膜に

おける光受容器は、杆体、錐体、内因性光感受性網膜

神経節細胞(intrinsically photosensitive retinal

ganglion cell; ipRGC) の 3 つ で あ る。ipRGC は、

近年発見された視物質メラノプシンをもつ光受容器

である。杆体、錐体は主にイメージ形成の視覚に働

き、ipRGC は主に非イメージ形成の視覚に働く 4,5,6)。

ipRGC には杆体、錐体からの入力があり、杆体、錐体

は非イメージ形成の視覚に補助的に働く 7)。

 マウスは、UV 錐体、M錐体、杆体を持ち、分光感度は、

それぞれ 360 nm、508 nm、498 nm で極大となる 8,9,10)。

電気生理学的方法で求められた ipRGC の分光応答特性

はラットで 484 nm、サルでは 482 nm で極大となり、

マウスにおいてもほぼ同じであると考える 11,12)。

3. 非イメージ形成の視覚の主な伝達経路

 光の情報は網膜で電気信号に変換され、脳へと投射

される 13)。イメージ形成の視覚における主な伝達経

路は、外側膝状体背側核を中継した視覚皮質への投射

である 14)。非イメージ形成の視覚の伝達経路として

45-1

図 1 視覚の主な伝達経路

外側膝状体背側核

中間小葉

視交叉上核

青斑核・縫線核

視蓋前域オリーブ核

腹外側視索前野

視覚皮質

【瞳孔反射】

【概日リズム発振機構】

【概日リズムの光同調】

[イメージ形成の視覚 ]

[非イメージ形成の視覚]

光放射

【睡眠】 【覚醒】

(光信号)

Page 2: 覚醒喚起に対する光環境の影響...覚醒喚起に対する光環境の影響 分光特性に関する解剖学的・行動学的実験研究 1. はじめに 近年、照明設計において分光分布に注目がされてお

は、視交叉上核への直接投射、外側膝状体中間小葉や

腹外側視索前野を経た視交叉上核への間接投射、瞳孔

反射に関わる視蓋前域オリーブ核への投射などがある15,16,17,18)。図 1 に視覚の主な伝達経路を示す。

 哺乳類では、視交叉上核に生物時計が局在する。こ

の視交叉上核に光の情報が送られることでリズム同調

が行われる 19)。視交叉上核からの投射繊維は、睡眠・

覚醒、摂食、ホルモン分泌、体温調節などの種々の生

理現象の支配領域に時間情報を伝えている。青斑核、

縫線核は覚醒に関わる神経核で、ここにも視交叉上核

からの投射があるとされている。視交叉上核からの出

力経路は、大きく 3つに分けられ、その 1つに、背尾

方向の室傍核領域を介した視床下部背内側核への神経

投射があり、ここから青斑核への入力がある 19)。青

斑核は、脳幹に存在する神経核の 1つで、ノルアドレ

ナリン作動性細胞体の集まりである。ノルアドレナリ

ンとは、警戒 (周囲の出来事に対する注意深さ )を高

めるホルモンである。発火頻度は睡眠前とその最中に

減衰し、動物が覚醒すると劇的に増加する。青斑核は

脳全体へと軸索を延ばし、覚醒、注意、学習と記憶、

不安と痛み、脳代謝などに関与する 13)。

 

4. 解剖学的動物実験

 マウスに光を照射した後、免疫組織科学で脳の視交

叉上核、青斑核に発現する c-Fos を染色した。c-Fos

とは即初期遺伝子 c-fos がコードするタンパク質で、

刺激により神経細胞核内で発現誘導されるため、神経

細胞反応のマーカーとして用いられる。既往の研究に

より、視交叉上核における c-Fos の発現は、光刺激に

対する反応であることが示されている。また、c-Fos

発現量は光照射量と光照射時間の積算値に比例し、光

照射を行う時間帯によって発現量が変化することがわ

かっている 20,21)。青斑核において光刺激による c-Fos

発現の研究はない。

4-1. 実験方法

 一定の温湿度に空調された 12 時間明暗サイクル環

境下(明 8:00-20:00、暗 20:00-8:00)で最低 2 週間

飼育した月齢 3 〜 5 ヶ月の雄マウスを被験体に用い

た。マウスには飲食・飲水とも自由とした。視交叉上

核のニューロンの光応答は、概日リズムの影響を強く

受けるため、24 時間の暗順応の後、暗期開始時刻で

ある 20:00 から単色光を 1 時間照射した。単色光刺

激条件は、360 nm、400 nm、500 nm、612 nm の 4 通

り、及び、対照条件の光を与えない場合(Dark)とし

た。光照射量は、光量子束密度が 4種類の波長で同程

度 (13.2 ~ 13.4 log photons/cm2/s) となるようにし

た。光照射後にマウスに麻酔をかけ、取り出した脳を

50 μ m で薄切りした後、免疫染色を行った。

 これら一連の実験手続きは、東海大学動物実験委員

会の承認を受けた後、国内関連法規、NIH(米国国立

衛生研究所)ガイドラインおよび東海大学動物実験委

員会規定に従った。

4-2. 実験結果

 視交叉上核での c-Fos 発現量は、500 nm、360 nm、

400 nm、612 nm の順に多く、Dark では c-Fos の発現

はなかった。青斑核では、全ての場合で c-Fos の発

現があった。光刺激を与えた場合では Dark に比べ

c-Fos 発現量が少なく、500 nm と 360 nm の場合でそ

の傾向は顕著であった。図 2、3 に視交叉上核、青斑

核における c-Fos 発現の様子を、図 4、5 にはマウス

1 匹あたりの視交叉上核、青斑核における c-Fos 発現

量を示す。図 2、3 において、黒く染まっている点が

c-Fos であり、また、(e) の右下の白いスケールバー

は 100 μ m を表している。

45-2

図 2 視交叉上核における c-Fos 発現の様子

100μm

(a) 360 nm (b) 400 nm (c) 500 nm

(d) 612 nm (e) Dark 

視交叉上核腹外側部(コア)網膜から直接投射

図 3 青斑核における c-Fos 発現の様子

(a) 360 nm (b) 400 nm (c) 500 nm

(d) 612 nm (e) Dark

100μm

Page 3: 覚醒喚起に対する光環境の影響...覚醒喚起に対する光環境の影響 分光特性に関する解剖学的・行動学的実験研究 1. はじめに 近年、照明設計において分光分布に注目がされてお

光履歴をなくすため、30 分間暗順応させた後、光照

射を行った。驚愕反射装置内の様子とマウスの位置を

図 6に示す。光刺激条件は 360 nm、400 nm、480 nm、

600 nm の 4 通り、及び、光刺激を与えない場合(Dark)

である。光照射量は、光量子束密度が 4種類の波長で

同程度 (13.2 log photons/cm2/s) となるようにした。

10 分後、プレパルス抑制テストを始めた。尚、テス

ト終了まで、光照射は継続した。

 バックグラウンドノイズ(white noise, 60 dB)を

出力し、5 分間の探索時間(exploratory period)を

設けた後、8 kHz、120 dB、40 ミリ秒の音刺激を 30

秒毎に計 10 回与え、基本的な聴覚の驚愕反応を測っ

た。その後、4 つの異なる条件についてマウスの反応

を見た。条件は、(ⅰ)8 kHz、120 dB の音刺激(パ

ルス)を 40 ミリ秒与えた場合、(ⅱ)10 kHz、90 dB

の音刺激(プレパルス)を 20 ミリ秒与えた場合、(ⅲ)

20 ミリ秒のプレパルスを与えた 100 ミリ秒後にパル

スを 40 ミリ秒与えた場合、(ⅳ)音刺激を与えない場

合である。30 秒毎に、それぞれの条件を 20 回ずつ、

計 80 回の試行を疑似ランダムで行った。なお、これ

らの一連の操作は、コンピュータソフト(STARTFEAR

Startle v1.3.04:Panlab HARVARD APPARATUS)を用い、

予めプログラミングして行った。

5-2. 実験結果

 実験で得られた驚愕反射度(Startle Reflex; SR)

からプレパルス抑制率(PPI)を求めた。プレパルス

抑制率は、1 つのテストにおけるパルスを与えた場

合の驚愕反射度の平均値を SRPLS、プレパルスを与え

た後にパルスを与えた場合の驚愕反射度の平均値を

SRpre-PLS とすると、以下の式で表される。

 プレパルス抑制率は、マウスによってばらつきが大

45-3

PPI =SRPLS − SRpre-PLS

SRPLS

× 100 [%]

図 5 青斑核における c-Fos 発現量

!"

#!"

$!"

%!"

&!"

'!!"

'#!"

'$!"

(%!)*" $!!)*" +!!)*" %'#)*" ,-./"

光刺激条件

c-Fos発現量

0

20

40

60

80

100

120

140

360 nm 400 nm 500 nm 612 nm Dark

 c-Fos の発現は視交叉上核、青斑核ともに 500 nm

の光刺激に対して特徴的な反応を示した。360 nm に

おいても同じような傾向があったが、これは UV 錐体

からの入力があるためと考える。また、青斑核におけ

る c-Fos の発現は光入力によるものではないが、光刺

激が c-Fos の発現に抑制的に働いたものと示唆する。

 

5. 行動学的動物実験

 プレパルス抑制テストを用いて、異なる波長の光環

境下におけるマウスの反応の違いを調べた。プレパル

ス抑制(Prepulse inhibision; PPI)とは、突然の刺

激に対する驚愕反射が、その直前に驚愕を引き起こさ

ない程度の弱い刺激を差し挟むことにより抑制される

現象のことである。感覚運動情報制御機能を反映する

指標の一つとされている。今回は、音刺激に対する驚

愕反射の抑制率により注意の度合いを測った。抑制率

が高いほど、注意度が高いと言える。

5-1. 実験方法

 一定の温湿度に空調された 12 時間明暗サイクル環

境下で最低 2週間飼育した月齢 5ヶ月の雄マウス 6匹

を被験体に用いた。マウスを驚愕反射装置内に入れ、

図 4 視交叉上核における c-Fos 発現量

c-Fos発現量

!"

#!"

$!!"

$#!"

%!!"

%#!"

&!!"

&#!"

&'!()" *!!()" #!$()" '$%()" +,-."360 nm 400 nm 500 nm 612 nm Dark0

50

100

150

200

250

300

350

光刺激条件

光放射

振動読取器マウス

(a)驚愕反射装置内断面図     (b)配置図

図 6 驚愕反射装置内の様子

干渉フィルター

Page 4: 覚醒喚起に対する光環境の影響...覚醒喚起に対する光環境の影響 分光特性に関する解剖学的・行動学的実験研究 1. はじめに 近年、照明設計において分光分布に注目がされてお

45-4

きかったが、480 nm においては全てのマウスで 50%

前後と高い値となった。表 1に各マウスの条件ごとの

プレパルス抑制率を,図 8に各条件におけるプレパル

ス抑制率の平均値を示す。光刺激条件を因子として、

一元配置分散分析を行った結果、400 nm と 480 nm、

480 nm と Dark の間で有意な差があった(p<0.05)。

6. おわりに

 光が覚醒喚起に与える影響を解剖学的、行動学的に

調べ、どちらの結果も 480 nm 付近の光に対して特徴

的な反応を得た。これは ipRGC の分光感度や既往の研

究で求められた非イメージ形成の視覚に関する作用

スペクトルのピークと一致する。480 nm 付近の光は、

太陽光に多く含まれる。生物は進化の過程で、生理や

心理、生活のリズムを太陽光に馴化させてきた。この

ことは、昼間における適切な光環境を考える上で非常

に重要である。今後は、高齢者施設における短波長光

成分の多い日中の太陽光を活用した照明設計や、日照

時間が短く、季節性感情障害発症率の高い高緯度地域

における屋内の人工照明の分光分布による設計など、

様々な応用が期待できる。

謝辞

 本研究は、東海大学情報理工学部・高雄元晴准教授との共同研

究である。また、本研究は、平成 21 年度科学研究費補助金・新

学術領域研究(課題番号 21200003)および基盤研究 C(課題番号

21560613)によった。記して謝意を表する。

G.C. Brainard et al.: Action Spectrum for Melatonin

Regulation in Humans: Evidence for a Novel Circadian

Photoreceptor, Neuroscience, 21(16), pp.6405-6412, 2001

S. Hatter et al.: Melanopsin and rod-cone photoreceptive

systems account for all major accessory visual functions

in mice, Nature, 424, pp.76-81, 2003

R.J. Lucas et al.: Characterization of an ocular

photopigment capable of driving papillary constriction

in mice, Nature Neuroscience, 4(6), pp.621-626, 2001

M.S. Freedman et al.: Regulation of Mammalian Circadian

Behavior by non-rod, non-cone, Ocular Photoreceptors,

Science, 284, pp.502–504, 1999

S. Panda et al.: Melanopsin Is Required for Non-Image

-Forming Photic Responses in Blind Mice, Science, 301,

pp.525–527, 2003

L.A. Newman et al.: Melanopsin Forms a Functional Short-

Wavelength Photopigment, Biochemistry, 42, pp.12734-

12738, 2003

N.C. Aggelopoulos and H. Meissl: Responses of neurones

of the rat suprachiasmatic nucleus to retinal

illumination under photopic and scotopic conditions,

Journal of Physiology, 523, pp.211–222, 2000

C.D.B.Bridges: Visual Pigments of Some Common Laboratory

Mammals, Nature, 184(4700), pp.1727-1728, 1959

G.H.Jacobs et al.: Retinal Receptors in Rodents

Maximally Sensitive to Ultraviolet Light, Nature, 353,

pp.655-656, 1991

H.Sun et al.: Mechanisms of Spectral Tuning in the Mouse

Green Cone Pigment. Proceedings of the National Academy

of Sciences of the United States of America, 94(16),

pp.8860–8865, 1997

D.M. Berson, et al.: Phototransduction by Retinal

Ganglion Cells That Set the Circadian Clock, Science,

295, pp.1070-1073, 2002

D.M. Dacey et al.: Melanopsin-Expressing Ganglion Cells

in Primate Retina Signal Colour and Irradiance and

Project to the LGN, Nature, 433, pp.749-754, 2005

M.F. Bear,B.W. Connors,M.A. Paradiso:カラー版 神経科

学 脳の探求、加藤宏司 他 3名監訳、西村書店、2007

福田淳・佐藤宏道:脳と視覚 — 何をどう見るか、共立出版、

2005(初版 4刷)

S. Hattar et al.: Melanopsin-Containing Retinal Ganglion

Cells: Architecture, projections, and intrinsic

photosensitivity, Science, 295, pp.1065-1070, 2002

J.J. Gooley et al.: A Broad Role for Melanopsin in

Nonvisual Photoreception, The Journal of Neuroscience,

23(18), pp.7093-7106, 2003

S.K. Nayak et al.: Role of a Novel Photopigment,

Melanopsin, in Behavioral Adaptation to Light, Cellular

and Molecular Life Sciences, 64, pp.144-154, 2007

石田直理雄・本間研一編集 :時間生物学事典、朝倉書店、2008

O.D. Benyahya et al.: Effects of Irradiance and

Stimulus Duration on Early Gene Expression (Fos) in

the Suprachiasmatic Nucleus: Temporal Summation and

Reciprocity, Neuroscience, 20(20), pp.7790-7797, 2000

D.M. Shumann et al.: Light-induced Fos expression in the

suprachiasmatic nucleus of the four-striped field mouse,

Rhabdomys pumilio:A southern African diurnal rodent,

Brain Research Bulletin, 70, pp.270-277, 2006

1)

2)

3)

4)

5)

6)

7)

8)

9)

10)

11)

12)

13)

14)

15)

16)

17)

18)

19)

20)

表 1 マウス別プレパルス抑制率        [%]プレパルス抑制率 [%]

0

20

40

60

10

30

50

360 nm 400 nm 480 nm 600 nm Dark

   光刺激条件

図 8 プレパルス抑制率の平均値

mouse1 mouse2 mouse3 mouse4 mouse5 mouse6

360 nm 30.7 56.7 49.8 29.2 30.6 42.5

400 nm 28.0 36.7 5.2 43.5 30.9 58.5

480 nm 49.5 46.8 47.1 58.3 55.2 52.0

600 nm 32.6 38.2 53.8 14.5 43.6 9.8

Dark 32.7 42.6 26.1 35.4 56.3 32.8

参考文献