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工場内塗装等有機溶剤業務における 作業環境管理 東京労働局 労働基準部 健康課

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工場内塗装等有機溶剤業務における

作業環境管理

東京労働局 労働基準部 健康課

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化学物質って何?

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化学物質って何?

☆ 科学的には、元素や元素が結びついたものを、化学

物質と呼びます。

☆ 自然のもの、人間が作ったもの、全てが化学物質。

⇒ 塩は、ナトリウムと塩素からできた化学物質(NaCl)

水は、水素と酸素からできた化学物質(H2O)

砂糖(ショ糖)

労働安全衛生法第2条(定義)

化学物質 元素

化合物 無機化合物(有機化合物以外)

有機化合物(炭素原子を骨格とした化合物)

PET

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有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称であり、様々な職場で、溶剤として塗装、洗浄、印刷等の作業に幅広く使用されています。

有機溶剤は常温では液体ですが、一般に揮発性が高いため、蒸気となって作業者の呼吸を通じて体内に吸収されやすく、また、油脂に溶ける性質があることから皮膚からも吸収されます。

蒸気圧曲線

同じ温度では、蒸気圧が高いほど揮発性が高い。

例:アルコール消毒

有機溶剤とは?

他の物質を溶かす

例:マニュキュアに対す

る除光液等

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化学物質の種類は、約6万種類

毎年約1,400物質が新規届出 (年間100kg以上製造又は輸入)

少量では年間8,500物質が申請(年間100kg以下製造又は輸入)

労働現場で取り扱われている化学物質の現状

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化学物質による健康障害と労働災害

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化学物質による健康障害

危 険 性

○ 可燃性 ○ 引火性 ○ 爆発性

急性毒性

○ 短期間の吸入等による健康障害

○ 皮膚や粘膜を刺激又は腐食する

慢性毒性

○ 長期間、吸入等で体内に取込む

ことで健康障害を起こす

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慢性毒性のタイプ

発がん性 肺に対する慢性毒性 感作性 神経系に対する慢性毒性 皮膚障害

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化学物質(危険物、有害物)に起因する労働災害が、年間500程度発生している。

資料出所:労働者死傷病報告

化学物質に起因する労働災害

(休業4日以上)

10

0

100

200

300

400

500

600

700

H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24

48 31 44 29 27 22 19 21 15 17

190 189 166 197 199

163 127 152

111 139

108 133 88

93 94 106

59 63

95 85

307 300 341

380 320

272

214

264 294 242

労働災害発生件数

有害物 可燃性のガス

引火性の物 爆発性の物等

化学物質(危険物、 有害物)に起因する 労働災害が、年間 500件程度発生 している。

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胆管がんとは 胆管に発症するがんで、一般的には高齢者に発症する疾病とされ、50歳未満での発症はまれ。これまで、国際的にも化学物質による職業がんとは認識されてこなかった。

洗浄剤として使用された1,2-ジクロロプロパンにばく露しており、長期間(約4~13

年)、高濃度ばく露したことが原因で発症した蓋然性が極めて高い。

1,2-ジクロロプロパンが原因である蓋然性が極めて高いこと

「印刷事業場で発生した胆管がんの業務上外に関する検討会」

参考: オフセット印刷機

○ 平成24年3月に大阪府内にある印刷事業場の労働者から、化学物質の使用により 胆管がんを発症したとして労災請求

1,2-ジクロロプロパン 無色液体

印刷事業場で発生した胆管がん

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化学物質管理の体系

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健康障害 の程度や 発生確率

発がん性 肺に対する毒性 中枢神経障害 感作性 皮膚障害

化学物質の健康リスク

健康リスク

化学物質 の有害性

ハザード

ばく露の 量や頻度

ば く 露

ばく露

有害性

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ばく露低減の方法・手順

化学物質(A) のばく露防止の優先順位 ① Aを使用する作業の廃止・変更 ② 有害性の少ない他の物質への代替

③ Aを使う工程の密閉化、無人化 ④ Aの発じんを最小化(湿潤化、局所排気装置) ⑤ マニュアルの整備、立入禁止措置、ばく露管理 ⑥ 呼吸用保護具の使用 ⑦ 健康診断による異常の早期発見と対策

原則:可能な限り元を断つ

本質的 対策

管理的 対策

工学的 対策

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労働衛生の三管理 ※ 労働衛生教育、労働衛生管理体制を加え「五管理」とも

作業環境管理

○作業環境測定 ○局所排気装置、プッシュプル型換気装置の設置等

作業管理

○作業時間、作業量、作業手順・方法等のコントロール ○保護具の適切な使用

健康管理

○健康診断 検診結果に基づき事後措置、保健指導等

有害要因のばく露を軽減

有害要因を取り除く

健康障害の未然防止

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「管理」という言葉の持つ意味

1 情報収集

2 判断

3 措置(対策)

定期的な繰り返し

☆ 危険・有害性に関する情報(警告)があれば何かし

なければと考える。

☆ どの程度の対策等が必要かを考える。

☆ 何も知らせないで有害な物質を扱わせることは基

本的人権に関わる。

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労働現場における化学物質管理の法体系

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労働安全衛生法の体系

労働安全衛生法

労働安全衛生規則

有機溶剤中毒予防規則

特定化学物質障害予防規則

鉛中毒予防規則

四アルキル鉛中毒予防規則

石綿障害予防規則

労働安全衛生法施行令

<厚生労働省令>

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有害物 危険物

GHS国連勧告に基づく表示例

(製品の特定名) △△△製品 ○○○○

(絵表示) (注意喚起語)

(危険有害性情報) ・引火性液体及び蒸気 ・吸入すると有毒

(注意書き) ・火気厳禁 ・防爆構造の器具を用いる ・・・・・・

危険

取扱い注意

名称、成分、人体に及ぼす作用、貯蔵又は取扱い上の注意、絵表示、 注意喚起語、安定性・反応性に関する事項他

+ 108物質 ※

ラベル表示 (労働安全衛生法第57条、労働安全衛生法施行令第18条)

表示義務

表示事項

※ H28.6.1 640物質へ

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通知事項(安全データシート:SDS)

• 危険性・有害性の要約

• 安定性・反応性に関する事項

• 適用される法令等 他

• 名称

• 成分及びその含有量

• 物理化学的性質

• 人体に及ぼす作用

SDS(安全データシート)の交付 (労働安全衛生法第57条の2、施行令別表第9)

譲渡提供者 (製造者・輸入者等)

譲渡提供先 (使用者等)

SDS

有害物 危険物 + 640物質 通知義務

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有機溶剤中毒予防規則について

有機溶剤中毒予防規則

第1章 総則

第2章 設備

第3章 換気装置の性能等

第4章 管理

第5章 測定

第6章 健康診断

第7章 保護具

第8章 有機溶剤の貯蔵及びから容器の処理

第9章 有機溶剤作業主任者技能講習

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第1種有機溶剤 第2種有機溶剤

第3種有機溶剤

蒸気の発散源対策

屋内作業場 (タンク等の内

部以外) 5

・密閉式 ・局排設置 ・プッシュプル (全体換気は×)

・密閉式 ・局排設置 ・プッシュプル (全体換気は×)

×

タンク等の内部

吹付作業

6-① -②

・密閉式 ・局排設置 ・プッシュプル (全体換気は×)

・密閉式 ・局排設置 ・プッシュプル (全体換気は×)

・密閉式 ・局排設置 ・プッシュプル (全体換気は×)

吹付以外

6-① -②

・密閉式 ・局排設置 ・プッシュプル (全体換気は×)

・密閉式 ・局排設置 ・プッシュプル (全体換気は×)

・密閉式 ・局排設置 ・プッシュプル ・全体換気

有機溶剤の分類と措置内容

ガソリン、コールタールナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、テレビン油等

アセトン、クレゾール、エチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、メタノール 等

1,2-ジクロロエチレン、二硫化炭素

いずれか

いずれか

いずれか

いずれか

いずれか

いずれか

いずれか

いずれか

条文

強 弱 毒性

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第1種有機溶剤 第2種有機溶剤 第3種有機溶剤

管 理

作業主任者 19 ○ ○ ○

定期自主検査 20 ○ ○ ○

点検 22 ○ ○ ○

補修 23 ○ ○ ○

掲示 24 ○ ○ ○

区分表示 25 ○赤 ○黄 ○青

作業環境測定 28 ○ ○ ×

健康診断 29 ○ ○ ○

(タンク等内部に限る)

貯蔵 35 ○ ○ ○

空容器の処理 36 ○ ○ ○

条文

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作業主任者の選任

屋内作業場等において、有機溶剤業務を行うときは、作業主任者(※)を選任し、次の事項を行わせることが必要です。

※ 有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者のうちから、有機溶剤作業主任者を選任

○作業主任者の職務 ① 作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。

② 局所排気装置、プッシュプル型換気装置または全体換気

装置を1月以内ごとに点検すること。

③ 保護具の使用状況を監視すること。

④ タンク内作業における措置が講じられていることを確認す

ること。

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局所排気装置、プッシュプル型排気装置 1 局所排気装置

粉じんやガスなどの有害物質を局所排気フードから吸込み、ダクトによって搬送させ排気ファンにより工場外へ排気する換気装置です。 なお、有害物質の有害性、排気濃度により空気清浄装置を介して清浄化した空気を屋外へ排気します。

2 (開放式)プッシュプル型排気装置

プッシュフードから吹出した空気がプルフードへ吸い込まれ、その間に一様の気流(一様流)をつくりだし、その中で発生した有害物質を捕捉して排気する換気装置です。

局所排気装置等の設置、移転、変更については、事前に労働基準監督署長への届出が必要です。 ・局所排気装置は1年以内ごとに1回の定期自主検査と、1月以内ごとに1回の点検が必要です。

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物質ごとの閾値(しきい値)が職場環境の管理目標

作業環境測定

管理濃度:作業環境改善の目標

許容濃度(日本産業衛生学会等が物質ごとに勧告) 労働者が1日8時間、週40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質にばく露される場合に、当該有害物質の平均ばく露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響がみられないと判断される濃度」

作業環境測定士が事業場内にいないときは、登録を受けた作業環境測定機関に測定を委託する必要があります。

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測定

第1管理区分 第2管理区分 第3管理区分

評価

作業環境測定基準

作業環境評価基準

作業環境管理が適切であると判断される状態

作業環境管理になお改善の余地があるとされる状態

作業環境管理が適切でないと判断される状態

施設、設備、作業工程、作業方法の点検とその結果に基づく改善措置

第1管理区分又は第2管理区分にしなければならない

有効な呼吸用保護具

作業環境測定(6か月ごとに1回)

評価の結果どの区分になるか判定

評価結果に基づく改善策を講ずる

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有機溶剤等健康診断

有機溶剤業務に常時従事する労働者に対して、雇入れの際、または当該業務への配置替えの際およびその後6月以内ごとに1回、定期に、健康診断を実施。

臨時に行う有機溶剤業務、短時間の有機溶剤業務、発散面の広い有機溶剤業務等を行う場合で、局所排気装置等を置かない場合、送気マスクまたは有機ガス用防毒マスクを使用させなければなりません。なお、有機ガス用防毒マスクは有効時間に注意が必要です。

呼吸用保護具

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特定化学物質障害予防規則について

特定化学物質障害予防規則

第1章 総則

第2章 製造等に係る措置

第3章 用後処理

第4章 漏えいの防止

第5章 管理

第5章の2 特殊な作業等の管理

第6章 健康診断

第7章 保護具

第8章 製造許可等

第9章 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習

第10章 報告

特定化学物質障害予防規則で規制をうける有機溶剤もある。

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特定化学物質の

第1類物質 がん等の慢性障害を引き起こす物質の内、特に有害性が高いもの

第2類物質 がん等の慢性障害を引き起こす物質の内、第1類物質以外のもの

第3類物質 大量漏洩により急性中毒を引き起こす物質。漏洩防止措置が必要。

特定第2類物質 第2類物質の内、大量漏洩により急性中毒を引き起こす物質。

特別有機溶剤等(旧エチルベンゼン等)

オーラミン等

※製造許可物質

管理第2類物質 特定第2類物質、特別有機溶剤等及びオーラミン等以外のもの

特別管理物質 第一類物質、第二類物質の中で、職業がんなど労働者に重度の健康障害を生ずるおそれがあり、発症までに長い期間がかかるもの

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第1類 物質

○ 製造許可 ○ 密閉式、局排設置

○作業主任者

○作業環境測定

○特殊健診

(ホルムアルデヒド、エチレンオキシド除く)

第2類 物質

○ 密閉式、局排装置、全体換気 ○ 床・立入禁止

第3類 物質

不要

不要

特定化学物質の分類と措置内容

アンモニア、一酸化炭素、塩化水素、 硫酸、フェノール 等

PCB

ジクロルベンジジン、ベリリウム 等

大量漏えい防止

特定化学設備

特別管理物質

掲示・作業記録、測定記録の30年保存

管理第2類 物質

クロム酸、コールター

ル、 シアン化カリウム、カドミウム、 水銀 等

オーラミン等

特別有機溶剤等

特定第2類 物質

塩化ビニル、 ベンゼン、 塩素、 シアン化水素、臭化メチル 等

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化学物質管理のあり方

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RA義務

RA努力義務

一般的健康障害防止措置

製造 禁止

安全データシート

(SDS)交付義務

SDS交付努力義務

PCB等 7物質

危険性・有害性が確認されていない全ての化学物質

8物質

116 物質

640 物質

約6万 物質

特別規則

石綿等

製造 許可

○ 一定の危険性・有害性が確認されている化学物質(安全データシート(SDS)の交付が 義務づけられている640物質)について、リスクアセスメント(RA)の実施を義務付け

一般的健康障害防止措置

RA努力義務

製造 禁止

安全データシート

(SDS)交付義務

SDS交付努力義務

胆管がん 発生

重度の健康障害あり 十分な防止対策なし

特にリスクの 高い業務あり

使用量・使用方法 によりリスクあり

強化部分

化学物質管理のあり方の見直し(安衛法改正)

特別規則

製造 許可

【改正後】 【改正前】

表示努力義務

表示義務

表示努力義務

表示義務

政省令改正

で拡大予定

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化学物質のリスクアセスメント

(平成28年6月1日施行)

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労働安全衛生法第57条の3

事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第57条第1項の政令で定める物及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならない。

化学物質のリスクアセスメント

対象の化学物質を製造し、又は取り扱う全ての事業者(業種、規模を問わない)が行わなければならない。 安全データシート(SDS)の交付義務の対象である640物質。

実施すべき事業者

対象物質

結果に基づく措置

リスクアセスメントの結果に基づく措置は、

労働安全衛生規則や特定化学物質障害予防規則等の特別規則に規定がある場合は、当該規定に基づく措置を講じることが必要。

法令に規定がない場合は、結果を踏まえた事業者の判断により、必要な措置を講じることが努力義務。

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特定された危険性又は有害性による リスクの見積り

化学物質等による危険性又は有害性の特定

リスクを低減するための優先度の設定 リスクを低減するための措置内容の検討

優先度に対応したリスク低減措置の実施

リスクアセスメントの流れ

化学物質を新規に採用するとき、作業方法又は作業手順を新規に採用・変更するとき等

実施時期

以下の情報を入手し、危険・有害性を特定する。

・安全データシート(SDS)、仕様書、機械・設備の情報 ・作業標準書、作業手順書 ・作業環境測定結果 ・災害事例、災害統計 等

・発生するおそれのある負傷・疾病の重篤度と発生の可能性の度合から見積る。 ・化学物質等による疾病では、有害性の度合と ばく露量を用いる。(ばく露限界も考慮する。)

リスク低減措置の優先順位

①危険有害性の高い化学物質等の使用中止 ②化学反応プロセス等の運転条件の変更等 ③工学的対策(局所排気装置の設置等) ④管理対策(マニュアル整備等) ⑤個人用保護具の使用

リスクアセスメント及びリスクアセスメント指針の概要

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項目 入力項目

化学物質名 (SDSを確認して入力。簡易名でも可)

作業内容(選択式)

貯蔵・保管、野積み、粉じん処理、充填及び輸送、移送及び輸送、充填、計量、混合、選別、塗装、洗浄及びメッキ、乾燥、成形、その他

作業者数(選択式) 10人未満、10~49人、50~99人、100人~299人、300人以上

GHS分類区分(選択式)

急性毒性(急性)、急性毒性(経口)、急性毒性(経皮)、急性毒性(吸収:蒸気)、急性毒性(吸収:粉じん、ミスト)、皮膚腐食性・刺激性、眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性、呼吸器感作性、皮膚感作性、生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性、特定標的臓器毒性(単回ばく露)、特定標的臓器毒性(反復ばく露)、吸引性呼吸器有害性

液体または粉体の別(選択式) 微細な軽い粉体、結晶状・顆粒状、ペレット

沸点( ℃) (SDSを確認して入力)

取扱温度(℃) (事業場ごとに入力)

取扱量単位(選択式)

液体:kℓ単位、ℓ単位、㎖単位 粉体:トン単位、キログラム単位、グラム単位

講ずべき措置 ○他の化学物質への代替化 ○全体換気、局所排気装置の設置等 ○呼吸用保護具の使用

出 力

「化学物質リスク簡易評価法」(コントロール・バンディング)

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情報源について

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化学物質に係る情報源 職場のあんぜんサイト HTTP://ANZENINFO.MHLW.GO.JP/

コントロール

バンディング

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まとめ

◎ 規制された物質のみが危険で、規制されていない

物質が安全であるわけではない。

◎ 規制された物質は措置すべき事項が決まってお

り、対処し易いとも言える。

◎ 化学物質に関する情報を的確に入手し、求められ

る措置を行うことで、健康障害を発生させないことが

継続して必要となってくる。

ご清聴ありがとうございました。