第3章 研修実施マニュアル - 東京都立図書館 · 第3章 研修実施マニュアル この章では、研修担当職員が、効果的、効率的な研修を実施できるよう、研修の企画、準備から
授業力を高める校内研修H21~H27の調査項目 (98)...
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授業力を高める校内研修
平成29年8月10日(木)
稲葉義治
自校の校内研修は?
課題は?
・ システム上の課題
・ 質的課題
成果は?
校内研修がうまくいかない理由
・ 研修をする時間を確保できない
・ 職員に「研修は嫌で面倒」という思いが強い
・ 自分の授業を公開したがらない
小学校では、
他学年、他学級の授業・子どもに興味がない
(学級の壁)
中学校では、
他教科の授業を見てもコメントできない
(教科の壁)
なぜ校内研修をするのか?
・自校の教育理念、方針を共有する自校の課題を共有する教育観、授業観を共有する
・職員間に、学び合う関係、認め合う関係を築く(同僚性の構築)
・ 職員が「教育の専門家」として成長する場
共通の土俵は授業
文科省のスタンス学校質問紙より
校内研修
あなたの学校の教員研修の状況は,次の事項にどの程度当てはまりますか。当てはまる番号を1つずつ選んでください。
H21~H27の調査項目
(98) 学校でテーマを決め,講師を招聘するなどの校内研修を行っている
(99) 模擬授業や事例研究など,実践的な研修を行っている
(100) 教員が,他校や外部の研修機関などの学
校外での研修に積極的に参加できるようにしている
(101) 授業研究を伴う校内研修を前年度に何回実施しましたか
H29の調査項目(98) 校長のリーダーシップのもと、研修リーダー等を校内に設け、校内
研修の実施計画を整備するなど、組織的、継続的な研修を行っている
(99) 学校でテーマを決め,講師を招聘するなどの校内研修を行っている
(100) 模擬授業や事例研究など,実践的な研修を行っている
(101) 教員が,他校や外部の研修機関などの学校外での研修に積極的に参加できるようにしている
(102) 個々の教員が.(自らの専門性を高めていこうとしている教科・領域等を決めており).校外の教員同士の授業研究の場に定期的・継続的に参加している
(103) 児童(生徒)自ら学級やグループで課題を設定し.その解決に向けて話し合い.まとめ.表現するなどの学習活動を学ぶ校内研修を行っている
(104) 授業研究を伴う校内研修を前年度に何回実施しましたか
①15回以上 ②13から14回 ・・・ ⑧2から1回 ⑨0回
文科省のスタンス
学校質問紙から読みとれることは?
・校内研修は校長の責任だ
・教員は自己研鑽しなさい
・より実践的な研修をしなさい
・授業力を向上させる研修をしなさい
・ 研修を日常化しなさい
・・・・・・・・・・
学校づくりは3本立て
授業づくり + 校内研修
ケアリング
(1) ケアリング 子どもの尊厳を大切にする
どの子も一人にしない
(2) 授業づくり 夢中になって取り組む授業づくり主体的・協同的に学ぶ授業づくり
(3) 校内研修 授業公開と研究協議で学び合う
職員の同僚性の構築
年度初めに、自校の課題、教育の理念、授業改善の方向、校内研修の方向などをはっきり示す
リーダーシップを取るのはあなたです
校内研修を進めるにあたって
授業づくりの方向
アクティブ・ラーニングの推進1 主体的な学び
「見て聞いて覚える授業」では主体的になれない追究・探究と表現が必要
2 対話のある学び(協同的な学び)学びは一人では興らない学びは他者との対話を通して生まれ、深まる
3 深い学び課題の質、子どもの思考の質が問われている「解ける・方法がわかる」から説明できる子へ
仲間と共に考え、追究・探究し、自分の言葉で表現する授業が求められているキーワードは 「考えさせる」 「つなげる」
校内研修の方向づけ
授業研究を伴う研修にする
1 公開授業と研究協議をセットにする公開授業(ビデオ撮影したもの)を全員で見て、
教室での事実について語り合う
2 すべての教員が最低年1回は授業公開する研修では、若手、ベテラン、管理職の区別はない
研修中は皆平等である
3 事前の指導案検討より授業後の省察を充実させるな授業案でなく、簡単な流れ程度とする
方策を考える
①担当者が一人でかかえこまない
(1) 校内研修の方向性を決めるのに研修部だけ
で決めない
校長・教頭・教務主任を研修部会に入れる
研修部会は校長室で開く
(2) 年度当初の研修部からの提案は校長にも話してもらう
・自校の教育課題、授業改善の方向
めざす授業像 研修の方向
②全員で取り組むために
(1) 年度初めの説明は具体的に分かりやすく
・パワーポイントや前年度のビデオを使う
・皆が納得するように説明する
(2) 確認を取りながら提案を進める
・子どもに対するケアリング
・授業改善の方向
・公開授業と研究協議をセットにした研修
この3点を確認する
できるものがやるのではなく、
全員で取り組むことを全員で確認する
③最初の公開授業は早い時期に
(1) 4月中に最初の公開授業と研修をする
早いうちに研修を実施することで、理論から実践へ動き始める
(2) 最初は分かりやすい教科にする
国語、社会、算数・数学など、授業の流れが分かる
協同的な学習のよさがすぐ解る教科がよい
④夏休み前までに定着を図る
(1) 月に1回は実施する
2ヶ月で3回のペースを維持できるとよい
年間15回は実施したい
(2) 外部講師を招聘する
1回だけではなく、年に3~4回程度がよい
期間をあけると、変化を指摘してもらえる
⑤夏休みの研修で再確認をする
(1) 4月からの取り組みについて疑問や課題を
出して話し合い、共有する
実践していても、疑問や不安はだれにでもある
疑問や不安は口に出して話すことで大方は解決する
(2) ビデオ研修を数本計画する
授業ビデオからの見とりに慣れるようにする
7月中に授業を何本か撮影しておく必要がある
⑥先進校の研修へ参加する
(1) 他校の研修へ参加することで、目指す授業を
イメージできるようになる
・公開研究会より普段の研修の方がよい
・県外への出張が効果的である
・校長を落とすには、複数で迫る(事務官に根回し)
(2) 各地の研究会に参加する
・長期休業中の研究会を職員に紹介する
・職員に自己投資する気持ちにさせる
⑦情報の共有
(1) 職員室で話題にする授業の様子、子どもの表れ、授業のデザインなどを意識して職員室の話題にする。「○組の授業で○○さんがこんなことを言ったの。感動しちゃって・・・」「次の授業はこのような導入を考えているんだけど」
(2) 研修だよりの発行研修後に授業の様子、議論や意見をまとめ、「研修だより」として発行する。写真を入れると見てくれる。年度末に、それらをまとめて「研修のあゆみ」として冊子にする。冊子を作るために新たに文書提出を求めることはしない。
研修だより・研修のあゆみ
⑧公開研究会を開催する
(1) ある程度軌道に乗ったところで、校内研修を
公開する
・子どもも職員も見られることで成長する
(2) 外部からの評価を受けることができる
・公開することで自校の課題が明らかとなり、
再出発の節目になる。
⑨子どもや保護者も巻き込む(1) 集会で「学び」の話題を取り上げる
学ぶことの意味、コの字型の机の配置やグループ活動をとおして目指すもの等を語る。校内の掲示板に、公開授業や研修の様子を掲示する。
(2) 学校便りで授業や研究会の様子を保護者に伝える学校で取り組んでいることを便りをとおして保護者に伝える。PTA総会で学校の取り組みを説明する。公開研究会では、保護者の参加や協力を求める。
(3) 学校のHPに公開研究会や校内研修を紹介するblog
⑩研修方法を工夫する
(1) 全体研修と学年別研修などを織り交ぜる全体研修だけでは全教員の授業を協議できないので、学年別研修やグループ別研修を入れる。
(2) 焦点授業以外の学級は放課にする月1回の研修日は、焦点学級以外を放課にし、研修に専念する。
子どもたちには、今日の午後は先生たちが勉強する時間と説明する。もちろん部活動はやらない。
⑪自己研鑽する職員に育つ
教員は、なかなか自己投資しない!
(1) 教育関係の本、雑誌を読む教科の専門書、教科指導の雑誌の購入を惜しまない
(2) 自ら求めて学ぶ研究会への参加美術館、博物館、コンサートを見る名所旧跡を巡る
しばらく休憩です
あせらず
あわてず
したたかに
授業から学ぶ
授業の何を見るか授業者を見るのではなく、子どもたちの様子を見る
・ 教室内の関係性
授業者と子どもの関係
子ども同士の関係
・ 授業の流れ
子どもたちの思いに沿っているか
探究、追究があるか 夢中になっているか
自分の言葉でまとめているか
授業者の指導技術
子どもの関係性を見る(1) 子どもと子ども
・ 聴き合う関係ができているか
・ つながっているか支え合っているか
(2)教師と子ども
・ かかわり方、居方を見る
・子どもへのことば掛けの中身を検証する
・ ことばがしっかり届いているか
(3) 教材との関係
・ 教材とどれだけ関わっているか
・ 何回テキストに戻っているか
学びの質を見る
・ 課題が教科の本質に迫っているか
・ ねらいが高いか 質が高いか
・ 追究、探究の場があったか
・コミュニケーションの善し悪し
・ 子どもが学び込んだか
・ 自分の言葉で表現しているか
子どもの理解の仕方を見る
(1) つまずいている子の間違えは?
・ 教師の考えとのズレはないか
・ 何がわかっていないのか
(2) どこまで理解したか
・「What did you study today?」と問えるか
・「分かる」のレベルは?
授業者の指導技術を見る
(1) 聴く
・子どもの話(つぶやき)をしっかり受け止めているか
(2) つなぐ
・ 子どもと子ども ・子どもと教材(テキスト)
(3) もどす
・教材(テキスト)にもどす 脱線した時もどす
・ 前の子どもの発言にもどす
(4) とっさの判断 教室内での居方
(5) 授業の構成
研究協議での話題
・ 子どもの姿で語り合う
子どもの関係性 ケアの場面
追究、探究の場 表現の様子
・授業から学んだこと 発見したこと
・授業の流れ
授業研究会での話題「学びの質」と 「関係性」は車の両輪左の車輪
・教科の専門性・発問と発展・指導技術
など
右の車輪
・かかわり・グループの様子・ケア
など
左の車輪ばかり回ると、授業者批判になる
右の車輪ばかり回ると、堂々巡りで飽きる
前に進むには、バランスよい話題にする
授業研究会での話題は進化するいきなり先進校のような議論はできない
1 子どもの表情・仕草やからだを見る・聴く
見たこと聞いたことだけを話す(保護者の参観と同じレベル)
↓
2 子どもや教師の事実に即して話す(関係性を交えて話す)
例:○○さんが、このときにこのように学んでいた
↓
3 子どもの表れをものがたる (意味づける)
授業者の対応について語る
↓
4 子どもの表れを通して、学びの質について語る
対象との対話・他者との対話・自己との対話
学びの成立ひとりひとりが、どれだけ、
対象世界とつながり、(対象との対話)
他者の考えとつながり、(他者との対話)
自分の考えを再構築できたか。(自己との対話)
・・・ 作業ではなく、思考する
・・・ 個人作業ではなく、仲間とともに
・・・ 自分の言葉で表現する
互いの表現を共有する
そのために
活動的で
協同的で
表現的な
授業にする
ENDおしまい