経済産業省「FinTech研究会」 FinTech”勃興の歴史と、⽇本市場 … ·...
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2015年10⽉6⽇株式会社 ドリームインキュベータ
経済産業省「FinTech研究会」“FinTech”勃興の歴史と、⽇本市場への⽰唆
資料3
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⾃⼰紹介
林俊助(はやししゅんすけ)ドリームインキュベータ ビジネスプロデューサー 東京⼤学経済学部⾦融学科を経て、DIに参加 ⾦融/通信/環境エネルギー/商社/医療/消費財など
の多岐にわたる分野に対する、成⻑戦略及び中期経営計画策定、海外展開戦略構築、新規事業開発などに従事
近年は、ベンチャーキャピタル事業にも注⼒しており、国内外の⾦融/デジタルメディア/環境エネルギーなどの分野における投資判断、戦略策定、実⾏⽀援にも従事
DIウェブジャーナルにてFinTech関連記事掲載 ⽇英中の3⾔語対応可
– 中国上海市出⾝
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DI紹介:”The Business Producing Company”
Create New Industries, Vitalize the World(新しい産業を創り、世界を元気にする)
ビジネスプロデュース
戦略コンサルティングプロデュース⽀援M&Aアドバイザリー幹部育成⽀援
プロフェッショナルサービス
ベンチャーキャピタル投資(⾃⼰資⾦)
グロースキャピタル投資(ファンド)
投 資
保 険アセットリクイデーションデジタルマーケティング
⼦会社事業
× ×
DIでは、プロフェッショナルサービス、投資、事業の専⾨家が融合
3
本⽇のトピック
1. FinTechとは何かマクロ動向/直近の動向
2. FinTech勃興の背景 FinTech(⽶国)の歴史
3. まとめ⽇本市場への⽰唆
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FinTechスタートアップへの投資総額はこの5年間で5倍以上に
(FinTechスタートアップによる資金調達総額(グローバル))
出所: 「The Future of Fintech and Banking digitallydisrupted or reima」Accenture
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Disruptor 50を⾒ても、FinTechへの注⽬度の⾼まりは⾒て取れる
2013年度選出FinTechスタートアップ⼀覧
2014年度選出FinTechスタートアップ⼀覧
第7位 :Boku第12位 :CircleUp第21位 :Kickstarter第23位 :Lending Club第40位 :Square第48位 :Wealthfront
第4位 :Motif Investing第11位 :Zuora第15位 :Stripe第16位 :TransferWise第17位 :Personal Capital第20位 :Wealthfront第26位 :AngelList第33位 :Lending Club第35位 :Coinbase第43位 :Oscar第45位 :Betterment第49位 :Kickstarter
Disruptor 50 = 世界で最も⾰新的なスタートアップとして選出される50社
6社/50社
12社/50社
1年で倍のFinTechスタートアップが選出 2014年度は、
全体の実に1/4がFinTech関連
出所: CNBC Disruptor 50 HP
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⼀⽅、FinTechは約20年に渡って幅広い領域で変⾰を起こしている
(FinTech業界マップ)
(FinTechスタートアップ創業年度別分布図)
「Finance×Technology」というテーマは、決して⼀時的な流⾏ではない⇒ ⾦融業界のあり⽅を変えていく動きが近年加速しているだけ
出所: Venture Scanner HP
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本⽇のトピック
1. FinTechとは何かマクロ動向/直近の動向
2. FinTechの潮流⽶国を中⼼に⾒たFinTechの20年の歴史
3. まとめ⽇本市場への⽰唆
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背景
モバイルシフトクラウド化
テクノロジー
規制緩和
その他環境変化 リーマンショック
JOBS法
ECの普及
ビッグデータ・AI技術・ブロックチェーン技術の進化
環境変化が重なり、⽶国FinTechは佳境に
ネット普及
⽶国FinTech業界の潮流・歴史(概略)1995 2015(年)2000 2005 2010
主要分野の潮流
資産管理個 ⼈
PFMツール
資産運⽤対⾯取引(証券会社 等)
ネット証券投資助⾔のオンライン化
投融資 対⾯取引(銀⾏/消費者⾦融/VC 等)
クラウドファンディング
寄付・購⼊型融資型
株式型
銀⾏間システム
SWIFT
決 済対⾯決済
ネット決済モバイル決済
ネット銀⾏
会計・業務⽀援
独⾃システム・ソフトクラウド型システム
ブロックチェーン
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資産管理・運⽤分野:ビッグデータ・AIの活⽤が進み、⼀気通貫に
Personal Capitalの概要
設⽴: 2009年創業者: Bill Harris Intuit CEO、Paypal CEOを歴任
所在地: ⽶国カリフォルニア事業概要: 資産管理+ロボティクスアドバイス
– 資産管理は無料– アドバイザリー⼿数料(1%以下)
が収⼊源資⾦調達総額:約102.3億円 スペイン⼤⼿銀⾏グループの
BBVA Venturesも出資実績: 会員登録数:85万⼈ トラッキング中資産総額:18兆円 運⽤中資産総額:1500億円
ネット証券業界の変化
これまで
今 後
実取引部分のみがオンライン化 ⾦融リテラシーが⾼い⼀部
の層のみが利⽤可能 投資助⾔部分は依然対⾯に
頼っているため、⾦融リテラシーが低い層はネット証券へ移⾏し⾟い環境
代表格である「Personal Capital」のご紹介
⼀気通貫のネット証券サービスが完成 実取引+資産管理/投資
助⾔がオンライン化されたことにより、
⾦融リテラシーが低い層へも裾野が⼤きく広がる
出所: Wealthfront HP、記事検索、DI分析
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投融資分野:規制緩和により株式型クラウドファンディングが登場
AngelListの概要 成功までの道のり
設⽴: 2010年創業者: Naval Ravikant、Babak Nivi所在地: ⽶国サンフランシスコ事業概要: 投資家と企業とのマッチアップサイト
– 「⾦」と「⼈」のマッチング– いわゆる、株式型クラウドファン
ディングの代表格実績: これまでの調達総額:200億円
– 1件当たり平均:3,300万円 代表的成功例:UBER
– タクシーマッチングアプリ– Seedラウンド調達額1.3億円
黎明期
成⻑期
成熟期
単なるスタートアップ界隈向けの情報サイト 先⾏するCrunchbaseと
⼤きな差分なし
スタートアップ向け⼈材紹介サービスの提供 転職の意思決定に⼗分な
信⽤情報が⼀⼿に集約されている証
JOBS法成⽴スタートアップ向けの資⾦
調達⼿段の提供 スタートアップが必ず
使うサイトに成⻑
代表格であるAngelListのご紹介
出所: AngelList HP、記事検索、DI分析
11- 11 -
AngelList成功の背景には、⽶国政府による制度改⾰の後押しあり
* "Jump-start Our Business Act" の通称、法案成立は2012年4月、施行が2013年7月** dealer/brokerになると、ウェブ上のスタートアップ全てとの面談が求められる等、事業継続が困難出所: 「米国JOBS法による証券規制の変革」(日本証券経済研究所)
dealer/brokerの範囲が不明 プラットフォームビジネスがdealer/broker
認定なしにどこまでできるのかがグレー
適格投資家に対するネットでの私募勧誘の禁⽌ 適格投資家への勧誘は⼝頭のみ可能
dealer/brokerとならないように**、ファンドマッチング 投資家/スタートアップの情報提供のみで、
実際の相対投資の実⾏はネット外– ネットでの私募勧誘の禁⽌に加え、– 投資への関与が強くなり、
dealer/brokerに認定される可能性
2つの付帯ビジネスをdealer/broker認定なしに、グレーながら運営 標準契約書の提供 優良な企業情報の選別・提供(キュレーション)
⼿数料を取らない等を条件に、プラットフォーマがdealer/brokerにあたらないことを明確化 標準契約書の提供やキュレーションも可能と明⽰
実際の投資家が適格投資家に限られることを条件に、ネットでの私募勧誘を解禁
ネット上での投資実⾏を開始 ネット外での相対投資は存続
2つの付帯サービスも継続 明⽰的に「ホワイト」な業務
AngelList
の
意⾒を反映
2013年3⽉にSECよりNo-Action letterを受領 dealer/brokerに当たらない旨お墨付き
制度概要
AngelListの仕組み
JOBS法*施⾏前(2010年〜2013年7⽉)
JOBS法施⾏後(2013年7⽉〜)
参 考
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AngelListから⾒る現⾏国内制度の潜在的課題(現時点DI理解)
① 投資呼び⽔となるLead Investorが出てこない 年50万円までの投資では、
プロ投資家は参加しない
② 特定企業への投資を⾏うSPVが設計可能か不明 SPVへの投資は株式投資か
ファンド投資か ファンド投資となる場合、
ファンドから企業へのネット上での投資は年50万円か
③ ⽇本では適格投資家に限定されない ⼀般庶⺠までリーチ
「指南役」がいないと、素⼈は投資できない “呼び⽔“がない
状態
仮にSPV組成ができないと、企業側が多数の⼩規模投資を嫌がる可能性
「投資家保護」を過⼤に設けざるを得ない
適格投資家
適格投資家
StartupLead Investor
SPV
AngelList(⽶国)の仕組み 改正⾦商法の潜在的課題
⽇本の現⾏制度では⽶国と同程度の投資促進は難しいか 素⼈とプロ投資家を切り分けた要件緩和が必要そう
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決済分野:モバイルシフトが進み、新興プレイヤーが台頭
異業種プレイヤーが消費者・店舗の両⾯から参⼊ 事 例
加盟店管理会社(Acquire)
カード発⾏会社(Issuer)
決済代⾏業者
POS端末メーカー
イメージサービス内容スマホ決済 店舗の専⽤端末
にスマホをかざして決済
確認は指紋認証
モバイルPOS
店舗のスマホにリーダーを取り付けて、POS化
売上分析 等の加機能あり
プレイヤー Apple
Goolge
Square
PayPal
Amazon
Intuit
Bank ofAmerica
PayPal
Square
顔パス決済 スマホアプリに
カード情報登録 店舗が顔と名前
を確認&決済
レジ
⽀払
POS販売
請求請求請求
商品購⼊
商品引渡し
請求
消費者 店舗
消費者側から参⼊
店舗側から参⼊
①消費者側から参⼊
②店舗側から参⼊
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本⽇のトピック
1. FinTechとは何かマクロ動向/直近の動向
2. FinTechの潮流⽶国を中⼼に⾒たFinTechの20年の歴史
3. まとめ⽇本市場への⽰唆
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この潮流を軽視していると起き得ること(現時点DI理解)
⽶国で起きている変化 ⽇本への影響
グローバル性
⾼
低
グローバル性が⾼いほど影響⼤か(銀⾏システム>資産運⽤>投融資>決済)
投融資
決 済
資産運⽤
会 計
⼀気通貫のネット証券サービスが完成 実取引のオンライン化に加え、 AI等の活⽤による投資助⾔の
オンライン化
証券のオンライン化が⼀気に進む可能性 その際、⼊り⼝である
投資助⾔部分に強い外資がネット証券の主流に(?)
直接⾦融の割合が上昇 既存⾦融機関とは違う枠組み
での経済圏が台頭
規制緩和が進めば、同じように⽴ち上がる可能性 その際、先進的に取組んで
いる外資が主流に(?)業界構造が徐々に変化 モバイルシフトの進⾏により、
ユーザーを握るプレイヤーの交渉⼒が向上
国内決済業界の構造も変化 その際、モバイルシフトへ
の対応が進んでいる外資に搾取される構造に(?)
国ごとの会計基準の違いにより守られる領域
国主導で規制緩和を進め、国内プレイヤーを育てる必要
国内プレイヤーの事業参⼊・投資を促進する必要
国内プレイヤーの事業参⼊・投資を促進する必要
銀⾏間システム
ブロックチェーン技術を活⽤した新たな銀⾏間送⾦/決済システムの登場 ⼤⼿⾦融機関がコンソーシア
ムに参画し、実証実験を開始
新たな標準規格が海外プレイヤー主導で確率される可能性 気づいた時には、SWIFT/
ほふりが崩壊(?)
国主導で規制緩和を進め、国内プレイヤーを育てる必要