財団法人永頼会 松山市民病院 山本...
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はじめに
松山市は瀬戸内海に面し,愛媛県の中央部に位置する中核市で,平成17年1月には隣接する北条市と中島町との合併により,四国初の50万人を超す都市となりました.日本最古とされる道後温泉で有名であるだけでなく,夏目漱石の小説「坊ちゃん」に登場することから命名された,マッチ箱のような坊ちゃん列車が市内の路面を走る穏やかな街です.また「坂の上の雲」の主人公,正岡子規や秋山好古,真之兄弟の出身地としても知られています. 松山市民病院は昭和31年,市の城西地区には病院がなかったため,地域の有志により生活協同組合がつくられ発足したのが始まりです.当初より市民による市民のための病院として地域住民に親しまれ,発展してまいりました.松山市の中心部(JR松山駅より徒歩5分)において,市中基幹病院として急性期医療の一翼を担っています.
沿 革
昭和31年6月 松山市城西地区の医療機関として内科・外科の診療科で病床数32床にて発足
昭和39年6月 救急病院の指定を受ける
昭和39年10月 財団法人永頼会(えいらいかい)松山市民病院となる
昭和41年3月 総合病院の指定を受ける
昭和49年7月 診療棟・S病棟増築(病床数503床)
平成6年11月 診療棟・N病棟完成(病床数538床)
平成15年4月 厚生労働省臨床研修病院指定
平成16年9月 病院機能評価認定(Ver4.0)
平成21年7月 院長交代(宮田信𠘑から山本祐司へ)
平成21年9月 病院機能評価更新認定(Ver6.0)
平成22年7月 DPC対象病院となる
病院の概要
1. 診療科 内科,消化器内科,呼吸器内科,循環器内科,神経内科,外科,呼吸器外科,脳神経外科,整形外科,心臓血管外科,眼科,耳鼻咽喉科,泌尿器科,小児科,麻酔科,形成外科,皮膚科,放射線科,歯科口腔外科,総合診療科2. 病床数 許可病床:538床 稼動病床:502床(亜急性期病床:40床)3. 職員数(平成23年4月1日現在) 647名(常勤医師74名,非常勤医師19名)*主に岡山大学,愛媛大学,広島大学から医師の派遣を受けています.4. 理念1) 松山市民病院は,地域住民のために存在する
2) 松山市民病院は,高度急性期医療を目指す
3) 松山市民病院は,思いやりの医療をもって地域社会に貢献する
5. 基本方針1) 地域のニーズに応える誠実な医療
2) 説明と同意による人権尊重の医療
3) 快適な環境のもとでの安全な医療
財団法人永頼会 松山市民病院 ………………………………………………… 山本 祐司
岡山医学会雑誌 第123巻 August 2011, pp. 161ン162病 院 紹 介
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4) 新しい科学的知識と技術による良質な医療
5) 研修・研鑽に努め,学びつづける医療
6. 患者様の権利尊重1) 公正で最善の医療を受ける権利2) 診療にあたって十分な説明と情報開示を受ける権利
3) 治療法の選択について自ら決定する権利
4) 診療情報についてプライバシーの保護を受ける権利
5) 診断,治療法についてセカンドオピニオンを求める権利
7. 職業倫理1) 私たちは,常に知識と技術の研鑽に努め,教養を深め人格の陶冶を目指します
2) 私たちは,患者の人格と権利を尊重し,説明と選択・同意に基づく医療を行い,患者のプライバシーを尊重し,守秘義務を遵守します
3) 私たちは,職員相互の連携を図り,安全かつ適切な医療を行います
4) 私たちは,医療を通じて社会の発展に尽くすとともに,関係法令を遵守します
8. 診療実績(平成22年度) 入院患者数:122,970人
(1日平均336.9人) 外来患者数:251,386人
(1日平均855.1人) 手術件数 :2,184件 救急患者総数:8,768人*当院では8日に1回松山市の二次救急医療輪番制で救急患者の受け入れを行っています.救急当番日には,緊急を要する循環器・脳卒中疾患にも即時対応できる体制をとっています.
病院の現況
平成21年7月に院長が交代し,2年が経過しました.この間,亜急性期病床設置を含めた病床再編や医療環境・職場環境の整備などを行ってきました.事務職員の職能拡大や医師事務作業補助者を充実させ,医師や看護師の負担軽減や業務の効率化につながりました.また,DPC対象病院として医療の標準化を図り,在院日数のコントロールや地域医療機関との連携強化にも取り組んでまいりました. 当院の地域医療連携室は平成13年に開設され,月に平均300~400件の利用があります.松山市を中心に伊予市,松前町,久万高原町といった周辺地域のほか新居浜市,今治市などの東予地方や宇和島市,大洲市などの南予地方からの紹介もあります. 平成23年4月からは土曜日の外来の受付を新患と再診の予約患者のみに縮減し,内科,外科,整形外科,小児科以外の診療科は第2,4土曜日を休診にすることで,職員の勤務体制を4週6休制に移行しました. 診療面では,平成23年4月より「神経内科」を新設し週に1回非常勤医師による診療を開始しました.当院では,平成17年4月以来産婦人科が休診となっており,今春の愛媛大学産婦人科教室の教授交代を機に婦人科だけでも診療を再開できるよう協力をお願いしているところです. さらに,臨床研修病院として今年度は基幹型2名(長崎大学と岡山大学からの愛媛県関係者),協力型2名(愛媛大学関係)を迎えました.研修医枠6名のフルマッチを目指し,さらに充実した研修体制の構築に意欲的に取り組んでいます.
今後の展望
愛媛県は四国の中では人口が143万人と最も多く,なかでも松山医療圏はその半数の70万人以上を抱え,年々周辺地域から患者が流入しております.近年,病院医療の選択と集中が進む中で,質とレベルを常にキープし前進することが要求されています. 愛媛大学病院,四国がんセンター,県立中央病院,松山赤十字病院などの地域基幹病院(これらはいくつかの診療科で岡山大学関連でもあります)とは競合・連携関係をうまく図りながら,当院の生き残る道を探らねばなりません. 今年は,医療人の「協働と前進」を年頭のスローガンに掲げ,チーム医療を柱に次世代型の急性期病院へと一歩でも半歩でも前進すべく改革に取り組んでおります.なかでも,新S病棟・外来棟の建て替えや公益法人制度改革などの具体案が今年度中に作成されることになり,持続可能な病院医療の一翼を担う機動力のある急性期総合病院へと生まれ変わることが期待されます.
おわりに
当院と岡山大学関係教室,ならびに関連病院の諸先生方とのスムーズな連携・交流が行われますよう,今後ともご支援・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます.皆様のご健勝と岡山医学会雑誌のご発展を心より祈念いたします.
平成23年4月受理〒790-0067 愛媛県松山市大手町2丁目6番地5電話:089-943-1151 FAX:089-947-0026E-mail:[email protected]://www.matsuyama-shimin-hsp.or.jp/