艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6...

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防衛庁規格 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 NDS Z 3017 平成 年 4月 9日 15

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防 衛 庁 規 格

艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用

溶 接 材 料

NDS Z 3017

平成 年 4月 9日15

防 衛 庁

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N D S防 衛 庁 規 格

Z 3017制定 平成15. 4. 9改正艦船用超高張力鋼 鋼 用(NS110 )

溶 接 材 料

この規格は,主として潜水艦に使用する超高張力鋼材( 鋼)の溶接に使用1. まえがき NS110

する溶接材料について規定する。

この規格は,次に示す3種類の溶接材料・棒について規定するものである。2. 構 成

Ⅰ 超高張力鋼材( 鋼)用ガスタングステンアーク溶接材料NS110

Ⅱ 超高張力鋼材( 鋼)用ガスメタルアーク溶接材料NS110

Ⅲ 超高張力鋼材( 鋼)用被覆アーク溶接棒NS110

この規格の構成は,以下のとおりとする。3. 大目次

本文

1第Ⅰ章 超高張力鋼材( 鋼)用ガスタングステンアーク溶接材料 本文 ‥‥‥NS110

15第Ⅱ章 超高張力鋼材( 鋼)用ガスメタルアーク溶接材料 本文 ‥‥‥‥‥‥NS110

29第Ⅲ章 超高張力鋼材( 鋼)用被覆アーク溶接棒 本文 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥NS110

解説

45第Ⅰ章 超高張力鋼材( 鋼)用ガスタングステンアーク溶接材料 解説 ‥‥‥NS110

55第Ⅱ章 超高張力鋼材( 鋼)用ガスメタルアーク溶接材料 解説 ‥‥‥‥‥‥NS110

65第Ⅲ章 超高張力鋼材( 鋼)用被覆アーク溶接棒 解説 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥NS110

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1

第 Ⅰ 章艦船用超高張力鋼( 鋼)用NS110

ガスタングステンアーク溶接材料

目 次

1. 3適用範囲‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

2. 3引用規格‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

3. 3種 類‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4. 3品 質‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.1 3外 観‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.2 4化学成分‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.3 4機械的性質‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.4 4溶接割れ感受性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.5 5曲げ性能‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.6 5落重試験性能‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.7 5内部健全性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

5. 5寸法及び許容差‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

6. 5製品の状態‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7. 5試 験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.1 5試験一般‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.2 6分析試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.3 6溶接金属の引張試験及び衝撃試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.4 8U形溶接割れ試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.5 9側曲げ試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.6 10落重試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.7 11放射線透過試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

8. 11検 査‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

9. 11包 装‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

10. 11製品の呼び方‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

11. 11表 示‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

1 13付表 引用規格‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

Z 3017

(ⅰ)

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Z 3017

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3

第 Ⅰ 章艦船用超高張力鋼( 鋼)用NS110

ガスタングステンアーク溶接材料

この規格は,主として潜水艦に使用する超高張力鋼材( 鋼)の溶接に使用1. 適用範囲 NS110

するガスタングステンアーク溶接材料(以下,ワイヤ及び棒という )について規定する。。

に示す規格は,この防衛庁規格に引用されることによって,この規格の規2. 1引用規格 付表

定の一部を構成する。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

種類は, のとおりとする。3. 1種 類 表

表 種類1

( ) ( ) ( ) ( )種 類 シールドガス 溶接姿勢 電流の種類1 3 42

NSTA110Ar , , , (-)F V O H DC

NSTB110

応力除去焼きなましを行う場合は使用できない。注( )1

シールドガスは のアルゴンガスとする。( )2 JIS K 1105溶接姿勢に用いた記号は,次のことを意味する。( )3

:下向, :立向, :上向, :横向又は水平すみ肉F V O H電流の種類に用いた記号は,次のことを意味する。( )4

(- :直流(電極マイナス)DC )

ワイヤ及び棒の種類を示す記号の付け方は,次による。備考

N S T A 110

溶接金属の %耐力レベル0.2溶接材料の区分

ガスタングステンアーク溶接材料

鋼( )steel艦船用

品 質4.

4.1 JIS外 観 ワイヤ及び棒の表面は防せい 錆 のため銅めっきを施すものとし その外観は( ) , ,

の 製品の状態 による。Z3200 3.( )

Z 3017

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4

ワイヤ及び棒の化学成分は, の方法によって試験を行ったとき, に適合4.2 7.2化学成分 表2

しなければならない。

表 ワイヤ及び棒の化学成分 単位 %2

Si Mn P S Ni Cr Mo種類 C

NSTA110 0.08 0.10 0.15 0.008 0.008 8.00 1.10 1.000.15 10.00 1.50 1.40~ 以下 以下 以下 以下 ~ ~ ~

NSTB110 0.08 0.10 0.15 0.008 0.008 8.00 1.80 0.800.15 10.00 2.20 1.20~ 以下 以下 以下 以下 ~ ~ ~

Cu V Al Co O N H( )5

0.25 0.05 0.10 0.0100 0.0100 0.0010-

以下 ~ 以下 以下 以下 以下0.25

0.25 0.50 1.25 0.0100 0.0100 0.0010-

以下 ~ ~ 以下 以下 以下1.00 1.75

銅めっき分を含む注( )5

4.3 7.3機械的性質 溶接金属の 耐力,引張強さ,伸び及びシャルピー吸収エネルギーは,0.2%

の方法によって試験を行ったとき, に適合しなければならない。表3

表 溶接金属の機械的性質3

引張試験 衝撃試験( )6

吸収エネルギー%耐力 引張強さ 伸び 試験温度 J0.2

N N % ℃ 3個の試験 個々の試験/mm /mm2 2

片の平均値 片 の 値

以上 以上0 69 55

以上 ~ 以上1098 1180 1420 14

以上 以上-50 27 22

試験片2個それぞれの値注( )6

U形溶接割れ試験による溶接金属の溶接割れ感受性は, の方法によっ4.4 7.4溶接割れ感受性

て試験を行ったとき, 適合しなければならない。表 に4

表 U形溶接割れ感受性 単位 %4

表面割れ 断面割れ( )7

0 0

( ) クレータ部の割れは含まない。注 7

Z 3017

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5

, ,4.5 7.5曲げ性能 側曲げ試験による溶接金属の曲げ性能は の方法によって試験を行ったとき

試験片の曲げられた外面において,1個の長さが を超える割れ,又は合計長さが を超3mm 7mm

える割れがあってはならない。

落重試験による溶接金属の落重性能は, の方法によって試験を行ったと4.6 7.6落重試験性能

き, ℃において試験片が破断してはならない。-50

放射線透過試験による溶接金属の内部健全性は, の方法によって試験を行4.7 7.7内部健全性

ったとき, の2類以上に適合しなければならない。NDS Z 2004

ワイヤ及び棒の寸法は のとおりとし その許容差は の 寸5. 5 JIS Z 3200寸法及び許容差 表 2., , (

法及び許容差)による。

表 ワイヤ及び棒の寸法5mm単位

溶接材料 径 長さ

1.2ワイヤ -

1.6

2.4 1000棒

製品の状態は の (製品の状態)による。6. JISZ3200製品の状態 3.

試 験7.

試験の一般的事項は,次による。7.1 試験一般

試験に使用する鋼板は, の とする。a) NDS G 3 1 2 1 NS110

溶接試験に使用するシールドガスは, のアルゴンガスとする。b) JIS K 1 1 0 5

試験項目及び溶接姿勢は, のとおりとする。c) 6表

表 試験項目及び溶接姿勢6

ワイヤ又は棒 分析 引張 衝撃 形溶接 側曲げ 落重 放射線U試験 透過試験の径 試験 試験 試験 割れ試験 試験mm

1.2V F V V V及び ワイヤ V( )

1.6

2.4 F F F F F F( )棒

同一溶鋼でワイヤの径 及び を共に製造する場合は, についてのみ備考 1.2mm 1.6mm 1.2mm試験を行う。棒径 については, 及び と同一製造単位であっても試2.4mm 1.2mm 1.6mm験を行う

初回納入時及び製造工程に大きな変更があった場合を除き,U形溶接割れ試験,側曲げ試験d)

及び落重試験は,注文者と製造業者の協議によって省略してもよい。

試験の頻度は,製造単位ごととする。製造単位とは同一溶鋼から,同一時期に連続して造らe)

れた製品を指す。

Z 3017

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6

Z 3017

分析試験は,次による。7.2 分析試験

分析試料は,銅めっきを施したワイヤ及び棒から採取する。a)

分析試験の一般事項及び分析試料の採り方は, による。b) JIS G 0321

分析方法は,次による。c)

, , , , , ,JIS G 1 2 0 1 JIS G 1 2 0 4 JIS G 1 2 1 1 JIS G 1 2 1 2 JIS G 1 2 1 3 JIS G 1 2 1 4 JIS G 1 2 1 5,

, , , , , ,JIS G 1216 JIS G 1217 JIS G 1218 JIS G 1 2 1 9 JIS G 1221 JIS G 1222 JIS G 1224,

JIS G 1228 JIS G 1253 JIS G 1256 JIS G 1 2 5 7 JIS Z 2 6 1 1 JIS Z 2614, , , , ,

溶接金属の引張試験及び衝撃試験は,次による。7.3 溶接金属の引張試験及び衝撃試験

なお, ~ 以外の項目については, による。a) d) JISZ3111

試験板の形状及び試験片の採取位置は, による。a) 1図

溶接条件は, による。b) 7表

表 引張試験及び衝撃試験の溶接条件7

ワイヤ又は 種 類 溶接電流 アーク電圧 溶接入熱量 予熱 ・パス ワイヤ又は棒の( ) ( )8 9

mm A V kJ/cm g/min棒の径 間温度 ℃ 供給速度

以下1.2 NSTA110 18 2 13±220 300 10 12 75 10及び ~ ~ ±

± 以下1.6 NSTB110 16 2 15

NSTA110 18 4±± 以下2.4 180 280 10 18 75 10 9~ ~

NSTB110 14 4±

( ) 溶接入熱量は,次式により求める。注 8

I E60・ ・=HI

v1000・ここに,

:溶接入熱量( )HI kJ/cm( )I :溶接電流 A( )E :アーク電圧 V

:溶接速度( )v cm/min

溶接を中断したときはパス間温度まで加熱する。( )9

ワイヤによる場合は自動溶接,棒による場合は手動溶接とする。備考1 .

表 の項目,溶接速度及び積層要領を記録し報告するものとする。2. 7

c) JIS Z 3111 JIS Z 3111引張試験片は,ワイヤによる場合は の 号試験片とし,棒による場合はA1

の 号試験片と試験片とする。いずれの場合も,試験片の採取個数は 個とする。A2 2

衝撃試験片は,ワイヤによる場合,棒による場合共に の 号試験片とする。いずれd) JIS Z 3111 4

の場合も,試験片の採取個数は 個とする。6

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7

Z 3017

ワイヤ径 試験板の 試験片の採 試験板の

a b c又は棒径 厚さ: 取位置: 長さ:

mm mm mm mm1.2

± 以上及び 30 1 10 4501.6

以上2.4 20 1 7 350±

mm単位図 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置1

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8

Z 3017

形溶接割れ試験は,次による。7.4 U形溶接割れ試験 U

試験板形状は による。a) 2図

mm単位図 形溶接割れ試験の試験板形状2 U

溶接条件は, による。b) 8表

表 U形溶接割れ試験の溶接条件8

棒又はワイ 種 類 溶接電流 アーク 溶接入熱量 予熱温度 ワイヤ又は棒の 水蒸気分圧

mm A V kJ/cm g/min kPaヤの径 電圧 ℃ 供給速度

以下1.2 NSTA110 18 2 13±220 300 10 13 50 5 3.73±0.27及び ~ ~ ±

± 以下1.6 NSTB110 16 2 15

NSTA110 21 4±2.4 180 280 10 18 50 5 9 3.73±0.27~ ~ 以下±

NSTB110 14 4±

ワイヤによる場合は自動溶接,棒による場合は手動溶接とし,いずれの場合も1備考1.

パス溶接とする。

表 の項目,溶接速度及び溶接雰囲気の温度と相対湿度を記録し報告するものと2. 8

する。

予熱温度は,測定点 点のすべてが規定を満足しなければならない。c) 6

試験材は,溶接終了後室温まで放冷し, 時間以上経過後割れを調べる。d) 48

表面割れは,目視又は適切な方法で調べる。e)

断面割れは, に示すとおり,クレータ部を除いた試験溶接部の 横断面について,割れのf 3) 図 5

有無を目視又は適切な方法で調べる。

試験板の数は, 個とする。g) 3

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9

Z 3017

mm単位

図 試験溶接部の切断方法3

溶接金属の側曲げ試験は,次による。7.5 側曲げ試験

なお, ~ 以外の項目については, による。a) e) JIS Z 3122

試験板の形状及び試験片の採取位置は, による。a) 4図

aワイヤ径又は棒径 試験板の厚さ:

mm mm1.2 1.6 30 1及び ±

2.4 20 1±

mm単位図 側曲げ試験板の形状及び試験片採取位置4

溶接条件は, による。b) 7表

8.5 9.5mmc) JIS Z 3122試験片の形状は, の側曲げ試験片とする。ただし,試験片の厚さは, ~

とする。

試験片の採取個数は, 個とする。d) 3

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10

Z 3017

曲げ試験方法は, のローラ曲げ試験方法による。ただし,曲げ半径は, ( は,e) JIS Z 3122 3t t

試験片の厚さ)とする。

落重試験は,次による。7.6 落重試験

なお, ~ 以外の項目については, による。a e NDSG0501) )

試験板の形状及び試験片の採取位置は, による。a) 5図

mm単位

図 落重試験板の形状及び試験片採取位置5

溶接条件は, による。b) 7表

試験片の形状は, の 号試験片とし,採取個数は, 個とする。c) NDSZ0501 2 3

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11

Z 3017

試験温度は, ℃とする。d) -50

落重エネルギーは, とする。e) 637J

放射線透過試験は,次の試験片に対して, により行う。7.7 NDS Z 2004放射線透過試験

放射線透過試験を行う試験材は, 及び の試験材から余盛を母材面まで削除し,更に初a) 7.3 7.5

層溶接側を母材面から 削除したものとする。5mm

試験材の溶接スタート側及びクレータ側の溶接長 分は,放射線透過試験の対象から除b) 25mm

外する。

検査は,次による。8. 検 査

, , , , 。a) 4.1 5. 6.ワイヤ及び棒は 外観 寸法及び製品の状態が の規定に適合しなければならない

ワイヤ及び棒は,ワイヤ及び棒の分析試験並びに溶接金属の引張試験,衝撃試験, 形溶接b) U

割れ試験,側曲げ試験,落重試験及び放射線透過試験の成績が, ~ の規定に適合しな4.2 4.7

ければならない。

なお,これらの試験のうち,いずれかひとつが不合格であった場合は,その試験について

回だけ再試験を行うことができ,その成績が規定に合格しなければならない。1

次のいずれかに該当する場合は,試験片又は試験を無効とし,最初の試験片を採取した試験c)

材又は再溶接を行った試験材から試験片を採り直すことができる。

試験前及び試験後に試験片の加工不良が認められたとき。1)

試験操作に誤りがあったと認められるとき。2)

引張試験において,試験片が標点間の中央から標点距離の 以外で破断し,伸びの成績が3) 1/4

規定に適合しなかったとき。

包装は, の (包装)による。9. J ISZ3200 5.包 装

, , , ,10. 製品の呼び方 製品の呼び方は ワイヤについては種類 径及び質量 棒については種類

径及び長さによる。

NSTA110 1.2 20例:a)ワイヤ - -

( ) 質量( )種類 径 mm kg

NSTA110 2.4 1000b)棒 - -

( ) 長さ( )種類 径 mm mm

表示は, の (表示)による。11. JIS Z 3 2 0 0 4.表 示

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Z 3017

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13

Z 3017

付表 引用規格1

鋼材の製品分析方法及びその許容変動値JIS G 0321

鉄及び鋼の分析方法通則JIS G 1201

鉄及び鋼のけい光X線分析方法通則JIS G 1204

鉄及び鋼-炭素定量方法JIS G 1211

鉄及び鋼-けい素定量方法JIS G 1212

鉄及び鋼中のマンガン定量方法JIS G 1213

鉄及び鋼-りん定量方法JIS G 1214

鉄及び鋼-硫黄定量方法JIS G 1215

鉄及び鋼-ニッケル定量方法JIS G 1216

鉄及び鋼中のクロム定量方法JIS G 1217

鉄及び鋼-モリブデン定量方法JIS G 1218

鉄及び鋼-銅定量方法JIS G 1219

鉄及び鋼中のバナジウム定量方法JIS G 1221

鉄及び鋼中のコバルト定量方法JIS G 1222

鉄及び鋼中のアルミニウム定量方法JIS G 1224

鉄及び鋼-窒素定量方法JIS G 1228

鉄及び鋼-スパーク放電発光分光分析方法JIS G 1253

鉄及び鋼-蛍光X線分析方法JIS G 1256

鉄及び鋼-原子吸光分析方法JIS G 1257

アルゴンJIS K 1105

金属材料の光電測光法による発光分光分析方法通則JISZ2611

金属材料の水素定量方法通則JISZ2614

溶着金属の引張及び衝撃試験方法JISZ3111

突合せ溶接継手の曲げ試験方法JISZ3122

溶着金属の化学分析用試料の作製方法JISZ3184

溶接材料-寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装JISZ3200

鋼材及び溶接金属の落重試験方法NDS G 0501

艦船用超高張力鋼板( )NDS G 3121 NS110

艦船用鋼材の溶接部の非破壊試験方法及びその試験結果のNDSZ2004

等級分類方法

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14

Z 3017

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15

第 Ⅱ 章艦船用超高張力鋼( 鋼)用NS110

ガ ス メ タ ル ア ー ク 溶 接 材 料

目 次

1. 17適用範囲‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

2. 17引用規格‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

3. 17種 類‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4. 18品 質‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.1 18外 観‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.2 18化学成分‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.3 18機械的性質‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.4 18溶接割れ感受性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.5 18すみ肉溶接部の品質‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.6 19曲げ性能‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.7 19落重試験性能‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.8 19内部健全性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

5. 19寸法及び許容差‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

6. 19製品の状態‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7. 19試 験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.1 19試験一般‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.2 20分析試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.3 20溶着金属の引張試験及び衝撃試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.4 22窓形溶接割れ試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.5 23すみ肉溶接試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.6 24側曲げ試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.7 24落重試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7.8 26放射線透過試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

8. 26検 査‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

9. 26包 装‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

10. 26製品の呼び方‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

11. 26表 示‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

1 27付表 引用規格‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

Z 3017

(ⅰ)

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16Z 3017

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第 Ⅱ 章艦船用超高張力鋼( 鋼)用NS110

ガ ス メ タ ル ア ー ク 溶 接 材 料

この規格は,主として潜水艦に使用する超高張力鋼材( 鋼)の溶接に使用1. 適用範囲 NS110

するガスメタルアーク溶接材料(以下,ワイヤという )について規定する。。

に示す規格は,この防衛庁規格に引用されることによって,この規格の規2. 1引用規格 付表

定の一部を構成する。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

種類は, のとおりとする。3. 1種 類 表

表 種類1

( ) ( ) ( ) ( )種類 シールドガス 溶接姿勢 電流の種類1 2 3 4

NSMA95AC+ , , , (+)Ar CO F V O H DC2

NSMB95AC

応力除去焼きなましを行う場合は使用できない。注( )1

+ の 組成は, %とする。また,シールドガスに用いる( ) ±2 Ar CO CO 5 12 2

アルゴンは のアルゴンガス,炭酸ガスは の 種又は 種とJIS K 1105 JIS K 1106 2 3する。

溶接姿勢に用いた記号は,次のことを意味する。( )3

:下向, :立向, :上向, :横向又は水平すみ肉F V O H電流の種類に用いた記号は,次のことを意味する。( )4

DC(+ :直流(ワイヤプラス))

ワイヤの種類を示す記号の付け方は,次による。備考

N S M A 95 AC

シールドガス( + )Ar CO2

溶着金属の %耐力レベル0.2溶接材料の区分

ガスメタルアーク溶接材料

鋼( )steel艦船用

Z 3017

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品 質4.

4.1 JIS Z 3200外 観 ワイヤの表面は防せい 錆 のため銅めっきを施すものとし その外観は( ) , ,

の 製品の状態 による。3.( )

ワイヤの化学成分は, の方法によって試験を行ったとき, に適合しなけ4.2 7.2 2化学成分 表

ればならない。

表 ワイヤの化学成分 単位 %2

種類 C V NSi Mn P S Ni Cr Mo Cu( )5

NSMA95AC 0.03 0.20 1.60 0.012 0.010 1.00 0.80 0.50 0.02 0.40 0.005

0.09 0.60 2.60 2.00 1.20 1.00 0.12 0.015~ ~ ~ 以下 以下 ~ ~ ~ ~ 以下 ~

NSMB95AC 0.03 0.20 1.60 0.012 0.010 2.00 0.80 0.50 0.02 0.40 0.010

~ ~ ~ 以下 以下 ~ ~ ~ ~ 以下 以下0.09 0.60 2.60 3.00 1.20 1.00 0.12

銅めっき分を含む注( )5

4.3 7.3機械的性質 溶着金属の 耐力,引張強さ,伸び及びシャルピー吸収エネルギーは,0.2%

の方法によって試験を行ったとき, に適合しなければならない。表3

表 溶着金属の機械的性質3

引張試験 衝撃試験( )6

吸収エネルギー%耐力 引張強さ 伸び 試験温度 J0.2

N N % ℃ 個の試験 個々の試験/mm /mm 32 2

片の平均値 片 の 値

以上 以上0 69 55

以上 ~ 以上941 980 1180 14

以上 以上-50 27 22

個それぞれの値注( ) 26

溶接金属の窓形溶接割れ試験による溶接割れ感受性は, の方法によっ4.4 7.4溶接割れ感受性

て試験を行ったとき, に適合しなければならない。表4

表 窓形溶接割れ感受性 単位 %4

表面割れ 断面割れ( )7

0 0

( ) クレータ部の割れは含まない。注 7

4.5 7.5 a) c)すみ肉溶接部の品質 すみ肉溶接部の品質は の方法によって試験を行ったとき ~, ,

に適合しなければならない。

Z 3017

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19

すみ肉溶接部は,表面が滑らかで,割れ,著しいアンダカット,オーバラップ,その他有害a)

な欠陥がないこと。

溶接部横断面のマクロ組織を示す試験片においては,過大な上下脚長の差,割れ,その他有b)

害な欠陥がないこと。

すみ肉溶接金属の破面に,割れ,ブローホール,溶込み不良などの有害な欠陥がないこと。c)

ただし,両端面を除き,ブローホール及び溶込み不良の箇所の長さの和が,溶接全長の %10

以下であればよい。

, ,4.6 7.6曲げ性能 側曲げ試験による溶接金属の曲げ性能は の方法によって試験を行ったとき

試験片の曲げられた外面において, 個の長さが を超える割れ,又は合計長さが を超え1 3mm 7mm

る割れがあってはならない。

落重試験による溶接金属の落重試験性能は, の方法によって試験を行っ4.7 7.7落重試験性能

たとき, ℃において試験片が破断してはならない。-50

放射線透過試験による溶着金属及び溶接金属の内部健全性は, の方法によ4.8 7.8内部健全性

って試験を行ったとき, の 類以上に適合しなければならない。NDSZ2004 2

, , ( )5. JIS Z 3 2 0 0 2.寸法及び許容差 ワイヤの径は とし その許容差は の 寸法及び許容差1.2mm

による。

製品の状態は, の (製品の状態)による。6. JIS Z 3200 3.製品の状態

試 験7.

試験の一般的事項は,次による。7.1 試験一般

試験に使用する鋼板は, の とする。a) NDS G 3 1 2 1 NS110

溶接試験に使用するアルゴンは のアルゴンガス,炭酸ガスは に規定さb) JIS K 1105 JIS K 1 1 0 6

れた 種又は 種とする。2 3

なお,アルゴンガスと炭酸ガスをあらかじめ混合したものを用いても良い。

試験項目及び溶接姿勢は, のとおりとする。c) 5表

表 試験項目及び溶接姿勢5

ワイヤの 分析 引張 衝撃 窓形溶接 側曲げ 落重 放射線すみ肉 ( )8

溶接試験 試験 透過試験径 試験 試験 試験 割れ試験 試験mm

1.2 ( ) F F F H F F Fワイヤ

( ) すみ肉溶接試験の溶接姿勢 は,水平すみ肉とする。注 8 H

初回納入時及び製造工程に大きな変更があった場合を除き,窓形溶接割れ試験,すみ肉溶接d)

試験,側曲げ試験及び落重試験は,注文者と製造業者の協議によって省略してもよい。

試験の頻度は,製造単位ごととする。製造単位とは同一溶鋼から,同一時期に連続して造らe)

Z 3017

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20

Z 3017

れた製品を指す。

分析試験は,次による。7.2 分析試験

分析試料は,銅めっきを施したワイヤから採取する。a)

分析試験の一般事項及び分析試料の採り方は, による。b) JIS G 0321

分析方法は,次による。c)

, , , , , ,JIS G 1201 JIS G 1204 JIS G 1211 JIS G 1 2 1 2 JIS G 1213 JIS G 1214 JIS G 1215,

, , , , , ,JIS G 1216 JIS G 1217 JIS G 1218 JIS G 1 2 1 9 JIS G 1221 JIS G 1228 JIS G 1253,

JIS G 1256 JIS G 1257 JIS Z 2611, ,

溶着金属の引張試験及び衝撃試験は,次による。7.3 溶着金属の引張試験及び衝撃試験

なお, ~ 以外の項目については, による。a) d) JISZ3111

試験板の形状及び試験片の採取位置は, による。a) 1図

溶接条件は, による。b) 6表

表 引張試験及び衝撃試験の溶接条件6

( ) ( ) ( )ワイヤの径 種 類 溶接電流 アーク電圧 溶接入熱量 予熱・パス 溶着速度9 10 11

mm A V kJ/cm g/cm間温度 ℃

NSMA95AC 16 3±~ ~ 以下1.2 250 310 24 32 125 10 3.0±

NSMB95AC 17 3±

( ) 溶接入熱量は,次式により求める。注 9

I E60・ ・=HI

v1000・ここに,

:溶接入熱量( )HI kJ/cm( )I :溶接電流 A( )E :アーク電圧 V

:溶接速度( )v cm/min

溶接を中断したときはパス間温度まで加熱する。( )10

溶着速度は,次式により求める。( )11

Wf=Dw

vここに,

:溶着速度( )Dw g/cm:ワイヤ供給速度( )Wf g/min:溶接速度( )v cm/min

表 の項目及び溶接速度及び積層要領を記録し報告するものとする。備考 6

引張試験片は, の 号試験片とする。試験片の採取個数は 個とする。c) JIS Z 3111 A1 2

衝撃試験片は, の 号試験片とする。試験片の採取個数は 個とする。d) JIS Z 3111 4 6

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Z 3017

mm単位図 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置1

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Z 3017

窓形溶接割れ試験は,次による。7.4 窓形溶接割れ試験

試験板の形状は, による。a) 2図

mm単位図 窓形溶接割れ試験の試験板形状2

溶接条件は, による。b) 7表

表 窓形溶接割れ試験の溶接条件7

ワイヤの径 種 類 溶接電流 アーク電圧 溶接入熱量 予熱温度 水蒸気分圧mm A V kJ/cm kPa℃

NSMA95AC 16 3±1.2 250 310 24 32 100 5 3.73 0.27~ ~ ± ±

NSMB95AC 17 3±

溶接は, パス溶接とする。備考1. 1表 の項目,溶接速度及び溶接雰囲気の温度と相対湿度を記録し報告するものと2. 7する。

予熱温度は,測定点 点のすべてが規定を満足しなければならない。c) 6

試験材は,溶接終了後室温まで放冷し, 時間以上経過後割れを調べる。d) 48

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23

Z 3017

表面割れは,目視又は適切な方法で調べる。e)

断面割れは, に示すとおり,スタート部及びクレータ部を除いた試験溶接部の 横断面f 3) 図 10

について,割れの有無を目視又は適切な方法で調べる。

試験板の数は, 個とするg) 1

図 断面割れ試験片採取要領3

すみ肉溶接試験は,次のとおりとする。7.5 すみ肉溶接試験

試験板の形状及び試験片の採取位置は, による。a) 4図

mm単位図 すみ肉溶接試験の試験板形状及び試験片採取位置4

溶接条件は, のとおりとする。b) 8表

試験材は,溶接終了後室温まで放冷し, 時間経過後溶接ビード表面を目視及び染色浸透探c) 48

傷試験によって調べるほか,必要に応じて磁粉探傷試験を行う。染色浸透探傷試験方法及び

磁粉探傷試験方法は, による。NDS Z 2004

, , ,d) 試験材のほぼ中央から 幅約 のマクロ組織試験片を採取し 溶接部の割れなどの欠陥25mm

溶込み及びすみ肉の脚長を測定する。

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Z 3017

表 すみ肉溶接試験の溶接条件8

ワイヤの径 溶接電流 アーク電圧 すみ肉脚長 予熱温度℃mm A V mm

1.2 250 310 24 32 5 10 125 10~ ~ ~ ±

溶接は,1パス溶接とする。備考1.の項目及び溶接入熱量を記録し,報告するものとする。2. 表8

マクロ組織試験片を採取した後,すみ肉破面試験片を 個採取し,溶接ビードに切りみぞをe) 2

入れ, に示す方向に外力を加えて破断し,破面を観察する。図4

試験板の数は 個とするf) 1

溶接金属の側曲げ試験は,次による。7.6 側曲げ試験

なお, ~ 以外の項目については, による。a) e) JIS Z 3122

試験板の形状及び試験片の採取位置は, による。a) 5図

溶接条件は, による。b) 6表

8.5 9.5mmc) JIS Z 3122試験片の形状は, の側曲げ試験片とする。ただし,試験片の厚さは, ~

とする。

試験片の採取個数は, 個とする。d) 3

曲げ試験方法は, のローラ曲げ試験方法による。ただし,曲げ半径は, ( は,e) JIS Z 3122 5t t

試験片の厚さ)とする。

単位mm

図 側曲げ試験の試験板形状及び試験片採取位置5

溶接金属の落重試験は,次による。7.7 落重試験

なお, ~ 以外の項目については, による。a e NDSG0501) )

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Z 3017

試験板の形状及び試験片の採取位置は, による。a) 6図

mm単位図 落重試験板の形状及び試験片採取位置6

溶接条件は, による。b) 9表

試験片の形状は, の 号試験片とし,採取個数は, 個とする。試験片の切り取c) NDS G 0501 2 3

りは,原則として機械切断とする。ただし,ガス切断による場合は,削り代を片側 以5mm

上とする。

試験温度は, ℃とする。d) -50

落重エネルギーは, とする。e) 539J

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Z 3017

表 落重試験の溶接条件9

ワイヤの径 種 類 溶接電流 アーク電圧 溶接入熱量 予熱・パス間温度 溶着速度( )12

mm A V kJ/cm g/cm℃

NSMA95AC 15 4±~ ~ 以下1.2 250 310 24 32 125 10 3.0±

NSMB95AC 16 3±

溶接を中断したときは,パス間温度まで加熱する。注( )12

放射線透過試験は,次の試験片に対して, により行う。7.8 NDS Z 2004放射線透過試験

放射線透過を行う試験材は, 及び の試験材とする。a) 7.3 7.6

の試験材は,余盛及び裏当金を母材面まで削除し,放射線透過試験に使用する。b) 7.3

の試験材は,余盛を母材面まで削除し,更に初層溶接側を母材面から 削除して,放c) 7.6 5mm

射線透過試験に使用する。

試験材の溶接スタート側及びクレータ側の溶接長 分は,放射線透過試験の対象から除d) 25mm

外する。

検査は,次による。8. 検 査

ワイヤは,外観,寸法及び製品の状態が , , の規定に適合しなければならない。a) 4.1 5. 6.

ワイヤは,ワイヤの分析試験並びに溶着金属の引張試験,衝撃試験,窓形溶接割れ試験,側b)

曲げ試験,落重試験及び放射線透過試験の成績が, ~ の規定に適合しなければならな4.2 4.8

い。

1なお これらの試験のうち いずれかひとつが不合格であった場合は その試験について, , ,

回だけ再試験を行うことができ,その成績が規定に合格しなければならない。

次のいずれかに該当する場合は,試験片又は試験を無効とし,最初の試験片を採取した試験c)

材又は再溶接を行った試験材から試験片を採り直すことができる。

試験前及び試験後に試験片の加工不良が認められたとき。1)

試験操作に誤りがあったと認められるとき。2)

引張試験において,試験片が標点間の中央から標点距離の 以外で破断し,伸びの成績が3) 1/4

規定に適合しなかったとき。

包装は, の (包装)による。9. J ISZ3200 5.包 装

製品の呼び方は,種類,径及び質量による。10. 製品の呼び方

NSMA95AC 1.2 20例 - -

( ) ( )種類 径 質量mm kg

表示は, の (表示)による。11. JIS Z 3 2 0 0 4.表 示

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Z 3017

付表 引用規格1

鋼材の製品分析方法及びその許容変動値JIS G 0321

鉄及び鋼の分析方法通則JIS G 1201

鉄及び鋼のけい光X線分析方法通則JIS G 1204

鉄及び鋼-炭素定量方法JIS G 1211

鉄及び鋼-けい素定量方法JIS G 1212

鉄及び鋼中のマンガン定量方法JIS G 1213

鉄及び鋼-りん定量方法JIS G 1214

鉄及び鋼-硫黄定量方法JIS G 1215

鉄及び鋼-ニッケル定量方法JIS G 1216

鉄及び鋼中のクロム定量方法JIS G 1217

鉄及び鋼-モリブデン定量方法JIS G 1218

鉄及び鋼-銅定量方法JIS G 1219

鉄及び鋼中のバナジウム定量方法JIS G 1221

鉄及び鋼-窒素定量方法JIS G 1228

鉄及び鋼-スパーク放電発光分光分析方法JIS G 1253

鉄及び鋼-蛍光X線分析方法JIS G 1256

鉄及び鋼-原子吸光分析方法JIS G 1257

アルゴンJIS K 1105

液化二酸化炭素(液化炭酸ガス)JIS K 1106

金属材料の光電測光法による発光分光分析方法通則JISZ2611

溶着金属の引張及び衝撃試験方法JISZ3111

突合せ溶接継手の曲げ試験方法JISZ3122

溶着金属の化学分析用試料の作製方法JISZ3184

溶接材料-寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装JISZ3200

鋼材及び溶接金属の落重試験方法NDS G 0501

艦船用超高張力鋼板( )NDS G 3121 NS110

艦船用鋼材の溶接部の非破壊試験方法及びその試験結果のNDSZ2004

等級分類方法

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Z 3017

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29

第 Ⅲ 章艦船用超高張力鋼( 鋼)用NS110

被 覆 ア ー ク 溶 接 棒

目 次1. 31適用範囲‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

2. 31引用規格‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

3. 31種 類‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4. 31品 質‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.1 31被 覆‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.2 31化学成分‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.3 32機械的性質‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.4 32水素量‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.5 32溶接割れ感受性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.6 32すみ肉溶接部の品質‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.7 32曲げ性能‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.8 33落重試験性能‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.9 33内部健全性‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

5. 33寸法及び許容差‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

6. 33試 験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

6.1 33試験一般‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

6.2 33分析試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

6.3 34溶着金属の引張試験及び衝撃試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

6.4 36水素量試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

6.5 36U形溶接割れ試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

6.6 37すみ肉溶接試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

6.7 38側曲げ試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

6.8 39落重試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

6.9 40放射線透過試験‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

7. 40検 査‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

8. 40包 装‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

9. 41製品の呼び方‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

10. 41表 示‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

1 43付表 引用規格‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

Z 3071

(ⅰ)

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30Z 3017

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31

第 Ⅲ 章艦船用超高張力鋼( 鋼)用NS110

被 覆 ア ー ク 溶 接 棒

この規格は,主として潜水艦に使用する超高張力鋼材( 鋼)の溶接に使用1. 適用範囲 NS110

する被覆アーク溶接棒(以下,溶接棒という )について規定する。。

に示す規格は,この防衛庁規格に引用されることによって,この規格の規2. 1引用規格 付表

定の一部を構成する。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

種類は, のとおりとする。3. 1種 類 表

表 種類1

( ) ( ) ( )種類 被覆の系統 溶接姿勢 電流の種類1 2 3

NSE9516 F V O H AC低水素系 , , ,

応力除去焼きなましを行う場合には使用できない。注( )1

溶接姿勢に用いた記号は,次のことを意味する。( )2

:下向, :立向, :上向,H:横向又は水平すみ肉F V O電流の種類に用いた記号は,次のことを意味する。( )3

:交流AC溶接棒の種類を示す記号の付け方は,次による。備考

N S E 95 16

低水素系全姿勢用溶接棒

溶着金属の 耐力レベル0.2%被覆アーク溶接棒

鋼( )steel艦船用

品 質4.

被覆は, の (製品の状態)による。4.1 JIS Z 3 2 0 0 3.被 覆

溶着金属の化学成分は, の方法によって試験を行ったとき、 に適合しな4.2 6.2 2化学成分 表

ければならない。

Z 3017

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32

表 溶着金属の化学成分2%単位

C Si Mn P S Ni Cr Mo V O N

0.03 0.20 1.50 0.012 0.010 2.00 0.80 0.60 0.02 0.030 0.020~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

以下 以下 以下 以下0.09 0.60 1.90 3.00 1.10 1.00 0.08

4.3 6.3機械的性質 溶着金属の 耐力,引張強さ,伸び及びシャルピー吸収エネルギーは,0.2%

の方法によって試験を行ったとき, に適合しなければならない。表3

表 溶着金属の機械的性質3

引張試験 衝撃試験( )4

吸収エネルギー%耐力 引張強さ 伸び 試験温度 J0.2

N N % ℃ 3個の試験 個々の試験/mm /mm2 2

片の平均値 片 の 値

以上 以上0 69 55以上 ~ 以上941 980 1160 14

以上 以上-50 27 22

試験片2個それぞれの値注( )4

溶着金属の水素量は, の方法によって試験を行ったとき,溶着金属 当たり4.4 6.4水素量 100g

の水素量が, 以下でなければならない。6ml

U形溶接割れ試験による溶接割れ感受性は, の方法によって試験を行4.5 6.5溶接割れ感受性

ったとき, に適合しなければならない。表4

表 U形溶接割れ感受性4%単位

表面割れ 断面割れ( )5

0 0

( ) クレータ部の割れは含まない。注 5

4.6 6.6 a) c)すみ肉溶接部の品質 すみ肉溶接部の品質は の方法によって試験を行ったとき ~, ,

に適合しなければならない。

すみ肉溶接部は,表面が滑らかで,割れ,著しいアンダカット,オーバラップ,その他有害a)

な欠陥がないこと。

溶接部横断面のマクロ組織を示す試験片においては,過大な上下脚長の差,割れ,その他有b)

害な欠陥がないこと。

すみ肉溶接金属の破面に,割れ,ブローホール,溶込み不良などの有害な欠陥がないこと。c)

ただし,両端面を除き,ブローホール及び溶込み不良の箇所の長さの和が,溶接全長の %10

以下であればよい。

, ,4.7 6.7曲げ性能 側曲げ試験による溶接金属の曲げ性能は の方法によって試験を行ったとき

試験片の曲げられた外面において,1個の長さが3 を超える割れ又は合計長さが7 を超mm mm

Z 3017

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33

える割れがあってはならない。

落重試験による溶接金属の落重試験性能は, の方法によって試験を行っ4.8 6.8落重試験性能

たときに, ℃において試験片が破断してはならない。-50

放射線透過試験による溶着金属及び溶接金属の内部健全性は, の方法によ4.9 6.9内部健全性

って試験を行ったとき, の2類以上に適合しなければならない。NDSZ2004

溶接棒の寸法は, のとおりとし,その許容差は, のとおりとする。5. 5 6寸法及び許容差 表 表

表 溶接棒の寸法5mm単位

径 長さ

3.2 350

4.0 400

表 溶接棒の径と長さの許容差6mm単位

径 径の許容差 長さの許容差

3.2 0.05 3± ±

4.0 0.05 3± ±

試 験6.

試験の一般的事項は,次による。6.1 試験一般

試験に使用する鋼板は, の とする。a) NDSG3121 NS110

溶接棒は,使用前に製造業者が推奨する条件で乾燥する。b)

試験項目及び溶接姿勢は, のとおりとする。c) 7表

表 試験項目及び溶接姿勢7

溶接棒の径 分析 引張 衝撃 水素量 形溶接 すみ肉 側曲げ 落重 放射線U ( )6

試験 試験 試験 試験 割れ試験 溶接試験 試験 透過試験mm 試験

3.2 F F F V,O,H F- - - -

4.0 F F F F F V,O,H V F F,V

( ) すみ肉溶接試験の溶接姿勢Hは,水平すみ肉とする。注 6

初回納入時及び製造工程に大きな変更があった場合を除き,U形溶接割れ試験,すみ肉溶接d)

試験,側曲げ試験及び落重試験は,注文者と製造業者の協議によって省略してもよい。

試験の頻度は,製造単位ごととする。製造単位とは同一心線,同一配合フラックスを用いたe)

同一塗装品を指す。

分析試験は,次による。6.2 分析試験

分析試料は, による破断後の引張試験片残材の平行部又は平行部該当位置若しくは試験a) 6.3

材の引張試験片平行部に相当する位置から採取する。

分析試験の一般事項及び分析試料の採り方は, による。b) JIS G 0321

Z 3017

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34

Z 3017

分析方法は,次による。c)

JIS G 1201 JIS G 1204 JIS G 1 2 1 1 JIS G 1 2 1 2 JIS G 1213 JIS G 1214 JIS G 1 2 1 5, , , , , ,

JIS G 1216 JIS G 1217 JIS G 1 2 1 8 JIS G 1 2 2 1 JIS G 1228 JIS G 1253 JIS G 1 2 5 6, , , , , ,

JIS G 1257 JISZ2611 JISZ2613, ,

溶着金属の引張試験及び衝撃試験は,次による。6.3 溶着金属の引張試験及び衝撃試験

なお, ~ 以外の項目については, による。a e JISZ3111) )

試験板の形状及び試験片の採取位置は, による。a) 1図

溶接条件は, による。b) 8表

表 引張試験及び衝撃試験の溶接条件8

( ) ( )溶接棒の径 溶接電流 アーク電圧 溶接入熱量 予熱・パス間温度7 8

℃mm A V kJ/cm

3.2 100 140 20 26 15 2 125 10~ ~ ± ±

4.0 140 190 22 28 15 2 125 10~ ~ ± ±

( ) 溶接入熱量は,次式により求める。注 7

I E60・ ・=HI

v1000・ここに,

:溶接入熱量( )HI kJ/cm( )I :溶接電流 A( )E :アーク電圧 V

:溶接速度( )v cm/min( ) 溶接を中断したときは,パス間温度まで加熱する。8

の項目,溶接速度及び積層要領を記録し報告するものとする。備考 表8

引張試験片は, の 号試験片とし,試験片の採取個数は 個とする。c) JISZ3111 A1 2

衝撃試験片は, の 号試験片とし,試験片の採取個数は 個とする。d) JISZ3111 4 6

引張試験片又は引張試験片採取のため切断した試験材は, ℃で 時間以内保持して水e) 100 5 24±

素除去を行ってもよい。

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35

Z 3017

mm単位図 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置1

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36

Z 3017

水素量試験は, のガスクロマトグラフ法による。ただし,溶接条件6.4 JIS Z 3118水素量試験

は, による。表9

表 水素量試験の溶接条件9

溶接棒の径 溶接電流 アーク電圧 溶接速度mm A V mm/min

4.0 160 10 22 28 210 10± ~ ±

形溶接割れ試験は,次による。6.5 U形溶接割れ試験 U

試験板形状は, による。a) 2図

mm単位図 形溶接割れ試験の試験板形状2 U

溶接条件は, による。b) 10表

表 U形溶接割れ試験の溶接条件10

溶接棒の 溶接棒の吸湿溶接棒 溶接電流 アーク 溶接速度 予熱温度 溶接時のの径 乾 燥 雰 囲 気 電 圧 水蒸気分圧

放置時間mm A V mm/min kPa温 度 保 持 温度 相 対 ℃

時 間 湿 度h % h℃ ℃

4.0 400 20 1 30 2 90 3 1 170 10 22 28 150 10 100 5 3.73 0.27± ± ± ± ± ± ±~

試験時の溶接棒被覆水分量を測定して記録し,報告するものとする。備考

予熱温度は,測定点 点のすべてが規定を満足しなければならない。c) 6

試験材は,溶接終了後室温まで放冷し, 時間以上経過後割れを調べる。d) 48

表面割れは,目視又は適切な方法で調べる。e)

断面割れは, に示すとおり,クレータ部を除いた試験溶接部の 横断面について,割れのf) 図3 5

有無を目視又は適切な方法で調べる。

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37

Z 3017

mm単位

図3 試験溶接部の切断方法

試験板の数は, 個とする。g) 3

すみ肉溶接試験は,次のとおりとする。6.6 すみ肉溶接試験

試験板の形状及び試験片の採取位置は, による。a) 4図

mm単位図 すみ肉溶接試験の試験板形状及び試験片採取位置4

溶接条件は, のとおりとする。b) 11表

試験材は,溶接終了後室温まで放冷し, 時間経過後溶接ビード表面を目視及び染色浸透探c) 48

傷試験によって調べるほか,必要に応じて磁粉探傷試験を行う。染色浸透探傷試験方法及び

磁粉探傷試験方法は,それぞれ による。NDSZ2004

, , ,d) 試験材のほぼ中央から 幅約 のマクロ組織試験片を採取し 溶接部の割れなどの欠陥25mm

溶込み及びすみ肉の脚長を測定する。

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38

Z 3017

表 すみ肉溶接の溶接条件11

溶接棒の径 溶接姿勢 溶接電流 アーク電圧 すみ肉脚長 予熱温度

℃mm A V mm

V, O 70 120~3.2 20 26~

H 100 140~9 125 10以下 ±

V, O 100 160~4.0 22 28~

H 140 190~

溶接は,すべて1パスとする。備考1.の項目及び溶接入熱量を記録し報告するものとする。2. 11表

マクロ組織試験片を採取した後,すみ肉破面試験片を 個採取し,溶接ビードに切りみぞをe) 2

入れ, に示す方向に外力を加えて破断し,破面を観察する。図2

溶接金属の側曲げ試験は,次による。6.7 側曲げ試験

なお, ~ 以外の項目については, による。a) f) JIS Z 3122

試験板の形状及び試験片の採取位置は, による。a) 5図

mm単位図 側曲げ試験の試験板形状及び試験片採取位置5

溶接条件は, による。b) 12表

表 側曲げ試験の溶接条件12

( )溶接棒の径 溶接電流 アーク電圧 溶接入熱量 予熱・パス間温度 9

℃mm A V kJ/cm

4.0 100 160 22 28 14 4 125 10~ ~ ± ±

( ) 溶接を中断したときは,パス間温度まで加熱する。注 9

表 の項目,溶接速度及び積層要領を記録し報告するものとする。備考 12

8.5 9.5mmc) JIS Z 3122試験片の形状は, の側曲げ試験片とする。ただし,試験片の厚さは, ~

とする。

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39

Z 3017

試験板の数は, 個とする。d) 3

曲げ試験方法は, のローラ曲げ試験方法による。ただし,曲げ半径は, ( は,e) JIS Z 3122 5t t

試験片の厚さ)とする。

側曲げ試験片又は側曲げ試験片採取のため切断した試験材は, ℃で 時間以内保持しf) 100 5 24±

て水素除去を行ってもよい。

溶接金属の落重試験は,次による。6.8 落重試験

なお, ~ 以外の項目については, による。a e NDS G 0 5 0 1) )

試験板の形状及び試験片の採取位置は, による。a) 6図

mm単位図 落重試験の試験板形状及び試験片採取位置6

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40

Z 3017

溶接条件は, による。b) 13表

表 落重試験の溶接条件13

( )溶接棒の径 溶接電流 アーク電圧 溶接入熱量 予熱・パス間温度 10

℃mm A V kJ/cm

4.0 140 190 22 28 16 2 125 10~ ~ ± ±

( ) 溶接を中断したときは,パス間温度まで加熱する。注 10

の項目,溶接速度及び積層要領を記録し報告するものとする。備考 表13

試験片の形状は, の 号試験片とし,採取個数は, 個とする。試験片の切り取りc) NDS Z 0501 2 3

は,原則として機械切断とする。ただし,ガス切断による場合は,削り代を片側 以上5mm

とする。

試験温度は, ℃とする。d) -50

落重エネルギーは, とする。e) 539J

放射線透過試験は,次の試験材に対して, によって行う。6.9 NDS Z 2004放射線透過試験

放射線透過試験を行う試験材は, 及び の試験材とする。a) 6.3 6.7

の試験材は,余盛及び裏当金を母材面まで削除し,放射線透過試験に使用する。b) 6.3

の試験材は,余盛を母材面まで削除し,更に初層溶接側を母材面から 削除して,放c) 6.7 5mm

射線透過試験に使用する。

試験材の溶接スタート側及びクレータ側の溶接長 分は,放射線透過試験の対象から除d) 25mm

外する。

検査は,次による。7. 検 査

溶接棒は,被覆及び寸法が 及び の規定に適合しなければならない。a) 4.1 5.

溶接棒は,分析試験,引張試験,衝撃試験,水素量試験, 形溶接割れ試験,すみ肉溶接試b) U

験,側曲げ試験,落重試験及び放射線透過試験の成績が, ~ の規定に適合しなければ4.2 4.9

ならない。

なお,これらの試験のうち,いずれかひとつが不合格であった場合は,その試験について

回だけ再試験を行うことができ,その成績が規定に合格しなければならない。1

次のいずれかに該当する場合は,試験片又は試験を無効とし,最初の試験片を採取した試験c)

材又は再溶接を行った試験材から試験片を採り直すことができる。

試験前及び試験後に試験片の加工不良が認められたとき。1)

試験操作に誤りがあったと認められるとき。2)

引張試験において,試験片が標点間の中央から標点距離の 以外で破断し,伸びの成績が3) 1/4

規定に適合しなかったとき。

包装は, の (包装)による。8. JIS Z 3200 5.包 装

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41

Z 3017

製品の呼び方は,溶接棒の種類,径,電流の種類及び長さによる。ただし,9. 製品の呼び方

電流の種類,長さは省略してもよい。

NSE9516 4.0 AC 400例 - - -

溶接棒の種類 径 電流の種類 長さ( ) ( )mm mm

包装は, の (表示)による。10. JIS Z 3 2 0 0 4.表 示

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42

Z 3017

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43

Z 3017

付表 引用規格1

鋼材の製品分析方法及びその許容変動値JIS G 0321

鉄及び鋼の分析方法通則JIS G 1201

鉄及び鋼のけい光X線分析方法通則JIS G 1204

鉄及び鋼-炭素定量方法JIS G 1211

鉄及び鋼-けい素定量方法JIS G 1212

鉄及び鋼中のマンガン定量方法JIS G 1213

鉄及び鋼-りん定量方法JIS G 1214

鉄及び鋼-硫黄定量方法JIS G 1215

鉄及び鋼-ニッケル定量方法JIS G 1216

鉄及び鋼中のクロム定量方法JIS G 1217

鉄及び鋼-モリブデン定量方法JIS G 1218

鉄及び鋼中のバナジウム定量方法JIS G 1221

鉄及び鋼-窒素定量方法JIS G 1228

鉄及び鋼-スパーク放電発光分光分析方法JIS G 1253

鉄及び鋼-蛍光X線分析方法JIS G 1256

鉄及び鋼-原子吸光分析方法JIS G 1257

鉄及び鋼-誘導プラズマ発光分光分析方法JIS G 1258

金属材料の光電測光法による発光分光分析方法通則JISZ2611

金属材料の酸素定量方法JISZ2613

溶着金属の引張及び衝撃試験方法JISZ3111

鋼溶接部の水素量測定方法JISZ3118

突合せ溶接継手の曲げ試験方法JISZ3122

形溶接割れ試験方法JISZ3157 U

溶着金属の化学分析用試料の作製方法JISZ3184

溶接材料-寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装JISZ3200

鋼材及び溶接金属の落重試験方法NDS G 0501

艦船用超高張力鋼板( )NDS G 3121 NS110

艦船用鋼材の溶接部の非破壊試験方法及びその試験結果のNDSZ2004

等級分類方法

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44

Z 3017

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45

艦船用超高張力鋼( 鋼)用NS110ガスタングステンアーク溶接材料 解説

目 次1. 47作成経緯及び作成方針‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

1.1 47作成経緯‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

1.2 47作成方針‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

2. 1. 48適用範囲(本体の )‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

3. 3. 48種 類(本体の )‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4. 4. 48品 質 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.1 4.1 48外 観 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.2 4.2 48化学成分 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.3 4.3 49機械的性質(本体の )‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.4 4.4 50溶接割れ感受性 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.5 4.5 50曲げ性能(本体の )‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.6 4.6 50落重試験性能 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.7 4.7 51内部健全性 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

5. 5. 51寸法及び許容差 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

6. 6. 51製品の状態 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7. 7. 51試 験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.1 7.1 51試験一般 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.2 7.2 52分析試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.3 7.3 52溶接金属の引張試験及び衝撃試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.4 7.4 52U形溶接割れ試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.5 7.5 53側曲げ試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.6 7.6 53落重試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.7 7.7 54放射線透過試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

8. 8. 54検 査 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

9. 9. 54包 装 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

10. 10. 54製品の呼び方 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

11. 11. 54表 示 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

Z 3017 解説

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艦船用超高張力鋼( 鋼)用NS110ガスタングステンアーク溶接材料 解説

この解説は,本体に規定・記載した事柄,並びにこれらに関連した事柄を説明するものであっ

て,規格の一部ではない。

作成経緯及び作成方針1.

21.1 作成経緯 我が国における潜水艦用超高張力鋼は,昭和 年から %耐力50 0.2 784N/mm

{ }級のものが実艦に採用されているが,潜航深度の増大を目的として昭和 年から80kgf/mm 552

より高強度の %耐力 { }級超高張力鋼に関する研究開発が開始された。0.2 1079N/mm 110kgf/mm2 2

研究開発の内容は,高強度,高靭性が要求される艦船用耐圧殻用の構造用材料であり,防衛庁

及び関係各社(鋼板:新日本製鐵・川崎製鉄,鍛鋼:川崎製鉄・三菱製鋼,溶接材料:神戸製鋼

所・日鐵溶接工業,工作法:三菱重工業・川崎重工業)は (社)日本溶接協会に専門委員会,

[ 小委員会及び 小委員会(昭和 年~昭和 年 , 委員会(昭和 年以降 ]を設置NSU-N K 55 56 NSU 57) )

して分野ごとに開発を進めてきた。

溶接材料は被覆アーク溶接棒,ガスメタルアーク溶接材料及びガスタングステンアーク溶接材

料が検討され,当初目標とした特性をほぼ満足するに至り,平成 年度に防衛庁技術研究本部よ13

り 「艦船用超高張力鋼(耐力 級)用ガスタングステンアーク溶接材料外 件の制定規, 110kgf/mm 22

格原案作成」が(社)日本溶接協会に委託された。このため (社)日本溶接協会に 委員, 01NDS

会[委員長: 財)日本溶接技術センター会長 稲垣道夫工学博士]が組織され,防衛庁,造船(

会社,製鋼会社,溶接材料製造業者の各委員出席のもとに慎重に審議を行い,規格原案を作成し

た。

この規格は,現時点までの研究試作及び委員会審議に基づき得られた技術データ及び技術資料

などの一連の 鋼開発に関する研究成果(以下, 鋼開発の研究成果という )を十分にNS110 NS110 。

考慮して,作成したものである。

この規格の作成にあたっての主な事項は,次のとおりである。1.2 作成方針

ガスタングステンアーク溶接材料については,平成 ~ 年に 委員会が組織され,a) 2 3 NSU-NDS

年に暫定規格案として取りまとめられている。今回は,この暫定規格案を参考にすると1999

共に,用途が艦船用として限定されることから規格の構成及び全体の表現については,防衛

庁規格 (艦船用超高張力鋼用ガスシールドタングステンアーク溶接材料)に基NDS Z 3006

づいた。

研究開発段階で,溶接材料製造業者 社の溶接材料 及び が開発され,それb) 2 NST110A NST110B

, 。ぞれワイヤの成分及び施工面における溶接条件が異なることから 種類を別々に規定した2

解1

Z 3017 解説

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防衛庁規格に制定されていない場合は,日本工業規格等を参考とした。c)

なお,規格使用上の便を図るため,次に解説を記載する。

2. 1. NDS G 3121適用範囲 本体の( ) ( ) ,主として潜水艦に使用する超高張力鋼材 鋼 とはNS110

[艦船用超高張力鋼板( ]の 及び [艦船用超高張力鍛鋼品( ]NS110 NS110 NF110) )NDS G 3122

の をいう。NF110

( ) 溶接材料の種類として,開発で検討された溶接材料が 種類あり,そ3 3.. 種 類 本体の 2

れぞれワイヤの化学成分や溶接条件等が異なるので, 材料, 材料の 種類を規定した。A B 2

本溶接材料は,溶接部の応力除去焼なましを行わないことを前提に開発されており,これを明

確に規定した。なお, 材料は耐 特性改善のため,溶接金属表面をティグリメルト処理の必B SCC

要な場合があるが,このリメルト処理は応力除去焼なましに当たらない。

この原案でシールドガスとして規定した のアルゴンは,純度が %以上と規定さJIS K 1105 99.99

れている。

種類の記号の付け方は, に倣ったが, 材料, 材料を示す記号 , を %耐力レNDS Z 3006 A B A B 0.2

ベルを示す の前に付けることにした。110

なお, では,種類の記号の意味は解説で説明されていたが,日本工業規格の溶接NDS Z 3006

, ( ) ,材料規格 例えば 軟鋼及び低合金鋼用ティグ溶加棒及びソリッドワイヤ などではJISZ3316

本体の種類の項で説明されており,この原案では本体で説明を行った。

( )4. 4.品 質 本体の

( ) 現在使用しているワイヤは,防せい(錆)のため銅めっきが施され4.1 4.1外 観 本体の

11ているので 現状に合わせ銅めっきを施すものと規定した また 日本工業規格において 平成, 。 , ,

年に溶接材料の寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装を一括して規定した (溶接JIS Z 3200

材料-寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装)が制定されており,これ以降に改訂された溶

接材料の日本工業規格では,これらの項目に関しては が引用されている。この原案でJIS Z 3200

もこのすう勢に従って寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装に関しては, を引用JIS Z 3200

することにした。

なお, の (製品の状態)では,外観について「使用上有害な欠陥がないものとすJIS Z 3200 3.

る」と記載されている。ここでの使用上有害な欠陥とは,溶接作業や溶接部の品質に影響するよ

うな傷,さび,油などをいう。

NSU A B4.2 4.2化学成分 本体の( ) , ,ワイヤの化学成分は これまでの 委員会に供試された 材料

材料 種類について規定した。 , 両材料では , , , 及び の範囲が異なっている。両2 A B Cr Mo V Al Co

材料のワイヤ及び棒の化学成分実績を に示した。解説表1

Z 3017 解説

解2

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解説表1 ワイヤ及び棒の化学成分実績 単位 %

Si Mn P S Ni Cr Mo種類 C

0.10 0.02 <0.01 <0.001 0.001 8.34 1.21 1.17~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~NSTA110

0.13 0.06 0.08 0.005 0.002 8.55 1.38 1.23(0.11) (0.04) (0.06) (0.003) (0.001) (8.47) (1.28) (1.21)

0.10 0.06 0.06 0.001 8.81 1.91 0.90~ ~ ~ ~ ~ ~ ~NSTB110 0.001

0.13 0.09 0.10 0.003 9.03 2.08 0.99(0.12) (0.08) (0.08) (0.002) (0.001) (8.81) (2.00) (0.95)

Cu V Al Co O N H

0.09 0.18 0.001 0.0010 0.0010 <0.0001~ ~ ~ - ~ ~ ~

0.16 0.21 0.010 0.0048 0.0020 0.0002(0.14) (0.20) (0.007) (0.0027) (0.0013) (<0.0001)

0.12 0.80 1.46 0.0012 0.0010 0.0002~ ~ - ~ ~ ~ ~

0.20 0.88 1.59 0.0062 0.0023 0.0004)(0.17) (0.82) (1.53) (0.0033) (0.0017) (0.0003

括弧内の数値は平均値である。注

NSTA110 1.2mm 7 2.4mm =6備考 データ数= , データ数

NSTB110 1.2mm 7 2.4mm =4データ数= , データ数

( ) 研究試作段階では,従来単位系で機械的性質の目標値が設定さ4.3 4.3機械的性質 本体の

NDS Gれていたが,この原案では 単位系へ切換えた。 単位系への切換えは 単位に換算後,SI SI SI

等に倣って 強度は の幅に 吸収エネルギーは の幅に 数3121 NDS G 3122 JISZ8401, , , , (1N/mm 1J2

値の丸め方)により丸めた。

艦船用の溶接材料では,溶接金属の 耐力は溶接条件によって変化しやすいという特殊性が0.2%

考慮されて, (調質高張力鋼用ガスメタルアーク溶接材料)の 及び でNDS Z 3002 NSM46 NSM63

) )は基準となる 耐力よりも 高く の では0.2% 10N/mm(1kgf/mm NST80 20N/mm (2kgf/mm2 2 2 2,NDSZ3006

高く設定されている。この原案でもこれらの規格に倣い, 高めに設定した。20N/mm(2kgf/mm2 2 )

研究試作段階には引張強さの目標値は設定されていなかったが,過少の場合は 耐力の確保0.2%

が,また過多の場合には耐割れ性の低下につながるため,実績を考慮して下限値及び上限値を規

定した。

吸収エネルギーに関しては,研究試作おいて目標値とされた の規定値を採用した。NDS Z 3006

Z 3017 解説

解3

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50

Z 3017 解説

溶接金属の機械的性質の実績を に示す。引張強さの範囲等については,今後製造実績解説表 2

が増加した段階で,更に適正な値に見直す可能性がある。

解説表 溶接金属の機械的性質の実績2

引張試験 衝撃試験

吸収エネルギー溶接材料 径%耐力 引張強さ 伸び 試験温度 J0.2mm

N N % ℃ 3個の試験 個々の試験/mm /mm2 2

片の平均値 片の値

0 186 214 152 222~ ~( )199

1.2 1134 1228 1304 1378 18 22~ ~ ~

1183 1333 20 -50 180 209 178 219( ) ( ) ( ) ~ ~( )NSTA110 195

0 227 287 217 291~ ~( )243

2.4 1142 1277 1302 1388 19 24~ ~ ~

1211 1360 22 -50 234 248 223 257( ) ( ) ( ) ~ ~(241)

0 172 244 170 257~ ~( )202

1.2 1152 1252 1220 1322 17 20~ ~ ~

1196 1268 19 -50 178 206 170 212( ) ( ) ( ) ~ ~NSTB110 (189)

0 191 224 180 232~ ~( )208

2.4 1140 1194 1200 1305 18 21~ ~ ~

1173 1264 19 -50 178 211 170 226( ) ( ) ( ) ~ ~( )194

括弧内の数値は平均値である。注

NSTA110 1.2mm 7 2.4mm 6備考1. データ数= , データ数=

NSTB110 1.2mm 7 2.4mm 4データ数= , データ数=

引張試験数: データ当たり 本2. 1 2衝撃試験数: データ, 試験温度当たり 本。 ℃の衝撃試験は全データ実施している1 1 3 0が, ℃は, は , 材料共に 回, は 回実施している。-50 1.2mm A B 4 2.4mm 2

( ) と同様に,溶接金属の低温割れ試験として,簡4.4 4.4 NDS Z 3006溶接割れ感受性 本体の

便でしかも信頼が得られている 形溶接割れ試験を採用し,表面割れ率,断面割れ率共に %とU 0

規定した。

( ) 溶接金属の内部健全性をみるため に倣い側曲げ試験を4.5 4.5 NDS Z 3006曲げ性能 本体の

採用し,曲げ性能も と同じにした。NDSZ3006

4.6 4.6 NDS Z 3006落重試験性能 本体の( ) 落重試験性能は,研究試作段階で目標値とされた

解4

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Z 3017 解説

の規定値, ℃で破断しないこととした。-50

( ) 溶接金属の内部健全性は,側曲げ試験でその一部を判定できる4.7 4.7内部健全性 本体の

が, に倣って放射線透過試験を実施することにした。NDS Z 3005

なお,試験方法として では (鋼溶接継手の放射線透過試験方法)が採用NDS Z 3005 JIS Z 3104

されていたが,この原案では (艦船用鋼材の溶接部の非破壊試験方法及びその試験NDS Z 2004

結果の分類方法)を採用した。判定基準は の 類以上とした。NDSZ2004 2

( ) ワイヤ及び棒の径は,これまでの研究で実績のある ,5. 5.寸法及び許容差 本体の 1.2mm

に加え,これらの中間サイズであり使用する可能性のある も規定に加えた。ガスタ2.4mm 1.6mm

ングステンアーク溶接では,ワイヤは溶加材として使用され,ワイヤ供給速度も電流・電圧等の

溶接条件と別途に設定できるため,十分にワイヤが溶融される溶接条件下では, ワイヤと1.2mm

1.6mm 1.6mmワイヤで溶接金属性能に大きな差が出ないものと考えられる。ただし,今後実際に

ワイヤの採用時には使用前に溶接金属性能等を確認する必要がある。

また,ワイヤ及び棒の寸法の許容差については, の制定に伴いこれに従うものとしJIS Z 3200

た。 の において , のティグ溶接溶加ワイヤの径の許容差は ~-JIS Z 3200 2. 1.2mm 1.6mm +0.01

と, 溶加棒の径の許容差は と長さの許容差は と規定されている。0.04mm 2.4mm ±0.1mm ±5mm

( )6. 6.製品の状態 本体の

製品の状態は の制定に伴いこれに従うものとした。 の にはワイヤ及び棒JIS Z 3200 JIS Z 3200 3.

の製品の状態について,先に示した製品の外観をはじめ,ワイヤの巻き形状及び巻き寸法,ペー

ルパックの形状・寸法,ワイヤの巻き特性等詳細に規定されている。

( )7. 7.試 験 本体の

( ) 試験に使用する鋼板は,この原案では本溶接材料の対象鋼である7.1 7.1試験一般 本体の

の に限定した。NDSZ3121 NS110

シールドガスとして使用するアルゴンは のアルゴンガスとした。このガスはアルゴJIS K 1105

ンの純度が %以上と規定されている。99.99

試験項目,溶接姿勢は, を参考にして決定した。ワイヤによる場合の溶接姿勢は,NDS Z 3006

実艦で立向(上進)姿勢にも適用されることから, と同様 形溶接割れ試験を除き立NDS Z 3006 U

向姿勢とした。

この原案は,溶接材料の銘柄認定試験の性格をもったもので,広範囲の試験を規定した。この

, , , ,ため ワイヤの初回納入時にすべての試験に合格した後は 製造単位ごとに分析試験 引張試験

衝撃試験及び放射線透過試験を行えば,その性能を十分確認できると考えられるので, 形溶接U

割れ試験,側曲げ試験及び落重試験は注文者と製造者の協議により省略できるとした。

なお,初回納入時のほか,製造工場の変更,重要な製造工程の変更及び重要な管理項目の変更

など,製造上大きな変更があった場合には,すべての試験を実施する必要がある。

解5

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52

Z 3017 解説

( )7.2 7.2分析試験 本体の

分析方法に関しては, 元素ごとの分析方法を網羅し,また機器分析が十分利用できるように1

配慮して決定した。

( ) 被覆アーク溶接棒及びガスシールドアー7.3 7.3溶接金属の引張試験及び衝撃試験 本体の

ク溶接材料規格では,日本工業規格の溶接材料規格に広く用いられている溶着金属試験板が採用

されており,この原案でも溶着金属試験の採用の意見もあったが,従来より,ガスタングステン

アーク溶接材料規格の がV開先の試験板を採用していること及び溶接材料製造業者NDS Z 3006

の開発時の確性試験もこの開先を用いていたことから,この原案でもV開先による溶接金属試験

を採用した。試験板形状,試験片の採取位置は に倣ったが,一部試験板の厚さ及びNDS Z 3006

。 , ,試験板の長さの見直しを行った 棒の場合の試験板の厚さは では であるがNDSZ3006 19±1mm

は インチの換算から定められたものであり (溶着金属の引張及び衝撃試験方19mm 3/4 JIS Z 3111

法)でも 又 と規定されているが,その解説には国際規格との整合性を考えると に統19 20mm 20mm

合するのが望ましいとあり,また (軟鋼及び高張力鋼マグ溶接ソリッドワイヤ)等最JIS Z 3312

近の日本工業規格では と規定されていること及び溶接材料製造業者がこれまでの確性試験20mm

に厚さ の試験板を使用している実績等を考慮し, から に変更した。20mm 19±1mm 20±1mm

ワイヤの試験板厚さは, に倣い を採用した。ワイヤの場合の試験板長さに関NDS Z 3006 30mm

しては, では 以上と規定されているが,両端の削除代を考慮すると実質的にはNDS Z 3006 400mm

程度必要であり, 以上とした。450mm 450mm

溶接条件については,溶接金属の引張及び衝撃試験含めて各種溶接試験の溶接入熱,予熱・パ

ス間温度等を以下のとおり規定した。

溶接入熱は, 鋼開発の研究成果によって板厚範囲ごとに規定された上限値を上限としa) NS110

た。

ワイヤは主に自動溶接で使用し,棒は手動溶接で使用されている。このためワイヤの溶接入b)

NDS Z 3006熱の範囲は としたが 棒の溶接入熱範囲は手動溶接による変動も考慮し±2kJ/cm , ,

と同様に にした。± 4kJ/cm

予熱・パス間温度は, 鋼開発の研究成果によって規定された温度範囲の中央値とし,c) NS110

範囲は ℃とした。ただし, 形溶接割れ試験については,予熱温度の下限値とし範囲は±10 U

℃とした。±5

NS110 13 NS110なお 鋼開発の研究成果は 平成 年度までの成果を基に作成されたものであり, , ,

鋼工作基準制定時には,この原案との整合性について見直す可能性がある。

( ) 試験板形状は, と同様に規定した。7.4 7.4 NDSZ3006U形溶接割れ試験 本体の

溶接条件における予熱温度は, 鋼開発の研究成果の下限値とした。溶接割れ試験で信頼NS110

のある結果を得るためには,溶接開始時に試験材全体が均一に試験温度になっていることが必須

であり, では規定されていなかった試験板板温度の測定位置を 点規定し,どの測定NDS Z 3006 6

点においても規定の温度範囲を満足しなければならないとした。また, では,溶接NDS Z 3004

スタート側の横断面採取位置が曖昧であり, (艦載液化酸素タンク用 %ニッケル鋼NDS Z 3016 9

解6

Page 57: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

53

Z 3017 解説

用ガスシールドタングステンアーク溶接材料)に倣って明確に規定した。

均一な試験板温度を得る方法として, 形溶接割れ試験板のような比較的小型試験板では,電U

気炉内で試験温度より高めの温度まで加熱し,静止大気中で試験温度まで冷却する方法がある。

また,割れの検査は目視又は適切な方法で調べるとしたが, の解説を参考にすることJIS Z 3157

ができる。

試験溶接時の水蒸気分圧については,ガスタングステンアーク溶接では,溶接雰囲気の水蒸気

NDS Z分圧の影響をほとんど受けないと考えられ,規定する必要がないとの意見もあったが,

NS110 3.73kPa3006でも規定されており, 鋼開発の研究成果で溶接可能な限界とされている

( で試験することにした。研究試作時に実施されたガスタングステンアーク溶接の溶接28mmH)

金属の拡散性水素量調査結果をまとめたものを,参考として に示す。解説表3

解説表 ガスタングステンアーク溶接金属の拡散性水素量測定結果3(ガスクロマトグラフ法:ml/100g)

溶接雰囲気( )1

ワイヤ シールド (水蒸気分圧)種類 の状態 方法

30 -20%R.H. 30 -40%R.H. 30 -50%R.H. 30 -80%R.H.℃ ℃ ℃ ℃

(0.80kPa) (1.73kPa) (2.13kPa) (3.33kPa)

0.4 0.5 0.5一重

0.5 0.5 0.5恒温恒湿室 シールド

NSTA1100.5に放置 二重0.5シールド

0.68恒温恒湿室 一重

0.63に放置 シールド

NSTB1100.48 0.57 0.66溶接時に 二重0.55 0.50 0.67持ち込み シールド

( ) は,相対湿度を示す。注 1 R.H.

( ) と同様に側曲げ試験を規定した。 の試験板厚7.5 7.5 NDS Z 3006側曲げ試験 本体の 2.4mm

さは とした。20mm

側曲げ試験の曲げ半径は, と同じく試験片厚さの 倍とした。NDSZ3006 3

( ) 試験板形状並びに試験片形状,採取位置は,被覆アーク溶接棒,7.6 7.6落重試験 本体の

30mmガスメタルアーク溶接材料と統一を図る方向で検討して で採用されている板厚,NDS Z 3006

V開先とした。試験片は試験時に表面が十分たわみ止めに接触すること等の条件を満たせば,同

等の評価が得られると考え, (鋼材及び溶接金属の落重試験方法)の 号試験片を用NDS G 0501 2

いることにした。

なお, では 号試験片が採用されている。NDSZ3006 1

解7

Page 58: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

54

Z 3017 解説

溶接姿勢については, に倣い立向姿勢を採用し,溶接条件は引張試験・衝撃試験NDS Z 3006

用の試験材作製の場合と同じとした。 試験温度は に倣い ℃とした。NDSZ3006 -50

落重エネルギーは では耐力 レベルに対して妥当な落重エネルギーが定めN D S G 0501 110kgf/mm 2

られていないので, %耐力と標準落重エネルギーとの関係から外挿により とした。0.2 637J

( ) 溶接のスタート側及びクレータ側の溶接長 は,溶接7.7 7.7放射線透過試験 本体の 25mm

が不安定になりやすいので, に倣って放射線透過試験の対象から除外した。試験方NDS Z 3006

法は によることにした。NDS Z 2004

( ) と同様に,試験のうちいずれか一つの試験が不合格であっ8. 8. NDS Z 3006検 査 本体の

た場合に限り,その試験について一回だけ再試験を行えるとした。また,試験を無効とする場合

について, 項目について規定した。試験を無効として,やり直す試験は,再試験として取り扱3

わず初回の試験として取り扱う。

引張試験の伸びに関しては,試験片が標点間の中央から標点距離の 以外で破断した場合に1/4

局部伸びが標点外まで及ぶと,材質に異常が無くても標点間の中央から標点距離の 以内で破1/4

断した場合に較べて伸びが小さくなる。このため,標点距離の 以外で破断し,伸びが規定に1/4

適合しなかった場合は,試験を無効とした。

( ) では規定されていなかったが, の (包装)によ9 9. NDS Z 3006 JIS Z 3200 5..包 装 本体の

るものとした。ここには 「溶接材料は,損傷及び劣化が起こらないように製造業者,供給者又,

は販売代理店によって包装する。」と記載されている。

( ) では規定されていないが,日本工業規格では規定10. 10. NDS Z 3006製品の呼び方 本体の

されており,この原案では規定することにした。

11. 11. NDS Z 3 0 0 6 JIS表 示 本体の( ) , , ,では 本体に具体的に規定されていたが この原案では

の (表示)によるものとした。ここには,包装に表示する内容が具体的に規定されていZ 3200 4.

る。

解8

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55

艦船用超高張力鋼( 鋼)用NS110ガスメタルアーク溶接材料 解説

目 次

1. 57作成経緯及び作成方針‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

1.1 57作成経緯‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

1.2 57作成方針‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

2. 1. 58適用範囲(本体の )‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

3. 3. 58種 類(本体の )‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4. 4. 58品 質 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.1 4.1 58外 観 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.2 4.2 58化学成分 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.3 4.3 59機械的性質(本体の )‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.4 4.4 60溶接割れ感受性 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.5 4.5 60すみ肉溶接部の品質 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.6 4.6 60曲げ性能(本体の )‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.7 4.7 60落重試験性能性能 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.8 4.8 60内部健全性 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

5. 5. 61寸法及び許容差 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

6. 6. 61製品の状態 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7. 7. 61試 験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.1 7.1 61試験一般 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.2 7.2 61分析試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.3 7.3 61溶着金属の引張試験及び衝撃試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.4 7.4 62窓形溶接割れ試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.5 7.5 62すみ肉溶接試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.6 7.6 63側曲げ試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.7 7.7 63落重試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7.8 7.8 63放射線透過試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

8. 8. 64検 査(本体の )‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

9. 9. 64包 装 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

10. 10. 64製品の呼び方 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

11. 11. 64表 示 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

Z 3017 解説

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56Z 3017 解説

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57

艦船用超高張力鋼( 鋼)用NS110ガスメタルアーク溶接材料 解説

この解説は,本体に規定・記載した事柄,並びにこれらに関連した事柄を説明するものであっ

て,規格の一部ではない。

作成経緯及び作成方針1.

21.1 作成経緯 我が国における潜水艦用超高張力鋼は,昭和 年から %耐力50 0.2 784N/mm

{ }級のものが実艦に採用されているが,潜航深度の増大を目的として昭和 年から80kgf/mm 552

より高強度の %耐力 { }級超高張力鋼に関する研究開発が開始された。0.2 1079N/mm 110kgf/mm2 2

研究開発の内容は,高強度,高靭性が要求される艦船用耐圧殻用の構造用材料であり,防衛庁

及び関係各社(鋼板:新日本製鐵・川崎製鉄,鍛鋼:川崎製鉄・三菱製鋼,溶接材料:神戸製鋼

所・日鐵溶接工業,工作法:三菱重工業・川崎重工業)は (社)日本溶接協会に専門委員会,

[ 小委員会及び 小委員会(昭和 年~昭和 年 , 委員会(昭和 年以降 ]を設置NSU-N K 55 56 NSU 57) )

して分野ごとに開発を進めてきた。

溶接材料は被覆アーク溶接棒,ガスメタルアーク溶接材料及びガスタングステンアーク溶接材

料が検討され,当初目標とした特性をほぼ満足するに至り,平成 年度に防衛庁技術研究本部よ13

り 「艦船用超高張力鋼(耐力 級)用ガスタングステンアーク溶接材料外 件の制定規, 110kgf/mm 22

格原案作成」が(社)日本溶接協会に委託された。このため (社)日本溶接協会に 委員, 01NDS

会[委員長: 財)日本溶接技術センター会長 稲垣道夫工学博士]が組織され,防衛庁,造船(

会社,製鋼会社,溶接材料製造業者の各委員出席のもとに慎重に審議を行い,規格原案を作成し

た。

この規格は,現時点までの研究試作及び委員会審議に基づき得られた技術データ及び技術資料

などの一連の 鋼開発に関する研究成果(以下, 鋼開発の研究成果という )を十分にNS110 NS110 。

考慮して,作成したものである。

なお,この規格に規定した 材料 及び 材料 は,それぞれ落重性能及び異材継手A YB24 B NM31)( ) (

における 鋼側ボンド部靭性を安定して確保するために,適用箇所及び溶接条件等の使用条NS110

件について注意をはらう必要がある。

この規格の作成にあたっての主な事項は,次のとおりである。1.2 作成方針

a NDS Z 3005) 用途が艦船用として限定されることから規格の構成及び全体の表現については,

(艦船用超高張力鋼用ガスメタルアーク溶接材料)に基づいた。

研究開発段階で,溶接材料製造業者 社の溶接材料 及び が開発され,それぞれワb) 2 YB24 NM31

イヤの成分及び施工面における溶接条件が異なることから, 種類を別々に規定した。2

解9

Z 3017 解説

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58

防衛庁規格に制定されていない場合は,日本工業規格等を参考とした。c)

なお,規格使用上の便を図るため,次に解説を記載する。

2. 1. NDS G 3121適用範囲 本体の( ) ( ) ,主として潜水艦に使用する超高張力鋼材 鋼 とはNS110

[艦船用超高張力鋼板( ]の 及び [艦船用超高張力鍛鋼品( ]NS110 NF110) )NS110 NDS G 3122

の をいう。NF110

( )溶接材料の種類として,開発で検討された溶接材料が 種類あり,それ3. 3.種 類 本体の 2

ぞれワイヤの化学成分や溶接条件等が異なるので, 材料, 材料の 種類を規定した。また,シA B 2

2 2ールドガスは材料の開発時及びこれまでの 委員会の研究試作で使用した + とし,NSU Ar CO CO

JIS K 1 1 0 5 JIS K 1106組成も に限定した さらに 本材料に適用するガスは のアルゴンガス及び5% 。 , ,

の 種又は 種の炭酸ガスとした。 に規定されているアルゴンガスはアルゴンの純度が2 3 JIS K 1105

%以上と規定されている。 の 種と 種の炭酸ガスは,炭酸ガスの純度がそれぞれ99.99 2 3JIS K 1106

%以上, %以上と,また,水分量がそれぞれ %以下, %以下と規定されている99.5 99.9 0.012 0.005

本溶接材料は,溶接部の応力除去焼なましを行わないことを前提に開発されており,これを明

確に規定した。

種類の記号の付け方は, に倣ったが, 材料, 材料を示す記号 , を %耐力レNDS Z 3005 A B A B 0.2

ベルを示す の前に付けることにした。95

なお, では,種類の記号の意味は解説で説明されていたが,日本工業規格の溶接NDS Z 3005

材料規格,例えば (軟鋼及び高張力鋼マグ溶接ソリッドワイヤ)などでは,本体の種JIS Z 3312

類の項で説明されており,この原案では本体で説明を行った。

( )4. 4.品 質 本体の

( ) 現在使用しているワイヤは,防せい(錆)のため銅めっきが施され4.1 4.1外 観 本体の

11ているので 現状に合わせ銅めっきを施すものと規定した また 日本工業規格において 平成, 。 , ,

年に溶接材料の寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装を一括して規定した (溶接JIS Z 3200

材料-寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装)が制定されており,これ以降に改訂された溶

接材料の日本工業規格では,これらの項目に関しては が引用されている。この原案でJIS Z 3200

もこのすう勢に従って寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装に関しては, を引用JIS Z 3200

することにした。

なお, の (製品の状態)では,外観について「表面が滑らかで,使用上有害な欠JIS Z 3200 3.

陥がないものとする」と記載されている。ここでの使用上有害な欠陥とは,溶接作業や溶接部の

品質に影響するような傷,さび,油などをいう。

NSU A B4.2 4.2化学成分 本体の( ) , ,ワイヤの化学成分は これまでの 委員会に供試された 材料

材料 類について規定した。 , 両材料では と の範囲が異なっている。両材料のワイヤ成分2 A B Ni N

の実績を に示した。解説表1

Z 3017 解説

解10

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59

解説表 ワイヤの化学成分実績 単位 %1

種類 C V NSi Mn P S Ni Cr Mo Cu

0.05 0.34 2.19 0.001 0.001 1.46 0.96 0.79 0.13 0.0087

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~NSMA95AC 0.05~ ~

0.06 0.36 2.30 1.51 1.00 0.82 0.16 0.01100.003 0.004(0.06) (0.35) (2.23) (0.002) (0.002) (1.49) (0.98) (0.81) (0.05) (0.15) (0.0097)

0.40 1.81 0.002 0.001 2.33 0.91 0.68 0.07 0.18 0.0020

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~NSMB95AC 0.07

0.41 1.86 0.003 0.002 2.40 1.00 0.72 0.08 0.26 0.0038

(0.07) (0.41) (1.83) (0.002) (0.002) (2.36) (0.96) (0.71) (0.08) (0.21) (0.0027)

括弧内の数値は平均値である。注NSMA95AC NSMB95AC 3備考 , いずれもデータ数=

( ) 研究試作段階では,従来単位系で機械的性質の目標値が設定さ4.3 4.3機械的性質 本体の

NDS Gれていたが,この原案では 単位系へ切換えた。 単位系への切換えは 単位に換算後,SI SI SI

等に倣って 強度は の幅に 吸収エネルギーは の幅に 数3121 NDS G 3122 JISZ8401, , , , (1N/mm 1J2

値の丸め方)により丸めた。

この原案に規定するワイヤは,対象鋼材の 耐力 ~ { ~ }に対0.2% 1079 1216N/mm 110 124kgf/mm2 2

して,靭性及び耐割れ性の確保のため軟質とし, 耐力 { }以上を目標と0.2% 931N/mm 95kgf/mm2 2

して開発された。したがって,溶着金属の 耐力は, が基準となる。艦船用の溶接0.2% 931N/mm2

材料では,溶着金属の 耐力は溶接条件によって変化しやすいという特殊性が考慮されて,0.2%

NSM46 NSM63 0.2NDSZ3002( )調質高張力鋼用ガスメタルアーク溶接材料 の 及び では基準となる

%耐力よりも { }高く, の では { }高く設10N/mm 1kgf/mm NSM80 20N/mm 2kgf/mm2 2 2 2NDS Z 3005

定されており,この原案でもこれらの規格に倣うことを検討した。基準となる 耐力より0.2%

{ }高めの規定値も提案されたが,平成 年度までの に示した溶接材20N/mm 2kgf/mm 132 2 解説表2

料の製造実績を基に { }高めに規定することにした。10N/mm 1kgf/mm2 2

研究試作段階には引張強さの目標値は設定されていなかったが,過少の場合は 耐力の確保0.2%

が,また過多の場合には耐割れ性の低下につながるため,実績を考慮して下限値及び上限値を規

定した。

吸収エネルギーに関しては,研究試作において目標値とされた の規定値を採用しNDS Z 3005

た。

なお, 耐力の余裕代及び引張強さの範囲については,今後製造実績が増加した段階で,更0.2%

に適正な値に見直す可能性がある。

Z 3017 解説

解11

Page 64: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

60Z 3017 解説

解説表 溶着金属の機械的性質の実績2

引張試験 衝撃試験

吸収エネルギー種類%耐力 引張強さ 伸び 試験温度 J0.2

N N % ℃ 3個の試験 個々の試験/mm /mm2 2

片の平均値 片の値

0 86 115 77 127~ ~(98 )

NSMA95AC 981 1000 1059 1089 15 22~ ~ ~

(991) (1073) (19) -50 45 44 47~

0 83 90 78 95~ ~(88 )

NSMB95AC 970 1028 1074 1121 18 19~ ~ ~

(993) (1089) (18) -50 65 64 66~

括弧内の数値は平均値である。注

NSMA95AC NSMB95AC 3備考1. , いずれもデータ数=引張試験数: データ当たり 本2. 1 2衝撃試験数: データ, 試験温度当たり 本。 ℃の衝撃試験は全データ実施1 1 3 0しているが, ℃は, , 材料共に 回の実施である。-50 A B 1

( ) 溶接金属の低温割れ感受性を評価する方法として,被覆ア4.4 4.4溶接割れ感受性 本体の

ーク溶接,ガスタングステンアーク溶接では, 形溶接割れ試験が採用されている。しかし,ガU

スメタルアーク溶接は溶込み深さが大きいため, 形溶接割れ試験のようにルート間隔のある場U

合には溶落ち,高温割れなどが生じる恐れがあるので, と同様にサブマージアークNDS Z 3005

溶接などで使用されている窓形溶接割れ試験を採用し,表面割れ率,断面割れ率共に %と規定0

した。

( ) ガスメタルアーク溶接材料は、構造物の構造上、すみ4.5 4.5すみ肉溶接部の品質 本体の

NDS Z 3005 M 4.3肉溶接にも使用されるので、 と同様に,日本海事協会の (溶接)の鋼船規則 編

(すみ肉溶接継手試験)を参考にして要求品質とした。

( ) では表曲げ・裏曲げが採用されているが, 鋼用4.6 4.6 NDS Z 3005曲げ性能 本体の NS110

として開発された被覆アーク溶接棒,ガスタングステンアーク溶接材料と試験方法を揃える方向

で検討し,継手内部まで評価のできる側曲げ試験を採用することにした。割れの判定基準につい

ては, と同じにした。NDSZ3005

4.7 4.7 NDS Z 3005落重試験性能 本体の( ) 落重試験性能は,研究試作段階で目標値とされた

の規定値, ℃で破断しないこととした。-50

( ) 溶接金属の内部健全性は,側曲げ試験でその一部を判定できる4.8 4.8内部健全性 本体の

が, に倣って放射線透過試験を実施することにした。NDS Z 3005

なお,試験方法として では (鋼溶接継手の放射線透過試験方法)が採用NDS Z 3005 JIS Z 3104

解12

Page 65: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

61Z 3017 解説

されていたが,この原案では (艦船用鋼材の溶接部の非破壊試験方法及びその試験NDS Z 2004

結果の分類方法)を採用した。判定基準は の 類以上とした。NDSZ2004 2

( ) ワイヤの径は,これまでの研究で実績のある のみを規5. 5.寸法及び許容差 本体の 1.2mm

定した。その許容差については, の制定に伴いこれに従うものとした。 にJIS Z 3200 JIS Z 3200.2

おいてガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ の径の許容差は ~- と規定1.2mm +0.01 0.04mm

されている。

( )6. 6.製品の状態 本体の

製品の状態は の制定に伴いこれに従うものとした。 の にはソリッドワイJIS Z 3200 JIS Z 3200 3.

ヤの製品の状態について,先に示した製品の外観をはじめ,ワイヤの巻き形状及び巻き寸法,ペ

ールパックの形状・寸法,ワイヤの巻き特性等詳細に規定されている。

( )7. .試 験 本体の7

( ) 試験に使用する鋼板は,この原案では本溶接材料の対象鋼である7.1 7.1試験一般 本体の

の に限定した。NDSZ3121 NS110

シールドガスとして使用する のアルゴンガスは,アルゴンの純度が %以上と規JIS K 1105 99.99

2 3 99.5 99.9定されている。 の 種と 種の炭酸ガスは,炭酸ガスの純度がそれぞれ %以上,JIS K 1106

%以上と,また,水分量がそれぞれ %以下, %以下と規定されている。0.012 0.005

試験項目,溶接姿勢は, を参考にして決定したが,一部では試験片厚さの変更,NDS Z 3005

曲げ試験の曲げ面の変更を行っている。

この原案は,溶接材料の銘柄認定試験の性格をもったもので,広範囲の試験を規定した。この

ため,ワイヤの初回納入時にすべての試験に合格した後は,製造単位ごと分析試験,引張試験,

衝撃試験及び放射線透過試験を行えば,その性能を十分確認できると考えられるので, 形溶接U

割れ試験,側曲げ試験,すみ肉溶接試験及び落重試験は注文者と製造者の協議により省略できる

とした。

なお,初回納入時のほか,製造工場の変更,重要な製造工程の変更及び重要な管理項目の変更

など,製造上大きな変更があった場合には,すべての試験を実施する必要がある。

( )7.2 7.2分析試験 本体の

分析方法に関しては, 元素ごとの分析方法を網羅し,また機器分析が十分利用できるように1

配慮して決定した。

( ) 試験板の形状及び試験片の採取位置は,7.3 7.3溶着金属の引張試験及び衝撃試験 本体の

NDSZ3005 NDSに倣ったが 試験板の厚さ及び試験板の長さの見直しを行った 試験板の厚さは, 。 ,

では であるが, は インチの換算から定められており (溶着金属Z 3005 JIS Z 311119±1mm 19mm 3/4

の引張及び衝撃試験方法)でも 又は と規定されている。その解説には国際規格との整合19 20mm

性を考えると に統合するのが望ましいとあり, (軟鋼及び高張力鋼マグ溶接ソリ20mm JIS Z 3312

解13

Page 66: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

62Z 3017 解説

ッドワイヤ)等最近の日本工業規格では と規定されていること及び溶接材料製造会社がこ20mm

れまでの確性試験に厚さ の試験板を使用している実績等を考慮し, から に20mm 19±1mm 20±1mm

変更した。試験板長さに関しては, では 以上と規定されているが,両端の削除NDS Z 3005 400mm

代を考慮すると実質的には 程度必要であり, 以上とした。450mm 450mm

溶接条件については,溶着金属の引張及び衝撃試験含めて各種溶接試験の溶接入熱,予熱・パ

ス間温度等を以下のとおり規定した。

溶接入熱は, 鋼開発の研究成果によって板厚範囲ごとに設定された上限値を上限としa) NS110

た。

溶接入熱の範囲は, に倣い とした。b) NDSZ3005 ±3kJ/cm

予熱・パス間温度は 鋼開発の研究成果によって設定された温度範囲の中央値とし,範c) NS110

±10 ±5囲は ℃とした。ただし,窓形溶接割れ試験については,予熱温度の下限値とし範囲は

℃とした。

溶接金属の性能を確保するには,溶着速度の管理も重要なことがわかったので, 以下d) 3g/cm

と規定した。

材料については,異材継手試験における, 鋼側ボンド部のシャルピー吸収エネルギーB NS110

を安定して確保するため,適用箇所及び溶接条件等に配慮が必要なことが平成 年度の 委13 NTW

員会の検討の中で指摘されている。

NS110 13 NS110なお 鋼開発の研究成果は 平成 年度までの成果を基に作成されたものであり, , ,

鋼工作基準制定時には,この原案との整合性について見直す可能性がある。

本材料のように高強度な溶接金属では,引張試験などひずみ速度の遅い試験では,わずかの水

素に起因して水素脆化破面が発生し,伸び,絞りが著しく低下する場合がある。このため,引張

試験片又は引張試験片採取のために切断した試験材は, ℃で 時間以内保持して水素除去100±5 24

処理を行ってもよい。この水素除去処理条件は, , などに規定されている条JIS Z 3221 JIS Z 3214

件である。

( ) 試験板形状等は, と同様に規定した。溶接条7.4 7.4 NDS Z 3005窓形溶接割れ試験 本体の

件はにおける予熱温度は, 鋼開発の研究成果の下限値とした。溶接割れ試験で信頼のあるNS110

, ,結果を得るためには 溶接開始時に試験材全体が均一に試験温度になっていることが必須であり

では規定されていなかった鋼板温度の測定位置を 点規定し,どの測定点においてもNDS Z 3005 6

規定の温度範囲を満足しなければならないとした。 では,溶接雰囲気は規定されてNDS Z 3005

いなかったが,この原案では規定することとした。

断面割れの検査は,試験ビードが長いので, と同様 横断面によることにした。まNDS Z 3005 10

た, では,溶接スタート側の横断面採取位置が曖昧であったので,溶接金属先端かNDS Z 3005

らクレータ手前までを 等分し, 横断面を観察することとした。10 10

( ) 試験板の形状及び試験片の採取位置は, と同様7.5 7.5 NDS Z 3005すみ肉溶接試験 本体の

に規定したが,試験板の厚さについては引張試験及び衝撃試験と同様に から に19±1mm 20±1mm

変更した。

解14

Page 67: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

63Z 3017 解説

脚長は と同様に規定し,表面の検査方法は, (艦船用鋼材の溶接部のNDS Z 3005 NDS Z 2004

非破壊試験方法及びその試験結果の分類方法)によるものとした。

, , ( ,すみ肉溶接試験片の破断方法としては 試験片を のように置き 適当な外力 プレス解説図1

材料試験機またはハンマなど)を加える方法などがある。

解説図 すみ肉溶接試験片の破断方法の一例1

( ) では,本体の の試験板形状(ただし,試験板の7.6 7.6 NDS Z 3005 1側曲げ試験 本体の 図

厚さは ,試験板の長さは約 )を用いて作成した溶接金属の表曲げ・裏曲げ試験が19±1mm 150mm

規定されている。この原案では,側曲げ試験と落重試験に関しては, 鋼用として開発されNS110

た被覆アーク溶接棒及びガスタングステンアーク溶接材料と試験方法を揃える方向で検討した。

その結果,曲げ試験に関しては,側曲げ試験を採用することにした。

側曲げ試験の曲げ半径に関しては, %耐力の目標値が同じである被覆アーク溶接棒におけ0.2

( , ) 。 ,る平成 年度の 委員会での検討結果から は 試験片の厚さ を採用した すなわち4 NSU-NSR 5t t

被覆アーク溶接棒の検討の初期には,添え板を付けて曲げ半径 で試験が実施されたが,母材と3t

溶接金属に強度差があるため,溶接金属に曲げひずみが集中し割れが発生する場合があった。こ

のため,平成 年度に 委員会で検討された結果,曲げ半径を としたときに, 鋼側4 NSU-NSR 5t NS80

曲げ試験(曲げ半径: )と同等の溶接金属局部伸びが得られることが確認され,以後 が採用3t 5t

されたことによる。

曲げ試験も引張試験同様にひずみ速度の遅い試験であり,引張試験片と同様な理由から,水素

除去処理を行ってもよい。

( ) 試験板形状並びに試験片形状,採取位置は,被覆アーク溶接棒,7.7 7.7落重試験 本体の

, 。ガスタングステンアーク溶接材料と統一を図る方向で検討して 厚さ の試験板を採用した30mm

2 1試験片は試験時に表面が十分たわみ止めに接触すること等の条件を満たせば, 号試験片でも

2号試験片と同等の評価が得られると考え, (鋼材及び溶接金属の落重試験方法)のNDS G 0501

号試験片を用いることにした。

なお, では 号試験片が採用されている。NDSZ3005 1

解15

Page 68: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

64Z 3017 解説

溶接姿勢については, に倣い下向姿勢を採用した。溶接条件は性能確保の点を考NDS Z 3005

慮し,入熱範囲を広めに設定した。

平成 年度の 委員会における検討において, 材料の落重性能は溶接入熱 では不良13 NTW A 15kJ/cm

であり, とすることで良好な結果が得られている。したがって, 材料の落重試験の溶接12kJ/cm A

入熱については,配慮が必要である。

試験温度は に倣い,落重エネルギーは の規定に従った。NDSZ3005 NDS G 0 5 0 1

( ) 溶接のスタート側及びクレータ側の溶接長 は,溶接7.8 .8放射線透過試験 本体の7 25mm

が不安定になりやすいので,放射線透過試験の対象から除外した。試験方法は によNDS Z 2004

ることにした。

( ) と同様に,試験のうちいずれか一つの試験が不合格であっ8. 8. NDS Z 3005検 査 本体の

た場合に限り,その試験について一回だけ再試験を行えるとした。また,試験を無効とする場合

について, 項目について規定した。試験を無効として,やり直す試験は,再試験として取り扱3

わず初回の試験として取り扱う。

引張試験の伸びに関しては,試験片が標点間の中央から標点距離の 以外で破断した場合に1/4

局部伸びが標点外まで及ぶと,材質に異常が無くても標点間の中央から標点距離の 以内で破1/4

断した場合に較べて伸びが小さくなる。このため,標点距離の 以外で破断し,伸びが規定に1/4

適合しなかった場合は,試験を無効とした。

( ) では規定されていないが, の (包装)によるも9 9. NDS Z 3005 JIS Z 3200 5..包 装 本体の

のとした。ここには 「溶接材料は,損傷及び劣化が起こらないように製造業者,供給者又は販,

売代理店によって包装する 」と記載されている。。

( ) では規定されていないが,日本工業規格の溶接材10. . NDS Z 3005製品の呼び方 本体の10

料規格では規定されており,この原案では規定することにした。

11. 11. NDS Z 3 0 0 5 JIS表 示 本体の( ) , , ,では 本体に具体的に規定されていたが この規格では

の (表示)によるものとした。ここには,製品及び包装に表示する内容が具体的に規定Z 3200 4.

されている。

解16

Page 69: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

65

艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用

被覆アーク溶接棒 解説

目 次

1. 67作成経緯及び作成方針‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

1.1 67作成経緯‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

1.2 67作成方針‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

2. 1. 68適用範囲 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

3. 3. 68種 類 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4. 4. 68品 質 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.1 4.1 68被 覆 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.2 4.2 68化学成分 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.3 4.3 70機械的性質(本体の )‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

4.4 4.4 71水素量 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.5 4.5 72溶接割れ感受性 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.6 4.6 72すみ肉溶接部の品質 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.7 4.7 72曲げ性能 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.8 4.8 72落重試験性能 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

4.9 4.9 72内部健全性(本体の )‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

5. 5. 72寸法及び許容差 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

6. 6. 73試 験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

6.1 6.1 73試験一般 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

6.2 6.2 73分析試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

6.3 6.3 73溶着金属の引張試験及び衝撃試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

6.4 6.4 74水素量試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

6.5 6.5 74U形溶接割れ試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

6.6 6.6 75すみ肉溶接試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

6.7 6.7 75側曲げ試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

6.8 6.8 76落重試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

6.9 6.9 76放射線透過試験 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

7. 7. 76検 査 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

8. 8. 76包 装 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

9. 9. 77製品の呼び方 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

10. 10. 77表 示 本体の ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥( )

Z 3017 解説

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66Z 3017 解説

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67

艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用被覆アーク溶接棒 解説

この解説は,本体に規定・記載した事柄,並びにこれらに関連した事柄を説明するものであっ

て,規格の一部ではない。

作成経緯及び作成方針1.

21.1 作成経緯 我が国における潜水艦用超高張力鋼は,昭和 年から 耐力50 0.2% 784N/mm

{ }級のものが実艦に採用されているが,潜航深度の増大を目的として昭和 年から80kgf/mm 552

より高強度の 耐力 { }級超高張力鋼に関する研究開発が開始された。0.2% 1079N/mm 110kgf/mm2 2

研究開発の内容は,高強度,高靭性が要求される艦船用耐圧殻用の構造用材料であり,防衛庁

及び関係各社(鋼板:新日本製鐵・川崎製鉄,鍛鋼:川崎製鉄・三菱製鋼,溶接材料:神戸製鋼

所・日鐵溶接工業,工作法:三菱重工業・川崎重工業)は (社)日本溶接協会に専門委員会,

[ 小委員会及び 小委員会(昭和 年~昭和 年 , 委員会(昭和 年以降 ]を設置NSU-N K 55 56 NSU 57) )

して分野ごとに開発を進めてきた。

溶接材料は被覆アーク溶接棒,ガスメタルアーク溶接材料及びガスタングステンアーク溶接材

料が検討され,当初目標とした特性をほぼ満足するに至り,平成 年度に防衛庁技術研究本部よ13

り 「艦船用超高張力鋼(耐力 級)用ガスタングステンアーク溶接材料外 件の制定規, 110kgf/mm 22

格原案作成」が(社)日本溶接協会に委託された。このため (社)日本溶接協会に 委員, 01NDS

会[委員長: 財)日本溶接技術センター会長 稲垣道夫工学博士]が組織され,防衛庁,造船(

会社,製鋼会社,溶接材料製造業者の各委員出席のもとに慎重に審議を行い,規格原案を作成し

た。

なお,この規格は,現時点までの研究試作及び委員会審議に基づき得られた技術データ及び技

術資料などの一連の 鋼開発に関する研究成果(以下, 鋼開発の研究成果という )をNS110 NS110 。

十分に考慮して作成したものである。

この規格の作成にあたっての主な事項は,次のとおりである。1.2 作成方針

a NDS Z 3004) 用途が艦船用として限定されることから規格の構成及び全体の表現については,

(艦船用超高張力鋼用被覆アーク溶接棒)に基づいた。

研究開発段階では溶接材料製造業者 社の溶接棒を 及び に区分していたが,後b) 2 NSEZA NSEZB

述するように溶着金属成分が近似していること,施工面においても同一溶接条件で管理でき

ることから,今回種類を統合した。

防衛庁規格に制定されていない場合は,日本工業規格等を参考とした。c)

なお,規格使用上の便を図るため,次に解説を記載する。

解17

Z 3017 解説

Page 72: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

68

2. 1. NDS G 3121適用範囲 本体の( ) ( ) ,主として潜水艦に使用する超高張力鋼材 鋼 とはNS110

[艦船用超高張力鋼板( ]の 及び [艦船用超高張力鍛鋼品( ]NS110 NF110) )NS110 NDS G 3122

の をいう。NF110

( ) 溶接棒の種類は, 委員会で検討された低水素系の全姿勢で使用す3. 3.種 類 本体の NSU

る溶接棒 種類に限定し,その種類の記号の付け方は, に倣った。 では,1 NDS Z 3004 NDS Z 3004

応力除去焼きなましを行う場合にも保証できる溶接棒も規定されており,また,電流の種類は交

流と直流棒プラスが規定されている。 鋼用溶接棒は,交流電源を用いて溶接し,溶接部のNS110

応力除去焼なましを行わないことを前提に開発されたので,その区別のため本体の 及びその表1

備考にこれらを明確に規定した。

なお, では,種類の記号の意味は解説で説明されていたが,日本工業規格の溶接NDS Z 3004

材料規格,例えば (高張力鋼用被覆アーク溶接棒 , (耐候性鋼用被覆アーJIS Z 3212 JIS Z 3214)

) , , 。ク溶接棒 などでは 規格本体の種類の項で説明されており この規格では本体で説明を行った

( )4. 4.品 質 本体の

( ) 日本工業規格において,平成 年に溶接材料の寸法,許容差,製品4.1 4.1被 覆 本体の 11

の状態,表示及び包装を一括して規定した (溶接材料-寸法,許容差,製品の状態,JIS Z 3200

表示及び包装)が制定されており,これ以降に改正された溶接材料の日本工業規格では,これら

の項目に関しては が引用されている この規格でもこのすう勢に従って製品の状態 被JISZ3200 。 (

覆 ,表示及び包装に関しては, を引用することにした。ただし,寸法,許容差につい) JIS Z 3200

ては 後述の理由から を引用せずに本体に具体的数値で規定した の 製, , 。 (JIS Z 3200 JISZ3200 3.

品の状態)では,被覆について 「均等の厚さで,溶接で脱落,片溶けしたり,有害と認められ,

る割れ,凹凸,きずなどの欠陥がないこと」などを規定している。

, , ( )なお 被覆の品質に関して では 低合金高張力鋼用被覆アーク溶接棒NDSZ3004 JIS Z 3213

を引用しているが, に統合されて廃止されている。JIS Z 3212

( ) 委員会で設定された溶着金属化学成分の目標値は,溶接棒の4.2 4.2化学成分 本体の NSU

成分設計の自由度を考慮して成分範囲を広くとった暫定的なものであった。溶接材料製造業者で

は,この範囲内で成分設計を行ったが,安定して所定の性能を得るために独自に化学成分管理範

。 。囲を設定して品質管理にあたった それぞれ設定されていた化学成分管理範囲を に示す解説表1

と は,元素によって多少の差異はあるものの近接した化学成分範囲の設計となっNSEZA NSEZB

ており,また,施工面においても溶接条件を同一規定で管理できることが 鋼開発の研究成NS110

果によって確認されている。これらによって, と の溶着金属化学成分範囲はじめ溶NSEZA NSEZB

接条件等の規定を統一することとし,化学成分範囲については, の と の管解説表 1 NSEZA NSEZB

理範囲を包括する形で規定した。化学成分のうち は,上限値のみ設定されていたが,強度確保C

Oに重要な元素であり下限値も規定することにし,報告のみで管理範囲が設定されていなかった

及び については製造実績を基に上限値を規定した。また, , ,及び に関しては,溶接材N Ni Mo V

料製造業者の管理範囲より上限値をやや高く規定した。これは, 委員会における溶接材料製NSU

Z 3017 解説

解18

Page 73: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

69

造業者の化学成分管理範囲は,下盛り試験板の使用を前提に設定されていたが,この規格では下

盛り試験板の使用を認めずに に限定したことによる。 の化学成分規定は にNS110 NS110 2解説表

示されるように溶接材料に比較して , ,及び の添加量が多く, を試験板に用いた場Ni Mo V NS110

合は希釈によって,下盛り試験板よりこれらの成分の増加が予測されるためである。

参考として, にこれまでの 委員会に供試された溶接棒の溶着金属化学成分の実績解説表 3 NSUを示す。

解説表 溶着金属化学成分の 委員会目標値と溶接材料製造業者の管理範囲1 NSU%単位

C Si Mn P S Ni Cr Mo V O N溶接棒

0.12 0.60 2.50 0.012 0.010 1.00 0.50 0.50 1.50~ ~ ~報告 報告NSU委員会目標値

以下 以下 以下 以下 以下 以下10.00 2.50 2.20

~ ~ ~ ~ ~ ~0.08 0.30 1.50 0.012 0.010 2.30 0.80 0.65 0.03報告 報告NSEZAの管理範囲

0.60 1.90 2.70 1.10 0.95 0.07以下 以下 以下

~ ~ ~ ~ ~ ~0.09 0.20 1.50 0.008 0.006 2.00 0.80 0.60 0.03報告 報告NSEZBの管理範囲

0.50 1.90 2.50 1.10 0.90 0.07以下 以下 以下

解説表 の化学成分2 NS110%単位

C Si Mn P S Ni Cr Mo V Nb

0.08 0.10 0.10 9.20 0.35 0.70 0.20 0.03~ ~ ~ ~( ) ( )1 1

0.010 0.010以下 以下 以下 以下 以下 以下0.75 10.20 1.00 1.50

と の合計は, 以下とする。注( )1 P S 0.015%

解説表 溶着金属化学成分の実績3%単位

mm C Si Mn P S Ni Cr Mo V O N溶接棒 径

0.05 0.30 1.53 0.004 0.002 2.64 0.94 0.81 0.04 0.018 0.010~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~3.20.06 0.44 1.68 0.011 0.006 2.68 1.02 0.85 0.05 0.020 0.015( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )0.06 0.35 1.61 0.006 0.003 2.66 0.98 0.83 0.04 0.019 0.013

NSEZA0.06 0.41 1.57 0.004 0.002 2.65 0.94 0.80 0.04 0.017 0.008~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~4.0

0.06 0.47 1.69 0.010 0.005 2.69 0.99 0.83 0.05 0.018 0.013( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )0.06 0.44 1.65 0.006 0.002 2.68 0.97 0.82 0.05 0.018 0.011

0.07 0.26 1.61 0.003 0.001 2.16 0.82 0.70 0.04 0.021 0.009~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~3.20.08 0.35 1.73 0.004 0.002 2.36 0.92 0.73 0.05 0.026 0.013( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )0.07 0.31 1.66 0.004 0.002 2.27 0.89 0.71 0.04 0.023 0.010

NSEZB0.07 0.30 1.68 0.003 0.001 2.14 0.86 0.71 0.04 0.018 0.009~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~4.0

0.08 0.36 1.78 0.005 0.002 2.37 0.91 0.74 0.05 0.023 0.011( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )0.07 0.33 1.72 0.004 0.002 2.29 0.89 0.72 0.04 0.020 0.010

括弧内の数値は平均値である。注

Z 3017 解説

解19

Page 74: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

70

Z 3017 解説

NSEZA 3.2mm 5 4.0mm 8備考 データ数= , データ数=

NSEZB 3.2mm 5 4.0mm 7データ数= , データ数=

( ) 試作研究段階では従来単位で機械的性質の目標値が設定されて4.3 4.3機械的性質 本体の

いたが,この規格では 単位系へ切換えた。切換えは, 単位に換算後, 単位系が導入されてSI SI SI

いる (調質高張力鋼用被覆アーク溶接棒 , , 等に倣って,NDS Z 3001 NDS G 3121 NDS G 3122)

, , ( ) 。強度は の幅に 吸収エネルギーは の幅に 数値の丸め方 によって丸めた1N/mm 1J2 JISZ8401

被覆アーク溶接棒は,対象鋼材の 耐力 ~ { ~ }に対して,靭0.2% 1079 1216N/mm 110 124kgf/mm2 2

性及び耐割れ性の確保のため軟質とし, 耐力 { }以上を目標として開発0.2% 931N/mm 95kgf/mm2 2

。 , , 。 ,された したがって 溶着金属の 耐力は が基準となる 艦船用の溶接材料では0.2% 931N/mm2

溶着金属の 耐力は溶接条件によって変化しやすいという特殊性が考慮されて, 及び0.2% NSE4616

2 2 2NSE6316 NSE8016で は 基 準 と な る 耐 力 よ り も { } 高 く , で は0.2% 10N/mm 1kgf/mm 20N/mm

{ }高く設定されており,この規格でもこれらの溶接棒の種類に倣うことを検討した。2kgf/mm2

基準となる 耐力より { }高めの規定値も提案されたが,平成 年度までの0.2% 20N/mm 2kgf/mm 132 2

に示した溶接材料の製造実績を基に { }高めに規定することにした。解説表4 10N/mm 1kgf/mm2 2

引張強さの目標値は,試作研究では設定されていなかったが,過少の場合は 耐力の確保が0.2%

困難となり,また,過多の場合には耐割れ性の低下につながるため,製造実績を基にして下限値

NDS Z及び上限値を規定した。吸収エネルギーに関しては,試作研究において目標値とされた

の規定値を採用した。3004

なお, 耐力の余裕代及び引張強さの範囲については,今後製造実績が増加した段階で,更0.2%

に適正な値に見直す可能性がある。

解説表 溶着金属の機械的性質の実績4

引張試験 衝撃試験

吸収エネルギー溶接棒 径%耐力 引張強さ 伸び 試験温度 J0.2mm

N N % ℃ 3個の試験 個々の試験/mm /mm2 2

片の平均値 片の値

0 81 98 76 102~ ~( )88

3.2 989 1029 1039 1068 17 22~ ~ ~

1006 1057 20 50 55 51 59( ) ( ) ( ) - ~NSEZA

0 76 114 74 122~ ~( )88

4.0 977 1025 1040 1086 17 22~ ~ ~

1004 1061 20 50 62 54 67( ) ( ) ( ) - ~

0 87 100 84 106~ ~( )NSEZB 3.2 952 1002 991 1073 17 22 94~ ~ ~

( ) ( ) ( )983 1032 2050 53 51 54~

解20

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71

Z 3017 解説

引張試験 衝撃試験

吸収エネルギー径%耐力 引張強さ 伸び 試験温度 J溶接棒 0.2

N N % ℃ 3個の試験 個々の試験mm /mm /mm2 2

片の平均値 片の値

0 85 115 81 120~ ~( )96

NSEZB 4.0 943 1009 1021 1071 20 22~ ~ ~

981 1048 21 50 56 47 61( ) ( ) ( ) ~

括弧内の数値は平均値である。注

NSEZA 3.2mm 5 4.0mm 8備考1. データ数= , データ数=

NSEZB 3.2mm 5 4.0mm 7データ数= , データ数=

引張試験数: データ当たり2本2. 1衝撃試験数: データ, 試験温度当たり3本。 ℃の衝撃試験は全データ実施している1 1 0が, ℃は,A,B溶接棒共に径ごとに1回の実施である。-50

( ) では, (溶着金属の水素量測定方法)のグリ4.4 4.4 NDS Z 3004 JIS Z 3113水素量 本体の

セリン置換法で溶着金属 当たりの水素量が 以下と規定されているが, (鋼溶接100g 2ml JIS Z 3118

JIS Z部の水素量測定方法)の制定に伴って廃止されており,この規格では水素量測定方法として

のガスクロマトグラフ法を採用した。 では,ガスクロマトグラフ法とグリセリン3118 JIS Z 3118

置換法による値との関係を次のように示している。

+ 1.73HG L)H HD M GL= ( > 2ml/100g

0.79

ここに, :溶着金属 当たりの水素量( )HDM 100g ml/100g

( )HGL:グリセリン置換法によって求めた溶着金属 当たりの水素量100g ml/100g

この式を用いて, のグリセリン置換法による規定値( 以下)をガスクロマNDS Z 3004 2ml/100g

解説トグラフ法による水素量に換算すると 以下になるが,換算式にはばらつきもあり,5ml/100g

に示した 委員会に供試された溶接棒のガスクロマトグラフ法による水素量の実績を基に表5 NSU

して溶着金属 当たりの水素量を 以下と規定した。また,開発された溶接棒は, 鋼用100g 6ml NS80

溶接棒に用いられている超低水素化技術が踏襲して製作されており,工作基準の原案のための技

術資料の作成などを行っている 委員会において,平成 年度に 形溶接割れ試験はじめNSU-NSR 2 U

各種割れ試験が実施されて良好な耐割れ性が確認されている。

解説表 水素量試験結果5

(ml/100g)溶接雰囲気 拡散性水素量( )1

( )溶接棒 溶接棒の吸湿 1

(水蒸気分圧) 平均1 2 3 4

NSEZA 4.7 5.3 5.0 5.2 5.1なし

解21

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72

Z 3017 解説

NSEZA 30 ×80%R.H., 1h 5.4 5.7 4.9 5.7 5.4℃

30 80%R.H. 4.5 4.5 4.2 4.1 4.3℃- なし( )NSEZB 3.33kPa

30 4.6 5.2 4.8 5.0 4.9℃×80%R.H.,1h

は,相対湿度を示す。注( )1 R.H.測定方法: (鋼溶接部の水素量測定法)のガスクロマトグラフ法備考1. JISZ3118

400 ×1h2. 溶接棒の乾燥: ℃160±10A3. 溶接電流:210±10mm/min4. 溶接速度:

( ) と同様に,溶接金属の低温割れ試験として,簡4.5 4.5 NDS Z 3004溶接割れ感受性 本体の

便でしかも信頼が得られている 形溶接割れ試験を採用し,表面割れ率,断面割れ率共に %とU 0

規定した。

( ) ガスメタルアーク溶接材料は、構造物の構造上、すみ4.6 4.6すみ肉溶接部の品質 本体の

肉溶接にも使用されるので と同様に 日本海事協会の の す、 , (NDS Z 3004 4.3鋼船規則M編 溶接( )

み肉溶接継手試験)を参考にして要求品質とした。

NS1104.7 4.7 NDS Z 3004曲げ性能 本体の( ) では表曲げ・裏曲げ試験が採用されているが,

鋼用として開発されたガスメタルアーク溶接材料,ガスタングステンアーク溶接材料と試験方法

を揃える方向で検討し,継手内部まで評価のできる側曲げ試験を採用することにした。曲げ性能

の判定基準については, と同じにした。NDSZ3004

4.8 4.8 NDS Z 3004落重試験性能 本体の( ) ,落重試験性能は 研究試作において目標値とされた

の規定値, ℃で破断しないこととした。-50

( ) 溶接金属の内部健全性は,側曲げ試験でその一部を判定できる4.9 4.9内部健全性 本体の

が, に倣って全体の健全性を判定するため放射線透過試験を実施することにした。NDS Z 3004

なお,試験方法として では (鋼溶接継手の放射線透過試験方法)が採用NDS Z 3004 JIS Z 3104

されていたが,この規格では, (艦船用鋼材の溶接部の非破壊試験方法及びその試NDS Z 2004

験結果の分類方法)を採用し,判定基準は の 類以上とした。NDSZ2004 2

( ) 溶接棒の径,長さは実績のあるものだけを規定した。その許5. 5.寸法及び許容差 本体の

容差については,日本工業規格の溶接材料規格との整合性を図るため の引用を検討しJIS Z 3200

たが の方が厳しく規定されており, の規定値を採用することにした。参NDS Z 3004 NDS Z 3004

考として, における該当する径,長さの許容差を に示す。JIS Z 3 2 0 0 6解説表

解説表 溶接棒の径と長さの許容差6mm単位

径 径の許容差 長さの許容差

3.2 0.10 3± ±

4.0 0.10 3± ±

解22

Page 77: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

73

Z 3017 解説

( )6. 6.試 験 本体の

( ) では,引張試験,衝撃試験に使用する試験板(分析用6.1 6.1 NDS Z 3004試験一般 本体の

JIS Z試料は,この試験材から採取される)は,試験板に 以上の下盛りを行うことによって,3mm

(一般構造用圧延鋼材)の 種, (溶接構造用圧延鋼材)の 種又は (溶3101 JIS Z 3106 JIS Z 31142 1

NDS Z接構造用耐候性圧延鋼材)の 種を使用してもよいと規定されているが,この規格では,1

の に限定した。これは溶着金属化学成分と の化学成分,とくに が大きく異な3121 NS110 NS110 Ni

り,母材希釈を含めて性能評価を行うことが適切と考えられたためである。

溶接棒の使用前の乾燥について, では適切な条件で乾燥するとあるが,溶接棒にNDS Z 3004

よって最適乾燥条件が異なる場合もあり, に倣い製造業者が推奨する条件で乾燥するJIS Z 3118

とした。試験項目,溶接姿勢は, と同様に設定した。溶接棒の径 と のうNDS Z 3004 3.2mm 4.0mm

ち使用量が多いものは であり, を代表寸法と考えて全ての試験を行うようにした。4.0mm mm4.0

なお,一部では試験板の厚さの変更,また,前述のように曲げ試験の曲げ面の見直しなどを行

っている。

この規格は,溶接材料の銘柄認定試験の性格をもったもので,広範囲の試験を規定した。溶接

棒の初回納入時にすべての試験に合格した後は,製造単位ごと分析試験,引張試験,衝撃試験,

水素試験及び放射線透過試験を行えば,その性能を十分確認できると考えられるので, 形溶接U

割れ試験,すみ肉溶接試験,側曲げ試験及び落重試験は,注文者と製造業者の協議によって省略

できるとした。

なお,製造工場の変更,重要な製造工程の変更及び重要な管理項目の変更など,製造上大きな

変更があった場合には,初回納入時と同様に考えて,すべての試験を実施することを規定した。

( ) では,分析用試料は溶着金属の引張試験・衝撃試験用6.2 6.2 NDS Z 3004分析試験 本体の

に作製された試験材から採取すると規定されているが,更に採取位置を引張試験片残材の平行部

又は平行部該当位置と明確にした。また,引張試験片残材は,一定期間保存される場合もあり,

試験材の引張試験片平行部に相当する位置からも分析用試料を採取できるように規定した。

なお,日本工業規格では溶着金属の分析用試料の作製方法として,母材希釈の影響を極力低減

した (溶着金属の化学分析用試料の作製方法)が広く採用されている。しかし,このJIS Z 3184

規格では試験板に を用いることとしており, の分析用試料によって得られる分NS110 JIS Z 3184

析値とはかなりの差異を生じるおそれがあり, は採用しなかった。JIS Z 3184

分析方法に関しては,元素ごとの分析方法を網羅し,また,機器分析が十分利用できるように

配慮して決定した。

( ) 試験板の形状及び試験片の採取位置は,6.3 6.3溶着金属の引張試験及び衝撃試験 本体の

NDSZ3004 NDSに倣ったが 試験板の厚さ及び試験板の長さの見直しを行った 試験板の厚さは, 。 ,

では であるが, は インチの換算から定められており (溶着金属Z 3004 JIS Z 311119±1mm 19mm 3/4

の引張及び衝撃試験方法)でも 又は と規定されている。その解説には国際規格との整合19 20mm

性を考えると に統合するのが望ましいとあり, , 等最近の日本工業規20mm JIS Z 3212 JIS Z 3214

解23

Page 78: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

74

Z 3017 解説

格でも と規定されていること及び溶接材料製造業者がこれまでの 委員会供試時の試験20mm NSU

に厚さ の試験板を使用している実績を考慮し, から に変更した。試験板の20mm 19±1mm 20±1mm

長さに関しては, では 以上と規定されているが,両端の削り代を考慮すると実NDS Z 3004 400mm

質的には 程度必要であり, 以上とした。450mm 450mm

各試験の溶接条件については,溶着金属の引張試験及び衝撃試験含めて溶接入熱,予熱・パス

間温度及び溶接電流範囲を以下のとおり規定した。

溶接入熱は, 鋼開発の研究成果によって板厚範囲ごとに設定された上限値を上限としa) NS110

た。

溶接入熱の範囲は, に倣い下向姿勢では とし,立向姿勢では とb) NDS Z 3004 ±2kJ/cm ±4kJ/cm

した。

予熱・パス間温度は, 鋼開発の研究成果によって設定された温度範囲の中央値とし,c) NS110

± ℃とした。ただし, 形溶接割れ試験については,予熱温度の下限値とし範囲は範囲は 10 U

± ℃とした。5

試験に使用する溶接電流範囲は溶接材料製造業者の推奨電流範囲を基に規定したが,水素量d)

試験及び 形溶接割れ試験では,結果のばらつきを小さくするため狭い範囲に規定した。U

なお,推奨電流範囲は,溶接棒によって多少異なっていたので包括がしたが,その溶接棒

の推奨電流範囲内で試験するのが適切である。

なお,この規格の溶接条件の規定は,平成 年度までの研究試作及び委員会審議に基づき得ら13

れた技術データ及び技術資料などの一連の 鋼開発に関する研究成果を基にしたものであNS110

り, 鋼工作基準制定時にはこの規格との整合性について見直す可能性がある。NS110

引張試験片及び衝撃試験片の形状,採取個数は, と同様に規定した。高強度溶接NDS Z 3004

金属では,引張試験などひずみ速度の遅い試験では,わずかの水素に起因して水素脆化破面が発

生し,伸び,絞りが著しく低下する場合がある。このため, では規定されていなかNDS Z 3004

ったが,引張試験片又は引張試験片採取のために切断した試験材は, ℃で 時間以内保持100±5 24

して水素除去処理を行ってもよいとした。この水素除去処理条件は, , などJIS Z 3212 JIS Z 3214

に規定されている条件である。

6.4 6.4 NDSZ3004 JIS Z 3113水素量試験 本体の( ) , ,前述のように では 水素量測定方法として

が採用されていたが廃止されており,この規格では を採用した。 は製造業者JIS Z 3118 JIS Z 3118

が推奨する乾燥条件で乾燥した溶接棒を用いて試験し,溶接場所の気温と湿度を記録するように

規定しており,この規格でもそれに倣って規定した。

( ) 試験板形状,溶接条件は, と同様に規定し,6.5 6.5 NDS Z 3004U形溶接割れ試験 本体の

予熱温度は, 鋼開発の研究成果によって設定された下限値の ℃とした。 形溶接割れ試NS110 100 U

3.33kPa 25mmHg 3.73kPa験時の雰囲気は では が規定されているが この規格では, , { } , ,NDSZ3004

28mmHg 0.27kPa 3 NSU-NSR{ } , 。 ,と規定し に倣って の範囲を設けた これは 平成 年度のNDS Z 3004 ±

委員会において,予熱温度 ℃,水蒸気分圧 { }で割れなしの試験結果を得た100 28mmHg 3.73kPa

ことに基づき,溶接のできる限界の水蒸気分圧として が 鋼開発の研究成果に設定28mmHg NS110

解24

Page 79: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

75

Z 3017 解説

されたことによった。

形溶接割れ試験で信頼のある結果を得るためには,溶接開始時に試験板全体が均一に試験温U

度になっていることが必須であり, では規定されていなかった鋼板温度の測定位置NDS Z 3004

を 点規定し,どの測定点においても規定の温度範囲を満足しなければならないとした。また,6

では,溶接スタート側の横断面採取位置が曖昧であり, (艦載液体酸素NDS Z 3004 NDS Z 3016

) 。タンク用 ニッケル鋼用ガスシールドタングステンアーク溶接材料 に倣って明確に規定した9%

均一な試験板温度を得る方法として, 形溶接割れ試験板のような比較的小型試験板では,電U

気炉内で試験温度より高めの温度まで加熱し,静止大気中で試験温度まで冷却する方法がある。

, , ( )また 割れの検査は目視又は適切な方法で調べるとしたが 形溶接割れ試験方法JISZ3157 U

の解説を参考にすることができる。

( ) 試験板の形状及び試験片の採取位置は, と同様6.6 6.6 NDS Z 3004すみ肉溶接試験 本体の

に規定したが,試験板の厚さについては溶着金属の引張試験・衝撃試験に用いる試験板の厚さと

揃えることとし, から に変更した。 では,立向,上向及び水平すみ19±1mm 20±1mm NDS Z 3004

肉溶接を一つの電流範囲で示していたが,水平すみ肉溶接は,立向及び上向溶接とは使用する電

流範囲が異なるため,この規格では,それぞれの溶接姿勢で電流範囲を規定した。溶接電流範囲

は溶接材料製造業者の推奨電流範囲を基に決定し,予熱温度は 鋼開発の研究成果 に基づNS110

NDS Z 3 0 0 4 NDS Z 3004き,更に では規定されていなかった予熱温度測定位置を規定した。脚長は

と同様に規定し,表面の検査方法は, (艦船用鋼材の溶接部の非破壊試験方法及びNDS Z 2004

その試験結果の分類方法)によるものとした。

, , ( ,すみ肉溶接試験片の破断方法としては 試験片を のように置き 適当な外力 プレス解説図1

材料試験機又はハンマなど)を加える方法などがある。

すみ肉溶接試験片の破断方法の一例解説図1

( ) では,本体の の試験板形状(ただし,試験板の6.7 6.7 NDS Z 3004 1側曲げ試験 本体の 図

厚さは ,試験板の長さは約 )を用いて作製した溶接金属の表曲げ・裏曲げ試験が19±1mm 150mm

規定されている。この規格では,側曲げ試験を採用したため,試験板の厚さ,開先形状に関して

は, (艦船用超高張力鋼用ガスシールドタングステンアーク溶接材料)に倣い,更NDS Z 3006

解25

Page 80: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

76

Z 3017 解説

に予熱・パス間温度測定位置を明確に規定した。溶接姿勢に関しては, の (ローNDS Z 3004 5.8

ラ曲げ試験)の溶接棒の径が の場合と同じく立向姿勢とし,溶接入熱,予熱・パス温度は4.0mm

鋼開発の研究成果を基に規定した。 立向姿勢では,下向姿勢に比較して溶接入熱を一定NS110

± とした。に保つことが難しくなることから,溶接入熱範囲を 4kJ/cm

側曲げ試験の曲げ半径に関しては,平成 年度の 委員会での検討結果から (は,試4 NSU-NSR 5t t

) 。 , ,験片の厚さ を採用した すなわち 初期には添え板を付けて曲げ半径 で試験が実施されたが3t

母材と溶接金属に強度差があるため,溶接金属に曲げひずみが集中し割れが発生する場合があっ

た。平成 年度に 委員会で検討された結果,曲げ半径を としたときに, 鋼側曲げ4 NSU-NSR 5t NS80

試験(曲げ半径: )と同等の溶接金属局部伸びが得られることが確認され,以後 が採用され3t 5t

たことによる。

曲げ試験も引張試験同様にひずみ速度の遅い試験であり,引張試験片と同様な理由から,水素

除去処理を行ってもよいとした。

( ) 試験板形状並びに試験片形状,採取位置は,ガスメタルアーク溶6.8 6.8落重試験 本体の

接材料,ガスタングステンアーク溶接材料と試験方法を揃える方向で検討し,厚さ の試験30mm

( ) 。板を使用して 鋼材及び溶接金属の落重試験方法 の 号試験片を用いることにしたNDSG0501 2

なお, では 号試験片, では 号試験片が採用されている。NDS Z 3 0 0 1 NDS Z 30042 1

溶接姿勢については, と同じく下向姿勢を採用し,溶接入熱,予熱・パス温度はNDS Z 3004

鋼開発の研究成果を基に規定した。 試験温度は試作研究で ℃で非破断が目標NS110 50-

とされていたことから ℃とし,落重エネルギーは の 号試験片の 耐-50 2 0.2%NDS G 0501

力範囲が { }を超え { }以下のときの規定値で84kgf/mm 824N/mm 105kgf/mm 1030N/mm2 2 2 2

ある ・ を 単位系のに換算した値( )とした。55kgf m SI J 539J

( ) 溶接のスタート側及びクレータ側の溶接長 は,溶接6.9 6.9放射線透過試験 本体の 25mm

が不安定になりやすいので放射線透過試験の対象から除外した。

( ) と同様に,試験のうちいずれか一つの試験が不合格であっ7. . NDS Z 3004検 査 本体の7

た場合に限り,その試験について一回だけ再試験を行えることとした。また,試験を無効とする

場合について,3項目について規定した。試験を無効としてやり直す試験は,再試験として取り

扱わず初回の試験として取り扱う。

引張試験の伸びに関しては,試験片が標点間の中央から標点距離の 以外で破断した場合に1/4

局部伸びが標点外まで及ぶと,材質に異常が無くても標点間の中央から標点距離の 以内で破1/4

断した場合に較べて伸びが小さくなる。このため,標点距離の 以外で破断し,伸びが規定に1/4

適合しなかった場合は,試験を無効とした。

( ) では規定されていないが, の (包装)によるも8 . NDS Z 3004 JIS Z 3200 5..包 装 本体の8

のとした。ここには 「溶接材料は,損傷及び劣化が起こらないように製造業者,供給者又は販,

売代理店によって包装する 」と記載されている。。

解26

Page 81: 艦船用超高張力鋼(NS110鋼)用 溶接材料 - MODmmmmmmmm 1.2 及び 30±110450以上 1.6 2.420±17350以上 単位 mm 図1 引張試験及び衝撃試験の試験板形状と試験片採取位置

77

Z 3017 解説

( ) では規定されていないが,日本工業規格の溶接材料9. . NDS Z 3004製品の呼び方 本体の9

規格では規定されており,この規格では規定することにした。

10. . NDSZ3004 JIS Z表 示 本体の10( ) , ,では 本体に具体的に規定されていたが この規格では

の (表示)によるものとした。ここには,製品及び包装に表示する内容が具体的に規定さ3200 4.

れている。

解27.

.