教養教育科目 はじめての経済学 - u-toyama.ac.jp...2 貨幣の範囲と種類 本で発...
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教養教育科目
はじめての経済学第 13 回 貨幣と金融 Part 2
2016 年 7 ⽉ 4 ⽇(⽉)5 限担当教員: 経済学部唐渡広志(からと・こうじ)研究室: 経済学研究棟4階432号室email: [email protected]: http://www3.u-toyama.ac.jp/kkarato/
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貨幣の範囲と種類
⽇本で発⾏されている貨幣 紙幣(発⾏元:⽇本銀⾏) 硬貨(発⾏元:政府)
貨幣の範囲1. 現⾦通貨: 現⾦としての紙幣と硬貨 73兆円2. 預⾦通貨: 銀⾏の普通預⾦ 416兆円3. 準通貨: 定期預⾦,外貨預⾦,定期積⾦ 540兆円これらを総称してマネーサプライ(貨幣供給量)とよぶ
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日本銀行(日銀)の役割 貨幣の供給者である。 銀⾏の銀⾏
銀⾏を監督(規制)し,経済の貨幣量を調節するための組織 銀⾏が借⾦をしたい場合,⽇銀から借り⼊れる 銀⾏が現⾦不⾜に陥った場合の最後の貸し⼿
マネーサプライの調節による景気と物価の安定[⾦融政策] 基準割引率および基準貸付率(公定歩合)の操作 コール市場への介⼊ 公開市場操作:株や債券(国債)の売買 ⽀払い準備率操作
政府からの独⽴性 インフレーションの教訓
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基準割引率および基準貸付率(公定歩合)と普通預金金利
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0.001
0.01
0.1
1
10
1990 1995 2000 2005 2010
基準割引率および基準貸付率
普通預⾦⾦利
データ出所:⽇本銀⾏
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貨幣の供給と需要
貨幣市場貨幣の需要と供給によって「貨幣価値」を決定 1万円の貨幣価値 = 1万円/物価⽔準
貨幣需要量に影響する要因物価⽔準
• インフレで物価⽔準が上昇すると,貨幣価値が下落する.
• 物価上昇によって,1回の取引で必要となる貨幣の量が増⼤するので,流動性の⾼い現⾦や預⾦の形を保有するようになる.
• 物価が上昇すれば(貨幣価値が減少すれば)貨幣需要は増⼤する.
⾦利(利⼦率)• ⾦利が⾼いときには,⾦利の低い普通預⾦や⾦利のない現⾦で保有するよりも,債券を購⼊した⽅が得をする.
• ⾦利が⾼く(低く)なると,債券の需要も増えて(減って),貨幣需要が減る(増える).
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貨幣の需要と供給,貨幣供給の増大
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貨幣供給(マネーサプライ)
貨幣需要
p1¥物価⽔準の逆数
1.25
(物価水準)p
0.8
⾼い
低い ⾼い
低い
1.33 0.75
2 0.5
0.91.11
⽇銀が貨幣供給を増やすと,物価⽔準が上昇して貨幣価値が下落する
貨幣量
貨幣価値
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銀行の機能と金融機関銀⾏の業務 預⾦業務:← 貯蓄 融資業務:→ 投資 為替業務:⼩切⼿,⼿形の⽀払い
(⼩切⼿,⼿形:⽀払いの約束した有価証券)
⾦融機関 預⾦を取り扱う⾦融機関
銀⾏,信⽤⾦庫,農業協同組合,商⼯中⾦など
その他の⾦融機関証券会社,⽣命保険会社,損害保険会社,投資信託会社など
⾦融市場 貸付資⾦市場 債券市場 (Stock) 株式市場 (Bond) 外国為替市場債券と株を合わせて有価証券とよぶ。
証券取引所 東京証券取引所,⼤阪証券取引所,・・・
マザーズ,ヘラクレス,・・・
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金利(利子率)の決まり方
資⾦の需要• 企業:設備投資のための資⾦• 家計:ローンを組んで家を建てる
資⾦の供給• 家計や企業が株・社債を買う• 家計や企業が銀⾏に預⾦する
貸付資⾦市場
供給
需要
利⼦率%(実質⾦利)
貸付資⾦
投資
貯蓄
貸付資⾦市場:貸付資⾦の需要と供給が(実質)⾦利⽔準を決める。
⽇銀による誘導 基準割引率および基準貸付率(公定歩合)の操作
貨幣供給のコントロール
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金利と物価上昇率 年利 5 %で1年間銀⾏に預けたならば
100 + (100×0.05) = 100×(1+0.05) = 105
⾦利が 5 %のとき,現在の100万円は1年後の105万円に等しい
もし,今後 1 年間の物価上昇率が 1 %ならば 現在の 100万円は 1 年後の 99.0099 万円に等しい(将来の99.0099万円は,現在の100万円に等しい)
「実質的な⾦利」は「名⽬上の⾦利」から「期待される物価上昇率」を差し引いて考える必要がある。
実質⾦利 ≈ 名⽬⾦利-[期待]物価上昇率
経済がインフレのとき 物価が上昇しているので実質⾦利は名⽬⾦利よりも低くなる
経済がデフレのとき 物価が下落しているので実質⾦利は名⽬⾦利よりも⾼くなる
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直接金融と間接金融
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⾦融市場貸し⼿(家計や投資家)
借り⼿(企業など)
貯蓄投資
利息
銀⾏
直接⾦融:債券(社債)や株式を発⾏して家計や投資家などから直接借り⼊れること。
間接⾦融:銀⾏などの仲介機関を通して資⾦を間接的に借り⼊れること。
間接⾦融
直接⾦融
預⾦
債券や株式の購⼊債券や株式の発⾏
融資
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債券とは
国や企業が発⾏する借⽤証書公債:国債(国が発⾏),地⽅債(地⽅公共団体が発⾏)社債:株式会社が発⾏する債券(株式とは別物)
債券の発⾏者(国や企業)は,債券の購⼊者からお⾦(債券に記された額⾯⾦額)を借りている。
条件期限が来たら返さなければならない(償還期限がある)
• 返せない場合→債務不履⾏(デフォルト)となって元本が戻らない• 買い⼿にとって国や企業の信⽤が重要になる。
定期的に利息(クーポン)を⽀払う。売買することができる。価格は市場で決まる。
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金融資産の保有形態
資産をどのような形態で保有(需要)するか?現⾦として保有するか銀⾏に預⾦【貨幣の需要】
さまざまな債券(国債,社債)の購⼊【債券の需要】
さまざまな株券の購⼊
債券の需要が増える(減る)と,貨幣の需要は減る(増える)。貨幣と債券は表裏⼀体の関係
債券の利回り(⾦利)が⾼いと,債券需要も⾼くなり,貨幣需要はその分減少する。
資産需要
貨幣需要 債券需要
現⾦ 預⾦ 債券
貸付資⾦市場
資⾦供給
資⾦需要
家計・企業・政府
家計・企業・政府
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社債とは社債:株式会社が発⾏できる債券のこと
投資家から資⾦を調達(直接⾦融)
利回り(額⾯に対するクーポン割合)は発⾏する会社が⾃由に設定できる(銀⾏の定期預⾦の⾦利よりも利回りが⾼い)
会社がつぶれない限り,償還時に元本は戻ってくる
償還まで待たなくても証券会社を通じて売却できる
社債の価格と利回り 社債の需要と供給で市場価格が決まる。
会社の安定性,成⻑性が⾼い(低い)と利回りは低い(⾼い)。
• 安定した会社:低い利回りでも購⼊してもらえる。
• 不安定な会社:⾼い利回りでないと購⼊してもらえない。
償還期間が短いと利回りは低い。⻑いと⾼い。
価格が変動するので,実質的な利回りも変化する。利回りは社債の「リスク」と関係している。
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会社の格付,償還期間,社債利回り
格付AA社債
格付A社債
格付BBB社債
定期預金
0
1
2
3
4
1年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年 11年 12年 13年 14年 15年
利回
り(金
利)
%
償還期間(年)
出所:総務省統計局
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国債の利回り
⽇本の国債利率償還期間[年] 利回り [%]
1 0.015 0.11810 0.48220 1.239
⽇本 0.5%アメリカ 2.3%イギリス 2.0%ドイツ 0.8%フランス 1.3%カナダ 1.7%スイス 0.1%ポルトガル 3.0%ギリシャ 14.9%ロシア 11.1%ブラジル 12.5%南アフリカ 8.3%
10年債の利回り
出所:財務省ホームページ2015年7⽉
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国債の保有者(債権者)
⽇本銀⾏ 8.0%銀⾏ 45.0%⽣保・損保 20.2%年⾦ 14.2%海外 4.8%家計 4.5%そのほか 3.3%
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財務省「債務管理リポート2011」
⽇本国債の保有者
政府・FRB 41.2%銀⾏ 8.7%⽣保・損保 2.0%年⾦ 5.0%海外 30.4%家計 8.4%そのほか 4.2%
アメリカ国債の保有者
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債券市場と貸付資金市場(債券を買う = 資金を貸す)
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債券価格
債券発行残高
債券の需要(債券を買うこと)
債券の供給(債券を売ること)
実質金利
貸付資金
資金の需要(資金を借りる)
資金の供給(資金を貸す)
債券市場 貸付資⾦市場
• 債券の需要が増加すると,債券価格が上昇する• 債券の需要が増える = 資⾦の貸出が増える資⾦の供給が増える• 実質⾦利が下落する
債券市場と貸付資⾦市場は表裏⼀体
債券価格が上昇すると実質⾦利が低下する
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債券市場と貸付資金市場(債券を売る = 資金を借りる)
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債券価格
債券発行残高
債券の需要(債券を買うこと)
債券の供給(債券を売ること)
実質金利
貸付資金
資金の需要(資金を借りる)
資金の供給(資金を貸す)
債券市場 貸付資⾦市場
• 債券の供給が増加すると,債券価格が下落する• 債券の供給が増える = 資⾦の借り⼊れが増える資⾦の需要が増える• 実質⾦利が上昇する
債券市場と貸付資⾦市場は表裏⼀体
債券価格が下落すると実質⾦利が上昇する
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株式とは 債券とは違い,借⽤ではなく出資 購⼊者への返済義務がない(償還期限がない) 株式の購⼊者は出資することによって
1. 企業の経営に間接的に参加.株主総会議決権⾏使
2. 配当が得られる(利益が出た分だけ還元される)。利回りは会社の業績に依存する。
3. 解散時の財産分与が受けられる。
4. 出資した以上の損害は出ない。
頻繁に売り買いできる.会社の業績良い→その株の需要が増える→株の価格(株価)が値上がりする→買ったときの価格よりも⾼ければ利益(キャピタルゲイン)が得られる。
株価の値上がりは(直接的には)その会社に利益をもたらさない. 株式会社の存⽴⽬的:利潤の最⼤化(株主の利益最⼤化)
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株式会社の起源
⼤航海時代(胡椒・絹織物の貿易)リターン 無事に航海を終えることができれば,莫⼤な収益リスク 途中で船が難破,海賊の襲撃
航海のたびに商⼈たちがお⾦を出し合い(出資),利益を⼭分け。
東インド会社(オランダ,17世紀)出資の単位を細かくして投資家の数を増やす。船が沈没しても,出資額より多い損害は出ないようにした。
航海が成功すれば配当がある。失敗すれば配当なし。
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金融におけるリスクの種類
リターン (return) 不確実だが平均的に期待できる収益リスク (risk):確定していない損失の可能性価格の変動リスクデフォルト・リスク(会社の倒産)カントリーリスク(国債:戦争,政変,⾃然災害)為替レートの変動リスク(外貨預⾦)
⾦融に限らず,ほとんどの経済活動はトレードオフの状況に直⾯しているので,「あることを選択する(しない)ことによって⽣じるリスク」は必ず存在する。
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宝くじの期待値と分散 (1)
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⾦額 枚数 確率 ⾦額×確率1等: 100万円 1 1 / 10000 100×[1/10000]=100/100002等: 10万円 3 3 / 10000 10×[3/10000]=30/100003等: 0.1万円 10 10 / 10000 0.1×[10/10000]=1/10000はずれ 9986 9986 / 10000 0×[9986/10000]=0合計 10000 1 131/10000
【ケース 1】1等100万円(1枚),2等10万円(3枚),3等1千円(10枚)の宝くじを購⼊したときの期待収益.宝くじの発⾏枚数は10,000枚.
期待値 = 131/10000 = 0.0131[万円] (131円)
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宝くじの期待値と分散 (2)
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⾦額 枚数 確率 ⾦額×確率1等: 10万円 10 10 / 10000 10×[10/10000]=10/100002等: 1万円 20 20 / 10000 1×[20/10000]=20/100003等: 0.1万円 110 110 / 10000 0.1×[110/10000]=110/10000はずれ 9986 9860 / 10000 0×[9986/10000]=0合計 10000 1 131/10000
【ケース 2】1等10万円(10枚),2等1万円(20枚),3等1千円(110枚)の宝くじを購⼊したときの期待収益.宝くじの発⾏枚数は10,000枚.
期待値 = 131/10000 = 0.0131[万円] (131円)
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確率分布
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100[万円]100.10
0.001
確率
⾦額の実現値[万円]
100.10
0.011
確率
[万円]
期待値 = 0.0131(131円)
ばらつきが⼤きい標準偏差(1.015)が⼤きい
ばらつきが⼩さい標準偏差(0.319)が⼩さい
1
【ケース 1】
【ケース 2】
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株価の変化率
始値[円] 終値[円] 終値-始値 [円] 変化率(%)08/23 538 525 -13 -2.4 08/24 525 543 18 3.4 08/25 551 558 7 1.3 08/26 569 541 -28 -4.9
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
ある会社の株価(円/⼀株)
始値
始値終値変化率
%100%
(朝) (⼣⽅)
538538525%100
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リスクとリターン(2015年1年間の株価変化の分布)
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http://finance.yahoo.co.jp/
0.00.10.20.30.40.50.6
-14%
-12%
-10% -8%
-6%
-4%
-2% 0% 2% 4% 6% 8% 10%
12%
14%
北陸電気⼯事
0.00.10.20.30.40.50.6
-14%
-12%
-10% -8%
-6%
-4%
-2% 0% 2% 4% 6% 8% 10%
12%
14%
川⽥テクノロジーズ
0.00.10.20.30.40.50.6
-14%
-12%
-10% -8%
-6%
-4%
-2% 0% 2% 4% 6% 8% 10%
12%
14%
中越パルプ⼯業
0.00.10.20.30.40.50.6
-14%
-12%
-10% -8%
-6%
-4%
-2% 0% 2% 4% 6% 8% 10%
12%
14%
⽇医⼯
平均 0.01%標準偏差2.16%
平均 0.06%標準偏差2.14%
平均 -0.23%標準偏差1.91%
平均 0.04%標準偏差1.94%
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保険・年金:人生のリスクへの対処 保険
⽣命保険 残された家族が収⼊を失うリスク
⾃動⾞保険 事故を起こして多額の賠償⾦を⽀払うリスク
⽕災保険 ⽕事を起こして家財道具や家を失うリスク
医療保険 病気・けがをして⾼い治療費を請求されるリスク
保険に加⼊しなければ,リスクの負担は⼀⼈だが,加⼊していれば,他の保険加⼊者もリスクを負担する(リスクを分けあっている; リスク分散)
年⾦:⻑⽣きしすぎて⽼後の⽣活ができなくなるリスク
問題点 モラルハザード moral hazard 保険に加⼊しているからと安⼼して,かえってリスクのある⾏動をとってしまう。→保険料が⾼くなる。
逆選択 adverse selection リスクの⼩さい⼈が加⼊せず,⾼い⼈が加⼊してしまう。→保険料が⾼くなる。
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リスク分散
第1志望の⼤学の他に,滑り⽌めを何校か受験する。
株式や債券は1種類だけでなく,リスクの⼤きさが異なるものを買う。
成績評価を中間試験と期末試験の2回に分けて⾏う。
同じ業種の株式だけを買わずに,全く異なる株式を買う(値動きの違うものを買う)。
明⽇,早起きしなければならないので,3つの⽬覚まし時計が5分おきに鳴るようにセットする。
買う時期を分ける。1度に買うのではなく,何回かに分けて買う。
「リスク分散」という考え⽅
「保険」の役割:リスクを「減らす」ことではなく,リスクを「分散させる」こと。
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リスクとリターンのトレードオフ
リスク
リターン
・価格変動の⼤きい株価・償還期間の⻑い債券
・価格変動の⼩さい株価・償還期間の短い債券
銀⾏の定期預⾦,経営の安定した⼤企業の株 財政破綻⼨前の国の国債,
新興企業の社債
儲けること = 損すること
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ポートフォリオ (portfolio) (1)ポートフォリオ: 購⼊する株の組み合わせリストA社の株: 1年間の期待価格変動 +1% (標準偏差 A = 1 )B社の株: 1年間の期待価格変動 +1% (標準偏差 = 1 )(A社とB社の株価は互いに独⽴に変動していると仮定)
707.021
41
41:2
1:1
22 ≒の場合
の場合ボラティリティ
BA
A
シグマ注 :
元⼿は100万円1. A社の株を100万円分買う場合2. A社の株を50万円分,B社の株を50万円分買う
2の⽅が標準偏差は⼩さい0 10 20 30 40 50
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
ポートフォリオに含まれる銘柄数
Volatility
低リスク
高リスク
組み合わせを増やすと価格変動を「ならす」ことができる.
101
301
【どちらがリスクは⼩さいか?】
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ポートフォリオ (portfolio) (2)
【PCで実験した結果】1よりも2のケースの⽅が,価格変動のリスクが⼩さい。
(統計学:中⼼極限定理)
96 98 100 102 104
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1年後の株価
相対度数
2. A社,B社の株をそれぞれ50万円購⼊した場合
1. A社の株を100万円購⼊した場合
A社の株を50万円分,B社の株を50万円分買うことによって,リスクが分散される
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キーワードと参考文献
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Keywords: 貨幣,⽇本銀⾏,貸付資⾦市場,実質⾦利,名⽬⾦利,債券,⾦融システム,株式,リスク,モラルハザード,逆選択,ポートフォリオ
参考⽂献1. マンキュー, N.G.「経済学 IIマクロ編」:pp.
216 – 268