Creating Added Value in a Changing World...Creating Added Value in a Changing World 年次報告書...

72
Creating Added Value in a Changing World 年次報告書 2010

Transcript of Creating Added Value in a Changing World...Creating Added Value in a Changing World 年次報告書...

Creating Added Value in a Changing World

年次報告書 2010

オリックス株式会社 

年次報告書 

2010

1989年3月期(半年決算)

2009年3月期リーマン・ショック

2010年3月期378億円

2011年3月期570億円(見込み)

1988年9月期ブラックマンデー

1979年9月期第二次オイルショック

1974年9月期第一次オイルショック

2002年3月期ITバブル崩壊

0

500

1,000

1,500

2,000

(億円)

1964 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2011

1993年3月期バブル経済崩壊

1998年3月期アジア通貨危機

ORIXCorporation—AnnualReport2010

OUR STRENGTHS

1 Our Strengths

6 株主の皆様へ―宮内CEOメッセージ 中長期的な経営戦略などについて

10 梁瀬COOメッセージ 2010年3月期の業績総括および2011年3月期の経営方針について

13 特集環境変化に対応したオリックスならではの戦略―国内戦略―海外戦略―事業活動トピックス

19 セグメント別事業概況

20 ORIX at a Glance

22 セグメント利益、セグメント資産、ROAの推移

23 資産・収益のセグメント別内訳

24 法人金融サービス事業部門

26 メンテナンスリース事業部門

28 不動産事業部門

30 投資銀行事業部門

32 リテール事業部門

34 海外事業部門

36 経営管理体制―企業理念/経営方針/利益配分等に関する方針

36 マネジメントチーム

42 コーポレート・ガバナンス

47 リスク管理

52 浦田CFOインタビュー

53 社会とのかかわり

54 環境とのかかわり

55 財務セクション

64 グループ会社一覧

66 拠点一覧

68 株式情報

69 会社情報/ウェブサイトガイド

見通しに関する注意事項本年次報告書に掲載されている当社の現在の計画、見通し、戦略などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しであり、これらは、現在入手可能な情報から得られた当社の判断に基づいております。したがいまして、これらの見通しのみに全面的に依拠することはお控えくださるようお願いいたします。実際の業績は、外部環境および内部環境の変化によるさまざまな重要な要素

により、これらの見通しとは大きく異なる結果となり得ることを、ご承知ください。これらの見通しと異なる結果を生じさせる原因となる要素は、当社がアメリカ合衆国証券取引委員会(SEC)に提出していますForm20-Fによる報告書の「リスク要因(RiskFactors)」および関東財務局長に提出しています有価証券報告書の「事業等のリスク」において記載されていますが、これらに限られるものではありません。Form20-Fおよび有価証券報告書は、当社のホームページ(www.orix.co.jp)においてご覧いただけます。

オリックスは、常に新しいビジネスを追求し、先進的な金融

商品・サービスを法人・個人のお客様に提供する金融サービス

グループです。日本におけるリース事業のパイオニアとして1964年に設立され、海外においても1971年の香港進出を皮切りにアジア各国においてリースを普及させてきました。現在、日本を含む世界27カ国・地域に拠点を設け、リースをは

じめ、融資・レンタル・自動車・生命保険・信託銀行・不動産などを中心に多角的に事業を展開しています。オリックスは、金融サービスの分野においてユニークな存在と

して強く認識されており、今後もたえず市場の要請を先取りし、先進的・国際的な金融サービス事業を通じて新しい価値の創造を目指し、社会に貢献していきます。

当期純利益の推移オリックスは創業時に赤字を計上した以外、オイルショックやバブル経済崩壊、リーマン・ショックなど経済環境が大きく変化するなかでも、毎期黒字を確保し続けています。

CONTENTS

OurStrengthsAbout ORIX

ORIX Corporation — Annual Report 2010 �

1989年3月期(半年決算)

2009年3月期リーマン・ショック

2010年3月期378億円

2011年3月期570億円(見込み)

1988年9月期ブラックマンデー

1979年9月期第二次オイルショック

1974年9月期第一次オイルショック

2002年3月期ITバブル崩壊

0

500

1,000

1,500

2,000

(億円)

1964 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2011

1993年3月期バブル経済崩壊

1998年3月期アジア通貨危機

法人金融サービス融資/リース/金融商品販売などの手数料ビジネス/環境関連ビジネス

メンテナンスリース自動車リース/レンタカー/カーシェアリング/測定機器・情報関連機器などのレンタルおよびリース

投資銀行不動産ファイナンス/商業用不動産担保ローンの証券化/サービサー(債権回収)/プリンシパル・インベストメント/M&Aアドバイザリー/ベンチャーキャピタル/証券

リテール生命保険/信託銀行/カードローン/オンライン証券

海外リース/融資/債券投資/投資銀行/不動産関連/船舶・航空機関連

お客様

専門知識の融合

顧客基盤

グループネットワーク

不動産オフィスビル・商業施設などの開発・賃貸/マンション分譲/ホテル・ゴルフ場・研修所などの運営/高齢者向け住宅の開発・運営/不動産投資法人(REIT)の資産運用・管理/不動産投資顧問

次なるステージに向けて収益回復スピードを加速

専門性の高度化に財務の健全性の強化とリスク管理の深化を付加し、健全な業容と着実な成長を持続していきます。

事業構造法人金融サービス・メンテナンスリー

ス・不動産・投資銀行・リテール・海外の異なる6つの独立した事業で構成されています。オリックスは、グループ各社の高い専門知識と国内外の強固な顧客基盤、そして、グループネットワークを最大限に活用し、お客様の抱える経営課題を解決すべく「きめ細かな付加価値サービス」を提供しています。

P. 2~3

P. 6~18

OurStrengthsAbout ORIX

� ORIX Corporation — Annual Report 2010

メンテナンスリース

不動産

法人金融サービス

投資銀行

海外

リテール

国内ネットワーク

1,098 拠点

海外ネットワーク

26カ国・地域

275 拠点

OUR STRENGTHS

強い個別事業とそのネットワーキング各事業分野で確立された高い専門知識を融合し、他の事業とのシナジーにより持続的成長を実現

「強い個別事業とそのネットワーキング」がオリックスの最大の強みです。個々の高い専門知識の融合に強固な顧客基盤を

掛け合わせることにより、今後も持続的な成長を目指します。

Our Growth Foundation

オリックスには、中堅・中小企業を中心とした強固な顧客基盤が存在するため、これらの営業ネットワークを活用することで商品・サービスを複合的に提供できる強みがあります。また、海外においてもローカル・パートナーを活用し、ローカル・クライアント向けにさまざまな金融サービス事業を手掛けており、アジア地域において確固たる地位を築いています。部門や地域を超えたチームプレーと情報伝達・協力体制を一層強化することで、お客様へ価値のある多様な商品・サービスを提案しています。

オリックスはお客様の多様な要請に対してたえず質の高いサービスを提供することに努めてきました。個別の事業が確固たる地位を確立し、独立しても十分な力を持っており、各セグメントが高い収益性と成長性を兼ね備えています。また、あらゆるお客様のニーズに対応するために、他の事業と商品・サービスを相互に提供できる体制を構築しています。各事業分野で確立された高い専門知識とグループ各社が展開する商品・サービスを柔軟に組み合わせることでお客様に付加価値の高いサービスを提供しています。

顧客基盤国内外で確立された「顧客基盤の強さ」と多様な商品・サービスの提案力が競争力の源泉

ORIX Corporation — Annual Report 2010 �

Our Growth Foundation

「知の融合とチームプレー」が生み出す企業価値今後も、常に新しいビジネスを追求しつつ、お客様と市場のニーズに応え

たさまざまな金融サービスを提供していくことで、さらに企業価値を向上させていきます。

シナジー効果を最大限に発揮することで新たな収益機会の発掘が可能 1お客様のニーズに合わせたきめ細かな 付加価値サービスの提供が可能2広範に分散された事業ポートフォリオに より、着実に収益を積み上げることが可能3

� ORIX Corporation — Annual Report 2010

当社株主資本比率

0

5

10

15

20

25(%)

16.78

13.9514.1014.5513.1711.98

8.25 7.91 8.5210.03

01/3 10/309/308/307/306/305/304/303/302/3

01/3 10/309/308/307/306/305/304/303/302/3

(%)

0

5

10

15

20

25

3.061.80

13.78

18.30

19.80

14.17

10.10

6.008.367.70

ROE D/Eレシオ(倍 )

0

2

4

6

8

10

3.404.504.574.22

4.795.24

6.32

7.878.868.44

01/3 10/309/308/307/306/305/304/303/302/3

OUR STRENGTHS

Group Performance

単位:百万円 単位:%

2006 2007 2008 2009 2010 前期比

営業収益 906,944 1,115,482 1,135,338 1,053,521 932,841 (11)

営業費用 694,589 834,830 949,784 1,000,166 903,270 (10)

税引前当期純利益 247,141 314,565 246,119 8,687 55,608 540

当社株主に帰属する当期純利益 166,388 196,506 169,597 21,924 37,757 72

当社株主資本 953,646 1,194,234 1,267,917 1,167,530 1,298,684 11

総資産 7,242,455 8,207,187 8,994,970 8,369,736 7,739,800 (8)

ROE(%) 19.80 18.30 13.78 1.80 3.06

ROA(%) 2.50 2.54 1.97 0.25 0.47

当社株主資本比率(%) 13.17 14.55 14.10 13.95 16.78

D/Eレシオ(預金除く) *1(倍) 4.79 4.22 4.57 4.50 3.40

有利子負債 *2 4,925,753 5,483,922 6,263,017 5,919,639 5,263,104 (11)

1株当たり当社株主に帰属する 当期純利益(円):  (基本的) 1,883.89 2,177.10 1,860.63 246.59 370.52 50

  (希薄化後) 1,790.30 2,100.93 1,817.81 233.81 315.91 35

1株当たり当社株主資本(円) 10,608.97 13,089.83 14,010.62 13,059.59 12,082.56 (7)

配当金 *3 (円) 90 130 260 70 75

従業員数(名) 15,067 16,662 18,702 18,920 17,725

* 1. 有利子負債(預金除く)÷当社株主資本 2. 長短借入債務および預金 3. 該当決算期に対する1株当たり配当金額

財務ハイライト(3月31日に終了した事業年度)

ORIX Corporation — Annual Report 2010 �

業績ハイライト

当期純利益は前期比72%増の378億円期初見通しの300億円を26%上回る実績

D/Eレシオは3.4倍を達成利益の積み上げに加え、増資により株主資本を増強し、財務体質を強化

総資産を前期末83,697億円から6,299億円圧縮前期末比で7.5%の圧縮

2010年3月期の主要トピックス (発表月ベース)2009年 5月 三井住友銀行とオリックスによる

オリックス・クレジットの共同事業化オリックス・クレジットの株式51%を(株)三井住友銀行に譲渡し、共同事業化をスタートさせました。今後、変化の激しい消費者金融市場のなかで、オリックス、(株)三井住友銀行のノウハウ、人材やネットワークを活用することで、プレゼンスの向上を図りながらさらなる成長を目指します。

2009年 7月 公募増資を実施 期初に掲げた財務の安定性強化の方針に基づき、約8年ぶりに公募増資(834億円)を実施。これに

より財務体質は大きく改善しました。また、これまで構築してきたグループの顧客・事業基盤を活かし、中堅・中小企業向けソリューションビジネス、不動産関連事業、アジアへの多角的事業展開に注力することを発表しました。

2009年10月 マネックスグループとオリックスによる 証券子会社の統合および資本提携 オリックス証券をマネックスグループ(株)に株式交換により譲渡し、同社の株式22.5%を保有する

と共に資本提携契約を結びました。これによりオリックスはマネックスグループ(株)の筆頭株主となり、マネックスグループ(株)はオリックスの持分法適用会社となりました(2010年5月にはマネックス証券(株)とオリックス証券の合併が完了)。今後も、両社グループの連携と協働を推進することで、持続的な企業価値の向上を目指します。

2010年 1月 中国本社を設立中国、大連市に「欧力士(中国)投資有限公司」を設立し、中国本社としました。既存のリース、レンタル事業に加えて、自動車リースや航空機リースなどの広範な金融関連サービス業務を充実させていきます。さらに中国での投融資事業を本格化し、優良中国系顧客とパートナーの開拓を推進し、事業拡大を加速させていきます。

三井住友銀行との共同記者会見

マネックスグループとの共同記者会見

大連市との戦略的提携合意書調印式

� ORIX Corporation — Annual Report 2010

株主の皆様へ ̶宮内CEOメッセージ

�0�0年�月期の成果報告

次なる成長ステージへ確かな手ごたえオリックスの2010年3月期(当期)における最終損益(当社株主に帰属する当期純利益)は、前期比で72%増加の378億円となり、期初の見通し(300億円)を26%上回る結果となりました。このように、前期比や当初計画比では大きな回復をみせた最終損益ですが、その水準自体は、金融危機以前には及ばない状況です。しかしながら、困難な経営環境のなか、対処すべき課題に対して迅速かつ積極的に取り組んだ結果、2期連続でしっかり利益を計上できたことは大きな成果だと思っています。現在の利益水準自体に、決して満足しているものではありませんが、期初に掲げたとおり、資産の圧縮やD/Eレシオの低下の実現により、財務の健全性もさらに強化でき、次なる成長ステージへ移行させるうえで「確かな手ごたえ」を感じることができた1年であったと、総括いたします。

Insight&Action Creating Added Value in a Changing World

専門性強化とリスク管理の深化で、 持続可能な成長へオリックスは、未曾有の金融危機に対し、切れ目なくスピード感を持って財務の安定性強化をはじめとした「企業体質の強化」と「事業の再構築」に取り組んできました。その結果、前期は黒字を堅持、当期は期初見通しを上回る増益の達成と、確実に成果を上げています。これは、オリックスが設立以来行ってきた「事業の分散」と「資金調達の分散」が効果を発揮したものだと考えています。まだ不透明な状況が続くなか、各事業の専門性の高度化と新規分野の開拓に努力するとともに、財務の健全性の強化ならびにリスク管理の深化を付加し、健全な業容と着実な成長を持続していきます。

オリックスグループCEO

宮内 義彦

ORIX Corporation — Annual Report 2010 �

Insight&Action Creating Added Value in a Changing World

オリックスの「強さの本質」

事業と資金調達の分散オリックスは、日本におけるリース業界のパイオニアとして1964年に事業を開始し、その後は、単にリースの取扱い品目を広げるだけでなく、周辺業務の専門性を高めることで貸付関連業務、 オペレーティング・リース業務、不動産関連業務、さらには生命保険や銀行業務などといった、個別事業がしっかりと成長し、その結果として「事業の分散」が進みました。また、アジア、北米、さらには中東など「地域の拡大」も推進、今日では日本を含む世界27カ国・地域に拠点を設けています。一方で、資金調達手段の多様化も進めてきました。資本市場の拡大が進むなか、資本市場からの調達に偏重しすぎることなく、直接調達と間接調達の比率を概ね50対50でバランスさせてきました。間接金融は、取引金融機関を200行以上にわたり分散させてきました。こうしたことが、今回の金融危機を乗り越えることができた要因だと考えています。過去46年のオリックスの歴史のなかで、2度のオイルショック、日本のバブル経済の崩壊、アジア通貨危機、ITバブルの崩壊、そして今回の金融危機と、私たちは数々の難局に直面してきました。しかし、オリックスの場合、そのような厳しい環境を経験しながらも、多角化した事業ポートフォリオとバランスの取れた調達の多様化により、これらの難局を乗り切り、なおかつ、設立直後を除いては一度も最終赤字に転落することなく、持続的成長を遂げることができました。

強い個別事業と相互のネットワーキング事業ポートフォリオは十分な専門性を持った隣接分野への進出、あるいは専門性の高い事業の

M&Aなどを通じ、長年かけて構築してきました。各事業においてオリックスの持つ専門性やノウハウが深化し、独立事業として成り立つものが増えていきました。その結果として、質の異なる事業分散がなされ、リスク分散効果を発揮しました。さらに、個別事業が基本的に確固たる地位を確立し、高い収益性と成長性を兼ね備えていることも特徴です。これらは、相互に商品やサービスを提供するなど、相乗効果を持ちながら成長してきましたが、このような「強い個別事業と相互のネットワーキング」がオリックスの最大の強みなのです。

マクロ環境に応じた適切なリスクマネジメントまたオリックスには、このような「事業基盤の強さ」に加えて、マクロ環境の変化に半歩先駆けた、迅速かつ大胆な行動を支える「リスクマネジメント力」があります。リーマン・ブラザーズの破綻より随分前の2007年12月の段階で、資産の拡大にはブレーキをかけていました。当期は、特に不動産関連資産の圧縮を進め、リスクマネジメントの強化に努めました。いかに強い事業基盤を持っていても、金融情勢や需要動向を無視して、レバレッジを拡大し続けても健全性の向上を実現できないことは、歴史が物語っています。今後もリスク管理の深化に注力しながら、利益成長の達成を目標としていきます。また、株主資本の範囲内で、事業リスクを外部環境の変化に合わせて適切にマネージしてきたことも既述した数々の難局を乗り越えた要素と考えています。

� ORIX Corporation — Annual Report 2010

株主の皆様へ ̶宮内CEOメッセージ

これからの経営戦略

これからの成長分野これからの成長の源をどこに求めていくのか。まず基本的には、既存ビジネスのさらなる成長です。いずれのビジネスも成長余力があると考えています。それに加え、以下に述べる3つの分野を念頭に置いています。まず、「成長分野」の一例として、オリックスの長い経験と高い専門性が活用できる分野である「金融+サービス」があります。日本国内外で新しいフィービジネス分野を開拓し、 資産規模を拡大せず付加価値の提供により、短中期的に安定収益基盤として成長させたいと思っている分野です。次に、「成長地域」の取り込みとしてアジアがあります。日本国内で推進してきた事業の多角化をアジアにおいてもさらに展開させ、中国をはじめとする主要各国においてローカル・パートナーとの関係強化によるリスク分散を図りながら、事業拡大への種まきを加速していきます。これらのアジア関連ビジネスからは比較的短期での利益貢献を期待しています。最後に、環境やエネルギーといった新規分野が挙げられます。環境関連ビジネスは、オリックスが1990年代半ばから取り組んできた事業分野であり、民間では日本国内で最も先進的な廃棄物処理施設を運営しているなど、「オリックスならではの強み」を発揮できる分野です。この分野については、長期的視点で取り組みながら成果を出していきたいと考えています。

持続可能な成長オリックスでは危機対応を完了し、ここから成長軌道への回帰をより確かなものにしていきますが、2011年3月期(来期)の1年間が重要な位置づけになるものと考えています。背景には、決して楽観視できないマクロ環境があります。世界経済は最悪期こそ脱したものの、依然として先進国を中心に雇用情勢などに不透明感があります。また、欧州財政危機に代表されるように、金融不安の火種がまだ残されています。もとより、金融資本市場がもとに戻ることはありません。金融危機の経験から多くのことを学びました。金融市場の機能に十全の信頼が持てないことを前提に、これからの企業経営は、財務の健全性を保ち、リスク管理を徹底しながら利益成長を達成する必要があります。それが持続可能な成長ということになります。オリックスも、先に述べた専門性の高度化に財務の健全性の強化とリスク管理の深化を付加し、健全な業容と着実な成長を持続していきたいと考えています。そのなかで来期は、最終利益570億円(当期比50%増)、全セグメント黒字化を目標とします。また、経営指標の一つであるROEは中期的に10%を目標とします。

株主の皆様へ

新しい価値の創造を目指してオリックスは、「ほかにはないアンサーを。」を最大のスローガンとして、新しい価値の創造を目指している企業グループです。つまり「こんなサービス・商品が欲しかった」と社会の皆様に喜んでいただくことが、まさにオリックスの成長につながりますし、また逆に、高い付加価値を認めていただけるサービス・商品を提供できる企業グループであり続けることこそが、真の社会貢献なのだという強い信念があります。

ORIX Corporation — Annual Report 2010 �

オリックスの経営管理体制

コーポレート・ガバナンスについてオリックスは、事業のみならず、コーポレート・ガバナンスにおいても、先進的だと高く評価いただける企業グループでありたいと考えています。実際、オリックスでは、1997年に諮問委員会を設置して以来、社外取締役の招聘、委員会設置会社への移行、指名・報酬両委員会の独立取締役のみによる構成など、監督機能と執行機能を明確に分離した体制を、積極的に構築・強化してきました。特に社外取締役については、当社の指名委員会が定めた「独立性を有する取締役の要件」を、全社外取締役が満たしており、このことは、2011年3月期より東京証券取引所から上場企業に要求されている「独立役員」の考え方を、まさに先取りしたものであると考えています。

社員と共に

個性・多様性の尊重オリックスの成長の最大の原動力は、まさに、優れた人材であると考えています。「Keep Mixed」

という考えのもと、年齢、男女、学歴、国籍を問わず、それぞれの能力・専門性を最大限に活かせる職場づくりを目指しています。「オリックスに入って本当に良かった」「企業の成長と社会・株主への貢献を通して、十分な達成感を味わえた」と、一人でも多くの社員に実感してもらえるように引き続き努力していきたいと思っています。

オリックスは今後とも「独自性」と「柔軟性」をベースとした専門性、チームプレー力を通して一層の企業価値の向上を実現することによって、株主の皆様に喜んでいただける経営を行っていきます。

2010年7月

取締役兼代表執行役会長・オリックスグループCEO

�0 ORIX Corporation — Annual Report 2010

梁瀬COOメッセージ

�0�0年�月期を振り返って

財務の安定性と企業体質の強化を断行し、数値目標はすべて達成2010年3月期(当期)は守りに軸足を置きながらも、期初に計画した利益、財務の安定性、リスク管理強化に関する数値目標をすべて達成することができ、2011年3月期(来期)につなげていけると確信を持てた1年であったと総括できます。当期における最大のテーマは、100年に1度の金融危機ともいわれた想像を絶する信用収縮下に

おいて、まず何よりも、オリックスの経営基盤をゆるがしかねないリスクファクターを徹底的に排除すること、また、信用収縮に適合するために財務の安定性強化や企業体質の強化に取り組むことでした。そこで、資産圧縮や負債削減などのバランスシートの強化を加速するとともに、 大口投資先のモニタリングを徹底的に強化した結果、保有有価証券の大きな減損発生のリスクを極小化する

ことができました。

「信認の回復」に成果、次の成長へ 最高執行責任者(COO)としての私の使命は大きく�つあると考えます。�つ目は、困難な経済情勢に柔軟に適合しながら「経営の健全性」を向上させていくことです。�つ目は、大きなビジネス・オポチュニティを的確に捉えて、「次の持続的成長」につながる原動力を、事業基盤のなかに着実にビルトインさせることです。当期は財務の安定性強化や企業体質の強化を断行しながらも、期初の見通しを大きく上回る増益を達成することができました。この流れを来期につなげるとともに、中長期を見据えて、「新たな収益源」を萌芽させる努力を続け、成長軌道へしっかりと回帰させることに全力を挙げてまいります。

オリックスグループCOO

梁瀬 行雄

写真:カーシェアリングで使用している、電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」

Insight&Action Creating Added Value in a Changing World

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

期初に、金融・不動産マーケットの正常化には相当な時間がかかるであろうということと、マクロ経済はさらに不況が鮮明化するであろうという2つの見通しのもとで、実現しなければならない具体的な数値目標を公表し、信認の回復に努めました。結果は下表のとおり、D/Eレシオの低下、資産の圧縮、クレジットコスト抑制などの数値目標をすべてクリアし、そのうえで、期初見通し比で26%

上回る当社株主に帰属する当期純利益(378億円、2009年3月期比72%増)を達成できました。セグメント全体では、6セグメント中4セグメントで黒字を計上しました。貸倒引当金が高水準であった法人金融サービス事業部門と投資先の(株)ジョイント・コーポレーションが破綻した投資銀行事業部門の2部門が赤字を余儀なくされた一方で、海外事業部門は米国、アジアともに好調、 リテール事業部門でも期初に掲げた利益見通しを大きく上回る結果となりました。オリックスへの信認の回復は、株価の上昇や社債利回りの低下に如実に表れています。私はCOO

として、全役職員の迅速な行動力と、並々ならぬ努力に対して心からの敬意を表します。また、設立時を除き一度も赤字に転落することなく、経営基盤を維持・拡大させ続けてきたオリックスの底力に対し、強い誇りを感じています。

2010年3月期の主要な成果

主要項目 2010年3月期(実績)

2010年3月期(期初見通し) 成果

① 当期純利益 *1 378億円 300億円 上方修正

*1. 当社株主に帰属する当期純利益 2. 預金除く 3. セグメント資産合計

② D/Eレシオ *2 3.4倍 4倍以下 達成

③ 資産の圧縮 *3 7,487億円 4,327億円 達成

④ 不動産関連資産の圧縮 3,701億円 2,912億円 達成

⑤ クレジットコスト 715億円 780億円 見通しを下回る

�0��年�月期における�つの課題

持続的成長と新たな収益基盤の創出に向けてスピードを加速当期の業績回復の流れを途切れさせることなく来期につなぎ、オリックスの業績回復が本物であると証明することが、来期の最大の課題となります。国内外の金融を取り巻く事業環境は依然として厳しいことを鑑み、財務の健全性を強化し、リスク管理を深化させながら利益成長を達成していきます。現在の利益水準は過去最高益を計上した2007年3月期の当期純利益(1,965億円)と比較した場合、決して満足のいくレベルではないことは十分に自覚しています。一方、経営環境が激的に変わってしまった現実があります。したがって来期は、単に業績目標を達成するだけではなく、2012年3月期(再来期)以降の持続的成長への原動力となり得る、新たな収益源を萌芽させる努力を続け、中長期的な成長軌道へしっかりと回帰させる年にしなければならない̶私はそう考えています。

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

時勢の潮流からチャンスを取り込む

強みを活かし他社に一歩先んじた事業機会に挑戦既述した新たな収益源とは一体何なのか̶その答えを見つける鍵は、3つの世界経済の構造変化

にあると考えています。1つ目は、世界の経済成長の牽引役の変化(新興国の台頭)です。中国やインドに代表される若々

しい新興国経済の需要は、成熟した先進国のそれをすでに上回っています。アジアの世紀と称せられるように、今後も急速な経済成長が続いていくと期待されます。

2つ目は、先進国における金融界の変化(付加価値ビジネスの重要性の高まり)です。大手金融機関は、バランスシートの縮小、資本の増強、新たな金融規制といった課題に対処しなければなりません。金融ビジネスの在り方は、デットからエクイティ、「金融+サービス」などの方向へ進化していくことが求められてきます。

3つ目は、世界の経済成長スキーム自体の変化(エコサービスビジネスの台頭)です。時代は、多くの企業が収益ビジネスとして環境問題に積極的に取り組み、地球環境を守ることを求めています。その意味で、この激的な構造変化は、大きくかつ長期的な「ビジネスチャンス」を私たちに与えているのです。

これらの3つの経済の構造変化はオリックスにとっても大きなビジネスチャンスです。1つ目は

「アジア」です。アジア全体、特に2009年12月、大連市に中国本社を設立した中国の成長を取り込み、さまざまな収益機会を獲得していきます。2つ目は単に金融機能を提供するのではなく、さまざまな事業領域で培った専門性やノウハウに裏打ちされた高付加価値型のサービス提供を行う「金融+サービス」の推進です。3つ目は「環境やエネルギーなどの事業分野」です。たとえば、カーシェアリング事業や電力の販売など各セグメントにおいて多くの新しい成長の芽が育ちつつあります。オリックスには、これらのビジネスチャンスを着実に取り込み、それぞれの事業規模をスケールアップしていける事業基盤があります。それぞれの事業基盤を十二分に活用することで、持続的成長につながる

新たな収益源を構築していきます。

1985 2010予想

日本米国中国

2005200019951990

(10億ドル )

0

3,000

6,000

9,000

12,000

15,000

日本・米国・中国の名目GDP推移

2010年7月

取締役兼代表執行役社長・オリックスグループCOO

梁瀬COOメッセージ

出典:IMF

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

環境変化に対応したオリックスならではの戦略

特集

CreatingaNewStrategy

国内戦略「金融」から「金融+α」へ そして、「環境、エネルギーなどの新規分野」へオリックスの強さが発揮できる各事業間のシナジーと専門性の強化で金融事業に加え、新たな商品・サービスを生み出していく方針です。

1

海外戦略

“Localization and Partnership”有力なローカル・パートナーとの戦略的事業提携を推進し、今後の成長が見込まれる中国を中心としたアジアにおける事業を拡大していく方針です。

2

「金融」から「金融+α」へ そして、「環境、エネルギーなどの新規分野」へ潜在ニーズはまさに「宝の山」。お客様の欲しいものを「届ける」だけでなく、欲しくなるものを「創る」ことで、オリックスは持続的な成長を図ります。

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

特集

国内戦略

取締役兼執行役副社長 グループ法人営業総括 投資銀行本部総括 グループ大阪代表 オリックス不動産(株) 代表取締役会長 オリックス野球クラブ(株) 代表取締役社長

西名 弘明

オリックスを取り巻く国内の事業環境は、 大底こそ脱した感はありながらも、 依然として楽観できないように思いますが?

融資業務などの「金融」に限れば、事業環境は明らかに厳しいと認識しています。資金調達力や調達コストが競争力の根幹である金融ビジネスにおいて、銀行以外の金融業界が十分に成長できるほどにまで、国内の資金ニーズが回復するとは考えていないからです。しかし、オリックスはもともと、その立ち位置が大手の金融機関などとは違います。オリックスは、全国1,098拠点の

グループ営業ネットワークを通じて、主要な国内の中堅・中小企業と取引をしてきたわけですが、資金だけを提供して欲しいというお客様はむしろ少数派で、大部分は大手の銀行などからはなかなか得られないサービスや事業運営、それらに関するノウハウといった「+α(プラスアルファ)」部分を評価されています。実は、この「+α」こそがオリックスの生命線であり、また、今後も持続的な成長の原動力となる「宝の山」なのです。この「金融+α」という眼で事業環境を展望すれば、拾えきれていないニーズは無限大にあると考えています。

その「+α」とはどのようなものでしょうか? もう少し具体的に教えていただけますか?

最もわかりやすい例として、オリックス自動車の「車両管理

アウトソーシング」が挙げられます。車両のリースだけでは

なく、保険の手配や整備、給油やETC関連のカードの発行、さらには燃費などのエコ運転診断まで、社用車に関しておよそ考え得るすべてのサービスを提供し、これを事業化しているわけです。オリックス・レンテックが営むパソコンや測定器レンタルも、ユーザーサポートから測定器の校正受託まで、それこそお客様の痒いところにまで手が届く「+α」が高く評価され、今日では、レンタル機器保有物件数約67.5万台を有し、業界シェアNo.1の事業会社になっています。個人のお客様の目につく分野としては、オリックス不動産における水族館の運営事業も「+α」の一例です。老朽化した「江ノ島水族館」を、PFI方式で2004年にリニューアル、綿密な市場調査の結果、“教育”と“エンターテインメント”の要素を掛け合わせた人気水族館「新江ノ島水族館」に生まれ変わらせることに成功しています。

オリックス・レンテック 東京技術センター

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

今後、どのような分野で「+α」を 発揮していくのでしょうか?

物流分野が一例でしょう。実は、オリックス不動産は、物流施設において、業界大手の投資実績を誇る企業だということが、世間ではあまり知られていないようです。住宅開発事業などで培った用地選定能力を活かし、“地産地消”というか、地域の特性や地元のニーズにマッチしたテナント付けを行うことで、今後も物流効率の極めて高い物流施設を全国に展開していきます。物流・商業施設をはじめ、賃貸事業における将来の収益率に最も大きな影響を与えるのがテナント付けの能力。この点、オリックスは、テナント営業専門の部隊もグループ内に保有しており、大手投資銀行や不動産専業の企業との差別化を図りながら、これらの高い専門性と国内営業のネットワークを結びつけたマトリックス型の営業を推進していきます。

「金融+α」を加速するうえで重要なことは何でしょう? また、そのための方策を教えてください。

最も重要なことは2つ。「意識の改革」と「情報伝達の仕組みの改善」です。ご理解いただいていると思いますが、「金融+α」のなかの「+α」とは、サービスや事業ということになります。そのサービス・事業を展開するうえで必要不可欠な各分野での専門性やノウハウは、もともとオリックスのなかにあるものなのです。しかし、顕在化させた部分もあれば、まだ眠ったままのもの

もあります。その意味で、顕在化させようという意識改革がまず重要となります。また、いくら意識が高くても、情報が

スムーズに拾い上げられなかったり、せっかく拾い上げた情報が、各事業の主体に行き渡らないということではいけません。そのためにオリックスでは、2009年1月に、それまで東京、近畿などエリアごとに分かれていた営業本部を、「国内営業統括本部」に一本化しました。これにより、現場が拾い上げた情報が一元管理され、その情報を最も活用できる事業主体へと適切に伝わる仕組みが完成し、これが順調に稼働しはじめています。今後はさらに、「国内営業統括本部」をグループ

各社の営業のハブ機能・収益獲得のプラットフォームとして、その役割を最大限発揮していきます。また、「環境、エネルギーなどの新規分野」も将来の成長に向けて注力していく分野です。環境関連ビジネスにおいては、1990年半ばから取り組んできており、今もカーシェアリング事業や電力の販売など新しい成長の芽が多く育ちつつあります。今後は、こういった新規分野のビジネスにおいても、オリックスとして可及的速やかに組織を横断して取り組んでいくつもりです。お客様が欲しいというものだけに応えていては、差別化

などできません。お客様自身が気づいていないけれど、「なるほど、これは役に立つ。よくぞ提案してくれた」というものを

オリックスは提供していきます。実は、そのような「潜在需要」は、一つ一つがニッチでありながら、合わせれば膨大なものになる「宝の山」だと私は考えます。

営業ネットワークを活かしたベストマッチングを提案 ~国内営業統括本部流通店舗営業部~「金融+α」の一つに商業施設の建物賃貸借事業があります。オリックスの全国の営業ネットワークを活かした不動産情報と新規出店を希望するお客様のニーズを融合させ商業施設の開発を行っています。成功事例として、千葉市稲毛区の複合型商業施設「オーツーパーク」が挙げられます。本件のきっかけは環境エネルギー部がアプローチしていた大手企業から自社所有地での商業施設開発が難航しているという情報を掴み、流通店舗営業部と情報共有したことでした。オリックスの企画立案内容と事業推進力

が評価され開発を担うこととなり、施設全体のプランニング、テナントの選定・誘致、配置変更に伴う既存テナントとの交渉などを経て2009

年5月にオープンしました。国道16号線沿いという好立地に加えテナント各社の相乗効果により賑わいのある施設の一つとなっています。金融事業で培った企業与信・財務・法務のノウハウと立地や事業性の評価、プランニング、テナント誘致などの専門性を掛け合わせ、オリックス独自のサービスを創り上げることで収益チャンスの拡大を図っています。

千葉市稲毛区の複合型商業施設「オーツーパーク」(2009年5月オープン)ケーズデンキを核としてゲオ、極楽湯、セガ、第一興商、サイゼリヤなど飲食店4店が集まる複合型商業施設の建物賃貸借取組。敷地面積:30,712m2、駐車場約400台分を敷設。

“Localization and Partnership”オリックスの伝統ともいえるこの海外ビジネスの基本を堅持しながら、 中国を中心としたアジア市場での大きな成長ポテンシャルを取り込んで

いきます。

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

特集

海外戦略

取締役兼執行役副社長グローバル事業本部長

井上 亮

今なぜ、アジアなのでしょうか?

オリックスは近年のアジアの高成長を目の当たりにして事業を拡大しようとしているわけではありません。1964年の会社設立当初から海外展開を見据え、設立から10年も経っていない1971年に香港に進出しました。以後、ASEANをはじめとしたアジア各国において、主に各地域のパートナーとリースを中心に事業展開してきました。ローカル・パートナーとローカル・マネジメントによるローカル・クライアントに対する金融サービスの提供という戦略を柱とすることで、規制や文化、さらにはニーズなどにおける国ごとの違いに40年かけてしっかり適合し、今日の確固たる収益基盤を築き上げました。今、中国をはじめとするアジアのグローバルなプレゼンスが急激に向上しているのは事実なので、オリックスとしても当然、その大きなポテンシャルをさらなる事業の拡大に結びつけていくことになります。

アジア地域での事業拡大の基本方針を お聞かせください。

今、ポテンシャルがある、と申しあげましたが、それだけの理由で加速度的に投資していくというスタンスではありません。リスクを十分考慮したうえで、日本で専門性を培ってきた金融サービスや事業投資といった領域で差別化を図りながら、そのポテンシャルを掴みとっていく必要があります。また、アジア各国は外から入って事業をしていくことが、規制の面で

も商慣習の面でも難しいマーケットです。各地域で事業ごとにローカル・パートナーおよびローカル・マネジメントを活用することで、各国の独自性に適合した事業展開をするという「内側から攻める」方針が鍵となります。

アジアにおけるオリックスの事業に対する課題は?

1990年代後半のアジア通貨危機でオリックスのアジアにおける事業も大きな影響を受けました。しかしながら、多くの日本の金融機関が撤退するなか、オリックスでは、事業をほぼ維持して危機を乗り切り、その結果、足腰が強くなり、今般の金融危機と世界同時不況の間も安定収益を堅持することができました。しかしながら、現在のアジアにおける事業基盤は小規模なファイナンスが中心になっています。アジア諸国の経済成長を有機的に取り込んではいくものの、従来の小規模なファイナンス事業だけでは成長にもおのずと限界があります。アジアの経済成長を本格的に取り込んでいくためには、

ローカル・マネジメントが活躍する、フィリピンのORIX METRO Leasing and Finance Corporation

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

“Localization”の実践 ~グローバル事業本部コーポレートファイナンスグループ(韓国チーム)~チームの発足は2008年1月。メンバーはすべて韓国人の4名で構成されています。プリンシパル・インベストメント事業に特化しているのが特徴です。同事業においてオリックスが韓国での知名度を高めるきっかけとなったのが大韓生命への投資案件。2002年12月、経営破綻した大韓生命に対してハンファグループと共同で投資し、事業再生を進めエグジットに至りました。この案件以降、業界におけるプレゼンスは高まり、案件の引合経路も多様化され、STX

グループへの投資実績などへつながりました。

また、当チームは本部長直轄の組織であり、意思決定の迅速さ、柔軟性が最大の強みです。自国の商慣習、法規制などを熟知したメンバーが、オリックスの組織や事業戦略も理解しビジネスを展開する、こうした総合力の強さが実績に結びついているといえます。また、その実績が次の案件につながっているという良い循環が構築されています。今後もこのユニークなポジショニングを活かし、独自性のある案件を手掛けていきます。

金融から事業投資の領域へ、そして数億円単位のスモールサイズ・ビジネスから数十億円単位のミドルサイズ・ビジネスへのさらなるシフトが不可欠だと考えています。

課題にどう対処していきますか?

これまでの実績で申しあげますと、たとえば韓国。日本と制度が似通っていることもあり、大韓生命への投資をはじめとした投資実績がすでにあります。そうしたことを背景に、オリックスは今や韓国におけるプリンシパル・インベストメント事業分野で有力プレーヤーとして認知されています。こうした実績づくりを他の地域でも展開していきますが、各国の法制度などは各々異なりますので容易ではありません。各地域における既存の事業ネットワークを有効に活用しながら、現地の動向を熟知している信頼できる事業パートナーを開拓していく必要があります。

中国戦略について教えてください。

中国においては、2009年12月、大連市に中国本社を設立し、持株会社化しました。持株会社機能を持つことによって、中国に根ざした会社として国内で信用が高まり、人民元の調達の幅が格段に広がることになりました。現在、中国は外に向かって門戸を広げており、リース、航空機、船舶、事業投資や環境など、オリックスの専門性が活かせる分野でさまざま

なオポチュニティがあります。ただ、リスクを考慮すると、外国人である我々だけで手を出すべきではないため、100%自前で事業を行うつもりはありません。その前提で、先に述べた各分野で有力なパートナーとなり得る先と話を進めているところです。

最後に、今後のアジアにおける展開について お聞かせください。

地域的な優先順位は、まずは先ほど述べた中国、次にインド、インドネシア、ベトナムと続きます。すでにリース事業などの基盤のあるインドやインドネシア、また新たな注力エリアとしてのベトナムなどは、これから金融サービスや事業投資の布石を打っていく必要があります。アジアの国々でのビジネスは、その国の人材が中核となって進めていかなければ成功はしません。実際、すでに一定の成果が見られる韓国における事業投資も韓国人が中核となって行っています。アジアのマーケットには事業のチャンスが無尽蔵にあります。リース事業で培った各地の優秀な人材が、金融サービスや事業投資などの分野にシフトできるよう意識改革を進めながら、チャンスを取り込む体制を整えていきます。

グローバル事業本部コーポレートファイナンスグループ写真左より:マネージャー 朴 鍾宣(パク ジョンソン)マネージングディレクター 李 鍾徹(リ ジョンチョル)シニアヴァイスプレジデント 金 信完(キム シンワン)アシスタント・マネージャー 金 娜廷(キム ナジョン)

18 ORIXCorporation—AnnualReport2010

特集

事業活動トピックス

最近のオリックスの事業活動を、プレスリリース(2009年4月から2010年6月)を中心にまとめました。その他のプレスリリースは、ウェブサイトをご覧ください。(http://www.orix.co.jp/grp/prs/)

セグメント リリース日 トピックス

法人金融サービス 2010年6月4日 筑波リース(株)の株式を譲り受け

2010年5月7日 新会社「オリックス電力」を設立

2010年2月15日 マーサージャパン(株)と企業年金ビジネスで業務提携

2009年10月1日 (株)セールスフォース・ドットコムと販売代理契約締結に合意

メンテナンスリース 2010年5月20日 オリックス自動車、カーシェアリング会員数が1万人を突破

2009年12月21日 オリックス自動車、(株)ファミリーマートとカーシェアリング事業で業務提携

2009年9月30日 オリックス自動車、法人企業向け車両売却サービス「オートビット」を開始

2009年4月30日 オリックス・レンテックとオリックス環境、日本ヒューレット・パッカード(株)と「エコレンタル」サービス開始

不動産 2010年6月1日 オリックス不動産、「みなとみらいセンタービル」開業

2010年3月31日 オリックス不動産、大阪駅北地区先行開発区域プロジェクトの新規工事着工

2009年12月15日 オリックス不動産、東京スカイツリー®併設複合型施設内に、都市型水族館「(仮称)墨田水族館」を開設

2009年7月29日 オリックス不動産、堺ロジスティクスセンター、全面稼働

投資銀行 2010年6月23日 (株)東京スター銀行への出資および業務提携

2010年3月23日 スタンダード&プアーズが、オリックス債権回収の商業用ローンのプライマリー・サービサ―、マスター・サービサー、スペシャル・サービサーとしての総合評価を「能力が極めて高い」に据え置く

2009年5月22日 出資先マンション管理会社3社を合併(新会社名:「グローバルコミュニティ(株)」)

2009年4月16日 (株)秋田銀行と車両活用ローンの保証で提携

リテール 2010年6月10日 オリックス生命保険、家族をささえる保険「Keep」新発売

2010年1月25日 オリックス生命保険、「がん保険Believe[ビリーブ]」新発売

2009年12月10日 オリックス信託銀行、新発売「教育ローン」「多目的ローン」

2009年5月18日 オリックス信託銀行、「法人eダイレクト定期預金」の取り扱いを開始

海外 2010年6月8日 ベトナムの成長企業を投資対象とする「DIアジア産業ファンド」の運営を開始

2010年5月10日 ORIXUSA、米国の有力ローン・サービシング会社(REDCapitalGroup)を買収

2010年4月12日 「中国科学院」と環境分野において戦略提携を推進

2009年10月7日 ORIXChina、中国建設銀行東京支店とビジネスマッチング業務契約を締結

1 オリックス電力のウェブサイト 2 ファミリーマートの店頭に設置されたカーシェアリングステーション 3 堺ロジスティクスセンター南棟 4 オリックス債権回収の格付 5 がん保険Believe[ビリーブ]ロゴマーク 6 「中国科学院」との戦略提携推進協議書、調印式典

1

2

3

4

5

6

マスター・サービシング

プライマリー・サービシング

Strong能力が極めて高い

スペシャル・サービシング

P. 25

P. 29

P. 33

P. 35

P. 29

P. 27

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

20 ORIX at a Glance

22 セグメント利益、セグメント資産、ROAの推移

23 資産・収益のセグメント別内訳

24 法人金融サービス事業部門

26 メンテナンスリース事業部門

28 不動産事業部門

30 投資銀行事業部門

32 リテール事業部門

34 海外事業部門

セグメント別事業概況

セグメント別事業概況

�0 ORIX Corporation — Annual Report 2010

セグメント別事業概況

ORIX at a Glance

法人金融サービス事業部門

事業内容

融資、リース、金融商品販売などの手数料ビジネス、環境関連ビジネス

主要グループ会社

• オリックス• オリックス環境• エヌエスリース• オリックス資源循環

従業員数

2,616名事業概要当事業部門は、1964年の会社設立時から展開してきたリース業

にその原点があり、今日においてもなおグループ営業の中核的なプラットフォームとなっています。現在では、全国82拠点の営業ネットワークを通じて、主要な顧客

である国内の中堅・中小企業向けに、融資やリースを行うほか、 事業承継ニーズ、海外進出ニーズへの対応など、グループ全体の

顧客情報や商品・サービスの情報を集約し、グループ全体の相談窓口として活動しています。また、当事業部門には、環境・エネルギー事業に加えて、当期には流通事業を専門とする部門や、国内外の事業部門・グループ会社を横断的につないで営業を推進する部門を創設し、新たな収益の柱とすべく活動をスタートしています。

メンテナンスリース事業部門

事業内容

自動車リース、レンタカー、カーシェアリング、測定機器・情報関連機器などのレンタルおよびリース

主要グループ会社

• オリックス自動車• オリックス・レンテック

従業員数

3,335名事業概要

当事業部門は、自動車事業とレンタル事業から構成され、非常に高い専門性を有した部門です。自動車リース事業は1973年から、レンタカー事業は1985年から開始しており、2002年からはカーシェアリング事業も行っています。自動車リース事業は、メンテナンスサービス付きの法人向け自動車リースからスタートし、現在では専門性の高い車両管理全般の

アウトソーシングサービスを提供しています。また、いずれの事業も、法人・個人を問わず、顧客の自動車利用ニーズに沿った多彩なサービスメニューを取り揃えています。レンタル事業は、1976年から法人向けに測定機器のレンタルを開始し、現在では情報関連機器のレンタルおよび技術サポート、校正受託サービスや資産管理サービスなど、幅広い関連サービスを提供しています。

不動産事業部門 事業内容

オフィスビル・商業施設などの開発・賃貸、マンション分譲、ホテル・ゴルフ場・研修所などの運営、高齢者向け住宅の開発・運営、不動産投資法人(REIT)の資産運用・管理、不動産投資顧問

主要グループ会社

• オリックス• オリックス不動産• オリックス・アセットマネジメント• オリックス・ゴルフ・マネジメント• オリックス・リビング• オリックス不動産投資顧問

従業員数 3,704名

事業概要

当事業部門は、1986年に開始した法人向けの独身寮賃貸事業にその原点があり、1993年からはマンション分譲事業をはじめ、1999年のオリックス不動産の設立以降、本格的に不動産事業を展開しています。現在はオフィスビル・商業施設などの不動産開発・賃貸

事業、マンション分譲事業、ホテル・ゴルフ場・研修所・高齢者向け住宅などの開発・運営事業、不動産投資法人(REIT)を運用する オリックス・アセットマネジメントとオリックス不動産投資顧問により不動産資産のアセットマネジメント事業を行っています。 

投資銀行事業部門 事業内容

不動産ファイナンス、商業用不動産担保ローンの証券化、サービサー(債権回収)、プリンシパル・インベストメント、M&Aアドバイザリー、ベンチャーキャピタル、証券

主要グループ会社

• オリックス• オリックス・キャピタル• オリックス・インベストメント• オリックス債権回収• オリックスM&Aソリューションズ• オリックス・ホールセール証券

従業員数 2,011名

事業概要

当事業部門は、1990年代末から2000年代にかけて本格的に開始した不動産関連ファイナンス事業と投資銀行業務により構成されています。主な事業は、1983年に開始したベンチャーキャピタル業、1999年から開始したノンリコースローンなどの不動産ファイ

ナンス事業、不良債権への投資やCMBSの管理・回収を行うサービサー事業、2000年に開始したプリンシパル・インベストメント事業、証券化事業、2003年より開始したM&Aおよび財務アドバイザリー業務などにより構成されています。

リテール事業部門 事業内容

生命保険、信託銀行、カードローン、オンライン証券

主要グループ会社• オリックス生命保険• オリックス信託銀行• オリックス・クレジット

従業員数

1,170名事業概要

当事業部門は生命保険事業、信託銀行事業、カードローン事業、オンライン証券事業により構成されています。生命保険事業は、1991年に開業したオリックス生命保険が代理店販売と通信販売を中心に展開しています。信託銀行については、オリックス信託銀行が1980年にオリックスで取り扱いを開始した住宅ローン事業をコア事業として、法人融資事業などを手掛けています。カードローン事

業は、1979年設立のオリックス・クレジットが手掛けてきましたが、2009年7月より(株)三井住友銀行との共同事業化の開始によりさらなる発展を目指しています。また、オリックス証券は1986年からインターネット取引を中核とした証券事業を展開してきましたが、2010年1月にマネックスグループ(株)と株式交換を行い、同年5月にマネックス証券(株)と合併しました。

海外事業部門 事業内容

リース、融資、債券投資、投資銀行、不動産関連、船舶・航空機関連

主要グループ会社

• オリックス• ORIX USA• ORIX Australia• ORIX Asia• ORIX Leasing Malaysia Berhad• PT. ORIX Indonesia Finance

従業員数

3,209名事業概要

当事業部門は、米州およびアジア・太平洋・欧州地域におけるリース事業、融資事業、債券投資事業、投資銀行業務、不動産関連事業、船舶・航空機関連事業により構成されています。

1971年の香港進出から現在まで、米国、アジア、大洋州、中東、北アフリカ、欧州に広がる海外ネットワークを構築してきました。 近年、プリンシパル・インベストメント事業、不良債権投資、M&A アドバイザリーなどの領域へも拡大しています。

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

法人金融サービス事業部門

事業内容

融資、リース、金融商品販売などの手数料ビジネス、環境関連ビジネス

主要グループ会社

• オリックス• オリックス環境• エヌエスリース• オリックス資源循環

従業員数

2,616名事業概要当事業部門は、1964年の会社設立時から展開してきたリース業

にその原点があり、今日においてもなおグループ営業の中核的なプラットフォームとなっています。現在では、全国82拠点の営業ネットワークを通じて、主要な顧客

である国内の中堅・中小企業向けに、融資やリースを行うほか、 事業承継ニーズ、海外進出ニーズへの対応など、グループ全体の

顧客情報や商品・サービスの情報を集約し、グループ全体の相談窓口として活動しています。また、当事業部門には、環境・エネルギー事業に加えて、当期には流通事業を専門とする部門や、国内外の事業部門・グループ会社を横断的につないで営業を推進する部門を創設し、新たな収益の柱とすべく活動をスタートしています。

メンテナンスリース事業部門

事業内容

自動車リース、レンタカー、カーシェアリング、測定機器・情報関連機器などのレンタルおよびリース

主要グループ会社

• オリックス自動車• オリックス・レンテック

従業員数

3,335名事業概要

当事業部門は、自動車事業とレンタル事業から構成され、非常に高い専門性を有した部門です。自動車リース事業は1973年から、レンタカー事業は1985年から開始しており、2002年からはカーシェアリング事業も行っています。自動車リース事業は、メンテナンスサービス付きの法人向け自動車リースからスタートし、現在では専門性の高い車両管理全般の

アウトソーシングサービスを提供しています。また、いずれの事業も、法人・個人を問わず、顧客の自動車利用ニーズに沿った多彩なサービスメニューを取り揃えています。レンタル事業は、1976年から法人向けに測定機器のレンタルを開始し、現在では情報関連機器のレンタルおよび技術サポート、校正受託サービスや資産管理サービスなど、幅広い関連サービスを提供しています。

不動産事業部門 事業内容

オフィスビル・商業施設などの開発・賃貸、マンション分譲、ホテル・ゴルフ場・研修所などの運営、高齢者向け住宅の開発・運営、不動産投資法人(REIT)の資産運用・管理、不動産投資顧問

主要グループ会社

• オリックス• オリックス不動産• オリックス・アセットマネジメント• オリックス・ゴルフ・マネジメント• オリックス・リビング• オリックス不動産投資顧問

従業員数 3,704名

事業概要

当事業部門は、1986年に開始した法人向けの独身寮賃貸事業にその原点があり、1993年からはマンション分譲事業をはじめ、1999年のオリックス不動産の設立以降、本格的に不動産事業を展開しています。現在はオフィスビル・商業施設などの不動産開発・賃貸

事業、マンション分譲事業、ホテル・ゴルフ場・研修所・高齢者向け住宅などの開発・運営事業、不動産投資法人(REIT)を運用する オリックス・アセットマネジメントとオリックス不動産投資顧問により不動産資産のアセットマネジメント事業を行っています。 

投資銀行事業部門 事業内容

不動産ファイナンス、商業用不動産担保ローンの証券化、サービサー(債権回収)、プリンシパル・インベストメント、M&Aアドバイザリー、ベンチャーキャピタル、証券

主要グループ会社

• オリックス• オリックス・キャピタル• オリックス・インベストメント• オリックス債権回収• オリックスM&Aソリューションズ• オリックス・ホールセール証券

従業員数 2,011名

事業概要

当事業部門は、1990年代末から2000年代にかけて本格的に開始した不動産関連ファイナンス事業と投資銀行業務により構成されています。主な事業は、1983年に開始したベンチャーキャピタル業、1999年から開始したノンリコースローンなどの不動産ファイ

ナンス事業、不良債権への投資やCMBSの管理・回収を行うサービサー事業、2000年に開始したプリンシパル・インベストメント事業、証券化事業、2003年より開始したM&Aおよび財務アドバイザリー業務などにより構成されています。

リテール事業部門 事業内容

生命保険、信託銀行、カードローン、オンライン証券

主要グループ会社• オリックス生命保険• オリックス信託銀行• オリックス・クレジット

従業員数

1,170名事業概要

当事業部門は生命保険事業、信託銀行事業、カードローン事業、オンライン証券事業により構成されています。生命保険事業は、1991年に開業したオリックス生命保険が代理店販売と通信販売を中心に展開しています。信託銀行については、オリックス信託銀行が1980年にオリックスで取り扱いを開始した住宅ローン事業をコア事業として、法人融資事業などを手掛けています。カードローン事

業は、1979年設立のオリックス・クレジットが手掛けてきましたが、2009年7月より(株)三井住友銀行との共同事業化の開始によりさらなる発展を目指しています。また、オリックス証券は1986年からインターネット取引を中核とした証券事業を展開してきましたが、2010年1月にマネックスグループ(株)と株式交換を行い、同年5月にマネックス証券(株)と合併しました。

海外事業部門 事業内容

リース、融資、債券投資、投資銀行、不動産関連、船舶・航空機関連

主要グループ会社

• オリックス• ORIX USA• ORIX Australia• ORIX Asia• ORIX Leasing Malaysia Berhad• PT. ORIX Indonesia Finance

従業員数

3,209名事業概要

当事業部門は、米州およびアジア・太平洋・欧州地域におけるリース事業、融資事業、債券投資事業、投資銀行業務、不動産関連事業、船舶・航空機関連事業により構成されています。

1971年の香港進出から現在まで、米国、アジア、大洋州、中東、北アフリカ、欧州に広がる海外ネットワークを構築してきました。 近年、プリンシパル・インベストメント事業、不良債権投資、M&A アドバイザリーなどの領域へも拡大しています。

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

法人金融 サービス事業

メンテナンス リース事業 不動産事業 投資銀行事業 リテール事業 海外事業

2010年3月期 セグメント業績

海外事業とリテール事業が期初の見通しを大きく上回り、6セグメント中、4セグメントで黒字を計上しました。一方で、法人金融サービス事業では貸倒引当金が高水準だったことや、投資銀行事業での投資先の破綻が原因で赤字になりました。

2009年3月期 セグメント業績

世界的な金融資本市場の信用収縮の影響を受け、6セグメントすべてで大幅に減益となりま した。特に、法人金融サービス事業と投資銀行事業において貸倒引当金繰入額の増加や投資先の損失計上により赤字を計上しました。海外事業では減益ながらも、金融危機の震源地である米州事業では黒字を確保しました。

2008年3月期 セグメント業績

不動産事業では、賃貸不動産の売却益やマンション分譲事業の利益が大きく貢献しました。海外事業のうちアジア・大洋州地域では 事業投資の売却益や不動産、船舶関連の利益が計上されるなど多角化に注力してきた結果が表れました。

注: P.22~35までのセグメント別事業概況におけるセグメント利益は税引前の利益です。

セグメント利益、セグメント資産、ROAの推移(3月31日に終了した事業年度)

セグメント別事業概況

–176

–1.2% –1.0%

3.6%

0.8%2.0%

217

8,608

94

–120

311371

4.1%5,615

10,79311,667

15,788

12,369

–250

0

250

500

750

1,000

0

5,000

10,000

15,000

20,000(億円)(億円)

354

1.8%

3.1%5.8%

8.4%

1.9%

372

10,373

831

475

275

579

5.3%6,498

10,776

16,985

14,502

19,934

0

5,000

10,000

15,000

20,000(億円)(億円)

0

250

500

750

1,000

–105 –0.6%

–4.2%

3.9% 4.5%

0.6%

256

9,499505

–634

96

201

2.0%

6,483

11,75413,215

15,54015,836

0

5,000

10,000

15,000

20,000(億円)(億円)

–750

0

250

500

750

1,000

セグメント利益(左軸) セグメント資産(右軸) ROA

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

資産・収益のセグメント別内訳(2010年3月31日に終了した事業年度)

「資産・収益のセグメント別内訳」について 「ファイナンス・リース収益」「オペレーティング・リース収益」「貸付金および有価証券利息」は、「ファイナンス・リース投資」「オペレーティング・リース投資」「営業貸付金」「投資有価証券」という営業取引の種類ごとに区分されています。

「生命保険事業」の資産は、セグメント資産のそれぞれの項目に計上されていますが、それらの資産から生じる損益は「生命保険料収入および運用益」のうち運用益に含まれています。

「不動産販売収入」は、連結貸借対照表の「棚卸資産」から生じています。 「賃貸不動産売却益」は、「オペレーティング・リース投資」に含まれる賃貸不動産の売却益を計上しています。

単位 : 億円

法人金融 サービス事業

メンテナンス リース事業 不動産事業 投資銀行事業 リテール事業 海外事業 合計

セグメント資産 12,369 5,615 10,793 11,667 15,788 8,608 64,839

 ファイナンス・リース投資 3,077 2,294 126 1 285 1,782 7,565

 営業貸付金 8,255 0 13 5,529 8,211 2,615 24,624

 オペレーティング・リース投資 269 3,291 5,490 1,365 451 1,259 12,124

 投資有価証券 148 7 41 3,836 5,167 1,793 10,992

 その他営業資産 183 10 1,311 298 0 61 1,864

 棚卸資産 180 4 1,058 85 0 205 1,532

 賃貸資産前渡金 72 1 1,942 0 0 26 2,042

 関連会社投資 185 6 812 554 1,673 867 4,097

セグメント収益 1,137 2,230 1,895 896 1,559 1,859 9,575

 ファイナンス・リース収益 197 139 22 0 0 152 509

 貸付金および有価証券利息 336 0 4 409 344 261 1,354

 オペレーティング・リース収益 255 1,479 503 69 0 530 2,835

 有価証券等仲介手数料および売却益 12 0 (3) 9 38 177 232

 生命保険料収入および運用益 0 0 0 0 1,156 0 1,156

 不動産販売収入 0 0 405 2 0 0 407

 賃貸不動産売却益 0 0 174 2 0 2 177

 その他の営業収入 338 612 791 404 22 738 2,904

注 : 1. 各項目のセグメント計には本社部門に属する資産および収益が含まれていないため、連結損益計算書および連結貸借対照表の各科目の数値とは一部合致していません。 2. 億円単位で四捨五入しているため、勘定科目ごとの数値を合計した値と合計欄の数値は一部合致していません。

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

法人金融サービス事業部門

セグメント別事業概況

�0�0年�月期の業績セグメント収益は、新規実行を抑制し、不動産業向け貸付金を中心に資産圧縮を実行してきた結果、前期比17%減の1,137億円になりました。セグメント利益は、貸倒引当金繰入額が高水準にとどまったため、前期の105億円の損失から176億円の損失となりました。セグメント資産は、ファイナンス・リース投資や営業貸付金の残高が減少したことにより、前期末比22%減の12,369億円になりました。

事業環境当事業部門の主要顧客である中堅・中小企業の事業を取り巻く環境は、金融危機以降、先行き不透明な状況が継続しています。景気低迷を背景に日本政府は「経済危機対策」として、中堅・中小企業の資金繰り支援を含む経済対策を実施しており、これらの効果によって2009年下半期の倒産件数は上半期よりも減少しました。しかしながら、大企業においては資金繰りに改善の傾向があるものの、中堅・中小企業の経営環境は金融機関の慎重な貸出姿勢により依然として厳しい状況です。一方、政府は「新成長戦略」において、環境・エネルギー分野を「日本の強みを活かした成長分野」と位置づけ、2020年までに50兆円を超える新規市場と140万人の雇用創出を目標としています。主な施策としては、再生可能エネルギーの拡大、住宅・オフィスのゼロエミッション化などがあり、エコ社会形成に向けた集中投資が進められることにより、市場の拡大が期待されています。

事業戦略当事業部門の営業担当者は、各種の取引を通じて顧客に対する理解を深め、具体的なニーズや経営課題を把握したうえで、必要に応じてグループの高度な専門性を軸としたチームプレーにより、最適なソリューションを開発、提供するというオリックスのビジネスサイクルの基盤を担っています。今後は、グループ営業のプラットフォームとして「金融+

サービス」の拡大と加速化に向けて、高度な専門性を有する自動車事業、レンタル事業などのグループ各社との連携を強化することで顧客基盤の拡大を図ります。自動車事業、レンタル事業はこれまでの事業多角化のなかでノウハウを蓄積し、現在では車両やIT資産などの管理において付加価値の高いサービスを提供しています。このような高い専門性を活用することで業種別の顧客ニーズを深掘りし、ビジネス機会を発掘していきます。また、当事業部門においてはリース契約終了物件の回収・処理という本業から派生して、環境・エネルギー関連ビジネスに10年以上前から取り組んでいます。今後も、従来からの廃棄物・リサイクルに関する提案に加え、省エネ対策、再生可能エネルギーの利用などの提案に注力していきます。当事業部門では債権管理にも注力してきました。今後と

も、きめ細かい迅速な対応と緻密なモニタリングにより、資産の健全性を維持するとともに、小口分散された優良な資産の構築を目指していきます。

取締役兼専務執行役国内営業統括本部長小島 一雄

執行役国内営業統括本部 地域営業担当門脇 克俊

執行役 国内営業統括本部 近畿営業担当 グループ大阪副代表亀井 克信

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

事業戦略の要約 「金融+サービス」の拡大 自動車事業(自動車)、レンタル事業(レンテック) との連携強化による顧客基盤の拡大 専門性の活用により業種別ニーズの深掘りと ビジネス機会の発掘を推進

景気の現状判断 DI *

10/409/408/407/406/405/40.0

20.0

10.0

30.0

40.0

50.0

60.0(DI)

出典:内閣府景気ウォッチャー調査(2010年5月13日発表)* Diffusion Indexの略。景気判断について「良くなっている」から「悪くなっている」までの5段階の判断に1から0までの点数を与え、この点数で回答結果の構成比(%)を加重平均して算出したものです。

新会社「オリックス電力」を設立2010年5月、オリックスと(株)大京は、共同出資で新会社「オリックス電力株式会社」を設立しました。同社は、マンションの管理組合や各居住者が電力会社と個々に契約

する形態を、マンション全体で電力会社から一括して供給を受ける契約に変更し、電力の一括調整によるコストメリットを活かし、電気料金を削減するサービスを展開しています。同サービスに必要な電気設備の設計・工事・諸手続き・メンテナンスは同社が実施するので、お客

様には面倒な手続きや費用負担がかかりません。また、電力会社に代わり電気使用量の検針、電気利用料金の請求、お客様からのお問い合わせ対応なども行います。今後は、(株)大京およびオリックス不動産が開発する新築分譲マン

ションにも同サービスの導入を検討していきます。将来的には、分譲マンションへの太陽光パネルの設置やスマートグリッドへの対応など、環境へ配慮したサービス展開も視野に入れていきます。

セグメント業績の推移単位:億円

2008/3 2009/3 2010/3

セグメント収益 1,399 1,377 1,137

セグメント利益 354 (105) (176)

セグメント資産 19,934 15,836 12,369

ROA (%) 1.8 (0.6) (1.2)

LNG燃料転換ESCO事業により製薬会社工場内に導入した LNGサテライトタンク

電力会社(電気事業者)

オリックス電力

電力単価の安い高圧電力で一括契約

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

メンテナンスリース事業部門

セグメント別事業概況

�0�0年�月期の業績セグメント収益は、事業環境は厳しいものの、業界No.1の

シェアと付加価値の高いサービスを提供していることにより、比較的安定しており、前期比6%減の2,230億円となりました。セグメント利益は、経費削減に取り組んだことにより販売費および一般管理費が減少したものの、低迷する中古車市場を背景とした慎重な残存価額設定などにより減価償却費が増加したため、前期の256億円に比べて15%減の217億円となりました。セグメント資産は、需要低迷による新規実行が低調であったことや低稼働資産の売却により、前期末比13%減の5,615

億円になりました。

事業環境法人向け自動車リース事業においては、車両に関する投資意欲の減退や経費削減圧力の継続といった需要面の伸び悩みに加え、中古車市場が低迷しました。一方で、企業におけるコンプライアンスや安全への意識の高まりに加え、車両コストの削減や業務効率改善ニーズが一層強まってきています。また、環境問題への意識の高まりからハイブリッド車などへの代替需要やカーシェアリングの利用増加が期待されます。測定機器のレンタル事業においては、先行投資が高額なこ

とや専門的な知識を有する人材の確保が困難なことから参入障壁が高くなっています。その結果、国内の測定機器のレンタル市場における競合環境は比較的安定していますが、景気悪化による設備投資の減少で、大手電機メーカーを中心にレンタル需要は低迷しています。

なお今後は、運用コスト面やシステムの柔軟性の観点からクラウドコンピューティング市場が成長し、企業のIT投資は、ハードウエアの所有から、サービスとしての使用へと変化していくことが見込まれます。このため情報セキュリティ分野では顧客の業務の効率化やコスト削減につながるITサービスの提供が求められます。

事業戦略当事業部門は、グループ横断的に施策を推進することで、

自動車事業における「総合車両管理サービス」やレンタル事業における「IT資産管理サービス」など、付加価値の高いサービスをさらに拡大し、手数料ビジネスを増強します。同時に、日本で蓄積したノウハウを活用して海外においても付加価値の高いサービスの提供を強化し、中国をはじめとするアジア各国市場での業績の拡大を図ります。自動車事業においては、「法人金融サービス事業部門」をは

じめとするグループ各社のネットワークを活用し「リース」「レンタカー」「カーシェアリング」の3つのサービスを組み合わせることで、最も合理的かつコスト低減につながる車の利用形態を顧客にご提案しています。2010年3月末現在、当事業の総車両管理台数*は約83.5万台です。法人向け自動車リース事業では、車両管理に関わる業務全般のアウトソーシングニーズの取り込みにより、収益力の維持と顧客の囲い込みを図ります。また、専門化・高度化していく顧客のニーズを捉えたコンプライアンスや環境対応サービス、交通事故・法的規制に関する問題など車両管理におけ

グループ常務執行役員オリックス自動車 (株 ) 取締役社長三谷 英司

グループ執行役員オリックス・レンテック(株)取締役社長伊藤 圭二

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

オリックス・レンテックの技術センター高度な品質管理と技術サービスを支えているのが、東京と神戸の技術センターです。保有レンタル機器が約2.2万種類、67.5万台以上という、レンタル業界No.1の圧倒的なラインナップを取り揃えながら、国内最大級の自動倉庫システムにより、その膨大な数のレンタル機器を一元管理。機器の一台一台は購入時から徹底的な個品管理を行っています。全国に展開する営業拠点では、レンタル機器の在庫、出荷状況や入庫予定情報にいたるまでリアルタイムで

検索が行えるため、お客様のご要望にスピーディーかつ正確にお応えすることができます。同社は1976年に国内初の計測器レンタル会社として事業をスタートして以来、レンタルビジネスで培った卓越した知識やノウハウから新たな付加価値を創造し、校正受託サービス・計測コンサルティング・各種テクニカルサービス・

資産管理サービスなどのソリューションを提供し、お客様の新たな企業価値創造に貢献して

います。

るリスクマネジメントに関するコンサルティングを強化し、付加価値の高いサービスを提供していく体制の構築を進めています。このような車両管理の高度化および管理業務の適正化を積極的に提案し、他社との差別化を図ります。個人向けビジネスでは、引き続きマイカーリースやレンタ

カー、カーシェアリングなどを促進します。特にカーシェアリング事業では、官公庁、地方自治体、公共交通機関などとの連携強化により新たなビジネス基盤の創出に取り組んでいきます。レンタル事業においては、レンタル対象となる機器の拡大、

IT機器の資産管理サービスなどの付帯サービスを充実していきます。また、高いマーケットシェアを維持し、資産を効率的に入れ替えることで安定的な成長を目指しています。当事業における2010年3月末現在の保有レンタル機器は約2.2万種類、67.5万台以上です。

また、情報セキュリティへの対策が付加された機器のレンタルやIT機器の運用管理の受託業務など技術サポートによるフィービジネスの拡大、中古販売事業の拡大を図っていきます。* 自動車リース、レンタカーとカーシェアリングに加え、テレマティクスをはじめとした車両管理サービスの提供台数を含めた車両の管理台数です。

事業戦略の要約 グループ横断的に施策を推進、さらなる拡大を目指す 自動車事業における「総合車両管理サービス」、 レンタル事業における「IT資産管理サービス」を 積極推進しつつ、アジア市場も開拓

セグメント業績の推移単位:億円

2008/3 2009/3 2010/3

セグメント収益 2,364 2,360 2,230

セグメント利益 372 256 217

セグメント資産 6,498 6,483 5,615

ROA (%) 5.8 3.9 3.6

東京技術センター内 自動倉庫

カーシェアリング会員数の推移

0

6,000

3,000

9,000

12,000

15,000

18,000(名)

20102009200820072006

862 1,0002,000

4,350

9,000

1,7122,512

3,245

6,396

16,177

*1. 出典:交通エコロジー・モビリティ財団(各年1月調べ)2. オリックス自動車集計(各年3月末時点)注:2010年5月1日時点でオリックス自動車の会員数は1万人を突破

日本のカーシェアリング会員数 *1

オリックス自動車のカーシェアリング会員数 *2

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

不動産事業部門

セグメント別事業概況

�0�0年�月期の業績セグメント収益は、不動産販売収入や賃貸不動産売却益の減少により、前期比30%減の1,895億円になりました。セグメント利益は、これらに加え、マンション分譲の共同事業にかかる持分法投資損益が大幅に減少したため、前期の505億円に比べて81%減の94億円となりました。セグメント資産は、主にマンション分譲事業にかかる棚卸資産が減少した結果、前期末比8%減の10,793億円となりました。

事業環境世界的な金融危機の影響を受けて、国内の不動産市場は急激に冷え込みましたが、不動産投資法人(REIT)の公募増資や投資法人債の発行が再開され、流動性は改善されつつあります。それに伴い投資家の安心感も強まり、投資家期待利回りも安定化に向かうなど、不動産の売買はわずかながら回復の兆しが見られます。しかしながら景気低迷を反映して、国内のオフィス空室率は高止まりしています。このためテナント誘致競争が激化し、賃料水準の調整局面が続いており、資産価値を維持していくためには高いオペレーション能力や環境性能の高い不動産の開発といった専門性が求められています。分譲マンション市場は、2009年の首都圏におけるマン

ションの契約率が、好不調の目安となる70%に近づくなど、明るい兆しが見えています。加えて景気対策の一環としての住宅ローン減税の拡大、住宅取得時の贈与税非課税枠の拡大、

省エネルギー住宅建設へのエコポイント制度などの住宅取得を促す政策の実行や、建築コストの下落による販売価格の低下など、需要の回復が期待される環境が整いつつあります。ホテル・ゴルフ場・研修所などの運営事業は、企業のコス

ト削減や消費意欲の減退により厳しい状況にあるものの、エンドユーザーのニーズを的確に捉えた質の高いサービスにより、国内外からの顧客の強い需要に支えられ健闘しています。

事業戦略当事業部門は「中小規模不動産への分散投資」「キャッシュ・

フロー重視」「事業パートナーとのJVによるリスクシェア」といった金融業で培われた専門性を活かし、事業リスクを抑制・軽減しながら不動産市場が低迷するなかでも着実に安定収益源を確保していきます。当事業部門の強みはリーシング、アセットマネジメント、プ

ロパティマネジメントなどの不動産バリューチェーン機能とオリックスグループの顧客基盤にあります。これらの強みを活かして保有不動産の資産価値の向上・維持に努め、優良資産への入れ替えを促進していきます。賃貸不動産の開発・賃貸事業については、小口分散という

ポートフォリオ上の特色と高いリーシング力を活かし、稼働率や利回りの向上に努めます。また、不動産の売買はいまだ本格的な回復にはいたっていないものの、多様な出口戦略を模索し、資産の回転を促進します。マンション分譲事業は販売を他社に委託することで環境変化に俊敏に対応できる体制となっており、他社に先駆けて

取締役兼専務執行役 不動産事業本部長オリックス不動産 (株 ) 代表取締役社長オリックス・ゴルフ・マネジメント(株 ) 執行役員会長山谷 佳之

グループ常務執行役員 不動産事業本部副本部長オリックス不動産 (株 ) 執行役員副社長松本 哲男

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

水族館事業の紹介オリックス不動産は、2004年4月より、神奈川県とのPFI事業である「新江ノ島水族館」を運営しており、イベントやショー、体験学習プログラムなどを積極的に行う地域密着型の水族館として人気を集めています。リニューアルオープンした2004年度の来場者数は、前年度に比べ約6倍の180万人を記録。以降も多くの方にご来場いただいています。

現在運営している水族館は「新江ノ島水族館」だけですが、2012年春には、東京スカイツリー®

計画の複合型施設内に「(仮称)墨田水族館」を、京都市の梅小路公園内にも「(仮称)京都水族館」を開業する予定です。「新江ノ島水族館」での運営ノウハウを活かし、地域にくらす方々に愛される「文化・交流・賑わいの拠点」や学校教育の枠を超えた「環境教育の場」として、新しいライフスタイルを発信、提供していきます。

(仮称)墨田水族館イメージ

2007年後半から供給を抑制してきました。しかしながら顧客の購入意欲が回復しつつあるため、2009年後半から開発中断プロジェクトや新規の用地仕入れを徐々に再開しており、マーケティングを慎重に行いながら、消費者のニーズが高い価格帯を中心に供給していきます。運営事業では、顧客のニーズが多様化し、顧客層が高齢化

するマーケットにおいて、オリックスにしかできないビジネスを提供することで地位を確立していきます。過去の投資実績も評価され、ブランド力のある旅館やゴルフ場に投資する機会が増大しています。運営施設ごとのターゲットとコンセプトを明確化することで、集客の多様化と収益力の向上を実践し、従前にも増してこの運営事業に注力していきます。オリックス不動産投資顧問では、アセットマネジメント業務を展開し、手数料ビジネスの拡大を図る方針です。グループ

の資産の受託だけではなく、外部の運用委託ニーズに対応して、私募ファンドの組成を検討するなど、大型物件の受注活動も行っていきます。また、大阪北ヤードに代表される大型プロジェクトも推進

し、新たな価値創造を図ります。

事業戦略の要約 小口分散というポートフォリオ上の特色と高いリーシング力を活かし、賃貸資産の稼働率および利回りを向上 多様な出口戦略を模索し、資産の回転を促進 アセットマネジメント業務強化による フィービジネスの拡大 大型プロジェクトの推進による新たな価値創造

セグメント業績の推移単位:億円

2008/3 2009/3 2010/3

セグメント収益 2,888 2,700 1,895

セグメント利益 831 505 94

セグメント資産 10,776 11,754 10,793

ROA (%) 8.4 4.5 0.8

2010年6月に開業した「みなとみらいセンタービル」と自然光をビル内に照射できる採光システム「T-soleil」

�0 ORIX Corporation — Annual Report 2010

投資銀行事業部門

セグメント別事業概況

�0�0年�月期の業績セグメント収益は、不動産ファイナンス事業における資産圧縮や新規実行の抑制に取り組んだ結果減少し、前期比5%減の896億円になりました。セグメント利益は、持分法投資損益で大幅な評価損を計上

した前期に比べて損失額は改善したものの、ノンリコースローンを中心に貸倒引当金繰入額が増加したことや有価証券評価損の計上などにより前期の634億円の損失から120億円の損失になりました。セグメント資産は、営業貸付金や投資有価証券残高が減少

したことにより、前期末比12%減の11,667億円となりました。

事業環境世界的な金融危機を発端に当事業部門を取り巻く環境は大きく変化しました。国内景気の回復への足取りは重く、金融資本市場の不透明な状況は続くと考えられます。流動性の改善の兆しは見られず、投資は厳選していく必要があります。

2008年9月のリーマン・ショックを契機とする世界的景気後退の影響で投資家のリスク許容度が低下し、不動産取引が大きく減少した結果、国内における不動産ノンリコースローンのマーケット規模は縮小しました。市場回復のためには金融機関による流動性供与が不可欠ですが、多少の改善傾向は見られるものの依然として融資には慎重な姿勢を崩していません。また、2010年は国内CMBSの裏付けとなっているローンが大量償還を迎えるため、リファイナンスや担保不動産の売却による償還への対応が模索されています。

不良債権の投資市場は、大手金融機関からの大規模な資産処分の減少傾向が続いており、大型の投資機会は限定的と考えています。しかしながら、外資系企業の撤退、過去に組成されたファンドの処分、事業会社の選択と集中の加速などにより投資機会を得ることが期待できます。国内のM&A市場については、景気の先行き不透明感や金融危機の状況を反映して、取組件数の減少が見られましたが、足許ではこの傾向にやや歯止めがかかっています。上場企業においては事業再編や子会社の戦略的な非公開化、中小企業においては事業承継など、企業の経営戦略としてM&Aの活用が一般化してきており、アドバイザリーなどの案件を獲得するチャンスとも考えられます。

事業戦略当事業部門は、既存債権および投資先企業のモニタリング

に注力しながらも、このような事業環境変化をチャンスと捉え、良好な投資機会を探っていきます。国内でこれから多額の償還を迎えるCMBS関連で多くの機会があると考えています。特に、当事業部門はリファイナンスのアレンジやサービシング業務でのノウハウが蓄積されており、手数料ビジネスを展開する大きな機会であると捉えています。オリックス債権回収は、日本のサービサー業界初となる3種(マスター・サービシング、プライマリー・サービシング、スペシャル・サービシング)のサービサー格付を同時に取得しており、現在スタンダード&プアーズからCMBSの領域において、最高位の評価(能力が極めて高い/Strong)を取

常務執行役投資銀行本部長 証券化商品室管掌オリックス・キャピタル (株 ) 取締役社長西海 三男

執行役投資銀行本部副本部長オリックス債権回収(株)代表取締役社長オリックス・ホールセール証券(株) 代表取締役社長北山 久行

執行役投資銀行本部副本部長安田 博

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

事業再生ビジネスオリックスは事業再生ビジネスに取り組んでいます。これまでに培われた高い専門性を活かしたさまざまな経営支援サービスにより、企業価値を向上させます。

経営支援サービスの具体例❶ オリックス債権回収を中心に、金融機関が保有する債権の整理/譲渡を受け、最適な資本構成を構築します。その後、コア事業の収益改善計画の立案と実行や、ノンコア事業の売却を支援します。

❷ 再生事業会社に対する協調融資などのファイナンスアレンジを行います。また、再生事業会社にオリックスが出資するなど、投資家として参画することもあります。

❸ オリックスM&Aソリューションズを中心に、会社分割や事業譲渡の遂行、スポンサー企業の招聘を支援します。

得しています。加えて、不動産ファイナンス事業などを通じてこの領域について高い専門性と幅広い情報網を有しています。これらを活かして、担保不動産売却の仲介、スペシャル・サービシングといった機能の提供により手数料ビジネスを拡大させつつ、投資機会もうかがいます。投資銀行業務については、事業承継、事業再生(整理、譲渡、資金調達アレンジ)などの経営支援サービスを提供します。また、収益性が見込まれる事業に対しては投資家として積極的に関わっていきます。さらに、国内外の投資家とのリレーションのなかで共同投資のアレンジや投資プラットフォームとしての機能提供が期待されています。不動産ファイナンス事業については、不動産市況が大きく

変化したため、引き続き個別の案件に丁寧に対応していきます。個別の取引条件や裏付資産の状況をモニタリングし、回収の極大化のために能動的に対応して引き続き資産を圧縮していきます。また、不動産市況が低迷している時期においては、自らが収益とリスクをコントロールできる賃貸資産として保有するほうが、中長期的に見て収益を極大化できる場合があります。取得した不動産については、市況の本格回復まで、不動産事業を中心としたグループ力を最大限に活用してバリューアップし、収益の極大化を目指します。また、これまでに築き上げた金融機関とのネットワークを活用し、与信機能やサービシング機能の提供などを行い、新たな手数料ビジネスの機会につなげていきます。

事業戦略の要約 高格付・高シェアのサービサー機能を活用し、 CMBS関連の収益機会の獲得や再生事業の 強化を目指す 事業投資は、案件選別を進めつつ積極的に推進

セグメント業績の推移単位:億円

2008/3 2009/3 2010/3

セグメント収益 1,272 946 896

セグメント利益 475 (634) (120)

セグメント資産 16,985 13,215 11,667

ROA (%) 3.1 (4.2) (1.0)

金融機関等 オリックス債権譲渡

事業譲渡

融資

金融機関等

オリックス

再生対象会社 再生事業会社

コア事業コア事業

ノンコア事業→売却

再生支援1M&Aアドバイザリー

3

ファイナンスアレンジ

2

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

リテール事業部門

セグメント別事業概況

�0�0年�月期の業績セグメント収益は、カードローン事業および証券業の持分法適用関連会社化に伴い、前期比15%減の1,559億円となりました。セグメント利益は、生命保険費用や貸倒引当金繰入額などのセグメント費用の減少および、子会社株式売却による利益が大きく寄与し、前期の96億円に比べて3倍強の311億円となりました。セグメント資産は、カードローン事業の営業貸付金が減少

したものの、信託銀行事業および生命保険事業の資産が増加したため、前期末比2%増の15,788億円となりました。

事業環境生命保険市場では、少子高齢化の進展により、第三分野(医療保険やがん保険など)商品に対する顧客ニーズが高まっています。各社で第三分野商品の投入が相次ぎ、競争が激化しています。また、大手乗合代理店による来店型店舗の拡大、2007

年12月の銀行窓販の全面解禁や、インターネット専業の生命保険会社の登場など、販売チャネルの多様化も進んでいます。個人マネーは依然投資より貯蓄に向かう傾向が続いてお

り、オリックス信託銀行の預金残高は順調に拡大しています。また、中小企業の資金繰り支援の強化など間接金融機能が見直されるなかで、法人向け融資事業の拡大機会が増大しています。住宅ローン事業の主力である投資用賃貸マンション需要は、停滞する不動産市場においても根強いニーズがあり、堅調に推移しています。

カードローン市場は、出資法上限金利の引き下げや貸付総量規制の導入の決定により、消費者金融専業者ではこれまでの高収益ビジネスモデルの維持が困難となり、大手業者では銀行との連携が進むなど、業界再編が進行しています。証券市場は、各国の金融・経済対策が奏功し、安定を回復

しました。日本の市場も、企業の業績改善に対する期待の高まりから回復の傾向にあり、個人投資家の投資マインドの回復が見込まれます。

事業戦略当事業部門では全体として、ニッチマーケットにおける独自の専門性・効率性を高めつつ、新たな個人向け市場および法人融資分野を開拓し、顧客の満足度の高い商品を供給するというこれまでの方針を維持します。オリックス生命保険は、主に個人顧客を対象とした保障性商品の開発、販売に注力しており、保有契約件数は大幅に増加しています。また2006年9月に市場投入した「医療保険CURE[キュア]」や2010年3月に販売開始した新商品「がん保険Believe[ビリーブ]」など、商品の拡充にも注力してい

ます。競合他社の参入で、市場の競争は厳しくなっていますが、顧客ニーズに合わせた保障性商品を開発し引き続き商品ラインナップの充実を図ります。また、代理店チャネルを強化することで、継続的に顧客基盤を拡大していきます。生命保険事業のグループ内における重要性は飛躍的に高まっています。今後もさらなる利益成長の実現を目指していきます。

グループ常務執行役員オリックス生命保険(株) 代表取締役社長水盛 五実

グループ執行役員オリックス・クレジット(株 ) 代表取締役社長剱持 正敏

オリックス信託銀行 (株 ) 代表取締役社長潮 明夫

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

オリックス生命保険:総合力を集結し、差別化商品を生み続けるオリックス生命保険の商品コンセプトは「シンプル」。お客様が保障内容を理解しやすい、シンプルな商品をご提供しています。主力商品の「医療保険CURE[キュア]」は、こうしたコンセプトがお客様のみならず専門家の方々からも高く評価され、「週刊ダイヤモンド」2010年3

月20日特大号の「プロが入りたい医療保険ランキング」で3年連続1位に輝きました。2010年3月には、新たに「がん保険Believe[ビリーブ]」を発売。がんにかかったときに支払われる一時

金が手厚いのが特徴です。保障内容に比して保険料がお手頃とあって、早くも好評です。同社の商品は、保険代理店や(株)三井住友銀行など提携銀行の窓口や、ホームページからダイレクトでお申し込みいただけます。今後もお客様のニーズにお応えする、質の良い保険商品を開発し、提供していきます。

オリックス信託銀行は事業拡大に伴い、2009年5月より新たにインターネットによる法人向けの預金の取り扱いを開始しました。運用面では住宅ローン事業に加え、法人取引の基盤を確立し、新たな顧客層の開拓および優良取引先との関係強化に努め、バランスのとれたポートフォリオを構築します。また、事業拡大と並行してリスク管理の高度化を図り、内部管理態勢を強化していきます。カードローン事業およびオンライン証券事業は「事業の再構築」の方針のもと優良パートナーとのアライアンス戦略を実現させました。オリックス・クレジットは、利息制限法内の金利水準を設定した「VIPローンカード」を主軸に、(株)三井住友銀行の出資によりオリックスとは異なる顧客層の獲得や資金調達手段の多様化など、経営基盤の安定と拡大に努めます。

また、オリックス証券は、マネックスグループ(株)との共同事業化により、合併後わが国トップクラスのオンライン証券会社となりました。両社グループの持つ基盤を確固たるものとし、さらに商品・サービスを拡充していきます。

事業戦略の要約 生命保険事業は、特徴ある保障型商品の開発と、 代理店チャネルの充実によりさらなる拡大を図る 信託銀行事業は法人向け融資の拡充を継続 カードローン事業・オンライン証券事業は優良な パートナーの基盤を活かし業容拡大を図る

セグメント業績の推移単位:億円

2008/3 2009/3 2010/3

セグメント収益 1,989 1,833 1,559

セグメント利益 275 96 311

セグメント資産 14,502 15,540 15,788

ROA (%) 1.9 0.6 2.0

オリックス信託銀行の預金・貸出金残高推移

0

2,500

5,000

7,500

10,000(億円)

06/3 10/309/308/307/3

3,5274,392 4,454 4,615 4,704

5,185

6,6726,053

8,4177,364

預金残高 貸出金残高

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

�0�0年�月期の業績セグメント収益は、アジア・大洋州地域において、当期前半の案件選別などの影響で、オペレーティング・リース収益およびファイナンス・リース収益が減少したものの、米州地域において有価証券実現益やHoulihan Lokey Howard &

Zukin社(以下「Houlihan Lokey社」)での手数料収入が増加した結果、前期比11%増の1,859億円になりました。セグメント利益は、主にアジア地域でのプリンシパル・インベストメント事業からの利益計上により、前期の201億円に比べて85%増の371億円となりました。セグメント資産は、ファイナンス・リース投資や営業貸付金の残高が減少したことにより前期末比9%減の8,608億円となりました。

事業環境米国では、リーマン・ブラザーズなど大手金融機関の破綻

や再編が相次ぎ、金融・資本市場は大きな打撃を受けました。こうした動向を受け、世界的な流動性の悪化は急激な信用収縮を招き、事業環境は大幅に変化しました。米国の景気は緩やかに回復しているものの、雇用環境に力強さはなく、個人消費や住宅市場の回復も一進一退という程度にとどまっています。また、米国の金融市場では、地域金融機関などの経営は依然として厳しく貸出余力に乏しい状況で、経済活動も低調で資金需要が乏しいことから、レバレッジの低下が進行しています。また検討されている金融業界規制法案が導入された場合の事業環境に与える影響も懸念されます。

オリックスが幅広く拠点を持つアジアおよび中東地域は、世界的金融危機の影響を受けたものの、新興国の景気はいち早く回復してきています。アジア経済は近年の高成長の結果として日本をはじめとする先進国からの幅広い事業・製品・サービスを消費する段階に達しており、さまざまなビジネスチャンスが見込まれます。なかでも中国はインフレ懸念や国内での経済格差の拡大などの構造的な問題を抱えてはいるものの、経済規模や成長力において魅力的な国であり、世界が注目する有望な市場です。

事業戦略米国では、法人向けファイナンスやCMBSなどの有価証券投資をはじめとする投融資事業、およびM&Aや企業の財務リストラクチャリングに関わるアドバイザリーや企業価値評価などのサービスを提供する投資銀行事業を行っています。金融危機の震源地であったにもかかわらず、米国の事業は蓄積された高い専門性が奏効し、経済が混乱するなかにおいても着実に利益を拡大してきました。今後は培ってきた高い専門性をベースとし、「金融+サービス」を拡大する機会の発掘に注力していきます。たとえば2010年5月には、不動産業向けローンの組成とサービシングを専門に行う、RED Capital

Groupを買収しました。バランスシートを使わずに手数料収益を獲得する典型的な事例です。投資銀行事業では、長年、米国内で高い評価を受けている

Houlihan Lokey社がM&Aおよび財務アドバイザリー業務、財務オピニオン作成業務、財務リストラクチャリング業務を

海外事業部門

セグメント別事業概況

取締役兼執行役副社長グローバル事業本部長井上 亮

執行役ORIX USA Corporation会長大嶋 祐紀

執行役グローバル事業本部副本部長伊地田 英夫

ORIX USA Corporation社長兼CEO

James R. Thompson

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

行っています。世界的な景気後退局面では、企業の財務リストラクチャリングのアドバイザリー業務分野において収益機会が増加しています。アジア、大洋州、中東、欧州地域では、安定したビジネスと

して地域に根ざしたリース事業や融資事業などの金融サービスを引き続き堅実に運営していきます。特にアジアでは、既存リース事業は着実な成長が期待できます。同時に国内で展開しているメンテナンスリース事業をはじめとするさまざまな専門性を活用し、既存の金融サービスに付加価値を提供して収益の拡大を図ることで、地域全体の成長を取り込んでいきます。なかでも、中国においては多様な高収益投融資事業(金融関連、自動車、航空機、船舶など)の発掘に注力します。その一環として、2009年12月には中国・大連市に中国本社を設立し、その後持株会社の形態で既存の各事業を統合しま

した。今後、中国では優良顧客およびビジネスパートナーを開拓し、その他の地域では、すでに各国に広がっている顧客やビジネスパートナーのネットワークをさらに広げていきます。さらに、日本企業の海外進出、海外企業の日本進出といった双方向の支援提供も充実させていきます。

RED Capital Groupの買収2010年5月、米国現地法人であるORIX USA Corporation(以下、OUC)を通じて、RED Capital Groupを買収しました。同社は、賃貸マンションや高齢者向け住宅の開発事業者向けに特化したローンを組成し、米連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)などに売却、サービシングを行うことで手数料収益を獲得しています。1998年以降、開発事業者向け公庫ローンの年間組成実績で上位10社にランクインし続けるなど、当該マーケットで高い実績を誇っています。

OUCは、CMBSのサービシング業務を長年にわたって手掛けており、同社の買収により、両社のサービシング・ノウハウを活かし、米国における収益基盤の拡大を図ります。

事業戦略の要約 米州は培ってきた高い専門性をベースに 「金融+サービス」の拡大に加え、 M&Aを含めた積極的な業容の拡大を図る アジア全体の成長を取り込む 特に中国は大連の「中国本社」を中心に、 重点的に高収益案件を発掘

セグメント業績の推移単位:億円

2008/3 2009/3 2010/3

セグメント収益 2,182 1,676 1,859

セグメント利益 579 201 371

セグメント資産 10,373 9,499 8,608

ROA (%) 5.3 2.0 4.1取締役兼執行役副社長グローバル事業本部長井上 亮

執行役ORIX USA Corporation会長大嶋 祐紀

執行役グローバル事業本部副本部長伊地田 英夫

ORIX USA Corporation社長兼CEO

James R. Thompson

財務リストラクチャリングアドバイザリー業務Houlihan Lokey社は全世界、米国、欧州・中東・アフリカ地域におけるNo.1財務リストラクチャリングアドバイザーとして表彰されています。出典:Thomson Reuters

2000年~2009年に起こった大型倒産

上位5件のうち、Washington Mutual, Inc.を除く4件でアドバイザリー業務を受託

総資産規模 (単位:億ドル ) 倒産企業

$6,911 Lehman Brothers Holdings, Inc.

$3,279 Washington Mutual, Inc.

$1,039 WorldCom, Inc.

$ 910 General Motors Corporation

$ 804 CIT Group Inc.

出典:BankruptcyData.com

M&Aアドバイザー業務M&Aアドバイザリーランキング(2009年:米国)

取引金額:30億ドル以下

順位 アドバイザー 案件数

1位 Houlihan Lokey 71

2位 Goldman Sachs & Co 70

3位 Bank of America Merrill Lynch 66

4位 JP Morgan 62

5位 Morgan Stanley 59

出典:Thomson Reuters

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

マネジメントチーム(2010年6月22日現在)

企業理念オリックスは、たえず市場の要請を先取りし、先進的・国際的な金融サービス事業を通じて、 新しい価値と環境の創造を目指し、社会に貢献してまいります。

経営方針 オリックスは、お客様の多様な要請に対し、たえず質の高いサービスを提供し、強い信頼関係の確立を目指します。 オリックスは、連結経営により、すべての経営資源を結集し、経営基盤の強化と持続的な成長を目指します。 オリックスは、人材の育成と役職員の自己研鑽による資質の向上を通じ、働く喜びと誇りを共感できる風土の醸成を 目指します。 オリックスは、この経営方針の実践を通じて、中長期的な株主価値の増大を目指します。

利益配分等に関する方針 オリックスは、事業活動で得られた利益を主に内部留保として確保することにより、事業基盤の強化や成長のための投資に活用し、財務の健全性を維持しつつ持続的な成長を果たすことが株主価値の増大につながると考えています。 配当については、中長期的な利益成長による株主価値の増大および安定的かつ継続的な利益還元により株主の皆様のご期待に応えてまいりたいと考えています。

経営管理体制(マネジメントチーム)

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

委員会

取締役会(社外取締役6名・社内取締役7名)

指名委員会(5名) 監査委員会(3名) 報酬委員会(5名)

佐々木 毅 * 辻山 栄子 * 横山 禎徳 *

横山 禎徳 横山 禎徳 竹内 弘高

竹内 弘高 佐々木 毅 佐々木 毅

ロバート・フェルドマン 辻山 栄子

新浪 剛史 新浪 剛史

注: 3委員会の委員全員が社外取締役で構成されています。

取締役 1 宮内 義彦 2 梁瀬 行雄 3 西名 弘明 4 浦田 晴之 5 井上 亮

6 小島 一雄 7 山谷 佳之 8 横山 禎徳 9 竹内 弘高 10 佐々木 毅

11 辻山 栄子 12 ロバート・フェルドマン 13 新浪 剛史

取締役兼執行役

* 議長宮内 義彦代表執行役会長・グループCEO

梁瀬 行雄代表執行役社長・グループCOO

西名 弘明執行役副社長グループ法人営業総括投資銀行本部総括グループ大阪代表オリックス不動産(株 ) 代表取締役会長オリックス野球クラブ(株)代表取締役社長

浦田 晴之執行役副社長・グループCFO経営企画部管掌 広報部管掌 財経本部長

井上 亮執行役副社長 グローバル事業本部長

小島 一雄専務執行役国内営業統括本部長

山谷 佳之専務執行役不動産事業本部長オリックス不動産(株)代表取締役社長オリックス・ゴルフ・マネジメント(株)執行役員会長

1 23 46 7512 10 13118 9

38 ORIXCorporation—AnnualReport2010

社外取締役のご紹介

横山 禎徳 報酬委員会議長(株)三井住友フィナンシャルグループ 社外取締役 (株)三井住友銀行 社外取締役

横山禎徳氏は、1975年マサチューセッツ工科大学経営大学院(MBA)を修了、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インクに入社し、1987年には同社のディレクターに就任しました。また、2002年から2年間、独立行政法人経済産業研究所で上席研究員を務めました。横山氏は、1997年に当社の諮問委員会の委員となり、2002年6月に社外取締役に就任。経営コンサルタントとしての豊富な経験と知見を有し、業務執行を行う経営陣から独立しています。現在は、当社の報酬委員会の議長として、中長期的なインセンティブ機能を高めるための役員報酬体系ならびに報酬水準の審議を主導的に行うなどの貢献をしています。

竹内 弘高

ハーバード大学経営大学院教授トレンドマイクロ(株) 社外取締役

竹内弘高氏は、1969年から広告代理店McCann-Ericksonに勤務した後、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)やハーバード大学経営大学院で教鞭をとり、1987年、一橋大学商学部教授に就任しました。1998年から2010年3月まで、一橋大学大学院国際企業戦略研究科長を務めました。竹内氏は、2000年6月から2003年6月まで当社の社外監査役を務めた後、

2004年6月、社外取締役に就任。企業戦略などに関する深い知見を有し、業務執行を行う経営陣から独立しています。2010年6月まで指名委員会の議長として、当社の事業展開にふさわしい取締役会や執行役の陣容についての審議を主導的に行うなどの貢献をしました。取締役会および各委員会の審議においては、全社的な戦略の観点から、適宜発言をしています。

佐々木 毅指名委員会議長学習院大学法学部政治学科教授東日本旅客鉄道(株) 社外取締役(株)東芝 社外取締役

佐々木毅氏は、東京大学法学部を卒業後、1965年に東京大学法学部助手として着任しました。同大学にて複数の教職を経た後、2001年4月から2005年3月まで同大学総長を務め、2003年6月には国立大学協会*会長として、国立大学の「法人化」に責任者として携わりました。また、2004年12月には皇室典範に関する有識者会議メンバーに選任されました。佐々木氏は、2005年7月に当社顧問となり、2006年6月に社外取締役に就任。大学改革などの豊富な経験と、広く政治、社会など、企業経営を取り巻く事象についての深い知見を有し、業務執行を行う経営陣から独立しています。取締役会および各委員会の審議においては、当社の経営における重要な事項に関し、本質的な問題点の指摘を行うなどの貢献をしています。*現 社団法人国立大学協会

経営管理体制(マネジメントチーム)

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

辻山 栄子監査委員会議長 新任取締役早稲田大学商学部・ 大学院商学研究科教授三菱商事(株) 社外監査役

辻山栄子氏は、1980年に茨城大学人文学部助教授に就任した後、コロンビア大学ビジネス・スクール、武蔵大学経済学部やケンブリッジ大学にて複数の研究教育職を経て、1996年に武蔵大学経済学部長に就任しました。2003

年から現在まで早稲田大学商学部・大学院商学研究科教授を務めるとともに、財務会計に関する国内外の政府、機関の審議委員を歴任するなど、会計の専門家としての深い知見を有しており、業務執行を行う経営陣から独立した立場であることから、2010年6月に社外取締役に就任しました。今後は、これまでの豊富な経験と専門的な見地から、監査委員会の議長とし

て監査委員会の審議を主導することを期待しています。

ロバート・フェルドマン新任取締役モルガン・スタンレーMUFG証券(株)マネージング・ディレクター経済調査部長

ロバート・フェルドマン氏は、1973年から野村総合研究所に勤務。1981年から日本銀行金融研究室*1で客員研究員、国際通貨基金エコノミストを務めた後、1990年、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社*2の主席エコノミストを務めました。1998年に、モルガン・スタンレー証券会社*3に勤務し、2003年にはマネージング・ディレクター 株式調査部長 チーフ・エコノミストを務め、現在はマネージング・ディレクター 経済調査部長を務めています。エコノミストとして企業経営を取り巻く国内外の環境、事象についての深い知見を有しており、業務執行を行う経営陣から独立した立場であることから、2010年6月に社外取締役に就任しました。今後は、これらの豊富な経験に基づく大局的な見地から、当社の経営の監督

と助言をすることを期待しています。* 1. 現 日本銀行金融研究所 2. 現 シティグループ証券(株) 3. 現 モルガン・スタンレーMUFG証券(株)

新浪 剛史新任取締役(株)ローソン 代表取締役社長CEO(株)ACCESS 社外取締役

新浪剛史氏は、1981年から三菱商事(株)に勤務し、その後1995年に(株)ソデックスコーポレーション*の代表取締役に就任しました。2001年には、三菱商事(株)コンシューマー事業本部ローソン事業ユニットマネージャー兼外食事業ユニットマネージャーを務めた後、2002年には、(株)ローソンで代表取締役社長執行役員に就任し、2005年から現在まで同社にて代表取締役社長CEOを務めています。また、2006年から現在まで(株)ACCESSにて社外取締役を務めています。企業経営における幅広い経験と知見を有しており、業務執行を行う経営陣か

ら独立した立場であることから、2010年6月に社外取締役に就任しました。今後は、これらの豊富な経験に基づく経営判断力を活かし、当社の経営の監督と助言をすることを期待しています。* 現 (株)レオックジャパン

�0 ORIX Corporation — Annual Report 2010

執行役

経営管理体制(マネジメントチーム)

専務執行役

馬着 民雄グループCIO人事・総務本部長業務改革室管掌

常務執行役  

西海 三男投資銀行本部長証券化商品室管掌オリックス・キャピタル(株) 取締役社長

執行役

大嶋 祐紀ORIX USA Corporation 会長

執行役

門脇 克俊国内営業統括本部 地域営業担当

執行役

北山 久行投資銀行本部副本部長オリックス債権回収(株)代表取締役社長オリックス・ホールセール証券(株)代表取締役社長

執行役

安田 博投資銀行本部副本部長

執行役

亀井 克信国内営業統括本部 近畿営業担当グループ大阪副代表

執行役

宮内 健一リスク管理本部副本部長

執行役

錦織 雄一財経本部副本部長

執行役

加藤 髙雄財経本部副本部長オリックス・エム・アイ・シー(株) 取締役社長

執行役

下浦 一孝リスク管理本部長

執行役

池袋 恒明法務・コンプライアンス部管掌監査部管掌

執行役

伊地田 英夫グローバル事業本部副本部長

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

グループ執行役員

グループ常務執行役員

三谷 英司オリックス自動車(株) 取締役社長

グループ常務執行役員

松本 哲男不動産事業本部副本部長オリックス不動産(株) 執行役員副社長

グループ常務執行役員

水盛 五実オリックス生命保険(株) 代表取締役社長

グループ執行役員

藤澤 好孝オリックス・システム(株) 取締役社長

グループ執行役員

剱持 正敏オリックス・クレジット(株) 代表取締役社長

グループ執行役員

伊藤 圭二オリックス・レンテック(株) 取締役社長

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

コーポレート・ガバナンスの現状(2010年 6月22日現在)

株主総会

取締役会

取締役会

社外取締役 6 名

指名委員会 5名(社外 5名)

監査委員会 3名(社外 3名)

報酬委員会 5名(社外 5名)

会計監査人

監査委員会事務局

監査部

その他内部統制関連部門

社内取締役 7名

CEO、COO、CFO

ディスクロージャー・コミッティ

執行役 17名*グループ執行役員6名(*CEO、COO、CFO を除く)

投・融資等委員会グループ執行役員会月例戦略会議

経営情報化委員会

執行機関

法務・コンプライアンス部

リスク管理本部

グループ会社

営業支援部門

営業部門

内部統制関連部門 営業関連部門

報告

報告

報告

報告

監督

指示・要請

指示・要請

会計監査報告・監督

指示

モニタリング

開示統制

コーポレート・ガバナンス

(1)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方 オリックスは、経営方針(P.36に記載)に沿った事業活動の推進のためには、コーポレート・ガバナンスが重要であると考えています。そして、国内および海外のベストプラクティスを参考にしながら、透明性の高いコーポレート・ガバナンス体制の構築を目指しています。

(2)コーポレート・ガバナンス体制の状況コーポレート・ガバナンス体制強化の歩み 当社は、1997年6月に外部の有識者と経営の専門家を迎えて諮問委員会を設置して以降、事業活動が株主価値を重視したものになっているかを客観的にチェックするために、コーポレート・ガバナンスの仕組みを強化してきました。1998年6月には、執行役員制度を導入し、経営戦略・意思決定機能と業務執行機能の分離を図りました。また、1999年6月には、取締役数を絞り、3名の諮問委員を社外取締役および顧問として迎えることによって、諮問委員会を発展的に解消しました。さらに、取締役会のサポート機関となる指名・報酬委員会を設置しました。

 そして、経営の意思決定と業務執行の迅速化をさらに図るとともに、経営と業務執行の監督機能を強化するため、2003年4月の改正旧商法の施行に伴い、同年6月から「委員会等設置会社」へ移行し、「指名」「監査」「報酬」の3つの委員会を設置しました。なお、2006年5月1日の会社法施行に伴い、現在は「委員会設置会社」となっています。 2010年6月22日定時株主総会後の社外取締役は6名であり、2007年6月以降は指名委員会を構成する委員全員も社外取締役としました。これにより現在では、監査委員会および報酬委員会を含め3委員会の委員全員が社外取締役となっています。なお、現在在任中のすべての社外取締役は、当社の指名委員会において定めた「独立性を有する取締役の要件」を満たしています。また、これらの社外取締役全員を東京証券取引所が一般株主保護のため確保することを義務づけている独立役員に指定しています。このように、それぞれの専門分野における知見を有している社外取締役が、当社とは重要な利害関係を持たない独立した立場から、適宜当社の業務執行についての指摘を行うことのできる委員構成は、経営の透明性と客観性のさらなる向上につながると考えています。

�.コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方およびその体制の状況

経営管理体制(コーポレート・ガバナンス)

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

コーポレート・ガバナンス体制の状況 2010年6月22日定時株主総会後のコーポレート・ガバナンス体制の状況は、以下のとおりです。

① 業務執行に関わる事項• 取締役会 取締役会は業務執行の決定のうち、法令、定款の定めるところにより執行役に委任することができない事項および取締役会規則に定める重要な事項にかかる業務執行の決定を行います。主として、資本政策、資金政策、人事戦略の基本方針を含む経営計画について承認し、それらについて定期的にチェックする機能を果たしています。これらの取締役会が決定する事項を除き、取締役会は業務執行の決定を代表執行役に委任しています。また、取締役会は執行役および各委員会からその職務の執行状況について報告を受けます。 当期(2009年4月1日から2010年3月31日まで。以下同じ)における取締役会は合計8回開催されました。これらの取締役会における取締役の出席率は97%でした。なお、2010年6月22日定時株主総会後、取締役会は取締役13名で構成され、うち6名が社外取締役です。• 執行役 代表執行役は、各種社内規則の定めるところにより重要な業務執行の決定を、投・融資等委員会の審議を経て行います。執行役は取締役会の決定、代表執行役による業務執行の決定および各種社内規則に従って業務を執行します。 業務執行に関する重要な意思決定、モニタリングおよび議論、情報共有は、次の機関において行われています。投・融資等委員会 トップマネジメントおよび投融資担当の執行役が出席し、主として一定金額以上の投融資案件や経営に関わる重要事項、取締役会から執行役に委任された事項等を審議・決裁するために原則月3回開催します。決裁された案件・事項の内容、重要性等を考慮し、必要に応じて取締役会に報告しています。

グループ執行役員会 当社の執行役とグループ執行役員が出席し、オリックスの業務執行に関わる重要な情報を共有するために毎月1回開催しています。月例戦略会議 トップマネジメントと各事業本部またはグループ会社の責任者が、その部門の戦略の達成状況や事業環境の変化等を議論する機関で、事業特性に応じて原則月1回開催されます。月例戦略会議で議論された重要性の高いものについては、投・融資等委員会で決定され、必要に応じて取締役会に報告されます。経営情報化委員会 トップマネジメントおよび情報システム担当の執行役が出席し、経営における情報化の基本方針や情報システムに関する重要事項を審議・決裁するために、原則月1回開催しています。本委員会はシステム投資の必要性や優先順位等をトップマネジメントレベルで判断しています。これにより事業戦略との整合性を確保し、事業の成長やリスクの低減に寄与するシステム投資の実現に努めています。ディスクロージャー・コミッティ 当社では、開示統制をコーポレート・ガバナンス全体のなかで重要な位置を占めるものと考えており、投資家への適時適切な情報開示のためにディスクロージャー・コミッティを中心とした情報開示体制を整えています。 オリックスの開示統制において中心的な役割を担う機関であるディスクロージャー・コミッティは、CFOを委員長とし、 経営企画部、 財経本部、リスク管理本部、法務・コンプライアンス部、人事・総務本部、広報部を管掌する各役員により構成されています。オリックスの執行役およびグループ会社等の各部門の責任者から報告される重要情報について適時開示の要否その他適時適切な情報開示を実現し確保するために必要な対応を行っています。

役員報酬の内容区分 取締役 ( )は社外取締役 執行役

支給人員 (名)

支給額 (百万円)

支給人員 (名)

支給額 (百万円)

固定報酬 6(5)

67(59) 24 768

業績連動型報酬 ̶ ̶ 22 95

ストックオプション 6(5)

10(8) 24 103

株式報酬 2(2)

6(6) 4 58

計 ̶ 84(74) ̶ 1,026

注 : 1. 当期中、新任執行役4名、退任執行役5名の異動があり、当期末現在の取締役の人数は11名、執行役の人数は19名であります。左記支給人員、支給額には、当期中に退任した取締役1名、執行役5名が含まれています。

2. 当社は、執行役を兼務する取締役に対しては取締役としての報酬は支給していないため、取締役と執行役の兼任者6名の報酬は、執行役の欄に総額を記載しております。

3. 左記の株式報酬は、当期中および2010年6月22日定時株主総会後までに退任した社外取締役2名、執行役4名に対する金額です。

本制度は、当社所定の基準によるポイントを付与し、退任時に累積ポイントにその時点の株価を乗じた金額を支給するものです。この制度では、源泉税控除後の支給金額で当社から自己株式を退任時株価で購入する義務を付しております。

4. 当期中にはストックオプションとしての新株予約権の付与はありません。左記のストックオプションは、2009年3月期までに付与した新株予約権のうち、当期中に費用計上した金額です。

5. 当期におけるグループ執行役員の報酬は、当社の執行役に準じた報酬方針であり、グループ執行役員10名に対する固定報酬の総額は226百万円、業績連動型報酬の総額は39百万円、ストックオプションの費用計上額の総額は33百万円、株式報酬は退任した2名に対し21百万円を計上しています。

6. 金額は、百万円未満の端数を切り捨てて表示しております。

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

② 指名、監査、報酬決定等の機能に関わる事項• 指名委員会 指名委員会は、株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案の内容を決定します。取締役の選任および解任は、株主総会決議によって行われます。また、会社法に基づく権限ではありませんが、指名委員会は執行役の選任および解任についても審議するものとしています。 当期における指名委員会は合計5回開催されました。これらの指名委員会における委員の出席率は88%でした。 なお、2010年6月22日定時株主総会後における指名委員会の委員である取締役は、佐々木毅(議長)、横山禎徳、竹内弘高、ロバート・フェルドマン、新浪剛史の5名で、全員が社外取締役です。 当社は指名委員会において、取締役の選任基準のもとに以下の「独立性を有する取締役の要件」を定めております。

独立性を有する取締役の要件・ 本人または家族*が、当社または当社の子会社から、取締役としての報酬以外に高額 (年間10百万円以上 )の報酬 (ただし、家族については使用人としての報酬を除く)を現に受け取っていないこと。・ 本人または家族*が、当社の大株主 (発行済株式総数の10%以上を保有する株主 )またはその利益を代表する者でないこと。・ 本人が、当社または当社の子会社の執行役等または使用人でないこと。また、家族*が、当社または当社の子会社の執行役等でないこと。過去にそうであった場合には、退任または退職から5年以上経過していること。・ 本人が執行役等として所属する会社と当社との間で、取締役の相互兼任がないこと。取締役の相互兼任とは、本人が執行役等として所属する会社において、当社または当社の子会社の執行役等が当該会社の取締役となり、本人が当社の取締役となる場合を指す。・ その他、取締役としての職務を執行するうえで重大な利益相反を生じさせるような事項または判断に影響を及ぼすおそれのあるような利害関係がないこと。

* 家族とは、配偶者、二親等以内の血族・姻族、またはそれ以外の親族で当該取締役と同居している者をいう。

• 監査委員会 監査委員会は、取締役および執行役の職務の執行を監査し、監査報告を作成します。また、株主総会に提出する会計監査人の選任および解任ならびに再任しないことに関する議案の内容を決定します。監査委員会の職務の執行を補助するため監査委員会事務局を置いています。 監査委員会においては、以下の5つの観点で監査委員会に内部統制関連部門および営業関連部門の責任者を招聘し、社外取締役という独立性が強い立場から、執行役の業務執行や会社の内部統制について評価を行っています。 まず第1点は、内部監査を管掌する執行役から、監査の結果やその指摘事項の改善状況等の報告を受け、業務執行上の問題点の確認を行います。必要に応じて監査委員会事務局や内部監査部門等へ調査を指示できる体制を整えています。 第2点としては、業務執行の根底にあるリスクコントロールについて各部門の本部長やグループ会社の社長から特にリスク制御を中心に説明を受け議論します。

 第3点としては、経理部門を管掌する執行役から、部門ごとの収益構造や会計の観点から見た事業の問題点の報告を受け経営状況を確認します。 第4点としては、以上を総括するうえで、代表執行役から会社の方向性や重要なビジネスの執行状況の報告を受け議論します。 最後に第5点として、会計監査人から監査上の重要事項がないか報告を受け議論します。 当期における監査委員会は合計8回開催されました。これらの監査委員会における委員の出席率は91%でした。 なお、2010年6月22日定時株主総会後における監査委員会の委員である取締役は、辻山栄子 (議長 )、横山禎徳、佐々木毅の3名で、全員が社外取締役です。このうち、辻山栄子氏は、公認会計士の資格を有し、会計学の専門家として財務および会計に関する相当程度の知見を有する者です。• 報酬委員会 報酬委員会は、取締役および執行役の個人別の報酬等の内容にかかる決定に関する方針、およびそれらの個人別の報酬等の内容を決定します。 当社は報酬委員会において、以下の「取締役および執行役の報酬の決定に関する方針」を定めています。

取締役および執行役の報酬の決定に関する方針オリックスは、中長期的な株主価値の増大を経営目標としています。

また、取締役および執行役の一人ひとりが確実に職務を執行するとともに、オリックス全体の継続的な成長を図っていくために、チームプレーが重要であると考えています。報酬委員会は、この経営目標を達成するために、取締役および執行役

は当期の業績のみならず、中長期的な成果をも重視すべきであると考えています。したがって、取締役および執行役の報酬体系ならびに報酬水準を決定するにあたって、これらのことを勘案し、報酬がインセンティブとして有効に機能することを基本方針としています。 その基本方針を踏まえたうえで、取締役と執行役の役割に応じてそれぞれに以下の報酬方針を設定しています。

取締役に対する報酬方針 取締役(執行役を兼務しない者 )の報酬については、取締役の主な職務である執行役等の職務の執行の監督および監視機能を維持するために有効な水準および構成としています。具体的には競争力のある報酬水準を保ちつつ、その報酬構成を職務に応じて固定報酬および株式報酬*とします。

執行役に対する報酬方針 執行役 (取締役を兼務する者を含みます。)の報酬については、執行役の主な職務である業務執行機能を維持するために有効な水準とし、かつ業績に対する連動性を持たせた構成としています。具体的には競争力のある報酬水準を保ちつつ、その報酬構成を役位、役割に応じて、固定報酬、業績連動型報酬、および株式報酬*とします。

* 株式報酬とは、当社所定の基準によるポイントを付与し、退任時に累積ポイントにその時点の株価を乗じた金額を支給するものです。この制度では、源泉税控除後の支給金額で当社から自己株式を退任時株価で購入する義務を付しています。

経営管理体制(コーポレート・ガバナンス)

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

(1)内部統制システムの考え方 オリックスは、経営目標の達成のためには内部統制システムが重要であると考えています。そこで、経営目標の達成に向けて会社を健全に経営し、また適切かつ効率的に業務を遂行するために内部統制の仕組みを構築・運用しています。さらに、事業環境の変化や事業の拡大・多様化に合わせて、内部統制の仕組みの継続的な改善と向上に積極的に取り組んでいます。

内部統制システムに関する取締役会決議の内容① 監査委員会の職務の執行のため必要な事項についての 取締役会決議の内容の概要

(a) 監査委員会の職務を補助すべき取締役および使用人に関する事項 監査委員会の職務を補助するため、監査委員会事務局 (2名 )を置いています。

監査委員会の構成員である監査委員は、その職務の執行に必要な場合は、監査委員会事務局に監査委員会の職務の執行の補助を委嘱することとしています。

(b) 前記(a)の取締役および使用人の執行役からの独立性に関する事項 監査委員会事務局のスタッフについての任命、評価、異動、懲戒は、監査委員会の同意を得てこれを行うものとしています。

(c) 執行役および使用人が監査委員会に報告をするための体制その他の監査委員会への報告に関する体制

• 執行役および使用人は、職務執行に関し重大な法令・定款違反および不正行為の事実、または会社に著しい損害を及ぼす事実を知ったとき、監査委員会に報告することとしています。

• 執行役および使用人は、法令違反、社内規則違反あるいは社会通念に反する行為等が行われていることを知った場合、コンプライアンス・ヘルプラインに報告・相談し、ヘルプライン責任者は、その報告・相談事項について重要と判断した場合には監査委員会に報告することとしています。また、執行役および使用人は、会計・会計の内部統制・監査に関連する事項については、監査委員会または監査委員会が指名する監査委員に対して、通報できるものとしています。

• 執行役および使用人は、監査委員会において選定された監査委員の求めに応じて、その職務の執行に関する事項の報告、説明をすることとしています。

• グループ会社は、監査委員会において選定された監査委員の求めに応じて、事業の報告をすることとしています。

(d) その他監査委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制

• 監査部(計34名)は、内部監査の実施に際しては、監査計画を策定し、その監査計画は監査委員会の承認を得るものとしています。

• 監査部は、内部監査の監査結果を、監査結果報告書により監査委員会に報告するものとしています。また、監査により改善すべき事項とされた事項につき必要な措置を講ずるものとし、フォローアップ監査を行う等して改善措置状況を監査委員会にも報告するものとしています。

• 監査部は、監査委員会と常に連携し、監査委員からの調査要請があれば、これに全面的に協力するものとしています。

• 監査委員会は、その職務を執行するために必要な外部のアドバイザー、弁護士、その他専門家を利用できることとしています。

② 執行役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要な体制の整備についての取締役会決議の内容の概要

(a) 執行役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制

• 監査部を設置し、内部統制体制のモニタリングを行っています。 • リスク管理本部を設置し、与信・投資取り組みの審査・モニタリング

等を行うことにより、取り組みや商品の適合性のチェックを行っています。

• 法務・コンプライアンス部を設置し、業務が法令に適合しているかのチェック、コンプライアンス体制の推進、内部統制の整備を図っています。

• コンプライアンス基本規則およびコンプライアンス・マニュアルを制定し、役職員が法令、社内規則および社会通念等を遵守した行動をとるための規範や行動基準を定め、その推進を図っています。

�.内部統制システムの整備状況

 当期における報酬委員会は合計4回開催されました。これらの報酬委員会における委員の出席率は88%でした。 なお、2010年6月22日定時株主総会後における報酬委員会の委員である取締役は、横山禎徳(議長)、竹内弘高、佐々木毅、辻山栄子、新浪剛史の5名で、全員が社外取締役です。

(3) 財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当社は、現時点では、会社の経営を支配できる議決権数を保有する株主の取り扱いについての基本的な対処方針は定めていません。また、現時点では、買収防衛策は導入していません。 なお、本事項については、法令変更や環境変化を踏まえ、今後とも慎重に検討を進め、必要があれば対処いたします。

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

経営管理体制(コーポレート・ガバナンス)

そのなかのオリックス企業行動規範においては、社会から批判を浴びる反社会的な者や団体への関与を永遠に排除することを宣言しています。

• コンプライアンス・ヘルプラインを設置し、法令違反、社内規則違反あるいは社会通念に反する行為等の相談・報告を受け、これらを早期に発見し、不祥事を未然に防ぐとともに、必要な改善を図り、オリックスの健全性を高めています。

(b) 執行役の職務の執行にかかる情報の保存および管理に関する体制 • 別途定める規則等に基づいて、情報を分類したうえで情報の管

理方法、保存、廃棄に関する事項を定め、情報の有効活用と秘密保持を図る体制の整備を進めています。

(c) 損失の危険の管理に関する規程その他の体制 • 事業環境の変化や事業拡大に伴い変化・多様化するリスクを的

確に把握し、それらに応じた全社的リスク管理体制(P.47に記載)を構築しています。

(d) 執行役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制 • 委員会設置会社制度を選択し、取締役会の決議により法令に

よって認められた範囲でその業務執行の決定を執行役に委任し、業務執行の効率化・迅速化を図っています。

• 別途定める規則等に基づいて、職務権限および意思決定ルールを定め、一定金額以上の投融資案件や経営に関わる重要事項、および取締役会から執行役に委任された事項等については、原則月3回開催される投・融資等委員会 (CEO、COO、CFO等のトップマネジメントおよび投融資担当の執行役が出席 )に付議され、その他の事項については、その重要度に応じて決裁者を定め、適切に効率よく業務が執行されるよう定めています。

• 経営における情報化の基本方針や情報システムに関する重要事

項については、原則月1回開催される経営情報化委員会 (CEO、COO、CFO等のトップマネジメントおよび情報システム担当の執行役が出席 )に付議しています。

• 当初定めた経営計画がその計画どおり進行しているかをトップマネジメントがモニタリングするため、各事業部門ごとに、原則月1回、月例戦略会議を開催し、当該部門の戦略の達成状況や事業環境の変化等を議論し、必要な戦略変更を機能的に行える体制をとっています。

• 毎月1回、グループ執行役員会を開催し、当社の執行役とグループ執行役員がオリックスの業務執行に関わる重要な情報を共有することにより、オリックス全体の業務の効率化を図っています。

(e) 当社およびグループ会社から成るオリックスにおける業務の適正を確保するための体制

• グループ会社の運営・管理その他の事項については、原則と

して、当社が指名する者の事前承認・協議・報告を要するものとしており、業務の適正を確保することに努めています。

• オリックスとしての企業理念、経営方針、行動指針等を定めています。 • 前記 (a)の当社の内部統制関連部門は、原則として、当社の営

業関連部門のみならずグループ会社に対する管理・支援等を行うものとしています。

• オリックスの事業・財務等に影響を与える重要情報が発生した場合の適切な情報伝達と管理、およびオリックスに適用ある法令・規則等に基づく適時適切な情報開示を実現し確保するための体制としてディスクロージャー・コミッティを設置しています。

• オリックスにおける財務報告の信頼性を確保するため、別途定める規則等に基づき財務報告にかかる内部統制が有効に機能する体制の整備を進めています。

ニューヨーク証券取引所コーポレート・ガバナンス基準との相違点についてオリックスは、1998年からADR(米国預託証券)をニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しています。したがって、原則として2003年11月に米国証券取引委員会(SEC)が承認した、NYSEの新しいコーポレート・ガバナンス基準である303A.11に準拠することが義務づけられています。一方、オリックスは外国企業であるため、NYSE上場規則のうち適用除外となる条項もあります。オリックスのコーポレート・ガバナンスの実施状況は、米国企業が上場維持のために適用を義務づけられたものとは異なる点があります。以下、NYSE上場規則の303A.11に基づき重要な相違点について概説します。米国企業が上場維持に必要とされる取締役会の独立性の基準と照らして、取締役および取締役会の構成そのものが異なります。オリックスは、個々の取締役や「指名」「監査」「報酬」の各委員会に対する、NYSE

の独立性についての規定自体は義務づけられていません。日本の会社法で定める「委員会設置会社」は、委員会の委員の過半数が社外取締役(社外取締役の定義は、米国の独立取締役の定義と類似していますが、いくつかの点で異なります)で構成されることを義務づけられていますが、取締役会の過半数が社外取締役であることや、各委員会を社外取締役のみで構成

することは定められていません。なお、オリックスは13名の取締役のうち6

名が社外取締役にあたります。日本の会社法における社外取締役とは、①現に、その会社の業務を執行

しておらず、②過去において、その会社または子会社の業務を執行する取締役、執行役または支配人その他の使用人となったことがなく、③その会社の子会社の業務を執行する取締役、執行役、支配人またその他の使用人ではない取締役をいいます。さらに、日本の会社法では取締役会の構成要件として、次の諸点は義務づけられていません。• 自社のコーポレート・ガバナンス・ガイドライン全容の要約とNYSE上場規則に沿った「指名」「監査」「報酬」の各委員会の設置目的、責任範囲、実績評価を書面に記した規程を制定し公表すること

• NYSE上場規則の必要条件を満たした倫理規定を取締役、執行役および使用人に適用すること

• 社外取締役との定期的な委員会を開催すること• 自社の従業員、幹部、取締役に対する全ての株式報酬プランまたはそのようなプランの重要な変更に関して株主の承認をとること

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

リスク管理

�.総括

 オリックスでは、経営戦略に基づいた全体としてのリスクの選好および各事業部門の事業戦略を勘案して経営資源の配賦を行っています。取締役会や執行機関は、各事業部門のパフォーマンスを定期的にレビューし、計画の進捗と収益性を評価し必要な施策を実行しています。このプロセスを通して、バランスシートのコントロールと、成長性のある事業部門により多くの経営資源を配分することの両方を可能としています。 オリックスにおける事業のモニタリングは、事業部門ごとのほかに、個別案件ごと、およびポートフォリオ全体でも行っています。 個別案件は、事前の審査で事業環境、戦略、リスクと収益性の評価等を行い、案件実行後も、事業環境の変化、キャッシュ・フロー等を

モニタリングしています。モニタリングが必要と規定されている新規案件や一定金額以上の案件のみならず、重大な状況変化や事業戦略の変更があった場合など、部門長が必要と判断した場合は、適宜執行機関に報告し、議論したうえで迅速に対応できるようにしています。 ポートフォリオ分析では、顧客の属性別、地域別、取り組みタイプ別、リスクタイプ別、債権状況別、大口与信先の集中度合い等についてモニタリングしています。これらには、各事業部門が事業特性に合わせてきめ細かく把握、分析するものと、リスク管理部門が主体となり、グループ全体を俯瞰して分析するものとがあります。いずれもリスクの早期把握や軽減を図るための施策に活かしつつ、モニタリング結果を定期的に執行機関に報告しています。

�.主なリスク管理 オリックスでは、主なリスクを、信用リスク、市場リスク、ビジネスリスク、資金調達にかかるリスク、法的リスク、その他オペレーショナルリスクと認識し、それぞれの特性に応じたリスク管理を行っています。

(1)種類別リスク管理について(a)信用リスク管理 オリックスでは、信用リスクを「与信先、投資先のキャッシュ・フローの変動から生じ得る将来の投資回収の不確実性」と定義しています。 金融サービス事業を主とするオリックスにおいては、法人金融サービス事業部門、投資銀行事業部門、海外事業部門を中心に、ほぼすべての事業において信用リスクをとっています。 信用リスクの管理は、個別案件の与信審査、ポートフォリオ管理、管理債権への対応に大別されます。 個別案件の与信審査は、業績、保全、回収状況などのモニタリングを定期的に行っています。個別与信先のリスク管理の比重が大きいことから、取り組み開始時の与信審査、および取り組み後の継続的な個別与信分析に重点を置き、十分な担保や保証の取得、債権の流動化、そして与信先や業種の分散をリスク軽減の基本方針としています。 なお、個別の与信案件の審査においては、顧客の業績推移、財務内容、キャッシュ・フロー、保全条件、その他取引条件、採算性等を総合的に評価します。採算性については、企業価値貢献スプレッド(運用利回り、デフォルト確率、保全条件、調達金利、資本コスト、経費率より算出)を用いることで、定量的な評価の一助としています。 また、取り組み後の継続的な個別与信先評価および全体ポートフォリオ分析を行い、与信制限措置も講じることで、潜在的にリスクの高いマーケットへのエクスポージャーをコントロールしています。

 オリックスでは、破産、民事再生などの法的整理申請先、銀行取引停止処分先、手形不渡り発生先、3カ月以上未収先、業況悪化先、詐欺事件に関与した先への債権などを管理債権と認識しています。最近の事業環境においては、管理債権への対応が最重要課題となっており、案件ごとの個別事情を十分に踏まえて、迅速に対応しています。 管理債権の回収においては、初期対応が非常に重要です。管理債権発生の情報を入手した場合、事業部門はリスク管理本部と協力して保全強化、回収行動を開始します。初期督促から担保権実行、差押え等の強制執行に至るまで、リスク管理本部に集約、蓄積された回収ノウハウは、債権回収における事業部門との協働の際に有効に活用されています。また、こうした案件対応に伴って蓄積されたノウハウは、個別の与信案件の審査基準やポートフォリオ分析にも反映されます。

(b)市場リスク管理 オリックスでは、市場リスクを「金利、為替、株価、商品価格、クレジットスプレッドなどの市況の変動によってポートフォリオや金融資産の

市場価値がマイナスの影響を受けるリスク」と定義しています(そのうち、資金調達にかかる金利、為替リスクについてはP.48に記載)。 オリックスにおいて市場リスクをとっている主な事業部門は、以下のとおりです。 • 投資銀行事業部門(プライベートエクイティ投資、ベンチャーキャピタル投資、自己勘定投資)

• リテール事業部門(生命保険事業の有価証券投資) • 海外事業部門(米州の有価証券投資、プライベートエクイティ投資)

経営管理体制(リスク管理)

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

経営管理体制(リスク管理)

 オリックスでは、市況の変動によるリスクを計量化し、許容できる

上限リスク量を定めることで、ポートフォリオのリスクをモニタリングしています。リスクの計量化は、統計的手法、定性的なシナリオ分析、 ストレステスト、感応度分析などにより行われています。 また、非トレーディング資産は、主に信用リスクの変動の影響を受けるため、アセットタイプや特定の事業のポートフォリオごとに適切なパラメーターを設定し、市況変動の影響を分析し、評価しています。 市場リスクを負っている典型的な事業である生命保険事業や米州での債券投資においては、それぞれの債券運用部門が日々金融政策やマクロ指標、株式市場や金融市場の動向をモニタリングしつつ、個々の銘柄の値動きや損益状況の分析を行い、損失確定やポジションの縮小などのガイドラインに従って適切な処理を行っています。債券運用部門と同様に、リスク管理部門も日々作成されるレポートをマクロ、ミクロ状況と比較しつつレビューし、ガイドラインが遵守されているかどうかを管理しています。

(c)ビジネスリスク管理 投資判断、開発製品の選択、マーケティング戦略、競合企業の価格づけなど、日々の事業活動にはさまざまなリスクが存在します。オリックスでは、事業への参入の決定、事業環境から生じる将来の企業業績の不確実性、中古車や不動産等の商品市況の変動リスクをビジネスリスクと定義しています。 これらのビジネスリスクに対しては、シナリオ分析やストレステスト等を用いながら事業計画やオペレーションをモニタリングしています。また、その時々での事業撤退コストも評価、検証対象としています。 オリックスにおいて、商品市況の変動リスクをとっている主な事業部門は、メンテナンスリース事業部門と不動産事業部門です。 たとえば、メンテナンスリース事業部門のオペレーティング・リースでは、リース物件の残存価額の変動が重要なリスクで、これを把握するために、リース物件の在庫や、市場環境、事業環境のモニタリングを行っています。 船舶や航空機などのオペレーティング・リース物件は、残存価額の変動リスクが大きいため、原則として、再リース取り組みの可能性が高く、汎用性の高い物件に限定しています。これらの船舶および航空機の評価額は常にモニタリングされており、市況変化に応じて売却も検討します。 自動車業界は中古車市場が確立しているため、ほとんどの車両が常時売却可能です。中古車市場の動向を常に把握しながら、購入金額に対する残存価額の比率の推移や、売却可能価格の動向などを定期的にモニタリングし、新規取り組み時の残存価額見積もり額も調整しています。

(d)資金調達にかかるリスク管理 オリックスでは、資金調達にかかるリスクとして流動性リスクを、 また資金調達時に考慮すべきリスクとして金利リスク、為替リスクを重要なリスクとして捉え、それらのリスクを適切に把握し、的確に対応できるよう、資産、負債の管理(以下「ALM」)規則を制定しています。これらリスクについてグループ全体の管理状況の把握、主要指標の分析を行い、その結果については財経本部が定期的にCFOおよび執行機関へ報告し、必要な措置を講じています。

流動性リスク管理 流動性リスクとは、市場の混乱や当社の財務内容の悪化等により必要な資金を確保できない、または資金調達にあたり、著しく高い金利でしか調達できなくなるリスクです。オリックスでは、経営目標を実現するために計画される資産規模ならびに資産構造に適合する負債構造を実現することを流動性リスクの管理の重要な目的とし、そのために、柔軟性の高いバランスシートを維持し、あわせて市況の大きな変動時に想定されるリファイナンスリスクを低減するために、多様な調達構造を実現することを重視しています。具体的には、資産と負債の満期などから将来のキャッシュ・フローを予測し、流動性の状況と今後の推移を把握するとともに、金融市場の混乱、当社の格下げ等のストレス環境を想定した流動性リスク分析を行っています。そして、これらリスクに対して、資金調達の多様化、金融機関からのコミットメントラインの取得、負債の長短のバランス調整等の手段により対応しています。

金利リスクおよび為替リスク管理 金利リスクについては、たとえば、金利の変動により保有する資産、負債の公正価額が変動し、損失を被る場合や、金利の上昇により支払利息が増加する一方、支払利息ほど受取利息が増加せず収益が減少する場合があります。オリックスではこれらリスクに対して、BPV(ベーシス・ポイント・バリュー)、SPV(スロープ・ポイント・バリュー)、VaR(バリュー・アット・リスク)といった指標の計測を行っています。それらと合わせて、期間損益への影響等さまざまな角度からの分析を行い、金利リスクを定量的、定性的に把握したうえで、全体として金利リスク量が一定の範囲に収まるように管理しています。 また、為替リスクについては、外貨建ての営業取引や海外投資に伴う為替の変動リスクに対して、原則として同通貨での借入、為替予約および通貨スワップ等を利用してヘッジしています。ヘッジされていない外貨建て資産、海外子会社向け投資等については、金利リスクと同様にVaR等の指標を活用しながら為替リスクの把握、管理を行っています。

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

デリバティブリスク管理 オリックスでは、ALMを通じて金利リスクや為替リスクをヘッジする必要があると判断した場合に、ヘッジ手段としてデリバティブ取引を利用することがあります。金利リスクについては、デリバティブ取引を利用することにより、金利変動による資産、負債の公正価額や、キャッシュ・フローの変動を軽減あるいは相殺しています。金利リスクをヘッジするために利用しているデリバティブ取引は、金利スワップ、金利キャップ等です。一方、外貨建ての営業取引や海外投資に伴う為替リスクをヘッジするために、外貨建て借入のほかに、通貨スワップ、為替予約等のデリバティブ取引を利用しています。 デリバティブ取引を利用することにより、オリックスは、デリバティブ取引の相手方の信用リスクにさらされるため、相手方ごとにデリバティブ取引の想定元本額、時価評価額、取引の種類等をモニタリングしています。 オリックスでは、デリバティブ取引管理に関するグループ全体の方針に基づき、グループ各社ごとに社内規定を制定し、デリバティブ取引にかかる内部統制を確立しています。

(e)法的リスク管理 各種取引における法務リスクは、オリックスの重要なリスクの一つです。具体的には、個々の取引、新商品開発、その他の事業活動において契約が法的に有効か、オリックスの権利が行使可能であるか、意図したとおりの取引であるか、取引等に関わる業法その他法令等に抵触することがないか、また適用される法令を遵守しているかなどが重要なチェック対象となります。 これらのリスクについては、日本国内では、取引等の検討段階および契約関係書類の社内承認段階において、原則として法務・コンプライアンス部およびリスク管理本部が関与し、リスクの回避、予防、軽減を図っています。個々の取引等における契約関係書類は、所定の社内規則に従って決裁を得なければ契約することはできません。この決裁のプロセスにも、社内規則に従って法務・コンプライアンス部およびリスク管理本部が関与します。また、取引の大きさや重要性に応じて、特定分野については外部の弁護士を利用しています。訴訟を提起する場合、または提起された場合にも、法務・コンプライアンス部およびリスク管理本部が関与、管理し、解決へ導きます。訴訟案件は、定期的にグループ執行役員会に報告されています。 取引等に関わる業法その他の重要な適用法令等の遵守のために必要な社内規則を制定するほか、関係する重要な法令の改正に際しては、改正案の検討段階から情報を収集し、オリックスの事業環境を整備するとともに、改正法令の施行に適切に対応するために必要な措置を講じています。 海外では、各現地法人において社内弁護士や必要に応じて外部の弁護士も利用するなどして、リスクの回避、予防、軽減を図っています。

 また、法務・コンプライアンス部およびリスク管理本部では、知的財産権の侵害を防ぐためのモニタリングを実施しており、侵害が発見された場合には直ちに必要な措置を講じています。

( f)その他オペレーショナルリスク管理 近年、オリックスの事業が拡大してきたことに伴い、オペレーショナルリスク管理の重要性が増しています。オペレーショナルリスクとは、「内部プロセス、人、システムが不適切もしくは機能しないこと、または外生的事象が生起することから生じる直接的または間接的損失にかかるリスク」です。このオペレーショナルリスク管理の一環として、内部統制およびコンプライアンスの機能強化も図られています。 リスク管理本部では、リスクの定量的、定性的評価と、定期的なモニタリングを行っています。オリックス・システムでは、社内システムの保守、管理などにより、オペレーショナルリスクの軽減を図っています。 監査部では、年間の内部監査計画に基づき重要リスクに焦点をあて、業務の有効性、効率性ならびに法令の遵守状況、社内規則の整備、遵守状況をモニタリングするとともに、各部門では、自己検査制度によるモニタリングも行っています。これらのモニタリングを通じて、現在の内部統制の評価を行い、必要に応じて改善しています。 法務・コンプライアンス部では、従業員のコンプライアンス意識の向上のために、コンプライアンスマニュアルを作成し、国内グループの全従業員に配布しています。また、グループ・コンプライアンス年度方針に基づき、グループ各社において事業内容に即した「コンプライアンス年間計画」を策定し、実践しています。この結果を踏まえ、より効果的なコンプライアンス体制の構築を図っています。 災害リスクについては、「災害リスクマネジメント基本規則」を定め、国内で発生した災害に関しては人事・総務本部が統括し、また海外で発生した災害に関しては、グローバル事業本部が統括する体制を構築しています。また、本規則に則り、従業員が災害に遭遇した際の行動マニュアルを、国内の全従業員に配布するとともに継続的に災害訓練を行っています。それらによって、リスクに対して適正に対処できる体制を維持しています。

(2)個別事業のリスク管理について オリックスは、金融サービス事業をはじめとする幅広く分散した事業ポートフォリオを保有しているため、個別事業の特性に合わせ、網羅性と透明性を確保したモニタリングとコントロールを行っています。事業部門ごとのリスクの状況は、個別案件レベルとポートフォリオ

レベルの両方で定量、定性の両面から分析され、収益変動の下振れリスクの最小化に必要な施策を講じています。個別事業部門レベルの分析内容はグループ全体で共有し、部門間で協力して収益変動

リスクを抑える施策をとるなど、多様な事業ポートフォリオの特徴を活かして収益変動リスクをコントロールしています。

�0 ORIX Corporation — Annual Report 2010

経営管理体制(リスク管理)

法人金融サービス事業部門 法人金融サービス事業部門の主なリスクは信用リスクです。 取り組み時の与信審査に重点を置き、また与信先や業種の分散によるリスク軽減を図っています。取り組み後は、与信先の業績、保全、回収状況について、営業部門では一定額以上の残高のある先を、またリスク管理本部では大口与信先を定期的に確認します。 特定の業種や業界について、現状や見通しの分析を行い、取り組み先に与える影響を分析するとともに、今後の当該業種・業界に対する取り組みについての判断を行います。 管理債権については、個別債権の状況を十分に分析し適切に対応しています。特に不動産を担保とする取り組みについては、他の不動産関連部門のネットワークを活かして売却先やテナントの斡旋を行うなどさまざまな対応策を講じます。

メンテナンスリース事業部門 メンテナンスリース事業部門の主なリスクはビジネスリスクです。 たとえば、オペレーティング・リース物件の商品市況の変動リスクがあります。市場環境の動向を常に把握し、中古物件売却額の変動のモニタリングや、新規取り組みにおける残存価額の見積もり額を調整します。 また、アウトソーシングなどの各種サービスの提供にあたっては、サービス提供に伴うコスト(原価)の変動リスクがあります。計画策定時の前提と実績の検証、今後の見込みをモニタリングし、適切なコスト管理を行っています。 加えて、事業環境の変化、顧客ニーズの変化・多様化に伴い提供しているサービスが顧客の要求するレベルを下回るリスクがあります。サービスの質の状況を定量的・定性的に把握し、その維持向上と、事業環境に合わせた改善を常に行っています。 その他にも、信用リスクに対しては、個別案件の与信審査などを行っています。

不動産事業部門 不動産事業部門の主なリスクはビジネスリスクです。 投資の実行やプロジェクトの可否を判断する際には、キャッシュ・フローを重視しています。計画と実績や見込みのキャッシュ・フローを比較検証し、稼働率の改善などの対応をとることで不動産価格変動

リスクの軽減を図っています。 また、投資対象は小規模物件を中心とし、大規模物件への投資はパートナーとの共同事業にするなどリスクの分散を図っています。 さらに投資戦略とスケジュールのモニタリングを行い、当初見込みと乖離しそうな場合には、戦略の再検討も行っています。

 マンション分譲事業では、開発・販売スケジュール、販売戸数の進捗状況、利益率などをモニタリングします。また、開発・賃貸事業では、開発・保有スケジュール、NOI利回りなどをモニタリングします。物件の稼働率の向上や売却にあたっては、グループのネットワークも活用しています。 運営事業では、稼働率や利益率などをモニタリングします。さらにはオペレーショナルリスクの極小化のために、マニュアルの作成や社員教育にも注力しています。

投資銀行事業部門 不動産ファイナンス事業においては、通常の事業環境下では市場

リスクと信用リスクを主なリスクとして認識しています。そのため、ノンリコースローン、LTV(担保掛目)、DSCR(年間の元利支払額に対する事業キャッシュ・フローの割合を算出したもの)、その他個別の取引条件(他社出資状況、金利リザーブ、保証等)を精査し、また、市場の変化に迅速に対応してリスクをコントロールしています。 一方、極端に市場の流動性が低下するようなストレス環境下においては、物件からのキャッシュ・フローをより詳細にモニタリングして融資条件改善などの施策につなげています。 また、不動産事業で培ったノウハウを活かし、担保物件を取得、保有することによって、収益事業としてビジネスリスクを取るなど、事業環境の変化に応じて弾力的に対応しています。 プリンシパル・インベストメント事業における主なリスクは、信用

リスクと市場リスクですが、これらの比重は投資先企業の発展段階によって変化します。バリューアップ中は、キャッシュ・フローを重視するため信用リスクの比重が高く、投資回収の時期が近くなるにつれて、類似業種の市場価格等を参考に事業価値が測定されるため、市場リスクの比重が高まります。 当初の投資判断をする際には、与信審査と同様に投資先の信用

リスクの分析を行いキャッシュ・フローの評価をします。また事業性や投資スキームの検討も行うため、経理部門、法務部門などの管理部門も関与して多面的な評価を行います。具体的には、事業環境、事業戦略、バリューアップ手法などを分析し、投資案件の収益性、想定投資期間、出口戦略などのシナリオの妥当性を検証します。 投資実行後は、キャッシュ・フロー、バリューアップ、出口戦略、事業戦略、事業環境が当初のシナリオから乖離していないかどうかを個別案件ごとにモニタリングします。事業環境の変化が速い昨今においては、モニタリングの頻度を上げ、シナリオの妥当性の検証と同時に必要なアクションを早めに講じています。グループ収益への影響が大きい投資先については、経営陣の派遣等、マネジメントの強化に努めています。

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

リテール事業部門 信託銀行事業の主なリスクは信用リスクです。 住宅ローン(自宅、投資マンション、アパートなど)は、顧客との面談を通じて返済能力を確認するだけではなく、不動産からもたらされるキャッシュ・フローや担保価値を総合的に判断する個別対応型の審査を行っています。 法人向け融資については、与信先の業況、事業計画、資金使途、返済原資、業界動向を詳細に調査したうえで与信判断をしています。 このような取り組み時の個別案件審査に加え、業種や商品のポートフォリオ分散によるリスク軽減を図っています。 生命保険事業の主なリスクはビジネスリスク、なかでも保険引き受けリスクです。 保険契約の引き受けに際しては、健康状態の告知、診査結果などをもとに厳正な査定をするとともに、保険募集状況等の確認と合わせ、不正な契約が入り込まないよう万全な対策を講じています。これらは、保険契約者間の公平性を確保し、将来の保険関係収支を左右する重要な業務であるため、十分な人員を確保し、専門知識を持った職員の養成に努めています。個人情報の漏洩防止や保険募集に関するコンプライアンスの強化のために、代理店や募集人の教育、指導を行い、定期的に業務検査を実施しています。

海外事業部門アジア・大洋州地域での事業 アジアを中心とする海外現地法人でのリースや貸付事業の主な

リスクは信用リスクです。 取り組み時の与信審査に重点を置き、十分な保証や担保の取得と小口分散を基本としています。ポートフォリオとして取り組み先の業種別、所在地別、担保種類別でモニタリングを行っています。大口与信先については定期的に業況を確認しています。また、管理債権については、個別債権の状況を十分に分析し適切に対応しています。 リスク管理本部では海外のポートフォリオについて、カントリーリスク別のモニタリングも行っています。また、各現地法人のポートフォリオや大口先の業況、管理債権の状況や特に懸念される先については情報を共有しています。 アジアを中心にプリンシパル・インベストメント事業を行っていますが、この事業のリスク管理は「投資銀行事業部門」と同じ考え方で行っています。 また、船舶・航空機関連事業におけるビジネスリスクについては、オペレーティング・リース物件の残存価額の変動リスクが大きいため、汎用性の高い物件に限定するとともに船舶および航空機の評価額を常にモニタリングし、市況変化に応じて売却も検討しています。

米国における事業 米国における法人向け融資や有価証券等の投融資事業については、主に信用リスク、市場リスク、そしてオペレーショナルリスクを管理しています。 信用リスクについては、投資や融資の実行時に、債務者または投資先の信用状況と個別案件ごとの保全状況等を勘案して案件ごとに社内格付を付与し、投融資期間中にわたり継続的に信用状況のモニタリングを行い、定期的に当該社内格付を再検討しています。注意すべき格付水準となった投資先や融資先については、管理部門も関与して、客観的かつ複合的に評価し、引当、減損の要不要などの管理方針を決定しています。 市場リスクについては、資本市場の動きに応じて、時価評価を日々モニタリングしています。また、信用リスク管理のプロセスで個別の投資先や融資先について取得した信用情報とも照らし合わせながら、収益機会の確定や損失軽減のための早期売却など積極的な管理を行っています。 オペレーショナルリスクについては、投資や融資の執行者とその管理者とを分離し、それぞれが投融資実施手順書を完全履行することを徹底しています。また、定期的に社内監査部門が業務監査を実施して、投資業務や融資業務の履行状況を精査しています。 米国における投資銀行事業については、Houlihan Lokey Howard

& Zukin社(以下「Houlihan Lokey社」)が業務を担っており、主にオペレーショナルリスクを管理しています。 Houlihan Lokey社は、米国のFinancial Industry Regulatory

Authority(FINRA)や、英国拠点では英国のFinancial Services

Authority(FSA)など、投資銀行事業にかかる管理当局等が定める業務基準を遵守して業務を履行しています。投資銀行事業として提供する助言や評価書等は、これらの基準を満たす品質レベルや業務手順を維持、確保することが重要です。Houlihan Lokey社では、顧客に対して瑕疵なく高品質の助言や評価サービスを正しい業務手順で提供できるよう、社内の品質監督委員会等を通じて、オペレーショナルリスクの管理を行っています。

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

 

オリックスのリスク管理の特徴について お聞かせください。

 オリックスは世界でも比較対象のない企業グループといわれ

ます。これは私たちが創業以来培ってきたリスク文化ともいえる特徴の表れだと思います。 その特徴は、一つ一つのリスクを丁寧に見るということと、柔軟性にあります。丁寧に見ることでリスクをよく見極め、グッド

リスクを積極的にとってきました。その結果、少しずつリスクプロファイルの違う幅広いポートフォリオを構築してきました。リスクを見極め、柔軟に対応することは、どのような事業環境においても迅速かつ大胆に行動することにつながり、リスクを成長に結びつけてきました。このリスク文化はオリックスの成長を引き続き支える要となるものです。

今回の金融危機を通じてCFOとして 再確認したことを教えてください。

オリックスでは、個別取組について、トップマネジメントを含め細かいところまで情報共有ができています。金融危機においても1件ずつの取り組みを丁寧に見ることで、それぞれのリスクを認識し、的確な対応を取ることができました。また、常日頃から情報を共有しているため迅速なアクションにつながりました。トップマネジメントとしてはそこまでのコミットを続けるのは決して簡単

なことではありませんが、1件ずつ丁寧に見るという文化(方法)は非常に重要かつ有効であると再確認しました。

1件ずつの取り組みをよく理解しているので、さまざまな角度から複数の対処法を検討することができ、事業環境に応じてそれらのシナリオ(対処法)のなかから最も適切なものへ迅速に切り変えることができました。またオリックスはさまざまなビジネスを行っており、専門性や知見などのリソースを応用できました。 一方、金融危機において事業環境は目まぐるしく変化しました。なかでも資本市場の変動が激しく、流動性のコントロールには神経を使いました。機敏にシナリオを変え、変えたシナリオにスピーディーに対応してバランスシートをコントロールしてきたわけですが、各種リスク管理手法もさることながら組織的な意志と実行力に依拠するところも大きいと実感しました。定量・定性両面でバランスのある、実体を伴ったリスク管理能力を発揮することで、2010年3月期の期初に掲げた利益目標および健全性強化のすべての指標において目標を上回るレベルで達成しました。自らの意思(シナリオ)に則って、バランスシートをコントロールする力が発揮できたと同時にこれからの成長の大きな糧となりました。

今後どのようにリスク管理をしていくのか 具体的に教えてください。

 これからのオリックスは、金融にサービスを付加し、お客様への付加価値提供をさらに進化させていきます。この進化においては、業務の効率、サービスの質のコントロールなどの強化が重要になります。またお客様のニーズや、取引における関係者の多様化に合わせて、リスクも多様化していきます。さらにグローバルにサービスを展開していくことで、それぞれの地域、文化、商慣習を十分考慮したインフラ整備が必要になります。これまでとは異なるリスクと対峙する場面も増えますが、このような新しいリスクのマネジメントが持続的成長のカギとなります。リスク管理に絶対的な正解はありません。自らの考えで自らをマネージすることにつきます。自分たちが企業グループとして何を目指すか、それにはどのようなリスクをとるべきか、そのリスクをどのようにコントロールするのか。それらを一つずつ検討し、対処することで、より適切なリスク管理へと深化させることができます。自らでリスクを見極める力をさらに磨き、オリックスらしいリスクのとり方と柔軟性をもって、着実な成長を実現してまいります。

オリックスグループCFO

浦田 晴之

経営管理体制(浦田CFOインタビュー)

浦田CFOインタビュー

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

社会とのかかわり

基本的な考え方

オリックスは、社会のニーズに応えるため、新しい価値と

環境の創造を目指し、事業活動を推進しています。しかしながら、事業活動だけではカバーできない社会福祉、子ども・青少年支援、音楽・文化芸術、環境保全、国際協力などの分野において継続的に支援活動を行い、真に「豊かな社会」の実現に寄与することを目的として、2006年4月に「オリックス社会貢献基金」を設立しました。社会貢献活動に参画するオリックスの社員とともに、支援活動を継続していきます。

2010年3月期における活動内容 社会福祉肢体不自由児施設などへ福祉車両を寄贈

2010年1月に「青森県立はまなす医療療育センター」、同年2月に「社会福祉法人秋田県小児療育センター(現:秋田県立医療療育センター)」へ福祉車両を寄贈しました。新しい福祉車両の到着で「子どもたちが新たなルートを巡回し、施設に楽しく通うことができるようになった」との声が届いています。福祉車両の寄贈は2007年3月期から開始しており、これまで23

施設に寄贈しています。来期以降も継続的に取り組む方針です。

子ども・青少年支援児童養護施設の子どもたちを野球観戦に招待児童養護施設の子どもたちを野球観戦に招待しています。子どもたちは、スポーツの楽しさや仲間と一緒に応援する一体感を体験。社員ボランティアも参加し、子どもたちとの交流を深めています。2010年3月期は新型インフルエンザの影響もあり、約300名の児童を招待するにとどまりましたが、例年は約500名の児童を招待しています。

環境保全&子ども・青少年支援「沖縄サンゴ礁再生プロジェクト」に児童を招待し、 移植用サンゴの台座づくりを体験オリックス不動産が活動している「沖縄サンゴ礁再生プロ

ジェクト」に、2009年から沖縄の児童を招待しています。2010年3月27日のプログラムには15名の児童が参加し、移植用サンゴの台座づくりを体験したり、沖縄の海、生き物、サンゴについて学びました。

国際協力&子ども・青少年支援「ORIX FOUNDATION SCHOLARSHIP」 書き損じはがきでタイの小・中学生に奨学金 国際協力および将来を担う子ども支援の一環として、国際協力NGOである一般財団法人・民際センターの協力を得て、2008年3月期、2009年3月期にタイの東北地方2カ所の学校(バンホウセーラオ校、バン・ナカエ校)に「オリックス教育センター(図書室、パソコンルーム)」を建設、寄贈しました。また、2010年2月には社内で「書き損じはがき」を収集し、

2010年夏からその換金額と同額を拠出し、前述2校の児童を対象に奨学金を支給する「ORIX FOUNDATION SCHOL-

ARSHIP」を実施する予定です。(支援児童数は12名を予定 )

文化芸術&社会福祉「肢体不自由児・者の美術展」に協賛社会的ハンディキャップのある方への支援の一環として、

2008年3月期から「肢体不自由児・者の美術展」に協賛しています。毎年応募される800点前後の作品のなかから、2作品に「オリックス賞」を授与しています。

社会とのかかわり

寄贈車両の目録代わりに、車のキーを寄贈

「沖縄サンゴ礁再生プロジェクト」/児童体験プログラム

2010年3月期に「オリックス賞」を授与した2作品

「オリックス社会貢献基金」を通じた支援活動

�� ORIX Corporation — Annual Report 2010

環境とのかかわり

環境とのかかわり

基本的な考え方

オリックスは環境方針を定め、2012年までの活動を「ECORIX2012」として推進しています。また、グループ各社において地球環境の保全に貢献する活動を展開しています。

オリックス環境方針(2008年9月25日制定)

私たちは、未来人という新たなステークホルダーのために、炭素効率性を高める企業グループになります

社会の低炭素化に貢献します お客様の低炭素化をお手伝いします 自らの低炭素化に取り組みます

「ECORIX2012」の活動目標

社会の低炭素化に貢献します社会の構成員であるオリックスの社員一人ひとりが、あらゆる機会を通じて環境負荷を低減する活動を積極的に行います。【2012年に目指すもの】• お客様の低炭素化を進められるよう、新たなサービスの開発に努力します。• 環境研修などを通じて、社員の意識と知識を向上させます。• 家族や地域の低炭素化を推進するための活動を積極的に行います。

お客様の低炭素化をお手伝いしますオリックスが展開するサービス・商品を通じて、お客様の環境負荷を低減し、低炭素化をご支援します。【2012年に目指すもの】• サービス・商品に関するCO2排出量の情報をできる限りお客様にご提供します。• サービス・商品のご利用によるCO2削減効果の情報提供に努めます。

自らの低炭素化に取り組みますオリックスの活動から生じるCO2を削減し、低炭素化を進めます。【2012年に目指すもの】• オリックスグループの業務活動・事業活動に起因するCO2排出量を2008年3月期比10%削減します。

• 部門ごとに、事業特性にかなった目標を設定して活動を推進します(関連業界で自主活動計画が策定されている場合は、これを考慮します)。

• 紙の使用量を2008年3月期比30%削減します。

オリックスの環境保全活動サンゴ礁再生のためのゴルフ場における取り組みオリックス・ゴルフ・マネジメントは、不要になったゴルフボールやロストボールを回収し、運営する全国すべてのゴルフ場および練習場においてサンゴを移植するための募金活動を行っています。

プロ野球を通じたエコ活動• 2009年4月と7月に、京セラドーム大阪で「エコ・デー」を開催しました。来場者参加型のカーボン・オフセットを実施し、試合時に照明などで使用する電力から排出されるCO2

のすべてを相殺しました。• オリックス・バファローズの球団旗とユニフォームをリメイクしエコバッグとして商品化しました。販売によって得た収益を小学校での植樹活動に充当し、2010年1月にオリックス・バファローズの選手が小学生と一緒に月桂樹を植樹しました。

SRIインデックスへの組み入れ状況オリックスは、世界的な社会的責任投資(SRI)インデックスの「Dow Jones Sustainability Indexes」(DJSI Japan 40)、日本国内初のSRIインデックスである「モーニングスター社会的責任投資株価指数」(MS-SRI)の構成銘柄として選定されています。

環境方針と環境保全活動

オリックスは、メーカーの「エコプロダクツ」をお客様のニーズにかなった形でご利用いただくために必要な、さまざまな機能を総合的にご提供する「エコサービスインテグレーター」を目指します。詳細は、2009年10月に発行した「環境レポート2009-2010」をご覧ください。「環境レポート2009-2010」http://www.orix.co.jp/grp/co/environment/index.htm

低炭素社会へ低炭素社会へ

社員一人ひとりの意識啓発

オリックスの業務の低炭素化推進

オリックスがご提供するサービス自体の低炭素化

お客様の低炭素化を促進するサービスのご提供

球団旗とユニフォームからつくられたエコバッグ

ORIX Corporation — Annual Report 2010 ��

財務セクション

財務セクション

56 11年間の要約財務データ

58 連結貸借対照表

60 連結損益計算書

61 連結資本変動計算書

62 連結キャッシュ・フロー計算書

63 財務諸表の解説

本年次報告書においては、財務関連情報を抜粋して掲載しています。詳細については、オリックスの有価証券報告書をご覧ください。投資家情報 IR資料室 有価証券報告書等URL:http://www.orix.co.jp/grp/ir_ j/library/security.htm

56 ORIXCorporation—AnnualReport2010

11年間の要約財務データオリックス株式会社および連結子会社2000年から2010年3月31日に終了した事業年度

百万円

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

財政状態ファイナンス・リース投資 ¥1,744,953 ¥1,657,709 ¥1,658,669 ¥1,572,308 ¥1,453,575 ¥1,451,574 ¥1,437,491 ¥1,258,404 ¥1,098,128 ¥ 914,444 ¥ 756,481

営業貸付金 1,791,439 1,846,511 2,273,280 2,288,039 2,234,940 2,386,597 2,926,036 3,490,326 3,766,310 3,304,101 2,464,251

貸倒引当金 (136,939) (141,077) (152,887) (133,146) (128,020) (115,250) (97,002) (89,508) (102,007) (158,544) (157,523)

貸倒引当金比率(貸倒引当金/ファイナンス・リース投資および営業貸付金) 3.9% 4.0% 3.9% 3.4% 3.5% 3.0% 2.2% 1.9% 2.1% 3.8% 4.9%

オペレーティング・リース投資 397,576 451,171 474,491 529,044 536,702 619,005 720,096 862,049 1,019,956 1,226,624 1,213,223

投資有価証券 758,381 942,158 861,336 677,435 551,928 589,271 682,798 875,581 1,121,784 926,140 1,104,158

その他営業資産 68,943 98,175 245,897 76,343 72,049 82,651 91,856 152,106 197,295 189,560 186,396

総資産 ¥5,341,542 ¥5,591,311 ¥6,350,219 ¥5,931,067 ¥5,624,957 ¥6,068,953 ¥7,242,455 ¥8,207,187 ¥8,994,970 ¥8,369,736 ¥7,739,800

長短借入債務および預金 ¥4,010,468 ¥4,070,545 ¥4,679,566 ¥4,239,514 ¥3,859,180 ¥4,146,322 ¥4,925,753 ¥5,483,922 ¥6,263,017 ¥5,919,639 ¥5,263,104

当社株主資本 ¥425,671 ¥461,323 ¥502,508 ¥505,458 ¥564,047 ¥ 727,333 ¥ 953,646 ¥1,194,234 ¥1,267,917 ¥1,167,530 ¥1,298,684

収益および費用営業収益 ¥651,425 ¥617,758 ¥704,945 ¥732,873 ¥760,487 ¥ 880,734 ¥ 906,944 ¥1,115,482 ¥1,135,338 ¥1,053,521 ¥ 932,841

営業費用 560,457 524,547 633,457 693,824 672,568 750,827 694,589 834,830 949,784 1,000,166 903,270

貸倒引当金繰入額 45,567 44,572 51,249 52,781 47,511 39,332 16,216 13,805 33,226 77,027 71,532

税引前当期純利益 50,679 56,473 71,158 47,254 105,301 152,926 247,141 314,565 246,119 8,687 55,608

継続事業からの利益 29,876 32,422 39,149 26,842 52,967 85,715 151,071 188,772 148,448 11,362 32,255

当社株主に帰属する当期純利益 30,642 34,157 40,269 30,243 54,020 91,496 166,388 196,506 169,597 21,924 37,757

ROA 0.57% 0.62% 0.67% 0.49% 0.93% 1.56% 2.50% 2.54% 1.97% 0.25% 0.47%

ROE 8.13% 7.70% 8.36% 6.00% 10.10% 14.17% 19.80% 18.30% 13.78% 1.80% 3.06%

1株当たり(円) 当社株主に帰属する当期純利益(基本的) ¥ 385.27 ¥ 417.77 ¥ 489.19 ¥ 361.44 ¥ 645.52 ¥ 1,087.82 ¥ 1,883.89 ¥ 2,177.10 ¥ 1,860.63 ¥ 246.59 ¥ 370.52

 当社株主に帰属する当期純利益(希薄化後) ¥ 377.02 ¥ 400.99 ¥ 467.11 ¥ 340.95 ¥ 601.46 ¥ 1,002.18 ¥ 1,790.30 ¥ 2,100.93 ¥ 1,817.81 ¥ 233.81 ¥ 315.91

 当社株主資本 ¥5,199.12 ¥5,646.11 ¥6,007.52 ¥6,039.43 ¥6,739.64 ¥8,322.96 ¥10,608.97 ¥13,089.83 ¥14,010.62 ¥13,059.59 ¥12,082.56

営業実績ファイナンス・リース: 新規実行高(購入金額ベース) ¥ 905,898 ¥ 723,330 ¥ 980,379 ¥ 895,848 ¥ 713,240 ¥ 767,672 ¥ 800,802 ¥ 636,723 ¥ 574,859 ¥ 364,734 ¥ 232,629

営業貸付金: 新規貸付額 ¥ 807,477 ¥ 740,639 ¥1,340,400 ¥1,268,170 ¥1,124,276 ¥1,545,517 ¥1,834,192 ¥2,226,282 ¥2,331,331 ¥1,055,014 ¥ 598,046

オペレーティング・リース: 新規購入額 ¥ 101,020 ¥ 143,158 ¥ 146,203 ¥ 173,567 ¥ 189,737 ¥ 248,327 ¥ 317,645 ¥ 348,561 ¥ 465,909 ¥ 426,715 ¥ 189,915

投資有価証券: 新規購入額 ¥ 333,249 ¥ 397,218 ¥ 348,347 ¥ 231,294 ¥ 122,066 ¥ 244,600 ¥ 235,932 ¥ 331,055 ¥ 688,148 ¥ 374,614 ¥ 519,769

その他営業取引: 新規投資額 ¥ 70,443 ¥ 128,984 ¥ 204,121 ¥ 116,736 ¥ 186,265 ¥ 129,604 ¥ 132,017 ¥ 215,409 ¥ 152,480 ¥ 76,269 ¥ 24,186

従業員数(名) 9,503 9,529 11,271 11,833 12,481 13,734 15,067 16,662 18,702 18,920 17,725

財務セクション

注:1.2002年3月期において、(株)イフコ(オリックス自動車(株)に合併)の買収に伴い、ファイナンス・リースの新規実行高(購入金額ベース)が252,436百万円、営業貸付金の新規貸付額および投資有価証券の新規購入額がそれぞれ5,841百万円、1,042百万円増加しています。さらに、朝日生命保険(相)からの住宅ローン債権買い取りにより、営業貸付金の新規貸付額が132,127百万円増加しています。また、2003年3月期において、日鐵リース(株)(現・エヌエスリース(株))の買収に伴い、ファイナンス・リースの新規実行高(購入金額ベース)が112,605百万円増加しています。

2.2001年3月期において、2000年5月19日付で1株につき1.2株の割合をもって株式分割を行いました。1株当たり情報については、この株式分割を考慮し、遡及的に調整しています。 3.米国財務会計基準審議会会計基準編纂書205-20「財務諸表の表示̶非継続事業」に従い、非継続事業にかかる損益を独立表示するとともに、当該事業にかかる過年度の損益を組替

再表示しています。 4.2010年3月期より、当期純利益は米国財務会計基準審議会会計基準編纂書810-10-65-1「連結-連結財務諸表における非支配持分」の適用により当社株主に帰属する当期純利益に

名称を変更しています。

ORIXCorporation—AnnualReport2010 57

百万円

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

財政状態ファイナンス・リース投資 ¥1,744,953 ¥1,657,709 ¥1,658,669 ¥1,572,308 ¥1,453,575 ¥1,451,574 ¥1,437,491 ¥1,258,404 ¥1,098,128 ¥ 914,444 ¥ 756,481

営業貸付金 1,791,439 1,846,511 2,273,280 2,288,039 2,234,940 2,386,597 2,926,036 3,490,326 3,766,310 3,304,101 2,464,251

貸倒引当金 (136,939) (141,077) (152,887) (133,146) (128,020) (115,250) (97,002) (89,508) (102,007) (158,544) (157,523)

貸倒引当金比率(貸倒引当金/ファイナンス・リース投資および営業貸付金) 3.9% 4.0% 3.9% 3.4% 3.5% 3.0% 2.2% 1.9% 2.1% 3.8% 4.9%

オペレーティング・リース投資 397,576 451,171 474,491 529,044 536,702 619,005 720,096 862,049 1,019,956 1,226,624 1,213,223

投資有価証券 758,381 942,158 861,336 677,435 551,928 589,271 682,798 875,581 1,121,784 926,140 1,104,158

その他営業資産 68,943 98,175 245,897 76,343 72,049 82,651 91,856 152,106 197,295 189,560 186,396

総資産 ¥5,341,542 ¥5,591,311 ¥6,350,219 ¥5,931,067 ¥5,624,957 ¥6,068,953 ¥7,242,455 ¥8,207,187 ¥8,994,970 ¥8,369,736 ¥7,739,800

長短借入債務および預金 ¥4,010,468 ¥4,070,545 ¥4,679,566 ¥4,239,514 ¥3,859,180 ¥4,146,322 ¥4,925,753 ¥5,483,922 ¥6,263,017 ¥5,919,639 ¥5,263,104

当社株主資本 ¥425,671 ¥461,323 ¥502,508 ¥505,458 ¥564,047 ¥ 727,333 ¥ 953,646 ¥1,194,234 ¥1,267,917 ¥1,167,530 ¥1,298,684

収益および費用営業収益 ¥651,425 ¥617,758 ¥704,945 ¥732,873 ¥760,487 ¥ 880,734 ¥ 906,944 ¥1,115,482 ¥1,135,338 ¥1,053,521 ¥ 932,841

営業費用 560,457 524,547 633,457 693,824 672,568 750,827 694,589 834,830 949,784 1,000,166 903,270

貸倒引当金繰入額 45,567 44,572 51,249 52,781 47,511 39,332 16,216 13,805 33,226 77,027 71,532

税引前当期純利益 50,679 56,473 71,158 47,254 105,301 152,926 247,141 314,565 246,119 8,687 55,608

継続事業からの利益 29,876 32,422 39,149 26,842 52,967 85,715 151,071 188,772 148,448 11,362 32,255

当社株主に帰属する当期純利益 30,642 34,157 40,269 30,243 54,020 91,496 166,388 196,506 169,597 21,924 37,757

ROA 0.57% 0.62% 0.67% 0.49% 0.93% 1.56% 2.50% 2.54% 1.97% 0.25% 0.47%

ROE 8.13% 7.70% 8.36% 6.00% 10.10% 14.17% 19.80% 18.30% 13.78% 1.80% 3.06%

1株当たり(円) 当社株主に帰属する当期純利益(基本的) ¥ 385.27 ¥ 417.77 ¥ 489.19 ¥ 361.44 ¥ 645.52 ¥ 1,087.82 ¥ 1,883.89 ¥ 2,177.10 ¥ 1,860.63 ¥ 246.59 ¥ 370.52

 当社株主に帰属する当期純利益(希薄化後) ¥ 377.02 ¥ 400.99 ¥ 467.11 ¥ 340.95 ¥ 601.46 ¥ 1,002.18 ¥ 1,790.30 ¥ 2,100.93 ¥ 1,817.81 ¥ 233.81 ¥ 315.91

 当社株主資本 ¥5,199.12 ¥5,646.11 ¥6,007.52 ¥6,039.43 ¥6,739.64 ¥8,322.96 ¥10,608.97 ¥13,089.83 ¥14,010.62 ¥13,059.59 ¥12,082.56

営業実績ファイナンス・リース: 新規実行高(購入金額ベース) ¥ 905,898 ¥ 723,330 ¥ 980,379 ¥ 895,848 ¥ 713,240 ¥ 767,672 ¥ 800,802 ¥ 636,723 ¥ 574,859 ¥ 364,734 ¥ 232,629

営業貸付金: 新規貸付額 ¥ 807,477 ¥ 740,639 ¥1,340,400 ¥1,268,170 ¥1,124,276 ¥1,545,517 ¥1,834,192 ¥2,226,282 ¥2,331,331 ¥1,055,014 ¥ 598,046

オペレーティング・リース: 新規購入額 ¥ 101,020 ¥ 143,158 ¥ 146,203 ¥ 173,567 ¥ 189,737 ¥ 248,327 ¥ 317,645 ¥ 348,561 ¥ 465,909 ¥ 426,715 ¥ 189,915

投資有価証券: 新規購入額 ¥ 333,249 ¥ 397,218 ¥ 348,347 ¥ 231,294 ¥ 122,066 ¥ 244,600 ¥ 235,932 ¥ 331,055 ¥ 688,148 ¥ 374,614 ¥ 519,769

その他営業取引: 新規投資額 ¥ 70,443 ¥ 128,984 ¥ 204,121 ¥ 116,736 ¥ 186,265 ¥ 129,604 ¥ 132,017 ¥ 215,409 ¥ 152,480 ¥ 76,269 ¥ 24,186

従業員数(名) 9,503 9,529 11,271 11,833 12,481 13,734 15,067 16,662 18,702 18,920 17,725

58 ORIXCorporation—AnnualReport2010

財務セクション

連結貸借対照表オリックス株式会社および連結子会社2009年および2010年3月31日現在

百万円 百万米ドル*

2009 2010 2010

資産の部:

 現金および現金等価物 ¥ 459,969 ¥ 639,087 $ 6,869

 使途制限付現金 128,056 77,486 833

 定期預金 680 548 6

 ファイナンス・リース投資 914,444 756,481 8,131

 営業貸付金 3,304,101 2,464,251 26,486

 貸倒引当金 (158,544) (157,523) (1,693)

 オペレーティング・リース投資 1,226,624 1,213,223 13,040

 投資有価証券 926,140 1,104,158 11,868

 その他営業資産 189,560 186,396 2,003

 関連会社投資 (2009年3月31日現在、会計基準編纂書825-10に基づき公正価値評価した

10,245百万円を含んでおります。)

264,695 409,711 4,404

 その他受取債権 228,581 210,521 2,263

 棚卸資産 197,960 153,256 1,647

 前払費用 34,571 45,420 488

 社用資産 86,945 96,831 1,041

 その他資産 565,954 539,954 5,802

 資産合計 ¥8,369,736 ¥7,739,800 $83,188

*2010年3月31日の為替相場である1米ドル=93.04円により、日本円による金額を米ドル金額へ換算しています。

ORIXCorporation—AnnualReport2010 59

百万円 百万米ドル*

2009 2010 2010

負債の部: 短期借入債務 ¥ 798,167 ¥ 573,565 $ 6,165 預金 667,627 853,269 9,171 支払手形および未払金等 370,310 311,113 3,344 未払費用 96,662 101,917 1,095 保険契約債務 442,884 409,957 4,406 未払法人税等:  当期分 9,119 22,769 245  繰延分 151,239 160,905 1,729 受入保証金  168,890 125,479 1,349 長期借入債務 4,453,845 3,836,270 41,233 負債合計 7,158,743 6,395,244 68,737

償還可能非支配持分 25,396 28,095 302契約債務および偶発債務

資本の部: 資本金  授権株式数 259,000,000株  発行済株式数 前連結会計年度末現在 92,217,067株 当連結会計年度末現在 110,229,948株 102,216 143,939 1,547 資本剰余金 136,313 178,661 1,920 利益剰余金 1,071,919 1,104,779 11,874 その他の包括利益累計額  未実現有価証券評価損益 (5,615) 7,495 81  確定給付年金制度 (16,221) (9,092) (98)  為替換算調整勘定 (71,791) (77,651) (835)  未実現デリバティブ評価損益 1,243 (211) (2)  小計 (92,384) (79,459) (854) 自己株式(取得価額)  前連結会計年度末現在  2,816,847株  当連結会計年度末現在  2,745,701株 (50,534) (49,236) (529) 当社株主資本合計 1,167,530 1,298,684 13,958 非支配持分 18,067 17,777 191 資本合計 1,185,597 1,316,461 14,149 負債・資本合計 ¥8,369,736 ¥7,739,800 $83,188

60 ORIXCorporation—AnnualReport2010

連結損益計算書オリックス株式会社および連結子会社2008年、2009年および2010年3月31日に終了した事業年度

百万円 百万米ドル*

2008 2009 2010 2010

営業収益: ファイナンス・リース収益 ¥78,197 ¥ 63,349 ¥ 50,115 $ 539 オペレーティング・リース収益 284,064 285,384 277,217 2,980  貸付金および有価証券利息 226,577 196,164 135,167 1,453  有価証券等仲介手数料および売却益 23,520 (12,330) 23,317 251  生命保険料収入および運用益 128,616 117,751 115,598 1,242  不動産販売収入 88,445 71,088 40,669 437  賃貸不動産売却益 16,756 24,346 6,841 74  その他の営業収入 289,163 307,769 283,917 3,050   営業収益合計 1,135,338 1,053,521 932,841 10,026 営業費用: 支払利息 105,254 102,522 82,503 887  オペレーティング・リース原価 182,144 194,216 192,678 2,071  生命保険費用 112,869 105,899 92,348 993  不動産販売原価 81,057 79,058 46,757 503  その他の営業費用 172,405 185,121 162,839 1,750  販売費および一般管理費 252,885 235,328 223,061 2,397  貸倒引当金繰入額 33,226 77,027 71,532 769  長期性資産評価損 1,741 3,673 6,977 75  有価証券評価損 8,290 18,631 23,637 254  為替差損(益) (87) (1,309) 938 9   営業費用合計 949,784 1,000,166 903,270 9,708 営業利益 185,554 53,355 29,571 318 持分法投資損益 48,343 (42,937) 8,550 92 子会社・関連会社株式売却損益および清算損 12,222 (1,731) 17,487 188 税引前当期純利益 246,119 8,687 55,608 598 法人税等 97,671 (2,675) 23,353 251 継続事業からの利益 148,448 11,362 32,255 347 非継続事業からの損益 非継続事業からの損益 40,062 21,231 13,438 144  法人税等 (15,944) (8,796) (4,756) (51) 非継続事業からの損益(税効果控除後) 24,118 12,435 8,682 93 異常損益項目控除前利益 172,566 23,797 40,937 440異常損益項目(税効果控除後)–関連会社取得時利益 933 ̶ ̶ ̶当期純利益 173,499 23,797 40,937 440非支配持分に帰属する当期純利益 1,952 1,175 704 8 償還可能非支配持分に帰属する当期純利益 1,950 698 2,476 26 当社株主に帰属する当期純利益 ¥169,597 ¥ 21,924 ¥ 37,757 $ 406

円 米ドル*

1株当たり: 基本的  継続事業からの利益 ¥1,585.94 ¥107.61 ¥283.26 $3.04   非継続事業からの損益 264.45 138.98 87.26 0.94  異常損益項目 10.24 ̶ ̶ ̶  当社株主に帰属する当期純利益 1,860.63 246.59 370.52 3.98 希薄化後  継続事業からの利益 1,551.38 104.35 244.00 2.62  非継続事業からの損益 256.50 129.46 71.91 0.77  異常損益項目 9.93 ̶ ̶ ̶  当社株主に帰属する当期純利益 1,817.81 233.81 315.91 3.40現金配当金 130.00 260.00 70.00 0.75

*2010年3月31日の為替相場である1米ドル=93.04円により、日本円による金額を米ドル金額へ換算しています。

財務セクション

ORIXCorporation—AnnualReport2010 61

連結資本変動計算書オリックス株式会社および連結子会社2008年、2009年および2010年3月31日に終了した事業年度

百万円当社株主資本

当社株主資本合計 非支配持分 資本合計資本金 資本剰余金 利益剰余金 その他の包括利益額累計 自己株式

2007年3月31日残高 ¥ 98,755 ¥ 119,402 ¥ 924,043 ¥ 55,253 ¥ (3,219) ¥1,194,234 ¥ 14,485 ¥1,208,719子会社への出資 8,494 8,494非支配持分との取引 ̶ (3,910) (3,910)包括利益(損失) 当期純利益 169,597 169,597 1,952 171,549  その他の包括利益(損失)  未実現有価証券評価損益 (36,708) (36,708) ̶ (36,708)  確定給付年金制度 (7,727) (7,727) ̶ (7,727)  為替換算調整勘定 (31,182) (31,182) 105 (31,077)  未実現デリバティブ評価損益 1,069 1,069 ̶ 1,069 その他の包括利益(損失) 計 (74,548) 105 (74,443)包括利益(損失) 計 95,049 2,057 97,106配当金 (11,863) (11,863) (3,897) (15,760)転換社債の株式への転換による増加額 2,361 1,848 4,209 ̶ 4,209持分法適用会社の資本取引による増加額 1,641 1,641 ̶ 1,641ストックオプションの権利行使による増加額 991 986 1,977 ̶ 1,977ストックオプションによる報酬 2,150 2,150 ̶ 2,150株式交換による増加額 10,215 10,215 ̶ 10,215自己株式の取得による増加額 (30,749) (30,749) ̶ (30,749)自己株式の処分による減少額 190 190 ̶ 190その他の増減 558 21 285 864 ̶ 8642008年3月31日残高 ¥102,107 ¥135,159 ¥1,083,439 ¥(19,295) ¥(33,493) ¥1,267,917 ¥ 17,229 ¥1,285,146子会社への出資 ̶ 2,162 2,162非支配持分との取引 ̶ (1,426) (1,426)包括利益(損失) 当期純利益 21,924 21,924 1,175 23,099  その他の包括利益(損失)  未実現有価証券評価損益 (41,901) (41,901) (5) (41,906)  確定給付年金制度 (12,098) (12,098) ̶ (12,098)  為替換算調整勘定 (17,989) (17,989) (11) (18,000)  未実現デリバティブ評価損益 (1,101) (1,101) ̶ (1,101) その他の包括利益(損失) 計 (73,089) (16) (73,105)包括利益(損失) 計 (51,165) 1,159 (50,006)配当金 (23,529) (23,529) (1,057) (24,586)ストックオプションの権利行使による増加額 109 108 217 ̶ 217ストックオプションによる報酬 1,370 1,370 ̶ 1,370自己株式の取得による増加額 (29,294) (29,294) ̶ (29,294)自己株式の処分による減少額 (533) (9,915) 12,043 1,595 ̶ 1,595その他の増減 209 210 419 ̶ 4192009年3月31日残高 ¥102,216 ¥136,313 ¥1,071,919 ¥ (92,384) ¥ (50,534) ¥1,167,530 ¥ 18,067 ¥ 1,185,597「企業の自社株式に関する契約」適用による調整 1,758 1,758 ̶ 1,7582009年4月1日残高 ¥102,216 ¥136,313 ¥1,073,677 ¥ (92,384) ¥ (50,534) ¥1,169,288 ¥ 18,067 ¥1,187,355新株の発行 41,677 41,347 83,024 ̶ 83,024 子会社への出資 ̶ 2,473 2,473 非支配持分との取引 (32) (387) (419) 60 (359)包括利益(損失) 当期純利益 37,757 37,757 704 38,461   その他の包括利益(損失)  未実現有価証券評価損益 13,497 13,497 2 13,499   確定給付年金制度 7,129 7,129 (4) 7,125   為替換算調整勘定 (5,860) (5,860) (1,002) (6,862)  未実現デリバティブ評価損益 (1,454) (1,454) (6) (1,460) その他の包括利益(損失) 計 13,312 (1,010) 12,302 包括利益(損失) 計 51,069 (306) 50,763 配当金 (6,261) (6,261) (2,517) (8,778)転換社債の株式への転換による増加額 7 7 14 ̶ 14 ストックオプションの権利行使による増加額 39 38 77 ̶ 77 ストックオプションによる報酬 611 611 ̶ 611 自己株式の取得による増加額 (3) (3) ̶ (3)自己株式の処分による減少額 (531) 822 291 ̶ 291 その他の増減 377 137 479 993 ̶ 993 2010年3月31日残高 ¥143,939 ¥178,661 ¥1,104,779 ¥(79,459) ¥(49,236) ¥1,298,684 ¥17,777 ¥1,316,461

注:上記の連結資本変動計算書には、償還可能非支配持分の変動は含まれておりません。

62 ORIXCorporation—AnnualReport2010

連結キャッシュ・フロー計算書オリックス株式会社および連結子会社2008年、2009年および2010年3月31日に終了した事業年度

百万円 百万米ドル*

2008 2009 2010 2010営業活動によるキャッシュ・フロー: 当期純利益 ¥ 173,499 ¥ 23,797 ¥ 40,937 $ 440 営業活動から得た現金(純額)への当期純利益の調整:  減価償却費・その他償却費 168,767 189,215 167,266 1,798  貸倒引当金繰入額 33,226 77,027 71,532 769  保険契約債務の減少 (5,567) (43,495) (32,927) (354)  繰延税金戻入 (10,472) (43,583) (27,814) (299)  証券化による売却損益 (3,481) 233 (331) (4)  持分法投資損益(貸付利息を除く) (48,343) 42,937 (6,682) (72)  子会社・関連会社株式売却損益および清算損 (12,222) 1,731 (17,487) (188)  異常損益項目 (933) ̶ ̶ ̶  売却可能有価証券の売却益 (7,563) (3,334) (6,907) (74)  賃貸不動産売却益 (16,756) (24,346) (6,841) (74)  賃貸不動産以外のオペレーティング・リース資産の売却益 (15,217) (11,426) (7,552) (81)  長期性資産評価損 1,741 3,673 6,977 75  有価証券評価損 8,290 18,631 23,637 254  使途制限付現金の減少(増加) (23,219) 23,661 4,520 49  売却予定の営業貸付金の減少(増加) (23,721) 8,740 1,052 11  短期売買目的有価証券の減少(増加) 3,275 20,048 (29,725) (319)  棚卸資産の減少(増加) (19,606) 9,332 39,061 420  その他受取債権の減少(増加) (53,975) 54,931 (518) (6)  支払手形および未払金等の増加(減少) 26,990 (36,185) (35,011) (376)  その他の増減(純額) 18,426 (2,808) 26,124 281   営業活動から得た現金(純額) 156,287 308,779 209,311 2,250投資活動によるキャッシュ・フロー: リース資産の購入 (1,088,237) (857,126) (389,413) (4,185) ファイナンス・リース投資の回収 546,964 431,984 352,316 3,787 リース債権、営業貸付債権および有価証券の証券化による収入 174,922 30,859 28,305 304 顧客への営業貸付金の実行 (2,267,527) (1,038,625) (589,814) (6,339) 営業貸付金の元本回収 1,893,172 1,469,672 937,895 10,080 オペレーティング・リース資産の売却 229,065 161,645 162,988 1,752 関連会社への投資(純額) (30,350) (17,919) (28,256) (304) 関連会社投資の売却 102,383 1,936 12,532 134 売却可能有価証券の購入 (595,445) (301,030) (456,364) (4,905) 売却可能有価証券の売却 187,095 242,702 181,033 1,946 売却可能有価証券の償還 127,084 128,669 162,292 1,744 満期保有目的有価証券の購入 ̶ ̶ (43,748) (470) その他の有価証券の購入 (90,088) (73,578) (19,656) (211) その他の有価証券の売却 46,964 36,378 26,034 280 その他営業資産の購入 (38,922) (14,615) (4,898) (53) その他営業資産の売却 1,324 12,727 1,767 19 子会社買収(取得時現金控除後) (15,220) (752) (10,218) (110) 子会社売却(売却時現金控除後) 3,948 28 123,613 1,329 その他の増減(純額) (25,463) (41,772) (13,620) (146)  投資活動から得た(に使用した)現金(純額) (838,331) 171,183 432,788 4,652財務活動によるキャッシュ・フロー: 満期日が3ヶ月以内の借入債務の減少(純額) (69,644) (237,544) (121,399) (1,305) 満期日が3ヶ月超の借入債務による調達 2,777,541 2,091,575 1,083,310 11,643 満期日が3ヶ月超の借入債務の返済 (1,920,865) (2,343,124) (1,678,649) (18,042) 預金の受入の増加(純額) 24,695 196,973 185,076 1,989 新株発行 1,977 217 83,101 893 現金配当金の支払 (11,863) (23,529) (6,261) (67) コールマネーの増加(減少)(純額) 21,500 9,900 (13,400) (144) 自己株式の取得 (30,749) (29,294) (3) (0) その他の増減(純額) 374 239 1,301 14  財務活動から得た(に使用した)現金(純額) 792,966 (334,587) (466,924) (5,019)現金および現金等価物に対する為替相場変動の影響額 (5,430) (6,061) 3,943 42現金および現金等価物増加額(純額) 105,492 139,314 179,118 1,925現金および現金等価物期首残高 215,163 320,655 459,969 4,944現金および現金等価物期末残高 ¥ 320,655 ¥ 459,969 ¥ 639,087 $ 6,869

*2010年3月31日の為替相場である1米ドル=93.04円により、日本円による金額を米ドル金額へ換算しています。

財務セクション

ORIXCorporation—AnnualReport2010 63

財務諸表の解説

連結損益計算書について オリックスの連結損益計算書に記載されている営業収益は、多角的な事業展開を反映させ、取引の性質によって区分されています。 オリックスは、米国会計基準により要求されている詳細な連結損益計算書を投資家の皆様にご提供していますが、勘定科目が細かく分かれているために連結損益計算書の分析が複雑化するという側面があります。そこで、まず連結損益計算書を3つの構成要素で把握するという方法が考えられます。 当資料はオリックスの連結損益計算書の構造の理解と分析にお役立ていただくために作成したものであり、米国会計基準での連結損益計算書を代替するものではありません。

3つの構成要素

1.営業収益や関連会社投資損益など収益に貢献しているもの (薄い青色部分)

2.営業費用、法人税など収益から控除されるもの (濃い青色部分)

3.営業利益、税引前当期純利益、当期純利益、当社株主に帰属する当期純利益など (グレー部分)

連結損益計算書の要約版 百万円

営業収益に直接対応する費用の控除ファイナンス・リース収益 ¥ 50,115オペレーティング・リース収益 277,217オペレーティング・リース原価 (192,678)貸付金および有価証券利息 135,167有価証券等仲介手数料および売却益 23,317生命保険料収入および運用益 115,598生命保険費用 (92,348)不動産販売収入 40,669不動産販売原価 (46,757)賃貸不動産売却益 6,841その他の営業収入 283,917その他の営業費用 (162,839)対応する費用控除後の営業収益 ¥438,219

❷ 支払利息 82,503❸ 販売費および一般管理費 223,061

貸倒引当金繰入額 71,532長期性資産評価損 6,977有価証券評価額 23,637為替差損(益) 938貸倒引当金繰入額、評価損等 103,084

❺ 営業利益 29,571

❻持分法投資損益 8,550子会社・関連会社株式売却損益および清算損 17,487関連会社投資損益 26,037

❼ 税引前当期純利益 55,608❽ 法人税等 23,353継続事業からの利益 32,255

❾ 非継続事業からの損益(税効果控除後) 8,68210 当期純利益 40,93711 非支配持分に帰属する当期純利益 70412 償還可能非支配持分に帰属する当期純利益 2,47613 当社株主に帰属する当期純利益 37,757

5つのステップで簡略化するプロセスSTEP

1 + ❶“対応する費用控除後の営業収益” からスタートします。営業収益の各科目から、それに対応する費用を控除します。

STEP

2 -

❷“支払利息”を控除 連結損益計算書より直接求めます。

❸“販売費および一般管理費”を控除 連結損益計算書より直接求めます。

❹“貸倒引当金繰入額、評価損等” を控除「貸倒引当金繰入額」「長期性資産評価損」「有価証券評価損」「為替差損(益)」の合計です。

= ❺営業利益 連結損益計算書の数値に一致。

STEP

3 + ❻“関連会社投資損益”を加減 「持分法投資損益」と「子会社・関連会社株式売却益および清算損」の合計です。

= ❼税引前当期純利益 連結損益計算書の数値に一致。

STEP

4- ❽“法人税等”を控除 連結損益計算書より直接求めます。

+ ❾“非継続事業からの損益 (税効果控除後)”を加減

連結損益計算書の数値に一致。

= 10当期純利益

STEP

5 -

11“非支配持分に帰属する当期純利益”を控除連結損益計算書の数値に一致。

12“償還可能非支配持分に帰属する 当期純利益”を控除

連結損益計算書の数値に一致。

= 13当社株主に帰属する当期純利益

64 ORIXCorporation—AnnualReport2010

主な事業内容 設立(取得) オリックスグループ 出資比率

法人金融サービス事業部門オリックス株式会社 国内営業統括本部 リース、融資およびその他金融サービス

1964年 4月

オリックス環境株式会社 廃棄・リサイクル処理のコンサルティング、環境経営支援サービス 1998年 4月 100%オリックス・インシュアランス・プランニング株式会社 損害保険代理店 1999年 9月 50%もみじリース株式会社 リース (2002年 3月) 95%エヌエスリース株式会社 リース、融資およびその他金融サービス (2002年 7月) 100%オリックス資源循環株式会社 廃棄物リサイクル 2002年 9月 100%オリックス北関東株式会社 リース、融資およびその他金融サービス (2005年 1月) 95%オリックス徳島株式会社 リース、融資およびその他金融サービス (2005年10月) 95%株式会社インターネット総合研究所 IP技術を軸としたコンサルティング、投資事業 (2007年11月) 100%船橋環境株式会社 廃棄物処理 (2008年 3月) 100%メンテナンスリース事業部門オリックス自動車株式会社 自動車リース、レンタカー、カーシェアリング 1973年 6月 100%オリックス・レンテック株式会社 電子計測器、コンピュータ等のレンタルおよびリース 1976年 9月 100% ORIXRentec(Singapore)Pte.Limited(シンガポール) 1995年10月 100% ORIXRentec(Korea)Corporation(韓国) 2001年 4月 100% ORIXRentec(Tianjin)Corporation(中国) 2004年 8月 100%不動産事業部門オリックス株式会社 不動産事業本部 オフィスビル・商業施設などの開発・賃貸・マンション分譲

1964年 4月

ブルーウェーブ株式会社 ホテル・研修所運営 1991年 8月 100%オリックス・インテリア株式会社 不動産賃貸、インテリア関連商品の製造・販売および内装工事、

自動車教習所運営1998年10月 100%

オリックス不動産株式会社 不動産関連事業 1999年 3月 100%オリックス・アセットマネジメント株式会社 不動産投資法人資産運用 2000年 9月 100%オリックス・ゴルフ・マネジメント株式会社 ゴルフ場運営 (2004年11月) 100%オリックス・リビング株式会社 高齢者住宅運営 2005年 4月 75%クロスホテルズ株式会社 ホテルの運営 (2006年 3月) 100%オリックス不動産投資顧問株式会社 不動産投資運用業、投資助言・代理 2007年 9月 100%投資銀行事業部門オリックス株式会社 投資銀行本部 不動産ファイナンス・商業用不動産担保ローンの証券化、

プリンシパル・インベストメント

1964年 4月

オリックス・キャピタル株式会社 ベンチャーキャピタル 1983年10月 100%オリックス・インベストメント株式会社 オルタナティブ・インベストメント 1990年 1月 100%オリックス債権回収株式会社 サービサー 1999年 4月 100%オリックスM&Aソリューションズ株式会社 M&A・企業再生等支援、ファイナンシャル・アドバイザリー業務 2003年 2月 100%オリックス・ローン事務センター株式会社 個人向けローンの顧客対応、資産管理 2009年 5月 100%オリックス・ホールセール証券株式会社 金融商品取引業 2010年 2月 100%リテール事業部門オリックス・クレジット株式会社 個人向け金融サービス業 1979年 6月 49%オリックス生命保険株式会社 生命保険 1991年 4月 100%オリックス信託銀行株式会社 信託銀行 (1998年 4月) 100%本社管理部門(セグメントには配分されない事業)オリックス保険サービス株式会社 保険代理店 1976年 9月 100%オリックス・システム株式会社 情報システム開発・運用 1984年 3月 100%オリックス野球クラブ株式会社 プロ野球球団経営 (1988年10月) 100%オリックス・エム・アイ・シー株式会社 グループ経理統括業務 1999年10月 100%オリックス・コールセンター株式会社 コールセンター(コンタクトセンター、事務センター) 1999年11月 100%オリックス人材株式会社 人材派遣・人材紹介 2002年 2月 100%オリックス業務支援株式会社 事務代行、施設管理サービス 2007年 4月 100%

グループ会社一覧 (2010年3月31日現在)

ORIXCorporation—AnnualReport2010 65

国名 主な事業内容 設立 (取得) オリックスグループ 出資比率

海外事業部門オリックス株式会社 グローバル事業本部* 日本 海外グループ会社の統轄・管理業務、

船舶関連サービス、航空機関連サービス、オルタナティブ・インベストメント

1964年4月

オリックス・マリタイム株式会社* 日本 船舶関連サービス 1977年11月 100%

オリックス・エアクラフト株式会社* 日本 航空機リース 1986年 5月 100%ORIXUSACorporation 米国 法人向けファイナンス、投資銀行業務、不動産関連

事業(不動産関連ファイナンス、不動産開発)1981年 8月 100%

ORIXAsiaLimited 香港 リース、自動車リース、割賦売買、融資 1971年 9月 100%

ORIXChinaCorporation 中国 リース 2005年 8月 98%

CHINARAILWAYLEASINGCO.,LTD. 中国 鉄道関連リース (2006年 1月) 25%

ORIX(China)InvestmentCo.,Ltd. 中国 リース、エクイティ投資およびその他金融サービス 2009年12月 100%

ORIXLeasingSingaporeLimited シンガポール リース、割賦売買、融資 1972年 9月 50%

ORIXInvestmentandManagementPrivateLimited シンガポール エクイティ投資 1981年 5月 100%

ORIXCARRENTALSPTE.LTD. シンガポール 自動車リース、レンタカー、リース 1981年 9月 45%

ORIXCapitalResourcesLimited シンガポール 船舶ファイナンス 1997年11月 100%

ORIXShipResourcesPrivateLimited シンガポール 船舶ファイナンス 1997年11月 100%

ORIXLeasingMalaysiaBerhad マレーシア リース、融資、割賦売買 1973年 9月 100%

ORIXCarRentalsSdn.Bhd. マレーシア レンタカー 1989年 2月 35%

ORIXAutoLeasingMalaysiaSdn.Bhd. マレーシア 自動車リース 2000年10月 100%

PT.ORIXIndonesiaFinance インドネシア リース、自動車リース 1975年 4月 96%

ORIXMETROLeasingandFinanceCorporation フィリピン リース、自動車リース、融資 1977年 6月 40%

ORIXAutoLeasingPhilippinesCorporation フィリピン 自動車リース 1989年 9月 40%

ThaiORIXLeasingCo.,Ltd. タイ リース 1978年 6月 49%

ORIXAutoLeasing(Thailand)Co.,Ltd. タイ 自動車リース、レンタカー (2001年 8月) 85%

AcapAdvisoryPublicCo.,Ltd. タイ 投資銀行業務、資産運用、サービサー (2007年11月) 20%

LankaORIXLeasingCompanyPLC. スリランカ リース、自動車リース、割賦売買、融資 1980年 3月 30%

ORIXTaiwanCorporation 台湾 リース、割賦売買、不良債権投資 1982年 9月 95%

ORIXAutoLeasingTaiwanCorporation 台湾 自動車リース 1998年 3月 100%

ORIXTaiwanAssetManagementCompany 台湾 サービサー 2004年10月 95%

ORIXLeasingPakistanLimited パキスタン リース、自動車リース 1986年 7月 50%

ORIXPropertiesPakistanPrivateLtd. パキスタン 不動産開発・管理 2007年 8月 67%

ORIXAustraliaCorporationLimited オーストラリア 自動車リース、トラックレンタル 1986年 7月 100%

ORIXIrelandLimited アイルランド 法人向けファイナンス、経理統括業務 1988年 5月 100%

ORIXAviationSystemsLimited アイルランド 航空機リース 1991年 3月 100%

ORIXNewZealandLimited ニュージーランド リース、自動車リース、レンタカー 1988年12月 100%INFRASTRUCTURELEASING&FINANCIALSERVICESLIMITED

インド インフラプロジェクトへの投資・管理、投資銀行業務、法人向けファイナンス

(1993年 3月) 23%

ORIXAutoInfrastructureServicesLimited インド 自動車リース 1995年 3月 42%

OmanORIXLeasingCompanySAOG オマーン 自動車リース、割賦売買、ファクタリング 1994年 8月 24%

ORIXPolskaS.A. ポーランド リース、自動車リース、割賦売買、融資 1995年10月 100%

ORIXLeasingEgyptSAE エジプト リース 1997年 6月 34%

SaudiORIXLeasingCompany サウジアラビア リース、自動車リース 2001年 1月 25%

MAFORIXFinancePJSC アラブ首長国連邦 リース 2002年 4月 38%

ORIXCapitalKoreaCorporation 韓国 自動車リース、リース、割賦売買、融資 2004年 2月 100%

BTAORIXLeasingJSC カザフスタン リース (2005年 6月) 40%

*オリックス(株)のグローバル事業本部、オリックス・マリタイム(株)、オリックス・エアクラフト(株)は、日本に本拠を置いてアジア・大洋州・欧州を中心に事業活動を行っています。

66 ORIXCorporation—AnnualReport2010

1

2

4

3

5

67

8

9

9

1 北海道(60)オリックス(1)オリックス自動車(55)オリックス・レンテック(1)ブルーウェーブ(1)クロスホテルズ(1)オリックス生命保険(1)

2 東北地方(73)オリックス(6)オリックス自動車(64)オリックス・レンテック(1)オリックス不動産(1)オリックス生命保険(1)

3 東京(128)オリックス(12)オリックス環境(2)エヌエスリース(1)オリックス資源循環(1)インターネット総合研究所(1)船橋環境(1)オリックス自動車(69)オリックス・レンテック(4)ブルーウェーブ(5)オリックス・インテリア(1)オリックス不動産 (1)オリックス・アセットマネジメント(1)オリックス・ゴルフ・マネジメント(1)オリックス・リビング (3)クロスホテルズ(1)オリックス不動産投資顧問 (1)オリックス・キャピタル(1)オリックス・インベストメント(1)オリックス債権回収 (1)オリックスM&Aソリューションズ(1)オリックス・ホールセール証券(1)オリックス生命保険(5)オリックス信託銀行(2)オリックス保険サービス(1)オリックス・システム(1)オリックス・エム・アイ・シー(3)オリックス人材(1)オリックス業務支援(2)オリックス・マリタイム(1)オリックス・エアクラフト(1)ORIXUSACorporation(1)

4 関東地方(275)オリックス(6)オリックス資源循環(1)オリックス環境(1)オリックス北関東(4)船橋環境(1)オリックス自動車(231)オリックス・レンテック(5)ブルーウェーブ(2)オリックス・ゴルフ・マネジメント(15)オリックス・リビング(6)オリックス生命保険(3)

5 中部地方(146)オリックス(13)オリックス自動車(117)オリックス・レンテック(3)ブルーウェーブ(1)オリックス不動産(1)オリックス・ゴルフ・マネジメント(8)オリックス生命保険(3)

6 近畿地方(143)オリックス(11)オリックス環境(1)エヌエスリース(1)オリックス自動車(83)オリックス・レンテック(2)ブルーウェーブ(3)オリックス・インテリア(3)オリックス不動産(1)オリックス・ゴルフ・マネジメント(11)オリックス・リビング(10)クロスホテルズ(1)オリックス債権回収 (2)オリックス・ローン事務センター(1)オリックス生命保険(4)オリックス信託銀行 (1)オリックス野球クラブ(6)オリックス人材(1)オリックス業務支援(1)

7 中国地方(62)オリックス(4)もみじリース(2)オリックス自動車(48)オリックス・レンテック(1)ブルーウェーブ(1)オリックス・ゴルフ・マネジメント(4)オリックス生命保険(2)

8 四国地方(35)オリックス(3)オリックス徳島(1)オリックス自動車(30)オリックス生命保険(1)

9 九州・沖縄地方(176)オリックス(8)オリックス自動車(150)オリックス・レンテック(2)ブルーウェーブ(2)オリックス・ゴルフ・マネジメント(5)オリックス債権回収(3)オリックス生命保険(2)オリックス信託銀行(2)オリックス・コールセンター(2)

国内拠点オリックスの国内拠点数は1,098カ所であり、各地方での拠点数は会社ごとに( )で示されています。

拠点一覧 (2010年3月31日現在)

ORIXCorporation—AnnualReport2010 67

1 アイルランド(2)ORIXIrelandLimited(1)ORIXAviationSystemsLimited(1)

2 イギリス(1)ORIXUSACorporation(1)

3 フランス(1)ORIXUSACorporation(1)

4 ドイツ(1)ORIXUSACorporation(1)

5 ポーランド(8)ORIXPolskaS.A.(8)

6 エジプト(2)ORIXLeasingEgyptSAE(2)

7 サウジアラビア(4)SaudiORIXLeasingCompany(4)

8 アラブ首長国連邦(3)MAFORIXFinancePJSC(3)

9 オマーン(6)OmanORIXLeasingCompanySAOG(6)

10 カザフスタン(11)BTAORIXLeasingJSC(11)

11 パキスタン(41)ORIXLeasingPakistanLimited(40)ORIXPropertiesPakistanPrivateLtd.(1)

12 インド(27)INFRASTRUCTURELEASING&FINANCIALSERVICESLIMITED(5)ORIXAutoInfrastructureServicesLimited(22)

13 スリランカ(26)LankaORIXLeasingCompanyLimited(26)

14 マレーシア(20)ORIXLeasingMalaysiaBerhad(15)ORIXCarRentalsSdn.Bhd.(4)ORIXAutoLeasingMalaysiaSdn.Bhd.(1)

15 タイ(5)ThaiORIXLeasingCo.,Ltd.(1)ORIXAutoLeasing(Thailand)Co.,Ltd.(3)AcapAdvisoryPublicCompanyLimited(1)

16 シンガポール(6)ORIXLeasingSingaporeLimited(1)ORIXInvestmentandManagementPrivateLimited(1)ORIXCARRENTALSPTE.LTD.(1)ORIXRentec(Singapore)Pte.Limited(1)ORIXCapitalResourcesLimited(1)ORIXShipResourcesPrivateLimited(1)

17 ベトナム(1)ORIXInvestmentandManagementPrivateLimited(1)

18 香港(1)ORIXAsiaLimited(1)

19 中国(14)ORIXRentec(Tianjin)Corporation(6)ORIXChinaCorporation(5)CHINARAILWAYLEASINGCO.,LTD.(2)ORIX(China)InvestmentCo.,Ltd.(1)

20 韓国(4)ORIXRentec(Korea)Corporation(2)ORIXCapitalKoreaCorporation(2)

21 台湾(7)ORIXTaiwanCorporation(3)ORIXAutoLeasingTaiwanCorporation(3)ORIXTaiwanAssetManagementCompany(1)

22 フィリピン(42)ORIXMETROLeasingandFinanceCorporation(33)ORIXAutoLeasingPhilippinesCorporation(9)

23 インドネシア(8)PT.ORIXIndonesiaFinance(8)

24 オーストラリア(14)ORIXAustraliaCorporationLimited(14)

25 ニュージーランド(5)ORIXNewZealandLimited(5)

26 米国(15)ORIXUSACorporation(15)

海外拠点オリックスの海外ネットワークは、26カ国・地域にわたります。拠点は米国、アジア、大洋州、中東、欧州、北アフリカなど275カ所に及んでおり、各国・地域での拠点数は会社ごとに( )で表示されています(関連会社を含む)。

1

26

2 4 5

310

6 7 89

11

12

13

25

24

23

1614

15 17

18

1920

21

22

68 ORIXCorporation—AnnualReport2010

株式情報 (2010年3月31日現在)

株式数 発行可能株式総数 259,000,000株 発行済株式総数 110,229,948株

株主総数 43,505名

大株主(上位10名) 千株 %

株主名 持株数 持株比率

日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 11,718 10.63

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 10,869 9.86

ザチェースマンハッタンバンク385036 4,694 4.25

日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口9) 4,123 3.74

ステートストリートバンクアンドトラストカンパニー 2,952 2.67

オーディー 05オムニバスチャイナトリーティ 808150 2,162 1.96

ナッツクムコ 2,032 1.84

株式会社みずほコーポレート銀行 1,500 1.36

ノーザントラストカンパニーエイブイエフシーリフィデリティファンズ 1,459 1.32

日本生命保険相互会社 1,385 1.25

注:上記のほか、自己株式2,745千株を保有しています。

株価・出来高推移(東京証券取引所)(株価) 単位 :円

(売買高) 単位 :千株

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 62006年3月期 2007年3月期 2008年3月期 2009年3月期 2010年3月期 2011年3月期

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 62006年3月期 2007年3月期 2008年3月期 2009年3月期 2010年3月期 2011年3月期

株主名簿管理人三菱UFJ信託銀行株式会社証券代行部 TEL:0120–232–711(フリーダイヤル)

米国預託証券の名義書換・預託代理人Citibank,N.A.ShareholderServices,P.O.Box43077Providence,RhodeIsland02940–3077,U.S.A.TEL: 1–877–248–4237(フリーダイヤル米国内)FAX:1–201–324 –3284E-mail:[email protected]比率 1ADR=0.5普通株式ティッカーシンボル IX

上場証券取引所東京証券取引所 市場第1部大阪証券取引所 市場第1部 証券コード 8591ニューヨーク証券取引所 証券コード IX

所有者別株主分布(人) (円)

0

39.7%

50.5%

6.5% 3.3%

金融機関等

外国法人等

個人 その他 *

* 自己株式 2,745千株を含む 注:該当する決算期終了後の利益処分による配当金額です。

70,000

60,000

50,000

40,000

30,000

20,000

10,000

0

300

250

200

150

100

50

06/3 07/3 08/3 09/3 10/3

12,89717,315

29,094

59,313

43,505

株主数の推移

06/3 07/3 08/3 09/3 10/3

90

130

260

70 75

1株当たり配当金額の推移

企業情報 http://www.orix.co.jp/grp/co/

沿革 46年にわたる発展の経緯を簡潔にご紹介しています

業績概要 直近の決算関連資料をご覧いただけます

役員情報 取締役、執行役、グループ執行役員をご紹介しています

グループ会社一覧 国内外のグループ会社の概略と連絡先をご覧いただけます

コーポレート・ガバナンス 数年来にわたる取り組み強化の歴史や体制図について記載しています

コンプライアンスの取り組み 基本方針と行動憲章「EC21」について記載しています

環境への取り組み オリックスの環境レポートおよび環境関連データをご覧いただけます

社会貢献活動 オリックスの社会貢献活動をご紹介しています

投資家情報 http://www.orix.co.jp/ir/

経営者からのメッセージ 最新年次報告書のCEOメッセージの抜粋をご覧いただけます

オリックスとは 事業部門の説明や財務諸表の見方など投資対象としてのオリックスの概要を簡単にご紹介しています

IRイベント 決算説明会などのスケジュールおよび過去の説明会の動画や音声をご覧いただけます

IR資料室 以下の各種資料をご覧いただけます

  アニュアルレポート CEOメッセージ、事業概要・業績、財務情報などを記載した年次報告書です 2010年3月期の年次報告書は電子ブックにてご覧いただけます

  有価証券報告書 関東財務局に提出している有価証券報告書を掲載しています

  US SEC Form 20-F(英文のみ) 米国証券取引委員会(SEC)に提出している年次報告書です

  株主通信「悠」 個人株主・投資家の皆様へ向けたご報告です

  決算短信 四半期ごとの決算発表資料です。業績概要や財務諸表を記載しています

  補足資料 決算短信を補足するデータを記載しています

  株主総会関連資料 招集通知、事業報告書、決議通知などの書類を掲載しています

  バックナンバー 各資料のバックナンバーを掲載しています

最新決算資料 直近の決算関連資料をご覧いただけます

財務情報 5年間の業績推移をご覧いただけます

株式・社債情報 以下の各種資料をご覧いただけます

  株式情報 株式に関する基本情報と、各種データを掲載しています

  株価情報 最新の株価をご参照いただけます

  アナリスト一覧 オリックスをカバーしているアナリスト一覧を掲載しています

  社債情報 発行済の社債情報を掲載しています

  格付情報 格付機関からの格付情報を掲載しています

  短期社債(電子CP)発行要項 個別の発行条件を除く基本的な情報を掲載しています

役員情報 取締役、執行役、グループ執行役員をご紹介しています

よくあるご質問 株式、会社、決算・財務情報についてのQ&Aをご覧いただけます

IR窓口 投資家情報についてのご意見・お問い合わせ先および印刷物の送付やニュースメールサービスへの登録についてのご案内です

会社情報/ウェブサイトガイド

オリックスのホームページは、1.個人のお客さま、2.法人のお客さま、3.企業情報、4.投資家情報、5.採用情報、6.プレスリリースという6つのコンテンツから構成されています。このうち「企業情報」「投資家情報」についてご紹介します。

社名(商号) オリックス株式会社 (英文社名)ORIXCorporation設立年月日 1964年4月17日本社所在地 〒108–0014東京都港区芝4丁目1番23号

TEL:03–5419–5000 FAX:03–5419–5903株主資本(連結) 1,298,684百万円

決算日 3月31日連結会社 798社関連会社 104社従業員数(連結) 17,725名

ウェブサイトガイド

会社情報 (2010年3月31日現在)

電子ブックで閲覧できるアニュアルレポート

ORIXCorporation—AnnualReport2010 69

OurStrengthsAbout ORIX

オリックス株式会社(経営企画部 IRチーム)〒108–0014 東京都港区芝4丁目1番23号TEL: 03–5419–5041 FAX: 03–5419–5901URL: http://www.orix.co.jp/ir/本年次報告書の内容についてのお問い合わせは、上記までご連絡ください。

オリックス株式会社 

年次報告書 

2010

Printed in Japan