気象予測の現状について - MLIT...MSM の統計的な検証結果) 高 ↑ 精 度 ↓ 低 ①降水量予測精度の経年変化 ②予報時間による降水量予測精度の変化
理化学研究所健康脆弱化予知予防コンソーシアム 運動機能の...
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理化学研究所 健康脆弱化予知予防コンソーシアム運動機能の脆弱化予知予防研究会
活動報告
2020年3⽉31⽇
運動機能の脆弱化予知予防研究会主査
姫野 ⿓太郎
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1.研究会の⽬的・⽬標
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健康コンソの課題と⽬標健康脆弱化を予知・予防する。
前期⾼齢者 後期⾼齢者
その他脊髄損傷パーキンソン病認知症⾼齢による衰弱転倒・⾻折関節疾患脳⾎管疾患
要介護は後期⾼齢者(75歳以上)で急増する。要介護者数の削減を⽬指して、「⾼齢による衰弱」、「認知症等の精神神経疾患」、「関節疾患」、「転倒・⾻折」を「脆弱化」と定義し、脆弱性の把握また是正⼿段の導⼊により個々⼈の健康⼒を最⼤化する。
要介護者数急増
脆弱化
資料︓平成25年厚⽣労働省国⺠⽣活基盤調査の結果及び社会保障審議会介護保険部会資料から作成
転倒・⾻折関節疾患
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運動機能研究会の⽬的と⽬標
運動機能の脆弱化予知予防研究会(略称︓運動機能研究会)①名称
上記⽬的達成のために、以下を⽬標に研究会で議論を⾏います1) 起こる変化の早期発⾒2) トレーニングなどによる予防3) 認知機能との関連4) 特に要介護になる⼤きな要因の⼀つである転倒に関する兆候の分析と予防
③⽬標
年齢とともに運動機能が脆弱化する状態を早めに予知し、トレーニングなどにより予防することを⽬的とします
②⽬的
2016年5⽉24⽇に開催された講演会「運動機能の脆弱化予知予防に向けて」において、運動機能脆弱化予知予防の研究会設置について参加者にご賛同いただきました。これを受け、健康脆弱化予知予防コンソーシアム運営委員会での承認を得て、以下に⽰す内容で研究会を2017年2⽉16⽇から研究会活動を開始しました。
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スポーツを楽しめる
評価指標多数
⽇常⽣活は問題なし
ここが広すぎて、どの位置にあるのかが分からないことが問題
⽇常⽣活に⽀障あり ADLで評価
寝たきり
⽇常⽣活は問題ない時点で加齢に伴う運動機能脆弱化を計測し、脆弱化の予知ができれば、予防対応につながるが、運動脆弱化を計測する良いシステムがない
現状の運動機能の評価の問題
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1年⽬(2016年度)
2年⽬(2017年度)
3年⽬(2018年度)
4年⽬(2019年度)
5年⽬(2020年度) その後
国の施策動向
医療等分野データ利活⽤プログラム等
改正個⼈情報保護法
次世代医療基盤法
保健医療データプラットフォーム稼働
健康コンソ活動
運動機能研究会 データ計測
計測装置開発
データ計測法の公開
運動脆弱化予防法の提案(⾃治体向け)
認知機能研究会
認知症テスト 認知症計測
認知症予防法の提案
データ循環研究会 データ保持
データ活⽤(パーソナルAIの開発)
国際標準を⽬指す
健康設計⼿順書 施⾏と普及
健康コンソの出⼝イメージと研究会活動健康コンソは、⾃分で⾃分の⾝体を守るための健康設計⼿順書の構築を⽬標とする運動機能研究会は、運動機能脆弱化の予知法と予防法を提案する役⽬である
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(1) 会員募集説明会(2) 研究会(3) 幹事会
2.活動・成果①会議体
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研究会活動(研究会・幹事会)研究会は11回開催した。幹事会は、各回の研究会後に13回開催し、研究会で会員からいただいた意⾒を次回以降の研究会の活動に反映した。
主に
、運動
機能
計測
技術
、介護
・医療
現場
や政
策
第1回研究会(2017.2.16)2018医療・介護制度改⾰、介護現場の活動、
研究会で取り組む研究開発
第2回研究会(2017.6.5)ロコモティブシンドローム、ロコモ管理(⼤磯)、
⻲岡スタディ、理研運動機能計測(モーションキャプチャ)
第3回研究会(2017.10.19)所作美(深度) 、LSII歩⾏計測(加速度)、
MR利⽤歩⾏計測(デモ) 、和光市実証試験結果
第4回研究会(2017.12.20)運動/認知機能研究会の概要と連携への期待、
パナソニック介護事業
第5回研究会(2018.4.13)⻑野市⻑野県健康取組み、THE WALKINGでの計測(深度)、
歩⾏チェックプログラム(デモ)、名⼈極意とトレーニング
会員募集説明会(2016.11.30)研究会趣旨、理研の関連研究、
産総研歩⾏特徴評価
主に
、地域
での
運動
機能
計測
、運動
機能
の地
域差
第6回研究会(2018.8.29)⾜病専⾨病院、弘前COI、地域・社会環境要因、
システムフレンド動作解析(深度)
第7回研究会(2019.1.25)⾷品成分、産総研歩⾏解析(⾜底圧)、静岡県健康⻑寿取組み、ゼロ次予防
第8回研究会(2019.5.23)産総研 柏⼈間拡張、MirrorWalkでの計測(深度)、
⻑野県サルコペニア予防運動習慣
第9回研究会(2019.7.8)⾹川県・和光市実証試験結果
理研運動機能計測デバイス(加速度)
第10回研究会(2019.10.29)産総研ヒト・モーション研究、
運動機能研究会活動総括と提⾔
第11回研究会(2020.2.19)運動機能研究会活動総括と提⾔
幹事会①
幹事会②
幹事会③
幹事会④
幹事会⑤
幹事会⑥
幹事会⑦
幹事会⑧
幹事会⑨
幹事会⑩
幹事会⑪
幹事会⑫
幹事会⑬
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研究会活動︓技術情報共有から提⾔へ
計測技術の研究・標準化 16理化学研究所 8、産業技術総合研究所 4
⽣命科学インスティテュート、マイクロストーン、システムフレンド、ジャパンヘルスケア
政策和光市
介護現場 2ぐるんとびー、パナソニックエイジフリー
地域での計測・分析 6アルケア(⼤磯)、⻲岡スタディ、理研(和光市、⾹川県) 3、弘前COI
予防、地域・環境 8⻑野県 2、静岡県、千葉⼤(環境) 2、理研(所作美)、森永乳業(⾷品)、筑波⼤(⾒附市)
医療 2江⼾川病院、下北沢病院
総括・提⾔
研究会は、運動機能計測の個別技術の紹介から開始し、介護・医療現場や政策の理解を深めたのち、地域での運動機能計測、運動機能の地域差から、脆弱化を防ぎ、⾼齢であっても⾃⽴的な⽣活の実現するための提⾔をまとめた
介護・医療現場、政策
地域
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研究会活動︓各カテゴリーでの話題・主なご意⾒健康コンソの講演会・シンポジウムの話題も含む
計測技術の研究・標準化・理研・産総研︓モーションキャプチャ、深度計測、加速度計測などの様々な原理による動作計測技術・企業︓⽣命科学インスティテュート(動作解析)、マイクロストーン(THE WALKING)
システムフレンド(動作解析)、ジャパンヘルスケア(MirrorWalk)〇定量的な評価指標の標準がなく、データ共有もできず、介⼊効果を詳細に⾒る⼿段がない〇計測を通じて様々な指標を検討したが、結局のところ歩⾏速度が⼀番よい指標と⾔えそうである〇「⼈を知る研究から⼈を⾼める研究へ」 強制的に⾼めるのではなく、⾃発的・ポジティブに
政策、介護現場、医療・政策︓2018年の医療・介護制度改⾰に対する⾃治体の対応例(和光市)・介護︓⼩規模多機能ホーム「ぐるんとびー」、パナソニック介護事業、いきいき福祉会事業・医療︓江⼾川病院のロコモティブシンドロームの取り組み、下北沢病院の⾜病専⾨医療
地域での計測・分析・アルケア(⼤磯産官学事業)、⻲岡スタディ、弘前COI、 、理研(和光市、⾹川県)〇健康計測は、数百⼈規模の計測を継続して実施することが必要である
予防、地域・環境・予防︓理研(所作美)、森永乳業(⾷品)、ルネサンス(健康脆弱化予防)・地域︓⻑野県(健康づくり) 、静岡県(健康寿命延伸) 、神奈川県(ヘルスケア・ニューフロンティア)
千葉⼤(健康格差、ゼロ次予防)、筑波⼤(⾒附市、健幸アンバサダー)〇運動と⾷(蛋⽩質)は介⼊効果があるが、継続する動機付けが困難である(特に健常⼈・未病⼈)〇無関⼼層を動かすインセンティブシステム、無関⼼のまま健康にできる街づくりが重要である〇地域コミュニティや横の繋がり、共体験、住⺠のリテラシー向上などが⼤事である〇健康脆弱化予防の対象は⾼齢者だけではなく、若年者へのメッセージも出したい
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(1) 運動機能計測技術の開発・モーションキャプチャー⇒加速度計デバイス・Mixed Reality活⽤計測技術・個⼈トレーニングメニュー提案技術
(2) 外部連携による実証・⾃治体連携(和光市、⾹川県、⻑野県)・企業連携・病院
2.活動・成果②活動
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(1)歩⾏計測技術開発• 和光市との共同研究︓第1回︓2016年3⽉、第2回︓2017年3⽉、
第3回︓2018年3⽉、第4回︓2019年2・3⽉• モーションキャプチャーと腰に装着した加速度センサーによる歩⾏動作計測と分析、
第3回は仮想障害物提⽰による転倒リスク評価、第4回は両⽅
計測⾵景
体の動きと地⾯と⾜先のクリアランス⾜の甲と腰に市販の加速度センサーを付けて計測
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⾹川県からの委託による計測技術研究開発個人別歩行計測結果“ 例”
ID : 1 8 5 3
★左足 ★右足
足の軌道
★左足 ★右足
評価
小さ いほどよい
項目 平均 最低 最高
スト ラ イ ド 長 1 .0 0 0 .9 3 1 .0 9
歩行速度 0 .8 8 0 .6 9 1 .0 3
項目 平均 最低 最高
ク リ アラ ン ス 2 .8 6 2 .5 8 3 .1 5
最小地上高での
上下角 1 5 .2 1 6 .3 0 2 3 .5 7
最小地上高での
左右角 1 .8 6 -2 .3 3 4 .2 4
最小地上高での
内外旋 5 .8 9 3 .2 4 9 .8 1
項目 平均 最低 最高
ク リ アラ ンス 2 .0 5 0 .8 3 3 .7 9
最小地上高での
上下角 8 .8 0 -0 .8 3 1 6 .5 9
最小地上高での
左右角 1 3 .8 0 9 .3 4 2 3 .4 3
最小地上高での
内外旋 1 6 .0 6 8 .6 2 2 7 .1 0
・モーションキャプチャーとの⽐較検討・加速度計による計測と補正技術開発
⾜の向きを3次元表⽰⾃由に視点変更や拡⼤が可能
・普通速度と早⾜の同時表⽰
2018,2019年度個⼈別歩⾏計測結果“例”
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加速度計デバイスとMixed Reality応⽤技術開発開発中の加速度計ユニット・⼩型軽量・ブルーツース通信機能10m歩⾏の計測⽤プログラミング終了パソコンとの通信まで可能にした
・今後はモバイルデバイスとの連携とPC側のソフト開発
MR・基本的な評価⽅法を確⽴・公開可能な⽔準
Head Mount Display
被験者に⾒えている映像
現実空間の映像
開発中の加速度計ユニット
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Mixed Reality技術開発の⽬的と背景
現実データ
VR/MRデータ
A,B,Cです
A“,B”,C“です
避けてもぶつかる可能性危険
安全
ぶつからない
現実環境
VR/MR環境
歩⾏動作の計測において,障害物を仮想的に表⽰することで安全な計測環境を確保したい
これまでの計測で、現実環境と同様な計測環境を仮想空間(VR/MR)で実現するためにはVR/MRの違和感が排除されている(慣れている)ことが必要と分かった
歩⾏動作での、仮想空間と現実空間の差異を⽰す指標の獲得を⽬指す• 計測現場で容易に評価可能
なマーカを探す「かかとの⾼さ」はマーカとして難しい
• 「慣れ」を⽰す指標を作成
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慣れの指標︓歩幅・歩⾏速度(2019年度)
• MR装置装着直後は極端に歩幅・歩⾏速度ともに平均値の低下するが、被験者が慣れた後ではその差が少なくなる→計測現場で容易に分かる歩幅・歩⾏速度は共に慣れの指標として有効だと分かった
• 歩幅や歩⾏速度が安定した後に測定を⾏うことで、初期段階の個⼈差を減らすことができ、本来のMR空間に対する定量的な差異が算出できる
※()内はウェルチ検定で求めた有意確率であり、0.05を下回ると有意な差があるといえる
0.0.360.721.081.441.8
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28T…
有意差あり(0. 000006 ※ )
B,左⾜踵(Lheel)の歩幅平均値 <縦軸︓歩幅(m),横軸︓被験者番号>
0.0.360.721.081.441.8
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28
T…
有意差なし(0.075846 ※ )
0.0.360.721.081.441.8
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28T…
有意差なし(0.628880 ※ )
C,左⾜踵(Lheel)の歩⾏速度平均値 <縦軸︓歩⾏速度(m/s),横軸︓被験者番号>
0.0.360.721.081.441.8
1 4 7 10 13 16 19 22 25 28T…
有意差あり(0 .000004 ※ )
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⾼齢者の運動トレーニングに適した計測項⽬の選定運動機能・認知機能を含めた総合的な計測
項⽬の選択基準・転倒リスク評価やフレイル評価で実績がある・性別・年齢層別の統計データがある・被験者が⾃分の体⼒・認知機能がどの程度なのか、理解できる・2ヶ⽉くらいのトレーニングでも効果が分かる
⾹川県や和光市での計測を踏まえ、⻑野県3市町村でさらに試⾏錯誤して確⽴した1)体組成計︓
⾝⻑(cm) 体重(kg) 体脂肪率(%) 筋⾁量(kg) BMI2)30秒いす⽴上テスト(転倒リスク評価項⽬)3)TUGテスト(転倒リスク評価項⽬)4)4ステージバランステスト(転倒リスク評価項⽬)5)転倒リスク評価: 2), 3), 4) +アンケート6)開眼⽚⾜⽴ち時間7)握⼒(フレールの評価項⽬)8)加速度計を使った10m歩⾏計測︓
歩⾏速度、ストライド⻑、最低⾜⾼さ、歩⾏時左右バランス、腰回転速度9)脳活動(脳活バランサーを使⽤)
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運動教室実施の仕⽅と結果レポート
実施の仕⽅
・24ヶ⽉の運動教室・各⾃治体で募集・実施・週⼀回/⼆週に⼀回集まって運動トレー
ニング(内容は各⾃治体に任せた)・⽇々の運動トレーニングは⽇誌を各⾃で
記⼊・最初と最後の回に計測・最初の計測で、個々⼈へのフィードバック特にバランス能⼒・⾜の筋トレ・⾷事に関する注意
・最後にレポート
・5段階評価できる項⽬6件を選んで、レーダーチャート化、運動教室の前後の差が分かるようにしてある
ID xx年齢 xx性別 xx
前回 今回 増減⾝⻑(cm) 156.7 155.8 -0.9体重(kg) 58.1 59.9 1.8
体脂肪率(%) 15 18 3筋⾁量(kg) 46.8 46.5 -0.3
BMI 23.7 24.7 130秒いす⽴ち上がり回数 20 24 4
⽴上がり評価 4 5 1転倒リスク 低 低
転倒評価 5 5 0開眼⽚⾜⽴ち
(秒) 56.66 12063.34
⽚⾜⽴ち評価 4 5 1握⼒(右)kg 50.9 45.6 -5.3握⼒(左)kg 42.2 41.6 -0.6握⼒評価 5 5 0
脳活動 3.8 3.6 -0.2歩⾏速度(m/s) 1.54 1.81 0.27
歩⾏速度評価 4 4 0
012345
俊敏性・…
転倒リスク
バランス…
握⼒評価
脳活動
歩⾏速…
初回
2回⽬
図は外に⾏くほど良いことを表しており、5点満点で3点が性別・年齢の平均的な状態ですただし、転倒リスクは3が標準ではなく、5の転倒リスク低が標準です
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⻑野県三市町村での結果
・2018年度と2019年度に、筑北村と⼤町市、飯綱町で実施・筑北村︓対象年齢ばらばら(60歳台から80歳台)で、対象者を村が直接勧誘
週⼀回集まってトレーニング・⼤町市︓65歳を対象にして公募、時期を分けて2回実施
⼆週に⼀回
筑北村︓7名継続して参加転倒リスク減︓2名(1名は増加)⽚⾜⽴ち︓3名増、2名減30秒いす⽴ち上がり︓3名増、1名減歩⾏速度︓4名増、1名減
・運動教室の効果は⾼い・転倒リスクや認知機能が顕著に改善された⽅も
⼤町市︓21名継続して参加転倒リスク減︓元々転倒リスク低で変化なし)
⽚⾜⽴ち︓2名増(元々時間制限⼀杯の⼈が多い)
30秒いす⽴ち上がり︓16名増、1名減歩⾏速度︓12名増、8名減
・8割近い参加者で30秒いす⽴ち上がり回数が増加。中には倍になった⼈も
・運動教室の意識付けの効果は⾼い
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個⼈トレーニングメニュー
• 運動計測で弱いところが⾒つかれば、それを補強するようなトレーニングメニューは簡単にアドバイスできる。現状では不明点も多い– 問題は継続できるか︖– 運動教室は効果的– どの位の頻度で計測してフィードバックするか– 個々⼈にゆだねるか
• 意識の⾼い⼈はトレーニングにも運動教室への参加も積極的• ⼀⽅で、運動教室や計測会には⼦供に進められて、という⼈がそ
こそこの⼈数いる。⼦供世代への働きかけは有効
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(1) 計測による脆弱化の予知・運動等による予防⻑野の3市町村で実証(次ページから報告)
(2) 転倒リスク予知のための運動機能評価30秒いす⽴ち上がり回数、TUG、4ステージバランステスト、転倒に関する
アンケートの4つで評価で⼗分、ただし突発的な転倒、および⾻折もあり、運動機能の脆弱化による転倒と、突発的な要因によるものとを分けることが重要。⻑野での運動教室の中で実施。現在後述の⾷の効果に関する論⽂の準備中。(3) 認知機能との関係評価
和光市での計測で運動と認知機能や精神的な満⾜感との相関が⾒られた。⻑野での運動教室で認知機能が⼤幅に改善した例もでてきた。(3)にまとめる。(4) 運動機能脆弱化予防に対する⾷の効果
⻑野県での計測で⼆群に分けて実施(論⽂投稿後、結果公表予定)(5) 運動機能の脆弱化の個⼈差と地域差
千葉⼤・近藤克則先⽣の講演によって、地域差は⼤きな問題として存在することが指摘された。(研究会で報告された内容。近藤先⽣の著書“⻑⽣きできる町”、⾓川新書を参照)(6) 脆弱化予備軍の参加・運動継続のための⽅策
ここが最⼤の問題。しかし、運動教室は効果的であることが実証された(⻑野での運動教室の報告を参照のこと)
2.活動・成果 ③成果
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(1)⻑野県3市町村での運動教室の結果:1)筑北村
筑北村︓ID 俊敏性・筋量
転倒リスク
バランス能⼒ 握⼒
歩⾏時筋⼒
歩⾏時左右バランス 脳活動 合計
01前回 5 1 5 3 4 4 3.4 25.4今回 5 5 5 3 4 2 3 27.0
差 1.6
02前回 3 5 1 5 5 4 2.6 25.6今回 3 3 1 5 5 4 2.4 23.4
差 -2.2
03前回 3 5 3 4 5 4 2.8 26.8今回 3 3 4 2 5 5 4.2 26.2
差 -0.604 前回 3 5 3 4 5 4 2.8 26.8
05前回 4 5 4 4 5 4 1.8 27.8今回 4 5 4 4 5 5 2.4 29.4
差 1.6
06前回 4 5 5 5 5 3 2.2 29.2今回 4 5 5 5 5 3 3.4 30.4
差 1.2
07前回 3 5 5 4 5 3 2.8 27.8今回 4 5 5 4 5 4 2.2 29.2
差 1.408 今回 3 5 1 2 3 5 2.4 21.409 今回 3 5 3 4 5 4 2.6 26.6
大幅な改善
大幅な改善
大幅な改善
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⻑野での運動教室は、筑北村、⼤町市、飯綱町の3箇所、筑北村は2ヶ⽉週⼀回10名程度、⼤町市は65歳対象に約20名、2ヶ⽉2週に⼀回、飯綱町は40名、6ヶ⽉
⼤町市2ヶ⽉間の運動教室を2回実施︓対象者は65歳、2週間に⼀回集まって体操指導、⽇々のトレーニングは個々⼈で決めて記録、早⾜での散歩は必須
5段階評価の6項⽬(30秒いす⽴ち上がり回数、転倒リスク、開眼⽚⾜⽴ち、握⼒、歩⾏速度、脳活動レベル)では3が同性の同年齢の標準なのに対し
– 平均値で初回3.9、最終回では4.3と⼤きく改善– 転倒リスクは全員が低い
運動教室を2回実施、第⼆回では– 各個⼈の平均スコアは全員が改善(10⼈中10⼈)– 30秒いす⽴ち上がり回数は全員が増加(10⼈中10⼈)– 開眼⽚⾜⽴ちは全員120秒までできた(10⼈中10⼈)
歩⾏時左右バランスは、膝関節や股関節などの曲がりにくさと関係– 左右バランスの評価は試験的なもの。– 左右差が⼤きい場合は、つまずきや、こける原因となるので注意が必要
(この項⽬はばらつきが⼤きく、再現性もなかったため、最終的には使わないことにした)
(1)⻑野県3市町村での運動教室の結果:2)⼤町市
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前後差の平均 増加 減少 変化なし⾝⻑(cm) 0 10体重(kg) -0.01 4 6
体脂肪率(%) 0.25 4 5 1筋⾁量(kg) -0.14 3 4 3
BMI -0.01 4 4 2肥満度(%) -0.02
30秒⽴上回数 6.8 1030秒評価(5点満点) 1.4 10
転倒リスク 0 10⽚⾜⽴ち(秒) 4.9 2 8
⽚⾜評価(5点満点) 0.2 2 8握⼒(右)kg 1.26 7 3握⼒(左)kg 0.43 5 4 1
握⼒評価(5点満点) 0.6 6 4脳活動(5点満点) -0.08 5 3 2歩⾏速度(m/s) -0.01 7 3
歩⾏時速度(5点満点) 0.10 2 1 7左右バランス 0.07 4 6
左右バランス(5点満点) -0.30 2 4 4
5点満点の評価の差平均 0.32 10
初回の平均値 3.95 最終回の平均値 4.27
・⾝⻑は、2ヶ⽉の変化を⾒ても変化なし。ただ、これは年齢が⾼くなると、かなり変化する。実際に⾝⻑が縮むこともあるが、姿勢との関係が強いのではないか
・多くの参加者が改善した項⽬30秒いす⽴ち上がり回数握⼒
・⾏ったトレーニング2週間に⼀度の運動指導⽇々の個々⼈のトレーニング(早⾜での散歩は必須)
歩⾏速度が下がったのは左右バランスを気にしたためと判明。このため左右バランスの評価を以降は外した
⼤町市での運動計測結果の傾向
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⼤町市第⼀回運動教室結果
6項⽬の5段階評価で– 平均よりも⾼い⽔準の⼈が多い– 転倒リスクは全員が低い
運動教室の期間中で– 半数以上の⼈で運動能⼒が改善(10⼈中6⼈)– ほとんどの⼈が筋⾁量が増加(10⼈中8⼈)– ⾜の筋⾁の俊敏性が上がり、筋⼒が増えている(10⼈中6⼈)– 歩⾏速度が遅くなった⼈が5⼈、速くなった⼈が5⼈
実は歩⾏時左右バランスを気にして遅くなっていた
歩⾏時左右バランスは、膝関節や股関節などの曲がりにくさと関係– 左右バランスの評価が低い⽅で、初回と最終回共に低い場合は、個別に
ご相談ください– 左右差が⼤きいと、つまずきや、こける原因となるので注意が必要
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⼤町市第⼀回運動教室結果平均の前後差 増えた⼈数 減った⼈数
⾝⻑(cm) 0.05 1体重(kg) 0.53 7 3
体脂肪率(%) 0.36 5 5筋⾁量(kg) 0.36 8 1
BMI 0.23 7 3肥満度(%) 0.93 7 3
30秒⽴上回数 2.70 6 130秒評価(5点満点) 0.40
転倒リスク 0.00 ⽚⾜⽴ち(秒) 0.00
⽚⾜評価(5点満点) 0.00 握⼒(右)kg -0.50 6 4握⼒(左)kg 1.34 8 2
握⼒評価(5点満点) 0.00 歩⾏速度(m/s) -0.02 5 5
歩⾏速度(5点満点) -0.20 歩⾏時腰回転 -0.25 4 6
歩⾏時左右バランス(5点満点) 0.40 4 6脳活動(5点満点) -0.30 3 6
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3)飯綱町運動教室結果
• 40名対象• 60代から80代まで• 改善
– 30秒いす⽴ち上がり回数– 開眼⽚⾜⽴ち– 脳活動レベル– 歩⾏速度(⼤幅に向上)
前回 今回 増減⾝⻑(cm) 151 150.4 -0.6体重(kg) 53.8 54 0.2
体脂肪率(%) 28.3 30.1 1.8筋⾁量(kg) 36.3 35.5 -0.8
BMI 23.5 23.8 0.330秒いす⽴ち上がり
回数 16.8 19.4 2.6
⽴上がり評価 3.1 3.6 0.5転倒リスク転倒評価 4.4 4.3 -0.1
開眼⽚⾜⽴ち(秒) 43.5 60 16.5⽚⾜⽴ち評価 3.6 4 0.4握⼒(右)kg 26.2 25.1 -1.1握⼒(左)kg 24.1 23.5 -0.6握⼒評価 4.4 4.3 -0.1脳活動 3.4 3.6 0.2
歩⾏速度(m/s) 1.09 1.42 0.33歩⾏速度評価 2.6 3.5 0.9
参加者平均
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和光市での健康計測で平成28年度に実施・取得した32名の運動機能テスト「4ステージバランステスト」成績と認知課題成績の関連性を検討した。
バランステストにより分類した低転倒リスク群(22名)、中転倒リスク群(6名)および⾼転倒リスク群(4名)において、
⾼転倒リスク群は、低・中転倒リスク群に⽐し、注意の切り替えに要する前頭葉機能が著しく低下していた。
年齢
年齢差なしバランステスト(⽚⾜⽴ち)
(3)運動と認知機能等との相関
⾼齢者の認知機能低下が転倒リスクと密接に関連していることが明らかとなった。
0
30
60
90
年齢
転倒リスク低
転倒リスク中
転倒リスク高
0
50
100
150
200
250
D_TtlRT A_TtlRT pB_TtlRT
転倒リスク低 転倒リスク中 転倒リスク⾼
注意制御ワーキングメモリ運動課題
総反
応時
間(秒
)
-
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運動習慣と疲労感・不安感の関係
運動習慣のある⽅は疲労が少なく,不安感が少ない
2016年度2017年度
0
2
4
6
8
10r=-0.6191 p=0.0016 n=23
0
2
4
6
8
10r=-0.4202 p=0.0208 n=30
0
2
4
6
8
10
12r=-0.4869 p=0.0136 n=25
0
2
4
6
8
10r=-0.4667 p=0.0187 n=25
<和光市健康計測結果>
計測年度
運動習慣の有無VS
疲労スコア
運動習慣の有無VS
不安うつスコア
-
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歩⾏速度と疲労感の関係
5 6 7 8 9 100
20
40
60
80r=0.4013 p=0.0008 n=67
<和光市健康計測結果>歩⾏速度が速いと疲労感が低い
疲労
感ス
コア
ふつう歩⾏時間(秒/10m)
-
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65歳未満は意欲が減退
5 6 7 8 9 100
20
40
60
80
100r=-0.4999 p=0.0026 n=34
歩⾏速度は健康寿命の指標Shinkai, et al, Age and Ageing, 29, 441-446, (2000)
65〜74歳は疲労感が増加
75歳以上は抑うつ感が増加
5 6 7 8 9 100
20
40
60
80r=0.5524 p=0.0010 n=32
4 6 8 100
10
20
30
40
50
60
70r=0.7531 p=0.0000 n=24
● 全体● 該当する年齢の参加者
5 6 7 8 9 100
20
40
60
80
100r=0.1706 p=0.6159 n=11
歩⾏速度が遅くなると…<和光市健康計測結果>
歩⾏速度と疲労感の関係(年齢別)
ふつう歩⾏時間(秒/10m) ふつう歩⾏時間(秒/10m) ふつう歩⾏時間(秒/10m)
ふつう歩⾏時間(秒/10m)
意欲
スコア
(20
17年
度)
疲労
感ス
コア
うつ感
スコア
意欲
スコア
(20
18年
度)
-
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転倒リスクとの関連
認知機能と転倒リスクの関連
課題D︓⼀時的な記憶
0 20 40 60-1
-0.5
0
0.5
1
1.5r=-0.4330 p=0.0094 n=35
0
5
10
15r=0.4064 p=0.0003 n=74
転倒と睡眠の問題の関連
⼀時的な記憶と転倒リスクは相関する
転倒経験
<和光市健康計測結果>睡
眠ス
コア
4ステ
ージ
バラン
ステ
スト(
ステ
ージ
)
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筑北村での運動教室による脳活動レベルの⼤幅改善
筑北村︓ID 俊敏性・筋量
転倒リスク
バランス能⼒ 握⼒
歩⾏時筋⼒
歩⾏時左右バランス 脳活動 合計
01前回 5 1 5 3 4 4 3.4 25.4今回 5 5 5 3 4 2 3 27.0
差 1.6
02前回 3 5 1 5 5 4 2.6 25.6今回 3 3 1 5 5 4 2.4 23.4
差 -2.2
03前回 3 5 3 4 5 4 2.8 26.8今回 3 3 4 2 5 5 4.2 26.2
差 -0.604 前回 3 5 3 4 5 4 2.8 26.8
05前回 4 5 4 4 5 4 1.8 27.8今回 4 5 4 4 5 5 2.4 29.4
差 1.6
06前回 4 5 5 5 5 3 2.2 29.2今回 4 5 5 5 5 3 3.4 30.4
差 1.2
07前回 3 5 5 4 5 3 2.8 27.8今回 4 5 5 4 5 4 2.2 29.2
差 1.408 今回 3 5 1 2 3 5 2.4 21.409 今回 3 5 3 4 5 4 2.6 26.6
大幅な改善
大幅な改善
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①標準値や個⼈に適した⽬的値の提⽰法の開発②個⼈に適した歩⾏のアドバイス法の開発③個⼈に適した歩⾏グッズの提⽰法の開発④運動機能計測技術の標準化⑤運動機能計測継続の重要性、対象年齢層の拡⼤⑥地域的な⾼齢者健康づくりや地域活動への参画の⽀援⑦健康設計コンシェルジュへの展開⑧本コンソーシアム活動成果の継続的コホート評価
3.運動機能脆弱化予知予防に向けた提⾔
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①標準値や個⼈に適した⽬的値の提⽰法和光市での計測(3年間)、⾹川県⾼松市での計測、これらを踏まえて、2年に渡って⾏ってきた⻑野県3市町村での運動教室を踏まえ、以下の測定とフィードバックが効果的だった
前回 今回 増減⾝⻑(cm) 151 150.4 -0.6体重(kg) 53.8 54 0.2
体脂肪率(%) 28.3 30.1 1.8筋⾁量(kg) 36.3 35.5 -0.8
BMI 23.5 23.8 0.330秒いす⽴ち上
がり回数 16.8 19.4 2.6
⽴上がり評価 3.1 3.6 0.5転倒リスク転倒評価 4.4 4.3 -0.1
開眼⽚⾜⽴ち(秒) 43.5 60 16.5
⽚⾜⽴ち評価 3.6 4 0.4握⼒(右)kg 26.2 25.1 -1.1握⼒(左)kg 24.1 23.5 -0.6握⼒評価 4.4 4.3 -0.1脳活動 3.4 3.6 0.2
歩⾏速度(m/s) 1.09 1.42 0.33
歩⾏速度評価 2.6 3.5 0.9
・⾝⻑︓姿勢と関係、胸を張ると⾝⻑は伸びる・体重・体脂肪率・BMI︓⼥性は特にやせたい願望があり、適正な数値をアドバイスするのが有効
・運動評価(1)30秒いす⽴ち上がり回数︓2ヶ⽉程度のトレーニングで回数が増える。良い指標
・運動評価(2)転倒リスク評価に使うTUG︓⼀般に使われるフレイルの指標で、9秒以上だとフレイルと診断トレーニングにより改善する
・運動評価(3)4ステージバランステスト︓転倒リスク評価に使う。トレーニングにより改善する
・運動評価(4)開眼⽚⾜⽴ち︓トレーニングにより改善する・運動評価(5)握⼒︓計測誤差がある。握⼒アップのトレーニングは未実施
・運動評価(6)歩⾏速度︓早⾜での散歩で効果的に改善する
・脳活動レベル︓運動教室と⽇々のトレーニングで改善する
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②個⼈に適した歩⾏のアドバイス法
• 運動機能の中で、脳活動レベルを含めた多⾯的計測を⾏い、評価をすることで、個々⼈に合ったトレーニングをすることが重要
• 歩⾏に関しては、加速度センサーを使った⾜の上がり具合からの助⾔や、ビデオカメラを使った歩く姿勢から助⾔するものがある。対象者と何を⽬的にするかで⽅法も変わる・転倒リスクを減らすか、若々しい美しい歩きか
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③個⼈に適した歩⾏グッズの提⽰法
• コストを抑えた個⼈向けには、スマホの加速度センサを使ったアプリを開発するのが効果的
• 靴に仕込んだ加速度センサによる⽅法も、ジョギングも対象に考えれば市場性はある。⾼齢者だけでは、検査⽤として市場が限られる
• ビデオカメラによる解析の⽅法は今後AI技術等の応⽤で今後の発展が期待できる。ただし、検査あるいはトレーニング・ジムのスタジオ、教室などでの⽤途となり、通常歩⾏下での継続的解析には適⽤できない
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④運動機能計測技術の標準化
• 多くのデータを集めて統計を取るのに、計測を標準化する意味は⼤きい
• 歩⾏速度でもばらつく– 5mか10mか– ストップウオッチでは時間の計測がばらつく
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⑤運動機能計測継続の重要性、対象年齢層の拡⼤
• 運動トレーニングメニュー、運動強度、トレーニングの継続期間などを最適化するためには、⾼齢者を対象とした継続的な計測が必要。残念ながら、アスリートや若者(特に学⽣)を対象とした計測は多いが、⾼齢者を対象としたものは少ない
• 5段階性別年齢階級別評価表などで、年齢も80歳以上はひとくくりになっているが、今後⾼齢化が進むと、100歳まで5歳刻みで統計を取る必要があるのではないか
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⑥地域的な⾼齢者健康づくりや地域活動への参画の⽀援
• ⻑野県では3市町村に協⼒いただいて、運動教室を開催していただいた。この取り組みは⼤変効果的で、参加者の運動機能だけでなく、認知機能を含めて、効果があった
• ここで得られた効果を他の市町村にもPRすることなどで、同様な活動を広めるとともに、県レベルで、このような活動を⽀援する取り組みをお願いしたい。特にここで⾏ったように、運動教室の効果を定量的に測って、参加者の⾏動様式が変わる所を評価し、⽀援していただきたい
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⑦健康設計コンシェルジュへの展開
• ここで得られたノウハウや解析⽅法などは、全て提供• まずは計測から始めることが重要
– 簡易的に⾏うと、継続意欲につながらない– とはいえ、簡単な計測にまとめることも重要– 現在は⼿作業がたくさん発⽣し、計測直後に計測結果をフィードバックで
きない問題を抱えている
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⑧本コンソーシアム活動成果の継続的コホート評価
• 誰が⾏うか、誰が責任を持つか︓– 地域協議会、市区町村など– コンソーシアム会員が地域協議会、市区町村に働きかけて、⼀緒にやって
ゆく(しかない)– 基本的にはボランティア︖ NPO化
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①研究会参加者②中間評価資料③研究会活動(実施⽇と講演タイトルなど)④運動機能計測項⽬
4.資料
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主査 姫野 ⿓太郎 国⽴研究開発法⼈理化学研究所情報システム本部 研究開発部⾨ コーディネーター
幹事 ⼩川 泰⼦ 社会福祉法⼈ いきいき福祉会 理事⻑斎藤 健⼀ 株式会社⽣命科学インスティテュート 経営企画部担当部⻑⻫藤 裕之
2019年9⽉までパナソニックエイジフリー株式会社専務執⾏役員 東京本社代表
松本 年男2019年10⽉から
パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社エイジフリービジネスユニット 渉外部 主幹
三宅 正⼈ 産業技術総合研究所 臨海副都⼼センターイノベーションコーディネータ
野⽥ 茂穂 国⽴研究開発法⼈理化学研究所情報システム本部 本部⻑室 室⻑代理
健康コンソ会⻑
中島 秀之 国⽴研究開発法⼈理化学研究所情報システム本部 研究開発部⾨計算⼯学応⽤開発ユニット 客員主管研究員
札幌市⽴⼤学 学⻑
①運動機能研究会 幹事会メンバー
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①運動機能の脆弱化予知予防研究会 参加者
理研会員 国⽴研究開発法⼈理化学研究所(15名)中島 秀之, 姫野 ⿓太郎, 野⽥ 茂穂, 渡辺 恭良, ⽔野 敬, 檜⼭ 敦, 牧野内 昭武, 中村 振⼀郎, 宮﨑 敦⼦, ⽵市 博⾂, ⾐笠 ⻯太, ⾇本 現, 鈴⽊ 崇⼈, 伊藤 嘉浩, 斎藤 尚樹
個⼈会員 国⽴研究開発法⼈産業技術総合研究所 公益財団法⼈ ライフサイエンス振興財団法⼈会員 アルケア株式会社 キリン株式会社
株式会社システムフレンド スギホールディングス株式会社株式会社⽣命科学インスティテュート ⼤⽇本印刷株式会社株式会社トータルブレインケア トヨタ紡織株式会社パナソニックエイジフリー株式会社 森永乳業株式会社株式会社リコー ロート製薬株式会社株式会社JSOL
団体会員 神奈川県 和光市社会福祉法⼈いきいき福祉会 下北沢病院
主査承認 江⼾川病院、ぐるんとびー、京都学園⼤学、⻑野県、弘前⼤学、静岡県 他
参加者(通算)103名法⼈会員(通算)︓13社, 23名 団体会員︓4団体, 5名個⼈会員(通算)︓18名(うち、理研会員 15名)主査承認(通算)︓57名(うち、発表者 14名)
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運動機能研究会設⽴⽬的
年齢とともに運動機能が脆弱化する状態を早めに予知し、トレーニングなどにより予防することを⽬的とします
当初⽬標
上記⽬的達成のために、以下を⽬標に研究会で議論を⾏います1) 起こる変化の早期発⾒2) トレーニングなどによる予防3) 認知機能との関連4) 特に要介護になる⼤きな要因の⼀つである転倒に関する兆候の分析と予防
活動実績
会⻑・主査・幹事7名、会員32名(うち理研12名)が参加した。・幹事会を9回、研究会を7回開催、31の話題提供やパネルディスカッションを⾏った。31の内訳︓計測技術・研究・標準化14件、地域計測・分析8件、⾏政・政策︓3件、医療︓2件、その他1件
・認知機能研究会と合同の研究会を⼀度開催した。・当初の技術中⼼から社会的取り組み等の話題提供を増やしてきた。・理研で開発している計測装置の和光市などでの実証試験結果を会員と共有した。・2件の共同研究、3件の共同研究予備検討を実施した(企業3、医療1、⾃治体1)。・計測によって脆弱化の予知や運動による予防などが技術的には可能なことが共有化できた。しかし、同時に脆弱化の予備軍の⼈たちは計測のイベントや運動教室などには参加しない傾向にあり、予備軍の⼈たちをどうやって計測するか、どうやって運動を継続してもらえるかであることが問題であることが、明らかになった。
・従来個々⼈の問題と思われてきた運動機能の脆弱化(要⽀援・要介護の認定率など)が、その⼈の住む地域により⼤きな差があることが報告され、その要因分析と格差の⼤きさに衝撃を受けた。
・研究会後、懇親会を開催、会員間の情報交換の場となり、相互理解も深まった。
②運動機能研究会 中間⾃⼰評価①(2018.3.29)
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運動機能研究会今後の活動計画
・2019年度末で現在の研究会の活動を終わる。【取組み項⽬】・最終的な⽬標である健康設計⼿順書の完成に向けて、これまでの運動機能に関する知⾒を整理し、案をまとめると共に、他の研究会と協議を⾏う。
・オープンにできる技術を整理し、会員が利⽤可能な状態を作る。・理研で開発した計測装置をオープンにし、利⽤できる仕組みを研究会で議論検討する。【研究会および幹事会】・年3回ほどの研究会と幹事会を開催。・技術や社会的取り組み、企業・⾃治体の取組み紹介を中⼼に、会員の興味を反映した、多様な話題の講師を呼ぶ。
⾃⼰評価<B>
・現在の運動機能に関係した計測技術の⽔準が明確になり、会員に共有された。・⼀⽅で、個々⼈が⽇常⽣活を変えて、運動習慣を⾝につけることや積極的に社会と結びつきを持つことは、なかなか難しいことも理解されてきた。
・個々⼈の運動機能や認知機能の脆弱化は、地域社会による要因によるものがあり、これから逆に、地域社会で協⼒することで、個々⼈の脆弱化の予防も可能ではないかと推測でき、今後の活動の指針が得られたように思う。
会⻑評価<B>
・様々な研究を順調にこなしているが,運動機能維持のアドバイスを与えるという最終ゴールに近付くにはあと⼀歩の進展が望まれる。
②運動機能研究会 中間⾃⼰評価②(2018.3.29)
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③講演会、研究会、幹事会 開催実績2016 2017 2018 2019 2020
2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
健康コンソ
総会 ●3●15
●26
●29
●16
シンポジウム ●15●5
●29
●5
講演会 ①24②30
①1
②25
③26
①25
②30
①21
②29
③16
セミナー ①12
運営委員会
①11②22
③19
④26
⑤4
⑥8
⑦26
⑧23
⑨1
⑩17
⑪13
⑫19
⑬6
⑭8
⑮12
⑯4
⑰20
⑱26
⑲13
⑳3
㉑30
㉖26
運動機能研究会
講演会 ●30
研究会 ①16②5
③19
④20
⑤23
⑥29
⑦25
⑧23
⑨8
⑩29
⑪19
幹事会 ①20②30
③22
④26
⑤24
⑥12
⑦14
⑧4
⑨6
⑩28
⑪8
⑫8
⑬19
認知機能研究会
講演会 ●4
研究会 ①11②20
③13
④25
⑤27
⑥25
⑦13
幹事会 ①4②11
③20
④13
⑤9
⑥25
⑦27
⑧4
⑨25
⑩13
データ循環研究会
講演会 ●12
研究会 ①27②17
③5
④11
⑤10
幹事会 ①29②12
③17
④5
⑤11
⑥10
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④運動機能計測項⽬
1)体組成計︓タニタの⾝⻑体重計を使⽤⾝⻑(cm)、体重(kg)、体脂肪率(%)、筋⾁量(kg)、BMI
2)CDC転倒リスク評価: a. b. c. +アンケートa. 30秒いす⽴上テストb. TUGテストc. 4ステージバランステスト
3)開眼⽚⾜⽴ち時間4)握⼒(フレールの評価項⽬)
握⼒計を使⽤、⾼齢者の場合、握りの調整を確認する必要あり5)加速度計を使った10m歩⾏計測︓
歩⾏速度、ストライド⻑、最低⾜⾼さ、歩⾏時左右バランス、腰回転速度6)脳活動(脳活バランサーを使⽤)
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④CDC転倒リスク評価(1)
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④CDC転倒リスク評価(2)
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④転倒リスク評価の質問票(1)
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④転倒リスク評価の質問票(2)
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④TUGテスト
できるだけはやく,椅⼦から⽴ち上がって3m先で回って帰って座る。その時間をストップウオッチで計測安定した椅⼦で座⾯がおよそ40cmのもの(上腿が平らになる⾼さ※のもの)を⽤いる。※⽴ち上がる際,腰と膝の関節モーメントが最⼤になる点
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④30秒いす⽴ち上がりテスト
中⾕他︓⽇本⼈⾼齢者の下肢筋⼒を簡便に評価する30秒椅⼦⽴ち上がりテストの妥当性、体育学研究47, pp.451-461(2002)http://www.minamitohoku.jp/kouhou/kouhou201303_3.html天理⼤学体育学部体⼒学研究室 中⾕研究室 30秒椅⼦⽴ち上がりテスト(CS-30テスト)http://www7b.biglobe.ne.jp/~toshiaki/CS-30.html
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健康脆弱化予知予防コンソーシアム<URL>https://kenko-conso.riken.jp/
<事務局>E-mail︓ [email protected]〒351-0198 埼⽟県和光市広沢2-1
国⽴研究開発法⼈ 理化学研究所