De Swart (1998) を読む - ResearchGate · 23 De Swart( 1998) 3を読む (5) a. Mary...

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    De Swart (1998) を読む—スペイン語pretérito perfecto simpleへの応用から見えてくるもの—

    Article · October 2016

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    1 author:

    Some of the authors of this publication are also working on these related projects:

    A contrastive study on the tempo-aspectual systems in the Romance languages View project

    A contrastive study of tense, aspect, modality and evidentiality in the Romance languages View project

    Hiromi Yamamura

    Kyushu University

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    Studies in Languages and Cultures, No. 37

    De Swart (1998) を読む―�スペイン語 pretérito perfecto simple への応用から見えてくるもの�―*

    山 村 ひろみ

    1.はじめに

    最近、テンス・アスペクトの分野では De Swart(1998)を引用した研究を目にすることが多い。それは De Swart (1998)が、様々な言語のテンス・アスペクトに見られる予想外の現象をうまく説明することのできる coercion (「強制」)という説明概念を提示したことに因ると思われる。しかし、De Swart (1998)が提唱する coercion という概念がどのような背景から生まれたものなのか、また、それがどの程度の有効性を持つものなのかを検討した研究はまだ少ない。そこで、本稿は De Swart

    (1998)の概要を紹介し、それが提案した coercion という概念の妥当性をスペイン語の pretérito perfecto simple への応用を通して検証していくことを目指す。

    2.De Swart(1998)の概要

    本節では De Swart (1998)の概要を示す。まず、De Swart (1998) はそのタイトル “Aspect shift and coercion” が示すように、aspect shift の問題を Kamp and Reyle (1993) が提唱した Discourse Representation Theory (DRT)の枠組みで解明しようとしたものであることを確認しておきたい。aspect shift(以下、アスペクト交替)とは各事態�1�が持つアスペクトのタイプが何らかの要因によって別のタイプに変更されることを指すが、以下ではこのアスペクト交替という現象に対する De Swart

    (1998)の観察と分析を章ごとに見ていく。

    2.1.Aspectual class and grammatical aspect�2

    第1章では aspectual class と grammatical aspect の関係についての同論文の立場が示されている。De Swart は、まず、aspectual class(=Aktionsart, situation type,以下、動作態)と grammatical

    aspect(= aspect, viewpoint aspect,以下、文法アスペクト)に関しては、両者を明確に区別する立場とその区別は曖昧とする立場があるとした上で、自身は動作態と文法アスペクトは異なるものであるが、両者の基盤となる modeltheoretic な概念は同じものと考えると言明している。

    次に、De swart は、動作態は predicate-argument 構造のレベルで決定されるもので、以後それをeventuality description(事態記述)のレベルとすると述べている。また、Comrie (1976)に従い、tense はある事態の時をそれ以外の時と関係づけるもの、aspect は事態の内的時間構成の様々な見方と見なすとも述べている。さらに、De Swart は、以上のように仮定するならば文の統語構造は (1) のようになるとし、同論文が扱うのはまさに (1) の意味論であると明言する。

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    (1)� �[TENSE [ASPECT*�[事態記述]]]

    � De Swart によれば、(1) の事態記述の eventuality(以後、事態)には STATES, PROCESSES, EVENTS の3つのタイプがある。一方、ASPECT は aspect operators(以後、アスペクト・オペレータ)、TENSEは tense operators (以後、テンス・オペレータ)に対応するものである。(1)が示すように、De Swart が考えるアスペクト・オペレータとは事態をスコープとしそのタイプを変更するオペレータである。なお、“ * ” はアスペクト・オペレータがゼロのこともあれば1つあるいはそれ以上のこともあることを示している。また、テンス・オペレータは事態を発話時と関連づけて時間軸に写像

    (map)するオペレータである。さらに、De Swart はここで、アスペクト情報は(1)の3つのレベルすべてにおいて役割を果たすと述べ、その重要性を指摘している。

    2.2.The domain of eventualities�3

    第2章は (1) の構造中の事態記述について扱っている。先に述べたように、De Swart によれば、事態は STATES, PROCESSES, EVENTS の3種類のタイプ に分類される。このうち STATES と PROCESSES は固有の終結点(inherent endpoint)を持たないという点で共通し、EVENTS は固有の成就点(inherent culmination point)を持つという点で STATES、PROCESSES とは異なるとしている。一方、PROCESSES とEVENTS は、(2) が示すように、異なる含意を示すと言う。

    (2)� a.� Ann was running. Ann ran. � b.� Ann was running a mile. Ann ran a mile.

    � (2a) は [Ann run] のような process の進行形はその単純過去形による表出を含意することを、逆に、(2b) は[Ann run a mil]のような event の進行形にはそのような含意がないことを示している。De Swart によれば、PROCESSES と EVENTS はこの進行形と単純過去形の間に見られる含意の有無によって区別されるという。一方、(3) (4) に見られる for-副詞句と in-副詞句との共起関係の違いは STATES/PROCESSES と EVENTS を区別する。

    (3)� a.� Susan lived in Paris for two years.� b.� Andrew swam for three hours.� c.� #Eve drew a circle for three hours.

    (4)� a.� #Susan lived in Paris in two years.� b.� #Andrew ran in three hours.� c.� Eve drew a circle in ten minutes.

    � (3a) は state、(3b) は process の単純過去形が for-副詞句と共起可能なことを、また、(3c) は eventの単純過去形が for- 副詞句と共起すると non-intended reading になることを示したものである。同様に、(4c) は event の単純過去形は in- 副詞句と共起可能なこと、また、(4a) は state、(4b) は processの単純過去形が in- 副詞句と共起すると non-intended reading になることを示している。さらに、De Swart は事態のアスペクト・タイプの決定には動詞の性質の他、NP 項の特徴、動詞とその項の関係性が関わってくることを示すために以下の例をあげている。

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    De Swart (1998) を読む 3

    (5)� a.� Mary was sick.� b.� The cat licked the kitten.� c.� Susan wrote letters.� d.� Susan wrote a letter.

    � De Swart によれば、(5a) のように stative な動詞を含む事態記述は STATE、(5b) のように、non-stative な動詞の中でもその項に影響を与えないものは PROCESS、さらに、non-stative な動詞でその項に影響を与えるもののうち、その項が (5c) のように均質的な NP(homogeneous NP, bare plural あるいは mass noun)であるものは PROCESS、(5d) のように量化された NP(quantized NP, count noun)であるものは EVENT と見なされる。

    ところで、De Swart が事態記述をアスペクト・タイプに分類する際に看過できないのは、それをbare plurals, mass nouns, count nouns といった名詞の分類と平行的に考えている点である。つまり、De Swart は、図1が示すように、STATE と PROCESS は bare plurals/mass nouns と同じく均質的で非量化的な対象、EVENT は count nouns のように量化された対象を持つ、また、PROCESS と EVENT はいずれも non-stative でありこの二つが一緒になって dynamic eventualities という supercategory(大カテゴリー)を作ると解釈しているのである。

    HOMOGENOUS QUANTIZED

    State Process Event

    STATIVE DYNAMIC

    図1

    2.3.Aspectual operators�4

    第3章は英語を例にしながらアスペクト・オペレータを詳細したものである。先に見たように、De Swart にとってのアスペクト・オペレータとは事態記述のアスペクト・タイプを変更するものである。De Swart はアスペクト・オペレータとして、英語の進行形や完了形(=Perfect�5)といった文法アスペクト、for- 副詞句、in- 副詞句のような durational adverbs をあげている。ここでは、特に、De Swart による英語の進行形の分析を通し、そのアスペクト・オペレータについての考え方を見ていく。

    まず、De Swart は英語のアスペクト・オペレータは随意的で、(6a)のような state の単純過去形、(6b)のような event の単純過去形には同オペレータはないと述べている。そのため、それらの文法構造にはテンス・オペレータはあってもアスペクト・オペレータは設定されていない。

    (6)� a.� Mary was sick. [PAST [Mary be sick]]� b.� Susan wrote a letter. [PAST [Susan write a letter]]

    � 一方、英語の文法アスペクトの典型とされる進行形については、以下のような分析が行われている。

    (7)� a.� Susan was writing letters.� b.� Susan was writing a letter.� c.� #Susan was being in the garden.

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    � De Swart は、まず (7) の例をあげ、英語の進行形は、(7a) のような PROCESS あるいは (7b) のような EVENT といった動的な事態記述を「進行中(in progress)」という state に変更するアスペクト・オペレータ PROG を導入すると指摘している。このことは具体的に (8) のような構造で示される。

    (8)� a.� Mary was reading a book.� b.�[PAST [PROG [Mary read a book]]]

    � De Swart によれば、PROG というアスペクト・オペレータが導入されることにより(8a)には(8b)のような文法構造が与えられることになる。(8b)の文法構造は図2の DRS を反映したものである�6。

    図2 Mary was reading a book.

    � 図2は次のように解釈される。まず、t

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    De Swart (1998) を読む 5

    れうること、また、(9c) は当該文に反復的読み、(9d) は当該文に習慣的読みが付与されると、eventが state に強制されうることを示したものである。このような例から、De Swart のいう coercion とは、事態記述が持つアスペクトの性質と文脈中のその他の要素のアスペクト制約が衝突するときに引き起こされるもので、その適切さは言語的文脈と世間知に強く依存していることが分かる。

    さらに、De Swart は、coercion は事態記述のアスペクト・タイプを変更するという点で、英語の進行形などと同じくアスペクト・オペレータと見なされるものの、coercion とそれ以外のアスペクト・オペレータの間には次のような違いがある、と述べている。

    まず、coercion はその他のアスペクト・オペレータとは異なり統語的にも形態的にも不可視である。つまり、coercion はアスペクト衝突を解決するための非明示的かつ文脈的な再解釈のメカニズムなのである。また、coercion 以外のアスペクト・オペレータには、進行形が動的事態を「進行中」という state に変更するように、ある一定のアスペクト・タイプを別のアスペクト・タイプに変更するという特定の機能があるが、coercionにそのような特定の機能はない。(9) が示すように、coercionは state を event に変更することもあれば、event を state に変更することもあるからである。

    以上のように、coercion とそれ以外のアスペクト・オペレータの間には違いがあるが、coercion によって引き起こされる aspectual transition(アスペクト変更)を明示するために、De Swart は3つの coercion operators を導入している。まず、event から homogeneous な事態、すなわち、state あるいは process への強制を表すためのオペレータ Ceh、次に、homogeneous な事態から event への強制を表すオペレータ Che、さらに、state から dynamic な事態、すなわち、process あるいは event への強制を表すオペレータ Csd である。以下では、英語の Susan is liking this play という文が coercionでどのように説明されるのかを見る。

    De Swart によれば、Susan is liking this play の DRS は図3で、その文法構造は (10) になる。

    (10)� �Susan is liking this play. [PRES [PROG [Csd[Susan like this play]]]]

    図3 Susan is liking this play.

    � 図3および(10)の文法構造によれば、Susan is liking this play は、もともと state (s’)である[Susan like this play]が coercion によって動的な事態に変更され、それにアスペクト・オペレータ PROG が働き、再び発話時 n と重複した state (s)を表したものとなる。

    n s t x y t = n Susan (x) Play (y) s t

    s : PROG d :

    Csd s : x like y

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    2.5.Aspectual shift and coercion in French�8

    第5章では、フランス語の単純過去形(passé simple, 以後 PS)と半過去形(imparfait, 以後 IMP)を De Swart のアスペクト交替および coercion の観点から見るとどのように分析されるかが示されている。特に、そのフランス語の PS に対する扱いは、後で見るスペイン語の pretérito perfecto simple

    (点過去、以後 PS)にも共通するものなので詳述しておきたい。まず、De Swart は、フランス語の PS と IMP はアスペクト的な違いを見せ、実際、Kamp & Rohrer

    (1983)は、PS は event、IMP は state を導入すると解釈していると指摘している。また、この Kamp & Rohrer (1983)の解釈は、事態記述のアスペクト・タイプに関係なく適用されるため PS と IMPの違いが文法アスペクトであることを示唆するものでもある、と述べている。しかしながら、De Swart は、英語の進行形のような文法アスペクトとフランス語の PS と IMP の間には次のような重要な相違点があると指摘している。

    第一に、英語の進行形は tense とは形態的に独立しており、いかなる tense とも共起可能だが、フランス語の PS/IMP は複合的(composite)で tense と aspect が過去の同一の形態素に記号化されている、第二に、フランス語の IMP の意味は英語の進行形の意味より広い、第三に、英語の進行形はstate とは結びつかないがフランス語の IMP はいかなる事態とも結びつく、さらに、英語はフランス語の state の PS が表す起動的読みと限界的読みを文法的に表すことができない、という点である。

    次に、De Swart はフランス語の PS と IMP の違いを perfective/imperfective の違いと見る説を紹介している。その説に従えば、perfective である PS は当該事態が開始点と終結点を含んで完結したことを、imperfective である IMP は当該事態が開始しさらに継続する可能性があることを示すことになる。しかし、De Swart は(11)(12)の例をあげながら、そのような説には問題があると言う�9。

    (11)� a.� Anne était(IMP) malade. [PAST [IPF [Anne be ill]]] � b.� Anne was ill.

    (12)� a.� Anne écrivit(PS) une lettre. [PAST [PRF [Anne write a letter]]]� b.� Anne wrote a letter.

    � まず、De Swart は、英語はアスペクト的に neutral で事態のアスペクト的性質は当該文の動作態を継承すると指摘する。その上で、(11a) のフランス語とその英語訳である (11b)、また、(12a) のフランス語とその英語訳である (12b) の等価性に注目し、フランス語に imperfective(=IPF)とperfective(=PRF)の違いを設定する必要はないと結論づけているのである。これを理解するために、先に見た (6a) (6b) の文法構造を再掲したい。

    (13)�(=6)� a. Mary was sick. [PAST [Mary be sick]]� �� � � b. Susan wrote a letter. [PAST [Susan write a letter]]

    � 確かに、フランス語の (11a) (12a) に対応する英語の文法構造 (13a) (13b) にアスペクト・オペレータはない。ならば、対応するフランス語の文法構造にもアスペクト・オペレータは必要ないというのが De Swart の考えなのであろう。しかし、それでは、De Swart はフランス語の PS と IMP をどのように説明するのか。それに対する De Swart の答えは、次のような仮説である。

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    De Swart (1998) を読む 7

    (14)� De Swart の仮説:��フランス語の PS と IMP はアスペクトに敏感な過去の(aspectually sensitive past)テンス・オペレータである。

    � この仮説の背景には、De Swart の考える名詞領域(nominal domain)と事態領域(eventuality domain)の平行性がある。以下の例を参照されたい。

    (15)� a.� There are many/few apples in the salad.� b.� There is much/little apple in the salad.

    � De Swart によれば、many と much、few と little は同じ解釈を持つペアであるが、互いに異なる選択制限を持つ。すなわち、many と few は count nouns、much と little は mass nouns を選択するが、そのような選択制限が満たされない場合にはいわゆる coercion が起き、特別の意味効果が生じるというのである。

    De Swart は、この many と much、few と little の間に見られるのと同じことがフランス語の PS とIMP の間にも起こると主張する。つまり、De Swart によれば、フランス語の PS と IMP はいずれも同じ t < n を DRS に導入するものであるが、PS は量化された事態、また、IMP は均質的な事態を選択するというのである。このことをより簡潔に示せば以下のようになるだろう。

    (16)� PS�� ��: 量化された事態、すなわち、event を選択し、それを過去に定位する。� IMP: 均質的な事態、すなわち、state あるいは process を選択し、それを過去に定位する。

    �(16)は同時に、次のような coercion operators の可能性を示唆するものでもある。

    (17)� a.� �state あるいは process のような均質的な事態と PS の組み合わせは、coercion operator Cheを引き起こす。

    � b.� �event のような量化された事態と IMP の組み合わせは、coercion operator Ceh を引き起こす。

    � De Swart はフランス語の PS において Che が引き起こされた例として、次の例をあげている。

    (18)� a.�(Soudain,) Jeanne sut (PS) la résponse.� �� (Suddenly,) Jeanne knew the answer. � b.�[PAST [Che [Jeanne know the answer]]]

    � De Swart によれば、coercion operator Che のDRS への導入は(18b)の文法構造を生む。(18a)は「Jeanne がその返事を知った」という起動的な意味を表すが、De Swart は、そのような意味を引き起こしたのは soudain という副詞句の存在としている。De Swart がそのように考えるのは、次の例が示すように、同じ coercion operator Cheが当該事態の終結限界を示すことがあるからで

    n e t x y t < n Jeanne (x) Answer (y) e t

    Che s s : x know y

    図4 Jeanne sut (PS) la résponse.

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    言語文化論究 378

    ある。

    (19)� a.� Jeanne d’Arc fut (PS) une sainte.� �� Jeanne d’Arc was a saint.� b.�[PAST [Che[Jeanne d’Arc be a saint]]]

    �(19a) は Jeanne d’Arc がすでに生存していないこと、すなわち、Jeanne d’Arc の人生が完結したことを表している。そのような意味でこの文は当該事態の終結限界を示しているが、それは (18a) のPS が示す起動的意味(開始限界)とは全く逆のものである。このようなことから、De Swart は、Che という coercion operator は PS による表出に必要な条件を満たすための event を導入するだけであり、その具体的解釈は言語的文脈や世間知によって決まるとする。

    2.6.Extension to other languages�10

    最後の第6章では、まず、アスペクト・オペレータのほかにアスペクトに敏感なテンス・オペレータが存在するという解釈が正しければ、(20)の統語構造は、アスペクト・オペレータとアスペクトに敏感なテンス・オペレータの組み合わせはテンス・オペレータのスコープの方がアスペクト・オペレータのスコープよりも広いという解釈を導き出すことを予測する、としている。

    (20)�(=1)�[TENSE [ASPECT*�[事態記述]]]

    � そして、実際、そのような見方が正しいことは、次のスペイン語の例によって示されるとしている。

    (21)� Toda la tarde estuvieron (�estar (=be) の PS) entrando (�entrar (=enter) の現在分詞) visitas.� All the afternoon, visitors were entering.

    � スペイン語には英語の進行形に相当する迂言形式“estar+ 現在分詞”があり、また、フランス語と同様に、過去に PS と IMP の2つの時制がある。その上で、De Swart は、(21) のスペイン語文は

    「進行中」の事態が完結したことを表していることから、“estar+現在分詞”はアスペクト・オペレータ、PS はアスペクトに敏感な過去のテンス・オペレータと見なされ、それは結局、アスペクト・オペレータの方がテンス・オペレータよりもスコープが狭いという主張の妥当性を示す、と解釈しているのである。

    以上、本節では De Swart (1998)の概要を見た。次節では、この De Swart の見方、とりわけ、その coercion という考えの妥当性をスペイン語の PS の振る舞いを通して検証していく。

    3.考察:スペイン語の PS への De Swart (1998)の応用

    本節では、De Swart (1998)の提案した coercion という概念の妥当性を、スペイン語の PS への応用を通して検証していく。

    3.1.De Swart (1998)の特徴とスペイン語の PS への応用まず、De Swart (1998)をスペイン語の PS に応用するにあたり、特に考慮すべき点を(22)にま

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    De Swart (1998) を読む 9

    とめておく。

    (22)� スペイン語の PS へ応用する際に考慮すべき De Swart (1998) の主張� a.� �文の統語構造は談話の展開に従って聞き手が構築していく DRS の反映であり [TENSE

    [ASPECT*�[事態記述]]]と記述される。� b.� �[TENSE [ASPECT*�[事態記述]]] の TENSE にはテンス・オペレータ、ASPECT にはアス

    ペクト・オペレータが対応するが、それらはいずれも形態的に独立したものである。� c.� �operator には input の条件がある。� d.� �アスペクト・オペレータはある事態の動作態を特定の別の動作態に変更する。� e.� �coercion とは、事態記述が持つアスペクトの性質とアスペクト・オペレータの input 条件の

    間に衝突が起きる場合に生じる再解釈のメカニズムである。� f.� �coercion は事態のアスペクト変更に関わるという点でアスペクト・オペレータと共通する

    が、形態的にも統語的にも不可視である点、また、複数の異なるアスペクト変更に対応する可能性があるという点で通常のアスペクト・オペレータとは異なるものである。

    � g.� �coercion operator の解釈は言語的あるいは言語外的文脈に拠る。� h.� �フランス語のPSは量化された事態記述を input条件とする過去のテンス・オペレータ、IMP

    は均質的な事態記述を input 条件とする過去のテンス・オペレータである。� i.� �フランス語において 均質的な事態記述が PS と組み合わされるとき、また、量化された事

    態記述が IMP と組み合わされるときには、テンス・オペレータが要求する input の条件と事態記述との間に衝突が起こる。その衝突を解決するために、前者の場合は Che、後者の場合は Ceh という coercion operators が導入される。

    � 以上の a から i をスペイン語の PS に当てはめてみると、次のようになるだろう。まず、スペイン語の PS は、フランス語の PS と同様、当該事態記述を t

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    とする過去のテンス・オペレータ、スペイン語の IMP は均質的な事態記述を input とする過去のテンス・オペレータと見なされるということである。しかしながら、スペイン語の PS は均質的な事態記述を、また、スペイン語の IMP は量化された事態記述をその input とすることも少なくない。iによれば、この事実はスペイン語の PS と IMP においても Che と Ceh という2つの coercion operatorsが導入されることを意味することになる。

    3.2.スペイン語の PS への応用から生じる De Swart (1998)に対する疑問とその修正案本節では、上で見た De Swart (1998)をスペイン語の PS へ応用した際に生じるいくつかの疑問

    を提示する。

    3.2.1.スペイン語の PS から見た De Swart (1998)に対する疑問De Swart (1998)に従えば、スペイン語の PS は量化された事態記述を、スペイン語の IMP は均

    質的な事態記述を input とする過去のテンス・オペレータとなる。しかし、そのような input 条件の妥当性は何によって保証されるのだろうか。それが本稿の De Swart (1998)に対する第一の疑問である。

    2.�5. で見たように、De Swart (1998)は名詞領域と事態領域を平行的に考え、フランス語の PS が均質的な事態記述を input する際には、many が mass nouns をその input とする際と同様に coercionが起こり、特別な効果が生じるとしていた。このとき重要なのは、De Swartが “In the unmarked case, determiners like many and few combine with typical count nouns, and determiners like much and little

    operate on typical mass nouns” (pp.368-369)と述べている点である。特に、 “in the unmarked case” という句は見逃せない。名詞領域における many とフランス語およびスペイン語の PS を平行的に捉えるならば、フランス語およびスペイン語の PS は量化された事態記述を input とするのが無標ということになるが、少なくともスペイン語の PS の振る舞いを見る限りそのような解釈には問題があるように見えるからである。

    Real Academia Española のデータベース CREA を用いて、均質的事態記述と量化された事態記述の PS/IMP による表出の頻度を調べてみると次のようになる�11。

    表1:CREA における事態記述別のスペイン語の PS/IMP の出現頻度事態記述 PS IMP

    state: ser un …( be a …) fui/fue un� 8592例 era un� 18476 例state: saber que …( know that …) supe/supo que� 2430例 sabía que� 4811例 process: estudiar el… (study the…) estudié/estudió el� 139例 estudiaba el� 45例event: morir (die) morí/murió� 8256例 moría� 837例

    � 表1は同じ事態記述の PS と IMP の出現頻度を比較したものだが、それぞれ1人称単数形の頻度と3人称単数形の頻度の合計からなっている�12。同表を見ると、state の場合は De Swart の言うとおり IMP による表出の頻度が PS による表出のそれを上回っているが、process である[estudiar el…]は De Swart の仮説に反して PS による表出の頻度数の方が IMP のそれを上回っているのが分かる。一方、典型的な event である[morir]の PS/IMP は PS が IMP の10倍の頻度を示している。

    この結果の中で、特に、注目すべきは、De Swart の解釈によれば均質的事態である process の[estudiar el…]が IMP よりも PS によって表出される頻度が高いということである。というのも、

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    De Swart (1998) を読む 11

    それは PS が process にとっての無標のテンス・オペレータであることを示すと同時に、process がPS によって表出される場合に coercion を導入することの妥当性に疑いを抱かせるものだからである。

    一方、state にも疑問がある。De Swart によれば state は IMP によって表出されるのが無標でありPS による表出は coercion によるものと解釈されているが、表1の[ser un…]と[saber que…]という2つの state における PS と IMP の頻度を見るといずれも IMP が PS の2倍となっている。問題は、果たしてこの IMP と PS の頻度差が state の PS による表出を coercion と見なすのに十分な数値かということである。

    以上、スペイン語の PS による表出の実態を通し、均質的事態である process の IMP による表出は必ずしも無標とはならないこと、また、同じく均質的事態である state の IMP と PS による表出の頻度差から、その PS による表出を単純に coercion と見なすことは問題であることを見た。これらの事実は「スペイン語の PS は量化された事態記述をその input 条件とする」という De Swart の仮説のみならず、その仮説が満たされない場合に導入される coercion という概念の妥当性にも疑問を呈するものである。

    3.2.2.De Swart (1998)に対する修正案それでは、スペイン語の PS の振る舞いを正しく説明するために、De Swart(1998)の主張はど

    のように修正されるべきなのか。本項ではその点について検討していく。まず、再度 De Swart(1998)の問題点を確認しておこう。それは、De Swart の立てた「PS は量

    化された事態である event を選択し、IMP は均質的な事態である state あるいは process を選択する」という仮説はスペイン語の PS の実態を十分に説明せず、その結果、De Swart が導入した coercionという概念の有効性も疑問視されるということであった。このように De Swart (1998)をそのままスペイン語の PS に応用するには問題はあるが、そのすべてが評価されないわけではない。少なくとも De Swart (1998)は、従来の研究が見逃してきた現象に着目しそれらをうまく説明するための装置を提案しようとした点では評価されるものだからである。したがって、本稿は De Swart(1998)を修正するにあたり、スペイン語の PS の実態を説明するために有効と思われる部分は生かし、不適切と思われる部分は修正するという方針を取っていきたい。

    本稿が De Swart (1998)の中で第一に支持するのは「PS と IMP はアスペクト・オペレータではなくテンス・オペレータである」という主張である。その理由は、De Swart も指摘したとおり、典型的なアスペクト・オペレータである英語の進行形や Perfect の振る舞いと PS/IMP の振る舞いは根本的に異なるものだからである。なかでも、De Swart が2.5. であげた英語のアスペクト・オペレータとフランス語の PS/IMP の具体的な違いのうち「アスペクト・オペレータは形態的にテンス・オペレータとは独立したものである」という点は看過できない。それは PS/IMP が現在形や未来形と同じくテンス・オペレータであることを明示するものだからである。一方、2.6. で見たように、フランス語とは異なり、スペイン語には英語の進行形に似た“estar+ 現在分詞”という迂言形式がある。以上のことを踏まえてスペイン語の統語構造を示すならば、次のようになろう。

    (23=1)[TENSE [ASPECT*�[事態記述]]]

    � 次に、De Swart の仮説ではうまく説明のできなかったスペイン語の PS の例の扱いについて考えてみる。De Swart はそれらの説明のために coercion operators を導入したが、本稿はそのようなoperator を導入しなくても当該例の説明は可能だと考える。しかし、そのためには De Swart の「PS/

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    IMP はともに事態記述を t

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    De Swart (1998) を読む 13

    4.まとめ

    以上、本稿は、De Swart (1998)の概要を示した後、その有効性をスペイン語の PS への応用を通し検証した。その結果は次のようにまとめられる。

    まず、De Swart (1998)の主張のうち評価されるのは、これまでテンスかアスペクトかという点から議論されてきたフランス語の PS/IMP やスペイン語の PS/IMP について、アスペクトと見なされるものは形態的にテンスとは独立したものでなければならないという独自の基準を設定した上で、それらがテンスであることを明示した点である。そうすることにより、フランス語やスペイン語のIMP は英語の進行形とは異なるものであることが明確になった。また、De Swart が、coercion という概念を提示するきっかけとなった Suddenly, I knew the answer/Soudain,Jeanne sut la résponse のような周辺的な言語現象に注目し、それを独自の理論的枠組みの中で処理しようとした点も評価すべきであろう。ただし、その処理の仕方がスペイン語の PS の実態を十分に説明するものではなかった点は問題となった。

    一方、De Swart (1998)の問題点は、「PS は量化された事態、すなわち、event を選択し、IMP は均質的な事態、すなわち、state あるいは process を選択する」という仮説を立てた上で、この仮説に合致しない現象を coercion operator で処理しようとしたことである。というのも、少なくともスペイン語の PS の実態を観察する限り、De Swart の仮説の有効性は保証されないことが明らかになったからである。このことは、De Swart が想定した名詞領域と事態領域の平行性は理論的には可能でも、実際に適用するのは非常に困難であることを示唆するものである。

    最後に、以上のような De Swart (1998)をスペイン語の PS に応用するための改善策を提示した。それは山村(1996)に基づき、De Swart が同じ過去のテンス・オペレータと見なしてきた PS/IMPに対してそれぞれ異なる機能を設定するというものであった。山村(1996)によれば PS は「当該事態が発話時に対して前時関係にあること、すなわち、当該事態の発話時以前の生起」を表示する。この PS の機能規定に従えば、もはや De Swart の「PS は event を選択する」という input 条件は不要となり、input 条件に合致しない事態記述が PS によって表出される場合に導入される coercion operator も不要となる。山村(1996)の PS の規定によれば、当該事態が PS によって表出されるか否かは、各事態が個別に持つその意味特徴と PS の機能の適合性の有無によって決まるからである。

    * � 本稿は2016年3月19日に西南学院大学で行われた西南言語対照研究会において「De Swart (1998) を読む―フランス語・スペイン語の PS への応用から見えてくるもの」という題目で発表した内容に修正・加筆したものである。なお、本稿は JSPS 科研費(15K02482)の助成を受けている。

    1 � 本稿では動詞からなる命題すべてを表すカバータームとして「事態」を用いる。この「事態」は後述する De Swart(1998)の eventuality に相当するものである。

    2 � De Swart (1998), pp. 347-349. 3 � Ibid., pp.349-351.4 � Ibid., pp.351-359.5 � De Swart は英語の“have+ 過去分詞”からなる Perfect はあらゆる事態を stative に変更する

    aspect operator のひとつと捉えている。

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    言語文化論究 3714

    6 � DRS(Discourse Representation Structure)とは De Swart (1998)の枠組みである DRT の基本概念のひとつであり、談話の展開に従い聞き手が構築していく心的表象と理解されている。

    7 � Ibid., pp.359-364.8 � Ibid., pp. 364-375.9 �(11a)(12a)の文法構造中にある imperfective operator (IPF)、perfective operator(PRF)とい

    う表示は Vet(1994)の分析に従ったものである。10� Ibid., pp.375-377. なお、pp.377-385は同論文の中で扱った DRS を構築、解釈するために必要な

    規則、条件等を記した付録である。11� アクセス日は2016年3月15日。領域は全領域。12� スペイン語の PS の1人称単数形と3人称単数形は異なる形式だが、IMP の1人称単数形と3

    人称単数形は同じ形式になる。したがって、例えば、[ser un...]の PS の出現頻度は1人称単数形(fui)と3人称単数形(fue)の検索数を足したものとなり、IMP の出現頻度は1人称単数形と3人称単数形に共通する同一の形式(era)の検索数になる。

    13� スペイン語の PS と IMP の基準時の違いについては、山村(2015)を参照されたい。

    参 考 文 献

    Kamp, Hans and Reyle, Uwe (1993): From Discourse to Logic, Kluwer, DordrechtKamp, Hans and Rohrer, Christian (1983): “Tense in Texts”, in R. Bäuerle, C. Schware and A. Von

    Stechow (eds.), Meaning, Use and Interpretation of Language, de Gruyter, Berlin, 250-269.De Swart, Henriëtte (1998): “Aspect shift and coercion”, Natural Language and Linguistic Theory 16,

    347-385. Vet, Co (1994): “Petite grammaire de l’Aktionsart et de l’aspect”, Cahiers de Grammaire 19, 1-17.山村ひろみ(1996):「canté/cantaba のアスペクト対立に基づく解釈をめぐって」, HISPANICA 40,

    48-62.山村ひろみ(1999):「スペイン語における事態の分類について」,HISPANICA 43, 41-52.山村ひろみ(2015): 「第5章 時制とアスペクト」,高垣敏博(監修),菊田和佳子・二宮哲・西村

    君代(編) 『スペイン語学概論』, 61-76.

    参 考 資 料

    REAL ACADEMIA ESPAÑOLA: Banco de datos (CREA) [en línea]. Corpus de referencia del español actual. 〈http://www.rae.es/〉 [アクセス日� 2016年3月15日]

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    De Swart (1998) を読む 15

    El artículo titulado “Aspect shift and coercion” (De Swart, 1998) es frecuentemente citado en los

    trabajos sobre el tiempo y el aspecto. La razón de esto, a nuestro parecer, está en que ha introducido una

    nueva idea denominada “coercion” para resolver algunos problemas que surgen como consecuencia del

    conflicto entre las clases aspectuales y los aspectos gramaticales. Este artículo tiene como objetivo recoger

    la idea general de dicho artículo, para después identificar algunos problemas en su aplicación al pretérito

    perfecto simple de español (PS). El resultado se resume como sigue:

    ● El artículo de Swart se enfoca en lo siguiente: primero, determina la independencia morfológica como

    un criterio decisivo para distinguir el operador temporal del operador aspectual, de lo cual resulta que

    PS se considera uno de los operadores temporales; en segundo lugar, presta mucha atención a los

    fenómenos marginales como la combinación de PS con las eventualidades estativas que no encajan

    bien en la explicación general de dicho tiempo.

    ● Sin embargo, el artículo también plantea algunos problemas, que se resumen como sigue:

    No son pocas las veces que falla la idea de “coerción” que introduce para resolver los conflictos que no

    encajan en su hipótesis, según la cual PS selecciona como input una eventualidad cuantificada — es decir, un evento — mientras que el pretérito imperfecto (IMP) selecciona como input una eventuali-dad homogénea — es decir, un proceso o un estado. Los resultados de una búsqueda en CREA mues-tran que no es raro encontrar ejemplos donde una eventualidad homogénea se combina con PS. Esto

    sugiere que la presuposición de De Swart de que la combinación de una eventualidad homogénea con

    IMP es un caso no-marcado carece de fundamento.

    ● Para resolver dicho problema respetando la idea de De Swart, presentamos una alternativa que supone

    que, aunque tanto PS como IMP se refieren a una eventualidad del pasado, sus funciones temporales

    son diferentes.

    Lectura crítica de De Swart (1998)

    ―desde el punto de vista de su aplicación al pretérito perfecto simple de español―

    Hiromi YAMAMURA

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    https://www.researchgate.net/publication/310265162