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107
熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title Author(s) �, Citation Issue date 2006-03-24 Type Thesis or Dissertation URL http://hdl.handle.net/2298/12189 Right

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熊本大学学術リポジトリ

Kumamoto University Repository System

Title 経済システムの構造と推移に関する数理科学的研究

Author(s) 市橋, 勝

Citation

Issue date 2006-03-24

Type Thesis or Dissertation

URL http://hdl.handle.net/2298/12189

Right

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経済システムの構造と推移に関する数理科学的研究

熊本大学大学院自然科学研究科

システム情報科学専攻

O51-DglO3市橋勝

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11

目次

第1章

1.1

1.2

本論文の課題と構成

章別構成................、

データの加工と計算プログラムについて

112

第2章

2.1

産業構造の波及経路分析

多部門成長の要因分解.........................、

21.1基本モデル...........................、

2.1.2分析結果..............................

産業構造の波及経路と産業ネットワークの方法............、

2.2.1産業構造の波及強度:産業ネットワークの方法........、

2.2.285-90-95-00年統合32部門表の4時点間推移.........、

2.2.300年32部門表における産業ネットワーク..........、

2.2.4小分類による産業ネットワーク:00年188部門表による例示.

2.2.5小括...............................、

アジア経済の相互依存性分析......................、

2.3.1本節の目的...........................、

2.32アジア国際産業連関表データ.................、

2.3.3計算結果.............................、

2.3.4小括................................

444522593122336

11112333334

2.2

2.3

章123456789

3333333333

国際産業構造の依存関係と環境負荷問題

目的と課題...........................‘

使用データと各連関表の概要.................…

基本モデル...........................‘

国際連関表の接続による輸出入額の推定...........‘

各連関表の逆行列係数の特徴..................‘

各地域への輸出の誘発効果..................…

誘発効果によるエネルギー消費と二酸化炭素排出量の測定方法

計測されたエネルギー消費と二酸化炭素排出量の結果....‘

小括..............................…

0012504782

5555566667

経済時系列のデータ分析

本章の目的と課題...................、

データの加工について................、

単位根検定のためのモンテカルロ・シミュレーション

検定結果.........................

章1234

44444

第 44578

77777

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構造変化とデータの接合に伴う変動の検定

不突合名目値と実質値の変動......、

三面等価データの単位根検定......、

小括....................

5678

●●●●

4444

0517

8899

章1234567

55555555

日本経済の長期不況要因分析

本章の目的と課題...........、

三面等価データ成長率の単位根検定.、

需要項目別実質値の作成と誤差について

需要項目別要因分解.........、

産業別(経済活動別)要因......、

付加価値別(分配)要因........

まとめと政策的問題..........

100

100

101

102

108

ul

ll5

122

第6章生産要素とデフレ経済分析

6.1生産要素の状態と生産性分析.................、

6.1.1本節の目的と課題...................、

6.1.2平成不況の概観....................、

6.1.3労働市場における雇用条件の変化と労働生産性の推移

6.1.4資本ストックの状況.................、

6.L5TFP(全要素生産性)の測定............、

6.1.6小括..........................、

6.2デフレの要因分析と貨幣の中立'性命題............、

6.21本節の目的と課題...................、

6.2.2マーシヤルのkとデフレ要因について.......、

6.2.3マネー・サプライと名目GDPとの共和分検定...、

6.2.4マネー・サプライと実質GDPとの共和分検定...、

6.2.5小括...........................

刈叫叫皿町珊仙灯銘銘蛆肛昭朋

11111111111111

付録A成長率分解の基本ルール

A1マクロ経済集計量の成長率分解式

159

159

付録B経済活動別加工データ

参考文献

162

166

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11

表目次

採用産業部門数32.............................

波及過程の収束状況(00年全国32部門表)...............、

対事業所サービスの内訳.........................、

量的ネットワーク関係00年全国表:対事業所サービスと商業.....、

量的ネットワーク関係00年全国表:その他製造とパルプ紙.......、

00年、95年、90年全国表(小分類)部門配置換え上位(20部門)の結果波及過程の収束状況(00年全国188部門表)..............、

産業ネットワーク(00年全国188部門)0.01以上:卸売1.......

産業ネットワーク(00年全国188部門)0.01以上:卸売2.......

産業ネットワーク(00年全国188部門)0.01以上:金融1.......

産業ネットワーク(00年全国188部門)0.01以上:金融2........

産業ネットワーク(00年全国188部門)0.01以上:電力1........

産業ネットワーク(00年全国188部門)0.01以上:電力2........

199Oアジア国際産業連関表の内訳.....................

波及過程の収束状況(90年アジア10ケ国7部門表)..........、

日本製造業のネットワーク内容(90年表)...............、

中国製造業のネットワーク内容(90年表)...............、

アメリカ製造業のネットワーク内容(90年表).............、

台湾製造業のネットワーク内容(90年表)...............、

韓国製造業のネットワーク内容(90年表)...........…..、

アメリカサービス業のネットワーク内容(90年表).........,.、

フィリピン製造業のネットワーク内容(90年表)............、

マレーシア製造業のネットワーク内容(90年表)............、

タイ製造業のネットワーク内容(90年表)...............、

インドネシア製造業のネットワーク内容(90年表)...........、

シンガポール製造業のネットワーク内容(90年表)...........、

台湾サービス業のネットワーク内容(90年表)..,..........、

シンガポールサービス業のネットワーク内容(90年表)........、

タイサービス業のネットワーク内容(90年表).............、

インドネシア商業のネットワーク内容(90年表)............、タイ鉱業のネットワーク内容(90年表).................、

中国建設業のネットワーク内容(90年表)................

6603455678901354456667777

122222222233334444444444

1234567

●●●●●●●

2222222

01234567890123456789012

8911111111112222222222333

■●●●●●●●●DC●●●●●●●●●●DC●●

2222222222222222222222222

8888999

4444444

採用した89部門と東京表本社部門68部門との対応関係

北京一東京の推定輸出入...............、

北京一他地域日本の推定輸出入............、

北京一東京間の推定輸出額上位20部門.......、

北京一他地域日本間の推定輸出上位20部門.....、

東京逆行列表90における感応度係数と影響力係数.、

他地域逆行列表90における感応度係数と影響力係数・北京逆行列表92における感応度係数と影響力係数,、

日本側から北京への輸出による日本側での誘発生産額.北京から日本側への輸出による北京での誘発生産額.、

地域間でのエネルギー消費量と発生CO2量の比較表.東京と北京における発生環境負荷の比較.......、

東京と北京の誘発効果における上位20部門......

3789912356901

5555566666677

1234567

●●●●●●●

3333333

0123

891111

●●●●●●

333333

784.1棄却域の比較表

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●●●

111

GDP関連のADF単位根検定.........…......、叩

逐次検定棄却水準(84年-94年).................、Rolling検定15期と10期....................、ブレイクポイントと西暦との対応関係.............._

需要面の単位根検定.........................

名目生産面名目の単位根検定...................、

実質生産面実質の単位根検定...................、

生産面デフレータの単位根検定..................、

分配面(付加価値項目)の単位根検定..............、

需要項目成長率の単位根検定...................、

生産面(名目)の単位根検定(経済活動別名目生産成長率)..、

生産面(実質)の単位根検定(経済活動別実質生産成長率)..、

生産面(デフレータ)の単位根検定(経済活動別デフレータ成長率)

付加価値項目成長率の単位根検定.................、

実質GDPと国内総支出内訳合計との計算誤差(実質).....、

GDPRの成長率寄与度分解....................、

需要面における最大・最小寄与度の推移(実質)........、

生産面(産業別)における最大・最小寄与度の推移.......、

産業別成長率寄与度1(実質)...................、産業別成長率寄与度2(実質)...................、産業別成長率寄与度3(実質)...................、付加価値額(実質).........................、付加価値項目別成長率寄与度(実質)...............、分配面(付加価値)における最大・最小寄与度の推移(実質)..、最大付加価値項目の産業別寄与度(実質).............、最小付加価値項目の産業別寄与度(実質)..............

4.2

4.3

4.4

4.5

4.6

4.7

4.8

4.9

4.10

923434567

788899999

134569

000000

111111

01234567

12345678911111111

●●●●●●□●●●●●●●●●●

55555555555555555

02233478900

11111111122

11111111111

業種別賃金指数の推移.........................、

産業別就業者数の推移1.........................

産業別就業者数の推移2.........................

産業別就業者数成長率1.........................

産業別就業者数成長率2.........................

労働生産性(就業者一人当り実質生産額)1..............

労働生産性(就業者一人当り実質生産額)2..............

資本ストックデータの推移......................、

資産項目と負債項目の相関関係....................、

資本ストックの成長率寄与度分解...................、

産業別TFP指数(90年基準)の推移1:TFP増加傾向産業....、

産業別TFP指数(90年基準)の推移2:TFP低下傾向産業....、マーシャルのkの伸びと物価変動...................

マネー・サプライのADF検定....................、

マネー・サプライと名目GDPのJohansen共和分検定........

マネー・サプライ、利子率、物価、実質GDPのJohansen共和分検定

VECMにおける共和分ベクトルと調整係数ベクトルの各係数....

89023446685602345

22333333334455555

11111111111111111

01234567

12345678911111111

●●●●●●●●●●●●●●●●●

66666666666666666

経済活動別生産額(名目)1.....

経済活動別生産額(名目)2.....

経済活動別生産額(実質)1.....

経済活動別生産額(実質)2.....

経済活動別生産額(実質)3.....

経済活動別デフレータ(90年基準)1

経済活動別デフレータ(90年基準)2

2334455

6666666

1111111

123

0DO

BBB

4567

●●●●

BBBB

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1V

図目次

67799044677880112456778899001122

111111112222333.333333444444

2.1総産出成長の要因分解:00年-95年...............

2.2総産出成長の要因分解:00年-90年..............、

2.3総産出成長の要因分解:00年-85年..............、

2.4需要項目別要因分解:00年-95年................、

2.5需要項目別要因分解:00年-90年................、

26需要項目別要因分解:00年-85年................、

2.7切断乗数の波及イメージ....................、

2.8RPGの波及イメージ......................、

2.9波及水準と逆行列値への収束状況(00年全国32部門表)..,2.10RPG(00年全国32部門表)..................、

2.11RPG(95年全国32部門表)..................、

2.121RPG(90年全国32部門表)...................

2.13RPG(85年全国32部門表)..................、

2.14産業ネットワークグラフ00年全国表:対事業所サービス...、

2.15産業ネットワークグラフ00年全国表:商業..........、

2ユ6産業ネットワークグラフ00年全国表:その他製造......、

2.17産業ネットワークグラフ00年全国表:パルプ紙........、

218199Oアジア国際産業連関表のフォーマット.…....,..、

2.19波及水準と逆行列値への収束状況(90年アジア10ケ国7部門表)2.20RPG(90年アジア10ケ国7部門表).............、

221アジア経済産業ネットワーク90年表:日本製造........、

2.22アジア経済産業ネットワーク90年表:中国製造........、

223アジア経済産業ネットワーク90年表:アメリカ製造.....、

2.24アジア経済産業ネットワーク90年表:台湾製造........、2.25アジア経済産業ネットワーク90年表:フィリピン製造....、2.26アジア経済産業ネットワーク90年表:インドネシア製造...、2.27アジア経済産業ネットワーク90年表:台湾サービス.....、

2.28アジア経済産業ネットワーク90年表:シンガポールサービス、2.29アジア経済産業ネットワーク90年表:タイサーピス......

2.3Oアジア経済産業ネットワーク90年表:インドネシア商業...、M1アジア経済産業ネットワーク90年表:タイ鉱業........、2B2アジア経済産業ネットワーク90年表:中国建設........、

3.11990日中国際産業連関表のフォーマット...........、

3.21990東京都産業連関表のフォーマット.............、3.31992北京市産業連関表のフォーマット..….-.......

3.4地域連関表における輸出入の誘発関係(北京の例)......、

3.5国際地域間取引額の推定方法................….

12256

55555

692244667

778888888

接続加工したGDPデータの推移...・・

て値の経験的検出力...........、

構造変化の逐次検定GDPR.......、

ブレイクポイントと西暦との対応関係.、

構造変化のRolling検定GDPR(15期間)構造変化のRolnng検定GDPR(10期間)不突合名目値の推移55年-00年...、

不突合実質値の推移55年-00年...、

計算不突合実質値の推移55年-00年..

1234567

●●●●●●●

4444444

4.8

4.9

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不突合名目値の構造変化検定.............................

不突合実質値の構造変化検定(公表値と計算値).................、

データ段差の例(名目政府最終消費支出).....................、

資本分配率と労働分配率の推移(実質).......................、

企業倒産件数と負債総額の推移...........................、

完全失業者数の推移.................................、

完全失業率の推移...............................,..、

年齢階級別失業率の推移..............................、

資本係数の推移...................................、

総固定資本・GDP比率の推移...........................、

純固定資本形成と資本ストックの推移.......................、

純固定資本形成と資本ストック増分........................、

jK-Iの計算値と調整勘定における純固定資産の推移.............、

TFP=Y/Xの推移.................................、ソロー残差(稼働率調整済み)の推移.......................、

GDPRの成長率要因分解............,.................、

資本分配率と稼働率の推移.............................、

資本ストック成長率の推移.............................、

マーシャルのkと物価指数.............................、

Granger因果性検定:マネー・サプライ、利子率、物価、実質GDP.......、ImpulseResponsenlnctionの結果:マネー・サプライ、利子率、物価、実質GDP

4.10

4.11

88

90

5.1

5.2

108

116

01234567

12345678911111111

●●●●●●●●●●●●●●●●●

66666666666666666

56679900123345957

22223344444444455

11111111111111111

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第1章本論文の課題と構成

本論文は、日本経済の特質を、推移と構造の観点から分析を行なうものである。特に、産業連関の枠

組みから日本の中期の多部門構造の変化、アジアとの依存関係における波及効果分析を行なう構造

分析のパートと、90年代長期不況の要因を戦後日本経済の時系列的推移から要因分解を行なう時系

列分析のパートとの両面から、分析を掘り下げていく。

11章別構成

第2章と第3章は構造分析のパートであり、これらは産業連関分析の応用としての研究成果で

ある。

まず、第2章は、産業連関分析という線形の枠組みを用いた現実分析を行なう.はじめに85年以

降2000年までの15年間の多部門成長の要因分解を試みる。00-95年、00-90年、00-85年という各

時点間の多部門成長において、日本経済に大きな影響を与えている需要要因と技術要因を分析する。

従来の産業連関分析では、レオンチェフ逆行列をブラックボックス化することで、当該産業構造が

持つ直接間接の全波及結果を計算によって求めてきた。だが、波及効果は量的結果だけはなく、どの

ような産業間の関係が強いのかという質的側面からも分析される必要がある。そこで、産業連関構造

の波及過程を可視化して産業間の関係性を見ていこうとするのが次の試みである。

ここでは00年、95年、90年、85年という4時点間32部門全国産業連関表を用いて、その取引量

に応じて形成される産業ネットワークの状況を図解的に提示し、政策的含意を検討する。更に、00

年表による個別産業のネットワーク状況や188部門という小分類における産業ネットワークの量的

関係を示すことで、その応用可能性が示す。

続いて、同様の方法をアジア地域9ヶ国にアメリカを含めた経済圏を対象として、国際間のネット

ワーク構造を可視化する。ここではアジア地域におけるアメリカ、日本、中国のプレゼンスの大きさ

が示される。

第3章では、2章の産業連関の数理モデルを用いて国際地域間の経済依存関係の分析を行ってい

る。従来の地域間の連関表のみによる分析ではなく、本章の方法では財の代替性仮説を承認すること

で国際貿易比率と地域連関表を結合することで、各地域の国際依存の状況を推計する。

この方法を応用することで、財の輸出入に伴う環境負荷の誘発効果を分析することが可能となる。

本章では、実際に東京と北京を取り上げ、それぞれが相手地域にどれほどの環境負荷を発生させてい

るのかを計測した。

続いて、第4章から6章までは、数理統計的手法による時系列分析を日本経済の景気分析に応用

した成果である。

第4章においては、68SNAと93SNAのマクロ経済データを人工的に接続し、その時系列変化の

状態を分析する。基本的な方法は、加工データの単位根検定のための棄却域設定をモンテカルロ・シ

ミュレーションで行い、実際に検定を行なう。また、作成された実質GDPデータの構造変化の検定

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第1章本論文の課題と構成2

を二種類の検定方法によって行なう。更に、SNAに付随する不突合データについても同様の検定も

行った。結果として、両者ともに単位根を有していることが指摘できた。

第5章は、その上で90年代の日本経済の長期不況原因を、成長率の寄与度分解によって要因分析

している。分析の結果、90年代の不況は、主に建設、卸・小売、金融の非製造業3部門における営

業余剰及び帰属利子の落ち込みと、それに伴う設備投資等固定資本形成の減退ということが主要因

であることが示される。逆に、堅調だった産業は、サービス業と電機であり、そこにおける所得増加

が消費等を支えたと見ることが出来る。

第6章では、生産関数を用いた生産性分析と貨幣方程式の要因分解によるデフレ要因の分析を行

なう。まず、生産性分析は、日本のマクロ経済における労働、資本ストックなど生産要素状態の推移

と、労働生産性及び稼働率調整済のコブ・ダグラス型生産関数からの全要素生産性(TFP)の状況

を分析する。

分析の結果、労働生産性は、90年代において緩やかに低下傾向にあるが、TFPの測定では、90年

代の日本経済においては低下していないという結果を得た。他方、90年代、経済成長押し下げの主

要要因は、資本要因のマイナス成長であったとの結果を得た。これは、資本分配率、稼働率、資本

ストック成長率の三者が揃って低下傾向にあることによってもたらされた結果であると判断される。

また、この結果が投資需要減退の要因であったと見なすことができる。

デフレ分析では、貨幣方程式からマネー・サプライ、マーシャルのk等の寄与度分解によって原因

を分析した。分析によれば、95年以降のデフレ要因の一つは、マネー・サプライの上昇以上にマー

シャルのkが上昇したことによるものであると考えられる。これは、マネー・サプライの上昇にも

関わらず、それを上回る規模で貨幣滞留が発生し、市場にマネーが広がっていない状況を示唆する。

デフレの今ひとつの原因は、消費及び投資の需要減退が考えられる。ヨハンセンの共和分検定によれ

ば、マクロデフレータと最も安定した長期的関係にあったのは、民間消費支出デフレータであった。

これは、消費需要の落ち込みによって投資の減退が引き起こされ、その結果銀行等による貸し出し減

少が起きているものと見なすことができる。

総じて、日本の長期不況は構造的な需要不足による要因が、供給要因以上に影響を与えていたと

見なすことができる。

本論文の目的は、日本経済の長期的特質を構造と推移の観点から明らかにすることであるが、これ

までの経済学の実証研究は、計量的アプローチによる時系列的なものと、産業連関や応用一般均衡分

析(CGE)による構造的なものと、その内容が二つに大別されると言ってよい。本研究では、この

両者の分析を行い結合し、時間軸からの日本経済の長期的特徴だけではなく、構造面からの分析も併

用している点に特徴がある。とりわけ、構造分析においては、日中をはじめとするアジアとの相互依

存性分析を主眼とし、経済発展論的な枠組みにおける位置付けも試みる。

このような推移と構造の両者からの実証的経済分析は、日本経済の長期不況の原因を考察するの

に有益なだけではなく、経済構造の改革や、アジア経済における政策的役割を考察する上でも有益で

あり、多少なりとも意義のあることであると思われる。

1.2データのカロエと計算プログラムについて

本書においては、マクロ経済データ及び産業連関表を主に使用している。計算の元となるプログラ

ムは、以下の方達が開発されたものを使用させていただいた。

。XCAMPUSプログラム(開発者:兵庫県立大学経済学部斎藤清教授)

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1.2.データの加工と計算プログラムについて3

(主に、第4章、第5章で使用。)

。プロセス・グラフ用S言語プログラム(開発者:高知大学黒潮圏海洋科学研究科飯国芳明

教授)

(主に、第2章で使用。)

なお、使用に際しては、特にS言語プログラムの場合、必要な改良・修正を加えて計算に使用した。

また、産業連関表における部門統合及び整備に関しては、広島大学国際協力研究科の吉延広枝さん

の全面的な協力を得た。

ここに記して感謝申し上げたい。

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第2章産業構造の波及経路分析

2.1多部門成長の要因分解

本節では、産業連関分析の枠組みを用いて、多部門の成長要因分解を行なう。本論文において

は、日本経済の成長要因の分析が主要テーマであるが、時点間の産業連関分析を用いることで、要因

分解が可能となる。

それによって析出される日本経済の特徴が、本論文の現状認識の出発点であり、その構造的特徴や

時系列的変動の分析が本論文を貫く基本的な問題意識である。

2.1.1基本モデル

基本モデルは、以下のようなバランス式を前提としている。

X=AX+FD+E-M (2.1)

ここでXは総産出ベクトル、Aは投入係数行列、FDは国内最終需要ベクトル、Eは輸出ベクト

ル、Mは輸入ベクトルである。輸入は、域内需要に比例するという想定を置いて輸入を内生化する

と次式を得る。

X=[1-M]AX+[1-M]FD+E・ (2.2)

Iは単位行列である。また、Mは、

M=M[AX+FD]

より得られる域内需要比例型の輸入率による対角行列である。よって、自給率をrで表せば、(2.2)

式は、

X=rAX+rFD+E・ (2.3)

となるので、レオンチェフ逆行列による誘発生産額の均衡式は、

X=[I-rA]-1(rFD+E).

である。

ここで、

B=[I-rA]-1,FD=rFD+E

と置いて、時点を考慮すれば、

Xt=BtFDt. (2.4)

と表現できるので、これを時点間の差分で表せば、それが総産出Xの成長の要因分解式となる。

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2.1.多部門成長の要因分解 5

△X=△BFDt-,+B2-,△FD+△B△FD. (2.5)

但し、ここで△はt期からt-1期の差分を表す。

(2.5)式は、2時点間の産出増分が、技術的水準の変化による寄与(右辺の第一項)と、最終需要

の変化による寄与(右辺第二項)、そして、両者の交差(右辺第三項)とに分解されることを示して

いる。

また、最終需要を表すFD部分は、消費C、投資I、政府支出G、輸出Eなどによって構成され

ているから、成長に寄与しているのは最終需要のどの項目かまで見ることができる。

ここでは、最終需要として産業連関表に掲載されている7項目を用いて分析を行なった。

FD=C1+C2+C3+11+12+Z+EX. (2.6)

ここでC1は家計外消費、C2は民間最終消費、C3は政府最終消費、11は公的固定資本形成、12

は民間固定資本形成、Zは在庫増加、EXは輸出である。但し、外需の輸出を除く6項目は、上述の

輸入率を控除した値を採用している。

なお、時点間の価格変化に関しての実質化は特に行なっていない。第一に、適当なデフレータが見

つからなかったということがある。第二に、多部門モデルで実質化を行なうことは、基準年における

部門間の価格比を1とすることで、比較年の価格を基準年価格比で固定して評価することと同義で

あるが、比較年の部門間の価格変化が大きい場合があり得ることを考慮して、基準年の部門間価格比

を1に調整するという処理は行なわなかった。第三に、時点間の価格変化は各部門ともここ20年間

ほど大きくないと考えて、生産者価格をそのまま用いた。

2.1.2分析結果

ここで用いた産業連関表は、85年、90年、95年、2000年の基準時点で公表された4つの表で

ある。主要には、90年代の構造変化を中心に分析しようと考えているが、ここではバブル経済期直

前の85年表を用いることで、分析を補充している。

採用産業部門数は32で、表2.1の通りである。

図2.1から図2.3は、(2.5)式によって総産出増分の要因分解した結果を、00年と95年、00年と

90年、00年と85年の各2時点間について図示したものである。

まず、図2.1から、全体として最終需要増分△FDの寄与が目立つ。この中でとりわけ大きなプラ

ス効果をもたらしているのは、公務と医療・保健である。それに続いて、サービス関連として対事業

所サービス、対個人サービス、教育・研究、通信・放送、不動産、金融・保険がプラス効果として目

立っている。製造関連で相対的に大きなプラス効果をもたらしているのは、電機である。一方、大き

な最終需要の落ち込みを示しているのが建設である。また、繊維もマイナス効果を示している。

また、逆行列増加△Bによって大きなプラスの生産効果をもたらしているのは、対事業所サービ

スと通信・放送であることが分かる。また、製造関連においては石油・石炭がプラス効果である。逆

に、運輸、不動産、金融・保険、商業はマイナス効果であり、製造関連では、鉄鋼、パルプ・紙、繊

維、農林水産などがマイナス効果を示している。

すなわち、全体的に公務、医療.保険、対事業所サービス、通信・放送などのサービス関連が、90

年代の後半の成長分野であり、特に対事業所サービスと通信・放送は、逆行列効果を増加させてお

り、これらの分野での技術的変化が起きていることを示唆している。

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第2章産業構造の波及経路分析8

相対的には、製造関連の諸部門の寄与は大きくない。電機、輸送機械、化学がプラス効果として寄

与しているものの、これらの成長要因は最終需要が増大していることによる効果である。逆行列効果

の変化で見れば、石油・石炭、その他の製造業以外、製造関連は全てこの5年間で効果を落としてい

ることが分かる。

また、サービス関連では、運輸、不動産、金融・保険、商業が相対的に大きく逆行列効果を減ら

している。つまり、金融・保険や不動産は、最終需要として増加効果があったものの、逆行列効果と

してはマイナス効果となり、技術的変化によって波及を減少させていることになる。なお、商業は、

この5年間で最終需要も逆行列効果も共に減らしたことになり、90年代不況の影響を大きく受けて

いることが伺える。

以上のような状況は、実はこの10年間殆ど変わっていないことが図2.2から分かる。

最終需要増大によるプラスの寄与は、対事業所サービス、医療・保健、公務など主要にはサービス

関連分野である。また、製造業での最終需要増大によるプラス効果は電機、化学である。

00-95年との違いは、商業が最終需要効果、逆行列効果が共にプラスであることである。商業は、

この5年間の状況では落ち込んでいるものの、バブル経済のピーク時に比べれば増大していること

が分かる。

また、輸送機械の最終需要の効果がマイナスである点も図2.2との相違点である。すなわち、輸送

機械は商業とは逆に、バブル経済期からは最終需要が縮小している。

更に、図2.2の著しい特徴として、農林水産及び製造関連の全部門において逆行列効果がマイナス

になっている点が上げられる。これは、この10年間において投入構造が縮小方向に変化しているこ

とを意味する。生産コストの合理化がバブル経済崩壊後進行したと解釈することができる。

そして、図2.3を見れば、以上の状況は更にこの15年間においても同様であることが分かる。

但し、最終需要効果だけを見れば、この15年間で最大のプラス効果をもたらしたのは不動産であ

り、商業である。それに対事業所サービス、医療・保健、公務などのサービス関連部門の増大が続い

ている。また、通信・放送、教育・研究などは最終需要だけでなく、逆行列効果も増大させている。

更に、建設もこの15年間においては最終需要効果を増大させていることが分かる’

85年からの15年間では、繊維以外の31産業で最終需要は増大している。だが、図22と同様に、

農林水産及び製造関連の全部門において逆行列効果はマイナスになっている。

全体として、この15年間、投入構造の変化による逆行列効果は、製造関連を中心に低下している

が、他方、最終需要増大の効果はサービス関連を中心に伸びているということが分かる。

では、このような特徴は、最終需要のいかなる項目が影響しているのであろうか。続いて、先の

(26)式の需要7項目に沿って、各影響を要因分解したものが図24から図2.6である。

図2.4から以下の諸点が指摘できる。

1.最終需要増大で大きな効果があった公務や医療・保健は、政府最終消費の増大が大きく寄与し

ている。

2.それ以外の最終需要増大効果のうち、対事業所サービス、対個人サービス、通信・放送、不動

産、金融・保険などのサービス関連部門は、民間最終消費の増大が寄与している。

3.電機、輸送機械、その他の製造品などの製造業関連の最終需要増大効果は輸出の寄与が大きい。

4.但し、商業や対事業所サービスにおいても輸出の影響はプラス効果となっている。

'相対的に大きくはないが、逆行列効果もプラスとなっている。

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2L多部門成長の要因分解 9

図2.4:需要項目別要因分解:00年-95年

■jBxC1p型BxC2p4BxC3□jBxI1回dBxl2■gBxZ■△BxEX口BxjC1

■BxjC2国Bx』C3pBxj11画Bxjl2pBxaZpBxdEX

図2.5:需要項目別要因分解:00年-90年

ロpBxC1pjBxC2ロヨBxC3p。BxI1■21BxI2回jBxZ■dBxEXpBxjC1■Bx△C2

■BxjC3pBxjI1pBx己12■BxjZpBxjEX

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第2章産業構造の波及経路分析

図2.6:需要項目別要因分解:00年-85年

10

‘回』BxC1p」BxC2ロコBxC3ppBxI1■』Bxl2p』BxZp4月xEXpBxヨC1

■BxdC2■BxjO3pBxdI1画BxjI2■BxdZロBxaEX

5.逆に、最終需要におけるマイナス効果では、建設において公的資本形成、民間資本形成ともに

大きな落ち込みとなっている。建設における投資の落ち込みは、この5年において著しいこと

が分かる。

a商業はこの5年間で民間最終消費が落ち込んでおり、これが輸出のプラス効果によって克服さ

れなかったことが、この時期の商業の落ち込みの原因であると考えられる。

7.他方、逆行列効果という技術的変化では、対事業所サービスと通信。放送が主に民間最終消費

による波及を増大させている。製造関連では、石油。石炭が同じく民間最終消費による逆行列

効果を増大させている。

8また、対事業所サービスと通信。放送は民間固定資本形成による逆行列効果も比較的大きい。

9.他方、農林水産、不動産、金融。保険、運輸における逆行列効果の落ち込みは、相対的に民間

最終消費によって誘発されている。これ以外の製造部門の逆行列効果の落ち込みは、各需要項

目によって広く引き起こされている。

以上のような基本状況は、00-90年においても維持されているが、幾つかの相違点も含めて次のよ

うなことを指摘できる。

1医療。保健の最終需要効果は、主に政府最終消費よって支えられている。同部門への民間最終

消費はこの10年で実は大きく落ち込んでいたことが表れている。

2.公務における最終需要効果も、主に政府最終消費よってもたらされている。教育。研究も同様

である。

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2.1.多部門成長の要因分解 11

3.製造関連では、化学における最終需要効果が、政府最終消費よって支えられ、民間最終消費の

落ち込みを打ち消していることが分かる。

4.民間最終消費の増大効果が大きかったのは、不動産である。不動産は、公的資本形成がこの10

年若干落ち込んだものの、最終消費が民間、政府を問わず結果的に増大している点は興味深い。

5.建設における最終需要効果の落ち込みは、民間固定資本形成の減少によってもたらされている。

公的固定資本形成はこの10年ではプラス効果である。

6.他に民間最終消費の落ち込みで相対的に目立つのは繊維である。

7.輸出効果が大きかったのは電機、一般機械、商業、対事業所サービスなどである。

8.鉄鋼は主に民間固定資本形成の落ち込みと、それによる波及の逆行列効果の両方が落ち込んで

いる。

9.比較的大きな逆行列効果の落ち込みが示された農林水産、パルプ・紙、繊維、化学などは、主

に民間最終消費によって誘発されている。

以上のような諸特徴は、15年間の変化を見るとより増幅されているということが図2.6から分かる。

すなわち、

1.医療・保健や公務は政府最終消費によってこの15年間大きな成長を遂げた。また、化学も政

府最終消費が民間最終消費の落ち込みをカバーしている。

2.不動産は民間最終消費の増大によって成長している。

3.民間最終消費による逆行列効果、消費と投資の増大による最終需要効果などによって多くの項

目で成長を遂げたのは対事業所サービスである。

4.電機、一般機械は輸出効果によって成長を支えた。

5.建設はバブル経済崩壊以降は大きく落ち込んでいるものの、この15年間では公的固定資本形

成と民間固定資本形成によって増大している。

6.農林水産、パルプ・紙をはじめ、その他の製造品以外の全ての製造関連部門では、逆行列効果

が全需要項目において減少している。

このようなことから、とりわけバブル経済前後の日本経済では、対事業サービス、通信・放送をは

じめとするサービス関連における需要増と電機、一般機械等の製造業における輸出が大きな影響を

与えているとまとめられる。とりわけ、医療関連、公務などは政府消費によって支えられていたとい

うことが指摘できる。

また、この時期、建設の退潮傾向が大きな特徴となっている。製造関連における投入係数の低下

(技術的変化)も共通する特徴となっている。

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第2章産業構造の波及経路分析12

2.2産業構造の波及経路と産業ネットワークの方法

本節では、経済構造の波及経路を主たる分析対象とする2°

経済データは一般に時系列的な変動を有する。しかも、レベル変数においては単位根を有する非定

常データと判定されることは、決して珍しいことではない。従って、本論文では後半において、階差

操作によって定常化されたデータを用いて成長率を求め、要因分解することにより成長への原因分析

を行なう予定である。

他方、経済の相互依存構造は、一般に安定的であるとされている。その一つの根拠に、産業連関表

における投入係数の安定性ということが挙げられる。個別データの確率的な挙動に比較して、技術的

な投入構造は相対的に安定しているというわけである。そこで、本節では、そのような投入構造の特

徴を、幾つかの時点で比較し、その推移を見てみる二としよう。本論文後半の分析が時間的自己相関

の状況による分析であるとしたら、本章や吹章の分析は特定時点での産業相互の相関の状況分析で

ある。

特に、投入係数の値による産業間の結びつきの強さを利用して、産業構造の特徴を表現する方法

を示し、それを利用して幾つかの分析を行なう。すなわち、産業構造において特定の需要を与えたと

き、その波及プロセスはどのようなものであるのか、この構造的特性を考察してみることにしよう・

個別産業は経済における全産業と等しく取引関係を結んでいるわけではなく、その産業独自の取

引関係を他産業と有している。これを今「産業ネットワーク」と呼ぶことにする。

この産業ネットワークは、個別産業によって当然異なる内容を有するし、また、その相互関係の

「強度」も産業によって異なる。従って、この強度に応じて産業部門の配置を変更してやれば、ある

種の三角化行列を作成することが可能であり、現に、そのような研究も存在している。ここでは、三

角化行列とは異なる波及プロセスグラフ(RepercussionProcessGraph,以下ではRPGと略記)と

いう手法によって産業相互の「強度」と各産業の波及の「長さ」を表現していくこととする3.RPG

は、三角化行列による表示も可能であり、また、Ichihashi,Ikeda,andligun[27]でも示したとおり、

尾崎[104]によるユニットストラクチャーを包摂した手法でもある。

ここでは、85から00年までの全国連関表統合32部門を用いて、産業ネットワークの15年間の時

系列的推移の状況も示すこととする。

2.2.1産業構造の波及強度:産業ネットワークの方法

ここでは、市橋・飯國・池田[26]、Ichihashi,IkedMndmguni【27]で開発されたRPGの中の部門別プロセス・グラフを主に取り上げ、分析に使用する4。

まず、本節で想定するマクロ需給バランス式は、前節と同じ次式である。

2本節は、市橋・飯國・池田[26]、市橋[21]の内容に加筆・修正を施したものである。3RpGは、飯國・池田[31]及び市橋・飯國・池田[27][26][24N25]など。本節の使用するグラフは、前掲[26)の「逐次波

及モデル」と[27]の「部門別プロセス・グラフ」を組み合わせたもので、グラフが表示している内容自身は「個別産業のネットワークを波及ステップ毎に表している」と解釈できることから、本節では産業ネットワークグラフと名付けている。

4より正確に言えば、本節でのグラフは市橋・飯國・池田[26]の「逐次波及モデル」とIchihashi,Ikeda,andliguni[27]の「部門別プロセス・グラフ」を組み合わせたものである。後述するように、グラフが表示している内容自身は「個別産業のネットワークを波及ステップ毎に表している」と解釈できることから、本節では産業ネットワークグラフと名付けている。この点は前掲[21]に依る。プロセス・グラフの考え方の基本的バリエーションはIchihashi,Ikeda,andliguni[27]を、その改良版と日本経済への応

用事例についての詳細は、市橋・飯國・池田[26]を参照のこと。また、拙稿[24125]などの応用例もある。なお、RPGの呼び名は、飯國・池田[31]に依る。

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2.2.産業構造の波及経路と産業ネットワークの方法 13

X=AX+FD+E-M

である。ここでXは総産出ベクトル、Aは投入係数行列、FDは国内最終需要ベクトル、Eは輸出

ベクトル、Mは輸入ベクトルである。これより輸入内生化の前提を置いて、レオンチェフ逆行列か

ら誘発額を求めれば、

X=[I-rA]-1rFD+[I-rA]~'E

である。

本節の産業ネットワークを求めるのに用いる投入係数行列は、上記の輸入内生化モデルから得た

ものであるので、自給率を考慮したrAということになる。以下ではA*=rAとする。

さて、RPG及び産業ネットワークは、以下のモデルによって計算され、また、ある一定の波及水

準以上(例えば、10%以上、3%以上、1%以上など)についてグラフで図示するものである。

通常、産業連関表における投入係数表は、-次同次・固定係数型の多部門生産関数を表現する際に

用いられるが、この投入構造は係数が一定である期間中、経済循環を通じて何度もフィードバックし

て波及していくものと考えられている。理想状態として、この波及過程を無限回続け、しかもそれが

瞬時に均衡すると仮定したものがレオンチェフ逆行列表である。これを、切断乗数として各波及ス

テップを把握するために変形した単純なモデル式は、次のような級数展開の形を取る。

B=[1-A*]~’

=[I+A蝋+A2+…+A:+…]. (27)

周知の通り、右辺[]内の各ステップの値を全て集計し、ステップ数を無限大化することで、集計

値はレオンチェフ逆行列の値([1-A*]-1)に収束することをこの式は示している。この点を図解すれば次のようになる。今、(2.7)式右辺の投入係数行列の累乗を波及ステップと考

えると、これは図2.7のように波及イメージを捉えることが出来る。3部門表の投入係数行列でス

テップ3(すなわち、(2.7)式のA3)を表示したときの結果が、例えば図2.7のようになったとす

る。すると、これはステップ3では各部門が第1部門に投入していることを示している。だがこの図

は如何なる経路を辿って第1部門に流れ込んでいるかは明示していない。

つまり、この切断乗数の累乗項は、各ステップにおける始点と終点しか示しておらず、その部門に

どのような経路を通じて辿り着いたかについては示すことが出来ないのである。

これに対して、RPGによる波及のイメージは、図2.8のようになる。例えば、上記図2.7の結果

をRPGで表現すると、図2.8のように描かれる可能性は十分有りうることである。この図では、第

1部門と第3部門からの波及はステップ2で第2部門を経由してステップ3で第1部門にたどり着

き、第2部門からの波及はステップ2で第1部門を経由してそのままステップ3で第1部門にたどり

着いていることが分かる。

つまり、RPGによる波及表現は、始点と終点だけではなく、各ステップでどのような部門を経由

し、どの部門にたどり着いているのかを明示するのに有用な表現方法ということになる。

このことの経済政策的含意は次のようなことである。例えば、図2.8のような波及を描く場合、経

済政策としては第2部門が第1部門に与える影響をこそ重視すべきことが分かる。すなわち、第2部

門からの投入と第1部門からの産出の関係がこの連関表では重要であることが分かることから、産

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第2章産業構造の波及経路分析

図2.8:RPGの波及イメージ

14

図2.7:切断乗数の波及イメージ

ステップ/部門

ステップ1

231ステップ/部門

ステップ1

123

DC、0⑦

ステップ2ステップ2 DC

ステップ3 ステップ3 DC

業育成政策を採るような場合には有益であるだろう。このことは図2.7の累乗による波及からだけで

はイメージされにくい5.

このようなRPGを用い、それを各国産業別にどのような波及構造を持っているのかを抽出したも

のが、本節で言うところの産業ネットワークである。

さて、右辺の各項が、独立した最終需要ベクトルが与えられた時の各産業各ステップの波及規模を

表していることになるのだが、この(2.7)式だけでは産業間の波及構造を正確に把握することには

ならない。なぜなら、右辺各項の投入係数行列の累乗は、波及の累積結果のみを当該部門間で示すだ

けであり、どのよう経路を通じてその累積結果になるのかに関しては依然ブラックボックスのままで

あるからである6.

各産業の波及経路を調べるには、様々な経路を通じて各産業に流れ込む投入を集計し、そして当

該部門がどのような(どの部門に)投入を発生させているのかを逐一把握して出力する必要がある。

これは、いわゆる感応度係数(前方連関)を把握する方法と類似する面を有する。すなわち、当該産

業毎に全産業からどのような投入を受けるかを知る点で両者は同じである。RPGが感応度係数と決

定的に異なる違いは、各ステップで受けた当該産業の需要が、更にその後どの産業に波及するかを追

跡できる点にある。各部門から受けた投入とその後波及していく当該部門からの投入の流れを同時

に表示することで、産業ネットワークが表示されるのである。

よって、産業ネットワークを把握する為のモデル式は次のようになる7。

PFA零diQ9(A:-1e)t=1,2,…,m (2.8)

ここでPtはプロセス行列(、×、行列)、eは1だけの要素n個からなる列ベクトル、diq9()

は対角行列、tは波及ステップ数を表すb当然のことながら、

t=1.P1=A*.

5無論、不可能というわけではない。実際には投入係数行列や逆行列表の値自体を把握すれば、どの程度の波及規模であるかは認識できる。だが、両者の表を用いながら重視すべき産業を探し出す作業は、かなり手間のいる作業となるだろう。

6投入係数の累乗では産業部門のステップ毎の波及経路を示すことにならないという点の詳しい解説は、前掲[27]参照。7各ステップ毎に各産業部門の波及量(投入量)を集計して、その後の投入を計算するという定式をはじめに行ったのは、

飯國・池田[32]である。市橋・飯國・池田[26]では、集計化を行わない方法も紹介している。両者の違いは、波及プロセスをステップ毎に把握するのか、波及強度毎に把握するのかによる違いであり、両者によって異なるRPGが描けることになる

が、そのどちらを用いるべきかに関して理論的な結論は与えられない。本節では、ステップ毎の波及集計の方法を用いている。

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2.2.産業構造の波及経路と産業ネットワークの方法 15

また、

t=。○.P。。=A*diqg(A:。e)

なので、oC oC

ZP`=A筆ZdiQg(Af-1e)=Mね,(Be)(29)t=1 t=1

となる8゜ここでB}まレオンチェフ逆行列である。右辺の対角行列は感応度係数と類似のものであ

る9.

よって、(2.8)式は(27)式右辺の波及ステップの第2項以降に対応していることになる。但し、

(2.8)式はステップ毎に各部門の投入を集計し、それをプロセス行列に反映させている点が、(2.7)

式と異なる点である。プロセス行列Pに入る各要素(pij;j,ノー1,…,、)は、直前のプロセスまでの投入量合計を受けた第j部門が第i部門に与える投入量を示すことになる。この投入量の規模に応

じて、ある水準以上の取引量を部門毎に示せば、産業ネットワークグラフが描けるわけである。

ところで、(2.7)式における無限回という繰り返し計算は理論上のことなので、実証上(2.8)式

を用いる際にどの程度でステップ数を設定すべきかという課題が残る。だが、経験的には比較的低い

回数で逆行列に収束することが既に分かっており、例えば、市橋・飯國・池田[26]によれば、90年の32部門全国表では、3次ステップで逆行列の90%以上、6次ステップで99%以上になることが示さ

れている。また、95年表においてもこの収束状況は同様であり、32部門表、186部門数表ともに6

次ステップで99%以上の収束状況となっている。00年表では32部門表で5次ステップで99%以上

という収束状況であった。

2.2285-90-95-00年統合32部門表の4時点間推移

ここでは、85年表から00年までの全国連関表統合32部門を用いて、プロセスグラフの計算結果を

示す。計算のためのデータは総務庁[72][71]であり、計算方法は基本的にS言語プログラムによる10。まず始めに、32部門全体の産業ネットワークを把握するために、産業部門の配置換えを行う。そ

の方法は、与えられた連関表のレオンチェフ逆行列から行方向の集計ベクトルを求め(感応度係数に

類するもの)、それを降順にソートし直すことで部門の配置換えを行うというものである。更に、得

られた集計ベクトルを元にソートを行うことで上記の投入係数行列A*の配置換えも施す。こうして

得られたソート済投入係数行列(便宜的にそれをAsとする)を用いて逐次計算を行い、逆行列へ

の収束割合をステップ毎に求める。00年を例に取れば、収束割合を計算したもの表22であり、そ

の際の収束状況を示したものが図2.9である。図2.9は、逆行列集計値への収束割合(縦軸)と、ス

テップ毎計算値(降順ソート済)(横軸)との関係を図示したものである'1.

表2.2に見るとおり、00年全国表32部門の場合、逆行列集計値への収束割合が99%を超えるのは

5次ステップである。また、図2.9に基づいて99%を超える要素の値を求めると、その値は0.0000505

8(2.9)式は尾崎[104]のユニットストラクチャーと酷似している。但し、ユニットストラクチャーの場合、そのモデルは

UゴーA・dia9(B小j=1,2,…,n

であり、対角行列に集計式を用いず、当該部門の誘発投入が各部門にどのような影響を与えるかを示すことが特徴となっている(影響力的特徴)。従って、各部門からの誘発投入の合計が当該部門にどのような影響を与えるか(感応度的特徴)を示す我々の(2.9)式とは分析視角が異なる。また、ユニットストラクチャーはレオンチェフ逆行列値によってのみ把握されるのに対し、RPGは究極波及の状態ではなく、波及の各ステップで波及状況を把握できる点に大きな特徴がある。9感応度係数は、通常部門数の調整を行うために規準化を施されているが、(2.9)式右辺の対角行列の各要素は規準化され

ていないことが両者の違いである。

10s言語の解説はベッカー他[4]などを参照。1lこれは収束判定の臨界水準を、実際の計算値から求めるための一種の内生化である。前掲[32126]参照。

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第2章産業構造の波及経路分析16

表2.2:波及過程の収束状況(00年全国32部門表)

次次次次次次

図2.9:波及水準と逆行列値への収束状況(00年全国32部門表)

criticalleveland%

●●

②己

ロ己

トロ

ロロ

q2

criticalIevB1

0.3 0.40.0 01

で、それは5次ステップまでの全要素数5,120個中3,310番目であった12。

図2.9から得た臨界水準0.0000505を基準にして、この水準を超える投入量(波及量)のみをグラ

フ化することで図示したものが00年全国表32部門のRPGということになる。この臨界値は、使用

する連関表によって値が異なるので、各年毎に計算しなおさなければいけない。また、使用する投入

係数表や逆行列表によって部門配列もその都度異なる。

今、これらのRPGを85年から00年までの推移として表示してみたものが、図2.13から図2.10

である。

上記の通り、この図は逆行列の99%以上の取引を表現していることになる13゜

これらのRPG図から分かる通り、産業部門の配置を行方向集計の大きさ順に変更しているため、

投入経路の多い産業ほど(集計値が大きい産業ほど)左に配置される結果となり、図全体が逆三角形

125次ステップまでの全要素数とは、先の(2.8)式によって5次ステップまで計算した時のPt全ての要素数を指すbここでは32×32×5=5120となる。

13RpGは実際には線の太さと色分けをすることで、波及の強さを表現させている。計算値が0.4を超える波及は赤色・太さ4レベル(太線)、0.3~0.4の波及はピンク・太さ3レベル(中太線)、0.2~0.3の波及は水色・太さ2レベル(細線)、臨界水準以上0.2までの波及は青色・太さ1レベル(極細線)となっている。

逐次計算値/逆行列集計値

1次 0.7875905

2次 0.9021915

3次 0.954643

4次 0.9788177

5次 0.9900485

6次 0.9953014

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2.2.産業構造の波及経路と産業ネットワークの方法 17

図2.10:RPG(00年全国32部門表)

RPG(プロセスグラフ)00年全国表32部門

窪鵜塞辮総:議鶴織雪1隣鐡

i1illll1'''1露5趣嘩趨頓

繍鯛部型

3忽園僚腫

1本丹荻

BtepO臨界波及水準

5.05*10-5

stepl

くBtep2

step3

step4

step5CCCOOC⑥。COOOO□O●00●CO□。□cc

図2.11:RPG(95年全国32部門表)

越唆燥圏

別本然忽翠

湧く

四噸圧騨丹

軽軽翻座

門刀*国績

榔霊蝕

qU圏什願余

表胆町制隻

国咽薯

全刎麗霊

騨h瀞

、燭衝片

、ノ綱輯廼鯛

詞旧眠繩帥耐鋼洲騏七Ⅱ彊謡

ロ魁忽鋼忽

プ9K震R・

rl咀覇朴筆

閃7賓会》『〔H僚頬面型

5浬麟浬劉

圧蛍

3忽刷磯臣

1本丹荻

stcpO臨界波及水準4.9229*10へ-4

一彦一きら■

了.二愛二覇』二

》宅。。a■弓的

診》雲

二二一二

Btepl

step2

step3

step4

step5

Btep6

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第2章産業構造の波及経路分析18

図2.12:RPG(90年全国32部門表)

RPG(プロセスグラフ)90年全国表32部門

:鋪薑蝋繊鱗鵜蕊鱸離臨界波及水準3.8988*10-4

stBpO

一一」』、一

一一一一一一一一一一一ゴー〃}

』二二|ロロロロロロロ・》一

stcpl

stBp2

BtBp3

BtBp4

Btep5

Btep6

図2.13:RPG(85年全国32部門表)

RPG(プロセスグラフ)85年全国表32部門

言:灘;織鱗!;熱:;:織雪窯

1駈岱

臨界波及水準2.4377*10~-4

stepO

ii 一」》へ

一二一二一二三■{一一』■■□ここ筥・

一一一乙夛二』■|■二二』■

一》|{勿三二三ご』エコー■二口{二■ヨ

ニーーニ註ヨ■■三田

stepl1-

Btep21-

step3

step4

step5

Btep6

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2.2.産業構造の波及経路と産業ネットワークの方法 19

に近い形を描くことが分かる'4.

この図2.10によれば、波及経路の量と規模が大きい上位5産業のうち4産業がサービス関連産業

であることが分かる(対事業所サービス業、商業、運輸、金融保険業)。しかも、これらのサービス

関連の4産業は95年から、これらの位置関係が変わっていない。変わったのは、95年に4位に位置

づいていた鉄鋼が00年には6位に後退し、代わりに95年に6位だったその他製造業が00年には4

位に上昇した点だけである。

また、波及の延びが5次ステップまで続いている波及の「長い」産業は、対事業所サービス(対事

サ)、運輸、金融保険、その他製造、鉄鋼、化学、パルプ紙、輸送機械の8産業である。一般に、波

及の長い産業は白部門及び他部門への投入による影響力が強い産業であると言いうるが、運輸と金

融を除いては、すべて5次ステップでは自部門投入となっている。但し、対事サだけが、5次ステッ

プにおいても運輸、金融からの需要を受けており、感応性の高さが示されている結果となっている。

更に、これらの4時点のRPGの推移を見れば、85年に上位に位置づいていた鉄鋼、化学、パル

プ紙などの重厚型素材産業が後退し、代わりに、対事サ、商業、運輸のサービス関連産業が90年代

以降上位に位置づいていることが分かる。このことはすなわち、日本経済がバブル経済以降、サービ

ス関連産業を多く需要する構造に変化していることを示しており、本書の前半で分析してきた時系列

分析同様、サービス化の寄与が大きくなっていることを表している。

2.2.300年32部門表における産業ネットワーク

さて、続いてRPGをもとに産業ネットワークグラフを描いてみよう。4つのRPGから明らかな

通り、RPGは全産業一斉に図示するとグラフ線が錯綜してしまい、必ずしも見やすいものとはなっ

ていない。そこで、ある特定産業だけを抽出し、ある波及水準以上(ここでは水準0.01以上)の関

係をグラフにする。そのグラフはまた、産業特有の取引関係をそれぞれ示しているものと考えられる

ので、それらの図を今「産業ネットワークグラフ」と呼ぶことにする。

ここでは00年のRPGから、製造業関連としてその他製造、パルプ紙を、サービス関連として対

事サ、商業を例に表示しよう。

なお、対事サとは、統合中分類で言えば、広告・調査・情報サービス、物品賃貸サービス、自動車・

機械管理、その他の事業所サービス業を指すが、基本分類まで細かく見れば、表2.3の通りである15。

さて、波及水準が1%以上の産業ネットワークグラフを描いたものが、図2.14~図2.17である。

グラフでは、直線が上のノードから下のノードに引かれる場合に、上の部門が下の部門に投入した

ことを示し、逆に下の部門が上の部門に産出を行ったことを示している。そして、その特徴によって

投入型(下開き)なのか、産出型(上開き)なのかを区別できる。投入型産業は、三角化行列におけ

る「川上」産業であり、加工組立型を典型とする産業であるのに対し、産出型産業は「川下」産業で

あり、基礎的・エネルギー関連を典型とする産業であるのが特徴である。産業ネットワークグラフで

は、これらの特徴が視覚的に分かるようになっている。

ここで、図2.14~図2.17の概要を記せば次のようになる。

第一に、サービス関連では、対事業所サービスが5次ステップまでの波及を記録し、商業が4次ス

14このRpGは、一種の三角化行列と同じであり、三角化行列で「川下」に位置する基礎的産業ほど、RPGの左側に位置付けられることになる。

15総務庁[71]参照.なお、表中の「その他の対事業所サービス」とは、表2.3の分類項目には含まれない全ての事業所サービスを指す6具体例としては、経営コンサルタント、機械設計業、警備業、不動産鑑定業などがある。総務庁[71]総合解説編、p、165参照。

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第2章産業構造の波及経路分析20

表2.3:対事業所サービスの内訳

統合大分類 統合中分類 統合小分類 基本分類

対事業所サーヒス

広告・調査・情報サービス 広告

テレヒラジオ広告

新聞・雑誌・その他の広告

調査・情報サーヒス 情報サーヒス

一ユース供給・興信所

物品賃貸サーヒス 物品賃貸業

産業用機械器具賃貸

建設機械器具賃貸

電子計算機・関連機器賃貸

事務用機械器具賃貸

賃自動車業 賃自動車業

自動車修理自動車・機械修理 自動車修理

機械修理 機械修理

その他対事業所サービス その他対事業所サーヒス 建物サーヒス

法務・財務・会計サーヒス

土木建築サービス

労働者派遣サーヒス

その他対事業所サービス

図2.14:産業ネットワークグラフ00年全国表:対事業所サービス

産業ネットワークグラフ001%波及水準

葛謹灘露露;鑪黙戦蕊

起殴函偶

僚期副包

江田

係臣

脚本丹較

■唾垣困

本糀鎖包

海■樋暉

僚担

臨界波及水準

0.01

stepO

lli鐸篝iILrstcpl

step2

step3

step4

Btsp5

海■望I

倒叙片

塁嘩函個

僚鯛囲厘

綱輯蝕碩

海唾綱匁

■■頃■

僚匝

中毎夜

対事業所サービス

広告・調査 ●I青報サービス 広告

テレビ・ラジオ広‘士ニロ

新聞・雑誌・その他の広告

調査 ●I青報サービス ↑冑報サービス

ニュース供給・興‘言所

物品賃貸サービス

■〃。● 勿品賃貸業

産業用機械器:具賃貸

建設』幾械器具賃貸

電子言・算機・関連機器賃貸

事務用’幾械器具賃貸

スポーツ・娯楽用品.

その他の物品賃貸

菱 自動車業 賃 自動車業

ヨ動車・機械修理 ヨ動車修理 ヨ動車修理

機械修理 機械修理

その他対事業所サービス その他対事業所サービス 建物サービス

法務・兵 務・会脅・サービス

土木建築サービス

労働者派遣サービス

その他対事業所サービス

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22.産業構造の波及経路と産業ネットワークの方法

図2.15:産業ネットワークグラフ00年全国表:商業

21

産業ネットワークグラフCO岨現〆軽砿海遜凹圏岨

:窪蕊露騨ii:蘭

1%波及水準

僚飼凹型

忽姻

薬僚臣

商本毎校

咽剪但

騨毎包-

何回g際H団遇係軽掴儀毎畳

底導岨本

嚥鬮:鑪蕊

団岻■圏

臨界波及水準

0.01stepO

stepl

stBp2

stBp3

StBp4

②一○○CoCo

Fぐぐ一CoCo

(覇ヰマロご◎

‐⑱DGU葛の-FD

臣扇83周ロ ̄●●-一己●

。。。゜oooooooooocooooooooooooooStep5

燭毎時

鋼但匹頂

錘嘩廻個

僚劇囲型

毎田

僚但

本丹按

図2.16:産業ネットワークグラフ00年全国表:その他製造

産業ネットワークグラフ00他製造集

爵驚厩闇脅農豊瞥欝:鬮闇輿鯛蝿湘鵡鮒鴬鵬

1%波及水準

岨剪例

導懇望I

咽圏劃竃

仰H蝶健

豚片畷余

礁圏掴砦

軽ロ日本

鴬§§蕊

中母校

瞭囲

煕忽

臨界波及水準

0.01

stBpO◎

BtBpl●

ラBtBP2・

stBp30

BtBp4

■■■■■『■■

stBp5

師・鱸稜臣圏墨GI

〆須R■

単、当て

娼聞緋筆

劃P毘仰

鶴匿極鰯

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第2章産業構造の波及経路分析

図2.17:産業ネットワークグラフ00年全国表:パルプ紙

22

産業ネットワークグラフ001%波及水準パルプ紙

isiiiipg璽圃而 係

墜喜

本報忽型

砠医蝉丹

■閑図超

堕界波及水準

0.01

O stBpO

菫二三雲二二二:一一:

。(のマロ

③、函一。。。

COC

C steplOOOOCOOOOCC--◎□ 、。DCC、

C step2DOOOO@百●百●OOOOOOOCOO●○一二◎・

o stBp3OOOCOO、0DCCOOODCOOOOOO、⑨/、

cstep4O●000、 、COCO ○0。、0。。、OCCDCC。。。、

coDoo

ぐぐ両⑭。、CO

②⑭⑤軒制磐)-0

mの④『C0coo

②トトー。。◎o

②トト『CoCo

②劃③両。.□、

、⑤□①CoCo

②国『画CoCo coo

|(園一つ。CO

、②画面COCoo

o 8tep5DCOOOOO。 、00

錘唾沮頓

昧鋼郵裂

江田

僚匝

中丹荻

畷闘巨輯

幽畳#■

K煩R■

蕊市会て

岨顧朴筆

テップまでの波及となっている'6。また、サービス関連産業は、相対的に投入型よりも産出型である

(「上開き」型)と言える。この特徴は、これら産業が他産業からの影響を強く受ける産業であるこ

とを意味している。

波及線の数の点で、これら2産業は共に多い。このことは、これら産業が特に他の産業から「より

強く」需要される産業(すなわち基礎的産業)であることを意味している'7.

第二に、製造関連のその他製造とパルプ紙は、共に5次ステップまでの波及を自部門で行なってい

る。また、パルプ紙は、ステップの早い段階で相対的に波及強度の大きい産業となっている。

また、この二つの製造関連産業は、相対的に投入型産業である点で共通している(「下開き」型)。

その他製造は、2次ステップまでは必ずしも投入型の特徴が出ていないが、ステップ次数が上がって

いくと下開きの投入経路が残り、結果的に投入型であることが分かる。これは、これらの産業が他産

業への影響力が相対的に強い産業であることを意味している。

次に、上記の産業ネットワークを量的指標によって表示してみよう。それが表2.4と表2.5であ

る'8゜この表では、取引量の大きい順に産業を並べ替えているので、表における上位の産業ほど当該

産業と結びつきが強い(強固なネットワークを形成している)と解釈できる。

また、表で「Input」と表示されている産業は、当該産業が投入した業種であることを意味し、

「Output」と表示されている産業は、当該産業が産出した業種であることを意味している。

二つの表から、対事サからその他製造業までは他への産出が多いということが分かる。これは、プ

16この特徴は、95年連関データの場合と同じになっている。17この点は、95年、90年と一貫している共通する特徴ではある。18すべて1次ステップで現れてきた取り引き産業である。

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2.2.産業構造の波及経路と産業ネットワークの方法

表2.4:量的ネットワーク関係00年全国表:対事業所サービスと商業

23

ロセスグラフを描く際に、感応度の高い産業ほど上位部門に位置づけて配置換えをした結果である。

また、ネットワークにおける取り引き総数で見るならば、対事業所サービスと商業は30を越える

産業とのネットワークを構成していることが分かる'9゜

この「上開き」型であるということの意味は、感応度係数のところでも触れたように、他の産業か

らの影響を受けやすいということを意味し、更に、そのことは一般に景気による影響を受けやすいと

いうことを意味するものと考えられる。また、他の産業への影響力よりも、他からの影響を受けや

すいという特徴は、産業政策上、強い波及効果を期待できないということも意味している。つまり、

製造業中心の産業政策、煙突型産業の育成政策ではなく、広い産業への政策が結果的に主要なサービ

ス関連産業に影響を与えてることにつながるということである。

2.2.4小分類による産業ネットワーク:00年188部門表による例示

RPGにせよ、産業ネットワークグラフにせよ、産業間の波及経路を図示するという試みは産業部

門の統合度が高いからこそ行えるのが特徴であった。この方法を統合度の低い大部門表に適用するこ

とは、図解的には分類が細かくなり過ぎて、殆ど意味を持たない。だが、量的側面だけから捉えるな

らば、産業ネットワークの考え方は大部門表にも適用できる。

そこで、前節のRPG及び産業ネットワークグラフの考え方を、小分類の大部門表に適用して量的

な関係の結果を示すこととする。ここでは2000年188部門(統合小分類)の全国連関表データを用

いた20.

RPGを作成する段階で行ったのと同様に、まず、波及誘発額の大きさに応じた降順ソートによる

19念のために記しておけば、この表に出ていない他の産業とは「取り引きが存在していない」ということを意味はしていない。ここでは波及水準1%以上の「相対的に強い」産業との取り引きだけを抽出している。20但し、投入係数行列が負値になる要素が幾つか合ったため、理論的整合性を図るためにそれらを全てOとする加工を行っ

ている。

1対巫サ

1対事サOutPutqlO9792672商業OutputqO801銅883運輸4他製造集5金Rb保険6鉄鋼7化学製品8バルブ紙9■カガスIC輸送樋械11通伯放送12教育研究13矼虹機械15非鉄金■18匹林水産

吐吐此吐此吐吐吐眈眈此眈眈

岬蝉岬岬岬噂”岬岬岬岼噂岬

ooooooooooooo

ql3249098

0LO4698918

ql2443904

qO2271781

DQ5gg墾哩

⑪皿,,B型7

0.08792305

QO2820471

qlO983167

qO4699258

qO5M8993

qO2787129

qO13119鋼

17金■製品OutputqO418771218建股OutPutqO766645619不ロ、産OutPutOO243059720一般機械Output0.043585721食料品OutputqO355946822鷹巣土右23伍維製品24水道廃棄25分類不明26公務27対価サ28鉱業

29新密樋械31他公共サ

此眈眈並並吐吐並並

岬岬唖岬蝉岬唖岬蝉

ooooooOoo

qO4580809

qO3482448

qO7108699

qO5釦D51Z

qO72294鋼

OO3751724

0p4030554

qO4410484

qO8143002

32医疫優位OutputqO4588508

2商業

1対卒サOutputqO22993調2商業Output0.01“69983運輸OutputOO34088264他製造業6鉄鋼7化学製品8パルプ躯

眈眈眈眈

岬噂噂唖

CoCo

qO5333721

qO3370108

qO38948鋼

qO6B34625

9冠カガスOutputqO137343710輸送機械Outputq田15724112教育研究OutputOLO141582713矼気檀械OutputQO534980514石油石炭OutputqO117閃8115非鉄金ⅡOutputqO427329116展林水産OutputOO46003M17企図製品OutPutqO452524518建設OutputqO8鋼699720一般機械OutputOO550020121食料品OutputqO769849522照案土石OutputODI55036123繊維製品OutputqO85827724水道廃棄OutputqO16092125分類不明OutputqO198307126公濫OutputqO12360“27対価サOutput0.0803875628鉱案OutputqO167512729ⅢR密機械OutputOO630093530卒麹用品OutputO2533984231他公共サOutputOLO2922686n,塵幻鰹包nM+naD+nnHn7△、,

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第2章産業構造の波及経路分析

表2.5:量的ネットワーク関係00年全国表:その他製造とパルプ紙

24

部門配置の変更を行う。この時、逆行列の産出方向集計値を基準に配置換えを行なうが、90年(187

部門)、95年(186部門)、00年(188部門)における上位20部門の推移を見たものが表2.6である。

表によれば、この10年間、感応度の高い産業のうち、卸売、金融、電力のトップ3は不動の位置

を占めていることが分かる。また、上位20産業のうち、18産業がこの10年間上位20位以内に入っ

ており、波及構造とその強度が安定的であったと言える。

2000年の連関表で、新たに上位20部門に入るのは、広告と電気通信であることも表から読み取れ

る。90年代の後半から、携帯電話やインターネットの普及により、これらの2産業が急成長してき

ていることの表れであると解釈できる。

続いてこの188部門の産業ネットワークの状況を見てみよう。まず収束割合の計算であるが、結果

は表27の通りである.表2.7からは、逆行列集計値に収束する割合が99%以上になるのは6次ス

テップ以降であることが分かる。前節の00年32部門表では、5次ステップで99%以上となったが、

小分類では収束状況が若干異なる結果となった。収束割合99%を超える要素の値を求めると、その

値は0.00020992で、それは7次ステップまでの全要素数247,408個中27,028番目であった。

続いて、以上の計算で使用した投入係数行列A*をもとに、配置換え表の上位3産業について、取

引量0.01以上の産業ネットワークを示したものが表2.8から2.13である。

表2.6筆頭の卸売は基礎産業としての特徴が表2.8,2.9からハッキリ出ており、実に151部門から

もの投入を受けている(すなわち産出している)結果となっている21.産出先の傾向は容易には読み

とれないが、食料品関連、機械関連産業が上位に来ている特徴があり、特に食料品関連産業が卸売と

強い結びつきを有していることが分かる。対照的に、卸売の投入部門は金融、不動産仲介、その他の

対事業所サービスとなっているが、波及が1%以上の投入は7部門と、産出部門に比較すると極端に

少ない結果となっている。

21この卸売の151部門から受けるネットワークの数は、95年表186部門においても同じであった。数の一致は偶然であるが、基礎産業としての性格の強さは変わらない。

8パルプ鉦

1対卒サInputOO32262372商集InputOO68348253運輸InputOO36293334他製造業lnputOhO27790465金融保険】、put0.017761677化学製品InputOO29M5948パルプ紙InputO229633429冠カガスInputqO334373816農林水産InputqO339546517金区製品InputOO1271265

4他製造業OutputOO4970197化学製品OutputQO141“28パルプ紙OutPut0.2296334216丘林水産OutputqO13071818建設OutputqO42762321食料品OutputQO152387622無巣土石OutputOLO181688125分類不明Output0.0142585330事務用品Output0.3742837731他公共サOutput0.01286441

4他型浩集

1対卒サInputOLO46969182商業InputOLO53337213運輸InputOO35958464他製造業InputO150348215金HA保険lnPutqO15484037化学製品InputqO90517678パルプ紙InputOO4970199竃カガスInPutOO168716812教育研究InputqO125528314石油石炭ImutOO1515755

1対事サOutputOO45073892商業OutputOO11139134他製造染Outputql50348215金、h保険OutputOO20715836鉄鋼OutputOO28204747化学製品Output0.02289748パルプ紙OutputOO27790469■カガスOutputOO197415910輸送樋械OutputOO376494211通信放送OutputOO115251812教育研究OutputqO289158513正気UH械OutputqO363036915非鉄金田OutputOO553988217金■製品OutputOO113030218建設OutputOO18654」1520-殻機械OutputqO227389821食料品OutputOO2500B8722窯業土石Output0.023287123繊維製品OutputOO368682124水道廃棄OutputOO285753225分頚不明OutputOO175609326公務OutputOO267761627対個サOutputOO123473728鉱業OutputOO116198829箱密、Q械OutputqO428784630本義用品OutputO1291798531他公共サOutputOO8526142

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2.2.産業構造の波及経路と産業ネットワークの方法 25

表2.6:00年、95年、90年全国表(小分類)部門配置換え上位(20部門)の結果

00年金図表188毎円 95年金図表186部円 90年金国表187部円位12345678901234567890

11111111112

厩 位12345878801234587890

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Ⅲ 位12345678901234587890

11111111112

2H烟

140卸兜

142企、135■力

180その他の対卒案所サービス120自助卒翻品・日付風品169企案内研究開発65石油製品80銑鉄・粗餌49出阪・印刷07プラスチック製品144不動度仲介及び貸賃140道路宜物輸送176物品宜宜案(除貸自助早案)82鳳岡圧延■材179檀械修理94その他の金屈製品114■子御品54打復化学中田製品132速攻3D俗186分■不明

17927411449373219150

38171398704093400040

師困姻即旧阻朋卯朋胆旧肌旧叩則曲叫旧犯姻

頒叩姻皿肌叩弧mmM犯花胆ⅢⅢ4胆、朋佃

1185555554444443333

表2.7:波及過程の収束状況(00年全国188部門表)

逐次計算値/逆行列集計値

1次 0.7662751

2次 0.890131

3次 0.9484747

4次 0.9758842

5次 0.9887488

6次 0.9947636

7次 0.9975667

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第2章産業構造の波及経路分析

表2.8:産業ネットワーク(00年全国188部門)0.01以上:卸売1

26

1234567

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22.産業構造の波及経路と産業ネットワークの方法 27

表2.9:産業ネットワーク(00年全国188部門)0.01以上:卸売2

144写真感光材料48他の一般産業機械150内水面漁業117他の特殊産業用機械116織物34合成樹脂179旅館・他の宿泊所142電子応用装置89海面漁業15電子部品24自家輸送(貨物自動車)91建築用金属製品145電子計算機・同付属装置102建股用金属製品64他の窯業・土石製品36他の非鉄金属製品128化学機械18他の金属製品71化学肥料141陶磁器35他の無機化学基礎製品1o出版・印刷137セメント製品99金属加エ・工作機械80非食用作物60鋳蝦遺品58非鉄金属製錬・精製129他の食用作物109野菜120板ガラス・安全ガラス88農業サービス97石けん・化粧品21有機化学中間製品184介屡107他のガラス製品106鋼管94医薬品134いも・豆類83沿海・内水面輸送151酒類115セメント

153果実104航空機・同修理73合成ゴム9銑鉄・粗鋼42穀類61ソーダエ業製品182社会保障170保健166石炭135公務(中央)78都市ガス43水道27分類不明93他の公共サービス172他の非金属鉱物101窯業原料鉱物1卸充6企業内研究開発

175トラック・バス・他の自動車56娯楽サービス180乗用車105他の対個人サービス87道路旅客輸送23石油化学基礎製品157熱供給業3電力95砂利・砕石171金属鉱物12道路貨物輸送187二輪自動車

12345678901234567890123456789012345678901234567890123456789012345678901

88888888899999999990000000000111111111122222222223333333333444444444455

1111111111111111111111111111111111111111111111111111

眈眈此並並此眈眈眈眈此眈眈眈眈此並並此吐吐此吐眈眈眈眈此吐此此並並眈眈此吐吐此並並眈眈此並並蚊並並此並並此並並乢此並並此並並吐吐此眈眈並並此吐

血岬卿山岬血岬岬岬血岬血血血血岬岬岬血血岬血血卿血血岬血岬岬岬岬血血血血血岬岬血岬岬血血血血岬卿血血血血血血血血血岬岬血血血血血卿山血卿血血m

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22365444813647725419623176316592594982177173179448793629598878956355638

39814673562014975219617071283735478914777103111332246897369003325722929

94228979523087643019845454182213000459286509618600072628738753864009209

噸MMM蠅叫剛剛脚脚川脚MM側側Ⅱ川Ⅲ川棚剛側ⅢⅢ剛剛ⅢⅢ川ⅢⅢⅢⅢⅢⅢ剛ⅢⅢ剛MMM脳脚ⅢⅢⅢⅢ川叩Ⅲ叩川ⅢⅢⅢⅢⅢⅢ叩川叩叩Ⅲ叩ⅢⅢⅢⅢⅢ

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28 第2章産業構造の波及経路分析

表2.10:産業ネットワーク(00年全国188部門)0.01以上:金融1

2金囲

12345678

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2.2.産業構造の波及経路と産業ネットワークの方法 29

表2.11:産業ネットワーク(00年全国188部門)0.01以上:金融2

138貨物運送取扱123タイヤ・チューブ

167他の通但サービス144写真感光材料131運搬機械28自動車修理101窯業原料鉱物181飲食店157熱供給業183公共事業81原動機・ボイラ168医療23石油化学基礎製品38紙製容器12道路貨物輸送44放送9銑鉄・粗鋼14機械修理61ソーダエ業製品71化学肥料34合成樹脂40他の化学最終製品93他の公共サービス106鋼管25紙・板紙73合成ゴム77塗料・印刷インキ21有機化学中間製品57化学繊維36他の非鉄金属製品49石炭製品72重定機器76廃棄物処理119建設・鉱山機械127サービス用機器60銭鍛造品51他の鉄鋼製品128化学機械149産業用ロボット20熱間圧延鋼材94医薬品26冷延・めっき鋼材48他の一般産業機械112疽線・ケーブル78都市ガス97石けん・化粧品105他の対個人サービス117他の特殊産業用機械18他の金属製品99金属加エ・エ作機械87道路旅客輸送126冷凍機・温湿鯛整装置22鯛査・情報サービス104航空機・同修理90事務用機械176他の土木建設

別胆朋肌開朋幻朋朋加川胆朋肌閲鮒切朋朋印ⅢmMwN稠四Ⅱmw肌、割ⅢⅡ川Ⅲ側ⅢⅡ川判ⅢⅢⅥⅢⅡ呵川利川川利判Ⅱ刎引川Ⅱ川畑刺呵細州川釧州剖洲刮刺洲

1111111111111111111111111111111111111

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第2章産業構造の波及経路分析

表2.12:産業ネットワーク(00年全国188部門)0.01以上:電力1

30

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LDUHTrnl庁U-I可61ソーダエ菜製品115セメント

157熟供給乗171金囚鉱物73合成ゴム166石炭35他の無機化学基礎製品66パルプ

25紙・板紙155鉄道貨物輸送43水道172他の非金囚鉱物9銑鉄・粗鋼58非鉄金囚製錬・箱製60鶴鍛造品57化学繊維71化学肥料163原油・天然ガス21有機化学中間製品75倉庫101窯業原料鉱物63鉄道旅客輸送146ガラス繊維・同製品110学衡研究機関23石油化学基礎製品64他のWR乗・土石製品107他のガラス製品45他の有機化学基礎製品26冷延・めっき鋼材150内水面漁乗3迫力6企業内研究開発88匹乗サービス123タイヤ・チューブ53染色整理120板ガラス・安全ガラス36他の非鉄金瓜製品164特用材産物143社会教育・他の教育56娯楽サービス85紡績34合成樹圏50半導体泰子・集積回路141陶磁器8プラスチック製品86農薬18他の金田製品40他の化学最終製品84鉄道車両・同修理144写又感光材料32他の運輸付Wリサーピス67他の紙加エ品179旅館・他の宿泊所167他の通恒サービス49石炭製品112■線・ケーブル169他の衣服・身の回り品76廃棄物処理152光学機械30小兜20熟間圧延鋼材116織物13不動産仲介54他のゴム製品182社会保障95砂利・砕石147ニット生地15竜子部品39他の伍気機器59砂鮪・油囲・鯛味料類41製材・合板・チップ103他の木製品70他の繊維エ菜製品55他の一般機械器具14機械修理137セメント製品106鋼管168医療184介臣38紙製容器

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2.2.産業構造の波及経路と産業ネットワークの方法

表2.13:産業ネットワーク(00年全国188部門)0.01以上:電力2

31

139なめし革・毛皮・革製品154時計105他の対個人サービス100公務(地方)96船舶・同修理80非食用作物91建築用金属製品181飲食店165めん・パン・菓子類124他の食料品48他の一般産業機械99金属加工・工作機械185学校教育52加エ紙97石けん・化粧品170保健78都市ガス7自動車部品・同付属品

118畜産食料品46飼料・有機質肥料94医薬品111水産食料品一

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0.01059

0.010585

0.010188

0.010131

同様の傾向は、表2.6第2位の金融や第3位の電力についても指摘できる。表2.10,2.11から、金

融は、投入が8部門に対し、産出は136部門という結果である。特に需要面では、輸送や賃貸など

のサービス関連産業でより強く金融と結びついていることが分かる。これに対し、投入面では、事業

所サービス、広告、出版などに多くの投入を行なっている。

また、表2.12,2.13から、電力は、投入が11部門に対し、産出は102部門という結果であった。

電力の場合、ソーダ、セメント、金属など製造業を中心に強い電力需要があることが分かる。投入面

では、建設補修や機械修理への資金投入が大きい。

以上のように、188部門表によれば、卸売、金融、電力というサービス関連の基礎財産業は、他の

殆どの部門から需要されているということが分かり、小分類から抽出できる産業ネットワークは、か

なり細かなレベルまで連関の状況を把握することが可能となっている。

2.2.5小括

RPGやネットワークグラフの方法は、第一に、与えられた投入係数から得られるレオンチェフ逆

行列の行方向集計値をもとに、投入係数行列を三角化をすること、第二に、逆行列集計値への収束割

合とそのステップ数を計算すること、第三に、計算された波及量と収束割合の関係から、グラフ表示

のための臨界水準を割り出すこと、第四に、実際にグラフを色及び線の太さを変化させて表示させる

こと等を特徴としていた。

本節で行なった産業ネットワークの方法は、基本的には投入係数行列表さえ与えられれば、大きな

要素順に投入・産出産業を抽出してRPGとして表現できるものであり、また、量的表示も可能であ

る。この方法が単純であるのは、初期値として与えられる投入係数が原則として1以下であるので、

ステップ毎の波及計算では、次第にその数値が小さくなることによる。はじめの投入係数要素だけを

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第2章産業構造の波及経路分析32

使用すれば情報量としては足りる22.

このようなRPGと産業ネットワークの方法を併用すれば、従来の産業連関分析とは趣きを異にし

た質的な産業構造の分析が可能となるであろう。

政策的見地から言えば、RPG分析などを通じて明らかになったことは、サービス関連の基礎的産

業が日本経済において重要な役割を果たしているということである。これは、素材産業や加工組立型

産業のような大きな投資効果が望めない可能性があるが、逆に言えば、感応度係数が高い産業である

ことを考慮して、多くの産業に「薄くても広く」投資することがより効果的であるということを示唆

していると言える。すなわち、ある特定産業を優遇する政策よりも、広く多くの産業に浸透する政策

が有効であるということになる。これは、ある特定産業に偏りがちな財政政策よりも、広く資金が行

き渡る金融政策のほうが、現在の日本経済の構造から言ってより有効であるということを意味してい

るのかも知れない。今後の更なる検討が必要な問題である。

2.sアジア経済の相互依存性分析

2.3.1本節の目的

本節は、前節でのRPGの方法を用いて、アジア地域9ヶ国にアメリカを含めた経済圏を対象に経

済的相互依存関係の状況を分析する23.

1997年のアジア通貨危機は、アジア各国がかってないほど世界経済のシステムに深く組み込まれ

ており、成果を享受すると同時に為替取引等に伴う金融の不安定性をも引き受けて行かねばならない

ことを如実に物語った24・アジア経済は、今世紀において間違いなく世界的に重要な役割を果たすこ

とが予想される経済圏であるだろうし、今後ますますその依存関係を深めて行くに違いない。

この量的依存関係については、例えば、これまでも渡辺[76]などで指摘されて来ているし、経済

統計的にも国際連関表[33]などが発表されている25.本節では、このアジア経済の相互依存性を、やや異なる角度から表示しようとするものである。前

節で述べたRPGの方法を使って、アジア各国の強度別依存状況とも言えるものが、量的のみならず、

質的に把握できる。

以下では、使用データとして用いた90年のアジア国際産業連関表の特徴を概観した上で、アメリ

カを含めたアジア経済圏の各国産業別の依存関係の計算結果とその解釈を示す6

22但し、実際の計算では、ステップ毎に行方向(産出方向)の集計を行うので、稀ではあるが1を超えるケースが有り得る。例えば、95年186部門表における計算では、第2ステップの計算で1を超える値が観測された。その要素の値は、1.043339であった。

23本節は、市橋[20]の内容を加筆・修正したものである。24アジア通貨危機の原因を巡る議論は既に数多くあるが、例えば吉川[39]、原[15]など。特に、吉川[39]のアメリカのマネー戦略(基軸通貨ドルの世界覇権)によるアジア通貨危機の説明は興味深い。吉川[39]第五章。また、マレーシアの首相マハテイールと激しく「論争」したことで知られるヘッジファンドの当事者の-人ジョージ・ソロ

スも、アジア通貨危機について言及している(ソロス[69]参照)。デリパテイプ取引の主体者である彼の言い分によれば、この運用を通じて利益を上げることを当然目的としている以上、他国政府や通貨当局であろうとも同じマーケットでの取引主体として行動しているのだから、損害を被ったからと言って彼等から非難される筋合いはないというわけだ。外国通貨の短期資本の大量の流出入が、アジア経済に甚大な被害を与えたことは社会科学的に探求されるべき課題ではあ

るが、そして、そこではIMFを利用したアメリカのマネー戦略があることも無視できないだろうが、ここでは、この出来事自体が各国資本にとって既に重要な取引対象となっているアジア経済の存在を明示しているという指摘で十分である。

25比較的以前のものでは、鳥居[74]などによる経済発展の依存性に関する蟻輪も存在している。

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アジア経済の相互依存性分析2.3 33

表2.14:199Oアジア国際産業連関表の内訳

2.32アジア国際産業連関表データ

計算では、アジア経済研究所(IDE:InstituteofDevelopmgEconomies)が発行している1990年のアジア国際産業連関表の7部門表を使用した。7部門表を使用した理由は、10ケ国7部門の70×70

表による計算の簡便さからだが、産業連関表自体はこれ以外に24部門表も発表されている。24部門

表に依れば、本節における分析結果よりも詳細な各国産業同士の相互依存構造を把握しうることは

言うまでもないが、RPGのような図解表現には向かない。

アジア産業連関表が対象としてる国と産業は表2.14の通りである。

また、実際の国際産業連関表のフォーマットは、図2.3.2の通りである26.

図2.3.2から分かるとおり、国際産業連関表の特徴は、内生国間の取引を非競争価格方式として処

理し、香港やその他世界(外生国)からの輸入は別立てで計上している点にある。通常の日本の産業

連関表は競争価格方式であるので、その相違点は、内生国間の輸出入が投入表内で各国間取引として

扱われることにある。

非競争価格方式に連関モデルの需給均衡式は次のようになる。

X=AX+FD+E・ (2.10)

ここでXは内生国各国各産業別の産出ベクトル、FDは域内最終需要ベクトル、Eは輸出ベクト

ルである。

2.3.3計算結果

では、先のRPGの方法により、アジア各国の経済的相互依存関係を示していこう。

まず始めに、10ケ国7部門表の産業部門の配置換えを行なう。その方法は、前節同様、レオンチエ

フ逆行列の産出量集計値による降順ソートを作り、得られた集計ベクトルを元に投入係数行列の配置

換えを施すbその上でソート済投入係数行列を用いて逐次計算を行い、逆行列への収束割合をステッ

プ毎に求めたものが表2.15であり、逆行列値への収束状況を示したものが図2.19である。

261DE[33]p、2.

対象国(10ヶ国) 対象産業(7部門)

I インドネシア 1 農林水産業

M マレーシア 2 鉱業

P フィリピン 3 製造業

S シンガポール 4 電気ガス水道

T タイ 5 建設

C 中国 6 商業・運輸

N 台湾 7 サービス

K 韓国

』 日本

U アメリカ

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アジア経済の相互依存性分析2.3 35

表2.15:波及過程の収束状況(90年アジア10ケ国7部門表)

次次次次次次次

図2.19:波及水準と逆行列値への収束状況(90年アジア10ケ国7部門表)

逆行列集計値への収束割合と累積投入係数要素値

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累積投入係数要素値

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アジア表による計算では、表2.15に見るとおり、逆行列への収束割合が99%を超えるのは6次ス

テップであった。また、図2.19に基づいて99%を超える要素の値を求めると、その値は0.0004274

で、それは6次ステップまでの全要素数29,400個中3,068番目であった。

図2.19から得た臨界水準0.0004274を基準にして、この水準を超える投入量(波及量)をグラフ

化して得たRPGが図2.20である。

図220では、スペースの関係で全ての国と部門数が示されてはいないが、各国からの需要が大き

い上位5部門は全て製造業で、国の内訳は上位から日本、中国、アメリカ、台湾、韓国の5カ国であ

る。また、サービス業として上位に位置しているのはアメリカ(6位)、日本(8位)である。その

他は、上位12位まで製造業が続くが、13位に日本の商業・運輸、14位に中国の農林水産業が位置

していることが特徴である。これらの部門は、アジア経済圏の中で重要な役割を果たしていることが

分かる。

逆に、最も需要が低いのは建設、農林水産、鉱業などで、下位から順に中国の建設、シンガポール

逐次計算値/逆行列集計値

1次 0.778638

2次 0.8905923

3次 0.945227

4次 0.9723314

5次 0.9859243

6次 0.9927967

7次 0.9962943

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第2章産業構造の波及経路分析36

図2.20:RPG(90年アジア10ケ国7部門表)

RPG(プロセスグラフ)アジア国際連関表10ヶ国7部門

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の農林水産、タイ、フィリピン、シンガポールの建設、日本の鉱業となっている。建設部門の需要が

低いのは、各国の国内需要に対応することがこの部門の特徴だからであると考えられる。

また、東南アジア各国の貢献は、データが90年連関表ということも影響してか、それ程大きいも

のではない結果となっている27.

次に、このRPGから幾つかの国と部門を抽出して、産業ネットワークの状況を概観してみよう。

ここでは、日本製造、中国製造、アメリカ製造、台湾製造、フィリピン製造、インドネシア製造、台

湾サービス、シンガポールサービス、タイサーピス、インドネシア商業、タイ鉱業、中国建設の12

部門を見た。それが、図2.21~図2.32である。

これらの図から指摘できる主な特徴は次のようなことである。

1.波及の「長さ」と「拡がり」について考察できるのがRPGの大きな特徴であるが、波及の長

さについて見ると、製造業のうち日本、中国、アメリカ、台湾の上位4ケ国の自部門への波及

は6次ステップまで伸びている。これは、これら当該国の産業の自己部門(製造業)への影響

力が強いことを示している。製造業全体の影響力ということから考えて、これは常識的な結果

ではある。

2.逆に、フィリピンやインドネシアの製造業は4次ステップまでしか自己部門への投入が伸びて

いない。これらの国の製造業の自己波及は相対的にそれほど強いものでないことが分かる。だ

27最高位が7位のマレーシアの製造業である。

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2.3.アジア経済の相互依存性分析 37

図2.21:アジア経済産業ネットワーク90年表:日本製造

アジア国際産業ネットワークグラフ1990日本製造

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図2.22:アジア経済産業ネットワーク90年表:中国製造

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38 第2章産業構造の波及経路分析

図223:アジア経済産業ネットワーク90年表:アメリカ製造

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図2.24:アジア経済産業ネットワーク90年表:台湾製造

アジア国際産業ネットワークグラフ1990台湾製造

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2.3.アジア経済の相互依存性分析 39

図2.25:アジア経済産業ネットワーク90年表:フィリピン製造

アジア国際産業ネットワークグラフ1990ブイ盟遼

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図2.26:アジア経済産業ネットワーク90年表:インドネシア製造

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第2章産業構造の波及経路分析40

図2.27:アジア経済産業ネットワーク90年表:台湾サービス

アジア国際産業ネットワークグラフ1990台湾サー

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図2.28:アジア経済産業ネットワーク90年表:シンガポールサービス

アジア国際産業ネットワークグラフ1990シンサー

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2.3.アジア経済の相互依存性分析 41

図2.29:アジア経済産業ネットワーク90年表:タイサーピス

アジア国際産業ネットワークグラフ1990

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図2.30:アジア経済産業ネットワーク90年表:インドネシア商業

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第2章産業構造の波及経路分析42

図2.31:アジア経済産業ネットワーク90年表:タイ鉱業

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図2.32:アジア経済産業ネットワーク90年表:中国建設

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2.3.アジア経済の相互依存性分析 43

が、インドネシアの場合、5次ステップまで鉱業への投入が続いており、この国の製造業一鉱

業の結びつきの強さが示されている。

3.中国、アメリカ、台湾3ケ国製造業は、2次ステップで波及の強さが増大していることがグラ

フ線の太さから分かる。これは1次ステップで多くの部門からの投入が累積された結果、2次

ステップでの自己波及に影響したものと考えられる。だが、その強さは3次ステップ以降には

維持されない。

4.日本製造業の自己波及においては、0.4以上の強さが3次ステップまで維持されている。この

自己波及の強さの維持は、他国の製造業には見られない特徴である。だが、中国製造業も、1

次ステップで中国建設からの投入を受けて、0.4以上の自己波及を2~3次ステップで実現し

ている。

5.他方、サービス業を見てみると、台湾、シンガポール、タイ3ケ国の自己波及はそれほど長く

ない。最長で、台湾サービスの5次ステップであるが、そこで維持されるネットワークは自己

波及ではなく、台湾製造一サービスという関係である。

6.その他の特徴としては、タイにおける電気ガスー鉱業という投入産出が3次ステップまで続い

ていること、中国における建設一製造という投入産出が、1次ステップで最大規模の0.5より

も大きな波及を記録しているが持続性がないこと、などが指摘できる。

続いて、以上のネットワーク状況を数値で示したものが、表2.16~表2.32である28゜ここでは、

RPGで上位に位置している部門を中心に、各国の特徴的産業として、日本、中国、アメリカ、台湾、

韓国を含むアジア10カ国全ての製造業、アメリカ、台湾、シンガポール、タイなどの上位から中位

のサービス業、他国産業からあまり影響を受けていないと思われるインドネシア商業、タイ鉱業、中

国建設の合計17産業を示してある。

1.まず、産出面(Output)について見ると、日本製造業の産出は34箇所とのネットワークを形

成しており、この波及規模におけるネットワークとしては、分析対象国中最多となっている。

国別内訳は、アメリカと中国を除く8ケ国全てである。この例外2ケ国との取引が小さい原因

は、両国とも自国への投資が日本に対するよりも大きいためと考えられる29・アメリカと中国

は、自国へのより大きな投入を維持する独立した経済圏としての特徴が強いのだと思われる。

だが、日本製造業のほうは、この表にあるように、両国以外のアジア経済各国との強いネット

ワークを維持している。

2.次に産出が多いのはアメリカ製造業で、22箇所とのネットワークを形成している。国別内訳

は、日本、中国、インドネシアを除く7ヶ国となっている。アメリカ製造業のアジア経済への

依存度も相対的に強いことが分かる。

3.他方、中国製造は、11箇所とのネットワークを形成しているが、国別では自国とシンガポール

の2ヶ国のみである。とりわけ、自国への産出規模はその数値からかなり大きいことが分かる。

社会主義国として考えれば当然の特徴かも知れないが30、中国製造は自国産業との取引が主要

28これらの表の数値は、1次ステップの0.01以上の波及レベルを抽出したものである。

29この結果は無論、投入係数行列をもとにしたネットワーク状況の計算結果から得られたものであるので、投入額や総産出額そのものが小さいということを必ずしも意味しない。

30また、今回計算に用いたアジア連関表は90年時点のものであり、その後90年代における中国経済の躍進を考えると、他国への影響力を増大させていることが明らかなので、今回の結果とは大きく異なる可能性が大きい。

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第2章産業構造の波及経路分析44

表2.16:日本製造業のネットワーク内容(90年表)

表2.17:中国製造業のネットワーク内容(90年表)

アジア園鴎。■四架10ヶ国7部門裏による岡際塵垂ネットワーク油丑銅棋:0.01以上

ア錫ア囹鱒強朋窮10片園7部Pq霊'二よる圓鴎應垂ネットワーク波及銅棋:0.01以上

1AJOO3曰木型浩垈

■■

5■

1日本製造Input O、4006771日本製造Output0.400677

13日本商運Input O、07178154日本建設Output0.3215158日本サーInputO、07102465日本鉱業Output0.21013142日本農林Input O、02863142日本農林Output0.175084'49日本電ガlnputO、01843349日本電ガOutput0.115486

12シン製造Output0.1067058日本サーOutput0.10183366シン建設Output0.08897113日本商運Output0.07283959シン鉱業Output0.0721656Oマレ建設Output0.0573910タイ製造Output0.0540754台湾製造Output0.0490197マレ製造Output0.04316768タイ建設Output0.0391355韓国製造Output0.03791217シンサーOutput0.03027156ブイ電ガOutput0.0240129ブイ製造Output0.02357111イン製造OutputO・O2301339マレ農林Output0.0221762イン建設Output0.02157667ブイ建設Output0.02155869シン農林Output0.02153436シン商運Output0.01798532ブイ商運Output0.01742758シン電ガOutput0.01562563ブイ鉱業Output0.01553961台湾建設Output0.01473650イン電ガOutput0.0129624マレサーoutput0.01280857台湾鉱業OutputO・O1269348マレ鉱業Output0.01180445館園霞ガOutDutO、010037

1234567890123456789012345678901234

1111111111222222222233333

,AnnngR中国製浩立

123456

240031

12324

中国製造中国農林中国商運中国鉱業中国サー中国電ガ

pppppp

nnnnnn

I1111I

tttttt

uuuuuu

0.39768270中国建設Output0.57207

0.1022242中国製造Output0.3976820.06237430中国鉱業Output0.3443430.03315720中国商運Output0.2758380.02949923中国サーOutput0.2214510.02226541中国電ガOutput0.198278

14中国農林Output0.13536812シン製造Output0.01823469シン農林Output0.01339758シン電ガOutput0.01321966シン建設OutDutO、010068

1234567890111

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2.3.アジア経済の相互依存性分析

表2.18:アメリカ製造業のネットワーク内容(90年表)

45

関表10ケ国7によ⑨ :u、L

なものとなる結果となっている。シンガポールへの産出が記録されているのは、華人系が同国

において経済的に強い影響力を持っていることと関係しているのかも知れない。

4.投入面(Input)では、10ケ国どの国の製造業も、それほど大きな波及を生み出してはいない結果となっている。日本、アメリカ、中国3ヶ国の製造業の投入は、いずれも自国経済にしか

波及していない。

5.-方、他の7ケ国の製造業は、いずれも外国への投入が記録されている。台湾と韓国の製造業

は自国以外に日本、アメリカに、マレーシア製造は日本、シンガポール、アメリカ、台湾に、

フィリピン製造は日本、アメリカ、台湾に、タイ製造は日本、アメリカ、シンガポールに、イ

ンドネシア製造は日本に、シンガポール製造は日本、アメリカ、マレーシア、中国、台湾、韓

国に、という結果である。

6.この非対称性は次のことを示唆する。日本、アメリカ、中国の製造業はアジア経済圏からの中

間財輸入を(自国の総産出に対して)相対的に小さい規模でしか行っていないのに対し、他の

アジア諸国は各国からの中間財輸入に(総産出に対して)相対的に大きな規模で依存している

ということである31.

7.但し、シンガポール、台湾、マレーシア、韓国の4ケ国は自国以外にも産出(中間財輸出)が

強い結果となっているので、中間財輸入国としての特徴をより強く持っているのは、フィリピ

ン、タイ、インドネシアの3ヶ国ということになる。

8.アメリカ、台湾、シンガポール、タイのサービス、インFネシア商業、タイ鉱業、中国建設は、

いずれも波及数、波及規模の点でそれほど大きいものではないことが分かる。但し、例外は中

31但し、この傾向は、投入係数の大小関係が中間財投入額そのものの大小関係とは逆転するケースを含んでいるので、あくまでも各国各産業の総産出に比した相対的傾向であることに注意する必要がある。この投入係数の逆転現象については、市橋

[20]参照。

アジア園鴎泣四事10ヶ園フ部門壷による園瞭應堂ネットワーク波及規模:0.01以上

3AUOO3アメリカ製浩士

3米国製造16米国商運6米国サー21米国農林37米国鉱業46米国電ガ

tttttt

uuuuuu

pppppp

nn、nnn

I1111I

0.2940523米国製造Output0.2940520.07262755米国建設Output0.2644250.07227721米国農林Output0.1255140.0412936米国サーOutput0.0718710.02590637米国鉱業Output0.0646270.02044312シン製造Output0.06204

46米国電ガOutputO・O5731616米国商運Output0.05173559シン鉱業Output0.03519363ブイ鉱業Output0.0302034台湾製造Output0.02739966シン建設Output0.02650769シン農林Output0.0222895韓国製造Output0.02178710タイ製造Output0.01962517シンサーOutput0.0175277マレ製造Output0.01711845緯国電ガOutput0.0169859ブイ製造 Output0.01680540台湾電ガOutput0.0123116Oマレ建設Output0.01101467ブイ建設Output0.010319

1234567890123456789012

1111111111222

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46 第2章産業構造の波及経路分析

表219:台湾製造業のネットワーク内容(90年表)

表2.20:韓国製造業のネットワーク内容(90年表)

10による團隠屋 :ロ[

123456789

国建設の同国製造業への投入で、波及規模は0.5より大きい。なお、この産業から産出が記録

されていないのは、基本的に国内にのみ産出を行なうという建設業特有の結果であると解釈で

きる。

2.3.4小括

本節では、アメリカを含めたアジア10ヶ国の経済圏について、その経済的相互依存関係を図解的.

定量的に提示した。

上述したとおり、アジア経済における相互依存関係は、日本、アメリカ、中国の影響力を絶大なも

のとしつつも、相対的には日本とアメリカが主要な中間財輸出国を演じ、日本、アメリカ、中国を除

表2.21:アメリカサービス業のネットワーク内容(90年表)

ア團原迫関表10ヶ国7部門表による團隠煙 Ru,L

1234567

アジア國醗剖白閣裏10ヶ園7部門壷'二よる園贋塵堂ネットワーク瀦乃頬拉?001以上

アジア国際独閥霊10ヶ園7細Pq霊I三上為圃BB塵立ネットワーク聴乃頬鍾gO-O1u卜

アジア園瞭強圏表10ケ国7部P引表による園鴎賎業ネットワーク波及親棋:0.01以上

4ANOO3合法創措典

34567

4台湾製造

15台湾サー

31台湾商運1日本製造51台湾農林3米国製造40台湾電ガ

ttttttt

uuuuuuu

ppppppp

nnnnnnn

l111111

0.35489261台湾建設Output0.4576210.0552884台湾製造Output0.3548920.05413351台湾農林Output0.225070.04901957台湾鉱業Output0.2032140.03178940台湾電ガOutput0.0990280.02739931台湾商運Output0.0842130.02188315台湾サーOutput0.073664

12シン製造Output0.0176247マレ製造Output0.0114589ブイ製造Output0.0114110タイ製造Output0.01134766シン建設OutDutO-O11301

12345678901

11

21

5AKOO3随国劇浩之

1234567

Ⅲ5韓国製造

|"韓国農林,18緯国サー35韓国商運1日本製造3米国製造45韓国電ガ

ttttttt

uuuuuuu

ppppppp

nnnnnnn

I111-11

0.3650095韓国製造Output0.3650090.05769753韓国建設Output0.3466720.05113643韓国農林Output0.1747820.04945864韓国鉱業Output0.1520430.03791235韓国商運Output0.1150960.02178718緯国サーOutput0.1113280.01359845緯国電ガoutput0.0698

12シン製造Output0.01231567ブイ建設OutDutO、011245

123456789

6AUOO7アメリカサービス1

’6米国サーInput O、2310226米国サーOutput0.2310223米国製造I、put 0.07187116米国商運Output0.21380516米国商運Input O、02191321米国農林Output0.17654855米国建設Input O、01787855米国建設Output0.153275

46米国電ガOutput0.1433933米国製造Output0.07227737米国鉱業Output0.054755

1234567

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2.3.アジア経済の相互依存性分析 47

表2.22:フィリピン製造業のネットワーク内容(90年表)

'国10に ・UL

123456789

表2.23:マレーシア製造業のネットワーク内容(90年表)

フ国隈辺表10ヶに pU.[

表2.24:タイ製造業のネットワーク内容(90年表)

,團隠辺関10による :U,【

123456789

表2.25:インドネシア製造業のネットワーク内容(90年表)

関表10ケ7剛に_. :u,L

アジア固鴎涼胆患10ヶ園7部Pq裏による園鴎塵堂ネットワーク油及規模:0.01以上

つぎ2ァ扇塵和■朗團E1n仔園うちR函男gl-上Z園由璽旦n位±、助トヮーウ;由乃全目鐘・nnll21卜

アジア圓鴎泣四裏10ヶ園7部門裏による国鴎應堂ネットワーク波及規模:0.01以上

アジア国際、■悶塞10ケ国7部門表による国際産業ネットワーク波及規模:0,1以上

9APOO3フィリピン興浩典

123456789

9ブイ製造19ブイ農林32ブイ商運1日本製造63ブイ鉱業3米国製造33フイサー56ブイ電ガ4台濟璽l浩

ttttttttt

uuuuuuuuu

ppppppppD

mmmmmhmmh

0.18579267ブイ建設Output0.3056780.18504356ブイ電ガOutput0.2580760.0461729ブイ製造Output0.1857920.02357163ブイ鉱業Output0.1477270.02278232ブイ商運Output0.1235260.01680533フイサーOutput0.1081860.01306719ブイ農林Output0.0845080.012689

0.01141

7AMOO3マレーシア興措上

10

7マレ製造39マレ農林29マレ商運1日本製造48マレ鉱業12シン製造24マレサー

52マレ篭ガ3米国製造4台湾製造

tttttttttt

uuuuuuuuuu

ppppD・ppppp

nnnnnn、nnn

l11111111I

0.2478886Oマレ建設Output0.4546740.0785697マレ製造Output0.2478880.05334639マレ農林Output0.1400610.04316752マレ霞ガOutput0.132430.03124429マレ商運Output0.120130.03107324マレサーOutput0.0706370.03085248マレ鉱業output0.0473950.01851812シン製造Output0.0298160.01711866シン建設Output0.0129510.01145868タイ建設Output0.010923

17シンサーOutput0.010353

123456789

0111

10ATUO3タイ製浩堂

123456789

10タイ製造44タイ農林28タイ商運1日本製造22タイサー

3米国製造38夕イ電ガ12シン製造4台湾製造

ttttttttt

uuuuuuuuu

pppD・pppDCD

nnnnnnnnn

l11111111

0.2060768タイ建設Output0.2718860.08403510タイ製造Output0.206070.06863822タイサーOutput0.1411650.05407544タイ農林Output0.1273220.03190947タイ鉱業Output0.1097420.01962528タイ商運Output0.0978330.01777638タイ亀ガOutput0.0823620.012034

0.011347

’1

10

11A1003インドネシア製措立

26イン農

11イン製造25イン商運27イン鉱業34インサー

1日本製造

tttttt

uuuuuu

p・DC、。pCD・DC

hmmmhh

0.19040362イン建設Output0.3283440.17686250イン電ガOutput0.2390250.06008511イン製造Output0.1768620.04930534インサーOutput0.1139710.03417525イン商運Output0.0785320.02301326イン農林Output0.076104

27イン鉱業Output0.027245

1234567

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第2章産業構造の波及経路分析48

表2.26:シンガポール製造業のネットワーク内容(90年表)

10ケ門二よ 。、.[

表2.27:台湾サービス業のネットワーク内容(90年表)

P国隠迫関表10ケ国フ部門表による国隠歴 反攻親。O・[

1234567

表2.28:シンガポールサービス業のネットワーク内容(90年表)

シ国関汲10位国7都Pによる 。U・【

1234567

表2.29:タイサービス業のネットワーク内容(90年表)

ワ圏10をによ⑨ :U・L

1234567

アジア国鴎撞閣裏10ヶ園7部門裏による園鴎産業ネットワーク波及規模:0,1以上

アジア園鴎独圏表10ヶ国7部門表による園鴎賎業ネットワーク波及規模:0.01以上

アジア國醇泣四夷10ノテ園了釦Pq裏に上る園鴎塵堂ネットワーク;古】u銅刺[2001以上

アジア圖圃麹■閲塞10ヶ園7部Pq裏による国照鹿堂ネットワーク独及規模:0.01以上

11

12ASOO3 シンガポール製浩糞

10

11

12シン製造1日本製造17シンサー

3米国製造36シン商運7マレ製造l2中国製造’4台湾製造48マレ鉱業'58シン電ガ5韓国製造

ttttttttttt

uuuuuuuuuuu

pD・ppppppppp

mhhhmmhmhhm

0.12285366シン建設Output0.1733420.10670512シン製造Output0.1228530.08672469シン農林Output0.1013250.0620458シン電ガOutput0.098630.04090152マレ亀ガOutput0.0608410.02981659シン鉱業Output0.037240.01823417シンサーOutput0.0350970.0176247マレ製造Output0.0310730.0163728タイ商運output0.0250340.01233336シン商運Output0.023940.0123156Oマレ建設Output0.016712

40台湾電ガOutput0.015663ブイ鉱業Output0.01215310タイ製造OutputO・O1203429マレ商邇OutDutO-O11875

123456789012345

111111

12

15ANOO7台漉サービス1

15台湾サー4台湾製造61台湾建設31台湾商運40台清電ガ

ttttt

uuuuu

ppppp

nnnnn

l11--

0.1244931台湾商運Output0.1579650.07366451台湾農林Output0.1329020.02595715台湾サーOutput0.124490.0201054台湾製造Output0.0552880.01241540台湾電ガOutput0.052528

61台湾建設Output0.04167957台湾鉱業OutDutO、031091

1234567

13

17ASOO7シンガポールサービス

17シンサー

12シン製造1日本製造36シン商運3米国製造7マレ製造

tttttt

uuuuuu

DCppppp

nnnnnn

------

0.14867817シンサーOutput0.1486780.03509736シン商運Output0.1369920.03027169シン農林Output0.1149290.02621712シン製造Output0.0867240.01752759シン鉱業Output0.0715860.01035366シン建設Output0.06322

58シン電ガOutput0.013

1234567

14

22ATOO7タイサーピス

10タイ製造Input O、141165

22タイサーInput O、105947

28夕イ商運lnput O、052738

44夕イ農林Input O・O22933

38タイ霞ガInput O、017235

8274088

2244163

タイ商運Output0.11058タイサーOutput0.105947夕イ鉱業OutputO・O85605タイ農林Output0.062628タイ製造Output0.0319O9タイ建設OutputO・O29976タイ霞ガOutput0.027834

1234567

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2.3.アジア経済の相互依存性分析

表2.30:インドネシア商業のネットワーク内容(90年表)

49

ア国関表10ケ国フによる国 :U,し

1234567

表2.31:タイ鉱業のネットワーク内容(90年表)

ア国10に

123

<7ヶ国が相対的な中間財輸入国となっている特徴を有することが分かった。この中間財の輸出入

の相手は、アジア各国各産業に及んでいる。また中国は、90年のアジア連関表で見る限りにおいて、

国内向きの閉鎖的経済の特徴を有していた。但し、これらの結果は、各国産業の規模や部門統合の違

いを含んだものであるので、投入係数の大小関係が中間投入額そのものの大小関係と必ずしも一致

するものではない。あくまでも各国の総産出に対する相対的な意味であるということを注意する必

要がある

90年のアジア産業連関表から得られたこのような産業ネットワークの特徴は、その後の状況の中

で基本的に変化していないかどうかを今後比較検討する必要がある。もしもアジアの経済構造に大

きな変化がないとしたら、アジア通貨危機のような経済ショックは、アジア各国からの輸入の減退と

して各国に影響するが、日本やアメリカの経済不況はアジア経済が好調であれば輸出によって緩和

される可能性が高いことを意味している。逆に言えば、アジア経済の不況が日米経済の不況を引き

起こす可能性も孕んでいることを意味し、また、アジア経済と日米経済が同時不況に突入する場合、

その影響は深刻なものになることを示唆している。

だが、90年代は中国をはじめ、アジア各国が急速な経済成長を遂げており、90年時点の構造変化

が同じままであるとは考え難い。95年及び00年の新しい連関表によって90年時点の構造がどのよ

うに変化しているか、それを追跡して行くことが次の課題である。

表2.32:中国建設業のネットワーク内容(90年表)

ア園闘表10ケ国フ門表による国瞭煙 。UI

123

つぎ2つ園麿迺旧日弓B1n佇園7会R伊ロ畠EI-上二園麿回堕笘弍、、"卜句一勺;由乃全目趣・nnlcl卜

アジア國腰揮閣霊10ヶ国7部門壷による国際塵上ネットワーク遮及規模:0.01以上

アジア国際強圏患10ケ国7部門壷による国鴎塵典ネットワーク波及親桓:0.01以上

15

25A1006インドネシア商業・逼q、

34インサーInput O、08598262イン建設Output0.14496611イン製造Input O、07853250イン電ガOutputqO8799225イン商運Input O、06292825イン商運Output0.062928

11イン製造output0.06008534インサーoutput0.04684626イン農林Output0.01866827イン鉱業Output0.012376

1234567

16

47ATOO2タイ鉱業

123

10タイ製造InputO、10974238タイ亀ガoutput0.17348922タイサーI、put0.08560568タイ建設Output0.02945528タイ商】唾InDut O、039748

17

70ACOO5中国陣酪

123

2中国製造Input O、57207

20中国商運Input O、050566

30中国鉱業lnput O、019058

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50

第3章国際産業構造の依存関係と環境負荷

問題

本章では、前章と異なる産業連関表の応用研究を行なう。

産業連関表は、経済構造を扱うための強力な分析ツールとなっているが、基本的に構造内の連関を

問題にしており、最終需要は外生変数として外から政策的にもたらすというやり方が一般的な利用方・

法である。ここでは、外生変数として扱われていた変数の最終需要のうち輸出入を取り上げ、それを

複数の連関表によってリンクさせ、互いの貿易取引が国内経済にいかなる影響をもたらしうるのかと

いうことを分析する。このような方法による国際相互依存関係は、国境を越えた地域間の経済取引規

模にとどまらず、他国他地域にいかなる環境負荷を発生させうるかというより大きな問題を考える上

でも有効となる。

3.1目的と課題

ここでは、複数の産業連関表を禾1」用して、国際地域間の相互の経済取引と、それによって引き起こ

される環境負荷を数量的に把握する1.

従来、国際間の経済波及や環境負荷の発生などの分析は、国レベルでの相互依存性が主たる課題

であり、分析としては国際連関表(地域間表)を用いて行われるのが通例であった。財への内包エネ

ルギーや排出CO2を計測しているImura&Moriguchi[85]、藤川・居城[81]や、貿易を通じた資源

消費と環境負荷の国際的相互依存を分析した中村・森杉・井村[89]などは、全てアジア表10カ国24部門による分析であった。

また、環境負荷問題に限らず、国内地域分析をする際には、通産省が発表している地域間表を用い

るか、あるいは都道府県別の地域表を用いて行なわれてきた。金川・二渡・井村[86]は、内包エネルギー分析を都市に適用した国内最初の研究だと思われるが、使用されたデータは地域連関表によ

る個別比較であった。長谷川[83]は、国内地域間のCO2の格差を分析し、都市地域ほど環境負荷を誘発していることを東京都10と通産省の9地域表を用いて指摘している。

だが、都市レベルで発生する需要が他国の他地域及び他都市とどのような相互依存関係にあるの

か、また環境負荷をどの程度与えているのかに関する研究はこれまで存在していない。2国2地域間

の国際的相互依存の分析には市橋[22]が存在しているが、そこでは環境負荷の分析が行なわれていない。

そこで本章では、地域間表及び地域内表をリンクさせて、各国内における個別都市どうしの経済依

存度及び環境負荷の発生状況を分析しようと考えている。この試みは、従来の地域間表による分析に

とどまらず、都市レベルでの国際依存関係を分析できる点に大きな特徴がある。

具体的には、都市レベルのデータが入手可能な東京都と北京市とを取り上げ、それぞれの地域は

'本章の内容は、市橋・金子・吉延[19]に加筆・修正したものである。

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3.2.使用データと各連関表の概要 51

図3.1:1990日中国際産業連関表のフォーマット日中表90の構造

それぞれに対してどれほどの輸出(相手から見れば輸入)を発生させ、その輸出によって当該地域に

どの程度の生産が誘発されるのか、ということを分析する。この生産誘発額は、当然のことながら、

CO2,SOXの排出、大気汚染、水質汚濁など、生産地域での一定の環境破壊をも誘発することにな

る。従って、ある地域における特定地域からの輸入の発生は、相手地域でどの程度の環境負荷を与え

ることになるかということも推定できることになる。

これまで、産業連関分析において国際連関表を使用して各国の経済依存度を測るという分析は多

く見られるが、地域間表以外の特定地域における経済取引を分析した研究はそれほど多くはない。市

橋[22]やIchihashi[23]は、広島県と中国黒龍江省との直接的経済取引を、それぞれの連関表の移輸出入ベクトルと日中表を用いて推計したものである。

本章では、この方法とアイディアに依拠しながら、東京と北京との間の経済取引と、それによって

もたらされるであろう誘発生産額及び発生環境負荷を推定する。

以下では、次節で使用データと各連関表の特徴を概観し、第3節で計算に用いた基本モデルを述べ

る。第4節では東京と北京間の直接輸出入額を推定し、第5節で各地域の逆行列表の特徴を概観す

る。第6節で誘発生産額の計算結果とその特徴を見る。第7節では、各地域での生産に伴うエネル

ギー消費量と二酸化炭素排出量の計算方法をのべ、第8節で誘発生産額に伴って使用されたエネル

ギー消費量と二酸化炭素排出量の結果を見る。最後に簡単なまとめを述べる。

M使用データと各連関表の概要

本章で使用したデータは、日中国際連関表90年版2(以下、日中表)、北京市連関表92年版3(以

下、北京表)、東京都連関表4(以下、東京表)である。

このうち、日中表と東京表は地域間連関表となっている。三つの連関表の概要を図示したものが図

3.1~図3.3である。

部門数は89部門で、これは日中表の分類を基本的に踏襲している。これに併せて、北京表と東京

表を組替えた。

21DE[84]3北京市統計局[80]4東京都総務局統計部[94]

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第3章国際産業構造の依存関係と環境負荷問題52

図3.2:1990東京都産業連関表のフォーマット弓湧110Fロ■ⅡU四コ

A行

B行

C行

行行行

,EFEKELEMEN ER

FKFLFMFNFPFQFR

図3.3:1992北京市産業連関表のフォーマット北京表92の構通

nnDEMAND FmALDEMAN口

■五一一正■---■石

副田圃四B●⑩■

::腱しせ=---. 001-089

なお、東京表は、東京都と日本のその他地域(以下、他地域表と呼ぶ)との2地域間表が特徴であ

るだけではなく、東京都とその他地域に存在している「本社部門」が別立ての表として存在してるこ

とが大きな特徴となっている。図3.2におけるL列とN列、そしてB行とD行が本社部門を表す領

域となっている。

但し、この本社部門は68部門しか公表されていない。そこで、我々の分析目的に合わせて部門分

割作業を行ない、89部門に統一し、それを東京表及び他地域表に合算した。

我々が採用した89部門と東京表本社部門の68部門との対応関係は、表3.1に示した通りである。

89部門への分割方法は、東京表と他地域表の各々における対応する部門の生産額シェアによって各

68部門を分割するという方法を採用した。

3.3基本モデル

我々が考えた基本モデルは、東京都、他地域日本、北京市、他地域中国、そして、その他世界から

構成される5地域間の連関モデルであるが、データの入手可能性から、このうちの東京都、他地域日

本、北京市の相互関係を分析することとしている。

分析で用いた東京都、他地域日本及び北京市における需給一致の基本式は、競争輸入型の地域連関

表を前提としているので、次のようになっている。

東京表90の構造

服組付、優伍

行計

K列L列M列N列P列Q列K列

中間

東〕 [都

需要

そのIi回地域最終

東京都需要その他地域 列計

AK AL AM AN AP AQ AR

BK BM BR

CK CL CM CN CP CQ CR

DK

EK EL

DM

EM EN

DR

ER

FK FL FM FN FP FQ FR

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3.3.基本モデル 53

表3.1:採用した89部門と東京表本社部門68部門との対応関係

■I■

②′U

■■【u】、】Ⅲ】【17【

・・【】且【】′【】回1(n回〃′【】且囮′【且〃【】■田刎】△ロ

□■【】bU′Ubロバ】hZ(】h:i′【】帥

ロロIDh【】八】h】八lhZ′【】h:4(lha八DhP

・・【】HUM【】HUB′【】、ロ

Ⅱ】1【】パ】ZPH〃【】95【

亡占い■への、

部門名

広東林東西産

油束石炭案原油・天然ガス

鉄鉱石非鉄金属。k物その他の。[物

水道食料・油脂と宙・食肉加エ酪丘品魚製品精製軸その他食料

酒類

非アルコール飲料タバコ

飼料

臣帷

衣服

皮革

木製品家具

紙・パルプ印刷

$通用品■力・鰯

石炭製品・石油精製化学基礎製品化学肥料有機化学製品

日用化学品

その他の化学製品医薬品

化学繊維ゴム製品

プラスチック製品セメント

セメント製品

レンガ・タイル等

ガラス製品胸磁器

鷹業・士右製品

その他の非金属鉱物生産険銅

非鉄金属

金属製品ボイラ・タービン

金属加下機械

侍殊産業用機械典業機械日用機械

その他の機械

険道輸送機械世路輸送機械置船

世の運輸機械箔電機械

民生ソW電気機a感

世の⑬気機械瞳子計算擁

忽引『濠叡麟謬その他の電気機鶏

粉密樋械及びその他の計算機具機械修理

その他の0H遺品

建放案鉄逝輸送近路拍送水上的送航空軸送パイプライン運輸案通信

向案一般飲食店不動産公共サービス

対家計サービス

医療8k古社会福祉

放送研究その他の一般サービス金融公笛分顛不明

本社部門68部門コード部門名 岱考

12366771155678991001234667802567791111224411111113322355505556666663

””””””””””恥咽晒幽輌咽剛脛恥錘錘唖唖酔唖醗睡野醗蠅蹄懸醗酔銀懸駝鍬職蠅跳唖卿噸噸噸蜥鍼漸翻珂錘麺鎚鍼錘舜麺““唾““蝿懸“碗“

業案

農林

漁業

金属鉱業非金属鉱業

石炭・亜炭鉱業

原油・天然ガス鉱業

食料品製造業飲料・飼料・たばこ製造業繊維下業(除I衣服,その他の繊維製品製造業木材・木製品製造業家具・装備品製造案

パルプ・紙・紙加下品製造業新聞・出版業印刷・同関連産業基圃化学製品製造業

医薬品製造業その他の最終化学製品製造業石油製品・石炭製品製造業プラスチック製品製造業(除別掲)ゴム製品製造業なめし革・毛皮・同製品製造業窯業・土右製造業鉄鋼業非鉄金属製造業

金属製品製造業一般機械製造業画気機械製造業自動車製造業その他の輸送用機械製造業光学機械・時計製造業その他の精密機械製造業その他の製造業趨股業

電気・ガス,熱供給・水道・廃棄物処理卸売案

小売業

金融業

保険業

不動産仲介,管理業不動産賃貸業鉄遊案道路旅客輸送業道路貨物輸送業水運案

航空輸送業倉庫業

運輸付帯サービス業

通信業

放送業敬育研究機関

医療・保健業広告業

飼査・情報サービス業物品貸賃サービス業

自動車・機械修理業建物サービス業

土木建築サービス業その他の対事業所サービス業

映画業娯楽粟(除映画案)

一般飲食店遊興飲食店旅館・その他の宿泊所その他の対個人サービス業その他の公共サービス

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第3章国際産業構造の依存関係と環境負荷問題54

Xi=xi+Di+EXi+OFi-IMi-IFi,

i=T,0,B (3.1)

Di=Ci+Ii+Gi,‘=T,0,B

記号の意味は、Xは総産出、zは中間需要、Dから-IFまでは最終需要を表し、Dは域内需要

(但し移輸入控除前)、EXは輸出、○Fは移出、1Mは輸入、IFは移入、Cは消費、Iは投資、G

は政府支出となっている。また、添え字のiにおけるTは東京を、Oは他地域日本を、Bは北京を

それぞれ示している。

これらの基本式を前提にして、次のような輸出入の相互関係を考える。

EXT=EXTB+EXTw

IMT=IMBT+IMwT (3.2)

EXC=EXoB+EXow

lMo=IMBo+IMwo (3.3)

EXB=EXBT+EXBo+EXBw

IMB=IMTB+IMoB+IMwB (3.4)

EXTB=IMTB (3.5)

EXoB=IMoB (3.6)

EXBT=IMBT (3.7)

EXBo=IMBo (3.8)

但し、ここではEXTBは東京から北京への輸出を表し、EXTwは東京から北京以外のその他世

界への輸出を表す6また、IMBTは東京の北京からの輸入を表し、IMWTは東京のその他世界から

の輸入を表すb以下同様に、EXoBは他地域日本から北京への輸出、EXowは他地域日本からその

他世界への輸出、EXBTは北京から東京への輸出、EXBoは北京から他地域日本への輸出、IMTB

は北京の東京からの輸入、IMbBは北京の他地域日本からの輸入を示す。

定義上、東京、他地域日本、北京の間の輸出入は相互に裏表の関係となっているので、(3.5)式か

ら(3.8)式はそれぞれの同値関係を示している。

そして、我々がまず最初に推定すべきなのは、これら(3.5)式から(3.8)式までの各輸出額(=

輸入額)である。

これらの輸出入の対応関係を示したものが、図3.4である。本章では、この図の丸印で囲った部分

の誘発額を計算することで、北京が東京都と他地域日本における生産額とそれに伴う環境負荷をど

の程度発生させるのか、また逆に、東京都や他地域日本が、北京における生産と環境負荷をどの程度

発せさせるのかを推計する。

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3.4.国際連関表の接続による輸出入額の推定

図3.4:地域連関表における輸出入の誘発関係(北京の例)

55

城内移輸出入の相互隣発関係(北京表の側

]it輻

M国際連関表の接続による輸出入額の推定

本節では、市橋[23]、Ichihashi[23]の方法に依拠して、北京と東京の間の経済取引(輸出入)を推定することとしたい。推定作業は、次のような計算式を元に行なった。

▲ へ

EXBT=MSrJXSJcEXB (3.9)

EXTB=XSTJMSJcIMB (3.10)

但し、(3.9)式のXSJcは、中国輸出に占める日本シェアによる対角行列であり、これは日中表か

ら求めることができる。MSTJは、日本輸入に占める東京シェアによる対角行列で、東京表から得

られる値である。また、(3.10)式のMsJcは中国輸入に占める日本のシェアによる対角行列で、日

中表から得ることができる。そして、XSTJは、日本輸出に占める東京のシェアによる対角行列で、

東京表から求めることができる。

この計算方法を図示したものが、図3.5である。

計算においては、中国と日本の輸出入に占める双方の比率、東京や北京の各国輸出入への比率が安

定的であることが前提とされている。

なお、北京表における価格単位は1000元であるため、日本円への換算為替レートは、日本銀行が

Hp5上で公開している時系列月次データ、1990年1月~12月分と、1992年1月~12月分より、平均

為替レートを求めて使用した。

同様に、以下の計算によって北京から他地域日本への輸出EXBoと他地域日本から北京への輸出

ExoBも推定される。

5参照URLは日本銀行[91]。

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第3章国際産業構造の依存関係と環境負荷問題

図3.5:国際地域間取引額の推定方法

56

Ll 目Ⅱニロロする推定減北京→京京

ステップ1

詣蝋P圏~〒>繍i鰍:IIllx)中国輸出に占める日本のシェア(日中表90)

五京-北京ステップ1

11鯛弓=〉繍鰍311企)中国輸入に占める日本のシェア(日中表90)

ステップ2

弓-1霊繍ii;::Ili3L)日本輸入に占める東京のシェア(東京表90)

ステップ2

弓=>{霊鵬{柵)日本輸出に占める東京のシェア(東京表90)

今 へ

EXBo=:MSoJXSJcEXB (3.11)

EXoB=XSoJMSJclMB (3.12)

但し、MSoJは、日本輸入に占める他地域のシェアによる対角行列、また、XSoJは、日本輸出に占める他地域のシェアによる対角行列で、共に東京表から得られる値である。

(3.9)式と(3.10)式によって計算された北京と東京の間の推定輸出は、表3.2の通りである。

この表によれば、北京から東京への輸出(東京の北京からの輸入)は総額で約167億29万円、逆

に、東京から北京への輸出(北京の東京からの輸入)は総額約18億9,122万円という結果となって

いる。北京から東京へ向けた輸出のほうが約8.83倍の大きさである。これは、東京が北京からの大

きな消費者となっていることを示唆している。

また、(3.11)式と(3.12)式によって計算された北京と他地域日本の間の推定輸出は、表3.3のよ

うになる。

この表によれば、北京から他地域日本への輸出(他地域日本の北京からの輸入)は総額で約277億

535万円で、これは東京への輸出の約1.66倍となっている。この結果は、他地域の日本輸入全体に

占めるシェア(約88.6%)を考えると、それほど大きな額ではない。逆に、他地域日本から北京への

輸出(北京の他地域日本からの輸入)は総額約390億6,745万円という結果となっている。他地域日

本から北京へ向けた輸出は、逆方向の輸入の1.4倍の大きさとなっている。また、この輸出額は、東

京から北京へ向けた輸出額の20.7倍となっている。

つまり、日本の他地域は、東京とは逆に、消費者としてよりも北京への生産者としての側面が強

い結果となっていると見ることができる。このことは、他地域の日本輸出全体に占めるシェア(約

91.1%)を考えると、東京との単純なシェアの比以上に北京に輸出していると言えることからも明ら

かである。

次に、表3.2と表3.3の結果を各々上位20部門に並べたものが、表3.4と表3.5である。

表3.4からは次のような特徴が指摘できる。

第一に、東京から北京への推定輸出額では、機械関連の部門が上位を占めている。

道路輸送機械(Roadtransportmachinery)とは、乗用車、トラック、バスなど輸送機械であり、そ

の他の電気機器及び通信機械(Otrherelectronicequipmentandcommunicationmachinery)とは、

通信用機器や電子応用装置、半導体素子集積回路である。特定産業機械及び機器(Specialindustrial

maChineryandequipment)は、産業用ロボット、コピー機、食品加工機械、化学機械等である。機

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3.4.国際連関表の接続による輸出入額の推定 57

表3.2:北京一東京の推定輸出入引眉H[から東京への推定T、東京から北京への推定位:1000元1000us$100万円1000元耳位:100万円

北京から東京への推壷迪出 東京から北京への推定蛆出

単位:1000元 1000us$ 100万円 1000元換算 1000US$換算ロ1位:100万円醐唖噸噸噸魎呵噸噸叩叩叩叩叩聴叩叩岫叩噸咽嘩哩咽噸睡函哩咄蠅卿哩噸噸噸噸呵唖噸釦刈唖噸幽567

MMM噸叩魎咽哩噸剛繩魎獅噸聴汕淑噸噸剛緬繩獅繩噸、、地加川施肥mmmm獅駆駆剛噸噸町“繩

墨栗

林乗

宙宝

漁案

石炭案

原油・天然ガス

性は石

非鉄金属鉱物

その他のG曲物

水道

食料・油脂

と宙・食肉加エ

郵■品

魚QQ品

精製輯

その他食料

酒顛

非アルコール飲料

タバコ

飼料

繊維

衣服

皮革

木Qa品

家具

紙・パルプ

印■

事務用品

疋力・脇

石炭製品・石油精製

化学基礎Q2品

化学肥料

有機化学製品

日用化学品

その他の化学鰹品

塵宝昆

化学伍維

ゴム製品

プラスチック製品

セメント

セメント製品

レンガ・タイル等

ガラスQH品

白磁聾

廟案・土石製品

その他の非金巨は鞄生麿

険員

非鉄金属

金■製品

ボイラ・タービン

金瓜加エ機械

特殊広東用機械

艮巣機械

日用機械

その他の機械

佼近伯送機械

道路輸送機械琶魁

他の五輪機械兜■機械

民生用正気機械

他の■気機械

■子計算機

■気音■機雷

その他の■気機嬰

厨宙機械及びその他の計算機具

腹械修理

その他の99盗品

追放案

陵逝伯送

近路輸送

水上伯送

Ut室輸送

P《イプライン運輸案■■

自乗

-股飲食店

不動産

公共サービス

付家叶サービス

逼療

1h百

比会福祉

攻送

冴究

その他の一般サービス

直困

iA笛

ザ題不明

44a928497780.37055053101678128

00(

24.761188294.4828623190.56713438:

323.938727558.647133517.419546601

00(

00(

00(

10.125151661.8330970350.231908161

1253.611088226.958651628.71291721

00(

51.736441079.366567531.18408006(

961.947832174.1548139220型6157(

25.914004364.691588940.593540736

26.904998074.8709862030.616236588

170.563753130.8795286a90662062$

2107.090084381.475825548.26114246

366.576396266.366423728.396126875

217.618807239.398758674.984402624

35.252374116.392227610.807426252

25.46104444.6095670050.583164004

52鯛.919844950.4660104120.2450391

61339.7761211105.192851404.936456

2017.489564365.25419746.20891721

1557.988004282.068048935β8464595

2458.986257445.184鯛4156.32103106

24.1776“714.3772153080.553768804

414.616673675.063823339.496449395

2531.368828458.288925857.97889582

OOC

1126.240844203.899044925.78560801

175.258581231.729498034.014151754

23.571761924.2675239190.539891564

172.196843831.17518972a9“02521

52.169865689.4450364141.194907298

117.164120421.211850352.683546541

309.807478356.088750917.095882116

12.120977862.1944292130.277620897

202637027336.686199534.641232247

35.083813496.3517107360.803565511

1.307589470.2367311090.029949247

17.115241343.098610196039201034

000

81.8951150914.826611761.875739365

18.731541763.3912315410.429030354

OOO

OOO

1514.531374274.196680234.689079

449.59409381.3982720710.29757804

404.629415573.255691079.26769957

000

10.159797931.8393695310.232701705

106.596561219.298658132.“1505404

122.430592622.165313072.804170698

62.9002295411.403997381.442738716

394.193138671.366266729.028665346

9.920“25451.7960356070.227219469

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Page 66: 熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University …reposit.lib.kumamoto-u.ac.jp/bitstream/2298/12189/1/25...111111112222333.333333444444 2.1総産出成長の要因分解:00年-95年

第3章国際産業構造の依存関係と環境負荷問題

表3.3:北京一他地域日本の推定輸出入

58

北京から他地域日本への推定地域日本から北京への推定的.、1DDOUS$100万円1000元算位:1,0万円

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北京から他地域日本への推定轍出 他地域日本か!、北京への椎I :輸出

単位:1000元llOOOUS$1100万円 1000元換算 1000us$摸; [l単位:100万円

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皮革

木製品

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■力・畷

百度且品・石油精製

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I上学肥料

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日用化学品

その他の化学製品

盃藁品

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ゴム製品

プラスチック製品セメント

セメント製品

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その他の非金属鉱物生産

陵瓜

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曲瓜製品

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金良加エ槌械

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日用機械

その他の機械

険逆輸送機械

近路輸送機械

近田

他の迅輪機械見■機械

民生用■気機械

他の■気樋械

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その他の近虹棋魯

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近路輸送

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医療

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金融

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00(

0.23960246200433785660.005487895

00[

00[

00【

00【

00【

00【

00(

00(

666.3337854120.635673215.261820醜

00(

00[

00【

00(

00(

900 計 1209820.658218994.幅2427705.35316 1705691.858308805.12153906784506

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表3.4:北京一東京間の推定輸出額上位20部門

東京から北京への推定輸出額北京から東京への推定輸出

単位:100万円順位

函・P単位:100万円

順位

図頚憾魑剛S蝋謙丙片び議圧ン幾s詳冊

表3.5:北京一他地域日本間の推定輸出上位20部門

他地域日本から北京への推定輸出北京から他地域日本への推定輸出

単位:100万円順位

単位:100万円

順位

□⑤

123456789mummu嘔姻、咽、、

624185633473902022817282221272460317674000000000000000000000

商菜

衣服

放送

繊維

事務用品

家具

その他食料

皮革

航空輸送

木製品

鉄鋼

電子計算機

その他の鉱物

石炭製品・石油精製

と畜・食肉加工

鉄道輸送

他の電気機械

水上輸送

非鉄金属

農業

14299.5683

1404.936456

248.6424436

120.2450391

57.97889582

56.32103106

48.26114248

46.20891721

38.58785691

35.68464595

34.689079

33.0427813

28.71291728

25.79560801

22.03261576

19.58741638

16.56284757

15.31473646

10.29757804

10.1678123

123456789mnm皿皿嘔姐町旭咀加

753256450000

66

413234857813446546656554263383000000000000000

】旦竃禰送旧跡F【

その他の電気機器

ガラス製品

特殊産業用機械

精密機械及びその他の計算機具

日用機械

セメント製品

電子計算機

他の電気機械

農業機械

電気音響機器

造船

その他の機械

鉄鋼

事務用品

民生用電気機械

有機化学製品

日用化学品

放送

医薬品

553.12839

308.6927188

243.1774275

165.2915853

116.6398407

93.13797771

58.57074997

38.88034713

34.80306631

26.78174874

26.19205395

25.99782765

23.01909674

21.63577624

18.82030277

15.75704165

15.28902609

14.16359271

12.33142966

11.29695941

12345678901

2311

4511

678111

91

02

621746459018338223397224218203022741636400000000000000000000

商薬

衣服

繊維鉄鋼

木製品

その他食料

放送家具

その他の鉱物

石炭製品・石油精製

農業

事務用品

皮革

航空輸送

非鉄金属

と畜・食肉カロエ

他の電気機械

有機化学製品

電子計算機

金属製品

10134.88964

9663.200641

1572.912306

841.3844526

486.3757768

468.0787683

428.1830006

360.4069825

329.3418951

314.410179

284.4995104

283.157026

242.8152751

192.5895041

167.682099

164.2449186

157.6422113

122.204666

118.373766

90.54830464

123456789mu⑫咽皿嘔咽面狙、和

732574711382538643815456463623565546362500000000000000000000

]旦闘調覇〕玉旧翻ワ(

ガラス製品

特殊産業用機械

その他の電気機器

鉄鋼

電気音響機器

化学繊維

民生用電気機械

繊維

有機化学製品

造船

他の電気機械

その他の機械

農業機械

非鉄金属

精密機械及びその他の計算機具

日用化学品

電子計算機

事務用品

金属加工機械

13730.40587

3469.380311

3030.614044

3013.453393

2126.631685

1958.006659

1879.941972

1199.382379

1147.461849

1038.814013

812.6648673

793.6588321

509.8126228

416.3121553

366.366374

360.5905192

327.9257878

300.3334921

248.6886823

246.8551071

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第3章国際産業構造の依存関係と環境負荷問題60

器・道具及びその他の機械設備(Equipment,mstrumentandothermachmeryeqUipment)は電気

計測器、その他の精密機械のことであり、日用機械(Machineryfbrdailyuse)とは、裁縫機械、自

転車、光学機械、時計である。その他の電気機械及び部品(OtherelecticmachmeryandpaJPts)とは、電線ケーブル、バッテリー等である。

第二に、北京から東京への輸出品は、商業、衣料、家具・木製品関係が上位にあることが分かる。

商業(Trade)とは卸売・小売等を表すbこの部門の輸出が多いというのは北京表の特徴となって

いるが、それがそのまま東京向け輸出額の大きさにも反映している。商業以外に上位部門となってい

るのは、衣類、皮革、木製品の他、鉄鋼、非鉄金属、石炭等である。

総じて、東京からは機械関連財、北京からは衣類、金属関連財を各々輸出していると見ることが出

来るだろう。

他方、表3.5からは次のような特徴が指摘できる。

第一に、東京と北京との関係同様、他地域日本と北京においても同様な傾向が指摘できる。すなわ

ち、他地域日本から北京への輸出では機械関連部門が上位を占め、逆に北京から他地域日本への輸出

では、商業、衣料等が上位の部門となっている。

第二に、だが、東京との違いを見るならば、輸出部門としては、化学繊維、繊維、非鉄金属、金属

加工機械などが上位部門となっているの対し、東京のほうは日用機械、セメント製品、文化・芸術・

放送サービス業(Culturalartsandbroadcastingservices)が上位輸出部門となっている。第三に、輸入部門では、他地域日本の場合、有機化学製品や金属製品が上位になるのに対し、東京

では鉄道輸送(Railwaytransportation)や水上輸送(Watertransportation)が上位部門になっている6.

また、それ以外に、鉄鋼、製材・合板、農業等は他地域日本において特に上位に位置づいている部

門である。

3.5各連関表の逆行列係数の特徴

次に、前節で推定された輸出額が、各々の地域においてどのような生産が誘発されるのかを計算す

るために、各地域の逆行列表を作成する。東京表、北京表はともに非競争輸入型であるが、先に述

べたように東京表は他地域日本との2地域間表になっているので、東京表を用いることで、他地域

日本の逆行列表も同時に得ることが出来る。よって、結果的に東京都、他地域日本、北京市という3

地域の逆行列を作成することが可能となる。

作成される逆行列表は、輸入率控除済みの[1-(I-WI)A]-1というものである。肱は、当該地域の輸入が域内需要に比例することを前提とした輸入率ベクトルによって作成した対角行列である。

但し、北京表は移入も混入されている表なので、この血は移輸入率の対角行列となっている。こ

うして、以下の三つの逆行列表を得ることができる。

[1-(1-mA]-1T

[,_(,_血)A]~ユo

[,_(,-101)A]~ユB

6なお、鉄道輸送の輸出入とは、外国人旅行者の鉄道利用による需要額のことで、外国人が訪日した際に鉄道利用した額が鉄道輸送の輸出となり、逆に日本人が渡航した際に利用した額が鉄道輸送の輸入という概念に相当する。これらは海外旅行者の統計調査等により推計されているものである。

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3.5.各連関表の逆行列係数の特徴 61

表3.6:東京逆行列表90における感応度係数と影響力係数

723が50789m〃狸〃阿朽〃〃ね氾勿幻蜜麹鈎麺麺幻鈎頷銅釦鐘鈎鈍弱”砂鈎釦勿幻忽

ここで、添え字のT,0,Bは、それぞれ東京都、他地域日本、北京市を表すb

それぞれの表の特徴を概観するために、各逆行列表から得た影響力係数と感応度係数を、それぞれの表の特徴を概観するために、各逆行列表から得た影響力係数と感応度係数を、1を超え

る部門の分だけ降順結果で提示しておく。

それが表3.6~表3.8である。

これら三つの表を比較すると、次のようなことが指摘できる。

第一に、東京における感応度係数の高い産業は14部門であり、そのうち感応度が最大の産業は、

その他一般サービス(Othergeneralservices)である。これは情報サービス、広告、建築サービス

等が含まれる一般サービス部門を指すが、この部門の感応度が際立って高いことが東京の特徴となっ

ている。この他には、銀行・保険、研究、不動産、商業などが上位部門となっている。影響力係数で

は、1を超える部門数は42部門で、鉄道輸送、医療、その他鉱業、コンピュータなどが上位となっ

ている。このうち、その他鉱業とは、建築用鉱物、砕石、砂利・石切、石灰石、その他の非鉄鉱物な

どを指すが、東京表における産業部門で、鉱業関連の部門の影響力が大きいというのは意外な結果で

ある。

但し、東京表では、感応度係数と影響度係数の大きな産業が他地域日本や北京に比べて少ない結果

となっている。

第二に、他地域日本では、感応度係数が1を超える産業は28部門であり、商業、鉄鋼、その他一

般サービス、道路輸送、有機化学製品、銀行・保険、電力・熱などが上位部門となっている。影響力

係数では、49部門が1を超える部門となっており、このうち屠畜、道路輸送機械、鉄鋼、畜産食料

'0

逆行列nKI-M)A1-1宜宣空(.g、)感応庵俸暫 逆行列【1-(1-M)A]-1東京表(、90) 形専力係数O86

087

085

07B

O76

027

079

084

071

O69

075

067

089

028

その他の一般サービス金融

研究不動産商案

印用公共サービス

放送

道路輸送建放案通但

機械修理分類不明事務用品

4.84987

4.19368

2.17249

214189

129417

1.52697

1.48772

1.48028

1.40826

138980

132710

1.31440

1.14781

102738

血唾唖函哩唾哩哩唾、庇哩函畷晒魎四卿陥函唾、卿曄嘩咽函醐卿唖哩噸唾聴噸函噸啄加配唾叩

&皮nK輸送

医薬品その他の鉱物矼子叶算祖放送その他の-段サービス化学肥料皮革

その他の近気担器公共サービス

商業日用化学品金融分麹不明Hk室輸送その他の製造品日用檀械発矼機械輔製粕輔密機械及びその他の計算機具研究道路輸送セメント製品その他の化学製品他の近気機械化学基礎製品飼料民生用近気機械セメント

事務用品特殊産乗用機械石、t乗他の運輸機械ガラス製品砥気管■機器印刷公務

窯集・土石製品水道その他の非金凪鉱物生産有機化学製品非アルコール飲料

1.20952

1.19523

1.16994

1.15862

1.15048

1.14998

1.13030

1.11586

1.10306

1.09838

1.09566

1.08887

1.07812

1.07691

1.07162

1.06965

1.06936

1.08704

1.08580

1.06169

1.05846

1.05521

1.04207

1.04199

1.04118

1.04094

1.03995

1.03655

1.02983

102809

1.02770

1.02746

1.02676

1.02540

1.02408

1.01845

1.01815

1.01750

1.01644

1.01599

1.01520

1.00842

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第3章国際産業構造の依存関係と環境負荷問題62

表3.7:他地域逆行列表90における感応度係数と影響力係数逆行列[【-(【-M)A]-1他地域壷(、90〕l感応麿侭教

70

73

ノイ

75

76

7ア

79

2り幻塑麺餌鍾勿毎鋼勿釦釘鑓鈎鈎巧鉤鈩鈎”〃幻轌幻輿循妬の“鞭

逆行列[1-(【-M)A]-1他地jUi表('90)彫埋力係数O76

047

086

071

033

087

02g

O49

030

026

001

039

067

085

057

035

003

021

048

065

069

078

079

027

031

062

002

020

商菜

鉄鋼その他の-組サービス道路輸送有機化学製品金融迂力・鱗金属製品

石炭製品・石油精製紙・パルプ農業プラスチック製品機械修理研究道路輸送機械その他の化学製品畜産

繊維非鉄金属その他の近気機器建設業不動産公共サービス

印刷

化学基礎製品他の危気機械

林業飼料

2.94546

2.80592

2.50268

2.42940

2.23863

2.11072

2.08215

1.95873

1.89150

1.84857

1.76642

1.70841

1.64092

1.62655

1.58918

1.52312

1.48776

1.32298

1.31023

1.30141

1.25987

1.24877

1.09600

1.06855

1.05335

1.04103

1.01965

1.00358

O12

057

047

013

020

003

059

056

033

035

021

061

039

037

028

011

O50

026

058

015

052

054

055

065

014

067

0641

068

063

022

049

032

041

038

031

053

062

016

018

060

024

051

034

025

069

023

089

036

040

と膏・食肉カロエ

道路輸送機械鉄鋼酪農品飼料畜産他の運輸機械鉄道輸送機械有機化学製品その他の化学製品繊維民生用危気機械プラスチック製品化学繊維事務用品食料・油腹ボイラ・タービン

紙・パルプ造船精製糖特殊産業用機械日用機械

その他の機械その他の泣気機器魚製品機械修理伍気音響機器その他の製造品冠子計算機衣服

金属製品化学肥料セメント製品ゴム製品化学基礎製品農業機械他の矼気機械その他食料非アルコール飲料発伍機械木製品金属加エ機械日用化学品家具建設業皮革分類不明医薬品セメント

1.63536

1.45215

1.32866

1.31043

1.25522

1.22937

1.22199

1.21288

1.20340

1.19874

1.19655

1.19245

1.18656

1.17922

1.17333

1.15849

1.15495

1.15155

1.15045

1.13400

1.12973

1.12817

1.12330

1.11123

1.10969

1.10617

1.10333

1.10088

1.10086

1.09981

1.09901

1.09593

1.08863

1.08859

1.08448

1.08258

1.08070

1.07872

1.07521

1.07081

1.06384

1.05945

1.05184

1.04628

1.04078

1.03354

1.01964

1.01553

1.00697

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3.5.各連関表の逆行列係数の特徴 63

表3.8:北京逆行列表92における感応度係数と影響力係数r■Ⅲ)八 Ⅲ=(7

23356789m〃狸〃阿汚〃かねね幻

連行現、-0-MM]-1丑古垂(・B2)盛応磨係数

J

J

76

7J

74

75

76

78

79

2り幻翠幻鋼鑓勿幻勿勿釦〃蛭鋼剥弱鉋卯鈎鉋幻“蛭幻“鐙“の““釦釘罐殉

翅行列、~(I-Myu-1父古典(092)形⑭力係数お印銅巫釦伯、劉仰閉ね酷

000000000000卵訂弱如相而犯記

00000000

商薬

金融

有機化学製品化学肥料石炭製品・石油鞘製金囚製品丘業泣力・熱

鉄鋼その他の一般サービス公共サービス

研究畜産印用

その他の機械

飼料非鉄金■道路輸送ゴム製品紙・パルプ

6.44973

4.19646

2.71817

2.69401

2.48225

2.02586

2.00192

1.99367

1.97001

1.96952

1.73916

1.71922

1.6358フ

1.60399

1.32570

1.25468

1.20821

1.20017

1.06518

1.06123

F■回』c』PL4q『lP』q■須回■IpU【凹甜□【DnIQUp】弓Jq】・IOU▲q員】、笘口】〔U【CQ】o》【岳【U兵】。》『J【毎△qロ〕貝】ワリ、臣pUQUQUp〕〔。〔。△守凸I

113463308635278015548886265454256053366364624103

000000000000000000000000000000000000000000000000

47867

51862

00000

と宙・食肉加エ

酪農品プラスチック製品非鉄金凪伍気音響機器化学繊維塵蓮旦畜産その他の一般サービス民生用芭気機械有機化学製品ボイラ・タービン紙・パルプ商業医療

その他の鉱物非アルコール飲料道路輸送機械農業機械セメント製品

分類不明放送研究他の矼気機械本務用品

発近機械鉄道輸送機械金■製品他の運輸機械レンガ・タイル等飼料その他の機械建設乗畉鉱石

特殊産業用機械

日用化学品ゴム製品その他の■気機器脱械修理化学肥料

その他の製造品ガラス製品Ⅲ子計算機皮革

その他の非金凪鉱物生産その他食料漁乗化学基礎製品日用機械百類公務H1密機械及びその他の計算機具ヨ]園

1.46157

1.42449

1.24841

1.22496

1.22063

1.21251

1.19990

1.18974

1.18402

1.18228

1.17959

1.16980

1.15796

1.15334

1.14756

1.1“13

1.14317

1.14275

1.14202

1.14049

1.13622

1.13231

1.12974

1.12667

1.12318

1.11517

1.11155

1.10900

1.10114

1.09465

1.09439

1.09233

1.07439

1.07270

1.07013

1.06927

1.08758

1.06740

1.08651

1.06205

1.06008

1.04476

1.04032

1.03985

1.03520

1.03245

1.02904

1.02288

1.01844

1.01470

1.00594

1.00202

1.00039

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第3章国際産業構造の依存関係と環境負荷問題64

品、飼料、畜産等が上位となっている。他地域日本において、農業関係の部門の影響力が大きいとい

う結果は興味深い。日本におけるこれらの農業関係部門は、高投入型産業であることを示唆する結果

であるのかも知れない。

第三に、他方、北京の感応度係数では、20部門が1を超える産業となっており、商業、銀行・保

険、有機化学製品、化学肥料、石炭・石油製品、金属製品、農業などが上位産業となっている。この

うち、商業の感応度は6を超えており極めて高い。また、化学関連部門への需要が高いことも北京の

特徴となっている。影響力係数では、53部門が1を超える産業となっていて、今回対象とした3地

域の中では一番部門数が多い結果となった。上位産業としては、屠畜、畜産食料品、プラスチック製

品、非鉄金属、日用電気機器7,化学繊維などである。

M各地域への輸出の誘発効果

前節で得られた逆行列表からいよいよ各地域での誘発生産額を求める。その結果が、表3.9,表3.10

である。

表3.9から、北京に対する東京での誘発生産額は約25億4,907万円で、他地域日本における誘発

生産額は約889億7,541万円であったことが分かる。

先の、東京から北京への推定輸出総額EXTBは約18億9,122万円であったので、その乗数効果は

約1.35倍となる。他方、他地域日本から北京への推定輸出総額EXOBは390億6,745万円であった

ので、乗数効果は約2.28倍であった。北京への輸出においては他地域日本の乗数効果のほうが大き

くなったのは、多くの産業部門が東京以外の地域に存在するために、波及効果自体も大きくなるもの

と解釈できる。より正確に言えば、先に見た影響力係数と感応度係数において、反応度合いの高い部

門数が他地域日本でより多かったことに関係して、最終的な波及効果が大きくなっていると言えるの

である。

これに対して、表3.10によれば、北京からの輸出の誘発生産額は、東京に対するものが約372億

761万円、他地域日本に対してのものが約572億3,030万円となっている。

先の、北京から東京への推定輸出額EXBTは約167億29万円であったので、その乗数効果は約

223倍となる。また、北京から他地域日本への推定輸出EXBoは約277億535万円であったので、

乗数効果は約2.07倍となる。日本側からとは逆に、北京の輸出では、東京への乗数効果のほうが他

地域日本に対するそれよりも、若干ではあるが大きいという結果になった。これは、東京が北京の消

費者としての性格がより強い傾向を持っていること、また、東京への輸出が北京における影響力のあ

る産業から多く出されているということを示唆する。

また、北京での誘発額と東京でのそれとの単純倍率は約14.6倍であるのに対し、北京と他地域日

本での誘発額との比較では0.64倍でしかない。すなわち、北京にとっては東京はより誘発効果の出

やすい輸出先となっているのに対し、日本側では、東京よりも他地域のほうが北京によって大きな誘

発効果を受けているということになるのである。

更に、産業別に見れば、次のような特徴を見ることが出来る。

1.日本(東京、他地域)から北京の輸出においては、総じて機械設備関係の財が多い。

2先に推定された直接輸出額に比例する形で、最終的な生産額も誘発されていることが分かる。

その結果、道路輸送機械、その他の電気設備・通信機械、ガラス製品、鉄鋼、特定産業用機械

等が上位の誘発額となっている。

7テレビ、ラジオ、音響機器、磁気テープ等。

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36.各地域への輸出の誘発効果 65

表3.9:日本側から北京への輸出による日本側での誘発生産額1M1m戸■■■

鵬蝿列釘死品鈍切鐙侭幽“卯的““〃刀疋刀刀乃乃刀乃乃〃〃堕幻鈎妬〃78妬鋼

合計2549.074795 合計88975.41187

咽哩叩吋叩哩叩啄唖噸唖噸函、叩叩叩咽卿呵幽叩幽唖晒叩咽配、噸唖、駆加函

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第3章国際産業構造の依存関係と環境負荷問題

表3.10:北京から日本側への輸出による北京での誘発生産額

66

qUDun北京→虫立による北京での毎■牛空■(単位:100万円)趣立→Qh地域日本による北立での牌■牛■■’

'0

''

'2

37イヴ6789

777777“幻翠諏郷諮勿〃勿勿鋤列鉋銅幻妬妬卵如勿初仰狸何幻術妬

7J忽忽釦釘鑓鋼釦鏑死釘勿釦〃町飽卵阿〃〃〃〃“〃〃だ刀刈乃乃刀乃乃拠α堕錨捌倒釦印釦捌

、町嘩加噸、幽噸加噸mmm噸噸翅加瀬加叩、噸噸mmm趣噸噸旭、噸噸獅馴駆、噸噸駆噸迩趣噸獅卿四mm即噸、噸噸噸獅剛加配卿蠅噸町叩噸服、、噸噸唖醐咄啄醐噸蠅晒噸叫叩叩叩蠅噸唖噸叩噸

栗田

商金

衣服公共サービス

その他の-NHサービス印刷放送電力・熱不動産金田製品石炭製品・石油粕製一般飲食店繊維研究

有機化学製品事務用品畜産通信鉄逝輸送鉄鋼紙・パルプ家具亜股業道路H1選化学肥料農業他の色気機械その他の機械その他の製造品と宙・食肉加エ飼料非鉄金属ガラス製品機械修理日用化学品教官その他食料プラスチック製品孟子計算機レンガ・タイル等ゴム製品皮革特殊産業用機械医襲品道路輸送機械医療木製品その他の鉱物食料・油脂セメント

航空輸送酒類その他の色気機器崩案石炭案化学繊維化学基礎製品非アルコール飲料その他の非金属鉱物生産ボイラ・タービン鉄道輸送機械糖密機械及びその他の計算機具セメント製品水道分顛不明箱製糖鉄鉱石水上輸送発色機械他の運輸機械林業民生用電気機械色気春99機器その他の化学製品金属加下機械農業機械窯業・士石製品非鉄金瓜鉱期、日用機械陶磁器タバコ魚製品酪農品造船社会祖祉公務原油・天然ガスパイプライン運輸業対空Hfサービス

17327.29794

5330074132

1589.115758

1187.O41738

958.4298859

954.5235977

684.5872975

544.0545822

535.18498

508.7558081

498.2507783

455.3073035

409.1971746

393.6276889

350.6133908

3329838302

330.181“75

316.418715

291.9312537

291.2538385

228.0030158

224.7643438

21段7824815200.4736571

197.8849536

175.3135559

173.9585578

161.9544266

149.0841396

141.461891

128.4319147

116.9195991

108.0248975

105.1079785

94.70176264

86.23036823

85.89643109

8298665763

75.14053668

74.48253827

89.87117473

67.48747327

81.5739282,

59.96932807

59.23852972

57.38644027

53.91522909

527976189フ

40.51780097

40.01726891

38.58785691

38.21417256

37.93808071

34.79010735

34.04612259

3281818982

28.11648523

27.43668994

26.8281789

26.59930156

26.088266

21.26676176

20.203四374

17.77797023

17.239猟852

17.22616749

15.84333938

15.31473646

14.09007752

13.95210551

13.50783311

8066978742

8.010831832

3.748298191

3741249308

2804170896

2295275511

1,”570982

1.44273871(

0.841137618

0.807426252

0.816236588

0.59354073(

0.027470308

7.61294E-14

8.43323E-21

加迩、卿噸剛加加蠅、、噸噸”駆噸mmmm潅加、噸、汕噸加哩噸屹脈啄唾噸獅噸噸、配噸噸、噸咽呵噸皿幽哩卿、呵哩剛叩匝唖噸蠅叩噸呵蠅卿、噸啄唖恥叩呵卿噸皿””叩咽蠅叩叩叫魎噸函晒叩卿

巣園田維産

商衣金繊畜

鉄鋼石炭製品・石油粕製公共サービス

その他の一般サービス印國農業有機化学製品放送■力・熱化学肥料金属製品飼料事務用品その他食料木製品家具不動産一般飲食店研究道路輸送その他の鉱物非鉄金属鉄道輸送他の色気機械皮革と宙・食肉加エ通但その他の機械紙・パルプその他の製造品化学繊維愈子計算機建股案航空輸送医薬品ゴム製品ガラス製品食料・油脂その他の色気機器化学基礎製品機械修理プラスチック製品泡案日用化学品特殊産業用機械医療酒類道路輸送機械敏宵発電機械非アルコール飲料林業レンガ・タイル等

石炭案その他の非金属鉱物生産粕製紬分類不明民生用低気機械セメント

ポイラ・タービン

水上輸送粕密U、械及びその他の計算機具その他の化学製品他の運輸機械鉄道輸送機械水道鉄鉱石セメント製品

農業機械非鉄金凪qk物金田加T機械低気音響機器魚製品日用機械窯業・士石製品タバコ酪農品陶磁器i置船社会祖祉公務原油・天然ガスパイプライン運輸業対宝叶サービス

15211.35807

9844.927219

5209278617

3238.052789

1613.008704

1229.134949

1200025364

1164.217783

1097.258519

995.6136369

980.8860133

909.6036826

864.1703024

773.1937286

692686523

659.0831678

619.9196715

584.7446307

583.0809428

544326819

527.9286313

511.8190917

473.2517274

458.3892093

413.705246

410.8638241

390.0098179

381.4008114

347.074982

307.3256581

297.9598362

292748327

277.508181

270.5384229

257.2578852

218.8816941

218.593389

208.5609428

1925895041

164.18,、”、

158.6983548

145.8348010

129.1027994

128.3306259

126.1437223

1222071119

119.6694923

118.0049202

113.9185323

107.5479729

105.7317568

104.9564875

100.1613881

86.99879032

75.55081504

75.53771891

73541045鯛

7203464115

64.40957548

56.25952780

511115313

49.6458808

48.59172478

39.96521459

37.71896961

3a84852490

3al7493361

34.26748781

3257892589

31.60274804

28.10299555

25.61740329

2且59522122

2275098218

224215871

1011253074

9.144230344

7.68434012

5.892109771

5.32800311

5.264788894

4.298360581

3.60996592

0.4307594割6.51274E-14

z41104E-2(

合計 37207.81018 合計 57230.30215

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3.7.誘発効果によるエネルギー消費と二酸化炭素排出量の測定方法 67

3.東京では銀行・保険という金融関連産業や不動産などのサービス関連部門も、北京への輸出に

よって大きな波及効果を受けている。

4.商業関連(卸・小売)産業は、特に他地域日本において大きな波及効果を受けている。

5.他方、北京では商業、銀行・保険、公務などサービス関連部門が大きな誘発額を生み出している。

6.製造関連では、衣服、繊維、印刷等の部門が上位となっている。

7.総じて、北京においてはサービス関連における波及効果の大きさが目立つ結果となっている。

以上が、推定輸出額によってもたらされた誘発生産額の結果つとなっている。では、このような経

済的な波及効果は、どの程度の環境負荷をもたらすものであるのかを次に見てみよう。

3.7誘発効果によるエネルギー消費と二酸化炭素排出量の測定方法

前節までの計測結果を元に、続いて、89部門分類ごとの環境負荷原単位(単位生産額当たりの環

境負荷量)を求め、貿易によって各部門に直接・間接に誘発される生産にともなって発生する環境負

荷を計測する。ここではデータの制約から入手の比較的容易なエネルギー消費量とそれに基づいて

推計した二酸化炭素排出量を環境負荷量として採用する。

各業種のエネルギー消費量は、日本8、東京都9、中国10、北京市11の各エネルギーバランス表から

推計した。産業連関表の業種分類はエネルギーバランス表でいう-次エネルギー供部門、エネルギー

転換部門、最終需要部門が混在する。ここでは、大きく一次エネルギー供給部門とエネルギー転換部

門をエネルギー供給産業とし、その他をエネルギー需要産業としてエネルギー消費量の推計方法を

説明する。

まずエネルギー供給産業であるが、産業連関表の部門分類で該当するのは、(1)石炭採掘業、(2)

石油・天然ガス採掘業、(3)石油精製・石炭製品製造業、(4)電力・熱及びガス業である。前者2

業種が一次エネルギー供給部門、後者2業種がエネルギー転換部門にそれぞれ対応する。一般にエネ

ルギーバランス表ではエネルギー種がさまざまな形で細かく分かれているが、4つのエネルギー供

給産業に対応するように、(A)石炭、(B)原油・天然ガス、(C)石油製品・石炭製品、(D)電気・

ガスに大別してまとめる。その上で、エネルギー供給産業の正味のエネルギー消費量を次のように特

定する。まず、一次エネルギー供給業については、(1)石炭採掘業では(A)石炭を、(2)原油・

天然ガス採掘業では(B)石油・天然ガスを、それぞれが生産する際に発生させたエネルギーの分配

ロス分をエネルギー消費量とする。次に、エネルギー転換部門である(3)石油精製石炭製品製造

業、(4)電力・熱及びガス業では、それぞれ(C)石油製品・石炭製品、(D)電気・ガスの生産に

伴う分配ロスに加えて、各エネルギー転換プロセスで失った転換ロス分をエネルギー消費量とする。

エネルギー供給産業以外の業種はエネルギー最終消費部門に含まれる。ここで、エネルギー最終

消費部門の部門分類は産業連関表の89部門分類よりも粗いため、産業連関表の各業種のエネルギー

消費量は、(1)~(4)のエネルギー供給産業から各部門への生産額を用いてそれぞれ按分推計す

る.例えば、日本のエネルギーバランス表では最終消費部門のひとつである農林水産業が、産業連関

表では農業、林業、畜産業、漁業の4つに分かれている。そこで、これら4業種の原油・天然ガス

8資源エネルギー庁[93]o9東京都環境局[95]・10中国国家統計局[88lo11中国国家統計局[88]。

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第3章国際産業構造の依存関係と環境負荷問題68

の消費量は、エネルギーバランス表における農林水産業の原油・天然ガス消費量を、産業連関表の

石油・天然ガス採掘業から各4業種への生産額に応じて按分して求める。以上の方法により、エネル

ギーバランス表から得られる部門別エネルギー消費量は産業連関表の部門分類すべてに配分される。

最後に、全国の値から東京都の値を引いて日本のその他地域の値とした。

さて、89部門すべてについて4種類のエネルギー消費量を特定した後は、エネルギ-種ごとの二

酸化炭素排出原単位を乗じて二酸化炭素に変換する。基本的には、日本については環境省で公表して

いる数値、中国はIPCCの推奨値を用いた。ここで、(B)原油・天然ガスの合成エネルギーについ

ては原油の原単位を、(C)石油・石炭製品についてはガソリンの原単位を、(D)電力・熱及びガス

業については電力の原単位(全国値)を用いた。ただし、中国については発電の燃料構成に立ち戻っ

て推計し、東京都については東京電力の原単位を用いた。

ところで、電力の原単位の扱いには注意が必要である。産業連関表にはエネルギー供給部門(発電

端)と最終部門(需要端)が存在しているので、ここでは次のような方法で電力・熱及びガス業での

二酸化炭素排出量とした。先に説明したとおり、エネルギー供給部門では発電ロス分を電力業でのエ

ネルギー消費量として配分しているので、本研究ではこの発電効率を用いて、供給部門と最終部門の

各々に二酸化炭素排出量を按分することにした。以上により89部門の部門別二酸化炭素排出量を推

計した。

最後に、得られた部門別エネルギー消費量と二酸化炭素排出量を各部門の生産額で除し、単位生産

額当たりのエネルギー消費量、二酸化炭素消費量を推計した。この値に誘発生産額を乗じて誘発エネ

ルギー効果、誘発二酸化炭素排出量を推計することができる。

3.8計測されたエネルギー消費と二酸化炭素排出量の結果

以上の手続きによって計算した結果をまとめたものが、表3.11である。この表における「直接」と

は先の方法によって推定した相手先への輸出のことであり、「誘発」とはこの推定輸出によってもた

らされた当該地域での誘発値のことである。

この表によれば、第一に、東京と北京との間では、直接、誘発ともに、輸出額に応じてエネルギー

消費量やCO2排出量も多くなっている。東京から北京への輸出に伴うエネルギー消費量やCO2排

出量は、直接で0.O161PJと1,033t-CO2、誘発で0.O187PJと1,192t-CO2であるが、北京から東京

向けの輸出による量は、直接でO4040PJと35,O57t-CO2、誘発で2.8352PJと246,391t‐CO2となっ

ていて、共に東京向け輸出のほうが多いことが分かる。

だが第二に、北京と他地域日本を比べると、輸出額の順序は北京く他地域日本(直接で27,705<

39,067百万円、誘発で57,230<88,975百万円)であるのに対して、エネルギー消費量とCO2排出

量の11原位は他地域日本く北京と逆転していることが分かる(直接で2.0129>O6234PJ、163,359>

39,846t-CO2、誘発で5.8978>2.4393PJ、498,078>156,559t-CO2)。これは注目すべき結果であ

るが、北京の輸出がエネルギー多消費部門を経由して生産が行なわれていることを示唆するもので

ある。

第三に、誘発の対直接比率(表中の(2)/(1)比)を求めると、北京から東京向けが最も倍率が高く、生産額で2.22倍の比率が、エネルギー消費量で7.02倍、CO2排出量で7.03倍となっていて、

他の結果に比べてかなり大きいことが分かる。これに次ぐものは、他地域日本から北京への輸出で、

生産額で2.23倍が、エネルギー消費量で3.91倍、CO2排出量で3.93倍である。この北京の倍率の

高さは、上記の点と同様、北京の輸出がエネルギー多消費部門を経由して生産が行なわれていること

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3.8.計測されたエネルギー消費と二酸化炭素排出量の結果 69

表3.11:地域間でのエネルギー消費量と発生CO2量の比較表

(歯生産額の単位:100万円、エネルギー消費量の単位:PJ、CO2排出丘の単位:(t-CO2)

消費エネルギー且しま生CO2丘

日本日本中国東京その他日本北京

総量

生産額152,765,661768,717,0634,880,264エネ消費丘612.614,834.2682.9CO2排出巳38.192.6809460539.93157,471,683

→北京

(1)直接生産額1,89139,067エネ消費且0.01610.6234便、ワ土生朋吾1nQQ(ワ)/rl)H2nqR4R(,)/(1)佳

(2)溌発生産額2,5491.34888,9752.277

エネ消費量001871,1642.43933.913CO2排出巳1.1921.15315605593.929

→東京

(1)直接生産額16,700

エネ消費且 0.4040

便、。」かLHB qRnR7(2)/(1)吐

(2)誘発生産額37,2082228

エネ消喪且 2.83527.018

CO2橡出■ 246,3917.028

一その他日本

(1)直接生産額27,705

エネ消費丘 2.0129

便、ワゴ全トト1巳 1RnnRq(2)/(1)比

(2)露発生産額57,2302.066

エネ消費且 5.89782.930

CO2橡出畳 498,0783.049

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70 第3章国際産業構造の依存関係と環境負荷問題

表3.12:東京と北京における発生環境負荷の比較

東京と北京の環境負荷比較

場所取引 効果

生産(100万円)

直接誘発間接効果一泉一泉

東北 東京一北京(A)

北京→東京(B)(B)/(A)

1891.21883

16700.28603

88

2549.07479

37207.61018

1406

657.85596

20507.32415

31.2

エネ消費(PJ)

直接誘発間接効果

東京_北京(A)北京→東京(B)

(B)/(A)

一泉一泉

東北 0.01609

0.40399

25.1

0.01873

2.83517

151.4

0.00264

2.43118

921.5

CO2(t-CO2)

直接誘発間接効果一尿一泉

東北 東京_北京(A)

北京→東京(B)(B)/(A)

1033.49022

35057.27873

33.9

1191.67291

246391.12649

206.8

158.18269

211333.84776

1,336.0

を示唆するもので、検討を要するべき結果である。

そこで、次に東京と北京との関係が、どの程度訓そこで、次に東京と北京との関係が、どの程度非対称的であるのかを見るために、直接効果と間接

効果との倍率を比較してみよう。それが表3.12である。表における「間接効果」とは、誘発生産額

から直接輸出額を引くことで求めたものであり、直接の需要を受けて波及していく間接生産の全ての

効果と解釈することができる部分である。

表の一番の生産額比較を見れば、東京は北京に輸出することよりも、北京から多くを輸入している

関係であることがハッキリ分かる。その倍率は、直接で8.8倍、誘発で14.6倍となっていて、間接

効果だけを取り出せば31.2倍になっている。

だが、注目すべきことに、この倍率は、エネルギー消費やCO2排出量の効果で見ると、更に大き

くなっている。例えば、エネルギー消費では、北京は直接で25.1倍、誘発だと151.4倍、CO2排出

では、直接33.9倍、誘発では206.8倍もの環境負荷を発生させている。しかも、間接効果で見ると、

エネルギー消費では、北京が東京の921.5倍、CO2排出量では、北京は東京のなんと1,336倍にも

なっていることが分かる。

すなわち、東京の北京からの輸入が北京に与える環境負荷は、北京が東京から輸入することによる

東京への環境負荷に比べると、輸出額同士の比よりもはるかに大きい。しかもそれは、直接的な輸出

による効果以上に、その後、各城内で波及する間接効果による負荷のほうがより深刻であるという結

果になっており、北京における生産構造が、より環境負荷をもたらしやすい波及構造になっているこ

とを示唆するものになっている。これが、各地域が国際間取引で引き起こすと考えられる誘発環境負

荷である。

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3.8.計測されたエネルギー消費と二酸化炭素排出量の結果 71

表3.13:東京と北京の誘発効果における上位20部門北京→京京の圃聯効果エネルギー消受CO2 厭発生産団

麟発生産函京京→北京の厩発効果エネルギー消受 002

qUpP:【

このような結果が、どうしてももたらされるのか、その原因を表3.13によって概観しておこう。

この表は、北京における誘発量と東京での誘発量を、エネルギー消費、CO2排出量、輸出(生産)額

のそれぞれについて上位20部門ずつを抜き出したものである。

表3.13によれば、北京での誘発効果では、エネルギー消費とCO2排出の上位5部門は、輸出額の

上位20部門の中に全て含まれている。北京での大量のエネルギー消費やCO2排出は、輸出額自体

が多いことによってもたらされていることが分かる。しかも、これらの産業には、電力・熱、商業、

銀行・保険、公共サービスなどのサービス関連部門が含まれている。一般にサービス関連産業は、最

終財産業であることから、感応度係数の高い産業である。実際、先の表3.8における感応度係数上位

20部門を見れば、これら4部門と鉄鋼を含めた5部門全てが1を超える高い感応度係数を有してい

る。また、北京の生産構造の特徴として、商業は影響力係数が高い部門にもなっている。このような

北京の生産構造の特徴から、輸出に伴う北京での間接効果は多くの環境負荷をもたらしたものと考

えられる。

これに対して、東京での誘発効果では、エネルギー消費とCO2排出の上位5部門のうち、輸出額

の上位20部門に入るのは3部門だけであり、エネルギー多消費部門が必ずしも多くの輸出額となつ

'0

H2

'3

'3

'5

'6

ノア

'8

'9

2り

胆位:PJ=10~15J 坦位:伝CO2 単位:100万円

'

'0

ノノ

'3

'5

'6

ノア

'8

'9

2り

皿位:Pj=10~1且】 単位:t-CO2 単位:100万円

唖67790

m四閲、、

唖620、噸、唖唖咽9759

叫皿、血函噸

速力・鰯

商業

鉄pH金融

公共サービス

d皮逆9h選

化学肥料紙・パルプ

畜産

その他の製造品

道路96送その他の一般サービス

放送

■R雑

金田製品

印刷

通伯

その他の鉱物有機化学製品ガラス製品

0.858

0.299

0.259

0.219

0.203

0.089

0.087

0.087

0.076

0.073

0.073

0.065

0.052

0.048

0.044

0.040

0.038

0.037

0.037

0.033

O”

076

047

087

079

026

070

003

032

068

086

071

084

021

049

075

027

033

043

009

近力・熟

商業

鉄鋼金日、

公共サービス

紙・パルプ

鶴輸送化学肥料その他の製造品その他の一般サービス

逆B釦白送放送

劇蝉

金属製品

通信印団

有機化学製品ガラス製品

その他の鉱物

59540.843

27078.856

2,9型no4

19859.505

18167.555

8063.612

7496.656

7073211

MOq937

6089.032

5494.129

5192170

4505.884

4103.240

3916.111

3500868

350q269

2873189

2870361

2708.841

O76

087

O22

079

088

027

O84

029

078

049

030

077

021

085

033

028

003

075

070

047

商業

金融

衣服

公共サービス

その他の一般サービス印刷

放送

電力・熟

不動産

金田製品石炭製品・石油輯製

一般飲食店繊維研究

有機化学製品事務用品

畜産

通信

鉄道qh送鉄倒

17327298

533q074

1589.116

1167.042

958430

954.524

684.587

544.O55

53al85

50a756

49a251

45a307

409.197

393028

350.613

332,84

330.161

316.419

291.931

291.254

O43

057

085

047

071

DI1

073

021

026

052

088

086

054

D65

D39

D75

D33

D62

D58

076

ガラス製品

道路9h選機械研究

鉄頂道路輸送

セメント製品吐壷□、豊

徹雄紙・パルプ

特殊塵案用機械薊密機械及びその他の計算祖

その他の一般サービス

日用UH枝

その他の廼気機器

プラスチック製品通恒

有。H化学製品

他の■気機械

0.0126

0.0017

0.0007

0.OOO5

qOOO3

0.O003

0.0003

0.OOO2

qOOO2

0、0002

0.0001

0.0001

0.0001

0.0001

0.0001

0.0001

0.0001

0.0001

0.0001

0.0001

畷7照噸”、晒吋唖

120

26

魔閖唖噸5953

伽、、曲

函26

閲、

ガラス製品

逆B鋼h送機械研究

鉄鋼

澱l薑セメント製品紙・パルプ

繊維

特殊度薬用機械箱密機械及びその他の計1

その他の一般サービス

日用機械

その他の矼気機器

プラスチック製品通侭

有機化学製品造H9

他の近気機械商案

828549

97.709

35.808

28567

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19.692

19.602

12360

11.633

9.519

6.458

6271

6.207

5.986

5.594

4.703

3.946

3.601

3.508

3.381

”噸蝿哩畷噸噸瞬醐卿嘔唖、叩噸咽螂哩咽曄

道路輸送機械その他の五気機器

ガラス91品

特殊産業用担械その他の-毅サービス

粕密機械及びその他の計算1研究

日用機械金Hh

セメント製品

矼子計算機

他の電気8,校商業

不動産

放送

農業機械

電気青野機器事務用品

造船その他の樋械

592765

328.057

245683

170171

124.O89

12q907

10a346

102752

80.576

61.785

48296

41.412

3a639

32619

3u704

27.“8

26.523

26306

26.155

25.137

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第3章国際産業構造の依存関係と環境負荷問題72

ていないことが分かる。また、これら5部門のうち、サービス関連は研究機関と道路輸送だけであ

り、感応度の影響が大きくないのではないかと予想される。実際、表3.6によれば、この2部門は感

応度係数が1を超える部門となっていえるものの、あとの3部門は1未満となっている。また、影

響力係数も、この2部門以外にはガラス製品が1を超える部門になっているだけで、残りの部門の

影響力はそれほど大きくはない。

なお、輸出の筆頭項目となっている道路輸送機械は、東京表の逆行列値の結果では、感応度係数で

0852,89部門中32位、影響力係数では0.986の52位であり、大きな値であるとは言えない。

このようなことから、東京における環境負荷の誘発は、北京から購入されれる部門の特徴から、相

対的にそれほど大きな波及をもたらしていることには至っていないと考えられるのである。

3.9小括

本章では、以下の諸点が明らかとされた。

1.東京及びその他地域日本から北京へ向けた輸出と、北京からこれら2地域に向けた輸出は、国

際連関表と地域連関表を接続することで推定可能である。

2.推定されたそれぞれの輸出額では、北京から東京への輸出は総額で約167億29万円、東京か

ら北京に向けた輸出の約8.83倍であった。このことは、東京が北京にとっての大口消費者と

なっていることを示唆している。

3.逆に、他地域日本から北京への輸出は総額約390億6,745万円で、逆方向の輸入の1.4倍の大

きさとなった。日本の他地域は、東京とは逆に、消費者としてよりも北京への生産者としての

側面が強いと言える。

4.続いて、これらの輸出による各地域での誘発生産額の推定では、東京から北京への輸出による

乗数効果は約1.35倍であった。他方、他地域日本から北京への輸出による乗数効果は約2.28

倍であった。他地域日本の乗数効果のほうが大きくなったのは、多くの産業部門が東京以外の

地域に存在するためではないかと思われる。

5.北京から東京への輸出による乗数効果は約2.23倍で、北京から他地域日本への輸出の乗数効

果は約2.07倍であった。日本側からとは逆に、北京の輸出では、東京への乗数効果のほうが他

地域日本に対するそれよりも、若干大きいという結果になった。

6.北京での誘発額と東京でのそれとの単純倍率は約14.6倍であるのに対し、北京と他地域日本

での誘発額との倍率は0.64倍であった。北京にとっては東京はより誘発効果の出やすい輸出先

となっているのに対し、日本側では、東京よりも他地域のほうが北京によって大きな誘発効果

を受けている。

7.産業別では、日本(東京、他地域)から北京の輸出においては、総じて機械設備関係の財が多

いのが特徴である。他方、北京では商業、銀行・保険、公務などサービス関連部門が大きな誘

発額を生み出しており、総じてサービス関連における波及効果の大きさが目立つ。

8.以上の波及効果に伴うエネルギー消費量やCO2排出量による計算では、北京における結果が

より深刻であることが示された。

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3.9.小括 73

9.直接輸出額や誘発生産額そのものでは、他地域日本が北京におけるそれより大きいにもかかわ

らず、エネルギー消費量とCO2排出量では北京のほうが数倍大きい結果となった。

10.更に、東京と北京の間では、輸出額そのものも北京のほうが大きいこともあり、エネルギー消

費量とCO2排出は北京でより加速度的に大きくなった。北京における誘発環境負荷は、北京

向け輸出による東京での誘発環境負荷の数百倍であり、間接効果だけを見れば1,000倍前後に

もなっている。

11.これらの結果は、東京向け輸出において、サービス関連部門等の最終財が多く消費され、結果

としてそれらの部門がエネルギー消費やCO2排出のより多い部門になるという、北京の生産

構造の特徴によってもたらされていると考えられる。

本章の特徴は、各都市レベルの連関表から、自国の輸出入シェアによって他都市との相互依存関係

を計測し、更に、その輸出を生み出す際の波及効果と発生環境負荷を計測したことにある。国際間の

都市レベルにおける相互発生環境負荷を計測した先行研究は他にない。

分析結果からは、北京から東京向けの輸出規模が、東京から北京向けのそれよりもかなり大きなこ

とが分かった。逆に、他地域日本から北京向けの輸出は、北京からのそれよりも大きなことが分かっ

た。すなわち、東京は北京の消費者としての性格が強く、他地域日本は北京の生産者としての性格が

強いということであった。

だが、しかし、より注目すべきなのは、このような輸出額が、とりわけ北京において甚大な環境

負荷を発生させているということである。特に、北京での誘発生産額の間接効果に伴う環境負荷は、

東京の1,300倍以上に及んでいることが分かった。

このような結果の政策的な含意は、自国における経済政策及び環境政策を、国際的な相互依存を常

に考慮しながら、自国内だけではなく国際協調政策の中で行なう必要があるということである。すな

わち、他国と自国における輸入依存度、貿易相手国の規模と種類、及び、相手国におけるエネルギー

効率等を考慮しながら、-国レベルではなく、2国及び多国間において協調的に経済・環境政策を行

なう要があるだろう。

本章における、残された課題は、第一に、最新のデータで本章で確認された構造が維持されている

かどうかを追いかけることである。本章では、三つの連関表の入手可能性から、90年の日中10表を

中心に、92年の北京表と90年の東京表を利用した。現在、アジア経済研究所は2000年のアジア表

に日中を含める形でデータを作成中であるので、それが発表され次第、今度は97年や02年の北京

表、95年の東京表などと接合させていく必要があるだろう。第二に、方法論的な接合問題について

検討することである。中国側と日本側では、10表の発表年数が異なるので、延長表を作成するなど

で、時点のずれを調整する必要があるかも知れない。第三に、本章の分析を出発点に、時点間比較に

よる経年変化を分析することである。現在、北京表は97年と2002年が公表されているので、差し

当たり、97年北京表と95年の東京表とで、5年後の依存関係の変化を分析したい。また、最新版の

東京表と2000年版のアジア連関表などが公表され次第、3時点での比較を行なう。

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74

第4章経済時系列のデータ分析

4.1本章の目的と課題

本章の目的は、68SNAと93SNAのマクロ経済データを接続し、その時系列変化がどのような状

態になっているのかを分析することである'・

日本経済の長期の状態を分析する場合、時系列データは不可欠である。しかし、不幸なことに、日

本のマクロデータは、第二次大戦時における断絶を経験しただけではなく、戦後も国連を中心とする

国際的な統計基準に合わせるべく、数度の改定を余儀なくされてきた。その一つの例がSNA(System

ofNationalAccount)である。

特に、2000年10月に日本はそれまでの68SNAから93SNAへと大規模な移行を行い、それに伴っ

て、統計概念自体も改訂された2゜そのことによりマクロデータは90年代の後半で93SNA方式に統

計が切り替わってしまい、それまでの時系列データとは断絶される状態となっている。

統計の国際規格化自体は必要不可欠なことであるが、長期の時系列データが断絶してしまうこと

は、時間的変化を分析する経済研究にとっては致命的とも言える問題である。とりわけ、90年代の

日本経済は、「失われた10年」とも言われるほどの長期不況の真っ只中にあり、90年代の実証的分

析は極めて重要であることは言うまでもない。長期不況の日本経済を分析しようとする先行研究は

既に数多いが、多くの実証研究ではデータの取り扱いに苦労しているものの、データの接合そのもの

に関する研究は多いとは言えない。68SNAと93SNAのデータとを接続して分析する試みとしては、

例えば、原田・吉岡[14]がある。そこでは四半期データを用いて1980年の第1四半期で68SNAと93SNAに接続する事で長期分析をしている3.産業別のストック推計を試みているものとしては、深

尾・宮川[9]などがあるが、データの枠組み的にはむしろ68SNAに準拠している。鎌田・増田[41]では、統計の計測誤差がTFPやGDPギャップなどの推計にどのような影響を与えるかを分析して

いるが、基本的に理論研究である。

また、時系列データによる多くの経済研究では、四半期、月次、日報などのデータによってデータ

の標本数を確保する試みが採られるが、長期にわたる時系列分析では、上述のSNA改訂問題によっ

て年次の十分な系列を採用できていないという状況がある。

以上のことから、戦後50年と今後も継続するであろうマクロ年次データを用いて日本経済分析が

行える統計データを加工・整備する試みとして、本章では68SNAに93SNAのデータを直接接続し

た場合、いかなるデータ的特質が生じるかを検討する。

以下では、まず、データの加工に関しての基本的な考え方を述べる。続いて、加工データの単位根

’本章の内容は、2005年9月17,18日に開催された日本経済学会秋季大会で報告された提出論文に加筆修正したものである。コメントを頂いた学習院大学の宮川努先生、一橋大学の斯波恒正先生には記して感謝したい。本稿における誤謬は、全て筆者に帰するものである。

また、本章の内容は拙稿「加工マクロ経済データの構造変化検定」『社会文化研究』,第31巻,2005.12に加筆したものである。

293SNAへの移行の歴史的経緯とその概念については、倉林[42]参照。また、最新の解説に関しては内閣府[51][52]を参照。

3但し、接続方式は必ずしも明らかではない。

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4.2.データの加工について 75

検定のための棄却域設定を行い、実際に検定を行う。更に、作成された実質GDPデータの構造変化

の検定を行う。また、マクロデータに不可欠な不突合データについても同様の検定を行う。最後に、

簡単なまとめを述べる。

4.2データの加工について

本章では、マクロ経済データによる統計的な分析を行なう。分析で使用された長期時系列データ

は、データの入手が可能な1955年から2000年までの46年間で作成した。

使用データは、基本的に内閣府が発表する『国民経済計算年報』等に掲載されているSNAデータ

である。このデータは日経メディアマーケティング社が提供する日経NEEDSデータによって電子

媒体でも販売されており、長期系列について入手可能となっている4.

但し、データの利用上、次のような注意が必要である。

第一に、データの掲載期間は1955年からだが、調査時点の基礎統計等の変更に伴い3種類ほどの

データが存在してる。まず、68SNAに準拠した85年基準と90年基準が存在し、次に、93SNAに準

拠した95年基準のものが並存している5.

第二に、この種類に応じて、データ掲載期間に違いが存在している。例えば、85年基準のデータ

は55年から93年まで、90年基準のデータは55年から98年まで、そして、93SNA95年基準のデー

タは90年から01年までが掲載期間になっている6.

第三に、各データ間の共通する掲載期間におけるデータの値には違いが存在している。例えば、

68SNAのデータ同士では、86年以降93年までの期間において、85年基準と90年基準とデータに

違いがある。だが、その理由は明らかではない。

第四に、68SNAから93SNAへの移行には大きな改訂が行われたため、所得概念の充実化や無形

固定資本の詳細化などにより、93SNAに準拠したデータのほうが大きめに推計されるというバイア

スが存在している。

これらを踏まえた上で、我々はデータの期種が年次の名目値を利用している7.また、実質値とデ

フレータを次のように求めている8。

まず、基本的に名目値をインプリシット・デフレータにより実質化することで実質値を得ることと

した。但し、インプリシット・デフレータは、経済活動別の製造業デフレータの場合、1955-90年

の期間は「製造業デフレータ」として-種類の指標しか公表されていない為、データで公表されてい

る名目値を実質値で除すことで、インプリシットに求めることとした。

具体的なデフレータの作成方法は、データの掲載期間に応じて、95年デフレータ、90年デフレー

タ、85年デフレータを作成し、その上で、それらを90年基準のデフレータに統一し接合する方法を

取った。これにより、55年から01年までの90年基準価格指数系列を作成した9。

4使用したデータは、基本的に2004年時点で入手可能な日経NEEDSデータである。データのダウンロードとその加工

は、神戸商科大学の斎藤清教授が開発されたXCAMPUSプログラムを利用させて頂いた。斎藤[63]。5例えば、国内総生産GDpデータであれば、85年基準はGDP&、90年基準はGDPBY90、そして95年基準はGDP

として掲載されている。

6データによっては2003年まで掲載されているものもある。7データのサンプル数確保の観点で言えば、四半期データのほうが望ましいかもしれない。だが、後に見るように、本章で

利用する経済活動別(産業別)の分析は基本的に年次データのみ利用可能なので、年吹データを分析の基本とした。本章では、特に断りのない限り年次データを利用した分析となる。四半期データは必要に応じて利用している。

8なお、本章では2004年11月以降に改訂された「連鎖型」のデフレータではなく、従来の「固定基準型」のデフレータを用いている。

9但し、経済活動別デフレータにおいては、石油・石炭だけが、実質生産額85年基準の85年以降に異常値が見られた為、次の手続きでデフレータ55-00を作成した。

(1)85年基準のデフレータ55-93を作成。(2)90年基準のデフレータ70-98を作成し、それを85年基準に変換する。

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第4章経済時系列のデータ分析

図4.1:接続加工したGDPデータの推移

個圃。■〒→のI準

76

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国民経済計算データとそのデータベースである日経NEEDSが有するデータの以上の特徴を考慮

しつつ、次の要領で46年間の時系列データを作成し、分析の基礎データとした。

すなわち、第一に、55年から89年までの名目値には68SNA準拠90年基準の名目値を採用し、90

年以降2000年までの期間は、93SNA95年基準の名目値を直接接続した。93SNAのデータの直接接

続は、時系列データの連続性を考える限り望ましいことではない。だが、後に触れるように、名目

値、実質値共に、レベル変数においては単位根は棄却されず、1階の階差を用いた成長率データでの

単位根は5%水準で棄却されるため、前者はI(1)変数として、後者は定常変数として採用することとした。

第二に、デフレータは、前述の方法によって得られた価格基準の異なる3種類のデフレータを90

年基準に統一し、46年間のデフレータとした。

用意されたデータは、マクロ経済の三面等価を前提とした需要、生産、付加価値の各集計値である。

但し、ここで付加価値項目については注意を要する。理論上、名目付加価値項目の合計(雇用者所

得から間接税一補助金までの合計)と名目GDPは一致していなければいけない。SNAでは、産業

別(経済活動別)にも付加価値項目は存在しているので、これらの合計(産業小計)によっても生

産額を求めることは出来る。だが、この生産額はGDPとは一致しない。なぜなら、SNAの経済活

動別費目の中の輸入税、帰属利子控除分、消費税控除分10は別立て項目として処理されているので、

これらの項目を含めた合計額にしなければGDPにはならないからである。産業別小計と輸入税一帰

属利子一消費税との合計を求めれば、理論上はGDPと一致する。だが、実際には統計上の誤差が発

生する。

この両者の差額は、統合勘定や経済活動別の国内総生産における不突合値と一致しなければいけ

ない。但し、我々の計算においては、この差額は不突合値と若干の差異が生じる結果となった'1.他

方、付加価値の各項目には、-国全体のものが存在しているが、これによる名目値合計は名目GDP

(3)上記の両デフレータを85年接続し、デフレータ55-98年を作成。これで、85年デフレータの85年以降の異常値を切り

捨てる。(4)最後に、上記の新デフレータと、別途作成のデフレータ95の90年基準変換値とを接続し、作業完了。

’0「総資本形成に係る消費税」11「国民経済計算年報」上においては、両者の差額は不突合値と一致している。だが、NEEDSデータの名目値による我汽

の計算によれば、絶対値で最大83億円(誤差率0.059%)、平均34億円(同0.008%)程度の差異が発生する結果となった。

この齪酪の主な原因は、データ加工上の誤差であると思われる。

鱗鑿鱸ii11鍵灘鱗;

i鱸iliiiiiilll鑿il鍵!iiiilii1i;蝋jii;鱸i1鰯iiji鍵i1i鍵ii蝋Ii蕊ii蝋;i鍵議iii鱸i蕊艤蕊欝灘蕊鱗i驫鍵i繍灘i鑿|議鐵鱗繼i議鍵川繊ii欝鍵

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4.3.単位根検定のためのモンテカルロ・シミュレーション 77

とほぼ一致する結果となった。また、実質値の場合、産業別実質値の合計による付加価値面での計算

誤差は、生産面での実質不突合値とほぼ同じ値となった。

そこで本章では、付加価値項目の名目値は一国全体の付加価値項目を用い、実質値のほうは産業別

小計と実質化された「輸入税一帰属利子一消費税」との合計による付加価値項目を用いることとして

いる。

4.3単位根検定のためのモンテカルロ・シミュレーション

前節の方法で作成した46年間の時系列データについて、次に、単位根検定をしておく。

但し、EViewsなどの統計パッケージソフトによる単位根検定は、MacKinnon[43]の漸近分布による検定棄却域が採用されている12゜だが、本章では標本数が高々46程度のスモールサイズであるの

で、小標本による棄却域がどの程度になるのかを確認しておく必要があるだろう。

そこで、ここでは、46個のサンプルサイズ用の単位根検定の棄却水準を考えるために、最も単純な

単位根のARモデルを考え、モンテカルロ・シミュレーションにより相応しい棄却水準を求めたい。

シミュレーション・モデルは以下の式である。

まず始めに検定したい時系列モデルは以下通りである。

(1-βL)眺=ut ut~、.M(0,。;).

ここでLは、ラグオペレータである。よって、ラグオペレータによりこの式を展開すれば、

仇=〃t-1+ut

となる。更に、この式の左辺を階差データに変形して、

(4.1)

△桃=αyt-,+ut (4.2)

である。但し、α=β-1である。この(4.2)式の形を用いれば、係数αの検定は、通常のOLSに

よるt検定と同じやり方となる。

この時作成される検定量は、Hb:α=OorHb:β=1を検定するための経験的分布である。

二つ目のモデルは、(4.1)式をドリフト付に修正したものである。

(l-pL)(〃似o)=山“t~『皿.。(0,o:)(43)

ラグオペレータを用いて展開した形に直せば、

Z/t=/」I+〃t-1+U2.

但し、ノリ=(1-βルoである。階差データの形に直して、

△zノォー似十aDt-,+ut. (4.4)

この時の帰無仮説を正確に記せば、Hb:い,α)=(0,0)orHb:(似,β)=(0,1)となる。三つ目はドリフト項とトレンド項を共に有するモデルで、

よって、

そして、

(l-pL)(此一似0-β10t)=utut~7M.。(0,。;) (4.5)

'2EViewsVer、5.QuantitativeMicroSoftware[62]参照。

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第4章経済時系列のデータ分析78

表4.1:棄却域の比較表

となる。ラグオペレータを用いて展開すれば、

此=似十β1t+〃t-,+ut.

但し、似=(1-β胆o+叩,o,β,=(1-p)β,oである。よって、

△Ut=泌十β1t+α脚,+ut. (4.6)

となる。この時の帰無仮説を正確に記せば、Hb:(似,β,,α)=(β10,0,0)orHb:い,β,,β)=(β10,0,1)

となる。シミュレーションにおいては、β10=Oとして計算してある'3.

シミュレーション方法は、55年から00年までの年次データ数46と同じサンプルサイズで、合計

10,000回の実験をそれぞれのモデルについて3回ずつ行い、その中央値を各分布の棄却水準とした14.

その結果は、表4.1の通りである。この表で、DCはドリフトもトレンドも存在しないモデルの7値統

計量、恥はドリフトのみ、兎はドリフトとトレンドが存在するモデルの統計量を示している。

この表の数値は、Dickeyandnlllerの数値表やDavidsonandMacKinnonの数値と比較して、そ

れほど大きな違いはないことが分かる'5゜

続いて、図4.2は、各検定量の検出力を示したものである。検出力とは、統計学における第二種の

過誤βを犯さない確率(0:=1-β)であり、それは図におけるP(8)である。ここでは、上記のモ

デルにおいてβが1から小さくなっていった場合の検出力を、シミュレーションから計算した10,Coo

個のデータにおける相対累積度数から0.0l刻みでピックアップして示したものである。この図によ

れば、7Jの検出力だけが他と比べて低いことが特徴となっている。

一般に、時系列データにおける単位根検定の検出力は低いと指摘されているが、本章の実験では、

特にドリフトとトレンドが存在する統計量の検出力が低い結果となっている。

44検定結果

ここで検定するARモデルは、以下のようなAR(p)式である。

此~iM(0,゜:)(4.7)z/f=β靴~,+β'△岬,+β2△W2+…+βp△岬p+ut

実際に行う単位根検定は、次の変形式でなされている。

(4.8)△Z/t=α外1+β1△岬1+β2△Ut-2+…+βp△脚p+ut

但し、α=p-1である。

検定するIま仮説、

13このβ10の値の処理は、分布の位置を決めることに相当するが、負の値を採れば検定統計量の分布は左にシフトし、正の値なら分布は右にシフトすることになる。

,4ここでのシミュレーション方法は、杉原[68]を参照した。15DickeyandFnl1erの数値表とは、サンプルサイズ50の結果との比較であり、DaバグidBonandMacKinnonの数値表で

は、サインプルサイズが,。。。となっているものとの比較である。山本[77]、DavidsonandMacKinnon[6]参照.

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44.検定結果 79

図42:T値の経験的検出力

経験的検出力の比較

、nFFii鑓鱸騨095

【0】V8l5 篝騨》二鵜が

『■牙一B『一つ》TI■几J■一一》55555

76543

00000

(①)QR玉蝉

灘〉}({灘0.25

0.15

0.05二とⅡ

へ。;ibjlbQj?PQl9l1'。,針d1Pcs)`CFS''よβ

-T検出力十mu検出力rt検出力

表4.2:GDP関連のADF単位根検定年夜データ

GDPN

ラグ次数

dGDPN

j急2GDPN

ラグ次数GDPDF

jGDPDF

j急2GDPDF

ラグ次数

GDPR90

aGDPR90

ラグ次数

1,(GDPN)ラグ次数

1,(DFGDP90)ラグ次数

I、(GDPR90)

ラグ次数

中:5%水皐

韓:1%水準

ADF検定

P債定散項p荷定数風+トレンド00321京-0,9491070.7031-2.053404

11

0.1395-2003040.2001-1.793223

0水中-6.0905540林一q433878

11

q7817-1.5353300.5008-0.493908

0p67B-22414100.1951-2575072

O中中-6.5858290本*-6.831043

11

0.9824-0.41800208972-3285563

0-”ql-4.0713030.0026稗-3.983277

00

0.1138■3.1537240.0290中0740283

11

0.0088本*-2.2554670019050318087221

11

0,8098-3.7187250007鉾-1.020051

PPI⑭宗

なし

-2.14943

9

-1.43380

-6.15875

1

0.349398

-1.805B3

-aO535n

1

1.8ワlWl7

-1」3545

2

-1.5437

6

-2.00767

1

0.459903

P便なし

0.55092.531315

5

0.6915-1330250

O本木一a2QQ5q

24

0.98031.734028

0293=1.600087

o中中-8.547829

0,FM4.22nQqq

OO104中-1,939008

1

0.90963.75807

q9982-4.300847

5

0.93084.3,,コロワ

P価旧司蘭皿狙

0.99070,30087,

4

0,1072-1.907280

O中中-6205934

25

0.9784-1.194840

0.1024-2241416

0卒中-8.504017

10.035701

0.051■4.071303

0

0.9999■4.936709

qOOE-O5中中-2.800885

1-5.550424

P価

0.458

0.7473

O中中

0,9888

0.3080

0中中

0,,8,

0.0104中

1

0.9997

0.9774

■■「■■犀樫qL酉且トレー

q9759-2238046

4

03201-1.671833

0本中-11.44720

43

0.0889-O2B6853

ql951-2.539757

0本*-10.70567

12

q9569-2.499963

0.0020中中-3.983277

00002中中1.678700

2

0.08800.856,qqn87

0稗-0548227

3

Hb:α=OH1:α<O

となる。

この(4.8)式を元に、ドリフト付き、線形トレンドとドリフト付きの、合計3種類のモデルの検

定を、レベル変数だけでなく、階差データを用いて、単位根帰無仮説が棄却されるまでADF検定を

行なった。ラグ次数は、AICの最小値によって判定した。

またここでは、一般的なp次のAR仮定に従う事を前提にしたADF検定のほかに、分散不均一を

考慮したPP検定による非定常過程の検定も行った。

それらの結果が表4.2である。記号は、GDPNが名目GDP、GDPDFがGDPデフレータ、

GDPR90が実質GDP(90年基準)、ln()は各変数の対数値、9()は成長率を表すbこの表によれば、次のようなことが指摘できる。

Lレベル変数による検定では、名目GDP、対数名目GDP、対数実質GDP、対数GDPデフレー

》:鍵11蕊鰄議iiiii鵜i鰄鍵:蝋iii鱸寵iii鱗:灘;i鱗i蟻鱗蕊 _ザ麹蕊鞠j1秒=

霧蕊鱸:鍵一饅?;『 :萸鍵ajOi<Zj鱗鱒灘蕊

蝋鈩製iii蕊i灘I肝芋製 11〆鈩爵曠鋳霧i:;篭Ⅲ巍鰯決騨灘呉埒騨 '1;綴蕊蕊蕊

繊瑠§鰭?鰯!‘.-A〆#2 i鰯鰯一 蟻蕊

蝋鑿蕊鵜鵜|議鍵(WWj;鬮騨iill蕊iii

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第4章経済時系列のデータ分析80

夕、更に、名目GDP成長率、実質GDP成長率において単位根仮説が棄却される。但し、レベ

ル変数の名目GDPは、PP検定においては仮説が棄却されない。

2.名目GDPは1階の階差データでは、ADF検定、PP検定共に帰無仮説を棄却できず、2階の

階差データまで必要とされる'6。

3.GDPデフレータは、1階の階差データでは帰無仮説が棄却されず、2階の階差データで定常と

なっている。但し、対数GDPデフレータは、レベルデータで帰無仮説が棄却されている。

4.実質GDPは1階の階差で定常となることが示されている。但し、上記のとおり、対数実質GDP

の場合はレベル変数で単位根仮説が棄却され、定常であると判定されている。

以上より、名目GDPとGDPデフレータはI(2)変数、実質GDPはI(1)変数、そして、対数名

目GDP、対数実質GDP、対数GDPデフレータ、名目GDP成長率、実質GDP成長率の各変数は

I(o)変数と見なすことができる。

4.5構造変化とデータの接合に伴う変動の検定

単位根検定は、対象とする期間に構造変化等があると検出力が低下するという問題が指摘されて

きた。すなわち、構造変化がデータに含まれる場合、構造の変化の前後でデータが定常であっても単

位根仮説を棄却できず、非定常として認識されてしまうという問題である。

戦後46年間の長期の日本経済においては、従来指摘されてきたとおり、73年の第一次オイルショッ

クや90年のバブル経済崩壊など、大きな経済事件が幾つか起きている。また、70年代半ばまでの高

度経済成長と、その後の安定成長、更に80年代後半のバブル景気があり、90年代の長期不況が続く

など、歴史的には明確な特徴を有した時期が存在している。このような諸事件は、経済データにどの

程度の変動として現れているのであろうか。

また、我々は本章において、長期データの作成目的から、68SNAデータと93SNAデータとを90

年時点で直接接合するという加工を行っている。93SNAは、所得概念の詳細化や、無形資産の明示

化など、大幅な改定を行っているため、63SNAによるGDP推計よりも大きめに推計されているこ

とが指摘されている17゜したがって、93SNAとの直接のデータ接続は、値の上方へのバイアスをも

たらしている可能性が考えられる。この点は、データの人工的な変動として現れているはずであり、

それがどの程度の大きさであるのかどうかを調べておくことは必要なことである。

そこで、本節では、前節で求めた実質GDP(GDPR90)について、構造変化やデータ接合に伴う

変動を織り込んだ場合の単位根検定を、Banerjee[3]を参考に、同様の手法で検定してみることとする'8.

但し、Banerjee達の方法は、基本的に大標本が前提の検定統計量19しか記されていないので、本章のようなさほど大きくないサイズの検定の場合には、その検定統計量による判断は適切であるとは

’6レベル変数において一度単位根が棄却されながら、階差データで棄却されないという現象は奇妙な結果である。これはラグ次数による情報量の変化が影響しているのか、それとも構造変化などの影響であるのか、ここでは不明であり更なる考察が必要である点である。

但し、ここではpp検定の結果と併せて、名目GDPはI(2)変数との解釈を取っている。1793SNAの解説は、内閣府ホームページや浜田[12]など参照。18検定用のプログラムは、松浦・マツケンジー[45]で公開されているEViews用のプログラムを改良して利用した。また、

同様の検定の例については鈴木[70]参照。19標本数が100,250,500の三種類。

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4.5.構造変化とデータの接合に伴う変動の検定 81

言えないかも知れない。そこで、ここでも標本サイズ46の検定統計量をモンテカルロ・シミュレー

ションで再度求め直してある。

まず、分析のための基本モデルを以下のように考えるとしよう20。この時、その帰無仮説を単位根

として検定するやり方は、逐次検定Sequentiallbstと呼ばれている。

此=α1+a2DUt+a3TBt+β1t+β2DIB+β岬1+ut・ (4.9)

但し、α,≠0,β,≠Oである。また、DUtはダミーのドリフト項、TBは設定されたタイム゛ブレイ

ク・ポイント・ダミー、DTはタイム・トレンド・ダミーである。

10

一一一一

四, 乃乃

ンく一

t#

(4.10)

TBt=1,

=0,

乃乃

一一美

##

(4.11)

DTl=t,

=0,

t>ZB

t≦TB. (4.12)

帰無仮説は、

Hb:β=1

である。

検定の仕方は、Banerjee[3]と同様に、タイム・ブレイクのポイントZBを、標本全体の15%に取り2,、その後一期ずつブレイク.ポイントをずらして係数の検定を行なう。ここでは、8期間目(1963

年)をブレイクポイントの初期として設定して検定した。

なお、検定の際に使用した統計量n値は、84年から94年までの11年間の各点でブレイクポイン

トを与えることで求めた。その際、α2≠0,α3≠0,β2≠0の元で、標本数46のモンテカルロ゛シ

ミュレーション(各10,000回)から得た。その結果が表4.3である。実際の検定では、この11年間

の平均値を棄却水準とし、ここでは5%水準で判定することとした。

構造変化を考慮したこの逐次検定モデルで、単位根仮説が棄却されないという結果を得れば、それ

は、構造変化を考慮してもなおデータは非定常であることを意味している。また、単位根仮説が棄却

されれば、この構造変化モデルでデータの挙動が説明されている可能性が高まり、レベルデータは定

常である可能性が高いという解釈ができる。

検定結果を図にしたものが、図4.3である。

図からは、逐次のブレイク・ポイントのどの期においても単位根仮説を棄却できないことが分かる。

このことは、46年間の長期において、実質GDPの非定常性はそこに含まれている構造変化から

来るものというよりも、元々ランダムな変動を示しているデータであったということを示唆してい

る。73年前後のオイルショックにせよ、91年以降のバブル崩壊にせよ、構造変化を織り込んでもな

お、非定常性を除去できない結果となったと言い得る.更に、90年のデータ接合問題も、全体的な

ランダムな変動に吸収される形で推移していると見なすことができる。

20perron[61]参照。21標本期間全体に占めるプレイクポイントの初期値を15%の位置に設定する。

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82 第4章経済時系列のデータ分析

表4.3:逐次検定棄却水準(84年-94年)

TB=94

93

92

91

90

89

88

87

86

85

84

-4.56023

-4.6377

-4.76441

-4.79817

-4.80473

-4.8321

-4.87606

-4.90691

-4.97012

-4.95609

-5.03197

-3.84957

-3.91628

-3.99335

-4.00224

-4.07891

-4.11179

-4.17561

-4.17402

-4.23229

-4.24907

-4.3208

-3.49309

-3.5397

-3.6235

-3.68318

-3.71595

-3.75594

-3.82408

-3.84424

-3.87615

-3.91062

-3.95158

-4.56023-3.84957-3.49309

最小値平均値

-5.03197

-4.83077

-4.3208

-4.10036

-3.95158

-3.74709

図4.4:ブレイクポイントと西暦との対応関係

レイクポイン IF

123456789mu⑫週皿嘔咽Ⅳ咽四mm亟羽型班配”犯”卯皿、鋼型窕顕

345678901234567890123456789012345678

666666677777777778888888888999999999

999999999999999999999999999999999999

111111111111111111111111111111111111

図4.3:構造変化の逐次検定GDPR

SequentialADFtstatisticfOrGDPR

505050505

●●●●●●●●●

0列列228844

5101520253035

-ADFtstatsilic

-asymptotic5%criIicalvaIuelDraverageADF

■■

■■

■■

■■

■■

。・・・0.0.0U・・・DUDpBUIUouUUuDUDUUuuOIO

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4.5.構造変化とデータの接合に伴う変動の検定

表4.4:Rolling検定15期と10期

83

ing検定15期間分 Iolling検定10期間昂7t分布

パーセント点万分布

パーセント点0.010050.1 0.010.050.1

91-00-5.10308-3.94734-3.432086-00-4.64704-3.73754-3.30768

51388416558

786110176391

486000309855

295444131372

112221121115

55555555555一

一』』』口|』一一』←

459777179816

056999776079

051332844224

662551955935

999999899899

●●●●●●●●●●●●

333333333333

』一一』』』一一一』』』

472114853435

205444547781

059554808544

139110832823

443444344344

●●■●●●●●●●●●

333333333333

』』』』』』』』』』』』

987654321098

999999999988

5432LG33雁654

888888777777

-4.6346

-4.72279

-4.65079

-4.70952

-4.75644

-4.73776

-4.68356

-4.71625

-4.71317

-4.8008

-4.6739

-4.63613

681616752294

684892677693

563292383836

354262741713

777777777777

0●●●●●●●●●●●

333333333333

』一二一一ウ』一一一』ロ

-3.32641

-3.32431

-3.33874

-3.30291

-3.32457

-3.31304

-3.3193

-3.29614

-3.30076

-3.33905

-3.29207

-3.3264987654321098

999999999988

』一一一一一一』一』一-

098765432109

988888888887

-5.10308-3.89208-3.38574覆大1画-4.6346-3.71372-3.2920

最小値

平均値最小値平均値

-5.25663

-5.17942

-3.96555

-3.93873

-3.43507

-3.41574

-4.8008

-4.69867

-3.77862

-3.74258

-3.33905

-3.31626

但し、1987年から89年までの3年間のブレイク・ポイントでは、求めたn値が、‐3.9063,‐4.0957,-

4.0700となっており、極めて棄却水準(-4.1)に近い値となっている(10%水準では棄却されている)。

すなわち、これらの時期は単位根とは別の要因、すなわち、何らかのドリフト変化やトレンド変化が

確認されるものの棄却水準を越えるほどまでのものではなかったということになる。

以上、逐次検定によっては、46年間の実質GDPは単位根を有した非定常状態であったと解釈す

ることができ、撹乱項による確率的挙動が大きかったと把握することができる。

もう一つの検定は、Rolling検定と言われるもので、これは対象とするサンプルを切り抜いて来て、

その限定された期間を1期ずつずらして単位根検定を行うというものである。

検定モデルは次のような形のモデルである。

〃f=α,+β1t+〃f-,+ut. (4.13)

そして、

Hb:β=1

である。

このモデルは、要するに、ドリフト及び線形トレンドを有する単位根モデルと同様であるが、期間

#の時期が、オー、+1,…,オー、+8で、、をOからT-8まで動かすことで対象とする期間を移動

させる点が、通常の単位根検定と異なる点である。ここでsは対象とする期間数である。Banerjee[3]

によれば、この期間数は全体の3分の1にする事が提案されているので、ここでは46年間の3分の

1で15期ということになる。

但し、もっと短い期間で構造変化が起きている可能性も考えられるので、s=15以外に、8=10

とした検定も行なった。その時の検定量n値は、表4.4である。この表は、対象とする期間を15期

にしたものと10期にしたもののモンテカルロ・シミュレーションの結果を掲載している。

この検定の解釈であるが、先の逐次検定と若干異なる。期間を区切ってのRolling検定モデルで単

位根が棄却されないという結果を得れば、その期間内でデータが定常ではなかったことを意味する。

逆に、単位根が棄却されれば、対象期間においてはデータは定常であるかも知れず、その前後で構造

変化が起きている可能性がある(その期間内で構造変化が起きているわけでは必ずしもない)。

8=15のケースでの検定結果を図にしたものが、図4.5であり、8=10が図4.6である。

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84 第4章経済時系列のデータ分析

表4.5:ブレイクポイントと西暦との対応関係

図4.5:構造変化のRolling検定GDPR

RollirUADFls圏tisticforGDPR(Range‐15)

(15期間)図4.6:構造変化のRolling検定GDPR (10期間)

RoIlirUADFIstalismcIOrGDPR(Ra『pe-10)321012B4

pC

210列2845

51015202530 5101520253035

-ADFIs垣瞳I0ic

IoIIc5%cnIicョVal肥fora泥田gBADF

-ADFIstB煙mic

-asympIotic5%cnIicaIvalueloraMB垣geADF

、 ̄ ̄ ̄ ̄0 ̄ ̄ ̄▽u ̄ ̄ロpU▽▽▽。U・。。・0・・ロ

 ̄・ ̄▽0。・・・Uロ・DDU・DDDUD・・・UpDUDU。■■cUp■□

鯛敏 ローリング期間(15期) ローリング刑11.1(10期)123456789mm、垣巫嘔、汀狙四mm翠顕巫麺配諏犯卵mmm銅盟顕記師窕

19551969

19561970

19571971

19581972

1959197s

19601074

19611975

19621976

19681077

19641978

19651979

19661980

19671081

19681982

19691983

19701984

19711985

19721986

19731987

19741988

19751989

19761990

19771991

19781992

19791993

19801994

19811995

19821996

19881997

19841908

19851099

19862000

19872001

19551964

19561965

19571966

19581967

19591968

19601969

19611970

19621971

10631972

19641973

19651974

10661975

19671976

19681977

19691978

19701979

19711980

19721081

10731982

19741983

19751984

19761985

19771986

19781987

19791988

1980ユ989

19811990

19821991

19831992

19841993

19851994

19861095

19871996

19881997

19891098

19901999

19912000

19922001

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4.6.不突合名目値と実質値の変動 85

図4.6では、1箇所だけ単位根仮説が棄却される結果となっている。この1箇所は、オイルショッ

ク直後の74年から83年までの10年間であり、そのn値は-4.2308で5%有意となっている。すなわ

ち、逐次検定と異なり、s=10のRolUng検定においては、73年のオイルショックが日本経済に大き

な構造変化を与えているという解釈が成立する。

だが、93SNAデータとの直接接合地点である90年を含むRolling検定は、逐次検定と同様に帰無

仮説は棄却できない結果となっている。最小値でも90年から99年までの-3.2905であり、我々の経

験分布におけるP値は11.8%であった。

対象期間を15年に取った図4.5のほうの結果では、単位根仮説が棄却される期間は一度も存在し

ていない。こちらも逐次検定の結果と同様、戦後46年間の実質GDPは一貫して単位根を有する確

率的挙動によって説明される可能性が高いことになる。

以上、本節で行った構造変化検定は、Rolling検定の10期間による場合においてのみ、オイルショッ

ク直後に単位根仮説が棄却される結果となった。この解釈は、従来語られてきたように、73年のオ

イルショックが日本経済に本格的な構造変化を与えたと言うことができる。但し、BaneIjee達が行っ

たテストの期間(データ範囲のおよそ3分の1)よりも短めに検定期間を設定したことが、小標本か

ら来る低い検出力の為に「過敏」に棄却反応した結果である可能性もあるので、注意が必要であるだ

ろう。他の15期間のRolling検定や逐次検定においては、単位根仮説を棄却できない結果となって

いるので、この結果だけを持って74年からの構造変化を断定することは出来ないかもしれない。

ともあれ、我々のデータカロエ上の問題意識から注目していた90年における93SNAとのデータ接

合は、検定においては確率的変動という形で認識されており、構造変化のような断層によって非定常

性を除去できるものではなかったという結果となっている。

こうして、日本における戦後46年間の実質GDPは、概ね単位根を有する非定常状態であったと

考えることができる。

4.6不突合名目値と実質値の変動

マクロ経済の集計量には統計的不突合値が存在していることが知られており、実際、毎年発表され

る「国民経済計算年報」にも不突合項目が存在し、掲載されている。

SNAにおける不突合の定義は、国内総生産-(経済活動別国内生産小計十輸入税一消費税控除一

帰属利子)である。これは支出(需要)面から求めた国内総生産額に対応して、生産面から集計し

た総額との「誤差」に相当する概念と理解できる。また、分配(付加価値)面から見れば、国内総

生産一付加価値額の合計として把握される「誤差」と同義となる。よって、この不突合は、定義上

SNAの統合勘定における不突合と一致する。

この不突合値は、GDPというマクロ集計量の一種の調整項目としての性格を有しており、それ自

体がマクロ経済統計の精度を見る指標と言えなくはない。そこで本節では、このマクロデータの集計

誤差である不突合値の時系列的特徴を調べてみることで、逆にマクロ経済統計の精度を確認するこ

とにしよう。

先の方法同様、90年接続で加工したやり方で実際に得た不突合値の概要は、図4.7と図4.8のよう

になっている。図4.7が日本経済における46年間の名目不突合値であり、図4.8が実質値である。

但し、実質不突合値は「国民経済計算年報」で発表22されている値をそのまま使用し、90年時点

22但し、この不突合実質値の一部(55年から69年まで)は内閣府の報告書では発表されていない。ここでのデータは日経NEEDSの磁気テープで公表されているものである。データコードは次の通りである。「国民経済計算経済活動別国内総生産実質GDp統計上の不突合(実質)10100519SD90A11955.1-1998.1中止AG=S国民経済

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第4章経済時系列のデータ分析

図4.8:不突合実質値の推移55年-00年

86

図4.7:不突合名目値の推移55年-00年

、》麺螂麺麺“0種》

》麺》唖麺唖》00釦 0

332211

55606570758085909500 55606570758085909500

F万E5百百戸m5VN1 F万百月551

で93SNAと接合している。その際、93SNAの実質値は95年基準であるので、インプリシットにデ

フレータ(に相当するもの)を計算し、それを一度90年基準に変換した後に、そのデフレータで再度実質化を行い90年以前のデータと接合するという方法を取っている23.

不突合値は、名目値と実質値とで大きな変動の差異があり、実際二つの図では、対照的な変動の仕

方をしていることが分かる。すなわち、名目値は90年以降その値が次第に大きくなっているのに対

して、実質値のほうは70年に大きな段差が存在し、その後小さな変動を繰り返している。

図4.8における、実質値の70年時点での大きな段差は、その原因が何によるものであるのかは不

明であるが、内閣府によれば、「支出と生産のリンク時点数及び断面が異なっているため不突合の意

味が難しい」ことから、1955年から69年の15年間については不突合実質値が公表されていない24。

すなわち、実質値の70年時点の段差は、90年基準の実質化に伴うデフレータによるものだと判断で

きるが、その原因は分かっていない。ある何らかの「不具合」が存在しているということが分かるだ

けである。この点は、我々が55年以降の実質マクロデータを扱う場合の大きな注意点である。

また、名目値のほうの誤差は、90年代に広がりを見せる傾向にあるが、この原因についても特定

されているわけではない。データの加工上、90年において段差が存在しそれが一定の誤差の大きさ

として寄与していることは事実であるが、その後の誤差の大きさまでを、データの加工によるものと

解釈することはできない。93SNAによる改定以降、どのような統計調査や推計上の問題から日本の

マクロデータの誤差が大きくなっているのか、詳しいことは不明のままである。

ところで、実質値のマクロデータは、90年時点のデフレータを経済活動別に計算によって作成し、

その集計によっても求めることができるので、計算実質値の集計結果と前述で得た実質GDPとによ

る「不突合」も得ることができる25゜それを示したものが、図4.9である。これは図4.8の結果とは

全く異なった推移を描いている。

この図によれば、78年が最大の不突合で11兆1642億円、2000年が最小の不突合値で-10兆2315

億となっている。この絶対値の大きさは、各々、78年時点の対実質GDP比で4.16%、2000年の対

実質GDP比で2.00%である26。

計算年報10億円」

2390年以前の不突合値のデフレータを、インプリシットに計算によって求めようとすると、その値に微小な値が多く含まれてしてしまう関係で、逆に名目値からの直接計算で実質値を求めようとすると誤差が大きくなってしまうため、ここでは90年以前の実質不突合値は公表値を用いた。

24内閣府【51]、p、654。「3.不突合について」参照。25なお、我々のデータでは、実質GDPは四半期の年次換算による値の為、その分の若干の計算誤差も含まれている。26但し、対実質GDp比の大きさの基準だけで言えば、55年に9.37%という値を得ており、これが最大の誤差率となって

U▽・・・Uヴマヴロロロc■pUCロロ・DC・・DUDDDDUD・▽▽U・DDUU▼DDDU□U・・・▽U・▽・▽U・・ロワロロ・・・Uロ・・・Uロ゛・・0..・ロU・・・・U・・・・ロ▽

_--ニーーゲベ▲ ハハーヘーョ

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4.6.不突合名目値と実質値の変動

図4.9:計算不突合実質値の推移55年-00年

87

12000

8000

4000

4000

6000

-12000

55606570758085909500

「=-戸E5m而司

この解釈は難しいところだが、不突合データは、元々マクロ需要合計と生産合計のギャップから定

義されていることから、一種の需給ギャップの指標であると捉えることが出来る。その見地から言

えば、80年代前半に、大きな需給ギャップを体験したのかもしれないと指摘しうる。しかも、この

ギャップは80年代前半で正値を取っていることから、本章での定義(実質GDP値一経済活動別実

質値集計)によれば、超過需要(需要>供給)が発生していた可能性がある。すなわち、65年以降

90年まで、日本経済は超過需要状態であり、78年をピークとする超過需要が、その後80年代半ば

以降のバブル景気につながっていったと考えることも出来る。

また、逆に、55年から65年の時期や97年から01年までの時期は、超過供給が発生していたとの

解釈が出来る。これは、90年代の不況、とりわけ97年以降の投資や消費需要の冷え込み27と合致す

る結果である。

このような不突合値の変動が、構造変化のような大きな変化を含むものであったかどうかを次に

検討してみたい。上記三つの不突合値を、前節と同様に、構造変化検定にかけた結果が、図4.10と

図4.11である。

まず、名目値の不突合を見てみよう。名目値は、先の図4.7で見たように、93SNAへの移行以降、

値が年々拡大しているのが特徴であった。構造変化検定の結果は、図4.10の通りである。

始めに、逐次検定では、21期(1983年)から28期(90年)までで帰無仮説棄却が確認されてい

る。29期では仮説が棄却されないものの、30期(92年)から33期(95年)に再び棄却される結果となっている。すなわち、公表実質値の不突合値と違って、データの後半に構造変化が存在した可能性

がある結果となっている。これは、先の図4.10の形状から見て予想される結果ではある。

次に、Rolling検定(10期間)のほうでは、それとは対照的に、1期(1955-64年)から6期(60-

69年)にかけてと8期(62-71年)という、データの前半期において単位根仮説が棄却されている。更に、20期(7483年)から21期(75-84年)、そして、23期(77ム86年)にも仮説が棄却され、合

計10期間において仮説が棄却されている。Rolling検定(15期間)では、1期(1955-64年)から4

期(58-72年)の合計4期間で単位根仮説が棄却されているが、これもデータの前半期でのみの棄

却という結果となっている。

名目値は、逐次検定ではデータの後半に、Rolling検定ではデータの前半に単位根仮説が棄却されるという対照的な結果となっている。この結果は、検定モデルに依存した結果であると解釈すること

いる。

27特にこの時期は、消費税の値上げやアジア通貨危機等などの経済事件が起きている。

ロ・・・DU・□・ロロワ・ロロU、・・・U、。。。U■。。▽0口・・・U・・・・0▽・・・U▽

=へ

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第4章経済時系列のデータ分析88

図410:不突合名目値の構造変化検定

Sequentl副ADFt-BtaUstlcforpscrepancy、

12345s7

-ADFt-S坦坦itIC

----asyrTptoUc596critlcdvalueforaverageADF

RoIIIngADFt-statIst随forpscrepancyn(Range=10)

5101520253035

-ADFt-s垣tZB1tヒ

ーーーasyrrptotlc5%crltic副valueforaverageADF

RoI1ingADFt-statlstにforpscrepancyn(Range=15)

-ADFt-stats1tに

---asyrTptotlc5%criUc劃v副ueforaverageADF

句 ■■■ODU□□U・・・・0

51015ロロ■■U守■=▼■ ̄= ̄ ̄U ̄マー ̄、 ̄

20253035

-1

-2

-3

-4

-5

-6句 。■■■U■■りU■U百■U。 ̄ ̄ ̄■ ̄ ̄ ̄ ̄■----■. ̄ ̄U

A 〆

AI 八

VV V

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4.6.不突合名目値と実質値の変動 89

ができる。すなわち、既述した通り、逐次検定モデルでは先の(4.9)式によって説明される構造変

化がおきた場合に単位根仮説が棄却される特徴がある。従って、データの後半期で多く単位根仮説が

棄却されているのは、(4.9)式による構造変化が起きた結果であるとの解釈が可能である。名目不突

合値は、80年代中盤から90年代中盤にかけて、ドリフトのシフトやトレンドの変化によるARモデ

ルで構造変化がある程度追跡することができ、また、その結果、そのような構造変化を考慮すれば、

データは定常である可能性が高いということを示しているのである。

これに対し、RoUmg検定のほうは、期間を限定したドリフト、トレンド付きARモデル(4.13)式なので、検定時期に単位根が棄却されているということは、その限定された時期のデータは定常で

あり、対象期間以外で構造変化が発生し、それが単位根と認識されている可能性を示している。従っ

て、RolUng検定でデータの前半期に多く単位根が棄却されているのは、対象とした60年代から70年代初頭までは、データが定常であると判定してよいということを示唆している。実際、データの推

移そのものを見れば、名目不突合値は70年代初頭まで相対的に小さな変動となっている。

以上、検定モデルの性質の違いから対照的な結果となっていることが分かるが、それは各モデルの

特徴から各々より敏感に単位根仮説を棄却した結果であると解釈できる。よって、結果として得られ

た含意は、検定結果の不整合を示すものではなく、補完的な内容のものであると言っていいだろう。

続いて、実質値のほうの結果を見てみたい。図4.11は、不突合の実質値を「公表値」と「計算値」

に分けて2列で示している。「公表値」とは上に述べた日経NEEDSによる国民経済計算からの公表

データであり、「計算値」とは名目値とデフレータによって我々が計算した実質値合計と実質GDP

との「残差」による不突合実質値のことである。

まず、図4.11の左側の公表値であるが、これは69年から70年に大きな段差がある関係で、逐次

検定、Rolling検定10期、15期のいずれにおいても、単位根仮説が棄却されていることが分かる。逐次検定では、6期(1968年)と7期(69年)で帰無仮説棄却が確認されている。但し、それ以外

の時期においては、(4.9)式のような構造変化は起きていないと見なすことができる。Rolling検定

(10期間)では、16期(1970-79年)、更に、26期(1980-89年)から28期(1982-91年)、そして、

30期(198493年)の合計5期間において単位根が棄却されている。また、RDmng検定(15期間)

では、16期(1970-84年)、25期(1979-93年)、26期(1980-94年)の合計3期間で単位根が棄却

されている。

一方、図4.11の右側、不突合計算値のほうは、まず、逐次検定では、検定対象の36期間におい

て帰無仮説棄却は確認されていない。但し、Rolling検定においては、10期検定で、26期(1980-89

年)、28期(1982-91年)から30期(1984-93年)の合計4期間において、また、Rolling検定15期

では、26期(1980-94年)の1期間において単位根仮説が棄却されている。

すなわち、この結果から、公表値では1970年のデータ断層が大きな影響を与えているものの、そ

れ以外の期間においては、公表値と計算値上の不突合は、ほぼ同じ検定結果となっていると見なすこ

とが出来る。

つまり、実質値の不突合によれば、Rolling検定の結果により、80年前後ないしは90年代初頭に

データの構造変化を経験していると判断することが出来ることになる。この結果は、4.4節で見た

GDPの構造変化検定とは異なる結果である。このような相違はどう解釈すべきものなのか。

一つの可能性は、整合的なGDPデータを作成するための統計上の改定が、不突合値に何らかの影

響を与えたのではないかというものである。つまり、この時期のマクロ経済データでの何らかの改訂

が影響を与えているのではないだろうか。例えば、80年は経済統計の基準年の改訂が行なわれた年

であり、それは78年に日本が国連の提唱以来10年かけて移行した68SNA体制の元での最初の基準

改訂でもあった。デフレータの改訂も含めた統計の変更が、実質不突合値に影響を与えてた結果であ

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90 第4章経済時系列のデータ分析

図4.11:不突合実質値の構造変化検定(公表値と計算値)

Sequem回ADFt-st畝臆Iicforpscrepancyr90 Sequenli副ADFt-sIa1鱈tにforascrepresid

024680246

●。。-1111

つの■ロ

-1

-2

・3

・4

-5

5101520253035 51015202530霞

-ADFt-stno巳ilie

- ̄asyrTPtomc5%crit随dvalueforaveragBADF

-ADFtSt2t&'01匹

---asWTpbUc5%c『itic副vaIueforaverageADF

FbllilgADFt-stat域にforpscrepancyr90(Rangem10) RollingADFt-sta1圏t随Iorpscre抄resM(F旧nge室10)

012345

ロー

●ロ

-4

-8

-12

-16

-20

5101520253035 5101520253035

-ADFt-staOgHiC

--asy「TPlouc5%cmic副Val“foraverageADF

-ADFtS恒嵯iii⑥.

~ ̄~asyrTP1o1ic5%cri1℃a1vd四foraverageADF

RoUmADFt-sta1庵1℃for□screpancyr90(RangBml5) Ro11ingADFt-st敏崎tにlorDscrepresm(Rangeml5)

0246802

。■

■』11

口■

・1

-2

-3

-4

-5

51015202530 51015202530

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4.7.三面等価データの単位根検定 91

るのかも知れない。また、90年は基準改訂の年だけではなく、我々のデータにおいては直接接続と

いう段差も含まれており、この影響である可能性もある。更に、実際の経済においても90年から92

年頃まではバブル経済が崩壊していく年であるから、Rolling検定の結果は、バブル経済とその崩壊

がデータの不突合値の構造変化として現れているものなのかも知れない。

4.7三面等価データの単位根検定

本節では、前節までに見てきたマクロデータ集計量について、経済循環の各側面から単位根検定を

行なう。集計された名目GDPや実質GDPの確率的挙動についての検定は、4.4節で見た通りだが、

本節では経済循環三面の構成項目各変数を単位根検定にかける。そのことによって、三面毎にどの変

数がどのような和分過程にあるのかを概観することができる。

先述したように、和分過程に従う変数同士の集計量は、より次数の大きい変数の影響を受けること

が知られている。すなわち、

Xt~I(。),YH~I(ん),ハ>d>0コαXt+BYi~I(h)

となる28.

GDPという経済変数は集計量であるから、GDPの確率的挙動にはそれを構成する要素の挙動が

影響を与えていると当然考えられる。そこで、これらの構成項目を単位根検定にかけることで、名目

GDPをI(2)変数としている要因を探ることができる。同様に、実質GDPについても構成項目毎に

検定することでI(1)変数となっている要因を見ることができる29.三面等価の関係は、次式を満たす関係となっている30。

GDB=MCOM+GOOjVt+MIjVVEST1D+GnWESZ1,+Zf+EXt-IM

30

=ZIy;ポガー1

=18t+Wt+Dt+TSf

t=1,2,...,46

(4.14)

但し、t:時間、GDP:国内総生産、MOON:民間最終消費、GCOjV:政府最終消費、MIjWEST:

民間総固定資本、GINVEST:政府総固定資本、Z:在庫増加、EX:輸出、1M:輸入、’昭:経済活

動別生産額、i:産業番号、凡営業余剰、W:雇用者所得、D:固定資本減耗、TS:間接税一補助金

である。

すなわち、各期の国内総生産額は、需要項目の合計、各産業別生産額合計、及び付加価値額合計の

各々によって表示されるマクロ経済学ではおなじみの関係式になっている。ここで採用している産業

は、SNAにおける経済活動別分類に従って農林水産業からサービス業までの26産業31に加えて、輸

入税、帰属利子(控除)、消費税(控除)、そして不突合の、合計30部門となっている。

28EngleandGranger[8]Chapl,ChaP5、蓑谷[47]第8章参照。29但し、GDPデフレータについては、集計量として求められてはいないので、このような解釈を取ることはできない。30不突合値を含む集計値となっている。31農林水産業、鉱業、及び、製造関連13産業、建設、電機・ガス・水道(民間)、卸・小売、金融・保険、不動産、運輸・通信、サービス(民間)に加え、政府サービス業3産業、対家計民間非営利サービス。

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第4章経済時系列のデータ分析92

(4.14)式は名目値と実質値の両方で当然成立するものである。第一右辺から最右辺までの各式に

おいては、需要面、生産面、分配面の各々が示されており、これらが各構成項目の集計量であること

が示されている。これら各側面の構成項目について単位根検定をかけた結果は、以下のようになって

いる。

まず、需要面の単位根検定の結果は、表4.6である。単位根検定は、先と同様にADF検定とPP

検定の両方を各変数に対して行なった。

この表によれば、名目値において民間消費支出(MCN)がJ(2)変数であることが分かり、これが

名目GDPをZ(2)変数として挙動させていると判断できる。また、デフレータにおいても、民間消

費支出デフレータはJ(2)変数となっている。それ以外の変数は、全てJ(1)であるとの結果を得た。

この名目民間消費支出及びそのデフレータがI(2)変数であるということの解釈は、どのようにな

されるべきなのであろうか。一般に、I(2)変数とは、前期の状態だけではなく、前々期の状態からも影響を受けることを意味しており、データ自体の推移は比較的安定的である。よって、このことは、

名目民間消費支出の変動にせよ、消費における物価水準にせよ、その推移自体が激しく変動するので

はなく、緩やかに推移している変数であるということを示唆している。実際、消費需要やその物価水

準は、比較的安定的なマクロ指標であることは広く知られているところである。

また、どちらもI(2)変数であるということは、両者が共和分関係にあるということも意味してい

るのかも知れない。そこで、実際名目民間消費支出と民間消費デフレータとをJohansenの共和分テ

ストにかけてみると、トレンドないしは定数項無しのモデル及び、非線形トレンドを前提とした定数

項ありのモデルにおいて、両者の間の共和分関係が示された。

次に、実質需要面を見れば、全ての項目において1階の階差で定常化されている(I(1)変数であ

る)ことが分かる。これは、4.4節で見た実質GDPに関する単位根検定の結果と整合的である。

続いて、生産面での構成要素の単位根検定の結果を見てみよう。

30部門分類を用いた産業別(経済活動別)生産額の検定結果を、名目値、実質値、デフレータに分けて見たものが、表4.7、表4.8,表4.9である。

表4.7によれば、名目生産額の殆どの変数がI(1)であることが分かる32.例外は、石油・石炭、電

機、不動産、運輸・通信の4部門で、これらの変数は、前二者がI(O)変数であり、後二者がI(2)変

数という結果であった。

すなわち、石油・石炭及び電機部門以外は、単位根を有する変数として変動していることになり、

また、和分変数の上記の性質から、先に見た名目GDPをI(2)変数としていたのは、不動産と運輸.通信部門が原因となっていたものと考えられる。

石油・石炭及び電機部門において、単位根仮説が棄却されI(o)として判定されたのは、両部門の

生産額の変動がかなり激しいことによってもたらされた結果であって、データが定常的であるという

ことを意味してはいない。これは、この後に見るデフレータによる検定結果からも明らかだが、両部

門における激しい物価変動の結果、名目生産額自体が大きく変動し、結果として単位根仮説が棄却さ

れていると考えられる。

次に、表4.8の実質値では、全ての部門がI(1)変数であることが分かる。すなわち、このことは

各部門の実質生産額は1階の差分によって定常化されることを示しており、先に見た実質GDPその

ものに関する単位根検定がJ(1)であった結果と整合的である。デフレータによる変動では、表4.9から、次のようなことが分かる。

第一に、30部門中、19部門のデフレータがI(1)変数として単位根を有しているものと考えられ

32なお、この検定で用いた不突合値は、名目値も実質値も、共に公表されたデータそのものを用いている。但し、我々の計

算結果による残差不突合値も同様の検定でI(1)という同じ結果となっている。

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4.7.三面等価データの単位根検定 93

表4.6:需要面の単位根検定

年次データ■■四国■、

、 ̄一品_znPhpmユnn

用■Ⅱ四局“■Ⅱ平 泗Ⅱ万万mm⑩

Ⅱ■ n画一鄙ⅡⅡRn且五匹皿⑩

■■

■H皿ロ■q■Uけ mUHD

■■面

ロ■■■

秤:1%*2口

GDPN:名目ODP年次MCN:名目民囲丑終消安支出年次OCN:名目政府&終消費支出年次MlN:名目民間鱈固定安本年次01N:名目公的0,固定安本年次ZN:名目在庫坦加年次EXN8名目輸出年次1MN:名目⑭入年次

年次データー■【■■ロロ■〕

‐:零=--篭=麺需写i房=」再1-2,Zn刀DqIlIHn*な-E-B7mp■Ⅲ、、

=■ロロ、■■■

ロユ

ワロヒ

秤:Ih木牢

GDPROO:実叉GDP年次MCR90:実宜民間最終消費支出年次GCRBO:実宜政府&終消父支出年次MlR90:実宜民田偲固定安本年次Gmo:実宜公的総国定安本年次ZRBO:裏宜在庫増加年次EXRDO:実宜的出年次IMRBO:実質的入年次

年次デフレータ(=已坦回亘】

汪蔀:艶;三一z二=冒一壁=爾要霧=

PIu歩

PU1uP■ 。【■、ロ■ ■』、■P

、Ⅱ戸■Ⅲ 、■Ⅱ

エロロU■&■■且~u、【ⅡEロロ

■■■■■ロⅡ正U■■

》》》》砺蛎》》》

:GDP年次デフレタ90:民問丘終消父支出年次デフレータ90:政府最終消只支出年次デフレータ902厘因鯉因窒資本年次デフレータ90:公的絶固定資本年次デフレータ90:在庫坦加年次デフレータ90:町出年次デフレータ90:輸入年次デフレータCO

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94 第4章経済時系列のデータ分析

表4.7:名目生産面名目の単位根検定

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4.7.三面等価データの単位根検定 95

表4.8:実質生産面実質の単位根検定

ADF検定

定数項P億一11816789130874535519

-68325254512E-Oフ中中

O

-1990e512220289941243

-6152400462419E-06w

O

-24426B42730136824978

-2.130580120234224739

4

-1874808087O437O5744

-501219g3720000154321*●

-1421613347O563624727

-57O63457531B2BO5◆*

1

-1.309500980617384851

-50387540160000142923**

-14g2Z且9587O52B399989

-46506191520000471353**

-20130700310280372986

-6548880881132E-OS●巾

1

-1.6162330990486349098

-5636621026215E⑩5*中

O

OB534820030993942681

-5687452m③183E-O5中中

-1.0O1B4673gO745009119

-5504B5901Ba26BO5中中

O

-l4313465g50558168268

-25093797540120332933

2

-009886494フO942496534

7

-OO305124630949549201

0921040403099469唖g2

9

-10150825980740243073

-6.814827794540E-Oフ中中

-2108616773o2431Bg型5

-3242459420024368754*

3

0899628191099465唾19

-67360579056B5E-O7中中

22598331840999928081

-6154113722417E-O6**

0

-1813538956036951016フ

ー5489848789342E-O5●巾

1.854801530999708988

-6504747188139E-O6の*

23365895010999945357

-45945sロ。2500005589s中中

O

-O417333219089695789

-23571709490159628189

2

01601801770968875700

-42866754630001402359●巾

O

O3067BOO58097809488

-38877494850004458998中*

1

1953025590999790954

-4950008590000187344中*

O

-O7845109710814010978

毛5054061B139E-O6中中

O

-O7O56387660835130685

-6036554699B04E-O6中中

32866006410999998103

-7437518159B72E-O8中●

0

-22427413410195377938

-12419495650645369978

9

-17961915010377763836

-6597778122105E-O6中中

0

PP検定

証しP億定数頃P値-041680527586-1.327850608777

-6.gO171gE-11“-683253512E⑩フウゥ

10

00402390690589-1992680288955

-617101132BOB“-613769439E-O6輔

44

18689880955119-1.B8257O346562

-6g26645BOE-11** ̄763143508E⑩B幹

54

0841690889219-1581660483717

-46g772153E-O5幹-5060800001幹

33

06361550850151-1.431B10558709

-581137103E-O7中巾-59麓13710E-O6幹

14

09537090907127-1276150632787

-4677141.59E-O5…-4998530000161~

32

-0144070628575-1528130.51063

-474085125E-O5中*-46m680000427“

77

054387608299-188g310334319

-8991B4127E-23中中-104136203E-10幹

15

13125680950119-15Bg360479B47

-50442B374E-O6中中-562971219E-O5“

42

260m'1650997284056218809B7091

-446378347E-O5輔-57698B141E-O5幹

43

06948010862134-1001B50745009

-526306147E-O6中中-55222B309E-O5“

11

05588880833257-1166130681114

-492748601E-O6中中-51029600001幹

32

3086320999165-0040440949599

30

512735609999994.3395381

-45451B259E-O5“-528845647E-O5●*

43

25812950997118-1042030730332

-52754139BO6幹-683435509Eつう**

42

06829450859767-1827650362844

-3570830000858中巾-389979000425輪

54

5B19051113788180998867

-308851000276s中中-694009371E-07$*

36

4569230999993271583909999B7

-54154735E-O7中中-61845537gE-O6…

43

1フB51710980676-172B7BO410399

-47B394106E-O5…-55008B330E-O5…

32

B917791119709730999803

-272080007604**-6504751.39E-O6**

30

4.7885010999997209656309999

-2853080005317“-4594570000559幹

20

5089339099999909555650995421

-0988890284476-3370970017364*

92

4.4599220999990490774098461

-1958970048855*-422990001657*●

22

275191809981フ023886フ097223フ

ー2083630041407*-294920047685*

B7

5810742123043420999939

-3140860002364幹-483580000267…

04

-2442930353772-077185081753

-5551213B6E-O7幹-659674105E-O6“

25

104680609200αI-0810860806587

-5.7B275120E-O7輔でO7633532E-O6~

43

550395131109730ggg997

-621209102E-O8鉢-782354302E-O8の*

26

28905930998745-O17BBO933777

-438423460E-O5の巾-578g72141BO5巾*

314

-143683013874フ-1フ96190377764

-6675842BE-10中中-659948104BOB

33

宇灰デー毎K戸垂洵

(経済活助別実質mD

AGFUSO

dAGFU白O

ラグ次数MINErgO

dMINE白O

ラグ次数FOOD間O

dFOODr90

ラグ次数CERAMC臼O

jCERAAmCr90

ラグ次数

IROhhgO

ロIRO卜しgo

ラグ次数ME11QL白O

dMETAL由O

ラグ次数TEXTIE卓O

alEXnLE幻0

ラグ次数PETFbL曰几420

dPETTbLELn4790

ラグ次数PLLR90

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ラグ次数C卜EMpALBO

jC権MIOALjgO

ラグ次数PF短CIS10$b90

dPREOISIOトレ90

ラグ次数MAC別卜EBO

dMAC制NE「90

ラグ次RhCAFb90

ラグ次数ELEM⑲O

aELEMSO

ラグ次数凶障CEuA⑨O

dM1SBEl-LArgO

ラグ次数CO卜BT掴O

jCOトSTrgO

ラグ次数OASlN790

dOASl砧go

ラグ次数GASQ7g0

□GASG円O

ラグ次数EDUDAygO

dEDUdA泡O

ラグ次数R」国」O9gO

dR旧uOpO

ラグ次数BAN<臼O

dBAAD(臼O

ラグ次数REALESTA白O

dREALESTA田O

ラグ次数TRAhSPOFm90

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ラグ次数SERVICE白O

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ラグ次数IMFbRTTA)C90

jlMPORTTA)C90

ラグ次数1M円、$90

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ラグ次数CTAX臼O

dCTAX臼O

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ラグ次数

・85月水叩

臣数項+トレンドP匝

一18557873380880gl2

-750872gB49315E-O7中巾

4

-13592213220859714

-7169B33731106E⑩s中中

18

00004304590.995104

-82MO96015163E-O8 ̄

4

-1.2日四g9g349087m93

-5.17094,830000618“

2

-15175958120.809033

毛311537322188E⑩5中*

-11564158410907557

-5.15252120GOOOO852の◆

0,5,2⑫850.995606

-8397149175925E⑩g中中

-21741077190492137

-1144847746131E-1フ●*

10

-03765257920985闘3

-5905359933675Eつ5●C

O

-20B352343054095B

-5B85G95326718E-O5**

3

-11371862170911239

-5454092330000268$*

2

-07744251810960596

-5178075730000805“

-24868098330.”2923

2

03783463910.998514

-7.127810106123E-O6の*

-2101188835053142

-678971171フ392E⑩6の*

2

-04745460210981348

-42943唾唾BOOO7314●*

4

-31163783450114714

-72552B8097788E⑩7●*

B

-O25250260BOg897B4

-72Bgll2152698Eつう●*

3

-08815410520951691

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96 第4章経済時系列のデータ分析

表4.9:生産面デフレータの単位根検定

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脳尾の。円O:デフレータ

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4.8.小括 97

表4.10:分配面(付加価値項目)の単位根検定

l1iiiiui(雲雲三雲幹:1日水準SmN:名目営業余Pi年次上越1:名目雇用者所iB年次DC卵:名曰固宝資本減耗年次TB鋼:名目間接税-補助金年次Su編90:実質営業余Fi年次90隼腰準b回。90:実質雇用者翻禰年次90年a幽HDB“0:実質固定資本減耗年次90年副劉gTB“0:実jHn9按税F祐助金年次90年基叫9画なお、実質化に当っては、l野i活lbhBリインプリシットデズジー鈍匡使用していろ.

る。第二に、残り11部門のなかで、鉄鋼、紙・パルプ〈化学、電機、不突合の5部門では、単位根

仮説は棄却される結果となった。第三に、建設、電気・ガス・水道(政府)、公務、不動産、サービ

ス、対家計民間非営利サービスの6部門は、I(2)変数であるとの結果が出ている。

これらの結果の解釈は難しいが、単位根仮説が棄却された5部門では、それらの変数が定常のI(O)

変数であるということを意味はしないだろう。判定された5部門では、実は物価変動がかなり激しく

構造変化に匹敵するような規模であったことから単位根仮説が棄却されていると考えるのが妥当か

もしれない。また、I(2)となった6部門は、初期の時期の物価水準が比較的安定的に推移していることからもたらされた結果であると解釈できる。

そして、分配面での構成要素の単位根検定の結果を示したものが表4.10である。

名目の付加価値項目では、雇用者所得と固定資本減耗が共にI(2)変数との結果が得られている。

それに対し、実質化された付加価値の各項目は、全て1階の階差で単位根仮説が棄却され、定常化さ

れている。

ここにおける実質付加価値額は、先に述べたように、経済活動別付加価値額を各々のインプリシッ

ト・デフレータで実質化し、それを項目別に集計し直して得られているので、どのデフレータがI(2)

の雇用者所得と固定資本減耗に影響を与えているのかは不明である。但し、先と同様に、両変数とも

に比較的安定的に推移している変数であることがこのような結果をもたらしている可能性が高い。

以上が、集計量GDPを構成する経済循環三面における構成項目の単位根検定の結果である.全体

として、集計量としてのGDPの挙動を各構成要素の挙動が裏付ける結果となったと言える。

4.8小括

本章は、マクロ経済データの人工的接続が、時系列変化に如何なる影響を与えるのかという問題意

識の元、68SNAと93SNAのデータを90年において接続することで検討してきた。本章では以下の

諸点が明らかとされた。

1.90年時点の直接接続によるGDPデータによれば、対数名目GDP、対数実質GDP、対数GDP

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98 第4章経済時系列のデータ分析

デフレータ、更に、名目GDP成長率、実質GDP成長率において単位根仮説が棄却された。

2.名目GDPとGDPデフレータはI(2)変数、実質GDPはI(1)変数との結果を得た。

3.実質GDPの構造変化に関する逐次検定においては、構造変化を考慮してもなお単位根仮説は

棄却されなかった。

4.但し、Rolling検定では、オイルショック直後の74年から83年までの10年間で、単位根仮説

が棄却された。

5.データの接続地点の90年時点における実質GDPの単位根仮説は棄却できなかった。

6.不突合値では、名目不突合値と実質不突合値との挙動は異なるものとなった。名目不突合値で

は、逐次検定において83年から95年時点まで単位根仮説が棄却される構造変化が認識され、

Rolling検定においては55年から70年代前半の時期ではデータが定常であるとの結果を得た。

7.-方、実質不突合値では、Rolling検定において70年のデータの段差の他に、80年代前半から

90年代初頭において単位根仮説が棄却された。この結果は、この時期の統計改訂、バブル経済

の発生と崩壊の影響である可能性がある。

8.更に、GDPを構成要素別に三面等価の観点から各変数を単位根検定にかけると、生産面では、

物価変動の激しかった石油・石炭、電機等の部門の名目値で単位根仮説が棄却された。また、

需要面では比較的安定した推移の消費支出の名目値が、分配面では雇用者所得や固定資本減耗

の各名目値がI(2)変数であるとの結果となった。

9.但し、実質値においては、三面における全要素でI(1)変数であるとの結果を得た。

以上により、実質GDPベースにおいては、我々が行なった直接接続による方法によっても構造変

化のような大きな段差を確認できなかったという意味において、I(1)の非定常データとして利用可

能であると判断することができる。但し、GDPを集計する構成項目の一つである不突合値を構造変

化検定にかけると、幾つかの点で単位根仮説が棄却される結果となった。

課題として、まず第一に、68SNAデータと93SNAデータとを直接接続してその「構造変化」の

程度を検定するという方法の是非がある。時系列データは、統一した方法による収集が望ましいの

は言うまでもない。本章では、長期的動向の視点から、戦後の系列の特徴と90年代との比較を行い

たいという問題意識からこのような方法を採用した。だが、80年代からの分析であるならば93SNA

の遡及計算で足りるし、データ数だけの問題ならば四半期データでいいということになる。また、90

年代半ばまでの分析なら68SNAデータがある。この辺は分析目的に依存するところである。

但し、経済統計の利用者としては、50年から100年程度の長期統計が整備されているならば、社

会経済に関してより豊富な分析が可能になることは明らかである。本章は、そのようなデータが未整

備の場合のデータ加工の試算例であるが、今後より合理的な加工方法を検討する必要がある。

第二の問題は、不突合値の経済学的な解釈を如何に行うかということがある。不突合値は、経済統

計上、マクロ経済全体の集計量と個別の変数の積み上げとの「誤差」に過ぎない.不突合値を単位

根検定のかけると、名目値も実質値も共にI(1)という非定常であることが確認された33.不突合値の非定常性というのは、不突合であることの定義から言えば「正しい結果」であるのかもしれない。

だが、このデータ自体が、経済上の大きな変化や経済統計作成上の大きな変更などから強い影響を受

33但し、不突合デフレータはI(0)であった。

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4.8.小括 99

けているとするならば、不突合値の統計的検定を行うことがマクロ経済全体の何らかの変化を分析

できる糸口になるのかもしれない。実際、構造変化検定においては、経済的経験と合致する時期に構

造変化として現れている可能性が示唆された。不突合値の挙動が、何らかの経済統計的な解釈ができ

るのかどうか、我々が観察している経済現象のいずれかを説明するような可能性があるあるのかどう

か、更なる検討が必要である。

以上、本章では戦後の長期系列の人口接続データの時系列特徴を概観した。次章からは、このデー

タに基づくマクロ経済の三面等価の状況分析や成長率の要因分解、生産性の分析などを行なっていく。