非線形LCはしご形回路によるソリトン - 兵庫教育大...

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非線形LCはしご形回路によるソリトン 兵庫教育大学 学校教育研究科 教科領域教育専攻 自然系コース (理科) M94603G井田明人 主任指導教官・指導教官 佐藤 光 教授

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  • 非線形LCはしご形回路によるソリトン

    兵庫教育大学 学校教育研究科

    教科領域教育専攻 自然系コース (理科)

    M94603G井田明人主任指導教官・指導教官 佐藤 光 教授

  • 目次

    1序論 3

    2実験の背景 2.1運動方程式 一一一t

    2.2 1ソリトン解 …

    2.3 LC回路のソリトン

    2.4 2ソリトン解 ・一・

    44

    5

    6

    8

    3 実験装置と方法

    3.1回路一tti-t一一一一一、

    3.2 測定方法一一it一・一・一

    3.3 マイクロインダクタの特性・ ・

    3、4 可変容量ダイオードの特性・

    11

    ・・ 11

    J一一一一一t-t一一t一 11

    ”・・・・・・・・…@ 12 .,,,..,・・ 13

    4 実験結果と考察

    4.1微少振幅波 ・一一 ・ . ・ 一 .

    4.2 ソリトンの発生… ■■ ・ . . .

    4.3 ソリトンの相互作用 ・ …

    1717

    19

    35

    5結論 51

    図目次1

    2

    3

    4

    5

    6

    7

    8

    9

    1e

    11

    12

    13

    14

    15

    LC回路一t・■一一t-t・一一一一・ t■ ・ .

    回路図・一一一一一一一一t一・一・一 …

    回路写真一一一一.. . . ..装置全景一・一一一・一・一 ・ . . 。 .インダクタンスの測定一一一一一■■一一t・ tf ■■

    可変容量ダイオードの周波数依存性一一 ■■ ・ ・

    容量の逆バイアス電圧依存性 ・一一一 …

    直列抵抗成分の逆バイアス電圧依存性 ・・

    容量の逆数の逆バイアス電圧依存性t一 ・ ・

    微少振幅波の分散関係・・一一・t■・t■ ・ ・

    定在波一一一一… 一・一一 . . ,微少振幅波の減衰一一・・一i一・一一一一 ・

    回路中のダイオードの容量の逆数・ ・

    ソリトンのグラフ・・■t一一一… 一一

    ソリトンの理論値との比較・一i一一一一

    6

    11

    12

    12

    13

    15

    15

    16

    16

    17

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    21

    21

    21

    1

  • 16

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    43

    44

    H=1[V],f=20[kHz]・・・… d・・・・・・・・・・・・… t・・・・… t・

    H==1[V],f:361kHz]・・・・・・・… ’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’”

    H==1[Vl,f==54.7[kHzl・・・・・・・… ‘・t・・・・・・・… 一・t・.・..

    H==1[V],f= 109.6[kHz] ・・e・・一・・t・・t・・・・… ........,..

    H==1[V],f=3161kHz]・・・・・・・・・… 一・… t・・・・・… ,.・..

    H =4[V],f一一10.89[kHz] ・・・・・・・・・・・・・・… ’・ ・・… 一・・・…

    H:4[V],f=65.1[kHz]・・… tt・・‘・・i・・… 一・・・・… 一・

    H=4[V],f=121.3[kHz] ・・・ ・・・・ ・・・・・・ ・ … 一 ・J … i ・ 一・ …

    H =4[V],f==245[kHz] t・t・・・・・・・… .....,,...,.......

    入力波形とソリトンの数の関係一・一e一一一一一・t一一一一et一・一一・

    波高値と速度の関係 一一・一一ei・一一tt一一一一一一・・一一・・一一一

    波高値と装置定数の関係一・・一一t・一一一i一■t一一一一t・一一■t・■一

    ソリトンの減衰・t■・■■一一一t一■■tt-t■一・・t■■■一一e■■+・

    同じ高さのソリトンの正面衝突一一・一i一一t一一一一一一一一一一一・・一t・

    高さの違うソリトンの正面衝突・一一一一一一一一一tv一一t一・・… 一一

    ソリトンの追い越し衝突一■t+一一t一一i一一一一t一一t一・一一・■一■■

    追い越しの相互作用 ・一・・t・一一一tt一・・一一一一・… 一t一一・一一

    波高値:と回路定数t一・・一一・・一t+一一t一一tt一一t一・・一一一・・一{

    ピーク上部でよくフィットされたソリトン… 一4一・一一一・一一・“一

    波高値の違う2ソリトンのフィッティング・一一一一一t・一一一一一t一一一・

    同じ2ソリトンのデータで高いソリトンの波高値:を固定したフィッティング

    正面衝突1のパラメータの変動 一一一一・一・t-t一一一■一・一t一… 一

    正面衝突2のパラメータの変動 一一一ft一一■・e■e一一一一■一一一・一一・

    正面衝突3のパラメ・・・…タの変動 ・・一■t・一t-i-t一・一t-t一一・t■・

    正面衝突4のパラメータの変動 一一t-i一一ti-t-p一一一一一… 一一・

    追い越し衝突1のパラメータの変動一t-tt一一一t一一一一一一i■4td・・

    追い越し衝突2のパラメータの変動・d一一一・・一一一f・一

    追い越し衝突3のパラメータの変動■s一一一t4■t-it4一・一一t■tt・

    追い越し衝突4のパラメータの変動tt・一i-t・一一一一・t一・一一t・・

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    49

    50

    表目次1

    2

    3

    装置定数:… 一・

    微少振幅波の減衰率

    ソリトンの減衰率一

    ・・ 14

    19

    ・ 32

    2

  • 1 序論

    我々は日常生活で多様な波動現象を目にする.これらの現象は限られた条件の元では正

    弦波として理解することができる.しかし,一一ts身近な水波を考えただけでもそれほど単

    純に理解できるものではないことに気づかされる.現実には振幅が大きく線形の運動方程

    式では記述することが出来ない波動現象が多い.また,これらの非線形な運動方程式で記

    述される波動現象には線形の波にはないおもしろい性質がある,

    この論文では,これら非線形の波動現象の中で衝突によって変形しない,あたかも粒子

    のように振る舞うソリトンを考える.水波のソリトンの実験は水路に発生させるが必ずソ

    リトン以外の要素が加わってしまう,これは主に初期波形を十分に制御できないことと,ソ

    リトンとその他の部分が十分に分離するまで走らせるほど長い水路が研究室内では困難で

    あることによる.

    そこでより定量的な議論をするために,水路のかわりにしC回路を用いる.特に格子間

    のポテンシャルが指数関数で表されるような戸田格子を構成し,これを伝わる電気信号と

    してのソリトンについて述べる.

    第2章では指数関数型のポテンシャルを持つ格子の運動方程式を解き1ソリトン解を導

    いた.つぎに,LCはしご形回路に適当な非線形のキャパシタを用いることによって,指

    数関数型のポテンシャルを持つ格子の運動方程式と同じものが得られることを示し,回路

    定数を用いて1ソリトン解,2ソリトン解とその漸近形を求め,相互作用による軌道のず

    れを示した.

    第3章では回路図を示し,使用するインダクタとキャパシタの特性を測定し回路定数を

    決定した.

    第4章では実験結果と考察を述べた,はじめに微少振幅の正弦波を用いて理論と一致す

    ることを示した.つぎに1ソリトシを発生させ,回路に不可避的に存在する損失の影響に

    よって減衰が起こりソリトンの形が変化してしまうが,各格子点でのソリトンの形は理論

    とよく一致することを示した.また,与える入力パルスによって出現するソリトンの個数

    は変化するが,その依存関係を得ることが出来た.ソリトンの相互作用は2ソリトンの正

    面衝突と追い越し衝突について調べ,非線形の相互作用による効果を評価した.

    第5章に本研究の成果をまとめた.なお研究を進めるにあたって特に理論面で参考文献

    [1],[2],[3]を参照した.参考文献[4]はより理想的なキャパシタを探すために用いたが,指定

    したものを入手することは困難であった.

    3

  • 2 実験の背景

    2.1 運動方程式

    平衡状態の格子の位置を原点とした格子の座標をyn-1,Yn,Yn+1等と表すと相対変位はrn.・=

    〃バ〃耐と表される.

    ポテンシャルエネルギーをφωとすると格子聞の力!は

    !一一霧一。φひ)

    となる.

    π番目の格子に働く力はπ一1番目とn+1番目から受ける力の和なので運動方程式は

    m犠一一包)+φ偏)

    となり,π一1番目の格子の運動方程式との差をとると

    弗一φ輪)+φ』「2φ包)

    となり,相対変位のみで書かれた運動方程式を得る.

    ここでポテンシャルとして非線形ポテンシャル

    の ゆ φω㌔・加+・卜万

    を考える.このポテンシャルは戸田ポテンシャルと呼ばれ,それに従う格子を戸田格子と

    呼ぶ.運動方程式は

    畷一昭晒一押一丁4)

    となる.

    f ・一dil。)=α(e”b「 一… 1)

    より

    ド十(i+i’

    とかけるので,!で運動方程式を書き表すと

    $?in(1+血 G〉一k(f。+・ +・f。.・ 一’・2fn) (1)

    となる.

    d f・ =ttSn =3n

    を導入し運動方程式を書き直すと

    轟㎞(1+並 a)一嘉(s。+・ +・s。一・ 一・2Sn)

    4

  • となり,積分を実行して積分定数を適当にとると

    議血(1+:勉 a)鴇(s…+・Sn一・一・2Sn)

    と=書ける.さらに

    d . 8・「蕩5九=亀

    を導入し積分を実行し積分定数を適当に選ぶと

    誘1・(1+童 a)一鑑.・+・S。.、 一一 2Sn)

    h(1+童 a)一k(Sn.・+Sn.、一一 2Sn)

    となる.ここで れ 姦=万h1怖

    とおくと

    距絵,畠一点物評

    なので

    ln(・+重藤罫)一1n・9…価伽・一・ 21n・9n

    ・+雛物デ舞一鱗謄1

    となり qn・+鴛(.1 .. .t2eρnPn-9π)一 9n+191一・

    を得る.

    2.2 1ソリトン解

    上で求めた運動方程式を満たす解として

    9n=1+e2θ,θ == hn 一ωt

    の形のものを求める.

    9n2 := 1十e4θ十2e2θ

    ψ舞=4ω2e2θ

    ip。qn=4ω2e2θ+4ω2e4θ

    ePn+、9。.1;1+e2ee-2外・2θ・2外岬

    5

    (2)

  • 等より ω・一些,inh・k

    視を満たすとき上の形の解がゆるされる.

    このとき

    8n一万1n(・+e2θ)

    2mw Sn = 一 ゐ(1+e2θ)

    fn=a・inh2 k’ sech2(kn一ωt)

    fnは鳶鴨一ωεで形を変えずに進むパルス波を表しソリトンと呼ばれる.振幅A=αsinh2 k

    とおくと

    ムー繍(婦無)

    となりソリトンの時間的な幅は振幅の平方根に反比例し,速度も振幅に依存する.

    2.3 LC回路のソリトン

    ソリトンの実験を行う装置として図(1)を考える.この回路ではインダクタが直列につな

    がれインダクタとアースの間にキャパシタが挿入されている.

    L

    」働軸。

    L L

    Vn ]ww 1 Vn+1→ ==」→レIn-i t. 一 lnc c

    図1:LC回路

    n番目のキャパシタに加わる電圧をVnとし, n 一一 1 ts目と鴨番目のキャパシタを結ぶイン

    ダクタに流れる電流をIn-1とすると

    vn-i 一一 vn = LE1ttlli !”ii (3)

    心乱…煽 (4)

    6

  • が成り立つ。式(3)のnを1進めた式と式(3>の差をとり式(4)を使うと

    E:2311tq2” == i(v.一i + vn+i 一一 2vn) (5)

    となる.

    キャパシタンス0が定数の場合式(5)は

    EI12111!tV2” : iljls(vn-i+ vn+i ’一 2vn)

    となり線形の波動

    v. = Acos{(kn 一一 tut)}

    の分散式として 2 一k ω=士πsin蒼

    を得る.

    次にキャパシタの容量が 1 一=F一一 : av 十b C(v)

    という形で電圧に依存する国璽を考える.このときπ番目のキャパシタの電荷伽は

    q. :fo”” C(v)dV (6)

    となるが,直流の逆バイアス電圧%と信号成分Vnに分けて考えると

    qnイ。(v)幽趣+Vn。y≒sdV

    となる.右辺第1項は式(5)に代入すると消えるので第2項のみが残り

    lin(1十 Vo+9 a)

    と書ける.電荷の次元を持ったQ=差と電圧の次元を持ったF(v。)=V。+葺を導入すると運

    動方程式(5)は

    劃1+為)一あ(Vn-i十 Vn+1 一2Vn) (7)

    となり力fnで書いた戸田格子の運動方程式(1)と一一twする.従って分散関係

    ω2一{諮・inh2鳶 (8)

    を満たすとき

    Vn =E( v.) sinh2 k sech2(kn 一wt) (9)

    7

  • または振轍一F(v。)・inh2・k・c(一篇を使って

    Vn一琳iポ(婿)π一三弓 (1・)

    の1ソリトン解を得る.

    この式は装置の定数が決まればソリトンを決めるパラメーターはひとつであることを示

    している.この式の場合振幅Aを決めると解として存在できるソリトンは一意的に定まる.

    2.4 2ソリトン角翠

    戸田格子の運動方程式を変形した式(2)を回路の定数を使って書き直すと

    9・2+器(開 ・29n(Pn一字)n)一 q・+・9n一・

    となりη段の電圧Vnは a12 琉=五。涙1即・

    と書ける.

    2ソリトン解として

    q == 1 + Aie2ei + A2e2e2 + A3e{2(ei+e2)}

    θ1=ん1n一ω1君θ2=々2π一ω2孟

    の形のものを求める.式(12)に代入して整理すると

    Ai(e2foi + e-2k’ 一 2 一一 4f{i(9ill」.)w?)e2e’

    +A2(e21e2 + e-2ic2 一 2 一 4fli(9ilS.)w?)e2e2

    +[A3{・2(婦・)+ビ2(k・+k・)}+んん(・2(励・)+・一2(ic・’k・))一2(A,A、+A3)

    一4器孟・(ω1+ω・)2-4器碗(一)2]・2岡

    +A2A3(e2ki + e-2ki 一 2 一一 4fCi(911.})w?)e2(ei+2e2)

    編・(・2}軌2-4鵡ω釜)・2(2e・’e2)

    == o

    (11)

    (12)

    (13)

    となる.

    e2ei (JD係数から

    ω多一 u砺)㎡い一・,2)

    8

  • が得られ,このときe2(θ・+2e2),e2(2e1+e2)の項も同時に0となり, e2(θ・+θ・)の項より

    A3 . sinh2(ki 一一一 k2) 一 LC( v.)(wi 一一 cu2)2

    AiA2 一 sinh2(ki + k2) 一一 LC(v.)(wi +w2)2

    が得られる・(C(v。)一篇を使った)

    Vnの具体的な形を求めるために式(13)を式(12)に代入すると

    (14)

    Vn = 4LCI” {e一一(ei+e2) + A3eei+e2 + Aleei一一e2 + A2e一(ei-e2)}2

    (15)

    が得られる.この式は一見して何を表しているのかわかりにくいが,後に相互作用中の2

    ソリトンを調べるときには使うことになる.

    2ソリトンが相互作用をしていないt→士○○のときの漸近解も求める.二つのソリトン

    が同一方向に進む紐>k2,ω2>ω1>0の場合

    1 ω・ =〉励si鵡 (16)

    なので式(14)は

    轟一儒鵠2 (17)

    と書ける.

    一方のソリトンの近eekln 一一 b」it ce Oで

    e2 = k2n-w2t = :1’i(kin 一一 wit) 一cv2 (i 一 ilt iiliil)t (ls)

    となるが 1-trtWl,,.1-612t-g111}一61!sin}ig1〈o

    klw2 ki sinh k2

    なので

    e”・ ・・{師二二

    となる.これらから式(13)は

    布陣頚二・e、}e2e、 1:5600

    となり,Vnを計算すると

    V. = Fsinh2 kisech2(ei + 6b

    6τ一nA1δ許続

    となる.

    tu?(Aie-2e2 + A2A3e2e2) + tu22(A2e-2ei + AiA3e2ei) + A3(wi + tu2)2 + AiA2(wi 一 w2)2

    9

  • θ2の近傍では

    θ・一(k・n・一・w・t) 一一・・v・(1需)t (19)

    となり

    血痕樵・砺}溺盛

    と書けるので

    Yn・=Fsin.h2 k2sech2(θ2十δ黄)

    δ二一n爵6→nA・

    となり,以上の結果をまとめると

    V。・=ΣF・i・h2厩・h2(θi+δわ (20)

    iニ1

    震躊寡:難 (2・)

    で与えられる.式(20)は1ソリトン解と同じ形でt→士○○では2ソリトン解は1ソリト

    ン解の和で表され,相互作用の前後で同じ波高値のソリトンが現れることを意味している.

    ただし式(21)より相互作用の前後で位相にはずれが生じ,大きいソリトンでは相互作用

    によって

    6二一δf-n畿 (22)

    だけ位相が進み,小さいソリトンでは

    δ才一δ牙一n雫 (23)

    だけ位相が進むことになる,

    二つのソリトンが逆方向に進む秘>0,ω1>0,ω2<Oの場合も同様にして

    蓋(器1鵠 (24)

    が得られる.

    ω2<0なので式(18)はkl,k2の大小関係に関わり無く二つのソリトンが同一方向に進む

    場合と同じ結果を導き,式(20)(21)はそのまま成り立つ.

    10

  • 3 実験装置と方法

    3.1 回路

    3.9【mH]のマイクmインダクタしと可変容量ダイオードCを使い図2の回路を構成した.

    発振器から逆バイアス電圧を含んだ波形を送りダイオードの電位を測定する.ZRは反射を

    抑えるためのターミネーターで,信号によって変化させる必要があるため可変抵抗を用い

    た、σ。はターミネーターに直流成分が流れるのを防いでいる.直流成分が流れてしまうと

    しに不可避的に含まれる抵抗成分で電圧降下が起き,各Cに加わる逆バイアス電圧が同一

    にならない.

    また任意の0の電圧を測定できるように基板上に導線を露出させた.プロ・一一ブでの繰り

    返しの測定に耐えるように導線は太めのものを使用した.図(3)は回路の写真である.

    測定器

    ZR

    図2:回路図

    3.2 測定方法

    入力波形はFUNCTION GENERATOR1を使用し,ソリトン用のパルスはN CYCLEMODEを使用しPHASEを90度ずらすことで得た.2ソリトンの実験ではもう一台のFUNC・一

    TION GENERATOR2から矩形波を出力して行った.

    モニター用にSYNCHROSCOPE3を使用し,波形のデータが不要の一部の実験結果は直

    接SYNCHROSCOPEの読みを使用した. サンプリングにはDIGITAL BOXCAR INTEGRATOR SIGNAL A▽ERAGER 4を使用した.TTY出力から自作ケーブルでパソコン5のRS 232C端子に接続し,自作プログラム

    i3314A FUNCTION GENERATOR(HEWLETVT PACKARD) 2MODEL FG-122(NF CIRCUIT DESIGN BLOCK CO.,LrliD.)

    3SS.5711C SYNCHROSCOPE(rwATSU) 4DIGITAL BOXCAR INTEGRATOR MODEL BX-531,VARIABLE GAfl[”E UNIT MODEL BP-10( NF

    ELECTRONIC INSTRUMENTS) 5PC-486GR Super(EPSON)

    11

  • によりデータ変換,FFT等を行った.最終的なグラフ等はMS-EXEL5とWin一地Xで出力

    した.図(4)が装置の全景である.

    ・鋼 ∴と≒三三惣

    ’.一pt一一aag

    図3:回路写真

    ・SYNCHROSCOPE

    DEGITAL BOXCAR INTEGRATOR.SIGNAL AVERAGER

    FUNCTION GENERATOR

    LC回路

    図4:装置全景

    3.3 マイクロインダクタの特性

    マイクロインダクタと99,6[Ω]の抵抗を直列に接続し,周波数を変化させながら,入力電

    圧Viと抵抗の両端の電圧Vrの比鷺を測定したのが図(5)である.

    12

  • 周波数を十分に低くしても鷺は1にはならない.これはマイクロインダクタに抵抗成分

    があるためと考えられる.この直列抵抗成分をrしとすれば鷺の周波数依存性は

    Vr R Vi Vf(R+TL)2+(27rfL)2

    と書ける.

    テスターによる測定でrL=14.6[Ω]を得たので,これを代入しLを変化させてカーブ

    フィットさせたものをグラフに実線で示した.このようにしてマイクロインダクタの自己

    インダクタンスと内部抵抗を決定した.

    .乙・=・3.46×1『3[珂

    rL == 14.6[S)]

    vrtvi

    g.g

    U.S

    e.?

    O.6

    g.s

    fi ,4

    e.s

    g.2

    B.1

    g

    c量! 1 博 10fi

    Vr/V量

    一cal

    [RHzユ IBge

    図5:インダクタンスの測定

    3.4 可変容量ダイオードの特性

    990[St]の抵抗と可変容量ダイオードを直列に接続し,逆バイアス電圧を変化させながら,

    入力電r±Viと抵抗の両端の電位差称の比の周波数依存性を測定したのが図(6)である.図

    は逆バイアス電圧をO[V】から5[V]まで1[V]つつ変化させて測定したものである.

    逆バイアス電圧に依存して入力周波数による変化が緩やかになっている.これは逆バイ

    アス電圧を大きくすると,それに依存して可変容量ダイオードの容量が小さくなっている

    ことを示す.

    13

  • 周波数が十分に大きいところでは可変容量ダイオーードのリアクタンスは抵抗に較べて十

    分に小さくなり,鷺はほぼ1になることが予想される.しかしグラフでは鷺は1まで上がら

    す,しかも逆バイアス電圧が大きくなるほどその傾向が強まっている.

    これは可変容量ダイオードに直列に抵抗成分があり,逆バイアス電圧に依存して大きく

    なっているためと考えられる.この直列抵抗成分をr。とすれば鷺の周波数依存性は

    Vr R Vt x/(R+re)2+(ihtT)2

    と書ける.図(6)の実線はこの式のr.と0を変化させて測定値の曲線にフィットさせたもの

    である.最もよくフィットしたときのT、と0を直列抵抗成分と容量とした。

    このようにして容量と直列抵抗成分の逆バイアス電圧依存性を決定したものが図(7),(8)

    である.回路が戸田格子の運動方程式に従うためには容量の逆数が直線となる必要がある。

    図(7)をσの逆数で書き直したものが図(9)である.

    グラフは≦3[V]か3~7[V]でほぼ直線とみなせる。従って,この素子では逆バイアス電

    圧を~ e.1[V] 6とし波高値:を≦3[V]で使うか,逆バイアス電圧を~3[V]とし波高値を≦4[V]

    で使うと戸田格子の運動方程式に従うこといえる.

    グラフを最小自乗法で近似し直線を決定して装置の定数を計算したものを表(1)に示す.

    逆バイアス電圧[V] F(%)[v] Q[q o(%)F] 五〇 LOF0.1 0,823 7ユ9x10}10 8.74×10-10 3.0×10-12 2,49×1r12

    0.2 0.922751 7.19×10-10 7.80×10{10 2.7×10一12 2.49×1r12

    3 0,693 1.51x10-10 2。18x10-10 7,5×10㎝12 5,23x10}13

    表11装置定数

    60「V]としないのは装置にソリトン以外の信号が発生し可変容量ダイオードに順電圧がかかってしまうの

    を防ぐためである

    1’S

  • vr/vi

    e.s

    o。呂

    V.7

    e,e

    g.s

    O.4

    es心.2

    0蜜1

    fi

    1

    一e

    ll

    i2

    e3

    幽4

    -5

    憩 lee 1eoe [kH2] 1fieeB

    図6:可変容量ダイオードの周波数依存性

    図7:容量の逆バイアス電圧依存性

    15

  • 図8=直列抵抗成分の逆バイアス電圧依存性

    図9=容量の逆数の逆バイアス電圧依存性

    16

  • 4 実験結果と考察

    4.1 微少振幅波

    回路に逆バイアス電圧Vo=200[mV]で波高値V. =50[mV]の正弦波を加え,第0段と

    第60段の波形を観測した.正弦波の振動数を十分低いところがら徐々に高くしていくと波

    数ゐ=畜となるところで二つの波形の位相が一致する.更に高くしていくと瀦の整数倍の

    波数で二つの波形が一致するはずである.このようにして波数と振動数の関係(分散関係)

    を測定したものが図(10)である.

    線形の波動の分散関係

    ω協血1 (25)

    を使ってカーブフィットしたものが実線で,LC = 2。57×10-12で最もよくフィットした,実

    測したLCの値は表(1)から2、7×10-12なのでよく一致している。

    [kHx]

    2eo

    1呂9

    1se

    14g

    120

    1⑪麹

    gg

    60

    4g

    2g

    o

    一 f [k Hz]

    一ca旺kHz王

    0 O.2 fi .4 o.s e.g [xn] 1

    図10:微少振幅波の分散関係

    図(11)に示すのは回路に生じる定在波の様子である.入力は逆バイアス電圧Vo = 200[mV]

    で波高値V.= 30[mV]の正弦波で,各段における正弦波の波高値を終端の抵抗値を変えて

    測定した.

    f= 10.29【kH:z]は波数焉=器に相当し,終端を短絡した場合は逆位相で反射し中間地点

    のn=30で節を生じ,開放した場合は同位相で反射し中間地点と入力端,終端で腹を生じ

    ている.終端の抵抗が1,865[kΩ]のときインピーダンスは整合し反射が無くなっている.同

    様の実験をf = 11.88{kHz],f=15.76[k:Hz]でも行った.

    17

  • [mv]

    14g

    lgD

    lge

    BD

    6e

    40

    2e

    D

    f:1g.2S [kHz]

    一一{一〇[R]

    十ewコ+1層s65‘曇{Ω1

    o 抑 2e 30 4e 50 的

    正mV]

    50

    4e

    2a

    e

    e

    f=11圏9臼[kH2].

    lfi 20 $o 4e fi o 6迎

    [mv]

    12e

    鴇o

    sg

    6e

    4U

    2 fi

    o

    f=1s.7e [kHk]

    o le 2e 3B 4e 5fi eg

    図11:定在波

    18

  • 図(12)に示したのは図(11)のうち1,865[KΩ]で終端した最も反射の少ないものを,減衰

    率を見るために拡大したもので,実線はαe}αnで近似したグラフである.それぞれの近似

    曲線はα,αの値を表(2)のようにとったときに最もよくフィットした.

    分布定数回路の理論[3]によるとインダクタの直列抵抗㍑が小さくキャパシタの並列コン

    ダクタンスが無視できる場合,減衰定数αは

    α一輪

    と書ける.この回路の場合TL=14.6[Ω】,C=7.8×10-io [F],L ・= 3.46×10-3[H:]を代入す

    るとα=3,47x1◎一3となる.

    鳶α α

    盆601,041 2.46×10-3

    逝501,004 2.67×1r3

    鍵 1,058 2.96×10}3

    表2:微少振幅波の減衰率

    先の図(9)の測定は可変容量ダイオードを単独で測定した結果で図(8)に示すように直列

    に抵抗成分があった.この直列抵抗成分は運動方程式(5)には現れてこないが式(6)に影響

    を与える.直列抵抗成分による電圧降下によってキャパシタにかかる電圧はVnよりも小さ

    くなるからである.そこで回路中で可変容量ダイオードがどのようなキャパシタンスとし

    て振る舞っているかを測定しておくことが必要と思われる.

    実験は分散関係を求めた実験と同じようにn=O段と?i = 60段の波形を同時に測定し,

    波数海=器となる周波数を今度は逆バイアス電圧を変化させながら測定する.測定値を微

    少振幅波の分散関係の式(25)に代入すればL(7の値を定めることが出来る.このようにし

    て測定した結果が図(13)である.単体で求めたものも同時にプロットしたが違いは見られ

    なかった.

    4.2 ソリトンの発生

    図(14)は破線で表した入力信号に対してn ・40段で測定した信号を実線で表したもので

    ある.入力信号には正弦曲線の半分を使った.

    π=40のピーークがソリトンで,その後ろに微少振幅のtai1が見られる.図(15)はソリト

    ンの部分を拡大したもので測定値を点で示した.ソリトンは式(10)から

    vn = Asech2(“IZilllllllfil15(t 一一 to)/ (26)

    に従うので,A, LCF, t。を変化させてフィットさせたものが実線である. A・=O.96[V],Lσ一F=

    4.62×10-12[VH:F]で最:もよくフィットした.

    19

  • 1.e5

    D.S5

    e.s

    O,85

    e.s

    O.75

    g.?

    o.昼5

    e.e

    k:2一/60

    ◇ ◆

    o 10 20 3 fi 4e 50 髄

    1.輔

    。.白5

    asfi . es

    g.s

    e.75

    0.ア

    O.65

    0.昼

    k=2X/5g

    o 10 20 3 fi 40 sg 60

    1盧1

    1.e5

    1

    e.95

    0.9

    D.師

    。.臼

    。.ア5

    D.7

    0.S5

    e.s

    k=2nf40

    e 10 20 30 40 図12:微歩振幅波の減衰

    20

    se 60

  • 【1/F]1/c

    5』曲⑪

    や回路 ズ

    4.⑪E+10 賊単体 愈φ

    φx

    き.OEう10φ

    2』E+10 や

    φ

    1.OE÷10

    o.OE+⑪

    o 1 2 3 45田

    ε 7 臼 9 m

    図13:回略中のダイオードの容量の逆数:

    [v]

    1.2

    1

    e.$

    o.駐

    O.4

    B.2

    e

    一一一一 P騨utn=4⑪

    liil

    1fI@l

    l l

    ?l

    ’rJ隔 ● 砂 騨 顎

    o 5D 100 15g [gnS] 209

    図14:ソリトンのグラフ

    [Vコ

    1.2

    1

    g.s

    e.6

    0.4

    0.2

    ◆ h=40

    cal

    55 eo es [μ$ユ7⑪

    図15:ソリトンの理論値との比較

    21

  • 図(16)~(21)は逆バイアス電圧を0,2[V]に固定し入力波形の幅を変化させたもので,波

    高値は1[V]と4[V]のものを示した.

    ソリトンは非線形の効果と分散の効果のバランスがとれている場合に安定に存在できる.

    図(16>では入力信号の振動数が低すぎるため分散の効果が弱く,非線形の効果によって次

    第に突っ立っていく様子が示されている.終端のn… 60付近ではソリトンに分離しはじめ

    ている.

    図(17)~(20)にかけて入力信号の振動数を次第に高くして幅を狭くした.入力信号の幅

    の変化にかかわらず発生するソリトンの幅は変化せず,ソリトンの幅はその波高値に依存

    して決まっている様子がわかる.

    図(18)に比べて図(19)では入力信号の幅が半分になっているが,発生するソリトンも2

    個であったものが1個となっている.

    図(20)は1ソリトンが発生する振動数よりも更に高くしたものである.もはや入力波形

    に近い形のソリトンは発生せ長くてはっきりしたtai1が発生している.七ai1は分散の効果に

    よってそれぞれの波数の正弦波が分離したものと考えられる.先頭のソリトンは入力波形

    とくらべて広くて低いものとなっている.

    図(21>~(24)は同様の実験を入力波高値4[V]でおこなったものである.

    1ソリトンの幅より極端に幅を広くした図(21)では,図(16)と同様に非線形の効果で波

    形の前方は傾きが急になり後方では緩やかになる突っ立ちが見られる.やがてソリトンに

    分裂するが,後方の緩やかになった部分では波高値が低く非線形の効果が弱いので線形の

    tai1を形成する原因となっている.

    入力波高値4[V]では図(24)のf == 245[kHz]で1ソリトンが生じる.これは1[V]の場合

    の約半分の幅である.波高値を4倍にすると幅が半分になることは,式(26)でソリトンの

    幅が

    LC(v.)F(v.) (27)

    と表され,振幅Aの平方根に反比例することから説明できる.

    図(25)は逆バイアス電圧0。1[V]で入力信号の波高値と幅をいろいろに変えてn… 30でい

    くつのソリトンに分かれるかを観測したものである,横軸に入力信号の波高値の逆数の平

    方根を,縦軸に入力周波数の逆数をとり,ソリトンの個数の変化点をプmットした.1個

    から2個に変わるところを1,2等と表している.従って1,2の境界線より下の領域が1ソリ

    トンの領域で,1,2と2,3に挟まれた領域が2ソリトンの領域となる.ソリトンの個数は入

    力波高値の言以上の波高値を持つものをソリトンとして,それ以下のものはtai1の構造とし

    て扱った.実線は最小自乗法によるものである.

    1ソリトンの場合は入力波形とソリトンの形がほぼ同じになるのでグラフが直線にのる.

    これはソリトンの幅が式(27)で表されることを考えれば説明できる.しかし,図(25)では

    複数のソリトンが発生する場合にも直線にのっている.これは同一個数のソリトンを発生

    させるような入力波形の幅も式(27)に比例することを意味する.

    22

  • [vi

    肇.

    D5

    1

    g.s

    e

    [v]

    2

    1.5

    .1

    g.s

    o

    [v1

    1.5

    t

    e.s

    o

    [v]

    2

    1.5

    1

    0.5

    0

    囲 1

    1.5

    1

    0.5

    0

    inpu乏

    o se loe

    n=O

    150[’

    垂≠刀n 2eo

    s 5“ ’1““

    n=20

    isg [g.s’] 2DO’

    g ・se 10s

    n=40

    .150 .[ge s] 2gD

    摩 se IBO

    n:$g

    1馳 [ptsl 200

    D se leB 15e [pts] 2eo

    図.17:H=・1[V],f』36[kHz]

    24

  • .[vl

    i.5

    0.5

    0

    1v]

    2

    1.5

    1

    0.5

    0

    [vl

    input

    100

    n=P

    1 5・g [MS] 2fig

    e

    1.5

    e.s

    e

    o

    [v]

    2

    1.5

    1

    0.5

    g

    e

    凹 2

    1.5

    1

    a.s

    e

    se 廊n

    n=2D

    15e [pts] 2鱒

    sa 1eg

    n=40

    15e [解s] 20e

    se 掬口

    n=6e

    15a [pts] 20a

    e 50 log lsg

    図16:H =1【IV],f=20{kHz]

    23

    [,1,ts] 2aB

  • [v1

    1.5

    1

    g.s

    e

    o

    [v]

    2

    1.5

    1

    e.s

    o

    Ivl

    iRPUt

    se.1鱒

    n=D

    15癖 [”s] 200

    a

    1.5

    1

    a.s

    o

    o

    [v]

    2

    1.5

    1

    0.5

    0

    0

    [Vコ

    2

    茎.5

    1

    0.5

    B

    se 1ee

    n=20

    15g [pt$] 2Be

    se 1eo

    n:40

    150 [μ呂] 2ep

    50 tog

    n:60

    150 [”s] 2SO

    o se 重oo 15⑪

    図18:H ・1{V],f]=54.7[kHz]

    25

    [pa$] 2go

  • [v1

    1.5

    C.5

    g

    [v]

    2

    1.5

    1

    0.5

    0

    [v1

    1.5

    1

    g.s

    o

    凹 2

    1.5

    1

    0.5

    [v]

    2

    1.5

    1

    fi.5

    g

    input

    se 1Bfi

    R=e

    150 [ges] 2ea

    臼 50 綿o

    n=20

    150 [pts] 20C

    o 5P 100

    n=4e

    150 [ge$]’ 2 g fi

    o 50 10e

    n=昼e

    150 [”s] 2e臼

    o 50 10G 150 [pt$] 2 g fi

    、図19:H=1[Vl ,f ・ 109.6 [kHzl

    26

  • [v1

    1.5

    1

    0.5

    c

    input

    o

    [vコ

    2’

    1.5

    1

    g. fi

    fi

    -e.s

    凹 2

    1.5

    1

    D.5

    0

    -o.轟

    [vl

    2

    1.5

    1

    0.5

    0

    [v]

    2

    1.5

    1

    0.5

    g

    5C 10D

    n=g

    150 1”s] 2DO

    n:20

    o

    n=4D

    g 50 leo

    n:60

    150 [”s]

    e

    j

    2憩

    g 50 10D

    図20:H1[V],f=316[kHz]

    27

    15ij [pts] 20g

  • 儲]

    B

    s

    4

    2

    e

    input

    o sg IBD lse [ges] 芝鱒

    [v]

    le

    e

    e

    4

    2

    0

    -2

    ti=e

    [v]lo

    3

    e

    4

    2

    0

    -2

    n=2fi

    e

    1狸 s

    e

    4

    2

    0

    -2

    n=4g

    e

    囲10

    e

    s

    4

    2

    0

    -2

    n綿⑪

    e

    図21:H=4[V],f=10,89[kHz]

    28

  • fg]

    s

    s

    4

    2

    0

    input

    e se 1go 15e [pts] 20D

    [v]

    10

    8

    4

    2

    e

    -2

    , n=O

    e

    [v]

    B

    6

    4

    2

    0

    一一@2

    R=2fi

    g

    1狸 s

    B

    4

    2

    0

    -2

    n:40

    e

    [v]

    10

    s

    后.

    4

    2

    B

    -2

    n=60

    o

    図22:H ・4【V],f ・65.1[kHz]

    29

  • 擢]

    g

    4

    2

    e

    input

    fi se 田o 15g [”s] 20e

    [v]

    IU

    B

    4

    2

    e

    -2

    バ。

    g

    [v]

    s

    s

    4

    2

    0

    -2

    n=20

    o

    iiVl

    s

    e

    4・

    2

    ,D

    -2

    n=4g

    o

    [v]

    ID

    e

    6

    4

    2

    0

    -2

    n=ee

    o

    図23:H=4[V],f ・121.3[kHz]

    30

  • 摺]

    s

    6

    4

    2

    0

    input

    e sg 1fiB 150 [ ,L,t S] 200

    [v]

    10・

    e

    4

    2

    0

    -2

    ri=e

    D

    [v]

    6

    4

    2

    0

    -2

    .n=2臼

    o

    ’iifV」..

    B

    e

    4

    2

    0

    ・一 Q

    n:4fi

    D.

    [v]

    1 fi

    g

    B.

    4

    2

    e

    一一@2

    n=帥

    図24:H:=4[V] ,f =245[lkHz]

    31

  • 図(26)はソリトンの波高値と速度の関係を表したグラフで実線は理論値で式(10)より

    しC(v.)FT(v.)

    v = ・i血一ユ(稀)

    と表されるのでこの回路の値しOF =: 2.49×10一12[VHF],F=o.823[V]を代入して求めた.

    測定は逆バイアス電圧琢=0.1[V]とし波高値を変化させ,ひとつのソリトンが生じるよ

    うに入力パルス幅を調節し,n=30とn= 31の波形を観測して行った.

    図(27)は測定した波形に式(26)をフィットさせLOFを決定し波高値との関係をプロット

    したものである.回路が戸田格子に厳密に従っていればLCFは一定値を示すはずであるが,

    振幅が3[V]になる辺りから五〇Fの値が下がっている.

    これは容量の逆数と電圧の関係を示した図(9)に見るように,逆バイアス電圧を0,1[V]で

    使用した場合には3[V]付近から戸田格子の条件を満足しなくなってくるためと考えられる.

    図(28)は逆バイアス電圧0,1[V]で入力パルスの波高値を4[V],2.6[V],1.8[V]と変化させて

    各段のソリトンの波高値を測定したものである.

    実線はαe-anでフィットしたもので表(3)に減衰率を示す.波高値が大きくなるほど減衰

    率も大きくなっている.これは可変容量ダイオードの直列抵抗が逆バイアス電圧に依存し

    て大きくなることから説明できる.

    五 α α

    1.8 1,051 622×10-3

    2.6 1,037 7.17x10-3

    4.0 1,024 9.83x10一3

    表3:ソリトンの減衰率

    32

  • φ㌔2

    P艶』

    」臥4l4,轟

    演轤a

    怩a詔

    図25:入力波形とソリトンの数の関係

    図26:波高値と速度の関係

    33

  • [pHFY]

    5

    4

    3

    2

    ψ

    φ

    o i 2 3 4 5 臼 7 [V] S

    図27:波高値と装置定数の関係

    ◇4凹嘯Q.6田

    」L臼凹日

    翼 膳

    隙 ・璽 △

    ◇ 噸幽

    @ ◇ ■リづ ◎

    厳 ■ 置

    ◎◆

    煽? ◆

    図28:ソリトンの減衰

    34

  • 4.3 ソリトンの相互作用

    2台の発振器を使い,入力端と同時に終端(n == 60)から矩形波を入力し,各格子点での

    電圧の時間変化を測定し正面衝突の様子を見たのが図(29),(30)である.

    相互作用の前後でほぼ同じ波高値のソリトンが現れている.

    n

    図29:同じ高さのソリトンの正面衝突時間軸:横軸右向き,n:紙面手前向き

    :iF s,

    図30:高さの違うソリトンの正面衝突時間軸:横軸右向き,n:紙面手前向き

    図(31)は二つの発振器を入力端に接続し,一方の発振器からは位相をずらしたパルスを

    入力し追い越し衝突をみたものである.nが小さいとき波高値の大きいソリトンは遅れて

    やってくるが,ソリトンの速度は波高値の平方根に比例するので,nが進むに従って小さ

    いソリトンに追いつき,ついには追い越していく様子を表している.追い越す際ピークは

    完全にひとつになるのではなく,前をいく小さいソリトンは大きくなり後ろの大きいソリ

    トンは小さくなり,やがてその大きさが逆転すると二つのソリトンが離れていく.

    図(32)では測定する格子点が違うために生じる減衰の影響を排除するために測定点を固

    定し,かわりに二つの入力パルスの時間間隔を変化させて追い越し衝突の相互作用の詳細

    を見たものである.

    35

  • t㍉.1:願

    ロ リ ロ ロム暉 ・ ・ “鵬.・轟

    ボごゴレゼちぬ

    墜ノ’∫1鞭

    ’ ”jS:iill-:i:iil;E:ll::iSi

    図31=ソリトンの追い越し衝突時間軸:横軸右向き,n:紙面手前向き

    フ妻 §§き

    ge,gg¥:geegi=

    図32:追い越しの相互作用一時間軸:横軸右向き,パルス間隔:紙面手前に向かって減少

    36

  • 図(33)は2ソリトンを1ソリトン解の和で近似した場合の回路定数の変動を示したもの

    である.比較のために1ソリトンを1ソリトン解で近似した六合のグラフも示した.

    いずれのグラフにも質的な違いは見られない.これは正面衝突も追い越し衝突もそれぞ

    れのピークは1ソリトンの話合と同じふるまいをしていることを意味する.波高値が大き

    くなるとLOFが小さくなっているのは,可変容量ダイオードの特性が戸田格子の条件を厳

    密には満足していないためである.

    回路定数五〇一Fが波高値に依存して変化してしまうために生じるフィッティングの不都合

    を図(34)から(36)に示す㌔Σδ2は測定値:とフィットした値:の差の2乗の和(測定点は1024

    点)でフィッティングはこの値を最小にするようにパラメータを決定している,

    図(34)は上部ではうまくフィットしているが下部では幅が狭くなっている.図(35)は低

    い方のソリトンにはフィットしているが高い方では上部でずれが生じている.

    これは,波高値の大きいソリトンではLCFが波高値に依存して変化するため,ソリトン

    の高い部分と低い部分違うLOFが必要となるためである.フィッティングを行ってそのソ

    リトンに最:愚なLCFを決定しても,高い部分でよくフィットされた解は低い部分では測定

    値より狭くなり,低い部分でよくフィットされた解は高い部分では広すぎるかピークの頂

    上まで届かない.

    また,2ソリトン解でフィッティングする場合には二つのピーークをひとつのLOFで表す

    ことになるので,特に二つのソリトンの波高値に差がある場合には,大きい方のソリトン

    は上部でピークに届かず,小さい方のソリトンでは下部で幅が広がらなくなる.無理に大

    きいソリトンの波高値を測定値に合わせるとΣδ2の値が大きくなってしまう(図(36)).

    図(37)から(44)に理論式で近似した場合のパラメータを示す.図(37)から(40)は正面衝

    突のパラメータである.それぞれのグラフは二つのソリトンの波高値の比を変化させている.

    一一一as上はピーク位置のグラフで, tl,t2はそれぞれ正の向きに進むソリトンと負の向きに

    進むソリトンを,1ソリトン解で近似してピーク位置を得たものである.δは2ソリトン解

    の漸近形による式(21)によって初期位相を計算しピーク位置を求めたもので,添字の1,2

    はピークの進行方向を表し,添字一,+は衝突の前後を表している.

    相互作用以前と以降でピーク位置は直線にのっており,ソリトンは等速で進行している.

    しかしその直線は相互作用の前後でつながらず2.4節で論じたずれを見ることが出来る.衝

    突前(グラフ下部)にはδi,茜が直線上にのっているが,衝突後(グラフ上部)では餅,δi

    にのりうつるので,衝突による位相のずれが2.4節の結果と一致している.

    真ん中のグラフは波高値の変動を表すもので,A,αはそれぞれ1ソリトン解近似による

    波高値と2ソリトン解近似による波高値を示し,1,2はそれぞれ正の向きに進むソリトン

    と負の向きに進むソリトンを示す.

    1ソリトン解近似による波高値は相互作用中に大きな変動を示す.これは相互作用が非

    線形で二つの1ソリトン解の和では表せないことを意味する.相互作用中の波高値はその

    前後の波高値の和よりも大きくなっている.しかし,このような非線形な相互作用の後で

    も,相互作用後の波高値は相互作用前のグラフになめらかにつながっている.

    相互作用中の波高値の増加が2ソリトン解で説明できる程度のものであれば2ソリトン

    解近似による波高値は相互作用中も変動は無いはずである.しかし,図(39)以外には変動

    がみられる.正面衝突の相互作用中は二つのソリトンはひとつのピークとなる.従って,

    37

  • フィッティングをするときに,このひとつのピークがどういう波高値のソリトンの和に一

    番近いかを探すことになる.

    ところが,衝突時に同一の波高値となる二つのソリトンの組は無数に存在する.もし回

    路が厳密に戸田格子の条件を満たしていれば,衝突時の波高値が同じでもその形の微妙な

    違いから元の二つのソリトンを特定できる可能性も出てくる.しかし,現実の回路は波高

    値によって回路定数が変化してしまうので,もはや衝突時の形から元のソリトンを復元す

    ることは難しい.

    しかし,2ソリトン解近似の波高値の変動が増加する方向に顕著であることから,LC

    はしご形回路におけるソリトンの正面衝突では,衝突時に2ソリトン解の理論値よりも大

    きい波高値が出現するということはわかった.

    一番下のグラフは回路定数の変動を示したものでLCF1,LC:F2はそれぞれ二つのピーク

    を1ソリトン解近似した場合のもので,LCFは2ソリトン解近似した場合のものである.

    LCFI,LCF2は大きく変動しているがLCFの変動は小さい.

    図(41)から図(44)は追い越し衝突のパラメータを示したものである.追い越し衝突では

    衝突中も二つのソリトンのピークは一致しない.先行する小さいソリトンに後ろから大き

    いソリトンが追いついてきて,その後相互作用によって大きいソリトンは小さくなり小さ

    いソリトンは大きくなって大きさの交換が起こる.その後もともと大きかったソリトンは

    小さなソリトンとなるので速度:が遅くなり徐々に遅れていくという現象に見える.

    ところが,2ソリトン解の漸近形(式(20))を調べてみると,衝突前と衝突後で同一のθ

    で表されるのは衝突前後で波高値の等しいソリトンであることがわかる.つまり相互作用

    中に二つのソリトンは重ならないにも関わらず,後ろから来たソリトンは前を行くソリト

    ンを追い越していることになる.

    このような事情から,1ソリトン解の和で近似する場合にはソリトンの追い越しがどの

    時点で起こったのか特定できないので,違う実体であるにも関わらずピークの同一性で近

    似した.

    一番上のピーク位置を表すグラフでは,衝突前にピーークは町にのっているが,衝突後に

    は犀にのりうつっている.これは,2ソリトン解の漸近形の位相のずれが生じていること

    を示している.図(44)の小さいソリトンのデータからずれを計算すると2.979[rad]となり

    式(23)で計算したずれは3,056[rad]でよく一致している.

    ここで,その他のグラフでは減衰の影響ですれの計算が困難である理由を述べる.測定

    した波高値は減衰の影響で小さくなっているが,これを2ソリトン解でフィットした場合,

    発生から測定点までこの低いソリトンで進行してきたものとしてパラメータが決定される.

    低いソリトンは速度が遅いのでフィットしたパラメータは実際よりも早い時刻に発生した

    ものとみなされることになる.

    具体的には式(15)のAiは式(21)より初期位相として観測データに現れるが,前述の理由

    により初期位相は各測定点で変化してしまうので適当なんを決定することが出来ないこと

    になる..

    真ん中の波高値の変動のグラフの1ソリトン解近似を見ると波高値の交換が起こってい

    ることがわかる.2ソリトン解近似ではほぼ減衰曲線となっており,測定データの波高値の

    交換に伴う波高の変化は2ソリトン解で説明できるものであることを示している.図(44)

    38

  • で衝突後に測定した波高値が衝突前より高くなっている.この図は測定点を固定して減衰

    の影響を排除したものだが,衝突前であれば測定点に到達するまでの減衰はどのデー・一一・・タも

    等しくなるので目的は達せられる.しかし,衝突後のデータは相互作用が起こり波高値が

    低くなってから測定点に到達するので,波高値が低くなった分減衰によってエネルギーを

    失わないのでこのような結果になる.

    39

  • 図33:波高値と回路定数

    40

  • n:4e一一一一一一一 ca 1

    [ges]

    図34:ピーク上部でよくフィットされたソリトン

    3

    7

    5:.4

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    脚 .、 .’.四 鱒

    [#s]

    図35:波高値の違う2ソリトンのフィッティング

    41

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    7

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    望 ’・・、r...・

    [ge s]

    図36:同じ2ソリトンのデータで高いソリトンの波高値を固定したフィッティング

    42

  • 65

    昼e

    55

    5S

    45

    40

    35

    3b

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    ヒ1

    ▲曝ムロ

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    ミ1一

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    ミ2手

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    14

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    30 35 40 45 n

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    黶ィ一一一LBF

    一鱒 ㎞ ’ 一 一

    ℃’ 乙

    ,』「、

    3e一 35 4e 45 n

    図37:正面衝突1一ピーク位置,波高値,回路定数:

    43

  • 60

    55

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    45

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    38:正面衝突2一ピーク位置,波高値,回路定数

    4

  • 55

    50

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    25

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    3 S 3 e

    39:正面衝突3一ピーク位置,波高値,回路定数

    45

  • 昼e

    55

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    5 5

    40:正面衝突4ピーク位置,波高値:,回路定数

    46

  • 70

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    1 6 1 e 1 6

    41:正面醗ピrN雌波離回路定数

    47

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    41 4g n

    図42;正面衝突2一ピーク位置,波高値,回路定数

    48

  • 図43:正面衝突3..ピーク位置,波高値,回路定数:

    49

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    56

    54

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    46

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    14 12 10 s 6 4[#s]

    図44:正面衝突4ピーク位置,波高値,回路定数

    50

  • 5 結論

    本研究の結論を以下に箇条書きでしめす.

    ●微少振幅波

    ◇分散関係は線形の波動の分散関係式(25)ξ一致した.

    ◇減衰率,整合する終端抵抗は分布定数回路の理as [3]と一致した.

    ●ソリトンの発生

    ◇入力波形の1ソリトン解からのずれにより,複数のソリトンが発生したり,ソ

    リトン以外の微少振幅波(七aiDが発生する.

    ◇分散の効果と非線形の効果のバランスで入力波形がソリトンやtailを形成する過

    程を示した.

    ◇同数のソリトンを発生するような入力波形の波高値と振幅の関係は,1ソリト

    ン解の波高値と振幅の関係と同じ依存関係にある.

    ●1ソリトン

    ◇各格子点でのソリトンの形と速度は1ソリトン解を満足する.

    ◇回路の損失によりソリトンの減衰が起こるが,その減衰率は線形の場合とは異

    なったもめになる.

    ◇戸田格子の条件からのずれにより,波高値によって回路定数が変動する.

    ◇戸田格子からのずれと減衰により,観測した全区間を同一のパラメータの1ソ

    リトン解で表すことは出来なくなる.

    ●2ソリトンの正面衝突

    ◇非線形な相互作用をするにも関わらず,相互作用後に相互作用前と同じソリト

    ンが現れるソリトン特有の現象が観測された.

    ◇非線形な相互作用によって衝突中の波高値が元のソリトンの和よりも大きくな

    り衝突後に軌道がずれる.

    ◇波高値は理論値よりも更に高い波高値が観測されたが,今回の研究ではその理

    由を特定することは出来なかった.

    ◇軌道のずれについては,減衰の影響により2ソリトン解近似のパラメータが変

    化してしまい,理論値:を計算することができないため定量的な評価をすること

    はできなかったが,定性的には2ソリトン解で示されるずれを観測できた.

    ●2ソリトンの追い越し衝突

    51

  • ◇二つのピークはひとつに重ならないにも関わらず,非線形な相互作用によって

    波高値の増減が起こり最終的には波高値が入れ替わり追い越しが起こる.

    ◇相互作用時の波高値の増減は,2ソリトン解の増減と一致した.

    ◇衝突による位相のずれは2ソリトン解と定量的にも一致するものであった、

    ・相互作用

    ◇相互作用中の2ソリトン解は複雑な形で表すしかないにも関わらず,実験デー

    タは1ソリトン解の和でよく近似できる.このことは(回路定数が決まれば1

    ソリトン解の独立なパラメータはひとつであるが)相互作用中の2ソリトン解

    が,位相の差に依存するパラメータを持った1ソリトン解の和で表せる可能性

    を示している.

    ・反省

    ◇使用した可変容量ダイオー一・ドは逆電圧に依存して容量が指数関数的に減少する

    ものである.戸田格子を満足するためにはこれが双曲線にならなければならな

    い.もし可変容量ダイオードに直列抵抗がなければ,適当なキャパシタを並列

    に接続し容量を底上げすることによって,かなりよく双曲線に近づけることが

    出来る.しかし直列抵抗により計算通りにはいかなかった.

    ◇2ソリトンを発生させる場合,二つの入力信号の時間差をシンクロスコープの

    読みで行うしかなく,衝突時間の短い正面衝突の場合には時間差を細かくとる

    ことができず,測定点を固定した測定が出来なかった.

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  • 謝辞

    本研究を進めるにあたって,実験の立案,実行,解析等の全ての面にわたり終始熱心に

    指導をいただきました佐藤 光教授に心から感謝いたします.非線形波動について全く無

    知であった私にその複雑で興味深い世界を紹介して下さり,修士論文を書き上げるまで導

    くのは大変なご苦労であったとことと思います.

    また,石原 諭先生には電気回路について初歩的な質闘にも関わらず親身に助言をいた

    だきました.白木原康雄助教授には行き詰まって悩んでいるときに新鮮な刺激と啓示を与

    えていただきました.お二人に深く感謝いたします.

    物理学研究室のみなさんには公私ともにお世話になり快適な2年間を過ごすことが出来

    ました.深く感謝します.特に,ともにソリトンについて研究した本田義弘氏にはお世話

    になりました.本田氏と論じ合い励まし合うことができたおかげで,ここまで研究を進め

    ることが出来ました.

    最後に,今回の研究の機会を与えていただいた鳥取県教育委員会と勤務校である鳥取県

    境高等学校の深田訓正校長ならびに職員の皆様に深く感謝いたします.

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  • 参考文献

    [1]戸田盛i和,“非線形格子力学’岩波書店,Dec.1978.

    [2]渡辺慎介,“SOLITONソリトン物理入門”培風館,

    [3]伏見 和郎,“電子回路の基礎”オーム社,1983

    [4]時田 元昭,“1995年版最新ダイオード規格表”cQ出版,1995

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