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住宅の省エネルギーと二酸化炭素の削減量 - …...2007/5/10...
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2007/5/10 省エネWG資料・積水ハウス 石田
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資料4
今後の住宅産業のあり方に関する研究会・「省エネWG資料
住宅の省エネルギーと二酸化炭素の削減量 積水ハウス株式会社
石田建一
積水ハウスの京都議定書対策「アクションプラン20」
積水ハウスは2005年4月21日にサステナブル宣言を行い、持続可能な社会の実現を経営方針としました。
この具体的な行動として京都議定書遵守を目標としたアクションプラン20を開始しました。
当社は1990年、2000年に自社物件に対するエネルギーアンケート調査を実施しており、2000年の二酸
化炭素排出量は1990年比で8.5%の増加が見られました。無対策の場合にはさらに2010年には、二酸
化炭素排出量は5%増加と予測され、1990年比マイナス6%を達成するためには2010年予測で20%の
二酸化炭素排出量削減仕様とする必要があるとしました。
1990年
2000年
2010年
4,018※
4,359※
4,600※1世帯あたりのCO2排出量が
8.5%増加
さらに5%増加と予想
京都議定書で定められたマイナス6%が達成目標
2010年積水ハウスの達成目標
3500
4000
4500
4800
kg-CO2/世帯・年
積水ハウスが考える省エネ促進計画アクションプラン20
削減目標マイナス20%
1990年比13.5%の増加と予想
図1 アクションプラン20の概念図
一方、一般の人にアンケートを取ると、温暖化防止は重要だと思うし協力もするという意見がほとんどです
が、実際の省エネ行動を行っている人は多くではありません。また、温暖化防止に協力して頂ける条件を調
査すると、お金がかからなければ良い、面倒でなければ、今までの生活を変えなくて良ければなど消極的
な意見が多く、一般の人の善意に頼る対策では限界があることが分かります。
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●54%は消極派が占める。
20%
お金がかからなければ良い
20%
お金がかからなければ良い
12%多少お金がかっかっても良い
12%多少お金がかっかっても良い
15%
今までの生活を変えなくても良ければ
15%
今までの生活を変えなくても良ければ
34%
多少不便でもやるべきだと思う
34%
多少不便でもやるべきだと思う
19% 面倒でなければ19% 面倒でなければ
図2 温暖化防止に協力して頂ける条件についてのアンケート調査(積水ハウス調べ)
また、当社の他の調査ではより快適な生活を求める傾向も強くなっています。温暖化防止策は、少数の超
省エネ住宅を建てるよりも普通の省エネ住宅をたくさん建設することが結局は社会に貢献することから、全
ての人に受け入れられる住まいとして「快適で経済的」を目標としました。このため「次世代断熱+高効率
給湯器」を標準にし、一般の人が快適な生活を行いながらも意識せずに京都議定書遵守ができるようにし
ています。
アクションプラン20の具体策としては
① 次世代断熱の標準(以前から実施済み)
② エコジョーズの標準(差額は積水ハウス負担)、エコウィル・エコキュートは推奨
③ 太陽光発電の社内補助による普及(1kW あたり45万円)
次世代断熱と高効率給湯器の二酸化炭素排出量削減効果の検証
2005年にエネルギーアンケート調査を行い高断熱・高効率給湯器の効果を検証しました。アンケートは、
当社のNetオーナーズクラブの会員に対して実施し、アンケート回答のうち光熱費及び使用量が両方記載
されている温暖地のみを有効とし有効回答は 687 件でした。
低断熱低断熱 高断熱高断熱
断熱性向上効果
一般給湯器一般給湯器一般給湯器 高効率給湯器高効率給湯器
高効率給湯器省エネ効果
給湯器は同種給湯器は同種
断熱性は同じ断熱性は同じ
図3 省エネ対策の効果調査アンケートの考え方
冷暖房設備は、エアコンと灯油ファンヒータが多いが、1999 年以降のガス併用住宅では床暖房が多く、特
にエコジョーズ・エコウィルの場合には 80~90%が床暖房を採用している。さらにエコウィルを使用している
世帯では灯油ファンヒータは使われていません。
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今回のアンケートを断熱性の違いから2つに分けた
灯油ファンヒータ
給湯設備 件数世帯人数
延床面積[m2]
深夜電力蓄熱暖房
灯油FFストーブ
エアコンガス
ファンヒータ電気
床暖房ガス
床暖房建築年
1990年調査 東京 354 3.94 130 ※1990年調査では全電化住宅は無し
2000年調査 ガス給湯器 628 3.69 144電気温水器 49 3.46 156
新省エネ ガス給湯器 251 3.30 139 96% 50% 22% 8% 3% 6% 0%電気温水器 25 3.40 145 84% 48% 4% 0% 12% 0% 8%
次世代 ガス給湯器 257 3.50 146 87% 30% 20% 5% 7% 31% 0%省エネ 電気温水器 89 3.90 148 97% 51% 1% 3% 16% 0% 1%
エコジョーズ 6 3.80 152 50% 50% 0% 17% 0% 83% 0%エコウィル 14 3.50 144 78% 0% 29% 0% 0% 93% 0%エコキュート 45 4.00 147 93% 42% 0% 0% 22% 0% 7%
主な冷暖房設備
床暖房が多いファンヒータが多い ファンヒータが少ない 図4 省エネ対策の効果調査アンケートのプロフィール
アンケート調査結果では、世帯人数や延床面積さらに気象条件も異なるため、項目毎に回帰式を作成し、
1990年と同じ世帯人数3.94人、延床面積130m2、東京として二酸化炭素排出量を求めました。
2000年の調査結果は、1990年に比べガス併用住宅では5.7%の増加が見られますが、2005年の調査
では新省エネガス給湯器は1990年とほぼ同じとなっています。断熱の省エネ効果は 2005 年の調査間の
新省エネと次世代省エネで比較するとガス併用・全電化ともに13~14%でした。これはシミュレーションに
よる予測ともほぼ一致します。
しかし、エコジョーズの二酸化炭素排出量削減効果は無ありません。これは、エコジョーズは2005年には
設置が6件と少なかったこと、エコジョーズは給湯の15%省エネですが給湯は建物全体の二酸化炭素排
出量の約 1/4ですから建物全体では3%程度になり差が現れ難いことです。
エコウィルの二酸化炭素排出量は逆に12%の増加になっています。これは、床暖房を使用することによる
快適性の向上によるエネルギー消費の増加が原因だと考えられる。また、コージェネによる発電分の評価
に対しては意見が分かれるところですが、環境省の自主参加型国内排出量取引制度1によれば、コージェ
ネ発電の換算は、全電化平均 0.378kg-CO2/kWh にクレジットとして 0.223kg-CO2/kWh を加算し、
0.601kg-CO2/kWh として計算しても良いことになっていますが、今回はこのクレジットを考慮していません。
クレジットを考慮すると一般ガス給湯器に比べ15%程度減少します。
電気温水器を使ったオール電化住宅は、ガス併用住宅より20%以上も二酸化炭素排出量が多くなってい
ますが、エコキュートを用いた場合には一般ガス給湯器よりわずかに軽減しており、大きな効果が見られま
す。地球温暖化防止のためには電気温水器からエコキュートへの転換が必要なことがわかります。
1 自主参加型国内排出量取引制度は、温室効果ガスの費用効率的かつ確実な削減と、国内排出量取引制度に関する知見・経
験の蓄積を目的として、2005 年度から開始するものです。http://www.env.go.jp/press/file_view.php3?serial=6410&hou_id=5733
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4
4,0184,247
6,070
4,005
4,841
3,451
4,228
3,4743,848
3,394
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
ガス
給湯
器
ガス
給湯
器
電気
温水
器
ガス
給湯
器
電気
温水
器
ガス
給湯
器
電気
温水
器
エコ
ジョ
ーズ
エコ
ウィ
ル
エコ
キュ
ート
1990年
調査
2000年
調査
2005年調査
(新省エネ)2005年調査
(次世代省エネ)
二酸
化炭
素排
出量
[kg-
CO
2/世
帯・年
]
断熱効果14%
断熱効果13%
エコジョーズ効果なし
エコウィル+12%
エコキュート-20%
▲1990年比マイナス6%(3776)
コージェネレーションクレジットを考慮→
※2005 年調査の新省エネは 1998 年以前に着工された建物、2005 年の次世代は1999年以降に建設された建物
図5 省エネ対策の効果(アンケート調査結果を回帰式により同一条件とした場合、130m2、3.94 人)
尚、次世代断熱仕様の新しい住宅では、電気温水器を使ったオール電化以外では、二酸化炭素排出量1
990年比マイナス 6%を達成しています。勿論この削減には、断熱に加え家電製品の省エネ化も寄与して
います。ただし、断熱性向上+高効率給湯器による省エネ効果では、京都議定書遵守はできますが、さら
なる二酸化炭素排出量削減に関しては、太陽光発電システムの導入が必要不可欠でしょう。
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ガス併用
3,9193,716 3,619 3,527 3,461
3,208
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
二酸
化炭
素排
出量
[kg-
CO
2/世
帯・年
]
照明家電
調理
給湯暖房
冷房
建物全体
次世代新省エネ旧省エネ
1980年まで 1985年まで 1990年まで 1995年まで 2000年まで 2005年まで
図6 2005年における建築年代別・用途別二酸化炭素排出量2
(ガス併用、住宅温暖地DD18-18 2000 度日、床面積 100-150m2)
ガス併用住宅の年代別の二酸化炭素排出量は、古い住宅ほど多く、新しい住宅ほど小さく1980年代の住
まいに比べ最新の住宅では約20%の二酸化炭素排出量削減を達成しています(ここでは高効率給湯器
の効果は数が少なく、ほとんど含まれていません)。これは新しい住宅ほど断熱性や家電機器の効率が向
上しているためだと考えられます。用途別では、分離誤差を含みますが暖房・冷房用途は減少傾向で、断
熱向上の効果が見られます。給湯は、この2005年の時点では高効率給湯器の比率が少なく、効果は見ら
れず横ばいとなっています。照明家電の二酸化炭素排出量も減少しており、家電機器が増えエネルギー
消費は増加傾向にあると言われていますが、(昔との比較でなければ)家電機器の効率向上による二酸化
炭素排出量削減効果が見られます。
一方、全電化住宅の給湯は、COP=1 の電気温水器が使われているため全電力平均(0.378kg-CO2/kWh)
を用いた二酸化炭素排出量の評価では、ガス併用住宅と比べ大きくエコキュートへの転換が急務であるこ
とが分かります。
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
1,800
1980年まで 1985年まで 1990年まで 1995年まで 2000年まで 2005年まで
二酸
化炭
素排
出量
[kg-
CO
2/世
帯・年
]
全体平均
ガス併用住宅
全電化
図7 2005年における建築年代別の給湯用二酸化炭素排出量
(住宅温暖地DD18-18 2000 度日、床面積 100-150m2)
2 年間エネルギー消費量の変動から推定した用途分離。給湯器などの区別は行っていないが、全電化住宅を含めると電気温水
器の二酸化炭素排出量が大きいので、給湯用二酸化炭素排出量が近年増加して見える。地域や延床面積を限定したためN数
が小さいので参考。
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家庭用二酸化炭素排出量全体の推計について
2004年度の家庭用 CO2 排出量は1990年比で 31.5%3の増加となっています。この増加の要因の20%以
上が世帯数の増加で、世帯あたりの二酸化炭素排出量の伸びは10%を下まわっています。したがって、
家庭用二酸化炭素排出量推計を行う場合には、世帯数の変化が重要な要素になり、また戸建てに加え貸
家なども含まれるため総合的に解析する必要があります。
出典:温室効果ガス排出・吸収目録、エネルギー経済統計要覧(エネルギー経済研究所編)
図8 家庭用CO2排出量の推移
住宅の二酸化炭素排出量削減量の推計は、日本建築学会で行われた「日本の住宅におけるエネルギー
消費」の中で詳細に行われています。ここでは、この推計を紹介します。
世帯数増減及び二酸化炭素排出量原単位減少による家庭用二酸化炭素排出量の変動
日本の人口は、2006 年にピークを迎えましたが、世帯数として2015年まで増加し続けるとしています。特
に単身者世帯、高齢者世帯の増加が続きます。
図9 日本の家族類型別世帯数の推移(日本の住宅におけるエネルギー消費、日本建築学会)
また、経済産業省の技術戦略マップである超長期エネルギービジョン(2006 年 3 月)によれば、電力の二
酸化炭素排出量原単位は、2010 年=0.36、2030 年=0.27、2050 年=0.12kg-CO2/kWh まで減少するとし
ています。世帯数が減少及び電力の二酸化炭素排出量原単位減少の影響は、例えば特に省エネ対策を
3 2005 年では 1990 年比 37.5%増
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施さなくても2050年には、世帯数の減少および二酸化炭素排出量原単位削減により、家庭用二酸化炭素
排出量は1990年比で44%減となると予想されています。
図10 自然体の二酸化炭素排出量変動(日本の住宅におけるエネルギー消費、日本建築学会)
家庭用二酸化炭素排出量の将来推計
表1 温暖化対策の冷暖房試算条件(日本の住宅におけるエネルギー消費、日本建築学会)
図11 断熱気密の強化(左が戸建て、右が集合、日本の住宅におけるエネルギー消費、日本建築学会)
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表2 温暖化対策の給湯・家電・太陽光発電試算条件(日本の住宅におけるエネルギー消費、日本建築学会)
図12 全国の住宅二酸化炭素排出量推移(日本の住宅におけるエネルギー消費、日本建築学会)
断熱性能の条件設定では表1に示したように、2020年に全ての新築が次世代省エネ基準を満たし、既存
住宅に関しても2005年以降全住宅の1%が次世代断熱に改修されるものとしています。これに加え、冷暖
房や給湯機器も高効率化が進むとしています(表1、表2参照)。
この結果、全国の住宅から排出される二酸化炭素排出量は、現状をピークとして徐々に減少し、1990年比
で2020年には+10%、2030年には-31%、2050年には-61%まで削減できるとしています。しかし、
自然体における2050年の二酸化炭素排出量削減は44%ですから、正味の削減は17%です。