時系列データの分析③ ベクトル自己回帰モデルを用...
Transcript of 時系列データの分析③ ベクトル自己回帰モデルを用...
時系列データの分析③ベクトル自己回帰モデルを用いた分析
講師: 長倉大輔 (慶應義塾大学経済学部)
1
今日の予定
1. 多変量時系列の定常性について
2
今日の予定
1. 多変量時系列の定常性について
2. ベクトル自己回帰モデルについて
2
今日の予定
1. 多変量時系列の定常性について
2. ベクトル自己回帰モデルについて
3. EViews (ベクトル自己回帰モデル)
2
多変量時系列
多変量時系列モデル
多変量時系列モデルは n×1 ベクトル変数
yt =
に対して、その時間を通じての確率的な挙動を記述するモデル。
nt
t
t
y
y
y
2
1
3
多変量時系列
例えば、n = 3
yt =
t
t
t
y
y
y
3
2
1
4
多変量時系列
例えば、n = 3
yt =
y1t : $/¥ レート、 y2t: $/€レートy3t : $/£レート
などとし、
t
t
t
y
y
y
3
2
1
4
多変量時系列
例えば、n = 3
yt =
y1t : $/¥ レート、 y2t: $/€レートy3t : $/£レート
などとし、これら3つの為替レートの相互依
存関係を考慮した、時間を通じての挙動を分析する。
t
t
t
y
y
y
3
2
1
4
多変量時系列
多変量時系列モデルについても、定常性という概念が重要。
5
多変量時系列
多変量時系列モデルについても、定常性という概念が重要。
1変量時系列の場合、定常性とは期待値と自己共分散が時間を通じて一定である事。
5
多変量時系列
多変量時系列モデルについても、定常性という概念が重要。
1変量時系列の場合、定常性とは期待値と自己共分散が時間を通じて一定である事。
多変量の場合も同様。
5
多変量時系列
多変量時系列モデルについても、定常性という概念が重要。
1変量時系列の場合、定常性とは期待値と自己共分散が時間を通じて一定である事。
多変量の場合も同様。
多変量時系列の期待値と自己共分散?
5
多変量時系列
多変量時系列モデルの期待値
多変量時系列変数 ytの期待値は
6
多変量時系列
多変量時系列モデルの期待値
多変量時系列変数 ytの期待値は
E(yt) =
と定義される。
)(
)(
)(
2
1
nt
t
t
yE
yE
yE
6
多変量時系列
多変量時系列モデルの自己共分散行列
多変量時系列変数 ytの k 次自己共分散行列は
7
多変量時系列
多変量時系列モデルの自己共分散行列
多変量時系列変数 ytの k 次自己共分散行列は
「(i, j) 成分が cov ( yi,t , yj,t –k )
である n×n行列」
である。
7
多変量時系列
多変量時系列モデルの自己共分散行列
多変量時系列変数 ytの k 次自己共分散行列は
「(i, j) 成分が cov ( yi,t , yj,t –k )
である n×n行列」
である。具体的には次のように表すことができる。
7
多変量時系列
),cov(),cov(),cov(
),cov(),cov(),cov(
),cov(),cov(),cov(
),cov(
,,,2,,1,
,,2,2,2,1,2
,,1,2,1,1,1
ktntnkttnkttn
ktntkttktt
ktntkttktt
ktt
yyyyyy
yyyyyy
yyyyyy
yy
8
多変量時系列
並び方に注意。
),cov(),cov(),cov(
),cov(),cov(),cov(
),cov(),cov(),cov(
),cov(
,,,2,,1,
,,2,2,2,1,2
,,1,2,1,1,1
ktntnkttnkttn
ktntkttktt
ktntkttktt
ktt
yyyyyy
yyyyyy
yyyyyy
yy
8
多変量時系列
並び方に注意。対角成分は yi, tの k 次の自己共分散になっている。
),cov(),cov(),cov(
),cov(),cov(),cov(
),cov(),cov(),cov(
),cov(
,,,2,,1,
,,2,2,2,1,2
,,1,2,1,1,1
ktntnkttnkttn
ktntkttktt
ktntkttktt
ktt
yyyyyy
yyyyyy
yyyyyy
yy
8
多変量時系列
k = 0 の時は
9
多変量時系列
k = 0 の時は
となる。
)var(),cov(),cov(
),cov()var(),cov(
),cov(),cov()var(
),cov(
,,2,,1,
,,2,212
,,1,2,1,1
tnttnttn
tntt
tntttt
ktt
yyyyy
yyyyy
yyyyy
yy
9
多変量時系列
k = 0 の時は
となる。これは ytの分散共分散行列。
)var(),cov(),cov(
),cov()var(),cov(
),cov(),cov()var(
),cov(
,,2,,1,
,,2,212
,,1,2,1,1
tnttnttn
tntt
tntttt
ktt
yyyyy
yyyyy
yyyyy
yy
9
多変量時系列
k = 0 の時は
となる。これは ytの分散共分散行列。これは対称行列 (ただし、k ≠ 0 の時には一般的には対称行列ではない)。
)var(),cov(),cov(
),cov()var(),cov(
),cov(),cov()var(
),cov(
,,2,,1,
,,2,212
,,1,2,1,1
tnttnttn
tntt
tntttt
ktt
yyyyy
yyyyy
yyyyy
yy
9
多変量時系列
多変量(弱)定常過程
多変量時系列変数 ytの期待値ベクトル、自己共分散行列が時点 tに依存しない時、yt は(弱)定常過程であるという。
10
多変量時系列
多変量(弱)定常過程
多変量時系列変数 ytの期待値ベクトル、自己共分散行列が時点 tに依存しない時、yt は(弱)定常過程であるという。
以後、定常過程の期待値ベクトルと自己共分散行列を
μ = E(yt), Γk = cov(yt, yt–k)
という記号で表す。10
多変量時系列
ベクトルホワイトノイズ
ベクトル εt = ( ε1t, ε2t, …, εnt )T は
11
多変量時系列
ベクトルホワイトノイズ
ベクトル εt = ( ε1t, ε2t, …, εnt )T は
E(εt ) = 0,
を満たす時に(ベクトル)ホワイトノイズと呼ばれる。ここで Σは n×nの分散共分散行列。
0
0,)(),cov( T
k
kE kttktt 0
Σεεεε
11
多変量時系列
ベクトルホワイトノイズ
ベクトル εt = ( ε1t, ε2t, …, εnt )T は
E(εt ) = 0,
を満たす時に(ベクトル)ホワイトノイズと呼ばれる。ここで Σは n×nの分散共分散行列。ホワイトノイズは明らかに弱定常過程。
0
0,)(),cov( T
k
kE kttktt 0
Σεεεε
11
多変量時系列
以後、 εtが(ベクトル) ホワイトノイズである事を
εt ~ W.N. (Σ)
と表記する。
12
多変量時系列
VAR モデル
ARモデルの多変量版として Vector
Autoregressive (VAR)モデルがある。
これは1変量のARモデルの多変量版。
1
13
多変量時系列
p次のVARモデル(VAR(p))次のように定義される。
ここで yt : n×1ベクトル、c : n×1ベクトル、Φi : n×n行列、εt: n×1ベクトル
である。
)(W.N.~
,11
Σε
εyΦyΦcy
t
tptptt
14
多変量時系列
2変量VAR モデル
2変量VAR(1)モデルは次のように書ける。
.),(W.N.~
,
2221
2121
2
1
2
1
12
11
2221
1211
2
1
2
1
ΣΣt
t
t
t
t
t
t
t
y
y
c
c
y
y
15
多変量時系列
これはまた次のように 2 本の回帰式として書く事もできる。
.),cov(
,)var(,)var(
2121
222
211
21222112122
11212111111
tt
tt
tttt
tttt
yycy
yycy
16
多変量時系列
これはまた次のように 2 本の回帰式として書く事もできる。
どちらの書き方もよく使われる。
.),cov(
,)var(,)var(
2121
222
211
21222112122
11212111111
tt
tt
tttt
tttt
yycy
yycy
16
多変量時系列
VARモデルの推定
VARモデルの推定は、通常、先ほどの n
本の回帰式のそれぞれを最小二乗法を用いて推定するか、誤差項に多変量正規分布を仮定して条件付最尤法で推定(係数の推定値はどちらでも同じになる)。
17
EViewsによる分析
G7国のMSCI (Morgan Stanley Capital
International) データの日次変化率のデータに対して、VARでモデル化し、推定、予測をしてみる。
データは msci_ret.xlsx のデータを使用。
18
データの読み込み
19
EViewsによる分析
まずカナダと日本とカナダのデータについて以下の 2 変量 VAR(2) モデルを推定する
ca1t: カナダのデータjp2t: 日本のデータ
.),(W.N.~
,
2
2
,
,
,
,
2
2
)2(22
)2(21
)2(12
)2(11
1
1
)1(22
)1(21
)1(12
)1(11
jpjpca
jpcaca
tjp
tca
tjp
tca
t
t
t
t
jp
ca
t
t
jp
ca
jp
ca
c
c
jp
ca
ΣΣ
20
日本とカナダのデータ
21
VARの推定
⇒
「Quick」→「Estimate VAR」
VAR Specification の画面が出てくる。
22
VAR Type →「Unrestricted VAR」
Endogenous Variable → 「 ca jp 」 と入力23
Lag Intervals for Endogenous →「1 2」
Exogenous Variable → 「 c 」 と入力24
EViewsによる分析
VAR Type: 通常は Unrestricted VAR。Vector Error Correction はエラー修正Model を推定する時。
25
EViewsによる分析
VAR Type: 通常は Unrestricted VAR。Vector Error Correction はエラー修正Model を推定する時。
Endogenous Variable: どの変数のVARを推定するか指定。ここではカナダと日本のデータを使うので ca と jp
25
EViewsによる分析
Lag Intervals for Endogenous:
含めるラグを指定 1 2 でラグ1 からラグ2 を含めるという事。
26
EViewsによる分析
Lag Intervals for Endogenous:
含めるラグを指定 1 2 でラグ1 からラグ2 を含めるという事。
Exogenous Variable
定数項やトレンド、季節ダミーが、その他の外生変数を入れる場合に指定。
26
推定結果が出力される
CA
CA(-1) 0.04423…. ( の推定値)0.02725…. (その標準誤差)
[1.62312] ( t 値)
など
)1(11
27
推定結果が出力される
(それぞれの回帰式を最小二乗法で推定した場合の)左の列: CA についての回帰式の結果右の列: JP についての回帰式の結果
28
推定結果が出力される
誤差項に多変量正規分布仮定し最尤推定した時の結果、Determinant resid covariance (dof adj.)
およびDeterminant resid covariance
は Σの(推定値の)行列式の値。
29
EViewsによる分析
先程はラグを p = 2 を指定して推定した。
実際にはラグを前もってわかっている事はないので、情報量基準でデータによくあてはまるラグを選択する事ができる。
30
ラグの選択
先程のVARの推定結果の画面で「View」→「Lag Structure」
→「Lag Length Criteria」を選択 31
ラグの選択
最大次数を入力する画面が出てくる。
ここでは 20 と入力 → OK とする。
32
最大次数ラグまで様々な情報量基準量が出力される。
最小値を与えるラグがその情報量基準のもとで最適なラグ(右上に * が付いたもの)
33
AIC ではラグの次数として 3、SC(BIC)では ラグの次数として 1が選ばれている。
ここではBICの結果に従う。
34
ラグを p = 1 として推定しなおす。その際、Lag Intervals for Endogenousのところには 「1 1」と入力する。推定結果は上記のようになる。
35
EViewsによる分析
推定したVARモデルを用いて予測をする。
ここではカナダのデータの5/1/2008から5/9/2008までの値を先ほど推定した2変量VAR(1)モデルを用いて予測する。
36
「Range」の End data を 5/9/2008 にしておく
37
先程の推定結果の画面で
「Proc」→「Make Model」 と選択38
以下上の画面で 「Solve 」をクリック
39
上記の画面で Solution sample を「5/1/2008 5/9/2008」と入力し、OK
40
上記の画面になる。
41
予測値を含んだ新しい系列 「ca_0」と「jp_0」 ができている。
42
ca_0 と jp_0 を as Group で開く
43
ca と jp の予測値が出力されている。
44
グラフにしてみる。
45
Line width を両方とも 3.0 にし、OK。
46
予測値はほぼ0であることがわかる。
47
多変量時系列分析
インパルス応答関数
VARを用いて分析手法として重要なもの
に、インパルス応答関数による分析がある。
これはある変数に対する “ショック” がそ
の変数や他の変数の将来の値にどのような影響を及ぼすかを分析する。
48
多変量時系列分析
(例) 円/ドルの為替レートに対して何らかのショックがあったとしよう。
49
多変量時系列分析
(例) 円/ドルの為替レートに対して何らか
のショックがあったとしよう。そのショックにより円/ドルの為替レートはもちろん影響を受けるが、そのようなショックは同時にユーロ/ドルの為替レートにも影響を与えるであろう。
49
多変量時系列分析
(例) 円/ドルの為替レートに対して何らか
のショックがあったとしよう。そのショックにより円/ドルの為替レートはもちろん影響を受けるが、そのようなショックは同時にユーロ/ドルの為替レートにも影響を与えるであろう。
インパルス応答関数による分析は円/ドルレートへのショックがユーロ/ドルに与える影響などを分析するのに有用である。
49
多変量時系列分析
インパルス応答関数には
非直行化インパルス応答関数
と呼ばれるものと
直行化インパルス応答関数
と呼ばれるものがある。
50
多変量時系列分析
インパルス応答関数には
非直行化インパルス応答関数
と呼ばれるものと
直行化インパルス応答関数
と呼ばれるものがある。
直行化インパルス応答関数の方がよく用いられる
50
多変量時系列分析
非直交化インパルス応答関数
n変量 VAR(p) モデル
yt = c + Φ1 yt–1 + …. + Φp yt–p + εt ,
εt ~ W.N.(Σ)
を考える。
51
多変量時系列分析
この時、 yt +k の第 i番目の成分 yi,t +k の
52
多変量時系列分析
この時、 yt +k の第 i番目の成分 yi,t +k のεtの第 j番目の成分である εj,t に関する偏微分:
52
多変量時系列分析
この時、 yt +k の第 i番目の成分 yi,t +k のεtの第 j番目の成分である εj,t に関する偏微分:
を非直交化インパルス応答関数と呼ぶ
tj
ktiij
ykIRF
,
,)(
52
多変量時系列分析
この時、 yt +k の第 i番目の成分 yi,t +k のεtの第 j番目の成分である εj,t に関する偏微分:
を非直交化インパルス応答関数と呼ぶ(これは kの関数である事に注意)。
tj
ktiij
ykIRF
,
,)(
52
多変量時系列分析
IRFij(k)は (おおざっぱに言って)
“εjtが1単位増加した時に、yi,t+kが何単位変化するか?”
を表している (正確には、偏微分の値なので微小な変化に対する変化)。
yi,t +k は yi,t の k期先の値である事に注意。
53
多変量時系列分析
IRFij(k)は (おおざっぱに言って)
“εjtが1単位増加した時に、yi,t+kが何単位変化するか?”
を表している (正確には、偏微分の値なので微小な変化に対する変化)。
53
多変量時系列分析
(非直交化インパルス応答関数の例)
以下はVAR(1)モデル:
の非直交化インパルス応答関数IRF11(k) と IRF21(k)の図である。
12.0
2.01),(W.N.~
,8.01.0
1.08.0
1
1
2
1
2
1
12
11
2
1
ΣΣt
t
t
t
t
t
t
t
y
y
y
y
54
IRF11(k) のグラフ
55
IRF21(k) のグラフ
56
多変量時系列分析
IRF11(k)を見ると ε1tから y1tへの影響は単調に減少している。
57
多変量時系列分析
IRF11(k)を見ると ε1tから y1tへの影響は単調に減少している。
それに対して、 IRF21(k)を見ると ε1tから y2t
への影響は、次第に大きくなり 5 期後あたりをピークにその後単調に減少している。
57
多変量時系列分析
IRF11(k)を見ると ε1tから y1tへの影響は単調に減少している。
それに対して、 IRF21(k)を見ると ε1tから y2t
への影響は、次第に大きくなり 5 期後あたりをピークにその後単調に減少している。
金融政策の波及効果のようなマクロ経済変数の分析では、どのようなショックがどれくらい後に影響を及ぼすかなどが重要。
57
多変量時系列分析
非直交化インパルス応答関数の問題点
非直交化インパルス応答関数は εjtが1単位増加した時の yi,t+kの変化を表していた。
58
多変量時系列分析
非直交化インパルス応答関数の問題点
非直交化インパルス応答関数は εjtが1単位増加した時の yi,t+kの変化を表していた。
しかし もし εjt が εkt (k ≠j) と相関している場合、 εjtが変化すると εkt も変化する傾向がある。
58
多変量時系列分析
非直交化インパルス応答関数は誤差項間の相関を考慮に入れていない。
59
多変量時系列分析
非直交化インパルス応答関数は誤差項間の相関を考慮に入れていない。
誤差項間の相関を考慮に入れたインパルス応答関数を直交化インパルス応答関数という。
59
多変量時系列分析
ショックの分解
εtの各要素は互いに相関しているとする。この時、εtは常に
60
多変量時系列分析
ショックの分解
εtの各要素は互いに相関しているとする。この時、εtは常に
εt = Aut
と書き表すことができる。ここで
ut = [ u1t, …, unt]T
は要素が互いに相関していない新たな誤差項ベクトルであり、 Aは n×n行列。
60
多変量時系列分析
直交化インパルス応答関数
この utを用いて、先ほどの n変量 VAR(p)
モデルは
61
多変量時系列分析
直交化インパルス応答関数
この utを用いて、先ほどの n変量 VAR(p)
モデルは
yt = c + Φ1 yt–1 + …. + Φp yt–p + Aut,
と書ける。
61
多変量時系列分析
直交化インパルス応答関数
この utを用いて、先ほどの n変量 VAR(p)
モデルは
yt = c + Φ1 yt–1 + …. + Φp yt–p + Aut,
と書ける。この時 yi,t+kの ujtについての偏微分
を直交化インパルス応答関数と呼ぶ。jt
ktiij
u
ykOIRF
,)(
61
多変量時系列分析
(直交化インパルス応答関数の例)
以下は非直交化インパルス応答関数の例で出てきたVAR(1)モデルを
と書き直した時の u1tの直交化インパルス応答関数 OIRF11(k) と OIRF21(k)の図。
96.00
01),(W.N.~
,12.0
01
8.01.0
1.08.0
1
1
2
1
2
1
12
11
2
1
ΣΣt
t
t
t
t
t
t
t
u
u
u
u
y
y
y
y
62
OIRF11(k) のグラフ
63
OIRF21(k) のグラフ
64
多変量時系列分析
図ではわかりずらいが、IRF11(k)とOIRF11(k)は微妙に値が違っている。
65
多変量時系列分析
図ではわかりずらいが、IRF11(k)とOIRF11(k)は微妙に値が違っている。
また IRF21(k)と比較して OIRF21(k)は影響のピークが若干早くなっている。
65
EViewsによる分析
先程のカナダと日本のデータのVAR(1)
モデルに関して、直行化と非直行化インパルスお打つ応答関数を計算する。
まず非直行化インパルス応答関数を計算する
66
先程のVAR(1)モデルの推定結果の画面で
「View」→「Impulse Response」を選択67
Displaya Format の部分を Table にチェックし、Impulses の部分に「ca jp」、同じくResponses の部分に 「ca jp」、Periods の部分を 10 と入力します。
68
Display Formatインパルス反応関数の値の表 (Table)インパルス反応関数の図(Multiple Graphs, Combined Graphs)
を選択する。
69
Response Standard Errors
インパルス応答関数はパラメーターの関数であり、推定したパラメータを用いて計算している。推定量は確率変数なので、インパルス応答関数も確率変数となる。
70
Response Standard Errors
インパルス応答関数はパラメーターの関数であり、推定したパラメータを用いて計算している。推定量は確率変数なので、インパルス応答関数も確率変数となる。その標準誤差の計算方法として
計算も図示もしない (none)解析的に計算 (Analytical (asymptotic))モンテカルロ法で計算 (Monte Calro)
を選択。70
次に、Impulse Definition のタブをクリックし、
Residual – one unit をオンにし、Okをクリック。71
左が CAの (CAとJPへのショックに対する)インパルス応答関数の値、右が JP のインパルス応答関数の値である。 72
インパルス応答関数のグラフを書くにはDispalya Format で「Multiple Graphs」か「Combined Graphs」をオンにする。
73
74
EViewsによる分析
次に非直行化インパルス応答関数を計算する。
75
Impulse Definition のタブでDecomposition Method において「Cholesky – dof adjusted」をオンにする。
76
注意!
非直行化インパルス応答関数では「Cholesky Ordering」において変数の順序を変更すると、値が変わる。ここはより外生性の高いショックから順に並べる必要がある。
77
78
本日のまとめ
1. 1変量時系列分析のいくつかの概念を多変量時系列へ拡張した。
2. VAR モデルを導入し、EViewsによる推定、および予測について解説した。
3. VARモデルを用いた分析方法として重要な方法であるインパルス応答関数を用いた分析を紹介した。
79