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多関節自己受容感覚課題における誤差に対して腕スティフネスの与える影響
―頭頂葉損傷患者と健常者の比較―
文学研究科博士後期課程3年
板口典弘
於博士論文公聴会 2013.3.8
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目次
第1章:序論
第2章:研究史と問題提起
第3章:目的と仮説
第4章:腕スティフネスが定位誤差に対して与える影響
第5章:運動肢と参照肢スティフネスが定位誤差に対して与える影響の違い
第6章:総合考察
第7章:頭頂葉損傷患者と健常者の定位誤差に対する定量的比較
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動機
• 臨床検査:「運動覚性音読」
被験者の手を”passive”に動かして,何の文字を書いていたか答えさせる。
→ 本当にPassiveな知覚なのか?
• 臨床検査: 「母指探し試験」
実験者により任意の位置に固定された反対側の親指を掴ませる。
→ 腕の状態や運動的な要素が影響するのでは?
→ 位置知覚と腕や運動要素との関係を検討する
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背景
• 身体位置の感覚(自己受容感覚)は,日常の運動において,極めて重要な役割を担っている(Carey et al. 1993; Hasan 1992)。
• 脳損傷患者においては,残存する感覚運動機能が,その後の機能回復の予測指標になることが多く,適切な評価が重要になる(De Weerdt et al. 1987; Kusoffsky et al. 1982; La joie et al. 1982; Pavot et al. 1986; Wade et al. 1983) 。
問題点1
神経心理学において,脳損傷患者に対する定量的な研究は少なく,健常者における対照研究も乏しい(Carey et al. 1993; Dukelow et al. 2010)。
問題点2
従来の自己受容感覚の評価課題(健常者・患者)において,”腕の要素・運動要素”が比較的軽視されてきた(Allen et al. 2007; Fuentes and Bastian 2010; Jones et al. 2010) 。
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目的
本研究の目的
• 自己受容感覚課題における腕の特性や状態・運動要素が課題成績に与える影響を明らかにし,理論的検証をおこなう。
• 健常者と脳損傷患者の定量的な比較を行い,その病態を明らかにする。
• 学術的意義:既存のパラダイムの再検討,感覚運動の相互作用の検討
• 社会的意義:臨床現場への還元(ボトムアップ的データ・検査・リハビリ)
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• 頭頂葉を損傷すると,身体位置や運動に関する感覚が失われる。また,各種運動の障害(半側空間無視・失行・失書・視覚性運動失調)も生じる(Bassetti et al. 1993; Pause et al. 1989; 山鳥 1985)。
• 運動を用いた位置感覚評価課題:母指探し試験 (Hirayama et al. 1999)。
• 運動覚を用いた書字表象の検査課題:運動覚性音読 (Ihori et al. 2002)。
• 自己受容感覚課題(位置・運動感覚などを評価する課題)の成績・誤差パターンに,運動肢の運動が影響する可能性がある (Allen et al. 2007; Fuentes and Bastian 2010; Jones et al. 2010)。
• 腕の特性(スティフネス)が到達運動の誤差分散と比例する(Burdet et al. 2001; Darainy et al. 2004; Franklin et al. 2003; Gribble et al. 2003; 上村ら 2003; Lamettiet al. 2007; Lametti and Ostry 2010; 野中ら 2004)。
• 知覚の表現に運動の表現(運動指令)が関わっている(Helmholtz 1867; Holst 1954; Rizzolatti et al. 1996; Sperry 1950; Wolpert et al. 1995)。
先行研究
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仮定
• 運動指令の表現と知覚に用いられる表現は等しい。
• 運動指令はスティフネスと平衡点θeqで表現されている。
F = k (θeq - θ)
• 知覚の内部表現は自然な状態(重力下)におけるスティフネスに調整されている。
• 頭頂葉にこれらが表現・処理されている。
stiffness
equilibrium point
(original length)current length
Low stiffness
High stiffness
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スティフネス楕円体
• スティフネスとは,与えられた外力に対する反発力と定義される。
• 二次元上の腕スティフネスは幾何学的に楕円体として表現することができる。楕円体は3つの要素(size, shape, and orientation)から構成される。
• 楕円体の長軸はおおよそ肩方向を向く(Mussa-Ivaldi et al. 1985)。
Stiffness ellipses depicted
based on the data of
Mussa-Ivaldi et al. (1985) 8
仮説
仮説1: 自己受容感覚課題において,手先位置の運動および知覚に関する誤差分散はスティフネス楕円体の形と反比例する。 (実験1〜4)
仮説2: 重力下において水平腕姿勢を保つための筋出力が水平方向の終点誤差を減らす。 (実験1)
• 頭頂葉領域損傷患者に関する明確な誤差パターンの予測は立たないが,健常者と異なるパターンになることが考えられる。
実験 章 対象 課題
1 4 健常者 片手継時
2 5 健常者 両手継時
3 5 健常者 両手同時
4 7 患者 片手継時9
これまでのまとめ(本研究の位置づけ)
神経心理学的症状
背景神経心理学における定量的研究の不足臨床検査における理論的背景の不足自己受容感覚課題における運動要素の軽視
定量的かつ理論的アプローチ知覚ー運動の脳内表現制御対象の特性(腕スティフネス)を考慮した表現
頭頂葉
位置感覚
運動覚性音読
母指探し試験
Active-Passive
促通効果
失書
ボトムアップ的データ理論的・方法論的意義
リハビリ・検査への社会的還元頭頂葉機能の解明
神経心理学的症状の理解
本研究
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目次
第1章:序論
第2章:研究史と問題提起
第3章:目的と仮説
第4章:腕スティフネスが定位誤差に対して与える影響
第5章:運動肢と参照肢スティフネスが定位誤差に対して与える影響の違い
第6章:総合考察
第7章:頭頂葉損傷患者と健常者の定位誤差に対する定量的比較
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第4章:腕スティフネスが定位誤差に対して与える影響(実験1:Ipsilateral remembered localization)
Remember Start position Localization
Stiffness ellipse of the arm
Itaguchi and Fukuzawa, Percept Mot Skills (2012)12
方法
• 実験1には12名(21.6±2.1歳)が被験者として参加した。
• ターゲットは8点,スタート地点は共通の1点を用いた。
• ターゲットのうち上下左右の4点をMussa-Ivaldi et al. (1985)で使用された。位置と同等の腕スティフネス楕円体が得られる位置であると仮定した。
• 前腕の支持台に関して,3条件(SS/SN/NN)を設けた。
• これらの支持台によって,重力方向への筋力が異なることを仮定した。
• 120試行(3条件×8ターゲット×5試行)を行った。
条件 位置知覚時 定位時
SS あり あり
SN あり なし
NN なし なし
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仮説と予測
仮説1
• 自己受容感覚課題において,手先位置の運動知覚に関する誤差分散はスティフネス楕円体の形と反比例する。
予測1
• スティフネス楕円体における長軸方向への終点分散は,短軸方向への終点分散より小さい。 【AVE】
仮説2
• 重力下において水平腕姿勢を保つための筋出力が水平方向の終点誤差を減らす。
予測2
• 位置知覚時に支持台がない条件(SN条件)の方が,支持台がある条件(NN条件)よりも終点誤差(終点分散とバイアス)が小さい。 【VE・CE】
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解析
1. Variable error (VE)
2. Constant error (CE)
3. Axis-dependent variable error (AVE) (Gordon et al. 1994)
4. Best-fit ellipse (using PCA)
5. Error vector
VE ↑,CE ↓
VE ↓,CE ↑
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実験1:Ipsilateral task仮説1に関して
a) スティフネス楕円体長軸方向の終点分散は,短軸方向の終点分散よりも有意に小かった(F1,11=131.47, p <.001)。
b) Best-fit ellipseの長軸は,スティフネス楕円体の長軸よりも短軸に対して有意に傾きが近かった(F1,11=101.67, p<.001) 。
【AVE】 【Best-fit ellipse】
Best-fit ellipse
Minor axis of the stiffness ellipse (a) (b)
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実験1:Ipsilateral task仮説2に関して
a) VEでは,NN条件はSS条件,SN条件よりも有意に小さかった(t11=6.68, p<.05; t11=5.48,
p<.05)。b) CEでは,NN条件はSS条件よりも有意に小さかった(t11=2.83, p <.05)。
【VE】 【CE】
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結果のまとめ
結果1スティフネス楕円体における長軸方向への終点分散は,短軸方向への終点分散より小さかった。
結果2位置知覚時に支持台がない条件(SN条件)の方が,支持台がある条件(NN条件)よりも終点分散が小さかった。
• これらの結果は,仮説1・2を支持し,1)自己受容感覚課題において腕の物理的特性(腕スティフネス)が強く反映されること2)知覚表象として制御対象の全体的な物理的状態が表現されていること3) VEとCEは中枢において異なるメカニズムで生じることを示唆する。
問題点• 実験1では,同側の腕を,参照肢(知覚する腕)および運動肢(定位する腕)として用いているため,観察された誤差パターンが参照肢(知覚時)あるいは運動肢(定位時)のどちらに起因するものかを判断することはできない。
• 自己受容感覚課題における知覚および運動の相互作用をさらに検討するため,引き続き,実験2・3(第5章)をおこなった。
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目次
第1章:序論
第2章:研究史と問題提起
第3章:目的と仮説
第4章:腕スティフネスが定位誤差に対して与える影響
第5章:運動肢と参照肢スティフネスが定位誤差に対して与える影響の違い
第6章:総合考察
第7章:頭頂葉損傷患者と健常者の定位誤差に対する定量的比較
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第5章:運動肢と参照肢スティフネスが定位誤差に対して与える影響の違い
• 知覚と運動に用いる腕を分けることによって,2つの処理段階におけるスティフネスの効果を分離することを目的とした。
• いずれかの腕の効果が大きい場合,その腕のスティフネスの効果が大きく観察されることが予測される。
右腕のスティフネス→ ←左腕のスティフネス
Perception?
Movement?
実験1 実験2・3
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第5章:運動肢と参照肢スティフネスが定位誤差に対して与える影響の違い
Itaguchi and Fukuzawa, Exp Brain Res (2012)
Localization
Remember Localization
(実験2:Contralateral remembered localization)
(実験3:Contralateral concurrent localization)
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方法
• 実験2 (Remembered task) には18名(21.6±2.1歳),実験3 (Concurrent task) には14名(20.6±1.7歳)の学生が被験者として参加した。
• 2点のスタート地点,2点のターゲット,および4点/12点のダミーターゲットを用いた。
• ターゲットは実験1における左右の2点のみを用いた。
• 実験2では, 60試行((2ターゲット×9試行+ダミー12試行)×2腕),実験3 では100試行((2ターゲット×11試行+ダミー28試行)×2 腕)をおこなった。
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仮説と予測
仮説1をより一般化
• 自己受容感覚課題において,手先位置の運動知覚に関する誤差分散は両腕のスティフネス楕円体の形と反比例する。
課題に関する補助仮定
• Remembered taskは,記憶保持によるノイズが発生する。
• 運動指令に依存するノイズは,運動肢の運動の方が参照肢における運動(姿勢維持)よりも大きい。
• 双方のノイズは正規分布する。
予測
• 実験2:Remembered taskでは参照肢のスティフネス楕円体と反比例する終点分散が,実験3:Concurrent taskでは運動肢のスティフネス楕円体と反比例する終点分散が観察される。
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実験2:Remembered task
a) スティフネス楕円体長軸方向の終点分散と,短軸方向の終点分散の間に有意な差はなかった。
b) Best-fit ellipseの長軸に対する,スティフネス楕円体の長軸との傾きと短軸との傾きの間に有意な差はなかった。
【AVE】 【Best-fit ellipse】
Best-fit ellipse
Minor axis of the stiffness ellipse
(a) (b)
Left arm
localization
Right arm
localization
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実験3:Concurrent task
a) 運動肢スティフネス楕円体長軸方向の終点分散は,短軸方向の終点分散よりも有意に小かった(F1,13=8.04, p<.05) 。
b) Best-fit ellipseの長軸に対する,運動肢スティフネス楕円体の長軸の傾きよりも短軸の傾きが小さかった(F1,13=6.00, p<.05) 。
【AVE】 【Best-fit ellipse】
Best-fit ellipse
Minor axis of the stiffness ellipse (a) (b)
Left arm
localization
Right arm
localization
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目次
第1章:序論
第2章:研究史と問題提起
第3章:目的と仮説
第4章:腕スティフネスが定位誤差に対して与える影響
第5章:運動肢と参照肢スティフネスが定位誤差に対して与える影響の違い
第6章:総合考察
第7章:頭頂葉損傷患者と健常者の定位誤差に対する定量的比較
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仮説1に関する結果と考察
実験結果
• 「終点は両腕のスティフネス楕円体におけるスティフネスの低い方向へよりばらつくこと」を示し,仮説1を支持した。
1) 片手継時課題 (Ipsilateral Remembered task)では,スティフネス楕円体の短軸方向に分散が大きかった。
2) 両手継時課題 (Contralateral Remembered task)では,スティフネス楕円体の軸要素に関する有意な影響はなかった。
3) 両手同時課題 (Contralateral Concurrent task)では,運動肢スティフネス楕円体の短軸方向に分散が大きかった。
• 運動肢のスティフネスは参照肢の位置知覚に関わる誤差よりも,強く終点分散に反映されることが示唆される。
• 終点分散には,参照肢のスティフネスによる影響も反映されていることが示唆される。
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仮説1に関する結果と考察
新しい知見
• 自己受容感覚に基づいた定位において,その終点分散が腕の物理的特性であるスティフネス楕円体を反映することを示した。
• 終点分散には,知覚に用いる腕と,運動に用いる腕の両方の影響が重ね合わされて反映されていることを示した。
• 記憶処理の有無によって,腕スティフネスの影響の仕方が変わることを示した。
理論的考察
• 腕の物理的特性が知覚表象に反映されていること,および知覚と運動の表現が等しいことを示唆する。
• 方法論的には,自己受容感覚に基づいた課題を用いる上での留意点・問題点を示した。
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仮説2に関する結果と考察
実験結果
• 「重力に抗するための筋出力が水平方向の終点分散を減らすこと」を示し,仮説2を一部支持した。
新しい知見
• 本研究は,重力に抗する方向(垂直方向)の筋出力が,異なる方向(水平方向)の位置知覚誤差の減少に寄与することを示した。
理論的考察
• 知覚表象は,自然な状況下(重力下)における制御対象の全体的な物理状態として表現されていることを示唆した。
• 2種類の誤差(VE・CE)が中枢内において異なるメカニズムに起因している可能性を示した。
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終点バイアスに関する結果と考察
① 近位への知覚バイアス(Overlap effect; Crowe et al. 1987)
② 両腕のスティフネス楕円体の影響
• 実験1:同側を用いることによる効果の相殺
• 実験2・3:①によりスティフネスの低い方向へオーバーシュート
新しい知見
• 両腕を用いた課題における,一貫性の高い,位置による終点バイアスの違いを示した。
• 片腕・両腕を用いた自己受容感覚課題における終点バイアスを,知覚のバイアスと腕の物理的特性(スティフネス)から説明した。
実験結果 2つの効果の模式図
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目次
第1章:序論
第2章:研究史と問題提起
第3章:目的と仮説
第4章:腕スティフネスが定位誤差に対して与える影響
第5章:運動肢と参照肢スティフネスが定位誤差に対して与える影響の違い
第6章:総合考察
第7章:頭頂葉損傷患者と健常者の定位誤差に対する定量的比較
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方法・解析
• 実験4には病変部位に頭頂葉を含む症例7名(57±11.6歳)が被験者として参加した。
• 前腕の支持台に関して,2条件(SS/NN)を設けた。
• 48回 (2条件×8ターゲット×3試行)を行った。
• これまでの指標に加え,以下の指標を算出し,健常者(実験1)を基にしたZ値を基に,定量的比較をおこなった。
1) 終点誤差と軌道に関する指標
2) 角度誤差に関する指標
3) キネマティックな指標とスティフネスに関わる指標
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画像所見
K.K. (1) N.S. T.H.
M.M. H.F. K.K. (2) T.O.
位置覚喪失 位置覚低下 位置覚低下
位置覚低下 位置覚低下 位置覚正常 位置覚正常
代表的な2名の終点および運動軌道
症例T.O.頭頂葉~後頭葉損傷例 症例H.F.上側頭回・下頭頂小葉損傷例位置覚障害なし 位置覚障害あり
板口・吉澤・内山・村西・福澤, 神経心理学 (2012)
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←各症例および健常者一名のBest-fit ellipse
↓症例および健常者の誤差ベクトル
症例
健常者
SS条件NN条件 35
1) 精度や正確さは患者全体としては,健常の範囲内であったさ (VE, CE)。
2) 患者群は健常者よりも,スタート時点におけるターゲットとの角度誤差(Initial Deviation)
が大きかった。
3) スタート位置からターゲットまでの距離の過小評価傾向が顕著であった(Error vector,
Distance)。4) 探索傾向(Trajectory/Distance)
が健常者と比べて強かった。その際の運動時間や最大速度はほぼ健常者と等しかった。
5) 運動の滑らかさは健常者に較べて患者群の方が低かった(Movement Jerk)。
6) Best-fit ellipseとスティフネス
楕円体の短軸とのずれは,健常者よりも大きい。
① ②
③④
⑤
⑥
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実験4の結果と考察
新しい知見
1) 臨床検査で位置感覚に障害あると評価された症例においても,定位の正確さや精度は若年健常者の誤差の範囲内であるケースがあった。
2) 最終的な終点の誤差の大きさよりも,むしろ定位運動に健常者とは異なる特徴が見られた(初期の運動方向の誤差,探索傾向,過小評価)。
3) 健常者と同様に,支持台のない“自然な”腕姿勢である方が,定位の正確さや精度が高かった。
4) 腕の状態(実験条件)によって,終点誤差だけでなく,終点分散の形や初期の運動方向が変化した。
5) スティフネス楕円体に反比例する形の終点分散は,患者全体としては観察されなかった。
6) 中心後回を病変に含む症例は,含まない症例よりも探索傾向が強かった。
理論的考察
• 頭頂葉領域損傷により,知覚および運動の内部表象が障害を受けることを示唆する。
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実験4の臨床的な寄与
• 従来の臨床検査(位置覚検査,母指探し試験)は,手先位置の表現の正確さや精度をそのまま反映するものではなく,むしろ運動や姿勢維持における障害の程度を大きく反映することを示唆する。
• 従来見過ごされてきた位置感覚評価法の注意点を理論的・実験的に示した。(腕の物理的特性,腕の状態,運動要素を考慮することなど)
• 物理的なゴールをなくすこと,運動の軌道を計測すること,健常者の成績範囲から症例の成績を定量的に検討することの重要性・有効性を示した。
• 本研究の結果および支持されたモデルに基づくと,Passive/Relaxした状態は位置や運動を検出するには適していないことが示唆される。
→リハビリテーションへのヒント,運動覚性音読への示唆
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本研究のまとめ
ボトムアップ的データ理論的・方法論的意義
リハビリ・検査への社会的還元頭頂葉機能の解明
神経心理学的症状の理解
・健常者と頭頂葉領域損傷患者の定量的比較データ・実験データおよび理論モデルによる臨床検査の再考・自己受容感覚課題における運動要素の影響を明確化
・知覚ー運動の脳内表現・制御対象の特性(腕スティフネス)を考慮した表現
・頭頂葉での位置・運動表現・処理
・腕状態の異常,運動表現の損傷が臨床症状に大きく反映される可能性を示唆・Passive/Relaxな状態は位置感覚にとって負荷が高い状態であることを示唆
本研究の仮定→理論的検証結果
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ご清聴ありがとうございました。
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