多項目自動血球分析装置XN-Lシリーズの 概要と特徴5 S W V16 o1 2015...

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1 Sysmex Journal Web Vol.16 No.1 2015 浜 口 佳 子 *1 ,近 藤 民 章 *1 ,仲 井 里 枝 *1 ,越 智 康 浩 *1 ,岡 﨑 智 紀 *2 ,内 橋 欣 也 *2 森 川 *1 *1 シスメックス株式会社 学術本部:神戸市西区室谷 1-3-2(〒 651-2241) *2 シスメックス株式会社 ヘマトロジープロダクトエンジニアリング本部 は じ め に 近年,新興国では医療インフラの整備が着々と進 められている.また著しい経済成長に伴い医療情報 へのアクセスも容易になったため,誰しもが世界中 の最新情報をいつでも入手することが可能になった. それと同時に人々の健康や医療への関心も高まって きており,それゆえ医療や臨床検査の需要が飛躍的 に増加している.一方先進国では,高齢化社会への 対応を含めた医療費の抑制や個別化医療の浸透など, 地域ニーズが多様化している. このような医療環境の変化のもと,当社は XN リーズを 2011 年に発売し,血球計数検査の効率化 や臨床的価値の向上に取り組んできた.今回,XN シリーズの機能・操作性や臨床的価値 1~3) を継承し たコンパクトな多項目自動血球分析装置 XN-L リーズ ( 図1 ) を新たに発売した.本製品は従来製 品に備わっている CBC 8 項目,白血球 5 分類および 微量検体測定にとどまらず,網赤血球 ( RET ) 測定 機能,低値白血球モードや体液モードを備えた世界 最小クラスの血球分析装置である.また本製品は自 動再検機能 ( XN-550 に限る ) の 搭 載 や,SNCS ( Sysmex Network Communication Systems ) に対応した サービス & サポート体制 4) により安全安心かつ効率 的な検査環境に貢献できる.さらに世界三大感染症 の一つであるマラリア感染時に出現する感染赤血球 を検知可能な新たなアプリケーションを追加できる など,将来にわたって発展可能なシステムを採用し ており,臨床における血球分析装置の活用範囲の広 がりが期待できる.以下,XN-L シリーズの概要につ いて紹介する. 多項目自動血球分析装置 XN-Lシリーズの 概要と特徴 製品紹介 Web 公開日:2015 2 25 XN-350 XN-550 XN-450 図1.多項目自動血球分析装置 XN-L シリーズ

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Sysmex Journal Web Vol.16 No.1 2015

浜 口 佳 子*1,近 藤 民 章*1,仲 井 里 枝*1,越 智 康 浩*1,岡 﨑 智 紀*2,内 橋 欣 也*2,

森 川 隆*1

*1 シスメックス株式会社 学術本部:神戸市西区室谷 1-3-2(〒 651-2241)*2 シスメックス株式会社 ヘマトロジープロダクトエンジニアリング本部

多項目自動血球分析装置 XN-Lシリーズの概要と特徴

製品紹介

■ は じ め に

近年,新興国では医療インフラの整備が着々と進められている.また著しい経済成長に伴い医療情報へのアクセスも容易になったため,誰しもが世界中の最新情報をいつでも入手することが可能になった.それと同時に人々の健康や医療への関心も高まってきており,それゆえ医療や臨床検査の需要が飛躍的に増加している.一方先進国では,高齢化社会への対応を含めた医療費の抑制や個別化医療の浸透など,地域ニーズが多様化している.このような医療環境の変化のもと,当社は XNシ

リーズを 2011年に発売し,血球計数検査の効率化や臨床的価値の向上に取り組んできた.今回,XN

シリーズの機能・操作性や臨床的価値1~3)を継承したコンパクトな多項目自動血球分析装置 XN-Lシ

1

Web公開日:2015年 2 月 25日

XN-350 XN-450

図1.多項目自動血球分析

リーズ ( 図1) を新たに発売した.本製品は従来製品に備わっている CBC 8項目,白血球 5分類および微量検体測定にとどまらず,網赤血球 ( RET ) 測定機能,低値白血球モードや体液モードを備えた世界最小クラスの血球分析装置である.また本製品は自動再検機能 ( XN-550 に限る ) の搭載や,SNCSⓇ

( Sysmex Network Communication Systems ) に対応したサービス &サポート体制4)により安全安心かつ効率的な検査環境に貢献できる.さらに世界三大感染症の一つであるマラリア感染時に出現する感染赤血球を検知可能な新たなアプリケーションを追加できるなど,将来にわたって発展可能なシステムを採用しており,臨床における血球分析装置の活用範囲の広がりが期待できる.以下,XN-Lシリーズの概要について紹介する.

XN-550

装置 XN-L シリーズ

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■ 主 な 仕 様

1.名称1 ) 名称:多項目自動血球分析装置 XN-Lシリーズ2 ) 型名:XN-550 (サンプラ測定タイプ )

XN-450 (クローズド測定タイプ )

XN-350 (オープン測定タイプ )

2.用途本装置は血液検査をおこなうための血球分析装置

であり,ヒトの抗凝固剤加血液を用いて測定を行う.抗凝固剤は EDTA-2K,EDTA-3K,EDTA-2Naとする.また,体液 (脳脊髄液,胸水,腹水および滑液な

ど ) を対象とした測定を行うことができる.

3.測定項目測定項目について全血モードは 31項目,体液モードは 6項目である詳細を表1に示す.

4.主な研究用項目破砕赤血球数 ( FRC#),破砕赤血球比率 ( FRC% ),

2

測定モード

全血モード

体液モード*

測定オーダー

CBC

DIFF

RET*

*機能の有無はお客様の装置構成によって異なります.

測定チャンネル

RBC/PLT,HGB,WDF

WDF

RET

RBC,WDF

表1.測定

幼若血小板比率 ( IPF ),幼若顆粒球数 ( IG#),幼若顆粒球比率 ( IG% ),高蛍光リンパ球数 ( HFLC#),高蛍光リンパ球比率 ( HFLC% )

5.所要検体量吸引される検体量について全血は 25μL,希釈血

および体液は 70μLである.詳細を表2に示す.

6.処理能力処理能力は,1時間当たり最大約 70検体である.

詳細を表3に示す.

7.寸法および重量測定部の寸法 (幅 × 奥行き × 高さ ) および重量

を表4に示す.

8.使用試薬試薬名およびその測定チャンネルなどを表5に

示す.

          測定項目

WBC,RBC,HGB,HCT,MCV,MCH,MCHC,PLTRDW-SD,RDW-CV,PDW,MPV,P-LCR,PCT

NEUT#,LYMPH#,MONO#,EO#,BASO#NEUT%,LYMPH%,MONO%,EO%,BASO%

RET#,RET%,IRF,LFR,MFR,HFR,RET-He

WBC-BF,RBC-BF,MN#,PMN#,MN%,PMN%

項目

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測定方法

サンプラ測定 (XN-550)

マニュアル測定

測定方法

マニュアル測定

検体種別

全血

全血

希釈血

体液*2

検体種別

全血

希釈血

体液*

    試験管

通常試験管

底上げ微量血用試験管

通常試験管

底上げ微量血用試験管

微量血用採血管

通常試験管

微量血用採血管

通常試験管

微量血用採血管

    試験管

通常試験管

キャップ

クローズ

クローズ

クローズ

オープン

クローズ

オープン

オープン

オープン

クローズ

オープン

オープン

キャップ

オープン

吸引される検体量

25μL

25μL

70μL*1

70μL

吸引される検体量

25μL

70μL

必要な検体量

1mL

250μL

1mL

300μL

250μL

100μL

300μL

140μL

1mL

300μL

140μL

XN-550/XN-450

XN-350

*1:全血 20μLを 7倍希釈して作製した希釈血を使用します .*2:体液測定機能の有無は,お客様の装置構成によって異なります.

*体液測定機能の有無は,お客様の装置構成によって異なります.

表2.所要検体量

測定モード

全血

低値白血球*2

希釈

体液*2

ディスクリート

CBC

CBC+DIFF

CBC+RET*2

CBC+DIFF+RET*2

CBC+DIFF

CBC+DIFF+RET*2

CBC

CBC+DIFF

CBC+DIFF+RET*2

       処理能力

約 60検体 /時間 ( 約 70 検体 /時間*1 )

約 35 検体 /時間

約 55 検体 /時間

約 30 検体 /時間

約 60 検体 /時間

約 30 検体 /時間

約 30 検体 /時間

*1:処理能力はお客様の使用環境によって異なります.*2:機能の有無はお客様の装置構成によって異なります.

表3.処理能力

測定部モニター部測定部測定部

寸法 ( 幅 × 奥行き × 高さ )

約 450 × 660 × 450 mm約 267 × 205 × 240 mm約 450 × 460 × 440 mm約 450 × 460 × 510 mm

重量約 53kg約 3kg約 35kg約 35kg

XN-550

XN-450XN-350

表4.寸法および重量

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Sysmex Journal Web Vol.16 No.1 2015

測定チャンネル

各チャンネル

HGBチャンネル

WDFチャンネル

RETチャンネル*2

試薬種類希釈液 ( 濃縮試薬 )

希釈液溶血剤溶血剤染色液希釈液染色液

試薬名セルパック DST*1

セルパック DCLスルホライザ

ライザセル WDFフルオロセル WDFセルパック DFLフルオロセル RET

*1:セルパックDSTの使用は,お客様の使用環境によって異なります.*2:機能の有無は,お客様の装置構成によって異なります.

表5.使用試薬

■ テクノロジー

1.測定原理1)フローサイトメトリー法

XNシリーズの技術5)を継承した半導体レーザーを用いたフローサイトメトリー法を採用し,高機能,高性能な測定をコンパクト設計で実現している.各血液細胞は,専用試薬で処理され,フローサイトメトリー法により前方散乱光,側方散乱光,側方蛍光を電気信号に変換した多次元スキャッタグラムに展開される.スキャッタグラムは,独創的な技術に基づいて解析され,測定結果を算出している ( 表6).低値白血球および体液モードでは血液細胞数の計数量を増やすことで精度を高めている.また網赤血球ヘモグロビン等量 ( RET-He ),幼若血小板比率 ( IPF ) も測定している.2)シースフロー DC検出法6)

赤血球数,血小板数の測定には,シースフローDC検出法を採用している.この測定原理は血球の同時通過や舞い戻りなどの問題を最小限に抑え,正確に血球数や容積を計測することができる原理である.3)SLSヘモグロビン法7)

ヘモグロビン濃度の測定は毒物及び特別な酸化剤を用いない SLSヘモグロビン法を採用している.この原理は,ラウリル硫酸ナトリウム ( SLS ) の作

4

用で,血球を溶血させた後,比色法で測定を行う.この方法は自動化に適している.

2.体液モード1)

本装置では,体液を測定できるモードが搭載されている.検体の前処理をすることなく,白血球数

( WBC-BF ),赤血球数 ( RBC-BF ),単核球 ( MN#,MN% ),多形核球 ( PMN#,PMN% ) を測定し,報告することができる.体液モードでは,計測する粒子数を全血モードに対して,白血球数は約 10倍,赤血球数は約 3倍に増やすことにより,測定精度を向上させている.

3.低値白血球モード2,3)

本装置は低値白血球モードを有しており,精度良く白血球低値検体を測定することができる.低値白血球モードでは,計測するサンプル量を全血モードの 2倍に増やすことにより,測定精度を向上させている.

4.自動希釈液分注機能本装置では,希釈分注機能によって,空の微量血用試験管にセルパック DCLを 120μL分注することができる.分注後,検体 20μLを入れて希釈血を作製して測定することが可能であり,高齢者や乳幼児等の採血量が少ない患者への対応も容易にしている.

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測定チャンネル

WDF

RET*

測定項目

白血球数

白血球 5分類

網赤血球

検出パラメーター

前方散乱光-側方散乱光 (CBC)

側方散乱光-側方蛍光 (CBC+DIFF)

側方蛍光-前方散乱光

*機能の有無はお客様の装置構成によって異なります.

表6.測定チャンネルと検出パラメーター

■ 装置基本性能

1.同時再現性1)全血モード全血モードにて健常人血 3検体を各 10回連続

測定した同時再現性結果を表7に示す.主な項目の CV値は,WBC:1.3 ~ 2.0%,RBC:0.3 ~ 0.7%,HGB:0.3 ~ 0.5%,HCT:0.2 ~ 0.8%,PLT-I:2.0 ~ 2.2%,PLT-O:0.8 ~ 2.1%であった.

2)体液モード体液モードにて精度管理物質 ( XN CHECK BF )

を調製して作成した 3濃度の試料を各 10回連続測定した際の同時再現性結果を表8に示す.各項目の CV値は,WBC-BF:5.6~ 9.3%,RBC-BF:2.4 ~ 10.6%,TC-BF#:5.6~ 9.3%であった.

2. 相関性1)全血モード患者血 ( EDTA-2K加血,N=106,国立大学法人

筑波大学附属病院臨床検査の測定及び診断技術の向上プロジェクトより提供された検体を使用 ) を用いた XN-Lシリーズと XNシリーズの全血モードにおける相関性を図2に示す.主な項目の相関係数 ( r )は,WBC:0.9974,RBC:0.9984,HGB:0.9987,HCT:0.9976,PLT:0.9982であった.

2)体液モード体腔液 20検体,脳脊髄液 12検体,腹膜透析液

23検体を用いた XN-Lシリーズと XNシリーズの

5

体液モードにおける相関性を図3に示す.各項目の相関係数 ( r ) は,WBC-BF:0.9994,RBC-BF:0.9995,TC-BF#:0.9993であった.

3. 最小検出感度1)全血モード全血モードにて,濃度を調製した精度管理物質

( e-CHECK ) およびセルパックDCLを測定した際の最小検出感度結果 (ブランク値限界 ( LoB ),検出限界 ( LoD ),定量限界 ( LoQ ) ) を表9に示す.主な項目の最小検出感度は,WBC ( CBC+ DIFFモード ) :0.01 × 109/L,RBC:0.00 × 1012/L,PLT:1× 109/Lであった.2)低値白血球モード低値白血球モードにて,濃度を調製した精度管理物質 ( e-CHECK ) およびセルパック DCLを測定した際の最小検出感度結果 ( LoB,LoD,LoQ ) を表 10に示す.主な項目の最小検出感度は,WBC:0.01 × 109/L,RBC:0.00 × 1012/L,PLT:1 ×109/Lであった.3)体液モード体液モードにて,濃度を調製した精度管理物質

( e-CHECK ) およびセルパック DCLを測定した際の最小検出感度結果 ( LoB,LoD,LoQ ) を表 11に示す.各項目の最小検出感度は,WBC-BF:0.001× 109/L,RBC-BF:0.000× 1012/L,TC-BF#:0.001× 109/Lであった.

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AVE.SDCVAVE.SDCVAVE.SDCV

1

2

3

WBC-C*1(109/L)

6.9480.1402.0%9.0910.1171.3%3.6610.0461.3%

WBC-D*2(109/L)

6.9150.1382.0%9.0120.1141.3%3.6380.0481.3%

RBC(1012/L)

5.2060.0140.3%5.0140.0350.7%4.7830.0300.6%

HGB(g/L)

162.70.70.4%148.00.70.5%154.20.40.3%

HCT(L/L)

0.50200.00120.2%0.46820.00350.8%0.46720.00300.7%

MCV(fL)

96.430.070.1%93.380.150.2%97.680.110.1%

MCH(pg)

31.250.160.5%29.520.230.8%32.250.220.7%

MCHC(g/L)

324.11.90.6%316.02.60.8%330.12.10.6%

PLT-I(109/L)

312.16.22.0%259.65.62.2%174.53.82.2%

PLT-O(109/L)

298.22.30.8%250.64.11.6%170.63.72.1%

AVE.SDCVAVE.SDCVAVE.SDCV

1

2

3

NEUT%(%)

56.59 0.82 1.5%74.78 0.51 0.7%44.86 0.69 1.5%

LYMPH%(%)

34.51 0.91 2.6%14.19 0.52 3.6%46.58 0.78 1.7%

MONO%(%)

5.48 0.22 4.0%8.56 0.45 5.2%6.49 0.40 6.1%

EO%(%)

2.89 0.22 7.6%2.07 0.17 8.2%1.50 0.29 19.4%

BASO%(%)

0.53 0.14 26.8%0.40 0.09 23.6%0.57 0.15 26.2%

RET%(%)

2.4370.0552.3%1.9660.0532.7%1.0860.0615.6%

RET#(109/L)

126.872.742.2%98.572.672.7%51.942.795.4%

RET-He(pg)

33.110.060.2%32.600.090.3%33.960.190.6%

*1 WBC-C:WDFチャンネルの前方散乱光情報と側方散乱光情報から算出される白血球数 (CBCモード ).*2 WBC-D:WDFチャンネルから算出される白血球数 (CBC+DIFF モード ).

表7.全血モードの同時再現性

AVE.SDCVMAXMINAVE.SDCVMAXMINAVE.SDCVMAXMIN

1

2

3

WBC-BF(109/L)

0.01040.00088.1%0.0120.0090.02110.00209.3%0.0250.0180.04640.00265.6%0.0500.043

RBC-BF(1012/L)

0.00660.000710.6%0.0080.0060.01180.00065.4%0.0130.0110.02680.00062.4%0.0280.026

TC-BF#(109/L)

0.01040.00088.1%0.0120.0090.02110.00209.3%0.0250.0180.04640.00265.6%0.0500.043

表8.体液モードの同時再現性

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y = 1.0094x-0.1048r = 0.9974n = 106

WBC (109/L)

0

5

10

15

20

25

0

XN-550

XN-1000

252015105

y = 0.9987x+0.03r = 0.9984n = 106

RBC (1012/L)

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

0.0

XN-550

XN-1000

8.06.04.02.0

y = 0.9878x+0.7966r = 0.9987n = 106

HGB (g/L)

0

50

100

150

200

0

XN-550

XN-1000

20015010050

y = 0.9793x+0.0076r = 0.9976n = 106

HCT (L/L)

0.0

0.2

0.4

0.6

0.0

XN-550

XN-1000

0.60.40.2

y = 1.0375x-3.9786r = 0.9946n = 106

MCV (fL)

60

80

100

120

140

XN-550

XN-1000

1401201008060

y = 0.9695x+0.0565r = 0.9900n = 106

MCH (pg)

15

25

35

45

15XN-550

XN-1000

453525

y = 0.9627x+0.0286r = 0.9982n = 106

PLT (109/L)

0

200

400

600

800

1,000

XN-550

XN-1000

1,0008006004002000

MCHC (g/L)

y = 0.8964x+0.3771r = 0.9262n = 106

250

300

350

400

450

XN-550

XN-1000

400350300250

図2-1 CBC 8 項目の相関性

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y = 0.9529x+1.0553r = 0.9910n = 106

RDW-SD (fL)

30

40

50

60

70

80

XN-550

XN-1000807060504030

y = 0.9673x+0.3215r = 0.9976n = 106

RDW-CV (%)

10

15

20

25

30

XN-550

XN-10003025201510

y = 0.8543x+1.4693r = 0.9428n = 105

PDW (fL)

5

10

15

20

XN-550

XN-10002015105

y = 0.9526x+0.3205r = 0.9577n = 105

MPV (fL)

6

8

10

12

14

16

XN-550

XN-10001614121086

y = 0.9265x+0.4405r = 0.9766n = 105

P-LCR (%)

0

20

40

60

XN-550

XN-10006040200

y = 0.9613x-0.0032r = 0.9949n = 105

PCT (%)

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

XN-550

XN-10001.00.80.60.40.20.0

図2-2 粒度分布解析項目の相関性

y = 0.9764x+1.2967r = 0.9959n = 106

NEUT% (%)

0

20

40

60

80

100

120

XN-550

XN-1000120100806040200

y = 0.984x+0.5881r = 0.9952n = 106

LYMPH% (%)

0

20

40

60

80

0

XN-550

XN-100080604020

y = 0.9651x+0.2871r = 0.9774n = 106

MONO% (%)

XN-550

0

10

20

30

40

0XN-1000

40302010

y = 0.9604x+0.0875r = 0.9933n = 106

EO% (%)

0

5

10

15

20

25

30

0

XN-550

XN-100030252015105

y = 0.6356x+0.2632r = 0.6717n = 106

BASO% (%)

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

0.0

XN-550

XN-10003.02.52.01.51.00.5

y = 0.852x -0.1624r = 0.9851n = 106

IG% (%)

0

5

10

15

0

XN-550

XN-100015105

図2-3 WDF チャンネル関連項目の相関性

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9

Sysmex Journal Web Vol.16 No.1 2015

y = 1.0754x+0.6081r = 0.9768n = 106

IRF (%)

0

10

20

30

40

50

60

0

XN-550

XN-1000

605040302010

y = 1.1474x+0.1421r = 0.9833n = 106

HFR (%)

0

10

20

30

0

XN-550

XN-1000

302010

y = 0.9835x+1.1739r = 0.9354n = 106

MFR (%)

0

5

10

15

20

25

30

0

XN-550

XN-1000

30252015105

y = 1.0754x-8.1507r = 0.9768n = 106

LFR (%)

40

60

80

100

120

40

XN-550

XN-1000

1201008060

y = 1.0005x+0.0092r = 0.9963n = 106

RBC-O (1012/L)

0

2

4

6

8

0

XN-550

XN-1000

8642

y = 1.2209x+0.7131r = 0.7779n = 106

IPF (%)

0

5

10

15

20

0

XN-550

XN-1000

2015105

y = 0.9794x+0.3284r = 0.9908n = 106

RET-He (pg)

10

20

30

40

50

XN-550

XN-1000

5040302010

y = 1.0455x + 2.7218r = 0.9972n = 106

PLT-O (109/L)

0

200

400

600

800

1,000

1,200

0

XN-550

XN-1000

1,2001,000800600400200

y = 1.0176x-0.6837r = 0.9885n = 106

RET# (109/L)

0

50

100

150

200

250

0

XN-550

XN-1000

25020015010050

y = 1.037x -0.5976r = 0.9961n = 106

RET% (%)

0

30

60

90

120

150

0

XN-550

XN-1000

150120906030

図2-4 RET チャンネル関連項目の相関性

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10

Sysmex Journal Web Vol.16 No.1 2015

y = 1.0779x-0.0028r = 0.9977n = 55

PMN# (109/L)

0

2

4

6

8

10

0

XN-550

XN-1000

108642

y = 1.0635x-0.0001r = 0.9997n = 55

MN# (109/L)

0

2

4

6

8

10

0

XN-550

XN-1000

108642

y = 0.9591x+0.00004r = 0.9995n = 55

RBC-BF (1012/L)

0.00

0.02

0.04

0.06

0.08

0.10

0.00

XN-550

XN-1000

0.100.080.060.040.02

y = 1.0722x-0.0059r = 0.9994n = 55

WBC-BF (109/L)

0

2

4

6

8

10

0

XN-550

XN-1000

108642

y = 0.7236x+21.398r = 0.7825n = 44

MN% (%)*

0

20

40

60

80

100

0

XN-550

XN-1000

10080604020

y = 0.9088x+2.6322r = 0.9000n = 44

PMN% (%)*

0

20

40

60

80

100

0

XN-550

XN-1000

10080604020

y = 1.067x -0.0081r = 0.9993n = 55

TC-BF# (109/L)

0

2

4

6

8

10

0

XN-550

XN-1000

108642

*MN%,PMN%項目についてはLoQを満たさない検体 (WBC-BF < 0.003×109/L) を除外したため,n=44の結果である.

図3.体液関連項目の相関性

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Sysmex Journal Web Vol.16 No.1 2015

LoB

LoD

LoQ

WBC-C

(10

9

/L)

0.01

0.02

0.03

WBC-D

(10

9

/L)

0.00

0.01

0.02

RBC

(10

12

/L)

0.00

0.00

0.00

HGB

(g/L)

0

0

0

HCT

(L/L)

0.000

0.000

0.000

PLT-I

(10

9

/L)

0

1

2

PLT-O

(10

9

/L)

0

1

2

表9.全血モードの最小検出感度

表 10.低値白血球モードの最小検出感度

LoB

LoD

LoQ

WBC-C

(109/L)

0.00

0.01

0.01

RBC

(1012/L)

0.00

0.00

0.00

HGB

(g/L)

0

0

0

HCT

(L/L)

0.000

0.000

0.000

PLT-I

(109/L)

0

1

2

PLT-O

(109/L)

0

1

2

LoB

LoD

LoQ

WBC-BF(109/L)

0.000

0.001

0.002

RBC-BF(1012/L)

0.000

0.000

0.001

TC-BF#(109/L)

0.000

0.001

0.002

表 11.体液モードの最小検出感度

■ 特 徴

XN-Lシリーズはコンパクトな装置でありながら,RET,RET-Heおよび体液項目のような,様々な診療判断材料とされうる項目も提供することが可能となった.

RET-Heは,網赤血球中のヘモグロビン量を反映し,鉄が赤血球造血に利用されたかどうかをより早く把握しうる指標である.そのため,慢性腎臓病患者の貧血治療管理8)や自己血貯血における安全性向上9)が期待できる.

XN-Lシリーズは体液モードにおいて,白血球数,赤血球数,単核球数および多形核球数を測定することができる.これにより日常検査だけでなく夜間休日の緊急検査においても,迅速かつ客観性の高い測定結果を報告することができる.これは,特に中枢神経系感染症の診断に有用となる.また,腫瘍細胞の検出を目的とした細胞診検査のためのスクリーニング情

11

報としても活用できる可能性が示唆されている 10).また XN-Lシリーズは,PLT-I / PLT-Oスイッチング

の機能を搭載している.PLT-Iはシースフロー DC検出法より,PLT-Oはフローサイトメトリー法の RET

チャンネルより得られる血小板数である.通常はPLT-Iが血小板数として採用されるが,破砕赤血球出現検体のような血小板粒度分布に異常がある検体では自動的に PLT-Oが血小板数として報告される 11).この機能により,より信頼性の高い血小板数を報告できる.また,XN-Lシリーズはお客様の分析装置と当社カ

スタマーサポートセンターとのオンライン化により,リアルタイムの外部精度管理や装置の故障監視・修理サポート,Webによる情報提供を行う SNCS Ⓡサービス機能を有している5,12).世界中で 24,000台以上の装置をネットワークでつないでおり,正確な測定結果の報告や装置の性能維持に活用できる .

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Sysmex Journal Web Vol.16 No.1 2015

■ 付 加 価 値

XN-Lシリーズは,XNシリーズと同様に IGおよび IPFのような研究用項目も提供することができる.

IGは,C反応性タンパクや赤血球沈降速度などの既存の測定項目とともに使用することで,より簡便にかつ迅速に炎症反応の状態を把握できる可能性が見出されている 13).網血小板は骨髄の血小板産生能を反映しており,

XN-Lシリーズでは,その関連パラメーターであるIPFを自動で測定することができる.この項目は化学療法や造血幹細胞移植後の血小板回復時期予測時14),また免疫性血小板減少症 (特発性血小板減少性紫斑病 ) のような血小板減少性疾患の鑑別 15)に有用であると報告されている.

■ お わ り に

今回,新たに発売された多項目自動血球分析装置XN-Lシリーズの概要について紹介した.XN-Lシリーズはコンパクトでありながら,ハイエンドの XNシリーズと同等の高精度な測定技術や検査の効率化に貢献し得る機能を搭載している.これにより,地域特性やお客様ごとの検査環境など,多様なニーズに応じて分析装置を選択することが可能となる.また,将来にわたって発展可能なシステムを採用しており,今後の臨床における血球分析装置の活用範囲の広がりが期待できる.

参 考 文 献参 考 文 献

1) 中沢渚 他 . 多項目自動血球分析装置 XN-2000におけ

る体腔・穿刺液測定モードの基礎的性能評価 . Sysmex J.

2012 ; 35 ( 2 ) : 3-15

2) 田中雄三 他 . 多項目自動分析装置 XN-Seriesにおける

低濃度白血球測定モードによる白血球測定の信頼性評

価 . Sysmex J. 2011 ; 34 ( Suppl. 2 ) : 47-61

12

3) 矢田部陽子 他 . 新規多項目自動血球分析装置 XN-1000

の性能評価 . 日本検査血液学会誌 . 2013 ; 14 : 34-40

4) 寺田直樹 他 . 多項目自動血球分析装置 XN-3000の使用

経験と導入効果 . 日本検査血液学会誌 . 2012 ; 13 : S191

5) 越智康浩 他 . 多項目自動血球分析装置 XN-Seriesの概

要 . Sysmex J. 2011 ; 34 Suppl.2 : 31-46

6) 巽典之 他 . 血球計数装置の測定原理-血球細胞電気

抵抗方式計測の変遷 . Sysmex J. 1999 ; 22 ( 1 ) : 76-84

7) 松原高賢 . SLS-Hb法の反応機序について . Sysmex J.

1990 ; 13 ( 2 ) : 206-211

8) 三和奈穂子 他 . 透析患者における reticulocyte hemoglobin

equivalent ( RET-He ) 測定の臨床的有用性 . 透析会誌 .

2008 ; 42 ( 7 ) : 437-444

9) 柴山正美 他 . 自己血貯血の安全性向上を目的とした

網赤血球ヘモグロビン等量 ( RET-He ) 測定 . 臨床病

理 . 2011 ; 59 ( 6 ) : 565-570

10 ) 竹村浩之 他 . 自動血球分析装置を用いた脳脊髄液お

よび体腔液中の細胞数算定と腫瘍細胞検出能 . 臨床病

理 . 2010 ; 58 ( 6 ) : 559-564

11 ) 折戸三智子 他 . 低値血小板数の信頼性 -多項目自

動血球分析装置XE-2100と目視法の比較- . 臨床病理 .

2005 ; 53 ( 9 ) : 793-801

12 ) 熊沢寛子 Sysmex Network Communication Systems ( SNCS )

を使用した多項目自動血球分析装置 XE-2100の運用 .

Sysmex J. Web. 2001 ; 1 ( 3 ) : 19-24

13 ) 志賀修一 他 . 血球分析装置における最新の研究開発

成果について . JJCLA. 2002 ; 27 ( 3 ) : 243-248

14 ) 野村努 他 . 多項目自動血球分析装置 XE-2100を用い

た幼若血小板比率測定の臨床的有用性 : 化学療法およ

び造血幹細胞移植後の血小板回復時期の予測マーカー

として . Japanese Journal of Transfusion and Cell �erapy.

2009 ; 55 ( 6 ) : 691-697

15 ) Mikiko Sakuragi. Clinical significance of IPF% or RP%

mea su rement in d i s t ingu i sh ing p r imar y immune

thrombocytopenia from aplastic thrombocytopenic disorders.

International Journal of Hematology. 2015 Jan 25. [Epub

ahead of print]