科学者によるサイエンスイラストレーション作成の...

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芸術研究報32, 2011 59 科学者によるサイエンスイラストレーション作成の実態 田中 佐代子*、小林 麻己人**、三輪 佳宏** 1. 研究の背景 近年研究発表のビジュアル媒体多様化でいる。ビジュアルによる情報伝達は、a直感的b詳細情報正確伝達c即時性d強烈 記憶形成れた特徴をもち、言葉による伝達困難内容でも容易伝達できるがある。実際科学 による学会発表資料講義資料などでは、イラスト レーションやグラフなど、ビジュアルな表現存在 する。こうした科学的知識えるは、サイエンスイ ラストレーションとばれる 1 。パソコンが普及現在科学者自身論文報告書掲載するサイエン スイラストレーションを作成する機会えている。 額賀淑郎科学論における視覚表象論役割』はサイ エンスイラストレーションにする基本文献であるとえられるが、そのでは、RudwickMyersTufte 先行研究以下のように紹介している 2 Rudwick 地図地理学の「視覚言語Visual language)」として たした歴史的役割分析した。額賀は「二次元覚言語は、言葉では表現できない観察えを統合する ことで、科学的説明理論補足することができる」 と、Rudwick 分析解説している。言語学者Myers は、Willson 古典的教科書社会生物学」にられた視覚図表事例として分析し、「PhotographsDrawings」「Maps」「Graphs, Models, Tables」「Imaginary Figures」の5つのタイプに分類した。統計学者Tufte は“Envisioning Informationで、表象視覚知とし 理解することで、視覚言語かなりやストーリー すのに成功している。たとえば、出版物には様々視覚的統計図まれるが、その視覚性色彩利用により、より効果的なイマジネーションやコミュニ ケーションが可能になることを指摘する。さらに、二次 視覚情報は、遠近画法いることで、三次元のよ うに表象され利用されている。科学出版物において覚情報のさまざまな利用顕著であることは、一連 著作かららかである。 総合科学技術会議 2010発表 した「 年間 千万円以上公的研究費配分ける研究者のアウ トリーチ活動義務化3 からもわかるように、国内にお ける科学者のサイエンスコミュニケーションにするまっている。科学コミュニケーター養成講座複数大学科学博物館開講され 4 科学映像リエイター養成コースも国立天文台開設されている 5 しかし、サイエンスイラストレーションにする高等教 プログラムは国内にはほとんどない 6 科学者自身自己努力せているのが現状で、結果として「センス く、わかりにくい」サイエンスイラストレーション 表現蔓延しているとえる。 2. 研究目的 科学者によるサイエンスイラストレーション作成らかにする。これにより学術的知見科学 にサイエンスイラストレーションの作成指針すた めの論拠構築することが本研究目的である。そ のため、以下項目について調査考察する。それぞれ よりしい実態らかにするため、研究分野別研究上 立場別年齢別男女別にも調査考察することとする。 2.1 科学者によるサイエンスイラストレーション作成 の実態 2.1.1 作成方法・作成目的 サイエンスイラストレーション作成、どのような パソコンOS やソフトウエアを使用しているのかに ついて調査した。科学者対象としたソフトウエアの使 する文献としては「医学・バイオのための Fig. 作成ガイド― 論文・プレゼンに役立Photoshop/ Illustrator 活用法 ―」 7 、「Illustrator のやさしい使論文学会発表まで」 8 出版されている。しかし筆者 っている科学者くは、PowerPoint 使用して いるようなので、Illustrator Photoshop といった、プ ロも使用しているソフトウエアを科学者がどの程度利用 しているのかをらかにしたい。 作成目的としては、 研究論文学会発表資料申請書報告書教科書広報関連大学生一般子供向けの 講義などえられるが、対象いによって要求される 技術方向性なるとえられるため、その実態らかにすることが重要である。 2.1.2 表現目的 科学者がどのような表現目的としているのか、つま りどのような表現重視しているのかについてらかに する。まずはサイエンスイラストレーションの一番であるとえられる「学術的正確さ」があげられる だろう。そしてサイエンスイラストレーションはそのわらないと意味がないため「わかりやすさ」も然重視されるだろう。さらに「インパクト・ 印象強さ」「セ ンスのさ・ しさ」「独自性」「新規性」「しさ・ユー モア」についてもどの程度問題意識をもっているのか らかにする。 2.1.3 表現方法 科学者がどのような表現方法して、困難じて いるのかをらかにする。科学者がよりよいサイエンス イラストレーションを表現するためには、「画面構成 方法」「配色方法」「文字配置方法」「書体選択方法改善する必要があると、筆者のこれまでのデザイナー * 筑波大学芸術系 ** 筑波大学医学医療系

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芸術研究報32, 2011 59

科学者によるサイエンスイラストレーション作成の実態

田中 佐代子*、小林 麻己人**、三輪 佳宏**

1. 研究の背景

 近年、研究発表のビジュアル化や媒体の多様化が進んでいる。ビジュアルによる情報伝達は、a)直感的な理解、b)詳細な情報の正確な伝達、c)即時性、d)強烈な記憶形成、等の優れた特徴をもち、言葉による伝達が困難な内容でも容易に伝達できる力がある。実際に科学者による学会発表資料や講義資料などでは、イラストレーションやグラフなど、ビジュアルな表現が必ず存在する。こうした科学的知識を伝える図は、サイエンスイラストレーションと呼ばれる1。パソコンが広く普及した現在、科学者自身が論文や報告書に掲載するサイエンスイラストレーションを作成する機会が増えている。 額賀淑郎『科学論における視覚表象論の役割』はサイエンスイラストレーションに関する基本文献であると考えられるが、その中では、Rudwick、Myers、Tufte等の先行研究を以下のように紹介している2。Rudwickは地図が地理学の「視覚言語(Visual language)」として果たした歴史的な役割を分析した。額賀は「二次元の視覚言語は、言葉では表現できない観察や考えを統合することで、科学的な説明と理論を補足することができる」と、Rudwickの分析を解説している。言語学者のMyersは、Willson著の古典的な教科書「社会生物学」に用いられた視覚図表を事例として分析し、「Photographs」「Drawings」「Maps」「Graphs, Models, Tables」「Imaginary

Figures」の5つのタイプに分類した。統計学者のTufteは“Envisioning Information”等で、表象を視覚知として理解することで、視覚言語の豊かな語りやストーリーを示すのに成功している。たとえば、出版物には様々に視覚的な統計図や絵が含まれるが、その視覚性と色彩の利用により、より効果的なイマジネーションやコミュニケーションが可能になることを指摘する。さらに、二次元の視覚情報は、遠近画法を用いることで、三次元のように表象され利用されている。科学の出版物において視覚情報のさまざまな利用が顕著であることは、彼の一連の著作から明らかである。 総合科学技術会議が2010年6月に発表した「年間3千万円以上の公的研究費の配分を受ける研究者のアウトリーチ活動の義務化」3からもわかるように、国内における科学者のサイエンスコミュニケーションに対する意識も高まっている。科学コミュニケーター養成講座が国内の複数の大学や科学博物館で開講され4、科学映像クリエイター養成コースも国立天文台で開設されている5。しかし、サイエンスイラストレーションに関する高等教育プログラムは国内にはほとんどない6。科学者自身の自己努力に任せているのが現状で、結果として「センス

が悪く、わかりにくい」サイエンスイラストレーション表現が蔓延していると考える。

2. 研究目的

 科学者によるサイエンスイラストレーション作成の実態を明らかにする。これにより学術的な知見を得、科学者にサイエンスイラストレーションの作成指針を示すための論拠を構築することが本研究の主な目的である。そのため、以下の項目について調査し考察する。それぞれより詳しい実態を明らかにするため、研究分野別、研究上の立場別、年齢別、男女別にも調査し考察することとする。

2.1 科学者によるサイエンスイラストレーション作成

の実態

2.1.1 作成方法・作成目的

 サイエンスイラストレーション作成の際、どのようなパソコンOSやソフトウエアを主に使用しているのかについて調査した。科学者を対象としたソフトウエアの使い方に関する文献としては「医学・バイオ系のためのFig. 作成ガイド―論文・プレゼンに役立つPhotoshop/Illustrator活用法―」7、「Illustratorのやさしい使い方から論文・学会発表まで」8が出版されている。しかし筆者が知っている科学者の多くは、PowerPointを使用しているようなので、IllustratorやPhotoshopといった、プロも使用しているソフトウエアを科学者がどの程度利用しているのかを明らかにしたい。 作成目的としては、研究論文、学会発表資料、申請書、報告書、教科書、広報関連、大学生・一般・子供向けの講義など考えられるが、対象の違いによって要求される技術や方向性も異なると考えられるため、その実態を明らかにすることが重要である。2.1.2 表現目的

 科学者がどのような表現を目的としているのか、つまりどのような表現を重視しているのかについて明らかにする。まずはサイエンスイラストレーションの一番の特徴であると考えられる「学術的な正確さ」があげられるだろう。そしてサイエンスイラストレーションはその意図が伝わらないと意味がないため「わかりやすさ」も当然重視されるだろう。さらに「インパクト・印象強さ」「センスの良さ・美しさ」「独自性」「新規性」「楽しさ・ユーモア」についてもどの程度、問題意識をもっているのか明らかにする。2.1.3 表現方法

 科学者がどのような表現方法に関して、困難を感じているのかを明らかにする。科学者がよりよいサイエンスイラストレーションを表現するためには、「画面の構成方法」「配色方法」「文字の配置方法」「書体の選択方法」を改善する必要があると、筆者のこれまでのデザイナー

*筑波大学芸術系**筑波大学医学医療系

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科学者によるサイエンスイラストレーション作成の実態60

としての経験から考えている。先行文献としては1990年に出版された、Briscoe著の“A Researcher’s Guide to Scientific and Medical Illustrations”がある。チャート・テーブル・グラフの描き方、学術雑誌や学会ポスターのレイアウトなど、科学者向けの内容となっているが、「画面構成方法」や「文字サイズや行間」(欧文)については「学会ポスター発表」の節に少しだけ記載があるのみだ。この本自体がモノクロ印刷で「配色方法」についても詳しい記述はない 9。また八十島著の「Macで描く科学イラスト」は質の高いサイエンスイラストレーションの事例が100点以上も掲載されている。「『画面構成』は人間の感性に基づくこと」、「『文字』を軽視してはいけない」、「『配色』は論理的に決めればいい」、「カラー表現でも『明度』が基本」、『彩度』の違いで印象の強弱が生まれる」、「『色相』には優先順位がある」といった参考になる記述が巻頭にあるが 10、視覚資料を加えたより詳しい解説が必要だと考える。このように先行文献で、筆者が重視している項目について多く述べられていないのは、科学者の間でこれらがあまり問題にされてこなかったからではないだろうか。しかし実際、多少なりとも文字要素を含み、図的要素と文字要素を画面上に構成することによってサイエンスイラストレーションとして成り立っており、これらが少なからずサイエンスイラストレーションの善し悪しに影響を与えている。 図に関する表現方法としては「写実的な表現方法」「階調の表現方法」「かたちや線の描き方」「立体的な表現方法」があげられる。一般的にプロが描くサイエンスイラストレーションには、これらの卓越した表現が多く見られるが、科学者はどの程度問題意識をもってサイエンスイラストレーションを作成しているかは不明である。2.1.4 満足度、有益性、上達方法

 自身で作成したサイエンスイラストレーションの満足度や、作成技術の向上の有益性について明らかにし、本研究結果をもとにサイエンスイラストレーションの作成指針を示すこと自体の意義を確認したい。また、作成技術の上達方法に関するニーズについても確認したい。

2.2 科学者によるサイエンスイラストレーション依頼

の実態

 科学者のサイエンスイラストレーション依頼に関する実態を明らかにする。 まずは科学者がプロのイラストレーター(以下、「プロ」と省略)に、自身の研究に関するイラストレーションをどの程度依頼したいと思っているのかについて明らかにする。依頼したくない理由としては、「金銭的な問題」や「手続きの面倒さ」「時間に余裕がないこと」、また「プロに知り合いがいない」「依頼方法がわからない」「信頼できない」「自分で描いたほうが良い」等が予想で

きる。さらに科学者が妥当だと思っている「価格」や「制作期間」についても具体的に明らかにする。

3. 調査方法

 Web上でオンラインアンケートを実施した。日本サイエンスビジュアリゼーション研究会(JSSV)をはじめとする下記協力組織のWEBサイト・メーリングリスト、及び、BMB2010フォーラム企画会場11での直接的な呼びかけなど、複数の方法を用いて周知した。2010年12月8日~2011年1月31日までの55日間で、442名分の有効な回答を得た12、13。

3.1 オンラインアンケートの協力組織

 協力組織は、JSSV、日本分子生物学会、日本生化学会、転写研究会、文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「タンパク質の社会」及び「セルセンサーの分子連関とモーダルシフト」、日本バイオイメージング学会、筑波大学生命環境科学研究科、筑波大学計算科学研究センター、筑波大学遺伝子実験センター、筑波大学プラズマ実験センター、筑波大学農業技術センター、シロイヌナズナメーリングリスト(かずさDNA研究所)、rice-netメーリングリスト、mamekaメーリングリスト(かずさDNA研究所)、nasukaメーリングリスト(かずさDNA研究所)、daizuメーリングリスト(農業・食品産業技術総合研究機構)、urikaメーリングリスト(理化学研究所)、Brassicaメーリングリスト(理化学研究所)である。

3.2 質問項目の構成

 本調査では以下の質問項目を作成した。なお、調査票の冒頭で、取り上げるサイエンスイラストレーションの範囲を、「表・グラフ・地図・挿絵など、研究論文に挿入する図、学会発表や一般・学生・子供向けの講義の際に提示する研究に関する図、研究者・一般・子供向けの科学に関する書籍に挿入する図、申請書の図やポンチ絵、研究会等案内ポスターの図」とし、さらに「写真や写真の加工による図は除く」と明示した上で回答を求めた14。①科学者によるサイエンスイラストレーション作成の実態

 1)作成経験の有無 2)主な使用パソコンのOS 3)作成方法 4)作成目的 5)表現上、重視していること 6)表現上、困難だと思うこと 7)参考にしてみたい作成ガイドの内容 8)作成の満足度 9)作成技術の向上と研究との関係 10)作成技術の上達方法に関するニーズ 11)作成に関する自由意見

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芸術研究報32, 2011 61

②科学者によるサイエンスイラストレーション依頼の実態

 1)依頼に関する意識 2)依頼したくない理由 3)妥当な価格 4)妥当な制作期間 5)自由意見 以上のように設問は計20問で、回答者の属性(研究分野、研究上の立場、年齢、性別)、①の1、2、8、9、②の1、3、4は単一選択式による回答、それ以外は複数選択式による回答を求めた。各選択肢には「その他」を設け、その内容を自由記述できるようにした。

3.3 回答者の属性

研究分野15:「生物学」だけで44.6%だった。さらに「農学」「医歯薬学」の他、「総合領域」「複合領域」の自由記述欄に記載されていた具体的な研究内容のほとんどが生命科学分野で、最終的に82.7%が生命科学分野の研究者による回答となった(図1)。研究上の立場:「教授」「准教授」「講師」「助教」といった大学教員が37.4%、「ポスドク」「大学院生」「学部生」

といった学生が38.7%、「大学共同利用機関法人・独立行政法人・国立研究機関・省庁の研究員(以下、「大学共同利用機関法人、等」と省略して記載する。)」と「民間企業の研究員」といった研究員が19.3%だった(図2)。以上の結果から、大学組織における各階層、官民の研究所からのバランスのとれた回答が得られたものと考えられる。年齢:「20歳代以下」が24.7%、「30歳代」が39.1%、「40歳代」が27.6%、「50歳代以上」が8.6%という結果になった(図3)16。性別:「男性」(74.0%)、「女性」(26.0%)であった。

4. 調査結果

4.1 科学者によるサイエンスイラストレーション作成

の実態

 回答者の属性によらない結果と、回答者の属性ごとにクロス集計した結果を述べる(表1)。なお、クロス集計結果で、特筆すべき事項が認められなかった場合は省略する。また、以下「サイエンスイラストレーション」を省略して「イラスト」と表記する。4.1.1 作成経験の有無

 イラストを自身で作成したことがあるか、全員に回答を求めた。その結果、回答者の94.8%(442人中419人)がこれまで何らかのイラストを作成した経験があることがわかった。つまり生命科学系ではほとんどの研究者がイラストを自身で作成した経験をもつことが明らかとなった17。研究分野別の割合:作成経験が特に少なかったのは「社会科学」(75.0%)と「化学」(71.4%)だった。研究上の立場別の割合:「教授」は100%作成経験があった。作成経験の有る「学部生」は61.9%と圧倒的に低かった。研究発表の機会が少ないことが主因と考えられる。年齢別の割合:20歳代は作成経験の有る回答者が89.9%で、他の年代より少なかった。4.1.2 主な使用パソコン

 イラストの作成に用いる主なパソコンの使用傾向を探るため、パソコンのOSについて回答を求めた(図4)。 51.1%が主に「Windows(XP、7、Vista)」を使用し、47.5%が主に「Mac OSX」を使用したことがわかった。国内OSシェア調査18では、「Windows」が88.5%、「Mac OS」が5.2%であるのと比較すると、本調査の回答者は「Mac OS」の使用者がとても多いことがわかった。つまり生命科学分野の科学者はMacの使用率が他より多いと考えられる。研究分野別の割合:「化学」(66.7%)は「Windows」の割合が他より高かった。研究上の立場別の割合:「民間企業の研究員」(83.3%)は「Windows」の割合が多かった。大学教員は「Mac OSX」の割合が多かった。

生物学44.6%

農学19.5%

医歯薬学14.3%

社会科学 1.8%

その他 1.6%

工学 5.0%化学 4.8%数物系科学 4.3%

生命科学分野 82.7%

総合領域 2.3%

複合新領域 2.0%

教授9.5%

准教授10.9%

講師5.0%

助教12.0%

ポスドク16.3%

大学院生17.6%

学部生4.8%

民間企業の研究員 4.1%

その他 4.8%

大学教員 37.4% 学生 38.7% 研究員 19.3%

大学共同利用機関法人、等15.2%

20歳代以下24.7%

30歳代以下39.1%

40歳代以下27.6%

50歳代以上8.6%

図3. 回答者の年齢

図2. 回答者の立場

図1. 回答者の研究分野

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科学者によるサイエンスイラストレーション作成の実態62

表1.

クロス集計表(表内の数値は

%)

①科学者によるサイエンスイラストレーション作成の実態

質問項目

1)作成経

 験の有無

2)使用

 パソコン

3)作成方法

4)作成目的

5)表現上、重視していること

6)表現上、困難だと思うこと

7)参考にしてみたい作成ガイドの内容

選択肢

有無

Windows

Macintosh

PowerPoint

Photoshop

Illustrator

左 記 ソ フ ト

以 外手 描 き

学 会 口 頭 発 表

学 会 ポ ス タ ー

発 表研 究 論 文

研 究 に 関 す る

報 告 書

研 究 に 関 す る

申 請 書

研 究 会 等

広 報 用

大 学 の 講 義 等

一 般 向 け 講 義

・ 書 籍

子 供 向 け 講 義

・ 書 籍

学 術 的 な

正 確 さ

わ か り や す さ

イ ン パ ク ト ・

印 象 強 さ

セ ン ス の 良 さ

・ 美 し さ

独 自 性

新 規 性

楽 し さ ・

ユ ー モ ア

ソ フ ト ウ エ ア

の 使 い 方

配 色 方 法

か た ち や 線 の

描 き 方

立 体 的 な 表 現

方 法階 調 の 表 現

方 法写 実 的 な 表 現

方 法画 面 構 成 方 法

書 体 の 選 択

方 法文 字 の 配 置

方 法わ か り や す く

表 現 す る 方 法

セ ン ス 良 く 美

し く 描 く 方 法

ソ フ ト ウ エ ア

の 使 い 方

配 色 方 法

か た ち や 線 の

描 き 方

立 体 的 な 表 現

方 法階 調 の 表 現

方 法写 実 的 な 表 現

方 法画 面 構 成 方 法

書 体 の 選 択

方 法文 字 の 配 置

方 法

研 究 分 野

社会科学

75.0

25.0

50.0

50.0

83.3

16.7

50.0

83.3

16.7

100.

010

0.0

83.3

50.0

83.3

50.0

50.0

50.0

16.7

66.7

100.

066

.783

.333

.30.

033

.316

.750

.016

.716

.70.

016

.716

.70.

00.

050

.033

.333

.350

.033

.316

.716

.70.

033

.333

.316

.7数物系科学

100.

00.

047

.442

.147

.421

.136

.847

.410

.578

.963

.284

.268

.468

.447

.436

.831

.621

.173

.789

.552

.673

.75.

30.

015

.836

.836

.831

.652

.610

.526

.331

.621

.121

.147

.463

.252

.642

.136

.852

.626

.326

.347

.415

.815

.8化学

71.4

28.6

66.7

33.3

93.3

20.0

40.0

60.0

13.3

66.7

86.7

53.3

46.7

60.0

13.3

20.0

20.0

6.7

53.3

93.3

40.0

53.3

0.0

0.0

6.7

40.0

60.0

40.0

60.0

6.7

33.3

46.7

33.3

20.0

60.0

80.0

26.7

60.0

33.3

53.3

20.0

20.0

46.7

26.7

33.3

工学

90.9

9.1

50.0

35.0

70.0

15.0

30.0

50.0

0.0

85.0

85.0

85.0

65.0

40.0

30.0

25.0

5.0

0.0

65.0

100.

035

.055

.00.

05.

05.

015

.065

.030

.030

.010

.05.

055

.020

.035

.075

.065

.020

.075

.040

.030

.05.

05.

060

.035

.045

.0生物学

96.4

3.6

46.3

53.7

86.8

43.7

45.3

21.6

8.9

91.6

93.2

80.5

64.7

69.5

30.5

39.5

36.3

11.6

71.6

96.8

47.9

56.8

6.3

5.8

16.3

36.8

47.4

45.3

37.9

15.3

23.2

32.1

12.1

13.2

56.8

71.6

50.5

51.6

52.6

41.1

24.2

26.8

48.4

21.6

30.0

農学

97.7

2.3

58.3

40.5

89.3

39.3

27.4

19.0

4.8

96.4

94.0

76.2

70.2

69.0

35.7

33.3

27.4

9.5

66.7

97.6

40.5

51.2

2.4

2.4

19.0

33.3

53.6

45.2

41.7

21.4

23.8

33.3

15.5

20.2

63.1

65.5

47.6

48.8

39.3

44.0

22.6

25.0

48.8

21.4

35.7

医歯薬学

95.2

4.8

51.7

48.3

80.0

38.3

50.0

13.3

8.3

86.7

83.3

71.7

50.0

60.0

30.0

46.7

30.0

1.7

76.7

91.7

43.3

63.3

10.0

6.7

21.7

43.3

55.0

51.7

50.0

25.0

26.7

41.7

16.7

15.0

56.7

70.0

56.7

56.7

45.0

53.3

33.3

28.3

55.0

26.7

28.3

総合領域

100.

00.

060

.040

.060

.030

.050

.040

.020

.090

.070

.060

.040

.060

.040

.010

.030

.010

.030

.090

.040

.070

.00.

00.

010

.030

.050

.020

.010

.010

.00.

040

.020

.040

.060

.060

.030

.060

.030

.010

.020

.00.

040

.020

.030

.0複合新領域

100.

00.

044

.455

.677

.844

.455

.644

.422

.288

.910

0.0

88.9

66.7

66.7

66.7

77.8

33.3

11.1

66.7

100.

033

.377

.80.

00.

00.

033

.333

.355

.622

.233

.333

. 30.

011

.111

.144

.444

.433

.333

.355

.611

.111

.133

.366

.70.

011

.1

研 究 上 の 立 場

教授

100.

00.

035

.764

.390

.542

.942

.921

.44.

897

.685

.781

.071

.481

.047

.681

.052

.47.

164

.397

.661

.969

.09.

511

.916

.750

.040

.554

.861

.928

.642

.921

.411

.92.

442

.978

.654

.854

.842

.957

.128

.640

.554

.823

.826

.2准教授

97.9

2.1

38.3

59.6

75.0

22.9

33.3

27.1

6.3

97.9

93.6

76.6

66.0

80.9

34.0

68.1

44.7

27.7

66.0

93.6

34.0

51.1

4.3

2.1

10.6

31.9

36.2

48.9

42.6

14.9

12.8

29.8

17.0

10.6

42.6

63.8

27.7

40.4

42.6

46.8

19.1

17.0

53.2

21.3

17.0

講師

95.5

4.5

33.3

66.7

95.5

54.5

31.8

31.8

9.1

95.2

95.2

85.7

71.4

90.5

42.9

90.5

28.6

0.0

71.4

100.

047

.666

.719

.014

.333

.347

.652

.461

.952

.428

.633

.338

.114

.323

.842

.971

.457

.147

.657

.142

.938

.133

.342

.933

.338

.1助教

96.2

3.8

51.0

47.1

81.1

54.7

52.8

28.3

7.5

98.0

96.1

86.3

68.6

82.4

45.1

47.1

35.3

7.8

70.6

96.1

56.9

54.9

3.9

5.9

19.6

33.3

56.9

45.1

49.0

23.5

31.4

35.3

15.7

21.6

64.7

74.5

52.9

66.7

58.8

52.9

35.3

39.2

56.9

29.4

45.1

ポスドク

98.6

1.4

52.1

46.5

80.6

40.3

44.4

33.3

8.3

95.8

97.2

93.0

60.6

67.6

26.8

21.1

28.2

7.0

80.3

95.8

46.5

52.1

7.0

1.4

16.9

29.6

50.7

36.6

25.4

12.7

21.1

36.6

9.9

14.1

64.8

67.6

52.1

45.1

39.4

31.0

21.1

18.3

56.3

22.5

31.0

大学院生

93.6

6.4

58.9

39.7

74.4

29.5

42.3

23.1

14.1

72.6

84.9

56.2

41.1

37.0

17.8

5.5

11.0

2.7

63.0

90.4

31.5

58.9

2.7

2.7

13.7

37.0

49.3

30.1

41.1

6.8

15.1

41.1

19.2

19.2

53.4

61.6

53.4

47.9

43.8

41.1

13.7

19.2

43.8

19.2

27.4

学部生

61.9

38.1

69.2

30.8

52.4

19.0

19.0

23.8

9.5

53.8

23.1

23.1

23.1

7.7

30.8

15.4

0.0

0 .0

61.5

100.

030

.853

.80.

00.

015

.438

.553

.846

.246

.215

.47.

746

.27.

738

.569

.246

.230

.853

.846

.246

.238

.57.

753

.823

.146

.2大学共同機関

95.5

4.5

48.4

48.4

83.6

31.3

34.3

22.4

1.5

95.3

95.3

87.5

78.1

75.0

42.2

34.4

37.5

10.9

71.9

98.4

43.8

65.6

3.1

4.7

15.6

29.7

53.1

53.1

35.9

17.2

20.3

35.9

14.1

21.9

70.3

70.3

40.6

54.7

50.0

37.5

18.8

17.2

50.0

14.1

29.7

民間企業

100.

00.

083

.316

.794

.427

.816

.75.

60.

088

.994

.472

.277

.844

.411

.111

.111

.15.

666

.710

0.0

55.6

61.1

11.1

0.0

16.7

22.2

66.7

50. 0

38.9

11.1

16.7

27.8

16.7

5.6

77.8

77.8

33.3

66.7

33.3

27.8

11.1

27.8

27.8

22.2

27.8

年 齢

20歳代以下

89.9

10.1

65.3

32.7

83.7

31.6

37.8

27.6

11.2

77.6

80.6

61.2

41.8

41.8

20.4

8.2

10.2

4.1

66.3

93.9

37.8

57.1

3.1

2.0

15.3

37.8

46.9

32.7

40.8

9.2

15.3

41.8

16.3

21.4

60.2

61.2

46.9

45.9

39.8

43.9

17.3

19.4

46.9

18.4

32.7

30歳代

96.5

3.5

50.3

49.1

79.6

42.5

46.1

26.3

9.6

91.0

91.0

80.8

62.3

66.5

32.3

35.9

28.1

7.8

71.3

94.6

43.1

56.9

6.0

3.6

16.8

32.3

58.7

43.7

34.1

19.2

23.4

37.1

14.4

19.8

62.9

67.7

49.7

56.3

49.7

37.7

25.7

25.7

50.3

25.1

34.1

40歳代

96.7

3.3

44.9

52.5

85.6

38.1

41.5

25.4

4.2

96.6

95.8

83.1

78.0

80.5

40.7

54.2

44.9

18.6

72.9

96.6

46.6

58.5

6.8

5.9

17.8

31.4

43.2

50.0

44.1

17.8

24.6

29.7

15.3

13.6

51.7

72.9

39.0

51.7

43.2

43.2

22.0

22.9

51.7

22.0

27.1

50歳代以上

94.7

5.3

36.1

63.9

83.3

33.3

36.1

16.7

8.3

94.4

83.3

80.6

63.9

75.0

44.4

75.0

58.3

5.6

61.1

100.

061

.172

.28.

311

.111

.155

.641

.758

.358

.327

.838

.922

.213

.95.

652

.875

.061

.152

.855

.655

.636

.138

.950

.025

.022

.2性 別男

95.1

4 .9

49.2

48.9

81.7

36.3

41.2

28.3

6.8

91.6

89.7

81.7

65.0

68.8

35.7

42.1

31.5

10.6

69.5

95.5

46.3

57.9

5.8

4.8

16.4

34.7

49.2

44.1

43.1

18.0

24.4

32.2

13.8

16.7

56.3

71.4

45.7

52.7

45.7

42.8

24.1

24.1

48.6

21.9

29.3

女93

.96.

156

.543

.585

.242

.644

.417

.613

.084

.388

.063

.053

.755

.625

.025

.930

.67.

470

.495

.438

.961

.15.

63.

715

.737

.052

.844

.433

.314

.819

.442

.618

.518

.563

.959

.350

.950

.947

.240

.722

.225

.953

.725

.035

.2平均

94.8

5.2

51.1

47.5

82.6

37.9

42.0

25.5

8.4

89.7

89.3

76.8

62.1

65.4

32.9

37.9

31.3

9.8

69.7

95.5

44.4

58.7

5.7

4.5

16.2

35.1

50.1

44.2

40.6

17.2

23.2

34.8

15.0

17.2

58.2

68.3

47.0

52.3

46.1

42.2

23.6

24.6

49.9

22.7

30.8

②科学者によるサイエンスイラストレーション依頼の実態

質問項目

8)作成の満足度

9)作成技術の向上と

 研究との関係

10)作成技術の上達方

 法に関するニーズ

1)依頼に関する意識

2)依頼したくない理由

3)依頼時の妥当な価格

4)依頼時の妥当な制作期間

選択肢

わ か り や す く

表 現 す る 方 法

セ ン ス 良 く 美

し く 描 く 方 法

と て も 満 足

ま あ ま あ 満 足

あ ま り 満 足

し て い な い

ま っ た く 満 足

し て い な い

満 足 傾 向 層

不 満 足 傾 向 層

と て も 有 益

ま あ ま あ 有 益

あ ま り 有 益

で は な い

ま っ た く 有 益

で は な い

作 成 ガ イ ド 本

講 習 会 や

フ ォ ー ラ ム

イ ン タ ー ネ ッ

ト 講 座

個 人 指 導

ぜ ひ 依 頼

し た い

で き れ ば 依 頼

し た い

で き れ ば 依 頼

し た く な い

ま っ た く 依 頼

し た く な い

依 頼 し た い

傾 向 層

依 頼 し た く な

い 傾 向 層

依 頼 す る 方 法

が わ か ら な い

自 分 で 描 い た

ほ う が 良 い

手 続 き が 面 倒

そ う だ か ら

プ ロ に 知 り 合

い が い な い

信 頼 で き な い

時 間 を か け

た く な い

お 金 を か け

た く な い

値 段 が 高 そ う

研 究 費 で

支 払 え な い

1,000 円 未 満

1,000 円 〜

3,000 円 未 満

3,000 円 〜

5,000 円 未 満

5,000 円 〜

1 万 円 未 満

1 万 円 〜

3 万 円 未 満

3 万 円 〜

5 万 円 未 満

5 万 円 以 上

1 日 未 満

1 日 〜

3 日 未 満

3 日 〜

7 日 未 満

7 日 〜

14 日 未 満

14 日 〜 20 日

20 日 以 上

研 究 分 野

社会科学

66.7

83.3

0.0

50.0

50.0

0.0

50.0

50.0

50.0

50.0

0.0

0.0

62.5

50.0

37.5

0.0

0.0

37.5

37.5

12.5

37.5

50.0

0.0

50.0

25.0

0.0

0.0

25.0

50.0

75.0

25.0

0.0

0.0

25.0

50.0

12.5

0.0

0.0

12.5

12.5

37.5

25.0

0.0

12.5

数物系科学

73.7

73.7

0.0

26.3

68.4

5.3

26.3

73.7

63.2

36.8

0.0

0.0

78.9

42.1

63.2

26.3

21.1

31.6

36.8

10.5

52.6

47.4

11.1

66.7

11.1

11.1

0.0

22.2

77.8

11.1

0.0

0.0

15.8

21.1

26.3

5.3

5.3

0.0

5.3

36.8

47.4

5.3

0.0

0.0

化学

66.7

66.7

0.0

33.3

33.3

33.3

33.3

66.7

61.9

38.1

0.0

0.0

81.0

52.4

42.9

47.6

0.0

57.1

42.9

0.0

57.1

42.9

11.1

44.4

22.2

22.2

22.2

22.2

44.4

55.6

33.3

4.8

23.8

14.3

33.3

9.5

9.5

0.0

4.8

23.8

38.1

19.0

9.5

0.0

工学

85.0

70.0

5.0

20.0

50.0

20.0

25.0

70.0

59.1

36.4

4.5

0.0

68.2

36.4

59.1

22.7

4.5

27.3

40.9

22.7

31.8

63.6

21.4

35.7

64.3

7.1

28.6

28.6

64.3

35.7

21.4

13.6

13.6

9.1

27.3

18.2

0.0

0.0

9.1

36.4

27.3

27.3

0.0

0.0

生物学

73.2

75.3

0.5

35.8

53.7

9.5

3 6.3

63.2

68.0

30.5

0.5

0.0

71.1

46.2

43.1

41.6

7.6

31.5

47.7

8.1

39.1

55.8

22.7

39.1

30.0

22.7

11.8

23.6

54.5

52.7

20.0

3.6

19.8

21.3

19.8

21.3

4.1

0.0

7.1

25.9

38.6

19.8

4.1

0.0

農学

69.0

72.6

0.0

34.5

52.4

13.1

34.5

65.5

70.9

25.6

0.0

0.0

76.7

48.8

51.2

25.6

3.5

36.0

46.5

5.8

39.5

52.3

20.0

40.0

40.0

31.1

6.7

15.6

55.6

68.9

37.8

8.1

12.8

23.3

27.9

14.0

3.5

0.0

5.8

22.1

43.0

24.4

1.2

0.0

医歯薬学

68.3

78.3

0.0

36.7

51.7

11.7

36.7

63.3

84.1

14.3

1.6

0.0

77.8

52.4

49.2

49.2

6.3

46.0

36.5

3.2

52.4

39.7

16.0

44.0

28.0

24.0

8.0

12.0

48.0

56.0

24.0

4.8

22.2

23.8

20.6

15.9

4.8

0.0

6.3

22.2

41.3

23.8

4.8

1.6

総合領域

60.0

60.0

0.0

60.0

30.0

10.0

60.0

40.0

50.0

50.0

0.0

0.0

30.0

10.0

40.0

30.0

0.0

40.0

30.0

30.0

40.0

60.0

16.7

33.3

16.7

0.0

0.0

16.7

66.7

16.7

0.0

0.0

40.0

40.0

10.0

10.0

0.0

0.0

20.0

30.0

40.0

10.0

0.0

0.0

複合新領域

55.6

33.3

0.0

44.4

55.6

0.0

44.4

55.6

88.9

0.0

0.0

0.0

44.4

22.2

44.4

33.3

0.0

22.2

44.4

11.1

22.2

55.6

0.0

60.0

40.0

0.0

0.0

40.0

40.0

40.0

20.0

11.1

0.0

22.2

33.3

0.0

0.0

0.0

33.3

11.1

33.3

2 2.2

0.0

0.0

研 究 上 の 立 場

教授

73.8

81.0

0.0

33.3

52.4

11.9

33.3

64.3

69.0

31.0

0.0

0.0

76.2

33.3

45.2

42.9

7.1

42.9

35.7

4.8

50.0

40.5

23.5

47.1

35.3

41.2

17.6

29.4

47.1

70.6

29.4

4.8

23.8

21.4

14.3

11.9

0.0

0.0

7.1

14.3

57.1

14.3

2.4

2.4

准教授

59.6

68.1

0.0

36.2

51.1

12.8

36.2

63.8

68.8

29.2

0.0

0.0

70.8

35.4

45.8

43.8

6.3

43.8

39.6

6.3

50.0

45.8

9.1

40.9

13.6

13.6

0.0

27.3

54.5

54.5

22.7

2.1

10.4

20.8

33.3

12.5

6.3

0.0

6.3

35.4

31.3

20.8

2.1

0.0

講師

52.4

71.4

0.0

47.6

42.9

9.5

47.6

52.4

77.3

18.2

0.0

0.0

86.4

36.4

27.3

54.5

18.2

40.9

36.4

4.5

59.1

40.9

33.3

66.7

33.3

22.2

0.0

11.1

22.2

33.3

44.4

0.0

18.2

18.2

13.6

22.7

13.6

0.0

0.0

36.4

36.4

18.2

0.0

4.5

助教

78.4

88.2

0.0

33.3

58.8

5.9

33.3

64.7

73.6

26.4

0.0

0.0

75.5

52.8

49.1

41.5

9.4

43.4

34.0

3.8

52.8

37.7

20.0

25.0

35.0

15.0

10.0

20.0

50.0

60.0

15.0

1.9

11.3

18.9

35.8

24.5

1.9

0.0

7.7

13.5

44.2

28.8

5.8

0.0

ポスドク

78.9

76.1

1.4

46.5

42.3

9.9

47.9

52.1

72.2

25.0

1.4

0.0

75.0

55.6

45.8

34.7

6.9

23.6

56.9

5.6

30.6

62.5

28.9

26.7

37.8

24.4

22.2

22.2

57.8

66.7

2 2.2

5.6

18.1

19.4

25.0

20.8

5.6

0.0

4.2

31.9

40.3

18.1

4.2

0.0

大学院生

68.5

63.0

1.4

26.0

58.9

13.7

27.4

72.6

62.8

33.3

1.3

0.0

70.5

46.2

42.3

33.3

2.6

28.2

47.4

17.9

30.8

65.4

15.7

52.9

27.5

17.6

5.9

19.6

60.8

39.2

27.5

7.7

17.9

29.5

26.9

9.0

3.8

0.0

5.1

30.4

36.7

21.5

6.3

0.0

学部生

76.9

53.8

0.0

38.5

46.2

15.4

38.5

61.5

71.4

28.6

0.0

0.0

76.2

52.4

57.1

52.4

0.0

47.6

47.6

4.8

47.6

52.4

27.3

72.7

45.5

27.3

18.2

9.1

81.8

27.3

18.2

4.8

38.1

19.0

19.0

9.5

0.0

0.0

4.8

14.3

42.9

38.1

0.0

0.0

大学共同機関

73.4

78.1

0.0

35.9

48.4

15.6

35.9

64.1

65.7

32.8

0.0

0.0

71.6

47.8

59.7

20.9

0.0

35.8

43.3

9.0

35.8

52.2

20.0

45.7

42.9

22.9

2.9

20.0

51.4

54.3

20.0

7.5

16.4

17.9

16.4

23.9

0.0

0.0

17.9

19.4

37.3

14.9

0.0

0.0

民間企業

77.8

66.7

0.0

27.8

66.7

5.6

27.8

72.2

83.3

16.7

0.0

0.0

44.4

55.6

55.6

33.3

0.0

44.4

50.0

5.6

44.4

55.6

0.0

20.0

40.0

30.0

20.0

40.0

90.0

70.0

10.0

5.6

33.3

33.3

11.1

5.6

5.6

0.0

0.0

27.8

38.9

22.2

5.6

0.0

年 齢

20歳代以下

71.4

63.3

2.0

30.6

58.2

9.2

32.7

67.3

66.1

32.1

0.9

0.0

67.0

46.8

49.5

40.4

4.6

23.9

54.1

1 5.6

28.4

69.7

21.1

50.0

38.2

17.1

14.5

21.1

65.8

40.8

22.4

6.4

25.7

27.5

22.0

9.2

3.7

0.0

5.5

30.3

39.4

20.2

4.6

0.0

30歳代

76.0

77.8

0.0

40.1

47.3

12.0

40.1

59.3

72.3

24.9

1.2

0.0

76.9

52.6

48.6

35.3

5.8

39.9

41.6

5.8

45.7

47.4

19.5

31.7

34.1

19.5

9.8

19.5

56.1

58.5

23.2

4.0

12.7

18.5

28.3

24.3

5.2

0.0

6.9

24.3

36.4

27.2

4.0

0.6

40歳代

64.4

71.2

0.0

33.9

55.1

11.0

33.9

66.1

70.5

27.9

0.0

0.0

68.0

41.8

44.3

36.1

9.8

40.2

35.2

5.7

50.0

41.0

16.0

46.0

24.0

28.0

4.0

18.0

44.0

56.0

22.0

4.9

18.9

21.3

18.0

15. 6

1.6

0.0

10.7

23.8

37.7

13.9

0.8

0.8

50歳代以上

72.2

86.1

0.0

36.1

44.4

16.7

36.1

61.1

68.4

31.6

0.0

0.0

81.6

31.6

36.8

42.1

2.6

36.8

50.0

2.6

39.5

52.6

20.0

40.0

25.0

30.0

15.0

35.0

40.0

65.0

30.0

5.3

18.4

21.1

18.4

5.3

5.3

0.0

5.3

15.8

60.5

13.2

2.6

0.0

性 別男

70.7

75.2

0.6

35.0

53.1

10.9

35.7

64.0

70.8

29.2

0.6

0.0

72.8

42.2

44.0

37.6

7.6

36.7

43.4

8.3

44.3

51.7

21.9

45.6

33.7

20.7

11.8

21.3

55.0

47.3

18.9

4.6

16.8

20.8

24.5

18.7

4.9

0.0

7.3

24.5

39.4

21.1

3.4

0.3

女73

.167

.60.

038

.048

.113

.038

.061

.17 2

.427

.60.

90.

069

.656

.554

.834

.82.

633

.044

.37.

035

.751

.311

.930

.528

.823

.76.

820

.355

.967

.835

.66.

121

.724

.319

.110

.40.

90.

07.

826

.140

.019

.12.

60.

9平均

71.4

73.3

0.5

35.8

51.8

11.5

36.3

63.2

69.9

28.1

0.7

0.0

71.9

45.9

46.8

36.9

6.3

35.7

43.7

7.9

42.1

51.6

19.3

41.7

32.5

21.5

10.5

21.1

55.3

52.6

23.2

5.0

18.1

21.7

23.1

16.5

3.8

0.0

7.5

24.9

39.6

20.6

3.2

0.5

Page 5: 科学者によるサイエンスイラストレーション作成の …jssv/Paper20120322.pdf科学コミュニケーター養成講座が国 内の複数の大学や科学博物館で開講され4、科学映像ク

芸術研究報32, 2011 63

年齢別の割合:「20歳代以下」(65.3%)は「Windows」の割合が最も高かった。「50歳代以上」(63.9%)は「Mac OSX」の割合が高かった。全体に年齢が上がるにつれて「Mac OSX」の割合が多く、「Windows」の割合が少なくなることがわかった。男女別の割合:女性は「Windows」が「Mac OSX」より13.0%も高かった。

4.1.3 作成方法

 イラストの作成に用いる主なソフトウエア等について回答を求めた(図5)。回答者の82.6%が「PowerPoint(Microsoft Office)」を使用していた。「PowerPoint」は一般的に、プレゼンテーション資料作成用として知られている。プロのイラストレーターがイラスト作成のために「PowerPoint」を使うことはあまりないが、科学者にとってはやはり主要なソフトウエアであることがわかった。「Illustrator(Adobe)」は42.0%、「Photoshop(Adobe)」は37.9%使用されていた。「Illustrator」はドロー系のソフトウエア、「Photoshop」はビットマップ画像編集のフトウエアだが、高度で多様な機能を有し高品質な仕上げが可能で、一般的にプロのイラストレーターやデザイナーが使うツールとして知られているが、科学者にとってこれらが「PowerPoint」に継ぐ主要なソフトウエアであることがわかった。「上記以外のソフトウエアを使っている」(25.5%)の内訳は、「Canvas」「Keynote」の他、「Inkscape」「Excel」「ChemDraw」「Apple Works」「Word」「OminiGraff」「Shade」等であった。「手描きした」(8.4%)は少なかった。研究分野別の割合:「数物系科学」は「PowerPoint」の使用者が47.4%と他に比べて少なく、「社会科学」は83.3%もが「上記以外のソフトウエアを使っている」と回答した。研究上の立場別の割合:「助教」は「Photoshop」(54.7%)と「Illustrator」(52.8%)が、「講師」も「Photoshop」

(54.5%)の使用率が他より高かった。4.1.4 作成目的

 イラストの主な作成目的について回答を求めた(図6)。その結果、89.7%が「学会口頭発表」、89.3%が「学会ポスター発表」と回答した。それに次いで多い目的は「研究論文」(76.8%)、「研究に関する申請書」(65.4%)、「研究報告書」(62.1%)といった研究書類であった。これらに続き「大学の講義や大学生向けの教科書」(37.9%)、「研究会・シンポジウム等の広報用ポスター・チラシ・

WEB等」(32.9%)、「一般向けの科学に関する講義・書籍」(31.3%)、「子供向けの科学に関する講義・書籍」(9.8%)という目的だった。研究分野別の割合:「複合新領域」は「研究会・シンポジウム等の広報用ポスター・チラシ・WEB等」(66.7%)と「大学の講義や大学生向けの教科書」(77.8%)が他より特に多かった。「化学」はいずれの作成目的も少ない割合だった。研究上の立場別の割合:当然のことであるが「教授」「准教授」「講師」「助教」は「大学講義や大学生向けの教科書」を選択した割合が他の立場より多かった。また「一般向けの科学に関する講義・書籍」は「教授」(52.4%)と「准教授」(44.7%)が特に多かった。「学部生」と「大学院生」は、いずれの作成目的の割合が他の立場より少なかった。やはり研究発表の機会が少ないことが主因と考えられる。年齢別の割合:「50歳代以上」の「一般向けの科学に関する講義・書籍」(58.3%)は他より多かった。「20歳代以下」はいずれの作成目的も少ない割合だった。男女別の割合:いずれの作成目的も「男性」の割合が多かったが、特に差があったのは「研究論文」で、「男性」が「女性」より18.7%も多かった。4.1.5 表現上、重視していること

 イラストを作成する時に、表現上で重視していることについて回答を求めた(図7)。結果は、ほぼ全員(95.5%)が「わかりやすさ」を重視していた。次に「学術的な正

図4. 主な使用パソコンのOS

図5. 作成方法 図6. 作成目的

その他 1.4%

Windows 51.1%

Mac OSX 47.5%

PowerPoint

Illustrator

Photoshop

上記ソフト以外

手描き

その他

82.6%

42.0

37.9

25.5

8.4

1.0

学会口頭発表

学会ポスター発表

研究論文

研究に関する申請書

研究報告書

大学の講義や教科書研究会・シンポジウム等の広報用ポスター・チラシ・WEB等

一般向けの講義・書籍

子供向けの講義・書籍

その他

89.7%

89.3

76.8

65.4

62.1

37.9

32.9

31.3

9.8

3.1

Page 6: 科学者によるサイエンスイラストレーション作成の …jssv/Paper20120322.pdf科学コミュニケーター養成講座が国 内の複数の大学や科学博物館で開講され4、科学映像ク

科学者によるサイエンスイラストレーション作成の実態64

確さ」(69.7%)、「センスの良さ・美しさ」(58.7%)、「インパクト・印象強さ」(44.4%)と続いた。「独自性」は5.7%、「新規性」は4.5%に留まった。研究分野別の割合:「社会科学」は多くの項目で選択した割合が多く、「化学」はいずれの項目も少なかった。「総合領域」は「学術的な正確さ」(30.0%)が特に少なかった。研究上の立場別の割合:「教授」は「インパクト・印象強さ」(61.9%)が他より特に多かった。「講師」はすべての項目が多かったが、特に「楽しさ・ユーモア」(33.3%)が他より多かった。年齢別の割合:年代が上がるにつれて、各選択肢の割合が高くなる傾向が見られた。4.1.6 表現上、困難だと思うこと

 イラストを作成する際、表現上で困難だと思うことについて回答を求めた(図8)。 結果は、「センス良く美しく描く方法」(68.3%)が最も高く、「わかりやすく表現する方法」(58.2%)が続いた。次に「配色方法」(50.1%)「かたちや線の描き方」(44.2%)「立体的な表現方法」(40.6%)、画面の構成方法」(34.8%)など、作図上の技術項目が続き、「ソフトウエアの使い方」も3分の1(35.1%)が困難を感じていることがわかった19。研究分野別の割合:「工学」の「画面の構成方法」(55.0%)、「総合領域」は「文字の配置方法」(40.0%)が他より特に多かった。「社会科学」はいずれもの項目も他分野より少なかったが、特に「センス良く美しく描く方法」(33.3%)が少なかった。研究上の立場別の割合:「教授」は「ソフトウエアの使い方」(50.0%)、「立体的な表現方法」(61.9%)、「写実

的な表現方法」(42.9%)が他より特に多かった。また「学部生」の「文字の配置方法」(38.5%)は他より多かった。年齢別の割合:「50歳代以上」は「ソフトウエアの使い方」(55.6%)、「立体的な表現方法」(58.3%)、「写実的な表現方法」(38.9%)を選択した割合が多かった。4.1.7 参考にしてみたい作成ガイドの内容

 どのような内容のイラスト作成ガイドであれば参考にしたいか回答を求めた(図9)。 やはり「センス良く美しく描く方法」(73.3%)と「わかりやすく表現する方法」(71.4%)が上位であり、その後に「配色方法」(52.3%)「画面の構成方法」(49.9%)「かたちや線の描き方」(46.1%)「立体的な表現方法」(42.2%)などの表現上の技術項目や、「ソフトウエアの使い方」(47.0%)が続いた。いずれも「表現上、困難だと思うこと」と同じ設問であり、類似の結果となったが、全体的に「表現上困難だと思うこと」より選択数が高くなった。つまり、表現上それほど困難に思っていなくても、作成ガイドを参考にしたいと思った回答者が多かったと判断される20。研究分野別の割合:「工学」は「わかりやすく表現する方法」(85.0%)と「配色方法」(75.0%)が特に多かった。研究上の立場別の割合:「教授」の「写実的な表現方法」(45.0%)が特に多かった。また「表現上、困難だと思うこと」の結果と同様、「学部生」の「文字の配置方法」(46.2%)が多かった。年齢別の割合:「50歳代以上」は、多くの項目で選択した割合が他の年代より多かった。

4.1.8 作成の満足度

 自分で作成したイラストに満足しているか回答を求めた(図10)。「とても満足している」を選択した回答者は0.5%のみで、「とても満足している」と「まあまあ満足している」を合算した「満足傾向層」が36.3%だった。一方、「まったく満足していない」と「あまり満足していない」を合算した「不満足傾向層」は63.3%だった。

図7. 表現上、重視していること

わかりやすさ

学術的な正確さ

センスの良さ・美しさ

インパクト・印象強さ

楽しさ・ユーモア

独自性

新規性

その他

95.5%

69.7

58.7

44.4

16.2

5.7

4.5

2.4

センス良く美しく描く方法

わかりやすく表現する方法

配色方法

かたちや線の描き方

立体的な表現方法

ソフトウエアの使い方

画面の構成方法

写実的な表現方法

文字の配置方法

階調の表現方法

書体の選択方法

その他

68.3%

58.2

50.1

44.2

40.6

35.1

34.8

23.2

17.2

17.2

15.0

5.7

センス良く美しく描く方法

わかりやすく表現する方法

配色方法

かたちや線の描き方

立体的な表現方法

ソフトウエアの使い方

画面の構成方法

写実的な表現方法

文字の配置方法

階調の表現方法

書体の選択方法

その他

22.7

6.7

73.3%

71.4

52.3

49.9

47.0

46.1

42.2

30.8

24.6

23.6

図8. 表現上、困難だと思うこと

図9. 参考にしてみたいガイドの内容

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芸術研究報32, 2011 65

つまり27.0%の差で「不満足傾向層」の割合が多いことがわかった。研究分野別の割合:「まあまあ満足している」が特に多かったのは「総合領域」(60.0%)だった。研究上の立場別の割合:「不満足傾向層」が「大学院生」(72.6%)と「民間企業の研究者」(72.2%)は比較的多かった。

4.1.9 作成技術の向上と研究との関係

 イラストの作成技術向上が、自身の研究上、有益だと思うかどうかについて、回答者全員から回答を求めた(図11)。 結果は、69.9%が「とても有益」、28.1%が「まあまあ有益」と回答しており、これらを合算すると98.0%となった。これにより程度の差はあるだろうが、ほとんどの研究者が、作成技術の向上は研究に有益だと思っていることがわかった。研究分野別の割合:「とても有益」が他より多かったのは、「医歯薬学」(84.1%)と「複合新領域」(88.9%)だった。一方「とても有益」が「社会科学」(50.0%)と「総合領域」(50.0%)は他より少なかった。研究上の立場別の割合:「とても有益」の「民間企業の研究員」(83.3%)は他より多かった。

4.1.10 作成技術の上達方法に関するニーズ

 作成技術の上達のために、どのような方法がよいと思うか、回答者全員から回答を求めた(図12)。 「ガイド本を入手して参考にする」(71.9%)が最も多かった。次に「インターネット講座を見て参考にする」(46.8%)、「講習会やフォーラムに参加する」(45.9%)「専門スタッフから個人指導を受ける」(36.9%)と続いた 21。

研究分野別の割合:「インターネット講座を見て参考にする」の「数物系科学」(63.2%)が他より多かった。また「専門スタッフから個人指導を受ける」の「社会科学」は0.0%だった。研究上の立場別の割合:「講師」は「ガイド本を入手して参考にする」(86.6%)が特に他より多かったが、「インターネット講座を見て参考にする」(27.3%)が他より少なかった。年齢別の割合:「50歳代以上」は「ガイド本を入手して参考にする」(81.6%)が他より多く、「講習会やフォーラムに参加する」(31.6%)が他より少なかった。男女別の割合:「女性」は「講習会やフォーラムに参加する」(56.5%)が「男性」より14.3%多かった。

4.1.11 作成に関する自由意見

 イラスト作成に関して、意見や疑問などを800字以内で自由に記入するよう回答者全員に求めた。 その結果、42.5%の回答者が自由記述欄に記入した。多かった意見は「『科学的な正確さ』と『わかりやすさ』をどう両立させるかが難しい」、「時間をかけられない、時間をかけたくない、早く描きたい」「無料でダウンロードできるイラストのテンプレートがあると良い」「よい作成例がある参考書があるとよい」「センス良く描きたい」などがあった。また「著作権問題が気になる」「色覚バリアフリーへの配慮が必要」「イラストのプロに依頼したい」「学ぶ機会を増やしてほしい」等の記述もあった。ソフトウエアに関する記述も多く、「Illustratorが高価」など経費負担に関する問題の他、「Illustratorはハードルが高い」「Photoshopは使いこなせない」「PowerPointで複雑な絵を描くには限界がある」だった。

4.2 科学者によるサイエンスイラストレーション依頼

の実態

4.2.1 依頼に関する意識

 プロに依頼したいと思うか全員に回答を求めた(図13)。35.7%が「できれば依頼したい」、6.3%が「ぜひ依頼したい」と回答した。合算した「依頼したい傾向層」は42.0%であった。一方、43.7%が「できれば依頼したくない」、7.9%が「まったく依頼したくない」と回答し、合算した「依頼

とても満足 0.5%

その他 0.5%

まったく満足していない11.5%

まあまあ満足 35.8%

あまり満足していない 51.8%

満足傾向層 36.3% 不満足傾向層 63.3%

図10. 作成の満足度

とても有益69.9%

あまり有益ではない 0.7%

まったく有益ではない 0.0%

その他 1.4%

まあまあ有益28.1%

有益傾向層 98.0%

図11. 作成技術の向上と研究との関係

71.9%

46.8

45.9

36.9

10.2

作成ガイド本を入手して参考にするインターネット講座を見て参考にする  講習会やフォーラムに参加する 専門スタッフから個人指導を受ける  

その他

図12. 作成技術の上達方法

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科学者によるサイエンスイラストレーション作成の実態66

したくない傾向層」は51.6%となった。比較すると、9.6%の差で「依頼したくない傾向層」が多いという結果になった22。研究分野別の割合:「まったく依頼したくない」が特に他より多かったのは総合領域」(30.0%)と「工学」(22.7%)だった。研究上の立場別の割合:大学教員はすべて「依頼したい傾向層」が「依頼したくない傾向層」より多かった。「まったく依頼したくない」が特に多かったのはと「大学院生」(17.9%)だった。年齢別の割合:「まったく依頼したくない」は「20歳代以下」(15.6%)が特に多かった。4.2.2 依頼したくない理由

 上記の問いに対して、「できれば依頼したくない」と「まったく依頼したくない」と回答した者228人(51.8%)に、依頼したくない理由について回答を求めた(図14)。 結果として最も多かったのは「お金をかけたくないから」(55.3%)で、次に多かったのは「値段が高そうだから」(52.6%)で、金銭的な理由が大きいことがわかる。他は「自分で描いたほうが良いから」(41.7%)、「手続きが面倒そうだから」(32.5%)、「研究費等で報酬を支払えないから」(23.2%)、「時間をかけたくないから」(21.1%)、「プロに知り合いがいないから」(21.5%)、「依頼する方法がわからない」(19.3%)、「信頼できない」(10.5%)であった。 「その他」(23.2%)の内訳は、「イメージや意図を伝えることが難しそうだから」「自分で描けるようになりたい」などが多かった。「科学上の間違いが入る」、「著作権の問題」という回答もあった。研究分野別の割合:「手続きが面倒そうだから」の「工学」(64.3%)が特に他より多かった。また「値段が高そうだから」の「数物系科学」(11.1%)と「総合領域」(16.7%)が特に他より少なかった。研究上の立場別の割合:「学部生」は「自分で描いたほうが良いから」(72.7%)と「お金をかけたくないから」(81.8%)と特に他より多かった。また「お金をかけたくないから」の「民間企業の研究員」(90.0%)はさらに多く、「講師」(22.2%)は特に少なかった。年齢別の割合:「20歳代以下」は「お金をかけたくないから」(65.8%)が他より多かったが、「値段が高そうだから」(40.8%)が他より少なかった。「50歳代以上」は「時間をかけたくない」(35.0%)と「値段が高そうだから」(65.0%)が他より多かった。また「30歳代」の「自分で描いたほうが良いから」(31.7%)は他より特に少なかった。男女別の割合:「女性」は「値段が高そうだから」(67.8%)が「男性」より20.5%も多かった。

4.2.3 依頼時の妥当な価格

 プロに依頼した場合、イラストひとつに対し、どれくらいの制作費用が妥当だと思うかについて回答を求めた(図15)。 上位は、「5,000円~1万円未満」(23.1%)、「3,000円~5,000円未満」(21.7%)、「1,000円~3,000円未満」(18.1%)、「1万円~3万円未満」(16.5%)となった。次に「1,000未満」(5.0%)、「3万円~5万円未満」(3.8%)、「5万円以上」(0.0%)と続いた。これにより44.8%が5,000円未満が妥当と思っていることがわかった。「その他」が11.8%で、主な記述は「価格は依頼するイラストの内容による」であった。研究分野別の割合:「1,000円~3,000円未満」の「総合領域」(40.0%)、「5,000円~1万円未満」の「社会科学」(50.0%)が他より特に多かった。研究上の立場別の割合:「1,000円~3,000円未満」の「学部生」(38.1%)と「民間企業の研究員」(33.3%)が他より特に多かった。年齢別の割合:「20歳代以下」は「1,000~3,000円未満」(25.7%)や「3000~5000円未満」(27.5%)の5,000円未満の低価格帯を他の年代より多く選択していた。「30歳代」の「1万円~3万円未満」(24.3%)が他より多かった。

4.2.4 依頼時の妥当な制作期間

 プロに依頼した場合、イラストひとつに対し、どのくらいの制作期間が妥当だと思うかについて回答を求めた(図16)。 結果は「3日~7日未満」(39.6%)が最も多く、「1日~3日未満」(24.9%)、「7日~14日未満」(20.6%)、「1日未満」(7.5%)、と続いた。7日未満と回答した者の割合を合算すると72.0%だった。研究分野別の割合:「工学」のみ「1日~3日未満」(36.4%)のほうが「3日~7日未満」(27.3%)より多かった。研究上の立場別の割合:「准教授」のみ「1日~3日未満」

図13. 依頼に関する意識

図14. 依頼したくない理由

ぜひ依頼したい 6.3%

依頼したい 傾向層 42.0% 依頼したくない傾向層 51.6%

その他6.2%

まったく依頼したくない 7.9%

できれば依頼したくない 43.7%

できれば依頼したい 35.7%

55.3%

52.6

41.7

32.5

23.2

23.2

21.1

21.5

19.3

10.5

お金をかけたくないから

値段が高そうだから自分で描いたほうが良いから手続きが面倒そうだから研究費等で報酬を支払えないから

その他

時間をかけたくないから

プロのイラストレーターに知り合いがいないから

依頼する方法がわからないから信頼できないから

3万円~5万円未満3.8%

5万円以上0%

その他11.8%

1,000円未満 5.0%

1,000円~3,000円未満18.1%

3,000円~5,000円未満21.7%

5,000円~1 万円未満23.1%

1万円~3万円未満16.5%

5千円未満 44.8%

図15. 妥当な価格

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芸術研究報32, 2011 67

(35.4%)のほうが「3日~7日未満」(31.3%)より多かった。年齢別の割合:「50歳代以上」の「3日~7日未満」(60.5%)を選択した割合が特に高かった。4.2.5 依頼に関する自由意見

 プロへの依頼に関して、意見や疑問などを800字以内で自由に記入するよう回答者全員に求めた。その結果、48.2%の回答者が自由記述欄に記入した。 多かった意見は「予算や時間の制限があるので自分で描きたい」「依頼するプロに意図やイメージが伝わるか心配」「英文校正などのように依頼できるとよい」「依頼するプロが科学的知識を持っているかどうかが問題」であった。「プロに依頼しやすいように、値段や納期や連絡先などの情報がまとまっていると、とてもありがたい」「プロが大学や研究機関に専属がいるとよい」「論文誌の表紙に選ばれた場合などは、プロに依頼したい」「このような職業が成り立てば非常におもしろいと考えます」という回答もあった。

5. 考察

 調査結果をもとに考察した。回答者が多かった生命科学分野の科学者を中心とした考察である。

5.1 作成方法

 予想通りPowerPointの利用率が高かった。Microsoft Officeにパッケージされているだけでなく、IllustratorやPhotoshopに比べ安価であるためだと考える23。IllustratorやPhotoshopも思っていたよりは科学者に普及していることがわかった。特に「30歳代」「助教」「講師」のこれらの利用率は他より高かった。これらの層はさらに高度な表現に挑戦できる可能性があると考える。また、PhotoshopやIllustratorは、ある程度使えるようになるまでに時間がかかるが、とても機能的なソフトウエアでもあるので、イラスト作成の効率を高めるためにも、より安価に入手できるようになることが期待される。

5.2 表現目的

「表現上、重視していること」:「わかりやすさ」「学術的な正確さ」「センス良く美しく描く方法」の順で上位にあった。科学者は他の項目よりこれらを重視していることがこの調査によって明らかになった。ただ続いて上位にある「インパクト・印象強さ」も44.4%が選択しているので軽視はできない。また、芸術領域では一般的に「独自性」や「新規性」が重視される傾向にあるが、今回の調査ではいずれも5%前後という結果で、サイエンスイラストレーションではこれらがあまり重視されないとい

うことがわかった。こうした違いは興味深く、芸術性の高いイラストレーションと分けて考える際に重要な判断基準になるだろう。「表現上、困難だと思うこと」「参考にしてみたいガイド

の内容」:「センス良く美しく描く方法」が第1位で、第2位が「わかりすく表現する方法」だった。科学者はこれらについて特に困難を感じ、ガイドを参考にしてみたいと思っていることが証明された。また、「表現上、重視していること」では「わかりやすさ」が第1位で「センス良く美しく描く方法」は第3位だった。つまり「わかりやすい」表現を最も重視しているが、「センスの良さ・美しさ」の表現により困難を感じていることになる。

5.3 表現方法

「配色方法」:「表現上、困難だと思うこと」と「参考にしてみたい作成ガイドの内容」とも、「配色方法」が表現方法のなかでは最上位であるので、予想とは異なり、改善のための具体的な方法として、科学者の問題意識が高いと考えられる。「画面の構成方法」:「参考にしていたい作成ガイドの内容」では「配色方法」についでこれが上位にある。つまり、やはり予想とは異なり、比較的、科学者の問題意識が高かったことがわかった。「文字の配置方法」「書体の選択方法」:いずれも順位は低く、予想どおり科学者の問題意識が低いと考えられる。特に「書体の選択方法」は「その他」を除くと、最下位である。ただし「学部生」や「20歳代以下」といった若い立場や年代の「文字の配置方法」が他より割合が高いので、問題意識の開拓に可能性を感じることができた。「かたちや線の描き方」「立体的な表現方法」:これらの図に関する表現方法は、文字に関する方法に比べ上位であり、比較的問題意識が高いことが明らかになった。「写実的な表現方法」「階調の表現方法」:これらの図に関する表現方法に科学者がどの程度問題意識を思っているのか、とても興味があったが、結果としてはいずれも文字に関する表現方法と同様に優先順位が低いことがわかった。 調査結果では「かたちや線の描き方」「立体的な表現方法」「写実的な表現方法」「階調の表現方法」を、「50歳代以上」や、比較的年代が他より高いと考えられる「教授」が選択している割合が他より高かった。これらの層における図の表現方法に対する問題意識が他より高いと言える。

5.4 満足度、研究にとっての有効性、作成技術の上達

方法

 9割以上の科学者はイラストの作成経験があるが、6割以上が自身のイラストにあまり満足していないというこ

14日~20日未満 3.2%

1 日~ 3 日未満 24.9%

3 日~ 7日未満 39.6%

7日~14日未満 20.6%

20日以上 0.5%

その他 3.8%7日未満 72.0%

1 日未満7.5%

図16. 妥当な制作期間

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科学者によるサイエンスイラストレーション作成の実態68

とが調査結果から明らかになった。そしてほとんどの科学者がイラスト作成技術の向上は研究に有効だと思っていることも明らかになった。これにより本研究結果をもとに、イラスト作成に関する指針を示すことは、多くの研究者にとって大いに意義があるということが確認できた。 作成技術の上達方法として、多くが「ガイドブック」を選択したのは、最もポピュラーで手軽な手段であるからだろう。一方、講習会やフォーラムへの参加や、専門スタッフから個人指導を受けたいと思っている科学者も4割前後いて、予想より熱心な科学者が多いというのが率直な印象である。大学や大学院といった高等教育のなかで、サイエンスイラストレーション作成に関する授業を充実させることで、こうしたニーズに応えることができるのではないだろうか。

5.5 プロへのサイエンスイラストレーション依頼

 イラストをプロに依頼したくないという回答者が約半数だったが、その理由は金銭的な問題が大きかった。また、自分自身で描きたいという理由も多かった。 イラスト1点の妥当な価格は、5,000円未満が44.8%、妥当な制作期間は7日未満が72.0%という結果となった。さらに「自分で描いたほうが良いから」(41.7%)「手続きが面倒そうだから」(32.5%)も無視できない結果だ。自由意見にも多くあった依頼するプロに意図が伝わるか心配」といった、いかに両者のコミュニケーションを図るかについても課題が残る。 依頼に関するこの調査によって様々な課題が浮き彫りになってきた。まずは「その他」の主な記述にもあったように「価格は依頼するイラストの内容による」ので、使用目的、媒体、サイズ、色数、表現レベル、著作権の所在、納期等、詳しい内容や条件を示した調査の必要があることがわかった。また、制作期間については実質的にかかる時間なのか、依頼してから完成するまでの期間なのかをはっきりさせる必要もある。筆者のこれまでの経験からすると、7日未満という制作期間は妥当だと思ったが、5,000円未満という価格は低すぎると思った。プロのサイエンスイラストレーターがこれらの価格や制作期間について、どのように考えているかも今後調査し比較する必要がある。 金銭的な問題や手続き上の問題が解決し、プロにスムーズに依頼する方法を整備できれば、科学者のイラスト作成に関する負担を減らすことができるだろう。

5.6 科学者がサイエンスイラストレーションに求める

条件と作成目的

 先行文献によれば「デザインに求められる条件」は「機能性(使いやすさ)」「審美性(美しさ)」「経済性(つくりやすさ)」の3点にまとめられ、中心から外側に向

かうほど、デザインクオリティが高いとされる(図17)。また「屋外広告物に求められるデザイン条件」であれば、「景観性」が加わる(図18)24。これまでの結果をもとに、これらをサイエンスイラストレーションに当てはめると、機能性はわかりやすさに、審美性はセンスの良さ・美しさといった魅力に関する要素に、経済性は費用に置き換えられ、さらに正確性(学術的な正確さ)を加えることができるだろう(図19)。この指標ではデザインと同様に中心から外側に向かうほど、サイエンスイラストレーションとしてのクオリティが高いと考えられる。 調査結果では目的の約9割が学会発表で、約6~7割が論文・申請書・報告書などの研究書類だった。これらは学術的な正確さが重視されるだろう。大学生や一般向けの講義や書籍も3割以上の目的となっていることがわかったが、これらにも学術的な正確さはもちろん重要だが、学会発表や研究書類より、さらにわかりやすさが求められると考えられる。また広報用のポスター・チラシ・Webなども目的の約3割になっているという結果だったが、これらは他に比べ魅力的に訴える審美性が要求されるだろう。このように今後は、科学者が目的に沿ったよりよいイラストを作成するための指針を、この指標を元に示していきたい。

6. まとめ

 様々な角度から科学者のイラスト作成に関する実態を考察することができた。この考察結果をもとにした指針を具現化するために、科学者の実態に即した役立つガイドブックを提案したいと考えている。 科学者の作成技術が向上し、よりよいイラストを作成することができるようになれば、科学の発展に寄与することになるだろう。また、おのずと自身で作成することの限界や、プロがつくるイラストの真の価値が認識できるようになり、プロとの円滑なコミュニケーションも可能になるのではないかと思っている。そしてプロへのニーズも高まり、将来的には北米に見られるような25、サイエンスイラストレーターを養成する高等教育機関設立への道が開けるのではないかと期待している。

図17.デザインの条件 図18.屋外広告のデザイン条件

図19.サイエンスイラストレーションの条件

機能性

経済性審美性

1 12345 2 3 4 5

機能性

景観性

経済性審美性 1 12345 2 3 4 5

機能性(わかりやすさ)

正確性(学術的な正確さ)

経済性(費用)

審美性(センスの良さ・美しさ)

1 12345 2 3 4 5

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芸術研究報32, 2011 69

謝辞

 本調査を行うにあたっては、多くの研究者の皆様にご協力をいただき、アンケート調査を実施することができた。この場を借りて御礼申し上げる。特に東北大学の渡辺正夫教授には、格別なご支援をいただき、厚く御礼申し上げる。なお本調査は科学研究費補助金(基盤(C))「科学者のためのサイエンスイラストレーション作成ガイド」(研究代表者:田中佐代子)の一環として行われた。

註1 Scientific illustration、Medical illustration、Biomedical

illustration、Science Graphic、Science Visual、図版、ポンチ絵といった表現もある。

2 額賀淑郎「科学論における視覚表象論の役割―視覚知・視覚化の学説研究―」、年報 科学・技術・社会、第11巻、p94-95、2002

3 「当面、1件当たり年間3千万円以上の公的研究費(競争的資金またはプロジェクト研究資金)の配分を受ける研究者等に対して、『国民との科学・技術対話』に積極的に取り組むよう公募要項等に記載する。」「国民との科学・技術対話」の推進について、科学技術政策担当大臣・総合科学技術会議有識者議員、2011年6月、http://www8.cao.go.jp/cstp/output/20100619taiwa.pdf

4 「2005年、科学技術振興調整費によって科学コミュニケーター養成講座が、東京大学、北海道大学、早稲田大学に設置された。」標葉隆馬、他:生命科学分野研究者の科学技術コミュニケーションに対する意識:動機、障壁、参加促進のための方策について、科学技術コミュニケーション6、p18、2009

5 国立天文台が三鷹市と連携して、平成19年度より文部科学省科学技術振興調整費によって、「科学映像クリエータ」と「科学プロデューサ」コースを開設している。http://prc.nao.ac.jp/ashub/

6 北海道大学等教育推進機構高等教育研究部科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)「グラフィックデザイン演習」が1年間で4時間のみ行われていたが、ライティングスキル等の授業と比べると、少ない授業時間数である。http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/costep/learn/general/outline.html

7 吉田勝久『医学・バイオ系のためのFig.作成ガイド―論文・プレゼンに役立つPhotoshop/Illustrator活用法―』、オーム社、2007

8 門川俊明・秋月由紀『Illustratorのやさしい使い方から論文・学会発表まで』、羊土社、2008

9 Mary Helen Briscoe “A Researcher’s Guide to Scientific and Medical Illustrations”, Block/Springer Series in Contemporary Bioscience, Springer-Verlag, 1990

10 八十島博明『Macで描く科学イラスト』、日経サイエンス社、p6-7、1994。ちなみにパソコンやソフトウエアの使用方法についてはほとんど記術されていない。

11 講演「サイエンスイラストレーション作成のためのデザインルールとは?」フォーラム企画「プロに学べ!魅せるサイエンスイラスト!」BMB2010(第33回日本分子生物学

会年会・第83回日本生化学会大会 合同大会)、神戸国際展示場、2010年12月

12 オンラインアンケートによる調査内容は筑波大学研究倫理審査委員会での承認後に実施した。(承認日:2010年9月15日)

13 オンラインアンケートでは、「中断」後に再開できるようにした。また回答の送信後も「回答を撤回」や「回答を修正」することができるようもした。

14 より簡潔な設問にするため「写真や写真の加工による図」は除くことにした。

15 研究分野は科学研究費補助金のH23公募要領の「分野」を参考にした。

16 50歳代は33名、60歳代は4名、70歳代は1名という結果だった。少数だった60歳代と70歳代をクロス集計に用いることは困難であるため50歳代としてまとめた。

17 Webアンケート調査では、対象テーマに興味・関心の高い回答者が答える傾向にあるため、科学者全体を対象にした無作為抽出による調査に比べ、イラストに対して肯定的な回答をするバイアスが生じている可能性は否定できない。

18 調査期間:2011年1月1日(土)~1月31日(月)、対象データ数:479,369,036アクセス、調査結果概要OSシェア、株式会社サムライファクトリー http://www.value-press.com/pressrelease.php?article_id=72343

19 「その他」(5.7%)の内訳は、「分かりやすさと正確さの両立」「時間さえかければ良いものが書けるが、時間がかかりすぎる」「どうしたら好印象を与えられるか」「なるべく言葉による説明なしでわかるように描く方法」「ポイントを如何に強調するか?の方法」などであった。

20 「その他」(6.7%)の内訳は、「デザインの基礎、もしくは専門家の考え方書いてあるもの」「科学的正確さと視覚的分かりやすさの両立」「イラストの違いによるイメージやわかりやすさの違いなどの実例」「研究者とイラストレーターのコミュニケーションのためのガイド」などであった。

21 「その他」(10.2%)で多かった意見は、「良い例を参考にする」、「実績を積む」「自身で描いたものに対して意見を聞く」であった。

22 「その他」(6.3%)の理由は「ケースバイケース」や「予算や費用次第」などであった。

23 「PowerPoint 2010」(アカデミック・ダウンロード版)は10,500円だった。http://www.microsoftstore.jp/Form/Product/ ProductCategory.aspx?cat=200005

「Photoshop CS5 Extended」(アカデミック版)37,590円、Illustrator CS5(アカデミック版)は26,460円だった。(2012年1月現在) http://www.adobe.com/jp/joc/education/purchasing/ste/price/

24 西川潔「第5章 屋外広告物のデザイン基礎 1屋外広告に求められる条件」、『屋外広告の知識 第2巻 デザイン編』、西川潔監修、ぎょうせい、p90、2006

25 北米ではサイエンスイラストレーションの教育プログラムが大学院修士課程で実践されている。以下が代表的なプログラムである。トロント大学Biomedical Communications、ジョンズホプキンス大学Art as Applied to Medicine、イリノイ大学Biomedical Visualization、ジョージア健康科学大学Medical Illustration、テキサス大学Biomedical Communications、カリフォルニア州立大学Science Illustration。

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科学者によるサイエンスイラストレーション作成の実態70

Recently, visualization for research presentations is progressing, and opportunities for scientists themselves to make scientific illustrations are increasing. But there are few opportunities for scientists to learn scientific illustration techniques, so many of the resulting illustrations are unattractive or incomprehensible. Therefore we conducted a survey to understand the situation of Japanese scientists faced with producing scientific illustrations. The purpose of this study was to form a basis for a set of guidelines for producing scientific illustrations for scientists. The survey was conducted from December 2010 to January 2011, and we received effective responses from 442 scientists, 82.7% of whom were from the Life Sciences.

We understood the following from the results. Although 95.0% of the scientists surveyed have had experience producing their own illustrations, 63.3% were not satisfied with the illustrations they produced. Furthermore, 98.0% of scientists in our survey wished to improve their skills in producing illustrations in order to further their research.

A great many of the scientists surveyed use Microsoft PowerPoint® to produce their illustrations, but we think that this work would be more efficient if the use of Adobe Illustrator® and Adobe Photoshop® were more widespread. Many scientists indicated that their scientific illustrations were for use in presentations at academic meetings, and in research papers. The scientists considered “comprehensible”, “scientifically correct” and “attractive, good sense of beauty” to be important qualities of scientific illustrations, and while they were highly conscious of the importance of “color scheme” and “layout” in the production of illustrations, they were less aware of “typography” and “the selection of font styles”.

Additionally, we surveyed Japanese scientists’ opinions on ordering their illustrations from professional illustrators. As a result, 51.6% of the scientists surveyed answered that they don’t want to order from professional illustrators, primarily for financial reasons.

We considered from the results that important factors which scientists demand from their illustrations are “functionality (comprehensible)”, “accuracy (scientifically correct)”, “aesthetics (attractive, good sense of beauty)” and “economy (cost)”. In future, we will show guidelines for scientific illustrations based on the above conditions and in line with illustration purposes.

TANAKA Sayoko, KOBAYASHI Makoto and MIWA Yoshihiro

A Study on How Scientists Prepare Scientific Illustrations

Summary