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個別報告三 中国対外貿易の主な特徴及び将来の展望 胡江雲

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個別報告三

中国対外貿易の主な特徴及び将来の展望

胡江雲

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目 次

第1章 中国対外貿易の主な特徴 ................................................................. 1

第 1 節 中国経済貿易の国際的地位の変化............................................................. 1 第 2 節 中国対外貿易の成長状況 ........................................................................... 2 第3節 中国対外貿易の貿易モデル構造の変化 ...................................................... 2 第4節 中国対外貿易主要品目の変化 .................................................................... 5 第5節 中国の貿易相手国の変化 ........................................................................... 6 第6節 中国の貿易企業構造の変化........................................................................ 8

第 2 章 中国と日本の二国間貿易関係の主な特徴 ........................................ 8

第 1 節 中日両国の世界経済における経済貿易関係 .............................................. 8 第 2 節 中国と日本の二国間貿易の地位 ................................................................ 9 第3節 中国と日本の二国間貿易の発展動向 ........................................................11 第4節 中国の対日貿易における主要貿易形態の変化 ......................................... 14

第3章 中国と日本の主要貿易品目の競争力分析....................................... 16

第 1 節 中国の主な対日輸出品目とその競争力.................................................... 16 第 2 節 日本からの主な輸入品目とその競争力.................................................... 18

第4章 日本の対中直接投資の状況に対する分析....................................... 20

第 1節 日本の対中直接投資の全体状況............................................................... 21 第2節 日本の対中直接投資の主な特徴............................................................... 23 第3節 日本の在中国投資企業は中国経済にプラスの影響 .................................. 25

第5章 2010 年~2030 年の中国対外貿易の展望 ........................................ 26

第 1節 中国対外貿易に影響を与える主な要素 .................................................... 26 第2節 中国対外貿易の将来の展望...................................................................... 27

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第1章 中国対外貿易の主な特徴

第1節 中国経済貿易の国際的地位の変化

改革開放政策の実施以降、中国の貿易は急速に発展した。1979~2009 年の

間に中国の輸出額は 136.14 億ドルから 1兆 2015.34 億ドルに増加した。世界

の貿易に占める割合は 0.82%から 9.62%に伸び、順位も第 32 位から世界第1

位へと躍進した。輸入は、輸入額が 156.21 億ドルから 1兆 56.88 億ドルに増

加、世界の貿易に占める割合は 0.92%から 7.93%に伸び、順位は米国に次ぐ第

2位に上昇した。(図1参照)

図 1:中国の輸出額、輸入額、及びその世界に占める比率

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出口额 进口额

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資料:世界貿易機関(WTO)

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輸出額 輸入額

輸出比率 輸入比率

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第2節 中国対外貿易の成長状況

1980~2009 年の期間、中国の輸出は年平均 15.01%増加し、同期間の全世界

の増加率 6.24%を大きく上回った。輸入は年平均 13.96%の増加で、こちらも

同期間の世界の増加率 6.22%を大きく上回った。図 2 が示すとおり、中国の

輸出・輸入増加率は 1990 年など特別な年を除いて、終始全世界の輸出増加率

を上回っている。

図 2:世界の輸出増加率及び中国の輸出・輸入増加率

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%

全球出口 中国出口 中国进口

資料:世界貿易機関(WTO)

第3節 中国対外貿易の貿易モデル構造の変化

1.中国の一般貿易1の比率は 40%前後で安定してきている

1981~2009 年の期間、中国の一般貿易輸出入額は 411.66 億ドルから 1 兆

637.05 億ドルに増加、年平均増加率は 11.87%であった。全国の貿易に占める

比率は 93.5%から 1990 年代中期には 35%前後に下降し、その後回復して 48%

前後で落ち着いている。このうち、一般貿易輸出は 208 億ドルから 5298.33

1 税制優遇を享受する「加工貿易」以外のすべての貿易

世界の輸出 中国の輸出 中国の輸入

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億ドルに増加、年平均増加率は 11.81%で、全国の輸出に占める比率は 94.5%

から 1990 年代中期に 35%に下降し、その後回復して 45%前後で落ち着いてい

る。一般貿易輸入は、203.66 億ドルから 5338.72 億ドルに増加、年平均増加

率は 11.92%で、全国の輸入に占める比率は 92.49%から 1997 年に も低い

27.4%に下降、その後回復して 50%前後で落ち着いている(図 3参照)。

図 3:中国の一般貿易の輸出入及び全国の輸出入に占める比率

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出口额

进口额

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进口比重

資料:税関統計

2.中国の加工貿易の比率は上昇後安定してきている

1981~2009 年の期間、中国の加工貿易の輸出入額は 26.35 億ドルから

9093.19 億ドルに増加、年平均増加率は 22.32%であった。全国の貿易に占め

る比率は 5.98%から徐々に増加して 1998 年に 53.42%のピークに達し、その後

下降して 41%前後で落ち着いている。このうち、加工貿易輸出は 11.31 億ド

ルから 5869.81 億ドルに増加、年平均増加率は 24.06%で、全国の輸出に占め

輸出額

輸入額

輸出比率

輸出比率

億ドル

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る比率は 5.14%から 1999 年の 56%前後のピークに達し、その後下降して 48%

前後で落ち着いている。加工貿易輸入は 15.04 億ドルから 3223.38 億ドルに

増加、年平均増加率は 20.33%で、全国の輸入に占める比率は 6.83%から 1997

年に 49.31%のピークに達した後、下降して 32%前後で落ち着いている(図 4

参照)。

図 4:中国の加工貿易の輸出入及び全国の輸出入に占める比率

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亿美元

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出口额

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資料:税関統計

億ドル

輸出額

輸入比率

輸出比率

輸入額

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第4節 中国対外貿易主要品目の変化

1980~2009 年の期間、中国の一次産品輸出額は 91.14 億ドルから 631.12

億ドルに増加、年平均増加率は 6.66%で、全国の輸出に占める比率は 50.3%

から徐々に下降し 5%前後で落ち着いている。一次産品輸入額は 69.59 億ドル

から 2898.04 億ドルに増加、年平均増加率は 13.24%で、全国の輸入に占める

比率は 34.77%から徐々に下降し 28%前後で落ち着いている(図 5参照)。

同期間における中国の機械・輸送機器輸出額は 8.43 億ドルから 5902.74 億

ドルに増加、年平均増加率は 24.41%で、全国の輸出に占める比率は 4.65%か

ら 49.12%に増加し、その後下降して 48%前後で落ち着いている。機械・輸送

機器輸入額は51.19億ドルから4077.97億ドルに増加、年平均増加率は15.71%

で、全国の輸入に占める比率は25.57%から40.54%に増加している(図5参照)。

図 5:中国の一次産品と機械・輸送機器の輸出入比率

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1980 1985 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

%

初级产品出口比重 机械及运输设备出口比重

初级产品进口比重 机械及运输设备进口比重

資料:税関統計

一次産品輸出比率 一次産品輸入比率

機械・輸送機器の輸出比率 機械・輸送機器の輸入比率

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第5節 中国の貿易相手国の変化

1995~2009 年の間に中国の主な貿易相手国には変化が生じている。国別で

見ると、日本は中国の 大の貿易パートナーであったが、2004 年に米国に取

って代わられ第2位となった。

中国の輸出から見ると、1995~2009 年の期間中、1997 年に米国が日本を抜

いて中国 大の輸出市場となった。米国が中国輸出市場に占めるシェアは15%

以上を維持している。日本はアジア通貨危機までは中国の 大の輸出市場で

あったが、1997 年以降中国輸出市場に占めるシェアは下降している。とは言

え、以前として中国にとって第2の輸出市場であり、中国輸出市場に占める

シェアは 8%を越えている(図 6参照)。

図 6:中国の主な貿易相手国の輸出市場シェア

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1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

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美国 日本 韩国 英法德

資料:税関統計

米国 韓国 英仏独

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中国の輸入から見ると、1995~2009 の期間、一貫して日本が中国の 大の

輸入相手国である。日本からの輸入額が中国の輸入額全体に占める比率は下

降しているとはいえ、いぜん 13%を越えている。中国が WTO に加盟するまで

は、米国が基本的に中国輸入市場の第 2 位を占め、その中国の輸入全体に占

める比率は 10%以上を保っていた。WTO 加盟後は韓国からの輸入比率が上昇傾

向を示し、米国を抜いて中国第2の輸入相手国になった。米国からの輸入が

中国の輸入全体に占める比率は下降趨勢にあり、順位も第 3 位になっている

(図 7参照)。

図 7:中国の主な貿易相手国の輸入市場シェア

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1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

%

美国 日本 韩国 英法德

資料:税関統計

米国 韓国 英仏独

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第6節 中国の貿易企業構造の変化

1986~2009 年の期間、外商投資企業[訳注:中外合弁企業、中外合作企業、

及び 100%外資企業を指す]が次第に中国対外貿易の主力になってきた。外商

投資企業の輸出が中国の輸出全体に占める比率は 1.88%から 55.94%に増加し、

高では 58.3%に達している(2005 年)。外商投資企業の輸入が中国の輸入

全体に占める比率は 5.6%から 54.22%に増加し、 高では 59.71%(2006 年)

に達している(図 8参照)。

図 8:外商投資企業が中国の輸出・輸入に占める比率

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1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

%

出口比重

进口比重

資料:税関統計

第2章 中国と日本の二国間貿易関係の主な特徴

第1節 中日両国の世界経済における経済貿易関係

1.中日両国の経済規模は世界の上位を占める

経済規模から見ると、中国と日本はすでに世界において米国に次ぐ経済大

国になっている。世界銀行の統計データによると、2008 年の中国と日本の国

内総生産(GDP)はそれぞれ 4.327 兆ドルと 4.911 兆ドルで、世界第 3位と第

輸出比率

輸入比率

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2 位である。しかし、一人当たりの GDP で見ると、2008 年の中国と日本の一

人当たり GDP はそれぞれ 3267 ドルと 38455 ドルで、中国は日本の 1/10 に満

たない。購買力平価(PPP)で計算すると、2008 年の中国と日本の一人当た

り国民総所得(GNI)はそれぞれ 6010 ドルと 35190 ドルで、やはり日本は中

国の 6倍近い。

2.中日両国は世界の重要な貿易大国である

物品貿易から見て、中国と日本は世界の重要な貿易大国でもある。世界貿

易機関(WTO)の統計データによれば、2009 年の中国と日本の輸出額はそれ

ぞれ1兆2015.34億ドルと5808.45億ドルで、それぞれ世界の9.62%と4.65%、

世界第 1 位と第 4 位である。中国と日本の輸入はそれぞれ 1 兆 56.88 億ドル

と 5506.79 億ドルで、それぞれ 7.93%と 4.35%、世界第 2 位と第 5 位である。

3.中日両国は世界の重要な投資大国でもある

海外直接投資(FDI)の流入額と流出額から見ても中国と日本は重要な国で

ある。国連の統計データによると、2009 年の中国と日本の FDI 流入額はそれ

ぞれ 950 億ドルと 119.39 億ドルで、現存量は 4730.83 億ドルと 2001.41 億ド

ルであった。2009 年の中国と日本の海外直接投資流出額はそれぞれ 480 億ド

ルと 746.99 億ドル、現存量は 2296 億ドルと 7409.3 億ドルで、世界の上位に

位置している。

第2節 中国と日本の二国間貿易の地位

1.日本は中国の重要な貿易相手国

日本は中国にとって も重要な貿易パートナーの1つである。米国に次ぐ

第2の貿易相手国であり、かつては長期にわたり中国の 大の貿易相手国で

あった。中国の税関統計によれば、2009 年の中日2国間物品貿易額は、世界

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金融危機の影響で前年比 14.2%下降したものの、いぜん 2288.48 億ドルに達

している。

1961~2009 年の期間、日本との二国間貿易額が中国の貿易総額に占める比

率は 1.23%から 10.37%に増加し,1985 年には史上 高の 30.38%に達した。こ

のうち、対日輸出額が中国の輸出総額に占める比率は 1.48%から 8.15%に増加

し、1985 年には史上 高の 22.34%に達した。対日輸入額が中国の輸入総額に

占める比率は 0.97%から 13.02%に増加し、1985 年には史上 高の 35.59%に達

した。図 9が示すとおり、1990 年以降は、日本が中国対外貿易に占める比率

は徐々に下降している。

図 9:中国の対日貿易額及び日本が中国の貿易額に占める比率

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亿美元

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40%

出口额 进口额

出口份额 进口份额

資料:『改革開放三十周年中国対外貿易監測報告』、税関総署綜合統計司、中国海関出

版社、2009 年 税関統計、2009 年 12 月

2.中国はすでに日本の 大の貿易相手国

中国は日本の も重要な貿易パートナーの1つであり、日本にとって 大

の貿易相手国である。日本の政府統計によれば、2009 年の日本の対中二国間

輸入額

輸出額

輸出シェア

輸入シェア

億ドル

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物品貿易額は米国発の世界金融危機の影響を受けて前年同期より 22%下降し

たものの、いぜん 105.7 兆円に達している。日本の税関統計によれば、1962

~2009 年の期間、中国との2国間貿易額は 0.85 億円から 2009 年の 21.67 兆

円に増加、対中貿易が日本の貿易全体に占める比率は 0.8%から 1979 年には

3.1%、2009 年には 20.5%と次第に上昇している。このうち、日本の対中輸出

額が日本の輸出総額に占める比率は 0.79%から 18.9%に増加、日本の対中輸入

額が日本の輸入総額に占める比率は0.82%から22.2%に増加した(図10参照)。

日本の貿易における中国のシェアは今回の世界金融危機によっても減少せず

むしろ増加し、前年を 3~4ポイント上回っている。

図 10:日本の対中貿易額及び中国が日本の貿易額に占める比率

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千美元或百万日元

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出口额 进口额

出口份额 进口份额

説明:1976 年までの貿易額の単位は 1000 ドル、1977 年以降は 100 万円

資料:日本総務省統計局、http://www.stats.go.jp/

第3節 中国と日本の二国間貿易の発展動向

1.中国の対日貿易は増加率が徐々に収束する傾向

輸出額 輸入額

輸出シェア 輸入シェア

千ドルまたは百万円

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1969~2009 年の期間、中国の対日二国間貿易額は 5.83 億ドルから 2288.48

億ドルに増加、年平均増加率は 15.68%で同期間の中国の貿易全体の増加率

16.63%を下回った。この期間の中国の対日輸出額は 2.01 億ドルから 979.11

億ドルに増加、年平均増加率は 16.29%で、同期間の中国の輸出全体の増加率

16.61%をやや下回っている。中国の対日輸入額は 3.82 億ドルから 1309.38 億

ドルに増加、年平均増加率は 15.3%で、同期間の中国の輸入全体の増加率

16.64%を下回っている。

図 11 に中国の対日二国間貿易の発展状況を示した。二度の石油危機、アジ

ア通貨危機、今回の世界金融危機を除き、中国の対日二国間貿易は基本的に

プラス成長の趨勢を保ってきた。1969~2009 年の間、中国の対日二国間貿易

の増加幅は基本的に収束する傾向にあり、今後は 20%以上の高成長が起こる

ことはないものと考えられる。

図 11:中国の対日二国間貿易の発展状況

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1969 1973 1977 1981 1985 1989 1993 1997 2001 2005 2009

%

进出口 出口 进口

資料:『改革開放三十周年中国対外貿易監測報告』、税関総署綜合統計司、中国海関出

版社、2009 年 税関統計、2009 年 12 月

輸出入 輸出 輸入

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2.日本の対中貿易も増加率が徐々に収束する動向

1979~2009 年の期間、日本の対中二国間貿易額は 1.45 兆円から 21.67 兆

円に増加、年平均増加率は 9.11%で、同期間の日本の貿易全体の増加率 2.66%

を大きく上回った。このうち、日本の対中輸出額は 8038.77 億円から 10.24

兆円に増加、年平均増加率は 8.55%で、同期間の日本の輸出全体の増加率

2.87%を大きく上回っている。日本の対中輸入額は 6477.43 億円から 11.44 兆

円に増加、年平均増加率は 9.7%で、同期間の日本の輸入全体の増加率 2.46%

を大きく上回っている。

図 12 に日本の対中二国間貿易の発展状況を示した。石油危機、89 年の天

安門事件、アジア通貨危機、今回の世界金融危機を除き、日本の対中二国間

貿易は基本的にプラス成長の趨勢を保ってきた。1979~2009 年の期間、日本

の対中二国間貿易の増加幅は基本的に収束する傾向にあり、今後は 25%以上

の高成長が起こることはないものと考えられる。

図 12:日本の対中二国間貿易の発展状況

-50

-25

0

25

50

75

1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009

%

进出口 出口 进口

資料:日本総務省統計局、http://www.stats.go.jp/

輸出入 輸出 輸入

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第4節 中国の対日貿易における主要貿易形態の変化

1.中国の対日貿易における一般貿易の比率が増加、加工貿易の比率が減少

2001~2008 年の期間、中国の対日貿易の主要形態に変化が起きている。一

般貿易の比率が総体的に上昇傾向を示し、加工貿易の比率が下降傾向を示し

ている。中国の対日二国間貿易において、一般貿易の輸出入額が占める比率

は39.64%から42.17%になり、加工貿易の輸出入額の比率は51.52%から46.29%

に変化している。このうち、一般貿易の輸出額が中国の対日輸出総額に占め

る比率は 42.79%から 43.18%になり、基本的に 40%以上を維持している。一般

貿易の輸入額が中国の対日輸入総額に占める比率は 36.31%から 41.38%に増

加し、35%以上を維持している。加工貿易の輸出額が中国の対日輸出総額に占

める比率は 56.24%から 53.65%に変化し、50%以上を維持している。加工貿易

の輸入額が中国の対日輸入総額に占める比率は 46.55%から 40.62%に下降し、

40%以上を維持している(図 13 参照)。

図 13:一般貿易、加工貿易が中国の対日輸出入額に占める比率

30

40

50

60

2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

%

一般贸易出口 一般贸易进口

加工贸易出口 加工贸易进口

資料:税関統計

一般貿易輸出 一般貿易輸入

加工貿易輸出 加工貿易輸入

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2.中国の日本に対する一般貿易と加工貿易が中国の一般貿易、加工貿易全

体に占める比率はいずれも減少

2001~2008 年の期間、中国の対日一般貿易が中国の一般貿易全体に占める

比率、中国の対日加工貿易が中国の加工貿易全体に占める比率は輸出入とも

に下降している。対日一般貿易輸出入額が中国の一般貿易輸出入総額に占め

る比率は 15.5%から 9.12%に下降、加工貿易輸出入額が中国の加工貿易輸出入

総額に占める比率は 18.76%から 11.72%に下降している。このうち、対日一般

貿易輸出額が中国の一般貿易輸出総額に占める比率は 17.23%から 7.57%に下

降、対日一般貿易輸入額が中国の一般貿易輸入総額に占める比率は 13.78%か

ら 10.92%に下降しているが、いぜん 10%以上を保っている。対日加工貿易輸

出額が中国の加工貿易輸出総額に占める比率は 17.19%から 9.23%に下降し、

対日加工貿易輸入額が中国加工貿易輸入総額に占める比率は 21.2%から

16.18%に下降している(図 14 参照)。

図 14:中国の対日一般貿易額、加工貿易額が中国の一般貿易額、加工貿易額全体に

占める比率

5

10

15

20

25

2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

%一般贸易出口 一般贸易进口

加工贸易出口 加工贸易进口

資料:税関統計

一般貿易輸出 一般貿易輸入 加工貿易輸出 加工貿易輸入

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第3章 中国と日本の主要貿易品目の競争力分析

第1節 中国の主な対日輸出品目とその競争力

1.中国の対日主要輸出品目は紡績・衣料及び機械・電気製品

中国の税関統計によれば、中国の対日主要輸出品目は紡績・衣料及び機械・

電気製品である。1993~2009 年の期間、中国が日本に輸出した機械類・電気

機器・AV 機器などの製品(第 16 部)が中国の対日輸出全体に占める比率は

9.86%から 38.85%に上昇し、引き続き上昇傾向を保っている。また、紡績・

衣料製品(第 11 部)が中国の対日輸出全体に占める比率は 32.41%から 17.77%

に下降したが、いぜん 15%を越えている。このうち、原子炉・ボイラー・機

械類及びこれらの部品(第 84 類)の輸出比率が 1.72%から 17.21%に上昇、電

気機器・AV 機器及びこれらの部品・付属品(第 85 類)の輸出比率が 8.15%か

ら 21.64%に上昇、メリヤス編みまたはクロセ編みの衣類及び衣類附属品(第

61 類)の輸出比率が 7.95%から 7.67%に変化、メリヤス編みまたはクロセ編

み以外の衣類及び衣類附属品(第 62 類)の輸出比率が 17.29%から 6.82%に下

降している(図 15 参照)。

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図 15:中国の主な対日輸出品目の輸出比率

0

5

10

15

20

25

30

35

40

1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

%

第十一类 纺织原料及纺织制品 61章 针织或钩编的服装及衣着附件

62章 非针织或非钩编的服装及衣着附件 第十六类 机电、音像设备及其零件、附件

84章 核反应堆、锅炉、机械器具及零件 85章 电机、电气、音像设备及其零附件

資料:税関統計

2.対日輸出競争力が強い製品は農産品、紡績・衣料製品

中国の税関統計データに基づき、輸出競争力指数を計算することができる。

その計算式は次のようなものである。

)//()/( ,, tjtiji EEEE輸出競争力指数

jiE , 、 tiE , 、 jE 、 tE はそれぞれ、ある国の j国に対する i商品の輸出額、

ある国の i 商品の輸出額、ある国の j 国に対する輸出額、ある国の輸出額、

である。 1輸出競争力指数  はある国の i 商品は輸出競争力を備えている

ことを、 1輸出競争力指数 はある国の i商品は輸出競争力を備えていない

ことを表す。

第十一部 紡織用繊維及びその製品 62類メリヤス編み又はクロセ編み以外の衣類等 84 類 原子炉,ボイラー,機械類及びこれらの部品

61 類メリヤス編み又はクロセ編みの衣類及び衣類附属品 第十六部 機械類,電気機器,AV 機器及びこれらの部品・付属品

85 類 電気機器,AV 機器及びこれらの部品・付属品

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図 16 は中国の対日輸出品目のうち、以下の品目の競争力が強いことを示し

ている。すなわち、生きている動物及び動物性生産品(第 1 部)、植物性生

産品(第 2 部)、食料品及び飲料など(第 4 部)、紡織用繊維及びその製品

(第 11 部)である。これら競争力が強い品目は主として原材料及び労働集約

型製品で、具体的には、第 3~9類、第 16 類、第 19~21 類、第 23 類、第 25

類、第 27 類、第 28 類、第 44 類、第 46 類、第 51 類、第 61~63 類、第 68 類、

第 81 類製品である。

図 16:日本に対し強い競争力を持つ品目の輸出競争力指数

1

1.5

2

2.5

3

3.5

4

1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

第一类 活动物;动物产品

第二类 植物产品

第四类 食品;饮料、酒及醋;烟草及制品

第五类 矿产品

第九类 木及制品;木炭;软木;编结品

第十一类 纺织原料及纺织制品

資料:税関統計

第2節 日本からの主な輸入品目とその競争力

1.中国が日本から輸入している主な品目は機械・電気製品

中国の税関統計によれば、中国が日本から輸入している主な品目は機械・

電気製品である。1993~2009 年の期間、中国が日本から輸入した機械類・電

気機器・AV 機器などの製品(第 16 部)が輸入全体に占める比率は 46%から

第一部 生きている動物、動物性生産品

第二部 植物性生産品

第四部 食料品,飲料,アルコール,食酢,タバコの葉及びタバコ製品

第五部 鉱物性生産品 第九部 木材・木製品、木炭、コルク、かご・枝条細工物

第十一部 紡織用繊維及びその製品

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46.03%になり、46%以上を維持している。非金属及びその製品(第 15 部)の

輸入比率は 18.56%から 12.48%に、化学工業及び類似の工業の生産品(第 6部)

の輸入比率は 3.64%から 9.38%に、車両・航空機・船舶及び輸送機器関連品(第

17 部)の輸入比率は 10.86%から 8.83%に、光学・医療用機器など(第 18 部)

の輸入比率は 5.07%から 8.47%に変化した。このうち中国が日本から輸入して

いる原子炉・ボイラー・機械類及びこれらの部品(第 84 類)の輸入比率は

27.39%から 17.93%に下降したが、17%以上を保っている。電気機器・AV 機器

及びこれらの部品・付属品(第 85 類)の輸入比率は 18.61%から 28.1%に上昇

している。

2.日本の一部の品目は中国に対し比較的強い競争力を有している

中国の税関統計データに基づき、輸入競争力指数を計算することができる。

その計算式は次のようなものである。

)//()/( ,, tjtiji XXXX輸入競争力指数

jiX , 、 tiX , 、 jX 、 tX はそれぞれ、ある国の j国に対する i商品の輸入額、

ある国の i 商品の輸入額、ある国の j 国に対する輸入額、ある国の輸入額、

である。 1輸入競争力指数  は j 国の i 商品は輸出競争力を備えており、

1輸入競争力指数 はj国のi商品は輸出競争力を備えていないことを表す。

日本が中国に対して強い競争力を有している品目は、石材及びそれらに類

する材料の製品・陶磁製品・ガラス及びその製品(第 13 部)、非金属及びそ

の製品(第 15 部)、機械類、電気機器、AV 機器(第 16 部)、光学・医療用

機器など(第 18 部)である。これら競争力が強い品目は主に技術集約型製品

及び一部の労働集約型製品で、具体的には、第 29 類、第 34 類、第 37 類、第

54~56 類、第 58 類、第 70 類、第 72~73 類、第 82 類、第 84~85 類、第 87

類、第 90~92 類製品である。

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第4章 日本の対中直接投資の状況に対する分析

日本はまた、中国にとって も重要な FDI の流入源でもある。中国商務部

の統計データによれば、中国に流入した日本の FDI は 1986 年には 2.6 億ドル

であったが、2009 年には 41.1 億ドルに増加している。総体的に見れば、中

国と日本は途上国と先進国であり、地理的に近いというメリットからも中日

両国は極めて大きな経済的利益と密接な経済関係を有している。経済の緊密

な結びつきが両国貿易の発展を大いに促進している。

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第1節 日本の対中直接投資の全体状況

中国商務省の統計資料によれば、1990~2009 年の期間に日本の対中直接投

資額は 5.03 億ドルから 41.045 億ドルへ増加したが、中国に流入した海外直

接投資に占める比率は 14.05%から 4.56%へと、総体的に見ると下降趨勢を示

している。このうち、2005 年が日本の対中直接投資のピークで 65.3 億ドル

に達し、それ以降は投資規模が縮小しただけでなく、中国に流入する海外直

接投資に占める比率も下降している(図 17 参照)。同期間における日本の対

中直接投資の増加率の変動は極めて大きく、1993 年は前年度比 86.54%の増加

で史上 高を記録、アジア通貨危機の 1998 年と後の 2006 年にはそれぞれマ

イナス 21.41%とマイナス 29.58%と底を打った(図 17 参照)。

図 17:日本の対中直接投資が中国に流入する海外直接投資に占める比率及び増加率

0

2

4

6

8

10

12

14

16

1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

%

-30

-15

0

15

30

45

60

75

90%

日本所占比重(%) 增长率(%)

資料:中国商務部

日本の財務省の統計データによれば、1990~2009 年の期間に日本の対中直

接投資額は 511 億円から 6492 億円に増加している。日本の海外直接投資に占

日本が占める比率(%) 増加率(%)

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22

める比率には大きな波があり、0.61%から9.29%へと変化している。このうち、

2005 年の対中直接投資は史上 高の 7262 億円に達し、海外直接投資に占め

る比率も 14.39%のピークに達した。その後は規模及び比率ともに下降傾向を

示している(図 18 参照)。

図 18:日本の対中直接投資額及び日本の海外直接投資に占める比率

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

亿日元

0

2

4

6

8

10

12

14

16%

对华直接投资 所占比重

資料:http://www.mof.go.jp/

2006~2008 年にかけて、日本の対中直接投資は減少している。2006 年の対

中実質投資は 47.59 億ドルで前年比 27.11%の下降であったが、中国の外資利

用規模は前年比 4.47%上昇しており、日本の対中直接投資が中国の外資利用

全体に占める比率は 10.82%から 7.23%に下降した。2007 年の日本の対中実質

投資は 35.89 億ドルで前年比 24.59%の下降であったが、中国の外資利用規模

は前年比 13.59%上昇しており、日本の対中直接投資が中国の外資利用全体に

占める比率は 7.23%から 4.8%へと下降した。2008 年の日本の対中実質投資は

36.52 億ドルで前年比わずか 1.76%の上昇、投資規模は 2006 年の水準を回復

しなかった。中国の外資利用規模は前年比 23.58%上昇しており、日本の対中

対中直接投資 占める比率

億円

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直接投資が中国の外資利用全体に占める比率は 4.8%からさらに 3.95%へと下

降した。

第2節 日本の対中直接投資の主な特徴

1.日本の対中直接投資先は製造業が低迷、サービス業が伸びる

2006~2008 年にかけて、日本の対中実質投資の中で、製造業への投資金額

が 35.55 億ドルから 26.23 億、25.11 億ドルへと減少、対中実質投資に占め

る比率は 74.69%から 73.07%、68.75%へと下降している。建築業も下降の趨勢

にあり、実質投資額は 0.25 億ドルから 0.12 億、0.11 億ドルへと減少、対中

実質投資に占める比率は 0.52%から 0.33%、0.31%に下降した。しかし、交通

運輸・倉庫・郵政業、情報伝送・コンピュータサービス・ソフトウェア業、

金融業、不動産業の四つのサービス業が上昇傾向を示している。内訳は、交

通運輸・倉庫・郵政業の実質投資額が 0.30 億ドルから 0.51 億、0.58 億ドル

に増加、対中実質投資に占める比率は 0.63%から 1.41%、1.6%に上昇。情報伝

送・コンピュータサービス・ソフトウェア業の実質投資額が 0.41 億ドルから

0.43 億、1.48 億ドルに増加、2008 年は 2006 年の 3.58 倍になり、対中実質

投資に占める比率は 0.87%から 1.2%、4.04%に上昇した。金融業の実質投資額

は 0.13 億ドルから 0.62 億、0.77 億ドルに増加、対中実質投資額に占める比

率は 0.28%から 1.72%、2.1%に上昇。不動産業の実質投資額は 0.81 億ドルか

ら0.78億、0.84億ドルとなり、対中実質投資に占める比率は1.71%から2.19%、

2.31%へと上昇した。

2.日本の対中投資プロジェクトの平均規模は増加しているが、相対的には

下降している

2006~2008 年における日本の対中直接投資プロジェクトの平均規模は、そ

れぞれ 183.76 万、181.82 万、253.99 万ドル/プロジェクトで、中国全国の実

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24

質外資利用プロジェクトの平均規模はそれぞれ 151.96 万、197.43 万、335.81

万ドル/プロジェクトである。全国の実質外資利用プロジェクトの平均規模と

比べると、それぞれ 120.93%、92.1%、75.63%であり、中国全体と比べると、

日本の対中直接投資プロジェクトの平均規模は相対的に下降傾向にあると言

える。

2006~2008 年における製造業への投資プロジェクトの平均規模は 236.34

万ドル/プロジェクトから 279.01 万、448.36 万ドル/プロジェクトに増大、

全国の製造業プロジェクトの平均規模と比べると、それぞれ146.19%、131.05%、

103.95%である。交通運輸・倉庫・郵政業への投資プロジェクトの平均規模は

91.06万ドル/プロジェクトから120.4万、389.4万ドル/プロジェクトに増大、

全国の同業界への投資プロジェクトの平均規模と比べると、それぞれ30.51%、

39.48%、71.43%である。金融業への投資プロジェクトの平均規模は 188.14 万

ドル/プロジェクトから 2061.33 万、2560.67 万ドル/プロジェクトに増大、

全国の同業界への投資プロジェクトと比べると、33.31%、408.6%、111.81%

である。不動産業への投資プロジェクトの平均規模は 253.75 万ドル/プロジ

ェクトから 461.65 万、2815.33 万ドル/プロジェクトに増大、全国の同業界

への投資プロジェクトの平均規模と比べると、それぞれ 73.94%、39.01%、

68.45%である。

3.日本の対中直接投資は主に沿海部の省・市に集中

2006~2008年における日本の対中実質投資は主に江蘇省、上海市、広東省、

北京市などに集中している。江蘇省への投資比率は同期間中20%以上を保ち、

それぞれ 28.17%、23.57%、24.09%であった。上海市への投資比率は 15%以上

を保ち、それぞれ 17.24%、23.15%、17.97%であった。広東省への投資比率は

13%以上で、それぞれ 14.03%、15.23%、13.86%であった。北京への投資比率

は変動が明確に現れており、それぞれ 11.79%、8.46%、12.02%であった。上

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25

記4地区への日本の投資規模は総体的には下降傾向を示しているが、遼寧省

への投資比率は 5.57%から 5.95%、12.92%へと上昇傾向を示し、実質投資額も

2006 年の 2.63 億ドルから 2008 年の 4.72 億ドルへと増加している。

このほか、日本は北京市、広東省に対する投資プロジェクトの平均規模が

比較的大きい。北京市に対する2006年と2008年のプロジェクト平均規模は、

それぞれ 415.73 万、402.86 万ドル/プロジェクトで、2006~2008 年の広東省

への投資プロジェクトの平均規模はそれぞれ 454.19 万、459.354 万、556.26

万ドル/プロジェクトである。

第3節 日本の在中国投資企業は中国経済にプラスの影響

長期にわたり、日本は中国の も重要な貿易パートナーの1つであり、ト

ップ3に入る貿易相手国である。ここ数年、中国が貿易の多元化戦略を実施

したことにより、中国対外貿易における日本のシェアはやや下降しているが、

いぜんとして 10%前後を保っている。2006~2008 年に中日間の輸出入が中国

の総輸出入に占める比率は、2006 年から順に 11.79%、10.86%、10.42%で、こ

のうち日本への輸出が中国の総輸出に占める比率は順に9.47%、8.39%、8.13%、

日本からの輸入が占める比率は順に 14.63%、14%、13.31%である。

1.中国の外資利用にとって有利である

日本はまた、中国にとって海外直接投資の重要な流入源の1つである。商

務部の統計データによると、2008 年末現在、日本の対中直接投資の実際金額

は 653.76 億ドルで、中国の実質外資利用総額(8990.59 億ドル)の 7.27%を

占める。これは香港とバージン諸島という貿易自由港・自由地区に次ぐ第 3

位である。

日本の中国に対する大量の投資は中国の各産業を大いに発展させ、また技

術波及効果をもたらしている。たとえば、中国の自動車産業に対する日本の

Page 28: 中国対外貿易の主な特徴及び将来の展望 - ESRI · 資料:税関統計 2.中国の加工貿易の比率は上昇後安定してきている 1981~2009年の期間、中国の加工貿易の輸出入額は26.35億ドルから

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投資は主に広東省の珠江デルタ地域に集中し、自動車と自動車部品産業がリ

ンクした相互促進と分業協力体制を構築している。

2.在中国日本企業は多くの税収を創出

2006~2008 年、工商行政管理局から年度検査を受けた日本の在中国投資企

業の平均納税額は、2006 年から順に人民幣 449.64 万、576.87 万、782.41 万

元で、増加傾向が続いている。同期間における在中国日本企業の納税総額が

全国の外国税収入に占める比率は、順に 11.16%、11.67%、12.91%で上昇傾向

を示している。2006~2008 年、年度検査を受けた日本の在中国投資企業の営

業収入が全国の三資工業企業の主な事業所得に占める比率は、順に 17.05%、

16.76%、15.69%で、ここからも納税水準の高さがわかる。

3.日本の在中国投資企業は所得を増加させる

2006~2008年、年度検査を受けた日本の在中国投資企業の平均営業収入は、

順に人民幣 8520.92 万、1兆 419.68 万、1兆 1501.98 万元で増加傾向を示し、

企業の平均純利益は、順に人民幣 290.81 万、444.10 万、363.40 万元である。

これは日本資本の企業に就職した中国人従業員の所得増加を利するものであ

り、また従業員の勤務条件や社会保障の改善にとっても有益である。

第5章 2010 年~2030 年の中国対外貿易の展望

第1節 中国対外貿易に影響を与える主な要素

中国対外貿易に影響を与える要素は比較的多くあるが、大きく2つに分け

ることができる。1つは中国国内の経済貿易政策、もう1つは国際市場と外

部需要である。

中国対外貿易に影響を与える国内の経済貿易政策とは主に次のようなもの

である。すなわち、中国が直面している国内外の環境及び国内の経済構造の

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持続的な変化によって経済発展方式の転換を加速させる。それは特に新技術、

新素材の研究と開発の面に現れる。資源や土地の利用効率を向上させ、また

低炭素経済を発展させて、自然や環境と協調していかねばならない。中国国

内には大量の外商投資企業と多国籍企業が存在する。開放政策と経済貿易政

策の安定性と連続性を保つことで、外商投資企業の技術移転または研究開発

を促すことが必要である。また、世界経済の中にいくらかの場を占められる

よう、中国企業の国際競争力を高め、中国本土の多国籍企業を育成していか

ねばならない。

中国対外貿易に影響を与える国際的な要素とは主に以下のようなものであ

る。経済のグローバル化の趨勢に大きな変化はないが、その速度はある段階

から緩くなるものと考えられる。人民元の為替レート制度の改革や人民元為

替レートの変化は中国製品の国際競争力に直接影響するだけでなく、中国の

貿易、対外投資、総合的国力にも影響を及ぼす。地域内の経済の一体化の進

捗状況、とりわけ東アジア地域とアジア太平洋地域の自由貿易の進展、たと

えば TPP を代表とする自由貿易協定が、もし幅広く参加メンバーを得ること

になれば、中国対外貿易の発展状況に大きな影響を与えることになる。ほか

に国際市場の需要の変化及び貿易紛争なども中国の輸出入に影響すると考え

られる。

第2節 中国対外貿易の将来の展望

1.中国対外貿易の高成長の勢いが終結

2010~2030 年の期間、中国対外貿易の発展につれて、ことに米国を抜いて

世界 大の貿易国になるにともない、外部の市場環境はおそらく悪化するで

あろう。ことに貿易紛争が頻繁に発生し、中国製品に対する外部需要は衰退

すると考えられる。また、国内外の要素のコストが上昇しており、大量の製

品や原材料価格、労働力の社会保障コスト及び住宅コストも上昇を続けると

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予測される。さらに人民元の切り上げは不可避であり、これも中国対外貿易

に計り知れない、全面的な影響を与えることになる。中国対外貿易の高成長

の情勢もこれにつれて徐々に薄れていくであろう。

第一に、中国は発展方式を転換し、経済構造の調整を進める。この期間、

中国はもはや貿易量の拡大を追い求めず、貿易の質により関心を払うように

なる。ことに、世界中に資源を配置し、より多くの中国の多国籍企業を育成

し、経済構造を 適化し、国際競争力と国際的地位を向上させる、などであ

る。

第二に、人民元の切り上げは長期的には必然の趨勢である。国内的要因か

らも国際的要因からも人民元の切り上げは不可避であり、長期的な進展にお

いて、切り上げの道筋や実施計画を打ち立てることが肝要である。一般的に

は人民元の切り上げは輸出の難度、ことに伝統的な労働集約型製品の輸出の

難度を高める。一部の製品の淘汰、製品構造の調整が必要になる。人民元の

切り上げはまた、輸入規模の拡大を利する。輸入規模はおそらく急速に増大

し、国内市場との競争になり、低付加価値製品は中国市場に進出することが

難しくなる。

第三に、中国はさらに多くの貿易紛争と貿易救済措置の発動に直面する。

多国籍企業は資源と市場を追い求め、どこかに市場があれば、どこかに利益

があれば、多国籍企業は必ずそこに参加する。1960 年代以降、多国籍企業は

全世界で産業の移転、構造調整、戦略的分布と資源要素の配置を行なってき

た。中国の廉価な労働力コスト、広大な発展の可能性、巨大な市場の吸引力

は多国籍企業に十分に利用され、中国対外貿易は米国や日本などの在中国外

商投資企業の重要な発展手段になっている。世界中の多国籍企業が中国で貿

易転換、貿易創出を行ない、他国の輸出を中国に移転して中国の輸出として

いる。しかし実際には中国本土からの輸出ではなく、これがまた中国が多く

の貿易紛争に直面する事態を避けがたくしている。

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WTO の統計によれば、中国は長期にわたり伝統的な貿易救済措置を も多

く発動されてきた国である。将来は伝統的な貿易救済措置のほか、技術関連

の知的財産権の保護紛争も次々と起こるであろう。

2.中国対外貿易と対外投資との緊密な結合

本稿はすでに日本の在中国外商投資企業を例として、中国対外貿易の急速

な発展は中国が外国の直接投資を引きつけていることと密接不可分であるこ

とを説明した。EU、米国、日本など世界の主要国の多国籍企業は中国に投資

し、グローバルな国際分業の要求を満たすと同時に、世界の資源配置効率を

高めている。中国は膨大な多国籍企業の資源を有し、また労働力コストが低

いというメリットを有している。さらに巨大な中国国内市場は全世界に対し

強大な吸引力をもち、これにより中国対外貿易が成長を続ける趨勢を生み出

している。ある段階で労働者の基本的な条件、ことに労働条件と勤務環境を

逐次改善するため、中国の労働力コストは上昇するであろうが、中国には大

量の海外直接投資、ことにグリーンフィールド投資(新たに投資先国に法人

を設立する形態の投資)と加工貿易方式による投資が流入しており、その現

存量の規模は巨大である。外商投資企業も引き続き投資を続け、輸入と輸出

を拡大し、中国対外貿易に大きな役割を果たすであろう。

一方、中国は世界の主要貿易パートナーの後を追って、その貿易の主流は

もはや純粋な物品貿易ではなく、中国の対外投資と緊密に結びついたものに

なる。中国の総合的な国力の上昇にともない、人民元の切り上げ圧力がいっ

そう高まり、中国が「歩みだす」速度が速くなり、世界の主要投資国となる

であろう。中国の対外投資の増加により、全世界で原材料、プラント及びそ

の他の部品・附属品などの購入が必要とされ、世界規模で物品流動の加速が

起こる。2010~2030 年の期間に中国と多くの貿易相手国が自由貿易協定や投

資・貿易円滑化協定を結び、これにより貿易と対外投資はいっそう緊密に結

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びつくと考えられる。

3.中国対外貿易相手国のさらなる多元化

2010~2030 年の期間に中国の貿易相手国はさらに多元化し、貿易相手国に

は主に次の2つの顕著な変化が起こる。

1つは、香港が担っていた中国の輸出の役割がさらに低下することである。

改革開放政策実施以前、中国の貿易相手国は主に旧ソ連、東欧諸国、アフリ

カ諸国であり、先進国の経済体とは基本的に取引がなかった。中国の輸出の

重要なルートは香港とシンガポールであり、このため香港とシンガポールは

世界 大の中継貿易拠点となった。

WTO 加盟後、中国の貿易関係の中で香港が占める地位は下降を続け、中国

の輸出に果たす役割は限られたものになった。1995~2009 年の期間、中国の

対香港輸出金額は 359.84 億ドルから 1662.33 億ドルに増加しているが、中国

の輸出全体に占める比率は 24.19%から 13.83%に下降している。

もう1つは、中国の主要貿易相手国の占める比率がさらに下降することで

ある。2010~2030 年の間に中国の貿易相手国のシェアはもはや集中しなくな

り、多元化の趨勢がいっそう顕著になる。米国や日本などの主要貿易相手国

に対する輸出が中国の輸出全体に占める比率はさらに下降し、米国が中国の

輸出に占める比率は 15%前後かあるいはもっと低く、日本が中国輸出に占め

る比率は 10%以下となる。これと同時に、中国と ASEAN 諸国との二国間貿易

は急速に発展し、韓国、アフリカ諸国、中欧・東欧諸国などとの二国間貿易

も急速に伸びる見込みである。また一部の途上国が中国貿易に占める比率は

小幅に上昇するものと予想される。