職員の身体的負担に対する意識調査 ―スライディングボードを活 … ·...

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢 3-1-1 業務改善(1) 職員の身体的負担に対する意識調査 ―スライディングボードを活用して― 高知病院 看護部 たに ゆき ○谷 由紀(介護福祉士),田岡 麻希,松原 一子,諏訪 秀子 【はじめに】野並会高知病院では、平成27年度より福祉用具のスライディングボード(以下、ボードと称する) を導入した。従来、医療療養病棟の特浴では、2 人で 20名前後の患者の入浴介助を抱え上げ移乗で行っており、 職員の身体的負担はかなり大きいものがあった。今回、特浴での移乗介助の際は、ボードを使用することを原 則として、ボード導入前後の職員の身体的負担の変化についてアンケートによる意識調査を実施し、比較検討 したので報告する。 【研究目的】職員のボード使用による身体的負担の変化と職員の意識調査を行った。 【研究方法】 対象者;研究協力依頼に同意が得られた看護師及び介護福祉士 53 名 研究期間;平成 27 年 8 月~ 11 月の4ヶ月間 データ収集・分析方法;特浴の際には必ずボードの使用を原則とし、無記名式の質問紙調査を実施。ボード使 用前後で単純集計を行い分析した。 【研究結果】身体的負担を感じるかとの質問においては、「大変感じる」「まずまず感じる」の回答が、抱え上 げ移乗の場合、95%を占めていたが、ボード使用後では、「大変感じる」との回答は全く無くなり、「あまり感 じない」「感じない」の回答が計83%に増加した。 【考察】抱え上げ移乗では、持ち上げた時は腰に負担がかる反り返り姿勢となっていた。また、患者の体格差や、 2 人介助の際の職員間の体格・力の差、姿勢の違いなどが、身体的負担の増強要因に少なからず関わっていた とも考えられる。ボードを使用することで、抱えるから引く・押すという動作に変わった。この結果、腰に負 担のかかる反り返り姿勢が減少した。また動作の変化により、患者の体格差や職員間の体格・力の差はボード 移乗において関与は少なく、小柄な職員にも使用できているなど、全体的な身体的負担の軽減に繋がったので はないかと考えられた。今回の結果を踏まえ、更に安全で有効的なボードの活用ができるよう取り組み、院内 全体に広げていきたい。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-1-1 業務改善(1)職員の身体的負担に対する意識調査 ―スライディングボードを活用して―

高知病院 看護部

たに ゆき

○谷 由紀(介護福祉士),田岡 麻希,松原 一子,諏訪 秀子

【はじめに】野並会高知病院では、平成 27 年度より福祉用具のスライディングボード(以下、ボードと称する)を導入した。従来、医療療養病棟の特浴では、2 人で 20 名前後の患者の入浴介助を抱え上げ移乗で行っており、職員の身体的負担はかなり大きいものがあった。今回、特浴での移乗介助の際は、ボードを使用することを原則として、ボード導入前後の職員の身体的負担の変化についてアンケートによる意識調査を実施し、比較検討したので報告する。

【研究目的】職員のボード使用による身体的負担の変化と職員の意識調査を行った。【研究方法】対象者;研究協力依頼に同意が得られた看護師及び介護福祉士 53 名研究期間;平成 27 年 8 月~ 11 月の4ヶ月間データ収集・分析方法;特浴の際には必ずボードの使用を原則とし、無記名式の質問紙調査を実施。ボード使用前後で単純集計を行い分析した。

【研究結果】身体的負担を感じるかとの質問においては、「大変感じる」「まずまず感じる」の回答が、抱え上げ移乗の場合、95%を占めていたが、ボード使用後では、「大変感じる」との回答は全く無くなり、「あまり感じない」「感じない」の回答が計 83%に増加した。

【考察】抱え上げ移乗では、持ち上げた時は腰に負担がかる反り返り姿勢となっていた。また、患者の体格差や、2 人介助の際の職員間の体格・力の差、姿勢の違いなどが、身体的負担の増強要因に少なからず関わっていたとも考えられる。ボードを使用することで、抱えるから引く・押すという動作に変わった。この結果、腰に負担のかかる反り返り姿勢が減少した。また動作の変化により、患者の体格差や職員間の体格・力の差はボード移乗において関与は少なく、小柄な職員にも使用できているなど、全体的な身体的負担の軽減に繋がったのではないかと考えられた。今回の結果を踏まえ、更に安全で有効的なボードの活用ができるよう取り組み、院内全体に広げていきたい。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-1-2 業務改善(1)看護・介護業務に携わる職業的腰痛の意識調査 ~腰痛の意識を行動変容に照らし合わせて~

大宮共立病院 看護部

きむら ひとみ

○木村 仁美(看護師),高永 隆司

【はじめに】高齢者医療を担う看護・介護職は、患者の日常生活援助に関わることが多く、中腰姿勢が頻繁になるため、腰痛が発生するリスクが高い職業である。今回、腰痛や腰痛予防意識の現状を知り、行動変容ステージモデルと照らし合わせるアンケート調査を実施し、腰痛予防の意識向上につながる課題が明らかになったため、報告する。

【研究目的】当職員の腰痛の実態と意識調査を行い、腰痛要因、職業的腰痛予防に関する意識向上のための課題を明らかにする。

【研究方法】医療行為、生活介護業務に携わることを週 40 時間以上就業している看護・介護職へアンケート調査を実施。厚生労働省の「介護作業者の腰痛予防チェックリスト」から一部抜粋し、無関心期から維持期まで 5 段階からなる行動変容ステージモデルと照らし合わせるアンケートを作成した。

【結果】対象者は 159 名、回収率 73%。全体の約 50%の人に腰痛があった。年齢別では、30 代以上の人には 50%以上腰痛があり、年齢を重ねるにつれて割合が高くなり、行動変容ステージモデルとの照合では、腰痛の有無に限らず約 30%以上の人が、何らかの予防をしている維持期であった。さらに、年代別での行動変容ステージモデルの比較では、10 ~ 20 代では腰痛があるにも関わらず、無関心期が多かった。

【考察】若い世代ほど腰痛予防に対しての関心が低い結果であったことから、腰痛予防には健康に自信のある年代から自分の将来の健康像を意識し、自分自身を大切にする事が重要になってくると考える。よって、自己の健康に対しての課題に気づき、早期の段階から予防に努められるように、無関心期に焦点をあてた、「気づき」を促す研修会や健康教育が求められるのではと考える。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-1-3 業務改善(1)病棟スタッフの腰痛に関する現状とその対策

刈谷豊田総合病院東分院 看護・介護部

あさだ さちこ

○浅田 幸子(看護師)

【はじめに】 当院は 230 床の医療型療養病床で、医療区分 2 & 3 が約 80%、ADL 区分3が約 90%であり、ケア全介助の患者が大半である。その病棟勤務スタッフの体力的負担は多く、腰痛が労務問題であった。腰痛対策として 7年前にラクラックス ®(体位変換用シーツ)を導入したが、その活用は定着していなかった。 【目的】 病棟スタッフの腰痛に関する要因を追求し、有効な腰痛予防対策を決定し定着させる。

【研究方法】①腰痛に関するアンケート調査実施(調査対象:病棟全スタッフ 134 名)②腰痛予防対策の策定・スタッフ教育実施③対策遵守状況調査

【結果】アンケート回収率 100%

「腰痛あり」63%、その腰痛の程度は(0 ~ 10 段階)で、5 段階以上が 73%であった。腰痛を感じる業務は、「ベッドから車椅子への移乗介助」77%、「体位変換」73%、「入浴介助」46%・「腰痛予防に対する関心あり」93%、

「腰痛予防に心掛けている」84%。この結果より、以下の腰痛予防対策(①ベッド~車椅子間の移乗時はラクラックス ® 使用、②入浴時の移乗にラクラックス ® 使用、③入浴介助中の途中小休止&ストレッチ、④おむつ交換時、介助者の腰の高さにベッド高さ調節)を決定し、スタッフ教育した。対策導入後 3 ヶ月の対策遵守率は、全項目約 90%以上であった。 【考察】 中等度以上の腰痛を感じているスタッフは、全体の半数を超え、各個人が腰痛対策で対処しており、腰痛の有無に関わらず腰痛に関する関心を大半が持っていることが分かった。腰痛を感じる業務の筆頭である移乗介助・入浴介助等の業務に対し実践可能な対策を講じ、ノンリフトの原則をスタッフ教育したことが、ラクラックス ® の使用率向上に効果があったと考える。また腰痛が組織で取り組む問題であることを、個々のスタッフが認識できたことが、対策の定着に繋がったと考える。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-1-4 業務改善(1)当施設での職員の腰痛実態調査

介護老人保健施設ケアホーム鷲敷

せがわ あつし

○瀬川 敦史(理学療法士),池北 崇一郎,中川 真理子,原 嘉宏,西川 操江,川上 茂子,井河 美智代,秋吉 博登

[はじめに]リハビリ職員として臨床の現場で腰痛を発症しながら勤務をしている職員をよく見かけ、腰痛の改善策はないかと考えた。今回、腰痛の実態をアンケートにて調査し、腰痛の実態を把握した上で必要な対策を検討した。

[方法]当施設の常勤職員 31 名(男性 10 名、女性 21 名)に対して、①腰痛について痛みの有無、程度、範囲、②業務内容について負担姿勢、動作、③意識調査について疼痛緩和の工夫、腰痛対策の要望について紙面上のアンケート ( 平成 27 年 2 月 25 日~ 3 月 11 日 ) を記載して頂いた。

[結果]アンケート対象者 31 名のうち、対象者の約 70%が現在 ・ 既往に腰痛があることが確認された。職種別では、看護・介護職の方が 80%、年代別では 20 代、30 代の 80%、50 代の 64%の方が腰痛経験者であった。中腰姿勢を 4 時間以上とられている方は 6 名であり、そのすべてが介護職員の有痛者であった。負担動作は入浴介助、オムツ交換、移乗動作介助が挙げられた。現在腰痛のある方の中で、腰痛緩和の工夫をされている方は 7 名であり、11 名すべての方が腰痛体操、動作方法の指導など腰痛対策の希望があった。

[考察]今回のアンケートでは常勤職員の約 70%が腰痛を経験しており、そのうち 11 名の方が現在腰痛を伴いながら勤務していた。また、勤務中で中腰姿勢など無理な姿勢 ・ 動作を強いられる傾向にあったことから、職業性腰痛が慢性化し、休職者が出ることによりマンパワー不足になることも考えられ、早急な予防策が必要であると考えた。また、アンケート結果より職員から腰痛体操、動作方法の指導に対する希望が強く聞かれており、介護動作、生活指導により腰痛の軽減、身体機能の改善を認めた文献 ( 武藤 2005) や腰部保護を考慮した介護動作が腰痛発症に関わるという文献 ( 小瀬ら 1999) があり、介護技術の向上が腰痛予防に繋がると考えた。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-1-5 業務改善(1)古武術介護を介助技術に導入することで腰痛による離職を低減できる

1 小倉第一病院 介護科,2 小倉第一病院 理事長院長

にし ちあき

○西 千晶(介護福祉士)1,中村 秀敏 2

【はじめに】平成 22 年に他学会で、「古武術介護」を介護業務に導入したことにより、腰痛や仕事に対しての不安が減ったと同時に業務へのモチベーションが上がったという調査結果を報告した。その後 8 年間継続し、その後の経過として介護職員の離職率を調査する事となった。古武術介護は、岡田慎一郎氏によって提唱され、日本に古くから伝わってきた武術の身体の使い方や考え方を取り入れた身体運用の改善と介護技術へ応用した技術である。

【方法】平成 20 年度より岡田慎一郎氏を当院に招聘し、古武術介護の研修を実施した。次第にカリキュラムを充実させ、現在では 4 月から 8 月までの 5 ヶ月間、月 90 分の講習を全職種の新人対象に年間 10 回実施している。また、新人が入職した際に当院から支給される iPad で講習の動画を撮影しながら自己評価やフィードバックができる環境を整備した。 【結果】8 年間で、計 20 名の正職員介護職が古武術介護の研修を受講した。その期間の退職者の内訳は、結婚退職が 1名・私的理由での退職が 4 名・腰痛による退職は 1 人という結果であった。 【考察】古武術介護を導入して以降、腰痛による離職は 1 名だけと少なかった。厚生労働省による『雇用動向調査』によると平成 25 年度の正職員の介護福祉士の離職率は 15.2%であった。また、離職の原因として 1 位が「職場の人間関係」(24.7%)、2 位が「法人の理念や運営のあり方」(23.3%)であった。古武術介護を導入したことで、腰痛が少なくなったこと以外にも、法人の運営の在り方が評価され、離職率の低減につながっているのではないかと考えられた。

【結語】古武術介護を介助技術に導入することで、介護福祉士の腰痛による離職を減少させることが期待される。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-1-6 業務改善(1)入浴の業務改善~職員負担の軽減を目指して~

江藤病院

つるわ まさのり

○鶴羽 正慎(介護福祉士),河野 和代,富永 安栄,川内 玲子,大和 孝子,由宇 教浩

[ はじめに ]当病棟は 58 床の医療療養病床で週 3 回の入浴を実施している。日々の業務の中で、入浴介助は職員の業務負担も大きく、ハード面の問題から他部署の患者様も数名受け入れをしている現状であった。その為、入浴チームが中心となって、負担軽減を目的に入浴業務を見直し、改善前後の業務を評価分析したので報告する。

[ 方法 ]1.入浴衣類の準備を入浴直前から事前に変更、入浴スケジュールや部署別の入浴介助に業務改善2.改善前後での入浴業務に関する職員アンケートを実施<カイ 2 乗検定を用いて比較検討>3.入浴業務時間の調査

[ 結果 ]①着替えの準備方法は、直前が良い 2 名・やや悪い 17 名から事前が良い 8 名・やや悪い1名。②業務の流れがスムーズか、はいが 3 名から 23 名。③時間の効率はどうか、良い 1 名から 11 名。やや悪い 16 名から 2 名④入浴スケジュールをどう思うか、やや良い 8 名から 18 名、やや悪い 17 名から 4 名。⑤入浴時のケアはできているか、まあまあできている 8 名から 18 名、やや不十分 12 名から 4 名。⑥業務に精神的負担を感じるか、感じる・やや感じる 25 名から 21 名。⑦入浴業務に不満はあるか、ある・ややある 20 名から 17 名。<①②③④⑤有意差あり>入浴業務時間の調査は、改善前は未実施であったが、職員調査では 2 ~ 2.5 時間という意見が多かった。改善後は平均 1 時間 55 分で明らかに時間短縮となった。

[ 考察 ]改善前後のアンケートでは有意差が見られたが、職員はもっとゆっくりケアしてあげたいと思っており、限られた時間で入浴業務をこなさなければならない難しさやもどかしさを感じていた。ハード・ソフト両面において厳しい意見もあったので、職員の意見を基にひとつひとつ改善し、職員誰もが負担やストレスなく働きやすい環境にしていく必要がある。今後も職員の負担軽減を目指し業務改善に努めていきたい。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-1-7 業務改善(1)入浴形態の移行に伴う委員会業務内容の見直しについて(入浴表偏)

大井苑 介護

おばら たくみ

○小原 卓巳(介護福祉士),池内 亮介

入浴形態の移行に伴う委員会業務内容の見直しについて社会福祉法人樹会 特別養護老人ホーム大井苑 小原卓巳 当苑はユニット型の特養別養護老人ホームで 1 ユニット 10 名、全 100 床の施設である。平成 28 年 6 月現在における大井苑で従事する介護職員は常勤 42 名、非常勤 21 名の合計 63 名。 ユニットケアの理念は “ 暮らしの継続 ” です。入浴も御利用者の生活に欠かせない要の場であり、現場スタッフが安全・安心・安楽なサポートを図ることにより快適な入浴シーンが得られると考えます。御利用者の意向・ADL に基づき適した浴室の稼動に至るはずが、委員会主導の入浴業務となると “ 業務をこなす場 ” といった矛盾した現実が見え隠れしていた。更に委員会単体で取り組むには多大なマンパワーを要し、理念・矛盾との葛藤の繰り返しであったことも確かである。昨年 1 月マンツーマン入浴をモデルとした入浴形態の移行に伴い、御利用者が使用する浴室割り当て表(以降入浴表と表記)の更新要領の見直しを図るにあたり、細部取り組みについて御報告させて頂きます。 <流れ>① 全ユニット主任を中心に御利用者の ADL・ニーズに沿った浴室を委員会に提示。② 提示された情報を基に委員会が全体の入浴表の作成。③ 運用状況下の中、御利用者の声を参考に現場レベルでのアセスメントによる都度の更新。④ 多様な更新要望に伴う、入浴表のフォーマット見直し。⑤ 入浴表の閲覧データ(見える化)をサーバーで一括管理。 <考察>① 身近な現場レベルでのアセスメントが適切な浴室の稼動につながっている。② ユニット単位での更新要望が委員会作業担当者の業務負担の軽減に繋がった。③ 1 年半を経過し委員会担当業務負担の軽減・効率化が得られている。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-2-1 業務改善(2)申し送り改善に向けて

北摂中央病院 看護部

ふじわら たかこ

○藤原 孝子(看護師),前田 祐子

【はじめに】申し送りとは「よりよい看護の継続を維持するために不可欠な業務である」と認識されている。しかし、口頭での申し送りは時間のロス・伝達のミス・受動的な姿勢などの欠点も指摘されている。当病棟では、平成25年度に申し送りの改善に取り組み、申し送り時間30分以内を目標としてきたが、実際にはマンネリ化してしまい、目標は達成していない状態であった。そこで、今回申し送りの見直しを行い、申し送り時間を短縮させることでベッドサイドケアの充実を試みたのでここに報告する。

【研究期間・方法】平成26年11月~12月 実態調査、病棟看護師アンケート調査平成27年 4月~12月 申し送り時間測定、業務の見直し、病棟看護師アンケート調査

【結果】1. 申し送り時間は平均31分から朝17分、夕23分へと短縮できた。2. ベッドサイドに早く訪床できるようになり、ケアに要する時間が増えた。3. 情報を口頭での「申し送り」から得る受動的な姿勢から、カルテや指示シートから主体的に情報を収集する姿勢がみられるようになった。4. 看護記録が以前に比べ、詳細に記載されるようになった。5. 指示シートにより、同一内容を全スタッフに伝達できるようになった。

【考察】申し送りは看護を継続するために必要な業務であるが、その内容や時間に無駄があれば、ベッドサイドケアやその他の業務に支障をきたす。今回、スタッフ全員が申し送りについて関心を高め、取り組むことで時間短縮という結果につながったと考える。今後の課題として、申し送りを短縮する上での更なる看護記録の充実、特記事項の活用などで正確な情報伝達ができるように努力することが重要であると考える。また、カンファレンスの充実を図り、質の高い看護ケアの提供ができるよう今後も取り組んでいきたい。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-2-2 業務改善(2)申し送り短縮に向けての取り組み~申し送り基準の導入と改善を試みて~

原病院 看護部

えりぐち りさ

○江利口 理沙(看護師),楠林 由唯

【はじめに】看護師間で行われている患者の情報の伝達手段である申し送りに関して、先行研究で様々な視点で行われており、すでに申し送り廃止に至っている病院もある。当病棟の申し送りでは、リーダー間の申し送りでも常に 30 分程の時間を要し、さらにリーダーがメンバー全員に口頭で伝達するため、1 日約 2 時間 50 分程度の時間をかけていることになる。前年度より固定チームナーシングを導入しているが、その後スタッフへのアンケート結果から、ベッドサイドケアが出来ていない、患者と関わる時間が確保できていないなどの意見があがった。申し送りを廃止すればベットサイドケアは充実出来るが、一方で伝達不足による業務支障をきたすことも考えられる。川島は「申し送りは臨場感ある学習の場である」と述べている。そこで今回短時間で有意義な申し送りが行える様に、申し送り基準を導入したので、その経過を報告する。【方法】申し送りの注意事項、項目を川島の「申し送りに必要な項目」より抜粋し、スタッフに伝達。平成 28 年 4 月 18 日から実施。病棟看護師 29 名を対象とした。メンバーからリーダーへの最小限の申し送りとする為に、日勤リーダーからメンバーへの申し送り、昼の各チームの申し送りを廃止とし、昼の申し送りにしていた時間を患者カンファレンス、環境整備等の時間とした。【結果・考察】アンケートは看護師経験年数別に実施。1 ~ 5 年目は 6 割、6~ 10 年目以上は 7 ~ 8 割短縮できたと回答。一方で、変わらないという回答は、1 ~ 5 年目は 3 割。6 ~ 10年目以上は 1 ~ 2 割という結果となった。基準を導入することで、申し送りについて見直す契機となった。経験年数に応じて、申し送りの技術に差がみられる為、今後さらに申し送り基準を浸透させ業務の効率化を図り、患者満足度の向上に努めていきたい。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-2-3 業務改善(2)申し送り時間短縮を目指して

宮地病院 看護科

やすだ みゆき

○安田 美幸(看護師),横井 恵美,福本 早希,坂口 涼花

【はじめに】当病棟は、日常的に行われている患者のケアや病状、治療などを申し送りという形でスタッフ間での情報共有を図っている。しかし、元々申し送りに対して明確な決まりがなく、近頃は夜勤から日勤への申し送りに 30分以上かかる光景が多く見られていた。そこで、申し送りを見直すことで申し送りの時間短縮が図れるのではないかと考え、取り組んだ結果を報告する。

【方法】現状把握するためチェックシートを作成し、勤務帯ごとの申し送りに要する時間と申し送り内容の事由件数、1 日あたりの平均申し送り時間を 3 週間調査した。また、日頃スタッフがどう思っているのか、アンケート調査も行った。

【対策】原因追究した結果 4 つの要因が上がり、それぞれに対して①申し送りガイドラインを作成する。②お知らせ別ファイルを作成する。③申し送り内容を決める。④申し送り時間を意識する。を対策立案した。

【結果】対策実施後の夜勤から日勤への 1 日あたりの平均申し送り時間減少率は 28%で、全体で 8.3 分減少する事が出来た。また、時間を毎日記入するという作業がスタッフの早め早めに行動するという意識、残業時間を減らそうという意識に結びつき、結果、1 日あたりの平均残業時間が日勤 21%、夜勤 64%減少と思わぬ効果も得られた。

【考察】口頭による申し送りは、交代制勤務の情報の伝達、収集、手段として勤務引継ぎ時には欠かせない業務である。今回申し送り時間が長いと感じながらも、病棟における明確化された決まりがなかったため、内容、時間共にバラつきがあった。ガイドラインを作成することで、不要な事項は省略され、必要な項目のみが申し送られる事となり、結果申し送り時間を短縮する事が出来た。口頭での申し送りに頼らず、自己での情報収集やカルテへの記載、内容の充実が今後の課題となる。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-2-4 業務改善(2)QC活動による看護師の超過勤務を減らす取り組み

1 静岡徳洲会病院 看護部,2 静岡徳洲会病院 内科

いとう まゆみ

○伊藤 真弓(看護師)1,山之上 弘樹 2,堀 洋子 1,内田 朱美 1,関 呼早子 1,奥村 梓 1,橋本 恭男 1,西手 香織 1

<はじめに> 当院は静岡県中部にある急性期、療養、障害者病棟をもつケアミックス型の病院である。療養病棟においての超過勤務がこの数年の課題であり、これまで様々な試みを行ってきたが、超過勤務の減少には結びつかなかった。今回病棟のQC活動として、日頃の業務を振り返り、申し送り手順の簡素化等の業務改善により超過勤務の減少を達成できたのでその経過につき報告する。<経過> 超過勤務対策として申し送り前の情報収集の徹底を図るとともに、申し送りの内容についても状態変化のあった患者のみと簡素化した。申し送りの簡素化を補うためにスタッフステーションに掲示するホワイトボードにスタッフが共通して知るべき事項を記載し確認すること、及び申し送りノートを活用し重要事項の認識もれを防ぐこととした。申し送り時にはタイマーをセットし、5 分で完了できることを意識するようにした。また、バイタルサインを記載するフローシートの内容を絞り込み必要事項のみとした。更に検温ワゴンに時計を設置し各自時間管理を心掛けるようにした。また、お互いの声を掛け合い業務の助け合いを意識するようにした。評価方法としてアンケート調査を行った。<結果> 残業時間は取り組み開始月に比べ約 30%短縮した。アンケート結果では、お互いに協力しあうことの必要性、時間を有効に使うよう意識できたなどの意識の変化を得ることができた。<考察> 超過勤務は労働衛生上及び病院経営上も改善しなければならない課題である。今回申し送り方法の簡素化とそれに伴う業務改善により超過勤務の減少を行うことができた。QC活動として、スタッフが中心となる取り組みは、全体で取り組む姿勢や主体性を発揮しやすくなり、結果スタッフの意識改革、自信につながり、効果的な業務改善につなげることができた。今後も病棟運営の改善を重ねつつ、さらなる看護の質向上を図りたい。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-2-5 業務改善(2)気づき~病棟の財産からケアの向上をめざして~

陵北病院 看護科

おかもと はるえ

○岡元 晴恵(看護師),北野 愛,田中 強,村上 美幸,横濱 かほり,田中 宏樹

Ⅰ 緒言 介護療養型病棟で働く看護師・介護士は、患者の病状変化や生活行動について常に気を配って仕事をしている。しかし、多忙な業務の為、その気づきを伝え忘れ、その情報が充分共有されていないことも多い。そこで「気づき用紙」を作成することによって、情報共有が、迅速かつ統一して行うことができるようになったので報告する。Ⅱ 方法・調査期間  H 27 年 4 月~ 10 月まで・研究対象 病棟看護師 10 名 介護士 14 名・研究方法1) 病棟カウンターに気づき用紙とBOXを設置し、記入してBOXに入れる。2) 病棟内容と患者情報に分けてまとめる。3) 改善策・対応策をたてる。4) カンファレンスを行う。5) 決定した内容をファイルにして周知する。Ⅲ 研究結果研究期間中に出された気づき用紙は、251 枚で病棟内容 155 枚、患者情報 96 枚であった。職種内訳は、看護師 128 枚、介護士 123 枚の記入があった。カンファレンスは 13 回実施した。Ⅶ考察今回の取り組みにおいて、気づき用紙は 251 枚と多く記入された。具体的に気づき用紙に記載された内容では、看護師から、「フローシートの記載漏れが多い。」という問題に対して、看護師と介護士の記入時間をずらすという業務改善が行えた。また、介護士から、「Aさんが錠剤の飲み込みが悪くなってきた。」との情報に、看護師が観察、医師に報告して粉砕にすることで早期に対応でき、患者が安全に無理なく内服ができるようになった。など、気づき 1 つ 1 つに対してカンファレンスを行うことでスタッフそれぞれの価値観を理解し、共有することができた。また、自分の気づきがカンファレンスにて改善につながると仕事へのやりがいや自信につながったと考える。カンファレンスで話し合った内容がケアの統一を図ることで質の向上につながった。Ⅴ 結語このような細かい・小さな気づきも発見が病棟の業務改善や患者環境・生活にとって大きな財産になると考えられた。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-2-6 業務改善(2)ケアの質向上をめざして~ケア表の改善を通したチーム医療での情報共有の取り組み~

呉記念病院

ふるえ ゆうこ

○古江 優子(看護師),岡本 智美,加藤 真由美,斉藤 志織,中石 笑子,丸本 美希

【はじめに】当病棟は、50床の医療療養病床である。患者層は、医療区分2~3(中心静脈栄養、酸素吸入、気管切開、褥瘡)が98%、ADL 区分2~3が100%で、ケアを全介助で行っている。当病棟では、(チームごとに分けた)日々のケアを記入したケア表を元に、業務を行っている。しかし、細かな注意点や患者情報が不十分で、活用しきれていない点があった。今回、ケアの質向上に向けて、患者情報を職員間で共有するために、ケア表の改善に取り組んだので報告する。

【研究方法】 1 ケア表に関する病棟職員へのアンケート調査(記述式と選択式、看護職21名・介護職16名)2 アンケートにもとづいたケア表の改善と受け持ちによるケア表の書き換え・実施3 ケア表改善後のアンケート調査(記述式と選択式)

【結果】   1 アンケートから、看護職・介護職ともにケア表の使用頻度が高いことと、具体的なケア表の改善点を見つけ出すことができた。 2 改善したケア表を使用した結果、患者の情報共有がしやすくなったと感じた職員が、看護職93%、介護職100%であった。 3 改善したケア表に患者情報を書き換える際に、受け持ち看護職・介護職で行い、短期間で行うことができた。 4 ケア表改善により、ケア内容を見直すことができたと思った職員が、看護職80%、介護職92%であった。

【考察】  当病棟における看護職と介護職の協働の上で、ケア表は重要な情報共有手段である。アンケート調査を行い、以前使用していたケア表は不十分であり、患者に満足したケアが提供できていないことがわかった。今回、ケア表の改善に取り組んだことで細かな患者情報を職員間で共有することができ、ケアの質向上につながったと考える。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-3-1 業務改善(3)入院支援システムの充実を試みて ~入院支援看護師の配置と効果~

丸山病院 看護部 外来

つかもと ゆりこ

○塚本 百合子(看護師),山口 あゆみ,荒巻 菊代

はじめに当院は総べッド数 205 床を有する地域密着型の慢性期病院である。周辺の高齢化率は 26.4%と年々増加傾向にあり、近隣の急性期病院からの紹介率は 9 割以上となっている。入退院数は月平均 40 件程であるが、入院当日に聴取するデータベースやオリエンテーション等は病棟看護師が実施している。しかし、入院している患者層は医療区分Ⅱ~Ⅲが 80%以上、日常生活自立度が B ~ C クラスと介護度が非常に高く、通常業務の中での入院処理や患者対応は十分とは言えない。そこで、入院支援看護師を外来に配置しシステムの充実による業務改善を試みたので、その効果を報告する。方法)研究期間:平成 28 年 5 月 17 日~平成 28 年 6 月 16 日研究対象:入院患者・家族、入院病棟の看護師 26名調査方法:アンケート調査・分析入院支援看護師の選定要件:継続看護の重要性を認識した看護師経験 5 年以上である事:師長クラス以上の推薦が出来る看護師である事準備)入院支援システム充実の為の基準・手順の整理入院支援担当看護師の実務研修と評価結果病棟看護師が入院全業務に費やす時間は平均3時間、最も時間を要すると全員が答えた業務は書類作成であった。看護計画立案・内服薬のセッティング等は病棟での継続看護を考慮し病棟業務として残したが、その他の業務は全て入院支援看護師へ移行できた。その結果、病棟看護師が入院業務に関わる時間は30分~1時間未満と大幅に削減できている。また、入院支援看護師のデータベース聴取で要した時間は30分以内であり、同時に、挨拶・言葉使い・身だしなみ・入院時説明等を含めた接遇に関してもとても良い、良いを含めるとどの項目も 100%であった。考察・まとめ)①入院支援看護師の配置は、病棟看護師の業務負担を軽減する②入院支援看護師の配置は、患者・家族の満足度が上がり信頼関係の構築に繋がる ③入院支援看護師の配置は、MSW を中心とした他職種連携にも有効である

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-3-2 業務改善(3)入院時オリエンテーションの見直し~業務のスリム化をめざして~

尾洲病院

すずき ゆきえ

○鈴木 由恵(看護師),川勝 知美

【はじめに】当院は医療療養型95床、回復期リハビリ病棟36床からなり、1ヶ月平均25名の入院を受け入れている。入院時は現病歴や症状の聞き取り、観察や処置などに加え、書類や施設設備等の説明を高齢な患者家族に対し当日一度に行なっているため時間がかかっている。そこで、入院前から患者および家族に関わるMSW から、事前に必要書類の説明を行ってもらう事や入院時の必要物品の説明の見直しを行ったことで、オリエンテーションにかかる業務がスリム化できたので報告する。

【方法】① MSW より事前に設備・環境等について聞き取りできるものを洗い出し依頼する。     ②入院生活に必要な物品について口頭では説明しづらい物については、写真付きの用紙を作成      し、それを使用して説明を行う。 ③入院時オリエンテーションに要する時間を取り組みの前後で調査する。

【結果】①入院申し込みの時点で MSW より必要書類の内容説明を行なってもらったことで、入院時に 記入済の状態で持参してくるため、説明が重複せず確認のみで済むようになった。 ②必要物品の説明用紙は視覚に訴えるため説明が容易になり、伝わり易くなった。 ③入院時オリエンテーションに要する時間が平均約 10 ~ 15 分短縮できた。

【終わりに】オリエンテーションは、他職種でもできる業務内容は依頼し、説明しづらく相手に理解しがたく時間がかかるものについては視覚で訴えることで理解しやすくなり、業務のスリム化を図ることができた。今後も、患者・家族およびスタッフの双方に効果的な取り組みについて見直しを行っていきたい。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-3-3 業務改善(3)入院時スクリーニングシートを導入して ~ 看護師の意識・行動変化 ~

苫小牧東病院 看護部 東 3 病棟

なかま かおり

○中摩 香織(看護師),高橋 奈々子,糸金 美加子,佐藤 早苗

はじめに 現在日本では急速に高齢化が進み、核家族化、独居高齢者、高齢者のみの世帯が増加し、家族内における介護力低下が著しい。さらに 「入院期間が短くなっている現在、必要な医療を効果的に提供し、同時に生活の場に帰すことを医療者側も早期から意識し、そのうえで適切な医療を行うことが重要」 ₁) と宇都宮は述べている。 このような社会背景の中、当病棟患者の9割が高齢者で、独居や老々介護、医療処置が必要な患者、自立度や認知度の低下など退院困難事例が多い。また、当病棟は退院調整システムが確立していないため、退院間近に慌てて調整することが多くあった。 退院調整に関するアンケートを看護師に行うと、MSW中心で行うという意見や、医師の許可が出てから調整開始という意見が多かった。そこで退院困難事例を早期発見・介入するため、当病棟で入院時スクリーニングシートを導入した。その結果、看護師の意識行動変化に繋がったためここに報告する。 方法 入院時スクリーニングシート作成・導入 導入後の看護師16人を対象にアンケート実施し、意識・行動変化を抽出した。 考察 スクリーニングシート導入後のアンケート結果で、退院調整はいつから必要かの問いに、入院時からという回答が半数以上に増えているが、なかには医師の許可が出てから、病状が安定してからという意見もあった。また、退院調整はMSW中心で行うという回答が半数近くあり、看護師中心で行う意識がまだ少ないと考えられる。 しかし、スクリーニングシートを導入したことで、入院時から退院後の生活を意識し、情報収集を細かく行い、患者家族と時間を設けて思いを聞くようになったなど意識や行動の変化があった。これらのことから、受持ち制度やカンファレンス導入に至り、看護師間や他職種との意見交換が増え早期から退院調整を行うようになった。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-3-4 業務改善(3)認知症高齢者の退院時情報シート作成の試み - 入院中のケア継続ができるために -

協温泉病院 看護部 5 階南

こたに まさみ

○小谷 雅美(看護師),若本 千加子,紺田 洋子,浦 明日香

【はじめに】当病棟は療養病院の認知症病棟であり、患者の退院先の約 50%は介護施設である。退院後も、介護施設での生活においてケアの継続が出来る退院時情報シートを作成・試用した。施設へのインタビューを行い情報シートの有効性を検証した。

【研究方法】対象:退院施設の看護師 52 名・介護福祉士 75 名、退院患者 6 名方法:①施設に退院時情報シートについての質問紙を送付し調査   ②質問紙の結果に基づき退院時情報シートを作成   ③退院患者 6 名に情報シートを試用   ④退院 2 か月後に施設職員に訪問インタビュー

【結果】質問紙の回収率 65%であった。「出身地」と「以前の職業」の情報は老健と特養で差が見られたが、他の項目はほとんど差が無かった。中でも「元々の性格」や「趣味」「食習慣」「日々の習慣」「話をしたり接したりするうえでのコツ」等は 70%以上で、必要な情報であるとされた。調査結果を参考に情報シートを作成し、退院患者 6 名に試用した。退院 2 ヵ月後に退院先施設の職員にインタビューを行った。本人から情報がとりにくい中で「ケアプランの作成に役立っている」と全施設答えた。短所は当院既定の退院サマリーと退院時情報シートの 2 枚になることを好まないことや、また情報の羅列が見にくいことであった。不足情報としては、具体的な行動や家族の情報、BPSD に対す対応やヒントが挙げられた。

【考察】「元々の性格」や「趣味」「食習慣」「日々の習慣」「話をしたりするうえでのコツ」等の情報はケア提供者に必要な情報であるにもかかわらず、実際に認知症の人から聞き出すことが困難と感じている。訪問インタビューにおいても、患者の性格や趣味等をケア計画に利用できていると答えており、認知症の人の情報を共有する事が重要であると考えられる。医療の場から生活の場へ環境が変化していく中で認知症の人に安定したケアを行なう為に、情報シートは有効であったと評価されていた。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-3-5 業務改善(3)ケアシート導入について

草津こまくさ病院

やまもと まい

○山本 舞(介護福祉士),中浜 光江,佐藤 ミカ

【はじめに】 当院では長期入院をしている患者様に対し、ケアの統一化を図るために摂食嚥下ケアシートを作成・導入した。導入後、業務の多忙さからケアシートへの記入職員が限られる等の問題が出てきたが、シートの簡略化や細かな記入ルールを作る事で記入者を増やす事が出来た。しかしケアシートの活用や、未だにシートへ関心を持たない職員の意識改革が問題として挙げられた。 職員の意識改革も含めて、簡略化したケアシートをどのように活用する事となったかを報告する。

【方法】1. 前回の結果から課題の検討2. 日常業務から見つけた、新たな活用方法のルール作成3. 平成 27 年 2 月各病棟にてケアシートの新ルール使用開始4. 開始後に判明した問題点の抽出5. 問題解決にあたって

【結果・考察】 これまでケアシートの記入者は看護補助者が主となっており、看護師が関与する事が余り無く、また月に一度程度の評価を行う事しか出来ていなかった。しかし新たな活用方法として①食事の変更後の経過記録を付箋などにメモを残す②記録期間は 3 日間とする③期間が過ぎたら付箋の意見を担当者が総括してシートに記録するというルールを決めたところ看護師・看護補助者共にシートへ関与するようになった。開始後に判明したルールの問題点については、その都度使いやすいように改変している。 1 日でも早くケアシートを完成させ全スタッフが適切な活用ができ、患者様へのより良いケアへ繋げたい。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-3-6 業務改善(3)気管切開患者の訴えを理解しよう -その声なき声に耳を傾けてー

嶺井リハビリ病院 看護部

ちな なおき

○知名 直樹(介護福祉士),津波 佳樹,宮城 喜朋

【はじめに】 当病棟は気管切開患者が 9 割を占め、ほとんどが意思疎通困難であるが、中にはツール等を使用してコミュニケーションが取れる患者もいる。今回、夜間のナースコールが頻繁の患者の事例を通してコミュニケーションの取り方を工夫、実施したのでここに報告する。

【目的】 コミュニケーションツールの文字盤を見直し、スムーズなコミュニケーションを図る事で患者の夜間不眠の軽減を目指す。

【研究方法】1. 研究事例 A 氏男性(77 歳) 頸髄損傷後、気管切開。 言語的コミュニケーションが難しく、特に夜間のコールが多い。2. 方法 夜間訴えの多い内容に即した文字盤を修正後、使用した。その前後において夜間のナースコール回数及び睡眠時間の変化を比較検討した。

【結果】 夜間の訴え内容を記録した結果、28 種類の訴えがあった。以前の文字盤は文字が小さく、言葉の種類が少ない為、多様な訴えのある A 氏には合っていないと判断し、その内容に即した文字盤を作成。改良前はコール数186回で訴えに応じられた数は124回(67%)であったのに対し、改良後はコール数100回に対し91回(91%)訴えに応じられるようになった。夜間の睡眠時間については、文字盤改良前の平均 3.4 時間から改良後に平均 4.9時間となった。

【考察】 訴えに応じられるように文字盤を改良した事で、夜間のコール回数の減少や睡眠時間の増加という変化から、コミュニケーションが図られたと考えられる。米山氏は「知りたいと思うことがコミュニケーションの第一歩であり、コミュニケーションをとるということは簡単そうでなかなか難しいものである」と記している。 患者の声なき声に耳を傾けて、理解しようと努力する姿勢を持つことが我々医療従事者の職務であると再認識した。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-3-7 業務改善(3)平成27年度 ICT 活動報告書 ~介護部が一年を通して取り組んできたこと~

南高井病院 感染対策委員会

しげの ひろし

○重野 大(介護福祉士)

【はじめに】 以前より、病棟のスタッフから「患者のおやつの管理が大変」という声や「チェック表はあるが扱い辛い」という意見があった。 また、月に一回委員が行っている病棟間パトロールの際、患者層や状況がまったく分からない他病棟において、おやつの管理がきちんと出来ているかどうか判断し難いという意見もあがっており、チェック表を使いやすく、そしておやつの管理がしやすくなるようにおやつ・冷蔵庫のチェック表の改善に取り組んだ。

【活動内容】 まず、各委員が自分の病棟の預かりおやつ、冷蔵庫の管理が行えているか、既存のチェック表を有効に使えているかを調べた。 それらを踏まえて、アンケートを作成。内容は、①今使っているチェック表をきちんと使用しているか、②今のチェック表は使いやすいと思うか、③増やして欲しい項目はあるか、というものである。 アンケート結果をもとに、既存のチェック表をもっと見やすく、またチェックをしやすいよう工夫した。チェック表についてのマニュアルも作成し、保存期間等のルールを明確な基準で定め使用者であるスタッフがより扱いやすくなるようにした。

【結果】 病棟スタッフからの意見を取り入れることによって、使用する時に迷うことなく記入でき、活用できるチェック表となった。また、パトロールの際にかかる時間を短縮することができた。

【まとめ】使用する側の視点と点検する側の視点から、チェック表を見直すことで、病棟間での誤差がなくなり、感染を予防する視点において、有効なものになったのではないだろうか。今後もスタッフの意見を取り入れながら、より良いチェック表にしていきたいと思う。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-4-1 業務改善(4)患者との良好な関係作りに向けて

原病院 リハビリテーション部

くさの けんじ

○草野 謙二(理学療法士),中村 圭太

当院では年に一度、患者満足度調査を行っている。現在の外来・入院患者の実態や当院への評価・満足度を把握し、その問題点の改善や満足度の向上に役立てる事を調査目的としている。今回、過去の調査結果から当院への要望が明確になり、対応策を検討した為、ここに報告する。 調査回数は入院患者に平成 24 年から 27 年までの 4 回、外来患者に平成 26 年と 27 年の 2 回。調査方法は調査用紙を患者もしくは家族に配布し、設問に対して満足・やや満足・普通・やや不満・不満の 5 段階評価と、自由記載欄にて評価してもらった。無記名式で患者もしくは家族が記入し、回収箱に直接投函してもらった。調査項目は人的サービス、施設・機能、時間管理、情報提供、全体的満足度の 5 項目とし、それぞれに小項目を設けた。調査を行う際には、調査目的と趣旨の説明を十分に行い、知り得た情報の漏洩予防に努めることと、本目的以外には使用しないことを伝え、納得頂いた上で調査を行っている。 入院患者に関して、全項目の評価平均は、「満足・やや満足」が 77.3%、「普通」が 22%、「不満・やや不満」が 0.7%だった。満足率の最も低かった項目は時間管理で、67.9%だった。外来患者に関して、「満足・やや満足」は 75.9%、「普通」は 22.1%、「不満・やや不満」は 2%だった。入院患者同様に、時間管理が最も低く、65.9%だった。挙げられた意見として、入院中の消灯時間や食事開始時間、外来診察・会計の待ち時間に関する改善要望が目立っていた。病院の規則や診察の込み具合に左右され、患者主導でないことが満足度を低下させたと要因と考える。「病院の規則だから」「混んでいるから・緊急だから」などの説明では患者主導とはならない為、納得されない事は多い。納得してもらう為の説明ではなく、理解を得る為の説明を心掛けることを職員に指導している。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-4-2 業務改善(4)患者様・家族様満足度調査の結果から ~リハビリに対する意見~

サンバリー高岡病院 リハビリテーション科

くりた こうじ

○栗田 浩次(理学療法士)

【はじめに】当院では接遇委員会の活動の一環として、毎年アンケートにて患者様・家族様満足度調査を行っている。今回、リハビリに対する意見があったため、その内容について検討した。

【方法】 平成 27 年 8 月 3 日~ 9 月 30 日にわたりアンケートを行った。アンケートの内容は、 全 6 項目に対する四択方式と自由記載である。

【アンケートの意見】・「寝たきりなのですがリハビリは毎日されているのでしょうか。何分くらいですか?」 ・「リハビリの月の請求額が約 1 万円ですが、それに合ったリハビリはされているのでしょうか?」 ・「毎月のリハビリ料金が 9000 ~ 13000 円と変化するのは、値上げしているのでしょうか?」【検討内容】 ・リハビリを実施するにあたりリハビリ実施計画書の内容を医師は、患者本人より家族に説明することが多い。しかし、家族はリハビリの現場を見ることが少ないため、リハビリの内容を理解することができない。・全入院患者にリハビリ処方が出るため、一人の患者に対して週 2 ~ 3 回リハビリを実施している。医療依存度の高い患者が多く、改善より維持が目的となり変化が見えにくい。 ・リハビリ点数・時間は厚生労働省で定められているが、患者の状態悪化、スタッフの休日取得数、毎月の祝祭日数によりリハビリ回数が変化する。それに伴いリハビリ請求金額が変動する。

【終わりに】ニーズが多様化する中で、患者・家族が病院に求めているものは安心・安全である。アンケートで得られる意見は氷山の一角であるが、その意見に耳を傾けていくことがよりよい病院づくりに必要なことだと思われる。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-4-3 業務改善(4)慢性期病院における患者と家族への満足度調査の実施

セントラル病院 看護部

はまもと みほ

○濱本 美穂(事務職),風間 宏幸,豊田 平介

【はじめに】日頃の医療サービスやケアに対し、フィードバックを頂き改善していくことは重要である。今回、患者および家族にアンケート調査を実施し、当院のサービスに対する満足度と改善すべき点を整理するための分析を行い、検討を行ったので報告する。【対象 ・ 方法】平成 28 年 1 月時点での入院患者 118 名にアンケート用紙による調査を実施した。実施に際してはアンケートの主旨を説明し,同意を得た。また本人より聴取困難な患者は家族による回答を得た。アンケートは 「満足」 ・ 「やや満足」 ・ 「普通」 ・ 「やや不満」 ・ 「不満」 の 5段階で評価した。評価の項目を環境整備の 3 項目、保清、排泄の 2 項目、食事介助、レク活動、体位交換、職員の対応態度の 8 項目の合計 17 項目とした。分析方法としては患者満足度分析(以下 PS 分析)として「満足度」、各評価項目の「重要度」、PS グラフ分析として満足度偏差値 ・ 重要度偏差値 ・ 修正指数を算出し「改善度」を求めた。【結果】調査における回収率は 38%、総合満足度は平均 4.27 で 66.1% あった。満足度の上位に位置したのは環境整備(室内の清掃)、職員の対応態度(言葉遣い、身だしなみ)であった。重要度の上位では職員の対応態度の依頼への対応、言葉遣い、身だしなみであった。改善度の上位は食事介助、環境整備(室内の清掃、室内の臭気)であった。【考察】今回 PS 分析を行った結果、当院における患者満足度は概ね満足が得られていると考える。満足度の上位に患者の周囲を清潔に保つことや職員の対応態度が挙げられたことは普段の対応態度の表れが評価されたと思われる。また重要度でも職員の対応態度が挙げられたことで関心の高さが分かる。改善点として食事介助、環境整備(室内の清掃、室内の臭気)については常に維持向上を求められていることが明確となった。より一層の満足度の向上に努め,限界のない質的な向上を求めていきたいと考える。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-4-4 業務改善(4)なぜ苦情は発生するのか

1 永井病院 地域連携室,2 永井病院 看護部,3 永井病院 診療情報管理室,4 永井病院 院長

いちかわ よしこ

○市川 賀子(社会福祉士)1,岡田 萌 1,島田 真歩 1,井上 純子 1,山田 理絵 2,小松 聖偏 3,市川 徳和 4

【はじめに】 当院は、医療療養 36 床 ( 稼働率 101%)、介護療養 56 床 ( 稼働率 94%) である。近年、療養病棟の機能の明確化が問われている。地域から選ばれる病院になるために信頼関係の構築が重要である。当院に対する苦情を抽出し、発生理由を分析したので報告する。

【方法】 苦情を受けた部署が苦情報告書 ( 以下「報告書」) を作成し管理部へ提出する。なお患者相談窓口は地域連携室が担当している。H25 年度~ H27 年度の「報告書」「患者サポートカンファレンス ( 以下「サポカン」)」での苦情を抽出。「受けた部署」「発信者」「対象部署」「苦情内容」で分類した。苦情内容は、「対応」「質」「システム」「その他」である。

【結果】 全 189 件 ( 報告書 145 件 / サポカン 44 件 )。H25 年度 66 件 (59/7)、H26 年度 81 件 (53/28)、H27 年度 42 件 (33/9)。受けた部署は、地域連携室 66 件、居宅介護支援 36 件等。発信者は、患者 47 件、家族 89 件等。対象部署は、病棟 75 件 (54/21)、訪問介護 23 件 (18/5)、通所リハビリ 14 件 (14/0) 等。苦情内容は、対応 87 件 (71/16)、質68 件 (49/19)、システム 28 件 (19/9) 等。

【考察】 受けた部署は、患者相談を行う部署が 53%。窓口としての役割を持っていることがわかる。発信者は家族47%。対象部署は病棟が最も多い。入院・訪問等、継続して関わる部署と患者・家族間での苦情が多い。苦情内容は対応が 46%。慣れた関係の中で発生することが多いと考える。フィードバックは管理部から対象者または関係部署へ行う。今後の取り組みでは、全ての職員が内容を把握し、次の苦情を防ぐことを検討する。

【まとめ】 患者・家族等と関わる中で、苦情の発生は現実である。継続的資質向上の取り組みは当然だが、二次的な苦情を予防するためにも初期対応が重要であり、ニーズに答えることが大切である。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-4-5 業務改善(4)患者満足度調査

1 ちゅうざん病院 医事課,2 ちゅうざん病院 事務部

やまさき ちひろ

○山崎 千尋(事務職)1,與古田 梨奈 1,柳瀬 香 1,仲栄真 勝 2

【目的】H27 年 12 月より全病棟を回復期リハビリテーション病棟 1 とした。H28 年度の診療報酬改定が行われた上で、チーム医療の柱となる職員個々の知識向上だけでなく、患者・家族が安心して入院生活を送って頂けるよう毎年、患者満足度調査を実施している。今回、前年度との比較結果と併せ報告する。

【方法】 ・調査期間:H28 年 6 月 1 日~ 17 日の 17 日間 ・配布方法:病室への配布 ・回収方法:受付、各病棟詰所へ回収箱を設置 ・調査内容:①環境・設備 ②食事 ③職員の対応回答は五択式のものにし、最後に要望を記入できるような記入欄を付け加えた。

【結果】 回収率は H27 年 46.0%。H28 年 34.1%、調査内容については「とても良い」「まあまあ良い」を選択した割合が①は 89.4(87.0)%、② 69.0(75.5)% となった。③は全体では 85.5(80.7)%、リハビリ職員は 91.6(90.1)% で調査開始時から 9 割以上となっている。看護部は 89.1(87.2)%、事務職員は 84.6(79.8)%、医師は 86.5

(78.5)%、コメディカルが 72.0(64.0)% となった。※ () 内は前年度

【考察】環境設備に関しては特に不満は見られなかったが、病棟毎に見ると設備の充実、備品管理で意見もあり、確認と整備の頻度を更に増やすことが必要だということがわかった。食事に関しては味付け、提供時間がルーズなどの意見があり、評価が約 7% 下がった。味付けに不満を感じたのは 80% が女性であり、80 代の割合が半数であった。調理に対する価値観が異なったことによる結果と推察される。職員の対応に関しては、前年度から約 5% と改善が認められた。転院理由に「評判の良さ」という意見が初めてあり、実際に急性期入院中に聞いて希望される方も徐々に増えてきている。今後も患者・家族、地域の中で選ばれる病院になるよう更に一丸となって取り組んでいきたい。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-4-6 業務改善(4)プロジェクトT ~患者様の気持ちに寄り添い 1 人 1 人のニーズを実現する~

呉記念病院

つつもと りさ

○筒本 理沙(介護福祉士),関戸 智晴,北村 知子,髙橋 理絵,阿式 美帆,横元 房代,荒谷 智恵

(はじめに)介護病棟ができ、13年経過と共にケア内容も向上してきたが、時に流れ作業になりがちで一人一人の患者様に適した個別ケアができていないのではと感じていた。病棟スタッフに問題提議し、「患者様の気持ちに寄り添い、1人1人のニーズを実現する」を目標に、チーム制ケアへの業務 改善を行った結果をここに報告する。

(方法)プロジェクトチームを立ち上げ、機能別ケアでの問題点のアンケート調査を行い、看護師・介護士の業務の流れの見直しを行った。その問題点をホワイトボードに貼り出し、全員で問題点を共有し把握した。毎週木曜日に、この問題点をピックアップしカンファレンスを開催し、実行し何度も評価を繰り返した。

(結果・考察)一部流れ作業的に時間で動きがちだったものが、業務を個別にする事で余裕ができた。それにより、患者様のレクリエーションへの参加の機会も増えた。チーム制ケアに業務改善後、アンケート調査を行いその結果 病棟全員の回答を得た。(看護師 19名 介護士 15名 )ほぼ全員が、チーム制ケアを行うことにより看護師・介護士の連携が密になり、よりコミュニケーションが図れ、情報が共有しやすく、オムツ交換や処置等の業務が改善されたとの返答あった。反面、改善しなければならない課題が残っている事が分かった。

(終わりに)介護病棟では平成30年に廃止が決定しており、残りの2年を平成12年から始まった介護療養型病棟の集大成として、患者様 1 人 1 人がその人らしく、穏やかに充実した日々を過ごせるよう援助していきたい。そして人生の大先輩であり、支えてかなくてはならない存在である事を今以上に意識し、「患者様の気持ちに寄り添い、1人1人のニーズを実現する」を目標に、今後も病棟一丸となり邁進していきたい。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-5-1 業務改善(5)定時の業務終了へ向けた取り組み ~業務分担と改善による時間短縮と、意識の変化~

原病院 看護科

こんどう ゆうき

○近藤 優季(看護師),小倉 淑子,阿比留 恵美

<はじめに> 当病棟は医療療養在宅復帰強化型病棟で 49 床を有し(平成 28 年 5 月 31 日現在)、透析患者 34 名、その他の疾患患者 15 名である。 当病棟では透析搬入や検査による患者移動介助、ナースコール、入退院等の対応に追われ、事務処理や看護記録、受け持ち患者のカルテ管理が勤務時間外になることが度々あった。 そこで、時間外業務をなくし、全員で定時退勤できるよう業務改善を行ったので、その取り組みを報告する。

<研究期間> 平成 26 年 4 月~平成 28 年 3 月

<研究方法>1.カンファレンスによる業務改善点の抽出2.業務改善後の振り返り、更なる改善点の抽出3.病棟スタッフに対するアンケート実施4.タイムカード、残業申請書をもとに時間外勤務実態調査

<結果> 病棟スタッフへのアンケートの結果、平成 26 年度は、全員が定時に帰宅できなかったと答えた。その原因として最も多かったのが、ナースコール対応や入浴介助に人手をとられ、①看護記録や処置が終わらなかった為②受け持ち患者のカルテ整理を業務時間内に出来なかった為であり、残業時間は 1 人あたり平均1~ 2 時間(1日)であった。対策として、リーダーの人数を 3 人から 4 人へ増やし、各々の業務分担を減らし、おむつ交換時に軟膏塗布や湿布などの処置を同時に行う等の業務改善により、平成 27 年度は平均 10 ~ 20 分と、約 80%の残業時間削減となり、定時に退勤できるようになったと答えるスタッフが増加した。

<まとめ> 定時に退勤できないのが当たり前になっていた所から、業務改善を進めることによって、時間内に業務を終了させ、全員で定時に帰宅しようという意識が生まれた。又、改善点が見えてくるという好循環も生まれてきた。無駄を省き、時間を短縮することにより、定時帰宅は勿論、患者のケアに時間を割く余裕が生まれることに繋がった。今後も更に現状分析を行いながら業務改善を継続していきたい。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-5-2 業務改善(5)口腔ケアを見直し、夜間の業務改善につながった取り組み

霞ヶ関南病院

ならはら みなこ

○奈良原 美邦子(看護師),小栁 悦子,仲村 園美,中村 由美

はじめに当病棟は 37 床の障害者施設等一般病棟で、難病や重度の障害を抱えながら、生活を送っている方が多い。チームには歯科衛生士が配属され、スタッフと共に口腔ケアに力を入れている。日中は充実した口腔ケアが行われている一方で、夜間は限られた人数で対応するため、スタッフの負担感は大きい。特に、早朝はコール対応しながら看護師 2 名が非経口摂取患者 13 ~ 16 名の口腔ケアを行なっており、ケアにかける時間や方法に差が生じていると感じていた。今回、口腔ケアにかける時間や方法を把握した上で、短時間で安全かつ有効に行える口腔ケアの方法を検討し、実施時間変更により業務改善に繫がったので報告する。研究期間・対象者平成 27 年 10 月 19 日から平成 28 年 4 月 20 日経管栄養を行い、かつ抗菌薬を使用していない患者 6 名方法 ①パナソニックヘルスケア(株)細菌カウンタ DEPIM 方式で、現状のケアにかける時間と物品の違いによる細菌数を比較。また口腔内環境の程度を評価。 ②早朝の口腔ケアを就寝時に変更し、同様に細菌数と口腔内環境の程度を比較。③スタッフにアンケート調査実施。結果①現状の口腔ケアでは、ケアにかける時間と物品の違いによる細菌数に差が生じ、使用物品を統一した口腔ケアでは差が少なかった。 ②就寝前に行った口腔ケアと早朝の口腔ケアでは、細菌数と口腔内環境の大きな変化はなかった。③早朝の口腔ケアを就寝前に変更することにより、患者の睡眠を妨げることが減った。またスタッフの業務への負担感が軽減された。考察・まとめ 日々の口腔内環境が整っていることにより、朝の経管栄養前に実施する口腔ケアと、就寝前での口腔ケアでは、細菌数の著しい変化がないことがわかった。そのことにより、夜勤帯の口腔ケア実施時間を変更でき、スタッフの業務負担を軽減する事が出来た。早朝の半覚醒の中で行なう口腔ケアから、就寝前の口腔ケアに変更する事で、患者の QOL 向上に繫がった。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-5-3 業務改善(5)オムツに視点を置いて~時間を大切にする為に~

高田病院

みやかわ ちはる

○宮川 知令(介護職員),帖佐 梓,迫 里香,萩原 隆二,髙田 昌実

【はじめに】現状として、全ての勤務帯において業務のずれ込みが生じている事が多い。この事により業務遂行に余裕が無くなり、確認不足などの問題が発生している。更に、患者一人一人にあった個別ケアが出来ていないと考えられる。業務に合わせたケアではなく患者のニーズに合ったケアを提供するため、業務改善に取り組んだ事をここに報告する。

【方法】・オムツ交換の現状把握による原因分析・オムツアドバイザーによる勉強会の開催・オムツの変更によるモニタリングの実施・現場でのアドバイザーによる実技指導

【結果・考察】夜間のオムツ交換時の電光による覚醒が無くなり、起床状態が良くなった。スタッフのコール対応が確実に良くなり、患者にとって安全なケアを提供する事で、転倒リスクの軽減に繋がったと思われる。オムツの質を上げた事により、排泄の漏れ率の低下、交換枚数の減少、汚染によるシーツ・衣類交換業務が大きく変化した事で、時間を有効に使える様になった。また、この減少がコスト削減にも影響する事が分かった。夜勤業務がスムーズになり、日勤業務でのずれ込みの改善へ繋げる事が出来た。この業務改善により患者 1 人 1 人に個別ケアの対応が可能であると思われる。

【終わりに】業務改善の中で、不慣れな作業や業務内容に変更があったが、それぞれのスタッフが高い意欲を持って取り組む事により、限られた期間であったが非常に良い結果となった。今後も患者により良いケアを提供していくために、患者にとって安全で安心できる環境を作り、効率の良い業務を検討していきたいと思います。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-5-4 業務改善(5)C病棟における業務改善―看護業務の分析、改善を行ってみて―

栗林病院

たかばたけ さちこ

○高畑 幸子(看護師),大内 久美

【はじめに】当院のC病棟(介護療養病床)では、業務の煩雑さと業務量の多さからスタッフは多忙を極め、過剰な残業が常態化し問題となっていた。フリーNSは日々の業務を粉すのが精一杯、リーダーNSは他のスタッフに補助を頼めず責任を一身に背負い皆が疲弊しきっていた。NSの看護業務の充実、時間内消化を目指し業務改善を行い、一定の成果を得られたのでここに報告する。 

【方法】まずは平成 27 年 10 月にスタッフにアンケート実施した。問題となったのが、①経験、能力、意欲の差で業務内容、量的差が大きい。②業務が抜けたり、重複するミスがあったりと無駄な動きが多い。③日によっては時間内では到底消化出来ない業務量になっている事である。第 1 回の業務改善として、CWに振り替え出来る業務の見直しをした。次に業務を細分化し、バイタル担当や処置担当に振り分けて 1 日の流れを組み立て、新しいスケジュールカードを作成、携帯しスタートした。

【経過】最初は細分化し担当を決めた事に反発や抵抗をするスタッフもいて業務改善が一気に進むことはなかった。しかし、根気強く続けていくと、業務量の公平化、重複したり、抜けたりするミスの減少、残業時間の激減を全員が実感するようになり、徐々にスケジュールが定着していった。3 ヵ月後、平成 28 年 1 月のアンケートでは全員が「効果あり、して良かった」と解答した。

【結果、考察】第 1 回目の業務改善では新しいスケジュール導入により、スムーズな業務の遂行、残業時間の激減、と一定の成果をあげた。しかしスタッフの多くが業務改善を望んでいたにも関わらず、いざスタートすると長く続けてきた事を変える事に大きな反発や抵抗があった。いかに意識改善が重要で大変な事かを実感している。問題は山積しているが、次のステップである患者ケアの充実を目指し業務改善を進めている。まだ始まったばかりである。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-5-5 業務改善(5)回復期病棟のナースコールの実態調査~ナースコールデーター収集による分析と効率化~

岸和田平成病院

かねもと ひろゆき

○金本 拡之(介護職員),右馬 三十三,白川 みちよ,徳山 早苗

[はじめに]回復期病棟に入院されている患者様の多くは、急性期を脱し病状的には安定している方が多くみられる。しかし、障害の残存や筋力の低下により、基本的生活動作の介助が必要とされるケースが多い。そのためナースコールが他患者様と重なり介助を待っていただく場面が多くみられる。私たちはナースコールのデータを通して、内容や頻度、多い時間帯などを分析することにより介助の円滑化を図り、患者様の不満や負担の軽減に繋がる実態調査を行ったのでここに報告する。

[方法]【調査期間】第1期:2015年9月14日から9月28日 第2期:10月19日から10月31日両期間とも日曜・祝日は除く日勤帯

【対象者】ADLにおける介助を必要とする患者様・ナースコールが押せる患者様【方法】勤務しているスタッフに記入シートを周知し、ナースコールの内容を記入した表を1日1枚まとめ、統計を行う。前半の集計を踏まえて後半の関わり方を変えてみてナースコールの回数に変化があるか調査する。

[結果]調査前半の結果、他のADLに対する援助よりも排泄介助を必要とするナースコールが多く、特に食事前後の排泄介助が多い結果となった。前半の集計結果を踏まえて後半は、食事前後のトイレ誘導やオムツ交換を行った結果、ナースコールの回数が減り、患者様一人一人に提供できる看護や介護が充実した。また多い時間帯に人員の配置を変えたり、他の時間に業務を振り分けるなど対策ができた。

[考察]今回ナースコールを実際数値として明確化したことにより、ナースコールの多い時間帯や内容が把握でき、患者様一人一人に提供できるケアが充実し、患者様の待たせられる不満や心身の負担軽減に繋がり、コミュニケーションを図れる場面も増え、業務の効率化に繋がったと考える。

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第 24 回日本慢性期医療学会 in 金沢3-5-6 業務改善(5)ナースコールが 1 日平均 80 回以上押す患者への対応 ~先取りナースコール対応を試みて~

おもろまちメディカルセンター

いずみかわ たけし

○泉川 剛(介護職員),國吉 真由美,玉城 薫,儀間 光,金城 隆治,金城 香,島袋 孝子

【はじめに】 当病棟は 60 床の療養病棟である。臨床場面において認知症や構音障害でのコミュニケーションが上手く取れない患者への対応で職員が困惑する場面がある。中でも 1 日平均 80 回以上のナースコール(以下コール)をする患者 A 氏の対応について、不明確な訴えにどのように対応をすべきか戸惑う場面があった。そこで、コールを押す理由の実態調査を行い、合同カンファレンスを行った。その中で、患者 A 氏のニーズと心理的側面を全職員で共通理解し、先取りコール対応を試みた。その結果、コールが減少し、患者の表情や行動に変化があったので報告する。

【方法】1. 研究期間:平成 28 年 4 月 ~ 平成 28 年 6 月 2. 対象:患者 A 氏 / 看護師・介護職3. 方法 ①現状のコールの実態調査及び対策後の調査 ②職員のアンケート調査 ③合同カンファレンスにて対策の立案 / 実施

【結果】 現状調査の結果、1 日に 70 ~ 100 回以上の呼出しコールがあった。「タオルを取って」「カーテン閉めて」などの環境に関わるものや、「体位変換」や「排泄」といった基本的欲求に関するものが半数を占めており、その他「なんでもない」「寂しい」などもあった。また職員のアンケート調査の結果では、「ストレスである」「コールに振り回されている」という感覚を感じている職員が殆どであった。合同カンファレンスでは、調査結果の情報を分析し対策の立案実施した。コールがなる前の訪室や、他に要件がないかの確認、次の訪室時間の案内やレクへの誘いを積極的行った結果、大幅なコールの減少が見られた。

【考察】 コールの内容の分析から、基本的欲求や環境面での呼出しが大半を占めるも、一方では排泄コールの空振りや精神面での不安を訴える場面もあった。今回の取組みから患者の特性を知る事で、ニーズに合わせた対応をすることがコールの減少に繋がったと考える。今後も更に患者への関わりを増やし職員同士の情報の共有を図っていきたい。