開発援助とは何か? ODA(政府開発援助)とは? -...

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開発援助とは何か? 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 (百万ドル) (年) 出典:2006年DAC議長報告 ※支出純額ベース 9,847 9,283 8,880 13,508 12,163 10,640 9,358 9,439 14,489 27,457 8,922 13,101 10,754 10,059 9,915 日本 米国 英国 フランス ドイツ 当行は、開発途上国の経済や社会の発展、 福祉の向上のために、ODA業務に取り組んで います。 1. ODA とは? ODA(Official Development Assistance)とは、政府が 開発途上国に対して行う援助のことです。途上国に対する 援助には、国際機関によるもの、先進国政府によるもの、民間 援助団体によるもの等、さまざまな形態があります。このう ち右にあげる3要件を備えた政府間ベースの援助が、ODAの 定義(経済協力開発機構(OECD)下の開発援助委員会(DAC: Development Assistance Committee)による定義)とさ れています。 政府または政府機関によって供与されるものであること 途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目 的としていること 資金協力については、その供与条件のグラント・エレメント が 25 %以上であること ※グラント・エレメントとは借款条件の緩やかさを示す指数。金利が低く、融資期間が 長いほど、グラント・エレメントは高くなり、借入人(途上国)にとって有利であるこ とを示します。贈与の場合のグラント・エレメントは100%となります。 2. 日本が取り組む ODA の概況 日本の ODA の金額規模(年間)は、米国に次ぐ世界第 2 位で、世界中の ODA の約 2 割を占めています。 3. 国民総所得(GNI)に占める ODA の割合 日本の国民総所得に占めるODAの割合は、他の先進国と比べて低位にとどまっています。 0 0.25 0.50 0.75 1.00 0.70 2004 2003 2002 2001 2000 1993-1994(平均) 1988-1989(平均) 0.20 0.23 0.23 0.28 0.28 0.31 0.17 0.19 0.28 0.41 0.36 出典:2006年DAC議長報告 (%) 日本政府の達成目標 日本 米国 英国 フランス ドイツ (年) ODAとは? 7 ODA(政府開発援助)とは?

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Page 1: 開発援助とは何か? ODA(政府開発援助)とは? - …...開発援助とは何か?0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002

開発援助とは何か?

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5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

20052004200320022001200019991998199719961995

(百万ドル)

(年)

出典 : 2006年DAC議長報告※支出純額ベース

9,847

9,283 8,880

13,50812,163

10,6409,3589,439

14,489

27,457

8,922

13,101

10,75410,0599,915

ー 日本ー 米国ー 英国ー フランスー ドイツ

当行は、開発途上国の経済や社会の発展、福祉の向上のために、ODA業務に取り組んでいます。

1. ODAとは?

ODA(Offi cial Development Assistance)とは、政府が開発途上国に対して行う援助のことです。途上国に対する援助には、国際機関によるもの、先進国政府によるもの、民間援助団体によるもの等、さまざまな形態があります。このうち右にあげる3要件を備えた政府間ベースの援助が、ODAの定義(経済協力開発機構(OECD)下の開発援助委員会(DAC:Development Assistance Committee)による定義)とされています。

● 政府または政府機関によって供与されるものであること● 途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目

的としていること● 資金協力については、その供与条件のグラント・エレメント※

が25%以上であること

※ グラント・エレメントとは借款条件の緩やかさを示す指数。金利が低く、融資期間が長いほど、グラント・エレメントは高くなり、借入人(途上国)にとって有利であることを示します。贈与の場合のグラント・エレメントは100%となります。

2. 日本が取り組むODAの概況日本のODAの金額規模(年間)は、米国に次ぐ世界第2位で、世界中のODAの約2割を占めています。

3. 国民総所得(GNI)に占めるODAの割合日本の国民総所得に占めるODAの割合は、他の先進国と比べて低位にとどまっています。

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200420032002200120001993-1994(平均)1988-1989(平均)

0.200.230.230.280.28

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出典 : 2006年DAC議長報告(%)

日本政府の達成目標

ー 日本ー 米国ー 英国ー フランスー ドイツ

(年)

開発援助とは何か?

ODAとは?7

ODA(政府開発援助)とは?

Page 2: 開発援助とは何か? ODA(政府開発援助)とは? - …...開発援助とは何か?0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002

当行の取り組むODAは、開発途上国が経済的自立に向けて主体的に取り組む「自助努力」を支援することを目的としています。これまで行われた当行による支援は、1958年のインド政府への資金援助を皮切りに、世界各地域の途上国へと及んでおり、支援した国は約100カ国、支援された事業数は、2,500件を超えています。当行の支援対象地域は、日本と地理的・歴史的・経済的なつながりの強いアジア地域が中心となっています。一方、支援対象分野に

ついては、経済・社会インフラ整備が中心となっており、また、経済・社会インフラ整備を通じた環境改善・保全の支援も行っています。経済・社会インフラ整備は途上国に経済・社会の安定をもたらすほか、貧困削減にも寄与するという効果が期待されます。当行は今後、引き続き経済・社会インフラ整備への支援等を積極的に推進することにより、国際社会全体の目標であるミレニアム開発目標

(MDGs)の達成に向けた取組みを行っていきます。

4. 日本の2国間ODAの推移日本の二国間ODAを地域別にみると、地理的な要因等に

より日本との関わりが深く、また全世界の貧困人口(1日1ドル未満で生活している人々)の3分の2を抱えているアジア地域に向けた支援が多くを占めています。また、中東地域への支援の増加は、イラク復興支援に起因するものです。

一方、ODAが供与された分野の過去5年の割合をみると、経済・社会インフラに対するODAが大半を占める状況にあります。緊急支援分野に対するODAの増加は、開発途上国で発生した地震や津波等の天災による被害に対するODAが積極的に行われていることを示しています。

5. 最近のODAの動向(MDGsへの貢献、G8グレンイーグルズ・サミット)

(1) 2000年9月に採択された国連ミレニアム宣言において、平和と安全、開発と貧困、環境、人権とグッド・ガバナンス等が課題として掲げられており、その後、21世紀における国際社会が取り組むべき課題として、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)がまとめられました。

(2) 日本政府は、「骨太の方針」(2005年 6月 21日)にて、MDGsに寄与するためODAの対国民総所得(GNI)比0.7%目標の達成に引き続き努力するとの観点から、わが国にふさわしい十分なODAの水準を確保すること等を方針として掲げました。また、G8グレンイーグルズ・サミット(2005年7月9日)において、今後5年間のODA事業量について、2004年実績(89億ドル)をベースとする額と比較して、100億ドルの積み増しを目指すことを発表しています。

2004(年)(年) 2003200220012000

社会インフラ(教育・上下水・保健等含む)

経済インフラ(電力・ガス・通信・航空等含む)

農業、灌漑・治水等

分野横断

緊急支援

その他(商品借款、債務救済等含む)

23.6

32.0

8.3

6.00.6

29.6

17.0

34.0

14.5

5.90.3

28.3

23.8

37.7

11.6

4.51.4

21.0

18.3

21.7

6.42.10.2

51.2

23.2

31.3

7.03.05.1

30.4

2003-20041998-19991993-1994

中南米

ヨーロッパ

中東・アフリカ(サハラ以北)

東アジア・東南アジア他

南アジア・中央アジア

アフリカ(サハラ以南)

42.1

20.4

20.7

47.7

26.2

12.0

8.81,07.0

8.00.95.2

10.6

1.9

10.2

34.4

23.3

19.6

過去5年でみた場合、経済・社会インフラに対する支援が大半を占める状況にあります。一方、従来ほとんどみられなかった緊急支援分野に対する支援が急増していますが、

これは近年開発途上国にて発生した地震、津波等の天災による被害に対する緊急支援が積極的に行われていることを示しています。

地域的配分割合の推移(%)出典:2006年DAC議長報告

分野別配分割合の推移(%)出典:2006年DAC議長報告

ODAとは? 8