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題目 T h e W a y o f T h i n k i n g a s E n g i n e e r s L e a r n e d f r o m a n E x p e r i m e n t t o S t a b i l i z e t h e T e m p e r a t u r e o f B a m b o o C h i p s , , Y o s h i h i r o H A K A M A D A , M a s a h i k o I S H I H A R A , T o m o h i r o M I Y A S H I T A 伐採した竹をチップ化して堆積しておくと、数日後に内部温度が 60°C 以上に上昇 する。我々は、農業用ビニルハウス用の暖房のために、この熱を利用するプロジェク トを進めている。学生は、先ず竹チップから分離した好熱性細菌や鶏糞、廃糖蜜など を用いて、実験室で 60 L 容器を用いて温度の安定化条件を探った。この実験で得ら れた条件を反映して、実際に想定される設備 3 m×3 m×2 m)による実証実験を屋 外で行った。実験を進めていく過程で、企業担当者を交えたミーティングを行った。 発表会も開催してプロジェクトの方向性を確認しつつ、実使用条件に適応した実験系 を組立て検討していった。このプロジェクトを通して、研究から商品開発までの流れ を経験することで、より実践的な考え方を身に付けることができ、幅広い知識と見識 を兼ね備えた技術者を創出できると考えられた。竹チップの温度安定化実験から学ぶ 技術者としての考え方は学生にとって有意義である。 キーワード:竹,循環型エネルギー,COC プロジェクト,実践型教育,地域貢献 When bamboo is felled, converted to chips, and piled up, after a few days its internal temperature rises to 60°C or higher. We are carrying out a project that uses this heat in order to heat agricultural-use vinyl houses. First, the students used the substances such as the isolated thermophilic bacteria from the bamboo chips, the poultry manure, and molasses, searched for the thermal stabilization condition using a 60 L container. Reflecting the condition obtained in this experiment, they then conducted a demonstration experiment using the actually envisaged equipment (3 m×3 m×2 m) outdoors. During the process of conducting the experiment, meetings were held with the person responsible within the company. A presentation was also held and while confirming the direction of the project, an experimental system adapted to the actual use conditions was assembled and investigated. It is considered that through this project, the students can acquire a more practical way of thinking from experiencing the sequence of events from research through to product development, and that it can create engineers who possess both extensive knowledge and insight. The way of thinking learned from an experiment to stabilize the temperature of bamboo chips is significant for the students as engineers. Keywords: bamboo, sustainable energy, COC project, practical education, local contribution 171 竹チップの温度安定化実験から学ぶ技術者としての考え方 KIT Progress 23

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事例報告 KIT Progress №23

題目

竹チップの温度安定化実験から学ぶ技術者としての考え方 The Way of Thinking as Engineers Learned from an Experiment to

Stabilize the Temperature of Bamboo Chips

袴田佳宏, 石原正彦, 宮下智裕 Yoshihiro HAKAMADA, Masahiko ISHIHARA, Tomohiro MIYASHITA

伐採した竹をチップ化して堆積しておくと、数日後に内部温度が 60°C 以上に上昇

する。我々は、農業用ビニルハウス用の暖房のために、この熱を利用するプロジェク

トを進めている。学生は、先ず竹チップから分離した好熱性細菌や鶏糞、廃糖蜜など

を用いて、実験室で 60 L 容器を用いて温度の安定化条件を探った。この実験で得ら

れた条件を反映して、実際に想定される設備 (3 m×3 m×2 m)による実証実験を屋

外で行った。実験を進めていく過程で、企業担当者を交えたミーティングを行った。

発表会も開催してプロジェクトの方向性を確認しつつ、実使用条件に適応した実験系

を組立て検討していった。このプロジェクトを通して、研究から商品開発までの流れ

を経験することで、より実践的な考え方を身に付けることができ、幅広い知識と見識

を兼ね備えた技術者を創出できると考えられた。竹チップの温度安定化実験から学ぶ

技術者としての考え方は学生にとって有意義である。

キーワード:竹,循環型エネルギー,COC プロジェクト,実践型教育,地域貢献 When bamboo is felled, converted to chips, and piled up, after a few

days its internal temperature rises to 60°C or higher. We are carrying out a project that uses this heat in order to heat agricultural-use vinyl houses. First, the students used the substances such as the isolated thermophilic bacteria from the bamboo chips, the poultry manure, and molasses, searched for the thermal stabilization condition using a 60 L container. Reflecting the condition obtained in this experiment, they then conducted a demonstration experiment using the actually envisaged equipment (3 m×3 m×2 m) outdoors. During the process of conducting the experiment, meetings were held with the person responsible within the company. A presentation was also held and while confirming the direction of the project, an experimental system adapted to the actual use conditions was assembled and investigated. It is considered that through this project, the students can acquire a more practical way of thinking from experiencing the sequence of events from research through to product development, and that it can create engineers who possess both extensive knowledge and insight. The way of thinking learned from an experiment to stabilize the temperature of bamboo chips is significant for the students as engineers. Keywords: bamboo, sustainable energy, COC project, practical education, local contribution

171竹チップの温度安定化実験から学ぶ技術者としての考え方

KIT Progress №23

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題目

1. はじめに

地(知)の拠点整備事業(COC プロジェクト)としての「循環型エネルギー地域活用プロジェクト」

に参加している。これは、地域の特性を活用し応用することで、新たな産業を生み出し地域に貢献する

ためのものである。同時に自ら考え行動する技術者の育成も目的としている。このためには、学内のみ

ならず学外へと幅広い視野を持つことが必要となり、換言すれば「人間力」の形成が必要不可欠と考え

られる。「人間力」とは①自立・自律力、②リーダーシップ、③コミュニケーション能力、④プレゼンテ

ーション能力、⑤コラボレーション能力と定義付けている 1)。これら能力は、一般的な学力の上に形成

されるもので、実践を通してより醸成されると考えられる。COC プロジェクトのように、地域一体型の

教育研究は「人間力」の形成にとって最善の策である。以下、本プロジェクトの概要を記載した。 伐採された竹を廃棄するために、機械で 2~3 cm 程度にチップ化し、野外に山積みにして放置してお

くと、数日でチップ内部温度が 60°C にまで上昇し、そのままでも半年以上は、高温を保持している(図

1)。本プロジェクトでは、この自然発酵熱を冬期に農業用ハウスの保温に応用し、暖房用重油の使用量

を低減させることで、環境に配慮した循環型エネルギーとして活用しようというものである。即ち、中・

長期的には石油の価格が上昇することが予想され、それに伴って冬期の農業用ハウスに使用される重油

の価格も上昇する。農家では重油購入にかかる費用が負担となっており、利益を圧迫していることから、

竹チップで発生する発酵熱をうまく農業用ハウス内に送り込むことができれば、重油の消費量を減らせ

且つ、自然環境への負荷を低減させることができると考えられる。そのためには、いくつかのポイント

がある。①竹チップ内の温度を安定的に高い温度で維持すること、②竹チップ発酵熱から効率よく採熱

しハウス内に送り込むこと、③実使用に向け、重油価格と比較してコスト的に見合う伐採方法や回収方

法を確立することなどがあげられる。これら問題を解決するためには、多面的な検証と実験、考察が必

要となってくる。そのためには学科の枠を超え、それぞれの問題解決に向けた専門的な知識や技術を共

有することが重要となる。企業を含めた総合力で問題を解決することで、竹という自然材料を循環型エ

ネルギー素材として地域活用することができるようになると考える。 竹チップそのままでは、高温をある程度の期間、維持できるが、水を通して採熱することで通常より

も温度低下速度が速くなると考えられる。そこで、本プロジェクトの一員として筆者は、生物学的な観

点から、いかに竹チップ内の温度を安定に保つことができるかを担当している。この研究にはプロジェ

クトデザインⅢ(PDⅢ)の一環として 4 年生、および来年度から PDⅢとしてこの研究を引き継ぐ 3 年

生が関与している。本プロジェクトの事業化を見据えて、地元企業が参画している。学生も企業担当者

との会議に参加しており、研究だけでは修得できない、研究から商品までの様々な開発プロセスを直に

学ぶことができる。商品化までには実に多種多様な問題が生じてくるが、これら問題を 1 つ 1 つ克服す

ること、これこそが知識から知恵への転換であり学生にとって教育効果が高いものとなっていると考え

ている。本事例報告では、研究室における竹チップの温度安定化実験とそれに伴う実証実験への反映に

ついて事例紹介をし、その過程で学生が学んだことを本人の感想をもとに報告する。

図1 堆積した竹チップと発酵温度

172 竹チップの温度安定化実験から学ぶ技術者としての考え方

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題目

1. はじめに

地(知)の拠点整備事業(COC プロジェクト)としての「循環型エネルギー地域活用プロジェクト」

に参加している。これは、地域の特性を活用し応用することで、新たな産業を生み出し地域に貢献する

ためのものである。同時に自ら考え行動する技術者の育成も目的としている。このためには、学内のみ

ならず学外へと幅広い視野を持つことが必要となり、換言すれば「人間力」の形成が必要不可欠と考え

られる。「人間力」とは①自立・自律力、②リーダーシップ、③コミュニケーション能力、④プレゼンテ

ーション能力、⑤コラボレーション能力と定義付けている 1)。これら能力は、一般的な学力の上に形成

されるもので、実践を通してより醸成されると考えられる。COC プロジェクトのように、地域一体型の

教育研究は「人間力」の形成にとって最善の策である。以下、本プロジェクトの概要を記載した。 伐採された竹を廃棄するために、機械で 2~3 cm 程度にチップ化し、野外に山積みにして放置してお

くと、数日でチップ内部温度が 60°C にまで上昇し、そのままでも半年以上は、高温を保持している(図

1)。本プロジェクトでは、この自然発酵熱を冬期に農業用ハウスの保温に応用し、暖房用重油の使用量

を低減させることで、環境に配慮した循環型エネルギーとして活用しようというものである。即ち、中・

長期的には石油の価格が上昇することが予想され、それに伴って冬期の農業用ハウスに使用される重油

の価格も上昇する。農家では重油購入にかかる費用が負担となっており、利益を圧迫していることから、

竹チップで発生する発酵熱をうまく農業用ハウス内に送り込むことができれば、重油の消費量を減らせ

且つ、自然環境への負荷を低減させることができると考えられる。そのためには、いくつかのポイント

がある。①竹チップ内の温度を安定的に高い温度で維持すること、②竹チップ発酵熱から効率よく採熱

しハウス内に送り込むこと、③実使用に向け、重油価格と比較してコスト的に見合う伐採方法や回収方

法を確立することなどがあげられる。これら問題を解決するためには、多面的な検証と実験、考察が必

要となってくる。そのためには学科の枠を超え、それぞれの問題解決に向けた専門的な知識や技術を共

有することが重要となる。企業を含めた総合力で問題を解決することで、竹という自然材料を循環型エ

ネルギー素材として地域活用することができるようになると考える。 竹チップそのままでは、高温をある程度の期間、維持できるが、水を通して採熱することで通常より

も温度低下速度が速くなると考えられる。そこで、本プロジェクトの一員として筆者は、生物学的な観

点から、いかに竹チップ内の温度を安定に保つことができるかを担当している。この研究にはプロジェ

クトデザインⅢ(PDⅢ)の一環として 4 年生、および来年度から PDⅢとしてこの研究を引き継ぐ 3 年

生が関与している。本プロジェクトの事業化を見据えて、地元企業が参画している。学生も企業担当者

との会議に参加しており、研究だけでは修得できない、研究から商品までの様々な開発プロセスを直に

学ぶことができる。商品化までには実に多種多様な問題が生じてくるが、これら問題を 1 つ 1 つ克服す

ること、これこそが知識から知恵への転換であり学生にとって教育効果が高いものとなっていると考え

ている。本事例報告では、研究室における竹チップの温度安定化実験とそれに伴う実証実験への反映に

ついて事例紹介をし、その過程で学生が学んだことを本人の感想をもとに報告する。

図1 堆積した竹チップと発酵温度

題目

2. プロジェクト内容

2.1 輪島での竹チップ有効活用実例の視察

平成 26 年 5 月 31 日、「循環型エネルギー活用プロジェクト」の一環として教員 2 名、応用バイオ学

科 4 年生 3 名、3 年生 10 名、建築都市デザイン学科 4 年生 7 名、2 年生 2 名、1 年生 3 名、事務職員 2名の計 29 名とともに、輪島にある企業の(株)サクシードを訪問した。(株)サクシードでは既に竹チ

ップの発酵熱を利用して、温泉のお湯の供給や、エビの養殖を試験的に行っている。竹の伐採現場やチ

ップの堆積物、発酵設備を見学することで、本プロジェクトの最終形態に近い形を実際に見ることがで

き、商品としてのイメージを持てる。また、直接、竹の伐採からチップ化、発酵設備の概要の話を聴く

ことができ実証まで、あるいは実証後の問題点も考察することが可能となり、研究室レベルから商品レ

ベルまでの工程の難しさも学習する機会となった。サクシードの設備の大きさは、その使用目的から 5 m×5 m×2.5 m と大きかったが、本プロジェクトでの実証実験では、農業用ハウスに隣接するため設置

面積の制限や設置コスト、発熱量も考慮 2)し、3 m×3 m×2 m を採用した(図 2)。

2.2 企業との打合せ 竹チップの発酵熱の利用に際し、実証設備を製作するためには、設備の設計に関してノウハウを有す

る企業の参画が必要不可欠となる。本プロジェクトには地元石川県の企業である株式会社吉崎商会が参

画している。本企業は、管厚生事業部・設備事業部・機械事業部・電気事業部から構成されており、設

備製作に必要な知識やスキルを有している。大学側からは事務担当職員、教員が参加し、企業担当者を

交えての会議をおこなった。この会議には PDⅢで実験を担当している応用バイオ学科の 4 年生も参加

した。実証設備に関連して、竹チップを投入する外壁の形状や材質、配管のピッチや流量の調節方法、

配管の素材や形状、耐久性やメンテナンス性など実にさまざまな項目について議論を重ねた。この議論

を通して決定された実証設備に近い環境で、どのように実験室レベルで発酵熱の温度安定化実験を行っ

ていくか、学生なりに考え実験プランを立案した。

2.3 竹チップ実験の実験室レベルでの条件設定 実際の竹チップを用いて実験室レベルで検討を行うにあたり、先ず、容器の大きさが問題となった。

竹の伐採、チップ化する場所から実験室への運搬が必要なため、ある程度小さくする必要があるが、規

模が小さいと発熱しない可能があり、発熱しても温度維持が難しいと考えられた。そこで、大きさや汎

用性を考慮し、容器には 60 L 容器の二重構造とした容器を用いた。この 60 L 容器を 4個用意した。(株)

サクシードで使用されている設備を参考に、上部は乾燥を防ぐためのビニールシートで被い、発砲スチ

ロールの板を置いた。竹チップの大きさは、実際に使用される竹の大きさに揃え 2~3 cm ほどで破砕機

を設定して裁断した。実験に使用する竹のチップ化は北陸ランドスケープに依頼して行った。容器が小

さいため屋外で実験を行うと外気温の影響を受けやすい事が考えられたので、実験室内で空調を 26°C に設定して行った。容器内の温度の記録は、簡易温度計および USB データロガーを用いることとした。

この判断は学生が行った。

図2 実証実験用設備

173竹チップの温度安定化実験から学ぶ技術者としての考え方

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題目

2. 4 竹チップ中の微生物群集解析とチップからの好熱菌の分離

竹チップを投入する時の温度が約 10°C で、2~3 日後には 60°C 付近にまで達することから、竹チッ

プ内では微生物が増殖し、その代謝熱により温度が上昇・維持すると考えられる。従って、先ずどのよ

うな微生物が存在しているか知る必要がある。そこで、実際に発酵温度が 60°C を超えている竹チップ

を少量回収し、竹チップ中の微生物のゲノムをアルカリ法で抽出して、特定のプライマーを用いて

Polymerase chain reaction (PCR)により 16S rDNA の塩基を増幅、Denaturing gradient gel electrophoresis (DGGE)法にて遺伝子を分離後、それぞれの塩基配列を決定して、ゲノムデータベ

ースと照合し竹チップ中に存在する微生物群集を推定した。その結果、少なくとも 3 種類の好熱菌

Geobacillus palidas、Ureibacillus thermosphaericus および Bacillus smithii の存在が示唆された。好

熱菌とはその生育温度領域を 60°C~85°C に有する菌の総称である。これら好熱菌が高温の竹チップ中

に優位に存在していることが予想されることから、温度の安定化に寄与していると考え、竹チップから

の好熱菌の分離を試みた。竹チップに予め好熱菌を補充することで、高温を維持できるかも知れないと

考えたからである。好熱菌として 14 株分離し、竹チップ中で生育が良いものを選択した結果、1 株(竹

14 株)を選抜した。この株は、有胞子桿菌で生育温度が 60°C 以上でかつ、16S rDNA の塩基配列約

1.5 kbp を解読しゲノムデータベースを用いて相同検索を行った結果、微生物群集解析でその存在が示

唆された好熱菌 Geobacillus palidas と 100 %一致した。同定された株は Aeribacillus palidas であった

が、この株は別名 Geobacillus palidas である 3)。

2.5 温度安定化条件の必要条件 竹チップ内の温度を安定化させることは、即ち好熱菌の増殖を維持することであることから、好熱菌

にとって生育環境が重要になってくる。竹チップ自体は本来、栄養価に富んだ素材ではない。繊維即ち

難分解性のリグニンやセルロース、クチン質で構成されている。従って、竹チップ以外の安価な栄養素

を供給することが必要と考えられた。その栄養源として鶏糞および廃糖蜜を候補とした。双方とも安価

で、微生物の増殖に必要な炭素源や窒素源、ミネラルが含まれる。また、好熱菌の数も温度維持に関係

する可能性があるため、分離した好熱菌 Geobacillus palidas の胞子懸濁液を竹チップに添加した場合、

あるいは、本菌は好気性細菌であることから酸素が必要であるため、竹チップ内への空気の取り入れを

行い易くするため、穴を開けた塩化ビニル製の筒を竹チップ内に挿入した系の実験も行った。この案は

学生が考案したものである。これまで専門科目で学んできた専門知識を活用して、実験に活かしていく

ことが知識から知恵への転換に重要なステップであると考えられる。試行錯誤を繰り返しながら、問題

点を把握し、自分なりに解決策を考え再度実験を立案し実行することが、自ら考え行動する技術者とし

ての成長過程には必要と思われる。本プロジェクトは実験室レベルだけではなく、商品化を見据えたも

のであるので実践力も養われると考えられる。 2.6 60L容器を用いた実験結果

実際に竹チップ化に使用される破砕機を用いて、孟宗竹 6 本(3 m ~4 m)を破砕し、4 個の 60 L 容

容器に投入した。毎回、1 個はコントロールとして竹チップのみとし、鶏糞の混合濃度 1 % (w/v)と 10 % (w/v)、1 % (v/v)廃糖蜜 5 L、好熱菌 Geobacillus palidas の胞子懸濁液、塩化ビニル筒による空気を通し

たものなど条件を変えて、のべ 60 L 容器 12 個により実験を行い、温度変化を 2 週間記録した。記録は

USB データロガーを各 60 L 容器の下段、中断、上段の 3 か所に設置して行った。また、別途、毎日、

簡易温度計を 5 分間差し込んで中心部の温度を測定した。表面の乾燥を防ぐために、定期的に霧吹きに

て水分を与えた。室温を 26°C 設定として、2 週間ほど放置後、USB データロガーを取り出し記録され

ている温度変化のデータを読み取り解析した(図 3)。その結果、竹チップ投入時の温度は 10°C 前後で

あったが、2 日後には 40°C 付近にまで上昇した。鶏糞は 1 % (w/v)の方が良く、空気が多い中央部から

上部で温度が高くなった。穴を開けた塩化ビニル筒を入れたものは、昇温後温度の低下が早かった。こ

174 竹チップの温度安定化実験から学ぶ技術者としての考え方

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題目

2. 4 竹チップ中の微生物群集解析とチップからの好熱菌の分離

竹チップを投入する時の温度が約 10°C で、2~3 日後には 60°C 付近にまで達することから、竹チッ

プ内では微生物が増殖し、その代謝熱により温度が上昇・維持すると考えられる。従って、先ずどのよ

うな微生物が存在しているか知る必要がある。そこで、実際に発酵温度が 60°C を超えている竹チップ

を少量回収し、竹チップ中の微生物のゲノムをアルカリ法で抽出して、特定のプライマーを用いて

Polymerase chain reaction (PCR)により 16S rDNA の塩基を増幅、Denaturing gradient gel electrophoresis (DGGE)法にて遺伝子を分離後、それぞれの塩基配列を決定して、ゲノムデータベ

ースと照合し竹チップ中に存在する微生物群集を推定した。その結果、少なくとも 3 種類の好熱菌

Geobacillus palidas、Ureibacillus thermosphaericus および Bacillus smithii の存在が示唆された。好

熱菌とはその生育温度領域を 60°C~85°C に有する菌の総称である。これら好熱菌が高温の竹チップ中

に優位に存在していることが予想されることから、温度の安定化に寄与していると考え、竹チップから

の好熱菌の分離を試みた。竹チップに予め好熱菌を補充することで、高温を維持できるかも知れないと

考えたからである。好熱菌として 14 株分離し、竹チップ中で生育が良いものを選択した結果、1 株(竹

14 株)を選抜した。この株は、有胞子桿菌で生育温度が 60°C 以上でかつ、16S rDNA の塩基配列約

1.5 kbp を解読しゲノムデータベースを用いて相同検索を行った結果、微生物群集解析でその存在が示

唆された好熱菌 Geobacillus palidas と 100 %一致した。同定された株は Aeribacillus palidas であった

が、この株は別名 Geobacillus palidas である 3)。

2.5 温度安定化条件の必要条件 竹チップ内の温度を安定化させることは、即ち好熱菌の増殖を維持することであることから、好熱菌

にとって生育環境が重要になってくる。竹チップ自体は本来、栄養価に富んだ素材ではない。繊維即ち

難分解性のリグニンやセルロース、クチン質で構成されている。従って、竹チップ以外の安価な栄養素

を供給することが必要と考えられた。その栄養源として鶏糞および廃糖蜜を候補とした。双方とも安価

で、微生物の増殖に必要な炭素源や窒素源、ミネラルが含まれる。また、好熱菌の数も温度維持に関係

する可能性があるため、分離した好熱菌 Geobacillus palidas の胞子懸濁液を竹チップに添加した場合、

あるいは、本菌は好気性細菌であることから酸素が必要であるため、竹チップ内への空気の取り入れを

行い易くするため、穴を開けた塩化ビニル製の筒を竹チップ内に挿入した系の実験も行った。この案は

学生が考案したものである。これまで専門科目で学んできた専門知識を活用して、実験に活かしていく

ことが知識から知恵への転換に重要なステップであると考えられる。試行錯誤を繰り返しながら、問題

点を把握し、自分なりに解決策を考え再度実験を立案し実行することが、自ら考え行動する技術者とし

ての成長過程には必要と思われる。本プロジェクトは実験室レベルだけではなく、商品化を見据えたも

のであるので実践力も養われると考えられる。 2.6 60L容器を用いた実験結果

実際に竹チップ化に使用される破砕機を用いて、孟宗竹 6 本(3 m ~4 m)を破砕し、4 個の 60 L 容

容器に投入した。毎回、1 個はコントロールとして竹チップのみとし、鶏糞の混合濃度 1 % (w/v)と 10 % (w/v)、1 % (v/v)廃糖蜜 5 L、好熱菌 Geobacillus palidas の胞子懸濁液、塩化ビニル筒による空気を通し

たものなど条件を変えて、のべ 60 L 容器 12 個により実験を行い、温度変化を 2 週間記録した。記録は

USB データロガーを各 60 L 容器の下段、中断、上段の 3 か所に設置して行った。また、別途、毎日、

簡易温度計を 5 分間差し込んで中心部の温度を測定した。表面の乾燥を防ぐために、定期的に霧吹きに

て水分を与えた。室温を 26°C 設定として、2 週間ほど放置後、USB データロガーを取り出し記録され

ている温度変化のデータを読み取り解析した(図 3)。その結果、竹チップ投入時の温度は 10°C 前後で

あったが、2 日後には 40°C 付近にまで上昇した。鶏糞は 1 % (w/v)の方が良く、空気が多い中央部から

上部で温度が高くなった。穴を開けた塩化ビニル筒を入れたものは、昇温後温度の低下が早かった。こ

題目

れは筒を通して熱が放散されたと考えられた。コントロールの竹チップのみと比較して鶏糞 1 % (w/v)と好熱菌 Geobacillus palidas を添加した系が最も高い温度 40°C を記録し、温度の立ち上がりも早かっ

たが、温度低下も早く進んだ(図 4)。この原因は、容器の容量が少ないため、菌への栄養の供給や容器

が発熱した熱をうまく保持できずに、発生する熱量よりも放散する熱量が上回ったためと考察した。こ

のことから、一度昇温した温度を如何に容器内で持続させるかが今後の課題の 1 つとなる。実証実験の

設備も同じ問題が生じると考えられた。即ち、問題と考えられるのは、容量による熱の保持力(外気に

近い外側の温度から低下していく可能性)や 3 m×3 m×2 m の容量で竹チップが目的の熱を安定的に

発生させる条件を充足しているかである。

2.7 天池自然学苑での実証実験

2014 年 12 月 17 日(水)に天池自然学苑(金沢工業大学施設)にて、実証実験用の設備を立ち上げ

た。3 m×3 m×2 m の骨組みをつくり、周囲をベニヤ板で覆った後、内部に配管を通し外部の 2,000 Lタンクに接続した。設備内にチップ化した竹をクレーン車にて投入した。竹チップ投入時に、設備の半

分は竹チップのみ、残り半分を鶏糞投入エリアとし三層にわけて約 100 kg の鶏糞を投入した。最後に

細い筒を竹チップに差し込み、筒を通してチップ内に温度センサーを入れた後、筒のみを取り出して、

0

図3 60L容器における各種条件設定の概要

温度(℃)

日数(日目)

図4 60L容器における実験条件と温度の経時変化

175竹チップの温度安定化実験から学ぶ技術者としての考え方

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題目

センサーをチップ内に埋め込んだ。温度センサーは高さを設備の下から 50 cm、1 m および 150 cm と

して、合計 15 本使用した。センサーの温度は外部の記録計で記録しておき、後日データを回収した(図

5)。データの解析結果から、鶏糞投入エリアでは、竹チップのみと比較して約 10°C 程度高くかつ温度

の低下も緩やかであり、鶏糞の投入効果が認められた。外気に近い設備外縁部の温度は、外気温約 5°Cの影響を受けながら、緩やかな下降が見られたが、実験開始 2 カ月以上を経ても竹チップの内部温度は

約 60°C を保っていた(表 1)。設置約 1 カ月後に、内部配管に水を通し外部タンクを経由して循環させ

た結果、外気温 0~5°C の環境下で 2,000 L タンク内の温度は 6~7°C を示した。この原因は、2,000 L タ

ンクの上部は開放系で外気と直接接触することや容器自体の保温性能が低かったためと考えられた。こ

の実証実験を通して、実際の使用形態を考えると、竹チップ投入設備自体や配管の保温性と循環してき

た水を蓄えるタンクの保温性も考慮する必要があると考えられた。

3. プロジェクト発表会の開催

2014 年 11 月 26 日に金沢工業大学扇が丘キャンパス内の 7 号館にて、本プロジェクトの中間発表会

を応用バイオ学科、建築都市デザイン学科および経営情報学科の教員、学生、事務職員で開催した。こ

れまでプロジェクトを遂行してきた学生が 20 分間発表し、その後質疑応答を行った。質疑には、研究

内容に関するものや実際の設備面、コスト試算など他学科ならではのものがあった。いろいろな分野か

らの質問への受け答え、議論することは学生にとって新鮮なものとなったと思われる。研究室でのプレ

ゼンとは異なり、これまで考えてもいなかった問題も提起され、学生自ら自分の知識の狭さに反省した

との感想もあった。同時に多方面から結果を考察することの重要性も認識したということであった。こ

のような議論を繰り返すことで幅広い見識と技術者としての力が醸成されてくるのだと考えられた。 2015 年 2 月 16 日に金沢工業大学扇が丘キャンパス内の 23 号館にて、プロジェクトの最終発表会を

行った。これまで行ってきたプロジェクトの内容について約 20 分間の発表後、質疑応答を行い最後に、

学生が学んできた内容について感想を話した。

1.5m位置

0.5m位置

1.0m位置 竹チップのみの区画

鶏ふん投入区画

図5 設備内の配管の様子とセンサー位置

表1 実証設備における鶏ふん混合効果

経過日数

10日 43.7℃ 62.8℃

40日 52.8℃ 59.2℃

竹チップのみの区画 竹チップ+鶏ふん区画

176 竹チップの温度安定化実験から学ぶ技術者としての考え方

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題目

センサーをチップ内に埋め込んだ。温度センサーは高さを設備の下から 50 cm、1 m および 150 cm と

して、合計 15 本使用した。センサーの温度は外部の記録計で記録しておき、後日データを回収した(図

5)。データの解析結果から、鶏糞投入エリアでは、竹チップのみと比較して約 10°C 程度高くかつ温度

の低下も緩やかであり、鶏糞の投入効果が認められた。外気に近い設備外縁部の温度は、外気温約 5°Cの影響を受けながら、緩やかな下降が見られたが、実験開始 2 カ月以上を経ても竹チップの内部温度は

約 60°C を保っていた(表 1)。設置約 1 カ月後に、内部配管に水を通し外部タンクを経由して循環させ

た結果、外気温 0~5°C の環境下で 2,000 L タンク内の温度は 6~7°C を示した。この原因は、2,000 L タ

ンクの上部は開放系で外気と直接接触することや容器自体の保温性能が低かったためと考えられた。こ

の実証実験を通して、実際の使用形態を考えると、竹チップ投入設備自体や配管の保温性と循環してき

た水を蓄えるタンクの保温性も考慮する必要があると考えられた。

3. プロジェクト発表会の開催

2014 年 11 月 26 日に金沢工業大学扇が丘キャンパス内の 7 号館にて、本プロジェクトの中間発表会

を応用バイオ学科、建築都市デザイン学科および経営情報学科の教員、学生、事務職員で開催した。こ

れまでプロジェクトを遂行してきた学生が 20 分間発表し、その後質疑応答を行った。質疑には、研究

内容に関するものや実際の設備面、コスト試算など他学科ならではのものがあった。いろいろな分野か

らの質問への受け答え、議論することは学生にとって新鮮なものとなったと思われる。研究室でのプレ

ゼンとは異なり、これまで考えてもいなかった問題も提起され、学生自ら自分の知識の狭さに反省した

との感想もあった。同時に多方面から結果を考察することの重要性も認識したということであった。こ

のような議論を繰り返すことで幅広い見識と技術者としての力が醸成されてくるのだと考えられた。 2015 年 2 月 16 日に金沢工業大学扇が丘キャンパス内の 23 号館にて、プロジェクトの最終発表会を

行った。これまで行ってきたプロジェクトの内容について約 20 分間の発表後、質疑応答を行い最後に、

学生が学んできた内容について感想を話した。

1.5m位置

0.5m位置

1.0m位置 竹チップのみの区画

鶏ふん投入区画

図5 設備内の配管の様子とセンサー位置

表1 実証設備における鶏ふん混合効果

経過日数

10日 43.7℃ 62.8℃

40日 52.8℃ 59.2℃

竹チップのみの区画 竹チップ+鶏ふん区画

題目

4.プロジェクトから学生が得たものと学んだもの

約 1 年間、COC プロジェクトとしての「循環型エネルギー地域活用プロジェクト」をテーマに取り

組んできた。本実践型プロジェクトのような、地域密着型あるいは産学連携による教育における有効性

は、日本だけでなく、ドイツの応用専門大学の Hands-on 教育 4)やイギリスのネピア大学の Knowledge Transfer Partnership5)として報告されている。 学生は、初めはどのように実験を進めていけば良いかが全く分からず、戸惑っていた様子であった。

しかし、企業担当者を含めたプロジェクト内でのミーティングを重ね、また自ら竹の利用方法や竹害の

影響、群生面積、他の先行研究を調査していく過程で徐々に本プロジェクトの進むべき方向を理解し、

そのためにはどのような実験系を構築していくかを熟考することで、学生自らやるべきこと、成すべき

ことを決定し実験に臨んだ。自分で考案した実験が失敗し想定していたような結果得られなかった時、

実験が停滞したこともあったが、1 つ上のステップに上がるためには、必要不可欠な時間であったと思

われる。先に述べた「人間力」を表す 5 つの要素、即ち①自立・自律力、②リーダーシップ、③コミュ

ニケーション能力、④プレゼンテーション能力、⑤コラボレーション能力について、自己評価をしても

らった結果、すべての項目において向上が認められた。このことから、実践型本プロジェクトは、学生

の「人間力」の向上に寄与したと考えられた(表 2)。 通常の授業科目では、教員側から学生へ一方向的な情報の流れになりがちで「教える」のは教員で

「学ぶ」のは学生と分かれている 6)。この場合、学生は内容を理解しようとするのではなく、ただ聞い

ているということになりかねない。しかしながら、プロジェクト参加型のような実践形式の実験では、

いろいろな視点から学生自身が実験について考え、遂行し結果を踏まえ更に目標に進んでいくことがで

き、その繰り返しにより、実験過程で学んだ知識・スキル・見識の吸収力はより高まっていくと考えら

れる。「最良の教育とは、人が自分自身に与える教育である」7)と言われる通り、自ら考えて行動するこ

とは、学生にとって最善の教育になっていると思われる。最後に本プロジェクトに参加した学生の感想

をそのまま記載しておく。

「最初竹チップの研究があると聞いたとき、「今年から始まるプロジェクトに参加できるのは、自分の成

長にもなりそうだし、わくわくする!」と思いました。研究概要を聞いたときは、竹チップや好熱菌自

体を知らなかったので、どのような研究をこれからしていくか、あまり分かってはいない状況で少し不

安でした。けど、実際に発酵熱の研究をしている合間さんのもとに伺った際、お話を聞かせてもらい、

資料も見せてもらったり、発酵し温かくなった竹チップも触らせて頂いたりしました。そのときにやっ

と、自分はこのような研究をしていくのだな、私も早くやりたいなと研究に対しての意欲が非常にわき、

研究に対しての理解も深まりました。それから研究目的に向けて、約 1年で好熱菌の分離や生化学試験、

の「人間力」の向上に寄与したと考えられた(表 2)。

表2 求められる能力に関するプロジェクト前後における自己評価

177竹チップの温度安定化実験から学ぶ技術者としての考え方

Page 8: 竹チップの温度安定化実験から学ぶ技術者としての考え方kitir.kanazawa-it.ac.jp/infolib/cont/01/G0000002... · 技術者としての考え方は学生にとって有意義である。

題目

顕微鏡観察、簡易同定、そして実験室レベル試験・実証試験を行ってきました。するべき実験が多く、

失敗も沢山し泣きたくなったときもありました。実証試験の場所が真冬の天池で、非常に寒く体力的に

辛い思いもしました。けど、この研究をしていて、楽しくないと思ったときは一度もなかったと思うし、

いつも楽しみながら真面目に取り組めていたと思います。そして、一から始めたので、自分自身が強く

なり成長した気がします。最初の頃は何も知らなかった私でしたが、竹チップの研究で、竹チップや好

熱菌、発酵熱のことはもちろん、現在の環境問題やすべきこと等も知ることができ、勉強になりました。 このプロジェクトでどうすればこのような結果(なってほしい結果)になるか、と考える機会が多かっ

た。最初は先生に意見を聞かないと全然思いつかなかったけれど、試験を行って行くうちにこうすれば

どうかなどのアイデアが浮かぶようになっていき、実際に試験に生かすこともできるようになりました。

自分の考えをもとに実験を行えたことが自分の成長に繋がったと思います。」

参考文献

1) 石川憲一:金沢工業大学における人材育成の実践-,KIT Progress 工学教育研究 No.13,pp1-11,(2007).

2)石原正彦,宮下智裕,袴田佳宏:“循環型エネルギー地域活用プロジェクト”における取組~マ

ーケティング・スキルを磨く教育プログラムの開発~,事例報告,KIT Progress 工学研究,No.23, pp179-186,(2015)

3) Daid Minana-Galbis, et.al., International Journal of Systematic and Evolutionary Mycrobiology, 60, 1600-1604, 2010.

4)大澤敏,鈴木亮一,山部昌,吉道悦子,福田崇之,泉屋利明:ドイツの中等・高等教育機関の

視察報告,KIT Progress 工学教育研究 No.17,pp9-18,(2010).

5)鹿田正昭,野口啓介,下川雄一,原隆一郎,宮里心一,新井真二:イギリスの大学視察報告,

KIT Progress 工学教育研究 No.17,pp1-8,(2010).

6)平成 19 年度 私立大学教員の授業改善白書,社団法人 私立大学情報教育協会,2008 年.

7)サミュエル・スマイルズ著,竹内 均 訳,自助論,三笠書房,2002 年.

[受理 平成 27 年 3 月 23 日]

袴田佳宏 教授・博士(工学) バイオ・化学部 バイオ・化学系 応用バイオ学科 応用微生物,遺伝子工学 石原正彦 准教授・博士(医学) 情報フロンティア学部 情報フロンティア系 経営情報学科 経営戦略,マーケティング

宮下智裕 准教授・博士(工学) 環境・建築学部 建築系 建築デザイン学科 意匠設計,構法デザイン

題目

顕微鏡観察、簡易同定、そして実験室レベル試験・実証試験を行ってきました。するべき実験が多く、

失敗も沢山し泣きたくなったときもありました。実証試験の場所が真冬の天池で、非常に寒く体力的に

辛い思いもしました。けど、この研究をしていて、楽しくないと思ったときは一度もなかったと思うし、

いつも楽しみながら真面目に取り組めていたと思います。そして、一から始めたので、自分自身が強く

なり成長した気がします。最初の頃は何も知らなかった私でしたが、竹チップの研究で、竹チップや好

熱菌、発酵熱のことはもちろん、現在の環境問題やすべきこと等も知ることができ、勉強になりました。 このプロジェクトでどうすればこのような結果(なってほしい結果)になるか、と考える機会が多かっ

た。最初は先生に意見を聞かないと全然思いつかなかったけれど、試験を行って行くうちにこうすれば

どうかなどのアイデアが浮かぶようになっていき、実際に試験に生かすこともできるようになりました。

自分の考えをもとに実験を行えたことが自分の成長に繋がったと思います。」

参考文献

1) 石川憲一:金沢工業大学における人材育成の実践-,KIT Progress 工学教育研究 No.13,pp1-11,(2007).

2)石原正彦,宮下智裕,袴田佳宏:“循環型エネルギー地域活用プロジェクト”における取組~マ

ーケティング・スキルを磨く教育プログラムの開発~,事例報告,KIT Progress 工学研究,No.23, pp-,(2016)

3) Daid Minana-Galbis, et.al., International Journal of Systematic and Evolutionary Mycrobiology, 60, 1600-1604, 2010.

4)大澤敏,鈴木亮一,山部昌,吉道悦子,福田崇之,泉屋利明:ドイツの中等・高等教育機関の

視察報告,KIT Progress 工学教育研究 No.17,pp9-18,(2010).

5)鹿田正昭,野口啓介,下川雄一,原隆一郎,宮里心一,新井真二:イギリスの大学視察報告,

KIT Progress 工学教育研究 No.17,pp1-8,(2010).

6)平成 19 年度 私立大学教員の授業改善白書,社団法人 私立大学情報教育協会,2008 年.

7)サミュエル・スマイルズ著,竹内 均 訳,自助論,三笠書房,2002 年.

[受理 平成 27 年 3 月 23 日]

袴田佳宏 教授・博士(工学) バイオ・化学部 バイオ・化学系 応用バイオ学科 応用微生物,遺伝子工学 石原正彦 准教授・博士(医学) 情報フロンティア学部 情報フロンティア系 経営情報学科 経営戦略,マーケティング

宮下智裕 准教授・博士(工学) 環境・建築学部 建築系 建築デザイン学科 意匠設計,構法デザイン

題目

顕微鏡観察、簡易同定、そして実験室レベル試験・実証試験を行ってきました。するべき実験が多く、

失敗も沢山し泣きたくなったときもありました。実証試験の場所が真冬の天池で、非常に寒く体力的に

辛い思いもしました。けど、この研究をしていて、楽しくないと思ったときは一度もなかったと思うし、

いつも楽しみながら真面目に取り組めていたと思います。そして、一から始めたので、自分自身が強く

なり成長した気がします。最初の頃は何も知らなかった私でしたが、竹チップの研究で、竹チップや好

熱菌、発酵熱のことはもちろん、現在の環境問題やすべきこと等も知ることができ、勉強になりました。 このプロジェクトでどうすればこのような結果(なってほしい結果)になるか、と考える機会が多かっ

た。最初は先生に意見を聞かないと全然思いつかなかったけれど、試験を行って行くうちにこうすれば

どうかなどのアイデアが浮かぶようになっていき、実際に試験に生かすこともできるようになりました。

自分の考えをもとに実験を行えたことが自分の成長に繋がったと思います。」

参考文献

1) 石川憲一:金沢工業大学における人材育成の実践-,KIT Progress 工学教育研究 No.13,pp1-11,(2007).

2)石原正彦,宮下智裕,袴田佳宏:“循環型エネルギー地域活用プロジェクト”における取組~マ

ーケティング・スキルを磨く教育プログラムの開発~,事例報告,KIT Progress 工学研究,No.23, pp-,(2016)

3) Daid Minana-Galbis, et.al., International Journal of Systematic and Evolutionary Mycrobiology, 60, 1600-1604, 2010.

4)大澤敏,鈴木亮一,山部昌,吉道悦子,福田崇之,泉屋利明:ドイツの中等・高等教育機関の

視察報告,KIT Progress 工学教育研究 No.17,pp9-18,(2010).

5)鹿田正昭,野口啓介,下川雄一,原隆一郎,宮里心一,新井真二:イギリスの大学視察報告,

KIT Progress 工学教育研究 No.17,pp1-8,(2010).

6)平成 19 年度 私立大学教員の授業改善白書,社団法人 私立大学情報教育協会,2008 年.

7)サミュエル・スマイルズ著,竹内 均 訳,自助論,三笠書房,2002 年.

[受理 平成 27 年 3 月 23 日]

袴田佳宏 教授・博士(工学) バイオ・化学部 バイオ・化学系 応用バイオ学科 応用微生物,遺伝子工学 石原正彦 准教授・博士(医学) 情報フロンティア学部 情報フロンティア系 経営情報学科 経営戦略,マーケティング

宮下智裕 准教授・博士(工学) 環境・建築学部 建築系 建築デザイン学科 意匠設計,構法デザイン

178 竹チップの温度安定化実験から学ぶ技術者としての考え方