精密・微細加工を実現 放電加工1用放電加工機には...

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スマートフォン タブレット コンピューターに される により、そ れら される において かつ が一 めら れている。そ ため 、これら して きている。 あけ における における マイクロ 域からサブミクロン 域に している。 使2011年 平成23年 3月17日 木曜日 (第2部)

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Page 1: 精密・微細加工を実現 放電加工1用放電加工機には 現在、市販の微細加工も得意である。加工や薄板などへの加工であり、また極小径の軸微細な工具の使用が可能する加工反力が小さく、ので工具や工作物に作用さらに、非機械的加工な対しても加工が行える。

精密・微細加工を実現 スマートフォンやタブレット型コンピューターに代表

される小型情報端末機器などの飛躍的な進歩により、そ

れらの製作に使用される金型や電子・機械部品の製造現

場においても、高精度かつ微細な材料加工が一層求めら

れている。そのため高硬度材料に微細形状の加工が可能

な放電加工の重要性は、これらの製造分野で特に増して

きている。現在、放電加工で加工可能な最小寸法(例え

ば穴あけ加工における穴径や軸加工における軸径)は、

マイクロ 1 の 分の1 の領域からサブミクロン

1 の1万分の1 の領域に踏み込もうとしている。

マイクロからサブミクロンの領域へ

極細の工具電極を使い微細穴の放電加工

京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科江頭快准教授

放電加工

 

 

図2 直径0・1

工具電極使用による穴あ

け加工

 このような微細軸の成

形は、加工中に発生する

放電のエネルギーを微小

にする電源回路や加工条

件の採用により可能とな

った。それに加え、軸材

料の回転振れを極めて小

さくできるスピンドルが

使用されている。試作さ

れた微細軸は形状精度が

良好ではないため、実用

レベルで応用されるのは

まだ先になると考えられ

るが、将来的にはより微

細な形状測定器用プロー

探針

や微細加工用

工具などに用いられると

思われる。

 穴あけ加工において

も、穴径がサブミクロン

オーダーである微細穴の

成形が試みられている。

微細穴あけ加工を行う場

合に問題となるのは、穴

径より小径の工具電極を

用いなければならないこ

とである。穴径がサブミ

クロンオーダーならば、

工具電極もサブミクロン

オーダーあるいはそれ以

下の直径でなければなら

ない。そこで、電気分解

の原理を利用した電解研

磨や、真空中でのイオン

ビームを用いた加工によ

り製作された極細の工具

電極を使用し、サブミク

ロン径微細穴の放電加工

を試みた例が筆者らのグ

ループにより報告されて

いる。

 図2は直径0・1

の工具電極を使用して亜

鉛に対して穴あけ加工を

行ったものである。アス

ペクト比

深さ/穴径

はかなり小さいが、穴径

は0・5

程度であ

り、サブミクロンの領域

での穴あけ加工が可能で

あることが初めて確認さ

れた。

 金型にみられるような

複雑な3次元形状も、基

本的には軸や穴形状に代

表される凸形状と凹形状

の組み合わせから成り立

っている。それらが放電

加工でもサブミクロンオ

ーダーで成形できること

が分かり、フォトエッチ

ングなどでなければ不可

能であった超微細加工へ

応用されることが大いに

期待できる。

 放電加工は銅やグラフ

ァイトなどの材質の電極

を工具として用い、工具

と工作物との間に高電圧

を印加して放電を発生さ

せ、生じた熱により工作

物表面を溶融・蒸発させ

て所望の形状を得る材料

加工法である。熱を利用

した加工なので、切削加

工が難しい高硬度材料に

対しても加工が行える。

さらに、非機械的加工な

ので工具や工作物に作用

する加工反力が小さく、

微細な工具の使用が可能

であり、また極小径の軸

加工や薄板などへの加工

も得意である。

 現在、市販の微細加工

用放電加工機には

万分の1以

下の形状精度をうたうも

のもあり、穴径や軸径が

までの穴あけ加工

や軸加工が可能である。

実用レベルにおける放電

加工が可能な最小寸法は

現段階では数

という

ことになるが、この最小

寸法は研究レベルでは

年前に既に達成されてい

1971年に東北大

から真ちゅう板に穴径2

の微細穴をあけた例

が報告されている

。こ

年間に加工電源や制

御装置といった周辺技術

は大幅な進歩を遂げてお

り、研究レベルと実用レ

ベルの違いを考慮して

も、加工可能な最小寸法

をより小さくする努力が

なおざりであったことは

否めない。

 そこで、この最小寸法

を更新し、放電加工によ

るサブミクロンの領域で

の微細加工を実現するべ

く、新たな研究が進めら

れている。

 軸加工においては、筆

者らのグループや東京農

工大のグループにより、

サブミクロン径の軸成形

が試みられている。その

結果、ワイヤ放電加工を

用いた直径0・7

亜鉛微細軸

図1

や、

直径0・8

の超硬合

金微細軸の成形例が報告

されている。これらは放

電加工により成形された

軸としては初めてサブミ

クロンオーダーの直径を

達成し、長

年更新され

なかった加

工可能な最

小寸法を引

き下げるこ

ととなっ

た。

 

 

図1 ワイ

ヤ放電加工

を用いた直

径0・7

の亜鉛微

細軸の成形

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