下肢麻痺者用歩行補助ロボット...

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平成22年度 科学技術コーディネート事業 「育成試験」成果発表 下肢麻痺者用歩行補助ロボット WPALの実用化 アスカ株式会社開発本部 武満 知彦

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平成22年度 科学技術コーディネート事業

「育成試験」成果発表

下肢麻痺者用歩行補助ロボットWPALの実用化

アスカ株式会社開発本部 武満 知彦

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自動車部品事業1954~

配電盤事業1963~

ロボット事業1986~

売上181億500名

売上133億 (73%) 売上16億 (9%) 売上32億 (18%)

アスカ株式会社 概要

ボディー部品 分電盤、制御盤 産業用ロボットシステム

2000~開発本部 START

2000~開発本部 START

本社工場(愛知県刈谷市)

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下肢麻痺者は車いす?

・日常生活や移動手段として車いすは,利便性が高く必要不可欠

・長年にわたる車いす上での生活は,骨粗鬆症や内臓疾患の一因になり、低い目線での生活による心理的なストレスをともなう

・「再び歩きたい」という強い願望があり、歩行補助装具による歩行再建が試みられてきた

下肢麻痺者脊髄損傷により脳からの信号路が遮断され、下肢麻痺が起こる

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脊椎損傷の発生頻度

毎年5000人以上発生車いす利用者は全国で10万人以上

脊椎損傷の発症年齢分布

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外側系に共通の問題・ 体幹拘束・ 装着困難・ 車いす併用不可

「外側系」装具 「内側系」装具

内側系の特徴・ 体幹フリー・ 座ったまま装着可・ 車いす併用可・ 優れた立位安定性

HGO ARGO Primewalk(股継手を内側に配置)

下肢麻痺者歩行装具

(藤田保健衛生大学により開発)(英国) (米国)

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内側系装具

股関節

膝関節

足関節

装具の問題点とその解決策

• 従来の装具の問題– 力源が無い → 歩行時の上肢負担が大きい– 膝・足関節が動かない → 車いすからの起立・着座が困難

• 力源のある実用的装具は存在しない→ 車いすからの起立と平地歩行を快適に実現する

⇒ 歩行補助ロボットWPALの開発Wearable Power-Assist Locomotor

+⇒

WPAL

各関節にモータを付加パワーアシスト

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• 藤田保健衛生大学: 才藤栄一,清水康裕,平野 哲,田辺茂雄,

(実証試験、リハビリテーション担当) 加藤正樹,佐々木祥,井本大介,小山総市朗

• アスカ株式会社(ロボット担当): 武満知彦,中村清和,樋口 励

• 東名ブレース株式会社(装具担当): 宇野秋人

• 株式会社ティムス(取付金具担当): 林 正康

• 愛知県立芸術大学(デザイン担当): 中島 聡

研究開発メンバー(総勢14名,5機関)

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WPALの構成

車いす上では装具部の一部を装着している.WPAL使用時にロボット部と装具部を合体させる

WPAL専用サーボモータを

新規に開発

股関節モジュール

膝関節モジュール

足関節モジュール

WPAL本体

装具

ロボット部はモジュール化装具部はユーザ毎に個別対応

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制御部を内蔵した歩行器

バッテリーモータドライバ

表示パネル

押しボタンスイッチ、レバースイッチ

歩行器に制御部やバッテリーを組み込むことにより、歩行者には余分な負荷がかからないよう配慮した。

制御CPU

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WPAL試作機 これまでの軌跡

Primewalk 初代WPAL

2005.11

2代目WPAL

2006.03

3代目WPAL

2007.09

実証試験開始

専用モータ開発

4代目WPAL

2008.01

NEDO

2009~ 5代目WPALの開発

(財)科学技術交流財団 育成試験

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育成試験 実施項目①最適な歩行パターンを作成するための

パラメータ抽出技術の開発

歩行パターンの作成時に必要なパラメータの確定

最適歩行パターン評価項目の確定・ Borgスケール、心拍数、PCI・ 重心の左右移動振幅・ 上腕の筋肉の負荷計測

歩行パターン作成用パラメータの抽出

歩行パターンの評価技術 3次元動作解析技術

重心の左右移動振幅測定技術及び解析手法の確立

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育成試験 実施項目② - 1医療従事者が簡単に歩行パターンをアジャストできる

操作方法の開発

歩行パターン設定画面

実施項目①で確定した「WPALパラメータ」をこの画面で変更・設定し、これらのパラメータを元に歩行パターンを計算・自動生成する

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Stepping訓練:平行棒内での足踏み動作PTの介助により安全性を確保

トレッドミル歩行訓練:長時間かつ多数歩の連続歩行

平行棒歩行訓練:歩行の感覚を掴む

Th12 B 28yo

Th11 A 46yo Th6 A 58yo

歩行器歩行訓練:歩行器操作の習熟

Th11 A 46yo

育成試験 実施項目② - 2リハビリ訓練プログラムの確立

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育成試験 実施項目③下肢麻痺者が単独で容易に装着を行うための装具の開発

【大腿カフ部】

ポイント

ズレの軽減、簡便性の向上

【体幹サポート】

ポイント

単独での装着・固定を可能に

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残存 受傷後

年齢 性別 レベル 期間 起立 歩行 起立 歩行 時間(分) 距離(m)

A 30 男性 T12 約4年 監視 自立 自立 自立 40 580

B 46 男性 T11 約9年 監視 自立 自立 自立 10 40

C 59 男性 T6 約7年 監視 介助 自立 自立 4.5 30

D 59 女性 T6 約14年 介助 介助 自立 自立 7.8 65

E 42 男性 T6 約7年 監視 自立 自立 自立 5 50

F 31 男性 T12 約14年 監視 監視 自立 自立 15.5 210

G 48 男性 T9 約8年 監視 監視 自立 自立 12 99

Primewalk WPAL WPAL連続歩行

WPALの対象症例と能力

PW : Primewalk(力源無し)残存レベル:麻痺の範囲の分類.脊髄損傷によって障害が生じている部位を表す.Tは胸髄を指す.残存レベルより下では重度の運動麻痺が存在する.

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0123456789

10

0 1 2 3 4 5 6 7 8

歩行時間[分]

Bo

rg指

従来装具との比較(運動強度)

Borg指数

10: 非常にきつい

7: かなりきつい

5: きつい

4: ややきつい

3: 楽ではない

2: 楽である

1: かなり楽

0: 安 静

WPAL

Primewalk

Borg指数

80

90

100

110

120

130

140

150

160

0 1 2 3 4 5 6 7 8

WPAL

Primewalk

(拍/分)

(分)

脈拍

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WPAL適用範囲を広げる

病院・リハ施設での歩行

家庭での歩行リビング、台所、近所の散歩

職場での歩行工場、オフィス

今後の展開

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・制御装置の小型化モータードライバーの小型化制御部と歩行器の分離・携帯を可能に

・歩行器の小型化室内での使用を想定した形状、デザイン

・歩行パターン室内での歩行、旋回、段差越えを想定した歩行パターン

・安全性転倒防止センシング機能の精度向上その他フェールセーフ機能

・装着の容易化装具脱着機構の改良、操作性向上

歩行器と一体の制御装置 モータドライバ

今後の課題商品化に向けて、使い易さ、安全性、コストの追求

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WPAL開発に協力いただいている皆さん