局限空間作業災害預防案例手冊 - aia.org.tw±€限空間作業災害預防案例手冊[1].pdf · 畫與自主管理3.缺氧及中毒災害預防4.火災爆炸災害預防5.感電災害預防6.墜落、掩埋
位置情報ビッグデータを用いた 災害時の人の挙動分...
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2019/01/17「防災とボランティア週間」防災講演会
金沢大学理工研究域地球社会基盤学類助教山口裕通
位置情報ビッグデータを用いた災害時の人の挙動分析からみた課題
携帯電話位置情報データ
2019/01/17 1
– Gonzalez et al. 2008 あたりから,研究面で多く利用される
– 日本でも2011年ごろより,データが販売されるように
e.g. モバイル空間統計(ドコモインサイトマーケティング)など…
• 携帯電話の運用情報・GPS位置情報から推計した人口分布データ
»居住地・年齢性別毎に,人口規模に拡大• 居住地・滞在地・性別/年齢ごとの推計人口情報
携帯電話位置情報による人口分布情報 (1)
2019/01/17 2
– ある時点・ある場所に,滞在している人の数
ゼンリンデータコム・混雑度マップ(4/12, 19:44時点)http://lab.its-mo.com/densitymap/
携帯電話位置情報による人口分布情報 (2)
2019/01/17 3
– 空間的に細かい情報には限界• 空間の情報を細かくすると,個人情報保護の問題…• 基地局の配置・密度によっては精度が高くない⇔時間的に細かく長期間のデータが
ほぼリアルタイムに得られる!
特に防災・減災について,– 少数の困っている人 / 要援護者の情報には限界
• 全数データではなく,携帯電話利用者のみの情報• 個人情報保護の観点による制約⇔大多数の集計的な移動行動パターンがわかる!
Research Question
2019/01/17 4
災害時点における大多数の人の行動を分析し,以下に答える:
≫災害関連情報に対して,人々はどのように反応しているか??
≫どのような対応策が考えられるか??
山口からの発表の流れ
2019/01/17 5
方法論・アプローチの説明– 携帯電話位置情報データ ×機械学習モデルの応用– 人口の時系列推移データから,
異常(災害時)の情報を抽出する
中小都市における洪水関連情報発信の影響– 対象:石川県小松市・広島県三次市– レベル4(氾濫危険情報)のプッシュ型配信・緊急速報メールに対する,人々の移動行動
大都市(大阪市)における災害時行動– 北部地震,西日本豪雨,台風21号,台風24号– 鉄道の計画運休などの影響分析
人口時系列推移データの分析方法~災害による “異常” の抽出~
2017年8月8日大雨時の移動行動@梯川流域(石川県小松市)
2017年8月台風5号大雨時の移動パターン
2019/01/17 7
2017.08.08に,石川県小松市を流れる梯川で氾濫危険水位の超過
(結局,大きな被害はなかった)
≫小松市で4,954世帯13,741人に避難勧告≫北陸地方初の洪水情報の
緊急速報メールの配信(プッシュ型配信)
このとき,移動行動パターンはどう変わったか?災害に対する危険回避行動は見られたか?
2017年8月8日の梯川の様子
2019/01/17 8
Google street view(2012.09. 時点)
北國新聞 2018.06.21(2017.08.08 時点)
分析対象エリアの定義
2019/01/17 9
– 小松市中心部 <縦 4km ×横 6km>– 大半が浸水想定(想定最大)で浸水深50cm以上このエリア内の推計人口の1時間毎時系列推移をみる
~0.50 m~1.00 m~2.00 m~3.00 m3.00 m~
浸水想定(想定最大)の浸水深
道路鉄道河川
小松駅
梯川
国道8号線
北陸自動車道
分析対象エリア人口の時系列推移 (2017年)
2019/01/17 10
混合ガウスモデル×時系列モデルによる分解:・周期的(規則的)な変動・平常時の誤差・異常時の乖離情報
24日分・1時間毎の時系列変動
(千人)
8/8
時系列混合ガウスモデルの考え方
2019/01/17 11
通常時と異常時では,人口が別の正規分布に従う• 通常時: 平均―平日/土曜/日曜の時間ごとに設定
分散―比較的小さい• 異常時: 平均―時間的に一定
分散―大きい(様々な異常が考えうる)
人口 (人)
確率密度 通常時平均:𝜇𝜇𝑛𝑛,𝑡𝑡 = 𝑀𝑀𝑡𝑡𝒙𝒙分散:𝜎𝜎𝑛𝑛2
異常時平均:𝜇𝜇𝑒𝑒分散:𝜎𝜎𝑒𝑒2
パラメータ推定方法
2019/01/17 12
最尤推定法・EMアルゴリズムによる推定
ln 𝐿𝐿 = �𝑡𝑡∈[1:(24×24)]
ln 𝑝𝑝(𝑦𝑦𝑡𝑡|𝒙𝒙,𝜇𝜇𝑒𝑒 ,𝝈𝝈,𝜶𝜶)
𝑝𝑝 𝑦𝑦𝑡𝑡 𝒙𝒙, 𝜇𝜇𝑒𝑒 ,𝝈𝝈,𝜶𝜶 = 𝛼𝛼11
2𝜋𝜋𝜎𝜎𝑛𝑛2exp − 𝑦𝑦𝑡𝑡−𝑀𝑀𝑡𝑡𝒙𝒙 2
2𝜎𝜎𝑛𝑛2
+𝛼𝛼21
2𝜋𝜋𝜎𝜎𝑒𝑒2exp − 𝑦𝑦𝑡𝑡−𝜇𝜇𝑒𝑒 2
2𝜎𝜎𝑒𝑒2
※ 𝛼𝛼1 + 𝛼𝛼2 = 1:混合率
通常変動
異常変動
人口時系列推移の分解結果
2019/01/17 13
周期的変動
通常誤差
異常変動
(千人)
(千人)
(千人)
8/8
平日・通常時の人口時系列推移
2019/01/17 14
通常パターン(95%信頼区間)
(千人)
– 7時台~11時台に,平日に4千人が流入するエリア 13時台をピークに徐々に減少
時間
2017年 8月 8日の人口時系列推移
2019/01/17 15
緊急速報メール(10:30)
小松市避難勧告(7:40)
8/8 推計値
通常パターン(95%信頼区間)
(千人)
– 浸水想定区域への流入量が“普段よりは” 減少している!
時間
2017年 8月 8日の人口時系列推移
2019/01/17 16
緊急速報メール(10:30)
小松市避難勧告(7:40)
8/8 推計値
通常パターン(95%信頼区間)
(千人)
当日に流入をやめた人数約300人 < 通常時誤差
流入を遅らせた時間約1000人 × 3時間
– 約1,000人程度が時間を遅らせる– それ以外(約3,000人)は,ほぼ同時刻に流入
時間
大雨時の移動行動パターン [集計] のまとめ
2019/01/17 17
時系列混合ガウスモデル×人口分布データ– 周期的な(通常)パターンと
災害時の異常パターンの分離・抽出する方法論開発
2017大雨時の異常行動分析:– 8月8日は,通常時と異なる(異常な)パターン
• 流入を(やめた人と)遅らせた人が存在~危険回避行動がとられた!
⇔大半の人は大雨・避難勧告下で通常通りに流入した
同アプローチで,災害時の行動をより細かく見ていく
中小都市における “大雨時” の異常行動
2017年8月8日台風5号@梯川流域(石川県小松市)
+2017年7月台風3号(九州北部豪雨)@ 江の川流域(広島県三次市)
Research Question
2019/01/17 19
災害時の移動パターンは,通常時のパターンの差異によって異なるか??
災害時の移動パターンは,都市ごとの違いがあるか??
(石川県小松市ならではの特徴か?)
小松市データをより細かい空間単位で分析
2019/01/17 20
二つのエリアに分けて,大雨時の分析を実施中心部:市役所・中心市街地南部エリア:大規模ショッピングセンター,新興住宅地
イオンモール新小松
小松駅
4km
2km
小松市役所
通常パターン | 小松市中心部・南部
2019/01/17 21
それぞれ異なる特徴がある:中心部: 9時~17時の滞在が中心(就業地型)南部エリア:11時~15時・18時にピーク(商業地型)
通常パターン(95%信頼区間)
(千人)
小松市・中心部 小松市・南部エリア
時間時間
大雨時パターン | 小松市中心部・南部
2019/01/17 22
どちらでも,95%信頼区間外を推移する,「異常な」人口推移をしていた
(千人)
小松市・中心部 小松市・南部エリア
8/8 推計値 8/8 推計値
小松市避難勧告(7:40)
緊急速報メール(10:30)
時間時間
大雨時パターン | 小松市中心部・南部
2019/01/17 23
それぞれ,変化の仕方は異なる:中心部 (就業地型):昼間時間全体で滞在人数が減少する南部エリア (商業地型) :遅い時間に,滞在を遅らせた
小松市・中心部 小松市・南部エリア
約500人
遅らせる
時間時間
小松中心部(就業地)v.s. 小松南部(商業地)
2019/01/17 24
災害時の移動パターンは,通常時のパターンの差異によって異なるか??
小松中心部(就業地) v.s. 小松南部(商業地)≫どちらも大半の人が
通常通り行動した点は同じ≫少数であるが,変化の内容は異なる
・中心部:滞在人数の減少・南部(ショッピングセンター):
時間を遅らせる行動
小松市以外の場所での分析
2019/01/17 25
可能な限り近い条件の場所を選定…– 外から昼間に人の流入がある,浸水想定区域– レベル4の洪水情報配信(緊急速報メール)– 朝の時間に情報配信があった
2017年7月台風3号(九州北部豪雨)の際の広島県三次市>2017.07.05,08:50 :
江の川水系で氾濫危険水位(レベル4)を超過>2017.07.05,08:57 :
三次市全域に緊急速報メールが配信
分析対象エリア(広島県三次市)
2019/01/17 26
江の川水系馬洗川三次駅
1km
1km
通常パターン | 三次市中心部
2019/01/17 27
小松中心部と比較的似たパターン:≫ 9時~17時の滞在が中心の,就業地型
(人)
通常パターン(95%信頼区間)
時間
大雨時パターン | 小松中心部・三次中心部
2019/01/17 28
(千人)
三次市・中心部
(千人)
小松市・中心部
8/8 推計値
小松市避難勧告(7:40)
緊急速報メール(10:30)
(人)
避難勧告・緊急速報メール(08:57)時間時間
7/5 推計値
小松市中心部 v.s. 三次市中心部
2019/01/17 29
災害時の移動パターンは,都市ごとの違いがあるか??
(石川県小松市ならではの特徴か?)
小松市中心部 v.s. 三次市中心部
≫どちらも大半の人が通常通り行動した点は同じ
1か所だけで起きている事象ではない
~よりタイプの異なる都市の災害時行動はどうか?~
大都市における “大雨時” の異常行動
2018年度の大阪市への “異常” 流入行動パターン
6月18日 大阪北部地震7月6日 平成30年7月豪雨(西日本豪雨)
9月4日 台風21号6月18日 台風24号
Research Question
2019/01/17 31
鉄道中心の大都市における,異常のパターンはどのようなものか?
– 小松市・三次市のパターンとどのように異なるか?
“鉄道の計画運休”の時には,人々はどのように行動を変えたか??
– 地震 v.s. 台風時(計画運休時)
利用データ:大阪市域の推計人口
2019/01/17 32
大阪市域の1時間毎推計人口by モバイル空間統計
– (大阪市外大阪市内への通勤・買い物行動などが分析可能)
– 期間: 2018.4.1 ~ 2018.9.30 の183日間
時系列混合ガウスモデルを用いて通常時パターンと異常時パターンに分解
通常パターン | 大阪市域の人口推移(平日)
2019/01/17 33
– 深夜と比較して約70万人も人口が増加– 9時~17時の滞在が中心(小松中心部と同じ就業地型)
(万人)
通常パターン(95%信頼区間)
時間
異常パターン | 大阪北部地震 6/18(月)
2019/01/17 34
– 地震発災のタイミングで,流入が突然停止– 12時にかけて数万人増 16時から徐々に減少
(万人)
通常パターン(95%信頼区間)
時間
6/18 推計値
北部地震発災(7:58)
異常パターン | 西日本豪雨 7/6(金)
2019/01/17 35
始発から多くの路線が運休– 大阪環状線などは,本数を減らして運行していた…
JR西日本公式サイト内 列車運行情報ページ(2018.7.6 14:35時点)
異常パターン | 西日本豪雨 7/6(金)
2019/01/17 36
7/6は,通常より人口がかなり少ない「異常状態」≫深夜昼間の増加量は,20%程度の減少.
時間 時間
7/7(土)7/6(金)
(万人)
異常パターン | 台風21号 9/4(火)
2019/01/17 37
台風の経過– 4日12時ごろ 徳島県南部に上陸
(中心気圧 950hPa,最大風速45m/s)– 4日14時ごろ 兵庫県神戸市付近に再上陸– 5日 9時ごろ 間宮海峡にて温帯低気圧に
交通機関の状況– JR西日本:3日に以下の内容を発表(計画運休)「4日午前10時ごろまでに,
京阪神のすべての在来線の運転をとりやめる」– 私鉄各線:4日正午までに,ほぼすべてで運転とりやめ– 4日に関西国際空港が高潮で冠水・閉鎖,孤立状態に
異常パターン | 台風21号 9/4(火)
2019/01/17 38
西日本豪雨時と比較して,より顕著な変化≫深夜昼間の増加量は,70%以上の減少.
時間 時間
9/4(火)9/3(月)
(万人)
異常パターン | 台風24号 9/30(土)
台風の経過– 30日20時ごろ 和歌山県田辺市付近に上陸
(中心気圧 960hPa,最大風速40m/s)– 10月1日9時ごろ
日本東側の海上にて温帯低気圧に
交通機関の状況– JR西日本:全日に以下の内容を発表(計画運休)「30日正午ごろまでに,
京阪神のすべての在来線の運転をとりやめる」
2019/01/17 39
異常パターン | 台風24号 9/30(土)
2019/01/17 40
土曜日であり,平日より通常の流入量は少ない≫深夜昼間の増加量は,ほぼゼロに.
(万人)
通常パターン(95%信頼区間)
時間
JR西日本_完全運休
深夜昼間の人口増加(流入)まとめ
異常時における人口増加・実現割合(通常時比):– (状況の差異は差し引く必要があるが…)– 小松市・三次市では,ほとんど変わらない
警戒すべき状況下で,通常時の行動をとる人が多い– 大阪市の計画運休下では,ほとんどの人が行動変更
経済ダメージ大.ただ,制御可能を意味する?2019/01/17 41
人口増加実現割合 災害関連情報
三次市中心部 2017/7/5水 | 豪雨 100% 洪水情報速報メール小松市中心部 2017/8/8火 | 台風 85% 洪水情報速報メール大阪市 2018/7/6金 | 豪雨 80%
2018/9/4火 | 台風 30% 計画運休2018/9/30土 | 台風 0% 計画運休
今後の課題・考えるべきポイント
2019/01/17 42
より細かい情報・状況を踏まえて,観測された状況の精査が必要…
大都市で計画運休の影響が大きいのは,ほぼ当然– 鉄道に依存する大都市では運休の影響は大きい
=ある程度,制御・危険回避の方向に誘導可能
⇔地方部では,多くの人が各個人の判断で動ける=必要なときに,
危険回避行動をとってもらいにくい?»とくに出勤行動など?»何かしらの,施策を検討する必要がある?