立位X線およびCT計測に基づく 頸椎むちうち損傷の病態解明...Planmed 社Verity...

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立位X線およびCT計測に基づく 頸椎むちうち損傷の病態解明 平成 28 年度(本報告) タカタ財団助成研究論文 ISSN 2185-8950 研究代表者 名倉 武雄

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立位X線およびCT計測に基づく

頸椎むちうち損傷の病態解明

― 平成 28 年度(本報告) タカタ財団助成研究論文 ―

ISSN 2185-8950

研究代表者 名倉 武雄

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研究実施メンバー

研究代表者 慶應義塾大学 医学部 運動器生体工学寄附講座 名倉 武雄

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報告書概要

頸椎は交通事故における受傷部位の中で最多となっている(2012年日本損害保険協会人身事

故データより)。このように交通事故による頸椎損傷は、人的・経済的損出が甚大であり、本外傷

に対する基礎的・臨床的研究が求められている。本研究では、座位または立位で撮影可能なあら

たな3次元画像診断装置=新型CTの開発を行い、あらたな頸椎損傷診断ツールとすることを目

的とする。

昨年の報告書において、関連システム開発・関連研究の現状、頸椎動態研究の現状、頸椎むちう

ち損傷病態解明にむけた基礎研究成果(イメージマッチング技術による動態解析手法確立)、頸椎

X線画像による頸椎前後運動解析、頸椎むちうち損傷の画像評価―加齢性変化について報告した。

(これらの詳細については、昨年度の報告書を参照されたい)

本年度の報告書は、座位・立位撮影を行う医用画像の現状、開発中の新型 CTの現状と未来展望に

ついて述べる。

目 次

立位X線およびCT計測に基づく頸椎むちうち損傷の病態解明

第 1章 はじめに

1.1 研究背景

1.2 目的

第 2章 関連システム開発・関連研究の現状

2.1 立位・荷重位における CTシステムの現状

2.2 頸椎動態研究の現状

第3章 座位および立位姿勢におけるCT撮影の必要性

3.1 四肢における必要性

3.2 脊椎における必要性

第 4章 新型CT開発にむけての課題

4.1 安全性に関する項目

4.2 法規に関する項目

4.3 倫理委員会の承認

4.4 研究計画・プロトコール

4.5 まとめと今後の課題

参考文献

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第 1 章 はじめに

1.1 研究背景

頸椎は交通事故における受傷部位の中で最多となっている(2010年日本損害保険協会人身事

故データより)頸椎損傷は、人的・経済的損出が甚大であり、本外傷に対する基礎的・臨床

的研究が求められている。(詳細は昨年の報告書を参照)

1.2 研究目的

本研究では、座位または立位で撮影可能なあらたな3次元画像診断装置=新型CTの開発を

行い、あらたな頸椎損傷診断ツールとすることを目的とする。(詳細は昨年の報告書を参照)

第 2 章 関連システム開発・関連研究の現状

2.1 立位・荷重位における CT システムの現状 昨年の報告書において、Curve Beam 社の Ped Cat については述べた。その後、立位また

は荷重位で足部以外の部位を撮影可能な CT が実用化されていることが明らかとなった。

図 2.1 Planmed 社 Verity 外観 (http://www.planmed.com より引用)

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図 2.2 Planmed 社 Verity 撮影肢位の例

(http://www.planmed.com より引用)

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こられの CT は、Cone Beam CT といわれる種類で、主に歯科領域における撮影で応用されてき

た技術を、四肢に応用したものである。コンパクト、低被曝であることが利点であるが、反面撮

像に時間がかかる、広い範囲の撮影には不向き、などの欠点もある。医科用 CT が検出器を多列

化し広い範囲の撮像を可能としている(現存する機器で最多は 320 列で 16 ㎝の撮像が同時に可

能、後述)のに対し、歯科用 CT では 8 ㎝前後が多い。Planmed 社 Verity においても、様々な角

度(荷重位も含む)における足部・膝関節の撮像が可能であるが、ガントリー幅が小さく片足の

み撮影可能である。頚椎を含む体幹の撮影はできない。 CT ではなく X 線または体表形状をもとに、四肢骨格・脊柱姿勢を計測・推定するシステムも

複数存在する。EOS imaging 社の EOS は 2 方向からの X 線撮影から全身の骨格を計測するシス

テムである。

図 2.3 EOS システム

(http://www.eos-imaging.com/ より引用)

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非常に低用量の X 線を使用するため、被曝量が極めて小さく全身を撮影できることが大き

なメリットであり、広く臨床応用されている。現存する立位撮影システムとしては、もっと

も普及しており EOS を用いた研究論文は多数発表されている。

図 2.4 EOS の研究例

(Than P, et al, International Orthopaedics (2012) 36:1291–1297 より引用)

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しかしながら、EOSシステムは静的な画像撮影のみ可能であり、動的な撮影は不可能であ

る。また、2 次元画像に既存の骨格モデルをあてはめて 3 次元化しており、被験者の個別の

骨格は反映されない。むちうち損傷を生じる頸椎は、頸椎アライメント・形態とも個人差が

大きく、加齢変化などの影響を評価するためには、個体差の評価は欠かせない。

図 2.5 頸椎形態・動態の個体差(上:50 代女性 下:20 代男性) 昨年の報告書より引用

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2.2 頸椎動態研究の現状 昨年の報告書以降、頸椎むち打ち損傷および頸椎の 3 次元動態に関する報告は、磁気センサを

用いた研究が散見されるのみである。

図 2.6 磁気センサーによる頸椎動態評価

(Gelalis ら、Eur Spine J (2009) 18:276–281 より引用)

図 2.7 磁気センサーによる頚部痛患者および健常者の頸椎動態評価 (Waeyaert ら、SPINE 2016, Volume 41, Number 15, pp E908–E914 より引用)

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これらの報告は、いずれも体表から頸椎の 3 次元動態を評価しているもので、個体差などが評価

されているものの、実際の頸椎の運動を計測しているわけではない。特にC1-C7まで 7 つあ

る椎骨の各運動を評価することは本手法では不可能であり、座位撮影かつ動的撮影が可能な新型

CTの開発が待たれるところである。

第3章 座位および立位姿勢におけるCT撮影の必要性 3.1 四肢における必要性 運動器のX線撮影において、上肢・下肢それぞれ座位または立位における撮影がスタンダ

ードに行われている。それぞれの重要性を予備実験の結果を踏まえ述べる。 3.1.1 上肢における座位撮影の重要性 上肢関節では、上腕・肩甲関節は立位における自重により生理的なポジションをとるためで

あり、頻度の多い肩腱板断裂や肩関節周囲炎などの疾患では上腕骨頭の上方化がみられこれ

が有意な所見となる。また肩関節の基準位置を決定する肩甲骨は、肩疾患のみならず肩こり・

頸椎疾患との関連が指摘されており、立位における生理的位置の評価はこれらの疾患の評価

にも重要である。 さらに最近では、多列化CTを用いて連続撮影を行うことにより上肢関節の動態撮影が可能

となっている(4DCT)。我々は、肩関節・肘関節・手関節・指関節の4DCTについて、

ボランティアを対象に撮影を行った。

図 3.1 多列CTおよび4DCT撮影状況

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図 3.2 健常者における肩関節拳上時の4DCT

図 3.3 健常者における前腕回外の4DCT

前腕の運動については、重力の影響は小さくかつCTガントリー内で座位にて撮影が可能で

あるため、新型CTの開発を待たずしても4DCTの撮影が可能であった。 一方、肩関節については臥床位で撮影を行うため肩甲骨が床面より圧迫され、本来の生理的

な位置とならず、肩関節の機能撮影とはなっていない。また上腕骨も座位では重力の影響に

より下垂するため、上腕肩甲関節の適合性が臥位とは異なる。 以上より座位撮影による肩関節の4DCT撮影は、肩関節の機能を解析するうえで非常に有

用な方法となることが明らかとなった。

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3.2 下肢における立位撮影の重要性 下肢関節疾患においても、立位撮影は臨床診断・治療方針決定に重要な検査となっている。

特に膝関節では、立位により関節裂隙狭小化がより明確に診断されるため、変形性膝関節症

の診断には立位撮影が極めて重要である。

図 3.4 変形性膝関節症における臥位と立位の関節裂隙の差

また下肢全体のアライメント異常(大腿骨脛骨角=FTA で評価)も、立位でなければ明らか

にすることができない。これらの理由から膝関節手術のプランニングに際しては、下肢全長

正面X線を必ず撮影する。現状では立位におけるCT撮影を行なえないため、臥位で撮影し

た下肢全長画像を、立位で撮影したX線画像に重ね合わせる(matching)することで、下肢ア

ライメントを再現する試みがなされている。

図 3.5 立位XPへのCT画像重ね合わせ

(Mochizuki ら Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 2016 より引用)

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足部の疾患についても、荷重撮影を行わないと病態が明らかでないものが多い。例としては、

外反母趾、扁平足、変形性足関節症などで、いずれも頻度の高い疾患である。これらは荷重

位置でないと、生理的な足のアーチ構造(縦アーチ、横アーチ)、関節裂隙の評価が正確でな

い。このため、特殊な荷重負荷装置を作成し、被験者に仰臥位で荷重を加え足部の変化を観

察する研究がおこなわれている。

図 3.5 荷重装置による荷重CTによる足部変形評価 (Kimura ら, J Bone Joint Surg Am. 2017;99:247-55 より引用)

前述のように立位で撮影可能な Cone beamCTは存在するものの、静止画であるため荷重

量が変化した際の足の形態変化を捉えることはできない。屍体足を使用して段階的に荷重を

増加させ足部変形を評価する試みもなされている。

図 3.6 荷重CTによる足部形態変化

(Kern ら、ORS 2017, Poster No. 2139 より引用)

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立位かつ4DCT撮影が可能なCTが開発されれば、荷重量を変化させた際の足部形態変

化を経時的に撮影することが可能となる。歩行時の足部変形についても評価が可能となる。 これらはロボット工学における 2 足歩行システムの解明などにも応用があり、科学的価値が

極めて高い。 我々は下肢についても4DCTによる病態評価を試みた。膝蓋骨不安定性を有する患者お

よび健常者について、多列CT内で膝の自動伸展運動を行わせその際の膝蓋骨の運動を定量

的に評価した。

図 3.7 4DCTによる膝蓋骨不安性の評価

(Hoshi ら、ORS 2017 Poster No.2239 より引用)

定量的な評価を行うためには、大腿骨・脛骨・膝蓋骨に座標軸を設定する必要がある。先行

研究にならい、これらを設定した。

図 3.8 4DCTによる膝蓋骨不安性の評価 座標軸の設定 (Hoshi ら、ORS 2017 Poster No.2239 より引用)

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これらの設定により、膝蓋骨不安定性の定量的評価が可能であった。特に不安定性を有す

る患者では、膝蓋骨の上方、側方への変位、外側への傾斜がみられることが明らかになった。

図 3.8 4DCTによる膝蓋骨不安性の評価 患者と健常者の比較

(Hoshi ら、ORS 2017 Poster No.2239 より引用)

以上より、下肢の運動中の4DCTにより様々な疾患の病態が定量的に評価できることが明

らかになった。これらの技術は、新型CTにおいてむち打ち損傷の病態解明において基礎と

なる手法であり、今後の研究進展に必要な技術を習得することができた。 3.3 脊椎における立位撮影の重要性 頸椎では、関節・椎間板の変形・変性を診断することは重要であるが、それ以上に生理的な

弯曲の有無を判定することが臨床的には重要である。ストレートネックに代表される矢状面

におけるアライメント不良は、肩こり・頚部痛の大きな要因となるが、臥位の撮影ではこの

弯曲異常をとらえることはできない。このような理由から、頸椎のX線撮影は通常立位また

は座位で行われる。

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胸椎・腰椎疾患についても、立位における姿勢異常を評価することは臨床上重要である。高

齢者に多い圧迫骨折後の後弯または前弯異常は、立位において増悪する。若年者の側弯症や

高齢者の変性側弯症においても、立位姿勢におけるX線撮影が基本であり、手術プランニン

グにおいては最も重要な画像情報の一つである。上記のように、脊椎疾患では立位における

前額面・矢状面バランスが臨床上非常に重要な意味をもつため、立位脊椎全長X線がいまだ

にルーチン検査の一つとなっている。前章で紹介したEOSなどは、これらの必要性から実

用化された画像システムである。 中高年―高齢者に多発する腰部脊柱管狭窄症では、立位により脊柱管狭窄が増強されるため

症状が有症状となる。MRIは脊柱管狭窄を診断する上で最も重要な検査であるが、臥位に

おいて姿勢による狭窄の変化を評価することは困難である。このような理由から、当院脊椎

班ではいまだに脊髄造影検査により立位の腰椎撮影を行い、疾患評価をしている。事実、臥

位ではほとんど狭窄を認めないが立位で著明な狭窄を呈する症例もあり、立位撮影の重要性

が認識される。

図 3.8 臥位(左)と立位(右)による脊柱管狭窄の変化

立位撮影による4DCTが可能となれば、これらの脊柱管狭窄についても新たな病態が明

らかになることが期待される。頸椎の場合は立位では造影剤が集積しないため、脊柱管をど

のように画像でとらえるかも技術的なチャレンジとなる。

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第 4 章 新型CT開発に向けての課題 4.1 安全性に関する項目 新型 CT は前述した Cone beam CT とは異なり、従来の CT スキャナーと同様のガントリ

ーサイズで全身撮影可能なものを目指している。したがって図 2.2 のような撮像状況とはな

らず、大きいサイズのガントリー内に被験者が起立もしくは座位をとることが想定される。 CT は撮像時間が早く MRI のように数分要することはないが、画像のぶれ、被験者に対する

安全性について十分な配慮が必要となる。このため、安全性および被験者の姿勢安定性につ

いて、多くの新規アイデアが必要となる。 なお、安全性に関する国際規格については、以下についてクリアする必要がある。 ① IEC 60601-1:2005(医用電気機器-第 1 部:基礎安全及び基本性能に関する一般要

求事項) ② IEC 60601-1-3:2008(医用電気機器−第 1-3 部:基礎安全及び基本性能に関する一般

要求事項−副通則:診断用 X 線装置における放射線防護) ③ IEC 60601-2-44:2009+A1:2012(医用電気機器-第 2-44 部:コンピュータ断層撮影

用 X 線機器の基礎安全及び基本性能の特定要求事項) ④ IEC 60601-2-28:2010(診断用 X 線管装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要

求事項) ⑤ IEC 60825-1:2007(レーザ製品の安全基準) ⑥ IEC 62304:2006(医療機器ソフトウェア-ソフトウェアライフサイクルプロセス) ⑦ IEC 62366:2007 + Amd1:2012(医療機器-医療機器へのユーザビリティエンジニア

リングの適用) 4.2 法規に関する項目 新型 CT については、あらたな薬事承認が必要となるが従来型と同様の設計・企画に基づ

いていれば、用途変更で承認を得ることができる。 4.3 倫理委員会の承認 新型 CT については、大学倫理委員会の承認が必要となる。すでに、倫理審査委員の承認

を得ている。 慶應義塾大学医学部倫理委員会 承認番号 20150293 4.4 研究計画・プロトコール 新型 CT による研究計画プロトコールを以下に記す。 A.試験デザイン A.1 評価項目 脊椎・四肢を構成する各骨の三次元動作を解析し、対照群における正常の脊椎・四肢の四次

元運動を明らかにすると同時に、患者群における運動障害を評価する。各関節運動は国際バ

イオメカニクス学会の推奨に沿って解析し、近位側の骨からみた遠位側の骨の四次元運動を

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評価する。 ① 脊椎・四肢の外傷および疾患に伴う形態および四次元運動異常の評価。 ② 正常の脊椎・四肢のライトアップ位における形態および四次元運動の評価 ③ 脊椎・四肢関節の運動軸の評価。 A.2 試験方法 疾患群として脊椎・四肢の外傷もしくは疾患により慶應義塾大学病院を受診した 16 歳以上の

脊椎・四肢の運動障害を呈した患者 480 名を対象とする。正常群として 20 歳以上の脊椎・

四肢の罹病歴のない健常ボランボィア 120 名を対象とする。 研究責任者あるいは研究分担者は本研究の説明を行い、同意書への署名が得られた患者およ

び健常ボランティアに対して CT 撮影を行い、CT 画像データを用いて脊椎・四肢の病態解析・

4 次元解析を行う。撮影は慶應義塾大学医学部放射線診断科と新型 CT スキャナーを用い、ア

ップライト位における脊椎・四肢関節の静止画像および動態画像を撮影する。脊椎外傷・疾

患患者では、静止位に加え前後屈・回旋などの動態撮影を行う。四肢の外傷・疾患を伴った

患者においては変形または異常運動が生じている関節の静止および自動運動を健患側で撮影

する。健常群は被験者を頸椎上肢、胸椎・腰椎、下肢の3つの対象部位により分類し、それ

ぞれについて静止位および動態撮影を行う。両群とも撮影時には低線量プロトコールにより

撮影すると同時に被曝量のモニタリングを行い、一連の撮影において実効線量が 10 mSv を

越えないようにする。 CT 画像解析は CT 室もしくは慶應義塾大学医学部放射線科学教室内、慶應義塾大学医学部整

形外科学教室内のバイオメカ研究室において行い、脊椎・四肢を構成する各骨の三次元動作

を解析し、対照群における正常の脊椎・四肢の四次元運動を明らかにすると同時に、患者群

における運動障害を評価する。各関節運動は国際バイオメカニクス学会の推奨に沿って解析

し、近位側の骨からみた遠位側の骨の四次元運動を評価する。 A.3 バイアス 正常脊椎・四肢の四次元運動における個体差。 A.5 研究実施期間 研究実施許可日~2021 年 3 月 31 日 A.6 試験の中断・中止 ① 個々の被験者の中断・中止の基準: 新型 CT 検査が施行不可能と判断された場合。研究責任者または研究分担者が中止を確定す

る。 ② 試験そのものの中断・中止の基準: 新型CTの安全性に影響する予期せぬ不具合・欠陥が発見され、修復・改善が不可能と判断

された場合。研究責任者が研究の中止を確定する。

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A.7 試験機器の管理 慶應義塾大学病院 CT 室の放射線管理区域内 A.8 被験者のプライバシー保護 匿名化および連結表管理の具体的方法 : 研究を実施した結果得られた研究協力者の医療情報は機密情報と見なされる。本人の識別の

ために、特有の個別識別コード(数字および文字コード)を割り当てる(連結可能匿名化)。

この識別コードは全てのデータで使用する。個人情報管理者は、本人を識別する文書は鍵付

きの部屋で極秘扱いにて管理する。本研究または研究結果の報告・出版・発表において如何

なる場合でも本研究の研究協力者を名前で識別することはない。画像データを、画質向上の

ため CT メーカーに提供する可能性、医学教育での使用や学術書もしくは Web 上での公開と

いう形で二次利用させて頂く可能性、他大学や国立研究所等の学術研究を行う機関や国内企

業との画像を利用した共同研究という形で二次利用させて頂く可能性があるが、その場合も

個人情報はすべて匿名化される。診療録上の臨床データおよび画像所見も、本研究の研究協

力者を名前で識別することはない。 A.9 原データ 新型 CT 画像データと、疾患群においては診療録上の臨床データおよび画像所見(単純レン

トゲン、MRI 画像データ等)、正常群においては性別・年齢・身長・体重・利き手・罹患歴・

スポーツ歴が記載された記録を原データと定義する。 B. 被験者の選択・除外・中止基準 B.1 選択基準 脊椎・四肢の外傷もしくは疾患により慶應義塾大学病院を受診した 16 歳以上の脊椎・四肢に

起因する運動機能障害を呈した患者を疾患群とする。対象とする疾患は脊椎疾患(変形性脊

椎症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症)、脊椎の外傷(頸椎捻挫、脊椎圧迫骨折)、四肢変性

疾患(肩関節周囲炎、変形性関節症、外反母趾、扁平足)、四肢の外傷(肩関節脱臼、肩腱板

断裂、関節唇損傷、関節内および周囲靭帯損傷)である。20 歳以上の脊椎・四肢に罹病歴の

ない健常ボランボィアを正常群とする。正常群に関しては、慶應義塾大学病院勤務者の中か

ら、もしくはボランティア斡旋会社に依頼し、ボランティアを募る。両群において添付の説

明書および同意書を用いて十分な説明を行い、インフォームド・コンセントを得る。協力者

本人および未成年においては保護者が十分に納得し、理解されたことを確認の上、文書によ

り同意を取得できたものを対象とする。 B.2 除外基準 両群ともに妊婦および妊娠の可能性がある場合、アップライト位における CT 検査が施行可

能な健康状態でない場合、本研究への協力の文書による同意が得られていない場合は除外と

する。患者群において 16 歳未満、正常群において 20 歳未満は本研究から除外する。正常群

においては過去に脊椎・四肢の外傷もしくは疾患による手術の既往があるものは対象から除

外する。

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B.3 中止基準 ① 慶應義塾大学病院 CT 室で、研究責任者あるいは研究分担者により、新型 CT 検査が施行

不可能と判断された場合。 ② 臨床試験を中止した被験者については、新型 CT を撮影せず、新型 CT データは取得しな

い。 ③ 被験者の交代(追加登録)はあり得ない。 D. 安全性の評価 D.1 安全性評価指標 新型 CT 撮影時の転倒の有無(立位・座位 CT 撮影時には、非常に少ない確率で転倒の危険

性は考慮される。) D.2 安全性評価指標の評価、記録および解析方法 事前に新型CT撮影について説明を行ったうえ、被験者の CT 室内、ガントリー内における

状況を、研究責任者あるいは研究分担者が、各種センサー・カメラも用いてモニターする。 D.3 有害事象 ①有害事象(adverse event, AE)の定義: 研究への参加によって被験者に生じた、あらゆる医療上有害な事象を指し、実施した介入や

試料等の採取手技との因果関係を問わない。すなわち、研究参加中の被験者に何らか好まし

くない、あるいは意図しない徴侯(検査結果を含む)、症状、疾患(併発症の増悪を含む)な

どが生じた場合は、当該研究が実施した介入や試料等の採取手技との因果関係の有無に関わ

らず、原則としてそれらは有害事象として定義される。例としては、立位で CT 撮影した時

の転倒が挙げられる。 ②重篤な有害事象(serious adverse event, SAE)の定義: 有害事象であって、下記いずれかの基準に該当するものを指す。 (A) 死に至ったもの 研究への参加中のすべての死亡、および参加終了後の死亡であって研究との因果関係が否定

できないものを指す。明らかに研究への参加と関係しない、原病の病勢進行による死亡は含

まない。 (B) 生命を脅かしたもの 研究への参加中に被験者が実際に死の危険にさらされた事象、および参加終了後に発生した

同様の事象であって、研究への参加との因果関係が否定できないものを指す。具体的には、

米国 NIH-NCI による有害事象の評価基準 CTCAE (Common Terminology Criteria of Adverse Event)における “Grade 4”(生命を脅かす; 緊急処置を要するもの)に相当する有

害事象が相当する。 (C) 治療のため入院または入院期間の延長が必要となったもの 治療目的の入院、または入院期間延長が必要となったものを指す。

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ただし、研究者、研究機関、被験者、その他当該研究関係者の利便を理由とするものは含ま

ない。 (D) 永続的または顕著な障害・機能不全に陥ったもの (E) 先天性異常や出生異常を生じたもの (F) 即座に生命を脅かしたり死や入院には至らなくとも、被験者を重大な危機にさらしたり、

上記(A)~(E) のような結果に至らないための処置を必要としたもの ③予期しない重篤な有害事象の定義 重篤な有害事象であって、下記いずれかの基準に該当するものをいう。 (1) 未知のもの (2) 既知であるが、その性質や重症度が通常参照可能な既存情報に照らして一致しないもの 上記において未知とは、当該事象がプロトコール、医療機器の説明書など当該研究の関連文

書に記載されていないことをいう。 また通常参照可能な既存情報とは、上記の各文書に加え、当該臨床研究の対象分野の研究者

であれば当然知りうるべき副作用・不具合等に関する学会報告や文献等の学術情報、および

規制当局等による注意喚起のための通知文書等を指す。 ④不具合の定義: 医療機器に関する研究への参加により被験者に生じた有害事象のうち、当該機器の設計、製

造、販売、流通、使用の段階を問わず、その破損や作動不良などの異常との因果関係につい

て、少なくとも合理的な可能性があるもの、または因果関係を否定できないものを指す。 ⑤重篤な有害事象および不具合等の臨床研究機関の長への報告 研究責任者は、臨床研究に関連する重篤な有害事象及び不具合等の発生を知ったときは、直

ちにその旨を臨床研究機関の長に通知しなければならない。 D.4 有害事象発現後の被験者のフォローアップ 一般臨床における必要事項として有害事象が発現した被験者の経過観察を行うが、本研究は

時間断面研究であり、研究の一環としてのフォローアップは予定しない。 本研究では、臨床研究保険に加入し、有害事象(AE)が生じた場合には、健康被害補償を行

う。 E. 統計解析 E.1 解析方法 脊椎・四肢の形態学的、動態的画像パラメーターに関して解析を行い、また疾患群と正常群

で比較する。Paired t test や Wilcoxon signed rank test 等を用いる。 また、探索的な評価として、新型 CT の脊椎・四肢の形態学的、動態的画像パラメーターと

身体所見や既往歴との関連性を探索する。Fisher の正確検定あるいはχ二乗検定、または回

帰分析等を用いる。

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E.2 登録症例数 600 名(患者 480 名および対照群となる健常者ボランティア 120 名) 患者群内訳:頸椎疾患 40 名、肩疾患 40 名、胸椎疾患 20 名、腰椎疾患 100 名、股関節疾患

40 名、 膝疾患 100 名、足関節疾患 40 名、足部疾患 100 名 健常群内訳:頸椎・肩 40 名(50 歳未満および 50 歳以上、男女各 10 名)、胸椎・腰椎 40 名

(50 歳未満および 50 歳以上、男女各 10 名)、下肢関節 40 名(50 歳未満および 50 歳以上、

男女各 10 名) 算出の根拠: これまで、立位や座位の CT 画像データを報告した先行研究はない。疾患や外傷により遭遇

する頻度が異なるため、それぞれについて症例数を設定した。また各症例の疾患の年齢や性

別に対応する正常群が必要となるため、正常群の被験者数を 120 名と設定した。撮像範囲お

よび被曝量を考慮し、正常群は撮像する部位により 3 グループに分類した。 E.3 有意水準 いずれの解析でも、両側検定で p=0.05 を統計的有意差ありとする。 E.4 試験中止基準 新型 CT の安全性に影響する予期せぬ不具合・欠陥が発見され、修復・改善が不可能と判断

された場合。研究責任者が研究の中止を確定する。 E.5 試験データの取り扱い CT 画像データの欠失が生じた場合:該当する症例は、解析対象から除外する。 異常と判断されるデータが認められた場合の取り扱い:外れ値として別途、記録を残す。 データの不採用を決定する手順:研究責任者が不採用とするか否かを見きわめる。 E.6 統計解析計画からの逸脱 当初の解析計画から逸脱する解析を行った場合は、その旨を論文発表時もしくは学会発表時

に公表する。 E.7 解析対象集団 (1) 全症例:文書による同意が得られた疾患群と正常群。疾患群として脊椎・四肢の外傷もし

くは疾患により慶應義塾大学病院を受診した 16 歳以上の脊椎・四肢の運動障害を呈した患者

を対象とする。正常群として 20 歳以上の脊椎・四肢の罹病歴のない健常ボランボィアを対象

とし、新型 CT を撮影した被験者。 (2) 最大の解析可能集団:以下の除外可能な症例を除いた集団とする。 ・CT 画像データが欠失した症例 ・CT の画質が解析に適さない症例

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(3) 全適格例:適切な画質の新型 CT 画像が得られた症例は適格とし、実際の解析対象集団と

する。 F. 原データおよび原資料の直接閲覧 研究責任者および臨床試験実施施設は、臨床研究に関するモニタリング、監査、倫理審査委

員会などによる審査、および当局による査察の際に、原データ/原資料を直接閲覧に供する。 G. モニタリングおよび監査 G.1 モニタリング 実施する。 G.2 モニタリング実施時期 開始後、終了まで定期的に実施。12 ヶ月毎(年 1 回)。 G.3 モニタリング実施内容 A)研究の進捗状況: 同意取得者数、被験者数(症例登録数)、中止・脱落例数およびその理由の確認 B)被験者保護: ①インフォームド・コンセント(IC) ②同意取得者・被験者の一覧表(連結表)の確認 ③同意書の取得状況、保管状況、記載内容の確認 ④安全性情報 ⑤有害事象(AE)、重篤有害事象(SAE)の発生状況の確認 ⑥SAE 発生時の事後対応の確認 C)研究データの信頼性 ①被験者の適格性(選択基準・除外基準) ②研究データの原資料確認 ③主要評価項目 D)諸規則等および研究計画の遵守 ①倫理審査承認に関する確認(許可通知書の保管、研究実施期間、修正申請の有無・要否、

年次報告完了など) ②臨床試験登録に関する確認(UMIN 臨床試験登録など:完了状況、内容更新の有無・要否

など) H. 倫理 H.1 インフォームド・コンセント 「ヘルシンキ宣言」および「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に準拠し、説明

文書を用いて説明し、被験者から文書による同意を得る。

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H.1.1 代諾 未成年においては保護者から代諾を得る。保護者に対して本研究の趣旨を十分に納得し、理

解されたことを確認の上、文書により同意を得る。 H.1.2 インフォームド・アセント 該当しない。 H.2 研究機関の長への報告 研究開始から1年毎に年次報告を行う。 研究期間が終了した時点で終了報告も行う。 H.3 研究に関する情報公開 UMIN 臨床試験登録(UMIN-CTR)を行う。 添付の、「”新型CTによる脊椎・四肢疾患に対する病態診断と治療法評価” の研究に対す

るご協力のお願い(比較群用)」の中に、研究の概要、研究機関の名称及び研究責任者の氏名、

研究の方法に関する資料を入手又は閲覧できる旨、並びにその入手・閲覧の方法等が記載さ

れている。手数料は必要ない。 H.4 被験者およびその関係者からの相談等への対応 氏名:名倉 武雄 所属:慶應義塾大学医学部運動器生体工学寄付講座 連絡先:〒160-8582 東京都新宿区信濃町 35 慶應義塾大学医学部整形外科教室 TEL:03-5363-3812 I. データおよびサンプルの取り扱いと記録保存 本研究を実施した結果得られた被験者の情報は機密情報と見なされる。被験者の識別のため

に、各被験者に特有の個別識別コード(数字および文字コード)を割り当てる(連結可能匿

名化)。この識別コードは全てのデータで使用する。個人情報管理者は、被験者を識別する文

書は鍵付きの部屋で極秘扱いで管理する。データの信頼性保証のためデータ管理者は個人情

報管理者が担うこととし、評価者とは分離する。本研究または研究結果の報告・出版・発表

において如何なる場合でも本研究の研究協力者を名前で識別することはない。画像データを、

画質向上のため CT メーカーに提供する可能性、医学教育での使用や学術書もしくは Web 上

での公開という形で二次利用させて頂く可能性、他大学や国立研究所等の学術研究を行う機

関や国内企業との画像を利用した共同研究という形で二次利用させて頂く可能性があるが、

その場合も個人情報はすべて匿名化される。身体所見および画像所見も、本研究の研究協力

者を名前で識別することはない。

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I.1 データおよびサンプルの将来の別研究での利用および他機関への提供の可能性 立位・座位 CT のデータはこれまで知られていない画像データであり、医学的にも科学的に

も貴重なデータとなるため、本研究終了後も医学教育での使用や学術書もしくは Web 上での

公開という形で二次利用させて頂く可能性、他大学や国立研究所等の学術研究を行う機関や

国内企業との画像を利用した共同研究という形で二次利用させて頂く可能性がある。したが

って、その旨を被験者に説明文書で明示・説明し、同意を得る。 J. 被験者の経済的負担および保険その他の措置 被験者の経済的負担はない。今回の研究でかかる費用は、研究費より全額支出される。ボラ

ンティアへは研究協力費として総額 1 万円が支払われる。 試験参加中の健康被害補償に対する保険として、臨床研究保険に加入する。 K. 試験結果の公表に関する取決め 研究の成果は、研究参加者を匿名化した上で、学会発表や学術雑誌で発表される予定である。

解析研究の結果として特許権が生じる可能性があるが、その権利は研究機関および研究遂行

者などに属し、被験者や被験者の家族には属さない。また、特許権などをもととして経済的

利益が生じる可能性があるが、被験者や被験者の家族には、その権利はない。 4.5 まとめと今後の課題 本研究では新型 CT によるむち打ち損傷の病態解明を目的に、関連機器の開発状況、必要

となる基礎技術、新型 CT の必要性について 2 年間にわたり調査を行った。特に国内・国外

における研究会・学会に参加することで、多くの情報・開発者の声を聴くことができ有益な

情報を得ることができた。また CT 画像の解析技術、マッチング技術を向上することができ

た。 一方で残念ながら新型 CT の開発・完成については報告することができなかったが、倫理委

員会承認、研究計画プロトコールは完成しておりいつでも研究が開始できる状況にまでこぎ

つけることができた。 新たな診断機器の開発により、頸椎むちうち損傷の病態解明のみならず、そこから派生す

る知識をもとにその予防・対処の確立へと発展することが期待される。これらのあらたな技

術・知識の創出が、交通事故による犠牲者がゼロとなり、安全なクルマ社会の実現に役立つ

ことを強く希望している。 稿を終えるにあたり、本研究を温かく見守り支援いただいた、タカタ財団、財団理事長高田

暁子氏ならびに財団関係者の皆様に深謝いたします。

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参考文献 1. Than P1, Szuper K, Somoskeöy S, Warta V, Illés T. Geometrical values of the normal and arthritic hip and knee detected with the EOS imaging system. Int Orthop. 2012 Jun;36(6):1291-7. doi: 10.1007/s00264-011-1403-7. Epub 2011 Nov 18. 2. Gelalis ID, DeFrate LE, Stafilas KS, et al. Three-dimensional analysis of cervical spine motion: reliability of a computer assisted magnetic tracking device compared to inclinometer. Eur Spine J 2009;18:276–81. 3. Waeyaert P, Jansen D, Bastiaansen M, Scafoglieri A, Buyl R, Schmitt M, Cattrysse A. Three-dimensional Cervical Movement Characteristics in Healthy Subjects and Subgroups of Chronic Neck Pain Patients Based on Their Pain Location. SPINE Volume 41, Number 15, pp E908–E914 4. Mochizuki T, Tanfuji O, Koga Y, Sato T, et al. Sex differences in femoral deformity determined using three‑dimensional assessment for osteoarthritic knees Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc DOI 10.1007/s00167-016-4166-2 5. Kimura T, Kubota M, Taguchi T, Suzuki N, Hattori A, Marumo K. Evaluation of First-Ray Mobility in Patients with Hallux Valgus Using Weight-Bearing CT and a 3-DAnalysis System A Comparison with Normal Feet. J Bone Joint Surg Am. 2017; 99:247-55 http://dx.doi.org/10.2106/JBJS.16.00542 7. Kern A, Anthony C, Goetz J, Schumer R, Kruze AJ, Femino JE. Are Measures of Hindfoot Alignment Sensitive to Pathologyand Correction? ORS 2017, Poster No. 2139. 8. Hoshi Y, Oki S, Yoshida R, Morishige Y, Harato K, Jinzaki M, Nakamura M, Matsumoto M, Nagura T. Four-dimensional CT Analysis of Recurrent Patellar Dislocation—A 3D-3D Registration Technique. ORS 2017, Poster No. 2239.