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ナンノクロロプシス培養

二郷卓生・磯和潔

ワムシ培養の餌料および魚類飼育水槽への添加

用として濃縮ナンノクロロプシス(以下濃縮ナン

ノ)を生産するため,ナンノクロロプシス(以下

ナンノ)の培養を行った。

方法方法方法方法

培養水槽は,屋外のコンクリート製角形水槽50

m³(有効水量20m³)×16,コンクリート製丸形

水槽60m³(有効水量30m³)×1を使用した。

元種は市販の生濃縮ナンノを購入し,培養水は

施肥した紫外線殺菌海水を使用した。培養は屋外

培養水槽2槽で開始し,増殖した分を他の屋外培

養水槽へ順次拡大した。ナンノの細胞密度が

2,000万cells/ml以上になった水槽からナンノ濃

縮装置によりナンノ培養水を濃縮した。1回の濃

縮でナンノ培養水約50m³を150Lまで濃縮し,そ

れをワムシ培養の餌料や魚類飼育水槽への添加用

として使用した。

結果結果結果結果

ナンノ培養と濃縮の生産結果を表1に示した。

昨年同様ナンノの培養が不調で濃縮ナンノが不足

した場合の対応として,種苗生産期間終了後にナ

ンノの培養を行い,濃縮したものを凍結保存した。

培養状況は,1~3月は天候が安定し,水温が

低いため,順調に培養することが出来た。4~6

月は雨水混入及び水温上昇により培養状態が悪化

することがあった。7~10月は,魚類飼育水槽へ

の濃縮ナンノ添加が終了したため,ナンノの培養

も終了した。11月に元種として市販の生濃縮ナン

ノを購入し,培養を再開した。

表1 ナンノ培養と濃縮結果

月 水槽数 水温 保有量* 濃縮回数 生産量**

(℃) (m³)     (L)

H26.1 16~17 7.7 541 7 923

2 17 7.2 588 8 866

3 17 12.4 528 7 857

4 17 15.7 636 7 979

5 16 19.6 626 7 1,031

6 11~16 21.5 440 6 935

7 0 0 0 0

8 0 0 0 0

9 0 0 0 0

10 0 0 0 0

11 2~15 15.3 131 0 0

12 14~15 7.2 429 7 1,054

合 計 49 6,645

*1日あたりの平均値(2,000万セル/ml換算)

**生産量は100億cells/ml換算

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マダイ種苗生産

加藤高史・二郷卓生・河村 剛

平成26年度マダイ種苗生産は,目標を全長30mm,

60万尾で実施した。

方法

1 親魚養成・採卵

採卵用親魚は,平成20~25年に県内近辺の漁場

で漁獲された若齢魚(漁獲時魚体重0.2~0.5kg)

計57尾を,有効水量75m

3

の半循環濾過式屋内円形

水槽1面で周年飼育した。

餌料はモイストペレットを用い,4日に1回,

1日あたり総魚体重の1%の量を目安に給餌した。

養成期間中は白点病の予防策として注水部に銅

イオン発生装置を設置し,飼育水中の銅イオン濃

度が約50ppbとなるように調整した。

採卵は1月中旬の産卵開始を目標とし,水温と

電照時間の環境調整は10月から昨年と同様の方法

で行った。受精卵は,収卵槽に設置した専用ネッ

トにオーバーフローしてくるものを毎朝回収し,

浮上卵と沈下卵に分離した後,1gあたり1,700粒

として重量換算で計数した。

2 S型ワムシ培養

種培養は培養水温を21℃以下に抑えた24時間連

続給餌のバッチ培養(約2~3日に1回水槽交換)

で管理し,そこから生産開始前に取り分けて拡大

した。

拡大後は培養水温24~25℃,自家製濃縮ナンノ

クロロプシス(以下ナンノと略)および淡水クロ

レラを併用したバッチ培養にて翌日給餌に必要な

数量を収穫し,栄養強化に移行させた。

3 陸上水槽における稚仔魚の飼育

飼育水槽は有効水量50m

3

の自動底掃除機付き

屋内コンクリート水槽を使用した。飼育水槽の照

明は1水槽につき700W×3基の水銀灯を用い,

タイマー制御(7:00~19:00,12時間)した。

餌料はワムシ,アルテミアノープリウス(以下

アルテミアと略),および配合飼料を使用した。

ワムシはナンノと市販のDHA強化剤で24~32時間

栄養強化したものを日令2~40まで,午前(9:30)

と午後(14:00)の1日2回与えた。アルテミア

は市販のDHA強化剤で24時間栄養強化したものを

日令21~42まで,1日1回,16:00に給餌した。

配合飼料は基本的に複数社の製品を混合して日令

18から取り上げ時まで給餌した。配合飼料の日間

給餌率は取り上げ時点で約7%を目安に摂餌状態

を見ながら調整した。飼育水には日令1から取り

上げまで,タイマー制御されたポンプを用いて早

朝および正午に最大5L/日の濃縮ナンノ(約100

億細胞/ml)を添加した。飼育水温はワムシ給餌

期間中20℃に設定したが,日令30以降では自然水

温まで1日0.2℃ずつ設定水温を下げて低温馴致

した。

日令20および日令30付近で高密度となったため,

50mm径のサクションホースを使用してサイフォン

方式により分槽した。数量は目視観察,分槽後の

生物餌料および配合飼料の給餌率にて把握し,分

槽後さらに数日かけて密度調整を行った。

陸上水槽での飼育は稚魚の平均全長が約30mmに

達した時点で終了し,地先海面の生け簀飼育に移

行した。海面生け簀への移送方法は集魚網で稚魚

を集め,50mm径のサクションホースを使用してサ

イフォン方式により行った。

結果

1 親魚養成・採卵

本年度の採卵結果および産卵量の推移を表1に

示した。本年度は12月下旬から産卵行動が確認さ

れた。1月1日に微量の産卵が確認されたため,

翌日から専用集卵ネットを設置して産卵量を計数

した。

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表 1 平成 26 年度採卵結果

産卵は1月初旬から5月下旬の約5ヶ月間産卵

は継続した。なお5月下旬にて採卵および卵回収

作業は終了した。昨年度の総採卵数が28,516万粒,

総浮上卵数は26,988万粒で産卵期間中の平均日間

産卵量は約255.7万粒であったのに対して,本年

度の総採卵数は30,819万粒,総浮上卵数は28、946

万粒で産卵期間中の平均日間産卵量は約204.1万

粒となった。

数年前から発生している孵化直後の頭部異常対

策として,飼育水槽収容前に約24時間500L黒ア

ルテミア孵化水槽にて卵管理を行い,孵化予定日

の午前中に浮上卵のみを回収して生産水槽に収容

した。なお本年度は計2回の受精卵の池入れを実

施した。

2 ワムシ培養

本魚種種苗生産期間中のワムシ培養を図1に示

した。本年度は期間中ワムシ培養不調が長期間継

続した結果,必要量のワムシを生産に供すること

ができなかった。

本魚種種苗生産期間中の濃縮ナンノ使用量は

100億細胞/ml換算で1038.2L,淡水クロレラ使

用量は663.0L,ワムシの総回収量は2430.5億個

体,その内1111.5億個体を種苗生産に使用した。

3 陸上水槽における稚仔魚の飼育

陸上水槽の飼育結果を表2に示した。本年度

は予定通り産卵が推移したため,2月上旬に1回

次分を池入れし,その約半月後に2回次分の池入

れを実施した。

月月月月 旬旬旬旬 平均浮上卵率平均浮上卵率平均浮上卵率平均浮上卵率

(%)(%)(%)(%)

2014 .12014 .12014 .12014 .1 上上上上 1,1631,1631,1631,163 1 ,0741 ,0741 ,0741 ,074 92.492.492.492.4

中中中中 1,6071,6071,6071,607 1 ,5161 ,5161 ,5161 ,516 94.494.494.494.4

下下下下 2,8172,8172,8172,817 2 ,6862 ,6862 ,6862 ,686 95.495.495.495.4

2222 上上上上 2,7662,7662,7662,766 2 ,6302 ,6302 ,6302 ,630 95.195.195.195.1

中中中中 3,3883,3883,3883,388 3 ,2573 ,2573 ,2573 ,257 96.196.196.196.1

下下下下 2,6472,6472,6472,647 2 ,5362 ,5362 ,5362 ,536 95.895.895.895.8

3333 上上上上 2,6322,6322,6322,632 2 ,5502 ,5502 ,5502 ,550 96.996.996.996.9

中中中中 1,9411,9411,9411,941 1 ,8171 ,8171 ,8171 ,817 93.693.693.693.6

下下下下 2,2882,2882,2882,288 2 ,1342 ,1342 ,1342 ,134 93.293.293.293.2

4444 上上上上 1,3631,3631,3631,363 1 ,2441 ,2441 ,2441 ,244 91.391.391.391.3

中中中中 1,9571,9571,9571,957 1 ,6971 ,6971 ,6971 ,697 86.786.786.786.7

下下下下 2,0262,0262,0262,026 1 ,8801 ,8801 ,8801 ,880 92.892.892.892.8

5555 上上上上 1,9241,9241,9241,924 1 ,7921 ,7921 ,7921 ,792 93.193.193.193.1

中中中中 1,3451,3451,3451,345 1 ,2511 ,2511 ,2511 ,251 93.093.093.093.0

下下下下 955955955955 881881881881 92.292.292.292.2

合計合計合計合計 30,81930,81930,81930,819 28 ,94628 ,94628 ,94628 ,946 93.593.593.593.5

総産卵量総産卵量総産卵量総産卵量

(万粒)(万粒)(万粒)(万粒)

浮上卵量浮上卵量浮上卵量浮上卵量

(万粒)(万粒)(万粒)(万粒)

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

0

20

40

60

80

100

120

140

1月20日

1月22日

1月24日

1月26日

1月28日

1月30日

2月1日

2月3日

2月5日

2月7日

2月9日

2月11日

2月13日

2月15日

2月17日

2月19日

2月21日

2月23日

2月25日

2月27日

3月1日

3月3日

3月5日

3月7日

3月9日

3月11日

3月13日

3月15日

3月17日

3月19日

3月21日

3月23日

3月25日

3月27日

3月29日

3月31日

4月2日

4月4日

4月6日

4月8日

月日

総数(A.M.) (億個体) 収穫量 (億個体) 間引き率 (%) 平均 培養水温 (℃)

図 1 平成 26 年度ワムシ培養結果

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1 回次生産群において,日令 8~10 で水質悪化

が原因と考えられる活力不良状態が確認された。

急きょ貝化石の大量投入,換水率の増加で対応し

たが,その期間に相当量の減耗があったものと思

われる。2 回次生産群においては予防的に日令7

~10 で貝化石の散布を実施した結果,同様の症

状は確認されなかった。なお2回次の 2 水槽は数

量調整のため途中で廃棄した。

本年度の海面生け簀への沖出しは約60万尾であ

った。

表 2 飼育結果

1回次1回次1回次1回次 2回次2回次2回次2回次 計 計 計 計 

1-11-11-11-1 1-21-21-21-2 1-31-31-31-3 2-12-12-12-1※3※3※3※3 2-22-22-22-2 2-32-32-32-3※3※ 3※ 3※ 3

2月10日2月10日2月10日2月10日 2月27日2月27日2月27日2月27日

(万粒)(万粒)(万粒)(万粒) 140.0140.0140.0140.0※2※ 2※ 2※ 2

140.0140.0140.0140.0※2※2※2※2

280.0280 .0280 .0280 .0

給餌量給餌量給餌量給餌量 ワムシワムシワムシワムシ (億個体)(億個体)(億個体)(億個体) 291.5291.5291.5291.5 108.0108.0108.0108.0 49.049.049.049.0 358.5358.5358.5358.5 190.5190.5190.5190.5 114.0114.0114.0114.0 1111.51111.51111.51111.5

アルテミアアルテミアアルテミアアルテミア (億個体)(億個体)(億個体)(億個体) 3.83 .83 .83 .8 3 .33 .33 .33 .3 2 .52 .52 .52 .5 2.92.92.92.9 2.62.62.62.6 1.51.51.51.5 16 .616 .616 .616 .6

配合飼料配合飼料配合飼料配合飼料 (kg)(kg)(kg)(kg) 205.0205.0205.0205.0 146.1146.1146.1146.1 154.4154.4154.4154.4 77 .977 .977 .977 .9 66 .966 .966 .966 .9 28 .728 .728 .728 .7 679 .0679 .0679 .0679 .0

有有有有 有有有有

20202020 29292929 21212121 30303030

4月9日4月9日4月9日4月9日 4月10日4月10日4月10日4月10日 4月10日4月10日4月10日4月10日 4月17日4月17日4月17日4月17日 4月17日4月17日4月17日4月17日 4月10日4月10日4月10日4月10日

57575757 58585858 58585858 48484848 48484848 41414141

(mm)(mm)(mm)(mm) 32.732.732.732.7 32.932.932.932.9 32.532.532.532.5 24 .724 .724 .724 .7 20 .220 .220 .220 .2

(千尾)(千尾)(千尾)(千尾) 226.0226.0226.0226.0 ---- 196.6196.6196.6196.6 ---- 733.6733 .6733 .6733 .6

(%)(%)(%)(%) ---- ---- ---- 26.226 .226 .226 .2

(千尾)(千尾)(千尾)(千尾) 0.00.00.00.0 83.383.383.383.3 83 .383 .383 .383 .3

0.65%0.65%0.65%0.65% 1.00%1.00%1.00%1.00% 1.16%1.16%1.16%1.16% 0.00%0.00%0.00%0.00%

※1※1※1※1 すべての回次で水槽収容前に1日卵管理を行い、翌日の浮上卵のみ収容したすべての回次で水槽収容前に1日卵管理を行い、翌日の浮上卵のみ収容したすべての回次で水槽収容前に1日卵管理を行い、翌日の浮上卵のみ収容したすべての回次で水槽収容前に1日卵管理を行い、翌日の浮上卵のみ収容した

※2※2※2※2 生残率は収容卵数が100%孵化したとして計算した生残率は収容卵数が100%孵化したとして計算した生残率は収容卵数が100%孵化したとして計算した生残率は収容卵数が100%孵化したとして計算した

※3※3※3※3 2回次生産分のうちで2-1および2-3は生産調整のために廃棄した2回次生産分のうちで2-1および2-3は生産調整のために廃棄した2回次生産分のうちで2-1および2-3は生産調整のために廃棄した2回次生産分のうちで2-1および2-3は生産調整のために廃棄した

分槽の有無分槽の有無分槽の有無分槽の有無

311.0311.0311.0311.0

分槽時日令分槽時日令分槽時日令分槽時日令

生産終了日生産終了日生産終了日生産終了日

終了時日令終了時日令終了時日令終了時日令

取り上げ全長(平均)取り上げ全長(平均)取り上げ全長(平均)取り上げ全長(平均)

取り上げ尾数 取り上げ尾数 取り上げ尾数 取り上げ尾数 

取り上げ時点の変形(パグヘッド)取り上げ時点の変形(パグヘッド)取り上げ時点の変形(パグヘッド)取り上げ時点の変形(パグヘッド)

回次回次回次回次

生産開始日生産開始日生産開始日生産開始日

受精卵収容数受精卵収容数受精卵収容数受精卵収容数

0.00.00.00.0

生残率生残率生残率生残率

※2※2※2※2

38.438.438.438.4

選別抜け個体(処分)選別抜け個体(処分)選別抜け個体(処分)選別抜け個体(処分)

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沖出

全長 全長 *

(mm) (mm)

4/9 225,400 37.1 5/1 尾鷲 44,000

紀北町 76,000 60.6

4/10 299,600 38.0 5/2 志摩市 38,220 60

525,000 30.6 大紀町 52,920 60.6

5/9 南伊勢(南島) 91,400

5/10 鳥羽 111,800

5/14 南伊勢(南勢) 86,700

賀田 9,270 63.9

510,310

4/17 90,000 27.9 5/20 水技 3,000

水高 300 58.6

5/26 賀田 10,200 74

5/29 熊野・紀南 57,100

5/30 海山 3,000 64.9

73,600

615,000 583,910

* 上段:取り上げた死亡個体  中段:生残率%(出荷尾数/沖出し尾数×100) 下段:飼育日数

沖出から出荷・放流

までの飼育結果

2

2

15467

97.2

36

区分 月日 尾数 月日 場所 尾数

15919

81.8

44

出荷時 鼻腔隔

皮欠損

率%

マダイ海面飼育

岩崎剛久・庄司祈生・加藤高志

平成26年度種苗生産を行った全長30mmの種苗60

万尾の海面飼育を行った。

方法

陸上水槽で生産した稚魚は,海面の5×5×4

mのモジ網製生け簀へサイフォン方式により移送

し,90径のモジ網で大小選別を行い,網に止まっ

た平均全長27.9~38.0mmの種苗61.5万尾を飼育し

た。計数は容量法で行ったが,同時に1生簀分を

全数計数による誤差の確認後,各生け簀の数量を

補正して確定した。飼育開始時は5×5×4mの

モジ網製生け簀1面に約3万尾となるように収容

した。

餌料は配合飼料を用い,全体の約80%を6:30,

8:30,11:00,13:00,15:00の5回に分けて手撒き

で行い,その後自動給餌機で行った。自動給餌器

は17:00~18:30の間に残り20%が落ちきるように

作動させた。配合飼料の総魚体重に対する日間給

餌率は,沖出直後(種苗生産日令58日)で9.5%,

全長40mm以降(日令65~)は9%,出荷放流前で

は6%を目安として摂餌状況に応じて調整した。

また昨年と同様,手蒔きの配合飼料に対し,栄

養剤を 0.8%およびアスタキサンチンを 0.9%添

加した。

結果及び考察

海面飼育の飼育結果を表1に示した。飼料は安

価飼料を使用した。5月上旬に滑走細菌症による

死亡が発生したが,1区での影響は少なく,日間

死亡率では最大 0.3%となった。しかし,2 区で

は影響があり,日間死亡率の 1.39%は昨年に比

べて高かった。沖出から出荷までの生残率は 2 区

が 81.8%と振るわなかったが,1 区で 97%と好

成績であったため,全体では 94.9%と昨年に比

べて良い成績となった。収容時に一生簀分を実計

数し容量法との誤差を補正しながら確定した。今

後も容量法での技術を重ねながらこの方法を実践

して行きたい。

表 1 マダイ稚魚の海面飼育結果

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トラフグ種苗生産

岡田一宏・磯和 潔・河村 剛・糟谷 享

平成26年度は,全長20mm,30万尾の生産を目標

に実施した。

方法

1 親魚養成・採卵

採卵用親魚は体重3~4kgサイズで漁獲され,1

年以上飼育したものを主として用いた(以下長期

養成魚)。長期養成魚は屋内コンクリート製円形

水槽(有効水量75m

3

)1槽で飼育した。別途,平

成25年11月~平成26年1月に漁獲された個体を屋

内角形水槽(有効水量45m

3

)2槽に収容し,同年

4月の採卵用に飼育した(以下短期養成魚)。

餌料は,冷凍サバ,冷凍スルメイカおよびモイ

ストペレットを一日おきに与えた。短期養成魚に

はモイストペレットを除き,同様に与えた。

長期養成魚の飼育には疾病対策として紫外線殺

菌装置および銅イオン発生装置によって処理した

海水を使用した。また,4月上~中旬の採卵にあ

わせて水銀灯での日長処理および飼育水温の加温

による環境調整を行った。短期養成魚については

飼育海水の疾病対策および環境調整は行わなかっ

た。

4月上旬に長期,短期の養成親魚ともに成熟度

調査を行い,成熟が確認できた雌雄の背筋部に生

殖腺刺激ホルモンhCG(500IU/kg)を注射した。

4日後にhCGを再投与(1000IU/kg)し,その後触

診作業で排卵がみられた個体から搾出方法により

採卵した。受精は,雌1尾の卵に対して雄複数尾

の精液を媒精し,乾導法により行った。

卵の管理は1000Lアルテミア孵化水槽(以下卵

管理水槽と略)を用いて行った。卵の収容密度は

海水1Lあたり約1,000粒(最大)とした。毎時1回

転の注水率で濾過海水を注水し,エアーストーン

で強通気しながら自然水温で管理した。飼育水槽

に収容するふ化仔魚数は,雌1個体別に求めた受

精卵湿重量1gあたりの卵数と受精から約120時間

後の発生率を基に算出した。

2 S型ワムシの培養

培養方法は隔日植え継ぎのバッチ培養式として

主餌料は淡水濃縮クロレラを用い,補助的に自家

製濃縮ナンノクロロプシスを使用した。2m

3

元培

養槽から必要量を収穫して同型水槽で栄養強化し

た後,仔魚に給餌した。

3 飼育

飼育水槽は,屋内コンクリート製(有効水量50

3

)水槽を使用した。飼育水温はふ化仔魚収容

時を自然水温とし,その後は20℃まで0.5℃/日

の割合で昇温した。飼育海水は濾過海水を使用し

た。照明は700Wの水銀灯(3灯/槽)で行った。

水銀灯の電照時間は13時間明期(電照時刻6:00~

19:00)とした。

飼育水には自家製の濃縮ナンノクロロプシスを

添加した。S型ワムシは2日令から30日令まで,ア

ルテミア幼生は20日令から40日令まで,それぞれ

市販の栄養強化剤で栄養強化したものを与えた。

配合飼料は18日令から数日間手まき給餌し,餌付

いた後は自動給餌機により取り上げまで与えた。

補助餌料として凍結マダイ卵を40日令から取り上

げまで与えた。

25日令以降,仔魚の生残状況に応じて同型水槽

への分槽による密度調整を行った。分槽は,夜間

に水中灯を点灯し光に蝟集する稚魚を口径50mmホ

ースで吸引して収容する方法で行った。目標サイ

ズに成長後は全数取り上げて容量方法による生残

尾数の計数を行い,海面での中間育成に移行した。

取り上げ時に各生産群の標本100個体について鼻

孔隔皮の欠損率を調べた。

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- 33 -

親魚No

♀♀♀♀ 体重 体長 肥満度 卵径 採卵時刻 受精前 受精後*1 1gあたりの 卵数 発生率*2 発生率*3

(Kg) (cm) (mm) (g) (g) 卵数 (万粒) (%) (%)

1 4.72 53 33 1.03 4/15(14:20) 1,320 1,620 630 102.1 97 89

2 4.08 51 32 1.04 4/15(14:40) 1,210 1,590 609 96.8 89 89

3 5.67 53 38 1.06 4/15(14:55) 1,230 1,700 573 97.4 97 96

4 3.77 48 35 1.05 4/15(15:20) 1,080 1,430 658 94.1 97 93

5 3.64 47 35 1.04 4/15(15:40) 1,080 1,110 755 83.8 5 -

6 3.39 46 35 0.98 4/16(9:25) 830 1,210 658 79.6 96 89

7 3.41 49 29 1.03 4/16(9:50) 710 730 -     - 0 -

8 3.65 48 33 0.93 4/16(10:05) 730 1,000 616 61.6 89 88

9 3.92 51 30 0.94 4/17(8:10) 770 1,120 673 75.4 89 91

10 3.95 50 33 0.95 採卵不可 - - -     - - -

11 4.32 53 30 0.92 採卵不可 - - -     - - -

12 5.83 59 28 1.05 採卵不可 - - -     - - -

♂♂♂♂

1 4.20 51 33

2 3.15 45 36

3 3.64 47 35

4 3.09 44 38

5 3.47 45 38

短期養成魚はNo2,5,6,7,9,10,11,12 *1 受精後4時間後に計量

親魚No2,4,6の受精卵を生産用に使用 *2 受精後約72時間

親魚No1の受精卵を三重県栽培漁業センター(浜島)の生産に使用 *3 受精後約120時間

採卵

♀ ♂ 不明 計 ♀ ♂ 不明 計

8 7 1 16 25 6 3 34

14 1 5 20

合計 22 8 6 36

新規購入(20尾)

平成25年11月~平成26年1月:県内遊木漁港8尾

平成26年1月:静岡舞阪漁港12尾

平成26年4月成熟度調査時 平成26年11月現在

75m

3

親魚水槽(長期養成親魚)

45m

3

角形水槽(短期養成親魚)

採卵作業終了後、75m

3

水槽に収容

結果

1 親魚幼生・採卵

平成26年4月8日に親魚の成熟度調査を行った。

成熟度調査時での親魚保有数は表1に示した。こ

のうち,長期養成魚の雌4尾,雄5尾,短期養成魚

の雌8尾に同日にhCGを注射した。採卵結果は表2

に示した。4月15日~17日に雌計12尾のうち8尾か

ら採卵した。のこりの雌4尾については同期間に

排卵状態まで誘導出来なかった。採卵した8尾中,

7尾の受精卵発生率が良好であり,このうち3尾分

の受精卵を生産に,また1尾分を三重県栽培漁業

センター(浜島)の生産に供した(表2)。本年

度は長期養成魚の死亡率が高かったため,短期養

成魚の使用数が増加した。短期養成魚からの採卵

成功率は長期養成魚に比べて低い結果となり,さ

らに改善が必要である。

表 1 成熟度調査時の親魚保有数

表 2 採卵結果

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合計

親魚育成方法

生産開始日

収容尾数 (万尾)156.0

密度調整

 1-1  1-2

飼育期間 (4/23~6/12) (5/21~6/12)

給餌量

ワムシ (億個体)191 15 618

アルテミア (億個体)4.3 2.8 13.6

配合飼料 (kg)48.3 44.8 163.6

マダイ卵 (kg) 14.8 14.4 56.9

飼育終了日令50 50

平均全長 (mm) 29.4±3.4 27.8±3.1

取り上げ尾数 (万尾) 13.4 10.5 36.4

生残率 (%)

12.5

45.4 25.4

30日令で飼育終了

209

1.8

2.1

0

203

4.7

68.4

27.7

53

30.5±3.3

(4/24~6/16)

27日令で2槽に分槽 生産調整のため 27日令で約半数を間引き

 3-1

4月23日 4月23日 4月24日

52.6 54.2 49.2

1回次 2回次 3回次

長期養成 短期養成 短期養成

2 S型ワムシの培養

トラフグ飼育期間中の総回収量は約1180億個体

で,そのうち約660億個体を栄養強化槽で二次培

養した。淡水濃縮クロレラの使用量は計350L,自

家製濃縮ナンノクロロプシスの使用量は計380L

(100億細胞/ml)であった。

3 飼育

本年度は50m

3

飼育水槽1つあたり,ふ化仔魚約

50万尾を収容して計3水槽で飼育を開始した。内2

水槽は短期養成親魚から,1水槽は長期養成親魚

からの採卵分である。飼育結果を表3に示した。

25日令までの生残状況は良好であり,以降,同型

水槽に稚魚を分散した。生産調整のため,2回次

については全数を,3回次については約半数を飼

育途中で廃棄した。50日令から53日令にかけて,

平均全長28~31mmの稚魚約36万尾を取り上げ,必

要分を中間育成に移行した。

鼻孔隔皮の欠損率は1回次が11%,3回次が40%

であり,本年度も飼育群による差が生じた。

表3 飼育結果

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飼育期間 生残率

月日 尾数 全長(mm) 日 (%) 月日 尾数 全長(mm)

尾鷲 1 6/12 168,500 31.3 6/30 40,000 62.5

6/16 1,500 31.8 22 100 7/2 80,000 64.0

7/4 8,500

10,000

10,000

170,000 21,500 64.0

小計 170,000

26年度計 170,000 31.3 22 100 170,000

種苗生産

回次

沖出時 出荷時

トラフグ海面飼育

岩崎剛久・庄司祈生・岡田一宏

本年度は, 17万尾のトラフグ種苗の海面飼育

を行った。

方法

海面飼育は陸上水槽で生産されたトラフグ種苗

を,サイフォン方式により海面の網生簀(5×5

×4m)に移送し,90径のモジ網で大小選別を行

い,網に止まった全長23.7~36.9mmの種苗17万尾

を飼育した。計数は容量法で行ったが,同時に1

生簀分を全数計数し,各生け簀の数量を補正して

確定した。飼育開始時の収容密度は,10,000尾/

生簀とした。

餌料は,経費的に対応可能な範囲で高品質のマ

ダイ用配合飼料を使用し,全長45mm以上からは冷

凍アミエビを併用し,給餌量全体の0~60%につ

いて配合餌料と置き換えた。なおアミエビは,重

量換算により,配合飼料1に対して3の割合で与

えた。給餌は1日の量の80%を手蒔きで7回(6:

30,8:00,9:30,11:00,13:00,14:30,16:00)

に分けて行い,残り20%は自動給餌器(17:30~

18:30)を使用した。

結果及び考察

本年度の海面飼育結果を表1に示した。種苗は

6月12日に168,500尾(31.3mm),6月16日に1,500

尾(31.8mm)を中間育成用網生け簀に収容した。日

間給餌率は,配合飼料換算で魚体重の11%とし,

成長に応じて徐々に6.5%まで低下させた。飼育

期間は最大で23日であった。

飼育は順調に経過し,生残率は昨年度の98,7%

に比べ100%と良好な結果であった。これは陸上

水槽で生産された種苗の状態が良く,また昨年度

と比較して小サイズで沖出ししたことにより,種

苗の負担が軽減されたことや,自動給餌器の使用

を減らし,手撒き量を増やしたことによる給餌方

法の見直しが高成績の要因になったと考えられる。

今後も遊泳状況や肥満状態などから観察した魚体

の活力および餌料の栄養面に留意するとともに,

沖出し時期,種苗サイズ等,餌料条件以外の要因

であるハダ虫駆除対策などについても引き続き検

討していきたい。

表 1 トラフグ海面飼育結果

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表 1 採仔結果

カサゴ種苗生産

河村 剛・糟谷 享・二郷卓生

目的

本年度はカサゴ種苗30mm,20万尾を目標に生産

を行った。

方法

1.親魚

カサゴ親魚には平成22~25年度に購入した天然

親魚を用いた。

2.採仔

採仔は例年同様自然採仔で4水槽,採仔試験と

して切開法で1水槽行った。切開法は(一財)宮崎

県水産振興公社の方法に則り行った。

自然採仔は50m

3

巡流型コンクリート水槽(以下

50m

3

水槽と表記)を用いて,腹部の膨らんだ産仔

直前の雌親魚をトリカルネット製採仔用篭に15~

16尾/篭入れたものを3~6篭/槽収容し,1水

槽につき1~2日かけて産仔させた。

収容尾数は仔魚の収容終了日に夜間柱状サンプ

リングにより算出した。

3.飼育

飼育は自然採仔,切開法とも同様に行った。

飼育水は濾過海水を用い,注水は日齢52までは

50mm径注水口で底部から行い,以降は上部よりシ

ャワーによる注水を追加した。飼育水温はアルテ

ミア給餌が始まる日齢20までは17℃に加温し,以

降は自然水温(14.6℃)まで徐々に下げた。電照は

日令30まではAM6:30~PM5:30の11時間行い,以降

は電照なしで自然光のみとした。飼育水槽には仔

魚のストレス軽減,水質の安定およびワムシの飢

餓防止のため,生産開始からナンノの添加を行っ

た。酸素通気は酸素分散器を用いて日齢4より開

始し,溶存酸素の低下に伴い適宜増量した。日齢

8より自動底掃除機による底掃除を1日1回行った。

日齢10で再度計数を行い,日齢12以降,収容密

度の高い水槽から夜間に,50mm径ホースを用いた

サイフォンにより密度調整のための分槽を行った。

ワムシ給餌は仔魚収容時から日齢40まで1日2

回,1~4億個体の定量給餌を行った。アルテミ

アの給餌は日齢22から42までは午後1回,ワムシ

給餌が終了する日齢42から選別までは2回給餌を

行った。配合飼料の給餌は日齢17から30までは早

朝1回,日齢31以降は自動給餌器で行った。

大小選別は4.5mmおよび5.5mmマス目のステンレ

スメッシュ網(以下4.5mmカゴおよび5.5mmカゴと

表記)で作成したカゴを用いて,日齢56以降3回行

った。4.5mmカゴは全長25mm以上・以下に選別し,

それぞれ50m

3

水槽に再収容した。5.5mmカゴでは全

長30mm以上・以下に選別し,全長30mm以上は沖出

しを行い,それ以下は50m

3

水槽に再収容した。尾

数計数はステンレス製のザルを使用し,容量法に

より算出した。

結果

1.親魚

12 月 24 日の成熟度調査において,採仔可能と

思われる雌親魚は平成 22~24 年購入分 51 尾,平

成 25 年購入分 47 尾であった。

2.採仔

採仔結果を表1に示した。12月24日から27日にか

けて4水槽で自然採仔を行った。12月26日には平

成22~24年購入分51尾から8尾を選抜し,切開法

による採仔を行い,7尾から得られた仔魚39.1万

単位:万尾

区分 自然① 自然② 自然③ 自然④ 切開

収容数(容量法) 39.1

収容数 61.3 17.1 31.2 45.3 31.9

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尾を1水槽に収容した。柱状サンプリングによる

収容尾数は自然採仔で154.9万尾,切開法で31.9

万尾であった。

3.飼育

飼育結果を表2,選別結果を表3,給餌量を表4

に示した。4日間の自然採仔及び切開法により得

た仔魚は5水槽に収容し,飼育を開始した。自然

①区49.7万尾を日齢12から14にかけ分槽し,自然

④区の水槽は日齢10の計数後,日齢15で数量調整

のための処分を行ったため,5槽での飼育となっ

た。自然③区は日齢14,切開区では日齢16で間引

きを行った。

取り上げは日齢57~64に行い,選別には4.5mm

カゴを用いた。選別の結果,25mm以上を大区とし

て約2.7万尾を1槽に,25mm以下を小区として約

24.3万尾を3槽にそれぞれ再収容した。

再収容から沖だしまでは更に 3 回取り上げ・選

別を行った。大区では 5.5mm カゴで選別を行い,

カゴに止まったものは沖だしし,残りは再収容し

た。小区は 4.5mm カゴで選別を行い,止まったも

のは大区の残りと併せ,残りは再収容し,それぞ

れ飼育した。

飼育は日齢 79~89 まで行い,19.65 万尾を沖だ

しし,1.3 万尾を廃棄した。

単位:万尾

自然① 自然①-2 自然② 自然③ 自然④ 切開

収容数 17.1 31.2 45.3 31.9(39.1) 186.8

10日目 29.7 35.3 33.4 37.8 185.9

分槽 20.9 20.0 廃棄

間引き 6.8 13.1 19.9

飼育数 20.9 20.0 29.7 20.6 19.0 110.2

取り上げ 6.1 6.6 6.2 3.5 4.7 27.1

生残率(%) 29.2 33.0 20.9 17.0 24.7 24.6

61.3

49.7

生残率は間引き後の飼育数より算出

表 2 飼育結果

表 3 選別結果

期間 開始時(尾) 生残率

25mm以下 25mm以上 30mm以下 30mm以上 計 %

一次飼育 1,102,000 243,285 27,329 270,614 24.6

二次飼育 270,614 104,266 82,372 31,428 218,066 80.6

三次飼育 186,638 22,374 65,358 4,675 83,590 175,997 94.3

四次飼育 92,407 12,841 80,967 93,808 101.5

195,985 18.9

取り上げ選別結果(尾)

各期間の取り上げ数の内30mm以上のものを沖出しした

ナンノ添加量(L) ワムシ給餌量(億) アルテミア給餌量(万) 配合飼料給餌量(g)

一次飼育 733.4 1,024.5 605,150 81,235

二次飼育 94.5 45,000 60,000

三次飼育 24.5 42,200

四次飼育 11.5 40,600

計 863.9 1,024.5 650,150 224,035

表 4 給餌量

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カサゴ海面飼育

岩崎剛久・庄司祈生・河村剛

本年度は全長50㎜,17万尾を生産目標に海面飼

育を実施した。

方法

海面飼育は3月4日から4月24日にかけて行い,

5×5×4mの網生簀を使用した。生簀は上面を

遮光幕で覆い,底面中央から通気と水中灯による

照明を行った。開始から4月8日までは通常の海

面施設を使用し,9日以降はマダイの海面飼育に

伴い沖合の海面施設に移した。

飼料は昨年度と同様のマダイ用安価餌料と,モ

ジャコ用配合飼料との混合飼料を与えた。給餌方

法は昨年度と同様だが,沖合の場所に移動した時

点より手蒔3回(7:30~・11:30~・16:00~)と

した。日間給餌率は沖出し直後の目安を魚体重の

10%とし,50mmまで成長に応じて徐々に4%まで

低下させた。

計数は網生簀収容時に容量法で行い,出荷時は

計数機で一尾ずつ計数(実計数)する方法を用い

た。

結果・考察

本年度の海面飼育結果を表1に示した。3月4

日から3月23日にかけて容量法で計数したカサゴ

種苗196,400尾を網生簀に収容した。沖出し時の

平均全長は35.4~37.8mmであった。その後約4週

間で50mmに達し,飼育は順調に経過した。生残率

は昨年97.3%だったが,今年度は99.1%であった。

出荷は,4月3日から4月24日の間に行い,平

均全長は52.1~57.3mm,尾数は184,400尾であっ

た。出荷時の計数は全て実計数で行った。容量法

との誤差は5.3%と昨年の2.5%と比較して誤差が

大きくなってしまったが,容量法での技術向上を

目指して今後も行っていきたい。また,稚魚の活

力を考慮しながら通常飼料と安価餌料との併用で

飼育していく。

表 1 カサゴ海面飼育結果

開始時 出荷時 死亡数 飼育期間 生残率

月日 尾数 全長(mm) 月日 尾数 全長(mm) (尾) (日) (%)

1区 5.5止 3/4 31,400 35.4 4/3 10,000 54.4

2区 5.5止 3/14 33,000 37.9 4/4 19,614 54.4

3/14 51,500 35.9 4/4 11,386 50

3区 5.5止 3/23 81,000 37.8 4/8 14,564 53.3

196,900 4/11 15,000 56

4/15 22,000 56

4/19 21,150 52.1

4/22 26,450 52.1

4/23 21,150 52.1

4/24 7,700 57.3

4/24 15,450 52.1

184,464 1,926 41 93.7

26年度計 196,900 184,464 1,926 93.7

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アワビ種苗生産

岡田一宏・磯和 潔

本年度は殻長15~30mmの稚貝90万個の生産を目

標に実施した。

1. 平成25年産種苗の飼育

方法

前期飼育

10m巡流水槽(実水量10m

3

)を用いてメガイア

ワビおよびクロアワビ稚貝の直播き飼育を行った。

平成26年1月の付着板飼育終了時から同年10月の

出荷時まで,配合飼料を与えて飼育した。飼育海

水は砂ろ過海水を紫外線殺菌装置で処理したもの

を用いた。夏季の高水温時には低温安定である海

洋深層水を混合し,飼育水温が25℃を下回るよう

にした。収容数および飼育開始時のサイズは表1

に示した。飼育水槽にはシェルター(黒色塩ビ板

20cm×100cm×4枚/組)を8組設置した。配合飼

料の給餌量は,稚貝体重に対する配合飼料の割合

(日間給餌率)を,稚貝の成長や飼育水温の推移

を見ながら約3~1%の範囲で決定し,週2~3

回に分けて与えた。稚貝の平均殻長が20mm前後に

達した9月下旬~10月上旬に全ての稚貝を取り上

げた。取り上げた稚貝はLL(殻長25mm以上),L

(殻長20~25mm),M(殻長20mm以下)の3種類の

サイズに選別し,それぞれ重量換算で個数を算出

し,Mサイズ稚貝は中間育成用に出荷した。

後期飼育

LLおよびLサイズの稚貝は,25mm~30mmサイズの

出荷用として10mおよび20m巡流水槽(実水量20m

3

に再収容して飼育を継続した。基本的な飼育方法

は前期飼育と同一とし,20m巡流水槽には10m巡流

水槽と同型のシェルターを18組設置した。配合飼

料の日間給餌率は約1~0.6%の範囲で週3回に

分けて与えた。20m巡流水槽は紫外線殺菌海水装置

を整備していないため,飼育海水は通常砂ろ過海

水を使用した。

水槽No 種類 平均殻長 収容数 平均殻長 取り上げ数 生残率

(10m

3

巡流水槽) (mm) (万) (mm) (万) (%)

5 メガイ 5 8.0 - 9.60

6メガイ

- - - 10.38

7メガイ

6.5 6.8 22.5 8.37

8メガイ

5 9.4 22.2 8.53

9 メガイ 5 8.6 20.7 9.61

10 メガイ 6.5 7.9 22.1 8.70 109.6*

11メガイ

5 8.1 - 10.70

12メガイ

3.5 16.8 21.0 10.93

13メガイ

5 10.2 - 9.03

14 メガイ 5 10.8 - 9.76

15 メガイ 5 9.6 - 10.15

16メガイ

6.5 8.0 - 8.48

メガイ計 104.2 114.2

3クロ

7.0 - 6.88 98.3

4クロ

6.7 21.9 6.45 96.3

クロ計 13.7 13.3 97.3

* 飼育途中で水槽間の密度調整を行い,11水槽から12水槽に拡大したため,水槽個別の生残率は不明。

* 開始時の計数値が過少評価されたため計算上の生残率は過大になったが,死亡数から算出した生残率は99%であった。

開始時 終了時

表 1 平成 25 年産稚貝 前期飼育結果

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結果

前期飼育

前期飼育の結果を表1に示した。メガイアワビ,

クロアワビとも概ね順調に経過した。メガイアワ

ビは飼育途中で水槽間の密度調整を行い,計11水

槽から12水槽に拡大したため水槽別の生残率は不

明となった。全体の計算上の生残率は100%を上回

ったのは開始時に重量換算で算出した飼育個数が

実数よりも過少に評価されたことによるものと思

われるが,回収した死亡個体数から計算した生残

率も99%以上と高かった。平成26年10月に取り上

げたメガイアワビ稚貝のサイズ別割合は全水槽の

平均でLL,L,Mの順に19.5%,61.9%,18.6%であ

り成長も良好だった。クロアワビの生残率も97%

と良好で,取り上げ時のサイズ別割合はLL,L,M

順に17.9%,73.7%,8.4%であった。メガイアワビ

67万とクロアワビ7.8万を再収用し,後期飼育に移

行した。また,メガイアワビ19.6万とクロアワビ

1.2万を三重県栽培漁業センターへ移し,飼育を継

続した。

後期飼育

後期飼育の結果を表2に示した。メガイアワビ,

クロアワビとも順調に経過し,平成26年11月~12

月に平均殻長25mmおよび30mmで直接放流用として

出荷した。また,30mmサイズの一部は平成27年3

月に出荷した。平成27年3月までの生残率は99%

と高かった。出荷前に実施したキセノハリオチス

症の検査は全て陰性であった。

表2 平成25年産稚貝 後期飼育結果

2. 平成26年産種苗の飼育

方法

平成26年産の親貝養成および採卵は,例年どお

り三重県栽培漁業センターで行った。クロアワビ

の採卵は平成26年11月5日に,メガイアワビの採

卵は平成26年11月12日(1回次),11月19日(2

回次)および12月1日(3回次)の計3回実施し

た。受精卵は,約15Lのスチロール容器1つあたり

約200~250万粒を収容して輸送し,500Lパンライ

ト水槽1つあたり,約400~500万粒を収容した。

ふ化幼生は,100Lアルテミアふ化槽を改造した飼

育容器に1つあたり約150~200万を収容し,1時

間あたり約50Lの注水をして採苗まで管理した。

10m巡流水槽を用いて採苗および付着板飼育を行

った。付着板(33×33cm/枚×56枚/組)には予

水槽No 種類 平均殻長 収容数 平均殻長 取り上げ数 平均殻長 取り上げ数 生残率

(巡流水槽) (mm) (万) (mm) (万) (mm) (万) (%)

10m-5 メガイ 27.5 4.5

10m-10 メガイ 27.5 4.5

10m-11 メガイ 27.5 4.5

10m-16 メガイ 27.5 4.5

10m-18 メガイ 27.5 4.5

10m-17 メガイ 23 5.0

20m-1 メガイ 23 10.0

20m-2 メガイ 23 10.0

20m-3 メガイ 23 10.0

20m-4 メガイ 23 10.0

メガイ計 67.5 37.2

10m-19 クロ 23.5 4.0

10m-20 クロ 23.5 3.8

クロ計 7.8 7.8

メガイ 23 19.6 25.1 17.9 91.5

クロ 28.5 1.2 30.0 1.2 99.9

合計 95.7 62.3

*平成27年3月現在,飼育途中のため最終生残率は不明

99.9

開始時(10月初旬) 11月~12月 3月~4月

30.1~30.9 15.1

25.8~26.5 22.1 31 2.7 *

34 7.1 98.7

浜島

26.8 7.8

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め,Ulvella lensとCocconeis sp.を種付けした後,

自然海水由来の餌料珪藻を増殖させた。付着板は

1水槽あたり40組を使用した。採苗後は紫外線殺

菌海水を使用した。後日,新規付着板(同付着板

×40組×2水槽)への分散によって密度調整を行

った。採苗後約30日目に,付着板全組につき両端

の2枚の付着稚貝数を計数して生残率を算出した。

稚貝の平均殻長が約5mmに達した時点で付着板よ

り剥離した。剥離した稚貝は直ちにL(殻長6mm

上),M(殻長4.5~6mm),S(殻長4.5mm下)の

3段階のサイズに選別した。選別した稚貝はそれ

ぞれ重量換算で個数を算出して,同巡流水槽に再

収容し,直播き飼育に移行した。

表3 平成26年産稚貝 採苗および付着板飼育結果

結果

平成26年産種苗(平成27年度出荷用)の採卵,

採苗および付着板飼育結果を表3に示した。クロ

アワビ,メガイアワビとも,ふ化率および浮遊期

生残率はほぼ例年並みであった。採苗後約30日目

の生残率は,クロアワビおよびメガイアワビ1回

次では例年と大差はない値(30%前後)であった

が,メガイアワビ2回次では15%と低かった。メガ

イアワビ3回次は成長が不良であり,一方メガイア

ワビ1回次の成長および生残が良好で餌料珪藻不

足が懸念されたので,メガイアワビ3回次の付着

板をメガイアワビ1回次の分散用として使用した。

採苗30日目から剥離(平均殻長約5mm)までの生

残率は両種アワビとも良好であった。メガイアワ

ビは採苗後約30日目の計数値が実数よりも過少に

評価されたと思われ,計算上の生残率は100%を上

回った。またメガイ1回次については,メガイ3

回次の付着板を使用したことにより3回次の稚貝

数が上乗せされているため,誤差がさらに大きく

なっている。メガイアワビ剥離数の合計は約120

万個で,サイズ別割合は,L,M,Sの順に24.8%,

54.6%,20.6%であった。クロアワビの剥離数は

約36万個で,サイズ別割合は,L,M,Sの順に11.3%,

47.3%,41.3%であり,メガイアワビに比べ成長

は悪かった。剥離した稚貝のうち,LおよびMサイ

ズを再収容した。メガイアワビ約80万個,クロア

ワビの約20万個を配合飼育による直播き飼育に移

行した。

 

採卵日 輸送卵数 ふ化幼生数 ふ化率 飼育数 生残数 水槽No 付着板数 採苗数

万 万 万 万 万

11月5日 1,050 647 62% 647 432 67% 4 40組 130 44.7 34% 71 18.1

(クロ) 3 40組

分散

18.3

クロ計44.7

36.4 81%

11月12日 1,565 1,065 68% 990 745 75% 6 40組 100 30.9 31% 70 42.6

7 40組 100 22.0 22% 70

1 40組 分散1 71 35.8

2 40組 分散2 71

小計 200 52.9 26% 78.4 148%

11月19日 1,575 1,358 86% 1,358 868 64% 8 40組 125 24.9 20% 71 42.8

(メガイ2回次)

9 40組 125 13.0 10% 71

小計 250 37.9 15% 42.8 113%

12月1日 1,354 908 67% 830 376 45% 1 40組 100 ━ ━ ━ ━ ━

(メガイ3回次)

メガイ計 4,494 3,331 74% 3,178 1,989 63% 1,000 90.8 9% 121.2

*メガイアワビは採苗後約30日目の計数値が実数よりも過少に評価されたと思われ,剥離時における計算上の生残率は100%を上回った。

(メガイ1回次)

採苗後約30日 剥離時

付着数

(万)

生残率(1)

採苗後

日数

剥離数

(万)

生残率

(2)*

浮遊期

生残率

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平成26年度アワビ種苗大型化実証事業

岡田一宏・磯和 潔

平均殻長25~30mmで放流されるアワビの採捕率

は5%程度と低く必ずしも漁獲量増加に結びつい

ていないのが現状であるため,漁業者から高い採

捕率が期待できる大型種苗の放流要望が出されて

いる。一方,従来サイズ種苗の要望数は尾鷲栽培

漁業センターの生産限界数に達しており,アワビ

飼育水槽では種苗の大型化に対応する余裕はない。

そこで,魚類種苗生産用の植物プランクトン培

養水槽を用いて従来の放流サイズである30mmアワ

ビ種苗を収容し,目標サイズを平均殻長50mmとし

て放流種苗大型化に関する検証試験を行った。

材料および方法

供試貝は平成24年に採卵し,平成26年4月に平

均殻長33mmに達した飼育群から抜き取った。4月

1日から6月30日までは屋内のアワビ用10 m

3

流水槽で予備飼育を行った。6月30日に麻酔剥離

を行い重量換算方法で10,000個体を計数し,屋外

植物プランクトン培養用水槽(以下試験水槽とす

る)に収容して本試験を開始した。開始時の平均

殻長は38.2±5.3mm,平均体重6.1g(N=100)で

ある。

試験水槽は長さ11m,幅5m,深さ0.9mのコンク

リ-ト製水槽で有効水量は40m

3

(深さ0.7m)であ

るが,本飼育試験では後述する理由により水深

0.2m,実水量10m

3

として使用した。雨天および荒

天時の飼育管理作業を円滑に行うため上部にパイ

プハウスを設置し透明ビニールシートで覆った。

水槽内には稚貝用シェルターとして1×1mの黒

色プラスチック製波型板を20枚投入した。

尾鷲栽培漁業センターのアワビ生産では,稚貝

の減耗対策として紫外線殺菌装置による飼育海水

の殺菌処理が必須となっている。本試験において

も飼育海水は,処理能力10m

3

/時間の紫外線殺菌

装置を2台用いて殺菌処理した。注水量は1時間

あたり10 m

3

とした。通気は水槽底面に等間隔で

15か所に設置したホース状通気用素材1ヶ所あた

り50cm)により行った。

餌料はアワビ用配合飼料(丸松産業社製B-1型,

13×13×2mm)を使用した。開始時の給餌量は予

備飼育段階の推定日間給餌率(稚貝総体重に対す

る1日あたりの配合給餌量の割合)を元にして与

えた。その後は稚貝の摂餌状況を見ながら給餌量

を増減し,残餌量が多くならないように配慮した。

給餌は週2回とし,給餌作業の前には前回給餌分

の残餌および排泄物の清掃作業を行った。同時に

死亡個体を回収し計数した。本試験では水槽の形

状上,従来のホース吸い込みによる清掃作業が極

めて困難であるため,水槽内の飼育海水を全て排

水して残餌および排泄物を注水ホースによって流

し切る方法とし,終了後は直ちに注水して元水量

に戻した。この間,稚貝(特に壁面に付着する稚

貝)は干出するので,干出時間を極力短くするた

め飼育水量を10m

3

とした。紫外線殺菌装置2台の

うち1台は清掃作業後の注水時のみに使用した。

毎月末に100個体を無作為に抽出して殻長を測

定した。この100個体の総体重を計量して平均体

重を求めた。飼育水温は毎日午前中に測定した。

試験期間は平成26年7月1日~平成27年3月16

日までの259日間とした。試験終了時は全数を取

り上げ,総重量を計量して重量換算により生残数

を算出した。

結果

成長

稚貝の成長を図1に示した。稚貝は,夏季に大

幅に停滞することなく成長し,12月末にはほぼ目

標の平均50mmに達した。試験終了時(3月16日)

の平均殻長は53.2±6.4mmとなった。試験開始時

と試験終了時の殻長(各N=100)の階級組成を図

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2に示した。試験開始時の階級の最頻値は35~

40mmの33%であった。試験終了時の最頻値は50~

55mmの31%で,50mm以上の個体は標本全体の66%

であった。

図 1 成長

図2 殻長の階級組成

0

5

10

15

20

25

30

35

25~30

30~35

35~40

40~45

45~50

50~55

55~60

60~65

65~70

70~75

比率(%)

開始時(N=100)

0

5

10

15

20

25

30

35

25~30

30~35

35~40

40~45

45~50

50~55

55~60

60~65

65~70

70~75

殻長の階級(mm)

終了時(N=100)

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生残

稚貝の生残率を図3に示した。試験終了時の重

量換算によって求めた生残数は7,102個体であっ

た。回収して実数計数した死亡個体の合計は

2,575であるので生残数と死亡数の合計は約9,677

個体となり,開始時の10,000に約300個体満たな

い。これを開始時および終了時の計数方法が重量

換算によるため生じた誤差とし,開始個数を

9,677個体に修正して生残率を計算した。

図3に示すとおり,試験開始直後の数日間で大

きい減耗がみられた。試験開始前の供試貝の飼育

状況に問題は無かったことから供試貝を元飼育水

槽から試験水槽へ移す際になんらかの減耗要因が

生じたと考えられる。最も疑われるのは麻酔剥離

作業で, 麻酔時間や麻酔剤の濃度に問題があった

可能性が大きい。開始後6日間で全体の14%にあ

たる約1,300個体が死亡し,その後の減耗度合は

徐々に緩やかになった。月単位の死亡数は,7月

が1,550個体で最大となり,8月,9月,10月,

11月,12月の順に304,226,154,121,93個体と

減少した。1月~3月は月あたり約50個体の死亡数

となった。最終の生残率は73.4%であった。7月

当初の死亡は麻酔作業の影響であるとしても,そ

の後に継続する死亡については麻酔作業との関連

は不明である。

給餌量と飼育水温

飼育水温の推移を図4に示した。9月中~下旬

に24℃台の高水温が続いた。12月中旬から2月上

旬までは15℃を下回る日が多かった。アワビの生

息適水温は20℃前後であり,飼育下における稚貝

の摂餌量は飼育水温によって影響を受けることが

知られている。本試験でも飼育水温の影響が大き

いと考えられる摂餌量の変動が観察された。配合

飼料の給餌量を月別にまとめて図5に示した。月

別の給餌量は9月までは約10kg/月とほぼ横ばい

で,10月,11月と徐々に増加して12月は最大の約

16kg/月となり,1月以降は減少に転じた。

毎月末の稚貝サイズ測定時の平均体重をもとに,

その時点の推定日間給餌率(稚貝総体重に対する

1日あたりの配合給餌量の割合)を求めた。推定

日間給餌率は試験開始当初から8月末まで約

0.5%で推移した後,9月末に0.4%に低下したが,

その後上昇傾向になり11月末には0.5%に戻った。

12月末には再び0.4%に低下し,以降は徐々に下

がっていった。試験期間中の給餌量合計は

103.1kgであった。

稚貝総体重は開始時60.6kg,終了時122.9kgで

純増量は62.3kgであり,餌料効率(純増量/総給

餌量×100)は60.4%となった。

図3 生残率

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図4 飼育水温

図5 給餌量と給餌率

考察

アワビ放流用稚貝の大型化を目的としてアワビ

飼育専用水槽とは異なる魚類種苗生産用の植物プ

ランクトン培養水槽を用いてアワビ種苗を飼育し

た結果,平均38mmの種苗は約9ヶ月半の飼育で平

均53mmに成長し,設定した目標サイズに達した。

以前にアワビ飼育用の巡流型水槽を用いて実施し

たメガイアワビ養殖試験では,平均50mmから68mm

までの飼育で約1.8mm/月の成長が得られている。

今回の試験の月平均の成長は1.6mm/月となり,

養殖試験の結果よりやや劣ったが大差は無かった。

対象サイズが異なり,また従来とは形状の異なる

水槽と方法で飼育した結果なので成長率について

は直接的な比較は出来ないが,植物プランクトン

培養水槽でもアワビ稚貝の育成が可能であること

が分かった。最終生残率は73.4%となり想定を下

回る不十分な結果であった。試験開始時から7月

中の減耗は麻酔作業の影響が大きいと思われるが,

8月以降も一定の死亡が継続したことは他の減耗

要因を否定出来ない。飼育海水は紫外線殺菌装置

で殺菌しているので疾病発生の可能性は低い。本

試験では残餌および排泄物の清掃の際,水槽内の

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飼育海水を全て排水したため,特に壁面に付着す

る稚貝は一定時間空気中に干出した。夏季は気温

が高く乾燥がはやいため,これが減耗ストレスに

なった可能性はあるが明確なことは不明である。

ただし,麻酔作業の影響と考えられる7月の死亡

数を除けば生残率は約87%となるため,清掃作業

中の乾燥が減耗要因としても許容範囲の減耗率に

抑えられると言える。

飼育成績の一指標である餌料効率(総体重の純

増量/総給餌量×100)は60.4%であった。前述

したアワビ飼育用水槽を用いた養殖試験での餌料

効率は56%であり,本試験と大差はない。水槽形

状の問題,あるいは稚貝にかかるストレス等によ

り配合飼料の食べ残しが多い場合は当然,餌料効

率は低下する。植物プランクトン培養水槽を用い

た飼育でもアワビ飼育専用水槽と同等以上の餌料

効率を得られることがわかった。

最後に 50mm サイズの種苗育成に要した経費に

ついて見る。試験開始にあたり整備した紫外線殺

菌装置や上屋用パイプハウス等の設備費用は含め

ず,直接的な経費を計算した。本試験で使用した

配合飼料は合計 100kg で,餌料費は 50,000 円と

なった。飼育管理作業時間は週5時間で賃金とし

ての費用は合計約 200,000 円を要した。電気料金

は直接計算できるものとして紫外線殺菌装置

(0.45kw/h)の約 45,000 円である。注水と通気

は栽培センター全体を賄う大容量機器(取水ポン

プ 18.5kw,給気ブロワー5.5 kw)からの取り分

けになり本試験使用料金を個別に割り出すことは

出来ないため,時間当たりの注水量(10m

3

/時

間)と通気量(4.5m

3

/時間)に換算して概算す

るとそれぞれ約 120,000 円と 10,000 円となった。

以上の直接経費を合計すると約 425,000 円で,生

残した種苗 1 個体あたりの費用に換算すると約

60 円になる。従来サイズ(30mm)の販売単価

(50 円)に加算すると一個体あたり約 110 円で

約 2 倍強となる。ただし,今回の試験に係る経費

算定には,技術職員給与や事務処理等に要する管

理費を含めていないので,これが直ちに大型種苗

の販売単価とは成り得ない。今後は 50mm 種苗の

放流後の採捕率を調査することによって,飼育経

費や水揚げ金額等について従来サイズと比較し,

大型種苗放流の有効性について判断することが必

要である。

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マハタ種苗生産

糟谷 享・岡田一宏・河村 剛・二郷卓生

平成26年度は全長130mm,14万尾の養殖用種苗

の生産を目標に実施した。生産した種苗は形態異

常魚を目視選別した後,マハタのウィルス性神経

壊死症(VNN)を防除することを目的に不活化ワ

クチンを接種して販売した。

方法

1 親魚養成・採卵

採卵用親魚はコンクリート製円形水槽(有効水

量75㎥)1槽で飼育した親魚を使用した。餌料は

サバ,スルメイカおよびモイストペレットを週2

~3回与えた。屋内水槽の飼育水は電解殺菌処理

海水を使用し,5月中旬の採卵にあわせて水銀灯

による日長処理および飼育水温の加温により環境

調整を行った。親魚の成熟度調査は5月12日に行

い,成熟が確認できた雌雄に生殖腺刺激ホルモン

(hCG)を背筋部に注射した(500IU/kg)。採

卵および採精は hCG打注後約42~50時間後に腹

部を圧搾して行った。乾導法による授精後,浮上

卵を500Lパンライト水槽に収容して管理し,胚

体形成期にVNN対策としてオキシダント海水に

よる卵消毒(0.5ppm,60秒)を行った後,飼育水

槽に収容した。精液および授精卵は nested-PC

R法によってVNN陰性と判断されたものを使用

した。

2 一次飼育(ふ化~全長約25mm まで)

飼育水槽はコンクリート製角形水槽(7.2×4.0

×2.1m,有効水量45㎥)を5水槽使用し,基本の

飼育方法は以下の通りとした。飼育水は電解殺菌

処理海水を使用し,3日令より微注水を始め,成

長にともない注水量を上げていった。飼育水温は

卵収容時の自然水温を基点とし,ふ化後は1日

1℃の昇温後,25℃に設定した。通気はエアーブ

ロック方式とし,通気量は卵~ふ化~開口期の間

は強通気(1ヶ所あたり毎分3~4L),それ以

降は弱通気(毎分0.2~1.0L)とした。照明は天

窓からの自然光および500W水銀灯(4灯/槽)

によって行い,水銀灯の電照時間は9日令までは

24時間,それ以降は14時間明期(電照時刻5:00~

19:00)とした。飼育初期の浮上へい死の防止は

0~9日令まで皮膜オイルを飼育水に添加した

(6ml×2回/日/槽)。

一次飼育期間中は取り上げ前日まで底掃除を行

わず,水質維持のため貝化石を毎日散布した

(250g×2回/日/槽)。貝化石と同時に濃縮し

たナンノクロロプシスを飼育水中のワムシ餌料と

して添加した。

飼育水の水温と溶存酸素量(DO)は1日2回

(午前,午後)測定した。酸素は酸素発生機から

通気を行い,DO測定値を見ながら各水槽への酸

素通気量を調整した。

生物餌料は市販の栄養強化剤で栄養強化し,S

型ワムシを飼育初期から40日令まで,ベトナム産

アルテミアを平均全長5.0mm から5日間,その後

北米産アルテミア幼生を平均全長6.0mm から取り

上げ前日まで与えた。ワムシは6日令から毎日一

定量を給餌し,給餌量は飼育水中の残ワムシ数を

みながら1日1水槽あたり1.5~7億の範囲で調

整した。配合飼料は平均全長9.0mm から取り上げ

前日まで与えた。

仔魚の鰾の開腔率を向上させる目的で,10~19

日令まで午前中の約2~3時間,排水用ネットを

取り外してオーバーフロー方式により水面の油膜

を除去した。10日令に夜間の柱状サンプリングを

行い,生残尾数を推定した。一次飼育終了時(48

~53日令)には各水槽150尾について軟エックス

線写真を撮影して形態異常率(主に前彎症)と鰾

の開腔率を調べた。生残数は,全数を取り上げて

スリット式選別カゴ(スリット間隔2.5mm および

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- 48 -

3.0mm)で大,中,小の3群に選別し,それぞれス

テンレス製小型ザルを用いて容量法で尾数を算出

した。

3 二次飼育(全長約25mm~約100mm まで)

陸上二次飼育は尾鷲栽培漁業センター(以下,

尾鷲センター)と伊勢湾南部地区中間育成施設(以

下,伊勢湾施設)で行った。

尾鷲センターではコンクリート製楕円形水槽

(有効水量50㎥)を4基使用した。餌料は配合飼

料を用い,成長に応じて1日に2~5回給餌を行

った。飼育水には電解殺菌処理海水を使用した。

水温,DOは毎日,午前,午後の2回測定した。

底掃除は2日に1回自動底掃除により行った。死

亡個体は毎日確認して計数した。

伊勢湾施設ではコンクリート製円形水槽(有効

水量270㎥)を6基使用した。水槽内に水槽の4分

の1サイズの網生け簀を1水槽あたり3面設置し,

1面に10,000~12,500尾ずつ収容した。飼育水に

は地下海水を用いた。飼育水の水温,DOおよび

pHは毎日,午前,午後の2回測定した。給餌は

尾鷲の給餌基準に従い,1日2~5回与えた。死

亡個体は毎日確認して計数した。

平均全長が80mm を上回った時点で,形態異常

魚の目視選別およびVNN不活化ワクチンの接種

を行った。形態異常魚の選別はベルトコンベアー

(幅0.45m×2m)を用い,麻酔した稚魚をこれ

に流して,目視で形態異常魚を除去した。正常と

判断された稚魚はVNN不活化ワクチンを腹腔内

に注射し,計数後,海面網生簀への沖出し時まで

再飼育した。

結果

1 採卵

本年度の採卵結果を表1に示した。5月12日に

陸上75㎥水槽で飼育した親魚の成熟度調査を行い,

排精が確認された雄8尾,卵巣卵の平均卵径が

450μm 以上の雌9尾を選別して同日に生殖腺刺

激ホルモン(hCG)を背筋部に注射した。5月

14日に雄8尾および雌8尾から採精および採卵し

て人工授精を行った。得られた授精卵は約326万

粒であった。そのうち,約33万粒を尾鷲水産研究

室に提供し,約290万粒を5月15~16日にかけて

5水槽(1水槽あたり約33.6~65.5万粒)へ収容

した。

例年は各水槽の卵質,卵量を同一にするため,

1個体から得られた卵を各水槽に均等に振り分け

ているが,本年度は採卵時間が遅れた個体があっ

たため,それはできなかった。その結果,B-2,

3および4の水槽には4個体からの卵を均等に振

り分けたがA- 3および4の水槽にはそれぞれ2

個体からの卵を収容した。

2 一次飼育

一次飼育の結果を表2に示した。10日令での生

残率は平均67.7%(45.3~95.2%)とほぼ例年通りで

あった。A-3および4の生残率がB列と比較し

て低い値となったが,いずれも目立った減耗や活

♀No 飼育 体重

1*

体重

2*

胚体形成卵数 ふ化率

4*

収容卵数 ふ化尾数

区分 (kg) (kg) (万粒) (%) (万粒) (万尾)

1 陸上人工 9.72 9.76 2.5 76.3% A-3 No.7,8 33.6 23.0

2 陸上人工 7.32 7.80 71.5 88.2% A-4 No.5,6 60.2 47.7

3 陸上人工 10.47 10.97 60.7 87.0% B-2 No.2,3,4,5 65.5 58.2

4 陸上人工 8.62 8.83 18.5 86.9% B-3 No.2,3,4,5 65.5 58.2

5 陸上人工 7.53 7.86 101.7 91.7% B-4 No.2,3,4,5 65.5 58.2

6 陸上人工 8.64 8.87 30.5 67.1% 計 290.3245.3

4*

7 陸上人工 8.31 8.48 8.6 32.4%

8 陸上人工 9.64 9.64 32.0 80.7%

計326.0

3*

1*

成熟度調査時

3*

♀No.1の卵は使用しなかった。また,約33万粒を尾鷲水産研究室に提供した

2*

hCG注射後(採卵時)

4*

ふ化率およびふ化尾数はビーカー試験より算出

配分場所 ♀No.

表1 H26 年度マハタ 採卵結果

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- 49 -

性不良などは見られなかった。理由としてA列は

ふ化率がB列よりも低かったことが考えられる。

取り上げは50~55日令で行い,平均全長20.5

~25.3mm,合計約32.2万尾の稚魚が得られた。

一次飼育終了時の生残率は10.0~20.0%であっ

た。本年度は全ての水槽で油膜除去を行ったが,

鰾の開腔率は4.0~21.3%と低い値であった。形

態異常は主に前彎症で0.7~6.8%であった。鰾の

開腔との相関関係はみられなかった。

3 二次飼育

一次飼育終了後,約32.2万尾の稚魚をサイズ別

に50㎥水槽4槽で飼育した。7月25~31日にかけ

て再度サイズ選別および計数を行い,5水槽に再

収容した。

8月5~8日に約16.7万尾を伊勢湾施設へ移動

し,6水槽に分けて飼育した。尾鷲センターでは

7.2万尾を1水槽あたり1.8万尾となるように4水

槽に分けて収容した。

尾鷲センターおよび伊勢湾施設の二次飼育結果

をそれぞれ表3および表4に示した。ワクチン接

種時までの平均生残率は尾鷲センターでは83.5%,

伊勢湾施設は87.1%であった。また,目視による

形態異常魚(成長不良個体を含む)の平均除去率は

尾鷲センターでは14.6%,伊勢湾施設では4.6%で

あった。尾鷲センターでは10月16,17日に取り上

げを行い,平均全長128mm の稚魚約5.1万尾を海

面生簀に収容した。伊勢湾施設では10月21日~10

月24日に取り上げを行い,平均全長124mm の稚魚

約13.9万尾を尾鷲センターに輸送し,同海面施設

に収容した。

飼育水槽 A-3 A-4 B-2 B-3 B-4 合計・平均

飼育期間 5/16~7/4 5/16~7/9 5/15~7/8 5/15~7/7 5/16~7/5

飼育日数 50日 55日 55日 54日 52日

収容卵数 336,000 602,000 655,000 655,000 655,000 2,903,000

開始時 ふ化仔魚数 230,000 477,000 582,000 582,000 582,000 2,453,000

飼育密度(尾/㎥) 5,111 10,600 12,933 12,933 12,933

日令10 平均全長(mm) 3.02±0.09 3.31±0.22 3.26±0.23 3.31±0.24 3.63±0.21

夜間計数 生残尾数 118,000 216,000 411,000 554,000 439,000 1,738,000

生残率(%)

1*

51.3 45.3 70.6 95.2 75.4 67.6

ワムシ(億) 131.5 151.6 167.5 174.5 174.5 799.6

給餌量 アルテミア(億) 12.5 20.7 21.53 20.5 17.65 92.9

配合飼料(kg) 5.4 12.94 12.09 11.8 7.8 50.1

水質 平均水温(℃) 24.5 24.3 24.3 24.3 24.4

(18.7~25.0) (19.2~25.0) (18.4~25.0) (18.5~25.0) (18.5~25.0)

平均DO(mg/L) 7.1 6.9 7.0 7.0 6.7

(5.2~8.3) (4.8~8.3) (5.5~8.4) (5.5~8.5) (5.4~8.0)

日令 48 53 53 52 50

一次飼育 平均全長(mm) - 25.32±3.74 25.23±3.06 20.80±2.57 20.53±2.92

終了時 生残尾数 46,079 57,928 60,311 100,106 58,051 322,475

生残率(%) 20.0 12.1 10.4 17.2 10.0

終了時 標本数 -

2*

150 150 150 150

エックス線写真 前彎症(%) 5.3% 6.7% 4.7% 0.7%

撮影結果 椎体癒合(%) 2.7% 0.0% 1.3% 2.7%

開鰾率(%) 7.3% 21.3% 15.3% 4.0%

1*

 生残率 = (生残尾数/ふ化仔魚尾数)×100

2*

A-3 サンプル資料なし

表2 陸上一次飼育結果

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飼育水槽 No.1 No.2 No.4 No.5 合計,平均

飼育期間 8/8~10/17 8/7~10/17 8/7~10/16 8/7~10/16

飼育日数 70 71 70 70

収容尾数 18,000 18,000 18,000 18,000 72,000

開始時 飼育密度(尾/㎥) 360 360 360 360

平均全長(mm) 60.44 65.04 57.68 65.44 64.18

平均体重(g) 4.0 4.6 3.3 4.9 4.4

生残尾数 16,937 14,972 14,761 13,447 60,117

ワクチン 生残率(%) 94.0% 83.2% 82.0% 74.7% 83.5%

接種時 形態異常魚尾数 2,474 1,739 2,135 2,439 8,787

形態異常魚除去率(%)

1*

14.6% 11.6% 14.5% 18.1% 14.6%

ワクチン接種尾数 14,463 13,233 12,626 11,008 51,330

生残尾数 14,177 13,223 12,625 11,008 51,033

終了時 平均全長(mm)

平均体重(g)

生残率(%)

2*

98.8% 100.0% 99.9% 100.0%

給餌量 配合飼料(kg) 220.6 230.4 204.8 212.4 868.2

水質 平均水温(℃) 23.3 23.4 23.4 23.3

(21.3~24.7) (21.4~24.8) (21.4~24.8) (21.4~24.7)

平均DO(mg/L) 5.6 5.7 5.7 5.8

(4.9~6.4) (4.7~6.4) (4.9~6.4) (5.0~6.7)

1*

形態異常魚除去率(%) =

成長不良個体を含む

2*

生残率(%) = (終了時尾数/ワクチン接種尾数)×100

127.5

31.04

水槽No. No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6

飼育期間 8/5~9/26 8/5~9/25 8/6~9/24 8/6~9/17 8/8~9/24 8/5~9/18 合計・平均

飼育開始時 収容尾数(尾) 30,000 30,000 30,000 30,000 10,000 37,500 167,500

平均全長(mm) 65.0 65.0 65.4 64.2 - 65.0

平均重量(g) 4.64 4.64 4.85 4.44 - 4.64

給餌量 配合飼料(kg) 361.0 357.9 352.5 338.2 118.9 435.3 1,964

取り上げ尾数(尾) 25,080 27,881 25,612 27,999 9,007 30,297 145,876

生残率(%)

1*

83.6% 92.9% 85.4% 93.3% 90.1% 80.8% 87.1%

形態異常魚除去率(%)

2*

4.9% 5.1% 6.2% 2.8% 4.2% 4.7% 4.6%

ワクチン接種尾数(尾) 23,909 26,473 24,012 27,211 8,626 28,863 139,094

水槽No. No.4 No.5 No.6 No.7 No.8 No.9

元水槽No. (No.1) (No.2+No.1) (No.5+No.2) (No.4) (No.6) (No.3)

飼育期間 9/26~10/24 9/25~10/23 9/19~10/23 9/17~10/21 9/18~10/22 9/24~10/22

飼育開始時 収容尾数(尾) 9,084 23,536 26,388 27,211 28,863 24,011 139,093

平均全長(mm)

平均重量(g)

給餌量 配合飼料(kg) 104.9 241.9 304.7 370.4 383.6 285.7 1691.2

沖出し時 取り上げ尾数(尾) 9,078 23,513 26,375 27,197 28,845 23,971 138,979

生残率(%)

1*

99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 99.9% 99.8%

平均全長(mm)

平均重量(g)

1*

生残率(%) =

(開始時尾数/取り上げ尾数)×100

2*

形態異常魚除去率(%) = 成長不良個体を含む

123.8

36.04

(収容~ワクチン接種まで)

(ワクチン接種~沖出しまで)

107.2

26.48

ワクチン接種

表4 伊勢湾施設の二次飼育結果

表3 尾鷲センターの陸上二次飼育結果

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- 51 -

開始時 出荷時 死亡数 飼育期間 歩留

魚種 沖出し日 沖出し数

サイズ

(mm)

月日 尾数

サイズ

(mm)

(日) (%)

1区 10月16日 22,100 11月4日 12750

尾鷲分 10月13日 28,400 127.5 11月7日 32550

50,500 11月8日 5200 154.7

50500 0 23 100

2区 10月21日 38,800 11月4日 18030

有滝分 10月22日 38,800 11月5日 28910

10月23日 49,600 11月6日 20750

10月24日 11,740 111.7 11月7日 56310

138,940 11月10日 8730

11月12日 5400 135.7

138,130 810 22 99.4

  年度計 189,440 188,630 810 99.6

マハタ海面飼育

岩崎剛久・庄司祈生・岡田一宏

当センターおよび伊勢湾南部地区中間育成施設

(以下南部とする)の陸上水槽で中間育成を行っ

た種苗は,養殖用種苗として販売することを目的

に,18.9万尾の海面飼育を行った。

方法

10月16日と17日に当センター屋内水槽で電解殺

菌処理海水を利用して飼育した種苗50,500尾と10

月21日~24日に南部の地下水を使用して飼育した

種苗138,940尾を,一生簀当たり6,200尾~7,500

尾で当センターの海面施設に収容した。

海面飼育は9月中旬に形態異常魚の除去後,正

常魚にワクチンを接種し,約一ヶ月間の養生期間

を設けた後行った。

生け簀網は5m×5m×4mの90径モジ網を使

用し,遮光幕で生け簀上面を覆った。ワクチン接

種の効果は三重県水産研究所尾鷲水産研究室が確

認している。

給餌は,安価な銘柄(主原材料魚粉使用)であ

る配合飼料を1日1回,各生け簀とも飽食量を与

えた。

結果および考察

海面飼育の結果を表1に,飼育中の海面水温を

図1に示した。

計数は9月中旬のワクチン接種時に行ったため,

出荷前の出荷先別数量調整のみであった。

以前は,VNNが収束する水温域まで飼育を継

続する必要があったが,今後はワクチンを接種す

ることにより,陸上での養成期間及び海面の飼育

期間も短縮できると思われる。

表1 マハタ海面飼育結果

図 1 飼育水温

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- 52 -

死亡数* 飼育期間 生残率**

月日 尾数 全長(mm) 月日 尾数 全長(mm) (尾) (日) (%)

5/26 36,100 81.9

5/1 67,500 41.9 5/29 29,800 81.9

5/31 1,200 358 31 99.4

67,100

*死亡個体を取りあげ実計数した尾数

**出荷時尾数÷沖出し尾数×100

開始時 出荷時

ヒラメ海面飼育

岩崎剛久・庄司祈生・岡田一宏

本年度は,全長40mmのヒラメ6.75万尾の海面飼

育を行った。

方法

5月1日に平均全長41.9mmのヒラメ種苗67,500

尾を尾鷲栽培漁業センターに搬入し,5×5×

2.7mの海面生簀13生簀を用いて海面飼育を開始

した。飼料は,マダイ用安価餌料を使用した。1

日の給餌量は搬入直後で魚体重の10%,出荷放流

前では6.5%と摂餌状況を見ながら調整し,これ

を7回に分け,すべて手蒔きで行った。また配合

飼料に対し栄養剤を0.8%添加した。

結果及び考察

ヒラメ種苗の成長を図1に,飼育結果を表1に示

した。本年度は飼育を開始した当初より順調に成

長し,飼育後半終盤に見られる滑走細菌による大

量へい死も無かった。無かった。近年生残率95%

以上の事例が続いたが,それらを上回る99.4%と

例年に比べ好成績となった。1尾当たりの経費も

昨年に比べ約半分となり,低く抑えることができ

た。

図1 ヒラメ種苗の成長

給餌方法は本年度も自動給餌器を使用せず,全

て手撒きで行った。この方法では給餌回数が一回

少なくなるが,成長に差はみられなかった。今後

も給餌方法は自動給餌器を使用しない全手蒔方法

で行うとともに,より稚魚の活力・行動を重視し

ながら安価飼料を主体に飼育していく。

放流用種苗は5月26日と5月29日に,平均全長

83.4mmと88.6mmの種苗65,900尾を出荷し,5月31

日に体験学習用として1,200尾を放流した。

表1 ヒラメ海面飼育結果

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- 53 -

クロダイ海面飼育

岩崎剛久・庄司祈生・岡田一宏

本年度は全長80mmのクロダイ種苗2.3万尾を生

産目標に海面飼育を行った。

方法

7月15日に(公財)大阪府漁業振興基金栽培事

業場より,全長30.0mmのクロダイ種苗3.0万尾を

購入した。購入したクロダイ種苗は尾鷲栽培漁業

センターの5×5×4mの海面生簀1生簀を使用

し,飼育を開始した。約2週間後の7月29日に9

mmの目合いで選別を行い,大小別に収容すると同

時に計数機で一尾ずつ計数(実計数)し,全尾数

を確認した。

餌料はマダイ用安価餌料(主原材料魚粉)を主

体に全体の約80%を6:30,8:30,11:00,13:00,

15:00の5回に分けて手撒きで行った。残り20%

は自動給餌器を使用し,17:00~18:30の間に落ち

きるよう作動させた。配合飼料の総魚体重に対す

る日間給餌率は,飼育開始時で10%,大小選別後

は8%,出荷放流前では5%を目安とし,摂餌状

況を見ながら調整した。

結果・考察

過去4年間の成長を図1に,飼育結果を表1に示

した。飼育開始時に1.3%のへい死が見られたが,

その死亡魚は全て,輸送時の減耗であると考えら

れた。

魚体の測定は5日間隔で行い,同時に形態異常

魚も確認した。海面生簀収容後,35日目で目視に

よる形態異常魚の割合が多かったため,一週間後

手選別により形態異常魚18.5%を除去した。その

後選別の影響によるスレのため,2.7%のへい死

魚が見られた。

図1 クロダイ種苗の成長

今年度の種苗は輸送等の影響により搬入時の遊

泳力が弱かったためか,過去4年間と成長を比べ

ても良い結果が得られなかった。この原因は何に

よるものかは不明であった。

8月27日に手選別出荷先別に出荷用生簀に分け

て収容し,8月28日から6日間で,平均全長83mm

の種苗22,250尾を出荷放流した。

開始時 死亡数 除去数(ハネ)** 生残率*

月日 尾数 全長(mm) 月日 出荷尾数 全長(mm) (尾) (尾) (%)

7/29 30,237 33.9 8/28 5,000 83.1

8/29 3,500 83.1

9/1 6,250 83.8

9/2 4,500 83.8

3,000 83.8

計 22,250 1,325 5,623 95.6

*生残率(%)=(1-死亡尾数/飼育開始時尾数)×100

**除去した変形魚の合計

出荷時

表 1 クロダイ海面飼育結果

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ヒロメ種苗生産

二郷卓生・磯和潔

東紀州地域の水産業の活性化を支援する目的で

ヒロメ種糸の生産と供給を行った。

方法

三重県尾鷲農林水産事務所水産室が作成したヒ

ロメ種糸作製マニュアルをもとに,ヒロメ種糸生

産を行った。

平成26年10月1日に,ヒロメ配偶体を種糸(ク

レモナ糸)に付着させた。ヒロメ配偶体は,イン

キュベータで保存している雄株と雌株を使用した。

ヒロメ配偶体の必要量をミキサーで数細胞まで

粉砕し,海水を貯めたプラスチック製150L角形水

槽×2へ入れ,そこに塩ビパイプ製種糸枠を翌日

まで浸漬させて付着させた。翌日に種糸枠を取り

出し,紫外線殺菌海水を貯めた屋外水槽(FRP製

3m³水槽)へ収容した。栄養強化として,100Lあ

たり硝酸ナトリウムを1gとリン酸二ナトリウム

を0.2g投入した。

屋外水槽での管理は,週に一度水替えと栄養強

化を行い,照度を約10,000lux,水温を約20℃に

なるように調整した。

本年度の屋外水槽での管理は11月11日まで行い,

それ以降は成長を促進させるために海面の生け簀

へ種糸枠を沖出しし,出荷まで管理した。

沖出ししてからは,種糸に海水中のゴミやプラ

ンクトンが付着して成長が阻害されるため,毎日

種糸枠を揺すってそれらを落とした。

結果

本年度のヒロメの成長を図1に,沖出しから出

荷までの海面水温を図2にそれぞれ示した。昨年

の屋外水槽での培養はヒロメが成長して過密状態

となったため,栄養塩と照度が不足し,ヒロメの

色が薄くなり成長が悪化したことがあった。その

ため本年度は,水槽の容量を2m

3

から3m

3

に変更

した。その効果からか栄養塩と照度が不足するこ

ともなく順調に培養できた。

本年度は昨年度と比較して海水温の下がりが早

かったため,沖出しが約2週間早くなった。その

結果,昨年よりも約2週間早く出荷することが出

来た。培養開始から出荷までの日数は約60日間

で,ヒロメ種糸2,550m を出荷した。

図1 ヒロメの成長

図2 海面水温

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月/年度 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

4月 14,236 12,590 15,394 4,319 5,163 8,836 11,739 4,398

5月 13,250 9,003 30,247 9,470 5,159 9,127 8,321 5,684

6月 15,604 9,548 21,831 12,442 7,363 17,928 7,640 4,960

7月 17,877 11,318 24,382 4,908 20,910 20,274 10,422 10,014

8月 19,947 27,392 39,539 40,605 33,162 23,033 20,052 16,471

9月 20,445 30,455 42,324 41,141 32,319 22,065 18,846 13,629

10月 9,371 19,803 17,606 32,033 12,799 21,890 16,557 10,558

11月 8,701 15,737 8,838 14,606 9,667 16,055 14,701 11,608

12月 11,134 13,529 6,278 8,437 6,331 5,489 7,829 7,622

1月 16,739 19,169 17,743 5,726 8,933 2,567 7,566 7,971

2月 15,005 14,307 14,215 7,399 13,228 3,563 6,883 6,388

3月 8,890 10,909 0 5,015 9,709 15,041 3,737 6,948

合計 171,199 193,760 238,397 186,101 164,743 165,868 134,293 106,251

海洋深層水利活用

岡田一宏

平成18年度より,みえ尾鷲海洋深層水(尾鷲市

賀田湾)の供給を受けて,種苗生産での利活用を

行っている。

平成26年度(平成26年4月~平成27年3月)は

以下の目的で使用し,年間使用水量は合計

106,251m3であった。

1 アワビの飼育 (約90,000m3/年)

給餌管理や水質管理等,最も飼育が難しい夏

季の高水温時に,低水温の深層水を混合し適水温

を維持することによってアワビ稚貝の生理状態を

良好に保つことを目的に使用した。

2 親魚の養成 (10,000m3/年)

マダイ親魚の飼育において,秋季に深層水を

混合して飼育水を冷却し,早期採卵のための水温

調整を行った。

また,トラフグ親魚の飼育において,親魚の生

理状態が最も不安定な夏季の高水温時に深層水を

混合して,適正飼育水温を維持した。

3 藻類の培養 (1,000m3/年)

ヒロメ配偶体や胞子体の培養に富栄養性の高い

深層水を使用した。

4 その他

活魚車による種苗輸送時の水温調整に使用し

た。

表 1 海洋深層水の月別使用状況

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資料資料資料資料

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伊勢湾北部地区中間育成施設

ガザミ,クルマエビ,ヨシエビの中間育成を実

施した。育成方法は昨年度と同様である。各魚種

の育成結果は表 1〜3 に示すとおりである。

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伊勢湾南部地区中間育成施設

ヒラメ,トラフグ,クルマエビの中間育成を実

施した。育成方法は昨年度と同様である。各魚種

の育成結果は表 1〜3 に示すとおりである。

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尾鷲栽培漁業センター施設内海洋深層水受水槽水温

栽培漁業センター場内水温

水深 上 中 下 上 中 下 上 中 下

2m16.2 16.5 16.6 17.6 18.6 19.7 21.3 21.9 22.7

5m16.3 16.7 16.8 17.1 18.1 19.2 20.8 21.4 22.4

水深 上 中 下 上 中 下 上 中 下

2m22.8 23.7 25.3 24.8 24.1 24.8 24.7 24.9 24.1

5m22.4 23.1 24.6 24.4 23.7 24.5 24.5 24.9 24.2

水深 上 中 下 上 中 下 上 中 下

2m23.3 22.3 21.9 20.9 19.4 18.7 17.8 16.0 15.1

5m23.8 22.6 22.0 21.1 19.6 18.9 18.0 16.1 15.5

水深 上 中 下 上 中 下 上 中 下

2m16.5 14.7 14.4 15.3 16.3 15.9 15.6 15.9 16.3

5m16.6 14.9 14.8 15.5 16.4 16.1 16.1 16.2 16.3

4月 5月 6月

7月 8月 9月

10月 11月 12月

1月 2月 3月

上 中 下 上 中 下 上 中 下

旬平均14.8 14.7 14.8 14.7 15.0 15.1 15.5 15.4 15.5

上 中 下 上 中 下 上 中 下

旬平均15.5 14.6 14.1 14.0 14.3 14.5 15.1 15.0 14.9

上 中 下 上 中 下 上 中 下

旬平均15.2 15.3 14.6 14.5 14.2 15.0 14.3 13.7 14.0

上 中 下 上 中 下 上 中 下

旬平均13.6 14.4 14.3 14.2 14.2 14.9 14.5 14.1 14.6

4月 5月 6月

7月 8月 9月

10月 11月 12月

1月 2月 3月

平成 26年度水温観測記録

尾鷲栽培漁業センター海面施設水温

4月 5月 6月

上 中 下 上 中 下 上 中 下

旬平均 15.0 15.3 15.7 16.9 17.7 18.3 19.6 20.7 21.4

7月 8月 9月

上 中 下 上 中 下 上 中 下

旬平均 22.4 22.4 23.1 23.9 23.8 24.3 24.0 24.1 23.1

10月 11月 12月

上 中 下 上 中 下 上 中 下

旬平均 22.6 21.5 20.9 19.8 17.6 17.2 15.2 14.0 13.7

1月 2月 3月

上 中 下 上 中 下 上 中 下

旬平均 13.8 13.0 12.9 13.3 14.1 14.7 14.1 13.9 14.7