近代看護の確立と展開...19世紀後半、ナイチンゲールにより...

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近代看護の確立と展開 国際医療福祉大学 保健医療学部 看護学科 樋本まゆみ

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近代看護の確立と展開

国際医療福祉大学

保健医療学部 看護学科

        樋本まゆみ

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 19世紀後半、ナイチンゲールにより

 近代看護が確立され、少し遅れてデュナンの手で、

 赤十字精神が広く提唱され、国際赤十字が結成

 された。

 近代看護の芽生えと

 ナイチンゲール

 の精神が20世紀には発展  し看護の歴史の中心となる。

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A 欧米における近代看護

1.医学的背景

 19世紀の医学は、病理学・細菌学・衛生学  新しい学問が医療に大きな影響を与えた。

 ナイチンゲール方式による教育は急速に

 発展し医学を背景に組織化された。

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 ・ヨハネス=ミュラー   Johannes Miiler(1801~58)  ・クロード=ベナール    Claude Bernard(1813~95)   電気生理学、筋および神経生理学、生化学など高度に 専門化した研究領域があらわれるようになった。

  疾病に対する考えについても、顕微鏡と生理学の発達とともに

 ・ルドルフ=ウイルヒョウ   Rudolf Virchow(1821~1902)   細胞病理学説を唱えた。

 ・フランスのルイ・パスツール   Louis Pasteur(1822~95)  ・ドイツのロベルト=コッホ   Robert koch(1843~1910)   細菌学を生み、予防医学を独立させた功績は大きい。

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2.テオドール=フリードナー

カイゼンベルト学園の創始者

近代看護の確立にあたり、最も影響を与えた  フリードナー夫妻によってドイツのカイザースベルトにつくられた学園の試みである。

                             テオドールフリードナー

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プロテスタント牧師である、テオドール=フリード

ナーが看護師養成所

であるカイザーベルト

学園を創始した。

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本格的な看護師養成施設

  フリードリケは、毎日の経験を記録、実践を通して  

  理論・技術両面にわたる看護学教科書を作った。

  1865年就業年限を3年とし、本格的な看護   師養成施設となった。ここでは、勤務中の衣

  食は与えられたがボランティアとして給与は

  支給されずその意味では真の職業的看護師

  ではなかった。

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・1849年,フリードナーはアメリカに渡った。

       アメリカ最初のプロテスタント病院

       創設をするとともに、看護事業の発 

       展の基礎をつくった。

       ナイチンゲールは、看護学を学ぶため       

       1850~51年,2回学園にきてフリー         ドナーの教育を受け、後年近代看護 

       を確立する基礎をつくった。

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3.フローレンス=ナイチンゲール

   1)その生涯とおいたち 

 イギリスの名門の子女で両親が旅行中にフィレンツェ(フローレンス)で1820年5月12日に生まれた。そのため、フローレンスと名づけられた。

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ナイチンゲール17歳のとき・・・

 1837年2月、エンプリの家で暮らしていた

 フローレンスナイチンゲールは神のお告げが

 あった。

 「神は自分のために働くように・・・」と言われた。

 どのように使えればいいのだろうか・・・

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 神のお告げから3年が経ち・・・・

 20歳のときに看護師になることを決意

 しかしナイチンゲールが看護師になると

 いうことは当時では・・・大変なことであった。

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看護師になろうと思い5年が経ち・・・

 25歳のときに家族に自分の意思を伝えるが、

猛反対にあう。

しかし、自ら医学を勉強し、施設見学を行い、文献

を読み看護の道を独自に歩む。

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31歳の時に転機がやってくる・・・

・姉のフランシスは精神病にかかっていた。

 体調が思わしくなく主治医にドイツでの療養を

 勧められた。

 フローレンス・ナイチンゲールは姉の療養中にドイツのカイゼンウェルト学園に3ヶ月滞在することになった。

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33歳で臨床看護師として出発

 ロンドンハリー街の淑女病院と呼ばれる

 私立施設管理者となった・・

 そこからが、看護師としての出発・・・

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クリミア戦争での活躍

・従軍を志願

 スクタリの英国軍病院で悲惨な状況がフローレンスナイチンゲールの耳に入ってくる。

 1854年38名の看護団を組織し、スクタリへむかった。  

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ナイチンゲールによる改革前の病棟と改革後の病棟

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実際・・彼女は目を見張る活躍をした。

それは、英国軍の死亡率を激減させたという

データによっても裏づけられるが、その統計を

作成したのも彼女であった。

1856年5月紛争による

死者は2万5千人

病死が1万6千人

多くは伝染病による死

ナイチンゲールは2000人

の臨終にたった。

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クリミアでの実績

ナイチンゲールの働きは

“クリミアの天使”

“ランプを持った婦人”と言われた。

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ナイチンゲール基金

 彼女の活動が新聞などで伝えられえると、国民は感激して寄付金を出し1855年11月にロンドンで“ナイチンゲール基金”が創設されその後ナイチンゲール学校を創設した。

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晩年のナイチンゲール

              1886年よりロンドンの    

                自宅で生活を送る 

                活発な執筆活動を行った。

                代表作は「看護覚え書き」

                ナイチンゲールは看護教育             

                体系を確立させ、公衆衛生

                看護や衛生統計、医療の   

                向上女性の地位を高める貢献

                を行った。         

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ナイチンゲール 90歳で永眠

                    最良の看護法

                    が世界の隅々

                    までいきわたる

                    光景を見なが

                    ら生涯を終える。                 

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4.ナイチンゲール方式とその広がり

ナイチンゲールの仕事の基本的理念

1)看護師はどこまでも看護師であって医師で

  はない

2)看護師のすべてのことは自分達の手で行う

3)職業的自立

  経済的独立

  精神的自立 の確立

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B.中国・朝鮮による近代看護

1.中国による近代看護

  中国において洋式看護が生まれたのは、清の

  1887年ボーンが上海に看護師養成所を開設し、

  ついで各地にキリスト教団による外国人経営の

  病院が開設され、看護師の養成が行われた。

  1903年、はじめてナイチンゲール方式の

  看護が移入され、本格的な学校組織による看護教 

  育が開始された。

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・清の滅亡

 1912年、帝王制が廃止、清は滅び、医師の出の孫文により新しい共和制の中華民国が誕生。

 全ての政治機構は近代的に改められた。

  医学教育は教育部の管理となった。

 医学教育委員会や助産士教育委員会・護士教育委員会が特設され、制度と教育の充実をはかった。

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・助産士の養成

 助産師は助産士と呼ばれた。

 1928年,中央の衛生部は「助産士条例」を交付し、 

        翌年5月に修正のうえ即日発行した。

 衛生部の助産士証書のない者は業務を行えず、証書を受けられるのは、20歳以上の同国女子、衛生部の認定した教育施設の卒業者、各地方で臨時に試験を行い試験に合格した者もこれに準ずる。

 1929年 官立助産士学校が設立された。

 1936年 政府調査では、国立1、省立10、国立医院 

      付属1、私立52に達した。

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•  護士の養成  看護師は護士と呼ばれた

 1934年,護士教育委員会により3種の規則が

       議決された。翌年から施行した。

       中華民国では、看護師規則をつくら 

       ず、根本的教育方針を定めることで

       看護師を育成管理する方法をとった。

  第二次世界大戦後、中国本土は中華人民共和国となり、平和衛生工作が叫ばれる中でこれまでの護士が保健事業に参加し中国の看護事業でめざましい発展を遂げた。

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C.朝鮮の近代看護

1882年朝米修好条規

が結ばれてからキリスト教

団体の医療活動が盛ん

になり看護師の養成も

はじめられた。

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D.日本における近代看護

1.時代背景

 医師養成中心で、わが国は、医師養成に力を入れた。

 伝染病の流行と戦争

 外国と往来が激しくなるとコレラなどの急性伝染病が流行し、結核、梅毒患者も増えた。

 1894年日清戦争から、死傷者や伝染病人が出るため看護師が求められた。

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・明治期の病院

 病院は市民的ではなく、主な利用者は  低所得者であった。

 その他は、伝染病患者を収容する伝染病院が存在するにすぎなかった。  当時の医療・看護は開業医の医療であった。  個人看護は病院では得られない本質的なものであり  プライマリーナーシングとして注目されるものの原点である。

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2.初期の看護教育機関と指導者たち

 わが国で系統的に教育が実施されたのは、

 1884(明治17)年,ナイチンゲール方式の流れをくむものである。

 ナイチンゲール方式の移入は、東洋では最も早く、西洋では最も遅いほうであった。

 最初の卒業生は、1888(明治21)年である。

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有志共立東京病院 看護婦養成所

1885(明治18)年                               医師、高木兼寛に

より創設。

看護学教授は

アメリカ人看護師

リードであった。

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京都看病婦学校

1886(明治19)年4月に発足された。わが国 2番目の看護教育機関であり、創設者は同志

社をつくった

新島襄で

ある。

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桜井女学校付属看護婦養成所

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3.初期看護教育機関の特徴

1)ナイチンゲール看護の直輸入性格

  教育機関はいずれも、ナイチンゲール方式をわが国に導入することを重点に置き、それはある程度に実現された。

 外国の看護師が直接来日して近代看護法を教授したことは特記すべきで、この結果

 わが国は、世界的にみて比較的早くナイチンゲール方式の看護が取り入れられた。

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2)わが国における近代看護の源流

 初期の看護教育は、わが国の看護の原点的存在であった。

 ナイチンゲール看護学校の卒業生が世界的

 に求められていた。

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・大関和(おおぜきちか)(1858~1932年) 栃木県黒羽市生まれ

桜井女学校付属看護学校養成所の第1期生 1888(明治21)年卒業              医科大学第一医院           1909年(明治44年) 婦長となった後新潟県         大関派出看護婦会を

高田市女学校取締りを         設け、派出看護婦

経て同地の知名堂病院         養成指導とその

婦長を経と同院産婆           発展に尽力する

看護婦養成所の講義

を担当。

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4. 日本赤十字社の成立と発展

 赤十字精神がアンリ=デュナンによって提唱され、ジュネーブ条約(赤十字条約)が成立した。

 日南戦争での救護活動 赤十字の活動を知っていた

 佐野常民(1822~1902年)らの同士は  博愛社を結成し

 赤十字精神による

 戦時救護を行った。

(写真:三陸津波の際・・)

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5.派出看護婦

  1888(明治21年)、東京慈恵医院看護婦教育所を卒業したばかりの1回生が愛知病院に派遣され、海軍軍人の看護にあたったのが派出看護婦の始まりであった。

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6.明治期後半の看護教育

・維持できなかったナイチンゲール方式

 レベルの向上を目指した養成所

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7.白衣の天使の実像

明治から戦後のある時期まで看護婦の出身は

ほとんどが農村であった。徒弟教育・全寮生

自由時間

はなく、

厳しい厳格

なしつけ

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8.戦後の看護

日露戦争、病院内での看護

赤十字思想の普及

で、負傷者は敵味方

なくこれを救護する

ようになり、人道的に

大きな進歩である。

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•  日本赤十字病院の戦時救護 •  国際的な救護活動の始まり •  多くの犠牲者を出した第二次世界大戦

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9.「看護婦規則」の制定

•  府県による看護婦規則の発令  東京府では、1900(明治33)年「東京府看護規則」を発令 その後、各県でも看護婦規則が発令され、1914(大正3年)までには29府県におよんだ。

・内務省看護婦規則制定

 1915(大正4年)全国規則「看護婦規則」制定 ・看護婦規則下の准看護婦と看護人

  准看護婦総数 1941年全国で約、8000人

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10.助産婦教育のあゆみ

1).初期の助産婦教育

  看護関係領域で職業として確立された

  いたのは、助産婦である。

 1876(明治9)年,東京府病院内に産婆所  を開設、産婆の養成と試験合格者に対する

 仮免状を下付した。同年大阪医学校病院にも

 産婆学が教授され、卒業生に産婆営業鑑札

 を交付した。

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Ⅲ.第二次世界大戦までの看護

1. 細分化・社会化される現代医学

  内分泌学・細菌学

  病理学・診断学

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2). 公衆衛生看護の発達

•  単に病人を看護するだけでなく、積極的に   健康を保持・増進させる活動を含める活動

  に変わる。

 A.訪問看護師・巡回看護師の始まり

 B.学校保健師の始まり

 C.看護師の

   反ミリタリズム運動

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3.看護師の国際的団結

1)国際看護協会(ICN)

  1899年イギリスのフェンウイック(1857~1947)年

  看護師の社会的地位向上

  国際連帯を目指し創設

  2004年,125カ国が加盟

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2)国際助産師連盟(ICM)

  ・助産師は早期より社会的地位を得る

   19世紀末より、欧州を中心に組織化へ    向けて動きがある

  ・1922(大正11)年,国際助産師会議設立   ・1928年,組織化名称を国際助産師連合          (ICM)に改称

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3)世界保健機構(WHO)

・1946年,国際連合の国際会議で 「世界保健機関憲章」調印され

 1948年,同憲法の発効とと  ともに世界保健機関(WHO)

 が設立された。

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4.赤十字連合とナイチンゲール記章

  赤十字社連盟の結成

   “健康を増し、疾病を予防、苦痛を軽減”

  1919年,アメリカ、イギリス,フランス,イタリア,日本   国際赤十字が災害時救護 に乗り出す必要があ 

  ると説き、アメリカを含め 5カ国が事業案を作成

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5.ゴールドマン報告

1923年,“ウインスロー・ゴールドマ‐ク報告”     「アメリカにおける看護および看護教育」

   (看護・看護学校・公衆衛生看護の勧告を行った)

 1)保健師は個人衛生の教師でなくてはならない

 2)看護補助者の養成

 3)保健教育の必要性

 看護婦社会地位も急速な向上をみるにいたった。

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6.わが国における初期の公衆衛生看護

  1886(明治19)年に創設された   京都看護婦学校校則

 “真実の貧民は病院にいくべき衣服をもたぬ。

  それ故に来るのを待たずして、まずこちらよ

  り訪ね回りて、往きて助けるべきである”

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1)第二次世界大戦以後の公衆衛生

 公衆衛生上の最大のテーマ

 (1)感染症である

  ・急性伝染病(コレラ・ペスト・痘瘡・腸チフス

          赤痢・ジフテリア)

  ・他の伝染性疾患

   (結核・性感染症・ハンセン病・トラコーマ)

 (2)乳児死亡率の劣悪化

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7)その後のわが国の公衆衛生

 1923(大正12)年,聖路加国際病院では  児童相談所を発足したが、震災で焼失し

 翌年、東京築地産院を開設、慶應義塾と共同

 事業として乳児院を付設した。

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(1) 「保健師規則」の制定

・1937(昭和12)年、保健師事業の一環とし   て「保健所法」が制定された

・1938年 国民の保健衛生の国家的推進機関        厚生省が誕生

・1938(昭和13)年「国民健康保険法」が制定     され、各国民保健組合に保健婦の設置

    が奨励され、国保保健婦誕生となる

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(2) 保健婦活動の多様化

•  農村保健婦  1934(昭和9)年,東北地方を中心に冷害が襲い  1936(昭和11)年,農村保健指導を開始 •  学校看護婦・養護教諭   養護指導という名称から  1947(昭和22)年「学校教育法」で養護教諭の  名称に改められた。

•  産業看護婦  1916(大正5)年,「工場法」の成立により看護婦がおかれた。

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(3) 看護士・准看護士

  歴史的にみると、近代看護以前は宗教・戦争に   関連した看護関係者に男性が多かった。   男性は当時は、看護人・准看護人と呼ばれた。

   1968(昭和48)年法改正にて、看護士・准看護士と              呼称が変更された。    1994(平成6)年、男性も保健婦資格が取得でき    2002年より、男女ともに看護師,准看護師と呼称           変更となった。

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参考文献

1.系統看護学講座,別巻,看護史,医学書院.

2.看護学生のための世界の歴史,看護師研究会,

  医学書院.