Cvss v3 を使った脆弱性の評価 公開版

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CVSS v3 を使った脆弱性の評価 サイボウズ株式会社 Copyright (C) Cybozu,Inc. 1

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CVSS v3 を使った脆弱性の評価サイボウズ株式会社

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CVSS(Common Vulnerability Scoring System)

•脆弱性に対するオープンで標準的な評価手法

•脆弱性を 2 軸で評価し、深刻度を定量化

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攻撃による影響

情報の CIA をどの程度侵害するか

攻撃の難易度

攻撃者がシステムを容易に攻撃できるか

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CVSS v3 の評価

•攻撃対象となるコンポーネントの脆弱性による影響を評価

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深刻度Ⅲ

深刻度Ⅱ

https://www.ipa.go.jp/security/vuln/CVSSv3.html

共通評価システム CVSS v3 概説

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コンポーネント

•各ソフトウェア / サービスや Web ブラウザのこと

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特定ドメイン

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コンポーネントと管理権限の範囲(1)

•サービスを構成するコンポーネント群

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特定ドメイン

kintone の管理権限の範囲(Authorization Scope)

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コンポーネントと管理権限の範囲(2)

•サービスを構成するコンポーネント群

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特定ドメイン

Garoon の管理権限の範囲(Authorization Scope)

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コンポーネントと管理権限の範囲(3)

•クライアント端末は別の Authorization Scope

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端末の管理権限の範囲(Authorization Scope)

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CVSS v3 の評価観点

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CVSS v3

攻撃の難易度 どこから攻撃可能であるか攻撃元区分(AV: Access Vector)

攻撃する際に必要な条件の複雑さ攻撃条件の複雑さ(AC: Access Complexity)

攻撃する際に必要な特権レベル必要な特権レベル(PR: Privileges Required)

攻撃する際に必要なユーザ関与レベルユーザ関与レベル(UI: User Interaction)

攻撃による影響 攻撃による影響範囲の想定範囲影響の想定範囲(S: Scope)

機密情報が漏えいする可能性機密性への影響(C: Confidentiality Impact)

情報が改ざんされる可能性完全性への影響(I: Integrity Impact)

業務が遅延・停止する可能性可用性への影響(A: Availability Impact)

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CVSS v3 の評価観点

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攻撃元区分(AV: Access Vector)

•システムをどこから攻撃可能であるか

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攻撃の難易度

脆弱なコンポーネントに対しネットワーク経由で攻撃可能か

脆弱性に対し、ルータ経由(OSI 参照モデル L3)で

攻撃可能か

攻撃成立のために物理的に対象にアクセスする

必要があるか

Yes

No

ネットワーク(N)インターネット経由で攻撃可能

隣接(A)隣接ネットワークから攻撃可能(Wifi , Bluetooth などを含む)

ローカル(L)ローカル App 経由で攻撃可能(ユーザに App を開かせる等)

物理(P)攻撃者が攻撃対象に物理的にアクセスする必要がある

Yes

No

Yes

No

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攻撃条件の複雑さ(AC: Access Complexity)

•攻撃に必要な条件がどのようなものか

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攻撃の難易度

攻撃者は、攻撃者自身の意思のままに攻撃可能か

低(L)攻撃成立に必要な条件はなく、攻撃者はいつでも攻撃可能

高(H)攻撃者以外に依存する攻撃条件が存在し、対象の環境に関する情報収集などが必要。または中間者攻撃を行う必要がある。

Yes

No

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中間者攻撃

•他人のネットワーク上での通信に対して、通信経路上に介入して通信内容を書き換える攻撃

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盗聴

通常の通信

中間者攻撃

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必要な特権レベル(PR: Privileges Required)

•攻撃に必要な認証レベルを評価

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攻撃の難易度

攻撃前に認証が必要か

攻撃前に必要な認証は管理者権限に相当するか

No

Yes

不要(N)認証なしで攻撃可能(第三者による攻撃が可能)

低(L)攻撃者はコンポーネントに対する基本的な権限を有している必要がある(ユーザ権限相当)

高(H)攻撃者はコンポーネントに対する管理者権限相当を有している必要がある

No

Yes

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ユーザ関与レベル(UI: User Interaction)

•攻撃のためにユーザ(被害者)の関与が必要かを評価

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攻撃の難易度

攻撃の成立までにユーザのアクションが必要か

不要(N)ユーザが何もしなくても攻撃が完了する

要(R)攻撃完了のために、ユーザによるリンクのクリック、ファイル閲覧、設定変更など何らかのアクション(関与)が必要

No

Yes

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影響の想定範囲(S: Scope)

•攻撃による被害の想定範囲を評価

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攻撃による影響

攻撃の影響が、攻撃を直接受ける対象とは別のコンポーネントに

まで及ぶか

変更有り(C)影響が脆弱なコンポーネントにまで波及する(XSS、リフレクター攻撃など)

変更なし(U)影響範囲は脆弱なコンポーネント内に留まる

Yes

No

脆弱性の影響がコンポーネントの範囲外に広がる場合、1.2 倍程度評価値が高くなる。

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影響範囲の拡大に関する考え方(1)

•脆弱性の影響が Authorization Scope を超えるか

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攻撃者は kintone を攻撃したが、影響が kintone の管理権限の範囲(Authorization Scope)を超えていないので、影響範囲の変更は無し

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影響範囲の拡大に関する考え方(2)

•脆弱性の影響が Authorization Scope を超えるか

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攻撃者は kintone を攻撃したが、影響が kintone の管理権限の範囲(Authorization Scope)を超えているので、影響範囲の変更がされたと評価

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情報セキュリティの3要素

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攻撃による影響

情報

セキュリティ

機密性

完全性可用性

Availability Integrity

Confidentiality

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機密性への影響(C: Confidentiality Impact)

•攻撃された際に機密性に影響があるか

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攻撃による影響

攻撃成立によって機密性に何らかの影響を

受けるか

すべての情報または、重要な情報が漏えいするか

高(H)攻撃成立によって全てのファイルまたは、機密情報や重要なファイルシステムが参照可能になる(認証情報の漏えい等)

低(L)一部ファイルシステムが参照可能だが、機密情報や重要なファイルシステムは参照できない

なし(N)システムの機密性に影響はない(情報漏えいは起こらない)

Yes

No

Yes

No

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完全性への影響(I: Integrity Impact)

•攻撃された際に完全性に影響があるか

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攻撃による影響

攻撃成立によって完全性に何らかの影響を

受けるか

すべての情報または、重要な情報を改ざんされるか

高(H)攻撃成立によって全てのファイルまたは、機密情報や重要なファイルシステムを改ざん可能になる(認証情報の漏えい等)

低(L)一部ファイルシステムを改ざん可能だが、機密情報や重要なファイルシステムは改ざんできない

なし(N)システムの完全性に影響はない(情報改ざんは起こらない)

Yes

No

Yes

No

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可用性への影響(A: Availability Impact)

•攻撃された際に可用性に影響があるか

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攻撃による影響

攻撃成立によって可用性に何らかの影響を

受けるか

システムを完全に停止または、リソースを完全に枯渇させる

ことが可能か

高(H)システムを完全に停止させたりネットワーク帯域やディスクスペースなどのリソースを完全に枯渇させることが可能

低(L)システムを一時的または、部分的に停止させたり、リソースを一時的または部分的に枯渇させることが可能

なし(N)システムの可用性に影響はない(システム停止・遅延は起こらない)

Yes

No

Yes

No

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深刻度の評価

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CVSS の評価基準

•3つの評価基準が存在します。

• 基本評価基準(Basic Metric)• 脆弱性の技術的な特性を評価する基準

• 現状評価基準(Temporal Metric)• ある時点における脆弱性を取り巻く状況を評価する基準

• 環境評価基準(Environmental Metric)• ユーザ環境における問題の大きさを評価する基準

•サイボウズでは基本評価基準を用います

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深刻度を5段階で評価

深刻度 CVSS v3 基本値

緊急(Critical) 9.0 ~ 10.0

重要(High) 7.0 ~ 8.9

警告(Middle) 4.0 ~ 6.9

注意(Low) 0.1 ~ 3.9

なし 0

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◇ CVSS スコア

5.7(CVSS:3.0/AV:N/AC:H/PR:H/UI:R/S:U/C:H/I:H/A:N)

警告(Middle)

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サイボウズの情報公開

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脆弱性情報の公開

サイボウズからのお知らせ

• サイボウズから発信するセキュリティ情報全般を掲載• https://cs.cybozu.co.jp/security/

不具合情報公開サイト

• 脆弱性を含むサイボウズ製品の不具合情報を掲載• https://support.cybozu.com/ja-jp/

脆弱性を改修したことを自社サイトにて公開

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脆弱性情報の公開例

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項目名 内容

脆弱性タイプ ソフトウェアにおけるセキュリティ上の弱点(脆弱性)の種類を識別するための共通の基準である「CWE」に基づいた脆弱性の分類を掲載いたします。

CWE

https://www.ipa.go.jp/security/v

uln/CWE.html

脆弱性の基本評価 CVSS v3 の各評価項目について掲載いたします。

CVSS 基本値 CVSS v3 の評価結果を記載いたします。

補足 脆弱性情報に関する補足情報を記載いたします。

引用元 https://support.cybozu.com/ja-jp/article/9480

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サイボウズ製品の評価例

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脆弱性の評価比較 - DoS

• CVE-2015-8489 サイボウズ Office における DoS

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評価項目 v3 V2 備考

基本値 6.5 6.8

攻撃元区分(AV) ネットワーク ネットワーク

攻撃条件の複雑さ(AC) 低 低

攻撃前認証要否(Au) 単一

必要な特権レベル(PR) 低 Office にログインする必要がある

ユーザ関与レベル(UI) 不要

影響の想定範囲(S) 変更なし Office の管理権限の範囲を超えない

機密性への影響(C) なし なし

完全性への影響(I) なし なし

可用性への影響(A) 高 全面的 Office が利用不可となる

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脆弱性の評価比較 – 情報漏えい

• CVE-2015-8488 Office における情報漏えいの脆弱性

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評価項目 v3 V2 備考

基本値 4.3 5.0

攻撃元区分(AV) ネットワーク ネットワーク

攻撃条件の複雑さ(AC) 低 低

攻撃前認証要否(Au) 不要

必要な特権レベル(PR) 不要 Office にログインする必要が無い

ユーザ関与レベル(UI) 要

影響の想定範囲(S) 変更なし Office の管理権限の範囲を超えない

機密性への影響(C) 低 部分的 重要度の低い一部の情報が漏えい

完全性への影響(I) なし なし

可用性への影響(A) なし なし

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脆弱性の評価比較 – XSS

• CVE-2015-7795 Office における XSS の脆弱性

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評価項目 v3 V2 備考

基本値 6.1 4.3

攻撃元区分(AV) ネットワーク ネットワーク

攻撃条件の複雑さ(AC) 低 中

攻撃前認証要否(Au) 不要

必要な特権レベル(PR) 不要 Office にログインする必要が無い

ユーザ関与レベル(UI) 要

影響の想定範囲(S) 変更あり クライアント端末で影響

機密性への影響(C) 低 なし

完全性への影響(I) 低 部分的

可用性への影響(A) なし なし

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脆弱性の評価比較 – CSRF

• CVE-2016-1151 Office における CSRF

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評価項目 v3 V2 備考

基本値 4.3 2.6

攻撃元区分(AV) ネットワーク ネットワーク

攻撃条件の複雑さ(AC) 低 高 攻撃者に依存する条件は無い

攻撃前認証要否(Au) 不要

必要な特権レベル(PR) 不要 Office にログインする必要が無い

ユーザ関与レベル(UI) 要

影響の想定範囲(S) 変更なし Office の管理権限の範囲を超えない

機密性への影響(C) なし なし

完全性への影響(I) 低 部分的 影響は重要度の低い一部の情報に限定

可用性への影響(A) なし なし

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参考資料

• CVSS v3 概説• https://www.ipa.go.jp/security/vuln/CVSSv3.html

• Common Vulnerability Scoring System v3.0: User Guide• https://www.first.org/cvss/user-guide

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