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CORPAS Corporate Power Audit System Innovation Power Knowledge Creating Power Sustaining Power 診断結果の読み解きマニュアル フライシュマン・ヒラード・ジャパン

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CORPAS

Corporate Power Audit System

Innovation

Power

Knowledge

Creating Power

Sustaining

Power 診断結果の読み解きマニュアル

フライシュマン・ヒラード・ジャパン

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CORPAS (Corporate Power Audit System) とは ◆ 組織変革 “Change Management” に向けて “組織の変革に向けて戦略・組織・制度を変えたのに、殆ど結果が出てこない。” 経営者や組織マネージャーなど、管理者という立場にある方であれば、必ず直面する問題です。そしてそれは多くの場合、組織の無理解や反発、コミットメントの薄さといった”社員の意識・行動”が障壁となっていることが大きな原因になっているのです。とはいえ、そういった”見える化”しにくい意識・行動にどのように対処していけば良いのか。殆どの管理者は、巨大で透明な”壁”を前に立ち竦んでしまった経験を持つと思います。 組織目標の実現・達成のためには、戦略や組織構造、システムといったビジネス・アーキテクチュアの整備とともに、関連するソーシャル・アーキテクチュアの変革・浸透も同時に必要です。管理者はその戦略や構造、システムのパワー・アップを図ると同時に、人材や能力、スタイルといったソーシャル・アーキテクチュアのパワー・アップを進めていく必要があります。 あらゆる組織変革の場面において最大の阻害要因となるのが“社員の意識・行動”です。自分の慣れ親しんだ枠を越えることができない時、社員は変革への抵抗勢力となってしまいます。一方、社員一人ひとりが変革への意識・行動を体現するようになれば、その組織は放っておいても変革されていくでしょう。つまり組織変革 “Change Management” とは、ソーシャル・アーキテクチュア変革のための方法論と定義されます。 組織変革のための第一歩としては、まず社員の意識・行動を”見える化”し、“壁”の所在を突き止めることが重要です。CORPAS (Corporate Power Audit System) は、変革の源泉となる「革新力」、変革を持続する「維持発展力」、それらを下支えする「知識創造力」の3つのパワーの状態を診断することで、ソーシャル・アーキテクチュアにおける”壁”の所在をつきとめ、変革に向けての課題を明確化して施策の方向性を示唆します。

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目 次

【第一章: 自組織のパワーの概観を捉える】

1.組織変革 ”Change Management” に必要な3つの力 4

・革新力 “Innovation Power” とは 6

・維持発展力 “Sustaining Power” とは 6

・知識創造力 “Knowledge Creating Power” とは 7

・パワートライアングルの読み方 (3つのパワーの状態に基づく組織診断9分類) 7

【第二章: 社員の意識・行動の壁を捉える】

2.革新力・維持発展力・知識創造力の分析 11

・パワーチャートの読み方: 部門別・属性別比較による分析 11

・パワーマップの読み方: 他社との比較による分析 13

【第三章: 組織変革の施策を検討する】

3.Change Management の具体的施策の検討 14

・全質問総合点数表から方向性の示唆を得る 14

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第一章: 組織変革 ”Change Management” に必要な3つの力 組織変革のためには、”革新力”と”維持発展力”の2つが高い次元で発揮されることが重要です。この2つのパワーは、リーダーシップ力・マネジメント力と称されることもありますが、CORPAS においては一個人に属する資質・能力というよりも、組織としてのパワーという観点で診断を行っています。

更に、その2つのパワーを基盤として支える”知識創造力”があります。知識とは、特許や設計図、独自マニュアルといった文章化・図表化・数式化の可能な”形式知”と、カン・コツや洞察・着想、信念といった言語化の難しい”暗黙知”の2つがありますが、これら知識の総体的な質・量が当該組織の変革のノビシロを規定しており、且つまた当該組織独自のコンピタンス(強み)を形成していきます。

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CORPAS においては、組織の実態をより正確に診断するために、設問内容を”××について、どのように思うか?”という意識調査ではなく、”具体的に××を実施しているか?”という行動・状態調査をベースに設計を行っています。これにより、具体的にどのような施策を強化すれば、どのパワーが強化されるかが容易に分析できるようになります。 3つのパワーの内容は以下の通りです。組織力の基盤となる”知識創造力”は5つの観点で診断されます。また”革新力”と”維持発展力”は、理論的には相互に背反する要素を多くもつことから、6つのポリシーの観点から診断を行っています。 例えば、”仕事の進め方(プロセス)”を改革しようとする場合、マニュアル化等を含めた社内秩序を強化する方法(維持発展力)と、個々人のチャレンジや発想を活かして柔軟に新しい考え方を取り入れる方法(革新力)の2つがありますが、それらを両立することは実務的には非常に難しいことが分かると思います。 また例えば、”意思決定”のポリシーを改革しようとする場合、率先垂範を目指してトップ・ダウンもしくはスタンド・アローンで意思決定を行い結果については自己責任とする”革新力”と、コンセンサスを重視して全員が理解・納得・コミットできるようなプロセスを大事にする”維持発展力”では、一口に改革と言っても、その内容・方向性に全く異なるイメージを持つでしょう。 しかし、当然のことながら、”革新力”と”維持発展力”は高い次元において、双方の両立が可能となります。また、この2つのパワーに係る問題を止揚・解決するチャレンジを通じて、組織は次のレイヤーへと成長していくことができます。 次頁以降にて、これら3つのパワーの内容詳細を確認していきましょう。

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◆ 革新力 “Innovation Power” 成功に安住せず、絶えず変化へ柔軟に対応し、自己革新していくためのパワーです。 ◆ 維持発展力 “Sustaining Power” スピードや複雑性に対処し、効率良く成果をあげる仕組みを構築していくためのパワーです。

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◆ 知識創造力 “Knowledge Creating Power” 夢やビジョンを描き、高い志を持って「知力」=社員の知識を動員していくためのパワーです。 ◆ パワートライアングルの読み方 (3つのパワーの状態に基づく組織診断9分類) CORPAS において、それぞれのパワーは100点満点で診断されますが、点数は70点以上が「合格」、80 点以上が「優良」、90 点以上が「卓越」となります。「合格」ラインを一つの基準とし、診断結果に基づいて各組織を以下のように分類。また、分類ごとに簡単な所感を記しています。

タイプタイプタイプタイプ名称名称名称名称 革新力革新力革新力革新力 維持発展力維持発展力維持発展力維持発展力 知識創造力知識創造力知識創造力知識創造力

① スターチーム 70707070 以上以上以上以上 70707070 以上以上以上以上 70707070 以上以上以上以上

② しゃくし定規型 70 未満 70707070 以上以上以上以上 70707070 以上以上以上以上

③ 常に息切れ型 70707070 以上以上以上以上 70 未満 70707070 以上以上以上以上

④ 不器用・空回り型 70707070 以上以上以上以上 70707070 以上以上以上以上 70 未満

⑤ とりあえず型 70707070 以上以上以上以上 70 未満 70 未満

⑥ 土管型 70 未満 70707070 以上以上以上以上 70 未満

⑦ やらされ型 70 未満 70 未満 70707070 以上以上以上以上

⑧ 粒々族型 70 未満 70 未満 70 未満

⑨ ジリ貧型 50 未満 50 未満 50 未満

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① スターチーム 共創の意思を持ち、積極的に周囲とコラボレーションしながら、組織の戦略を自らに体現して取り組んでいる。広い視野・知識をもち、大胆な挑戦で組織を革新している。まさに理想的な組織であり、継続的に革新的な成果を生み出すことができている。誰もがこのチームに加わりたいと願い、就職・異動希望者は後を絶たない。メンバーはそれぞれ大きなやりがいと成長を実感し、且つチームとして相互に貢献しあうことに喜びを感じている。 上司と部下の関係は、尊敬・感謝・安心・共感といったポジティブな基盤の上に成り立っているが、決して馴れ合いでなく心地よい緊張感とプロ意識を共有している。一方、このような状況は一時的なものであることも多く、できるだけ長く継続・発展していく努力を個々人が意識的にできるかどうかが重要なファクターである。 ② しゃくし定規型 地頭が良く責任感も強い“官僚型”人材が比較的多いため、新しい施策や投資に際しては石橋を叩いて渡る傾向が強い。過去の体系的な蓄積の上で漸進的に業務を発展していくことを得意とするが、大胆にリスクをとって自らのリーダーシップと責任のもと、周囲がアッと驚くような成果を出して見せることはあまりない。 そのため中長期的には、新しいトレンドに乗り遅れ、同業他社から取り残されてしまうといった“ガラパゴス化”に陥るリスクがあることを認識しなければならない。チャレンジングな風土・文化醸成のためには、Google や 3M の 20%ルールなどシャドーワークを組織的に推奨する人事制度・研修・イベント施策の豊富な展開が効果的である。 ③ 常に息切れ型 急成長中の企業や変化の激しい業種、頻繁に組織変更のある部門に多い。じっくり一つの仕事に長時間打ち込むというより、同時並行で様々な業務・案件を進めていかざるを得ず、画一的なプロセス管理やマニュアル策定は自分の仕事にはそぐわないと考える傾向が強い。そのため収益やパフォーマンスのアップダウンが激しく、且つ人間関係の衝突も比較的多いという特徴がある。長期間継続するとメンタルヘルスの問題も深刻化する。 このような組織においては、中間管理職に負荷が集中してプレイング・マネージャー化し、その結果として職場内・間のマネジメントが機能不全に陥り、更に中間管理職が大変になるというケースが一般的である。まずはバラバラになりがちな権限・業務・体制の整理から始め、組織のデザインや業務アサインメントを計画・共有することが肝要である。

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④ 不器用・空回り型 個々人の潜在能力は比較的高いものの、組織としてのシナジーが効いておらず、高いパフォーマンスの実現・継続に難がある。“私はベストを尽くしているし、合格点だと思う”社員が多い一方、一歩突っ込んだコミットメントや、実力以上のストレッチでなんとかやりきろうとする風土が十分ではない。 これは、会社のアイデンティティである歴史や価値観、また将来に向けた方向性である時代認識やビジョン、組織の「強み」を理解・徹底するためのブランドなどが共有されておらず、全社的な一体感が弱いことが原因であるケースが多い。そのため、アイデアを実行に移したり、グループを超えたブレスト・ワイガヤを実行したりする度合も低調で、現場における新たな知識創造に拍車がかかっていない状況が伺える。 ⑤ とりあえず型 世の中の動きやトレンドに敏感で、いつも新しい試みを実行したがるが、関係者の難しい説得や細かい調整が苦手で、結局は何も成果が出ないことが多い。また、組織として知識が蓄積されないので、成長も不安定である。仕事が属人化する傾向があり、担当者が異動・転職する際の引き継ぎが特に難しく、若手社員の人材育成は“徒弟制度”の枠を出ない。 このような組織において最も重要なことは、知識の移転・共有・共創である。知識経営理論(SECI モデル)に基づく多層的な“場”の形成を通じ、まずは組織としての基盤を整備すること。それによりはじめて、日々の試行錯誤を組織的なパフォーマンスに結びつけるためのマネジメントの準備ができ、維持発展的に成長していける仕組み作りが可能となる。 ⑥ 土管型 セクショナリズムに陥ったり、顧客志向を逸したりする。“これ、とりあえず対応して”と、上からの指示を土管のように部下・同僚に流すだけ。大きな話が面倒で戦略を矮小化する傾向が強い。ラグビーに例えれば、受け取ったボールを自分で前に持っていこうとせず、そのまま後ろにパスするばかりのプレイヤーが多く、いつまで経っても前進できないチームがこれにあたる。組織の階層を多段階にすればするほどパフォーマンスが落ちることから、できるだけ責任・権限を現場に委譲したフラット型組織にしたり、プロセス評価を廃して具体的な成果目標設定ができるような人事制度を導入したり、外部コンサルタントに現場で OJT を主導してもらうなどの積極的なテコ入れを実施して、成果創出に向けた程良い緊張感の醸成を図ることが重要である。

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⑦ やらされ型 大企業本社のスタッフ部門に多い。一見すると綺麗な戦略や計画は作るが、自らの足・目・耳を使うことはしないため、現実・現場から乖離した計画であっても、自分で考え直してみることはない。なにより情報だけはたくさん収集しているので、“論理的にはこれが正しい”と主張するだけの頭でっかちブレーン集団に陥ってしまうことが多い。自ら立案した計画がうまくいかなかった場合も、“やるだけやったよ”と言って遠巻きに眺める傾向がある。このような組織に特徴的な問題は、“やらされ感”である。仕事の内容が決して自分ごとにならないので、器用にソツなくこなすが、革新的な成果を目指す熱意は薄い。情報処理能力は高いので、現場との人材交流や出向・派遣を短期間でも実施し、幅広い問題意識や仕事への思いを持たせることから始める必要がある。 ⑧ 粒々族型 “今更、前提を覆すのはどうかな? 空気読もうよ”と、なかなか本気の成長戦略が描けない。他部門や他社等の外界との接触を好まず、粒々とこじんまりした仕事に終始する。 3つの組織力指標の値が、それぞれ中央値(50-70point)周辺にあり、一般的な企業組織と比較しても、特筆すべき特徴は見られない。正三角形に近いバランスのとれた形状であり、組織の風土・社会的基盤に大きな歪みは無いことを表している。このようなバランスを保ったまま、いかに組織力を大きく成長させていくかが、今後の課題である。広く外界を見回して、本質的なベンチマークや創造的なベストプラクティスを見つけて仕事に活かしていくことが、その打開策として有効である。 ⑨ ジリ貧型 “もっと具体的に言ってもらわないと分かりません!”というのが口癖。自ら知恵を出す意識・行動は殆ど無く、仕事以外の場や趣味に生きがいを求め、業務は適当にこなすだけ。 業務量過多の状況が長く続いた組織や、グループ企業傘下で同グループ企業に業務提供している組織、出向者や派遣・業務委託社員の多い職場等で多く見られる症状である。そもそも仕事の目的・戦略を共有できておらず、そのためどういったスキル・能力をもった人材が評価されるべきなのかが不明確であり、モチベーションも上がりにくい。悪平等や逆選択といったジリ貧型スパイラルに陥る前に、高い能力と問題意識をもった若手人材(プロパー社員)を抜擢して根本的な改革を進める必要がある。

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第二章: 革新力・維持発展力・知識創造力の分析 第一章では CORPAS における3つのパワーについて理解し、パワートライアングルを概観することで、自組織の大まかな状態と問題に対する視点を得ました。第二章においては、自組織における3つのパワーを深く掘り下げることで問題点を洗い出していくことができます。また他社との比較の中で、自組織の強み・弱みを把握して、その強化・克服に向けた Change Management の方向性にヒントを得ることも重要なテーマとなります。 ◆ パワーチャートの読み方: 部門別・属性別比較による分析 Page.6-7 のように、それぞれのパワーは幾つかの”行動要素”で形成されています。下記の棒グラフは、組織全体における各行動要素のブレイクダウンと、事前に指定した部門や属性別カットでのブレイクダウンの両方を比較したものです。 本パワーチャートでは、まず組織全体として、どの行動要素に強み・弱みがあるのかを俯瞰します。例えば上図のように”ボーダーレスなチーム”は比較的良いものの、”フレキシブル・外界志向”が弱い状態であれば、組織横断的なコラボレーションは活発である一方で社内の前例・慣習・しきたりが新しいチャレンジを阻害しているといった様子が伺えます。 次に組織全体と比較して、各部門・属性ごとの強み・弱みを分析していきます。上図のように”フレキシブル・外界志向”において、女性回答者のパワーが特に弱いことに着目すると、女性社員の意見やアイデアを活かしきれない組織風土・文化の存在を疑う必要があります。また、”リーダーシップ・自己責任”において、営業部門のパワーが良好であることに着目すれば、当該部門で責任分担や権限委譲がしっかりとなされており、且つ職場を引っ張っていくチェンジリーダーが豊富な状況を示唆できるかもしれません。 パワーチャートを分析する際は、必ず組織全体や各部門・属性の具体的な状況をイメージしながら、実際に起きている問題と本パワーチャートの数値が結びつくかどうかを考えながら、じっくりと精査していくことが重要です。また、ここでの気づきや発見、疑問点は全てメモに残し、特に第三章における分析の際に活用していくことを推奨します。

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革新力、維持発展力、知識創造力について、それぞれ詳細に分析をしたら、最後に革新力と維持発展力を比較しながら、今後の Change Management 施策展開に係る示唆を得ていきます。 Page.5 の説明のように、革新力と維持発展力は、理論的には相互に背反する行動要素を多くもつことが明らかになっています。そこで6つのポリシーの観点に基づき、どういった行動要素におけるバランスが良い/悪いかを把握・分析するとともに、どの要素が自組織の強み・弱みになっているのかについて考えていきましょう。 例えば上図のように、”仕事の進め方のポリシー”において革新力・維持発展力ともに低調である場合は、そもそも業務プロセスに関するルールや優先順位が明確に共有されていないことが示唆されます。ここで、もしあなたが現場からオペレーションのムダ・ムリ・ムラについて苦情や問題提起をされた記憶があれば、その内容についてメモをしておいてください。 業務プロセスの問題は、現場の生産性を著しく下げるだけでなく、残業過多やコスト増の主要な原因となります。もし全社的にこの要素を改善することができれば、新規の採用をせずとも人的リソースを拡充することが可能になりますし、潜在的な余剰コストを前向きな投資に回すこともできるようになります。 また例えば“人の育成のポリシー”が革新力に大きく偏った結果になっている場合は、組織として社員に求める能力要件について理解・共有されていない。もしくは、組織としての体系的な教育戦略が未整備であることが考えられます。このような組織においては、特に現場のマネージャーがメンバーに対し業務をアサインする際の苦労が大きく、且つ部下自身もどのように成長していくべきか指針がないために年度の目標設定やキャリア計画が立てづらいといった問題が発生しがちです。現場組織が効果・効率的な体制を組むことができなければ、全体としても中長期的な成長の足枷になります。

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◆ パワーマップの読み方: 他社との比較による分析 パワーマップとは、下図のように各組織の革新力・維持発展力の得点に基づきプロットしたもので、他社との比較の中で自社の強み・弱みを把握し、その対策の方向性を検討することができます。また、円の大きさは知識創造力の得点によって規定されています。 まずは自社の組織全体と各部門・属性の位置を把握し、今後の Change Management 施策展開に向けた大きな方向性を確認してください。革新力・維持発展力ともに 70 点が合格ラインであることから、その線を分水嶺として4つの象限に分けています。 右上(第一象限)にプロットされている場合は、高いレベルで革新力・維持発展力がバランスしており、組織変革に向けた更なるチャレンジと付加価値の創造が今後に向けたテーマとなります。同様に、第二~四象限においても Change Management に関する方向性が示唆されています。ここでは、組織全体の位置と今後の方向性を確認すると同時に、各部門・属性別の位置・方向性も見ておいてください。 次に、他社との比較を行います。特に同業界の企業と比し、自社にどのような強み・弱みがあるかを概観してください。知識創造力である円の大きさは、自社および他社の潜在的なパワーを表します。他社よりも円の面積が大きければ、自組織・社員のパワーを最大限に発揮させることで競争に打ち勝てる可能性が示唆されます。反対に自社の方が小さければ、早急に知識創造力の強化に向けた計画を策定すべきでしょう。 また、変革力や維持発展力の視点でも見ていきましょう。自社の方が高い変革力を保持しているのであれば、積極果敢に新戦略(製品・販売等)を打ち出してシェアを増大させることができますが、維持発展力で劣っている場合はせっかく獲得したシェアも中期的には段階的に奪い返されてしまう懸念があります。戦略を実際に展開・導入していく主体である現場組織のパワーは、戦略の実現度合に大きく影響を与えるとともに、戦略の方向性との相性の良し悪しによっては、その保有するパワー自体を棄損してしまう可能性もあり、そのため格別の注意を図る必要があります。

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第三章: Change Management の具体的施策の検討 本章ではこれまでの問題分析に基づき、その改善のためにどのような施策が効果的かについて検討を行います。第二章までに書きためたメモを参考に、優先順位をつけながら最も根本的な課題を定義し、今後の Change Management推進に向けた具体的な施策を考えていきます。 なおその際に重要な視点として、問題点の列挙ばかりでなく、自組織の強みや可能性をどのように活かしていくかについても同時に勘案することです。組織改革においては、既に自社がもっている行動要素・素質を梃子としながら、できるだけ現場が主導できる施策をボトムアップで実施していくことが最も効果的となります。全く芽の無い施策をトップダウンで展開しても、現場との温度差・認識差・時差といった乖離を埋めきれず、結局は無駄な投資に終わってしまうことが多々あることを付記します。 ◆ 全質問総合点数表から方向性の示唆を得る CORPAS の全設問は、自組織・社員の実際の行動や状態を診断できるよう設計されています。そのため、Page.7のパワートライアングルから Page.11のパワーチャート、Page.13のパワーマップと、段階的に解像度を上げて分析していくことで、自組織における問題の所在を網羅的且つ優先順位をつけて把握することができるようになっています。 例えば、これまでの分析を通じて、”意思決定のポリシー”における維持発展力の改善が最重要課題であると定義された場合、まず総合点数表の該当部分を参照し、具体的にどのような行動が不足しているのかを確認します。その中で、”部署間の調整がきちんと迅速になされて意思決定が行われる”行動が最も不足していることが明らかになった場合は、次に部門ごとの得点を参照して、そのような問題が顕著な部門を見つけ出します。 仮に営業部門と開発部門において当該行動が低調な場合は、商品開発に関する情報(上市時期、商品詳細情報等)や営業販売に関する情報(顧客ニーズ、競合情報等)が相互に共有されずに両部門間の連携が取れていないといった問題があるのかもしれません。その場合は、そういった情報を共有しつつ対策を協議するチャネル導入を検討する可能性もあります。 Change Managementの推進に際しては、具体的な組織課題を抱えている部門との協働を前提とし、人事部はあくまでその解決に向けた施策を支援するスタンスで臨むと効果的です。ぜひ CORPASの結果も共有しながら、様々な部門や社員と組織変革について話し合ってみてください。