プラスチック包装の始まりと プラスチック包装・容 …無延伸PP フィルム(CPP)はパウチ包材のヒ ートシール層(シーラント)として、またPP
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創包工学研究会 三浦秀雄
2015年12月21日
誤飲事故とCRSF包装の
現状と問題点
日本安全服用協会設立記念シンポジウム
薬業年金会館
(大阪・谷町6丁目)
創包工学研究会
三浦秀雄
2015/12/18 1
創包工学研究会 三浦秀雄
誤飲とその規制に関する世界的な状況 M.Green,創包工学研究会第55回講演会要旨集,(2013)を改編
●中所得から高所得の国において、医薬品は子どもにとって非致死性中毒の主な原因である。
★アラブ首長国連邦-1歳から5歳の子どもに起きた中毒の55%が鎮痛薬、
非ステロイド性抗炎症薬、抗ヒスタミン薬によるもの。
★トルコ-1歳から5歳の子どもに起きた中毒の57.7%は薬の誤飲が原因であり、鎮痛薬に
よるものが最も多い。
★米国-5歳以下の子どもに関し、2003年には50,000件におよぶ薬剤の誤用や誤飲が
報告されており、処方薬に関係したものが最も多い。
●チャイルド・レジスタンス包装に関する基準や施策は、未だにごく一部の高所得の国や地域で
実施されているに過ぎない。
●1歳以下の乳児の中毒死が最も多い。
●可処分所得と中毒数は密接な関係にある。
●低所得国の方が誤飲事故数が多い傾向にある。
●欧米のPTP比率が日本より低いため、導入しやすい?
オーストラリア 米国
カナダ EU
ニュージーランド 韓国
CRPの世界的状況
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創包工学研究会 三浦秀雄
ヨーロッパにおけるCR M. Green,創包工学研究会第55回講演会要旨集,(2013)を改編
●EUは米国と類似のCRテストの基準を有しているが、法律がCR認定を
義務化しているケースは多くはない。
●EU加盟国各国は自国における製品要件を定める権利を有している。
★ISO 8317 - 国際規格
★EN 14375 - 欧州規格
●欧州CR規格と米国の規制に見られる主要な差異
★欧州の基準では「歯を使ってもいいですよ」との告知がなされない。
★欧州の基準では危険度の試験がない。
※欧米においては、高齢者によるPTP誤飲事故
(丸飲み)は現時点ではクローズアップされて
いない。
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創包工学研究会 三浦秀雄 規制と子どもの死亡率の関係
M.Green,創包工学研究会第55回講演会要旨集,(2013)
子ども100 000人ごとの中毒による死亡率(WHO統計、2004年)、および国と地域ごとの所得レベル
データなし
上記のデータは20歳以下の未成年に関するもの HIC=高所得の国;LNIC=低所得および中所得の国 WHO(2008)世界の疾病負荷、2004年更新
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創包工学研究会 三浦秀雄
CR包装による子どもの死亡者数の変遷 M.Green,創包工学研究会第55回講演会要旨集,(2013)
米国では、1972年に5歳以下の子ども216人が中毒のため死亡、
現在では5歳以下の子どもの死亡数は毎年平均36人以下
0
50
100
150
200
250
米国における子どもの中毒死亡者数:1972年~2008年
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創包工学研究会 三浦秀雄
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誤飲事故の年度別頻度 厚生労働省,平成25年度家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告
医薬品関係誤飲が第1位になっている!!!
創包工学研究会 三浦秀雄 5歳以下の子どもの医薬品誤飲事故件数
消費者安全法第31条第3項に基づく経過報告 ―子どもによる医薬品誤飲事故―
消費者庁 事故調査委員会 (2015.12.18)
2015/12/18 7
平成18年以降増加傾向 ①錠剤が多い ②気管支拡張剤・血圧降下剤・血統降下剤・向精神薬に特に注意
消費者安全調査委員会(2014・12資料)
創包工学研究会 三浦秀雄
子供の月齢と誤飲事故件数 消費者安全法第31条第3項に基づく経過報告
―子どもによる医薬品誤飲事故― 消費者庁 事故調査委員会 (2015.12.18)
2015/12/18 8
誤飲事故に対する保護者の認識不足
創包工学研究会 三浦秀雄
子供の医薬品取り出し方法 消費者安全法第31条第3項に基づく経過報告
―子どもによる医薬品誤飲事故― 消費者庁 事故調査委員会 (2015.12.18)
2015/12/18 9
月齢によって製剤の取り出し方が変化
創包工学研究会 三浦秀雄
幼小児誤飲事故の最新情報(経過報告) 消費者安全法第31条第3項に基づく経過報告
―子どもによる医薬品誤飲事故― 消費者庁 事故調査委員会 (2015.12.18)
NHK総合,12月18日,19時ニュース 読売新聞,12月19日,朝刊
2015/12/18 10
消費者庁 消費者安全調査委員会 ●調査報告書提出 ⇒ 厚生労働省 ●状況 ①子供の手が届かないはずの保管場所から、子供がイスなどを利用して 医薬品を取り出す。 ②医薬品の置き忘れなど保護者の不注意 ③5歳以下の子供による誤飲事故は増加傾向 ・子供の誤飲事故に占める医薬品誤飲事故 57/385件(厚労省,2014年) ・誤飲事故869/8388件で嘔吐・腹痛症状発現(消費者庁 事故調査委員会) ④1~3歳児の事故が多い ⑤保護者・医師への聞き取り調査実施 ●結論 ①誤飲後の対処法などを含む内容の保護者に対する周知徹底 ②子供の誤飲事故防止にため開封しにくい包装が必要 すなわち、子供の指の力では押し出せないPTPなどの推奨を志向 具体的調査結果・再発防止策については、調査続行 ③CR機能包装の標準化の可能性
創包工学研究会 三浦秀雄
誤飲事故情報の正確性
2015/12/18 11
★事故報告に点数が付加されない⇒正確な報告がされにくい? ★報告義務がない⇒“医療機関の善意・協力”に依存 ★ヒヤリハット事例数は、実際の数十分の一程度?⇒同様の傾向? ★誤飲事故も同様の事態に陥っている可能性あり ★正直に報告した人が不利な取り扱いを受ける可能性⇒隠ぺい体質? ★PTP誤飲の摘出事例が原著論文として認められにくくなっている。 ⇒報告数減少の可能性? ★“正確な誤飲事故数”よりも“事故例開示による警告”に重点がおかれる ことがある。 ★関東の某有名病院では23件/4年のPTP摘出例があるが、この数は “58件/5年・全国”という数字と大きくかい離している。 ★10件以上のPTP摘出を経験したレントゲン技師がいる。
↓↓↓ ●より正確かつ信頼性の高い事故状況収集が必要 ●適切な組織・機関から日本気管食道科学会・救急医療学会 などへの正確な事故例数データ提出要望 ●正確な誤飲事故数に基づく適切な対応 ●報告の義務化?
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PTP誤飲に関する文献数 石川洋一,創包工学研究会第39回講演会,(2009)
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PTP誤飲に関する国内状況(経緯) 石川秀樹,創包工学研究会第44回講演会資料,(2010)を改編
●1965年頃からPTPが本邦で普及 → 誤飲問題発生
●誤飲の初報告:迎ら 日赤医学 23: 18, 1970
●死亡例の報告:杉山ら 日腹救医会誌 18: 875-81, 1998
●日本製薬団体連合会
「誤飲しにくい工夫=ミシン目省略による細分化防止」
★1996.3月開催の評議会 「薬剤包装( PTP )に関する自主申し合わせ」
★1996.8月から順次実施 1)PTPに入れるスリット/ミシン目は縦または横方向のみ
2)PTP裏面の取り出し図案を統一
3)添付文書への統一文面での記載
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創包工学研究会 三浦秀雄
2015/12/18 14 2015/12/25 14 2015/12/25 14
状況:当初、対策の効果はある程度発揮
2001年 日本気管食道科学会の報告 アンケート調査で減少を認める。
(財) 日本医療機能評価機構の報告 約2年間の事例報告で2件
PTP誤飲事故対策の効果 2007年4月参議院第166回国会
行政監視委員会第2号
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★服用者は1回分毎にするため、薬局は端数を処方 するために切り離す。
↓↓↓
誤飲の原因
★高齢者の27%がPTPを切り離して保管 (上村ら Pharm D 4: 75-80, 2000)
★患者は切り分けられないことが不満 (千代丸ら 薬局 49: 1361-6, 1998)
↓↓↓
「ミシン目の省略は、当初の数年間、改善あり」と
されたが現状では効果は疑問
誤飲の実態Ⅰ 石川秀樹,創包工学研究会第44回講演会資料,(2010)を改編
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創包工学研究会 三浦秀雄
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PTP誤飲の実態Ⅱ
① 外出時にウッカリ服用
② テレビをみながら服用
③ 口の中で錠剤を出そうとして誤操作
④ 配偶者から渡された錠剤をそのまま服用
⑤ 幼小児が齧ってアルミ箔を破り誤飲
⑥ 暗い環境下で誤飲
⑦ PTPを糸楊子の代用として誤操作
⑧ 身体不調で注意力散漫な状態で誤飲
⑨ その他
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薬剤師の実態 石川秀樹,創包工学研究会第44回講演会資料,(2010)
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★PTP誤飲患者を知る薬剤師は少ない? ★業界団体の通達にもかかわらず、PTPを分割して 処方する薬剤師がほとんどである。 ★若手の薬剤師はミシン線の変遷理由を認識して いないことが多い。 ★ミシン線を減少させても誤飲予防には役立たない と考える薬剤師が多い。
↓↓↓ 従来の啓発活動の効果は薄い?
啓発活動強化の必要性
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厚労省・消費者庁などの最近の動向(1)
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平成20年以降を重点的に表示 ●厚生労働省:医政総発0915第2号・薬食総発0915第5号・薬食安発0915代1号、平成22年9月15日 分割線省略(1錠ずつに分割しない) ●厚生労働省::事務連絡、平成23年5月20日 小児による誤飲防止のための医薬品の安全対策について 東京都商品安全対策協議会、CR容器の普及提言 ●厚生労働省:医政総発0104第1号・薬食総発01014第2号・薬食安発0104第1号、平成25年1月4日 医薬品等の誤飲防止対策の徹底について 誤飲事故防止の努力を呼びかけ、CR容器採用検討 ●消費者庁 消費者安全調査委員会:消安委105号、平成26年12月19日 子どもによる医薬品誤飲事故状況、対策などに関する意見 ●厚生労働省:医政総1224第2号・薬食総発1224第1号・薬食安発1224第2号、平成26年12月24日 子どもによる医薬品誤飲事故の防止対策の徹底について 子どもの誤飲事故防止対策の徹底 ●消費者庁・産総研(平成27年春) PTP誤飲防止のための力学的要件検討実施
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2015/12/18 19
技術的検討要請 ⇒ 関係団体・医薬品メーカーなど
●厚生労働省:医薬品医療機器等対策部会、平成27年5月12日 子どもによる医薬品誤飲事故防止について CRSF包装全般、PTPパネルテストに関する協議 ●日本製薬団体連合会 安全性委員会:意見書、平成27年5月12日 服薬アドヒアランス低下、企業負担、クレーム多発、使用性低下、各種手続きの煩雑化、 投資負担、生産性低下 ⇒ 啓発活動に注力、国民への注意喚起 ●厚生労働省:事務連絡、平成27年9月16日 内服薬等の包装の誤飲の発生について 高齢者のPTP 丸飲み防止に係る注意喚起と情報提供 ●消費者庁 事故調査委員会、平成27年12月18日 調査報告書の厚生労働省への提出 CR包装に関する経過報告書
厚労省・消費者庁などの最近の動向(2)
創包工学研究会 三浦秀雄
国内関係団体・企業・医療機関の動向
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●日本製薬団体連合会 厚労省や関係団体を交えた各種の会合を開催している。 ●国民生活センター(危害情報室) 以前(ミシン目変更前後)に実施した調査や提言を引き継がれていない。 現状で具体的な予定はないが、今後改めて状況を把握の予定 ●医療機関 一部の医療機関・医療従事者は、誤飲問題を問題視しているが、大部分の 医療従事者の関心は低く、 “PTP からの錠剤の出しやすさ” を重視する傾向大 ●(財)製品安全協会 乳幼児難開閉性容器の基準策定(1990) ⇒ 2008年廃棄 その他関連団体 ●キッズデザイン協議会 ●くすりの適正使用協議会 ●子どもの安全ネットワークジャパン ●東京都生活文化局 ●日本安全服用協会 ・ ・
業界外の見方と業界団体の役割 ★業界内のみの議論では不十分 ★業界内のみの議論即ち、“投資額増大・クレーム発生・材料コスト 上昇・使用性低下”などといった議論は、“医薬品企業の利益確保 のための隠れ蓑ではないか?“との疑念をいだかせる可能性あり ★医療機関・材料メーカー・機械メーカー・消費者団体などを含む 広範な議論が必要 ★業界内において、誤飲問題を自主的に取り上げることは有益で ある
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高齢者によるPTP誤飲(丸飲み)の危険性 石川秀樹,創包工学研究会第44回講演会資料,(2010)
2015/12/18 21
★食道異物の5.9~10%がPTP (元宿ら 2007) ★PTP誤飲の90%以上が食道異物 ★誤って口に入れた人は内服患者の1~5% (神尾ら 2002) ★外来患者の80%以上がPTP誤飲問題を知らない (里道ら 1997) ★2連分のヒートを誤飲したケースすらある (林ら 1992)
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PTP誤飲(丸飲み)による死亡事故 kusuri-jouhou Accidental-Ingestion
2015/12/18 22
場所:青森県 患者:80代男性 状況 ★1錠に切り離した包装シートを誤飲 病院側は管理責任を認め遺族に1500万円支払う ★患者が胃痛を訴える。 検査によってシートが胃内に存在することが判明 ★胃壁が損傷、出血性ショックで死亡 ★看護師が1錠以上単位に分割して、患者のベッド脇に 置いていた。
すでに死亡事故が発生していることに注意!!!
創包工学研究会 三浦秀雄
CRPが国内で普及しない理由 創包工学研究会アンケート結果,(2015)
2015/12/18 23
理 由 医薬品 メーカー(%)
材料・機械 メーカー(%)
総合 (%)
コスト上昇 62.9 66.0 64.7
クレーム多発の可能性 28.6 74.0 55.3
適切な材料・容器がない 14.3 4.0 8.2
医療機関からの要望がない 54.3 46.1 49.4
法的規制がない 42.9 86.0 68.2
生産ラインの改造が必要 28.6 37.7 32.9
保護者が責任を負うべきである 8.6 10.0 9.4
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PTP誤飲防止のための分割線一部省略・ ポスター表示・取り出しマークの効果
創包工学研究会アンケート結果,(2015)
2015/12/18 24
医薬品 メーカー
(%)
材料・機械 メーカー
(%)
総合
(%)
一定の効果がある 31.4 74.0 56.5
当初は効果があったが、 最近は効果がなくなっている
48.6 6.0 23.5
効果はない 16.7 20.0 22.4
無回答 2.9 0.0 1.2
創包工学研究会 三浦秀雄
CR-PTP採用の条件 創包工学研究会アンケート結果,(2015)
2015/12/18 25
医薬品 メーカー
(%)
材料・機械メーカー
(%)
総合
(%)
法的規制があれば採用せざるを得ない 62.9 66.0 64.7
適切なCRPが開発されたら検討・採用 28.6 74.0 55.3
大手医薬品メーカーが採用したら追従 14.3 4.0 8.2
安価なCRPが開発されたら採用 54.3 46.1 49.4
経済的インセンティブが付与されたら採用 42.9 86.0 68.2
世論が熟してきたら採用 28.6 37.7 32.9
その他 0.0 0.0 0.0
創包工学研究会 三浦秀雄
2015/12/18 26
CR包装例 久保博司,創包工学研究会第61回講演会資料,(2015)
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誤飲物質の種類
2015/12/18 27
たばこ(吸い殻) マッチ 酒(焼酎) 灯油 パチンコの玉 ビー玉 おはじき おもちゃの鉄砲玉 ホッチキスの針 チョーク クリップ プラモデルの部品 ボタン セロテープ 押しピン 磁石 虫 かたつむり 魚骨(鯛、鰺) ピーナッツ 節分の豆 粘土 インク 朱肉 体温計 軟膏 リップクリーム マニュキア 指輪 マニュキアの除光液 錠剤類 坐薬 薬(兄弟のを) 降圧剤 ベープマット ごきぶりのえさ 香水 石鹸 シリカゲル オキシフル キッチンハイター 牛乳瓶の破片 ボタン電池 硬貨 コンタクトレンズ・・・
↓↓↓
「家庭にあるあらゆるもの」が誤飲の対象
創包工学研究会 三浦秀雄
PTP関係誤飲の問題点
2015/12/18 28
★法的規制未整備 : 規制当局の熟柿主義? ★中央官庁の姿勢? : 安全・コスト・服用性などとのバランスを考慮する姿勢と “子供の安全確保“を優先する考え方が併存 ★第16改正日本薬局方製剤総則 [1]製剤通則 :“製剤の容器・包装は、…適正な使用及び投与時の安全 確保に適したものとする”との関係は? ★設備改造・初期投資 : 投資に耐えられない企業の存在? ★コスト上昇・負担 : 正確な議論の必要あり ★クレーム多発 : 医療機関・医療従事者への啓発? ★社会全体の認識不足 : 社会全体での議論が必要 ★医療機関の体質 : 開封しやすさの追求体質 使用性と幼小児・高齢者の安全のいずれが重要か? ★高齢者誤飲・幼小児誤飲の両者の解決の必要性 : 技術的困難性・技術的ブレークスルーの必要性 ★誤飲に関する情報の錯綜及び過少報告? : 実態を正確に反映しているか?報告の義務化? ★医薬品業界の体質 : “規制がなされれば採用する” と考える企業が多い ★業界団体の姿勢 : 今後の姿勢が問題 ★海外とのかい離 : 海外との関係をどうするか? ★消費者の行動 : 最大の問題・啓発の必要性 ★高齢者と幼小児の福祉対策への関心の相違 : 選挙制度に起因? ★その他
創包工学研究会 三浦秀雄
2015/12/18 29 29 29
PTP誤飲(丸飲み)の問題点
① PTPが食道の内径よりも大きく、蠕動により
下降しないことがある。
② PTPの角が鋭利で、食道壁に刺通し、停滞
することがある。
③ 食道に先天的・病的狭搾があることがある。
④ 食道壁が異物による痙攣性収縮を起こすこと
がある。
⑤ 食道を通過したPTPの90%は1週間以内に
肛門から排出されるが、胃内に長期間停滞し、
回腸部末端部の窄孔を発生することがある。
⑥ 症状によっては開腹手術が必要となる。
⑦ アルミニウムは胃内で溶解するため、問題に
⑧ なるのは成形材(プラスチック)である。
創包工学研究会 三浦秀雄
誤飲異物の検出 石川秀樹,創包工学研究会第44回講演会資料,(2010)
2015/12/18 30
★診察 孔の観察:口、鼻、耳・・・ 皮下気腫※
★単純X線 ★X線CT X線非透過のものに限定 ★消化管内視鏡 / 気管支鏡 可視範囲は限定的 小児は全身麻酔 ★その他の画像診断 造影、超音波
※皮下気腫: 皮下組織内に空気がたまった状態 空気の侵入経路としては、皮膚の損傷による外部からの侵入、損傷された壁側胸膜を通しての胸腔内空気(気胸)の侵入、気管・気管支損傷や食道損傷などに伴う縦隔からの侵入がある。
創包工学研究会 三浦秀雄
PTP誤飲(丸飲み)と消化器官内“異物滞留” 石川秀樹,創包工学研究会第44回講演会資料,(2010)
2015/12/18 31
★食道 生理的狭窄部 食道入口部 気管分岐部付近 胃食道接合部≒噴門 ★幽門 ★Treitz靭帯 ★回盲部 ★肛門
創包工学研究会 三浦秀雄
異物摘出 石川秀樹,創包工学研究会第44回講演会資料,(2010)を改編
2015/12/18 32
★道具不使用 ※ハイムリック法(例)
吐出/吐出促進 背部叩打 ハイムリック法※
吸引 静観 → 肛門からの排泄 吸収されても支障がないもの 角が丸いもの PTPに関しては過去2例の報告のみ (小林ら 鳥取医誌34: 104-5, 2006, 板倉ら 内科 99: 162, 2007)
★道具使用 鉗子 カテーテル・・・バルーン、マグネット 内視鏡/気管支鏡・・・消化管/気道
創包工学研究会 三浦秀雄
消費者のPTP使用に対する姿勢 石川秀樹,創包工学研究会第44回講演会資料,(2010)
2015/12/18 33
ハサミ使用 1錠に分離
ミシン線使用 1錠に分離
分割なし
押し出して保管 空部分のみを捨てる
PTPを丸飲みしそうになったことがある人:約25%
1錠に分割する人が多い
創包工学研究会 三浦秀雄
今後の趨勢(予測)
2015/12/18 34
社会変化 結果 ★核家族化 誤飲頻度増大 ★夫婦共働き 対処の遅滞 ★高齢化 症状悪化 ★介護 ★保育施設の利用増大 ★グローバリゼーション 消費者安全向上 CRSF包装採用 誤飲事故減少 (フェイルセーフシステム)
患者の安全性向上 (保護者に第一義的責任)
今後の変化(推定)
創包工学研究会 三浦秀雄
今後のPTP関係誤飲に関する要注意点
2015/12/18 35
★選挙制度 ⇒ 幼小児には選挙権がない ⇒ 幼小児福祉への予算配分が相対的に少ない ★両親共働きの増加 ⇒ 幼小児の世話をする時間の減少 ⇒ 誤飲事故増加 ★幼小児は手・口・歯などを使用する ⇒ 種々の局面を考慮する必要あり ⇒ 材質・形状・色調・においなどを再検討する必要 ★高齢者との同居 ⇒ PTP製品への接触時間増大 ⇒ 学習効果 ⇒ 誤飲事故増加 ★幼小児の管理には限界がある ⇒ 保育施設などでは、目が届かないケース増大 ⇒ 誤飲事故増加 ⇒ 訴訟問題への発展 ★小児科・救急医療体制の不備 ⇒過疎化に伴う 処置の遅れの可能性 ⇒ 容体悪化の可能性 ★保護者への啓発活動 ⇒ポスター・説明書などは読解・記憶されない傾向あり ⇒ 誤飲事故増加 ★CR包装増加に伴う保護者の注意低下のおそれ ⇒ 幼小児の行動の多様化 ⇒ 誤飲事故増加
★CR包装はあくまで補助的手段、保護者の責任明確化 ⇒ 保護者への徹底が重要 ⇒ 訴訟問題発生防止・CR包装採用促進
今後、さらに誤飲 事故が増大すると ともに深刻さが 増幅する可能性 あり
創包工学研究会 三浦秀雄
子供によるPTP関連誤飲に関する対策
2015/12/18 36
現有システムの検討 ハードプッシュ方式・ピールオフ方式・スライドパック方式・ ピール&プッシュ方式(ラベル型)・ピール&プッシュ方式 (一体型)・引き裂き型・《ESOP方式》など 客観的な技術検討実施 ★機能性 ★使用性・クレーム ★生産性 適切なシステムの選択 ★コスト ・投資額 誤飲防止システム採用 ★情報伝達性 誤飲事故減少 ★その他関連事項
創包工学研究会 三浦秀雄
PTP関係誤飲に対する対策
2015/12/18 37
総合的対策 ★誤飲全般に有効な新技術開発 ★Fail safeなシステムの開発 ★厚労省・消費者庁への正確な情報提供 ★“コストよりも安全” “使用性よりも安全”の世論形成 ★社会的理解と安易なクレームへの対策 ★関係者間の適正な情報交換 ★関係業界における議論拡大・徹底 ★啓発活動の強化(医療従事者を含む) ★医療従事者による服薬指導の強化 ★幼小児の前での医薬品服用忌避 ★医薬品保管場所の工夫など ★食品・医薬品保管場所を別にする。 ★類似した容器の食品・医薬品の忌避 ★その他
PTP・製剤に関する対策 ★高齢者の丸飲み・小児誤飲の両者に 有効な新システム開発と採用・育成 ★過大なPTP・角のないPTPなど ★柔軟包装材料採用 ★X線撮影可能な材料の開発 ★幼小児が齧らないPTP ★幼小児が興味を示す色調を忌避 ★製剤への着色・芳香付与の忌避 ★一包化推進 ★その他