水晶体の被ばくについて水晶体の被ばくについて水晶体の被ばくについて

長瀬ランダウア株式会社長瀬ランダウア株式会社

小林小林 育夫育夫

平成25年6月8日

東海循環器画像研究会

本日のお話は、本日のお話は、

水晶体に対する放射線の影響

ICRPのステートメント水晶体線量の実測

水晶体の構造

水晶体に対する放射線影響過去の被ばくに対する疫学調査原爆生存者の疫学調査（２から3年後）では、しきい線量は２Gy程度と推定された。血管腫の治療後30年を経過してから水晶体後嚢部下部混濁が認められた。(Broun)また、原爆の被爆者においても30数年後に水晶体後嚢部下部混濁が新たに認められた。これらの被ばく線量の推定は0.5Gy程度であった。最近の知見として、金沢医科大学の協力による調査で、IVR担当者の水晶体の検査から辺縁部に加齢性白内障が認められた。

国際標準化機構（ISO）• 専門委員会（TC:244）、分科委員会（SC）• TC85 原子力• Nuclear energy• SC2 放射線防護• radiological protection• 2010年以前はradiation protection

ISO 15382• Radiation protection -- Procedure for

radiation protection monitoring in nuclear installations for external exposure to weakly penetrating radiation, especially to beta radiation

• Radiological protection - Procedures for monitoring the dose to the lens of the eye, the skin and the extremities

その他の動き

• IAEA Technical Meeting on the • The New Dose Limit for the Lens of

Eye- Implications and Implementation• 作業者定義、防護用具、モニタリングなど• EURATOM Basic Safety Standards• 目の水晶体： 20mSv/年

Statement on Tissue Reactions（ICRP）

眼の水晶体の限度引下げ

• 2011年4月17-21日に韓国ソウルで行われたICRPの主委員会の会合で、最近の知見から眼の水晶体のしきい線量を0.5Gyと見なすこと、計画被ばく状況の職業被ばくに対する眼の水晶体の等価線量限度（Publ. 103では150mSv）を5年間の平均で年20mSv、年最大50mSvにすべきであることを勧告します。

放射線作業従事者の線量限度（個人管理）

実効線量限度

１００ｍＳｖ／５年 （ブロック５年 例2001～2005年）５０ｍＳｖ／年

女子 ５ｍＳｖ／３月

妊娠中である女子 内部被ばくについて１ｍＳｖ医療法、障防法 妊娠と申告されてから

電離則、人事院規則 妊娠と診断されてから

等価線量限度

目の水晶体 １５０ｍＳｖ／年

皮膚 ５００ｍＳｖ／年

妊娠中の女子の腹部表面線量 2ｍSv （１ｃｍ線量当量）

現行法令（目の水晶体）• 目の水晶体については1cm線量当量と70μm線量当量とで管理していれば目の水晶体の等価線量を超えることはほとんどない。但し、目の水晶体の等価線量が線量限度を超えていないことを確認する目的で評価することが必要となる。

• ３mm線量当量の測定は、原則として必要なく、目の水晶体の等価線量は、 1cm線量当量または70μm線量当量のうち、適切と判断される方をもって評価値とすることができる。

平成2２年度被ばく統計平成22年度職種別及び男女別平均個人被ばく線量

1.59

0.30

0.75

0.00 0.01

0.27

0.05

0.12

0.59

0.70

0.21

1.38

0.20

0.29

0.01 0.01

0.17

0.05

0.11

0.39

0.480.48

0.00 0.01

0.07

0.19

0.62

0.200.16

0.00

0.060.01

0.44

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

技師

医師

看護師

助手

歯科衛生士

研究員

技術員

工員

教員

その他

全平均

男性

女性

平均

(mSv)

目の水晶体線量（平成22年）平成22年度水晶体線量

136097

29367

12981

2754 1659 863 2260

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

160000

M 0.1<1.0 1.1<5.0 5.1＜10.0 10.1＜20.0 20＜50 50＜

被ばく線量（mSv）

人数 ここから上

がアウト

水晶体線量が年間２０mSv以上の作業者

• 全体は １，０８９名

• 企業は 2名• 非破壊検査は 0名• 研究機関は 4名• 残りは医療機関 1,083/1,089名

法令改正の流れ

文部科学省放射線審議会

諮問

答申

省庁連絡会議

各省庁で法案作成法令改正

水晶体線量の実測例単位：mSv

IVRを担当する医師の水晶体線量を直接測定してみる。

対象者はスポーツタイプの防護メガネ着用者

nanoDotの読取り

使用した線量計

線量換算係数

a Approximate locus of the 98 % isodose contour with respect to the dose in the centre of the phantom.

1,271,331,351,341,341.34111,0 – 3,0N-400

1,271,351,371,371,371.37111,0 – 3,0N-350

1,281,371,401,401,411.41111,0 – 3,0251N-300

1,301,411,451,451,461.46111,0 – 3,0208N-250

1,321,471,511,531,531.53111,0 – 3,0164N-200

1,351,551,621,651,651.66111,0 – 3,0117N-150

1,381,591,681,721,731.74111,0 – 3,0100N-120

1,391,621,731,781,801.81111,0 – 3,083N-100

1,331,591,711,771,791.8111,0 – 3,065N-80

1,171,431,541,601,631.63111,0 – 3,047N-60

0,911,131,221,281,291.29161,0 – 3,033N-40

0,650,890,971,031,041.04201,0 – 3,024N-30

0,490,710,800,860,880.88231,0 – 3,0N-25

0,310,490,580,630,660.66251,0 – 2,016N-20

0,1290,2380,320,380,410.42251,0 – 2,0N-15

0,000990,02130,0610,0980,1220.131251,0 – 2,0N-10

75°60°45°30°15°0°cmm

hpK(3;N,α) in Sv/Gy for angle of incidence ofBeam

diameter

a

Irradiation distance

Effective energ

yRadiation

quality

線量換算係数hpK(3;N,α) in Sv/Gy for angle of incidence a of

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

1.6

1.8

2

0 50 100 150 200 250 300

Energy (keV)

Conversion Factor

hpK(3;N,α) in Sv/Gy for angle ofincidence a of

ICRUからISOへの連絡

測定結果

外4.07 外3.7外3.84 外3.42 外3.22

内1.59 内1.43内1.75 内1.35 内1.23 医師I

外0.01 外0.64外0.90 外0.80 外0.01

内0.01 内0.16内0.34 内0.27 内0.01 医師H

外0.06 外0.71外3.03 外0.88 外0.84

内0.03 内0.29内1.28 内0.38 内0.33 医師G

外0.84 外1.45外1.39 外紛失外0.14 外0.71

内0.40 内0.62内0.67 内0.91 内0.07 内0.27 医師F

外0.48 外1.91外1.85 外2.24 外1.36

内0.20 内0.67内0.64 内0.73 内0.52 医師E

外0.05 外0.06外0.12 外0.05 外0.11 外0.08

内0.05 内0.04内0.05 内0.03 内0.06 内0.03 医師D

外1.66 外1.8外1.71 外1.26 外1.16 外1.43

内0.70 内0.75内0.67 内0.49 内0.45 内0.50 医師C

外0.81 外0.64外0.81 外0.43 外0.25 外0.27

内0.38 内0.36内0.35 内0.41 内0.09 内0.14 医師B

外0.22 外0.18外0.33 外0.63 外0.27 外0.42

内0.11 内0.08内0.13 内0.27 内0.13 内0.15 医師A

2013/2/12013/2/12013/1/12012/12/12012/11/12012/10/1氏名

ゴーグルの内外の割合ゴーグルの内外線量比較

y = 2.4739x + 0.006

R2 = 0.9729

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

2.50

3.00

3.50

4.00

4.50

5.00

0.00 0.50 1.00 1.50 2.00

ゴーグル内線量

ゴーグル外線量

外

線形 (外)

ゴーグル外線量と個人線量計の比較

ゴーグル外線量と個人線量計の比較

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

2.50

3.00

3.50

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

個人線量計の水晶体測定値（mSv）

ゴーグル外の線量（mSv）

ゴーグル外

水晶体実測試験の予定

• 実験の内容について• 更なる測定データの蓄積• 作業内容と測定値の比較分析

まとめ

• 放射線の人体への影響は疫学調査に基づいて求められる。このため変動することがある。

• 水晶体線量の動向• 法令化の動きの把握• 線量計算法の確定、主に換算係数• 実測阻止！

ご清聴ありがとうございました！