薬理・毒性学II P3251 2回目...

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薬理・毒性学 II P3251 2回目︓中枢性筋弛緩薬、筋疾患 担当︓神経薬理学分野 和彦・大澤 匡弘・冨田 資料︓ k-net.org/ncu/list.html 2018/10/03

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薬理・毒性学 II P3251

2回目︓中枢性筋弛緩薬、筋疾患

担当︓神経薬理学分野粂 和彦・大澤 匡弘・冨田 淳

資料︓ k-net.org/ncu/list.html2018/10/03

薬理Ⅱの進め方 2回目以後

•プリント、マークシート配布、予習プリント回収→教科書、プリントは出さないように。

•前回の簡単な復習• 9時10分から小テスト→スマホを忘れたり、不調の時はマークシートで出す

•最後に、マークシート回収→遅刻者は、必ず提出→質問事項、感想、コメント記入したもの提出→アプリからでも良い→白紙は提出不要、次回持参して下さい。

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前回のプリント出して下さい

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神経系のミクロからマクロへ•神経細胞の仕組み …A. 細胞細胞膜の性質・興奮性

•神経伝達 …B. 細胞間神経伝達物質と受容体

•神経回路 …C. 回路興奮性回路と抑制性回路

•神経調節因子 …D. 集合回路伝達効率

•神経から精神 …E. 統合制御系無意識から意識

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A. 細胞レベル

まずは、ニューロン︕(グリアも忘れず)静止膜電位・活動電位・伝達

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典型的な神経細胞(ニューロン)

6http://www.nig.ac.jp/hot/press/1030emoto html

神経系のミクロからマクロへ•神経細胞の仕組み …A. 細胞細胞膜の性質・興奮性

•神経伝達 …B. 細胞間神経伝達物質と受容体

•神経回路 …C. 回路興奮性回路と抑制性回路

•神経調節因子 …D. 集合回路伝達効率

•神経から精神 …E. 統合制御系無意識から意識

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B. 神経伝達

細胞と細胞の間の情報情報伝達物質・シナプス

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神経細胞間の情報伝達•ニューロンとシナプス→ニューロン=神経細胞→シナプス =神経細胞と神経細胞の間・境界

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BA

GluGlu

Glu-R

前シナプス神経Presynaptic Glu-neuron

後シナプス神経Postsynapticneuron

シナプスの仕組み

前シナプスは、電気信号を化学信号に変え、後シナプスは、化学信号を電気信号に戻す

興奮性伝達物質

•グルタミン酸、アセチルコリン•主要な受容体が Na+や Ca2+ のチャンネル•受容体が伝達物質で活性化すると、膜が脱分極し、神経細胞が興奮しやすくなる。

•筋肉細胞の場合には、Ca2+が流入すると、筋収縮

抑制性伝達物質

• GABA (γアミノ酪酸)、グリシン•主要な受容体が Cl-チャンネル。• GABAA受容体やグリシン受容体は Cl-チャンネル→活性化するとCl-イオンが細胞内に入り、過分極

• GABAB受容体は、G蛋白共役受容体だが、やはり、抑制性に働く。

•脳の中では、グルタミン酸神経が90%、→通常の回路を作っている。

• GABA神経が10%で、抑制性の調節を行う

興奮性の情報伝達•神経Aが興奮→ 神経Bが興奮

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神経A

神経B

0→1

興奮性の情報伝達•神経Aが興奮→ 神経Bが興奮

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神経A

神経B 0→1

抑制性の情報伝達•神経Aが興奮→ 神経Bが抑制

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神経A

神経B

0→1

抑制性の情報伝達•神経Aが興奮→ 神経Bが抑制

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神経B 1 → 0

神経A

教科書に戻って12-13ページ

グルタミン酸受容体のサブタイプ

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GABA受容体のサブタイプ

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GABAA受容体

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GABAA受容体は重要なので、後ほど︕

Q.デジタルな神経がアナログに働く仕組みは︖

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Q.デジタルな神経がアナログに働く仕組みは︖

単位時間当たりの発火数でシグナルの強弱をつける発火頻度の変化がアナログ

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2.筋弛緩薬

きんちかんやく

24

筋弛緩薬総論︓分類、作用

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末梢性筋弛緩薬は、薬理Ⅰでさんざん学んだ・・・はず。

クラーレとか、ツボクラリンとか・・・

まあ、でも、どういう時に使うかは、あまり聞かんかったのでは︖

筋弛緩薬総論︓適応

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せっかく予習して頂きましたが、末梢については試験範囲外とします。

希望があれば、試験範囲に入れても良いですが…

随意運動

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神経筋接合部と筋収縮

31

末梢性筋弛緩薬の作用点

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競合性筋弛緩薬

33

競合性筋弛緩薬の作用機序

34

脱分極性筋弛緩薬

35

脱分極性筋弛緩薬の作用機序

36

ダントロレン

37

ダントロレンの作用機序

38

ボツリヌス毒素

39

ボツリヌス毒素の作用機序

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末梢性筋弛緩薬のまとめ

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来年の薬理実習で末梢性筋弛緩剤の実習

•ラット神経筋接合部単離︓神経刺激↓

•ツボクラリンで競合的阻害↓

•ネオスチグミンで拮抗して回復↓

•サクシニルコリンで脱分極性(非競合的)阻害↓

•筋肉を直接刺激↓

•ダントロレンで阻害

超重要な新薬だけ、紹介します︕

これだけ、試験範囲な︕

スガマデクスの説明

1. 筋弛緩薬の拮抗薬である。2. 8個のグルコースが環状になっている。3. 筋弛緩薬を取り込むことで不活化する。4. ChE阻害薬の代替として使われる。5. ChE活性を直接阻害するのではなく、取り込むことで、基質との接触を妨害する。

6. 即効性があり、近年は、ほぼ必須薬となった。7. ただし、ツボクラリンには効果がなく、ベクロニウム、ロクロニウム以外の筋弛緩薬では使わない。

44

スガマデクス︓新規拮抗薬

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シクロデキストリン

スガマデクス︓新規拮抗薬

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ここから中枢に入ります

ここから試験範囲です。

神経系のミクロからマクロへ•神経細胞の仕組み …A. 細胞細胞膜の性質・興奮性

•神経伝達 …B. 細胞間神経伝達物質と受容体

•神経回路 …C. 回路興奮性回路と抑制性回路

•神経調節因子 …D. 集合回路伝達効率

•神経から精神 …E. 統合制御系無意識から意識

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C. 神経回路

単・多シナプス反射(反射弓)脊髄反射(膝蓋腱反射)教科書(p.94-95)

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反射弓

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中枢神経の役割は︖

回路の視点から

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中枢神経系とは神経は…動物にしかない(植物にはない)余談︓植物神経系(自律神経系を指す)

神経系︓中枢と末梢 ≒ 上位と下位

中枢というのは、「形態」か「機能」か︖

中枢神経の機能刺激応答を、1.より複雑な条件で制御2.複数の応答を統合制御

→ 本能行動では、ヘビを見たら驚く→ 慣れると、怖くなくなる→ 学習・記憶がその基礎にある

情報の入出力

入力 出力

中枢神経

神経神経

筋肉感覚器

環境からの入力=痛い︕エサがあるよ︕

行動としての出力=避ける︕追いかける︕

中枢神経系の回路•神経回路は複雑に見えるが、基本は入口と出口が、「興奮性」神経によって、つながれている

•中枢神経系(脳内)の神経細胞の90%以上が、グルタミン酸神経神経で、これが、基本回路を作る

•筋肉を動かす最後はアセチルコリン神経•グルタミン酸神経と、アセチルコリン神経は、とても長い軸索を持つものがある

•残り10%程度が抑制性の GABA神経•さらに残り1%未満を、種々の神経伝達物質が占める•これらの中には、回路を作るというより、回路を調節する、ある領域(複数の回路)全体を調節する役割がある。

中枢神経系の薬理学の特徴機能局在性→形態も重要

→同じ物質でも異なる作用ある薬は、ドーパミン量を増やすAという部分で増やすと、血圧が上がるBという部分で増やすと、目が覚めるCという部分で増やすと、プロラクチンが形態的構造 structure は、どの部分も似ている→ 階層構造、システム system として理解

反射

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脊髄反射の回路

脊髄反射の回路1(単シナプス)筋紡錘伸展→ Ia線維=(グルタミン酸神経)

→ 後根→ Glu シナプス→ 運動ニューロン=(アセチルコリン神経)→ 前根→ 神経筋接合部 (NMJ)Ach による伝達

脊髄反射の回路

脊髄反射の回路2(多シナプス)筋紡錘伸展→ Ia線維 (Glu)→ 後根→ Glu シナプス→ 介在ニューロン(GABA, Glycine神経)

→ GABA シナプス→ 運動ニューロン→抑制へ

膝蓋腱反射の強化両手を組ませて、力を入れさせる

↓全身の緊張で、交感神経アドレナリン放出

↓ ↓脚の筋肉の緊張↑ 脊髄での伝達効率↑

↓ ↓感覚神経入力↑ 入力が効率よく出力へ

↓ ↓反射が強まる

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単シナプスと多シナプス反射

61

筋紡錘

62

中枢性筋弛緩薬→種類

63

中枢性筋弛緩薬→作用

64

中枢性筋弛緩薬→特徴

65

ここから病気

概要だけは、覚えること

神経・筋疾患︓総論

67

麻痺の種類

68

筋萎縮性側索硬化症 ALS

69

ALS治療

70

ギラン・バレー症候群

71

ギラン・バレー症候群 予後・治療

72

重症筋無力症 総論

73

重症筋無力症→症状

74

重症筋無力症→病態生理・治療

75

重症筋無力症→エドロホニウム試験

76

重症筋無力症→クリーゼ

77

筋ジストロフィー

78

筋ジストロフィー 経過

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神経・筋肉疾患まとめ

•筋肉が動かなくなる原因は神経原性と筋原性•神経原性の病気では、運動症状(麻痺・けいれん)と知覚症状(麻痺)

• ALSは神経の病気だが、運動だけの症状•筋肉の病気の多くは、遺伝性・進行性の難病•神経筋接合部に起きるのが重症筋無力症

•診断には筋電図検査と筋肉の生検•神経の異常では、伝達速度の低下などがある

ここから、もう少し見直します

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教科書に不足している部分で重要です

神経系のミクロからマクロへ•神経細胞の仕組み …A. 細胞細胞膜の性質・興奮性

•神経伝達 …B. 細胞間神経伝達物質と受容体

•神経回路 …C. 回路興奮性回路と抑制性回路

•神経調節因子 …D. 集合回路伝達効率

•神経から精神 …E. 統合制御系無意識から意識

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D. 複数の回路の関係

ニューロモデュレーターと伝達効率

84

神経細胞の興奮は、1対1ではない︕

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神経A

神経B

神経A

神経B

神経細胞の興奮は、1対1ではない︕

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神経1

神経A

神経2 神経3 神経4

神経B 神経C 神経D

神経細胞の連絡は多重・複雑

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神経1

神経A

神経2 神経3 神経4

神経B 神経C 神経D

神経α 神経β 神経γ 神経δ

中枢神経系の回路•神経回路は複雑に見えるが、基本は入口と出口が、「興奮性」神経によって、つながれている

•中枢神経系(脳内)の神経細胞の90%以上が、グルタミン酸神経神経で、これが、基本回路を作る

•筋肉を動かす最後はアセチルコリン神経•グルタミン酸神経と、アセチルコリン神経は、とても長い軸索を持つものがある

•残り10%程度が抑制性の GABA神経•さらに残り1%未満を、種々の神経伝達物質が占める•これらの中には、回路を作るというより、回路を調節する、ある領域(複数の回路)全体を調節する役割がある。

普通は複数の入力で反応

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BA2

覚えるべき言葉︓伝達効率

GluGlu

Glu-R

前シナプスグルタミン酸神経Presynaptic Glu-neuron

後シナプス神経Postsynapticneuron

伝達効率

100%

50%

閾値に達しないと、なくなる→結果はゼロ

2回連続すると閾値に→結果が伝わる

活動電位だけが、シナプス終末に到達

普通は複数の入力で反応

92

BA2

それぞれの伝達効率が異なる

A1>B:70%A2>B:40%A3>B:20%

普通は複数の入力で反応

93

BA2

それぞれの伝達効率が異なる

A1>B:70%A2>B:40%A3>B:20%

A1とA2が同時に発火するとBが発火するが、A1+A3や、A2+A3では、発火しない

伝達効率の変化の代表的2種類

LTP/LTD と モデュレーター

伝達効率の変化→シナプス可塑性

可塑性 = plasticity ≒ 形を変えられる

GluGlu

Glu-R

前シナプスグルタミン酸神経Presynaptic Glu-neuron

後シナプス神経Postsynapticneuron

伝達効率の長期増強︓LTP = long term potentiation

20%

刺激後、長期(数時間)にわたり伝達効率が増強

高頻度刺激(100Hz x 1秒など)

40%

Tetanus stimulation and LTP/LTD

97

http://www.nature.com/nchembio/journal/v6/n2/fig_tab/nchembio.298_F1.html

シナプスの長期増強と長期抑圧は、学習記憶の基盤として重要

GluGlu

Glu-R

前シナプスグルタミン酸神経Presynaptic Glu-neuron

後シナプス神経Postsynapticneuron

モデュレーターによる調節

20%

ドパミン刺激後に、伝達効率が上昇

40%

DA

DA-R

ニューロモデュレーター(古い概念)• neurotransmitter に対する neuromodulator神経伝達で、主に調節的に機能する分子群

•モノアミンカテコールアミン(ドパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン)、セロトニン、ヒスタミン

•ペプチド類•活性脂質類•ガス(NO, CO など)

などなど

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ニューロモデュレーター(古い概念)• neurotransmitterトランスミッター=伝達物質グルタミン酸、GABA→ 情報を伝える → 回路を作る

• neuromodulatorモデュレーター =調整物質モノアミン類、GABA→「伝達効率」を変える → 情報を変化

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Q.神経伝達調節因子は、どのように伝達調節するか︖

102

Q.神経伝達調節因子は、どのように伝達調節するか︖

膜電位を変化させる

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シナプス前・後の神経細胞の状態で、伝達効率は変化する

104

神経1

神経A

神経2 神経3 神経4

神経B 神経C 神経D

Modulator が状態を変化

シナプス前神経細胞

シナプス後神経細胞

シナプス前では、伝達物質の放出量の変化 などシナプス後では、興奮閾値の変化 など

神経薬理学的には、調節因子が大事

105

神経伝達物質と伝達調節物質

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グルタミン酸

γ-アミノ酪酸(GABA)

モノアミン類

カテコールアミン p48

http://bit.ly/1oftILp

112http://bit.ly/1rixk2x

ノルアドレナリン

ドパミン

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セロトニンの生合成 (p80)

インドール骨格を持つアミン(インドールアミン)

セロトニン(5-HT)

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ヒスタミン

ヒスタミンの生合成 (p78)

イミダゾールアミン

アセチルコリン

コリンは、必須栄養素

オレキシン