DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発の ため...

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DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発の ための予備的検討 誌名 誌名 酪農学園大学紀要. 自然科学編 = Journal of the College of Dairying. Natural science ISSN ISSN 0388001X 著者 著者 伊東, 志野 遠藤, 大二 五十嵐, かほり 巻/号 巻/号 33巻1号 掲載ページ 掲載ページ p. 117-128 発行年月 発行年月 2008年10月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発のための予備的検討

誌名誌名酪農学園大学紀要. 自然科学編 = Journal of the College of Dairying.Natural science

ISSNISSN 0388001X

著者著者伊東, 志野遠藤, 大二五十嵐, かほり

巻/号巻/号 33巻1号

掲載ページ掲載ページ p. 117-128

発行年月発行年月 2008年10月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

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J. Rakuno Gakuen Univ., 33 (1) : 117-128 (2008)

DOP-PCRプライマーを用いた

同時多数配列増幅法開発のための予備的検討

伊東志野川遠藤大二円五十嵐かはり l),鴻巣尚子円伊藤知子lh

池田晴喜円 AbouElmagd M.M.l),平賀武夫1), 寺 岡 宏 樹1)

Preliminary study for the development of multiple-targeted PCR method using

DOP-PCR primer

Shino ITOH, Daiji ENDOH, Kaori IGARASHl, Naoko KOUNOSU, Tomoko ITO, Haruki IKEDA, Abou ELMAGD M.M., Takeo HIRAGA and Hiroki TERAOKA

(Accepted 23 July 2008)

緒 論

遺伝子発現量の変化が疾病のマーカーや原因にな

るということについては,現在ではほぽ常識になっ

たといえる。 1980年代以降は,がん遺伝子の発現量

とがん化が関係したことから,病態と関係して発現

量が変化する遺伝子の検出が盛んにおこなわれるよ

うになった。この遺伝子の探索は,当初,病態の鍵

となる単一の遺伝子の存在を前提として行われた。

その後,遺伝子発現量の分析が進んだ結果,多くの

病態には多数の遺伝子が関与することが認知された

が,依然として,疾病の診断基準および発症機序の

研究のために,病態で変化する遺伝子の同定は現在

でも盛んに行われている。

近年のゲノム解析の進展はめざましく, ミドリフ

グを端緒としてヒトやマウスからゼブラフィッシュ

などの魚類にいたるまで充実したデータベースが公

表された。さらに,これらに続いて多くの動物種の

ゲノム計画も進行し続けている。この莫大な遺伝子

情報をもとに医学や生物学実験において主要な動物

種については業者によるマイクロアレイ ・システム

が供給されており,いまやマイクロアレイ法は一般

的な実験法のーっとなった。 しかし残念ながら商業

的にマイクロアレイシステムが提供されている動物

種は限られている。一方,環境中に生息する多様な

動物種についても多くの研究グループが全く独自

に,あるいは業者受託によるマイクロアレイ・シス

テムを構築する試みも行われてきたが,多くは対象

1) 酪農学園大学獣医学部獣医学科毒性学教室

遺伝子数が数百から一千程度と少なししかもそれ

ぞれの動物種ごとに多額の開発費を必要とする

(N akayama et al., 2006; Moens et al., 2007)。また

マイクロアレイ法自体が例数を考慮した十分な実験

を実施するためには安価とはいえない。さらに致命

的な問題は,開発したマイクロアレイ・システムを

量産して多くの研究者に提供することが事実上不可

能な点である。

マイクロアレイ法が一般的となるずっと以前よ

り,遺伝子の発現量をランダムに比較する解析法と

してディフアレンシャノレ・テ9イスプレイ (differen.

tial display: DD)法が採用されてきた(Lianget al.,

1992: 1993)。これは, 10塩基程度のランダムプライ

マーを用いた半定量 RT.PCR法の一種であり,設備

として通常のサーマルサイクラーだけを必要とす

る。 DD法は蛋白質をコードしない non.coding

RNA(ncRNA)を含めた未知遺伝子配列も検出可能

である。また病理組織切片など cDNA収量が乏しい

試料にも適用できる。これらの利点からむしろマイ

クロアレイ法を凌駕するほど多くの研究が公表され

てきたが,ラ ンダム性が高すぎるため偽陽性が多い

など成績が安定しないことが最大の問題点となって

いる。

一方,Degenerate Oligonucleotide.Primed PCR

法 (DOP.PCR法)は,ゲノム上の新規配列を検出す

る方法として開発された。これは,ゲノム全体にわ

たってきまざまな部位に結合する,短い特異配列領

域(プライム領域)と部分的に縮重配列を有するプ

Department of Toxicology, School of Veterinary Medicine, Rakuno Gakuen University, Ebetsu, Hokkaido, 069-8501, Japan 2) 酪農学園大学獣医学部獣医学科獣医放射線学教室

Department of Veterinary Radiology, School of Veterinary Medicine, Rakuno Gakuen University, Ebetsu, Hokkaido, 069-8501, Japan 日本獣医学会 (Journal of Veterinary Medical Sciences)

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118 伊東 志 野・他

ライマーを用い,低温条件下での一連のアニーリン

グサイクルの後,温度を上昇させることにより,特

異配列領域と引き続〈縮重部分に連結きれたリン

カー領域ごと増幅されるという方法である

(Telenius et al., 1992) 0 DOP-PCR法は種内の系統

や家族関係などの遺伝的多型解析などに用いられる

(Karamysheva et al., 2002)。一種類のプライマー

で多数の配列を検出することができる他,未知配列

も検出可能なため,新たな DNAチップの設計など

にも応用されている (Tsubosaet al., 2005)。

ヒトの遺伝子データベース解析をはじめとして,

mRNA上には多くの反復倒置配列(インパース リ

ピート)が存在することが明かにされている

(Watanabe et al., 2004)。このうちの一部は進化の

歴史におけるレトロウイルス感染の痕跡であるとい

われている。いずれにしてもこれらの反復倒置配列

が適当長であるなどの基本的性質も備えていれば,

単一プライマーとして非特異反応を抑えた理想的な

PCRを行うことが可能となる。本研究では,同時に

多数の遺伝子を増幅させる技術の開発をめざして,

モデノレ動物として注目されるゼプラフィッシュで公

開されている mRNAの塩基配列に基づき,反復倒

置配列の分布について検討した (Teraoka et al.,

2003; Hill et al., 2005)。きらに実際に DOPプライ

マーを試作し,ゼブラフィ ッシュ由来の cDNAを用

いて DOP-PCRを行うことにより, DD法への応用

を視野に入れた同時複数領域増幅法のための基礎情

報を得た。

材料および方法

1. プライマーの設計

予備実験において,塩基配列の異なる motifから

作成きれた二種の DOP-PCRプライマーを混合し

た場合,両側が同ーの motifで増幅されたフラグメ

ン トのみが増幅きれた。二種のプライマーのうち

Tm値が低い方が優先する事例は, 短いプライマー

を用いる場合に報告されている (Rychlik,1993)。

従って,本実験では単一プライマーが選択された。

多種の mRNAを同時に増幅するプライマーを設計

するため,コンビュータ上でmRNAに存在する反

復倒置配列を探索した。遺伝子データとしては, Ze-

brafishの unigeneデータセ ットの うち,ユニーク

な塩基配列が格納された data.uniqデータセ ットを

選択し,計算を実施するための OSとしては, Linux

を,ローカルデータベースとしては, MySQLをそれ

ぞれ用いた。cDNAに関する予備実験で,単一のプ

ライマーによって増幅されるような配列のみが増幅

きれたため, DOP-PCRプライマー用のmotif配列

は, unigene配列内での 5から 20塩基の反復倒置配

列を探索した結果として得られた。このため, -1:1.,

可能な 6塩基 motifをすべて想定した上, GenBank

でゼブラフィ ッシュの mRNA配列として公表され

ている対象 unigeneの 57,454個全例について

(2008年 4月2日公表分),当該 motifの反復倒置配

列が存在するかを検索し,記録した。ここで 6塩

基 motifのレパート リー数は 4,096種であり, プラ

イマーを予測するための計算の実行可能性が十分に

高いことから, motifセットを予測する基本長を 6

塩基とした。この予測の際,相互に相補的な motif

は探索対象から除外した。 6塩基の予測終了後,

motifを伸長した。プログラム上での motifの選択

は,対象塩基配列上のいずれかの場所で相補的な位

置に存在する motifの一方を候補から削除する こ

とにより実施した。この motifの選択方法は, 3'端

が相補的な degenerateプライマーが相互の二重鎖

形成により PCR効率を著しく下げるために有効で‘

ある。unigeneの各レコードの塩基配列について,反

復倒置配列が存在しないかを,候補に挙げられた

motifについて確認した。以上の処理結果色ローカ

ルデータベース上に記録した。

開発した反復倒置配列探索プログラムを Mono

Search RGU ver.1 mRNAと名イ寸けた。これを用い

て, mRNA中に繰返し存在する配列のうち, PCR反

応に適した 100から 1,000bp程度の産物を検出可

能なオリゴマー (6-10塩基)を特異配列領域と し,

その 5'側に 3から 6塩基の縮重配列(9塩 基

NNN, 8塩基 NNNN,7塩基 NNNNN,6塩 基

NNNNNN)と増幅リンカー (CCGAGTGGAG)と

を連結したオリゴヌクレオチドを DOPプライマー

として以下の反応に用いた(図1)。

Degenerate pa同

5'-Cωmω市川ωGA-3'

に一一一y一一一ノ L一一-y一一-.JLinker part for ampflication Specificpa同

図 1 DOP-PCRプライマーの構造

ゼブラフィ ッシュの mRNAデータベース (Unigene)中に繰返し存在する配列のうち 1回の PCR反応で 10程度の産物を検出可能な 6から9塩基を特異配列領域

(Specific part)として算出した。その5'側に 3塩基の縮

重配列 (Degenerate part: NNN) と増幅リ ンカー

(Linker part for ampflication : CCGAGTGGAG)を力日

えた DOPプライマーを作成した。

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2. cDNAの調製

ゼブラフィッシュ Waniorerio) (ロングフィン)

は札幌市内の熱帯魚専門庖(アクアフレンド北水)

より入手した。Westerfieldの方法 (1993)に従い,

明期 14時間,暗期 10時間,水温を 28.5'Cとして雌

雄別に飼育した。

魚類用麻酔剤 (MS222,Sigma)で麻酔後,放血

により安楽死させた雄成魚の腸管と肝勝臓を摘出

し, TRIzol Reagent (Invitrogen)に浸漬後,粉砕

機 (TissueLyser,Qiagen)を用いて完全に ホモジナ

イズした。その後,メーカーの使用説明書に従い,

total RNAを抽出し, GenElute mRN A Miniprep

Kit (Sigma)を用いて mRNAへ精製した。得られ

たmRNAは Oligo(dt) (Sigma)をプライマーとし,

Superscript III RT (Invitrogen)を用いて cDNAを

調製した。予備的な実験においてこのようにして調

製した cDNAを用い,ゲノムだけを標的とするプラ

イマーを作成して PCRを行ったが,増幅産物が認

められないことを確認している。

3. DOP-PCR反応

前項で調製した cDNAの 10倍希釈液 1μLに,

50μMDOPプライマー溶液 2μLとGoTaqGreen

Master Mix (Promega) を用いて 25μLの反応液

を作成した。プライマーには縮重配列が含まれるた

め,一般的な PCRで用いられる 5倍濃度のプライ

マーを用いた。DOPプライマーは特異配列の 6から

10塩基の鎖長ごとにそれぞれ 3から 4種を用いた。

設計した特異配列領域において, GとCを4'c, A

とTを2'cとしてその合計に 5'c加えた温度を初期

アニーリング温度として 8サイクル増幅を行った

( 9塩基 35'C, 8塩基・31'c, 7塩 基 27'C, 6塩基

25'C)。その後アニーリング温度を 60'Cに上げ,リン

カ一部分を含めた 28サイクルの増幅反応を行った

(図 2)0PCR産物は Synergel (バイオクラフ ト)

を添加した 0.5XTBEアガロースゲルを用いて電

気泳動した。それぞれの場合においてアニーリ ング

温度を多少変化させても,電気泳動で確認できる反

応産物に顕著な影響はみられなかった。

4. 塩基配列の決定

使用したプライマーから分子量の異なるそれぞれ

3つのバンドを抽出し, クローニング後,境基配列

を決定した。ゲル抽出産物の精製には QIAquick

Gel Extraction Kit (Qiagen) を, クローニングに

は pGEM-TEasy Vectorsystem (Promega) を用

いた。またトランスフォーメーションでは,コンピ

Specific part for initial PCR 陪action

c:置2・E-ーーー-cコ曹~

函露軍

G

.ij.

cDNA from target mRNA

① Primer binding (Tm + 5'C)

,.......,.ー--"'--② Ampflication01 initial 5 二二., PCR product ~

==---E盤③μA州r町mp州刷n叩耐、市w帆p凶凶f刊附1

PCR pr'ωu附d

匡彊冨翠 W納川erpa同

図 2 DOP-PCR反応の概要

mRNAデータベース (Unigene)を用いて探索した結

果,セ・プラフィ ッシュの mRNA配列上には逆向きの繰

り返し配列が多数存在する。従って,これらの mRNA由

来の cDNAはDOP-PCRプライマーの標的となる 9塩

基の結合部位 (Specificpart for initial PCR reaction : 特異配列)が存在するので, Tm値より 5'c高い温度

(25-35'C)に保持することにより,プライマーの特異配

列領域とハイプリダイズさせた(①)。これを利用して,

熱変性 (94'C) 1 min,アニーリ ング (25-35'C) 1 min,

伸長 (72'C) 3minのPCR反応を 8回繰り返す(②)。

②で増幅した鋳型に対して,さらにリンカー領域も含め

たDOP-PCRプライマー全長に対してハイプリダイズ

する適温Tm値を 60'Cとし,熱変性 (94'C) 1 min,ア

ニーリング (60'C) 1 min,伸長 (72'C) 3 minのPCR

反応を 28回繰り返した(③)。

テントセル(DH5α:フロンティアサイエンス)を使

用した。生育したコロニーを 100ng/mlアンピシリ

ンを含む LB培地で一晩培養し, QIAprep Spin

Miniprep Kit (Qiagen)を用いてプラスミドを抽出

した。精製したプラスミ ドを鋳型とし, pUC/M13

(Forward, Reverse)をプライマーと して蛍光ダイ

ターミネーター ・シークエンシング反応を11"い

(DYNamic ET Terminator, GE Healthcare),反

応産物をキャピラリー型 シーク エ ンサー (ABI310,

Applied Biosystems)を用いて解析した。塩基配列

を決定した PCR産物は, GenBankで BLAST検索

を行い,対応する mRNAの配列名やプライマーの

特異領域の配列について解析した。

成 績

1. ゼブラフィッシュmRNAにおける反復倒置配

列の介布

各 unigeneの塩基配列がランダムであった場合

に,平均鎖長 1.322塩基上に特定の 6塩基の反復倒

置配列が存在する可能性は,特定の 2種の 6塩基の

配列が 1,322塩基中にそれぞれ一回以上存在する可

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能性と等しくなると予想される。特定の 6塩基は,

4,096回に一回の割合で出現するため,塩基配列上

の特定の位置で特定の 6塩基が出現する確率は, 1/

4,096=0.000244となる。この確率は十分に小さい

ため, λ=塩基配列長×出現確率とした場合のポア

ソン分布で一定の塩基配列上での特定の 6塩基配列

の出現回数と確率を算出することができる。

unigeneの平均塩基長が 1,322として, λ=l,322X

0.000244=0.322であり,出現回数がO回の場合は,

e一λ=0.724,出現回数が 1回の場合は, (e一λ×

λ)=0.233となる。したがって, 1,322塩基の

unigene中に二回以上特定の塩基配列が出現する確

率は, (1一(0.724+0.233))=0.0422となる。これら

のうち,半数について motifの方向の組み合わせが

PCRの起きない向きになることが予想されるので,

特定の反復倒置配列についての単ーの unigene上

での出現確率は, 0.0422/2=0.021と算出される。

motifはが=4,096通り存在するため,上記と同様,

ポアソン分布を用いて,全ての motifについて 1個

以上の増幅可能な反復倒置配列が出現する可能性

は, 1.000となる。同様に, 5-20塩基の motifにつ

いて出現確率を算出したところ表 1のような結果と

なった。

今回開発した反復倒置配列探索プログラム

(Mono Search RGU ver.1 mRNA)を用いて計算

した,ゼブラフィ ッシュで公表されている全

unigeneに相当する 57,454件について反復倒置配

列の検出数と motifの塩基数の関係を表 2に示す。

motifが 5および6塩基では,反復倒置配列がほぼ

すべてといえる 97%以上の遺伝子に存在すること

が示唆された。さらに反復倒置配列で増幅が期待さ

れる mRNAの割合は 7から 10塩基まで塩基数が

増加するに従って減少するが,その後はほぽ横ばい

となった。一方,motifをプライマーとした時に増幅

される遺伝子の平均数は 5塩基から 9塩基まで急激

に減少し 6塩基の時には 3,000を超えていたのに

対して, 7塩基では 369.5,9塩基にいたっては 8.1

となった。 しかし,標的塩基配列がランダムとして

計算した場合(表1)に比べて,塩基数の増加に伴

う標的数の期待値の低下は明らかに鈍かった。

2. DOP-PCRによる反応産物の解析

6-9塩基の特異配列領域を持つ DOPプライマー

を数種類試作し,雄ゼブラフィッシュ成魚の内臓か

ら調製した cDNAを用いて DOP-PCRを千子った。

前述のように, DOPプライマーをペアで PCRを

行った場合でも,産物は片方のプライマー由来であ

る例が多数認められた。そこで,以下の実験ではモ

ノプライマーとして DOPプライマーを用いた。初

期のアニーリング温度は,特異配列領域の塩基配列

から計算した Tm値よりも 5'cほど高い, 25'C (6

塩基)から 35'C(9塩基)でほぼ全例で 1つのプラ

イマーにつき 100-1,000bp程度の明瞭なノ〈ンドが

5-19本得られた (図 3)。別々に DOP-PCR反応を

実施した場合でも,同じプライマーを用いてはぽ完

全に同ーの電気泳動ノマターンを確認できた(図 3)。

低分子のものから高分子のものまで幅広く解析す

るため, 一つのプライマーにつき 100,300, 1,000 bp

程度の 3バンドずつを抽出し,クローニングが成功

した PCR産物について塩基配列を決定した(表 3

表 1 ランダムな塩基配列上に反復倒置配列が存在する可能性

特定の motif 特定の motif 特定の motif 増幅可能な特定 増幅可能な反復motifの溢

パターン数一特塩定基のあたりtのif が1322塩基上 が1322塩基上 が1322溢基上 の反復倒置配列 倒置配列が 予想される増幅

基配列長 の出現率mo に一度も存在し に一度存在する に2度以上存在 が1322塩基上 mRNA上に存 mRNA数ない確率 確率 する確率 に存在する確率在する確率

1024 9.766E-04 0.275 0.355 0.370 0.185 l.000 57454

4096 2.441E-04 0.724 0.234 0.042 0.021 l.000 57454

16384 6.l04E-05 0.922 0.074 3.085E-03 l.543E-03 l.000 57454

65536 l.526E-05 0.980 0.020 2.007E-04 l.004E-04 0.999 57374.122

262144 3.815E-06 0.995 5.018E-03 l. 267E-05 6.337E-06 0.810 46542.132

10 1048576 9.537E-07 0.999 l. 259E-03 7.94IE-07 3.970E-07 0.341 19565.249

11 4194304 2.384E-07 l.000 3.151E-04 4.966E-08 2.483E-08 0.099 5682.675

12 16777216 5. 960E-08 l.000 7.879E-05 3.104E-09 l.552E-09 0.026 1476.855

13 67108864 l.490E-08 l.000 l. 970E-05 l.940E-I0 9.701E-1l 6.489E-03 372.842

14 268435456 3.725E-09 l.000 4.925E-06 l.213E-1l 6.063E-12 l.626E-03 93.439

15 1073741824 9.313E-I0 l.000 l. 231E-06 7.579E-13 3.790E-13 4.069E-04 23.378

16 4294967296 2.328E-I0 l.000 3.078E-07 4.730E-14 2.365E-14 l.016E-04 5.835

17 17179869184 5.82IE-1l l.000 7. 695E-08 2.887E-15 l. 443E-15 2.480E-05 l.425

18 68719476736 l.455E-1l l.000 l. 924E-08 0.000 0.000 0.000 0.000

19 2. 74878E + 11 3.638E-12 l.000 4.809E-09 0.900 0.000 0.000 0.000

2 l. 09951 E + 12 9. 095E-13 l. 000 l. 202E-09 0.000 0.000 0.000 0.000

GenBank (2008/4/2公表)によるゼブラフィ ッシュ(D即日O 開 rio)全ユニーク Unigene数 57,454を対象として算出した。mRNAの平均鎖長は1,322であった。

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Basic properties of DOP-PCR 121

表 2 ゼブラフ ィッシュmRNAにおける反復倒置配列の検出数と motifの塩基数の関係

motifの配列をもっ反全遺伝子中の反復倒置

motifをプライマーと 反復倒置配列の存在が

motifの長さ 復倒置配列が存在した した時に増幅される遺 mRNAに予測された

遺伝子数配列で増幅される確率

伝子の平均数 motifの数

5 57,367 0.998 15.545.8 559

6 55,735 0.970 2,975.4 1,813

7 52,902 0.921 369.5 8,079

8 45,722 0.796 38.5 28.744

9 34,478 0.600 8.1 38,338

10 2l. 412 0.373 5.0 8,888

11 7,816 0.136 5.8 1,639

12 2,186 3.805E-02 6.2 713

13 1,149 2.000E-02 6.0 451

14 725 1.262E-02 5.9 294

15 486 8.459E-03 5.5 207

16 332 5.779E-03 5.4 140

17 249 4.334E-03 5.1 102

18 171 2.976E-03 4.7 74

19 131 2.280E-03 4.6 53

20 98 1.706E-03 4.7 32

GenBank (2008/4/2公表)によ るゼブラフィッシュ (Daniorerio)全ユニークUnigene数 57,454を対象として算出した。

一旦壬1 M m6ょ2 M m6.3

図 3 DOP-PCR反応産物の電気泳動の例

特異配列を 6塩基とする DOPプライマー (Zebra_

dop_m6_1, 6_2, 6_3: m6.l, m6.2, m6.3)を用いてゼブラ

フィッシュ肝勝臓由来の cDNAを鋳型に DOP-PCR反

応を行った。それぞれのプライマーにつき,同じ cDNA

を別々のチューブで反応させた。Mは100bpラダーの分

子量マーカ一。

-6)。多くの例で,単一のバンドから複数の増幅産

物が認められた。得られた PCR産物の塩基配列を

GenBanl王の BLAST検索で解析したところ,ゲノ

ムからの予想配列も含めて多く がゼブラフィ ッシュ

で既に報告されている mRNAと一致した。決定配

列とデータベースの対応配列とを比較したところ,

9塩基では完全な 9塩基配列が前後プライマーとも

確認できたのは 21例中 1例だけであったが,さらに

短い motifでは一致している配列の割合が増加し,

7および6塩基では 35%前後にまで到達した。きら

にプライマーを片側ずつでカウントした場合,完全

に一致している割合もやはり motifが短いほど高

<. 6および 7塩基では約 60%であった。配列が一

部異なっていた場合でも,ほぼすべての例で特異配

列が確認でき,欠失しているのは比較的 5'側の配列

に偏っていた。ごく希に余計な塩基が挿入している

例もみられた。motifはほとんどがコード領域に含

まれていた。一方, GenBankや Ensemblなどのデー

タベースに収載された遺伝子配列と高い相向性を示

すが,全長が全く異なる配列がいくつか観察された。

アライメント解析に より,プライマーの存在する両

端はほぼ完全に一致していたが,中央部分が欠失あ

るいは挿入されていた。

考 察

今回,我々が独自に開発したコンビューター・プ

ログラムを用いて,ゼブラフィ ッシュの mRNA

データベースを解析したところ,タンパク質をコー

ドする mRNA(狭義の遺伝子)中には互いに逆向き

の繰り返し配列が多数存在することが明らかとなっ

た。Motifをプライマーとして使用した際の増幅遺

伝子数の平均値を各 motifについて合わせて算出

したところ, 6-9塩基でほとんどすべての遺伝子

で反復倒置配列が存在する。一方, motifをプライ

マーとしたときの予想される増幅 mRNA数は 5

塩基から 9塩基まで塩基配列の伸長とともに急速に

減少し 9塩基では 1個以下となった。 9塩基以下

Page 7: DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発の ため ...DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発の ための予備的検討 誌名

表3

特異

配列

部位

が9塩

基の

プライ

マー

を用

いたDOP-PCR産

物H

Ph4:3

プラ

イマ

ー/配列

バン

ド増幅産物

Forw

ardprimer

Reverse primer

Genbank上

でホ

モロ

ジー

を示

す配列

名備考

(bp)

(bp)

位部

Zebra_doPJ

Tl 9_5_7

250

190 (546) T

CAGAGACC

GCAGAGACC

PREDICTED: Danio rerio hypothetical protein LOC100001727 (L 配

100001727),mRNA

ノぐリアン

トの

可能性

CCAGAGACC

410

382

GCAAAGACC

CTGGTGACC

Danio rerio serine hydroxymethyltransferase 1

(soluble), mRNA

384

ACAGAGACC

CCAGGGACC

PREDICTED: Danio

re巾similarto Protein tyrosine phosphatase,

rl悶ptortype, B ι民

569646),mRNA

600

546

TCAGAGACC

GCAGAGACC

PREDICTED: Danio rerio hypothetical protein LOC100001727

(LOC100001727), mRNA

Zebra_dop_m 9_5_14

380

348

CAGCCAAAG

CCAACAAAG

Danio rerio fibrinogen alpha chain

, mRNA

GCCCCAAAG

344

GCCCTAAAG

CCCCCAAAG

PREDICTED: Danio rerio hypothetical LOC557842

(LOC557842)

, mRNA

460

430

TCCACAAAG

CTCCCAAAG

PREDICTED: Danio rerio similar to

Ddx5

protein (LOC794482),

mRNA

770

726

GCCCACAAAG

GCCCCAAAG

Danio rerio X-box-binding protein 1A (xbp1a) mRNA

F:

一塩

基挿

ヨ話Zebra_dop_mono_16

460

444

CTCCTCCAG

CTCCTCCAG

PREDICTED:

Danio rerio similar to SORD protein (LOC570613), mRNA

知l

CTCCTCCAG

520

554

GTCCTCCAG

CTCCTCCAG

Danio

rerio mitωlondrial ri初

旬mal

protein 印

刷'P137),nuclear

gl間

町odingmitochondrial

protein,

rnRN A

C1十

534

CTCCCCCAG

CTCCTCCAG

Danio rerio zgc:

171680 (zgc:

171680),

mRNA

E事 E主Zebra_dρp_mono_17

210

207

GGTTTGGGA

GCGTTGGGA

Danio rerio ADP-ribosylation factor 11ike, mRNA

GGGTTGGGA

195

GTCTTGGGA

GGGCTGGGA

Danio rerio zgc:

91872 (zgc: 91872)

, mRNA

600

372

TGGATGGGA

GAGTTGGGA PREDICTED: Danio rerio similar to LOC528919 protein (LOC100005286)

, mRNA

578

GTGTTCGGA

GTGTTGGGA Dar甘orerio purinergic receptor P2X

, ligand-gated ion

channel,

4a, mRNA

585

CACTTGGGA

TGGTTGGGA Danio rerio heat shock protein 8

(hspa8),

mRNA

700

556

GGGCTGGGA

GTGTCGGGA

Danio reriρspinster homolog

1 (Drosophila), -mRN A

708

TAGTTGGGA

GTGTTGGGA

Danio rerio cth1

, mRNA

673

ATGTTGGGA GGGITTGGGA PREDICTED:

Danio rerio similar to

stabilin 1

precursor

(LOC570626)

, mRNA

R:

一塩

基挿

641

TGTCTGGGA

GGTTTGGGC

PREDICTED:

Danio rerio hypothetical protein LOC793869 (LOC793869)

, mRNA

Primer

部位

の塩

基配列

における下線は使用したDOPプライマーと一致しな

い箇

所を

示して

いる

。Genbank

のBlast検

索でホモ

ロジーを示した配列名におけるPREDICTED

とはゲノム配列から予想される

mRNA (cDNA)配列を表す

。備考におけるFおよびRはForward,Reverseプライマ一部位を示

す。

電気泳動上のバンドは縮重部分と

リンカ一部分の

26bp

を含んでいるが,表記の増幅産物には含めていな

い。備考におけるF,RはそれぞれForward

およびReverse

プライ

7ーを

指す。

Page 8: DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発の ため ...DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発の ための予備的検討 誌名

表4

特異

配列

部位

が8塩

基の

プラ

イマ

ーを

用い

たDOP-PCR産

プラ

イマ

ー/配

列バ

ンド

増幅産物

Forw

ardprimer

Reverse primer

Genbank上

でホ

モロ

ジー

を示

す配

列名

備考

(bp)

(bp)

部位

部位

Zebra_dop_m 8_1

250

231

CCAACTCT

CCAATCCT

Danio rerio zgc: 73262 (zgc: 73262)

, mRN A

CCAACCCT

Zebra_dop_m 8_3

350

320

CACAACCC

CCCAACCC

PREDICTED:

Danio rerio similar to chromatin remodeling factor

CHROMl (L

配572355),mRNA

CCCAACCC

550

528

TACAACCC

CCCCACCC

Danio rerio influenza virus NS1A binding protein a

, mRNA

830

816

TACAACCC

CCCCACCC

Danio rerio influenza virus NS1A binding protein a

, mRNA

806

CCCCACCC

CCCAACCC

Danio rerio SET translocation (myeloid leukemia-associated) B

(setb)

, mRNA

Zebra_doPJII 8_4

200

153

CTGCAGGG

CTGGAGGG

Danio rerio fumarylacetoacetate hydrolase (fumarylacetoacetase), mRNA

CTGGAGGG

400

374

CTGGAGGG

CTGGAGGG

PREDICTED:

Danio rerio similar to

phospho!ipase D

(LOC 556641)

, mRNA

530

507

CTGGAGAG

ATGGAGGG

Danio rerio betaine-homocysteine methyltransferase

, mRNA

513

CTGGAGGG

ATGGAGGG

PREDICTED:

Danio rerio si:

ch211-45m15.2

(si:

ch211-45m15.2),

mRNA

Zebra_dop_m

8_7

250

218

CAGAGACC

CACAGACC

Danio rerio zgc: 100912 (zgc: 100912),

mRNA

CAGAGACC

191 (546) CAGAGACC

CAGAGACC

Danio rerio hypothetical protein LOC100001727, mRNA

バリア

ントの

可能性

白Ur回、2

227

CAGAGACC

CAGAGACA

Danio rerio MHC class II-associated invariant chain mRNA

410

383

CAAAGACC

TGGTGACC

Danio rerio serine hydroxymethyltransferase 1 (soluble)

, mRNA

356

CAGAGACC

CAGACACC

PREDICTED: Danio rerio hypothetical LOC562329 (LOC562329), mRNA

600

546

CAGAGACC

CAGAGACC

Danio rerio hypothetical protein LOC100001727, mRNA

g, Zebra_dop_m 8_9

310

286

ACGAGGGA

AGGAGGAA

Danio rerio heat shock protein 90kDa alpha (cytoso!ic), class B member 1, mRNA

g

gGAGGGA

550

240

GGGAGGCA

TGGAGGGA

Da凶orerio zgc:

55941,

rnRNA (cDNA cIone MGC: 55941 IMAGE:

3819282)

, complete cds

Zebra_dop_m 8_10

300

286

CTCAGAGA

GCCAGAGA

Danio rerio chaperonin containing TCP1,

subunit 5 (epsilon) (cct5)

, mRNA

r'pてo可コ

CCCAGAGA

250

TCCAGAGA

CACAGAGA

Danio rerio guanine nucIeotide binding protein (G protein), beta polypeptide

2-like 1,

mRNA

282

CCCAGAGA

ACCAGAGA

Danio rerio zgc: 92744 (zgc: 92744)

, mRNA

520

455

TCCAGAGA

TCCAGAGA

Danio rerio fms-related tyrosine kinase 4

(臼t4)

,mRNA

481

ACCAGAGA

GCCAGAGA

Da凶orerio sestrin 1 (sesnl) mRNA

610

561

AACAGAGA

CCCAGAGA

PREDICTED:

Danio rerio hypothetical LOC565164 (LOC565164)

, mRNA

582

ACCAGAGA

CCCACAGA

Danio rerio EFR3 homolog A

(S.

cerevisiae) (efr3a), mRN A

628

GCCAGAGA

CACAGAGA

Danio rerio succinate-CoA ligase

, ADP-forming, beta subunit (sucla2), mRNA

Zebra_dop_m 8_14

380

343

CCCCAAAG

CCCTAAAG

PREDICTED:

Danio rerio hypothetical LOC557842 (LOC557842), mRNA

CCCCAAAG

460

430

CCACAAAG

TCCCAAAG

PREDICTED:

Danio rerio similar to

Ddx5

protein (LOC794482), mRNA

900

900

CCCCAAAG

CCCCAAAG

Danio rerio zgc:

101764

, mRNA

Zebra_doPJII 8_16

330

305

TCCTCAAG

GCCTCCAG

PREDICTED:

Danio rerio zgc:

113234 (zgc: 113234), mRNA

TCCTCCAG

Primer

部位

の塩

基配列

にお

ける下線

は使用

したDOPプライ

7ーと

一致しない

箇所

を示

している

。Genbank

のBlast検

索でホモ

ロジー

を示した配列

名に

おけ

るPREDICTED

とは

ゲノ

ム配列

から予想さ

れる

mRNA (cDNA)配列

を表

す。備

考におけるFお

よびRはForward,Reverse

プライマ一

部位

を示

す。

電気泳動上のバン

ドは縮重

部分と

リンカ一部分の28bp

を含んでいるが,

表記の

増幅

産物

には含

めてい

-b巳A。a

い。一

部の

増幅産

物にお

ける括弧内

の数値

は比較に使

用したGenbank

で登録

したmRNAの対応

する鎖長を示す

Page 9: DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発の ため ...DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発の ための予備的検討 誌名

表5

特異

配列

部位

が7mer

のプ

ライ

マー

を用

いた

DOP-PCR産

物H

b4h

O

プラ

イマ

ー/

配列

バン

ド増

幅産

物Forwardprimer

Reverse primer

Genbank上

でホ

モロ

ジー

を示

す配列

名備

考(bp)

(bp)

部位

部位

ZebrLdop_m 7_3

350

317

ACAACCC

CCAACCC

PREDICTED: Danio rerio similar to chromatin remodeling factor CHROMl (L配572355),mRNA

CCAACCC

510

397

CCAATCC

CCAACCC

Danio rerio aldolase b

, fructose-bisphosphate (aldob), mRNA

Zebra_dop_m

7_4

110

75

TGGAGGG

TGGAGGG

Danio rerio profilin 2

, mRNA

TGGAGGG

400

312

TGGAGGG

TGGAGGG

Danio rerio DEAD (Asp-Glu-Ala-Asp) box polypeptide 5

, mRNA

292

TGGAGGG

TGGAGGG

PREDICTED: Danio rerio im: 7140067 (im: 7140067)

, mRNA

366

TGAAGGG

TGGAGGG

PREDICTED: Danio rerio similar to Cp protein (LOCI00008514), partial mRNA

500

477

TGGAGGG

TGGTGGG

Danio rerio zgc:55941, mRNA

Zebra_dop_m 7_7

300

270

ACAGACC

TGAGACC

Danio rerio adaptor-related protein complex 1 ,

gamma 1

subunit (aplgl), mRNA

AGAGACC

育指

246

AGAGACC

AGCGACC

Danio rerio poly A

binding protein, cytoplasmic 1

a (pabpcla), mRNA

淘l

400

373

AGAGACC

AGAGACC

PREDICTED: Danio rerio similar to Proline-rich nuclear r

悶ptorcoactivator 2

(1庇565522),mRN A

C1十 主事

600

446

AGAGACC

AGGGACC

PREDICTED: Danio rerio similar to asialoglycoprotein receptor (LOC795698), mRNA

言主

580

AGAGACC

CGAGACC

Danio rerio basic helix-loop-helix domain containing

, class 8, 2,

mRNA

540

AGAGACC

AGAGACC

Danio rerio si:

zfos-47cl2

.l (si: zfos-47cl2

.l), mRNA

472

AGAGACC

ACAGACC

PREDICTED: Danio rerio similar to Prtl homolog (LOC796380), mRNA

Primer

部位

の猛基配列における下線は使

用し

たDOPプライマーと

一致しない箇所を示している。GenbankのBlast検

索でホモロジーを示した配列名

にお

ける

PREDICTED

とは

ゲノム配列から予

想される

mRNA

(cDNA)配列を

表す

。備考におけるFおよ

びRはForward,Reverseプライ

7一

部位

を示

す。

電気

泳動

上の

バン

ドは

縮重

部分

とリンカ一部分の30bp

を含んで干いるが,

表記

の増

幅産

物に

は含

めて

いな

い。

Page 10: DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発の ため ...DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発の ための予備的検討 誌名

表B

特異

配列

部位

が6merの

プラ

イマ

ーを

用い

たDOP-PCR産

プラ

イマ

ー/配

列バ

ンド

増幅

産物

Forwardprimer

Reverse

primer

Genbank上

でホ

モロ

ジー

を示

す配

列名

備考

(bp)

(bp)

部位

部位

Zebra dop_m 6_1

200

142

AACCCT

AACCCT

Danio rerio zgc:64161 (zgc:64161),

mRNA

AACCCT

143

AACCCT

ATCCCT

Danio rerio ribosomal protein L27 (rpI27), mRNA

550

518

AACCCT

AACCCT

PREDlCTED: Danio

rerio similar to Platelet.activating

factor

acetylhydrol

統,1回forrnlb, gamma subunit,

mRNA

520

AACCCT

AACCCT

Danio rerio elongation factor 1-alpha (efla)

, mRNA

529

AACCCT

AACCCT

Danio rerio nucleoporin 50 (nup50),

mRN A

481 (637)

AACTCT

AACACT

Danio rerio transaldolase 1

(taldo1)

, mRNA

バリ

アン

トの

可能性

Zebra dop_m 6_2

300

281

ACCCTG

CCCCTG

Danio rerio zgc: 154138

, mRNA

ACCCTG

400

363

CCCCTG

CCCCTG

Da凶

orerio zgc:

55406 (zgc: 55406)

, mRNA

ur 切白、,

Zebra dop_m 6_3

350

316

CTACCC

CAACCC

Danio rerio zf

FL]13291

mRNA for FL]13291 homolog

, complete cds

CAACCC

550

504

CAACCC

CCACCC

PREDlCTED: Danio rerio

sinnilar to PERQ amino acid rich wi出

GYFdomain protein 1

, mRNA

523

CAATCC

CAATCC

Danio rerio lon

peptidase 2,

peroxisomal (lonp2), mRNA

。~

473

CAACCC

CAGCCC

Danio rerio chaperonin containing TCP1,

subunit 6A (zeta 1), mRNA

g

539

CAACCC

CAATCC

Danio rerio elongation factor 1-alpha (efla)

, mRNA

FFpU o

3

537

CCGCCC

AAACCC

Danio rerio zgc:

154138

, mRNA

546

CAACCC

CAACCC

Danio rerio influenza virus NS1A binding protein a

, mRNA

Zebra do

p_m 6_4

200+

190

GGAGGG

GCAGGG

Danio rerio eukaryotic translation elongation factor 1

alpha

1 (EEF1A1) m

RNA

GGAGGG

220

TGAGGG

GGAGGG

Danio rerio ribosomal protein S9

, mRNA

500

481

GGAGGG

GGAGGG

Danio

rerio

solute

carrier fannily 25

(凶tochondrialca而er;phosphate carrier), member 3, mRN

A

468

GGAGGG

GGAGGG

Danio rerio zgc:

92275 (zgc:

92275)

, mRNA

Zebra dopJTI 6_7

200

182

GAGACC

GGGACC

PREDlCTED: Danio rerio hypothetical LOC568972

, transcript variant 1

(LO臼

68972),mRNA

GAGACC

400

360

GAGACC

GAGACC

Danio rerio eukaryotic translation initiation factor 3

, subunit E, a (eif3ea)

, mRNA

Primer

部位の塩基配列における下線は使

用した

DOPプライ

7ーと

一致しない箇所を示している

。Genbankの

Blast検

索で

ホモ

ロジ

ーを

示し

た配

列名

にお

ける

PREDICTED

とはゲノム配列から予想される

mRNA (cDNA)配列を

表す。

備考における

FおよびRはForward,Reverseプライマ一部位を示す

。電気泳動上のバンドは縮重部分とリンカ一部分の

32bp

を含んでいるが,表記の増幅産物には含めていな

H

R巳QI司

い。

一部の増幅産物における括弧

内の数値

は比較に使

用した

Genbankで登録した

mRNAの対応する鎖長を示す。

Page 11: DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発の ため ...DOP-PCRプライマーを用いた同時多数配列増幅法開発の ための予備的検討 誌名

126 伊東志野・他

の場合については mRNA上には,ランダムな配列

からの予想、よりも少ない反復倒置配列が存在し, 10

塩基以上の場合には,ランダムな配列からの予想、を

上回る数の反復倒置配列が存在することが示唆され

た。これらの確率の差は, mRNA自体が持っている

配列の偏向性に起因すると考えられる。

実際に設計した DOPプライマーを用いてゼブラ

フィッシュ肝豚臓から調製した cDNAについて

DOP-PCRを行った結果,明瞭な複数のバンドを高

い再現性で得ることができた。しかし単一のバンド

と認識されても複数の増幅産物を検出する例が多数

認められた。従って,ポリアクリルアミドゲルを用

いるなど,電気泳動法にも改善の余地が考えられた。

さらに PCR産物におけるプライマーの特異領域と

GenBankで対応すると考えられた相同配列の保存

性を指標とした場合,特異配列の鎖長が短いほど正

確性が高まる傾向が認められた。我々が開発したプ

ログラムの計算結果によれば,特異配列が9塩基で

ある場合に比べて 8塩基では標的遺伝指数の平均

が約 5倍に増加することが予想、された。 7塩基では

8塩基のさらに 10倍, 6塩基では7塩基の約 8倍増

加する。さらに 6境基ではそれぞれの DOPプライ

マー増幅標的の平均値が3,000近くになり,バンド

の重複が起きすぎると考えられた。しかし,実際に

は電気泳動で確認できるバンドの数は計算値に追従

して増加しなかった。逆に長い motifでは予想以上

に多いバンドが得られた。現状ではこの現象を説明

する十分な実験根拠を示すことはできないが,一つ

の説明として,標的となりうる mRNAの発現比率

にバリエーションがあるために,比較的大量に発現

している組合せが選択的に増幅された可能性があ

る。また逆に特異配列が長い場合,一つのプライマー

で得られた PCR産物の数は,多くの場合プログラ

ム上で予測された数よりも多かったが,これは特異

配列領域の 5'領域の数塩基が欠失したり,中抜けが

起きるためと考えられた。このような反応の原因の

ーっとして初期のアニーリ ング温度が低いことが考

えられたが,特異領域を 10塩基に延長して,初期ア

ニーリング温度を上げても,非特異反応、が減ること

はなしむしろ中抜けの出現率が顕著に増加した(伊

東,五十嵐,遠藤,寺岡:未公表データ)。非特異反

応が起こる原因は明らかではないが,特異領域の塩

基数が短い場合,初期反応におけるプライミングが

作動するには高いマッチングが必要で、あるのに対し

て,塩基数が長い場合はある程度のゆらぎを許容で

きるためと想像された。いずれにしても特異配列が

より短い 6から 7塩基程度の DOPプライマーを用

いることができれば,ハウスキーピング遺伝子をは

ずすなど対象遺伝子を選択できる可能性が広がる。

以上の PCR産物におけるプライマー配列の 5'末端

や中央部が抜ける性質を考慮し,きらに正確な計算

プログラムを開発している。

今回の限られた種類の DOPプライマーを用いて

得られた PCR産物の解析結果において, GenBank

や Ensemblなどのデータベースに収載された遺伝

子配列と高い相向性を示すが,全長が全く異なる配

列がいくつか観察された。アライメント解析により,

プライマーの存在する両端はほぼ完全に一致してい

たが,中央部分が欠失あるいは挿入されていた。遺

伝子データベースと PCR産物で鎖長が異なるのは

ゲノム配列からの予想転写産物で非常に高確率で

あったことから,実際に存在している mRNAと予

想が異なっていたと考えられる。またこれまで同定

されていないトランスクリプトソーム産物(スプラ

イスバリアント)である可能性も高い。ヒトのゲノ

ム解析およびトランスクリプトーム解析により,蛋

白をコードする遺伝子数は従来想像されていたより

も非常に少なし存在が推定される蛋白の約 1/10で

あった (Carninciet al., 2005)。従って,今回開発

された DOP-PCR法は mRNAの半網羅的解析や選

択的スプライシングによる多くのトランスクリプ

トーム解析を行う目的でも有効な方法であることが

示唆された。

以上のことから,今回の DOP-PCR法は最初のプ

ライミング反応において多少のゆらぎが起こるもの

の,その後のリンカーを含めた増幅反応により高い

再現性を持つ安定した PCRを実現したと結論でき

る。DD法におけるラ ンダムプライマーを用いた従

来の重複増幅反応は対象が全く不明なランダム性の

高い方法であるが,我々の DOP-PCR法は標的指向

性が高いといえる。また, motifが 6および7塩基で

は正確性がほぼ変わらないので,ランダム性を高め

て網羅的な解析を行う場合は 6塩基を,より標的を

絞る場合は 7塩基を選択することも可能で、ある。今

回成績には示さなかったが,ゼブラフィ ッシュの

unigeneをもとに設計した DOPプライマーを用い

て,メダカや他の多くの魚種で再現性の高い PCR

産物が得られることを確認している(五十嵐,寺岡,

遠藤)。このことは遺伝子データが得られていない動

物種においても他種の遺伝子データを用いて DOP-

PCRを実施することが可能であることを示してい

る。反復倒置配列は魚類ではむしろ少なしヒトの

方が多いと考えられている (Watanabeet al., 2004;

Kasahara et al., 2007)。今後は unigeneが公表きれ

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Basic properties of DOP.PCR 127

ているほ乳類や鳥類の情報をもとに,さらに共通性

を高めたプライマーを作成し,完成度の高い遺伝子

発現解析系を確立することが期待される。

謝辞

本研究は酪農学園大学共同研究 (2006-7HT,

2007-3 DE),私立学校振興・共済事業団学術研究振

興資金(HT),学術振興会科学研究費補助金(HT),

秋山記念財団 (HT)の助成を受けた。

要約

本研究では,同時に多数の遺伝子を増幅させる技

術の開発をめざして,モデル動物として注目される

ゼブラフィ ッシュで公開されている mRNAの塩基

配列に基づき,反復倒置配列の分布について検討し

た。その結果,ほとんどの遺伝子で6塩基の反復倒

置配列が存在し 7および8塩基でも 8割以上で認

められた。この反復倒置配列を特異配列領域とし,

縮重配列とリンカー配列を結合させた DOPプライ

マーを試作し,ゼブラフィ ッシュ由来の cDNAを用

いて DOP.PCRを行って電気泳動を行った。その結

果,複数のバンドが高い再現性で得られた。公開さ

れている遺伝子情報における配列とプライマーの特

異配列部分を比較したところ, 一致率は特異配列の

塩基数の減少に伴い増加した。以上の成績は今回開

発した DOP-PCR法は遺伝子発現をある程度の標

的指向性を備えた大規模解析法として有用であるこ

とを示唆している。

Abstract

In the present study, distribution of inverse

repeat sequence in zebrafish mRN A was inves-

tigated to establish the multi-target PCR analysis

with PCR with degenerate oligonucleotid primer

(DOP-PCR) using our developed computer pro-

gram. Inverse repeat motif was recognized in

almost all mRNAs for 6mer and in 80% or more

mRNAs for 7 or 8mer. Degenerate oligonu-

cleotide primer was prepared by connecting a

several degenerate sequences and linker sequence

to 5' end of the inverse repeat motif selected.

Using these primers, almost the same gel electro-

phoresis pattern with multiple clear bands was

reproducibly obtained in agarose gel electrophor-

esis of the DOP噌PCRproducts. DOP-PCR using

shorter motif showed relatively higher mathicng

score by comparison of nucleotide sequence for

inverse repeat motif (6mer to 9mer) between our

sequencing results and GenBank data already

registered. These results suggest the possible

usefulness of our developed DOP-PCR method for

large-scale analysis of gene expression.

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